IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ モルガン アドゥヒーシブス カンパニー, エルエルシーの特許一覧

特表2022-539568アクリレート硬化促進剤を含有するシリコーン組成物
<>
  • 特表-アクリレート硬化促進剤を含有するシリコーン組成物 図1
  • 特表-アクリレート硬化促進剤を含有するシリコーン組成物 図2
  • 特表-アクリレート硬化促進剤を含有するシリコーン組成物 図3
  • 特表-アクリレート硬化促進剤を含有するシリコーン組成物 図4
  • 特表-アクリレート硬化促進剤を含有するシリコーン組成物 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-12
(54)【発明の名称】アクリレート硬化促進剤を含有するシリコーン組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/04 20060101AFI20220905BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20220905BHJP
   C08K 5/101 20060101ALI20220905BHJP
   C08K 5/06 20060101ALI20220905BHJP
   C09J 7/40 20180101ALI20220905BHJP
   C09D 5/20 20060101ALI20220905BHJP
   C09D 183/07 20060101ALI20220905BHJP
   C09D 4/02 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
C08L83/04
B32B27/00 101
B32B27/00 L
C08K5/101
C08K5/06
C09J7/40
C09D5/20
C09D183/07
C09D4/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577894
(86)(22)【出願日】2020-07-02
(85)【翻訳文提出日】2022-02-24
(86)【国際出願番号】 US2020040632
(87)【国際公開番号】W WO2021003349
(87)【国際公開日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】62/869,720
(32)【優先日】2019-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521566830
【氏名又は名称】モルガン アドゥヒーシブス カンパニー, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スミス ティモシー エム
(72)【発明者】
【氏名】ゴルチカ ジョセフ ディー
(72)【発明者】
【氏名】マクマスター ゲイリー エー
(72)【発明者】
【氏名】メラー スコット
【テーマコード(参考)】
4F100
4J002
4J004
4J038
【Fターム(参考)】
4F100AB24B
4F100AK01A
4F100AK01D
4F100AK25
4F100AK25B
4F100AK52
4F100AK52B
4F100AK54B
4F100AR00C
4F100AT00A
4F100AT00D
4F100BA02
4F100BA04
4F100BA07
4F100CA02
4F100CA02B
4F100CB00C
4F100CB05C
4F100DG10A
4F100DG10D
4F100EJ08
4F100EJ08B
4F100JB12
4F100JB12B
4F100JK07B
4F100JL08
4F100JL08B
4F100JL14
4F100JL14B
4F100YY00B
4J002CP04X
4J002CP14W
4J002ED017
4J002EH076
4J002FD156
4J002FD157
4J002GT00
4J004AA05
4J004AB01
4J004DB02
4J004FA08
4J038DL101
4J038FA072
4J038GA01
4J038KA03
4J038MA09
4J038NA10
4J038PB14
4J038PC08
4J038PC10
(57)【要約】
組成物の総重量に対して、約0.05重量%から約5重量%以下の間の少なくとも1つのアクリレートモノマーを含む組成物が開示されている。アクリレートモノマーは、硬化の完全性または硬化生成物の剥離性能を犠牲にすることなく、ピーク硬化温度を低下させ、それにより硬化速度を加速する。アクリレートモノマーの添加はまた、組成物を効果的に硬化させるのに必要とされる高価な白金触媒の量の低減を可能にする。アクリレートモノマーに加えて、組成物はまた、シリコーンベースポリマーと、架橋化剤と、白金触媒とを含む。硬化された組成物は、剥離ライナー、接着物品、医療製品、およびガスケットへと導入するのに有用な特性を示す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)シリコーンベースポリマーと、
b)組成物の総重量に対して約0.05重量%から約5重量%の間の量で存在するアクリレートモノマーを含む硬化促進剤と、
を含む組成物。
【請求項2】
前記シリコーンベースポリマーは、ビニル官能性シリコーンベースポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記シリコーンベースポリマーは、前記組成物の総重量の約50重量%から約95重量%の間で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物は、未硬化である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
O-ビニルエーテル化合物を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記O-ビニルエーテル化合物は、1,4-シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、およびドデシルビニルエーテルからなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記O-ビニルエーテル化合物は、前記組成物の総重量の約0.01重量%から約10重量%の間で存在する、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
前記アクリレートモノマーは、単官能性、二官能性、三官能性、または多官能性のアクリレートモノマーからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記アクリレートモノマーは、ヘキサンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジオールジアクリレート、イソボルニルアクリレート、オクチル/デシルアクリレート、シリコーンジアクリレート、シリコーンヘキサアクリレート、3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、およびトリメチロールプロパントリアクリレートからなる群から選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記アクリレートモノマーは、前記組成物の総重量の約0.05重量%から約2重量%の間で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記アクリレートモノマーは、前記組成物の総重量の約0.05重量%から約1重量%の間で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記アクリレートモノマーは、親水性アクリレートモノマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
水素化ケイ素官能基を含む架橋化剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
制御剥離剤を更に含み、前記制御剥離剤は、前記組成物の総重量の50重量%未満の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
触媒を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記触媒は、白金を含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記触媒は、前記組成物の総重量の約10ppmから約60ppmの間の範囲で存在する、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
前記触媒は、前記組成物の総重量の約35ppm以下で存在する、請求項15に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物を約70℃~約140℃の範囲の温度に約1秒~約10秒の範囲の期間にわたり曝露した後に、前記組成物は90%以上が硬化される、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物を硬化させる期間は、約1秒~約5秒の範囲であり、かつ前記組成物を硬化させる温度は、約100℃~約130℃の範囲である、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
硬化後の前記組成物の弾性率(G’)は、約120℃の温度で測定されて1×10パスカル以上であり、かつ硬化後の前記組成物の損失係数(tanδ)は、約120℃の温度で測定されて0.01未満である、請求項19に記載の組成物。
【請求項22】
a)シリコーンベースポリマーと、
b)アクリレート硬化促進剤と、
c)組成物の総重量の約60ppm以下として存在する触媒と、
を含む組成物であって、前記組成物を約70℃~約140℃の範囲の温度に約1秒~約10秒の範囲の期間にわたり曝露した後に、前記組成物は90%以上が硬化される、組成物。
【請求項23】
前記触媒は、白金を含み、かつ前記触媒は、前記組成物の総重量の約35ppm以下で存在する、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記アクリレート硬化促進剤は、前記組成物中に存在する単独の硬化促進剤である、請求項22に記載の組成物。
