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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-12
(54)【発明の名称】架橋バインダー組成物
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/06 20060101AFI20220905BHJP
   B01J 20/08 20060101ALI20220905BHJP
   B01J 20/10 20060101ALI20220905BHJP
   B01J 20/12 20060101ALI20220905BHJP
   B01J 20/14 20060101ALI20220905BHJP
   B01J 20/18 20060101ALI20220905BHJP
   B01J 20/20 20060101ALI20220905BHJP
   B01J 20/28 20060101ALI20220905BHJP
   B01D 53/02 20060101ALI20220905BHJP
   B01D 15/00 20060101ALI20220905BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20220905BHJP
   C08K 3/01 20180101ALI20220905BHJP
   H01G 11/38 20130101ALI20220905BHJP
   H01G 11/86 20130101ALI20220905BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20220905BHJP
   H01M 4/62 20060101ALN20220905BHJP
   H01M 4/139 20100101ALN20220905BHJP
【FI】
B01J20/06 A
B01J20/08 A
B01J20/10 D
B01J20/12 A
B01J20/14
B01J20/18 D
B01J20/20 A
B01J20/28 Z
B01D53/02
B01D15/00 M
B01D15/00 J
C08L101/00
C08K3/01
H01G11/38
H01G11/86
B01J20/30
H01M4/62 Z
H01M4/139
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577181
(86)(22)【出願日】2020-06-23
(85)【翻訳文提出日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 US2020039107
(87)【国際公開番号】W WO2020263808
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】62/866,202
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500307340
【氏名又は名称】アーケマ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】900 First Avenue,King of Prussia,Pennsylvania 19406 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】フロランス・メルマン
(72)【発明者】
【氏名】アザーズ・エイ・バホラ
【テーマコード(参考)】
4D012
4D017
4G066
4J002
5E078
5H050
【Fターム(参考)】
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4D012BA02
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(57)【要約】
本発明は、1つ又は複数の種類の相互作用性粉末材料又は繊維を相互接続する架橋熱可塑性バインダーを有する固体多孔質物品に関する。相互接続性は、バインダーが完全なコーティングとしてではなく、個別のスポットで粉末状の材料又は繊維を接続し、材料又は繊維が流体と直接接触し、相互作用することを可能にするようなものである。得られた物品は、多孔質を備えた、形成された多成分の相互接続されたウェブである。分離物品は、水の浄化だけでなく、工業用途の水系と非水系の両方での溶解又は懸濁物質の分離、ガス貯蔵にも有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)1つ又は複数の種類の相互作用粒子及びb)相互作用粒子及び架橋熱可塑性ポリマーバインダー粒子の総重量に基づいて、0.5~30%、好ましくは1~20重量%の1つ又は複数の種類の架橋熱可塑性ポリマーバインダー粒子を含む組成物。
【請求項2】
前記相互作用粒子は、金属粒子、活性アルミナ、活性炭、カーボンナノチューブ、シリカゲル、ガラスビーズ、シリカ、二酸化チタン、木材チップ、イオン交換樹脂、イオン交換修飾ゼオライト及び銀修飾ゼオライトを含むゼオライト、セラミック、珪藻土、タルク、グラファイト、カーボンブラック、金属酸化物、銀及び銅塩などのリチウムイオン遷移金属塩、カルシウムヒドロキシアパタイト、リン酸塩、酸化物並びに硫酸塩から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記相互作用粒子は、活性炭、ゼオライト、セラミック、ヒドロキシアパタイト、二酸化チタンからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記相互作用粒子は活性炭を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記架橋熱可塑性ポリマーは、フルオロポリマー、ポリアミド、アクリルポリマー、ポリアミド、ポリウレタン、スチレンポリマー、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、及び熱可塑性ポリウレタンからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記架橋熱可塑性ポリマーは、フルオロポリマー、ポリアミド、アクリルポリマー、スチレンポリマー、ポリオレフィン、ポリエステルから選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記架橋熱可塑性ポリマーバインダー粒子はフルオロポリマーを含み、前記フルオロポリマーは、フッ化ビニリデンホモポリマー及びコポリマー、テトラフルオロエチレンホモポリマー及びコポリマー、又はクロロトリフルオロエチレンホモポリマー及びコポリマーからなる群から選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記ポリオレフィンは、エチレン又はプロピレンモノマーを含むホモポリマー及びコポリマーからなる群から選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記架橋熱可塑性ポリマー粒子は、コアシェル構造を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記架橋熱可塑性ポリマーは、ASTM D-3835に準拠して230℃と100秒-1で、20Kpoiseよりも大きい、好ましくは40Kpoiseよりも大きい、より好ましくは50Kpoiseよりも大きい溶融粘度を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記架橋熱可塑性ポリマーは、230℃の温度及び0.1Hzの周波数でASTM D4440-01により測定された場合、108-1を超える複素粘度を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記架橋熱可塑性ポリマー粒子は、1μm~250μm、好ましくは5~30μmの平均粒子サイズを有する粉末の形態である、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
前記架橋熱可塑性ポリマー粒子は、20nm~250μm、好ましくは100nm~150μm、より好ましくは200nm~30μm、最も好ましくは200nm~20μmの平均粒子サイズを有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物は、少なくとも75重量%の相互作用粒子及び1~25重量%の架橋熱可塑性ポリマー粒子、好ましくは少なくとも80%の相互作用粒子及び2~20%の架橋熱可塑性ポリマー粒子、最も好ましくは少なくとも85重量%の相互作用粒子及び1~15%の架橋熱可塑性ポリマー粒子を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
a)少なくとも70重量%の相互作用粒子、及びb)物品の総重量に基づいて、0.5~30重量%の架橋熱可塑性ポリマーバインダー粒子を含む、固体多孔質物品。
【請求項16】
前記相互作用粒子は、金属粒子、活性アルミナ、活性炭、カーボンナノチューブ、シリカゲル、ガラスビーズ、シリカ、二酸化チタン、木材チップ、イオン交換樹脂、イオン交換修飾ゼオライト及び銀修飾ゼオライトを含むゼオライト、セラミック、珪藻土、タルク、グラファイト、カーボンブラック、金属酸化物、銀及び銅塩などのリチウムイオン遷移金属塩、カルシウムヒドロキシアパタイト、リン酸塩、酸化物並びに硫酸塩から選択される、請求項15に記載の固体多孔質物品。
【請求項17】
前記架橋熱可塑性ポリマーは、フルオロポリマー、ポリアミド、アクリルポリマー、ポリアミド、ポリウレタン、スチレンポリマー、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、及び熱可塑性ポリウレタンからなる群から選択される、請求項15又は16に記載の固体多孔質物品。
【請求項18】
前記架橋熱可塑性ポリマー粒子は、コアシェル構造を有する、請求項15又は16に記載の固体多孔質物品。
【請求項19】
前記架橋熱可塑性ポリマーは、ASTM D-3835に準拠して230℃と100秒-1で、20Kpoiseよりも大きい、好ましくは40Kpoiseよりも大きい、より好ましくは50Kpoiseよりも大きい溶融粘度を有する、請求項15又は16に記載の固体多孔質物品。
【請求項20】
前記架橋熱可塑性ポリマーは、230℃の温度及び0.1Hzの周波数でASTM D4440-01により測定された場合、108-1を超える複素粘度を有する、請求項15又は16に記載の固体多孔質物品。
【請求項21】
前記架橋熱可塑性ポリマー粒子は、離散した熱可塑性ポリマー粒子の凝集体からなる粉末の形態であり、離散粒子の平均粒子サイズは、20nm~10μm、好ましくは50nm~1μm、最も好ましくは80nm~500nmである、請求項15又は16に記載の固体多孔質物品。
【請求項22】
前記組成物は、前記物品の重量に基づいて、少なくとも75重量%の相互作用粒子及び1~25重量%の架橋熱可塑性ポリマー粒子、好ましくは少なくとも80%の相互作用粒子及び2~20%の架橋熱可塑性ポリマー粒子、最も好ましくは少なくとも85重量%の相互作用粒子及び1~15%の架橋熱可塑性ポリマー粒子を含む、請求項15又は16に記載の固体多孔質物品。
【請求項23】
以下のステップを含む固体多孔質物品を形成するためのプロセス:
a)請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物を提供すること、
b)熱と圧力を加えて固体多孔質物品を形成すること。
【請求項24】
ステップb)は、圧縮成形又は押出によって達成される、請求項23に記載のプロセス。
【請求項25】
押出速度は、毎分5インチを超え、好ましくは毎分8インチを超え、より好ましくは毎分10インチを超え、最も好ましくは毎分15インチを超える、請求項24に記載のプロセス。
【請求項26】
