(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-12
(54)【発明の名称】マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる感染症の治療のための組合せ
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4985 20060101AFI20220905BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20220905BHJP
A61K 31/65 20060101ALI20220905BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20220905BHJP
A61P 13/02 20060101ALI20220905BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
A61K31/4985
A61P31/04
A61K31/65
A61P15/00
A61P13/02 105
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022500047
(86)(22)【出願日】2020-07-03
(85)【翻訳文提出日】2022-02-28
(86)【国際出願番号】 EP2020068754
(87)【国際公開番号】W WO2021004910
(87)【国際公開日】2021-01-14
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513032275
【氏名又は名称】グラクソスミスクライン、インテレクチュアル、プロパティー、ディベロップメント、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GLAXOSMITHKLINE INTELLECTUAL PROPERTY DEVELOPMENT LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スカンガレラ-オマン,ニコル
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB22
4C086DA29
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA81
4C086ZB32
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる、またはマイコプラズマ・ジェニタリウムに関連する細菌感染症を治療するための方法であって、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩、およびドキシサイクリンを、それを必要とするヒトに投与することを含む方法に関する。新規な医薬組合せ、組成物、耐性ガイド療法および/またはその対応する使用もまた開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
必要とするヒトにおいてマイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる感染症を治療するための方法であって、
前記ヒトに治療上有効な量のジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩を治療上有効な量のドキシサイクリンとともに投与することを含む、方法、
【請求項2】
前記感染症が性感染症または疾患、細菌による女性不妊症、生殖管感染症および重複感染関連尿路感染症から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記感染症が尿道炎である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記感染症が非淋菌性尿道炎である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
感染症を引き起こすマイコプラズマ・ジェニタリウムがアジスロマイシンまたはモキシフロキサシンに対して耐性がある、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩、およびドキシサイクリンが逐次投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ジェポチダシンがメタンスルホン酸ジェポチダシンである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩が経口投与される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ドキシサイクリンが経口投与される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩との併用投与による、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる感染症の治療において使用するためのドキシサイクリン。
【請求項11】
ドキシサイクリンとの併用投与による、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる感染症の治療において使用するためのジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩。
【請求項12】
マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる感染症の治療のための薬剤の製造における、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩、およびドキシサイクリンの使用。
【請求項13】
ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩との併用投与による、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる感染症の治療のための医薬の製造におけるドキシサイクリンの使用。
【請求項14】
ドキシサイクリンとの併用投与のよる、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる感染症の治療のための医薬の製造における、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩の使用。
【請求項15】
マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる感染症の治療において使用するための、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩、およびドキシサイクリンを含むキット。
【請求項16】
ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩およびドキシサイクリンを含む、医薬組合せ。
【請求項17】
ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩、ドキシサイクリン、および少なくとも1種類の薬学上許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項18】
マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる感染症の治療において使用するための、請求項16に記載の医薬組合せ。
【請求項19】
マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる感染症の治療において使用するための、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項20】
マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる感染症を治療するための医薬の製造のための、請求項16に記載の医薬組合せまたは請求項17に記載の医薬組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
本発明は、米国保健福祉省事前準備・対応担当次官補、生物医学先端研究開発局(BARDA)下、米国保健福祉省の事前準備・対応担当次官補局合意書第HHS0100201300011C号内で政府支援を受けてなされたものである。政府は本発明において一定の権利を有する。
【0002】
発明の分野
本発明は、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩およびドキシサイクリンの投与を含む、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる細菌感染症を治療するための治療方法、医薬組合せもしくは組成物、併用療法もしくは耐性ガイド療法(resistance guided therapy)、および/またはその対応する使用に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
抗生物質の誤用および濫用は、あらゆる疾患で懸念されるレベルの世界的耐性率につながり、世界的な行動喚起をもたらした。多剤耐性生物によって引き起こされる感染症は、罹患率および死亡率からだけでなく、患者管理および感染症制御手段の実装に対する支出増加という点からも多大な公衆衛生上の負担となる。抗菌薬耐性の問題は、複数の抗菌薬に耐性のある細菌株の存在によっていっそう大きくなる。特に、性感染症(STI)における抗生物質耐性は、ますます増えている公衆衛生問題である。STIは、抗生物質の導入以来、最初の不治の細菌感染症となる可能性がある。マイコプラズマ・ジェニタリウム(Mycoplasma genitalium)は、性感染症(STI)の重要な原因である。マイコプラズマ・ジェニタリウムは、1980年代の初期に初めて特定され、男性尿道炎の原因として認識されるようになり、非淋菌性尿道炎(NGU)の症例のおよそ15%~20%、非クラミジア性NGUの20%~25%、および持続性または再発性尿道炎のおよそ30%の原因となっている(性感染症治療ガイドライン2015,疾病予防管理センター)。マイコプラズマ・ジェニタリウムは、ヒト泌尿生殖器検体、呼吸器検体および直腸検体で検出されているが、ヒト泌尿生殖管がその好ましい定着部位であると考えられる。マイコプラズマ・ジェニタリウムはゆっくり増殖することから、検出は通常、核酸増幅検査(NAAT)によってなされる。
【0004】
マイコプラズマ・ジェニタリウムは、男性の急性および慢性尿道炎に関連する。女性の感染症に関する既存のデータは限られており、一貫性がないが、マイコプラズマ・ジェニタリウムは尿道炎、子宮頸管炎、子宮内膜炎、骨盤内炎症性疾患(PID)、およびおそらくは女性不妊症に関連していることが示唆されている。マイコプラズマ・ジェニタリウムは細胞壁を欠いているので、細胞壁の生合成を標的とする一般的な抗生物質(例えば、ペニシリンおよびセファロスポリンを含むβラクタム)はこの生物には無効である。ほとんどのマイコプラズマ・ジェニタリウム症例は無症候性であり、診断が困難であることから、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされるほとんどの感染症の治療は、尿道炎、子宮頸管炎、子宮内膜炎、およびPIDの対症管理に関して行われる。
【0005】
マクロライドおよびフルオロキノロンなどの従来の抗菌薬に対するマイコプラズマ・ジェニタリウム耐性の報告が増えてきていることから、治療の成功は困難である。「性感染症治療ガイドライン2015」、疾病予防管理センターでは、アジスロマイシンがマイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる感染症の好ましい第一選択治療であるが、世界的に耐性率が増しているとされている。モキシフロキサシンもまた使用されるが、ParCのキノロン耐性決定領域(QRDR)における突然変異の確率は88%と高く、二重耐性が報告されている。もう1つの選択肢であるプリスチナマイシンは供給が困難であり、有効性は80%に過ぎない。マクロライドおよびフルオロキノロンに対する二重耐性である場合、治療選択肢は極めて限定される。
【0006】
よって、細菌感染症を治療するための異なる作用機序を有し、相乗的殺菌効果を示し、抗菌薬または抗微生物薬耐性の発生が低くなる抗生物質または抗菌薬の組合せを含有する新規な医薬組合せもしくは組成物、併用療法もしくは耐性ガイド療法および/またはその使用の開発の需要がある。しかしながら、いずれの薬剤組合せも拮抗的相互作用を有すべきではない。
【0007】
本発明は、当技術分野で遭遇するこれらおよびその他の問題を克服することに向けられる。
【発明の概要】
【0008】