【請求項25】
前記アクリレート硬化促進剤は、前記組成物の総重量に対して、約0.05重量%から約5重量%の間の量で存在する、請求項22に記載の組成物。
【請求項26】
前記組成物を硬化させる期間は、約1秒~約5秒の範囲であり、かつ前記組成物を硬化させる温度は、約100℃~約130℃の範囲である、請求項22に記載の組成物。
【請求項27】
硬化後の前記組成物の弾性率(G’)は、約120℃の温度で測定されて1×10パスカル以上であり、かつ硬化後の前記組成物の損失係数(tanδ)は、約120℃の温度で測定されて0.01未満である、請求項22に記載の組成物。
【請求項28】
a)第1の表面を含むライナーと、
b)請求項22に記載の硬化された組成物と、
を含む剥離ライナーであって、前記硬化された組成物は、前記ライナーの前記第1の表面の一部に配置されている、剥離ライナー。
【請求項29】
前記ライナーは、ポリマーフィルム、プラスチックフィルム、および紙ライナーからなる群から選択される、請求項28に記載の剥離ライナー。
【請求項30】
a)基材と、
b)前記基材の上に配置された接着剤と、
c)請求項28に記載の剥離ライナーと、
を含む接着物品であって、前記剥離ライナーの硬化された組成物は、前記接着剤と接触している、接着物品。
【請求項31】
前記基材は、ポリマーフィルム、紙、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項30に記載の接着物品。
【請求項32】
前記接着剤は、感圧接着剤である、請求項30に記載の接着物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シリコーンベースポリマーと、組成物の総重量に対して約5重量%以下で存在し得るアクリレート硬化促進剤とを含む組成物に関する。アクリレート硬化促進剤(例えば、アクリレートモノマー)は、組成物のピーク硬化温度を有益に低下させることにより、硬化の速度および時間を加速させ、さらに、例えば90%以上の効果的な硬化を開始するのに必要な触媒の量を低減させる。本開示はまた、接着剤ライナーおよび剥離製品に有用なシリコーン含有組成物に1つ以上のO-ビニル化合物を添加することで、アクリレート硬化促進剤およびO-ビニル化合物が相乗的に働いて、硬化の完了と、ピーク硬化温度および効果的な硬化の開始に必要な触媒の量の低減とを促進および向上させることに関する。該組成物は、望ましい剥離特性を有する材料、例えば、剥離ライナーコーティング、医療デバイス用のシリコーンエラストマー、ガスケット用のシリコーンエラストマーとして、および他の成形品用のシリコーンエラストマーとして使用され得る。
【背景技術】
【0002】
シリコーン樹脂は弾性を付与し、低い表面エネルギーを与えるため、接着剤産業で使用するのに望ましい。特に、コーティングなどのシリコーンベースの組成物は、貯蔵および輸送のために基材(例えば、ラベル)を所定の位置に保持することができ、これらはまた、剥離ライナーから基材を簡単かつ迅速に剥がすことを可能にする。コーティングとして使用される組成物の従来の成分には、シリコーン、架橋化剤、および例えば白金触媒を含む触媒が含まれる。しかしながら、白金触媒の使用に伴うコストが高いことにより、接着剤産業では手頃な価格の代替物を調査することが促されている。少なくとも白金触媒の量の低減は不十分な硬化および/またはより遅い硬化速度につながる可能性があるという理由により、シリコーンを含有する組成物の硬化を成功させるのに必要な白金触媒の量を低減させることにおいて、ほとんど成功に至っていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記に鑑みて、シリコーン組成物の硬化を開始および駆動して完了させるのに現在必要とされている大量の高価な白金触媒なしで迅速に硬化する剥離コーティング組成物が必要とされている。本明細書は、高温/高速加工の厳しさに耐えながらも、低減された量の触媒(例えば、白金)で迅速に硬化が完了する組成物を記載している。本明細書は、従来の量の触媒を含有するが、当該技術分野で現在知られているよりも大幅に低い温度でより素早く硬化するシリコーン含有組成物を記載している。本明細書はまた、ライナー上のコーティングとして提供され得る組成物を記載している。該組成物は、迅速に硬化して、貯蔵および輸送のために基材(例えば、ラベル)を所定の位置に保持するライナーコーティングを形成することができると同時に、剥離ライナーから簡単かつ素早く基材を剥がすことも可能にする。さらに、本明細書はまた、ライナー上に設けることができ、ラベルシートなどの接着物品に導入することもできる組成物を記載している。これらの組成物によって、高価な触媒の使用および高温のオーブンの運転に関連するコストを削減すると同時に、組成物と接着物品の基材上の接着剤との間の結合の質の低下または剥離の可能性につながり得る硬化の完全性を犠牲にすることなく、上記組成物の硬化も促進するという問題が解決される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様においては、シリコーンベースポリマーと、組成物の総重量に対して、約0.05重量パーセント(重量%)~約5重量パーセント(重量%)で組成物中に存在するアクリレートモノマーである硬化促進剤とを含む組成物が開示される。
【0005】
態様1の一例においては、シリコーンベースポリマーは、ビニル官能性シリコーンベースポリマーである。
【0006】
態様1の別の例においては、シリコーンベースポリマーは、組成物の総重量の約50重量%から約95重量%の間で存在する。
【0007】
態様1の別の例においては、組成物は、未硬化である。
【0008】
態様1の別の例においては、組成物は、O-ビニルエーテル化合物、例えば1,4-シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル(BDVE)、およびドデシルビニルエーテル(DDVE)を更に含む。
【0009】
態様1の別の例においては、O-ビニルエーテル化合物は、組成物の総重量の約0.01重量%から約10重量%の間で存在する。
【0010】
態様1の別の例においては、アクリレートモノマーは、単官能性、二官能性、三官能性、または多官能性のアクリレートモノマーの群から選択される。
【0011】
態様1の別の例においては、アクリレートモノマーは、ヘキサンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジオールジアクリレート、イソボルニルアクリレート、オクチル/デシルアクリレート、シリコーンジアクリレート、シリコーンヘキサアクリレート、Tego RC722、3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、およびトリメチロールプロパントリアクリレートの群から選択される。
【0012】
態様1の別の例においては、アクリレートモノマーは、組成物の総重量の約0.05重量%から約2重量%の間、または組成物の総重量の約0.05重量%から約1重量%の間で存在する。態様1の別の例においては、アクリレートモノマーは、組成物の総重量の約0.1重量%から約2重量%の間、または組成物の総重量の約0.1重量%から約1重量%の間で存在する。
【0013】
態様1の別の例においては、アクリレートモノマーは、親水性アクリレートモノマー、例えば、12個未満の炭素(C12)を含む親水性側鎖または側基を有するアクリレートモノマーである。
【0014】
態様1の別の例においては、組成物は、水素化ケイ素官能基を有する架橋化剤を更に含む。
【0015】
態様1の別の例においては、組成物は、制御剥離剤(CRA)を更に含む。
【0016】
態様1の別の例においては、制御剥離剤は、組成物の総重量の約50重量%未満、例えば、約4重量%から約12重量%の間の量で存在する。
【0017】
態様1の別の例においては、組成物は、触媒、例えば、白金を含む触媒を更に含む。
【0018】
態様1の別の例においては、触媒は、組成物の総重量に対して、約10ppmから約100ppmの間、または35ppm以下の範囲で存在する。
【0019】
第2の態様においては、態様1の組成物を、約70℃~約140℃の範囲の温度に約1秒~約10秒の範囲の期間にわたり曝露することで、組成物は90%以上、例えば95%以上が硬化される。別の例においては、態様1の組成物を、約70℃~約140℃の範囲の温度に約5秒~約40秒の範囲の期間にわたり曝露することで、組成物は90%以上、例えば95%以上が硬化される。
【0020】
態様2の例においては、組成物を硬化させる期間は、約1秒~約5秒、または5秒以下の範囲である。別の例においては、組成物を硬化させる期間は、約10秒~約40秒、または40秒以下の範囲である。
【0021】
態様2の別の例においては、組成物を硬化させる温度は、約100℃~約130℃の範囲である。
【0022】
態様2の別の例においては、硬化後の組成物の弾性率(G’)は、約120℃の温度で測定されて1×10パスカル以上である。
【0023】
態様2の別の例においては、硬化後の組成物の損失係数(tanδ)は、約120℃の温度で測定されて0.01未満である。
【0024】
態様2の別の例においては、硬化された組成物は、剥離材料、例えば、ライナー上のコーティング、医療デバイス用のエラストマー、またはガスケット用のエラストマーである。
【0025】
第3の態様においては、態様1の硬化された組成物と、第1の表面および第2の表面を有するライナーとを含む剥離ライナーであって、硬化された組成物がライナーの第1の表面の一部にコーティングとして配置されている、剥離ライナーが存在する。
【0026】
態様3の例においては、ライナーは、プラスチックフィルムまたはポリマーフィルム、紙、およびコート紙の群から選択される。
【0027】
第4の態様においては、基材と、基材の表面上に配置された接着剤と、第1の表面および第2の表面を有する剥離ライナーとを含む接着物品であって、第1の表面の一部が、その上に接着剤と接触して配置された態様1の硬化された組成物を有する、接着物品が存在する。
【0028】
態様4の例においては、基材は、フィルム、紙、またはそれらの組合せである。
【0029】
態様4の別の例においては、接着剤は、感圧接着剤である。
【0030】
態様4の別の例においては、ライナーは、プラスチックフィルムもしくはポリマーフィルム、紙、またはコート紙である。