圧縮成形時間は、60分未満、好ましくは30分未満、より好ましくは20分未満、最も好ましくは10分未満又は5分未満である、請求項24に記載のプロセス。
【請求項27】
ステップa)は、少なくとも1つの架橋剤の存在下で架橋熱可塑性ポリマーを調製することを含む、請求項23に記載のプロセス。
【請求項28】
ステップa)は、放射線源の存在下で架橋熱可塑性ポリマーを調製することを含む、請求項23に記載のプロセス。
【請求項29】
以下のステップを含む、流体の成分を分離するための方法:a)請求項15又は16に記載の固体多孔質物品を提供すること、及びb)流体を前記物品に通し、前記流体の選択された成分が前記物品内に留まること。
【請求項30】
前記流体は、ガス、水、有機溶媒、医薬品及び生物学的製剤からなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
以下のステップを含む、ガス貯蔵の方法:a)請求項15又は16に記載の固体多孔質物品を提供すること(前記多孔質物品は、少なくとも1つの入口及び任意選択で少なくとも1つの出口を有する容器で格納される)、及びb)前記固体多孔質物品をその中に格納する前記容器の前記入口に、圧力下でガスを供給すること(前記ガスの総重量の少なくとも50重量%が前記多孔質物品の体積内に保持され、前記容器は加圧ガスを保持することができるものである)。
【請求項32】
前記容器は、少なくとも14.7psiから最大30psi、好ましくは最大100psi、好ましくは最大1000psi、好ましくは最大3000psi、好ましくは最大5000psiの圧力で加圧ガスを保持することができる、請求項31に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋熱可塑性ポリマーバインダー、及び相互作用粒子又は繊維からなる活性媒体を有する多孔質物品、ブロック構造又はモノリスを形成するためのバインダーの使用に関する。多孔質物品は、流体のろ過、分離、又は貯蔵、あるいは電池やコンデンサーの電極などのエネルギー装置の部品に使用できる。
【背景技術】
【0002】
活性炭などの多孔質活性媒体は、バインダーと組み合わせて、圧縮成形又は押出しなどのプロセスによってモノリス又はブロックに変えることから利点を得ることが知られている。バインダーの役割は、活性媒体の粒子を接続することであるため、構造をまとめて保持し、取り扱いを容易にし、場合によっては活性媒体を高密度化する。モノリスの性能を最大化するために、バインダーが活性媒体の表面を汚さない(又はコーティングしない)ことが重要である。これにより、利用可能な比表面積と細孔容積が失われ、流体成分のろ過、分離、又は貯蔵、あるいは電池やコンデンサーの電極などのエネルギー装置の部品の媒体の性能に悪影響を及ぼすためである。
【0003】
熱可塑性ポリマーは、活性媒体用のバインダーとして知られている。それらは、広範囲の粒子サイズの粒子状材料として作ることができる。それらは、圧縮成形、押出、又は軟化点を超えるカレンダー処理などのプロセス中に十分な変形(ポリマーフロー)を受け、これは、アモルファスポリマーのガラス転移温度、及び結晶性と半結晶性ポリマーの融点として説明でき、活性媒体の粒子に効率的に固定される。しかしながら、そのようなポリマーフローはまた、活性媒体の表面及び細孔のファウリングをもたらし、意図された用途のための活性媒体の性能の低下をもたらす。
【0004】
US4,999,330は、ガス貯蔵システムで使用される高密度吸着剤モノリスの必要性及び課題を記載している。システムの効率は、吸着剤の表面積と細孔容積のレベル、吸着剤の充填密度、3D構造の物理的安定性、及び吸着剤のファウリングのレベルに依存する。US4,999,330は、溶液として水性メチルセルロース又はポリビニルアルコールバインダーを使用して、高表面積の炭素粒子をコーティングし、続いて溶媒を除去し、バインダーでコーティングされた粒子を圧縮して、バルク体積を50~200%減少させる。この‘330のシステムは、その複雑さと多くのステップが難点である。また、活性炭粒子全体をコーティングすることも含まれ、これが吸着剤の細孔の多くを塞ぐ。このファウリングは、吸着に利用できる表面積の量を減らす。US6696384は、活性媒体の表面をコーティングする水性バインダーとしてのメチルセルロースの使用についても開示している。それは、得られたモノリスの機械的強度が低いことを指摘しており、モノリスが形成された後、セルロース系バインダーを架橋することによって解決しようとしている。架橋プロセスは、媒体をコーティングしてモノリスを形成するプロセスと同時に、又はその後に発生するため、活性媒体の顕著なファウリングにプラスの影響を与えない。
【0005】
他の先行技術は、水中の固体又は固体分散体としての非水性熱可塑性ポリマーバインダーの使用を記載しており、これは、活性媒体のより少ないファウリングをもたらす。なぜなら、バインダーは活性媒体の表面全体をコーティングするのではなく、個別のスポットで活性媒体の粒子に接続するからである。
【0006】
US5,019,311、US5,147,722及びUS5,331,037は、熱可塑性ポリマーバインダーによって一緒に結合された、相互作用粒子を含む多孔質構造を生成するための押出しプロセスを記載している。この多孔質構造は、「連続ウェブマトリックス」又は「強制点結合」と呼ばれる。この固体複合材は、カーボンブロックフィルターなどの高性能水フィルターとして役立つ。US6,395,190は、15~25重量%のポリオレフィン熱可塑性バインダーを有するカーボンフィルター及びそれらを作るための方法を開示している。(IR4203)US2016/121249は、PVDFやポリアミドなどの選択された熱可塑性ポリマーは異常に分極化されており、当技術分野で開示されている他の熱可塑性プラスチックよりも炭素表面を濡らして吸着剤の表面を汚す傾向が少ないと開示している。(IR4263)US2018/104670は、活性粒子のファウリングを最小限に抑えるために、ASTM D-3835に準拠して450Fと100秒-1で1.0Kpoiseを超える溶融粘度を持つ高分子量のPVDFバインダーの使用を開示している。
【0007】
しかしながら、すべての熱可塑性ポリマーバインダーは、高極性、又は高分子、高粘度のものであっても、依然として、ある程度、活性媒体の表面を汚すことが知られている。モノリスを製造するために必要な温度と圧力の条件下で(典型的には、バインダーの軟化点より少なくとも20℃、少なくとも40℃、又は少なくとも60℃、又は少なくとも70℃、又は少なくとも80℃、又は100℃高い)、それらがいくらかの変形(ポリマーフロー)を受けるためである。温度がポリマーフローを防止するのに十分低い場合、熱可塑性ポリマーは、活性媒体の表面に固定するのに十分な鎖移動度を持たず、機械的完全性を備えたモノリスを生成するためのバインダーとして効率的に機能しない。機械的完全性は、単純な合格/不合格として定義でき、ブロックが形成された直後にブロック構造に付着されていないブロック組成が20重量%を超えると、機械的完全性が不合格である。温度が効率的な結合を可能にするのに十分高い場合、ポリマーフローが起こり、バインダーが活性媒体の表面に広がり、いくつかの細孔の入り口を塞ぐ可能性がある。
【0008】
モノリスを製造するためのプロセス装置は、典型的に、圧力及び温度を組成物に均一に適用しないので、熱可塑性ポリマーバインダーを使用すると、典型的に、モノリス内の結合効率とファウリングの勾配が生じ、一方で、優れた構造的完全性と機械的強度が得られる。これは、より大きなモノリスに特に当てはまり、機器の金属と接触しているモノリスの外部表面の近くでファウリングが顕著になる傾向があり、金属から離れたモノリスのコアで結合が不十分になる傾向がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、活性媒体のファウリングをさらに低減し、モノリスの全体的な性能を改善するために、現在開示されている熱可塑性ポリマーバインダーを改善する必要がある。モノリス全体の活性媒体の効率的な結合と非常に低いファウリングを備えた任意のサイズのモノリスを作るために、処理ウィンドウを広げる必要もある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
我々は、本発明のために使用される前に架橋された架橋熱可塑性ポリマーを使用して、表面及び細孔のファウリングを最小限に抑えて媒体粒子の相互接続性を作り出すような方法で活性媒体を結合できることを見出した。驚くべきことに、架橋熱可塑性ポリマーの粒子は、モノリスを作るプロセス中に変形(ポリマーフロー)をほとんど又はまったく受けずに、粒子の外側で十分な局所的な鎖移動度と組み合わせて、活性媒体の粒子を効果的に結合することがわかった。得られたモノリスは、良好から優れた機械的強度と、活性媒体の非常に低いファウリングを特徴とした。
【0011】
ブロックの機械的強度は視覚的に評価され、「合格」又は「不合格」の結果が与えられる。「合格」とは、ブロックを平らな面に置いたときに構造的に安定していることを意味し、「不合格」とは、ブロックが一緒に保持されず、少なくとも部分的に崩れることを意味する。
【0012】
ファウリングは、活性媒体のみからブロック構造に移行するときの、活性媒体の1グラムあたりのBET表面積の損失によって測定される。活性媒体のファウリング率は、活性媒体がブロックに変わったときの活性媒体の1gあたりのBET表面積の損失率である。それは、[1-(ブロックのBET比表面積×100)/(吸着剤のBET比表面積×ブロック内の吸着剤の重量%)]×100として計算される。高いファウリングは20%を超えるファウリングに対応し、低いファウリングは1~10%のファウリングに対応し、非常に低いファウリングは1%未満のファウリングに対応する。ファウリング率は、活性媒体がブロック又はモノリスに変わったときの1gの活性媒体のBET表面積の損失率として定義される。BET表面積は、QUANTACHROMEのNOVA-Eガス収着装置を使用して測定される。窒素の吸着と脱着の等温線は77Kで生成される。マルチポイントBrunauer-Emmett-Teller(BET)窒素吸着法は、比表面積を決定するために使用される。
【0013】
あるいは、ブロック内のファウリングは、ゼロ%ファウリングについて計算された理論値と比較した気孔率の損失として定義することもでき、そのような理論値は、0.3~0.9、又は0.4~0.8又は0.5~0.7の範囲である。気孔率は、ブロックのかさ密度と骨格密度から、気孔率=1-(かさ密度/骨格密度)として計算できる。かさ密度は、ブロックの質量をブロックが占める体積で割ったものである。骨格密度は、ブロックの質量をブロック内の固形物が占める体積で割ったものであり、ASTM B923-10に準拠したヘリウムピクノメトリーを使用して決定できる。気孔率の損失が20%未満又は10%未満の場合、ファウリングは低いと見なされ、気孔率の損失が9%未満又は5%未満又は1%未満の場合、ファウリングは非常に低いと見なされる。
【0014】
バインダーのポリマー変形を大幅に増加させることなく、圧縮成形又は押出成形でより高い温度及び/又はより長い時間を使用することができるため、処理ウィンドウははるかに広くすることができ、ファウリングを非常に低いレベルに保ちながら、構造全体で優れた結合を実現する。例えば、熱可塑性ポリマーバインダーの軟化点より40℃高い温度、あるいは、熱可塑性ポリマーバインダーの軟化点より60℃以上、又は70℃以上、又は80℃以上、又は100℃高い温度を使用することができる。これは、より大きなブロックを製造する場合に特に便利である。
【0015】
結合した活性媒体は、流体成分のろ過、分離、又は貯蔵のために多孔質物品に形成することができる。多孔質製品は、以下において特に役立つ:飲料水からの汚染物質の除去;液体又は気体の工業的流れからの汚染物質の分離;生物学的及び薬学的に活性な部分などの流体の流れからの小分子及び貴金属の捕捉と回収、及び触媒作用などによる特定の化学反応の実行。活性媒体の活性のタイプに応じて、化学反応、物理的捕捉、電気的(電荷又はイオン)吸引、又は類似の手段によって、溶解又は懸濁した物質を分離することができる。多孔質物品は、活性媒体がガス分子を吸着する能力があるため、中程度の圧力でのガスの安全な貯蔵又は輸送にも有用である。
