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特表2022-539567電気外科装置で使用される取り外し可能チップ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-12
(54)【発明の名称】電気外科装置で使用される取り外し可能チップ
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20220905BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577884
(86)(22)【出願日】2020-07-02
(85)【翻訳文提出日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 US2020040599
(87)【国際公開番号】W WO2021003332
(87)【国際公開日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】16/460,048
(32)【優先日】2019-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/598,860
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521566841
【氏名又は名称】アレクサンダー、ジャミソン
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー、ジャミソン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK36
4C160KK37
4C160KK70
(57)【要約】
電気外科装置の様々な実施例が本明細書に開示されている。一実施例では、電気外科用具で使用される取り外し可能チップは、近位端及び遠位端をそれぞれ有する第1のチップ部材及び第2のチップ部材と、第1及び第2のチップ部材の遠位端が互いに近接している閉位置と第1及び第2のチップ部材の遠位端が互いに距離を空けて分離している開位置との間で第1及び第2のチップ部材を動かすアクチュエータであって、第1のチップ部材の一部を含む第1の作動部材、及び第2チップ部材の一部を含む第2の作動部材を含むアクチュエータと、チップ部材の近位端と連結された挿入部材であって、電気外科用具の開口部内に取り外し可能チップを挿入する挿入部材とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気外科用具で使用される取り外し可能チップであって、
近位端及び遠位端を有する第1のチップ部材と、
近位端及び遠位端を有する第2のチップ部材であって、前記第2のチップ部材の前記近位端が前記第1のチップ部材の前記近位端と直接連結される第2のチップ部材と、
前記第1のチップ部材の前記遠位端及び前記第2のチップ部材の前記遠位端が互いに近接している閉位置と、前記第1のチップ部材の前記遠位端及び前記第2のチップ部材の前記遠位端が互いに距離を空けて分離している開位置との間で、前記第1及び第2のチップ部材を動かすアクチュエータであって、前記第1のチップ部材の一部を含む第1の作動部材及び前記第2チップ部材の一部を含む第2の作動部材を含むアクチュエータと、
前記第1及び第2のチップ部材の前記近位端と直接連結された挿入部材であって、前記電気外科用具の開口部内に前記取り外し可能チップを挿入する挿入部材と
を備えた取り外し可能チップ。
【請求項2】
前記挿入部材が、前記電気外科ユニット内に完全に挿入され、配置されると、前記電気外科用具の前記開口部内で回転可能である、請求項1に記載の取り外し可能チップ。
【請求項3】
前記アクチュエータが、前記第1の作動部材及び前記第2の作動部材の少なくとも外側表面にコーティングを含む、請求項1に記載の取り外し可能チップ。
【請求項4】
前記コーティングがゴムを含む、請求項3に記載の取り外し可能チップ。
【請求項5】
前記コーティングがポリマーを含む、請求項3に記載の取り外し可能チップ。
【請求項6】
軸方向圧力が前記第1の作動部材及び前記第2の作動部材の両方に加えられるとき、前記第1及び第2の作動部材の前記遠位端が、互いから離れて前記開位置に動くように構成されている、請求項1に記載の取り外し可能チップ。
【請求項7】
軸方向圧力が前記第1の作動部材及び前記第2の作動部材の両方に加えられるとき、前記第1及び第2の作動部材の前記遠位端が、互いに向かって近接して前記閉位置に動くように構成されている、請求項1に記載の取り外し可能チップ。
【請求項8】
前記取り外し可能チップを前記閉位置でロックするロック機構をさらに備える、請求項7に記載の取り外し可能チップ。
【請求項9】
前記ロック機構が、前記第1及び第2のチップ部材の周辺に連結され、横方向スロット内に配置されたロック・ピンを含む、請求項8に記載の取り外し可能チップ。
