(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-12
(54)【発明の名称】ハイブリッド官能性フルオロポリマー
(51)【国際特許分類】
C08F 8/42 20060101AFI20220905BHJP
C08F 259/08 20060101ALI20220905BHJP
C08L 51/06 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
C08F8/42
C08F259/08
C08L51/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577179
(86)(22)【出願日】2020-06-24
(85)【翻訳文提出日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 US2020039307
(87)【国際公開番号】W WO2020263937
(87)【国際公開日】2020-12-30
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500307340
【氏名又は名称】アーケマ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】900 First Avenue,King of Prussia,Pennsylvania 19406 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ユチエ・リウ
(72)【発明者】
【氏名】チアシン・ジェイ・コー
【テーマコード(参考)】
4J002
4J026
4J100
【Fターム(参考)】
4J002BN031
4J002EF066
4J002EN036
4J002EQ026
4J002ER006
4J002FD146
4J002GQ00
4J026AA26
4J026BA25
4J026BA26
4J026BA30
4J026BA32
4J026DA04
4J026DB04
4J026EA08
4J026GA01
4J026GA02
4J100CA31
4J100HA61
4J100HC78
4J100HE14
4J100HG20
4J100JA01
4J100JA03
4J100JA43
(57)【要約】
シラン官能化フルオロポリマー-アクリル組成物が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
官能化シランで変性されたフルオロポリマー-アクリルハイブリッド組成物を含む組成物であって、前記アクリル変性フルオロポリマーのアクリル部分が官能基を含む、組成物。
【請求項2】
前記シラン変性フルオロポリマー-アクリルハイブリッド組成物がフルオロポリマーシードを含み、前記フルオロポリマーシードが、好ましくは少なくとも50重量パーセントのVDF単位、好ましくは少なくとも70重量パーセントのVDF単位を有するフッ化ビニリデンポリマーを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記フルオロポリマーシードが3~30重量%のヘキサフルオロプロピレン単位を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記シードがポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマーを含み、前記フルオロポリマー-アクリル樹脂中のヘキサフルオロプロピレンモノマー単位の総重量パーセントが、シランによる変性前のフルオロポリマー-アクリルハイブリッド組成物の重量に基づいて、5~20%、好ましくは10~20重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記フルオロポリマー-アクリル樹脂中のアクリルモノマー単位の総重量パーセントが、シランによる変性前のAMF中で10~50重量%、好ましくは15~40重量%である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記アクリル部分が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリレート、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸4-ヒドロキシブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸、ジアセトンアクリルアミド、(メタ)アクリル酸ポリメトキシジエチレングリコール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるモノマーを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記フルオロポリマー-アクリル樹脂が自己架橋性である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記フルオロポリマー-アクリル組成物が架橋剤を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記架橋剤が、イソシアネート、ジアミン、アジピン酸、ジヒドラジド、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記シランが、シラン変性フルオロポリマー-アクリル組成物の総重量に基づいて、10~60重量パーセント、好ましくは20~50重量パーセント、より好ましくは20~40重量パーセントのシラン変性フルオロポリマー-アクリル組成物を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記シランが、ビニル官能性シラン、アミノ官能性シラン、(メチル)アクリロキシシランおよびアクリロキシシラン、エトキシシラン、メトキシシラン、イソシアナート官能性およびメルカプト官能性シラン並びにそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つのシランを含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記シランが、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン(TEOS)、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル-トリス-(2-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリイソプロピルオキシシラン、オクテニトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシトリエトキシシラン、8-メタクリロキシオクチルトリメトキシシラン、3アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-8-アミノオクチルトリメトキシシラン、3-トリメトキシシリプロピルジエチレントリアミン、ビス-(3-トリメトキシシリルプロピル)アミン、4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-トリメトキシシリル)プロピルコハク酸無水物、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシランオキシシランおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つのシランを含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物を形成するための方法であって、
a)官能基を含有するフルオロポリマー-アクリルハイブリッド組成物を与える工程、
b)前記AMFを溶媒に溶解する工程、
c)シランを前記溶解したAMFに、任意に触媒の存在下で導入する工程、
前記シラン官能化変性フルオロポリマー-アクリルハイブリッド樹脂組成物を回収する工程、
を含み、
前シラン官能化変性フルオロポリマー-アクリルハイブリッド樹脂は、前記シラン変性フルオロポリマー-アクリルハイブリッド樹脂の総重量に基づいて5~30重量%のアクリルモノマー単位を有し、前記AMFは、フルオロポリマーシードで重合したアクリルモノマーを含む組成物である、方法。
