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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-12
(54)【発明の名称】車両用アンテナガラス
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/32 20060101AFI20220905BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
H01Q1/32 A
H01Q1/22 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573937
(86)(22)【出願日】2020-06-25
(85)【翻訳文提出日】2021-12-13
(86)【国際出願番号】 EP2020067916
(87)【国際公開番号】W WO2020260508
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】19182538.9
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510191919
【氏名又は名称】エージーシー グラス ユーロップ
【氏名又は名称原語表記】AGC GLASS EUROPE
【住所又は居所原語表記】Avenue Jean Monnet 4, 1348 Louvain-la-Neuve, Belgique
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】ダルデンヌ, グザヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】ブイ-ヴァン, ハ
【テーマコード(参考)】
5J046
5J047
【Fターム(参考)】
5J046AA04
5J046AA09
5J046AA19
5J046AB06
5J046AB13
5J046LA01
5J046LA08
5J046LA19
5J047AA04
5J047AA09
5J047AA19
5J047AB06
5J047AB13
5J047EC02
(57)【要約】
本発明は、アンテナ素子(1)を含む車両用アンテナガラスに関する。本発明によれば、アンテナ素子(1)は、2.41~2.48GHzの周波数で動作するWiFiアンテナであり、アンテナ素子(1)は、平面放射素子(2)と平面接地素子(11)を含み、どちらも同軸コネクタ(9)に接続されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ素子(1)を含む車両用アンテナガラスにおいて、前記アンテナ素子(1)は、2.41~2.48GHzの周波数で動作するWiFiアンテナであり、前記アンテナ素子(1)は、平面放射素子(2)と平面接地素子(11)を含み、どちらも同軸コネクタ(9)に接続されていることを特徴とする車両用アンテナガラス。
【請求項2】
前記アンテナ素子(1)は、2.41~2.48GHz及び5.1~5.8GHzの周波数で動作するワイドバンド又はマルチバンドWiFiアンテナ素子であることを特徴とする、請求項1に記載のガラス。
【請求項3】
前記平面接地素子(11)は、前記平面放射素子(2)とそれに最も近いガラス縁(19)との間に配置され、かつこの縁(19)と略平行に延びることを特徴とする、請求項1に記載のガラス。
【請求項4】
前記アンテナ素子(1)は平面給電構造(3)をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のガラス。
【請求項5】
前記平面放射素子(2)及び前記平面接地素子(11)は、薄い金属箔、銀プリント、又は細い導電ワイヤのファインメッシュ等の平面導電材料(8)から作られていることを特徴とする、請求項1~4の何れか1項に記載のガラス。
【請求項6】
前記平面放射素子(2)、前記平面接地素子(11)、及び前記平面給電構造(3)は、薄い接着剤層により前記ガラスに接着されていることを特徴とする、請求項1~5の何れか1項に記載のガラス。
【請求項7】
前記平面放射素子(2)は、少なくとも1つの寄生素子(4)をさらに含むことを特徴とする、請求項1~6の何れか1項に記載のガラス。
【請求項8】