【請求項10】
前記第1及び第2のチップ部材が少なくとも1つの導電性表面を備える、請求項1に記載の取り外し可能チップ。
【請求項11】
前記第1及び第2のチップ部材の少なくとも前記遠位端が非粘着性コーティングを含む、請求項1に記載の取り外し可能チップ。
【請求項12】
前記非粘着性コーティングが、フッ素化炭化水素、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシ、柔軟性シリコーン・エラストマ、セラミック複合材、パラリエン・シロキサン・ポリマー、エポキシ変性硬質シリコーン粉末、又はシリコーン樹脂からなる群から選択される材料を含む、請求項11に記載の取り外し可能チップ。
【請求項13】
前記第1及び第2のチップ部材の前記遠位端が、前記アクチュエータと取り外し可能に連結される、請求項1に記載の取り外し可能チップ。
【請求項14】
電気外科用具であって、
電気外科壁ユニットと接続されるように構成され、少なくとも切断モードを起動するための第1のボタン及び焼灼モードを起動するための第2のボタンを含む手持ち式電気外科ユニットと、
取り外し可能チップであって、
近位端及び遠位端を有する第1のチップ部材、
近位端及び遠位端を有する第2のチップ部材であって、前記第2のチップ部材の前記近位端が前記第1のチップ部材の前記近位端と直接連結されている、第2のチップ部材、
前記第1のチップ部材の前記遠位端及び前記第2のチップ部材の前記遠位端が互いに近接している閉位置と、前記第1のチップ部材の前記遠位端及び前記第2のチップ部材の前記遠位端が互いに距離を空けて分離している開位置との間で、前記第1及び第2のチップ部材を動かすアクチュエータであって、前記第1のチップ部材の一部を含む第1の作動部材及び前記第2チップ部材の一部を含む第2の作動部材を含むアクチュエータ、並びに
前記第1及び第2のチップ部材の前記近位端と直接連結された挿入部材であって、前記手持ち式電気外科ユニットの開口部内に前記取り外し可能チップを挿入し、前記手持ち式電気外科ユニットの前記開口部内で回転可能な挿入部材、を備えた取り外し可能チップと
を備えた電気外科用具。
【請求項15】
電気外科用具で使用される取り外し可能チップであって、
近位端及び遠位端を有する第1のチップ部材と、
近位端及び遠位端を有する第2のチップ部材と、
前記第1のチップ部材及び前記第2のチップ部材に連結されたアクチュエータであって、前記第1のチップ部材の前記遠位端及び前記第2のチップ部材の前記遠位端が互いに近接している閉位置と、前記第1のチップ部材の前記遠位端及び前記第2のチップ部材の前記遠位端が互いに距離を空けて分離している開位置との間で、前記第1及び第2のチップ部材を動かし、ハウジングを含み、前記第1及び第2のチップ部材の前記最近位端が前記ハウジング内に直接連結されている、アクチュエータと、
前記第1及び第2のチップ部材の前記近位端と連結された挿入部材であって、前記電気外科用具の開口部内に前記取り外し可能チップを挿入する挿入部材と
を備えた取り外し可能チップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年7月2日にJamison Alexanderによって出願された「REMOVABLE TIP FOR USE WITH ELECTROSURGICAL DEVICES」という名称の米国出願第16/460,048号の一部継続出願である、2019年10月10日にJamison Alexanderによって出願された「REMOVABLE TIP FOR USE WITH ELECTROSURGICAL DEVICES」という名称の米国出願第16/598,860号の利益を主張するものである。
【0002】
本出願は、一般に手術用具に関し、より詳細には、とりわけ組織及び血管の切断、クランプ、及び焼灼のための電気外科用具と共に使用することができる取り外し可能チップに関する。
【背景技術】
【0003】
電気外科装置は、高周波電流を用いて組織及び血管を切断、凝固、及び焼灼し、幅広い外科的処置に使用される。電気外科装置は、一般に術者によって動かされる手持ち式装置で、高周波エネルギーを組織に印加することを可能にする。電気外科装置は、たとえば組織を切断するため、又は他の実例では組織及び血管を封止又は焼灼するために使用することができる。エネルギー・レベルは、たとえば1つ又は複数のボタンなどの、いくつかの実施例では手持ち式装置上に配設された制御スイッチを用いて、術者によって調節され得る。
【0004】
