特表 2022-539535 スキンケア用組成物

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公表特許公報(A)

(11)【公表番号】

(43)【公表日】2022-09-12

(54)【発明の名称】スキンケア用組成物

(51)【国際特許分類】

   A61K 38/00 20060101AFI20220905BHJP

   A61Q 19/00 20060101ALI20220905BHJP

   A61K 8/64 20060101ALI20220905BHJP

   A61K 8/25 20060101ALI20220905BHJP

   A61K 8/72 20060101ALI20220905BHJP

   A61K 47/10 20060101ALI20220905BHJP

【ＦＩ】

A61K38/00

A61Q19/00

A61K8/64

A61K8/25

A61K8/72

A61K47/10

【審査請求】未請求

【予備審査請求】未請求

(21)【出願番号】P 2021576985

(86)(22)【出願日】2020-07-03

(85)【翻訳文提出日】2021-12-24

(86)【国際出願番号】 DK2020050202

(87)【国際公開番号】W WO2021001006

(87)【国際公開日】2021-01-07

(31)【優先権主張番号】PA201970435

(32)【優先日】2019-07-03

(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK

(81)【指定国・地域】

(71)【出願人】

【識別番号】500085884

【氏名又は名称】コロプラスト アクティーゼルスカブ

(74)【代理人】

【識別番号】100099759

【弁理士】

【氏名又は名称】青木 篤

(74)【代理人】

【識別番号】100123582

【弁理士】

【氏名又は名称】三橋 真二

(74)【代理人】

【識別番号】100123593

【弁理士】

【氏名又は名称】関根 宣夫

(74)【代理人】

【識別番号】100208225

【弁理士】

【氏名又は名称】青木 修二郎

(74)【代理人】

【識別番号】100217179

【弁理士】

【氏名又は名称】村上 智史

(72)【発明者】

【氏名】アネ カトリーネ カデンホーイ スロト オウアゴー

(72)【発明者】

【氏名】アドミラ モース

(72)【発明者】

【氏名】クレスチャン ホフマン

(72)【発明者】

【氏名】モーニカ ラモス ガレゴ

【テーマコード（参考）】

4C076

4C083

4C084

【Ｆターム（参考）】

4C076BB31

4C076CC18

4C076CC19

4C076EE03

4C076EE23

4C076EE48

4C083AA111

4C083AA112

4C083AB431

4C083AB441

4C083AB442

4C083AD022

4C083AD411

4C083AD412

4C083CC02

4C083EE13

4C084AA02

4C084BA03

4C084CA13

4C084MA05

4C084MA63

4C084NA05

4C084NA14

4C084ZA891

4C084ZA892

(57)【要約】

少なくとも１重量％のジャガイモタンパク質と、２０～７０重量％の量で極性若しくは非極性ポリマー又はコポリマーを含む第１の結合剤と、２０～８０重量％の固体とを含むスキンケア用組成物。スキンケア用組成物は、ストーマアウトプット中の酵素と相互作用し、それによって酵素活性を低下させることが可能である。

【特許請求の範囲】

【請求項1】

少なくとも１５重量％のジャガイモタンパク質と、２５～５０重量％の量で極性若しくは非極性ポリマー又はコポリマーを含む第１の結合剤と、２０～６０重量％の、クレーを含む固体とを含むスキンケア用組成物であって、ジャガイモタンパク質、クレー、及び他の固体の総含量が、５０～７５重量％の範囲である、スキンケア用組成物。

【請求項2】

前記組成物が、１５～６０重量％、例えば、２０～５０重量％、例えば、２５～４０重量％或いは２５～３５重量％のジャガイモタンパク質を含む、請求項１に記載のスキンケア用組成物。

【請求項3】

前記組成物が、前記組成物の２０～４０重量％の量で少なくとも１つの結合剤を含む、請求項１又は２に記載のスキンケア用組成物。

【請求項4】

前記組成物が、前記第１の結合剤と異なる分子量を有する第２の結合剤を含む、請求項１～３のいずれか一項に記載のスキンケア用組成物。

【請求項5】

前記クレーが、好ましくは、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト及びヘクトライトからなる群から選択されるスメクタイトクレーである、請求項１～４のいずれか一項に記載のスキンケア用組成物。