前記平面放射素子(2)、前記平面接地素子(11)、又はその延長部(12)は、前記導電材料内にエッチング加工された少なくとも1つのスロット(5)をさらに含むことを特徴とする、請求項1~7の何れか1項に記載のガラス。
【請求項9】
前記ガラスは、合わせフロントガラスであることを特徴とする、請求項1~8の何れか1項に記載のガラス。
【請求項10】
前記アンテナ素子(1)がフェース4に与えられていることを特徴とする、請求項9に記載のガラス。
【請求項11】
前記ガラスは、コーティング又は加熱コーティングフロントガラスであることを特徴とする、請求項1~10の何れか1項に記載のガラス。
【請求項12】
前記アンテナ素子の上のコーティング又は加熱コーティングが格子パターンで局所的に剥離されていることを特徴とする、請求項11に記載のガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ガラスに関し、より詳しくは車両のフロントガラスに組み込まれる、同車両と、運転者の自宅のレジデンシャルゲートウェイ等のインフラストラクチャとの間のOTA(Over the Air)通信のためのWiFiアンテナに関する。例えば、車が運転者の自宅の近くに駐車されると、家の中にあるWiFiアクセスポイントを通じて、自動ソフトウェアアップデートがその車に送信されることが可能である。ホームゲートウェイに関する車の向きは予測できないため、アンテナ放射パターンは360°の方位角にわたりできるだけ均一であるべきである。
【背景技術】
【0002】
ガラスに組み込まれることから、WiFiアンテナはまた、WiFiカバレッジを車両の内部に提供するためにも使用できる。
【0003】
また、ガラスに、より詳しくはフロントガラスに組み込まれることから、アンテナは、ガラス、特にフロントガラスの縁に沿って隠されるか若しくは中央ブラケットの背後に隠されるか、又は見えないか若しくはほとんど見えないようにして、運転者の視野にできるだけ入らないようにすべきである。
【0004】
車両の外部のWiFi通信のためには主に2種類の解決策がある。
【0005】
第一の解決策は、車両の内側に、典型的にはダッシュボードの背後に配置され、車両内部のWiFi LAN(ローカルエリアネットワーク)にすぐに使用できるアンテナに基づく。したがって、同じアンテナが内部及び外部WiFiカバレッジに使用される。この方式の主な問題は、車両内部のカバレッジは優良であり得るものの、外部カバレッジは非常に低劣であるということである。これは主にアンテナの位置による。実際、アンテナと外部媒質との間にはあらゆる方向に多くの金属部品がある。
【0006】
第二の選択肢は、外部アンテナを使用することであり、典型的にはバンパー又はサイドミラーの内部に配置される。この方式の欠点もやはり、車体による遮蔽効果である。例えば、フロントバンパーの中に配置されたアンテナは、車の前方には正しく放射するが、後方への放射は金属の車体によって完全にブロックされ、したがって、きわめて低劣である。アンテナをサイドミラーに取り付けることにより、良好な前方及び後方放射が得られるが、左右軸に沿った非対称性が高く、これも車体の遮蔽効果による。例えば、右サイドミラーの中に配置されたアンテナは、車の左側の放射レベルが非常に低くなる。これは図1に示されている。この問題を克服するために、OEMは典型的に2つのアンテナに頼っている。例えば、各サイドミラーに1つである。これは実際に良い技術的解決策であるが、非常にコストが高い。なぜなら、1つではなく2つのアンテナがあり、また、それらの信号を他の電子コンポーネント(ミキサー等)で結合しなければならないからである。したがって、この解決策は高額な高級車については受け入れられるとしても、より低クラス又はミドルクラスの車両の場合はそうとは言えず、これらには単独のアンテナシステムの方がはるかに単純、安価であり、したがって好ましい。
【発明の概要】
【0007】
そこで、本発明は、WiFiアンテナを車両のガラスに埋め込むという容易な解決策を提案する。この解決策は車両の何れのガラスにおいても技術的に実装できるが、アンテナは好ましくはフロントガラスに配置すべきである。なぜなら、WiFiトランシーバが通常、ダッシュボードの背後に配置されるからである。したがって、アンテナ構造とこのトランシーバとの間の配線長さが短縮され、それによってRF損失だけでなくコストも減少する。
【0008】