手術中、術者は一般に組織及び血管の何層かの層を通り抜けなければならず、一部の組織又は血管を封止又は焼灼しながら他の組織又は血管を切断する必要があり得る。たとえば、電気外科装置は、一般に、交流電流を直接使用して組織を加熱して出血を止め、それにより失血を減らし、且つ/又は手術における視界をより良好にするために、手術中に使用される。いくつかの処置において、手術器具のために利用可能なスペースの大きさが制限されている場合がある。いくつかの実施例では、組織上若しくは血管上で電気外科装置を使用するため、又は組織若しくは血管の周囲を通り抜けるために、そのサイズ及び/又は位置により、組織をクランプする又は血管の周囲をクランプするのに追加の鉗子又は器具が必要になり得る。場合によっては、術者が術野内に追加のスペースを必要とし得るか、又は器具を操作するために追加の手若しくは追加の手のセットを必要とし得る。そのような手術の中断により、処置の時間が延びたり、患者のリスクが増す可能性がある。
【0005】
ここで、以下の説明は添付図面と併せて参照される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本開示による電気外科装置で使用する取り外し可能チップの一実施例の斜視図である。
図2A】取り外し可能チップが閉じた形状で示されている、本開示による電気外科用具の一実施例の斜視図である。
図2B】取り外し可能チップが開き始めた形状で示されている、図2Aの電気外科用具の斜視図である。
図2C】取り外し可能チップがある程度開いた形状で示されている、図2Aの電気外科用具の斜視図である。
図2D】取り外し可能チップが完全に開いた形状で示されている、図2Aの電気外科用具の斜視図である。
図3】本開示による電気外科装置で使用する取り外し可能チップの別の実施例の部分断面図である。
図4A】取り外し可能チップが閉じた形状で示されている、本開示による電気外科用具の一実施例の斜視図である。
図4B】取り外し可能チップがある程度開いた形状で示されている、図4Aの電気外科用具の斜視図である。
図4C】取り外し可能チップが開いた形状で示されている、図4Aの電気外科用具の斜視図である。
図5A】取り外し可能チップが閉じた形状で示されている、本開示による電気外科装置で使用する取り外し可能チップの別の実施例の斜視図である。
図5B】取り外し可能チップが開いた形状で示されている、図5Aに示す取り外し可能チップの斜視図である。
図6A】取り外し可能チップが閉じた形状で示されている、本開示による電気外科装置で使用する取り外し可能チップのさらに別の実施例の斜視図である。
図6B】取り外し可能チップが開いた形状で示されている、図6Aに示す取り外し可能チップの斜視図である。
図6C】取り外し可能チップが開いた形状で示されている、図6A及び図6Bに示す取り外し可能チップの環境図である。
図7A】取り外し可能チップが開いた形状で示されている、本開示による電気外科装置で使用する取り外し可能チップの別の実施例の斜視図である。
図7B】取り外し可能チップが閉じた形状で示されている、図7Aに示す取り外し可能チップの斜視図である。
図7C】取り外し可能チップが閉じた形状で示されている、図7A及び図7Bに示す取り外し可能チップの環境図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
電気外科装置の2つの主要なタイプ、すなわちバイポーラ装置及びモノポーラ装置が知られている。モノポーラ構成では、電気外科装置にはアクティブ電極が設けられ、帰還電極が患者に取り付けられる。電流は、アクティブ電極から体内に流れ、(接地回路に接続された)帰還電極を通って帰還する。電流密度は、組織の加熱が電気外科装置のチップに集中するように、電極からの距離に伴い急激に減少する。バイポーラ装置では、一対の電極、たとえば鉗子のチップは、それぞれ電源回路に接続されており、帰還電極を必要としない。組織が一対の電極によって係合されるとき、又は組織が一対の電極に近接しているとき、高周波電流が装置及び組織を流れ、組織の局所的な加熱をもたらす。
【0008】
従来の電気外科装置は、単一部材チップを含むか、又は実質的に従来の手術用鉗子に基づいた鉗子設計を含む場合がある。したがって、術者は処置中に必要な機能に応じて、電気外科器具を単一チップから鉗子タイプの設計に変更しなければならない場合がある。したがって、従来のチップと鉗子との切り替えにより、外科手術中に患者にとって時間が延び、リスクが増す場合がある。また、従来の電気外科装置は、様々な体腔の面積又は深さに適合するため、また、組織と血管との両方を切断、クランプ、及び焼灼する能力を有するために調節することができない。
【0009】