新規な機序の抗生物質ジェポチダシンは、予期しないことに今般、テトラサイクリン系抗生物質であるドキシサイクリンとともに、負の相互作用なく働く場合、マイコプラズマ・ジェニタリウムに対して相乗的に有効であることが判明した。
【0009】
よって、本発明は、必要とするヒトにおいてマイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる感染症を治療するための方法であって、前記ヒトに治療上有効な量のジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩を治療上有効な量のドキシサイクリンとともに投与することを含む方法を提供する。
【0010】
本発明はまた、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩との併用投与による、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる感染症の治療において使用するためのドキシサイクリンを提供する。
【0011】
本発明はまた、ドキシサイクリンとの併用投与による、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる感染症の治療において使用するためのジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩も提供する。
【0012】
本発明はまた、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる感染症の治療のための薬剤の製造における、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩、およびドキシサイクリンも提供する。
【0013】
本発明はまた、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩との併用投与による、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる感染症の治療のための薬剤の製造におけるドキシサイクリンの使用も提供する。
【0014】
本発明はまた、ドキシサイクリンとの併用投与による、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる感染症の治療のための医薬の製造におけるジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩の使用も提供する。
【0015】
本発明はまた、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる感染症の治療において使用するための、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩、およびドキシサイクリンを含むキットも提供する。
【0016】
本発明はまた、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩およびドキシサイクリンを含む医薬組合せも提供する。
【0017】
本発明はまた、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩、ドキシサイクリン、および少なくとも1種類の薬学上許容される賦形剤を含む医薬組成物も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、実施例1に示される、54のマイコプラズマ・ジェニタリウム株に対するジェポチダシン(GEP)、アジスロマイシン(AZM)、モキシフロキサシン(MXF)およびドキシサイクリン(DOX)の最小阻止濃度(MIC)(μg/mL)の分布を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の詳細な説明
用語「抗微生物薬(antimicrobial)」、「抗生物質(antibiotic)」および「抗菌薬(antibacterial)」は、本願において互換的に使用され、微生物を死滅させる、またはその増殖を阻害するいずれの天然または合成化合物も指す。
【0020】
さらに、本発明において理解されるように、抗生物質耐性は、細菌が抗生物質の使用に応答して変化してそれらを無効とする場合に生じ、抗微生物薬耐性は、同様に、寄生虫(例えば、マラリアまたは蠕虫)、ウイルス(例えば、HIV)および真菌(例えば、カンジダ)などの他の微生物によって引き起こされる感染症を治療する薬物に対する耐性も含む、より広義の用語である。
【0021】
ドキシサイクリンは、テトラサイクリン系抗生物質である。これは、マイコプラズマ・ジェニタリウムによる泌尿生殖器感染症の治療において、治癒率50%未満という不十分な臨床有効性しか示さないことが報告されている(Manhart LE et al. Efficacy of antimicrobial therapy for infections by Mycoplasma genitalium. Clin Infect Dis 2015; 61 (suppl 8): S802-17)。当業者により理解されるように、用語「ドキシサイクリン」は、本明細書で使用する場合、ドキシサイクリンヒクラート(塩酸塩ヘミエタノラート半水和物)およびドキシサイクリン一水和物を含め、あらゆる形態のドキシサイクリンを包含する。
【0022】
ジェポチダシンは、現在承認されているいずれのヒト治療薬によっても使われていない機構によって細菌のDNA複製を選択的に阻害する能力を有し、従って、アンメット・メディカル・ニーズに取り組む機会を提供するファースト・イン・クラスの新規なトリアザアセナフチレン系抗生物質である。ジェポチダシンおよびそのラセミ体は、WO2008/128942(その全内容が本明細書に援用される)に開示されている。ジェポチダシンは、(2R)-2-({4-[(3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[2,3-c]ピリジン-6-イルメチル)アミノ]-1-ピペリジニル}メチル)-1,2-ジヒドロ-3H,8H-2a,5,8a-トリアザアセナフチレン-3,8-ジオンである。
【化1】
【0023】
本発明の方法および組合せは、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩とドキシサイクリンの組合せに基づく。併用療法は、単一の疾患に対してまたは複数の疾患もしくは病原体が存在することが疑われるもしくは分かっている場合に患者に2つ以上の薬物(または他の治療薬)が与えられる治療である。多剤耐性(MDR)生物の広範な出現のために、組合せ抗生物質療法が患者に使用される。多剤耐性は、3種類以上の抗生物質カテゴリーのうち少なくとも1種類の薬剤に対する感受性の欠如と定義され得る。抗微生物薬または抗菌薬は多くの場合、組み合わせて使用され、従って、薬剤間の阻害的薬物相互作用は望ましくない。
【0024】
併用療法は、抗菌スペクトルを拡大する、相乗作用を提供する、および耐性の出現を防ぐという利点を有し得る。
【0025】
本願における研究は、ジェポチダシンとドキシサイクリンを組み合わせた場合にマイコプラズマ・ジェニタリウムに対して相乗または相加作用を示す。
【0026】
よって、第1の態様において、本発明は、必要とするヒトにおいてマイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる感染症を治療するための方法であって、前記ヒトに治療上有効な量のジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩を治療上有効な量のドキシサイクリンとともに投与することを含む方法を提供する。
【0027】
本明細書で使用する場合、「マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる」とは、マイコプラズマ・ジェニタリウムが感染症の原因である、もしくは感染症の原因の一部である(すなわち、感染症に関連する)ことが(例えば、NAATによって)同定されたことを意味する場合もあり;または症状、および患者病歴もしくは地域疫学などの他の因子の同定により、マイコプラズマ・ジェニタリウムが感染症の原因、もしくは感染症の原因の一部であることが疑われる、もしくは強く疑われることを意味する場合もある。
【0028】
本発明の態様のいずれにおいても、一実施形態で、感染症を引き起こすマイコプラズマ・ジェニタリウムはマクロライドまたはフルオロキノロンに対して耐性がある。「耐性がある」とは「非感受性」の一部分と認識されるが、本明細書で使用する場合、「耐性がある」は、「非感受性」と同義語として使用され、抗生物質の効果に抵抗する、または抗生物質に対する感受性が低いか全くない細菌の形態を指す。一実施形態では、マイコプラズマ・ジェニタリウムの薬剤耐性は(例えば、地域疫学または感受性パターンまたは患者の病歴、例えば、再発性尿道炎の知見から)疑われる場合がある。別の実施形態では、薬剤耐性は、表現型または遺伝子型の決定を含む、確立された技術によって証明することができる。本発明において、一実施形態では、「耐性のある」は、抗菌薬感受性検査のための標準法(Performance Standards for Antimicrobial Susceptibility Testing)、米国臨床検査標準委員会(Clinical and Laboratory Standards Institute)(CLSI)補足M100および/またはヒトマイコプラズマに関する抗微生物薬感受性検査のための方法;Approved Guideline, CLSI document M43-A: CLSI 2011によって定義されるような耐性または非感受性を意味する。一実施形態において、感染症を引き起こすマイコプラズマ・ジェニタリウムは、アジスロマイシン耐性である。一実施形態において、感染症を引き起こすマイコプラズマ・ジェニタリウムは、モキシフロキサシン耐性である。
【0029】
本発明の態様のいずれにおいても、一実施形態で、感染症は、性感染症または疾患(STIまたはSTD)、細菌による女性不妊症、生殖管感染症および重複感染関連尿路感染症から選択される。一実施形態において、感染症は尿道炎である。一実施形態において、感染症は、急性尿道炎、慢性尿道炎、非淋菌性尿道炎または非クラミジア非淋菌性尿道炎である。一実施形態において、感染症は、尿道炎、子宮頸管炎、子宮内膜炎、および骨盤内炎症性疾患(PID)から選択される。
【0030】
一実施形態において、本発明は、必要とするヒトにおいてマイコプラズマ・ジェニタリウムよって引き起こされる尿道炎を治療するための方法であって、前記ヒトに治療上有効な量のジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩を治療上有効な量のドキシサイクリンとともに投与することを含む方法を提供する。
【0031】
一実施形態において、本発明は、必要とするヒトにおいてマイコプラズマ・ジェニタリウムよって引き起こされる急性尿道炎を治療するための方法であって、前記ヒトに治療上有効な量のジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩を治療上有効な量のドキシサイクリンとともに投与することを含む方法を提供する。
【0032】
一実施形態において、本発明は、必要とするヒトにおいてマイコプラズマ・ジェニタリウムよって引き起こされる非淋菌性尿道炎を治療するための方法であって、前記ヒトに治療上有効な量のジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩を治療上有効な量のドキシサイクリンとともに投与することを含む方法を提供する。
【0033】
本発明のいずれの態様においても、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩、およびドキシサイクリンは、都合のよい任意の経路によって別個のまたは組み合わせた医薬製剤において逐次投与(すなわち、連続投与)、並行投与(すなわち、併用投与)または同時投与(すなわち、同時の投与)され得る。
【0034】
一実施形態において、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩、およびドキシサイクリンは、逐次投与される。
【0035】
ドキシサイクリンの投与は、「性感染症治療ガイドライン2015」、疾病予防管理センター、または「2016マイコプラズマ・ジェニタリウム感染症に関する欧州ガイドライン」、Jensen et al, Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology, DOI: 10.1111/jdv.13849に示されるような推奨される治療ガイドラインに従ってもよい。よって、例えば、ドキシサイクリンは、7日間1日1回200mg経口投与、7日間1日2回100mg経口投与、または14日間1日2回100mg経口投与として投与してよい。他の可能性のある治療レジメンとしては、処置の初日に経口ドキシサイクリン200mg(12時間毎に100mgとして)、その後、維持用量100mg/日(単回用量であっても12時間毎に50mgであってもよい);または12時間毎に100mgを投与することを含む。