アンテナをガラス内に、より詳しくはフロントガラスに設置することによって、車両前方への最適なカバレッジが確保され、また、後方の遮蔽効果も限定される。アンテナ放射パターンがどのような形状とされるかに応じて、この提示された解決案は、前又は後方向の何れかにおいてサイドミラー内への2アンテナ型の解決策と同等又はそれ以上の性能を提供でき、同時にその反対方向でも容認可能なレベルの性能が保持される。放射が最も弱い方向でも、フロントガラス搭載アンテナは、ダッシュボードアンテナよりよく、通常はサイドミラー型解決策には及ばないものの、価格は格段に安い。フロントガラス搭載アンテナは、そのとき所望の方向への放射が最大になるように設計できる。アンテナ素子が組み込まれた先行技術のフロントガラスでは、放射は、既知のサイドミラーの筐体の中に組み込まれたアンテナと比較して、前方及び後方に向かって若干弱い。しかしながら、これは、360°の方位角にわたってはるかに均一であり、車の、アンテナを含むサイドミラーとは反対側に向かってはるかに良好である。
【0009】
それゆえ、本発明は、アンテナ素子を含む車両用アンテナガラスに関する。
【0010】
本発明によれば、アンテナ素子は、2.41~2.48GHzの周波数で動作するWiFiアンテナであり、アンテナ素子は同軸コネクタに接続された平面放射素子を含む。
【0011】
本発明によれば、アンテナ素子は、平面接地素子と平面給電構造をさらに含む。
【0012】
本発明によれば、平面放射素子、平面接地素子、及び平面給電構造は、平面導電材料から作られてもよい。
【0013】
本発明によれば、平面接地素子は好ましくは、平面放射素子と車のガラス縁との間に配置される。これによって、平面放射素子への車体の影響を最小化し、したがって、車体との近接に起因するアンテナ離調を最小化することができる。この離調に対する保護を最大にするほか、アンテナ素子がガラスの縁の付近に限定されたままに保持するために、平面接地素子の、長い方の寸法がガラス縁に略平行である。
【0014】
本発明によれば、アンテナ構造全体がガラスに接着されるが、これは、ガラスと平面アンテナ素子導電材料との間に配置される接着剤層による。
【0015】
本発明の好ましい実施形態において、車両ガラスは合わせガラスである。より好ましい実施形態において、車両ガラスはフロントガラスである。平面放射素子は好ましくは、フェース4(P4)、すなわち、フロントガラスの内側ガラスの外面に提供され、そこに接着剤層によって接着される。
【0016】
本発明の他の実施形態によれば、平面放射素子は好ましくは、フェース4(P4)、すなわちフロントガラスの内側ガラスの外面に提供され、平面放射素子は銀プリント平面放射素子である。
【0017】
本発明によれば、ガラスは、車のデザインに適合する平面又は曲面パネルとすることができる。ガラスペーンは、セキュリティの仕様に合わせて強化又はラミネートすることができる。合わせガラスの場合、これは、その内面の少なくとも1つに金属コーティング、例えば赤外線遮断コーティングを含むことができる。導電性コーティング又はガラスペーン上のワイヤ網若しくは銀プリントに基づく加熱システムをガラスペーンに適用して、例えば霜取り機能を追加することができる。また、ガラスペーンは、透明ガラスとすることも、又はガラスの特定の組成で着色された、若しくは例えばコーティングやプラスチック層を堆積させることによる色付きガラスとすることもできる。
【0018】
本発明のある実施形態によれば、平面放射素子の材料は、薄い金属層、薄い金属コーティング、銀プリント、又は細い導電ワイヤのファインメッシュ(目開きが波長より小さければ、全面導電性表面として機能する)とすることができる。
【0019】
平面放射素子の寸法は、それがWiFi周波数で効率的に放射するように選択される。単一バンド(2.4GHzバンド:2.41~2.48GHz)が好ましいが、ワイドバンド又はマルチバンド素子(2.4GHzバンド及び5GHzバンドの全部又は一部:5.1~5.8GHzをカバー)とすることもできる。
【0020】
平面放射素子の形状と寸法は、放射パターンを最適化するように、すなわち車両の外側のカバレッジを最大にし、車両周囲の方位角における放射の均一性を最大にするように選択される。
【0021】
アンテナは典型的に、ガラスの縁に沿って、すなわち金属製の車体の付近に配置されるため、アンテナの形状と寸法は、車体との近接の影響を最小化するように調整される。特に、平面放射素子のタイプは、大きい接地面の付近で良好な放射特性を提供するものから選択すべきである。