本明細書では、外科手術で使用することができる電気外科用具で使用する取り外し可能チップの実施例が開示されている。図面、より詳細には図1を参照すると、本開示の一実施例を表す取り外し可能チップ100が示されている。取り外し可能チップ100は、近位端110及び遠位端115を有する第1のチップ部材105を備える。第2のチップ部材120も同様に、近位端125及び遠位端130を有する。いくつかの実施例では、第1のチップ部材105及び第2のチップ部材120の少なくとも一方又は両方は、それらの遠位端115及び130の近くに少なくとも1つの導電性表面を含み得る。第1のチップ部材105及び第2のチップ部材120は、いくつかの実施例において、第1のチップ部材105の遠位端115及び第2のチップ部材120の遠位端130が互いに近接している閉位置(図1及び図2Aに示される)、並びに第1のチップ部材105の遠位端115及び第2のチップ部材120の遠位端130が互いに距離を空けて分離している開位置から動くように構成されてよい。(図2B図2Dでは開位置の様々な段階が示される)。いくつかの実施例では、アクチュエータ135が、第1のチップ部材105及び第2のチップ部材120を閉位置と1つ又は複数の開位置との間で動かすために、第1のチップ部材105及び第2のチップ部材120に連結されてよい。
【0010】
いくつかの実施例では、挿入部材140は、第1のチップ部材105の近位端110及び第2のチップ部材120の近位端125と連結されてよく、挿入部材140は、電気外科用具の開口部内に取り外し可能チップ100を挿入するためのものである。いくつかの実施例では、挿入部材140は、取り外し可能チップ100が電気外科用具に対して様々な角度に調節され得るように、電気外科用具の開口部内で回転可能であってよい。取り外し可能チップの角度の調節を可能にすることにより、従来の電気外科装置よりも、術者が体腔内で取り外し可能チップ100をより良好に操作することが可能であり得る。いくつかの実例では、取り外し可能チップ100は、術者の手がより良好な、又はより快適な、又は操作しやすい位置に置かれることを可能にしながら、体腔でのより良好な配置を達成するために、回転させる必要があり得る。
【0011】
いくつかの実施例では、取り外し可能チップ100は、第1のチップ部材105及び第2のチップ部材120の遠位端110及び130と近位端115及び125との間に配置されたハウジング145を含んでよい。いくつかの実施例では、アクチュエータ135は、少なくとも部分的にハウジング145内に配置されてよい。他の実施例では、ハウジング145は、少なくとも部分的に挿入部材140に被さって配置されてよい。
【0012】
いくつかの実施例では、アクチュエータ135はスイッチ150を含んでよい。スイッチ150は、ハウジング145を含まない実施例では、アクチュエータ135上又はその周辺の様々な場所に配置されてよい。スイッチ150は、指又は親指によって圧力が加えられた際に直線的に動き、第1のチップ部材105及び第2のチップ部材120を閉位置及び開位置、並びにその間の様々な位置の間で動かすように構成されてよい。
【0013】
いくつかの実施例では、アクチュエータ135は、1つ又は複数の分離部材を含んでよく、この分離部材はいくつかの実施例ではハウジング145内に配置されてよい。1つ又は複数の分離部材は、術者がアクチュエータ135を作動させたとき、いくつかの実施例ではスイッチ150の操作であり得るときに、第1のチップ部材105の遠位端115及び第2のチップ部材120の遠位端130を分離させるために、第1のチップ部材105及び第2のチップ部材120の周辺又はそれらの間に配置されてよい。また、分離部材は、いくつかの実施例ではスイッチ150を第2の方向に動かして、やはりアクチュエータ135を作動させ得るとき、第1のチップ部材105の遠位端115及び第2のチップ部材120の遠位端130を互いに近づくように動かすように作用してよい。
【0014】
取り外し可能チップ100は、術者が外科手術中に取り外し可能チップ100を使用する必要があり得るその目的に応じて、閉位置と様々な開位置(図2A図2Dに示す実例)との間で調節されてよい。いくつかの実例では、取り外し可能チップ100は、たとえば組織の切断が必要となり得るとき、閉位置にある必要があり得る。しかしながら特定の処置では、第1のチップ部材105の遠位端115及び第2のチップ120の遠位端130を血管の周辺でクランプすることは、たとえば血管を切断又は焼灼するために従来の電気外科チップから電流を印加する前に第2の器具を使用して血管の周りをクランプするよりも、有用であり得る。
【0015】
また、取り外し可能チップ100は、従来の固定電気外科用具で従来必要とされていたような電気外科用具全体の取替えなしに、取り外し可能チップ100がいくつかの体腔内のより深くに到達できるように、第1のチップ部材105及び第2のチップ部材120のより長い、及びより短い様々な長さに適応し得る。いくつかの実施例では、第1のチップ部材105及び第2のチップ部材120は、様々な長さに調節可能及び/又は伸長可能であってよい。他の実施例では、挿入部材140も調節可能及び/又は伸長可能であってよい。
【0016】
次に図2A図2Dを参照すると、様々な段階で示されている、電気外科用具270内に連結されて示される取り外し可能チップ200の別の実施例が示されている。図2Aは閉位置にある取り外し可能チップを示し、第1のチップ部材205の遠位端215及び第2のチップ部材220の遠位端230は、互いに近接している。