【0016】
本発明は、活性媒体及び熱可塑性ポリマーバインダーからなるモノリスに共通する問題を解決する。これは、バインダーによるその表面のファウリングによる活性媒体の性能の部分的な喪失である。ファウリングは、バインダーが活性媒体の表面を部分的にファウリング又はコーティングするか、及び/又は細孔への入口を塞ぐために発生する。これは2つの経路で発生し得る。第1の経路は、バインダーを溶液として使用する場合であり、この場合、バインダーは活性媒体の表面を薄膜の形でコーティングする。第2の経路は、バインダーを固体、乾燥、又は液体に懸濁して使用する場合であり、この場合、モノリスの製造に使用した圧力及び温度条件下でのバインダーの変形(ポリマーフロー)によってファウリングが発生する。
【0017】
本発明は、1つ又は複数の種類の相互作用性粉末材料又は繊維を相互接続する架橋熱可塑性バインダーを有する固体多孔質物品に関する。相互接続性は、バインダーが完全なコーティングとしてではなく、個別のスポットで粉末状の材料又は繊維を接続し、材料又は繊維が流体と直接接触し、相互作用することを可能にするようなものである。得られた物品は、多孔質を備えた、形成された多成分の相互接続されたウェブである。この物品は、水の浄化、工業用途の水系と非水系の両方での溶解又は懸濁物質の分離、ガスの貯蔵、エネルギー貯蔵装置用の電極に有用である。
【0018】
本発明は、相互作用粒子と、相互作用粒子及び架橋ポリマーの総重量に基づいて、1つ又は複数の種類の架橋熱可塑性ポリマーバインダー粒子の0.5~30%、好ましくは1~20重量%を有する組成物を提供する。本発明はまた、物品の総重量に基づいて、少なくとも70重量%の相互作用粒子及び0.5~30重量%の架橋熱可塑性ポリマーバインダー粒子を有する固体多孔質物品を提供する。本発明はまた、固体多孔質物品を形成するためのプロセスを提供する。本発明はまた、固体多孔質物品を使用した、流体を分離するための方法、及びガス貯蔵の方法を提供する。
【0019】
相互作用粒子は、多孔質物品に形成されると相互接続性を示す。相互接続性は、バインダーが完全なコーティングとしてではなく、個別のポイントで粉末状の材料又は繊維を個別の粒子として接続し、材料又は繊維が流体と直接接触し、相互作用することを可能にするようなものである。得られた物品は、多孔質を備えた、形成された多成分の相互接続されたウェブである。この物品は、水の浄化だけでなく、工業用途の水系、非水系の両方、及びガス系で溶解又は懸濁した物質の分離にも役立つ。分離物品は、周囲温度及び高温で機能することができる。物品は、ガス貯蔵用途で使用できる。物品は、エネルギー貯蔵用途で使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書で使用される場合、コポリマーは、2つ以上の異なるモノマー単位を有する任意のポリマーを指し、ターポリマー及び3つを超える異なるモノマー単位を有するものを含む。
【0021】
本出願で引用された参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0022】
本明細書で使用される「相互接続性」は、相互作用粒子又は繊維を完全にコーティングすることなく、活性粒子又は繊維がフルオロポリマー又はポリアミドバインダーによって恒久的に一緒に結合されることを意味する。バインダーは、特定の個別のポイントで相互作用粒子を接着させて、組織化された多孔質構造を生成する。多孔質構造により、流体は相互接続された粒子又は繊維を通過することができ、流体組成物は相互作用する粒子又は繊維の表面に直接露出し、粒子と流体組成物の成分との相互作用を促進し、成分の分離をもたらす。ポリマーバインダーは個別のポイントでのみ相互作用粒子に付着するため、コーティングよりも完全な接続に使用されるバインダーが少なくなる。
【0023】
本明細書で使用されるパーセンテージは、特に断りのない限り、重量パーセントであり、分子量は、特に明記しない限り、重量平均分子量である。
【0024】
1つ又は複数の架橋熱可塑性ポリマーバインダーは、活性炭などの1つ又は複数の活性媒体と組み合わされて、固体構造を形成する。
【0025】
本発明の架橋熱可塑性ポリマーバインダーは、活性媒体のファウリングを実質的にもたらさず、その比表面積及び細孔容積をより高く保持し、その結果、対象となる用途のブロック構造の性能が向上する。
【0026】
本発明の架橋熱可塑性プラスチックは、圧縮成形又は押出成形によってブロック構造を作るためのより広い処理ウィンドウ、及びすべてのサイズの均質なブロック構造を製造する能力を可能にすることができる。
【0027】
熱可塑性ポリマー
本発明の架橋熱可塑性樹脂は、熱硬化性ポリマーを含まない。熱硬化性ポリマーの例としては、エポキシ樹脂、加硫ゴム、メラミン樹脂、標準ポリウレタン樹脂がある。
【0028】
本発明で使用するために架橋することができる熱可塑性ポリマーは、以下を含む:フルオロポリマー、ポリアミド、アクリルポリマー、スチレンブタジエンゴム(SBR)、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリアミド、ポリウレタン、スチレンポリマー、ポリエチレンとポリプロピレンを含むポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートを含む熱可塑性ポリエステル、及びポリ乳酸、セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート及び熱可塑性ポリウレタン(TPU)。
【0029】
本発明で使用するために架橋することができる好ましい熱可塑性ポリマーは、フルオロポリマー、ポリアミド、アクリルポリマー、スチレンポリマー、ポリオレフィン、ポリエステルを含む。
【0030】
フルオロポリマー
フルオロポリマーという用語は、重合するために開くことができるビニル基を含む化合物から選択される少なくとも1つのモノマーをその鎖中に有し、そして、このビニル基に直接結合した、少なくとも1つのフッ素原子、少なくとも1つのフルオロアルキル基、又は少なくとも1つのフルオロアルコキシ基を含む、任意のポリマーを意味する。フルオロモノマーの例は、以下を含むが、これらに限定されない:フッ化ビニル;フッ化ビニリデン(VDF);トリフルオロエチレン(VF3);クロロトリフルオロエチレン(CTFE);1,2-ジフルオロエチレン;テトラフルオロエチレン(TFE);ヘキサフルオロプロピレン(HFP);ペルフルオロ(メチルビニル)エーテル(PMVE)、ペルフルオロ(エチルビニル)エーテル(PEVE)及びペルフルオロ(プロピルビニル)エーテル(PPVE)などのペルフルオロ(アルキルビニル)エーテル;ペルフルオロ(1,3-ジオキソール);ペルフルオロ(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソール)(PDD)。
【0031】
好ましいフルオロポリマーには、フルオロモノマー単位の50重量%を超える、好ましくは65重量%を超える、より好ましくは75重量%を超える、最も好ましくは90重量%を超える1つ又は複数のフルオロモノマーを有するホモポリマー及びコポリマーが含まれる。これらのポリマーの他のモノマー単位には、重合可能なC=C二重結合を含む任意のモノマーが含まれる。
【0032】
本発明の最も好ましいコポリマー及びターポリマーは、フッ化ビニリデン単位がポリマー中のすべてのモノマー単位の総重量の50%を超え、より好ましくは、単位の総重量の70%を超えるように構成するものである。フッ化ビニリデンのコポリマー、ターポリマー及び高級ポリマーは、フッ化ビニリデンを、以下からなる群からの1つ又は複数のモノマーと反応させることによって製造することができる:フッ化ビニル、トリフルオロエテン、テトラフルオロエテン;3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン、1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン、3,3,3,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン、及びヘキサフルオロプロペンなどの1つ又は複数の部分的又は完全にフッ素化されたアルファオレフィン;部分的にフッ素化されたオレフィンヘキサフルオロイソブチレン;ペルフルオロメチルビニルエーテル、ペルフルオロエチルビニルエーテル、ペルフルオロ-n-プロピルビニルエーテル、及びペルフルオロ-2-プロポキシプロピルビニルエーテルなどのペルフルオロビニルエーテル;ペルフルオロ(1,3-ジオキソール)やペルフルオロ(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソール)などのフッ素化ジオキソール;2-ヒドロキシエチルアリルエーテル又は3-アリルオキシプロパンジオールなどの、アリル、部分的にフッ素化されたアリル、又はフッ素化されたアリルモノマー;並びにエテン又はプロペン。
【0033】
ポリビニリデン系のポリマーなどのフルオロポリマーは、当技術分野で知られている任意のプロセスによって作られる。乳化及び懸濁重合などのプロセスが好ましく、US6187885及びEP0120524に記載されている。
【0034】
合成ポリアミド
ポリアミドは、分子鎖の繰り返し単位がアミド基によって互いに連結されているポリマー(長い、複数の単位の分子から構成される物質)である。アミド基の一般化学式はCO-NHである。それらは、アミン(NH2)基とカルボキシル(CO2H)基の相互作用によって生成される場合もあれば、アミノ酸又はアミノ酸誘導体(分子がアミノ基とカルボキシル基の両方を含む)の重合によって生成される場合もある。
【0035】
ポリアミドの合成は当技術分野で十分に説明されており、例は、WO15/071604、WO14179034、EP0550308、EP0550315、US9637595である。
【0036】
ポリアミドは、以下の縮合又は開環生成物であり得る:
-アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、11-アミノウンデカン酸及び12-アミノドデカン酸などの1つ又は複数のアミノ酸、あるいは、カプロラクタム、オエナンソラクタム、ラウロラクタムなどの1つ又は複数のラクタム;及び
-ヘキサメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン、及びトリメチルヘキサメチレンジアミンなどのジアミンと、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸などの二酸の1つ又は複数の塩又は混合物。
【0037】
ポリアミドの例には、PA6、PA7、PA8、PA9、PA10、PA11、及びPA12、ならびにPA6,6のようなコポリアミドが含まれ得る。
【0038】
コポリアミドは、少なくとも2つのα,ω-アミノカルボン酸又は2つのラクタム、又は1つのラクタム及び1つのα,ω-アミノカルボン酸の縮合から得られる。コポリアミドは、少なくとも1つのα,ω-アミノカルボン酸(又は1つのラクタム)、少なくとも1つのジアミン及び少なくとも1つのジカルボン酸の縮合から得られる。
【0039】
ラクタムの例には、主環上に3~12個の炭素原子を有するものが含まれ、このラクタムは置換され得る。例えば、β,β-ジメチルプロピオラクタム、α,α-ジメチルプロピオラクタム、アミロラクタム、カプロラクタム、カプリラクタム及びラウロラクタムがある。
【0040】
α,ω-アミノカルボン酸の例は、アミノウンデカン酸及びアミノドデカン酸を含む。ジカルボン酸の例は、アジピン酸、セバシン酸、イソフタル酸、ブタン二酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、スルホイソフタル酸のナトリウム又はリチウム塩、二量体化脂肪酸(これらの二量体化脂肪酸は、少なくとも98%の二量体含有量を有し、好ましくは水素化されている)及びドデカン二酸、HOOC(CH210COOHを含む。