【請求項6】

前記クレーが、ヘクトライト型スメクタイトクレー、好ましくは、ラポナイト、より好ましくは、ＣＡＳ番号５３３２０－８６－８、ＣＡＳ番号６４０６０－４８－６を有するもの又はそれらの組合せ、好ましくは、ラポナイトＲＤ又はラポナイトＸＬ２１である、請求項１～５のいずれか一項に記載のスキンケア用組成物。

【請求項7】

前記固体が、ジャガイモデンプン又はタルクを含む、請求項１～６のいずれか一項に記載のスキンケア用組成物。

【請求項8】

ストーマ周囲環境における、請求項１～７のいずれか一項に記載のスキンケア用組成物の使用。

【請求項9】

酵素活性、特にトリプシン活性を低下させるための、請求項８に記載の使用。

【請求項10】

請求項１～７のいずれか一項に記載のスキンケア用組成物を含むストーマ器具。

【請求項11】

請求項１～７のいずれか一項に記載のスキンケア用組成物を含むストーマ器具用面板。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

ストーマアウトプット（ｓｔｏｍａｌ ｏｕｔｐｕｔ）中の酵素活性を低下させることが可能なスキンケア用組成物が提供される。

【背景技術】

【0002】

ストーマ患者は、ストーマ周囲皮膚の損傷を治療又は予防するためのスキンケア用組成物を使用することが多い。スキンケア用組成物は、ストーマ器具中に組み込まれてもよく、又は例えば、ローション、クリーム若しくはゲルの形態の別個の組成物として使用されてもよい。

【0003】

ストーマアウトプットは、皮膚を損傷することが知られている酵素を含有する。これらの酵素は、酵素と相互作用し、それによって酵素活性を低下させる組成物によって対処され得る。例えば、化合物と相互作用することによって酵素が混合物から除去されるプロセスにおいて、これらの酵素は、皮膚損傷を引き起こすことができない。

【0004】

ストーマ周囲領域は、患者の運動による機械的ストレス並びに汗及び体温を特徴とする。さらに、ストーマアウトプットは、高い酵素活性を有する環境を提供する。スキンケア用組成物は、良好なスキンケア特性を維持しながら、このような環境因子に対処するように配合されるべきである。さらに、スキンケア用組成物は、アウトプット中の酵素濃度を増加させ得る水の過剰な吸収を避けるべきである。

【発明の概要】

【課題を解決するための手段】

【0005】

したがって、少なくとも１５重量％のジャガイモタンパク質と、２０～５０重量％の量で極性若しくは非極性ポリマー又はコポリマーを含む第１の結合剤と、２０～６５重量％の固体とを含むスキンケア用組成物であって、ジャガイモタンパク質、クレー、及び他の固体の総含量が、５０～７５重量％の範囲である、スキンケア用組成物が提供される。

【0006】

ストーマ周囲環境における、本明細書に定義されるスキンケア用組成物の使用も提供される。スキンケア用組成物の特定の使用は、ストーマアウトプット中の酵素活性、特に、トリプシン活性を低下させるためのものである。

【0007】

皮膚損傷及び／又は浸軟を予防するための方法が提供される。ストーマアウトプット中の酵素活性を低下させるための方法が提供される。

【0008】

本明細書に定義されるスキンケア用組成物を含むストーマ器具も提供される。本明細書に定義されるスキンケア用組成物を含むストーマ器具用面板が提供される。

【発明を実施するための形態】

【0009】

したがって、実施形態において、
ａ．少なくとも１重量％のジャガイモタンパク質と、
ｂ．２０～７０重量％の量で極性若しくは非極性ポリマー又はコポリマーを含む第１の結合剤と、
ｃ．２０～６５重量％の、クレーを含む固体と
を含むスキンケア用組成物が提供される。

【0010】

ストーマアウトプット又は水に曝されると、クレーは、スキンケア用組成物から周囲へと洗い流され、そこで、クレーは、ストーマアウトプットからの酵素と相互作用し、それによって酵素活性を低下させ得る。

【0011】

スキンケア用組成物を設計する際、本発明者らは、（ａ）組成物のテクスチャ；（ｂ）水分と接触した際の組成物の膨張（膨潤）；（ｃ）組成物からのクレーの放出；及び（ｄ）組成物の酵素活性低下効果の複数の特性のバランスを取ることが必要であることを見出した。これらの特性は全て、組成物中のジャガイモタンパク質及びクレーの量によって影響される。