【請求項14】
前記溶媒が、n-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N、N-ジメチルホルムアミド(DMF)、トリエチルホスファイト(TEP)、アセトン、シクロペンタノン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MiBK)、酢酸エチル(EA)、酢酸ブチル(BA)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)またはそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2019年6月25日に出願された米国仮出願62/866314および2019年12月23日に出願された米国仮出願62/952610の優先権を主張し、これらは両方とも参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、シラン官能化アクリル変性フルオロポリマーを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
フルオロポリマーは、伝統的に、低い表面エネルギー、化学的攻撃に対する高い耐性、耐老化性、および電気化学的安定性などの特別な特性を必要とする用途に使用されている。しかしながら、これらの有利な特性はまた、フルオロポリマーの取り扱いを困難にし、それらの用途を制限する。たとえば、フルオロポリマーに官能基がないため、基板への接着、架橋の促進、その後の化学変性のためのサイトの提供、水による湿潤、親水性の追加などが困難になる。それらの特性を増強することができる官能基などの変性された特性を有するフッ素化ポリマーが必要である。
【0004】
フッ素含有フリーラジカルの攻撃的な性質のために、特にランダムな方法で、官能性モノマー単位をフルオロポリマーの重合ポリマー骨格に直接添加することは困難である。官能性は、官能性モノマーとフルオロモノマーとの直接共重合、および米国特許第7,241,817号で説明されているように、無水マレイン酸のポリフッ化ビニリデンホモポリマーまたはコポリマーへのグラフト化などの重合後グラフト化メカニズムによってなど、いくつかの手段によって追加され、Arkema Inc.(Pennsylvania、USA)から入手可能なKYNAR(登録商標)ADX樹脂を形成する。WO2013/110740および米国特許第7,351,498号は、モノマーグラフト化または共重合によるフルオロポリマーの官能化をさらに記載している。
【0005】
米国特許第5,415,958号は、異なる基板への接着を改善するために、PVDFの主鎖にカルボニル基を導入するための、フッ化ビニリデンと不飽和二塩基酸モノエステル極性モノマーとの共重合を開示している。
【発明の概要】
【0006】
シラン化学で後変性されたフルオロポリマー-アクリルハイブリッドポリマーを含む組成物が開示される。当該後変性は、変性されていないAMFポリマーが持たない官能性を与える。組成物は、フルオロポリマーラテックスをシードとして使用するアクリレート/メタクリレートモノマーの乳化重合によって合成され、フルオロポリマーアクリルハイブリッド組成物を与える。アクリル変性フルオロポリマーのアクリル部分は、架橋することができる。次に、ハイブリッドポリマーを溶媒に溶解し、官能化シランと反応させて、シラン官能化ハイブリッドアクリル変性フルオロポリマー組成物を生成する。アクリル変性フルオロポリマーのアクリル部分は、官能性シラン基の部分と同様に架橋することができる。それは自己架橋することができ、または架橋剤を使用して架橋することができる。
【0007】
シラン変性フルオロポリマー-アクリルハイブリッドポリマー組成物は、段階的なプロセスで合成される。第1ステップは、シードとしてフルオロポリマーラテックスを使用した(メタ)アクリレートモノマーの乳化重合と、それに続く重合後の変性である。このプロセスは、米国特許US5,349,003、米国特許US6,680,357および米国特許US2011/0118403に記載されているプロセスと類似している。フルオロポリマー-アクリルハイブリッドポリマーは、アクリルモノマーおよびアクリルモノマーと共重合可能なモノマーからのアクリルポリマーの重合において、シードとしてフルオロポリマーを使用して、本明細書でアクリル変性フルオロポリマー、「AMFポリマー」と呼ばれるものを形成するプロセスで形成される。本発明において、AMFポリマーは、アクリル部分において、他の官能基と反応することができる官能基を有する。次に、AMFポリマーを溶媒に溶解し、官能化シランで後変性して、本発明のシラン官能化アクリル変性フルオロポリマーを与える。
【0008】
本発明は、フルオロポリマーラテックスをシードとして使用してアクリレート/メタクリレートモノマーの乳化重合によって合成され、次いで官能化シランで後変性される、架橋性フルオロポリマー-アクリル組成物を含む組成物に関する。
【0009】
シラン官能化アクリル変性フルオロポリマー組成物は、少なくとも10N/m、好ましくは少なくとも15N/mの接着力、同時に、500%未満、好ましくは410%未満の膨潤率を備える。膨潤が少ないほど、耐薬品性が向上する。一般的に、膨潤率は100%以上である。一般的に、接着力は15N/m~200N/mである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書の中で、実施形態は、明確で簡潔な明細書を書くことを可能にする方法で説明されてきたが、実施形態は、本発明から離れることなく、様々に組み合わせまたは分離され得ることが意図され、理解されよう。例えば、本明細書に記載されているすべての好ましい特徴は、本明細書に記載されている本発明のすべての態様に適用可能であることが理解されよう。
【0011】
この出願に記載されているすべての参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。特に明記しない限り、組成物中のすべてのパーセンテージは重量パーセントである。
【0012】
特に明記しない限り、分子量は、ポリメチルメタクリレート標準を使用してGPCによって測定された重量平均分子量である。ポリマーにいくらかの架橋が含まれていて、不溶性ポリマー画分、可溶性画分/ゲル画分、または可溶性画分のためにGPCを適用できない場合、ゲルからの抽出後の分子量が使用される。結晶化度および融解温度は、10℃/分の加熱速度でASTMD3418に記載されているようにDSCによって測定される。溶融粘度は、ASTMD3835に従って230℃で測定され、kPoise、100秒-1で表される。
【0013】
「ポリマー」という用語は、特に明記しない限り、ホモポリマー、コポリマー、およびターポリマー(3つ以上のモノマー単位)の両方を意味するために使用される。「コポリマー」は、2つ以上の異なるモノマー単位を有するポリマーを意味するために使用される。例えば、本明細書で使用される場合、「PVDF」および「ポリフッ化ビニリデン」は、特に断りのない限り、ホモポリマーおよびコポリマーの両方を含むために使用される。ポリマーは、均質、不均質であり得、コモノマー単位の勾配分布を有し得る。
【0014】
「バインダー」という用語は、シラン官能化した架橋性フルオロポリマーアクリルハイブリッドポリマー、または、架橋することができ、基板上にコーティングすることができる官能性を含むシラン官能化フルオロポリマーアクリルコポリマー、を含む組成物を指すために使用される。
【0015】
架橋性とは、フルオロポリマーアクリルハイブリッドポリマーのアクリル部分が、架橋することができるまたは架橋剤を含む官能性をモノマー中に有することを意味する。
【0016】
フルオロポリマー-アクリルハイブリッド組成物とは、フルオロポリマーシードの存在下でアクリルが重合された組成物を意味する。このようなハイブリッド組成物は、米国特許US5,349,003、米国特許US6,680,357および米国特許US2011/0118403に記載されている。
【0017】
アクリルは、特に明記しない限り、アクリルモノマーとメタアクリルモノマーの両方を含む。
【0018】