【0031】
上記の態様(またはそれらの態様の例)のいずれか1つは、単独で、または上記で論じられたその態様の任意の1つ以上の例と組み合わせて提供され得る。例えば、第1の態様は、単独で、または上記で論じられた第1の態様の任意の1つ以上の例と組み合わせて提供され得る、および第2の態様は、単独で、または上記で論じられた第2の態様の任意の1つ以上の例と組み合わせて提供され得るなどである。
【0032】
追加の特徴および利点は、以下の詳細な説明に示され、一部はその説明から当業者に容易に明らかとなり、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲、および添付の図面を含む本明細書に記載される実施形態の実施によって認識される。
【0033】
上記の一般的な記載および以下の詳細な説明の両方とも単なる例示にすぎず、特許請求の範囲の性質および特質を理解するための概要または枠組みを提供することが意図されることを理解されたい。添付の図面は、より良い理解を与えるために含まれており、本明細書に含まれ、本明細書の一部をなす。これらの図面は、1つ以上の実施形態を示しており、記載とともに、様々な実施形態の原理および動作を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】10ppm、20ppm、および30百万分率(ppm)の白金触媒を含有するシリコーンベース組成物についての、百分率(pph)でのアクリレートモノマーEOEOEAの濃度とピーク硬化温度(℃)との間の例示的な関係を示す図である。
図2】10ppm、20ppm、および30ppmの白金触媒を含有するシリコーンベース組成物についての、百分率(pph)でのアクリレートモノマーEOEOEAの濃度と摂氏度(℃)でのピーク幅との間の例示的な関係を示す図である。
図3】35百万分率(ppm)の白金触媒を含有するシリコーンベース組成物についての、百分率(pph)でのアクリレートモノマーODAの濃度と摂氏度(℃)でのピーク硬化温度との間の例示的な関係を示す図である。
図4】35ppmの白金触媒を含有するシリコーンベース組成物についての、百分率(pph)でのアクリレートモノマーTego RC722の濃度と摂氏度(℃)でのピーク硬化温度との間の例示的な関係を示す図である。
図5】添加剤を含まないシリコーンベース組成物、アクリレートモノマー(TMPTA)を含有するシリコーンベース組成物、およびアクリレートモノマー/O-ビニル化合物ブレンド(TMPTA/BDVE)を含有するシリコーンベース組成物についての、パスカル(Pa)での貯蔵弾性率と摂氏度(℃)での硬化温度との間の例示的な関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本明細書に示される用語体系は、実施形態を説明するにすぎず、本発明を全体的に限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書においては、5~25(または5から25まで)などの範囲が示される場合に、これは、好ましくは、少なくとも5または5超であり、かつ別個に独立して、好ましくは25以下または25未満を意味する。一例においては、そのような範囲は、別個に独立して5以上で、かつ別個に独立して25以下であることを定義する。
【0036】
本明細書で使用される場合に、「約」という用語は、量、サイズ、配合、パラメーター、ならびに他の量および特質が正確ではなく、かつ正確である必要はないが、所望であれば、公差、換算係数、丸め、測定誤差など、およびその他の要因を反映して、近似および/またはより大きいもしくはより小さい場合があることを意味する。範囲の値または終点を記載する際に「約」という用語が使用される場合に、本開示は、言及される特定の値または終点を含むと理解されるべきである。本明細書における範囲の数値または終点が「約」を記載しているか否かにかかわらず、範囲の数値または終点は、2つの実施形態(「約」により修飾されたものと「約」により修飾されていないもの)を含むことが意図される。各範囲の終点は、他の終点に関係する場合と、他の終点とは独立する場合の両方で有効であることが更に理解されるであろう。
【0037】
本明細書で使用される「実質的な」、「実質的に」という用語、およびそれらの変形形態は、記載された特徴が値または記載に等しいまたはほぼ等しいことに留意することが意図される。例えば、「実質的に平面」の表面は、平面またはほぼ平面である表面を示すことが意図される。さらに、「実質的に」は、2つの値が等しいまたはほぼ等しいことを示すことが意図される。幾つかの実施形態においては、「実質的に」は、互いの約10%以内、例えば、互いの約5%以内、または互いの約2%以内の値を示し得る。
【0038】
「実質的に」および「約」という用語は、本明細書において、任意の定量的比較、値、測定、または他の表現に起因し得る固有の不確実性の程度を表すのに利用され得ることに留意する。これらの用語はまた、本明細書においては、問題となる主題の基本的な機能に変化をもたらすことなく、定量的表現が示される参照と相違し得る程度を表すのに利用される。
【0039】
シリコーンを含有するとともに、組成物の総重量に対して、約0.05重量%から約5重量%以下の間のアクリレート硬化促進剤(例えば、アクリレートモノマー)を含有する組成物が提供される。シリコーンベースポリマーと、触媒と、架橋剤とを含む組成物に、これらの量で1つ以上のアクリレート硬化促進剤を添加すると、望ましくは、組成物のピーク硬化温度が低下し、それにより硬化の速度および時間が加速される。驚くべきことに、これらの量でアクリレート硬化促進剤を添加することにより、硬化の完全性を犠牲にすることなく、または硬化されたシリコーン組成物の剥離特性に対して有害な影響を及ぼすことなく、組成物の硬化を開始して有効に完了させるのに必要とされる触媒(例えば、白金ベースの触媒)の量を低減させることが選択的に可能となることも判明した。本明細書で提供される組成物は、特に接着物品用の剥離ライナーにおいて特に有用である。
【0040】
組成物の材料
本開示の硬化性組成物は、1つ以上のシリコーンベースポリマーを含むため、該組成物はシリコーン組成物である。組成物は、硬化促進剤としての1つ以上のアクリレートモノマーと、1つ以上の触媒と、1つ以上の架橋化剤とを更に含む。任意に、幾つかの実施形態においては、組成物は、本明細書に記載される1つ以上のO-ビニル化合物および制御剥離剤を更に含み得る。
【0041】
一般に、組成物の1つ以上のシリコーンベースポリマーは、反応性ビニル基を有する。1つ以上の実施形態においては、シリコーンベースポリマーは、ビニル官能性シリコーンベースポリマーまたはシロキサン、例えば、ジオルガノポリシロキサンまたはジアルキルポリシロキサンである。一例においては、シリコーンベースポリマーは、ポリマー鎖に沿ってビニル基を有し、および/または鎖の末端にビニル基を有する多官能性ポリマーである。別の例においては、シリコーンベースポリマーは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)またはその誘導体であり得る。ビニル末端PDMSは、シリコーンベースポリマーの一例である。本開示で使用される例示的なシリコーンベースポリマーとしては、限定されるものではないが、WackerのDehesive 915およびDowsil SL 161が挙げられる。シリコーンベースポリマー(例えば、1つ以上のシリコーンポリマー)の総量は、組成物の総重量の約50重量%~約95重量%、または約60重量%~約90重量%の範囲で存在し得る。別の例においては、組成物は、組成物、例えば未硬化の組成物の総重量に対して、約50重量%以上、約60重量%以上、約65重量%以上、約70重量%以上、または約75重量%以上の総シリコーンベースポリマーを含有する。別の例においては、組成物は、約95重量%以下、約90重量%以下、約85重量%以下、または約80重量%以下のシリコーンベースポリマーの総量を含有し得る。
【0042】
組成物のアクリレートモノマーなどのアクリレート硬化促進剤は、組成物のピーク硬化温度を効果的かつ有益に低下させるように機能し、それにより必要な硬化温度がより低くなり、硬化の速度および時間が加速する。本明細書においてアクリレート硬化促進剤を定義する「アクリレート」という用語は、具体的にはアクリレート類を指し、メタクリレート類、またはアクリレート類およびメタクリレート類の組合せを指すものではない。或る特定の実施形態においては、アクリレート硬化促進剤は親水性であり、12個未満の炭素(C12)を含む親水性側鎖または側基を含む。アクリレート硬化促進剤は、組成物の総重量に対して、約0.05重量%から約5重量%の間の量で存在し得る。別の例においては、アクリレート硬化促進剤は、組成物の総重量に対して、約0.1重量%~約5重量%、約0.15重量%以上、約0.2重量%以上、または約0.25重量%以上の範囲で存在する。別の例においては、組成物は、約4.5重量%以下、約4重量%以下、約3.5重量%以下、または約3重量%以下のアクリレート硬化促進剤を含有し得る。1つ以上の実施形態においては、硬化性組成物は、約5重量%以下の総アクリレート硬化促進剤を含有することで、高弾性率の硬化された組成物の形成が保証される。別の例においては、(例えば、未硬化の状態の)組成物は、約0.1pph~約10pph(組成物中に存在するシリコーンベースポリマー100部当たりのアクリレート硬化促進剤の部)、約0.2pph~約5pph、約0.25pph~5pph、約0.2pph~約2pphの範囲、または約0.5pph、約0.75pph、約1pph、約1.25pph、約1.5pph、もしくは約1.75pphでアクリレート硬化促進剤を含み得る。別の例においては、組成物は、約10pph以下、約5pph以下、約4pph以下、約3pph以下、または約2pph以下の総アクリレート硬化促進剤を含有し得る。更に別の例においては、組成物は、最大約0.1pph、約0.2pph、約0.25pph、約0.5pph、約1pph、約1.5pph、約2pph、または約5pphの総アクリレート硬化促進剤を含み得る。
【0043】