【0012】

本発明者らは、許容されるテクスチャを得るために、ジャガイモタンパク質、クレー、及び他の固体の総含量が、５０～７５％（ｗ／ｗ）の範囲であるべきであることを見出した。５０％（ｗ／ｗ）未満では、過度に柔らかく、流動性の組成物が得られた一方、７５％（ｗ／ｗ）超では、硬すぎる組成物が得られた。

【0013】

本発明者らはさらに、最小の２０％（ｗ／ｗ）のクレーが、所望の酵素活性低下を達成するのに有益であったことを見出した。より多いクレーを加えることは、酵素活性低下を増加させ得るが、水分に曝されたときの組成物の膨潤の増加のため、問題となった。この望ましくない膨潤に対処するために、本発明者らは、ジャガイモタンパク質に目を向けた。ジャガイモタンパク質を加えることにより、酵素低下活性を損なわずに組成物の膨潤を制御することが可能になったことが意外にも見出された。実際に、ジャガイモタンパク質が、クレーによって引き起こされる膨潤を抑制しただけでなく、組成物からのクレーのよりゆっくりとした及びより安定した放出にも寄与し、組成物の酵素低下活性のより良好な制御をもたらしたことが意外にも見出された。態様において、本発明は、少なくとも１５重量％のジャガイモタンパク質と、２５～５０重量％の量で極性若しくは非極性ポリマー又はコポリマーを含む第１の結合剤と、２０～６０重量％の、クレーを含む固体とを含むスキンケア用組成物であって、ジャガイモタンパク質、クレー、及び他の固体の総含量が、５０～７５重量％の範囲である、スキンケア用組成物に関する。

【0014】

実施形態において、スキンケア用組成物は、ストーマ装具への適用を可能にするテクスチャを有し、そこで、組成物は、貯蔵中に流動せずに所定の場所に留まり得るが、同時に、ストーマアウトプットに曝されたとき、浸食され、ジャガイモタンパク質及び任意に固体が、洗い流されることが可能である。実施形態において、組成物は、層又はコーティングなどの所望の形態へと組成物が成形されることを可能にするが、器具の移動に追従するのに十分にまだ柔らかい生地のようなテクスチャを有する。粉末／粒子及び１つ以上の結合剤の混合物を有する場合、得られる組成物の離漿を避けることは難題である。離漿は、チーズ製造における乳清の分離のように、静置した際にゲルが接触して液体を滲出させるプロセスである。

【0015】

実施形態において、スキンケア用組成物は、湿潤したときに低い膨張を有する。スキンケア用組成物が、ストーマの近くに位置する場合、ストーマアウトプットへの曝露の際の組成物の大きな膨張が、ストーマに対する望ましくない圧力を生じさせ得る。組成物におけるジャガイモタンパク質の存在は、組成物の湿潤を遅らせ、それによって組成物が洗い流されるまでの時間を増加させ得る。さらに、ジャガイモタンパク質が存在する場合、クレーの膨潤は、よりゆっくりと進行し得る。

【0016】

スキンケア用組成物は、好適には非接着性であるため、ストーマ器具の他の構成要素に干渉又は接着しない。

【0017】

実施形態において、凝集性であり、離漿しにくいか又は貯蔵中に流動し得るテクスチャを有し、ストーマアウトプットの吸収中に限られた膨張を示し、ジャガイモタンパク質及びクレーが、着用時間中に洗い流されることがなお可能である組成物を得ることが望ましい。これらの特性を有する組成物を設計することは、微妙なバランスである。

【0018】

「アウトプット」とは、ストーマからの流出物を意味し、それは、程度の差はあるが粘性形態の糞便及び／又は尿であり、消化管の上皮層から分泌されるムチンを伴う可能性がある。コロストミーの場合、アウトプットは、完全に固体であり得る一方、イレオストミーは、より液状のアウトプットを生成し得る。アウトプットは、皮膚に対して侵襲性であり得、ひいては皮膚の浸軟及び接触皮膚炎を引き起こし得る酵素及び他の成分を有する消化液を含有し得る。アウトプットは、ストーマ器具自体を侵襲し、分解し得る成分、例えば付着物も含み得る。

