(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-12
(54)【発明の名称】仮想現実ゲーム及び生体信号センサー基盤の前庭眼反射の評価及び再活装置
(51)【国際特許分類】
A61H 1/00 20060101AFI20220905BHJP
A61B 3/113 20060101ALI20220905BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20220905BHJP
A61F 11/00 20220101ALI20220905BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20220905BHJP
A63F 13/25 20140101ALI20220905BHJP
A63F 13/211 20140101ALI20220905BHJP
A63F 13/212 20140101ALI20220905BHJP
A63F 13/79 20140101ALI20220905BHJP
A63F 13/45 20140101ALI20220905BHJP
【FI】
A61H1/00
A61B3/113
A61B5/11 200
A61B5/11 310
A61F11/00
G06F3/01 510
A63F13/25
A63F13/211
A63F13/212
A63F13/79
A63F13/45
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577014
(86)(22)【出願日】2020-06-25
(85)【翻訳文提出日】2022-02-02
(86)【国際出願番号】 KR2020008255
(87)【国際公開番号】W WO2020262973
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】10-2019-0075599
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0116774
(32)【優先日】2019-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510273880
【氏名又は名称】コリア ユニバーシティ リサーチ アンド ビジネス ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】KOREA UNIVERSITY RESEARCH AND BUSINESS FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186716
【氏名又は名称】真能 清志
(72)【発明者】
【氏名】ラー ユンチャン
【テーマコード(参考)】
4C038
4C046
4C316
5E555
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VB02
4C038VB04
4C038VC20
4C046AA33
4C046AA45
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4C316AA21
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5E555AA64
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5E555BA20
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5E555BC04
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5E555DD06
5E555DD07
5E555EA22
5E555EA25
5E555FA00
(57)【要約】
本発明は、仮想現実基盤の前庭眼反射の評価及び再活装置に関するものであって、これは、仮想現実ゲーム及び生体信号センサー基盤の前庭眼反射の評価及び再活装置は、ヘッドマウントディスプレイ装置に付着または設けられた視線追跡器と慣性測定センサーとを用いて患者の頭の動きと眼球の動きとをセンシング及び通報する生体信号センシング部;VOR機能評価が要請されれば、VOR機能評価のためのゲームを構成及び提供した後、視線追跡器と慣性測定センサーとのセンシング結果から頭に対する眼球移動比率を算出及び定量化してVOR利得を獲得するVOR機能評価部;再活運動が要請されれば、患者のVOR利得に基づいて再活ゲームの種類と順序、再活レベルを決定する患者カスタマイズド制御部;及び再活ゲームの種類と順序とによって円滑追従運動、断続運動、VOR再活運動、増幅VOR再活運動、及び抑制VOR再活運動のうち少なくとも1つのためのゲームを構成及び提供するが、再活レベルによってゲーム難易度を決定する再活ゲーム提供部;を含みうる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想現実ゲーム及び生体信号センサー基盤の前庭眼反射の評価及び再活装置において、
ヘッドマウントディスプレイ装置に付着または設けられた視線追跡器と慣性測定センサーとを用いて患者の頭の動きと眼球の動きとをセンシング及び通報する生体信号センシング部と、
VOR機能評価が要請されれば、VOR機能評価のためのゲームを構成及び提供した後、前記視線追跡器と前記慣性測定センサーとのセンシング結果から頭に対する眼球移動比率を算出及び定量化してVOR利得を獲得するVOR機能評価部と、
再活運動が要請されれば、前記患者のVOR利得に基づいて再活ゲームの種類と順序、再活レベルを決定する患者カスタマイズド制御部と、
前記再活ゲームの種類と順序とによって円滑追従運動、断続運動、VOR再活運動、増幅VOR再活運動、及び抑制VOR再活運動のうち少なくとも1つのためのゲームを構成及び提供するが、前記再活レベルによってゲーム難易度を決定する再活ゲーム提供部と、
を含むことを特徴とする、仮想現実基盤の前庭眼反射の評価及び再活装置。
【請求項2】
前記患者カスタマイズド制御部は、
再活運動が行われる間に、前記再活ゲーム提供部のゲーム結果を考慮して、前記再活ゲームの種類と順序、再活レベルを随時調整する機能をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の仮想現実基盤の前庭眼反射の評価及び再活装置。
【請求項3】
前記VOR機能評価部は、
