(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-12
(54)【発明の名称】窓ステー
(51)【国際特許分類】
E05D 15/30 20060101AFI20220905BHJP
【FI】
E05D15/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021573451
(86)(22)【出願日】2020-06-09
(85)【翻訳文提出日】2022-01-24
(86)【国際出願番号】 NZ2020050059
(87)【国際公開番号】W WO2020251375
(87)【国際公開日】2020-12-17
(32)【優先日】2019-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NZ
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505138978
【氏名又は名称】エイエスエスエイ・アブロイ・ニュージーランド・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】モロイ,ブライス・アラン
(72)【発明者】
【氏名】ステンハウス,デイモン・ピーター
(57)【要約】
摩擦窓ステーは通常、キャリッジに摩擦荷重を印加することによって摩擦を得る。ここで説明されるのは:枠板上で摺動するよう構成されたキャリッジ;及び少なくとも1つの摩擦ピボット継手を有する要素を備える、窓ステーであり、ここで上記キャリッジと上記枠板との間の摩擦力は、上記摩擦ピボット継手が印加する上記合計摩擦力より小さい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠板上で摺動するよう構成されたキャリッジ;及び
少なくとも1つの摩擦ピボット継手を有する要素
を備える、窓ステーであって、
前記キャリッジと前記枠板との間の摩擦力は、前記摩擦ピボット継手が印加する合計摩擦力より小さい、窓ステー。
【請求項2】
前記要素は、少なくとも2つの摩擦継手を有し、
前記前記キャリッジと前記枠板との間の摩擦力は、前記摩擦ピボット継手が印加する前記合計摩擦力より小さい、請求項1に記載の窓ステー。
【請求項3】
前記摩擦ピボット継手は摩擦リベット継手である、請求項1又は請求項2に記載の窓ステー。
【請求項4】
前記摩擦リベットは高摩擦リベット継手である、請求項3に記載の窓ステー。
【請求項5】
前記キャリッジは低摩擦キャリッジである、請求項1~4のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項6】
前記低摩擦キャリッジは低摩擦プラスチック製である、請求項5に記載の窓ステー。
【請求項7】
前記窓ステーは複数の要素を備え、
前記要素はステーである、請求項1~6のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項8】
前記窓ステーはセレクタを更に備え、
前記セレクタは、前記窓ステーが出口モードで動作できるように前記キャリッジを配置するために、操作可能である、請求項1~7のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項9】
前記窓ステーはセレクタを更に備え、
前記セレクタは、前記窓ステーが清掃モードで動作できるように前記キャリッジを配置するために、操作可能である、請求項1~7のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項10】
前記セレクタは、前記窓ステーが清掃モードで動作できるように前記キャリッジを配置するために、操作可能である、請求項8に記載の窓ステー。
【請求項11】
前記キャリッジは前記枠板内のチャネルに沿って摺動し、
前記チャネルは、塵芥の蓄積を最小限に抑えるように構成される、請求項1~10のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項12】
出口モード及び/又は清掃モードを有する窓ステーであって、
前記窓ステーは:
窓枠に取り付けられるよう構成された枠板;
窓サッシに取り付けられるよう構成されたサッシ板;
前記枠板上で摺動するよう構成された第1のキャリッジ;
前記第1のキャリッジを前記サッシ板に接続するショートアーム;
前記枠板上で摺動するよう構成された第2のキャリッジ;
前記第2のキャリッジを前記サッシ板に接続するロングアーム;及び
複数のピボット継手であって、前記複数のピボット継手は、前記サッシ板、前記ショートアーム、前記ロングアーム、前記第1のキャリッジ、及び前記第2のキャリッジを接続する、複数のピボット継手
を備え、
前記ピボット継手のうちの少なくとも1つは、摩擦ピボット継手であり、
前記キャリッジと前記枠板との間の摩擦力は、前記摩擦ピボット継手が印加する合計摩擦力より小さい、窓ステー。
【請求項13】
複数の前記ピボット継手は摩擦ピボット継手である、請求項12に記載の窓ステー。
【請求項14】
前記摩擦ピボット継手は摩擦リベット継手である、請求項13に記載の窓ステー。
【請求項15】
前記摩擦リベット継手は高摩擦リベット継手である、請求項14に記載の窓ステー。
【請求項16】
前記キャリッジは低摩擦キャリッジである、請求項12~15のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項17】
前記低摩擦キャリッジは低摩擦プラスチック製である、請求項16に記載の窓ステー。
【請求項18】
前記窓ステーはセレクタを更に備え、
前記セレクタは、前記窓ステーが出口モードで動作できるように少なくとも1つのキャリッジを配置するために、操作可能である、請求項12~17のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項19】
前記窓ステーはセレクタを更に備え、
前記セレクタは、前記窓ステーが清掃モードで動作できるように少なくとも1つのキャリッジを配置するために、操作可能である、請求項12~17のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項20】
前記セレクタは、前記窓ステーが清掃モードで動作できるように少なくとも1つのキャリッジを配置するために、操作可能である、請求項18に記載の窓ステー。
【請求項21】
前記キャリッジは前記枠板内のチャネルに沿って摺動し、
前記チャネルは、塵芥の蓄積を最小限に抑えるように構成される、請求項12~20のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項22】
枠板上で摺動するよう構成された第1のキャリッジ;
前記枠板上で摺動するよう構成された第2のキャリッジ;
第1のキャリッジ係合部材及び第2のキャリッジ係合部材;並びに
前記枠板上で摺動するよう構成されたセレクタ
を備える、窓ステーであって、
第1の位置では、前記セレクタは、前記第1のキャリッジの移動を制限するように前記第1のキャリッジ係合部材を位置決めし、かつ前記第2のキャリッジ係合部材が前記第2のキャリッジの移動を制限しないように前記第2のキャリッジ係合部材を位置決めし、また第2の位置では、前記セレクタは、前記第1のキャリッジ係合部材が前記第1のキャリッジの移動を制限しないように前記第1のキャリッジ係合部材を位置決めし、かつ前記第2のキャリッジの移動を制限するように前記第2のキャリッジ係合部材を位置決めする、窓ステー。
【請求項23】
少なくとも2つの摩擦ピボット継手を有する少なくとも1つの要素を更に備え、
前記キャリッジと前記枠板との間の摩擦力は、前記摩擦ピボット継手が印加する合計摩擦力より小さい、請求項22に記載の窓ステー。
【請求項24】
前記窓ステーは複数の要素を備え、
前記要素はステーである、請求項23に記載の窓ステー。
【請求項25】
前記摩擦ピボット継手は摩擦リベット継手である、請求項22~24のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項26】
前記摩擦リベット継手は高摩擦リベット継手である、請求項25に記載の窓ステー。
【請求項27】
前記キャリッジは低摩擦キャリッジである、請求項22~26のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項28】
前記低摩擦キャリッジは低摩擦プラスチック製である、請求項27に記載の窓ステー。
【請求項29】
前記セレクタは、前記窓ステーが出口モードで動作できるように前記キャリッジを配置するために、操作可能である、請求項22~28のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項30】
前記セレクタは、前記窓ステーが清掃モードで動作できるように前記キャリッジを配置するために、操作可能である、請求項22~28のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項31】
前記セレクタは、前記窓ステーが清掃モードで動作できるように前記キャリッジを配置するために、操作可能である、請求項29に記載の窓ステー。
【請求項32】
前記キャリッジは前記枠板内のチャネルに沿って摺動し、
前記チャネルは、塵芥の蓄積を最小限に抑えるように構成される、請求項22~31のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項33】
前記係合部材は球体である、請求項22~32のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項34】
前記球体はボールベアリングである、請求項33に記載の窓ステー。
【請求項35】
前記係合部材はダブルエンドブレットである、請求項22~32のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項36】
出口モード及び/又は清掃モードを有する窓ステーであって、
前記窓ステーは:
窓枠に取り付けられるよう構成された枠板;