1つ以上の実施形態においては、1つ以上のアクリレート硬化促進剤は、単官能性アクリレートモノマーであるアクリレートモノマーである。他の実施形態においては、1つ以上のアクリレートモノマーは、二官能性、三官能性、または多官能性である。本発明で使用される例示的なアクリレートモノマーとしては、限定されるものではないが、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、トリシクロデカンジオールジアクリレート、イソボルニルアクリレート、オクチル/デシルアクリレート、シリコーンジアクリレート、シリコーンヘキサアクリレート、Tego RC722、3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、イソデシルアクリレート(IDA)、プロポキシル化(3mol)TMPTA、エトキシル化(3mol)TMPTA、2-エトキシエトキシエチルアクリレート(EOEOEA)、プロポキシル化2-ネオペンチルグリコールジアクリレート(PONPGDA)、2-フェノキシエチルアクリレート、エトキシル化(15mol)TMPTA、ポリエチレングリコール200ジアクリレート(PEG200DA)が挙げられる。
【0044】
本明細書に開示される組成物はまた、架橋化剤または架橋剤、例えば、水素化ケイ素剤も含有する。幅広い架橋化剤、例えば、既知のポリオルガノヒドロシロキサン架橋化剤が、開示された組成物において使用され得る。水素化ケイ素官能基、すなわちSi-H基を有する架橋化剤が特に好ましい。本発明で使用される例示的な架橋化剤としては、限定されるものではないが、Wacker Chemicalを通じて入手可能なV90、およびDow Chemical Corporationを通じて入手可能なSyl-Off 7488が挙げられる。架橋化剤は、組成物の総重量に対して、約1重量%から約15重量%の間の範囲で存在し得る。別の例においては、架橋化剤は、組成物の総重量に対して、約2重量%~約14重量%、約3重量%以上、約4重量%以上、または約5重量%以上の範囲で存在する。別の例においては、組成物は、約14重量%以下、約13重量%以下、または約12重量%以下の架橋化剤を含有し得る。
【0045】
本明細書に開示される組成物はまた、触媒、例えば、白金またはロジウムなどの金属ベースの触媒を含む。組成物においては、様々な触媒が使用され得る。組成物において使用するには、白金、白金錯体、または白金化合物などの白金(Pt)含有触媒が好ましい。1つ以上の実施形態においては、白金触媒は、ヒドロシリル化反応において適した、ジビニル含有ジシロキサンから誘導される有機白金化合物であるKarstedtの触媒である。
【0046】
組成物は、しばしば40ppmを超える白金触媒を使用する。40ppm未満の白金触媒は、不完全な硬化、および組成物が剥離用途において使用される場合に接着剤でコーティングされた基材との結合不全をもたらし得る。しかしながら、本明細書に開示される組成物の好ましい実施形態においては、触媒は、組成物の総重量の約5ppmから約100ppm、約10ppmから約80ppm、または約15ppmから約60ppmの間の量で存在する。幾つかの実施形態においては、触媒(例えば、白金ベースの触媒)は、組成物の総重量の約40ppm以下、約35ppm以下、約30ppm以下、約25ppm以下、または約20ppm以下を構成する。1つ以上の実施形態においては、白金触媒の量は、組成物の総重量の約1ppm~約20ppmの範囲内であり得る。他の実施形態においては、白金触媒の量は、組成物の総重量の約5ppm~約10ppmの範囲内であり得る。
【0047】
組成物の1つ以上の実施形態においては、組成物はまた、任意にO-ビニル化合物を含む。組成物においては、幅広いO-ビニル化合物が使用され得る。例えば、O-ビニルエーテル化合物が使用され得る。1つ以上の実施形態においては、O-ビニルエーテル化合物は、1,4-シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル(BDVE)、およびドデシルビニルエーテル(DDVE)から選択される。O-ビニル化合物は、組成物の総重量に対して、約0.01重量%もしくは0.05重量%から約5重量%以下の間、または約0.1重量%から約3重量%の間の範囲で存在し得る。1つ以上の実施形態においては、O-ビニル化合物は、組成物の総重量の約2.5重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、または約0.5重量%以下で存在する。
【0048】
組成物の別の実施形態においては、組成物はまた、制御剥離剤(CRA)を含む。制御剥離剤は、組成物に添加されると、例えば、接着物品として使用される場合に、組成物の結合強度を調整するように機能する。1つ以上の実施形態においては、制御剥離剤としては、一価(M)シロキサン基(RSiO1/2基、式中、Rは、典型的にはメチルまたはビニルである一価の炭化水素基である)および四価(Q)シロキサン基(SiO4/2基)のみを含む、別名MQ樹脂としても知られるシリコーン樹脂が挙げられる。ビニル基により、硬化中にCRAがシリコーンポリマーと反応することが可能となる。1つ以上の実施形態においては、制御剥離剤は、Wackerから入手可能なCRA 17、またはDow Chemicalによって供給されるSL 40であり得る。制御剥離剤は、組成物の総重量の50重量%未満の量で存在し得る。他の実施形態においては、制御剥離剤は、組成物の総重量に対して、約1重量%から約35重量%以下、約2重量%から約25重量%以下、または約4重量%から約12重量%以下の間の範囲で存在し得る。
【0049】
本開示による例示的な組成物を、以下の表1に示す:
【表1】
【0050】
組成物の調製
以下は、組成物を調製する例示的な方法である。シリコーンベースポリマー、架橋化剤、触媒、および任意に制御剥離剤を一緒に添加し、これらの成分を、例えば、約5分~約25分にわたってまたは完全に混ざるまで一緒に混合して、混合物を調製する。その混合物にアクリレート硬化促進剤、および任意にO-ビニルエーテル化合物を添加し、更に(例えば、約5分~約25分にわたって)混合して、反応性混合物を形成する。1つ以上の実施形態においては、硬化性(例えば、熱硬化性)組成物を調製する方法における、混合物の成分にアクリレート硬化促進剤、および任意にO-ビニルエーテル化合物を添加する工程は、硬化条件に適用する直前、例えば、組成物を加熱する直前に行われる。
【0051】
1つ以上の実施形態においては、シリコーンベースポリマーおよび架橋剤を一緒に混ぜ合わせ、均一なブレンドに至るまで混合した後に、任意の制御剥離剤を添加することができる。そのブレンドを更に、均一になるまで混合または撹拌する。触媒を、例えば、白金含有溶液などの溶液の形態で更に添加し、混合して、混合物を形成する。その混合物にアクリレート硬化促進剤、および任意にO-ビニルエーテル化合物を添加し、更に(例えば、約5分~約25分にわたって)混合して、反応性混合物を形成する。反応性混合物を、硬化条件、例えば、組成物の加熱に供する。加熱は、任意の適切な手段によって、例えば、オーブンにおいて達成され得る。
【0052】
組成物についての硬化条件は、組成物を熱に曝すことを含み得る。一例においては、組成物を1つのオーブンまたは一連のオーブンにおいて加熱して、硬化を開始する。オーブンを約130℃~約150℃の範囲で予熱して、硬化を実施することができる。しかしながら、本明細書に開示される組成物は、組成物を約70℃~約140℃、約75℃~約130℃、または約80℃~約120℃の範囲で加熱すると、約90%以上、または約95%以上硬化され得ることが判明した。1つ以上の実施形態においては、コーティング組成物は、組成物を約70℃~約120℃、約75℃~約115℃、または約80℃~約110℃の範囲で加熱すると、約90%以上、または約95%以上で硬化され得る。他の実施形態においては、組成物は、より高い温度で、例えば、約120℃~約180℃、約125℃~約170℃、もしくは約130℃~約160℃の範囲で、または約140℃もしくは150℃で、約90%以上、または約95%以上硬化され得る。
【0053】
以下の実施例で裏付けられるように、アクリレート硬化促進剤を使用すると、例えば、約70℃~約140℃、約75℃~約135℃、約80℃~約130℃の範囲で、または約90℃、約100℃、約110℃、もしくは約120℃で、組成物のピーク硬化温度が低下し得る。組成物についての曝露温度などの硬化条件は、それに応じて調整され得る。例えば、オーブン温度は、アクリレート硬化促進剤の使用により、典型的な硬化温度より低く設定され得る。また、実施例では、95%以上の硬化を達成する硬化温度は、例えば、約70℃~約140℃、約75℃~約135℃、約80℃~約130℃の範囲で、または約90℃、約100℃、約110℃、もしくは約120℃で示されている。
【0054】
組成物はまた、効果的な(例えば、90%または95%以上の)硬化を達成する時間の量、例えば、オーブンなどの加熱された条件における滞留時間が短縮されるという点で、アクリレート硬化促進剤の使用による恩恵を受ける。1つ以上の実施形態においては、組成物は、約1秒~約1分、約2秒~約45秒、約3秒~約30秒、約25秒以下、約20秒以下、約15秒以下、約10秒以下、約8秒以下、または約5秒以下の期間にわたり、約70℃~約130℃、約75℃~約125℃、または約80℃~約120℃の範囲の温度で硬化され得る。他の実施形態においては、例えば、約120℃~約180℃、約125℃~約170℃、もしくは約130℃~約160℃の範囲で、または約140℃もしくは150℃のより高い硬化温度を上記と同じ硬化時間で使用することができる。組成物を硬化させる硬化時間は、組成物を硬化させるべきであると同時に、本明細書に記載される接着物品の接着材料を乾燥させるべきでもある場合の例においては、10秒~40秒以上の範囲であり得る。1つ以上の実施形態においては、組成物は、剥離ライナーのライナー基材の第1の表面上に未硬化のコーティングとして適用され得る。組成物コーティングを有する剥離ライナーは、感圧性であり得る接着剤の薄層で少なくとも部分的に覆われている基材(例えば、ポリマーフィルム、紙、またはそれらの組合せで作られ得るラベル)上に配置され得る。剥離ライナーの組成物コーティングは、基材上の接着剤と直接接触し得るため、接着剤層は、基材と、剥離ライナーのライナー材料上のコーティング組成物との間に配置されている。この物品を上記の条件でオーブン内で加熱して、例えば、該物品を約10秒~約40秒または1分の期間にわたり、約70℃~約130℃、約75℃~約125℃、または約80℃~約120℃の範囲の温度に曝すことによって、剥離ライナーの組成物を硬化させるとともに、基材上の接着剤を乾燥させることもできる。
【0055】
剥離ライナー