視線は画面の視線目標を注視し、既定の角度及び速度で頭の回転を誘発するゲームを構成及び提供して、VORを誘導することを特徴とする、請求項1に記載の仮想現実基盤の前庭眼反射の評価及び再活装置。
【請求項4】
前記再活ゲーム提供部は、
円滑追従運動が要請されれば、視線を定められた速度で柔らかに移動する視線目標を視線追跡させるゲームを構成及び提供した後、視線目標に対する眼球移動比率を算出及び分析してゲームをクリアしたか否かを決定することを特徴とする、請求項1に記載の仮想現実基盤の前庭眼反射の評価及び再活装置。
【請求項5】
前記再活ゲーム提供部は、
断続視線運動が要請されれば、視線を1箇所から他の箇所に瞬間移動する視線目標を視線追跡させるゲームを構成及び提供した後、視線目標に対する眼球移動比率を算出及び分析してゲームをクリアしたか否かを決定することを特徴とする、請求項1に記載の仮想現実基盤の前庭眼反射の評価及び再活装置。
【請求項6】
前記再活ゲーム提供部は、
VOR再活運動が要請されれば、視線を固定させたまま頭のみを既定の角度と速度とで回転させるゲームを構成及び提供した後、視線目標に対する眼球移動比率を算出及び分析してゲームをクリアしたか否かを決定することを特徴とする、請求項1に記載の仮想現実基盤の前庭眼反射の評価及び再活装置。
【請求項7】
前記再活ゲーム提供部は、
増幅VOR再活運動が要請されれば、既定の角度と速度との頭の運動を誘発しながら、視線目標は、頭の回転に比べて一定比率以上さらに回転させてさらに大きな範囲の眼球の運動を誘発するゲームを構成及び提供した後、視線目標に対する眼球移動比率を算出及び分析してゲームをクリアしたか否かを決定することを特徴とする、請求項1に記載の仮想現実基盤の前庭眼反射の評価及び再活装置。
【請求項8】
前記再活ゲーム提供部は、
抑制VOR再活運動が要請されれば、既定の角度と速度との頭の運動を誘発しながら、視線目標は、頭の回転に比べて一定比率で少なく回転するように抑制する眼球の運動を誘発するゲームを構成及び提供した後、視線目標に対する眼球移動比率を算出及び分析してゲームをクリアしたか否かを決定することを特徴とする、請求項1に記載の仮想現実基盤の前庭眼反射の評価及び再活装置。
【請求項9】
前記再活ゲーム提供部は、
患者の集中度をモニタリングするが、集中度が既定値以上落ちれば、注意力換気用情報を追加生成及び提供する機能をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の仮想現実基盤の前庭眼反射の評価及び再活装置。
【請求項10】
前記再活ゲーム提供部は、
視線目標の移動速度、頭の回転速度、背景画面の移動速度のうち少なくとも1つを通じてゲーム難易度を調整することを特徴とする、請求項1に記載の仮想現実基盤の前庭眼反射の評価及び再活装置。
【請求項11】
被検査者の着席及び回転を支援する回転椅子をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の仮想現実基盤の前庭眼反射の評価及び再活装置。
【請求項12】
前記VOR機能評価部は、
暗視野の提供のための検査画面を生成して、前記ヘッドマウントディスプレイ装置を通じて再生した後、前記視線追跡器と前記慣性測定センサーとのセンシング結果から頭の回転に対する眼球の回転比率を算出及び定量化してVOR利得と非対称比率とのうち少なくとも1つを算出及び提供する機能をさらに含むことを特徴とする、請求項11に記載の仮想現実基盤の前庭眼反射の評価及び再活装置。
【請求項13】
前記VOR機能評価部は、
既定の頭の回転と眼球の回転とを誘導する検査画面を生成及び提供した後、前記視線追跡器と前記慣性測定センサーとのセンシング結果から頭の回転に対する眼球の回転比率を算出及び定量化してVOR利得と非対称比率とのうち少なくとも1つを算出及び提供する機能をさらに含むことを特徴とする、請求項11に記載の仮想現実及び生体信号センサー基盤の前庭眼反射の機能評価装置。
【請求項14】
前記VOR機能評価部は、
既定の頭の回転と眼球の回転とを誘導する検査画面を構成及び提供するが、頭の回転に対する眼球の回転比率、頭と眼球との回転角度と速度とを多段調整することができることを特徴とする、請求項11に記載の仮想現実及び生体信号センサー基盤の前庭眼反射の機能評価装置。
【請求項15】
前記VOR機能評価部は、
頭の回転角度に対する眼球の回転角度から回転角度基盤の利得を算出し、最大頭の回転角速度に対する最大眼球の回転角速度から最大回転角速度基盤の利得を算出し、最大頭の回転角加速度に対する最大眼球の回転角加速度から最大回転角加速度基盤の利得を算出した後、前記回転角度基盤の利得、前記最大回転角速度基盤の利得、前記最大回転角加速度基盤の利得のうち少なくとも1つを前記VOR利得として選択及び提供することを特徴とする、請求項11に記載の仮想現実及び生体信号センサー基盤の前庭眼反射の機能評価装置。
【請求項16】
前記VOR機能評価部は、
「
」の式によって非対称比率を算出し、前記回転程度は、回転角度、回転角速度、回転角加速度のうち何れか1つであることを特徴とする、請求項11に記載の仮想現実及び生体信号センサー基盤の前庭眼反射の機能評価装置。
【請求項17】
前記VOR機能評価部は、
頭の回転が既定の目標周波数内に入らなければ、頭の回転の再試みを要求した後、前庭眼反射の機能評価動作をもう一度さらに行うことを特徴とする、請求項11に記載の仮想現実及び生体信号センサー基盤の前庭眼反射の機能評価装置。
【請求項18】
前記回転椅子は、
前記VOR機能評価部の制御下に自動回転するか、被検査者または検査者によって受動回転することを特徴とする、請求項11に記載の仮想現実及び生体信号センサー基盤の前庭眼反射の機能評価装置。
【請求項19】
VOR機能評価または再活運動のための画面を再生すると共に、ヘッドマウントディスプレイ装置に付着または設けられた視線追跡器と慣性測定センサーとを用いて患者の頭の動きと眼球の動きとをセンシング及び出力する多数の前庭眼反射の評価及び再活装置と、
前記前庭眼反射の評価及び再活装置のそれぞれが提供する情報を患者アカウント別に区分してデータベースに保存し、前記データベースに保存された患者情報を獲得及び分析してVOR利得を評価するか、前記VOR利得に基づいて患者カスタマイズド再活プログラムを構成及び提供する中央制御サーバと、を含み、
前記患者カスタマイズド再活プログラムは、