窓サッシに取り付けられるよう構成されたサッシ板;
前記枠板上で摺動するよう構成された第1のキャリッジ;
前記第1のキャリッジを前記サッシ板に接続するショートアーム;
前記枠板上で摺動するよう構成された第2のキャリッジ;
前記第2のキャリッジを前記サッシ板に接続するロングアーム;
第1のキャリッジ係合部材及び第2のキャリッジ係合部材;並びに
前記枠板上で摺動するよう構成されたセレクタ
を備え、
第1の位置では、前記セレクタは、前記第1のキャリッジの移動を制限するように前記第1のキャリッジ係合部材を位置決めし、かつ前記第2のキャリッジ係合部材が前記第2のキャリッジの移動を制限しないように前記第2のキャリッジ係合部材を位置決めし、また第2の位置では、前記セレクタは、前記第1のキャリッジ係合部材が前記第1のキャリッジの移動を制限しないように前記第1のキャリッジ係合部材を位置決めし、かつ前記第2のキャリッジの移動を制限するように前記第2のキャリッジ係合部材を位置決めする、窓ステー。
【請求項37】
前記枠板、前記サッシ、前記第1のキャリッジ、前記ショートアーム、前記第2のキャリッジ、及び前記ロングアームは、摩擦ピボット継手を用いて接続され、
前記キャリッジと前記枠板との間の摩擦力は、前記摩擦ピボット継手が印加する合計摩擦力より小さい、請求項36に記載の窓ステー。
【請求項38】
前記摩擦ピボット継手は摩擦リベット継手である、請求項37に記載の窓ステー。
【請求項39】
前記摩擦リベット継手は高摩擦リベット継手である、請求項38に記載の窓ステー。
【請求項40】
前記キャリッジは低摩擦キャリッジである、請求項36~39のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項41】
前記低摩擦キャリッジは低摩擦プラスチック製である、請求項40に記載の窓ステー。
【請求項42】
前記セレクタは、前記窓ステーが出口モードで動作できるように前記キャリッジを配置するために、操作可能である、請求項36~41のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項43】
前記セレクタは、前記窓ステーが清掃モードで動作できるように前記キャリッジを配置するために、操作可能である、請求項36~41のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項44】
前記セレクタは、前記窓ステーが清掃モードで動作できるように前記キャリッジを配置するために、操作可能である、請求項42に記載の窓ステー。
【請求項45】
前記キャリッジは前記枠板内のチャネルに沿って摺動し、
前記チャネルは、塵芥の蓄積を最小限に抑えるように構成される、請求項36~44のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項46】
前記係合部材は球体である、請求項36~45のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項47】
前記球体はボールベアリングである、請求項46に記載の窓ステー。
【請求項48】
前記係合部材はダブルエンドブレットである、請求項36~45のいずれか1項に記載の窓ステー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓ステーに関する。
【背景技術】
【0002】
窓は窓サッシを有してよく、上記窓サッシは、上記窓を開放できるようにするために、窓枠に対して移動する。
【0003】
窓ステー(窓ステーヒンジ又は摩擦ステーとしても知られる)は、窓業界では公知である。典型的には、窓ステーは窓サッシを窓枠に接続し、窓を開閉できるようにヒンジとして機能する。窓ステーは、窓枠に取り付けられるよう構成された枠板、窓サッシに取り付けられるよう構成されたサッシ板、枠板とサッシ板との間で枢動可能に接続された多数のアームを含むことが多い。窓のタイプ及び必要な開放機構のタイプに応じて、多数の異なる構成の窓ステーが用意されている。
【0004】
いくつかの窓ステーには、枠板上で摺動できるキャリッジを設けることができる。複数のアームのうちの1つ以上を、枠板に直接接続するのではなく、キャリッジに接続してよい。このようにすると、キャリッジは窓の開閉機構の一部として摺動できる。
【0005】
サッシは、清掃位置又は出口(egress)位置へと移動させる必要がある場合がある。この移動を達成するためには、操作中にステーの開放位置を調整できる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
代替的な窓ステーを提供すること、又は少なくとも、有用な選択肢を公共に提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ある例示的実施形態によると:枠板上で摺動するよう構成されたキャリッジ;及び少なくとも1つの摩擦ピボット継手を有する要素を備える、窓ステーが提供され、上記キャリッジと上記枠板との間の摩擦力は、上記摩擦ピボット継手が印加する合計摩擦力より小さい。
【0008】
更なる例示的実施形態によると、出口モード及び/又は清掃モードを有する窓ステーが提供され、上記窓ステーは:窓枠に取り付けられるよう構成された枠板;窓サッシに取り付けられるよう構成されたサッシ板;上記枠板上で摺動するよう構成された第1のキャリッジ;上記第1のキャリッジを上記サッシ板に接続するショートアーム;上記枠板上で摺動するよう構成された第2のキャリッジ;上記第2のキャリッジを上記サッシ板に接続するロングアーム;及び複数のリベット係留式摩擦ピボット継手を備え、上記複数のリベット係留式摩擦ピボット継手は、上記サッシ板、上記ショートアーム、上記ロングアーム、上記第1のキャリッジ、及び上記第2のキャリッジを接続し、上記キャリッジと上記枠板との間の摩擦力は、上記摩擦ピボット継手が印加する合計摩擦力より小さい。
【0009】
また更なる例示的実施形態によると:枠板上で摺動するよう構成された第1のキャリッジ;上記枠板上で摺動するよう構成された第2のキャリッジ;第1のキャリッジ係合部材及び第2のキャリッジ係合部材;並びに上記枠板上で摺動するよう構成されたセレクタを備える、窓ステーが提供され、第1の位置では、上記セレクタは、上記第1のキャリッジの移動を制限するように上記第1のキャリッジ係合部材を位置決めし、かつ上記第2のキャリッジ係合部材が上記第2のキャリッジの移動を制限しないように上記第2のキャリッジ係合部材を位置決めし、また第2の位置では、上記セレクタは、上記第1のキャリッジ係合部材が上記第1のキャリッジの移動を制限しないように上記第1のキャリッジ係合部材を位置決めし、かつ上記第2のキャリッジの移動を制限するように上記第2のキャリッジ係合部材を位置決めする。
【0010】
また更なる例示的実施形態によると、出口モード及び/又は清掃モードを有する窓ステーが提供され、上記窓ステーは:窓枠に取り付けられるよう構成された枠板;窓サッシに取り付けられるよう構成されたサッシ板;上記枠板上で摺動するよう構成された第1のキャリッジ;上記第1のキャリッジを上記サッシ板に接続するショートアーム;上記枠板上で摺動するよう構成された第2のキャリッジ;上記第2のキャリッジを上記サッシ板に接続するロングアーム;第1のキャリッジ係合部材及び第2のキャリッジ係合部材;並びに上記枠板上で摺動するよう構成されたセレクタを備え、第1の位置では、上記セレクタは、上記第1のキャリッジの移動を制限するように上記第1のキャリッジ係合部材を位置決めし、かつ上記第2のキャリッジ係合部材が上記第2のキャリッジの移動を制限しないように上記第2のキャリッジ係合部材を位置決めし、また第2の位置では、上記セレクタは、上記第1のキャリッジ係合部材が上記第1のキャリッジの移動を制限しないように上記第1のキャリッジ係合部材を位置決めし、かつ上記第2のキャリッジの移動を制限するように上記第2のキャリッジ係合部材を位置決めする。
【0011】
添付の図面は、本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成し、本発明の実施形態を図示し、上述の「発明の概要」及び以下の「発明を実施するための形態」と共に、本発明の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、完全閉鎖位置における窓ステーの一実施形態の等角図を示す。
【
図4】
図4は、第1の状態における
図1の窓ステーの等角図を示す。
【
図7】
図7は、第2の状態における
図1の窓ステーの等角図を示す。
【
図8】
図8は、第3の状態における
図1の窓ステーの等角図を示す。
【
図13】
図13は、完全閉鎖位置における窓ステーの更なる実施形態の等角図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
いくつかの実施形態では、窓ステーは、窓枠への取り付けのための枠板と、窓サッシへの取り付けのためのサッシ板とを有する。サッシ板は、枠板に沿って可動であるキャリッジを介して枠板に接続される。これにより、窓枠に対する窓サッシの位置を調整できる窓ステーが提供される。
【0014】
【0015】
窓ステーは、例えば固定孔を通る締結具510(ねじ又はリベット等)を用いて窓枠に取り付けられる枠板100を有する。サッシ板120は、窓サッシに取り付けられる。サッシ板120は、ショートアーム150及びロングアーム160によって枠板100に接続される。ショートアーム150は、サッシキャリッジ370によって枠板100に接続され、取付具581によってサッシ板120に固定される。ショートアーム150は、取付具582によってサッシキャリッジ370に固定される。
【0016】
取付具581、582は転心であり、ショートアーム150は、取付具581及び取付具582の周りで回転することによって、それぞれサッシキャリッジ370及びサッシ板120に対して枢動する。ロングアーム160は、ロングアームキャリッジ380によって枠板100に接続され、取付具584によってサッシ板120に取り付けられる。ロングアーム160は、取付具586によってロングアームキャリッジ380に取り付けられる。取付具584、586は転心であり、ロングアーム160は、取付具584及び取付具586の周りで回転することによって、それぞれ枠板100及びサッシ板120に対して枢動する。
