IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲーの特許一覧

<>
  • 特表-アクチュエータ装置 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-12
(54)【発明の名称】アクチュエータ装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/00 20060101AFI20220905BHJP
【FI】
F16H61/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022500113
(86)(22)【出願日】2020-06-17
(85)【翻訳文提出日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 DE2020100510
(87)【国際公開番号】W WO2021004572
(87)【国際公開日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】102019118226.3
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】カーステン マイアー
(72)【発明者】
【氏名】マルコ グレーテル
(72)【発明者】
【氏名】トビアス ケーニンガー
【テーマコード(参考)】
3J552
【Fターム(参考)】
3J552MA05
3J552MA06
3J552NA01
3J552PA51
3J552PB02
3J552QB07
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの油圧作動コンポーネントを、特に自動車のドライブトレインにおいて作動させるためのおける電動油圧作動装置を備えたアクチュエータ装置であって、電気モータ(M)によって駆動されるポンプと、制御デバイスおよびパワーエレクトロニクスを用いて電気モータ(M)に給電し、かつ電気モータ(M)を制御するための主給電路(2)を有する制御装置(1)と、を備えた、アクチュエータ装置に関する。主給電路(2)の障害時に油圧作動コンポーネントの最小限の機能を維持するために、主給電路(2)に並列に配置された副給電路(3)と、監視装置(8)とが、主給電路(2)の障害を検知し、障害時に副給電路(3)の作動させるために設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの油圧作動コンポーネントを、特に自動車のドライブトレインにおいて作動させるための電動油圧作動装置を備えたアクチュエータ装置であって、電気モータ(M)によって駆動されるポンプと、制御デバイスおよびパワーエレクトロニクスを用いて前記電気モータ(M)に給電し、かつ前記電気モータ(M)を制御するための主給電路(2)を有する制御装置(1)と、を備えた、アクチュエータ装置において、前記制御装置(1)には、前記主給電路(2)に並列に配置された副給電路(3)と、前記主給電路(2)の障害を検知し、障害時に前記副給電路(3)を作動させるための監視装置(8)と、が設けられていることを特徴とする、アクチュエータ装置。
【請求項2】
前記電気モータ(M)の整流は、前記ポンプの出力要求に応じて主給電路(2)を経由して電子的に提供されている、または所定の出力時に前記副給電路(3)を経由して電気的に提供されていることを特徴とする、請求項1に記載のアクチュエータ装置。
【請求項3】
前記電気モータ(M)の整流および調整は、前記主給電路(2)では、前記制御デバイスの分離されたモジュールにおいて提供され、前記副給電路(3)では、前記制御デバイスから電気的に分離されて形成された制御モジュール(9)において提供されていることを特徴とする、請求項2に記載のアクチュエータ装置。
【請求項4】
主給電路(2)および副給電路(3)は、異なる電源(S1、S2)によって給電可能であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置。
【請求項5】
主給電路(2)および副給電路(3)は、前記電気モータ(M)のモータハウジングと前記制御デバイスとの間の異なるコネクタを用いて接続されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置。
【請求項6】
前記主給電路(2)および前記副給電路(3)は両方とも、前記電気モータ(M)に三相交流電圧を供給する同一の三相インバータ(6)を使用することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置。
【請求項7】