乾燥接着性:乾燥接着性を実現するには、架橋性フルオロポリマーアクリル樹脂バインダーは、キャスティング中および/または圧縮工程中に電極またはセパレーターなどの基板に接着する必要がある。溶液ベースのコーティングでは、ポリマーは溶媒に溶解され、基板をコーティングする。一般的に、接着力が高いほど良い。ウェット接着力は、電解液中で膨潤したフルオロポリマーに関連する。電解質は、可塑剤によって引き起こされるのと同様の方法でフルオロポリマーを軟化させる傾向がある。
【0019】
本発明の組成物は、好ましくはポリフッ化ビニリデンホモポリマーおよびポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマーの群から選択されるポリフッ化ビニリデンポリマーに基づくシラン官能化アクリル変性フルオロポリマーを含む硬化性組成物(架橋性)であり、アクリル相は官能性を有するモノマー残基を含み、それにより、アクリル相が架橋され、架橋反応に入ることができる。
【0020】
シラン官能性フルオロポリマー-アクリル組成物は、接着性の向上および膨潤性の低下など、非変性AMFと比較して強化された特性を与える。本発明は、増加した親水性特性を提供し得る。本発明の組成物は、電極形成組成物およびセパレーター組成物中のバインダーおよびコーティングなど、官能化フルオロポリマーから恩恵を受け得る用途で使用することができる。
【0021】
本発明はさらに、架橋性フルオロポリマー-アクリル組成物を溶媒中に含む配合物に関する。溶媒は、水、n-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N、N-ジメチルホルムアミド(DMF)、亜リン酸トリエチル(TEP)、アセトン、シクロペンタノン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MiBK)、酢酸エチル(EA)、酢酸ブチル(BA)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)またはエチルメチルカーボネート(EMC)から選択することが好ましい。
【0022】
本発明によれば、シラン官能化フルオロポリマーアクリルハイブリッドポリマー組成物を含む溶媒ベースのポリマー組成物が提供される。
【0023】
シラン官能化アクリル変性フルオロポリマーのアクリル部分は、アルキル基が1~18個の炭素原子を有するアクリル酸アルキルと、アルキル基が1~18個の炭素原子を有するメタクリル酸アルキルと、アクリル酸アルキルおよびメタクリル酸アルキルと共重合可能なエチレン性不飽和化合物とからなる群から選択される少なくとも1つのモノマーを有する。
【0024】
シードフルオロポリマー
アクリル重合のシードとして本発明で使用されるフルオロポリマーは、主にフルオロモノマーから形成される。「フルオロモノマー」という用語または「フッ素化モノマー」という表現は、重合を受けるアルケンの二重結合に結合した少なくとも1つのフッ素原子、フルオロアルキル基、またはフルオロアルコキシ基を含む重合性アルケンを意味する。「フルオロポリマー」という用語は、少なくとも1つのフルオロモノマーの重合によって形成されるポリマーを意味し、それは、本質的に熱可塑性であるホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、および高級ポリマーを含み、これらは、成形および押出成形プロセスで行われるような熱の適用時に流動することによって有用な断片に形成することができることを意味する。フルオロポリマーは、好ましくは、1つ以上のフルオロモノマーを少なくとも50モルパーセント含む。
【0025】
本発明の実施に有用なフルオロモノマーには、例えば、フッ化ビニリデン(VDF)、テトラフルオロエチレン(TFE)、トリフルオロエチレン(VF3)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、フッ化ビニル(VF)、ヘキサフルオロイソブチレン、パーフルオロブチルエチレン(PFBE)、ペンタフルオロプロペン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、2-クロロ-1-1-ジフルオロエチレン(R-1122)、3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン、2-フルオロメチル-3,3,3-トリフルオロプロペン、フッ素化ビニルエーテル、フッ素化アリルエーテル、非フッ素化アリルエーテル、フッ素化ジオキソール、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0026】
シード粒子として使用されるフルオロポリマーは、好ましくは、乳化重合によって得られるフッ化ビニリデンポリマーである。このような水性フッ化ビニリデンポリマー分散液は、従来の乳化重合法によって、例えば、重合開始剤の存在下で水性媒体中で出発モノマーを乳化重合することによって製造することができ、このプロセスは当技術分野で知られている。乳化重合によって得られるフッ化ビニリデンポリマーの具体例には、フッ化ビニリデンホモポリマー、および(1)フッ化ビニリデンおよび(2)フッ素含有エチレン性不飽和化合物(例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)、トリフルオロエチレン(VF3)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、フッ化ビニル(VF)、ヘキサフルオロイソブチレン、パーフルオロブチルエチレン(PFBE)、ペンタフルオロプロペン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、2-クロロ-1-1-ジフルオロエチレン(R-1122)、3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン、2-フルオロメチル-3,3,3-トリフルオロプロペン、フッ素化ビニルエーテル、フッ素化アリルエーテル、非フッ素化アリルエーテル、フッ素化ジオキソール、パーフルオロアクリル酸など)のコポリマー、フッ素を含まないエチレン性不飽和化合物(例えば、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテルなど)、フッ素を含まないジエン化合物(例えば、ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなど)など、フッ化ビニリデンと共重合可能であるそれらの全て、が含まれる。これらのうち、好ましいのは、フッ化ビニリデンホモポリマー、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレンコポリマー、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマーなどである。
【0027】
特に好ましいフルオロポリマーは、VDFのホモポリマー、およびHFP、TFEまたはCTFEとVDFとのコポリマーであり、約50~約99重量パーセントのVDF、より好ましくは約70~約99重量パーセントのVDFを含む。特に好ましいコポリマーは、VDFとHFPのコポリマーであり、コポリマー中のVDFの重量パーセントは、コポリマー中の総モノマーに基づいて、50~99重量パーセント、好ましくは65~95重量パーセントである。VDF/HFPコポリマーの1つの好ましい実施形態では、HFPの重量パーセントは、ポリマー中の総モノマーに基づいて5~30%、好ましくは8~25%である。
【0028】
特に好ましいターポリマーは、VDF、HFPおよびTFEのターポリマー、ならびにVDF、トリフルオロエチレン、およびTFEのターポリマーである。特に好ましいターポリマーは、少なくとも10重量パーセントのVDFを有し、他のコモノマーは、様々な部分に存在し得る。
【0029】
フルオロポリマーは、好ましくは高分子量を有する。本明細書で使用される高分子量とは、450°F(232℃)および100秒-1で測定されたASTM法D-3835に従って、1.0キロポイズを超える、好ましくは5キロポイズを超える、より好ましくは10キロポイズを超える溶融粘度を有するPVDFを意味する。
【0030】
本発明で使用されるフルオロポリマーは、乳化、懸濁、溶液、または超臨界CO2重合プロセスなどの当技術分野で知られている手段によって製造することができる。好ましくは、フルオロポリマーは、乳化プロセスによって形成される。好ましくは、プロセスにはフルオロ界面活性剤が含まれない。