【0017】
従ってサッシ板120は、枠板100に対して移動できる。これにより、窓サッシを窓枠に対して移動させることができる。
【0018】
支持アーム130は、サッシキャリッジ370によって枠板100に接続でき、また取付具585によってロングアーム160に取り付けることができる。支持アーム130は、取付具583によってサッシキャリッジ370に取り付けられる。取付具583、585は転心であり、支持アーム130は、取付具583及び取付具585の周りで回転することによって、それぞれ枠板100及びロングアーム160に対して枢動する。
【0019】
キャリッジ370、380は、これらの摩擦が小さくなり、これらが枠板100上で容易に摺動するような材料で作製される。キャリッジは、低摩擦プラスチック又は他の好適な材料で作製されていてよい。
【0020】
あるいはキャリッジ370、380は潤滑されていてよく、これにより、キャリッジ370、380と枠板100との間の潤滑済み境界面の摩擦が小さくなる。
【0021】
キャリッジ370、380は枠板100上に配置され、枠板100の端部101と端部102との間で可動である。枠板100はチャネル110を有し、これに沿ってキャリッジ370、380が移動する。
【0022】
枠板100上におけるキャリッジ370、380の長手方向位置は、セレクタ600及びセレクタ係合用スロット621、622によって制限される。
【0023】
取付具581、582、583、584、585、586は、摩擦リベット継手等の摩擦ピボット継手のような、ピボット継手であってよい。一部の摩擦ピボット継手は、高摩擦リベット継手であってよい。摩擦ピボット継手の個数及び仕様は、キャリッジ370、380と枠板100との間の摩擦力が、摩擦ピボット継手581、582、583、584、585、586が印加する合計摩擦力より小さくなるようなものである。
【0024】
摩擦ピボット継手581、582、583、584、585、586のうちの1つだけが高摩擦継手であってもよいが、多数の、場合によっては全ての摩擦ピボット継手が高摩擦継手であってもよい。
【0025】
よって、ステーが必要とする摩擦は、従来の設計のキャリッジ370、380によってではなく、摩擦ピボット継手581、582、583、584、585、586によって生成される。
【0026】
使用
図4~12は、使用に対応する様々な状態における窓ステーを示す。
【0027】
図4、5、6は第1の状態における窓ステーを示し、この第1の状態では、セレクタ600が出口位置にある。セレクタ600は、スロット621によって移動が制限されている。スロット621はまた、使用時に、セレクタ600がある位置の指標をユーザに提供する。サッシ板120は、窓サッシが通常の開放位置で開くことができるように配置されているが、第2の状態へと移動できる。第1の状態では、サッシキャリッジ370の位置及び移動はセレクタ600によって制限される。
【0028】
ロングアームキャリッジ180はセレクタ600を備えず、枠板100のロングアーム側端部102から離れるように、枠板100に沿って長手方向に移動できる。
【0029】
しかしながら、ロングアームキャリッジ380の長手方向の移動は、取付具586によってロングアームキャリッジ380がロングアーム160に取り付けられ、このロングアーム160が取付具584、585によってそれぞれサッシ板120及び支持アーム130に接続されていることによって、制限される。
【0030】
図7は第2の状態における窓ステーを示し、この第2の状態は、セレクタ600が再び出口位置となっている窓枠を介して人が出入りするのに好適である。サッシ板120は開放され、これにより、窓サッシが窓枠に対して略90°に配置される。サッシ板120は、枠板100に対して略90°となっている。サッシ板120は枠板100の一方の端部にあるため、窓サッシを窓枠から、人の出入りを可能にするために十分な程度に開く。
【0031】
第1の状態と同様、第2の状態では、サッシキャリッジ370の位置はセレクタ600によって制限される。ロングアームキャリッジ380は、枠板100のロングアーム側端部102から離れるような移動を、セレクタ600によって妨げられない。窓サッシキャリッジ370は、枠板100のサッシ板側端部101に向かって移動している。これが起こるのは、セレクタ600がサッシキャリッジ370を、枠板100のサッシ板側端部101に向かって長手方向に多少移動させるためである。
【0032】
図8は第3の状態における窓ステーを示し、この第3の状態では、セレクタ600が清掃位置にある。セレクタ600はスロット622によって、移動しないよう制限されている。スロット622はまた、使用時に、セレクタ600がある位置の指標をユーザに提供する。
【0033】
サッシ板120は、窓サッシが通常の開放位置で開くことができるように配置されているが、サッシ板120及び窓サッシは第4の状態へと移動できる。第3の状態では、サッシキャリッジ370の位置は、セレクタ600の枠板の窓サッシ端部に制限されていない。
【0034】
第3の状態では、ロングアームキャリッジ380の位置はセレクタ600によって制限される。セレクタ600は、枠板100のサッシ板側端部101に対して長手方向の、ロングアームキャリッジ380の限定的な移動を可能にする。
【0035】
図11、12A、12Bは第4の状態の窓ステーを示し、この第4の状態は、人が窓サッシを清掃するのに好適である。第3の状態と同様、セレクタ600は清掃モードにある。サッシ板120は開放され、これにより、窓サッシが窓枠に対して略90°に配置される。第4の状態のサッシ板120は、窓枠100の中央付近に長手方向に配置され、これにより、人が清掃のために窓サッシの両側にアクセスできる。サッシ板120は、枠板100に対して略90°となっている。
【0036】
第3の状態と同様、第4の状態では、ロングアームキャリッジ380の位置は、セレクタ600によって、枠板100のサッシ板側端部101に向かって移動しないよう制限されている。
【0037】
サッシキャリッジ370は係合部材602から自由になっているため、窓サッシキャリッジ370は枠板100のロングアーム側端部102に向かって移動している。ロングアームキャリッジ380はセレクタ600によって制限されているため、ロングアームキャリッジ380はごく限られた距離しか移動しない。
【0038】
出口モードと清掃モードとの間の移行は、窓サッシ、従ってサッシ板120が、部分的に閉鎖されているときに生じ得る。移行位置では、セレクタ600を、枠板100のサッシ板側端部101から若しくは枠板100のサッシ板側端部101へ、又は枠板100のロングアーム側端部102から若しくは枠板100のロングアーム側端部102へ、移動させることができる。
【0039】
セレクタ600がスロット621内に位置している出口モードでセレクタが始動すると仮定すると、セレクタは、枠板100に沿って移動してスロット622内に入る。その際、セレクタ600は、サッシキャリッジ370を制限している状態から、ロングアームキャリッジ380を制限している状態へと移動する。
【0040】
図13~25は、更なる実施形態によるステーを示す。
【0041】
窓ステーは、例えば固定孔1520を通る締結具1510(ねじ又はリベット等)を用いて窓枠に取り付けられる枠板1300を有する。固定孔1520の周囲に皿穴を設けてよい。サッシ板1320は、窓サッシに取り付けられる。サッシ板1320は、ショートアーム1350及びロングアーム1360によって枠板1300に接続される。ショートアーム1350は、サッシキャリッジ1370によって枠板1300に接続され、取付具1581によってサッシ板1320に固定される。ショートアーム1350は、取付具1582によってサッシキャリッジ1370に固定される。
【0042】
取付具1581、1582は転心であり、ショートアーム1350は、取付具1581及び取付具1582の周りで回転することによって、それぞれキャリッジ1370及びサッシ板1320に対して枢動する。ロングアーム1360は、ロングアームキャリッジ1380によって枠板1300に接続され、取付具1584によってサッシ板1320に取り付けられる。ロングアーム1360は、取付具1586によってロングアームキャリッジ1380に取り付けられる。取付具1584、1586は転心であり、ロングアーム1360は、取付具1584及び取付具1586の周りで回転することによって、それぞれ枠板1300及びサッシ板1320に対して枢動する。
【0043】
従ってサッシ板1320は、枠板1300に対して移動できる。これにより、窓サッシを窓枠に対して移動させることができる。
【0044】
支持アーム1330は、サッシキャリッジ1370によって枠板1300に接続でき、また取付具1585によってロングアーム1360に取り付けることができる。支持アーム1330は、取付具1583によってサッシキャリッジ1370に取り付けられる。取付具1583、1585は転心であり、支持アーム1330は、取付具1583及び取付具1585の周りで回転することによって、それぞれ枠板1300及びロングアーム1360に対して枢動する。
【0045】
キャリッジ1670、1680は、これらの摩擦が小さくなり、これらが枠板1300上で容易に摺動するような材料で作製される。キャリッジは、低摩擦プラスチック又は他の好適な材料で作製されていてよい。
【0046】
あるいはキャリッジ1670、1680は潤滑されていてよく、これにより、キャリッジ1670、1680と枠板1300との間の潤滑済み境界面の摩擦が小さくなる。
【0047】
キャリッジ1370、1380は枠板1300上に配置され、枠板1300の端部1301と端部1302との間で可動である。枠板1300は「H」字型であり、2つの細長い平行なチャネル1311、1312を有し、これらの中で「C」字型のキャリッジ1370、1380が摺動する。枠板1300内の更なる平行なセレクタチャネル1310は、細長いセレクタ1620を内包する。
【0048】