本開示はまた、剥離ライナーを形成するのに使用され得る柔軟なライナーをコーティングするための、組成物の適用の使用を提供する。剥離ライナーは、基材(例えば、ラベル)用の、それを保護するキャリアとして機能する。本明細書に開示される組成物は、典型的には、非常に薄い剥離層または剥離コーティング(例えば、約1μm、ミクロン)として、柔軟なライナーの表面に適用される。組成物の剥離層の厚さは、約0.05μm~約3μm、約0.1μm~約2μm、約0.25μm~約1μmの範囲、または約0.5μm、約0.75μm、約1μm、約1.5μm、もしくは約2μmであり得る。組成物の剥離層をライナーの表面に適用することにより、貯蔵中にライナーの表面上の所定の位置にラベルを保持する弾性的な低エネルギー層が提供されるとともに、素早く簡単な除去も提供される。
【0056】
幾つかの実施形態においては、組成物がコーティングされる柔軟なライナーは、ポリマーフィルム、紙材料、および/またはコート紙材料であり得る。柔軟なライナーには、限定されるものではないが、従来の滑らかな表面の紙材料、ポリエステルフィルムおよびポリオレフィンフィルムを含む様々な材料が使用され得る。或る特定の実施形態においては、組成物がコーティングされた柔軟なライナー(すなわち、剥離ライナー)は、裏当てシートを強化するのに十分な厚さである。好ましい実施形態においては、剥離ライナーは、平坦な構成を維持するのに十分な剛性および/または厚さを有すると同時に、外部刺激に応じて曲がるのに十分な柔軟性も有する。
【0057】
シリコーンポリマーが接着剤に移行し、ラベルなどの接着物品の接着を妨げるのを防ぐために、柔軟なライナー上にコーティングされた組成物を、硬化として知られる過程によって架橋させなければならない。組成物における未硬化のシリコーンは、印刷および他のラベル加工工程を妨げる可能性があるため、望ましくない。
【0058】
柔軟なライナーをコーティングする組成物を上記で開示されるように調製したら、その組成物を一連のローラーを使用して柔軟なライナーに適用する。ローラーは組成物をすり潰し、反応性混合物を、柔軟なライナー上に上記の厚さの薄層へと形成する。次に、コーティングされた剥離ライナーを、例えば1つのオーブンまたは一連のオーブン内で加熱して、反応性混合物の硬化を開始する。典型的には、オーブンを約130℃~約150℃の範囲で加熱して、硬化が実施される。しかしながら、本明細書に開示される剥離ライナー用コーティング組成物は、オーブンを130℃未満の温度で、例えば、約70℃~約130℃、約75℃~約125℃、または約80℃~約120℃の範囲で加熱しても、約90%以上、または約95%以上が硬化され得ることが判明した。1つ以上の実施形態においては、柔軟なライナー上にコーティングされた組成物は、組成物を約70℃~約120℃、約75℃~約115℃、または約80℃~約110℃の範囲で加熱すると、約90%以上、または約95%以上で硬化され得る。
【0059】
一例においては、コーティングされた柔軟なライナーを、硬化が起こる高められた温度に曝される時間が約1秒から約5秒または10秒の間であるように、毎分およそ2000フィートでオーブン内を通過させる。幾つかの実施形態においては、硬化が起こる時間は、1秒~5秒の範囲、または約2秒、3秒、もしくは4秒である。硬化中に、シリコーンのビニル基は、ヒドロシリル化と呼ばれる過程を通じて、架橋化剤の水素化ケイ素基と反応する。得られる生成物は、高度に架橋された三次元ポリマーである。硬化過程では、揮発性の副生成物は一切生成されない。ライナーがオーブンを出て室温に戻ると、後硬化はほとんどまたは全く起こらない。1つ以上の実施形態においては、組成物は、約1秒~約30秒、約2秒~約25秒、約20秒以下、約15秒以下、約10秒以下、または約5秒以下の期間にわたり、約70℃~約140℃、約75℃~約130℃、または約80℃~約120℃の範囲の温度で硬化され得る。
【0060】
シリコーン硬化中に起こるヒドロシリル化は、示差走査熱量測定(DSC)を使用して測定される発熱ピークを生ずる発熱過程である。DSCは、参照と比較して試料の温度を高めるのに必要な熱量の差を分析する業界で認定された方法であり、温度の関数として測定される。典型的には、温度は毎分10℃で上昇する。熱流は典型的には、ワットで測定される。
【0061】
発熱ピークの幾つかの測定値は、全体的な硬化に関する情報を提供する。一般に摂氏度(℃)で測定されるピーク温度は、発熱ピークがその極大に達する温度である。ピーク面積は、一般に1グラム当たりのジュール(J/g)で測定され、総発熱量の大きさであり、硬化の完全性の尺度である。一般に、ピーク面積の数値が大きいほど、硬化の完全性がより大きくなることを示す。一般に摂氏度(℃)で測定されるピーク幅は、硬化が起こる速度の大きさである。一般にグラム当たりのワット数(W/g)で測定されるピーク高さは、硬化の程度(強度)を示す。狭くて高い発熱ピークは、迅速で強い硬化を示すのに対して、短くて広い発熱ピークは、シリコーン組成物の遅く緩やかな硬化を示す。シリコーンポリマーの95%が硬化される温度も、典型的には摂氏度(℃)で測定される。
【0062】
DSCの結果とは異なり、レオメーターは、硬化中に温度が上昇するときの材料の物理的特性を明らかにすることができる。典型的には、弾性剪断弾性率(G’)が測定される。弾性率の一次導関数は、反応がどれだけ迅速に増加しているかを示す。一次導関数が最大となる温度は、最大反応速度の尺度であり、これはDSCを介して得られるピーク硬化温度とほぼ同等である。典型的には摂氏度当たりのパスカル(Pa/℃)で測定される一次導関数の最大値は、最大架橋速度を示し、最大値の温度は、最大速度が起こる温度を示す。弾性曲線の二次導関数は、反応速度がどのように変化しているかを示す。一般に摂氏度(℃)で測定される二次導関数の最低温度は、硬化がほぼ完了する温度である。パスカル(Pa)で測定される二次導関数の最低温度でのG’は、反応がほぼ完了近くまで遅くなった点を示している。
【0063】
接着物品
本開示はまた、基材と、基材上に適用された接着剤と、硬化された組成物が表面に成層された剥離ライナーとを含む接着物品を提供する。組成物を、剥離ライナーを形成する基材またはライナー材料上に溶液として適用することができ、その後、コーティングされた溶液を上記に開示されるように熱を加えることによって硬化させて、剥離ライナーの形成が完了する。本開示は、様々な慣用の方法、例えば、グラビアコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スピンコーティング法、ナイフコーティング法、ロールコーティング法、ダイコーティング法などのような、剥離ライナーのベース材料(例えば、紙ライナー)上に組成物を剥離層として供給する方法の例を含む。幾つかの実施形態においては、基材は、ポリマーフィルム、紙、またはそれらの組合せで作ることができるラベルである。基材は、感圧性であり得る接着剤の薄層で少なくとも部分的に覆われている。接着剤層は、基材と、組成物の硬化された剥離層との間に配置される。
【0064】
接着剤層は、特定の目的または意図された用途に所望される任意の適切な接着剤材料から形成され得る。接着剤層は、感圧接着剤層、または熱活性化接着剤層を含み得る。感圧接着剤は、現在当該技術分野で知られている任意の感圧接着剤、例えば、アクリル接着剤、ビニルエーテル接着剤、ポリエステル接着剤、ポリウレタン接着剤、ゴム接着剤、シリコーン接着剤など、またはそれらの任意の組合せであり得る。他の例においては、接着剤は、エマルジョン型、溶剤型、および非溶剤型のいずれかである場合があり、架橋型または非架橋型のいずれかである場合がある。有用な感圧接着剤材料は、主成分として、例えば、アクリル型ポリマー、ブロックコポリマー、天然ゴム、再生ゴムまたはスチレンブタジエンゴム、粘着性天然ゴムまたは合成ゴム、エチレンおよび酢酸ビニルのランダムコポリマー、エチレン-ビニル-アクリルターポリマー、およびポリイソブチレン、ポリ(ビニルエーテル)を含む接着性ポリマーを含有し得る。典型的には、感圧接着剤材料は、典型的には、約-70℃~約10℃の範囲のガラス転移温度によって特徴付けられる。
【0065】
上記に加えて、感圧接着剤材料に追加の成分を導入することができる。これらの追加の成分としては、例えば、固体粘着性樹脂、液体粘着付与剤(例えば、可塑剤)、酸化防止剤、充填剤、顔料、ワックスなど、またはそれらのブレンドが挙げられる。特に有用な接着剤は、米国特許第5,192,612号明細書および米国特許第5,346,766号明細書に記載されている。
【0066】
接着剤層は、特定の目的または意図された用途に所望される厚さを有し得る。一実施形態においては、接着剤層は、約10ミクロン~約125ミクロン、または約10ミクロン~約75ミクロン、または約10ミクロン~約50ミクロンの厚さを有し得る。一実施形態においては、感圧接着剤の塗工量は、約10グラム毎平方メートル(gsm)~約50gsm、一実施形態においては、約20gsm~約35gsmの範囲であり得る。
【0067】
接着剤層の集成(assembly)は限定されず、特定の目的または意図された用途に必要とされる任意の適切な集成または構成であり得る。一実施形態においては、例えば、接着剤層は、単一の層、2層、または複数の層を含み得る。一実施形態においては、接着剤層(複数を含む)はまた、実質的に連続的であり得る。別の実施形態においては、接着剤層(複数を含む)は、1つ以上の不連続な層として提供され得る。
【0068】
本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、開示された実施形態に様々な変更および変動を行うことができることは当業者に明らかであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲およびそれらの同等物の範囲内にあるあらゆる全てのそのような変更および変動を包含することが意図されている。
【実施例
【0069】
組成物に対する特定の添加剤の効果を示すために、表2に従って調製された組成物を用いて硬化研究を行った。
【0070】
【表2】
【0071】
シリコーンベースポリマーであるDehesive 915(DEH 915)は、Wacker Chemicalsによって提供される短鎖で線状の二官能性ビニル末端シリコーンポリマーであり、これをシリコーンベースポリマーに使用した。試験される添加剤と剥離コーティング組成物中の他の成分との間の相容性を示すために、シリコーン剥離改良剤樹脂(例えば、制御剥離剤)であるCRA 17を添加した。Wacker Chemicalによって提供されるシリコーン架橋剤であるV90、およびシリコーンポリマー中で希釈された白金触媒である20ppmのHSPC(20ppmの白金原子量)もまたシリコーンベース組成物に添加した。