【0031】
好ましい実施形態では、フルオロポリマーシードは、ポリマーバインダーの総重量に基づいて、0.1~25重量パーセント、好ましくは2~20重量パーセントの官能基を含むモノマー単位を含む。官能基は、セパレーターへの、ポリマーバインダーおよび任意の無機または有機粒子の接着性を促進する。
【0032】
本発明の官能基は、ポリオレフィンおよび他の熱可塑性バインダーポリマーと比較した、電池環境におけるフルオロポリマーの耐久性のため、好ましくはフルオロポリマーの一部である。
【0033】
フルオロポリマーシードは、0.1~25重量パーセント、0.2~20重量パーセント、2~20重量パーセント、好ましくは0.5~15重量パーセントの少なくとも1つの官能性コモノマーを使用する共重合によって官能化することができる。共重合は、1つ以上の官能性コモノマーをフルオロポリマー骨格に追加するか、またはグラフト化プロセスによって追加することができる。シードフルオロポリマーはまた、0.1~25重量パーセントの1つ以上の低分子量ポリマー官能性連鎖移動剤を使用して重合することによって官能化することができる。低分子量とは、重合度が1,000以下、好ましくは800未満のポリマーを意味する。低分子量官能性連鎖移動剤は、2つ以上のモノマー単位を有する、好ましくは3つ以上のモノマー単位であるポリマーまたはオリゴマーであり、例えばポリアクリル酸である。残留高分子連鎖移動剤は、末端低分子量官能性ブロックを有するブロックコポリマーを形成し得る。シードフルオロポリマーは、官能性コモノマーと残留官能性高分子連鎖移動剤との両方を有し得る。本発明で使用される官能性高分子連鎖移動剤とは、低分子量高分子連鎖移動剤が1つ以上の異なる官能基を含むことを意味する。
【0034】
有用な官能性コモノマーは、一般に極性基を含むか、または高い表面エネルギーである。いくつかの有用なコモノマーの例には、酢酸ビニル、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、2,3,3トリフルオロプロペン、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、および2-クロロ-1-1-ジフルオロエチレン(R-1122)が含まれるが、これらに限定されない。HFPは良好な接着性を与える。リン酸(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、およびヒドロキシル官能性(メタ)アクリルコモノマーも、官能性コモノマーとして使用することができる。好ましくは、官能性コモノマーはヘキサフルオロプロペン(HFP)である。
【0035】
アクリル部分
シラン官能化AMFポリマーにはアクリル部分が含まれる。アクリル部分は、アルキル基が1~18個の炭素原子を有するアクリル酸アルキルとアルキル基が1~18個の炭素原子を有するメタクリル酸アルキルとからなる群から選択される少なくとも1つのモノマーと、アクリル酸アルキルおよびメタクリル酸アルキルと共重合可能なエチレン性不飽和化合物と、を含むモノマー混合物5~95重量部を、フッ化ビニリデンポリマーの粒子の100重量部の存在下での水性媒体中で乳化重合することによって得られる。アクリル部分は、官能基、好ましくは-COOHまたは-OH官能基またはアミドを有する少なくとも1つのモノマーを含む。好ましくは、アクリルモノマーの少なくとも1モル%が官能基を含み、より好ましくは、アクリルモノマーの少なくとも2モル%が官能基を含む。いくつかの実施形態では、4モル%を超える、好ましくは5モル%を超える、または10%を超えるアクリルモノマーが官能基を含む。好ましくは、50モル%以下、好ましくは35モル%未満のアクリルモノマーが官能化されている。
【0036】
1~18個の炭素原子を有するアルキル基を有するアクリル酸アルキルは、ビニリデンフルオリドポリマー粒子の存在下で乳化重合される1つのモノマーとして使用され、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、ジアセトンアクリルアミド、アクリル酸ラウリルなどが含まれる。これらのうち、1~8個の炭素原子を有するアルキル基を有するアクリル酸アルキルが好ましく、1~5個の炭素原子を有するアルキル基を有するアクリル酸アルキルがより好ましい。1~18個の炭素原子を有するアルキル基を有するメタクリル酸アルキルは、乳化重合される他のモノマーとして使用され、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ラウリルなどを含む。これらのうち、1~8個の炭素原子を有するアルキル基を有するメタクリル酸アルキルが好ましく、1~5個の炭素原子を有するアルキル基を有するメタクリル酸アルキルがより好ましい。これらの化合物(アクリル酸アルキルおよびメタクリル酸アルキル)は、単独で、または2つ以上の混合物として使用することができる。
【0037】
アクリル酸アルキルおよびメタクリル酸アルキルと共重合可能なエチレン性不飽和化合物は、アクリル酸アルキルおよびメタクリル酸アルキルと共重合可能な官能基含有モノマーを含む。
【0038】
官能基含有モノマーは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸などのα、β-不飽和カルボン酸;酢酸ビニルなどのビニルエステル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、N-アルキルアクリルアミド、N-アルキルメタクリルアミド、N、N-ジアルキルアクリルアミド、N、N-ジアルキルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどのアミド化合物;アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸N-ジアルキルアミノエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸フルオロアルキルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸ジアルキルアミノエチル、メタクリル酸フルオロアルキル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、ジメタクリル酸エチレングリコールなどのメタクリル酸エステル;および、アリルグリシジルエーテルなどのアルケニルグリシジルエーテル化合物を含む。これらのうち好ましいのは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチルおよびアリルグリシジルエーテルである。これらの化合物は、単独で、または2つ以上の混合物で使用することができる。
【0039】
官能性モノマーは、アクリレートモノマー混合物の重量に基づいて、50重量%未満の割合で使用することが好ましい。重合後に架橋反応に入ることができる官能基を含まないアクリレートおよび/またはメタアクリレートモノマーは、全モノマー混合物の50%より大きくあるべきであり、好ましくは70重量パーセント以上であるべきであり、より好ましくは90重量パーセントを超えるべきである。
【0040】
アクリル酸アルキルとメタクリル酸アルキルの両方を使用する場合、これらの2つのエステルの比率は重要ではなく、得られるフッ素含有ポリマーの所望の特性に応じて適切に変えることができる。当業者はまた、架橋反応に入ることができる官能基を含むそのようなモノマーが1つ含まれる限り、既知のアクリルモノマーと、アクリルモノマーと共重合可能であることが知られているエチレン性不飽和モノマーとのいずれかが置換されていてもよいことも認識するであろう。ただし、モノマーの大部分はアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルから選択されなければならず、残りの選択されたモノマーの少なくとも1つは、架橋反応に入ることができなければならない。
【0041】
架橋剤
アクリル変性フッ素樹脂は架橋性がある。アクリル部分は、その官能基の自己縮合または架橋剤のいずれかによって架橋することができる。任意の典型的な架橋剤を使用することができる。架橋剤の非限定的な例には、イソシアネート、ジアミン、アジピン酸、ジヒドラジド、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0042】