円滑追従運動、断続運動、VOR再活運動、増幅VOR再活運動、及び抑制VOR再活運動のうち少なくとも1つを仮想現実ゲーム方式で行わせることを特徴とする、仮想現実基盤の前庭眼反射の評価及び再活システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドマウントディスプレイ装置、視線追跡器(eye tracker)、及び慣性測定センサー(IMU sensor)を用いて前庭眼反射の機能を評価し、前庭眼反射の機能に最適化された再活運動を仮想現実ゲーム方式で行えるようにする仮想現実ゲーム及び生体信号センサー基盤の前庭眼反射の評価及び再活装置に関する。
【背景技術】
【0002】
前庭機能のうち、臨床的重要度が最も高い前庭眼反射(Vestibulo‐Ocular Reflex、以下、VORと称する)は、簡単に要約すれば、頭が回転する逆方向に眼球の動きを誘発する機能を言う。VORを通じてヒトを含んだ動物は、頭の動きに関係なく特定地点あるいは物体を持続的に注視させうる。
【0003】
両側内耳に位置する前庭器官の機能が多様な原因で損傷される前庭機能異常が発生する場合、VORに異常が発生して、頭が回転するほど視線が逆方向に回転することができない現象が発生する。
【0004】
このような前庭機能障害は、多様な視線及び頭の回動で構成された前庭再活運動を通じて改善可能である。但し、従来の前庭再活運動は、視線の回転、頭の回転などの動作を単純に繰り返すプログラムで構成されて、容易に興味が落ち、これにより、実際施行比率が非常に低いという短所を有する。
【0005】
従来の前庭再活運動は、前庭機能の減少程度に関係なく同じプログラムを構成及び提供することにより、患者別のカスタマイズド治療が不可能な限界がある。また、再活訓練及び自然回復過程を通じて好転する前庭機能に対する考慮なしに、同じプログラムを持続して提供することにより、治療の効率性が落ちるという問題もある。
【0006】
一方、前庭機能の測定のためには、病院に内院して高価な前庭技能検査を施行しなければならない不便さがあり、別途の前庭機能の測定装置を用いて前庭機能を測定しなければならないので、再活運動中には、前庭機能を測定することができない限界がある。
【0007】
また、感覚対置(substitution)方法として使われる視覚機能訓練も、その機能の好転を評価するためには、病院に内院して高価な既存の測定装備を通じて評価しなければならないので、実質的に再活過程で測定されず、多くの検査コストを別途に負担しなければならない限界を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記問題点を解決するためのものであって、本発明は、ヘッドマウントディスプレイ装置及び視線追跡器、慣性測定センサーを用いて患者のVOR機能をリアルタイムで評価可能にする仮想/拡張現実ゲーム及び生体信号センサー基盤の前庭眼反射の評価及び再活装置を提供することである。
【0009】
そして、患者のVOR機能に最適化された再活運動を仮想現実ゲーム方式で行えるようにする仮想現実ゲーム及び生体信号センサー基盤の前庭眼反射の評価及び再活装置を提供することである。
【0010】
また、一般回転椅子を用いて回転椅子検査動作をいつでもどこでも行えるようにする仮想現実ゲーム及び生体信号センサー基盤の前庭眼反射の評価及び再活装置を提供することである。
【0011】
また、前庭眼反射の検査及び再活が可能な携帯用装備と測定されたデータに基づいて検査結果、カスタマイズド前庭再活プログラムを演算して出力する中央処理装置及び携帯用装備と中央処理装置との間をオンラインネットワークで連結するプラットフォームを提供することである。
【0012】
本発明の目的は、前述した目的に制限されず、言及されていないさらなる目的は、下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するための手段であって、本発明の一実施形態による仮想現実ゲーム及び生体信号センサー基盤の前庭眼反射の評価及び再活装置は、ヘッドマウントディスプレイ装置に付着または設けられた視線追跡器と慣性測定センサーとを用いて患者の頭の動きと眼球の動きとをセンシング及び通報する生体信号センシング部;VOR機能評価が要請されれば、VOR機能評価のためのゲームを構成及び提供した後、前記視線追跡器と前記慣性測定センサーとのセンシング結果から頭に対する眼球移動比率を算出及び定量化してVOR利得を獲得するVOR機能評価部;再活運動が要請されれば、前記患者のVOR利得に基づいて再活ゲームの種類と順序、再活レベルを決定する患者カスタマイズド制御部;及び前記再活ゲームの種類と順序とによって円滑追従運動、断続運動、VOR再活運動、増幅VOR再活運動、及び抑制VOR再活運動のうち少なくとも1つのためのゲームを構成及び提供するが、前記再活レベルによってゲーム難易度を決定する再活ゲーム提供部;を含むことを特徴とする仮想現実基盤の前庭眼反射の評価及び再活装置を提供する。
【0014】
前記患者カスタマイズド制御部は、再活運動が行われる間に、前記再活ゲーム提供部のゲーム結果を考慮して、前記再活ゲームの種類と順序、再活レベルを随時調整する機能をさらに含むことを特徴とする。
【0015】
前記VOR機能評価部は、視線は画面の視線目標を注視し、既定の角度及び速度で頭の回転を誘発するゲームを構成及び提供して、VORを誘導することを特徴とする。
【0016】
前記再活ゲーム提供部は、円滑追従運動が要請されれば、視線を定められた速度で柔らかに移動する視線目標を視線追跡させるゲームを構成及び提供した後、視線目標に対する眼球移動比率を算出及び分析してゲームをクリアしたか否かを決定することを特徴とする。
【0017】
前記再活ゲーム提供部は、断続視線運動が要請されれば、視線を1箇所から他の箇所に瞬間移動する視線目標を視線追跡させるゲームを構成及び提供した後、視線目標に対する眼球移動比率を算出及び分析してゲームをクリアしたか否かを決定することを特徴とする。
【0018】
前記再活ゲーム提供部は、VOR再活運動が要請されれば、視線を固定させたまま頭のみを既定の角度と速度とで回転させるゲームを構成及び提供した後、視線目標に対する眼球移動比率を算出及び分析してゲームをクリアしたか否かを決定することを特徴とする。
【0019】
前記再活ゲーム提供部は、増幅VOR再活運動が要請されれば、既定の角度と速度との頭の運動を誘発しながら、視線目標は、頭の回転に比べて一定比率以上さらに回転させてさらに大きな範囲の眼球の運動を誘発するゲームを構成及び提供した後、視線目標に対する眼球移動比率を算出及び分析してゲームをクリアしたか否かを決定することを特徴とする。
【0020】