【0036】
本願に示されるようなドキシサイクリンとジェポチダシンの相乗作用を考慮すれば、ドキシサイクリン投与の期間の長さは、7~14日から、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13日に短縮され得る。
【0037】
本発明のいずれの態様についても、一実施形態において、ドキシサイクリンは5日間投与される。本発明のいずれの態様についても、一実施形態において、ドキシサイクリンは、6日間投与される。本発明のいずれの態様についても、一実施形態において、ドキシサイクリンは、7日間投与される。本発明のいずれの態様についても、一実施形態において、ドキシサイクリンは、8日間投与される。本発明のいずれの態様についても、一実施形態において、ドキシサイクリンは、9日間投与される。本発明のいずれの態様についても、一実施形態において、ドキシサイクリンは、10日間投与される。本発明のいずれの態様についても、一実施形態において、ドキシサイクリンは、11日間投与される。本発明のいずれの態様についても、一実施形態において、ドキシサイクリンは、12日間投与される。本発明のいずれの態様についても、一実施形態において、ドキシサイクリンは、13日間投与される。本発明のいずれの態様についても、一実施形態において、ドキシサイクリンは、14日間投与される。
【0038】
本発明のいずれの態様についても、一実施形態において、ヒトは、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩を1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14日間投与される。本発明のいずれの態様についても、一実施形態において、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩は、5日間、1500mg、b.i.d.(一日の総用量3000mg)で投与される。本発明のいずれの態様についても、別の実施形態では、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩は、3000mgを1回投与される。本発明のいずれの態様についても、別の実施形態では、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩は、6~12時間をあけて各3000mgの2用量で投与される。
【0039】
本発明のいずれの態様についても、一実施形態において、ヒトは、5日間、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩を投与される。本発明のいずれの態様についても、一実施形態において、ヒトは、6日間、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩を投与される。本発明のいずれの態様についても、一実施形態において、ヒトは、7日間、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩を投与される。本発明のいずれの態様についても、一実施形態において、ヒトは、8日間、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩を投与される。本発明のいずれの態様についても、一実施形態において、ヒトは、9日間、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩を投与される。本発明のいずれの態様についても、一実施形態において、ヒトは、10日間、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩を投与される。本発明のいずれの態様についても、一実施形態において、ヒトは、11日間、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩を投与される。本発明のいずれの態様についても、一実施形態において、ヒトは、12日間、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩を投与される。本発明のいずれの態様についても、一実施形態において、ヒトは、13日間、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩を投与される。本発明のいずれの態様についても、一実施形態において、ヒトは、14日間、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩を投与される。
【0040】
別の態様において、本発明は、必要とするヒトにおけるマイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる感染症の治療のための方法であって、前記ヒトに治療上有効な量のドキシサイクリン、次いで、治療上有効な量のジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩を投与することを含む方法を提供する。
【0041】
一実施形態において、ヒトは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14日間、ドキシサイクリン、次いで、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14日間、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩を投与される。一実施形態において、ヒトは、7、8、9、10、11、12、13または14日間、ドキシサイクリン、次いで、7、8、9、10、11、12、13または14日間、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩を投与される。
【0042】
別の態様において、本発明は、必要とするヒトにおけるマイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる感染症の治療のための方法であって、前記ヒトに治療上有効な量のジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩、次いで、治療上有効な量のドキシサイクリンを投与することを含む方法を提供する。
【0043】
一実施形態において、ヒトは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14日間、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩を投与され、次いで、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14日間、ドキシサイクリンを投与される。一実施形態において、ヒトは、7、8、9、10、11、12、13または14日、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩、次いで、7、8、9、10、11、12、13または14日間、ドキシサイクリンを投与される。
【0044】
本発明のいずれの態様についても、一実施形態において、治療の合計の長さは、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27または28日以内である。
【0045】
別の態様において、本発明は、必要とするヒトにおいてマイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる感染症を治療する方法であって、前記ヒトに、(a)治療上有効な量のジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩および(b)治療上有効な量のドキシサイクリン、を含む医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0046】
一態様において、本発明は、必要とするヒトにおいてマイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる感染症を治療するための方法であって、前記ヒトが少なくとも1種類の前治療に奏効しなかった場合に、前記ヒトに治療上有効な量のジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩を治療上有効な量のドキシサイクリンとともに投与することを含む方法を提供する。
【0047】
一実施形態において、前治療は、マクロライド(例えば、アジスロマイシン)またはフルオロキノロン(例えば、モキシフロキサシン)などの抗生物質であり得る。治療の不奏効は、確立されたガイドラインに従って定義されてよく、例えば、抗生物質処置の3、4、5、6、または7日後に症状の改善がなければ、不奏効と見なすことができる。
【0048】
別の態様において、本発明は、必要とするヒトにおいてマイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる感染症を治療するための方法であって、
a)感染症を引き起こしているマイコプラズマ・ジェニタリウム株がマクロライドまたはフルオロキノロンに対して耐性があるかどうかを決定する工程;
b)そのマイコプラズマ・ジェニタリウム株がマクロライドまたはフルオロキノロンに対して耐性があることが判明した場合に、前記ヒト治療上有効な量のジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩を治療上有効な量のドキシサイクリンとともに投与する工程
を含む方法を提供する。
【0049】
マクロライドの例としては、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシンおよびジョサマイシンが挙げられる。フルオロキノロンの例としては、シプロフロキサシン、ゲミフロキサシン、モキシフロキサシンおよびレボフロキサシンが挙げられる。
【0050】
本明細書で使用する場合、「感染症を引き起こしているマイコプラズマ・ジェニタリウム株がマクロライドまたはフルオロキノロンに対して耐性があるかどうかを決定する」とは、当業者が地域疫学、感受性パターンまたは患者病歴を考慮して耐性の可能性を決定することを意味し得る。さらに、当業者に公知の遺伝子型および表現型的方法も使用可能である。
【0051】
一実施形態において、工程a)で、マイコプラズマ・ジェニタリウム株は、アジスロマイシン耐性に関して検査される。別の実施形態では、工程a)で、マイコプラズマ・ジェニタリウム株は、モキシフロキサシン耐性に関して検査される。
【0052】
一態様において、本発明は、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる細菌感染症を治療するための併用療法であって、治療上有効な量のジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩を、治療上有効な量のドキシサイクリンと組み合わせてそれを必要とするヒトに投与することを含む併用療法に関する。
【0053】
一実施形態において、感染症は、性感染症または疾患(STIまたはSTD)、細菌による女性不妊症、生殖管感染症および重複感染関連尿路感染症から選択される。一実施形態において、感染症は尿道炎である。一実施形態において、感染症は、急性尿道炎、慢性尿道炎または非淋菌性尿道炎または非クラミジア非淋菌性尿道炎である。一実施形態において、感染症は、尿道炎、子宮頸管炎、子宮内膜炎、および骨盤内炎症性疾患(PID)から選択される。
【0054】
一実施形態において、本発明は、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる尿道炎を治療するための併用療法であって、治療上有効な量のジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩を治療上有効な量のドキシサイクリンと組み合わせてそれを必要とするヒトに投与することを含む併用療法を提供する。
【0055】
一実施形態において、本発明は、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる非淋菌性尿道炎を治療するための併用療法であって、治療上有効な量のジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩を治療上有効な量のドキシサイクリンと組み合わせてそれを必要とするヒトに投与することを含む併用療法を提供する。
【0056】
ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩は、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩および少なくとも1種類の薬学上許容される賦形剤を含む医薬組成物中に存在し得る。同様に、ドキシサイクリンは、ドキシサイクリンおよび少なくとも1種類の薬学上許容される賦形剤を含む、ドキシサイクリンの対応する医薬組成物中に存在し得る。
【0057】
別の態様において、本発明は、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる、またはマイコプラズマ・ジェニタリウムに関連する細菌感染症を治療するための併用療法または耐性ガイド療法であって、治療上有効な量のジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩を治療上有効な量のドキシサイクリンと組み合わせてそれを必要とするヒトに投与することを含む療法に関する。ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩は、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩および少なくとも1種類の薬学上許容される賦形剤を含む医薬組成物中に存在し得る。同様に、ドキシサイクリンは、ドキシサイクリンおよび少なくとも1種類の薬学上許容される賦形剤を含む、ドキシサイクリンの対応する医薬組成物中に存在し得る。一実施形態において、感染症は、尿道炎である。一実施形態において、感染症は、急性尿道炎、慢性尿道炎または非淋菌性尿道炎である。
【0058】
当業者により理解されているように、本明細書で使用する場合、「耐性ガイド療法」は、例えば、Bradshaw et al, The Journal of Infectious Diseases, Volume 216, Issue suppl_2, 15 July 2017, Pages S412-S419に記載されているように、所与の抗生物質に対する微生物の表現型または遺伝子型の感受性の知見によってその指示が導かれる治療コースを意味する。感染症においてマイコプラズマ・ジェニタリウムを検出し、次いで、治療コースの前にまたは治療コース中に、特定の抗生物質に対するマイコプラズマ・ジェニタリウム株の耐性を検出することは、耐性につながり得る無効な抗生物質への患者の曝露を軽減する可能性があるという利点を有する。マイコプラズマ・ジェニタリウムの同定は、NAATによるなどのいずれの好適な手段によって行ってもよい。マクロライドへの耐性(表現型または遺伝子型)を検出することができる様々なアッセイも知られている。
【0059】
よって、一態様において、本発明は、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる細菌感染症を治療するための耐性ガイド療法であって、治療上有効な量のジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩を治療上有効な量のドキシサイクリンと組み合わせてそれを必要とするヒトに投与することを含む療法を提供する。
【0060】
本発明の併用療法または耐性ガイド療法は、2つの成分の同時投与、併用投与または逐次投与によって達成され得る。
【0061】
一態様において、本発明は、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる、またはマイコプラズマ・ジェニタリウムに関連する細菌感染症を治療するための併用療法または耐性ガイド療法に関し、細菌感染症は、性感染症または疾患(STIまたはSTD)、細菌による女性不妊症、生殖管感染症および重複感染関連尿路感染症から選択される。
【0062】
一態様において、本発明は、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる、またはマイコプラズマ・ジェニタリウムに関連する細菌感染症を治療するための併用療法または耐性ガイド療法に関し、生殖管感染症または重複感染関連尿路感染症はそれぞれ、尿道炎、子宮頸管炎、子宮内膜炎、子宮頸管炎、子宮内膜炎、子宮内膜炎または骨盤内炎症性疾患(PID)から選択される。
【0063】
一態様において、本発明は、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる、またはマイコプラズマ・ジェニタリウムに関連する細菌感染症を治療するための併用療法または耐性ガイド療法に関し、尿道炎は、急性尿道炎、慢性尿道炎または非淋菌性尿道炎から選択される。
【0064】
一態様において、本発明は、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる、またはマイコプラズマ・ジェニタリウムに関連する細菌感染症を治療するための併用療法または耐性ガイド療法に関し、これらの成分のそれぞれは経口投与される。
【0065】
一態様において、本発明は、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる、またはマイコプラズマ・ジェニタリウムに関連する細菌感染症を治療するための併用療法または耐性ガイド療法に関し;これはそれを必要とするヒトへの治療上有効な量のジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩およびドキシサイクリンの同時投与、併用投与または逐次投与を含み;ここで、ドキシサイクリンの使用は相乗および/もしくは相加作用をもたらし、ならびに/またはその個々の活性に干渉することなく、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩またはドキシサイクリンのいずれかに対する耐性の発生からの保護も補助する。
【0066】
一態様において、本発明は、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる、またはマイコプラズマ・ジェニタリウムに関連する細菌感染症を治療するための併用療法または耐性ガイド療法に関し;これはそれを必要とするヒトへの、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩および少なくとも1種類または複数の薬学上許容される賦形剤;およびドキシサイクリンを含む治療上有効な量の医薬組成物の同時投与、併用投与または逐次投与を含み;ここで、ドキシサイクリンの使用は相乗および/もしくは相加作用をもたらし、ならびに/またはその個々の活性に干渉することなく、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩またはドキシサイクリンのいずれかに対する耐性の発生からの保護も補助する。
【0067】
一態様において、本発明は、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる、またはマイコプラズマ・ジェニタリウムに関連する生殖管感染症または重複感染関連尿路感染症を治療するための併用療法または耐性ガイド療法に関し、これはそれを必要とするヒトへの治療上有効な量のジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩およびドキシサイクリンの投与を含み、ここで、ドキシサイクリンの使用は相乗および/もしくは相加作用をもたらしならびに/またはそれらの個々の活性に干渉することなく、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩またはドキシサイクリンのいずれかに対する耐性の発生からの保護も補助する。
【0068】
一態様において、本発明は、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる、またはマイコプラズマ・ジェニタリウムに関連する尿道炎を治療するための併用療法または耐性ガイド療法に関し、これはそれを必要とするヒトへの治療上有効な量のジェポチダシン;およびドキシサイクリンの投与を含み、ここで、ドキシサイクリンの使用は相乗および/もしくは相加作用をもたらし;ならびに/またはそれらの個々の活性に干渉することなく、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩またはドキシサイクリンのいずれかに対する耐性の発生からの保護も補助する。一実施形態において、尿道炎は、急性尿道炎、慢性尿道炎または非淋菌性尿道炎である。
【0069】
一態様において、本発明は、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる、またはマイコプラズマ・ジェニタリウムに関連する非淋菌性尿道炎を治療するための併用療法または耐性ガイド療法に関し、これはそれを必要とするヒトへの治療上有効な量のジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩;およびそれを必要とするヒトへのドキシサイクリンの投与を含み、ここで、第2の抗微生物薬または抗菌薬としてのドキシサイクリンの使用は相乗および/もしくは相加作用をもたらし;ならびに/またはその個々の活性に干渉することなく、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩またはドキシサイクリンのいずれかに対する耐性の発生からの保護も補助する。
【0070】
一態様において、本発明は、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる、またはマイコプラズマ・ジェニタリウムに関連する細菌感染症を治療するための耐性ガイド療法に関し、これはそれを必要とするヒトへの治療上有効な量のジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩;およびそれを必要とするヒトへのドキシサイクリンの投与を含み;ここで、ドキシサイクリンの使用は、相乗および/もしくは相加作用をもたらし;ならびに/またはそれらの個々の活性に干渉することなく、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩またはドキシサイクリンのいずれかに対する耐性の発生からの保護も補助する。本発明の上記の態様および実施形態のいずれにおいても、一実施形態で、ヒトは男性である。一実施形態において、ヒトは女性である。
【0071】
別の態様において、本発明は、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩との併用投与による、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる感染症の治療において使用するためのドキシサイクリンを提供する。
【0072】
別の態様において、本発明は、ドキシサイクリンとの併用投与による、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる感染症の治療において使用するためのジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩を提供する。
【0073】
別の態様において、本発明は、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる感染症の治療のための薬剤の製造における、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩、およびドキシサイクリンの使用を提供する。
【0074】
一実施形態において、感染症は、性感染症(STI)、細菌による女性不妊症、生殖管感染症または重複感染関連尿路感染症から選択される。一実施形態において、生殖管感染症または重複感染関連尿路感染症は、尿道炎、子宮頸管炎、子宮内膜炎または骨盤内炎症性疾患(PID)から選択される。一実施形態において、尿道炎は、急性尿道炎、慢性尿道炎または非淋菌性尿道炎から選択される。
【0075】
よって、一実施形態において、本発明は、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩との併用投与による、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる尿道炎の治療において使用するためのドキシサイクリンを提供する。
【0076】
別の態様において、本発明は、ドキシサイクリンとの併用投与による、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる尿道炎の治療において使用するためのジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩を提供する。
【0077】