【0041】
ジアミンは、6~12個の炭素原子を有する脂肪族ジアミンであり得る。それは、アリール及び/又は飽和環状タイプであり得る。例としては、ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、テトラメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、1,5-ジアミノヘキサン、2,2,4-トリメチル-1,6-ジアミノヘキサン、ジアミンポリオール、イソホロンジアミン(IPD)、メチルペンタメチレンジアミン(MPDM)、ビス(アミノシクロヘキシル)メタン(BACM)、及びビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン(BMACM)がある。
【0042】
コポリアミドの例は、以下を含む:カプロラクタムとラウリルラクタムのコポリマー(PA6/12)、カプロラクタム、アジピン酸、ヘキサメチレンジアミンのコポリマー(PA6/6-6)、カプロラクタム、ラウリルラクタム、アジピン酸、ヘキサメチレンジアミンのコポリマー(PA6/12/6-6)、カプロラクタム、ラウリルラクタム、11-アミノウンデカン酸、アゼラン酸及びヘキサメチレンジアミンのコポリマー(PA6/6-9/11/12)、カプロラクタム、ラウリルラクタム、11-アミノウンデカン酸、アジピン酸及びヘキサメチレンジアミンのコポリマー(PA6/6-6/11/12)、並びにラウリルラクタム、アゼラン酸、ヘキサメチレンジアミンのコポリマー(PA6-9/12)。
【0043】
ポリアミドは、ポリエーテル-b-ポリアミド及びポリエステル-b-ポリアミドなどのポリアミドブロックコポリマーも含む。
【0044】
別のポリアミドは、ArkemaのORGASOL(登録商標)超微細ポリアミド6、12、及び6/12粉末であり、これらは微細多孔質であり、それらの製造プロセスのために連続気泡を有する。これらの粉末の粒子サイズ範囲は非常に狭く、グレードに応じて5~60μmであり得る。5~20のより低い平均粒子サイズが好ましい。
【0045】
本明細書で使用されるアクリルポリマーは、メタクリレート及びアクリレートモノマーから形成されるポリマー、コポリマー及びターポリマー、ならびにそれらの混合物を含むことを意味する。メタクリレートモノマー及びアクリレートモノマーは、モノマー混合物の51~100%を構成し得、スチレン、アルファメチルスチレン、アクリロニトリルを含むがこれらに限定されない他のエチレン性不飽和モノマーの0~49%が存在し得る。適切なアクリレート及びメタクリレートモノマー及びコモノマーは、以下を含むが、これらに限定されない:アクリル酸メチル、アクリレートエチル及びメタクリレート、ブチルアクリレート及びブチルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート及びアクリレート、ラウリルアクリレート及びラウリルメタクリレート、ステアリルアクリレート及びステアリルメタクリレート、イソボルニルアクリレート及びメタクリレート、メトキシエチルアクリレート及びメタクリレート、2-エトキシエチルアクリレート及びメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート及びメタクリレートモノマー。メタクリル酸やアクリル酸などの(メタ)アクリル酸はコモノマーになり得る。アクリルポリマーは、典型的には乳化重合によって作られるコアシェル構造などの多層アクリルポリマーを含む。
【0046】
本明細書で使用されるスチレンポリマーは、スチレン及びアルファメチルスチレンモノマーから形成されるポリマー、コポリマー及びターポリマー、ならびにそれらの混合物を含むことを意味する。スチレン及びアルファメチルスチレンモノマーは、モノマー混合物の50~100%を構成し得、アクリレート、メタクリレート、アクリロニトリルを含むがこれらに限定されない他のエチレン性不飽和モノマーの0~50%が存在し得る。スチレンポリマーは、以下を含むが、これらに限定されない:ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン-アクリレート(ASA)コポリマー、スチレンアクリロニトリル(SAN)コポリマー、スチレンブタジエンゴム(SBR)などのスチレン-ブタジエンコポリマー、メタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレン(MBS)、及びスチレン-メチルメタクリレートコポリマー(S/MMA)などのスチレン-(メタ)アクリレートコポリマー。
【0047】
本明細書で使用されるポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びエチレンとプロピレンのコポリマーを含むことを意味する。エチレン及びプロピレンモノマーは、モノマー混合物の51~100%を構成し得、アクリレート、メタクリレート、アクリロニトリル、無水物を含むがこれらに限定されない他のエチレン性不飽和モノマーの0~49%が存在し得る。ポリオレフィンの例は、エチレンエチルアセテートコポリマー(EVA)、エチレン(メタ)アクリレートコポリマー、エチレン無水物コポリマー及びグラフト化ポリマー、プロピレン(メタ)アクリレートコポリマー、プロピレン無水物コポリマー及びグラフト化ポリマーを含む。
【0048】
架橋熱可塑性ポリマー
本発明で使用される架橋熱可塑性ポリマーは、架橋剤及び/又は放射線源の使用から生じる、隣接するポリマー鎖間に化学結合を有する。本発明で使用される架橋熱可塑性ポリマーは、ブレンド(ブレンドの前又は後のいずれかで架橋される)するか、又は連続重合した相互貫入ネットワーク、又はコアシェル構造にすることができる。連続重合の例は、アクリル変性フルオロポリマーであり、乳化フルオロポリマーシード及びその後のアクリル重合から作ることができる。
【0049】
架橋熱可塑性ポリマーは、対応する非架橋熱可塑性ポリマーに適した溶媒であることが当技術分野で知られている強力な有機溶媒(メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、N-メチル-2-ピロリドンなど)に不溶性である。ASTM D543によると、架橋熱可塑性ポリマーは、室温で2時間、10時間、又は24時間浸漬することによってこのような化学物質に曝露されると、ポリマーは溶媒に溶解せず、代わりに膨潤して、0.5μmのPTFEフィルターでろ過することはできないゲル状の材料を形成する。ポリマーの20重量%未満又は10重量%未満又は5重量%未満がろ過された溶液中に存在する場合、ポリマーは架橋ポリマーと見なされる。架橋熱可塑性ポリマーは、ASTM D-3835に準拠して、230℃の温度及び100秒-1の周波数で、20Kpoiseよりも大きい、好ましくは40Kpoiseよりも大きい、より好ましくは50Kpoiseよりも大きい粘度を有する。架橋熱可塑性ポリマーはまた、ASTM D4440-01又はISO6721パート10によって0.1Hzの周波数で測定された場合、230℃の温度で10,000,000秒-1を超える複素粘度を持っている。これは動的粘弾性分析であり、サンプルは平行平板振動レオメーターに入れられ、温度は室温から毎分5℃の速度で250℃に上げられ、次に、温度が毎分2℃、5℃、10℃、又は20℃の速度で室温に戻しながら、複素粘度を温度の関数として測定する。
【0050】
架橋熱可塑性ポリマーは、乳化重合、懸濁重合、溶媒重合、塊状重合などの当技術分野で知られている任意のプロセスによって調製することができ、場合によっては、反応性押出及び放射線硬化などの重合後プロセスを含む。放射線の例は、紫外線(UV)、ガンマ、電子ビームである。
【0051】
本発明に有用な架橋熱可塑性ポリマーは、乾燥形態又は水性媒体に懸濁された粒子状材料の形態である。架橋熱可塑性ポリマーの粒子は、任意のサイズ及びサイズ分布であり得る。粉末の形態の場合、粒子の平均粒子サイズは、1~500μm又は2~200μm又は5~100μm又は10~50μm又は10~20μmである。一実施形態では、粒子は、離散粒子の凝集体でできており、離散粒子の平均粒子サイズは、10μm未満、好ましくは5μm未満、より好ましくは1μm未満、より好ましくは500nm未満、さらには300nm未満である。例えば、ポリフッ化ビニリデン、アクリルポリマー、スチレンポリマー、スチレンブタジエンゴム、ポリアミドなどの乳化重合によって製造されたポリマーは、個別の粒子サイズを有することができる。ポリオレフィン、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン、アクリルポリマー、スチレンポリマーなどの他のプロセスで製造されたポリマーは、粉末粒子でできており、粒子は個別の粒子の凝集体でできていない。
【0052】
架橋熱可塑性ポリマーの粒子は、円形、略円形、繊維状、又は様々な不規則な形状を含む任意の形状であり得る。架橋熱可塑性ポリマーは、懸濁重合又は乳化重合などの分散媒体中での重合によって有利に調製することができる。これらのプロセスは通常、水性媒体に懸濁されたかなり丸い粒子を生成する。乾燥すると、懸濁ポリマー粉末はかなり丸いままの粒子を含むが、乳化ポリマーは、個別の丸い粒子の凝集体でできた様々な不規則な形状の粉末を生成する傾向がある。乾燥粒子は、噴霧乾燥、凝固乾燥、トレイ乾燥、押出、研削、及び粉砕などの当技術分野で知られている任意のプロセスによって得ることができる。
【0053】
架橋熱可塑性ポリマーの粒子は、単一の熱可塑性ポリマー、2つ以上の熱可塑性ポリマーのブレンド、又は少なくとも1つの層が架橋されている熱可塑性ポリマーの層から作られ得る。
【0054】
US7868062は、懸濁重合によるアクリル熱可塑性ポリマーの高度に架橋された粒子の調製を開示している。得られた架橋粒子状物質は、テトラヒドロフランや塩化メチレンなどの強力な有機溶媒に溶解することはできない。熱可塑性プラスチックの層で作られた粒子は、コアシェル粒子構造を有する多段階の連続的に製造されるポリマーであり得る。コアシェル粒子は、2つ以上の層を有し得、少なくとも1つの層は、ポリマー層の重合中に架橋剤を使用して架橋される。一実施形態では、粒子のすべての層が架橋され、別の実施形態では、粒子は、少なくとも1つの架橋された内層及び少なくとも1つの非架橋層を含む。多段ポリマーは、例えば、事前に形成されたポリマー製品の存在下でモノマーの次の段階の混合物を乳化重合することによって、多段階の連続的に製造されるポリマーを調製するための任意の既知の技術によって製造することができる。このタイプの重合では、後続の段階が先行する段階に接続され、密接に関連する。アクリルコアシェル粒子の例は、米国特許US3661994、US4521568、US2003/0216510、及びUS2013317175に開示され、参照される。フッ素化コアシェル粒子の例は、JP2018-172595Aに開示される。
【0055】
架橋熱可塑性ポリマーは、化学的、熱的、又は放射線架橋プロセスによって得ることができる。熱可塑性モノマーの重合中に化学架橋剤を使用することができる。フルオロポリマー、アクリルポリマー、スチレンポリマーなど、ラジカル又はイオンプロセスによって生成される熱可塑性ポリマーの場合、典型的な架橋剤は、脂肪族及び芳香族ビニル、アリル、メタリル、クロチル、モノマーを含む、2つ以上のC=C二重結合を含む多官能性モノマーである。このような架橋性(グラフト結合性と呼ばれることもある)モノマーの例は、US2013317175に記載されており、以下を含むが、これらに限定されない:ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ブタジエン、イソプレン、ジアリルフタレート、ジアリルメタクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート。トリメチルプロパントリ(メタ)アクリレート、ジビニルスルホン、1,3-ブチレンジメタクリレート、及びそれらの組み合わせ。好ましい架橋モノマーは、ポリビニルベンゼン、ポリアリル(メチル)アクリレート、ポリ(メタ)アクリレート、及びポリアリルフタレートであり、ここで、「ポリ」は、ジ、トリ、テトラ、及びテトラより大きいことを意味し得る。架橋性モノマーは、0.1~55重量%、好ましくは0.2~20重量%、最も好ましくは0.5~10重量%のモノマーの混合物に組み込まれる。ポリアミドなどの重縮合プロセスによって製造される熱可塑性ポリマーの場合、典型的な架橋剤は、US8546614に開示されているように、2を超える官能基を含む多官能性酸又は多官能性アミンを含む。