【0019】

ジャガイモタンパク質とは、本明細書において、ジャガイモ塊茎（ソラヌム・ツベロスム（Ｓｏｌａｎｕｍ ｔｕｂｅｒｏｓｕｍ））から得られるタンパク質を意味する。ジャガイモタンパク質は、ジャガイモから抽出され、様々な分子量の画分へと分画される。低分子量の画分は、酵素と相互作用し、それらの活性を低下させることが可能なジャガイモタンパク質を含有する。ジャガイモタンパク質は、酵素、特に、ストーマアウトプット中に存在することが多く、そこで皮膚の損傷を引き起こし得、発赤、かゆみ及び不快感などの合併症を引き起こす酵素であるトリプシンと相互作用することが可能である。

【0020】

スキンケア用組成物は、１５～６０重量％、例えば、２０～５０重量％、例えば、２５～４０重量％或いは２５～３５重量％又は２５～４５重量％、例えば、３０～４５重量％のジャガイモタンパク質を含み得る。実施形態において、組成物中の粒子の総量（ジャガイモタンパク質、クレー及び他の固体の合わせた量）の少なくとも４０重量％を、ジャガイモタンパク質が占める。

【0021】

ジャガイモタンパク質は、湿潤したときにほとんど又は全く膨張を示さず、したがってスキンケア用組成物の膨潤／膨張を生じさせない。

【0022】

「固体」とは、本明細書において、充填剤、安定剤などの、固体の性質を有する１つ以上の成分を意味する。スキンケア用組成物は、少なくとも１つの固体を含む。固体は、組成物のテクスチャ、安定性を調整するのに役立ち得るだけでなく、ストーマアウトプットと接触したときに浸食される組成物の能力に影響を与え得る。実施形態において、固体は、クレーを含む。クレーは、粒子状のフィロシリケート材料である。クレーは、荷電アルモシリケート（ａｌｕｍｏｓｉｌｉｃａｔｅ）層及び層間カチオンを含み得る。クレーは、組成物の２０～８０重量％、例えば、２０～６５重量％、例えば、２０～５０重量％、例えば、２０～４０重量％の量で、又は２５～７０重量％、例えば、２５～７０重量％、好ましくは、２５～６０重量％、より好ましくは、３０～５０重量％の量で存在し得る。クレーは、好適には、スメクタイトクレー、好ましくは、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト及びヘクトライトからなる群から選択されるものである。クレーは、ヘクトライト型スメクタイトクレー、好ましくは、ラポナイト、好適には、ＣＡＳ番号５３３２０－８６－８、ＣＡＳ番号６４０６０－４８－６を有するもの又はそれらの組合せであり得る。化学用語では、クレーは、好適には、ケイ酸リチウムマグネシウムナトリウム又はフルオロケイ酸ナトリウムマグネシウムである。

【0023】

ラポナイトＲＤは、化粧品原料国際命名法（ＩＮＣＩ）の名称であるケイ酸リチウムマグネシウムナトリウムのＢＹＫファミリーに属し、それには、ラポナイトＸＬＧ及びＤも含まれる。ラポナイトＲＤの実験式は、Ｎａ^＋ _０．７［（Ｓｉ_８Ｍｇ_５．５Ｌｉ_０．３）Ｏ_２０（ＯＨ）_４］^－０．７である。

【0024】

ラポナイトＸＬ２１は、フルオロケイ酸ナトリウムマグネシウム（ＣＡＳ ６４０６０－４８－６）のＩＮＣＩファミリーに属する。この材料は、ヒドロキシル基（ＯＨ^－）に加えてフッ素（Ｆ^－）を含有する。ラポナイトＸＬ２１の実験式は、Ｎａ^＋ _０．７［（Ｓｉ_８Ｍｇ_５．５Ｌｉ_０．３）Ｏ_２０（ＯＨ）_２．５Ｆ_１．５］^－０．７である。