【0072】
以下の表3に示されるアクリレート硬化促進剤およびO-ビニル化合物を含む1pphの様々な添加剤を、表2に特定される組成物混合物に添加して、硬化用の反応性混合物を形成した。反応性組成物を、DSCにおいて上記のように10℃/分の勾配で硬化させ、剥離コーティング組成物のピーク温度、ピーク高さ、ピーク幅、ピーク面積、および95%硬化時の温度を、DSCを介して上記のように測定した。得られた結果も表3に含まれている。
【0073】
【表3】
【0074】
表3から、アクリレートモノマー含有組成物についてのピーク硬化温度が、添加剤不含のコントロール組成物と比較して、およそ7摂氏度~15摂氏度だけ低下したことが容易に観察され得る。また、アクリレートモノマー含有組成物では、試験された他の化合物よりも大きくピーク硬化温度が低下した。アクリレートモノマー含有組成物ではピーク温度が大幅に低下したので、アクリレートモノマーが少量の触媒(20ppm)の存在とともに硬化促進に直接寄与したと結論付けることができる。対照的に、表3においては、N-ビニル化合物、ビニル化合物、およびメタクリレート類が、ピーク硬化温度を有益に変化させず、場合によっては、硬化温度を上昇させたことも観察される。
【0075】
さらに、添加剤不含のコントロール組成物と比較して、アクリレートモノマー含有組成物について、より広くより短い発熱ピーク高さが観察された。わずかに広くより短いピークにより、アクリレートがピーク硬化温度を低下させたが、低下した温度で硬化をわずかに停滞させたことが示された。しかしながら、狭いピーク面積を維持しながらピーク高さがより高いことによって示されるように、O-ビニルエーテルはピーク硬化温度を低下させなかったが、反応速度を増加させた。
【0076】
より高濃度の白金触媒を有する組成物に対する添加剤の効果を調査するために、表3に提示される実験を、表4による組成物を使用して再現した。この組成物には、表2と同じ成分を使用した。しかしながら、ビニル末端ベースポリマーの量を減らし、白金の量を60ppmに増加させた。シリコーン架橋剤および剥離改良剤樹脂の量はほぼ同じに保った。
【0077】
【表4】
【0078】
この研究には、より少量の添加剤を組成物に添加した。具体的には、以下の表5に示されるアクリレートモノマーおよびO-ビニル化合物を含む0.5pphの様々な種類の添加剤を組成物に添加して、反応性混合物を形成した。組成物を硬化させ、組成物のピーク温度、ピーク高さ、ピーク幅、ピーク面積、および95%硬化時の温度を、DSCを介して上記のように測定した。結果を表5に列記する。
【0079】
【表5】
【0080】
表5から、アクリレートモノマー含有組成物が、添加剤不含のコントロール組成物と比較して、ピーク硬化温度の大幅な低下を示した(例えば、およそ8.4摂氏度~22.9摂氏度低い)ことが容易に観察され得る。表3における研究された20ppmの白金触媒のアクリレート含有組成物と比較して、60ppmの白金触媒のアクリレートモノマー含有組成物は、ピーク硬化温度の更により劇的な上昇を示した。同様に、O-ビニル化合物はピーク硬化温度を0.9摂氏度~2.7摂氏度低下させるだけであったが、これらは狭いピーク幅を維持しながらピーク高さを増加させたことが分かる。したがって、O-ビニル化合物は硬化の強度を高めている。したがって、アクリレートおよびO-ビニルエーテルは、独立しているが補完的に硬化に影響を与えることが分かる。
【0081】
ピーク面積に関して、アクリレート含有組成物は、一般に、使用されるアクリレートモノマーの種類に応じて程度が変動するものの、添加剤不含のコントロール組成物よりも大きなピーク面積値を示した。同様に、試験されたO-ビニル化合物は一貫して、アクリレートモノマー含有組成物および添加剤不含のコントロール組成物の両方よりも大きなピーク面積およびピーク高さを示した。したがって、アクリレートモノマーおよびO-ビニル化合物を含むと、組成物のより多くの部分の硬化(例えば、硬化増大)が引き起こされ得ると結論付けることができる。それにもかかわらず、表3および表5における結果は、アクリレートモノマーおよびO-ビニル化合物によって生ずる硬化の促進および増大が、様々な白金触媒濃度(20ppm~60ppm)および添加剤量(0.5pph~1pph)にわたって起こったことを示している。したがって、少量の硬化促進剤および少量の触媒を利用することができると同時に、依然として効果的な硬化が達成される。
【0082】
硬化促進および硬化増大が、以前の研究で使用されたシリコーンベース組成物の成分に限定されないことを示すために、表6に記載される様々なシリコーンポリマーと、架橋剤と、制御剥離剤とを含む組成物を用いて実験を繰り返した。さらに、組成物には、以前の研究で試験された20ppmおよび60ppmの濃度とは対照的に、少量の触媒(35ppmの白金触媒)が含まれた。
【0083】
【表6】
【0084】
ポリマー鎖に沿ってビニル基を含むビニル末端の多官能性シリコーンポリマーである、Dow Chemicalによって提供されるSL 161を、シリコーンベースポリマーに使用した。試験された添加剤と剥離コーティング組成物中の他の成分との間の相容性を示すために、シリコーン剥離改良剤樹脂(例えば、制御剥離剤)であるSL 40を添加した。Wacker Chemicalによって提供されるシリコーン架橋剤である7488、および白金触媒である35ppmのSL 3000もシリコーンベース組成物に添加した。
【0085】
表7に記載されるように、0.5pphの様々な添加剤をシリコーンベース組成物に添加した。組成物を硬化させ、組成物のピーク温度、ピーク高さ、ピーク幅、ピーク面積、および95%硬化時の温度を、DSCを介して上記のように測定した。結果は表7に含まれている。
【0086】
【表7】
【0087】
表7から、アクリレート含有組成物が、添加剤不含のコントロール組成物と比較して、大幅に低いピーク硬化温度を示したことは明らかである。O-ビニル化合物は、ピーク硬化温度に大きな影響を与えなかった。したがって、アクリレートモノマーが硬化を促進させる能力は、シリコーンベースコーティング組成物に使用されるシリコーンポリマー、架橋剤、制御剥離剤、および白金触媒の特定の種類とは無関係であると結論付けることができる。表3、表5、および表7の結果を比較すると、アクリレートモノマーは、シリコーンベース組成物中に存在する白金触媒の量とは独立して硬化を促進させると更に結論付けることができる。
【0088】
添加剤不含のコントロール組成物とは対照的に、アクリレートモノマー含有組成物においては、より短くより広いピークが観察された。アクリレートモノマー含有組成物およびO-ビニル化合物含有組成物の両方とも、添加剤不含のコントロール組成物と比較した場合にピーク面積の増大を示したことから、これらのシリコーンベース組成物のより多くの部分が硬化されたこと(例えば、硬化増大)を示している。しかしながら、一般的により大きなピーク高さを有するO-ビニル化合物が、最も効果的な硬化促進剤であることが証明された。これらの結果を考慮すると、O-ビニル化合物およびアクリレートモノマーの硬化増大特性は、シリコーンベースコーティング組成物に使用されるシリコーンポリマー、架橋剤、制御剥離剤、および白金触媒の特定の量および種類とは無関係であることは明らかである。
【0089】
様々なレベルの白金触媒を含有するシリコーン組成物にわたるアクリレートモノマーの硬化促進能力および硬化増大能力を更に裏付けるために、表8によるシリコーンベース組成物を調製した。シリコーンベースポリマーとしてSL 161を使用し、シリコーン架橋剤として7488を使用した。これらの組成物には、制御剥離剤を添加しなかった。白金触媒であるSL 3000を、以下に示されるように、それぞれ10ppm、20ppm、30ppm、および35ppmの量で組成物に添加した。
【0090】
【表8】
【0091】
アクリレートモノマーである2-エトキシエトキシエチルアクリレート(EOEOEA)を添加剤として使用し、10ppm、20ppm、および30ppmのシリコーンベース組成物に加えて、それぞれ0.25pph、0.5pph、1pph、2pph、5pph、および10pphの量で添加した。EOEOEAを添加したら、組成物を硬化させ、ピーク温度、ピーク高さ、ピーク幅、ピーク面積、および95%硬化時の温度を、DSCを介して上記のように測定した。結果を以下の表9に示す。
【0092】
【表9】
【0093】
表9から明らかなように、各白金濃度でのEOEOEA含有組成物は、ピーク硬化温度の実質的な低下を示し、硬化の促進を起こした。おそらく更に重要なことには、最も顕著な硬化促進を達成するのに必要とされるアクリレートモノマーの量を、表9から決定することができる。図1に示されるように、様々な白金含有濃度にわたるベース組成物に約0.25pphから約2pphの間のEOEOEAが添加されたときに、ピーク硬化温度の最も急激な低下が起こった。約2pphを超える量のアクリレートモノマーの添加もピーク温度の低下を引き起こしたが、低下はそれほど顕著ではなかった。したがって、実施例によって裏付けられる組成物の白金濃度に関係なく、硬化前にシリコーンベース組成物に約2pph以下のアクリレートモノマーが添加されたときに、最も顕著な硬化促進が観察されると結論付けることができる。
【0094】
同様に、図2に示されるように、約0.25pphから約2pphの間のEOEOEAが様々な白金含有組成物に添加されたときに、ピーク幅が劇的に増加した。しかしながら、約2pphから約10pphの間のEOEOEAが組成物に添加されたときに、ピーク幅の変化はほぼ一定のままであった。したがって、図2はまた、組成物の白金濃度に関係なく、約2pph以下のアクリレートモノマーがシリコーンベース組成物に添加されたときに、最も顕著な硬化促進が起こることを示している。
【0095】
約2pph以下のアクリレートモノマーが、様々なアクリレートモノマーおよび白金触媒の濃度にわたって最も顕著な硬化促進を引き起こすことを実証するために、より高濃度の白金触媒を含有するシリコーンベース組成物において、追加のアクリレートモノマーを様々な量で研究した。オクチル/デシルアクリレート(ODA)およびTego RC722-シリコーンアクリレート固着剤(Tego RC722)の2つのアクリレートモノマーを、上記の表8に示される35ppmのシリコーンベース組成物に添加した。アクリレートモノマーを、シリコーンベース組成物に加えて、それぞれ0.1pph、0.2pph、0.5pph、1pph、2pph、5pph、および10pphの量で添加した。アクリレートモノマーを添加したら、組成物を上記のように硬化させ、ピーク温度、ピーク高さ、ピーク幅、ピーク面積、および95%硬化時の温度をDSCを介して測定した。結果をそれぞれ以下の表10および表11に示す。