枠板1300上でのキャリッジ1370、1380の長手方向位置は、それぞれセレクタ1620及びキャリッジ係合部材1601、1602によって制限される。キャリッジ係合部材1601、1602は球体であってよい。この球体は例えばボールベアリングであってよい。キャリッジ係合部材1601、1602は、ダブルエンドブレットプランジャ又はダブルエンドスプリングプランジャであってもよい。
【0049】
キャリッジ係合部材1601、1602はそれぞれ、セレクタ1620のスロット又は孔1611、1612内に配置され、セレクタ1620がセレクタチャネル1310内で移動する際に動かされる。
【0050】
調整プレート1306もまたセレクタチャネル1310内に配置される。調整プレート1306の位置は、調整部材1305によって制限される。調整部材1305を回転させることにより、調整プレート1306を、枠板1300のセレクタチャネル1310内で長手方向に移動させることができる。緩めたり締めたりすることによって調整プレート1306を移動させることができるねじ等の、別の調整デバイスを使用してもよい。
【0051】
調整プレート1320は、セレクタ1620を移動させるために可動であり、このセレクタ1620は、キャリッジ1370、1380の位置を制限するように動作する。キャリッジ1370、1380の位置は、サッシ板1320の位置を制限する。従って、調整プレート1320を移動させることによって、枠板1300に対する窓枠の位置を調整できる。
【0052】
誤解を避けるために、この文脈における「窓サッシに対する窓枠の位置を調整すること」は、窓を開放することによって(即ち窓ステーを閉鎖位置と開放位置との間で移動させることによって)上記位置を調整することを意味しないことに留意されたい。
【0053】
取付具1581、1582、1583、1584、1585、1586は、摩擦リベット継手等の摩擦ピボット継手のような、ピボット継手であってよい。一部の摩擦リベット継手は、高摩擦リベット継手であってよい。摩擦リベット継手の個数及び仕様は、キャリッジ1670、1680と枠板1300との間の摩擦力が、摩擦ピボット継手1581、1582、1583、1584、1585、1586が印加する合計摩擦力より小さくなるようなものである。
【0054】
摩擦リベット継手のうちの1つだけが高摩擦リベット継手であってもよいが、多数の、場合によっては全ての摩擦リベット継手が高摩擦継手であってもよい。
【0055】
よって、ステーが必要とする摩擦は、従来の設計のキャリッジ1670、1680によってではなく、摩擦ピボット継手1581、1582、1583、1584、1585、1586によって生成される。
【0056】
使用
図16~23は、使用に対応する様々な状態における窓ステーを示す。
【0057】
図16、17、18は第1の状態における窓ステーを示し、この第1の状態では、セレクタ1620が出口位置にある。サッシ板1320は、窓サッシが通常の開放位置で開くことができるように開放されているが、第2の状態へと移動できる。第1の状態では、サッシキャリッジ1370の位置はキャリッジ係合部材1602によって制限される。キャリッジ係合部材1602は、孔1612を通ってサッシキャリッジ1370のインデント1375内へと突出する。インデント1375は、キャリッジ係合部材1602に対して長手方向の、サッシキャリッジ1370の制限された移動を可能にし、また清掃モードと出口モードとの間でのセレクタ1620の移動を可能にするように、細長くなっている。
【0058】
ロングアームキャリッジ1380はキャリッジ係合部材1601から自由になっており、キャリッジ係合部材1601によって制限されることなく、枠板1300に沿って長手方向に移動できる。この状態では、キャリッジ係合部材1601は孔1621内に突出するため、ロングアームキャリッジ1380のインデント1385内に突出しない。
【0059】
しかしながら、ロングアームキャリッジ1380の長手方向の移動は、取付具1586によってキャリッジ1380がロングアーム1360に取り付けられ、このロングアーム1470が取付具1584、1585によってそれぞれサッシ板1320及び支持アーム1330に接続されていることによって、制限される。
【0060】
図19は第2の状態における窓ステーを示し、この第2の状態は、セレクタ1620が再び出口位置となっている窓枠を介して人が出入りするのに好適である。サッシ板1320は開放され、これにより、窓サッシが窓枠に対して略90°に配置され、これによって窓サッシは枠板1300一方の端部となり、窓サッシを窓枠から、人の出入りを可能にするために十分な程度に開く。サッシ板1320は枠板1300に対して略90°となる。
【0061】
第1の状態と同様、第2の状態では、サッシキャリッジ1370の位置はキャリッジ係合部材1602によって制限される。ロングアームキャリッジは、キャリッジ係合部材1601によって妨げられない。窓サッシキャリッジ1370は、枠板1300のサッシ側端部1301に向かって移動している。これが起こるのは、インデント1375が細長く、これにより、サッシキャリッジ1370が、キャリッジ係合部材1602に対して長手方向に多少移動できるためである。
【0062】
ロングアームキャリッジ1380はキャリッジ係合部材1601から自由になっているため、ロングアームキャリッジ1380は、キャリッジ係合部材1601によって制限されることなく、枠板1300に沿って長手方向に、枠板1300のサッシ側端部1301に向かって自由に移動できる。
【0063】
図20は第3の状態における窓ステーを示し、この第3の状態では、セレクタ1620が清掃位置にある。
【0064】
サッシ板1320は、窓サッシが通常の開放位置で開くことができるように配置されているが、サッシ板1320及び窓ステーは第4の状態へと移動できる。第3の状態では、サッシキャリッジ1370の位置は、キャリッジ係合部材1602によって制限されていない。キャリッジ係合部材1602は孔1622を通って突出するため、サッシキャリッジ1370のインデント1375内に突出しない。
【0065】
第3の状態では、ロングアームキャリッジ1380の位置はキャリッジ係合部材1601によって制限される。キャリッジ係合部材1601は、孔1611を通ってロングアームキャリッジ1380のインデント1385内へと突出する。インデント1385は、キャリッジ係合部材1601に対して長手方向の、ロングアームキャリッジ1380の制限された移動を可能にし、また清掃モードと出口モードとの間でのセレクタ1620の移動を可能にするように、細長くなっている。
【0066】
図20、21、22は第4の状態の窓ステーを示し、この第4の状態は、人が窓サッシを清掃するのに好適である。第3の状態と同様、セレクタ1620は清掃モードにある。サッシ板1320は開放され、これにより、窓サッシが窓枠に対して略90°に配置される。第4の状態のサッシ板1320は、窓枠1300の中央付近に長手方向に接続され、これにより、人が清掃のために窓サッシの両側にアクセスできる。サッシ板1320は、枠板1300に対して略90°となっている。
【0067】
第3の状態と同様、第4の状態では、ロングアームキャリッジ1380の位置はキャリッジ係合部材1601によって制限され、サッシキャリッジ1370の位置はキャリッジ係合部材1602によって制限されない。
【0068】
サッシキャリッジ1370はキャリッジ係合部材1602から自由になっているため、窓サッシキャリッジ1370は枠板1300のロングアーム側端部1302に向かって移動している。ロングアームキャリッジ380はキャリッジ係合部材1601によって制限されているため、ロングアームキャリッジ1380は移動しない。
【0069】
出口モードと清掃モードとの間の移行は、窓サッシ、従ってサッシ板1320が、部分的に閉鎖されているときに生じ得る。この位置は
図25で確認できる。
【0070】
移行位置では、ロングアームキャリッジ1380は、キャリッジ係合部材1601によって制限されているかどうかにかかわらず、枠板1300上に、インデント1385が孔1611上に位置するように配置され、これは、サッシキャリッジ1370が、キャリッジ係合部材1602によって制限されているかどうかにかかわらず、枠板1300上に、インデント1375が孔1612上に位置するように配置されるのと同様である。移行位置では、セレクタ1620を、枠板1300のサッシ側端部1301から若しくは枠板1300のサッシ側端部1301へ、又は枠板1300のロングアーム側端部1302から若しくは枠板1300のロングアーム側端部1302へ、移動させることができる。
【0071】
セレクタ1620が枠板1300のロングアーム側端部1302に向かって移動する際に、キャリッジ係合部材1602が孔1612からインデント1375内に突出する出口モードで、セレクタが始動すると仮定すると、キャリッジ係合部材1602はロングアーム側端部1302に向かって移動する。キャリッジ係合部材1602は、孔1612から枠板1300の孔1622内へと移動する。同時に、キャリッジ係合部材1601は孔1621から移動して、孔1611からロングアームキャリッジ1380のインデント1385内に突出する。
【0072】
よって、サッシキャリッジ1670の移動が制限されており、かつロングアームキャリッジ1680の移動が制限されていない出口モードから、セレクタ1620は、ロングアームキャリッジ1680の移動が制限されており、かつサッシキャリッジ1670の移動がキャリッジ係合部材1601、1602によって制限されていない位置へと移動している。
【0073】
解釈
本発明について、本発明の実施形態の説明によって本発明を例示し、またこれらの実施形態を詳細に説明したが、これは、添付の請求項の範囲を上記詳細へと制限する、又はいずれの意味でも限定するものと解釈してはならない。当業者には、更なる利点及び修正が容易に明らかになるだろう。従って本発明は、そのより広い態様において、ここで図示及び説明されている特定の詳細、代表的な装置及び方法、並びに例示的な実施例に限定されない。従って、一般発明概念の精神又は範囲から逸脱しない限りにおいて、上述の詳細から逸脱してもよい。
【0074】