【0056】
熱可塑性ポリマーの化学的及び/又は放射線架橋はまた、溶液架橋、反応性押出、反応性射出成形、及び/又は放射線硬化などの重合後プロセスで完了することができる。ポリアミドを架橋するための反応性押出プロセスの例は、EP2219698に開示されている。第1の反応性押出工程において、ポリアミドは、a)架橋又は架橋剤との反応を可能にする少なくとも1つの反応性部位を含む二官能性又は単官能性架橋反応性化合物、又はb)トリアリルイソシアヌレート(TAIC)又はその誘導体のいずれかで修飾される。第2のステップでは、変性ポリアミドは、少なくとも1つの形態のエネルギーで処理することによって架橋反応を受ける。
【0057】
US8480917は、PVDF系のポリマー及び架橋剤の溶液を加熱することによる架橋PVDFの調製を開示している。架橋剤の例は、過酸化ジクミル、過酸化ベンゾリル、ビスフェノールA、メチレンジアミン、エチレンジアミン、イソプロピルエチレンジアミン、1,3-フェニレンジアミン、1,5-ナフタレンジアミン、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミンを含み得る。架橋剤は、ポリマーの重量に基づいて0.1~10重量%で使用される。PVDF系のポリマーが架橋されているかどうかは、動的機械分析(DMA)、示差走査熱量測定、又は溶解度試験によって判定できる。PVDF系のポリマーが架橋されると、ポリマー分子の鎖が互いに結合するため、メチルイソブチルケトンやメチルエチルケトンなどの架橋反応に使用されるような強力な有機溶媒に溶解しない。有機塩基の存在下でフルオロポリマーを架橋するための同様のプロセスは、WO19027899に開示されている。有機塩基の例は以下を含む:1,8-ジアザビシクロ-ウンデカ-7エン、1.5-ジアザビビクロ-ノン-5-エン、テトラメチルグアニジン、トリメチルアミン、ヘキサメチレンジアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、アゼチジン、イソプロピルアミン、プロピルアミン、1,3-プロパンジアミン、ピロリジン、N,N-ジメチルグリシン、ブチルアミン、tert-ブチルアミン、ピペリジン、コリン、ヒドロキノン、シクロヘキシルアミン、ジイソプロピルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、ジエチレントリアミン、4-アミノフェノール。一例では、1,8-ジアザビシクロ-ウンデカ-7エンが、ポリマー重量に基づいて2重量%で使用された。
【0058】
US3923947は、0.1~5重量%の負荷で使用される、ペルオキシ化合物の存在下での反応性押出によってポリエチレンを架橋するプロセスを開示している。適切なペルオキシ化合物は以下を含む:2,5-ジメチル-2,5-ジ(ターシャリーブチルペルオキシ)ヘキシン-3,2,5-ジメチル-2,6-ジ(ターシャリーブチルペルオキシ)ヘキサン、1,3,5-トリ-2-(ターシャリーブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、及び1,3,5-トリ(tertブチルペルオキシ)イソプロピルベンゼン。
【0059】
本発明のバインダーとして使用するために、1つ又は複数の種類の架橋熱可塑性ポリマーの混合物も想定される。すべての場合において、架橋は、熱可塑性ポリマーを相互作用粒子又は繊維と組み合わせてブロック又はモノリスを作る前に起こる。
【0060】
相互作用粒子又は繊維
繊維の形状であり得る1つ又は複数の種類の相互作用粒子は、本発明の架橋熱可塑性ポリマーバインダーと組み合わされる。本発明の相互作用粒子又は繊維は、流体(液体又は気体)組成物中の溶解又は懸濁した材料に近接又は接触したときに、物理的、電気的、又は化学的相互作用を有するものである。相互作用粒子の活性のタイプに応じて、粒子は、化学反応、物理的捕捉、物理的付着、電気的(電荷又はイオン)吸引、又は類似の手段によって、溶解又は懸濁した材料を分離することができる。
【0061】
相互作用粒子又は繊維の例は、以下を含むが、これらに限定されない:410、304、及び316ステンレス鋼の金属粒子、銅、アルミニウム、ニッケル粉末、強磁性体、活性アルミナ、活性カーボン、カーボンナノチューブ、シリカゲル、ガラスビーズ、様々な研磨剤、シリカや二酸化チタンなどの一般的な鉱物、木材チップ、イオン交換樹脂、ゼオライト、セラミック、イオン交換修飾ゼオライト、珪藻土、タルク、グラファイト、カーボンブラック、金属酸化物、リチウムイオン遷移金属塩。有用な微生物学的開始剤の例は、金属塩、特に銀及び銅塩(AgBr、AgCl、及び銀ゼオライトを含む)を含むが、これらに限定されない。他の有用な相互作用粒子又は繊維は、ヒドロキシオキシド鉄(ヒ素の吸着用)、カルシウムヒドロキシアパタイト(フッ素の吸着用)、及びリン酸塩、酸化物、硫酸塩(鉛、ニッケル、その他の有毒金属などの金属の沈殿用)を含む。
【0062】
一実施形態では、2種類の相互作用粒子又は繊維が、本発明のバインダーと組み合わされる(例えば、活性炭とセラミック、活性炭と二酸化チタン、活性炭とヒドロキシパタイト、活性炭とゼオライト、活性炭とイオン交換樹脂、ゼオライトとイオン交換樹脂、金属粒子とグラファイト、金属粒子とカーボンブラック)。
【0063】
本発明の相互作用性粒子又は繊維は、0.1~3,000μmの平均粒子サイズ範囲を有し、任意のアスペクト比を有することができる。球の形をした粒子のアスペクト比は1に近い。繊維は、基本的に長さと幅のアスペクト比に制限がない。繊維は、長さが5mm以下に切り刻まれることが好ましいが、長い繊維をバインダーと一緒に使用して、機械的強度を改善するための繊維強化構造を生成することができる。繊維強化により、多孔質分離物品の強度が向上する。相互作用粒子又は繊維は、粉末混合物を加熱できるように十分な熱伝導率を備えている必要がある。さらに、押出成形又は圧縮成形プロセスでは、両方の物質が溶融するのを防ぎ、通常望ましい多相系ではなく、連続溶融相を生成するため、粒子及び繊維は、架橋熱可塑性ポリマーバインダーよりも十分に高い軟化又は融点を持たなければならない。
【0064】
架橋熱可塑性ポリマーバインダーと相互作用粒子又は繊維との比は、0.5~35重量%乾燥バインダーと65~99.5重量%の相互作用粒子又は繊維、好ましくは0.5~20重量%乾燥バインダーと80~99.5重量%の相互作用粒子又は繊維、より好ましくは、1~10重量%乾燥バインダーと90~99重量%の相互作用粒子又は繊維である。一実施形態では、1~15重量%の乾燥バインダーと85~99重量%の相互作用粒子又は繊維である。より少ないバインダーが使用される場合、完全な相互接続性が達成されない可能性があり、より多くのバインダーが使用される場合、相互作用粒子と分離物品を通過する流体との間の接触が大幅に減少する。
【0065】
本発明の分離物品は、膜とは異なる。膜は、特定のポアサイズを持ち、ポアサイズより大きい粒子が膜を通過するのを防ぐ除去ろ過によって機能する。本発明の分離物品は、代わりに、分離装置を通過する流体から材料を除去するための相互作用粒子による吸着又は吸収に依存している。
【0066】
固体多孔質物品の製造方法
本発明の物品を製造するプロセスは、相互作用性粒子又は繊維、架橋熱可塑性ポリマー、及び任意選択で添加剤を均一なブレンドに混合することを含む。ブレンドは、固体物品を形成するための当技術分野で知られている手段によって物品に形成することができる。本発明の物品を形成するための有用なプロセスには、押出成形、圧縮成形、及びロール圧縮が含まれるが、これらに限定されない。
【0067】
混合プロセス
相互作用粒子とバインダー粒子との混合はUS5,019,311に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。このプロセスは、乾燥形態の、又は水性媒体に懸濁された、微粒子材料からなる少なくとも1つの「バインダー」を、1つ又は複数の種類の相互作用粒子又は繊維と混合することを含む。相互作用する粒子及び繊維は、ほぼすべての粒状、粉末、又は極細材料、あるいは一連の細繊維又は粗繊維で構成することができる。粒子と繊維は、バインダー粒子よりもかなり高い融点又は軟化点を持っている必要がありる。この混合物に、さまざまな添加剤や加工助剤を添加することができる。「添加剤」とは、最終製品の特性に望ましい変化をもたらす材料として定義され、例えば、より弾性又はゴム状の粘稠度を生成する可塑剤、又は強く、もろく、よりセラミックのような最終製品を生成する補強材などである。「加工助剤」とは、潤滑剤など、混合物をより簡単に加工できる材料として定義される。潤滑剤の例はヒュームドシリカである。バインダーは、混合物全体の約1~約30重量%、好ましくは約4~約12%を構成する必要がある。
【0068】
バインダーと相互作用材料(粒子及び/又は繊維)を混合するために通常使用される混合プロセスは、可能な限り均一な最終製品を生成するように設計される。混合装置によって生成される混合物の品質は、プロセスにおいて重要である。コールド混合プロセスでは、通常、最終処理中に強力な複合材料に変換される安定した緻密な混合物を生成するために、かなりのレベルのせん断が必要である。例えば、ボールミル粉砕は、せん断力を高めるための物品を備えた改良型ボールミルで行われなければならないことが多い。プラウミキサーも、材料を「塗りつぶす」物品で改良する必要がある。一般に、粉末混合物(大量の長繊維を含まないもの)は、改良されたボールミル又はプラウミキサーを使用して効果的に混合できるが、繊維と粒子の混合物は、高強度ミンチミキサーで効果的に分散できる。
【0069】
さらに、このプロセスは、混合物内に粒子の特別な分布を必要とすることが推察される。バインダー粒子は、個別に、又は周囲の相互作用粒子の間とその上に小さなクラスターとして分散させる必要がある。バインダー粒子は、ほこりの少ない、動きの遅いマトリックスを生成する効果のため、相互作用粒子に付着する必要がある。この粘着性を補うために、バインダー又は相互作用粒子を微量の界面活性剤又は類似の材料でコーティングする必要がある場合がある。
【0070】
乾式混合プロセスの代わりに、(IR4215)WO/16130410は、熱可塑性ポリマーバインダーの水性分散液との相互作用粒子の混合を開示している。
【0071】
モノリス又はブロック又は固体多孔質物品の形成
US5,019,311に開示されているように、すべての粒子及び成分の混合物は、プラスチックにしばしば適用されるいくつかの従来の任意のプロセスを含み得る手順によって、本発明に従って処理される。これらには、2次元の均一な形状の物体を作成するための押出、材料の薄いシート又は厚いスラブを作成するための熱間圧延圧縮、又は複雑なバルク形状を作成するための圧縮又は射出成形が含まれる。
【0072】
相互作用粒子又は繊維の固定化又は強制点結合の形成を達成するために、プラスチック成形、押出、ロール圧縮、又は他の成形装置は、必要なシーケンスで加えられた圧力、温度、及びせん断の肝心な組み合わせが得られるように操作される。
【0073】
US5,019,311、US5,331,037に開示されているように、粒子状ブレンドをブロック又はモノリスに変えるために使用されるプロセスは、ポリマーバインダーの軟化点又は融点を十分に超える温度(通常20~40℃)にブレンドを加熱することを含む。プロセス中に加えられる圧力及びせん断と組み合わせて、そのような温度は、熱可塑性ポリマーバインダーが結合点として機能する薄膜に「塗りつぶす」ことを可能にする。