【0022】
平面放射素子はまた、おそらくは、少なくとも1つの寄生素子を含むことができ、その目的は要求に応じて放射パターンを整形することである。
【0023】
平面放射素子はまた、おそらくは、導電材料にエッチング加工される少なくとも1つのスロットを含むこともできる。スロットの形状は、スロットアンテナで使用される、製造工程と両立する、何れの通常の形状(長方形、円形、H字形、U字型等)とすることもできる。少なくとも1つのスロットは、マルチバンドアンテナの場合、周波数バンド幅の増大又は追加のバンドの生成に使用できる。バンド幅の拡張は典型的に、金属製の車体との近接によるアンテナ離調を緩和させるために有益である。
【0024】
本発明によれば、アンテナ素子は、平面給電構造をさらに含む。平面給電構造は、コネクタが平面放射素子に直接接続されていない場合、無線周波数(RF)信号をコネクタから平面放射素子へと効率的に輸送するために使用できる。平面給電構造は、マイクロストリップライン若しくは共平面導波路、又は平面接地素子若しくはその延長部と平面放射素子との間の単純なスロット付き構造等、何れの適当なRF伝送ラインとすることもできる。
【0025】
本発明によれば、アンテナ素子は同軸ケーブルコネクタに接続され、特に、同軸コネクタはトランシーバの同軸出力から平面放射素子、又はその平面給電構造への移行部を形成するために使用される。平面接地素子又はその延長部は、コネクタの接地導体(すなわち、同軸コネクタの外側導体)に接続され、他方で平面放射素子はコネクタの信号導体(すなわち、同軸コネクタの内側導体)に接続される。このコネクタは、自動車ガラスアンテナに関する典型的な機械的要求事項(けん引抵抗等)に適合すべきである。同軸ケーブルにより、アンテナ素子を電源システムに接続できる。
【0026】
フロントガラスに配置されるため、アンテナは運転者の視界を遮らないようにすべきである。
【0027】
そのとき、アンテナシステムは好ましくは、フロントガラスの縁に沿って、典型的には、内側から見えないか、又はほとんど見えないように、Aピラー又は中央ブラケットに沿った内部プラスチックカバーの背後に隠されて配置されるべきである。
【0028】
また、これは好ましくは、外側から見えないか、又はほとんど見えないように、審美性に関係する素子を隠すために古典的に使用される黒いセラミックの背後に配置されるべきである。
【0029】
アンテナシステム又はアンテナシステムの一部は、見えないか、又はほとんど見えないままであれば、他の箇所に配置することもできる。例えば、アンテナ素子は、透明又はほとんど透明な導電材料から作られることができる(コーティング、極細埋込みワイヤのファインメッシュ等)。
【0030】
本発明のその他の利点のほか、適切な成果と発展は、特許請求項及び下記のような図面に関する実施形態の説明文の中から開発される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の特定の実施形態を実施する例である。
図2】本発明の特定の実施形態を実施する例である。
図3】本発明の特定の実施形態を実施する例である。
図4】本発明の特定の実施形態を実施する例である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
疑義が生じないように明記すれば、「外部」及び「内部」という用語は、車両へのガラス嵌め込み時のガラスの向きを指す。
【0033】
同じく疑義が生じないように明記すれば、本発明は自動車、列車、飛行機等のあらゆる交通手段に適用可能である。
【0034】
簡潔にするために、以下の説明の中のガラスシートの番号は、ガラスについて従来使用されている番号付与方式に関する。それゆえ、ガラスの、車両の外の環境と接触する面はサイド1と呼ばれ、内側媒質、すなわち車室と接触する表面はフェース2と呼ばれる。合わせガラスの場合、車両の外部環境と接触するガラスシートはサイド1と呼ばれ、内側部分、すなわち車室と接触する表面はフェース4と呼ばれる。
【0035】
図1a及び1bは、本発明の実施形態を表す。アンテナ素子1は単一バンドの共平面導波路(CPW)3により給電される、PIFA(板状逆F型アンテナ:Planar Inverted F Antenna)アンテナである。放射素子2は、例えば導電材料の細いストリップ(金属膜又は細いワイヤとすることができる)で製作される。給電構造3はCPW構造であり、接地素子(11)を通り、これは最も近いガラス縁(19)と略平行である。