【0025】

実施形態において、固体は、ジャガイモデンプン、タルク、カオリン、フロリジル（ｆｌｏｒｉｓｉｌ）、アルギン酸カルシウム、ヒュームドシリカ、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、ベーキングパウダー、クエン酸、ゼラチン、ブラノーズ（ｂｌａｎｏｓｅ）、マイクロファイバー、ポリマー、例えば、ポリアクリレート、ＰＶＰ、ＰＶＯＨ、ＰＶＡ、ポリオレフィン及びコポリマーを含む。実施形態において、組成物は、２０～８０重量％、例えば、２５～６０重量％、又は２０～３０重量％、又は４０～５０重量％のジャガイモデンプンを含む。

【0026】

実施形態において、ジャガイモタンパク質、クレー及び他の固体の合わせた量は、組成物の５０～７５重量％、例えば、５５～７０重量％を占める。粒子の総量が少なすぎる場合、組成物のテクスチャは、過度に流動性であり得る。粒子の量が多すぎる場合、テクスチャは、過度に硬く、柔軟性がなくなり得る。

【0027】

実施形態において、ジャガイモタンパク質及びクレーの組合せは、湿潤したときに低い膨張を得ることができる。これは、一つには、ジャガイモタンパク質の低い膨張性に起因し得るが、液体がよりゆっくりと組成物に浸透し得るため、クレーの膨潤がジャガイモタンパク質の存在下で遅延されるようであるという効果にも起因し得る。同様に、組成物において使用される他の固体も、湿潤したときに低い膨張を有する。スキンケア用組成物が、ストーマの近くに位置する場合、ストーマアウトプットへの曝露の際の組成物の大きな膨張が、ストーマに対する望ましくない圧力を生じさせ得る。

【0028】

クレーなどの一部の固体も、ストーマアウトプットからの有害な成分と相互作用することが可能であり得る。このような材料は、幅広い化合物と相互作用する固有の能力を有し得、ストーマアウトプットの酵素により特異的に対処するジャガイモタンパク質の効果を補完するものであり得る。

【0029】

ジャガイモタンパク質及びクレーを、スキンケア用組成物中で組み合わせることによって、ストーマアウトプットからの幅広い有害物質と相互作用することが可能な組成物が達成される。クレーは、幅広い有害物質と相互作用することが可能であり得る一方、ジャガイモタンパク質は、酵素と相互作用することが可能である。ストーマアウトプットからのトリプシンなどの酵素は、ストーマ周囲皮膚と接触したときにかなり侵襲性であり得、皮膚の損傷を引き起こし得る。さらに、酵素活性を低下させるためにクレーを単独で用いると、クレーの存在により、スキンケア用組成物の大きな膨張が起こり得る。クレーの少なくとも一部をジャガイモタンパク質で置き換えることによって、低い膨張、良好なテクスチャを有し、アウトプット中の有害物質の活性を低下させることが可能な組成物が提供される。

【0030】

実施形態において、スキンケア用組成物は、安定化特性を有する固体を含む。安定剤は、スキンケア用組成物のテクスチャを安定させることによって離漿を防止し得る。

【0031】

実施形態において、固体は、スキンケア用組成物の浸食をより容易に及び／又はより速く促進する化合物を含む。このような化合物は、スキンケア用化合物からのジャガイモタンパク質及びクレーのより速い又はより有効な浸食を可能にし得る。このような化合物の例は、ベーキングパウダーであり得る。

【0032】

スキンケア用組成物は、少なくとも１つの結合剤をさらに含む。結合剤は、極性及び／又は非極性ポリマー又はコポリマーであり得、２０～７０重量％、例えば、２０～５０重量％、例えば、２５～４０重量％の量で存在し得る。

【0033】

実施形態において、スキンケア用化合物は、スキンケア用組成物の適切なテクスチャ、並びに同時に、ストーマアウトプットと接触した際のジャガイモタンパク質及びクレーの相互作用を確実にするために共同で作用し得る第１及び第２の結合剤を含む。スキンケア用組成物は、固体及び結合剤の比率に応じて、粉末、生地又は流体の形態であり得る。

【0034】

実施形態において、極性結合剤は、室温で流体である化合物を含む。実施形態において、極性結合剤は、グリセロール、ポリグリセロール、エチレングリコールのポリマー若しくはコポリマー及び／又はプロピレングリコールのポリマー若しくはコポリマーを含む。