乳化重合
水性フルオロポリマー-アクリル組成物は、5~100重量部、好ましくは5~95重量部、特に好ましくは20~90重量部の上記アクリルモノマーを、上記のフッ化ビニリデンポリマー粒子100重量部の存在の水性媒体中で乳化重合することにより得ることができる。乳化重合は、通常の乳化重合条件下で行うことができる。乳化重合プロセスは当技術分野で知られている。シード粒子としてフルオロポリマー粒子、好ましくはフッ化ビニリデンポリマー粒子を使用する乳化重合は、既知の方法、例えば、モノマーの全量をフルオロポリマー粒子の存在、好ましくはフッ化ビニリデンポリマー粒子の存在の反応系に一度に供給する方法、モノマーの一部を供給して反応させ、次に残りのモノマーを連続的にまたは部分的に供給する方法、モノマーの全量を連続的に供給する方法、またはモノマーを反応させながら、フルオロポリマー粒子を部分的または連続的に添加する方法、によって達成することができる。
【0043】
フルオロポリマー粒子、好ましくはフッ化ビニリデンポリマー粒子は、それらが粒子の形態で水性媒体中に分散されている限り、任意の状態で重合系に添加され得る。フッ化ビニリデンポリマーは通常、水性分散液として製造されるので、製造された水性分散液をシード粒子として使用すると便利である。フルオロポリマー粒子、好ましくはフッ化ビニリデンポリマー粒子の粒子径は、前記ポリマーの目標の水性分散液中に存在するポリマー粒子の直径に応じて変化し得るが、通常、好ましくは0.04~2.9ミクロンの範囲である。好ましい実施形態では、ポリマー粒子の径は、好ましくは50nm~700nmである。
【0044】
モノマー混合物は、ほとんどがフルオロポリマー粒子、好ましくはフッ化ビニリデンポリマー粒子によって吸収または吸着され、粒子を膨潤させながら重合すると考えられている。
【0045】
本発明による前記ポリマーの水性分散液中のフッ素含有ポリマーの平均粒子径は、0.05~3μm、好ましくは0.05~1μm、より好ましくは0.1~1μmである。平均粒子径が0.05μm未満の場合、得られる水性分散液は高粘度になり、したがって、固形分が多い水性分散液を得ることができず、使用条件によっては機械的剪断条件が厳しい場合に凝固生成物が形成される。平均粒子径が3μmを超えると、水性分散液の貯蔵安定性が低下する。
【0046】
架橋性AMFポリマーを含む水性分散液はそのまま使用できるが、添加剤と混合して使用することもできる。
【0047】
重合生成物はラテックスであり、これを凝固させて固形物を単離し、次にこれを洗浄して乾燥させることができる。固体生成物の場合、ラテックスは、機械的に、または塩または酸の添加によって凝固させ、次いで、濾過などの周知の手段によって単離することができる。単離された固体生成物は、洗浄または他の技術によって精製することができ、それを乾燥させることができる。
【0048】
シラン官能化
フルオロポリマーアクリルハイブリッドポリマーは、官能化シランとの重合後の反応でさらに官能化されて、シラン官能化AMFポリマーを与える。シラン官能化AMFポリマー中のシランの重量パーセントは、フルオロポリマー、アクリル部分、および官能性シランの総重量に基づいて、15~45重量パーセント、好ましくは20~40重量パーセントである。
【0049】
重合後の反応では、アクリルフルオロポリマーハイブリッドポリマーを溶媒に溶解させ、加水分解-重縮合反応により、官能化シランでさらに官能化する。反応を触媒するために酸を使用することが好ましく、そのような酸の1つは酢酸であり、他の酸を使用することができる。当業者は、他の酸も触媒機能を実行することを理解する。
【0050】
適切なシランは、ビニル官能性シラン、アミノ官能性シラン、(メチル)アクリロキシシランおよびアクリロキシシラン、エトキシシラン、メトキシシラン、ウレイド官能性シラン、イソシアナート官能性シランおよびメルカプト官能性シランを含む。(メチル)アクリロキシシラン、アクリロキシシラン、エトキシシラン、メトキシシランが好ましい。
【0051】
シランの例には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン(TEOS)、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル-トリス-(2-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリイソプロピルオキシシラン、オクテニトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシトリエトキシシラン、8-メタクリロキシオクチルトリメトキシシラン、3アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-8-アミノオクチルトリメトキシシラン、3-トリメトキシシリプロピルジエチレントリアミン、ビス-(3-トリメトキシシリルプロピル)アミン、4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-トリメトキシシリル)プロピルコハク酸無水物、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシランオキシシランが含まれるが、これらに限定されない。シランの組み合わせを使用することができる。
【0052】
好ましいシランは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン(TEOS)、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル-トリス-(2-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリイソプロピルオキシシラン、オクテニトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシトリエトキシシラン、8-メタクリロキシオクチルトリメトキシシラン、3アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、およびそれらの組み合わせである。シランの組み合わせを使用することができる。
【0053】
テトラエチルオルトシリケート(TEOS)およびメタクリロキシプロピルトリメトキシシランの一実施形態では、組み合わせて使用される。
【0054】
3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランなどのエポキシ官能性シランは、本発明で使用されるシランには含まれない。
【0055】
その他の添加剤
本発明の組成物は、任意に、ポリマーに基づいて0~15重量パーセント、好ましくは0.1~10重量パーセントの添加剤を含み得、添加剤は、増粘剤、pH調整剤、沈降防止剤、界面活性剤、湿潤剤、フィラー、消泡剤、および一過性の付着促進剤を含むがこれらに限定されない。
【0056】
本発明の組成物は、優れた乾燥接着性を有する。乾燥接着性は、多相ポリマーの溶液をアルミニウム箔にキャストして、乾燥後に厚さ3ミクロンの固形の未充填ポリマーフィルムを形成し、剥離強度を測定することによって決定できる。
【0057】
ウェット接着性は、アルミニウム箔上の3ミクロンの固体フィルムを電解液に60℃で72時間浸し、欠陥と層間剥離を探すことで判断できる。
【0058】
使用
シラン官能化フルオロポリマーアクリル組成物は、溶媒溶液として基材に塗布され得、溶媒は、本明細書に記載されているものの中から選択される。
【0059】
一実施形態では、前記基板は多孔質であり、例えば多孔質膜である。
【0060】
シラン官能化フルオロポリマーアクリル組成物は、接着強度試験による測定として、セパレーター基板への良好な接着性を与える:接着強度試験:両面テープを鋼板の厚いブロック(例えば、約1cmの厚さ)に貼り付け、電極とコーティングされたセパレーターとを複合したアルミニウム箔の非塗布面を両面テープに貼り付け、片面テープとコーティングされたセパレーターを剥がして180度の剥離試験を行う。剥離試験は、10Nのロードセルを用い、2mm/分の剥離速度で張力モードで実行した。接着力は、少なくとも10N/m、好ましくは15N/m超、好ましくは20N/m超、より好ましくは30N/m超であり、同時に膨潤率が500%未満、好ましくは410%以下、より好ましくは300%未満である。