別の態様において、本発明は、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩との併用投与による、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる感染症の治療のための薬剤の製造における、ドキシサイクリンの使用を提供する。
【0078】
別の態様において、本発明は、ドキシサイクリンとの併用投与による、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる感染症の治療のための薬剤の製造における、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩の使用を提供する。
【0079】
ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩、およびドキシサイクリンは、別個のまたは組み合わせた医薬製剤において、逐次または同時に、適した任意の経路によって投与され得る。
【0080】
一実施形態において、感染症は、性感染症(STI)、細菌による女性不妊症、生殖管感染症または重複感染関連尿路感染症から選択される。一実施形態において、生殖管感染症または重複感染関連尿路感染症は、尿道炎、子宮頸管炎、子宮内膜炎または骨盤内炎症性疾患(PID)から選択される。一実施形態において、尿道炎は、急性尿道炎、慢性尿道炎または非淋菌性尿道炎から選択される。
【0081】
別の態様において、本発明は、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる感染症の治療において使用するためのジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩、およびドキシサイクリンを含むキットを提供する。
【0082】
別の態様において、本発明は、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩;およびドキシサイクリンを含む医薬組合せ(組合せ医薬)を提供する。
【0083】
別の態様において、本発明は、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩、ドキシサイクリン、および少なくとも1種類の薬学上許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0084】
別の態様において、本発明は、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩とドキシサイクリンの医薬組合せを提供する。
【0085】
別の態様において、本発明は、本発明に記載されるような併用療法または耐性ガイド療法において使用するための、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩およびドキシサイクリンを含む医薬組合せに関する。
【0086】
別の態様において、本発明は、本発明に記載されるような併用療法または耐性ガイド療法において使用するための、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩、ドキシサイクリン、および少なくとも1種類の薬学上許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0087】
別の態様において、本発明は、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる感染症の治療において使用するための、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩、およびドキシサイクリンの組合せを提供する。
【0088】
別の態様において、本発明は、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる感染症の治療において使用するための、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩、およびドキシサイクリンを含む医薬組成物を提供する。
【0089】
別の態様において、本発明は、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる感染症を治療するための薬剤の製造のための薬剤の製造のための、本発明に定義されるような医薬組合せまたは医薬組成物の使用に関する。
【0090】
別の態様において、本発明は、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる生殖管感染症または重複感染関連尿路感染症を治療するための薬剤の製造のための、本明細書に記載されるような医薬組合せまたは医薬組成物の使用に関する。
【0091】
別の態様において、本発明は、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる尿道炎を治療するための薬剤の製造のための、本明細書に記載されるような医薬組合せまたは医薬組成物の使用に関する。
【0092】
別の態様において、本発明は、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる非淋菌性尿道炎を治療するための薬剤の製造のための、本明細書に記載されるような医薬組合せまたは医薬組成物の使用に関する。
【0093】
別の態様において、本発明は、必要とするヒトにおいてマイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる、またはマイコプラズマ・ジェニタリウムに関連する細菌感染症を治療するための耐性ガイド療法のための、本発明に定義されるような医薬組合せまたは医薬組成物の使用に関する。
【0094】
別の態様において、本発明は、必要とするヒトにおいてマイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる、またはマイコプラズマ・ジェニタリウムに関連する細菌感染症を治療するための併用療法のための、本発明において定義されるような医薬組合せまたは医薬組成物の使用に関する。
【0095】
別の態様において、本発明は、細菌感染症が性感染症(STI)、細菌による女性不妊症、生殖管感染症または重複感染関連尿路感染症から選択される、本発明において定義されるような使用に関する。
【0096】
別の態様において、本発明は、生殖管感染症または重複感染関連尿路感染症が尿道炎、子宮頸管炎、子宮内膜炎または骨盤内炎症性疾患(PID)から選択される、本発明において定義されるような使用に関する。
【0097】
別の態様において、本発明は、尿道炎が急性尿道炎、慢性尿道炎または非淋菌性尿道炎から選択される、本発明において定義されるような使用に関する。
【0098】
本発明は、以下の実施形態を提供する:
1.治療上有効な量の、
[a]第1の抗微生物薬もしくは抗菌薬であって、ジェポチダシンもしくはその薬学上許容される塩;または
[b]以下を含む対応する医薬組成物:
[1][a]に定義されるジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩;
[2]少なくとも1種類の薬学上許容される賦形剤;を、
[c]第2の抗微生物薬もしくは抗菌薬であって、ドキシサイクリン;または
[d]以下を含むその[c]の対応する医薬組成物:
[1][c]に定義される第2の抗微生物薬または抗菌薬;
[2]少なくとも1種類の薬学上許容される賦形剤;
と組み合わせて、それを必要とする患者または対象に投与することを含む、
マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる、またはマイコプラズマ・ジェニタリウムに関連する細菌感染症を治療するための併用療法。
【0099】
2.[c]または[d]と組み合わせた[a]または[b]に定義される成分のそれぞれの投与が、同時投与、併用投与、逐次投与によって達成される、実施形態1に記載の、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる、またはマイコプラズマ・ジェニタリウムに関連する細菌感染症を治療するための併用療法。
【0100】
3.併用療法が耐性ガイド療法として定義される、実施形態1または2に記載のマイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる、またはマイコプラズマ・ジェニタリウムに関連する細菌感染症を治療するための併用療法。
【0101】
4.第1の抗微生物薬または抗菌薬と組み合わせた第2の抗微生物薬または抗菌薬の使用が、
相乗および/もしくは相加作用をもたらし;ならびに/または
その個々の活性に干渉することなく、[a]または[b]のいずれかに対する耐性の発生からの保護も補助する、
実施形態1に記載のマイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる、またはマイコプラズマ・ジェニタリウムに関連する細菌感染症を治療するための併用療法。
【0102】
5.細菌感染症が性感染症(STI)、細菌による女性不妊症、血流感染症、上気道感染症、下気道感染症、皮膚感染症、軟組織感染症、腹腔内感染症、胃腸感染症、生殖管感染症または重複感染関連尿路感染症から選択される、実施形態1に記載のマイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる、またはマイコプラズマ・ジェニタリウムに関連する細菌感染症を治療するための併用療法。
【0103】
6.生殖管感染症または重複感染関連尿路感染症がそれぞれ尿道炎、子宮頸管炎または骨盤内炎症性疾患(PID)から選択される、実施形態5に記載のマイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる、またはマイコプラズマ・ジェニタリウムに関連する細菌感染症を治療するための併用療法。
【0104】
7.尿道炎が急性尿道炎、慢性尿道炎または非淋菌性尿道炎から選択される、実施形態6に記載のマイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる、またはマイコプラズマ・ジェニタリウムに関連する細菌感染症を治療するための併用療法。
【0105】
8.各成分[a]または[b]および[c]または[d]がそれぞれ経口投与される、実施形態1に記載のマイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる、またはマイコプラズマ・ジェニタリウムに関連する細菌感染症を治療するための併用療法。
【0106】
9.治療上有効な量の、
[a]それを必要とする患者に対する、第1の抗微生物薬または抗菌薬であって、化合物:
(2R)-2-({4-[(3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[2,3-c]ピリジン-6-イルメチル)アミノ]-1-ピペリジニル}メチル)-1,2-ジヒドロ-3H,8H-2a,5,8a-トリアザアセナフチレン-3,8-ジオン;または
その薬学上許容される塩;および
[b]それを必要とする患者または対象に対する、ドキシサイクリンから選択される第2の抗微生物薬または抗菌薬;
の同時投与、併用投与、または逐次投与を含み;
ここで、第2の抗微生物薬または抗菌薬としてのドキシサイクリンの使用は:
相乗および/もしくは相加作用をもたらし;ならびに/または
その個々の活性に干渉することなく、[a]または[b]のいずれかに対する耐性の発生からの保護も補助する、
マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる、またはマイコプラズマ・ジェニタリウムに関連する細菌感染症を治療するための併用療法。
【0107】
10.治療上有効な量の、
[a]以下を含む医薬組成物:
[1]それを必要とする患者に対する、第1の抗微生物薬または抗菌薬であって、化合物:
(2R)-2-({4-[(3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[2,3-c]ピリジン-6-イルメチル)アミノ]-1-ピペリジニル}メチル)-1,2-ジヒドロ-3H,8H-2a,5,8a-トリアザアセナフチレン-3,8-ジオン:
;またはその薬学上許容される塩;および
[2]少なくとも1種類または複数の薬学上許容される賦形剤;ならびに
[b]それを必要とする患者または対象に対する、ドキシサイクリンから選択される第2の抗微生物薬または抗菌薬;
の同時投与、併用投与、または逐次投与を含み;
ここで、第2の抗微生物薬または抗菌薬としてのドキシサイクリンの使用は:
相乗および/もしくは相加作用をもたらし;ならびに/または
その個々の活性に干渉することなく、[a]または[b]のいずれかに対する耐性の発生からの保護も補助する、
マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる、またはマイコプラズマ・ジェニタリウムに関連する細菌感染症を治療するための併用療法。
【0108】
11.