用語「備える(comprise、comprises、comprising)」は、様々な管轄の下で、排他的な意味にも包括的な意味にも解釈され得ることが知られている。本明細書の目的のために、これらの用語は特記しない限り包括的な意味を有し、即ちこれらの用語は、その使用が直接言及されている列挙された構成部品を含み、かつ場合によってはその他の明記されていない構成部品又は要素も含むことを意味するものと解釈される。
【手続補正書】
【提出日】2021-03-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓ステーに関する。
【背景技術】
【0002】
窓は窓サッシを有してよく、上記窓サッシは、上記窓を開放できるようにするために、窓枠に対して移動する。
【0003】
窓ステー(窓ステーヒンジ又は摩擦ステーとしても知られる)は、窓業界では公知である。典型的には、窓ステーは窓サッシを窓枠に接続し、窓を開閉できるようにヒンジとして機能する。窓ステーは、窓枠に取り付けられるよう構成された枠板、窓サッシに取り付けられるよう構成されたサッシ板、枠板とサッシ板との間で枢動可能に接続された多数のアームを含むことが多い。窓のタイプ及び必要な開放機構のタイプに応じて、多数の異なる構成の窓ステーが用意されている。
【0004】
いくつかの窓ステーには、枠板上で摺動できるキャリッジを設けることができる。複数のアームのうちの1つ以上を、枠板に直接接続するのではなく、キャリッジに接続してよい。このようにすると、キャリッジは窓の開閉機構の一部として摺動できる。
【0005】
サッシは、清掃位置又は出口(egress)位置へと移動させる必要がある場合がある。この移動を達成するためには、操作中にステーの開放位置を調整できる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
代替的な窓ステーを提供すること、又は少なくとも、有用な選択肢を公共に提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ある例示的実施形態によると:枠板上で摺動するよう構成されたキャリッジ;及び少なくとも1つの摩擦ピボット継手を有する要素を備える、窓ステーが提供され、上記キャリッジと上記枠板との間の摩擦力は、上記摩擦ピボット継手が印加する合計摩擦力より小さい。
【0008】
更なる例示的実施形態によると、出口モード及び/又は清掃モードを有する窓ステーが提供され、上記窓ステーは:窓枠に取り付けられるよう構成された枠板;窓サッシに取り付けられるよう構成されたサッシ板;上記枠板上で摺動するよう構成された第1のキャリッジ;上記第1のキャリッジを上記サッシ板に接続するショートアーム;上記枠板上で摺動するよう構成された第2のキャリッジ;上記第2のキャリッジを上記サッシ板に接続するロングアーム;及び複数のリベット係留式摩擦ピボット継手を備え、上記複数のリベット係留式摩擦ピボット継手は、上記サッシ板、上記ショートアーム、上記ロングアーム、上記第1のキャリッジ、及び上記第2のキャリッジを接続し、上記キャリッジと上記枠板との間の摩擦力は、上記摩擦ピボット継手が印加する合計摩擦力より小さい。
【0009】
また更なる例示的実施形態によると:枠板上で摺動するよう構成された第1のキャリッジ;上記枠板上で摺動するよう構成された第2のキャリッジ;第1のキャリッジ係合部材及び第2のキャリッジ係合部材;並びに上記枠板上で摺動するよう構成されたセレクタを備える、窓ステーが提供され、第1の位置では、上記セレクタは、上記第1のキャリッジの移動を制限するように上記第1のキャリッジ係合部材を位置決めし、かつ上記第2のキャリッジ係合部材が上記第2のキャリッジの移動を制限しないように上記第2のキャリッジ係合部材を位置決めし、また第2の位置では、上記セレクタは、上記第1のキャリッジ係合部材が上記第1のキャリッジの移動を制限しないように上記第1のキャリッジ係合部材を位置決めし、かつ上記第2のキャリッジの移動を制限するように上記第2のキャリッジ係合部材を位置決めし、上記セレクタの一方の端部は、上記セレクタが上記第1の位置と上記第2の位置との間で移動する際に、上記セレクタの他方の端部の周りで枢動しない。
【0010】
また更なる例示的実施形態によると、出口モード及び/又は清掃モードを有する窓ステーが提供され、上記窓ステーは:窓枠に取り付けられるよう構成された枠板;窓サッシに取り付けられるよう構成されたサッシ板;上記枠板上で摺動するよう構成された第1のキャリッジ;上記第1のキャリッジを上記サッシ板に接続するショートアーム;上記枠板上で摺動するよう構成された第2のキャリッジ;上記第2のキャリッジを上記サッシ板に接続するロングアーム;第1のキャリッジ係合部材及び第2のキャリッジ係合部材;並びに上記枠板上で摺動するよう構成されたセレクタを備え、第1の位置では、上記セレクタは、上記第1のキャリッジの移動を制限するように上記第1のキャリッジ係合部材を位置決めし、かつ上記第2のキャリッジ係合部材が上記第2のキャリッジの移動を制限しないように上記第2のキャリッジ係合部材を位置決めし、また第2の位置では、上記セレクタは、上記第1のキャリッジ係合部材が上記第1のキャリッジの移動を制限しないように上記第1のキャリッジ係合部材を位置決めし、かつ上記第2のキャリッジの移動を制限するように上記第2のキャリッジ係合部材を位置決めし、上記セレクタの一方の端部は、上記セレクタが上記第1の位置と上記第2の位置との間で移動する際に、上記セレクタの他方の端部の周りで枢動しない。
【0011】
添付の図面は、本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成し、本発明の実施形態を図示し、上述の「発明の概要」及び以下の「発明を実施するための形態」と共に、本発明の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、完全閉鎖位置における窓ステーの一実施形態の等角図を示す。
【
図4】
図4は、第1の状態における
図1の窓ステーの等角図を示す。
【
図7】
図7は、第2の状態における
図1の窓ステーの等角図を示す。
【
図8】
図8は、第3の状態における
図1の窓ステーの等角図を示す。
【
図13】
図13は、完全閉鎖位置における窓ステーの更なる実施形態の等角図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
いくつかの実施形態では、窓ステーは、窓枠への取り付けのための枠板と、窓サッシへの取り付けのためのサッシ板とを有する。サッシ板は、枠板に沿って可動であるキャリッジを介して枠板に接続される。これにより、窓枠に対する窓サッシの位置を調整できる窓ステーが提供される。
【0014】
【0015】
窓ステーは、例えば固定孔を通る締結具510(ねじ又はリベット等)を用いて窓枠に取り付けられる枠板100を有する。サッシ板120は、窓サッシに取り付けられる。サッシ板120は、ショートアーム150及びロングアーム160によって枠板100に接続される。ショートアーム150は、サッシキャリッジ370によって枠板100に接続され、取付具581によってサッシ板120に固定される。ショートアーム150は、取付具582によってサッシキャリッジ370に固定される。
【0016】
取付具581、582は転心であり、ショートアーム150は、取付具581及び取付具582の周りで回転することによって、それぞれサッシキャリッジ370及びサッシ板120に対して枢動する。ロングアーム160は、ロングアームキャリッジ380によって枠板100に接続され、取付具584によってサッシ板120に取り付けられる。ロングアーム160は、取付具586によってロングアームキャリッジ380に取り付けられる。取付具584、586は転心であり、ロングアーム160は、取付具584及び取付具586の周りで回転することによって、それぞれ枠板100及びサッシ板120に対して枢動する。
【0017】
従ってサッシ板120は、枠板100に対して移動できる。これにより、窓サッシを窓枠に対して移動させることができる。
【0018】
支持アーム130は、サッシキャリッジ370によって枠板100に接続でき、また取付具585によってロングアーム160に取り付けることができる。支持アーム130は、取付具583によってサッシキャリッジ370に取り付けられる。取付具583、585は転心であり、支持アーム130は、取付具583及び取付具585の周りで回転することによって、それぞれ枠板100及びロングアーム160に対して枢動する。
【0019】
キャリッジ370、380は、これらの摩擦が小さくなり、これらが枠板100上で容易に摺動するような材料で作製される。キャリッジは、低摩擦プラスチック又は他の好適な材料で作製されていてよい。
【0020】
あるいはキャリッジ370、380は潤滑されていてよく、これにより、キャリッジ370、380と枠板100との間の潤滑済み境界面の摩擦が小さくなる。
【0021】
キャリッジ370、380は枠板100上に配置され、枠板100の端部101と端部102との間で可動である。枠板100はチャネル110を有し、これに沿ってキャリッジ370、380が移動する。
【0022】
枠板100上におけるキャリッジ370、380の長手方向位置は、セレクタ600及びセレクタ係合用スロット621、622によって制限される。
【0023】
取付具581、582、583、584、585、586は、摩擦リベット継手等の摩擦ピボット継手のような、ピボット継手であってよい。一部の摩擦ピボット継手は、高摩擦リベット継手であってよい。摩擦ピボット継手の個数及び仕様は、キャリッジ370、380と枠板100との間の摩擦力が、摩擦ピボット継手581、582、583、584、585、586が印加する合計摩擦力より小さくなるようなものである。
【0024】
摩擦ピボット継手581、582、583、584、585、586のうちの1つだけが高摩擦継手であってもよいが、多数の、場合によっては全ての摩擦ピボット継手が高摩擦継手であってもよい。
【0025】
よって、ステーが必要とする摩擦は、従来の設計のキャリッジ370、380によってではなく、摩擦ピボット継手581、582、583、584、585、586によって生成される。