【0061】
本発明の態様
【0062】
態様1:官能化シランで変性されたフルオロポリマー-アクリルハイブリッド組成物を含む組成物であって、前記アクリル変性フルオロポリマーのアクリル部分が官能基を含む、組成物。
【0063】
態様2:前記シラン変性フルオロポリマー-アクリルハイブリッド組成物がフルオロポリマーシードを含み、前記フルオロポリマーシードが、好ましくは少なくとも50重量パーセントのVDF単位、好ましくは少なくとも70重量パーセントのVDF単位を有するフッ化ビニリデンポリマーを含む、態様1に記載の組成物。
【0064】
態様3:前記フルオロポリマーシードが3~30重量%のヘキサフルオロプロピレン単位を含む、態様1または2に記載の組成物。
【0065】
態様4:前記シードがポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマーを含み、前記フルオロポリマー-アクリル樹脂中のヘキサフルオロプロピレンモノマー単位の総重量パーセントが、シランによる変性前のフルオロポリマー-アクリルハイブリッド組成物の重量に基づいて、5~20%、好ましくは10~20重量%である、態様1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【0066】
態様5:前記フルオロポリマー-アクリル樹脂中のアクリルモノマー単位の総重量パーセントが、シランによる変性前のAMF中で10~50重量%、好ましくは15~40重量%である、態様1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【0067】
態様6:前記アクリル部分が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリレート、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸4-ヒドロキシブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸、ジアセトンアクリルアミド、(メタ)アクリル酸ポリメトキシジエチレングリコール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるモノマーを含む、態様1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【0068】
態様7:前記フルオロポリマー-アクリル樹脂が自己架橋性である、態様1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【0069】
態様8:前記フルオロポリマー-アクリル組成物が架橋剤を含む、態様1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【0070】
態様9:前記架橋剤が、イソシアネート、ジアミン、アジピン酸、ジヒドラジド、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、態様8に記載の組成物。
【0071】
態様10:前記シランが、シラン変性フルオロポリマー-アクリル組成物の総重量に基づいて、10~60重量パーセント、好ましくは20~50重量パーセント、より好ましくは20~40重量パーセントのシラン変性フルオロポリマー-アクリル組成物を含む、態様1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【0072】
態様11:前記シランが、ビニル官能性シラン、アミノ官能性シラン、(メチル)アクリロキシシランおよびアクリロキシシラン、エトキシシラン、メトキシシラン、イソシアナート官能性およびメルカプト官能性シラン並びにそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つのシランを含む、態様1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【0073】
態様12:前記シランが、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン(TEOS)、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル-トリス-(2-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリイソプロピルオキシシラン、オクテニトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシトリエトキシシラン、8-メタクリロキシオクチルトリメトキシシラン、3アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-8-アミノオクチルトリメトキシシラン、3-トリメトキシシリプロピルジエチレントリアミン、ビス-(3-トリメトキシシリルプロピル)アミン、4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-トリメトキシシリル)プロピルコハク酸無水物、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシランオキシシランおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つのシランを含む、態様1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【0074】
態様13:態様1~12のいずれか一項に記載の組成物を形成するための方法であって、
a)官能基を含有するフルオロポリマー-アクリルハイブリッド組成物を与える工程、
b)前記AMFを溶媒に溶解する工程、
c)シランを前記溶解したAMFに、任意に触媒の存在下で導入する工程、
d)前記シラン官能化変性フルオロポリマー-アクリルハイブリッド樹脂組成物を回収する工程、
を含み、
前シラン官能化変性フルオロポリマー-アクリルハイブリッド樹脂は、前記シラン変性フルオロポリマー-アクリルハイブリッド樹脂の総重量に基づいて5~30重量%のアクリルモノマー単位を有し、前記AMFは、フルオロポリマーシードで重合したアクリルモノマーを含む組成物である、方法。
【0075】
態様14:前記溶媒が、n-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N、N-ジメチルホルムアミド(DMF)、トリエチルホスファイト(TEP)、アセトン、シクロペンタノン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MiBK)、酢酸エチル(EA)、酢酸ブチル(BA)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)またはそれらの組み合わせからなる群より選択される、態様13に記載の方法。
【実施例】
【0076】
正極への接着強度:
正極の調製:正極活物質として27.16gのニッケルマンガンコバルト622粉末と、導電剤として0.42gのカーボンブラック粉末と、バインダーとして0.42gのポリフッ化ビニリデンとを4.83gのN-メチルピロリドン中で混合した。得られた組成物を高速下、例えば2000rpmで混合した。正極スラリーをアルミニウム箔上にコーティングし、オーブンで乾燥させ、プレスによってカレンダー加工されて正極を達成した。
【0077】
剥離試験のサンプル準備:コーティングされたセパレーターと正極を2.5cm×5cmの形状に切断した。セパレーターのコーティング側の接着性有機層を正極側に接触させてラミネートした。ラミネートは85℃、0.62MPaで2分間行い、コーティングされたセパレーターを正極に接着させた。ラミネート後、コーティングされたセパレーターに裏材支持層として片面テープを貼り付ける。次に、片面テープ、コーティングされたセパレーター、および正極の複合材料を幅1.5cm、長さ5cmに切断する。
【0078】
接着強度試験:
鋼板の厚いブロック(例えば厚さ約1cm)に両面テープ(3M製のダブルコートペーパーテープ410Mなど)を貼り、電極とコーティングされたセパレーターを組み合わせたアルミニウム箔のコーティングされていない面を両面テープに貼り付け、片面テープとコーティングされたセパレーターを剥がすことにより180度剥離試験を行う。剥離試験は、10Nのロードセルと2mm/分の剥離速度で張力モードで実行された。試験された接着力が高いほど、コーティングされたセパレーターにより多くの電極材料が移動するという傾向が観察されるであろう。
【0079】
電解質中での膨潤試験:エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、およびジエチルカーボネートを体積比1:1:1で混合して構成された電解質が使用された。サンプルは、有機溶媒を使用した溶液から乾燥するか、水を使用した溶液から乾燥することによって調製した。膨潤試験は、乾燥したサンプルを電解液に完全に沈めた状態で60℃で72時間実施した。サンプルの重量を、膨潤試験前(m1)と膨潤試験後(m2)に測定した。次に、膨潤率を(m2-m1)/m1*100%として特徴付けした。
【0080】
実施例1
この実施例は、官能性シラン変性架橋性AMFポリマーの調製を示した。ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン(PVDF-HFP)コポリマーラテックスが得られ、シードとして使用し、乳化重合プロセスを使用してフルオロポリマー-アクリル組成物を含むラテックスを合成した。このラテックスの固形分は約44重量%である。PVDF-HFPコポリマー中のHFP部分の質量パーセントは、約20~22重量%であり、アクリル部分は、ポリマー全体で約30重量%である。アクリル部分のガラス転移温度は46℃である。PVDF-HFP/ヒドロキシル官能性アクリル共重合体(70/30)。7.22gの架橋性AMFを、反応容器内で、60℃で一晩、300rpmの機械的攪拌速度で64.9gのシクロペンタノンに溶解した。2.107gのテトラエチルオルトシリケート(TEOS)(Gelest製)、0.952gのメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(Gelest製)、および0.832gのメタノール(MeOH)を、23℃付近のシクロペンタノン中の7.22gの架橋性AMFを含む反応容器に300rpmの機械的攪拌速度で入れた。さらに、酢酸を触媒として0.248gのレベルで使用した。重縮合反応は67-69℃で2時間起こった。均一な溶液は、周囲温度に冷却されている間、透明で粘稠であり、コーティング可能な状態になった。
【0081】
スラリーを多孔質セパレーターに塗布し、60℃で乾燥させた。接着層の乾燥厚さは1~2μmの範囲である。実施例1のポリマー組成物でコーティングされたセパレーターのカソードへの接着強度は、平均して118N/mであった。電解質中の実施例1のポリマーの平均膨潤率は282%であった。
【0082】
実施例2:
この実施例は、官能性シラン変性架橋性AMFの調製を示した。ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン(PVDF-HFP)コポリマーラテックスを得、シードとして使用し、乳化重合プロセスを使用してフルオロポリマー-アクリル組成物(“AMF”-アクリル変性フルオロポリマー)を含むラテックスを合成した。このラテックスの固形分は約44重量%である。PVDF-HFPコポリマー中のHFP部分の質量パーセントは、20~22重量%であり、アクリル部分は、全ポリマー中の30重量%からである。アクリル部分のガラス転移温度は46℃である。AMFはPVDF-HFP/ヒドロキシル官能性アクリル共重合体(重量で70/30)であった。10gの架橋性AMFを、反応容器内で90gのシクロペンタノンに、60℃で一晩、300rpmの機械的攪拌速度で溶解させた。3.080gのテトラエチルオルトシリケート(TEOS)(Gelest製)、1.105gのメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(Gelest製)、および1.055gのメタノール(MeOH)を、23℃付近のシクロペンタノン中の10gのクロスリンカブルAMF(架橋性AMF)とともに310rpmの機械的攪拌速度で反応容器に入れた。さらに、酢酸を触媒として0.167gのレベルで使用した。重縮合反応は68℃で2時間発生した。均一な溶液は、周囲温度に冷却されてコーティングの準備ができている間、透明で粘稠であった。
【0083】
接着性と膨潤
スラリーを多孔質セパレーターに塗布し、60℃で乾燥させた。接着層の乾燥厚さは1~2μmの範囲である。実施例2のポリマー組成物でコーティングされたセパレーターのカソードへの接着強度は、平均165N/mであった。電解質中の実施例2のポリマーの平均膨潤率は400%であった。
【0084】
比較例1:
ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン(PVDF-HFP)コポリマーをシクロペンタノンに溶解し、溶液濃度は10重量%であった。PVDF-HFPコポリマー中のHFP部分の質量パーセントは、約4~6重量%である。
【0085】
スラリーを多孔質セパレーターに塗布し、60℃のオーブンで乾燥させた。接着層の乾燥厚さは1~2μmの範囲である。比較例1の材料でコーティングされたセパレーターのカソードへの接着強度は3N/m未満であり、電解質中の材料の膨潤比は平均で160重量%であった。
【0086】
比較例2:
ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン(PVDF-HFP)コポリマーラテックスをシードとして使用し、乳化重合プロセスを使用してフルオロポリマー-アクリル組成物を含むラテックスを合成した。このラテックスの固形分は約44重量%であった。PVDF-HFPコポリマー中のHFP部分の質量パーセントは、約20~22重量%であり、アクリル部分は、ポリマー全体で約30重量%である。アクリル部分のガラス転移温度は55℃である。
【0087】
フルオロポリマー-アクリル組成物をシクロペンタノンの溶媒に溶解し、溶液濃度は10重量%であった。
【0088】
スラリーを多孔質セパレーターに塗布し、60℃のオーブンで乾燥させた。接着層の乾燥厚さは1~2μmの範囲である。比較例2のフルオロポリマー-アクリル組成物でコーティングされたセパレーターのカソードへの接着強度は、平均して13.7N/mであり、実施例2の材料は電解質に溶解した。
【0089】
実施例3:架橋性AMFポリマー
ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン(PVDF-HFP)コポリマーラテックスをシードとして使用し、乳化重合プロセスを使用してフルオロポリマー-アクリル組成物を含むラテックスを合成した。このラテックスの固形分は約44重量%です。PVDF-HFPコポリマー中のHFP部分の質量パーセントは、約20~22重量%であり、アクリル部分は、ポリマー全体で約30重量%であり、架橋性基を含む。アクリル部分のガラス転移温度は46℃である。
【0090】
フルオロポリマー-アクリル組成物をシクロペンタノンの溶媒に溶解し、溶液濃度は10質量%であった。
【0091】
スラリーを多孔質セパレーターに塗布し、60℃のオーブンで乾燥させた。接着層の乾燥厚さは1~2μmの範囲である。フルオロポリマー-アクリル組成物でコーティングされたセパレーターのカソードへの接着強度は平均32N/mであり、電解質中のフルオロポリマー-アクリル組成物の平均膨潤比は900重量%であった。
【0092】
【0093】
これは、新規組成物が、未変性AMFと比較して、膨潤性を低減するという利点を提供することを示している。また、接着性の違いは、新規組成物が未変性AMFにはなかった機能を持っていることを示している。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル部分とフルオロポリマーシードとを含むシラン官能
化フルオロポリマー-アクリルハイブリッド組成物を含む組成物であって、前
記アクリル部分が官能基を含む、組成物。
【請求項2】
前記フルオロポリマーシードが
、少なくとも50重量パーセントのVDF単
位を有するフッ化ビニリデンポリマーを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記フルオロポリマーシードが
5~30重量%のヘキサフルオロプロピレン単位を含む、請求項1