前記ポンプと前記少なくとも1つの作動コンポーネントとの間に配置されたバルブは、無電流状態で開くように形成されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの作動コンポーネントは、連続調整可能な巻き掛け手段式変速機の2つのプーリセットの間の巻き掛け手段に押圧するための押圧シリンダセットとして形成されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの作動コンポーネントは、デュアルクラッチ変速機のデュアルクラッチの少なくとも1つの摩擦クラッチ用の作動シリンダとして、かつ/または前記デュアルクラッチ変速機のギヤの切り換えのための作動シリンダとして形成されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のアクチュエータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの油圧作動コンポーネントを、特に自動車のドライブトレインにおいて作動させるための電動油圧作動装置を備えたアクチュエータ装置であって、電気モータによって駆動されるポンプと、制御デバイスおよびパワーエレクトロニクスを用いて電気モータに給電し、かつ電気モータを制御するための主給電路を有する制御装置と、を備えた、アクチュエータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のアクチュエータ装置は、油圧作動コンポーネントの作動に使用される。環境保護上の理由から内燃機関を一時的に停止するというといった先進的なコンセプトにおいてアクチュエータ装置が企図されており、作動油圧システムに供給するためのアクチュエータ装置の1つのポンプまたは複数のポンプは、内燃機関を用いる常時作動とは無関係に形成されている。このために、ポンプはそれぞれ、電気モータによって駆動されており、電気モータは、制御デバイスを用いて、油圧作動装置の出力要求に応じて、電子的に整流され、かつパワーエレクトロニクスを用いて電気エネルギーが供給される。独国特許第102017130495(A1)号の文書により、例えば、無段変速機が公知であり、その無段変速機の巻き掛け手段は、張力がかかっているプーリセット間で、アクチュエータ装置を用いて電動油圧式に作動する。アクチュエータ装置は、プーリセットに油圧で予荷重をかける、油圧ポンプなどの電気モータで駆動されるポンプである。電気モータは、パワーエレクトロニクスを有する主給電路と、電子的整流と、を使用して制御される。主給電路の障害時、プーリセット上で巻き掛け手段がスリップすることによって、プーリセットの予荷重が不十分になる危険性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、アクチュエータ装置の発展形態である。具体的には、本発明の課題は、フェイルセーフのアクチュエータ装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本課題は、請求項1の対象物によって解決される。請求項1の従属請求項は、請求項1の対象物の有利な実施形態を反映するものである。
【0005】
提案されたアクチュエータ装置は、例えば、制御デバイスに組み込まれた制御装置を有する油圧作動装置と、電動油圧ポンプによって圧力が供給される油圧流路を有する、制御デバイスによって制御される電動油圧ポンプであって、少なくとも1つの油圧作動コンポーネントを作動させるための、シフトバルブおよび/またはプロポーショナルバルブといった、圧力または油圧流路内に含まれた圧力手段の体積流量を調整し、かつ切り換えるバルブ、絞り、冷却装置、フィルタ装置などを有する、電動油圧ポンプと、を備える。少なくとも1つの作動コンポーネントは、特に自動車のドライブトレインにおいて、例えば、作動シリンダから形成され得る。例えば、作動コンポーネントは、無段変速機の2つのプーリセット間で巻き掛け手段に予荷重をかけるための少なくとも2つの作動シリンダから、摩擦クラッチの1つの作動シリンダまたはデュアルクラッチの2つの作動シリンダから、自動変速機のシフトスリーブのギヤを切り換えるため、またはギヤを組み合わせるための少なくとも1つのシフトシリンダから、ハイブリッドドライブトレインの電気機械とドライブユニットとの間のセパレーティングクラッチの作動シリンダなどから形成され得る。
【0006】
電気モータによって駆動されるポンプは、電気モータに給電し、かつ電気モータを制御するために、制御デバイスおよびパワーエレクトロニクスと効果的に電気接続されている。例えば、マイクロコントローラなどのマイクロプロセッサのリセット、および/または主給電路をインテリジェントに制御する制御デバイスの構成群のリセットのような障害による主給電路の障害時に、例えば、電気モータの制御停止、ひいては少なくとも1つの作動コンポーネントの油圧作動停止、ひいては作動コンポーネントによって作動される装置の損傷を防止するために、主給電路と並列に配置された副給電路と、主給電路の障害を検知し、かつ障害時に副給電路を起動するための監視装置が設けられている。これにより、アクチュエータ装置の障害は、実質的に、アクチュエータ装置の電気部分における冗長によって補償可能である。例えば、機能を損なうばね予荷重などは、その場合、油圧作動装置における追加的な機械的ヒューズ保護を省略し得る。
【0007】
監視装置は、この場合、例えば、いわゆるウォッチドッグの形式で行われ、ウォッチドッグは、主給電路の主要な作動パラメータを検出し、評価し、かつ必要に応じて副給電路を起動することができる。このように、電気モータの冗長制御が設けられ、この場合、電気モータの給電は、正常時には主給電路を経由して、また作動障害時には副給電路を経由してのいずれか一方で行われる。