【0017】
図2B図2Dは、様々な開放段階における取り外し可能チップ200を示し、第1のチップ部材205の遠位端215及び第2のチップ部材220の遠位端230が、様々な距離だけ分離している。図2Bは、第1のチップ部材205及び第2のチップ部材220が開き始め、第1のチップ部材205の遠位端215及び第2のチップ部材220の遠位端230が第1の距離D1だけ分離し始めたときの取り外し可能チップ200を示す。図2Cは、第1のチップ部材205の遠位端215及び第2のチップ部材220の遠位端230が第2の距離D2だけ分離している取り外し可能チップ200を示し、これは約半分の開放であってよく、半分の開放とは完全な開放の約45~55%である。図2Dは完全な開位置における取り外し可能チップ200を示し、第1のチップ部材205の遠位端215及び第2のチップ部材220の遠位端230が、第3の距離D3だけ分離している。本開示における完全な開放とは、第1のチップ部材205の遠位端215及び第2のチップ部材220の遠位端230が、第1のチップ部材205の遠位端215及び第2のチップ部材220の遠位端230の最大機能分離に対して95~100%の開放の範囲内であることを意味する。
【0018】
再び図2Aを参照すると、電気外科用具270は手持ち式電気外科ユニット275を含む。手持ち式電気外科ユニット275は、いくつかの実施例ではワイヤー又はコードなどのプラグイン接続を介して壁面ユニットと接続してよい。壁面ユニットは、電気外科用具270に電流を供給してよい。第1のチップ部材205及び第2のチップ部材220は、それらが適用され得るか又は周辺に留められ得る組織に電流を流すための1つ又は複数の導電性表面を含んでよい。手持ち式電気外科ユニット275は、いくつかの実施例では、少なくとも切断モードを起動するための第1のボタン280、及び焼灼モードを起動するための第2のボタン285を含んでよい。手持ち式電気外科ユニット275のいくつかの実施例では、追加のボタン又は機能が含まれてよい。さらに、取り外し可能チップ200の一部の実施例をモノポーラ・モードで使用し、他の実施例をバイポーラ・モードで使用してよい。
【0019】
次に図3を参照すると、本開示の原理による電気外科用具370内に連結された取り外し可能チップ300の別の実施例が示されている。取り外し可能チップ300は、近位端310及び遠位端315を有する第1のチップ部材305含んでよい。第2のチップ部材320も同様に、近位端325及び遠位端330を有する。いくつかの実施例では、第1のチップ部材305及び第2のチップ部材320の少なくとも一方又は両方は、それの遠位端315及び330の近くに少なくとも1つの導電性表面を含んでよい。第1のチップ部材305及び第2のチップ部材320は、本明細書の上記で考察され、図1図2Dに示すように、いくつかの実施例では閉位置から開位置に動くように構成されてよい。
【0020】
いくつかの実施例では、アクチュエータ335は、閉位置と1つ又は複数の開位置との間で第1のチップ部材305及び第2のチップ部材320を動かすために、第1のチップ部材305及び第2のチップ部材320に連結されてよい。アクチュエータ335は、いくつかの実施例ではハウジング345内に配置されてよい。図3は、ハウジング345の内部を示す部分断面図である。
【0021】
いくつかの実施例では、アクチュエータ335は、第1の分離部材355及び第2の分離部材360を含んでよい。本実施例では、第1の分離部材355は第1のチップ部材305の近位端310に隣接し、第2の分離部材360は第2のチップ部材320の近位端325に隣接して配置されるが、第1の分離部材355及び第2の分離部材360は、アクチュエータが取り外し可能チップ300を閉位置と開位置との間で動かすことが可能な任意の場所で、第1のチップ部材305と第2のチップ部材320との間に配置されてよい。他の実施例では、第1の分離部材355及び第2の分離部材360は、単一の分離する構成部品の対向する端部に配置されても、又は組み込まれてもよい。
【0022】
次に図4A図4Cを参照すると、3つの異なる位置において示される取り外し可能チップ400の別の実施例が示されている。図4Aは、閉位置における取り外し可能チップ400を示し、第1のチップ部材405の遠位端415は、第2のチップ部材420の遠位端430に近接している。図4Bは、遠位端415及び430が距離D1’だけ分離している、開き始めた位置における取り外し可能チップ400を示す。図4Cは、遠位端415及び430が距離D2’だけ分離している、開位置における取り外し可能チップ400を示す。
【0023】