または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記
フルオロポリマーシードがポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマーを含み、前記フルオロポリマー
シード中のヘキサフルオロプロピレンモノマー単位の総重量パーセントが
、5~20
重量%、好ましくは10~20重量%である、請求項1
~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記
シラン官能化フルオロポリマー-アクリル
ハイブリッド組成物中のアクリルモノマー単位の総重量パーセントが、シランによる変性前の
前記シラン官能化フルオロポリマー-アクリルハイブリッド組成物中で10~50重量%、好ましくは15~40重量%である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記アクリル部分が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリル酸2-ヒドロキシエチル
、アリルグリシジルエーテル、
メタクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリレート、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸4-ヒドロキシブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸プロピル
、ジアセトンアクリルアミド、(メタ)アクリル酸ポリメトキシジエチレングリコール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるモノマーを含む、請求項1~
5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記
シラン官能化フルオロポリマー-アクリル
ハイブリッド組成物が自己架橋性である、請求項1~
6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前
記組成物が架橋剤を含む、請求項1~
6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記架橋剤が、イソシアネート、ジアミン、アジピン酸、ジヒドラジド、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記シランが、
前記シラン
官能化フルオロポリマー-アクリル
ハイブリッド組成物の総重量に基づいて、
前記シラン
官能化フルオロポリマー-アクリル
ハイブリッド組成物
の10~60重量パーセント、好ましくは20~50重量パーセント、より好ましくは20~40重量パーセントを
構成する、請求項1~
9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記シランが、ビニル官能性シラン、アミノ官能性シラン、(メチル)アクリロキシシラン
、アクリロキシシラン、エトキシシラン、メトキシシラン、イソシアナート官能性
シラン、メルカプト官能性シラン並びにそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つのシランを含む、請求項
1~10
のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記シランが、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン(TEOS)、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル-トリス-(2-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリイソプロピルオキシシラン、オクテニトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシトリエトキシシラン、8-メタクリロキシオクチルトリメトキシシラン、3アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-8-アミノオクチルトリメトキシシラン、3-トリメトキシシリプロピルジエチレントリアミン、ビス-(3-トリメトキシシリルプロピル)アミン、4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-トリメトキシシリル)プロピルコハク酸無水物、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシランオキシシランおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つのシランを含む、請求項
1~10
のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
請求項1~
12のいずれか一項に記載の組成物を形成するための方法であって、
a)官能基を含有するフルオロポリマー-アクリルハイブリッド組成物を与える工程、
b)前記
フルオロポリマー-アクリルハイブリッド組成物を溶媒に溶解する工程、
c)シランを前記溶解した
前記フルオロポリマー-アクリルハイブリッド組成物に、任意に触媒の存在下で導入する工程、
および前記シラン官能
化フルオロポリマー-アクリルハイブリッ
ド組成物を回収する工程、
を含み、
前
記シラン官能
化フルオロポリマー-アクリルハイブリッド
組成物は、前記シラン
官能化フルオロポリマー-アクリルハイブリッド
組成物の総重量に基づいて5~30重量%のアクリルモノマー単位を有し、前記
フルオロポリマー-アクリルハイブリッド組成物は、フルオロポリマーシードで重合したアクリルモノマーを含む組成物である、方法。
【請求項14】
前記溶媒が、n-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N
,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、トリエチルホスファイト(TEP)、アセトン、シクロペンタノン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MiBK)、酢酸エチル(EA)、酢酸ブチル(BA)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)
およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記アクリル部分が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アリルグリシジルエーテル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリレート、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸4-ヒドロキシブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸プロピル、ジアセトンアクリルアミド、(メタ)アクリル酸ポリメトキシジエチレングリコール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるモノマーを含む、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記シラン官能化フルオロポリマー-アクリルハイブリッド組成物が自己架橋性である、請求項13~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
架橋剤を添加するステップを含む、請求項13~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記架橋剤が、イソシアネート、ジアミン、アジピン酸、ジヒドラジド、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記組成物が架橋されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【国際調査報告】