前記再活ゲーム提供部は、抑制VOR再活運動が要請されれば、既定の角度と速度との頭の運動を誘発しながら、視線目標は、頭の回転に比べて一定比率で少なく回転するように抑制する眼球の運動を誘発するゲームを構成及び提供した後、視線目標に対する眼球移動比率を算出及び分析してゲームをクリアしたか否かを決定することを特徴とする。
【0021】
前記再活ゲーム提供部は、患者の集中度をモニタリングするが、集中度が既定値以上落ちれば、注意力換気用情報を追加生成及び提供する機能をさらに含むことを特徴とする。
【0022】
前記再活ゲーム提供部は、視線目標の移動速度、頭の回転速度、背景画面の移動速度のうち少なくとも1つを通じてゲーム難易度を調整することを特徴とする。
【0023】
さらに、前記仮想現実基盤の前庭眼反射の評価及び再活装置は、被検査者の着席及び回転を支援する回転椅子をさらに含むことを特徴とする。
【0024】
前記VOR機能評価部は、暗視野の提供のための検査画面を生成して、前記ヘッドマウントディスプレイ装置を通じて再生した後、前記視線追跡器と前記慣性測定センサーとのセンシング結果から頭の回転に対する眼球の回転比率を算出及び定量化してVOR利得と非対称比率とのうち少なくとも1つを算出及び提供する機能をさらに含むことを特徴とする。
【0025】
前記VOR機能評価部は、既定の頭の回転と眼球の回転とを誘導する検査画面を生成及び提供した後、前記視線追跡器と前記慣性測定センサーとのセンシング結果から頭の回転に対する眼球の回転比率を算出及び定量化してVOR利得と非対称比率とのうち少なくとも1つを算出及び提供する機能をさらに含むことを特徴とする。
【0026】
前記VOR機能評価部は、既定の頭の回転と眼球の回転とを誘導する検査画面を構成及び提供するが、頭の回転に対する眼球の回転比率、頭と眼球との回転角度と速度とを多段調整することができることを特徴とする。
【0027】
前記VOR機能評価部は、頭の回転角度に対する眼球の回転角度から回転角度基盤の利得を算出し、最大頭の回転角速度に対する最大眼球の回転角速度から最大回転角速度基盤の利得を算出し、最大頭の回転角加速度に対する最大眼球の回転角加速度から最大回転角加速度基盤の利得を算出した後、前記回転角度基盤の利得、前記最大回転角速度基盤の利得、前記最大回転角加速度基盤の利得のうち少なくとも1つを前記VOR利得として選択及び提供することを特徴とする。
【0028】
前記VOR機能評価部は、「
」の式によって前記非対称比率を算出し、前記回転程度は、回転角度、回転角速度、回転角加速度のうち何れか1つであることを特徴とする。
【0029】
前記VOR機能評価部は、頭の回転が既定の目標周波数内に入らなければ、頭の回転の再試みを要求した後、前庭眼反射の機能評価動作をもう一度さらに行うことを特徴とする。
【0030】
前記回転椅子は、前記制御装置の制御下に自動回転するか、被検査者または検査者によって受動回転することを特徴とする。
【0031】
前記課題を解決するための手段であって、本発明の他の実施形態による仮想/拡張現実基盤の前庭眼反射の評価及び再活システムは、VOR機能評価または再活運動のための画面を再生すると共に、ヘッドマウントディスプレイ装置に付着または設けられた視線追跡器と慣性測定センサーとを用いて患者の頭の動きと眼球の動きとをセンシング及び出力する多数の前庭眼反射の評価及び再活装置;及び前記前庭眼反射の評価及び再活装置のそれぞれが提供する情報を患者アカウント別に区分してデータベースに保存し、前記データベースに保存された患者情報を獲得及び分析してVOR利得を評価するか、前記VOR利得に基づいて患者カスタマイズド再活プログラムを構成及び提供する中央制御サーバ;を含み、前記患者カスタマイズド再活プログラムは、円滑追従運動、断続運動、VOR再活運動、増幅VOR再活運動、及び抑制VOR再活運動のうち少なくとも1つを仮想現実ゲーム方式で行わせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明は、ヘッドマウントディスプレイ装置、視線追跡器、慣性測定センサーを用いて個別患者の前庭眼反射の機能をより簡便かつ容易に評価可能にする。
【0033】
また、仮想現実ゲーム方式の前庭再活運動を行えるようにするが、VOR機能によってゲーム難易度を随時調整させることにより、患者カスタマイズド及び動機付与型前庭再活運動を可能にする。
【0034】
また、前庭眼反射の評価及び再活装置をオンラインネットワークで構成された携帯用装備で構成することにより、前庭機能の検査及び再活の時間的/空間的制約を解消可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の一実施形態による仮想現実基盤の前庭眼反射の評価及び再活装置を示す図面である。
【
図2】本発明の一実施形態による生体信号センシング部の詳細構成を示す図面である。
【
図3】本発明の一実施形態によるVOR機能評価方法を説明する図面である。
【
図4】本発明の一実施形態による再活運動支援方法を説明する図面である。
【
図5】本発明の一実施形態による円滑追従運動を支援するためのゲーム画面の一例を示す図面である。
【
図6】本発明の一実施形態による断続視線運動を支援するためのゲーム画面の一例を示す図面である。
【
図7】本発明の一実施形態によるVOR再活運動を支援するためのゲーム画面の一例を示す図面である。
【
図8】本発明の一実施形態による増幅VOR再活運動を支援するためのゲーム画面の一例を示す図面である。
【
図9】本発明の一実施形態による抑制VOR再活運動を支援するためのゲーム画面の一例を示す図面である。
【
図10】回転椅子基盤の前庭眼反射の評価方法を説明する図面である。
【
図11】本発明の他の実施形態による仮想現実基盤の前庭眼反射の評価及び再活装置を示す図面である。
【
図12】本発明の他の実施形態による前庭眼反射の機能評価方法を説明する図面である。
【
図13】本発明の他の実施形態による仮想現実基盤の前庭眼反射評価のためのテスト画面の一例を示す図面である。
【
図14】本発明のさらに他の実施形態による仮想現実基盤の前庭眼反射の評価及び再活システムを示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の目的及び効果、そして、それらを果たすための技術的構成は、添付図面と共に詳細に後述されている実施形態を参照すると、明確になる。本発明を説明するに当って、公知の機能または構成についての具体的な説明が、本発明の要旨を不明にする恐れがあると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0037】