【0026】
使用
図4~12は、使用に対応する様々な状態における窓ステーを示す。
【0027】
図4、5、6は第1の状態における窓ステーを示し、この第1の状態では、セレクタ600が出口位置にある。セレクタ600は、スロット621によって移動が制限されている。スロット621はまた、使用時に、セレクタ600がある位置の指標をユーザに提供する。サッシ板120は、窓サッシが通常の開放位置で開くことができるように配置されているが、第2の状態へと移動できる。第1の状態では、サッシキャリッジ370の位置及び移動はセレクタ600によって制限される。
【0028】
ロングアームキャリッジ180はセレクタ600を備えず、枠板100のロングアーム側端部102から離れるように、枠板100に沿って長手方向に移動できる。
【0029】
しかしながら、ロングアームキャリッジ380の長手方向の移動は、取付具586によってロングアームキャリッジ380がロングアーム160に取り付けられ、このロングアーム160が取付具584、585によってそれぞれサッシ板120及び支持アーム130に接続されていることによって、制限される。
【0030】
図7は第2の状態における窓ステーを示し、この第2の状態は、セレクタ600が再び出口位置となっている窓枠を介して人が出入りするのに好適である。サッシ板120は開放され、これにより、窓サッシが窓枠に対して略90°に配置される。サッシ板120は、枠板100に対して略90°となっている。サッシ板120は枠板100の一方の端部にあるため、窓サッシを窓枠から、人の出入りを可能にするために十分な程度に開く。
【0031】
第1の状態と同様、第2の状態では、サッシキャリッジ370の位置はセレクタ600によって制限される。ロングアームキャリッジ380は、枠板100のロングアーム側端部102から離れるような移動を、セレクタ600によって妨げられない。窓サッシキャリッジ370は、枠板100のサッシ板側端部101に向かって移動している。これが起こるのは、セレクタ600がサッシキャリッジ370を、枠板100のサッシ板側端部101に向かって長手方向に多少移動させるためである。
【0032】
図8は第3の状態における窓ステーを示し、この第3の状態では、セレクタ600が清掃位置にある。セレクタ600はスロット622によって、移動しないよう制限されている。スロット622はまた、使用時に、セレクタ600がある位置の指標をユーザに提供する。
【0033】
サッシ板120は、窓サッシが通常の開放位置で開くことができるように配置されているが、サッシ板120及び窓サッシは第4の状態へと移動できる。第3の状態では、サッシキャリッジ370の位置は、セレクタ600の枠板の窓サッシ端部に制限されていない。
【0034】
第3の状態では、ロングアームキャリッジ380の位置はセレクタ600によって制限される。セレクタ600は、枠板100のサッシ板側端部101に対して長手方向の、ロングアームキャリッジ380の限定的な移動を可能にする。
【0035】
図11、12A、12Bは第4の状態の窓ステーを示し、この第4の状態は、人が窓サッシを清掃するのに好適である。第3の状態と同様、セレクタ600は清掃モードにある。サッシ板120は開放され、これにより、窓サッシが窓枠に対して略90°に配置される。第4の状態のサッシ板120は、窓枠100の中央付近に長手方向に配置され、これにより、人が清掃のために窓サッシの両側にアクセスできる。サッシ板120は、枠板100に対して略90°となっている。
【0036】
第3の状態と同様、第4の状態では、ロングアームキャリッジ380の位置は、セレクタ600によって、枠板100のサッシ板側端部101に向かって移動しないよう制限されている。
【0037】
サッシキャリッジ370は係合部材602から自由になっているため、窓サッシキャリッジ370は枠板100のロングアーム側端部102に向かって移動している。ロングアームキャリッジ380はセレクタ600によって制限されているため、ロングアームキャリッジ380はごく限られた距離しか移動しない。
【0038】
出口モードと清掃モードとの間の移行は、窓サッシ、従ってサッシ板120が、部分的に閉鎖されているときに生じ得る。移行位置では、セレクタ600を、枠板100のサッシ板側端部101から若しくは枠板100のサッシ板側端部101へ、又は枠板100のロングアーム側端部102から若しくは枠板100のロングアーム側端部102へ、移動させることができる。
【0039】
セレクタ600がスロット621内に位置している出口モードでセレクタが始動すると仮定すると、セレクタは、枠板100に沿って移動してスロット622内に入る。その際、セレクタ600は、サッシキャリッジ370を制限している状態から、ロングアームキャリッジ380を制限している状態へと移動する。
【0040】
図13~25は、更なる実施形態によるステーを示す。
【0041】
窓ステーは、例えば固定孔1520を通る締結具1510(ねじ又はリベット等)を用いて窓枠に取り付けられる枠板1300を有する。固定孔1520の周囲に皿穴を設けてよい。サッシ板1320は、窓サッシに取り付けられる。サッシ板1320は、ショートアーム1350及びロングアーム1360によって枠板1300に接続される。ショートアーム1350は、サッシキャリッジ1370によって枠板1300に接続され、取付具1581によってサッシ板1320に固定される。ショートアーム1350は、取付具1582によってサッシキャリッジ1370に固定される。
【0042】
取付具1581、1582は転心であり、ショートアーム1350は、取付具1581及び取付具1582の周りで回転することによって、それぞれキャリッジ1370及びサッシ板1320に対して枢動する。ロングアーム1360は、ロングアームキャリッジ1380によって枠板1300に接続され、取付具1584によってサッシ板1320に取り付けられる。ロングアーム1360は、取付具1586によってロングアームキャリッジ1380に取り付けられる。取付具1584、1586は転心であり、ロングアーム1360は、取付具1584及び取付具1586の周りで回転することによって、それぞれ枠板1300及びサッシ板1320に対して枢動する。
【0043】
従ってサッシ板1320は、枠板1300に対して移動できる。これにより、窓サッシを窓枠に対して移動させることができる。
【0044】
支持アーム1330は、サッシキャリッジ1370によって枠板1300に接続でき、また取付具1585によってロングアーム1360に取り付けることができる。支持アーム1330は、取付具1583によってサッシキャリッジ1370に取り付けられる。取付具1583、1585は転心であり、支持アーム1330は、取付具1583及び取付具1585の周りで回転することによって、それぞれ枠板1300及びロングアーム1360に対して枢動する。
【0045】
キャリッジ1370、1380は、これらの摩擦が小さくなり、これらが枠板1300上で容易に摺動するような材料で作製される。キャリッジは、低摩擦プラスチック又は他の好適な材料で作製されていてよい。
【0046】
あるいはキャリッジ1370、1380は潤滑されていてよく、これにより、キャリッジ1370、1380と枠板1300との間の潤滑済み境界面の摩擦が小さくなる。
【0047】
キャリッジ1370、1380は枠板1300上に配置され、枠板1300の端部1301と端部1302との間で可動である。枠板1300は「H」字型であり、2つの細長い平行なチャネル1311、1312を有し、これらの中で「C」字型のキャリッジ1370、1380が摺動する。枠板1300内の更なる平行なセレクタチャネル1310は、細長いセレクタ1620を内包する。
【0048】
枠板1300上でのキャリッジ1370、1380の長手方向位置は、それぞれセレクタ1620及びキャリッジ係合部材1601、1602によって制限される。キャリッジ係合部材1601、1602は球体であってよい。この球体は例えばボールベアリングであってよい。キャリッジ係合部材1601、1602は、ダブルエンドブレットプランジャ又はダブルエンドスプリングプランジャであってもよい。
【0049】
キャリッジ係合部材1601、1602はそれぞれ、セレクタ1620のスロット又は孔1611、1612内に配置され、セレクタ1620がセレクタチャネル1310内で移動する際に動かされる。
【0050】
調整プレート1306もまたセレクタチャネル1310内に配置される。調整プレート1306の位置は、調整部材1305によって制限される。調整部材1305を回転させることにより、調整プレート1306を、枠板1300のセレクタチャネル1310内で長手方向に移動させることができる。緩めたり締めたりすることによって調整プレート1306を移動させることができるねじ等の、別の調整デバイスを使用してもよい。
【0051】
調整プレート1320は、セレクタ1620を移動させるために可動であり、このセレクタ1620は、キャリッジ1370、1380の位置を制限するように動作する。キャリッジ1370、1380の位置は、サッシ板1320の位置を制限する。従って、調整プレート1320を移動させることによって、枠板1300に対する窓枠の位置を調整できる。
【0052】
誤解を避けるために、この文脈における「窓サッシに対する窓枠の位置を調整すること」は、窓を開放することによって(即ち窓ステーを閉鎖位置と開放位置との間で移動させることによって)上記位置を調整することを意味しないことに留意されたい。
【0053】
取付具1581、1582、1583、1584、1585、1586は、摩擦リベット継手等の摩擦ピボット継手のような、ピボット継手であってよい。一部の摩擦リベット継手は、高摩擦リベット継手であってよい。摩擦リベット継手の個数及び仕様は、キャリッジ1670、1680と枠板1300との間の摩擦力が、摩擦ピボット継手1581、1582、1583、1584、1585、1586が印加する合計摩擦力より小さくなるようなものである。
【0054】
摩擦リベット継手のうちの1つだけが高摩擦リベット継手であってもよいが、多数の、場合によっては全ての摩擦リベット継手が高摩擦継手であってもよい。