【0074】
本発明において、架橋熱可塑性ポリマーバインダーの使用は、バインダー粒子の「塗りつぶし」を阻害するか、又は少なくとも最小限に抑える。結合点を効果的に作成するのに十分なポリマー変形がバインダー粒子の外側にあるだけであるが、粒子の大部分は移動性が制限される。これは、相互作用する粒子又は繊維のファウリングを最小限に抑える上で大きな利点を生み出す。
【0075】
ブロックを作製するプロセスの速度は、主に、熱が粒子の混合物に移動することができる速度によって制限される。標準的な非架橋熱可塑性ポリマーとは対照的に、架橋熱可塑性ポリマーバインダーは、軟化温度からそれより20℃高い、又はそれより40℃高い、それより70℃高い、それより80℃高い、又はそれより100℃高い温度までの幅広い温度で処理でき、そして、一貫した結合効率と非常に低いファウリングを提供する。押出プロセスにおいて、本発明の組成物は、毎分5インチを超える、好ましくは毎分8インチを超える、より好ましくは毎分10インチを超える、最も好ましくは毎分15インチを超える押出速度で、広範囲のサイズのブロックに変えることができる。圧縮成形プロセスにおいて、本発明の組成物は、60分未満、好ましくは30分未満、より好ましくは20分未満、最も好ましくは10分未満又は5分未満のプロセスサイクルタイムにおいて、広範囲のサイズのブロックに変えることができる。例えば、ブロックは、0.5インチ~50インチ、好ましくは1~20インチ、より好ましくは2~10インチの範囲の外径を有する円筒形であり得る。
【0076】
ブロックのサイズ及び形状は、標的用途に応じて変化し得る。ブロックは、任意の形状とサイズにすることができる。典型的な例は、直径が1インチを超える、好ましくは2インチを超える、より好ましくは5インチを超える、最も好ましくは10インチを超える円筒形のブロックである。別の典型的な例は、外径が1インチを超える、好ましくは2インチを超える、より好ましくは5インチを超える、最も好ましくは10インチを超える、内径が0.1インチを超える、好ましくは0.2インチを超える、より好ましくは0.5インチを超える、最も好ましくは1インチを超える環状のブロックである。
【0077】
用途
本発明の物品は、流体のろ過、分離、又は貯蔵に使用することができる。また、電池やコンデンサーの電極など、エネルギー貯蔵装置の一部にも使用できる。ろ過物品は、物品を通過する流体から不要な物質を浄化及び除去することができ、その結果、さまざまな商業又は消費者用途で使用されるより純粋な流体が得られる。物品はまた、流体の流れから材料を捕捉及び濃縮するために使用することができ、これらの捕捉された材料は、その後、さらなる使用のために分離物品から取り出される。装置は、飲料水の浄化(温水及び冷水)だけでなく、工業用途にも使用できる。工業用途とは、高温(50℃を超える、75℃を超える、100℃を超える、125℃を超える、さらに150℃を超える、又はポリマーバインダーの融点まで)での使用;有機溶媒での使用、及び生物学的に浄化及び純化の用途を意味する。
【0078】
本発明の熱可塑性バインダーの架橋性のために、強力な有機化学物質に対する耐性、優れた機械的及び熱機械的特性を含む、標準的な熱可塑性ポリマーに対して顕著な利点を提供する。例えば、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、又はN-メチル-2-ピロリドンに対するブロックの耐薬品性は、ASTM D543で測定でき、ここで、架橋熱可塑性ポリマーで作られたブロックは、0.5~3%のひずみにさらされ、その間に、有機化学物質は、ブロックの表面にピペットを使用して、表面が2~24時間濡れたままになるのに十分な頻度で適用される。ブロックがその機械的完全性を保持している場合、有機化学物質に対する耐性は良好であると見なされ、これは、単純な合格/不合格として定義され、化学物質への暴露直後にブロック構造に付着していないブロック組成が20重量%を超えると、機械的完全性が失われる。熱機械特性は、ASTM D4440-01又はISO6721パート10に準拠した動的機械分析によって、0.1Hz又は1Hzの周波数で測定され、ここで、G’及びG”係数は温度の関数として取得される。G’とG”が200~250℃の間に頭打ちになる場合、優れた熱機械的特性が得られる。
【0079】
本発明の物品は、様々な異なる要求の厳しい環境で使用することができる。高温、高反応性、腐食性又は酸性環境、無菌環境、生物剤との接触は、本発明の分離物品が他の非架橋熱可塑性ポリマーバインダーシステムに対して明確な利点を有する環境である。
【0080】
本発明の物品は、任意のサイズ又は任意の形状であり得る。一実施形態では、物品は、任意の長さの連続押出によって形成された中空管である。水又はその他の流体は、圧力下でチューブの外側を流れ、チューブの外側から内側にろ過され、フィルターを通過した後に収集される。
【0081】
本発明のいくつかの物品には、以下が含まれるが、これらに限定されない:
a.オイルフィルター(複合ラテックスをろ紙にコーティングできる)。
b.重金属の削減、抗菌剤の削減、イオン汚染物質の削減、医薬品の削減を含むカーボンブロックろ過システム
c.イオン交換膜又はカラム。
d.化学反応を促進するための触媒媒体。
e.医薬品及び生物学的有効成分の生物分離及び回収。
f.他のガス、及び水性と非水性媒体に溶解したガスの両方、及びガス中に懸濁した粒子の、からのガス分離。
g.特に非常に酸性の環境での煙道ガス用の化学スクラバー。
h.耐薬品性の防護服とカバー。
i.スケール防止の増強と有機汚染物質の除去のための温水プロセス(>80℃)ろ過。
j.自動車の排気ろ過。
k.閉ループ工業用水システム。
l.工業用水処理。
m.温室効果ガスの排気、排気、煙突の捕捉。
n.汚染された地下水の処理。
o.塩水と食塩水の飲料水への処理。
p.粒子フィルターとしての使用。
q.オゾン暴露の処理
r.ガス貯蔵
s.ガス輸送
t.以下の浄化及び/又はろ過:
-脂肪族溶媒、
-強酸、
-高温(>80℃)の化合物、
-炭化水素、
-フッ化水素酸、
-ディーゼル及びバイオディーゼル燃料、
-ケトン、
-アミン、
-強塩基、
-「発煙」酸、
-強力な酸化剤、
-芳香族化合物、エーテル、ケトン、グリコール、ハロゲン、エステル、アルデヒド、及びアミン、
-ベンゼン、トルエン、ブチルエーテル、アセトン、エチレングリコール、二塩化エチレン、酢酸エチル、ホルムアルデヒド、ブチルアミンなどの化合物。
u.塩水、井戸水、地表水のろ過を含む飲料水のろ過。
v.蒸発制御装置。
w.炭化水素エネルギー貯蔵装置
x.水性、非水性、及びガス状の懸濁液又は溶液からの無機及びイオン種(水素、アルミニウム、カルシウム、リチウム、ナトリウム、及びカリウムの陽イオンを含むがこれらに限定されない);硝酸塩、シアン化物、塩素の陰イオン;金属(クロム、亜鉛、鉛、水銀、銅、銀、金、プラチナ、鉄、その他の貴金属又は重金属及び金属イオンを含むがこれらに限定されない);塩(塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウムを含むがこれらに限定されない)の除去;並びに水溶液及び懸濁液からの有機化合物の除去。
【0082】
例示的な使用のリスト、及び本明細書の記載に基づいて、当業者は、本発明の物品の他の多種多様な使用を想像することができる。
【0083】
側面1:a)1つ又は複数の種類の相互作用粒子及びb)相互作用粒子及び架橋熱可塑性ポリマーバインダー粒子の総重量に基づいて、0.5~30%、好ましくは1~20重量%の1つ又は複数の種類の架橋熱可塑性ポリマーバインダー粒子を含む組成物。
【0084】
側面2:前記相互作用粒子は、金属粒子、活性アルミナ、活性炭、カーボンナノチューブ、シリカゲル、ガラスビーズ、シリカ、二酸化チタン、木材チップ、イオン交換樹脂、イオン交換修飾ゼオライト及び銀修飾ゼオライトを含むゼオライト、セラミック、珪藻土、タルク、グラファイト、カーボンブラック、金属酸化物、銀及び銅塩などのリチウムイオン遷移金属塩、カルシウムヒドロキシアパタイト、リン酸塩、酸化物並びに硫酸塩から選択される、側面1に記載の組成物。
【0085】
側面3:前記相互作用粒子は、活性炭、ゼオライト、セラミック、ヒドロキシアパタイト、二酸化チタンからなる群から選択される、側面1に記載の組成物。
【0086】
側面4:前記相互作用粒子は活性炭を含む、側面1に記載の組成物。
【0087】
側面5:前記架橋熱可塑性ポリマーは、フルオロポリマー、ポリアミド、アクリルポリマー、ポリアミド、ポリウレタン、スチレンポリマー、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、及び熱可塑性ポリウレタンからなる群から選択される、側面1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【0088】
側面6:前記架橋熱可塑性ポリマーは、フルオロポリマー、ポリアミド、アクリルポリマー、スチレンポリマー、ポリオレフィン、ポリエステルから選択される、側面1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【0089】
側面7:前記架橋熱可塑性ポリマーバインダー粒子はフルオロポリマーを含み、前記フルオロポリマーは、フッ化ビニリデンホモポリマー及びコポリマー、テトラフルオロエチレンホモポリマー及びコポリマー、又はクロロトリフルオロエチレンホモポリマー及びコポリマーからなる群から選択される、側面1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【0090】
側面8:前記架橋熱可塑性ポリマーバインダー粒子はポリアミドを含み、前記ポリアミドは、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,12、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリエーテル-b-ポリアミドのブロックコポリマー、又はポリエステル-b-ポリアミドからなる群から選択される、側面1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【0091】
側面9:前記架橋熱可塑性ポリマーバインダー粒子はアクリルポリマーを含み、前記アクリルポリマーは、メタクリレート又はアクリレートモノマーを含むホモポリマー及びコポリマーからなる群から選択される、側面1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【0092】
側面10:前記スチレンポリマーは、スチレン又はアルファメチルスチレンモノマーを含むホモポリマー及びコポリマーからなる群から選択される、側面1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【0093】
側面11:前記ポリオレフィンは、エチレン又はプロピレンモノマーを含むホモポリマー及びコポリマーからなる群から選択される、側面1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【0094】
側面12:前記ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びポリ乳酸からなる群から選択される、側面1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【0095】
側面13:前記架橋熱可塑性ポリマー粒子はコアシェル構造を有する、側面1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【0096】
側面14:前記架橋熱可塑性ポリマーは、ASTM D-3835に準拠して230℃と100秒-1で、20Kpoiseよりも大きい、好ましくは40Kpoiseよりも大きい、より好ましくは50Kpoiseよりも大きい溶融粘度を有する、側面1~13のいずれか1項に記載の組成物。
【0097】