そして、後述する用語は、本発明での機能を考慮して定義された用語であって、これは、患者、運用者の意図または慣例などによって変わりうる。
【0038】
しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態として具現可能である。単に、本実施形態は、本発明の開示を完全にし、当業者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範疇によって定義される。したがって、その定義は、本明細書の全般に亘った内容に基づいて下されなければならない。
【0039】
図1は、本発明の一実施形態による仮想現実基盤の前庭眼反射の評価及び再活装置を示す図面である。
【0040】
図1に示したように、本発明の前庭眼反射の評価及び再活装置100は、映像を仮想現実方式で再生することができるヘッドマウントディスプレイ装置200と相互連動する生体信号センシング部110、制御装置120、及び操作パネル130などを含む。
【0041】
この際、ヘッドマウントディスプレイ装置200は、制御装置120が提供する各種の画面をVR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(混合現実)、XR(拡張現実)などで再生することにより、被検査者が仮想の映像世界を現実世界であるように体験可能にする。これは、HMD(Head Mounted Display)、グーグルグラス、マイクロソフトホロレンズなどとして具現可能であるが、これに限定されるものではない。
【0042】
生体信号センシング部110は、ヘッドマウントディスプレイ装置に付着または設けられる慣性測定センサー111と視線追跡器112とを含み、これらを通じて患者の頭の動きと眼球の動きとをセンシング及び出力する。
【0043】
制御装置120は、VOR機能評価部121、患者カスタマイズド制御部122、再活ゲーム提供部123、及び通信部124などを含み、これらを通じてVOR機能評価動作と各種の再活運動支援動作とを支援可能にする。
【0044】
VOR機能評価部121は、患者によってVOR機能評価が要請されれば、視線目標を画面中央に位置固定させ、背景画面のみ既定の角度回転するゲーム画面を通じて眼球と頭との動きを同時誘導するゲームを構成及び提供する。そして、生体信号センシング部110のセンシング結果に基づいて頭に対する眼球移動比率を算出及び定量化してVOR利得を獲得及び保存する。
【0045】
参考までに、実際の日常生活中には、前記のような頭の回転と眼球の運動とが同時に起こり、頭の回転と同時に視線目標も多様な方向と速度(角速度、角加速度)とで移動する再活運動が難易度が高いが、最も現実的な再活運動の形態になる。例えば、頭が右側に移動する間に、視線目標が左側に移動するならば、VORに加えて眼球運動計が活性化されなければならないので、2種の機能の加重効果が見られる。逆に、頭が右側に移動する間に、視線目標も右側に移動するならば、頭の回転に対して眼球を同じ方向に逆に移動させるVORが抑制されなければならない。したがって、単純に見えるが、2種の構成は、生理学的に全く異なる機能を評価し、再活する方法になる。
【0046】
これにより、本発明では、VOR機能評価部121を通じて頭と眼球とが同時に動くようにし、この際の移動パターンを比較分析することにより、VOR機能を評価する。
【0047】
患者カスタマイズド制御部122は、再活運動が要請されれば、患者のVOR利得に基づいて、当該患者の再活ゲームの種類と順序、再活レベルを決定する。そして、再活運動が行われる間には、再活ゲーム提供部123のゲーム結果を考慮して再活ゲームの種類と順序、再活レベルを随時調整する。
【0048】
再活ゲーム提供部123は、患者カスタマイズド制御部122によって決定された再活ゲームの種類と順序とによって患者に提供される再活ゲーム種類及び順序を決定し、再活レベルによってゲーム難易度を調整する。この際、ゲーム難易度は、頭の回転、視線目標を含んだ画面の移動範囲及び移動速度(すなわち、角速度、角加速度のうち少なくとも1つ以上)のうち少なくとも1つによって決定され、ゲーム難易度に比例して視線目標または背景画面の移動範囲及び移動速度が増加する。すなわち、患者のそれぞれのVOR利得及び再活運動履歴に基づいて患者状態を把握し、これに基づいて患者状態に最適化された再活ゲームをカスタマイズドで構成及び提供可能にする。
【0049】
参考までに、前庭再活運動としては、移動する目標を柔らかに注視する円滑追従運動(smooth pursuit)、1箇所から他の箇所に視線を迅速に移動する断続視線運動(saccade)、頭の回転と逆方向に比例する大きさと速度とで眼球移動を誘発して特定目標地点を注視できるように誘導するVOR再活運動(VOR)などがある。
【0050】
これと共に、VOR再活運動の効果を増加させるために、頭の回転が起こる時に回転の逆方向に視線目標を頭の回転の大きさあるいは速度よりもさらに回転させる増幅VOR再活運動(augmentation VOR rehabilitation mode)、逆に、頭の回転のような方向に移動する物体を安定して注視するために、頭の回転が起こる時に回転と逆方向への視線目標移動を制限する抑制VOR再活運動(suppression VOR rehabilitation mode)を含む。
【0051】
これにより、本発明では、患者のVOR機能及び目的によって円滑追従運動、断続視線運動、VOR再活運動、増幅VOR再活運動、抑制VOR再活運動のうち少なくとも1つのためのゲームを選択的に構成して提供可能にする。
【0052】
さらに、再活ゲーム提供部123は、患者の集中度をモニタリングし、集中程度が既定値以上落ちれば、注意力換気用情報を追加生成及び提供可能にする。
【0053】
この際、患者の集中度は、視線追跡器112を通じてセンシングされる視覚目標注視頻度、注視時間、目潰しパターンに基づいて類推されるか、ゲーム点数の変化パターン(すなわち、ゲーム点数の急激な下落)から類推される。そして、注意力換気用情報は、視線目標と背景画面の大きさ、色、形態(例えば、恐ろしいイメージまたは知人写真に変化)を変化させる方式、または音刺激方式として具現及び提供されうる。
【0054】
通信部124は、外部装置との通信を支援して、制御装置120を通じて獲得された情報を外部装置に提供するか、外部装置が提供する情報を受信及び保存する。特に、外部装置からVOR機能評価または再活のためのプログラム情報を受信及び設置、またはアップデート可能にする。
【0055】