【0008】
アクチュエータ装置の有利な実施形態によれば、電気モータの整流は、主給電路を経由して、ポンプの出力要求に応じて電気的に制御され得るため、制御デバイスの「インテリジェントな」マイクロコントローラを用いて、電気モータの正常な、微調整された作動を提供することができる。副給電路を経由して、電気モータの制御の単純かつ堅牢な構成のために、所定の出力時には、電気モータの電動作動を提供することができる。その場合、電気モータには、主給電路のパワーエレクトロニクスを用いて、または別個のパワーエレクトロニクスを用いて、電気エネルギーを給電することができる。副給電路における電気モータの作動は、電気モータの回転子が所定の一定回転数時には、主給電路に対応した微整流および調整なしで提供することができる。これにより、副給電路の単純な構造の他に、副給電路の構成部品の安全な作動が実現される。
【0009】
制御デバイスは、主給電路および副給電路のすべての構成部品を単一のハウジング内に含み得る。あるいは、主給電路および副給電路の構成部品は、分離されたハウジング内または1つのハウジング内部に相互に機械的に分離されて設けることができる。例えば、電気モータの整流および調整は、制御デバイスの分割されたモジュール内の主給電路において設けることができる。主給電路のパワーエレクトロニクスは、副給電路によって利用されてもよい。あるいは、副給電路のために、別個のパワーエレクトロニクスが設けられてもよい。副給電路は、制御デバイスから電気的に分離されて形成されたモジュール内に設けられ得る。例えば、同一の電源、例えば、低電圧蓄電池または高電圧蓄電池に任意選択で対応する変圧の主給電路および副給電路は、作動電圧で作動され得る。あるいは、主給電路および副給電路は、異なる電源によって給電可能に形成されてもよい。例えば、副給電路を完全に自立して作動させるために、副給電路の通常短時間で僅かな電気出力要求に合わせた僅かな容量の電源、例えば、小型蓄電池、電力用コンデンサなどが設けられてもよい。
【0010】
さらに、主給電路および副給電路が電気モータのモータハウジングと給電ケーブルとの間の異なるコネクタを用いて、かつ給電ケーブルと制御デバイスとの間のコネクタを用いて接続されていることによって、電気モータと制御デバイスとの間の主給電路の給電配線および/または制御配線の電圧降下による主給電路の障害に対処し得る。その場合、主給電路のコネクタの電圧降下が監視装置によって検知され、かつ副給電路が起動され得る。副給電路のコネクタの電圧降下は、監視され、かつ例えば、制御デバイスの故障メモリへの故障メモリ入力によって記録され、かつ場合によっては警告信号によって運転者に表示され得る。
【0011】
主給電路および/または副給電路によって利用されるパワーエレクトロニクスは、好ましくは、三相交流電圧を供給する三相インバータを有する電気モータとして、例えば、B6ブリッジとして形成されている。
【0012】
主給電路の電気エネルギーの異常によって引き起こされる障害時に、油圧ポンプと少なくとも1つの作動コンポーネントとの間で電動バルブもまた故障するのを抑制するために、ポンプと少なくとも1つの作動コンポーネントとの間に配置されたバルブは、無電流状態で開くように形成され得る。あるいは、このバルブは、副給電路に割り当てられた電源によって作動され得る。代替的にまたは追加的に、ヒューズ保護管理では、主給電路および副給電路が別々に電気的にヒューズ保護されているように設計され得る。少なくとも、アクチュエータ装置のフェイルセーフ動作に必要な電動バルブは、副給電路とは別個に、または一緒にヒューズ保護され得る。
【0013】
ドライブトレインに対して保護機能/緊急時機能を提供するための電気モータの冗長モータ制御の有利な実現によれば、アクチュエータ装置およびアクチュエータ装置によって作動されるドライブトレインの機能安全性のために問題なく形成されているメカトロニックコンポーネントの保護が設けられることとなる。この保護機能/緊急時機能は、アクチュエータ装置の電気部品上で冗長性を実施することによって、廉価で、省エネに優れるように形成されている。
【0014】
個別のドライブトレインに対しては、提案されたアクチュエータ装置を用いて、例えば、以下の、
無段変速機の場合、少なくとも巻き掛け手段から負荷が解除されるまで、プーリセットに対する巻き掛け手段の押圧の維持があらかじめ設定されている、
ドライブトレインの機能性は、ドライブトレインのトラクションマシン、例えば、内燃機関、内燃機関および電気機械を有するハイブリッド駆動部、または純電気的駆動部がトルクを伝達しなくなる、または適切に下方調整されなくなるまで維持される、
デュアルクラッチ変速機のサブドライブトレインの変速機入力シャフトが、関連する摩擦クラッチが締結されている場合、噛み合っている低速ギヤ、例えば、2速ギヤで緊急時動作を可能にするため、緊急時動作時に、少なくとも1つの初期駆動トルクが、そうならなければ場合によっては発生する負荷変動反応なしで提供され得る、