次に図5A及び図5Bを参照すると、図5Aでは閉位置において示され、図5Bでは開位置において示される取り外し可能チップ500の別の実施例が示されている。図5Aに示すように、本実施例では、取り外し可能チップ500が閉じているとき、アクチュエータ535の第1の分離部材555及び第2の分離部材560は、取り外し可能チップ500が連結され得る電気外科用具570の遠位端から距離x1だけ離れてそれぞれ配置される。取り外し可能チップ500が開位置にあるとき、第1の分離部材555及び第2の分離部材560は、第1の分離部材555及び第2の分離部材560と電気外科用具570の遠位端との間に距離がほとんど又は全くないように、電気外科用具570の遠位端に近接してよい。取り外し可能チップ500が、図2B図2Dに示されたものと同様の様々な開位置にあるとき、第1の分離部材555及び第2の分離部材560と電気外科用具570の遠位端との間の距離は、それに従い変化し得る。
【0024】
次に図6A図6Cを参照すると、本開示の原理による手持ち式電気外科ユニット675内に連結された取り外し可能チップ600のさらに別の実施例が示されている。取り外し可能チップ600は、近位端610及び遠位端615を有する第1のチップ部材605を含んでよい。第2のチップ部材620も同様に、近位端625及び遠位端630を有する。いくつかの実施例では、第1のチップ部材605及び第2のチップ部材620の少なくとも一方又は両方は、それらの遠位端615及び630に、又は遠位端615及び630の近くに、少なくとも1つの導電性表面を含んでよい。第1のチップ部材605及び第2のチップ部材620は、いくつかの実施例では、図6Aに示されている閉位置から図6Bに示されている開位置まで動くように構成されてよい。
【0025】
いくつかの実施例では、挿入部材640は、第1のチップ部材605の近位端610及び第2のチップ部材620の近位端625と連結されてよく、挿入部材640は、手持ち式電気外科ユニット675の開口部内に取り外し可能チップ600を挿入するためのものである。いくつかの実施例では、挿入部材640は、取り外し可能チップ600が電気用外科用具に対して様々な角度に調節され得るように、電気外科ユニット675の開口部内で回転可能であってよい。
【0026】
いくつかの実施例では、アクチュエータ635は、第1のチップ部材605及び第2のチップ部材620を閉位置と1つ又は複数の開位置との間で動かすために、第1のチップ部材605及び第2のチップ部材620に連結されてよい。本実施例では、アクチュエータ635は、第1のチップ部材605及び第2のチップ部材620の一部を含む。
【0027】
いくつかの実施例では、アクチュエータ635は、第1の分離部材655及び第2の分離部材660を含んでよい。一実施例では、第1の分離部材655及び第2の分離部材660は、それぞれ、第1のチップ部材605及び第2のチップ部材620の一部を含む。いくつかの実施例では、第1のチップ部材605及び第2のチップ部材610を図6Aに示される閉位置から図6Bに示される開位置まで作動させるために、軸方向圧力が第1の分離部材655及び第2の分離部材660に加えられてよく、これにより、遠位端615及び630が互いから離れるように動くにつれて、第1の分離部材655及び第2の分離部材660が互いに向かって動く。いくつかの実施例では、この圧力は第1の分離部材655及び第2の分離部材660の少なくとも外部表面に加えられてよい。
【0028】
いくつかの実施例では、第1のチップ部材605及び第2のチップ部材620の少なくとも一部は、取り外し可能及び/又は交換可能であってよい。一実施例では遠位端615及び630は、第1の分離部材655及び第2の分離部材660の位置で、又は上方で取り外されてよい。遠位端605及び620は、スナップ・フィット、テンション・フィット、ロック嵌合、並びに第1のチップ部材605及び第2のチップ部材620などの長手部材の遠位端を取り外し及び交換するための他の従来の連結手段によって、第1の分離部材655及び第2の分離部材660と連結してよい。
【0029】
図6Cを参照すると、第1のチップ部材605の遠位端615及び第2のチップ部材620の遠位端630が、互いから離れて開かれるようにアクチュエータ635が作動した状態で示される、取り外し可能チップ600の環境図が示されている。本実施例では、指が第1分離部材655及び第2分離部材660に軸方向圧力を加えることによって作動したアクチュエータ635が示されている。一実施例では、第1の分離部材655及び第2の分離部材660は、それぞれの少なくとも外部表面上にコーティング又はカバー665を含み得るが、いくつかの実施例では、コーティング又はカバーは、第1の分離部材655及び第2の分離部材660のほとんど又はすべての表面を覆って、又はコーティングしてよい。コーティング665は、いくつかの実施例では、取り外し可能チップ600を流れる電流からの絶縁をもたらすことができ、他の実施形態では、取り外し可能チップ600を取り扱う術者に滑らないグリップ及び/又は快適なグリップをもたらすこともできる、ポリマー、ゴム、プラスチック、及び任意の他の適切な材料を含んでよい。