操作パネル130は、キーボード、マウス、ボタン、スピーカー、モニタなどを備え、これらを通じて各種の制御値を入力されるか、制御装置120の現在駆動状態を視聴覚的に案内可能にする。
【0056】
このように、本発明は、再活運動の正確性と効率性とを増加させ、再活プログラム進行のための人力減縮を実現可能にする。
【0057】
図2は、本発明の一実施形態による生体信号センシング部の詳細構成を示す図面である。
【0058】
図2を参照すれば、生体信号センシング部110は、慣性測定センサー111、視線追跡器112、及び同期化部113などを含む。
【0059】
慣性測定センサー111は、角速度センサー、加速度センサー、重力センサー、羅針盤センサーのうち少なくとも1つを通じて具現され、使用者の頭の動きを3次元的にセンシング及び通報する。
【0060】
視線追跡器112は、虹彩または瞳孔に基づいて眼球の動き(すなわち、視線)をセンシング及び通報する。
【0061】
同期化部113は、使用者の頭の動きと眼球の動きとを時間基準に同期化させて出力する。これは、同一時間基準に使用者の頭の動きの程度と眼球の動きの程度とを比較させるためである。
【0062】
図3は、本発明の一実施形態によるVOR機能評価方法を説明する図面である。
【0063】
もし、患者または医療陣が操作パネル130を通じてVOR機能評価を要請すれば、VOR機能評価部121は、
図3の(a)のように、既定の角度と速度(加速度)との頭の回転を誘導させ、視覚目標物(Target)及び背景画面を含む仮想現実(VR)画面全体が頭の回転の逆方向に回転するゲーム画面を構成及び提供して、患者が自分の視線を視線目標に固定させた状態で多様な方向と速度とで頭の回転を誘導する。
【0064】
VORが正常状態であれば、患者は、
図3の(b)でのように、視線が頭の回転方向の逆方向に同一方向及び大きさに回転しながら、画面中央の視線目標を注視し続ける。
【0065】
しかし、VOR異常状態であれば、患者は、
図3の(c)でのように、視線を頭の移動角度ほど回転することができなくなって、眼球の移動角度と頭の移動角度との間には所定の偏差が発生する。
【0066】
これにより、本発明では、慣性測定センサー111と視線追跡器112とを用いて頭と眼球との移動角度及び移動速度を測定し、頭に対する眼球移動比率(すなわち、VOR利得)に基づいてVOR機能の異常有無、さらにVOR機能の異常程度を把握する。特に、本発明では、移動速度を角速度と角加速度とに区分してVOR利得を把握することにより、より精密なVOR利得算出動作が行われるようにする。
【0067】
【0068】
すなわち、VOR利得(VOR gain)が「1」に近ければ(例えば、0.8以上であれば)、VOR正常状態であることを、「0」に近いほど、VOR異常程度が深刻であることを確認及び通報する。
【0069】
また、このような回動を左側、右側方向にそれぞれ施行すれば、VOR機能が正常である側は、利得が正常に近く測定されるが、VOR機能に異常が発生したならば、利得が減少する。したがって、左側、右側回動による利得を比較すれば、前庭眼反射の機能の非対称を計算することができ、これに基づいてVOR異常が発生した病変側を区別することもできる。それを簡単に数式を要約すれば、下記の通りである。
【0070】
【0071】
図4は、本発明の一実施形態による再活運動支援方法を説明する図面である。
【0072】
まず、VOR利得に基づいて患者に提供される再活ゲームの種類、順序、ゲーム難易度を決定する。すなわち、VOR利得に基づいて患者状態を類推し、患者状態に最適化された再活スケジュールを決定及び保存する(ステップS1)。
【0073】
もし、患者に提供される現在ゲームが円滑追従運動用ゲームであれば(ステップS2)、再活ゲーム提供部123は、
図5でのように、視線目標が定められた速度で柔らかに移動するゲーム画面を構成及び提供しながら、患者が視線目標を継続して視線追跡することを誘導する(ステップS3)。
【0074】
そして、視線追跡器112を用いて眼球の移動角度をセンシングする(ステップS4)。
【0075】
そして、眼球の移動角度と視線目標移動角度と比較して、視線目標に対する眼球移動比率(Oculomotor gain)を算出した後、それを既定のゲーム目標値(例えば、0.8)と比較してゲームをクリアしたか否かを判断する(ステップS5)。
【0076】
そして、患者がゲームクリアするまで当該ゲームを繰り返して提供するが、患者が当該ゲームをゲームクリアすれば、ゲーム結果を反映して再活スケジュールをアップデートした後、次に提供するゲームを確認する(ステップS6)。
【0077】
これにより、患者に提供されるゲームが断続視線運動用ゲームであれば(ステップS7)、再活ゲーム提供部123は、
図6でのように、視線目標が既存の位置から消える瞬間さらに他の位置で表われるようにするゲーム画面を構成及び提供しながら、患者が各視線目標を順に正確に注視することを誘導する(ステップS8)。
【0078】
そして、視線追跡器112を用いて眼球の移動角度をセンシングし(ステップS9)、眼球の移動角度と視線目標移動角度と比較分析して、視線目標に対する眼球移動比率を算出する。そして、視線目標に対する眼球移動比率を既定のゲーム目標値(例えば、0.9)と比較してゲームをクリアしたか否かを判断する(ステップS10)。
【0079】
【0080】
患者が当該ゲームをゲームクリアすれば、ステップS6に進入して、ゲーム進行結果を反映して再活スケジュールをアップデートした後、次のゲームを進行する(ステップS6)。
【0081】
これにより、患者に提供されるゲームがVOR再活運動用ゲームであれば(ステップS11)、再活ゲーム提供部123は、視線目標が既定の角度、速度で頭を回転するゲーム画面を構成及び提供して、患者が自分の視線を視線目標に固定させ、頭の回転を誘導する(ステップS12)。
【0082】
そして、慣性測定センサー111と視線追跡器112とを用いて頭の移動角度と眼球の移動角度とを同時センシングした後(ステップS13)、これらを比較分析して頭に対する眼球移動比率を算出する。そして、頭に対する眼球移動比率に基づいて既定のゲーム目標値(例えば、0.8)と比較してゲームをクリアしたか否かを判断する(ステップS14)。
【0083】
これにより、患者が当該ゲームをゲームクリアすれば、ステップS6に進入して、ゲーム進行結果を反映して再活スケジュールをアップデートするが、あらゆるゲームがクリアされた場合には、再活レベルを1段階を上昇する(ステップS6)。すなわち、VOR利得の以外に再活運動履歴を考慮しても、再活レベルを決定することもできるようにする。
【0084】
さらに、本発明の再活運動支援方法は、