[a]以下を含む第1の医薬組成物:
[1]それを必要とする患者に対する、第1の抗微生物薬または抗菌薬であって、化合物(2R)-2-({4-[(3、4-ジヒドロ-2H-ピラノ[2,3-c]ピリジン-6-イルメチル)アミノ]-1-ピペリジニル}メチル)-1,2-ジヒドロ-3H,8H-2a,5,8a-トリアザアセナフチレン-3,8-ジオン;またはその薬学上許容される塩;および
[2]少なくとも1種類または複数の薬学上許容される賦形剤;ならびに
[b]それを必要とする患者または対象に対する、以下を含む第2の医薬組成物:
[1]ドキシサイクリンから選択される第2の抗微生物薬または抗菌薬;および
[2]少なくとも1種類または複数の薬学上許容される賦形剤;
から構成される成分の治療上有効な組合せの同時投与、併用投与、または逐次投与を含み;
ここで、第2の抗微生物薬または抗菌薬としてのドキシサイクリンの使用は:
相乗および/もしくは相加作用をもたらし;ならびに/または
その個々の活性に干渉することなく、[a]または[b]のいずれかに対する耐性の発生からの保護も補助する、
マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる、またはマイコプラズマ・ジェニタリウムに関連する細菌感染症を治療するための併用療法。
【0109】
12.治療上有効な量の、
[a]それを必要とする患者に対する、第1の抗微生物薬または抗菌薬であって、化合物:
(2R)-2-({4-[(3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[2,3-c]ピリジン-6-イルメチル)アミノ]-1-ピペリジニル}メチル)-1,2-ジヒドロ-3H,8H-2a,5,8a-トリアザアセナフチレン-3,8-ジオン:
;またはその薬学上許容される塩;および
[b]それを必要とする患者または対象に対する、ドキシサイクリンから選択される第2の抗微生物薬または抗菌薬;
の投与を含み;
ここで、第2の抗微生物薬または抗菌薬としてのドキシサイクリンの使用は:
相乗および/もしくは相加作用をもたらし;ならびに/または
その個々の活性に干渉することなく、[a]または[b]のいずれかに対する耐性の発生からの保護も補助する、
マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる、またはマイコプラズマ・ジェニタリウムに関連する生殖管感染症または重複感染関連尿路感染症を治療するための併用療法。
【0110】
13.治療上有効な量の、
[a]それを必要とする患者に対する、第1の抗微生物薬または抗菌薬であって、化合物:
(2R)-2-({4-[(3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[2,3-c]ピリジン-6-イルメチル)アミノ]-1-ピペリジニル}メチル)-1,2-ジヒドロ-3H,8H-2a,5,8a-トリアザアセナフチレン-3,8-ジオン:
;またはその薬学上許容される塩;および
[b]それを必要とする患者または対象に対する、ドキシサイクリンから選択される第2の抗微生物薬または抗菌薬;
の投与を含み;
ここで、第2の抗微生物薬または抗菌薬としてのドキシサイクリンの使用は:
相乗および/もしくは相加作用をもたらし;ならびに/または
その個々の活性に干渉することなく、[a]または[b]のいずれかに対する耐性の発生からの保護も補助する、
マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる、またはマイコプラズマ・ジェニタリウムに関連する尿道炎を治療するための併用療法。
【0111】
14.尿道炎が急性尿道炎、慢性尿道炎または非淋菌性尿道炎から選択される、実施形態13に記載の、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる、またはマイコプラズマ・ジェニタリウムに関連する尿道炎を治療するための併用療法。
【0112】
15.治療上有効な量の、
[a]それを必要とする患者に対する、第1の抗微生物薬または抗菌薬であって、化合物:
(2R)-2-({4-[(3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[2,3-c]ピリジン-6-イルメチル)アミノ]-1-ピペリジニル}メチル)-1,2-ジヒドロ-3H,8H-2a,5,8a-トリアザアセナフチレン-3,8-ジオン:
;またはその薬学上許容される塩;および
[b]それを必要とする患者または対象に対する、ドキシサイクリンから選択される第2の抗微生物薬または抗菌薬;
の投与を含み;
ここで、第2の抗微生物薬または抗菌薬としてのドキシサイクリンの使用は:
相乗および/もしくは相加作用をもたらし;ならびに/または
その個々の活性に干渉することなく、[a]または[b]のいずれかに対する耐性の発生からの保護も補助する、
マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる、またはマイコプラズマ・ジェニタリウムに関連する非淋菌性尿道炎を治療するための併用療法。
【0113】
16.成分[a]または[b]のそれぞれの投与が同時投与、併用投与、逐次投与によって達成される、実施形態12、13、14または15のいずれか一項に記載の、マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる、またはマイコプラズマ・ジェニタリウムに関連する併用療法。
【0114】
17.治療上有効な量の、
[a]それを必要とする患者に対する、第1の抗微生物薬または抗菌薬であって、化合物:
(2R)-2-({4-[(3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[2,3-c]ピリジン-6-イルメチル)アミノ]-1-ピペリジニル}メチル)-1,2-ジヒドロ-3H,8H-2a,5,8a-トリアザアセナフチレン-3,8-ジオン:
;またはその薬学上許容される塩;および
[b]それを必要とする患者または対象に対する、ドキシサイクリンから選択される第2の抗微生物薬または抗菌薬;
の投与を含み:
ここで、第2の抗微生物薬または抗菌薬としてのドキシサイクリンの使用は:
相乗および/もしくは相加作用をもたらし;ならびに/または
その個々の活性に干渉することなく、[a]または[b]のいずれかに対する耐性の発生からの保護も補助する、
マイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる、またはマイコプラズマ・ジェニタリウムに関連する細菌感染症を治療するための耐性ガイド療法。
【0115】
18.[a]第1の抗微生物薬または抗菌薬であって、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩;および
[b]第2の抗微生物薬または抗菌薬であって、ドキシサイクリン
を含む、医薬組合せ。
【0116】
19.[a]第1の抗微生物薬または抗菌薬であって、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩;および
[b]第2の抗微生物薬または抗菌薬であって、ドキシサイクリン;および
[c]少なくとも1種類の薬学上許容される賦形剤
を含む、医薬組成物。
【0117】
20.併用療法または耐性ガイド療法において使用するための、実施形態18に記載の医薬組合せ。
【0118】
21.併用療法または耐性ガイド療法において使用するための、実施形態19に記載の医薬組成物。
【0119】
22.必要とする患者または対象においてマイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる、またはマイコプラズマ・ジェニタリウムに関連する細菌感染症を治療するための薬剤の製造のための、実施形態18に記載の医薬組合せまたは実施形態19に記載の医薬組成物の使用。
【0120】
23.細菌感染症が性感染症(STI)、細菌による女性不妊症、血流感染症、上気道感染症、下気道感染症、皮膚感染症、軟組織感染症、腹腔内感染症、胃腸感染症、生殖管感染症または重複感染関連尿路感染症から選択される、実施形態22に記載の使用。
【0121】
24.生殖管感染症または重複感染関連尿路感染症が尿道炎、子宮頸管炎または骨盤内炎症性疾患(PID)から選択される、実施形態23に記載の使用。
【0122】
25.尿道炎が急性尿道炎、慢性尿道炎または非淋菌性尿道炎から選択される、実施形態24に記載の使用。
【0123】
26.必要とする患者または対象においてマイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる、またはマイコプラズマ・ジェニタリウムに関連する生殖管感染症または重複感染関連尿路感染症を治療するための薬剤の製造のための、実施形態18に記載の医薬組合せまたは実施形態19に記載の医薬組成物の使用。
【0124】
27.必要とする患者または対象においてマイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる、またはマイコプラズマ・ジェニタリウムに関連する尿道炎を治療するための薬剤の製造のための、実施形態18に記載の医薬組合せまたは実施形態19に記載の医薬組成物の使用。
【0125】
28.必要とする患者または対象においてマイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる、またはマイコプラズマ・ジェニタリウムに関連する非淋菌性尿道炎を治療するための薬剤の製造のための、実施形態18に記載の医薬組合せまたは実施形態19に記載の医薬組成物の使用。
【0126】
29.必要とする患者または対象においてマイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる、またはマイコプラズマ・ジェニタリウムに関連する細菌感染症を治療するための耐性ガイド療法のための、実施形態18に記載の医薬組合せまたは実施形態19に記載の医薬組成物の使用。
【0127】