【0055】
よって、ステーが必要とする摩擦は、従来の設計のキャリッジ1670、1680によってではなく、摩擦ピボット継手1581、1582、1583、1584、1585、1586によって生成される。
【0056】
使用
図16~23は、使用に対応する様々な状態における窓ステーを示す。
【0057】
図16、17、18は第1の状態における窓ステーを示し、この第1の状態では、セレクタ1620が出口位置にある。サッシ板1320は、窓サッシが通常の開放位置で開くことができるように開放されているが、第2の状態へと移動できる。第1の状態では、サッシキャリッジ1370の位置はキャリッジ係合部材1602によって制限される。キャリッジ係合部材1602は、孔1612を通ってサッシキャリッジ1370のインデント1375内へと突出する。インデント1375は、キャリッジ係合部材1602に対して長手方向の、サッシキャリッジ1370の制限された移動を可能にし、また清掃モードと出口モードとの間でのセレクタ1620の移動を可能にするように、細長くなっている。
【0058】
ロングアームキャリッジ1380はキャリッジ係合部材1601から自由になっており、キャリッジ係合部材1601によって制限されることなく、枠板1300に沿って長手方向に移動できる。この状態では、キャリッジ係合部材1601は孔1621内に突出するため、ロングアームキャリッジ1380のインデント1385内に突出しない。
【0059】
しかしながら、ロングアームキャリッジ1380の長手方向の移動は、取付具1586によってキャリッジ1380がロングアーム1360に取り付けられ、このロングアーム1470が取付具1584、1585によってそれぞれサッシ板1320及び支持アーム1330に接続されていることによって、制限される。
【0060】
図19は第2の状態における窓ステーを示し、この第2の状態は、セレクタ1620が再び出口位置となっている窓枠を介して人が出入りするのに好適である。サッシ板1320は開放され、これにより、窓サッシが窓枠に対して略90°に配置され、これによって窓サッシは枠板1300一方の端部となり、窓サッシを窓枠から、人の出入りを可能にするために十分な程度に開く。サッシ板1320は枠板1300に対して略90°となる。
【0061】
第1の状態と同様、第2の状態では、サッシキャリッジ1370の位置はキャリッジ係合部材1602によって制限される。ロングアームキャリッジは、キャリッジ係合部材1601によって妨げられない。窓サッシキャリッジ1370は、枠板1300のサッシ側端部1301に向かって移動している。これが起こるのは、インデント1375が細長く、これにより、サッシキャリッジ1370が、キャリッジ係合部材1602に対して長手方向に多少移動できるためである。
【0062】
ロングアームキャリッジ1380はキャリッジ係合部材1601から自由になっているため、ロングアームキャリッジ1380は、キャリッジ係合部材1601によって制限されることなく、枠板1300に沿って長手方向に、枠板1300のサッシ側端部1301に向かって自由に移動できる。
【0063】
図20は第3の状態における窓ステーを示し、この第3の状態では、セレクタ1620が清掃位置にある。
【0064】
サッシ板1320は、窓サッシが通常の開放位置で開くことができるように配置されているが、サッシ板1320及び窓ステーは第4の状態へと移動できる。第3の状態では、サッシキャリッジ1370の位置は、キャリッジ係合部材1602によって制限されていない。キャリッジ係合部材1602は孔1622を通って突出するため、サッシキャリッジ1370のインデント1375内に突出しない。
【0065】
第3の状態では、ロングアームキャリッジ1380の位置はキャリッジ係合部材1601によって制限される。キャリッジ係合部材1601は、孔1611を通ってロングアームキャリッジ1380のインデント1385内へと突出する。インデント1385は、キャリッジ係合部材1601に対して長手方向の、ロングアームキャリッジ1380の制限された移動を可能にし、また清掃モードと出口モードとの間でのセレクタ1620の移動を可能にするように、細長くなっている。
【0066】
図20、21、22は第4の状態の窓ステーを示し、この第4の状態は、人が窓サッシを清掃するのに好適である。第3の状態と同様、セレクタ1620は清掃モードにある。サッシ板1320は開放され、これにより、窓サッシが窓枠に対して略90°に配置される。第4の状態のサッシ板1320は、窓枠1300の中央付近に長手方向に接続され、これにより、人が清掃のために窓サッシの両側にアクセスできる。サッシ板1320は、枠板1300に対して略90°となっている。
【0067】
第3の状態と同様、第4の状態では、ロングアームキャリッジ1380の位置はキャリッジ係合部材1601によって制限され、サッシキャリッジ1370の位置はキャリッジ係合部材1602によって制限されない。
【0068】
サッシキャリッジ1370はキャリッジ係合部材1602から自由になっているため、窓サッシキャリッジ1370は枠板1300のロングアーム側端部1302に向かって移動している。ロングアームキャリッジ380はキャリッジ係合部材1601によって制限されているため、ロングアームキャリッジ1380は移動しない。
【0069】
出口モードと清掃モードとの間の移行は、窓サッシ、従ってサッシ板1320が、部分的に閉鎖されているときに生じ得る。この位置は
図25で確認できる。
【0070】
移行位置では、ロングアームキャリッジ1380は、キャリッジ係合部材1601によって制限されているかどうかにかかわらず、枠板1300上に、インデント1385が孔1611上に位置するように配置され、これは、サッシキャリッジ1370が、キャリッジ係合部材1602によって制限されているかどうかにかかわらず、枠板1300上に、インデント1375が孔1612上に位置するように配置されるのと同様である。移行位置では、セレクタ1620を、枠板1300のサッシ側端部1301から若しくは枠板1300のサッシ側端部1301へ、又は枠板1300のロングアーム側端部1302から若しくは枠板1300のロングアーム側端部1302へ、移動させることができる。
【0071】
セレクタ1620が枠板1300のロングアーム側端部1302に向かって移動する際に、キャリッジ係合部材1602が孔1612からインデント1375内に突出する出口モードで、セレクタが始動すると仮定すると、キャリッジ係合部材1602はロングアーム側端部1302に向かって移動する。キャリッジ係合部材1602は、孔1612から枠板1300の孔1622内へと移動する。同時に、キャリッジ係合部材1601は孔1621から移動して、孔1611からロングアームキャリッジ1380のインデント1385内に突出する。
【0072】
よって、サッシキャリッジ1670の移動が制限されており、かつロングアームキャリッジ1680の移動が制限されていない出口モードから、セレクタ1620は、ロングアームキャリッジ1680の移動が制限されており、かつサッシキャリッジ1670の移動がキャリッジ係合部材1601、1602によって制限されていない位置へと移動している。
【0073】
解釈
本発明について、本発明の実施形態の説明によって本発明を例示し、またこれらの実施形態を詳細に説明したが、これは、添付の請求項の範囲を上記詳細へと制限する、又はいずれの意味でも限定するものと解釈してはならない。当業者には、更なる利点及び修正が容易に明らかになるだろう。従って本発明は、そのより広い態様において、ここで図示及び説明されている特定の詳細、代表的な装置及び方法、並びに例示的な実施例に限定されない。従って、一般発明概念の精神又は範囲から逸脱しない限りにおいて、上述の詳細から逸脱してもよい。
【0074】
用語「備える(comprise、comprises、comprising)」は、様々な管轄の下で、排他的な意味にも包括的な意味にも解釈され得ることが知られている。本明細書の目的のために、これらの用語は特記しない限り包括的な意味を有し、即ちこれらの用語は、その使用が直接言及されている列挙された構成部品を含み、かつ場合によってはその他の明記されていない構成部品又は要素も含むことを意味するものと解釈される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠板上で摺動するよう構成されたキャリッジ;及び
少なくとも1つの摩擦ピボット継手を有する要素
を備える、窓ステーであって、
前記キャリッジと前記枠板との間の摩擦力は、前記摩擦ピボット継手が印加する合計摩擦力より小さい、窓ステー。
【請求項2】
前記要素は、少なくとも2つの摩擦継手を有し、
前記前記キャリッジと前記枠板との間の摩擦力は、前記摩擦ピボット継手が印加する前記合計摩擦力より小さい、請求項1に記載の窓ステー。
【請求項3】
前記摩擦ピボット継手は摩擦リベット継手である、請求項1又は請求項2に記載の窓ステー。
【請求項4】
前記摩擦リベット継手は高摩擦リベット継手である、請求項3に記載の窓ステー。
【請求項5】
前記キャリッジは低摩擦キャリッジである、請求項1~4のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項6】
前記低摩擦キャリッジは低摩擦プラスチック製である、請求項5に記載の窓ステー。
【請求項7】
前記窓ステーは複数の要素を備え、
前記要素はステーである、請求項1~6のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項8】
前記窓ステーはセレクタを更に備え、
前記セレクタは、前記窓ステーが出口モードで動作できるように前記キャリッジを配置するために、操作可能である、請求項1~7のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項9】
前記窓ステーはセレクタを更に備え、
前記セレクタは、前記窓ステーが清掃モードで動作できるように前記キャリッジを配置するために、操作可能である、請求項1~7のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項10】