図8及び
図9でのように、増幅VOR再活運動及び抑制VOR再活運動のためのゲームも、追加的に構成及び提供可能にする。
【0085】
まず、
図8でのように、増幅VOR再活運動のために、VOR再活運動と同じ原理でゲーム画面を構成及び提供するが、視線目標の移動程度を増幅して提供する。
【0086】
すなわち、VOR再活運動に対する視線目標が頭の回転と逆方向に一定の比率(1.1倍、1.2倍、1.5倍など)でさらに多く回転するゲーム画面を構成及び提供しながら、この際の眼球と頭との動きを測定及び分析することにより、VOR運動及び視運動機能を評価し、再活させる。
【0087】
また、
図9でのように、抑制VOR再活運動のために、VOR再活運動と同じ原理でゲーム画面を構成及び提供するが、視線目標の移動程度を抑制して提供することもできるようにする。
【0088】
すなわち、視線目標が頭の回転と逆方向に回転する大きさあるいは速度を一定比率(0.9倍、0.8倍、0.5倍など)で減らすゲーム画面を構成及び提供しながら、この際の眼球と頭との動きを測定及び分析することにより、VOR運動及び視運動機能を評価し、再活させる。
【0089】
一方、前庭眼反射の評価動作は、
図10でのように、暗室に設けられた回転椅子に被検査者を着席させた後、椅子を通じて被検査者の身体を直接回転させながら線路状に明‐暗が反復される(rail road stripe)回転する明かりを提供するか(VVOR)、椅子回転によって回転するレーザを提供して、VOR機能を評価する方式で行われることもある。
【0090】
しかし、前記方法は、暗視野の確保のための暗室と回転椅子とを必ず確保しなければならないことにより、システム構築に長時間とコストとがかかるだけではなく、検査場所の移動も非常に難しいという問題が存在する。
【0091】
これにより、本発明では、
図10でのように、別途の暗室を要さず、既存の回転椅子いずれもを活用して、いつでもどこでも前庭眼反射の評価動作を行えるようにする新たな方法を追加的に提案する。
【0092】
図11は、本発明の他の実施形態による仮想現実基盤の前庭眼反射の評価及び再活装置を示す図面である。
【0093】
図11に示したように、本発明の前庭眼反射の評価及び再活装置は、
図1の構成要素110、120、130の以外に回転椅子140をさらに含みうる。
【0094】
回転椅子140は、被検査者の着席及び回転を支援する装置であって、回転自在な一般椅子いずれもとして具現可能である。すなわち、本発明は、従来の自体製作椅子の代わりに、既製品椅子いずれもを活用することができる。
【0095】
また、回転椅子140は、検査者が被検者の頭の回転を誘発するために、直接受動で回転させるか(manual rotation)、被検査者がヘッドマウントディスプレイ装置200を通じて画面表示されるガイドに沿って自分の頭を能動回転させることができる(active rotation)。もちろん、必要に応じて、制御装置120の制御下に座板及び背もたれをモータ基盤で既定の回転角度及び速度で自動回転する方式として具現されることもある。
【0096】
すなわち、本発明は、従来の自体製作椅子を通じて既定の回転パターンを作る方式ではない、慣性測定センサー111を通じて回転パターンを測定させることにより、一般の回転椅子いずれもを活用して前庭眼反射の機能評価動作を行えるようにする。その結果、装置体積及び具現コストを最小化させて携帯性を確保し、検査方式を簡素化できるようにする。
【0097】
但し、ヘッドマウントディスプレイ装置200は、被検査者の目部位に完壁密着されることが望ましいが、これは、外部光の遮断を通じて暗視野状態で前庭眼反射の評価及び再活動作を行えるようにするためである。
【0098】
そうすると、制御装置120内のVOR機能評価部121は、頭の回転に連動して視覚刺激(眼球の回転)を誘導する検査画面を生成してヘッドマウントディスプレイ装置200を通じて再生する。そして、それと同時に、視線追跡器112と慣性測定センサー111とのセンシング結果に基づいて頭に対する眼球の回転比率を算出及び定量化してVOR利得と非対称比率、視覚前庭相互作用、視固定効果を獲得及び提供する。
【0099】
このように、本発明は、慣性測定センサーと視線追跡器とを活用して頭の回転と眼球の回転とをセンシングし、この2種の装備から得られる情報を時間的に統合して分析することにより、頭の回転刺激に対して適切な前庭眼反射が発生して、逆方向の眼球の運動がリアルタイムで適切な角度、角速度、角加速度で発生するか否かを確認する。
【0100】
図12は、本発明の他の実施形態による前庭眼反射の機能評価方法を説明する図面である。
【0101】
まず、被検査者または検査者の要請下に検査モードが決定されれば(ステップS21)、VOR機能評価部121は、検査モードに対応する検査画面を構成した後、それをヘッドマウントディスプレイ装置200を通じて仮想現実方式で再生する(ステップS22)。
【0102】
本発明の検査モードは、基本前庭眼反射(VOR)検査モード、視覚前庭相互作用検査モード(visual Vestibulo‐Ocular Reflex、VVOR)、視覚固定効果検査モード(visual fixation、VFX)に分けることができる。
【0103】
そして、基本前庭眼反射(VOR)検査モードでは、基本的に仮想現実画面を暗く構成し、視線固定になるほど如何なる注視点も表示されない画面を構成して、純粋な前庭眼反射測定を可能にする。すなわち、暗視野の提供のための検査画面を構成及び提供し、当該状態での前庭眼反射測定を可能にする。
【0104】
そして、視覚前庭相互作用検査モード(VVOR)では、現実世界での状況を仮想現実画面下で示す
図13の(a)及び
図13の(b)でのように、多様な比率で頭の回転に対する眼球の回転を調整させる検査画面を構成及び提供して、被検査者が頭の回転に対する増幅された眼球の回転を発生させる。特に、
図13の(a)のように、頭の回転程度と眼球の回転程度とが同様に設定するものからさらに、
図13の(b)のように、頭の回転程度に対する眼球の回転程度を増加させるようにする。これは、増幅視覚前庭相互作用評価モード(Augmentation visual‐vestibular interaction test mode)に対応するものであって、現実世界での例を挙げれば、頭の回転のような方向に進行する自動車を安定して注視する能力を評価可能にする。
【0105】
最後に、視覚固定効果検査モード(VFX)では、既存の検査で頭の回転と同じ角速度で視覚目標が回転して完全視覚効果のみを評価することができた既存の検査に比べて、