30.必要とする患者または対象においてマイコプラズマ・ジェニタリウムによって引き起こされる、またはマイコプラズマ・ジェニタリウムに関連する細菌感染症を治療するための併用療法のための、実施形態18に記載の医薬組合せまたは実施形態19に記載の医薬組成物の使用。
【0128】
31.細菌感染症が性感染症(STI)、細菌による女性不妊症、血流感染症、上気道感染症、下気道感染症、皮膚感染症、軟組織感染症、腹腔内感染症、胃腸感染症、生殖管感染症または重複感染関連尿路感染症から選択される、実施形態28または29に記載の使用。
【0129】
32.生殖管感染症または重複感染関連尿路感染症が尿道炎、子宮頸管炎または骨盤内炎症性疾患(PID)から選択される、実施形態31に記載の使用。
【0130】
33.尿道炎が急性尿道炎、慢性尿道炎または非淋菌性尿道炎から選択される、実施形態32に記載の使用。
【0131】
本発明において使用される化合物
WO2008/128942は、ジェポチダシンの遊離塩基および塩酸塩の作製を開示している。
【0132】
「ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩」という句は、ジェポチダシン、ジェポチダシンの薬学上許容される塩、ジェポチダシンの溶媒和物、またはこれらの任意の薬学上許容される組合せを包含することが意図されることが理解されるであろう。よって、例示の目的で本明細書において使用される限定されない例として、「ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩」は、さらに溶媒和物として存在する、ジェポチダシンの薬学上許容される塩を含み得る。
【0133】
本明細書で使用する場合、ドキシサイクリンまたはジェポチダシン(またはその任意の薬学上許容される塩)は、液体または半固体形態などの非固体形態、非晶質形態もしくは結晶形態などの固体形態、特定の多型形態および溶媒和物(水和物、例えば、ドキシサイクリン一水和物およびドキシサイクリンヒクラート(塩酸塩ヘミエタノラート半水和物物)を含む)、および様々な形態の混合物を含む、いずれの物理的形態であってもよい。
【0134】
適切な薬学上許容される塩には、Berge, Bighley and Monkhouse J.Pharm.Sci (1977) 66, pp 1-19に記載されているものが含まれる。
【0135】
ジェポチダシンおよびドキシサイクリンの両方に関して、所望の塩形態は、遊離塩基を塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸で、または酢酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸(例えば、グルクロン酸もしくはガラクツロン酸)、α-ヒドロキシ酸(例えば、クエン酸もしくは酒石酸)、アミノ酸(例えば、アスパラギン酸もしくはグルタミン酸)、芳香族酸(例えば、安息香酸もしくは桂皮酸)、スルホン酸(例えば、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸)などの有機酸で処理するなど、当技術分野で公知のいずれの適切な方法によって調製してもよい。薬学上許容される塩の例としては、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオール酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン-1,4-二酸塩、ヘキシン-1,6-二酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ-ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、マンデル酸塩、およびスルホン酸塩(例えば、キシレンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩およびナフタレン-2-スルホン酸塩)が挙げられる。
【0136】
ジェポチダシンの薬学上許容される塩としては、酸付加塩、例えば、鉱酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸もしくはリン酸、または有機酸、例えば、酢酸、フマル酸、コハク酸、マレイン酸、クエン酸、安息香酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸もしくは酒石酸とのそれらの塩が含まれる。本発明のいずれの態様においても、一実施形態において、ジェポチダシンは、ジェポチダシン遊離塩基またはメタンスルホン酸ジェポチダシン(メシル酸塩)である。
【0137】
本発明は、その範囲に、可能性のあるあらゆる化学量論的および非化学量論的塩形態を含む。
【0138】
医薬組成物および製剤
本発明の方法および/または使用において使用するために許容される、また適合可能な医薬組成物および製剤は、従来技術で知られる医薬組成物、製剤もしくは化学材料、調剤賦形剤、調製手段、工程および/または方法および従来技術などを用いて調製される。
【0139】
本発明において使用される特にジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩は、他の抗菌/抗結核化合物から類推して、ヒトまたは獣医学で使用するためのいずれの適した方法で投与するために調剤してもよい。
【0140】
本発明において使用される医薬組成物はいずれの経路によって投与するためにも調剤可能であり、経口、局所または非経口使用に適合した形態のものを含み、ヒトを含む哺乳動物において使用可能である。
【0141】
組成物は、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、トローチ剤、坐剤、クリームまたは液体製剤、例えば、経口または無菌非経口溶液または懸濁液の形態であり得る。
【0142】
一実施形態において、本発明のジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩は、錠剤またはカプセル剤形態である。一実施形態において、それは錠剤形態である。一実施形態において、錠剤は750mg錠剤である。
【0143】
ドキシサイクリンは、経口カプセル剤、経口錠剤、遅延放出もしくは長期放出経口錠剤、遅延放出もしくは長期放出経口カプセル剤、経口懸濁液剤(すなわち、水で再構成するためのドライパウダー)または注射液を含むいずれの好適な形態で投与してもよい。
【0144】
本発明における経口投与のための錠剤およびカプセル剤は、単位用量剤形であってよく、結合剤、増量剤、打錠滑沢剤、崩壊剤または湿潤剤などの従来の賦形剤を含有してよい。錠剤は通常の製薬慣行において周知の方法に従ってコーティングしてもよい。経口液体製剤は、例えば、水性もしくは油性懸濁液、溶液、エマルション、シロップまたはエリキシルの形態であってよく、または使用前に水もしくはその他の好適なビヒクルで再構成するための乾燥品として調製してもよい。このような液体製剤は、沈殿防止剤、例えば、ソルビトール、メチルセルロース、グルコースシロップ、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲルまたは硬化食用脂、乳化剤(例えば、レシチン、モノオレイン酸ソルビタン、またはアラビアガム)、非水性ビヒクル(食用油を含み得る)(例えば、アーモンドオイル)、油性エステル(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、またはエチルアルコール)、保存剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはp-ヒドロキシ安息香酸プロピルまたはソルビン酸)、および所望により従来の香料または着色剤といった従来の添加剤を含有してもよい。
【0145】
坐剤は、従来の坐剤基剤、例えば、カカオバターまたはその他のグリセリドを含有するであろう。
【0146】
非経口投与の場合、液体単位剤形は、化合物および無菌ビヒクル(水が好ましい)を用いて調製される。使用するビヒクルおよび濃度によって、化合物はビヒクル中に懸濁または溶解し得る。溶液を調製する場合、化合物を注射水に溶解させ、濾過除菌した後に好適なバイアルまたはアンプルに充填し、封止することができる。
【0147】
有利には、局所麻酔薬、保存剤および緩衝剤などの薬剤をビヒクルに溶解させることができる。安定性を高めるためには、組成物をバイアルに充填した後に凍結させ、真空下で水を除去することができる。凍結乾燥させたドライパウダーは次にバイアル内に密封し、使用前に液体を再構成するための注射水の付属バイアルを供給してもよい。非経口懸濁剤は、化合物をビヒクルに溶解させる代わりに懸濁され、滅菌が濾過によりできないこと以外は、実質的に同じ方法で調製される。化合物はエチレンオキサイドに曝すことによって滅菌した後に無菌ビヒクルに懸濁させることができる。有利には、化合物の均一な分布を助けるために組成物に界面活性剤または湿潤剤が含まれる。
【0148】
さらに、本発明において使用される化合物または医薬組成物の投与量は、患者および投与様式によって異なり、いずれの有効な量であってもよい。
【0149】
本発明の投与方法のいずれにおいても、用語「治療上有効な量」は、本明細書で使用する場合、一般に、その意味の範囲内に、それが所望の治療効果を提供すると言われている特定の薬物の、非毒性であるが十分な量を含む。必要とされる正確な量は、患者の健康状態、患者の年齢などの因子によって対象ごとに異なる。
【0150】
本発明において使用される化合物および/または医薬組成物の投与のための治療計画もまた、当業者によって容易に決定することができる。本発明において使用される化合物および/または医薬組成物の投与量は、所望の効果を達成するため、1日当たりの、患者の体重に基づく有効量を単位剤形中に提供するために、広範囲にわたって変更可能である。
【0151】
組成物は、投与方法によって0.1重量%、好ましくは、10重量%から60重量%の有効物質を含有し得る。組成物が投与単位を含む場合、各単位は好ましくは、50~1000mgの有効成分を含有する。そうではないことが示されない限り、有効成分(すなわち、ジェポチダシン)の量は、ジェポチダシン遊離塩基の量を指す。
【0152】