【0030】
次に図7A図7Cを参照すると、本開示の原理による手持ち式電気外科ユニット775内に連結された取り外し可能チップ700のさらに別の実施例が示されている。取り外し可能チップ700は、近位端710及び遠位端715を有する第1のチップ部材705を含んでよい。第2のチップ部材720も同様に、近位端725及び遠位端730を有する。いくつかの実施例では、第1のチップ部材705及び第2のチップ部材720の少なくとも一方又は両方は、それらの遠位端715及び730の近くに少なくとも1つの導電性表面を含んでよい。第1のチップ部材705及び第2のチップ部材720は、本明細書の上記で考察され、図7A図7Cに示すように、いくつかの実施例では閉位置から開位置に動くように構成されてよい。挿入部材740は、取り外し可能チップの近位端710及び725の近くから延出してよく、挿入部材740は、手持ち式電気外科ユニット775の開口部内に取り外し可能チップ700を挿入するためのものである。
【0031】
いくつかの実施例では、取り外し可能チップは、第1のチップ部材705の遠位端715及び第2のチップ部材720の遠位端730を、閉位置と1つ又は複数の開位置との間で動かすためのアクチュエータ735を含んでよい。一実施例では、アクチュエータ735は、第1のチップ部材705及び第2のチップ部材720の一部を含んでよい。一実施例では、アクチュエータ735は、一実施例では横方向スロット760内に配置されたロック・ピン750を含むロック機構745を含んでよい。いくつかの実施例では、ロック機構は、第1のチップ部材705及び第2のチップ部材720の両方の周囲、並びにいくつかの実施例ではそれらの近位端710及び725の近くに連結されてよい。一実施例では、第1のチップ部材705及び第2のチップ部材720は、遠位端715及び730が距離dだけ分離している、図7Aに示す「開位置」にある。遠位端715及び730を図7Bに示す「閉位置」に向かって動かすために、軸方向圧力が第1のチップ部材705及び第2のチップ部材720に加えられ、ロック機構745が遠位端715及び730に向かって動かされてよい。遠位端715及び730が閉じて合わされると、いくつかの実施例では、ロック機構をロック位置に維持するためにピン750が係合されてよい。ピン750は、ピン750をロック位置に動かすことで係合させてよく、又は、いくつかの実施例では押し縮めた位置でロックされてもよい。
【0032】
図7Cを参照すると、第1のチップ部材705の遠位端715及び第2のチップ部材720の遠位端730が互いに近接して閉じられるようにアクチュエータ735が作動した状態で示される、取り外し可能チップ700の環境図が示されている。本実例では、アクチュエータは、少なくとも外側表面上にコーティング又はカバー765を含んでよい。コーティング765は、いくつかの実施例では、取り外し可能チップ700を流れる電流からの絶縁をもたらすことができ、他の実施形態では、取り外し可能チップ700を取り扱う術者に滑らないグリップ及び/又は快適なグリップをもたらすこともできる、ポリマー、ゴム、プラスチック、及び任意の他の適切な材料を含んでよい。
【0033】
いくつかの実施例では、取り外し可能チップ700の一部のすべては、いくつかの実施例では、少なくとも第1のチップ部材705の遠位端715及び第2のチップ部材720の遠位端730上に、それらの上に炭化組織が蓄積するのを低減し、また熱傷のリスクを低減するために配置され得る非粘着性コーティングを含んでよい。電気外科用電極に適用するために、いくつかの異なるタイプの非粘着性コーティングが使用又は提案されている。異なる非粘着性コーティング又は非粘着性材料の一部には、フッ素化炭化水素材料、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE:polytetrafluoroethylene)、ペルフルオロアルコキシ、柔軟性シリコーン・エラストマ、セラミック複合材、パラリエン・シロキサン・ポリマー、エポキシ変性硬質シリコーン粉末、シリコーン樹脂、及びその他の適切な非粘着性コーティングが含まれる。
【0034】
本明細書で開示される電気外科装置及び取り外し可能チップの態様には、下記が含まれる。
【0035】
A:電気外科用具で使用される取り外し可能チップであって、近位端及び遠位端を有する第1のチップ部材と、近位端及び遠位端を有する第2のチップ部材と、第1のチップ部材の遠位端及び第2のチップ部材の遠位端が互いに近接している閉位置と第1のチップ部材の遠位端及び第2のチップ部材の遠位端が互いに距離を空けて分離している開位置との間で第1及び第2のチップ部材を動かすアクチュエータであって、第1のチップ部材の一部を含む第1の作動部材、及び第2チップ部材の一部を含む第2の作動部材を含むアクチュエータと、第1及び第2のチップ部材の近位端と連結された挿入部材であって、電気外科用具の開口部内に取り外し可能チップを挿入する挿入部材とを備えた取り外し可能チップ。