【0035】

スキンケア用組成物中にある量の極性結合剤を含むことにより、スキンケア用組成物の離漿を防止し得る。実施形態において、極性結合剤は、１０～７０重量％、例えば、１０～５０重量％、例えば、２０～４０重量％の量でスキンケア用組成物中に存在する。

【0036】

実施形態において、スキンケア用組成物は、室温で流体である非極性結合剤を含む。非極性結合剤は、ポリオレフィン、例えば、ポリブテン、水添ポリブテン、液状イソプレン、ポリα－オレフィン又はワックスであり得る。非極性結合剤は、組成物の１０～７０重量％、例えば、２０～５０重量％、例えば、２０～４０重量％の量で存在し得る。

【0037】

実施形態において、組成物は、第２の結合剤と異なる分子量を有する第１の非極性結合剤を含む。高分子量ポリマーとともに低分子量ポリマーを有すると、スキンケア用組成物の離漿が防止され得る。

【0038】

特定の一態様において、スキンケア用組成物は、以下の組成：
ａ．１０～５０重量％のジャガイモタンパク質と；
ｂ．２５～５０重量％の非極性結合剤と；
ｃ．３５～５０重量％の固体と
を含み；
ここで、前記ジャガイモタンパク質、非極性結合剤は、上に定義されるとおりである。別の特定の態様において、スキンケア用組成物は、以下の組成：
ａ．２０～４０重量％のジャガイモタンパク質と；
ｂ．２５～４５重量％の、クレーの形態の固体と；
ｃ．２５～４０重量％の第１の非極性結合剤と；
ｄ．１～５重量％の第２の非極性結合剤と
を含み；
ここで、前記ジャガイモタンパク質、クレー、第１の結合剤及び第２の結合剤は、上に定義されるとおりである。

【0039】

実施形態は、２５～４５重量％のジャガイモタンパク質と；２０～５０重量％の量で極性若しくは非極性ポリマー又はコポリマーを含む第１の結合剤と；２０～４０重量％の、クレーを含む固体とを含むスキンケア用組成物を提供する。

【0040】

実施形態は、５０～７５重量％の合わせた量のジャガイモタンパク質及び固体を組成物中に含み、２５～４５重量％のジャガイモタンパク質；２０～５０重量％の量で極性若しくは非極性ポリマー又はコポリマーを含む第１の結合剤と；２０～４０重量％の、クレーを含む固体とを含むスキンケア用組成物を提供する。

【0041】

スキンケア用組成物は、表１に列挙される以下の組成物ａ～ｆのうちの１つを有し得る。

【0042】

【表1】

【0043】

ストーマ周囲環境における、本明細書に記載されるスキンケア用組成物の使用も提供される。スキンケア用組成物は、酵素活性、特にトリプシン活性を低下させるのに使用される。記載されるように、ジャガイモタンパク質及びクレーの粒子は、スキンケア用組成物から洗い流され、酵素と相互作用し得る。

【0044】

アウトプット中の酵素活性を低下させるための方法が提供される。この方法は、本明細書に定義されるスキンケア用組成物を提供する工程と、スキンケア用組成物を、ストーマ周囲皮膚及び／又はストーマウエハーに適用する工程とを含む。これにより、スキンケア用組成物は、組成物と接触し得るストーマアウトプット中の酵素活性を低下させるようにされる。

【0045】

皮膚損傷及び／又は浸軟を予防するための方法が提供される。この方法は、本明細書に定義されるスキンケア用組成物を提供する工程と、スキンケア用組成物を、ストーマ周囲皮膚及び／又はストーマウエハーに適用する工程とを含む。これにより、スキンケア用組成物は、ストーマ周囲皮膚と接触し得るあらゆるストーマアウトプット中の酵素活性を低下させ、それによってアウトプットの侵襲性を低下させ、皮膚損傷を防止するようにされる。

【0046】

本明細書に記載されるスキンケア用組成物を含むストーマ器具、並びに本明細書に記載されるスキンケア用組成物を含むストーマ器具用面板も提供される。

【実施例】

【0047】

以下の表２に開示されるスキンケア用組成物が混合される。組成物は、生地のようなテクスチャ、低い膨張／膨潤を有し、離漿の兆候がなく、良好な凝集を示す。ストーマアウトプットに曝されるとき、アウトプット中の酵素活性の低下が達成される。

【0048】

【表2】

【国際調査報告】