図13の(c)でのように、多様な比率で頭の回転に対する眼球の回転を抑制させる検査画面を構成及び提供して、被検査者が頭の回転に対する抑制された眼球の回転を発生させる。これは、抑制視覚前庭相互作用評価モード(Suppression visual‐vestibular interaction test mode)であって、現実世界での例を挙げれば、頭の回転と逆方向に進行する自動車を安定して注視する能力を評価可能にする。
【0106】
ステップS21を通じて検査画面が仮想現実方式で再生され、被検査者がこれに反応して眼球及び頭を動かせば、視線追跡器112及び慣性測定センサー111を用いて眼球及び頭の回転を直ちに測定する(ステップS23)。
【0107】
頭の回転データに対して測定ノイズ(noise)除去過程を経た後、人工知能(AI)基盤の機械学習(machine learning)を通じて回転量、回転特性の精密な推定値を獲得する。そして、得られた推定値に対するフーリエ変換(Fast Fourier transform)を施行して周波数特性を分析した後、目標検査周波数と比較して、目標周波数に対する測定値の適正性を評価する。もし、頭の回転が不適切な場合には、頭の回転の再試みを要求した後、同一検査画面をもう一度再生する。一方、適切な頭の回転が行われた場合には、目標範囲の回転が行われた有効区間及び頭の回転程度(回転角度、角速度、角加速度)を抽出する(ステップS24)。
【0108】
それと同時に、眼球の動きデータから自発的眼球運動、眼振(nystagmus)、瞬き(eye blinking)などのノイズを除去した後、人工知能(AI)基盤の機械学習を施行して眼球の回転に対する精密な推定値を獲得する。そして、獲得された推定値に対するフーリエ変換を施行して周波数特性を分析し、適正回転区間及び周波数での眼球の回転程度(回転角度、角速度、角加速度)を抽出する(ステップS25)。
【0109】
そして、頭の回転程度(角度、角速度、角加速度)に対する眼球の回転程度(角度、角速度、角加速度)を以下の数式によって算出した後、これらのうち少なくとも1つを含むVOR利得、そして、非対称比率を獲得及び提供する(ステップS26)。
【0110】
すなわち、数式4によって頭の回転角度に対する眼球の回転角度から回転角度基盤の利得を算出し、数式5によって最大頭の回転角速度に対する最大眼球の回転角速度から最大回転角速度基盤の利得を算出し、数式6によって最大頭の回転角加速度に対する最大眼球の回転角加速度から最大回転角加速度基盤の利得を算出した後、回転角度基盤の利得、最大回転角速度基盤の利得、最大回転角加速度基盤の利得のうち少なくとも1つを含むVOR利得を生成及び出力する。
【0111】
【0112】
【0113】
【0114】
この際、有効区間は、機械学習、フーリエ変換基盤の分析を通じて把握された目標範囲の回転が行われた区間を意味する。
【0115】
そして、非対称比率は、以下の数式7によって獲得可能である。
【0116】
【0117】
この際、回転程度は、回転角度、角速度、角加速度のうち何れか1つである。
【0118】
図14は、本発明のさらに他の実施形態による仮想現実基盤の前庭眼反射の評価及び再活システムを示す図面である。
【0119】
図14に示したように、本発明のシステムは、多数の前庭眼反射の評価及び再活装置100、前庭眼反射の評価及び再活装置100のそれぞれと相互連動する中央制御サーバ300で構成されて、前庭眼反射の評価及び再活装置100のそれぞれから分散実行された各種の機能がサーバ側で統合遂行できるようにする。
【0120】
この際、前庭眼反射の評価及び再活装置100と中央制御サーバ300は、クラウド方式などでネットワーク連結されるが、これは、前庭眼反射の評価及び再活装置の位置及び時間に関係なく中央制御サーバ300と常に相互連動させるためである。
【0121】
中央制御サーバ300は、データベース310、データ分析処理部320で構成され、データベース310は、前庭眼反射の評価及び再活装置100のそれぞれが提供する情報を患者アカウント別に区分して保存管理する。データ分析処理部320は、データベース310に保存された患者情報を獲得及び分析して、患者検査結果(すなわち、VOR利得と非対称比率、視覚前庭相互作用、視固定効果)を獲得するか、患者検査結果に対応する患者カスタマイズド再活プログラムを構成及び提供可能にする。この際、患者カスタマイズド再活プログラムは、円滑追従運動、断続運動、VOR再活運動、増幅VOR再活運動、及び抑制VOR再活運動のうち少なくとも1つを仮想現実ゲーム方式で行うものである。
【0122】
特に、データ分析処理部320は、高性能、大容量プロセッサを採用して、より多くのデータをより迅速かつ正確に分析処理することができ、さらには、神経網に基づいた機械学習方式でデータ分析及び処理を行うこともできるようにする。
【0123】
これにより、前庭眼反射の評価及び再活装置100は、最小限の構成と機能のみを有するように具現可能である。例えば、前庭眼反射の評価及び再活装置100は、VOR機能評価または再活運動のための画面を単純再生し、この際の患者の頭の動きと眼球の動きのみをセンシング及び出力する基本機能のみを行い、中央制御サーバ300がセンシング情報の分析及び処理のような残りの機能いずれもを行えるようにする。
【0124】
すなわち、本発明では、前庭眼反射の評価及び再活装置100の構成を最小化し、主要機能は、中央制御サーバ300で統合遂行できるようにすることにより、システム接近性を拡大すると共に、システム構築コストが最小化されるようにする。
【0125】
また、患者情報が中央制御サーバ300に統合管理されることによって、患者が利用する装置、患者を担当する医療陣が変動する場合にも、患者評価及び再活動作の連続性を保障されるようにする。
【0126】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎないものであって、当業者ならば、本発明の本質的な特性から外れない範囲で多様な修正及び変形が可能である。したがって、本発明に開示された実施形態は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、このような実施形態によって、本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は、下記の特許請求の範囲によって解釈されねばならず、それと同等な範囲内にあるあらゆる技術思想は、本発明の権利範囲に含まれると解釈されねばならない。
【国際調査報告】