側面15:前記架橋熱可塑性ポリマーは、230℃の温度及び0.1Hzの周波数でASTM D4440-01により測定された場合、108-1を超える複素粘度を有する、側面1~14のいずれか1項に記載の組成物。
【0098】
側面16:前記架橋熱可塑性ポリマー粒子は、ASTM D543に従って24浸漬した後、メチルエチルケトンへの溶解度が20%未満、好ましくは10%未満、最も好ましくは5%未満である、側面1~15のいずれか1項に記載の組成物。
【0099】
側面17:前記架橋熱可塑性ポリマー粒子は、ASTM D543に従って24時間浸漬した後、テトラヒドロフランへの溶解度が10%未満である、側面1~16のいずれか1項に記載の組成物。
【0100】
側面18:前記架橋熱可塑性ポリマー粒子は、ASTM D543に従って24時間浸漬した後、N-メチル-2-ピロリドンへの溶解度が10%未満である、側面1~17のいずれか1項に記載の組成物。
【0101】
側面19:前記架橋熱可塑性ポリマー粒子は、1μm~250μm、好ましくは5~30μmの平均粒子サイズを有する粉末の形態である、側面1~18のいずれか1項に記載の組成物。
【0102】
側面20:前記架橋熱可塑性ポリマー粒子は、離散した熱可塑性ポリマー粒子の凝集体からなる粉末の形態であり、離散粒子の平均粒子サイズは、20nm~10μm、好ましくは50nm~1μm、最も好ましくは80nm~500nmである、側面1~19のいずれか1項に記載の組成物。
【0103】
側面21:前記架橋熱可塑性ポリマー粒子は、20nm~250μm、好ましくは100nm~150μm、より好ましくは200nm~30μm、最も好ましくは200nm~20μmの平均粒子サイズを有する、側面1~19のいずれか1項に記載の組成物。
【0104】
側面22:前記組成物は、少なくとも75重量%の相互作用粒子及び1~25重量%の架橋熱可塑性ポリマー粒子、好ましくは少なくとも80%の相互作用粒子及び2~20%の架橋熱可塑性ポリマー粒子、最も好ましくは少なくとも85重量%の相互作用粒子及び1~15%の架橋熱可塑性ポリマー粒子を含む、側面1~19のいずれか1項に記載の組成物。
【0105】
側面23:前記組成物は、可塑剤及び潤滑剤からなる群から選択される添加剤をさらに含む、側面1~22のいずれか1項に記載の組成物。
【0106】
側面24:a)少なくとも70重量%の相互作用粒子、及びb)物品の総重量に基づいて、0.5~30重量%の架橋熱可塑性ポリマーバインダー粒子を含む、固体多孔質物品。
【0107】
側面25:前記相互作用粒子は、金属粒子、活性アルミナ、活性炭、カーボンナノチューブ、シリカゲル、ガラスビーズ、シリカ、二酸化チタン、木材チップ、イオン交換樹脂、イオン交換修飾ゼオライト及び銀修飾ゼオライトを含むゼオライト、セラミック、珪藻土、タルク、グラファイト、カーボンブラック、金属酸化物、銀及び銅塩などのリチウムイオン遷移金属塩、カルシウムヒドロキシアパタイト、リン酸塩、酸化物並びに硫酸塩から選択される、側面24に記載の固体多孔質物品。
【0108】
側面26:前記相互作用粒子は、活性炭、ゼオライト、セラミック、ヒドロキシアパタイト、二酸化チタンからなる群から選択される、側面24に記載の固体多孔質物品。
【0109】
側面27:前記相互作用粒子は活性炭を含む、側面24に記載の固体多孔質物品。
【0110】
側面28:前記架橋熱可塑性ポリマーは、フルオロポリマー、ポリアミド、アクリルポリマー、ポリアミド、ポリウレタン、スチレンポリマー、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、及び熱可塑性ポリウレタンからなる群から選択される、側面24~27のいずれか1項に記載の固体多孔質物品。
【0111】
側面29:前記架橋熱可塑性ポリマーは、フルオロポリマー、ポリアミド、アクリルポリマー、スチレン系ポリマー、ポリオレフィン、ポリエステル、及びそれらの組み合わせから選択される、側面24~27のいずれか1項に記載の固体多孔質物品。
【0112】
側面30:前記架橋熱可塑性ポリマーバインダー粒子はフルオロポリマーを含み、前記フルオロポリマーは、フッ化ビニリデンホモポリマー及びコポリマー、テトラフルオロエチレンホモポリマー及びコポリマー、又はクロロトリフルオロエチレンホモポリマー及びコポリマーからなる群から選択される、側面24~27のいずれか1項に記載の固体多孔質物品。
【0113】
側面31:前記架橋熱可塑性ポリマーバインダー粒子はポリアミドを含み、前記ポリアミドは、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,12、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリエーテル-b-ポリアミドのブロックコポリマー、又はポリエステル-b-ポリアミドからなる群から選択される、側面24~27のいずれか1項に記載の固体多孔質物品。
【0114】
側面32:前記架橋熱可塑性ポリマーバインダー粒子はアクリルポリマーを含み、前記アクリルポリマーは、メタクリレート又はアクリレートモノマーを含むホモポリマー及びコポリマーからなる群から選択される、側面24~27のいずれか1項に記載の固体多孔質物品。
【0115】
側面33:前記スチレンポリマーは、スチレン又はアルファメチルスチレンモノマーを含むホモポリマー及びコポリマーからなる群から選択される、側面24~27のいずれか1項に記載の固体多孔質物品。
【0116】
側面34:前記ポリオレフィンは、エチレン又はプロピレンモノマーを含むホモポリマー及びコポリマーからなる群から選択される、側面24~27のいずれか1項に記載の固体多孔質物品。
【0117】
側面35:前記ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びポリ乳酸からなる群から選択される、側面24~27のいずれか1項に記載の固体多孔質物品。
【0118】
側面36:前記架橋熱可塑性ポリマー粒子はコアシェル構造を有する、側面24~27のいずれか1項に記載の固体多孔質物品。
【0119】
側面37:前記架橋熱可塑性ポリマーは、ASTM D-3835に準拠して230℃と100秒-1で、20Kpoiseよりも大きい、好ましくは40Kpoiseよりも大きい、より好ましくは50Kpoiseよりも大きい溶融粘度を有する、側面24~36のいずれか1項に記載の固体多孔質物品。
【0120】
側面38:前記架橋熱可塑性ポリマーは、230℃の温度及び0.1Hzの周波数でASTM D4440-01により測定された場合、108-1を超える複素粘度を有する、側面24~37のいずれか1項に記載の固体多孔質物品。
【0121】
側面39:前記架橋熱可塑性ポリマー粒子は、ASTM D543に従って24時間浸漬した後、メチルエチルケトンへの溶解度が20%未満、好ましくは10%未満、最も好ましくは5%未満である、側面24~38のいずれか1項に記載の固体多孔質物品。
【0122】
側面40:前記架橋熱可塑性ポリマー粒子は、ASTM D543に従って24時間浸漬した後、テトラヒドロフランへの溶解度が10%未満である、側面24~39のいずれか1項に記載の固体多孔質物品。
【0123】
側面41:前記架橋熱可塑性ポリマー粒子は、ASTM D543に従って24時間浸漬した後、N-メチル-2-ピロリドンへの溶解度が10%未満である、側面24~40のいずれか1項に記載の固体多孔質物品。
【0124】
側面42:前記架橋熱可塑性ポリマー粒子は、1μm~250μm、好ましくは5~30μmの平均粒子サイズを有する粉末の形態である、側面24~41のいずれか1項に記載の固体多孔質物品。
【0125】
側面43:前記架橋熱可塑性ポリマー粒子は、離散した熱可塑性ポリマー粒子の凝集体からなる粉末の形態であり、離散粒子の平均粒子サイズは、20nm~10μm、好ましくは50nm~1μm、最も好ましくは80nm~500nmである、側面24~42のいずれか1項に記載の固体多孔質物品。
【0126】
側面44:前記架橋熱可塑性ポリマー粒子は、粉末の形態であり、粉末の平均粒子サイズは、1μm~250μmである、側面24~42のいずれか1項に記載の固体多孔質物品。
【0127】
側面45:前記組成物は、前記物品の重量に基づいて、少なくとも75重量%の相互作用粒子及び1~25重量%の架橋熱可塑性ポリマー粒子、好ましくは少なくとも80%の相互作用粒子及び2~20%の架橋熱可塑性ポリマー粒子、最も好ましくは少なくとも85重量%の相互作用粒子及び1~15%の架橋熱可塑性ポリマー粒子を含む、側面24~44のいずれか1項に記載の固体多孔質物品。
【0128】
側面46:前記組成物は、可塑剤及び潤滑剤からなる群から選択される添加剤をさらに含む、側面24~45のいずれか1項に記載の固体多孔質物品。
【0129】
側面47:以下のステップを含む固体多孔質物品を形成するためのプロセス:
a)側面1~23のいずれか1項に記載の組成物を提供すること、
b)熱と圧力を加えて固体多孔質物品を形成すること。
【0130】
側面48:ステップb)は、圧縮成形又は押出によって達成される、側面47に記載のプロセス。
【0131】
側面49:押出速度は、毎分5インチを超え、好ましくは毎分8インチを超え、より好ましくは毎分10インチを超え、最も好ましくは毎分15インチを超える、側面48に記載のプロセス。
【0132】
側面50:圧縮成形時間は、60分未満、好ましくは30分未満、より好ましくは20分未満、最も好ましくは10分未満又は5分未満である、側面48に記載のプロセス。
【0133】
側面51:前記固体多孔質物品は、外径が0.5インチ~50インチ、好ましくは0.1~20インチ、より好ましくは0.25~10インチ、さらにより好ましくは0.5~7インチ、又は1~20インチ、好ましくは2~10インチの範囲の円筒形である、側面47~50のいずれか1項に記載のプロセス。
【0134】
側面52:ステップa)は、少なくとも1つの架橋剤の存在下で架橋熱可塑性ポリマーを調製することを含む、側面47~51のいずれか1項に記載のプロセス。
【0135】
側面53:ステップa)は、放射線源の存在下で架橋熱可塑性ポリマーを調製することを含む、側面47~52のいずれか1項に記載のプロセス。
【0136】
側面54:前記架橋剤は、ポリビニルベンゼン、ポリアリル(メチル)アクリレート、ポリ(メタ)アクリレート、及びポリアリルフタレートからなる群から選択される、側面52に記載のプロセス。
【0137】
側面55:前記放射線源は、紫外線、ガンマ線、電子ビームからなる群から選択される、側面53に記載のプロセス。
【0138】
側面56:以下のステップを含む、流体の成分を分離するための方法:a)側面24~45のいずれか1項に記載の固体多孔質物品を提供すること、及びb)流体を前記物品に通し、前記流体の選択された成分が前記物品内に留まること。
【0139】
側面57:前記流体は、ガス、水、有機溶媒、医薬品及び生物学的製剤からなる群から選択される、側面56に記載の方法。
【0140】
側面58:以下のステップを含む、ガス貯蔵の方法:a)側面24~45のいずれか1項に記載の固体多孔質物品を提供すること(前記多孔質物品は、少なくとも1つの入口及び任意選択で少なくとも1つの出口を有する容器で格納される)、及びb)前記固体多孔質物品をその中に格納する前記容器の前記入口に、圧力下でガスを供給すること(前記ガスの総重量の少なくとも50重量%が前記多孔質物品の体積内に保持され、前記容器は加圧ガスを保持することができるものである)。
【0141】
側面59:前記ガスは、希ガス、炭化水素、水素系ガス、メタン、天然ガス、CO2、CO、O2、N2、フッ素化ガス、ハロゲン化ガス、シラン、ホスフィン、ホスゲン、三ハロゲン化ホウ素から成る群から選択される、側面58に記載の方法。
【0142】
側面60:前記容器は、少なくとも14.7psiから最大30psi、好ましくは最大100psi、好ましくは最大1000psi、好ましくは最大3000psi、好ましくは最大5000psiの圧力で加圧ガスを保持することができる、側面57又は58に記載の方法。
【実施例
【0143】
試験方法:
活性炭などの媒体の粒子サイズは、TYLER RX-29ふるい振とう機を使用して測定される。データは、重量平均粒子サイズ又は公称「m×n」サイズのいずれかとして報告され、ここで、少なくとも90重量%の粒子は「n」メッシュよりも大きく、少なくとも90重量%の粒子は「m」メッシュよりも小さい。
【0144】
ポリマー粉末の粒子サイズは、Malvern Masturizer 2000粒子サイズ分析器を使用して測定される。データは、重量平均粒子サイズ(直径)として報告される。
【0145】
粉末/ラテックス平均離散粒子サイズは、NICOMP(商標)380サブミクロン粒子サイザーを使用して測定される。データは、重量平均粒子サイズ(直径)として報告される。
【0146】
材料のBET比表面積、細孔容積、及び細孔サイズ分布は、QUANTACHROMEのNOVA-Eガス収着装置を使用して決定される。窒素の吸着と脱着の等温線は77Kで生成される。マルチポイントBrunauer-Emmett-Teller(BET)窒素吸着法は、比表面積を特徴づけるために使用される。非局所密度汎関数理論(Nonlocal Density Functional Theory、NLDFT、N2、77k、スリット細孔モデル)は、細孔容積と細孔サイズ分布を特徴づけるために使用される。
【0147】
材料又はブロックのかさ密度測定は、材料又はブロックを真空下110℃で8時間乾燥させた後、既知の体積に格納される材料又はブロックの重量を測定することによって行われる。
【0148】
材料又はブロックの気孔率は、次のように計算される:気孔率=1-(かさ密度/骨格密度)。ファウリングされた細孔の割合:活性媒体のファウリング率は、活性媒体がブロックに変わったときの活性媒体の1gあたりのBET表面積の損失率である。それは、[1-(ブロックのBET比表面積×100)/(吸着剤のBET比表面積×ブロック内の吸着剤の重量%)]×100として計算される。
【0149】
ポリマーバインダーの化学的溶解度は、メチルイソブチルケトン、又はメチルエチルケトン、又はN-メチル-2-ピロリドンなどの有機化学物質を使用して、ASTM D543によって決定される。1gの架橋熱可塑性ポリマーが50gの有機化学物質に室温で2時間、10時間、又は24時間浸漬することにより曝露されると、ポリマーは溶媒に溶解せず、代わりに膨潤して、0.5μmのPTFEフィルターでろ過することはできないゲル状の材料を形成する。ポリマーの20重量%未満又は10重量%未満又は5重量%未満がろ過された溶液中に存在する場合、ポリマーは架橋ポリマーと見なされる。
【0150】
ポリマーの複素粘度は、ASTM D4440-01又はISO6721パート10によって0.1Hz又は1Hzの周波数で測定される。これは動的機械分析であり、サンプルは平行平板振動レオメーターに入れられ、温度は室温から毎分5℃の速度で250℃に上げられ、次に、温度が毎分2℃、5℃、10℃、又は20℃の速度で室温に戻しながら、複素粘度を温度の関数として測定する。
【0151】
ブロックの機械的強度は視覚的に評価され、「合格」又は「不合格」の結果が与えられる。「合格」とは、ブロックを平らな面に置いたときに構造的に安定していることを意味し、「不合格」とは、ブロックが一緒に保持されず、少なくとも部分的に崩れることを意味する。
【0152】
例:
粉末ブレンドは、Jacobi CXココナッツ殻活性炭を1つ又は複数の熱可塑性ポリマーバインダーと乾式混合することによって形成される。活性炭は、公称80×325メッシュの粒子サイズ、約0.3~0.4g/ccのかさ密度、1150の比表面積BET(m2/g)、及び0.67~0.92の気孔率を有する。
【0153】
実施例1で使用されるバインダーは、架橋剤としてのメタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、及びメタクリル酸アリルの懸濁重合によって作製された架橋粒子である。実施例2で使用されるバインダーは、連続乳化重合によって作製された3層のコアシェル粒子であり、内層はポリ(メチルメタクリレート)でできており、中間層はアクリル酸ブチル、スチレン、メタクリル酸アリルでできた架橋ポリマーで、外層はポリ(メタクリル酸メチル)でできている。比較例1bで使用されるバインダーは、架橋剤の非存在下でのメタクリル酸メチル及びアクリル酸エチルの懸濁重合によって作製された非架橋粒子である。
【0154】
バインダーは、ASTM D4440に従った動的機械分析(DMA)によって特徴づけられた。材料の粘度は、0.1Hzの一定周波数で温度の関数として測定された。すべての例の架橋バインダーは、230℃の温度で107-1より高い粘度を示したが、比較例で使用された非架橋バインダーは、230℃の温度で107-1より低い粘度を示した。バインダーの化学的溶解度は、ASTM D543によって、メチルイソブチルケトン、又はメチルエチルケトンで試験された。実施例で使用されたすべての架橋バインダーは、24時間の浸漬後に化学物質に不溶性であることが分かったが、比較例で使用された非架橋バインダーは、1時間以内に両方の化学物質に溶解した。
【0155】
以下の表は、各実施例で使用されるバインダー、全混合物の重量パーセントでのそれらのロード、バインダー粉末の平均粒子サイズ、バインダーの平均離散粒子サイズ、及び230℃と0.1Hzにおけるバインダーの溶融粘度を示す。粉末の混合は、KitchenAid(登録商標)Artisanシリーズ5-Quart Tiltヘッドスタンドミキサーで、フラットビーターアタッチメントを使用して、「攪拌」速度で20分間実現される。次に、粉末ブレンドを「T(熱)」で30分間加熱し、続いてコールドショッププレスを使用してシリンダー型に圧縮成形することにより、粉末ブレンドを自立型の多孔質物品に圧縮成形した。構造物のかさ密度が約0.68g/ccになるように、多孔質物品の設定された高さに達するように圧力が加えられた。物品の気孔率が測定され、炭素のファウリング率が計算され、表に報告される。炭素のファウリング%は、流体ろ過又は流体貯蔵における標的用途を意図したとき、流体中の分子を吸着する炭素の能力を低下させるので望ましくない。
【0156】
架橋熱可塑性バインダーで作られた物品の気孔率は、最初の炭素粉末の気孔率と実質的に同一であり、0%に近い、又は1%未満、0.4%未満、0.3%未満、又は0.1%未満のファウリングに相当する。これは、そのようなバインダーには、物品の圧縮成形中に流動する能力がないためである。対照的に、比較例1bの非架橋熱可塑性プラスチックは、著しく低い気孔率、したがって炭素のはるかに高いファウリングを有する物品をもたらす。これは、そのようなバインダーが物品の圧縮成形中に炭素表面上に流れ、炭素細孔の一部に流れ込む場合があるという事実によるものである。さらに、バインダーは型の表面に流れて金属に付着する傾向があり、物品を壊さずに離型することを困難にする。
【0157】
【表1】
【0158】
【表2】
【手続補正書】
【提出日】2022-03-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)1つ又は複数の種類の相互作用粒子及びb)相互作用粒子及び架橋熱可塑性ポリマーバインダー粒子の総重量に基づいて、0.5~30重量%、好ましくは1~20重量%の1つ又は複数の種類の架橋熱可塑性ポリマーバインダー粒子を含む組成物。
【請求項2】
前記相互作用粒子は、金属粒子、活性アルミナ、活性炭、カーボンナノチューブ、シリカゲル、ガラスビーズ、シリカ、二酸化チタン、木材チップ、イオン交換樹脂、イオン交換修飾ゼオライト及び銀修飾ゼオライトを含むゼオライト、セラミック、珪藻土、タルク、グラファイト、カーボンブラック、金属酸化物、銀及び銅塩などのリチウムイオン遷移金属塩、カルシウムヒドロキシアパタイト、リン酸塩、酸化物並びに硫酸塩から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記相互作用粒子は、活性炭、ゼオライト、セラミック、ヒドロキシアパタイト、及び二酸化チタンからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記相互作用粒子は活性炭を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記架橋熱可塑性ポリマーは、フルオロポリマー、ポリアミド、アクリルポリマー、スチレンポリマー、ポリオレフィン、ポリエステルから選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記架橋熱可塑性ポリマーバインダー粒子はフルオロポリマーを含み、前記フルオロポリマーは、フッ化ビニリデンホモポリマー、フッ化ビニリデンコポリマー、テトラフルオロエチレンホモポリマー、テトラフルオロエチレンコポリマー、又はクロロトリフルオロエチレンホモポリマー及びクロロトリフルオロエチレンコポリマーからなる群から選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記架橋熱可塑性ポリマー粒子は、コアシェル構造を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記架橋熱可塑性ポリマーは、230℃の温度及び0.1Hzの周波数でASTM D4440-01により測定された場合、108-1を超える複素粘度を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記架橋熱可塑性ポリマー粒子は、1μm~250μm、好ましくは5~30μmの平均粒子サイズを有する粉末の形態である、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記架橋熱可塑性ポリマー粒子は、20nm~250μm、好ましくは100nm~150μm、より好ましくは200nm~30μm、最も好ましくは200nm~20μmの平均粒子サイズを有する、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
a)少なくとも70重量%の相互作用粒子、及びb)物品の総重量に基づいて、0.5~30重量%の架橋熱可塑性ポリマーバインダー粒子を含む、固体多孔質物品。
【請求項12】
前記相互作用粒子は、金属粒子、活性アルミナ、活性炭、カーボンナノチューブ、シリカゲル、ガラスビーズ、シリカ、二酸化チタン、木材チップ、イオン交換樹脂、イオン交換修飾ゼオライト及び銀修飾ゼオライトを含むゼオライト、セラミック、珪藻土、タルク、グラファイト、カーボンブラック、金属酸化物、銀及び銅塩などのリチウムイオン遷移金属塩、カルシウムヒドロキシアパタイト、リン酸塩、酸化物並びに硫酸塩から選択される、請求項11に記載の固体多孔質物品。
【請求項13】
前記架橋熱可塑性ポリマーは、フルオロポリマー、ポリアミド、アクリルポリマー、ポリアミド、ポリウレタン、スチレンポリマー、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、及び熱可塑性ポリウレタンからなる群から選択される、請求項11又は12に記載の固体多孔質物品。
【請求項14】
前記架橋熱可塑性ポリマーは、230℃の温度及び0.1Hzの周波数でASTM D4440-01により測定された場合、108-1を超える複素粘度を有する、請求項11~13のいずれか1項に記載の固体多孔質物品。
【請求項15】
前記架橋熱可塑性ポリマー粒子は、離散した熱可塑性ポリマー粒子の凝集体からなる粉末の形態であり、離散粒子の平均粒子サイズは、20nm~10μm、好ましくは50nm~1μm、最も好ましくは80nm~500nmである、請求項11~14のいずれか1項に記載の固体多孔質物品。
【請求項16】
以下のステップを含む、流体の成分を分離するための方法:a)請求項11~15のいずれか1項に記載の固体多孔質物品を提供すること、及びb)流体を前記物品に通し、前記流体の選択された成分が前記物品内に留まること。
【請求項17】
前記流体は、ガス、水、有機溶媒、医薬品及び生物学的製剤からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記相互作用粒子が活性炭を含む、請求項11に記載の固体多孔質物品。
【国際調査報告】