【0036】
B:電気外科壁ユニットと接続されるように構成され、少なくとも切断モードを起動するための第1のボタン及び焼灼モードを起動するための第2のボタンを含む手持ち式電気外科ユニットと、取り外し可能チップであって、近位端及び遠位端を有する第1のチップ部材、近位端及び遠位端を有する第2のチップ部材、第1のチップ部材の遠位端及び第2のチップ部材の遠位端が互いに近接している閉位置と第1のチップ部材の遠位端及び第2のチップ部材の遠位端が互いに距離を空けて分離している開位置との間で第1及び第2のチップ部材を動かすアクチュエータであって、第1のチップ部材の一部を含む第1の作動部材及び第2チップ部材の一部を含む第2の作動部材を含むアクチュエータ、並びに第1及び第2のチップ部材の近位端に連結された挿入部材であって、手持ち式電気外科ユニットの開口部内に取り外し可能チップを挿入する挿入部材を備えた取り外し可能チップとを備えた電気外科用具。
【0037】
C:電気外科用具で使用される取り外し可能チップであって、少なくとも、近位端及び遠位端を有する第1のチップ部材と、近位端及び遠位端を有する第2のチップ部材と、第1のチップ部材及び第2のチップ部材に連結されたアクチュエータであって、第1のチップ部材の遠位端及び第2のチップ部材の遠位端が互いに近接している閉位置と第1のチップ部材の遠位端及び第2のチップ部材の遠位端が互いに距離を空けて分離している開位置との間で第1及び第2のチップ部材を動かし、ハウジングを含み、第1及び第2のチップ部材の近位端がハウジング内に直接連結されている、アクチュエータと、第1及び第2のチップ部材の近位端と連結された挿入部材であって、電気外科用具の開口部内に取り外し可能チップを挿入する挿入部材とを備えた取り外し可能チップ。
【0038】
態様A、B、及びCは、下記の追加要素の1つ又は複数を組み合わせて有してよい。
【0039】
要素1:挿入部材が、電気外科ユニット内に完全に挿入され、配置されると、電気外科ユニットの開口部内で回転可能である。
【0040】
要素2:アクチュエータが、第1の作動部材及び第2の作動部材の少なくとも外側表面にコーティングを含む。
【0041】
要素3:コーティングがゴムを含む。
【0042】
要素4:コーティングがポリマーを含む。
【0043】
要素5:軸方向圧力が第1の作動部材及び第2の作動部材の両方に加えられるとき、第1及び第2の作動部材の遠位端が、互いから離れて開位置に動くように構成されている。
【0044】
要素6:軸方向圧力が第1の作動部材及び第2の作動部材の両方に加えられるとき、第1及び第2の作動部材の遠位端が、互いに向かって近接して閉位置に動くように構成されている。
【0045】
要素7:取り外し可能チップを閉位置でロックするロック機構をさらに備える。
【0046】
要素8:ロック機構は、第1及び第2のチップ部材の周辺に連結され、横方向スロット内に配置されたロック・ピンを含む。
【0047】
要素9:第1及び第2のチップ部材が、少なくとも1つの導電性表面を備える。
【0048】
要素10:第1及び第2のチップ部材の少なくとも遠位端が、非粘着性コーティングを含む。
【0049】
要素11:非粘着性コーティングは、フッ素化炭化水素材料、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシ、柔軟性シリコーン・エラストマ、セラミック複合材、パラリエン・シロキサン・ポリマー、エポキシ変性硬質シリコーン粉末、又はシリコーン樹脂を含んでよい。
【0050】
要素12:第1及び第2のチップ部材の遠位端が、アクチュエータに取り外し可能に連結される。
【0051】
要素13:アクチュエータのハウジングが、少なくとも部分的に挿入部材に被さって配置される。
【0052】
要素14:アクチュエータが、指又は親指によって圧力が加えられた際に直線的に動き、第1及び第2のチップ部材を閉位置と開位置との間で動かすように構成されたスイッチを含む。
【0053】
要素15:アクチュエータは、スイッチが第1の方向に動かされるとき第1及び第2のチップ部材を分離する分離部材をハウジング内に含む。
【0054】
要素16:アクチュエータは、スイッチが第2の方向に動かされるとき第1及び第2のチップ部材を互いに向かって動かす分離部材をハウジング内に含む。
【0055】
要素17:第1及び第2のチップ部材のそれぞれが、少なくとも1つの導電性表面を備える。
【0056】
要素18:アクチュエータがハウジングを含み、第1及び第2のチップ部材の最近位端がハウジング内に直接連結される。
【0057】
本出願が関連する当技術分野の当業者は、記載された実施例に、他の及びさらなる、追加、削除、置換及び修正がなされ得ることを理解するであろう。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
【国際調査報告】