前記セレクタは、前記窓ステーが清掃モードで動作できるように前記キャリッジを配置するために、操作可能である、請求項8に記載の窓ステー。
【請求項11】
前記キャリッジは前記枠板内のチャネルに沿って摺動し、
前記チャネルは、塵芥の蓄積を最小限に抑えるように構成される、請求項1~10のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項12】
出口モード及び/又は清掃モードを有する窓ステーであって、
前記窓ステーは:
窓枠に取り付けられるよう構成された枠板;
窓サッシに取り付けられるよう構成されたサッシ板;
前記枠板上で摺動するよう構成された第1のキャリッジ;
前記第1のキャリッジを前記サッシ板に接続するショートアーム;
前記枠板上で摺動するよう構成された第2のキャリッジ;
前記第2のキャリッジを前記サッシ板に接続するロングアーム;及び
複数のピボット継手であって、前記複数のピボット継手は、前記サッシ板、前記ショートアーム、前記ロングアーム、前記第1のキャリッジ、及び前記第2のキャリッジを接続する、複数のピボット継手
を備え、
前記ピボット継手のうちの少なくとも1つは、摩擦ピボット継手であり、
前記キャリッジと前記枠板との間の摩擦力は、前記摩擦ピボット継手が印加する合計摩擦力より小さい、窓ステー。
【請求項13】
複数の前記ピボット継手は摩擦ピボット継手である、請求項12に記載の窓ステー。
【請求項14】
前記摩擦ピボット継手は摩擦リベット継手である、請求項13に記載の窓ステー。
【請求項15】
前記摩擦リベット継手は高摩擦リベット継手である、請求項14に記載の窓ステー。
【請求項16】
前記キャリッジは低摩擦キャリッジである、請求項12~15のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項17】
前記低摩擦キャリッジは低摩擦プラスチック製である、請求項16に記載の窓ステー。
【請求項18】
前記窓ステーはセレクタを更に備え、
前記セレクタは、前記窓ステーが出口モードで動作できるように少なくとも1つのキャリッジを配置するために、操作可能である、請求項12~17のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項19】
前記窓ステーはセレクタを更に備え、
前記セレクタは、前記窓ステーが清掃モードで動作できるように少なくとも1つのキャリッジを配置するために、操作可能である、請求項12~17のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項20】
前記セレクタは、前記窓ステーが清掃モードで動作できるように少なくとも1つのキャリッジを配置するために、操作可能である、請求項18に記載の窓ステー。
【請求項21】
前記キャリッジは前記枠板内のチャネルに沿って摺動し、
前記チャネルは、塵芥の蓄積を最小限に抑えるように構成される、請求項12~20のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項22】
枠板上で摺動するよう構成された第1のキャリッジ;
前記枠板上で摺動するよう構成された第2のキャリッジ;
第1のキャリッジ係合部材及び第2のキャリッジ係合部材;並びに
前記枠板上で摺動するよう構成されたセレクタ
を備える、窓ステーであって、
第1の位置では、前記セレクタは、前記第1のキャリッジの移動を制限するように前記第1のキャリッジ係合部材を位置決めし、かつ前記第2のキャリッジ係合部材が前記第2のキャリッジの移動を制限しないように前記第2のキャリッジ係合部材を位置決めし、また第2の位置では、前記セレクタは、前記第1のキャリッジ係合部材が前記第1のキャリッジの移動を制限しないように前記第1のキャリッジ係合部材を位置決めし、かつ前記第2のキャリッジの移動を制限するように前記第2のキャリッジ係合部材を位置決めし、
前記セレクタの一方の端部は、前記セレクタが前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動する際に、前記セレクタの他方の端部の周りで枢動しない、窓ステー。
【請求項23】
少なくとも2つの摩擦ピボット継手を有する少なくとも1つの要素を更に備え、
前記キャリッジと前記枠板との間の摩擦力は、前記摩擦ピボット継手が印加する合計摩擦力より小さい、請求項22に記載の窓ステー。
【請求項24】
前記窓ステーは複数の要素を備え、
前記要素はステーである、請求項23に記載の窓ステー。
【請求項25】
前記摩擦ピボット継手は摩擦リベット継手である、請求項22~24のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項26】
前記摩擦リベット継手は高摩擦リベット継手である、請求項25に記載の窓ステー。
【請求項27】
前記キャリッジは低摩擦キャリッジである、請求項22~26のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項28】
前記低摩擦キャリッジは低摩擦プラスチック製である、請求項27に記載の窓ステー。
【請求項29】
前記セレクタは、前記窓ステーが出口モードで動作できるように前記キャリッジを配置するために、操作可能である、請求項22~28のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項30】
前記セレクタは、前記窓ステーが清掃モードで動作できるように前記キャリッジを配置するために、操作可能である、請求項22~28のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項31】
前記セレクタは、前記窓ステーが清掃モードで動作できるように前記キャリッジを配置するために、操作可能である、請求項29に記載の窓ステー。
【請求項32】
前記キャリッジは前記枠板内のチャネルに沿って摺動し、
前記チャネルは、塵芥の蓄積を最小限に抑えるように構成される、請求項22~31のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項33】
前記係合部材は球体である、請求項22~32のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項34】
前記球体はボールベアリングである、請求項33に記載の窓ステー。
【請求項35】
前記係合部材はダブルエンドブレットである、請求項22~32のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項36】
出口モード及び/又は清掃モードを有する窓ステーであって、
前記窓ステーは:
窓枠に取り付けられるよう構成された枠板;
窓サッシに取り付けられるよう構成されたサッシ板;
前記枠板上で摺動するよう構成された第1のキャリッジ;
前記第1のキャリッジを前記サッシ板に接続するショートアーム;
前記枠板上で摺動するよう構成された第2のキャリッジ;
前記第2のキャリッジを前記サッシ板に接続するロングアーム;
第1のキャリッジ係合部材及び第2のキャリッジ係合部材;並びに
前記枠板上で摺動するよう構成されたセレクタ
を備え、
第1の位置では、前記セレクタは、前記第1のキャリッジの移動を制限するように前記第1のキャリッジ係合部材を位置決めし、かつ前記第2のキャリッジ係合部材が前記第2のキャリッジの移動を制限しないように前記第2のキャリッジ係合部材を位置決めし、また第2の位置では、前記セレクタは、前記第1のキャリッジ係合部材が前記第1のキャリッジの移動を制限しないように前記第1のキャリッジ係合部材を位置決めし、かつ前記第2のキャリッジの移動を制限するように前記第2のキャリッジ係合部材を位置決めし、
前記セレクタの一方の端部は、前記セレクタが前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動する際に、前記セレクタの他方の端部の周りで枢動しない、窓ステー。
【請求項37】
前記枠板、前記サッシ、前記第1のキャリッジ、前記ショートアーム、前記第2のキャリッジ、及び前記ロングアームは、摩擦ピボット継手を用いて接続され、
前記キャリッジと前記枠板との間の摩擦力は、前記摩擦ピボット継手が印加する合計摩擦力より小さい、請求項36に記載の窓ステー。
【請求項38】
前記摩擦ピボット継手は摩擦リベット継手である、請求項37に記載の窓ステー。
【請求項39】
前記摩擦リベット継手は高摩擦リベット継手である、請求項38に記載の窓ステー。
【請求項40】
前記キャリッジは低摩擦キャリッジである、請求項36~39のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項41】
前記低摩擦キャリッジは低摩擦プラスチック製である、請求項40に記載の窓ステー。
【請求項42】
前記セレクタは、前記窓ステーが出口モードで動作できるように前記キャリッジを配置するために、操作可能である、請求項36~41のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項43】
前記セレクタは、前記窓ステーが清掃モードで動作できるように前記キャリッジを配置するために、操作可能である、請求項36~41のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項44】
前記セレクタは、前記窓ステーが清掃モードで動作できるように前記キャリッジを配置するために、操作可能である、請求項42に記載の窓ステー。
【請求項45】
前記キャリッジは前記枠板内のチャネルに沿って摺動し、
前記チャネルは、塵芥の蓄積を最小限に抑えるように構成される、請求項36~44のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項46】
前記係合部材は球体である、請求項36~45のいずれか1項に記載の窓ステー。
【請求項47】
前記球体はボールベアリングである、請求項46に記載の窓ステー。
【請求項48】
前記係合部材はダブルエンドブレットである、請求項36~45のいずれか1項に記載の窓ステー。
【国際調査報告】