本発明において成人の治療に使用されるジェポチダシンまたは薬学上許容される塩の用量は、好ましくは、投与経路および投与頻度によって、100または6000mg/日、または100~3000mg/日、例えば、1500mg/日または3000mg/日の範囲である。このような用量は、約1.5~約100または50mg/kg/日に相当する。適切には、用量は、5~30mg/kg/日である。一実施形態において、用量は、1日2回、1500mg(すなわち、3000mg/日)である。一実施形態において、用量は、1日2回、3000mg(すなわち、6000mg/日)である。
【0153】
従来の投与方法は、本発明における使用に適切であり得る。
【0154】
達成される治療によって、本発明の化合物および/または組成物は、経口投与、血管内投与、腹腔内投与、皮下投与、筋肉内投与または局所投与として投与することができる。好ましくは、組成物は経口投与に適合される。本発明の上記態様のいずれにおいても、一実施形態で、ジェポチダシンまたはその薬学上許容される塩およびドキシサイクリンは経口投与される。
【0155】
以下に示す実施例は本発明の例示であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【実施例】
【0156】
実施例1:薬剤耐性マイコプラズマ・ジェニタリウムに対する経口抗微生物薬ジェポチダシンのin vitro評価
概要
Vero細胞培養法によって54のマイコプラズマ・ジェニタリウム単離株に対してジェポチダシン最小阻止濃度(MIC)および最小殺菌濃度(MBC)を決定した。31の単離株にマクロライド耐性が存在し、18(33%)の単離株にフルオロキノロン耐性が存在し、17の単離株は二重耐性であった。
【0157】
2つのマクロライド耐性単離株および2つの二重耐性単離株に対するチェッカーボード分析によって、ジェポチダシンおよびドキシサイクリンに関する相乗作用試験を行った。
【0158】
ジェポチダシンは54のマイコプラズマ・ジェニタリウム単離株の全てに対して活性があり、メジアンおよびモーダルMICは0.125mg/Lであり、MIC90は0.25mg/L(範囲≦0.016~0.5mg/L)であった。マクロライド耐性単離株と感受性単離株の間(p=0.24)またはフルオロキノロン耐性単離株、二重耐性単離株および感受性単離株の間(p=0.2)のジェポチダシンMICに差違は示されなかった。
【0159】
ジェポチダシンMBCは、44のマイコプラズマ・ジェニタリウム単離株で得ることができ、メジアンMICは0.064mg/Lであり、メジアンMBCは0.125mg/Lであり、全ての単離株がMICとMBCの間に4倍を超えない差違を持ち、殺菌効果が示唆された。
【0160】
チェッカーボード分析は、ジェポチダシンをドキシサイクリンと組み合わせた場合の相乗作用を示し、2つの単離株(1つのマクロライド耐性単離株および1つの二重耐性単離株)では、FIC計数(Fractional Inhibitory Concentration Index)は0.5であり、マクロライド耐性単離株および二重耐性単離株ではそれぞれ相加作用/差違無し(FICは0.62および0.75)であった。
【0161】
方法
マイコプラズマ・ジェニタリウム単離株
51名の患者に由来する54のマイコプラズマ・ジェニタリウム単離株のコレクションを試験した。31株はマクロライド耐性であり、アジスロマイシンMICは≧16μg/mLであり、23S rRNA遺伝子A2058(n=17)またはA2059(n=14、大腸菌ナンバリング)の位置に突然変異を有した。18株はモキシフロキサシン耐性であり(MIC≧1μg/mL);17株は二重耐性であり、モキシフロキサシンおよびアジスロマイシンの両方に耐性があった。この単離株の地理的起源を表1に示す。
【0162】
【0163】
最小阻止濃度(MIC)の決定
54の単離株全てに関してVero細胞培養法によってジェポチダシン最小阻止濃度(MIC)を決定し、44のマイコプラズマ・ジェニタリウム株に対して最小殺菌濃度(MBC)を決定した。ジェポチダシン、アジスロマイシン、ドキシサイクリン、およびモキシフロキサシンMICは、試験抗生物質の2倍希釈液を含有するVero細胞培養物に、定量的PCR(qPCR)により決定される5000ゲノム当量(geq)を接種することによって決定した(Hamasuna et at., Antimicrob. Agents Chemother 49, 4993-4998 (2005))。3週間のインキュベーション期間の後に、細胞および上清を採取し、マイコプラズマ・ジェニタリウムの増殖をqPCRによって決定した。MICは、抗生物質の使用なしで増殖させた対照培養物の平均と比べた場合に99%の増殖阻止を引き起こす試験抗生物質の最小濃度と定義した。
【0164】
最小殺菌濃度(MBC)の決定
MIC決定のためのインキュベーションの後、15μLの培養培地をMICプレートから135μLの新鮮なVero細胞懸濁液に移し、ジェポチダシンの10倍希釈液を得た。プレートをシールして、4週間インキュベートした後、qPCRによってマイコプラズマ・ジェニタリウムの増殖を決定した。MBCは、抗生物質の使用なしで増殖させた対照培養物ウェルの平均と比べた場合に99%の増殖阻止を引き起こす抗試験生物質の最小濃度と定義した。
【0165】
ジェポチダシンとドキシサイクリンの間の相乗作用の決定
相乗作用試験は、ジェポチダシンおよびドキシサイクリンに関し、2つのマクロライド耐性単離株および2つの二重耐性単離株に対するチェッカーボード分析によって行った。それぞれドキシサイクリンおよびジェポチダシンMICを表す中点濃度で、8×8のジェポチダシンおよびドキシサイクリン2倍希釈を表すチェッカーボードをVero細胞懸濁液で作製し、増殖がqPCRにより決定されるまでに3週間マイコプラズマ・ジェニタリウムをインキュベートした。結果をFICI(fractional inhibitory concentration index)として表した。相乗作用はFICI≦0.5の場合に、拮抗作用はFICI>4の場合に仮定した。
【0166】
結果および考察
ジェポチダシンは、54のマイコプラズマ・ジェニタリウム単離株の全てに対して活性があり、メジアンおよびモーダルMICは0.125mg/Lであり、MIC
90は0.25mg/L(範囲≦0.016~0.5mg/L)であり、試験したマイコプラズマ・ジェニタリウム単離株に対して比較抗生物質よりも有意に活性が高かった(
図1参照、この図は54のマイコプラズマ・ジェニタリウム株に対するジェポチダシン(GEP)、アジスロマイシン(AZM)、モキシフロキサシン(MXF)およびドキシサイクリン(DOX)のMIC(μg/mL)の分布を示す)。これらには、地理的、時間的および遺伝的に多様な参照株ならびにフルオロキノロン耐性単離株(33%)およびマクロライド耐性単離株(57%)の割合が高い臨床マイコプラズマ・ジェニタリウム単離株を含んでいた。
【0167】
重要なこととして、マクロライド耐性単離株と感受性単離株の間(p=0.24)にもフルオロキノロン耐性単離株、二重耐性単離株または感受性単離株の間(p=0.2)にも、ジェポチダシンMICの差違は示されなかった。
【0168】
この単離株の選択コレクションにおいて、ジェポチダシンは最も活性の高い化合物であり(表2)、アジスロマイシン(MIC90>64μg/mL)、モキシフロキサシン(MIC90 4μg/mL)、およびドキシサイクリン(MIC90 1μg/mL)に比べて、そのMIC90は0.25μg/mLであった(全ての比較に関してp<0.001)。
【0169】
表2:マイコプラズマ・ジェニタリウムに関する36のモキシフロキサシン感受性単離株および18のモキシフロキサシン耐性単離株のMIC
ジェポチダシンMBCは44のマイコプラズマ・ジェニタリウム単離株で得ることができ、MIC中央値は0.064およびMBC中央値は0.125mg/Lである、全ての単離株はMICとMBCの間に4倍を超える差違を持ち、殺菌効果が示唆された。
【0170】
【0171】
ジェポチダシンおよびドキシサイクリンのチェッカーボード分析は、2つの単離株(1つのマクロライド耐性および1つの二重耐性)に関してFIC0.5で相乗作用を示し、マクロライド耐性単離株および二重耐性単離株それぞれに関しては相加作用/差違無し(FIC 0.62および0.75)を示した(表3)。重要なこととして、ジェポチダシンとドキシサイクリンの間に拮抗的相互作用は示されなかった。
【0172】
本試験の目的として、表3において、相乗作用はFICI≦0.5、拮抗作用はFICI>4として定義し、マクロライド耐性を媒介する23S rRNA遺伝子における突然変異は大腸菌ナンバリングに従い、モキシフロキサシン耐性をもたらすParC突然変異はマイコプラズマ・ジェニタリウムナンバリングに従った。
【0173】
【0174】
これらの結果は、ジェポチダシンは、フルオロキノロン耐性単離株およびマクロライド耐性単離株を含む試験した全てのマイコプラズマ・ジェニタリウム単離株に対して活性があり、試験した比較対象に対する交差耐性はなかったことを示す。ジェポチダシンのMIC値は、Vero細胞培養法を用いた場合、モキシフロキサシン感受性マイコプラズマ・ジェニタリウム単離株の試験のためにCLSI法を用いた場合に見られたものよりも高かったが、殺菌濃度は同等であった。さらに、これらの結果は、ドキシサイクリンは、二重耐性を有するマイコプラズマ・ジェニタリウム単離株においても、ジェポチダシンと相加作用または相乗作用を有していたことを示す。
【0175】
相乗作用または相加作用は、患者の第1の薬物(ドキシサイクリンまたはジェポチダシンであり得る)への曝露期間を、他の薬物へ切り替える前、または他の薬物を治療計画に追加する前には長期であったものを数日に短縮されるように役立ち得る。この二重療法は、ジェポチダシンを耐性の選択および/または拡散から保護するとともに、両化合物の効力を増強する補助となり得る。
【0176】
本発明は以上に示された態様または実施形態に限定されず、示された態様または実施形態および以下の特許請求の範囲内に入るあらゆる改変に権利が留保されるものと理解されるべきである。
【0177】
本明細書に引用される雑誌、特許、およびその他の刊行物に対する様々な参照は技術の現状を含み、完全に示されているように本明細書の一部として援用される。
【国際調査報告】