【0096】
【表10】
【0097】
【表11】
【0098】
表10および表11に示されるピーク硬化温度の低下によって裏付けられるように、アクリレート含有組成物は、アクリレート不含のコントロール組成物と比較した場合に、硬化の促進(例えば、ピーク温度の低下)を示した。表10および表11におけるピーク硬化温度をアクリレートの量に対してプロットすることで、図3および図4をそれぞれ作成した。図3および図4のどちらも、例えば、アクリレート硬化促進剤が約0.2pph~約2pphまたは約0.2重量%~約2重量%の量で添加されたときに、約2pph以下の量でODAおよびTego RC722を含有する組成物についてのピーク硬化温度の急激な低下を示している。約2pphより多くのアクリレート硬化促進剤を添加すると、その温度は劇的には低下しなかったものの、それでも効果的であった。したがって、シリコーンベース組成物への硬化促進剤としての約2pph以下(例えば、約0.1pphまたは約0.2pph~約2pph)のアクリレートモノマーの添加が、ピーク硬化温度の顕著な低下をもたらし、この範囲が、約60ppm以下、約50ppm以下、約40ppm以下、または約35ppm以下であり得る組成物の白金濃度に関係なく、一般に全てのアクリレートモノマーに対して最も効果的であると結論付けることができる。
【0099】
上記の研究では、シリコーンベース組成物への単一の種類の添加剤での添加に焦点を絞った。したがって、シリコーンベース組成物に2つの添加剤、すなわち1つのアクリレートモノマーおよび1つのO-ビニル化合物を添加することによる研究を行った。上記の表8に示される10ppm、20ppm、および30ppmのシリコーンベース組成物をこの研究に使用した。1つのアクリレートモノマー(TMPTA)および1つのO-ビニル化合物(BDVE)を、シリコーンベース組成物に加えて表12に示される量で添加した。TMPTAおよびBDVEを添加したら、組成物を硬化させ、ピーク温度、ピーク高さ、ピーク幅、ピーク面積、および95%硬化時の温度を、DSCを介して上記のように測定した。結果を表12に示す。
【0100】
【表12】
【0101】
表12は、アクリレートモノマー(TMPTA)およびO-ビニル化合物(BDVE)を組み合わせることで、添加剤不含のコントロール組成物、アクリレートモノマー含有組成物、およびO-ビニル化合物含有組成物と比較した場合に、ピーク硬化温度の大幅な低下がもたらされることを示している。アクリレートモノマー/O-ビニル化合物のブレンドを含有する組成物はピーク硬化温度を最も低下させたので、アクリレートモノマー/O-ビニル化合物のブレンドは効果的な硬化促進剤の組合せであると結論付けることができる。
【0102】
同様に、アクリレートモノマーおよびO-ビニル化合物の両方を含有する組成物は、ピーク高さおよび反応速度を維持しながら最大のピーク面積を示したことから、それらの組成物は、添加剤不含の組成物、アクリレートモノマー含有組成物、およびO-ビニル化合物含有組成物よりも多くの部分が硬化されること(例えば、硬化増大)が示される。したがって、アクリレートモノマー/O-ビニル化合物のブレンドはまた効果的な硬化促進剤であると結論付けることができる。
【0103】
硬化されたシリコーンベース組成物の弾性に対するアクリレートモノマーの潜在的な効果を評価するために、上記の表8に示された10ppmの白金触媒を含有するシリコーンベース組成物を使用して、レオメーターを介して研究を行った。以下の表13に示されるように、0.25pphの添加剤をベース組成物に添加した。添加剤が導入されたら、組成物を上記のように硬化させ、レオメーターを使用して、一次導関数の最大温度、一次導関数の最大反応速度、二次導関数の最低温度、および二次導関数の最低温度値でのG’を得た。結果を以下の表13に示す。
【0104】
【表13】
【0105】
表13におけるアクリレートモノマー含有組成物およびアクリレート不含のコントロール組成物についての二次導関数の最低温度値でのG’によって裏付けられるように、アクリレートモノマーは、一般に、硬化された組成物の弾性に大きな影響を及ぼさないようである。
【0106】
最後に、硬化された組成物の弾性に対するアクリレートおよびO-ビニル化合物の影響を評価するために、添加剤を含有しないシリコーンベース組成物(コントロール)、アクリレートモノマーのみを含有するシリコーンベース組成物、ならびにアクリレートモノマーおよびO-ビニルのブレンドを含有するシリコーンベース組成物に対して、レオメーターを介して硬化研究を行った。表8に示される30ppmの白金触媒のシリコーンベース組成物に加えて0.25pphのアクリレートモノマーTMPTAを添加した。同様に、表8に示される別の30ppmの白金触媒のシリコーンベース組成物に加えて0.25pphのTMPTAおよび0.2pphのo-ビニルエーテルのBDVEを添加した。これらの2つの試料を、添加剤を含有しない1つの試料(コントロール)に加えて、上記のように硬化に供した。温度が10℃/分で連続的に上昇するときに、貯蔵弾性率値をレオメーターを介して測定した。得られたデータを以下の表14および図5に示す。
【0107】
【表14】
【0108】
図5に示されるように、TMPTAのみを含有する組成物およびTMPTA/BDVEを含有する組成物は、添加剤不含の組成物よりもそれぞれおよそ10摂氏度および13摂氏度低いピーク硬化温度を達成した。これにより、TMPTAのみを含有する組成物およびTMPTA/BDVEを含有する組成物が硬化速度の加速を示し、TMPTA/BDVEを含有する組成物がわずかに素早く硬化することが示される。さらに、TMPTAのみを含有する組成物およびTMPTA/BDVEを含有する組成物はまた、添加剤不含の組成物よりも高い貯蔵弾性率値を達成し、TMPTA/BDVEを含有する組成物は、最高の貯蔵弾性率値を示した。したがって、アクリレートモノマー、O-ビニル化合物、またはそれらのブレンドの使用は、硬化されたシリコーンベース組成物の弾性に悪影響を及ぼさないことが裏付けられる。
【0109】
本開示の組成物を柔軟なライナー上に適用し、剥離ライナーを形成することを示すために、接着物品の形成に加えて、表15~表19に列記された以下の成分から組成物を形成した。
【0110】
【表15】
【0111】
シリコーンベースポリマーであるDehesive 915(DEH 915)は、Wacker Chemicalsによって提供される短鎖で線状の二官能性ビニル末端シリコーンポリマーであり、これをシリコーンベースポリマーに使用した。Wacker Chemicalにより提供されるシリコーン架橋剤であるV90を添加し、均一になるまで混合した。シリコーン架橋剤は、1分子内に少なくとも平均2つ以上のケイ素原子結合水素原子(Si-H基)を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである:Si-H基のモル数がシリコーンベースポリマー内のアルケニル基のモル数の1倍~5倍に等しい量。シリコーンベースポリマーに、シリコーン剥離改良剤樹脂(例えば、制御剥離剤)であるCRA 17を添加して、均一になるまで撹拌した。白金溶液であるWacker HSPCを使用して、白金のppmを白金の原子量で30ppmにした。最後に、アクリレート硬化促進剤として0.2質量部の3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシランを混合物に添加し、10分間混合する。
【0112】
1つ目のコントロール組成物として、表16に列記される成分を組み合わせた。
【0113】
【表16】
【0114】
シリコーンベースポリマーであるDehesive 915(DEH 915)は、Wacker Chemicalsによって提供される短鎖で線状の二官能性ビニル末端シリコーンポリマーであり、これをシリコーンベースポリマーに使用した。Wacker Chemicalにより提供されるシリコーン架橋剤であるV90を添加し、均一になるまで混合した。シリコーンベースポリマーに、シリコーン剥離改良剤樹脂(例えば、制御剥離剤)であるCRA 17を添加して、均一になるまで撹拌した。白金溶液であるWacker HSPCを使用して、白金のppmを白金の原子量で60ppmまでにした。最後に、硬化促進剤として0.5質量部のビニルトリメトキシシランを混合物に添加し、10分間混合する。
【0115】
2つ目のコントロール組成物として、表17に列記される成分を組み合わせた。
【0116】
【表17】
【0117】
シリコーンベースポリマーであるDehesive 915(DEH 915)は、Wacker Chemicalsによって提供される短鎖で線状の二官能性ビニル末端シリコーンポリマーであり、これをシリコーンベースポリマーに使用した。Wacker Chemicalにより提供されるシリコーン架橋剤であるV90を添加し、均一になるまで混合した。シリコーンベースポリマーに、シリコーン剥離改良剤樹脂(例えば、制御剥離剤)であるCRA 17を添加して、均一になるまで撹拌した。白金溶液であるWacker HSPCを使用して、白金のppmを白金の原子量で15ppmまでにした。最後に、硬化促進剤として0.5質量部のビニルトリメトキシシランを混合物に添加し、10分間混合する。
【0118】
別の例示的な組成物として、制御剥離剤を除き、表18に列記される成分を組み合わせた。
【0119】
【表18】
【0120】
シリコーンベースポリマーには、Dow siliconeのSL 161を使用した。Dowにより提供されるシリコーン架橋剤である7488を添加し、均一になるまで混合した。白金溶液であるSL 3000を使用して、白金のppmを白金の原子量で15ppmにした。最後に、硬化促進剤として0.25質量部のトリメチロールプロパントリアクリレートTMPTAを混合物に添加し、10分間混合する。
【0121】
別の例示的な組成物として、制御剥離剤を除き、表19に列記される成分を組み合わせた。
【0122】
【表19】
【0123】