【0036】
アンテナ素子1は、合わせガラスにおいて、特にフロントガラスにおいて実装されてよい。ガラスは、例えば外側ガラスシート(15)は2.1mm厚さ、内側ガラスシート(13)は1.6mm厚さの2枚のガラスシートが、例えばポリビニルブチラールで作られた0.76mmの熱可塑性シート(14)によって結合されたものを含むことができる。本発明によれば、アンテナ素子1は運転者の視野の外に、特に隠された領域に与えられる。放射素子(2)、接地素子(11)、及び給電構造(3)を含む導電材料(8)は、接着剤層(16)によってガラスに接着され、任意選択により、例えば何れかの薄いプラスチックシートで作られた保護層(17)でカバーされる。
【0037】
同軸ケーブル用コネクタ9は、同軸ケーブル10と給電構造(3)との間の移行部を形成するために使用される。コネクタ(9)は、同軸ケーブル(10)の内部導体を給電構造(3)に接続し、同軸ケーブル(10)の外部導体を接地素子(11)に接続する。
【0038】
この特定のケースにおいて、アンテナ素子1は好ましくは、P4とも呼ばれるフェース4に配置すべきである。なぜなら、コネクタ9はその厚さのため(つまり、厚すぎるため)積層させることができないからである。この場合、コネクタ9は、車の内部のプラスチックカバー(Aピラー又は中央ブラケット)の背後に隠されるべきである。
【0039】
図2に示される本発明の他の実施形態によれば、寄生素子4を備える平面CPW給電(3)アンテナが使用され得る。少なくとも1つの寄生素子4を主要放射素子2の付近に追加することにより、用途による要求事項に応じて放射パターンを整形するか、又は追加の共鳴を生成して、マルチバンド挙動を提供することができる。この少なくとも1つの寄生素子4は、主要放射素子2(それに接続されていない)から電気的に絶縁される。少なくとも1つの寄生素子4は導電材料で製作され、これは主要放射素子2と同じ種類とすることも異なる種類とすることもできる。
【0040】
図3に示され、平面折り畳み式モノポールアンテナを表す本発明の他の実施形態によれば、給電構造3は、放射素子(2)と接地素子、又はその延長部(12)との間のギャップ(18)として実装されてよい。
【0041】
本発明の他の実施形態によれば、図4a及び4bに示されるように、スロット(5)が使用されてよい。これらの例において、スロットはそれぞれ、放射素子(2)又は、接地素子(11)若しくはその延長部(12)にエッチング加工される。図4aが示すCPW給電PIFAアンテナは、主要放射素子(2)にエッチングされた、アンテナインピーダンスを調整するか、又は新しい共鳴を生成して新しい周波数バンドを開くためのスロット(5)を有する。図4bでは、スロット(5)は接地素子(11)の延長部(12)にエッチング加工され、主要放射源として使用される。
【0042】
本発明のある実施形態によれば、コネクタ、センサ等の審美的に好ましくない全ての素子を遮蔽するために一般的に使用される黒色エナメルがフェース2上に提供されてよい。エナメル又は何れのマスキングバンドがフェース2及び/又はフェース3及び/又はフェース4に提供されてもよいと理解されたい。
【0043】
この実施形態はフロントガラス、すなわち合わせガラスに関係しているが、側面、後面等の1枚のガラスペーンとして作られるガラスに適用できる。
【0044】
本発明によるアンテナ素子(1)は、赤外線遮断ガラス等の被覆ガラス又は加熱被覆ガラスとも、及び加熱ワイヤ入りガラスとも両立できる。どちらのガラスもよく知られ、今日一般的に使用されているが、これらはアンテナ素子の効率の障害となるかもしれない。したがって、好ましい実施形態においては、金属コーティングを含むガラスに適用する場合、このコーティングはアンテナ素子の直上のガラス領域において部分的に剥離されることができる。この局所的な剥離により、アンテナ性能のほとんどを回復できる。より好ましい実施形態において、剥離面は、剥離された細い交差線の連続体で製作される通常のグリッドの形態をとることができる。グリッドの平行線間の間隔は波長より小さく、好ましくは波長の4分の1より小さくすべきである。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】