シリコーンベースポリマーには、Dow siliconeのSL 161を使用した。Dowにより提供されるシリコーン架橋剤である7488を添加し、均一になるまで混合した。白金溶液であるSL 3000を使用して、白金のppmを白金の原子量で15ppmにした。最後に、硬化促進剤として0.25質量部のプロポキシル化(3mol)トリメチロールプロパントリアクリレートTMPTAを混合物に添加し、10分間混合する。
【0124】
別の例示的な組成物として、制御剥離剤を除き、表20に列記される成分を組み合わせた。
【0125】
【表20】
【0126】
シリコーンベースポリマーには、Dow siliconeのSL 161を使用した。Dowにより提供されるシリコーン架橋剤である7488を添加し、均一になるまで混合した。白金溶液であるSL 3000を使用して、白金のppmを白金の原子量で15ppmにした。最後に、硬化促進剤として0.25質量部のポリエチレングリコール200ジアクリレート(PEG200DA)を混合物に添加し、10分間混合する。
【0127】
別の例示的な組成物として、制御剥離剤を除き、表21に列記される成分を組み合わせた。
【0128】
【表21】
【0129】
シリコーンベースポリマーには、Dow siliconeのSL 161を使用した。Dowにより提供されるシリコーン架橋剤である7488を添加し、均一になるまで混合した。白金溶液であるSL 3000を使用して、白金のppmを白金の原子量で15ppmにした。アクリレート硬化促進剤としての0.25質量部の3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシランおよび0.05質量部のドデシルビニルエーテルを混合物に添加し、10分間混合する。
【0130】
表16および表17のコントロール組成物、ならびに表15および表18~表21に示される組成物1~組成物5を使用して、柔軟なライナーを剥離層でコーティングし、硬化させて剥離ライナーを形成した。
【0131】
200ポンドのコントロール組成物および組成物1~組成物4を調製し、容器に移した。容器内の組成物溶液を、5ロールのシリコーンコーターを使用してクラフト紙上に剥離層としてコーティングした。コーティングされた紙を、1850フィート/分の速度で265゜Fから330゜Fまでの傾斜した温度を有する3つの20フィートのオーブンに通過させた。これにより、剥離層の組成物を硬化させて剥離ライナーにする目的で、約2秒のオーブン滞留時間で310゜Fの出口ウェブ温度(exit web temperature)が生ずる。硬化したコーティングされた紙を2つのスチームフォイル(steam foil)で再加湿して、紙の水分レベルをオーブン前のレベルに戻した。
【0132】
各組成物コーティングで形成された剥離ライナーを使用して、接着物品を形成した。スロットダイコーターを使用して、剥離ライナーをゴムベースのホットメルト接着剤材料でコーティングした。次に、熱転写紙の支持体を接着剤でコーティングされた構造物表面に貼り合わせて、接着物品を形成した。
【0133】
他の例においては、100ポンドのコントロール組成物および組成物1~組成物5を調製し、容器に入れた。容器内の組成物溶液を、3ロールのグラビアシリコーンコーティングヘッドを使用してクラフト紙上に剥離層としてコーティングした。コーティングされた紙を、750フィート/分(コントロール組成物、ならびに組成物1、組成物3、および組成物4の場合)および1000フィート/分(コントロール組成物および組成物1~組成物5の場合)の2つの試験速度で3つの20フィートのオーブンに通過させた。オーブンを通過した後のコーティングされた紙の温度は、剥離層の組成物を硬化させて剥離ライナーにする目的で、試験速度750フィート/分および1000フィート/分の場合にそれぞれ4.8秒および3.6秒のオーブン滞留時間で290゜Fであった。各組成物コーティングで形成された剥離ライナーを使用して、接着物品を形成した。剥離ライナーの剥離層側を全温度対応アクリルエマルジョン接着剤でコーティングし、追加のオーブン内で乾燥させた。次に、熱転写紙の支持体を接着剤でコーティングされた構造物表面に貼り合わせて、接着物品を形成した。
【0134】
シリコーン抽出物を試験するために、コントロール組成物および組成物1~組成物5を含有する各剥離ライナーの試料を接着剤および支持体から剥がし、紙の支持体上に残っている残留シリコーン塗工量をOxfordのLabX 3500装置を使用して測定した。剥離ライナーの既知のコーティング重量の試料を30mlのMIBKまたはトルエン中に入れ、30分間撹拌した。剥離ライナーの既知のコーティング重量の試料をドラフト内で乾燥させ、各試料の塗工量を再測定した。剥離ライナーの当初の塗工量と剥がされた試料との間の差を比較して、剥離ライナーのコーティングから接着物品の紙の支持体に移行した組成物の量を決定した。また、MIBKまたはトルエン溶液を、シリコーンの原子吸光について試験した。
【0135】
32fpmの剥離力を試験するために、完全なラミネートにおいて16インチ×2インチに切断する。試料をIMassの滑り/剥離試験機TL-2300上に置き、32fpmで剥がす。これと同じ手順を使用して950fpmの剥離力を測定するが、IMassの滑り/剥離試験機TL-2300の代わりにIMASSのZPE-1100W機を使用する。
【0136】
シリコーン固着の測定について。試料をOxfordのLabX 3500を使用してシリコーン塗工量について測定し、この試料を10ポンド未満の力の下に置き、24fpmの速度でフェルト表面に沿って2フィートにわたってこする。次に、試料を塗工量について再測定し、摩耗前後のシリコーン塗工量の比率をシリコーン固着のパーセンテージとして報告する。
【0137】
コントロール組成物1および組成物1~組成物4によってオーブン内で1850フィート/分の速度で形成された剥離層を含む接着物品について測定された試験データを、以下の表22および表23に示す。
【0138】
【表22】
【0139】
【表23】
【0140】
表22および表23に示されるように、コントロール組成物1の白金濃度の半分を有する(組成物1)および白金濃度の4分の1を有する(組成物2~組成物4)組成物1~組成物4は、紙の支持体に対する同等の、時には改善された接着力を示した。組成物1~組成物4におけるアクリレート添加剤は、紙の支持体に対する十分な接着を達成するのに50%~75%少ない触媒しか必要としないことから、触媒材料の節約の改善が認められる。
【0141】
組成物1~組成物4はまた、十分なパーセンテージのシリコーン抽出物を示したことから、コントロール組成物1と比較して、大幅に低減された量の触媒でさえも、組成物が硬化したことが示される。表23に示されるように、30ppm以下の触媒を含む組成物1~組成物4は、14%以下のシリコーン抽出物を有すると測定された。組成物1~組成物4の十分な硬化は更に、コントロール組成物1よりも多くのシリコーン固着を有する全ての組成物によって裏付けられた。表23に示されるように、30ppm以下の触媒を含む組成物1~組成物4は、60%以上、または65%以上のシリコーン固着を有すると測定された。
【0142】
コントロール組成物2、ならびに組成物1、組成物3、および組成物4によってオーブン内で750フィート/分の速度で形成された剥離層を含む接着物品について測定された試験データを、以下の表24および表25に示す。
【0143】
【表24】
【0144】
【表25】
【0145】
表24に示されるように、組成物1および組成物3~組成物4は、アクリレート添加剤を含まないコントロール組成物2と比較して、紙の支持体に対する様々な剥がし速度にわたる改善された接着力を示した。したがって、アクリレート添加剤は、追加の触媒を必要とせずに、接着力性能の増強に寄与する。
【0146】
組成物1および組成物3~組成物4はまた、コントロール組成物2と比較して十分なパーセンテージのシリコーン抽出物を示したことから、大幅に低減された量の触媒でさえも、組成物が硬化したことが示される。コントロール組成物2は、アクリレート添加剤および同じまたは同様の触媒負荷量を有する組成物と比較して、20.4%のシリコーン抽出物が測定されて、硬化の低下を示した。表25に示されるように、30ppm以下の触媒を含む組成物1および組成物3~組成物4は、12.4%以下のシリコーン抽出物を有すると測定され、組成物3および組成物4は、7%以下のシリコーン抽出物を有した。したがって、組成物1および組成物3~組成物4は、アクリレート添加剤を含まないコントロール組成物2と比較して改善された硬化を示した。組成物1および組成物3~組成物4の十分な硬化は更に、コントロール組成物2よりも多くのシリコーン固着を有する全ての組成物によって裏付けられた。表25に示されるように、30ppm以下の触媒を含む組成物1および組成物3~組成物4は、70%以上、または80%以上のシリコーン固着を有すると測定された。
【0147】
コントロール組成物2および組成物1~組成物5によってオーブン内で1000フィート/分の速度で形成された剥離層を含む接着物品について測定された試験データを、以下の表26および表27に示す。
【0148】
【表26】
【0149】
【表27】
【0150】
表26に示されるように、組成物1~組成物5は、アクリレート添加剤を含まないコントロール組成物2と比較して、紙の支持体に対する様々な剥がし速度にわたる同等の接着力または改善された接着力のいずれかを示した。したがって、アクリレート添加剤は、追加の触媒を必要とせずに、許容可能な接着または増強された接着力性能を与えることに寄与する。
【0151】
組成物1~組成物5はまた、コントロール組成物2と比較して十分なパーセンテージのシリコーン抽出物を示したことから、大幅に低減された量の触媒でさえも、組成物が硬化したことが示される。コントロール組成物2は、41.6%のシリコーン抽出物が測定されて、大幅に低減された不十分な硬化を示した。表27に示されるように、15ppmの白金触媒を含む組成物2~組成物4は、14.8%以下のシリコーン抽出物を有すると測定され、組成物2および組成物3は、13%以下のシリコーン抽出物を有した。したがって、組成物2~組成物4は、アクリレート添加剤を含まないコントロール組成物2と比較して改善された硬化を示した。組成物1~組成物5の十分な硬化は、コントロール組成物2よりも多くのシリコーン固着を有する全ての組成物によって更に裏付けられた。表27に示されるように、15ppmの白金触媒を含む組成物2および組成物3は、70%以上のシリコーン固着を有すると測定された。

図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】