場合によっては、電気モータの作動が副給電路において可能になるとき、緊急時動作時に、例えば、無負荷状態で解除された油圧作動式駐車ロックの噛み合いによって提供され得る、作動状態が提供される。
【0015】
主給電路を介した正常作動について、アクチュエータ装置は、例えば、いわゆるパワーオンデマンドシステムを用いて、すなわち、高精度な回転数調整および位置調整に対する要求に従った電力送達時に作動されることによって、接続されている油圧作動装置内で設定された圧力手段の容量増分を変更することが可能である。そのために、複雑でインテリジェントなモータ調整が使用される。このために、電気モータの整流および調整は、異なるモジュールにおいて実現される。調整は、この場合、アクチュエータ装置を作動させるためのソフトウェアのその他の機能モジュールと一緒に、高性能マイクロコントローラで実行される。ソフトウェアは、監視機能を実施することができ、監視機能は、ソフトウェア側で別のハードウェアモジュール、いわゆるウォッチドッグによって監視される。このマイクロコントローラは、例えば、供給電圧から必要な電圧レベルを導き出し、電気システムの入力フィルタリングおよび通信を確立する、さらに別のモジュールを含むことができる。より単純な課題、例えば、副給電路におけるポンプの純回転数設定に関しては、電圧供給、制御および単純整流を含む、単純化されたモジュールが存在する。
【0016】
副給電路を提供するための、このようなモジュールは、主給電路の対応する機能範囲に対して並列に接続され、マイクロコントローラの故障またはリセット時にはウォッチドッグによってただちに、あるいはこのような制御信号の出力がない場合に起動される。
【0017】
例えば、副給電路のこのモジュールは、電気モータの所定の固定回転数を所定の時間、少なくとも単純なブロック整流で制御できるので、電気モータの既に回転している少なくとも1つの回転子は、回転が維持される。例えば、ポンプによって使用される作動装置内で付属する配線によって、無電流で実現されるか、または維持され得る、より安全な状態は、主給電路が新たに始動されるか、またはアクチュエータ装置を備えたドライブトレイン、またはドライブトレインもしくはドライブトレインの構成部品を備えた自動車がより安全な作動状態を実現するまで継続され得る。2つの制御経路は、この場合、対応する電気配線により、電気モータのB6ブリッジにアクセスすることができる。
【0018】
別の冗長段階では、副給電路は、冗長電源供給によって、専用の入力回路および干渉抑制、ならびに自動車のヒューズ箱における給電の専用のヒューズ保護を利用できる。制御デバイスと電気モータとの間に配置されたコネクタの電圧降下の故障の場合でもヒューズ保護を可能にするために、好ましくは、専用のケーブル接続部および専用のコネクタによって副給電路の給電が設けられ得る。この場合、2つの電源供給が並列にB6ブリッジに作用する。
【0019】
提案されたアクチュエータ装置の適用例として、無段変速機の作動が挙げられる。アクチュエータ装置は、この場合、障害発生時に油圧システム圧が突然低下するのを防止するために、巻き掛け手段およびプーリセットといった変速機コンポーネントの保護に使用される。油圧作動装置のバルブの配線を経由して、バリエータの圧力調整は、調整バルブの内蔵絞り作用を介した体積流量調整の障害時に、その無電流位置になる。回転数が一定に維持されたポンプ駆動モータと連動された絞りにより、2つのプーリセット間の固定圧力比が設定されるので、巻き掛け手段、例えば、チェーンのスリップが防止される。同時に、出口圧力比に応じて、変速が高速化する方向に無段変速機の変速比が最適に調整されることによって、トラクションマシンの過回転ならびに過剰な急加速度が防止される。
【0020】
さらに別の用途では、ドライブトレインは、種々の変速比のための複数のクラッチを使用して、例えば、多段変速機入力シャフトを備えたデュアルクラッチ変速機を使用して、専用ハイブリッド変速機(DHT)を使用して、提案されたアクチュエータ装置を有する有段式自動変速装置などを使用して作動され得るので、障害時には、ドライブトレインの配線を経由して、回転数レベルによって安全な変速比が達成され、これにより、通常は安全な状態を規定する駆動トルクが突然完全に喪失することが回避される。これにより、最寄りのサービス工場までの自動車の少なくとも1回の走行が可能である、あるいは間近の危険状況、例えば、路肩のない高速自動車道路上または踏切上での停止を回避することが可能である。
【0021】
ただ1つの図に示されている実施例を参照しながら、本発明について詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】アクチュエータ装置のためのフェイルセーフの制御の回路図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
この図は、アクチュエータ装置を制御する制御装置1を示す。制御および調整は、正常作動中は主給電路2を経由して行われ、障害発生中は副給電路3を経由して行われる。主給電路2は、電源S1を用いて電気エネルギーを供給する。電源S1の電気エネルギーを用いて、マイクロコントローラ4が作動され、かつB6ドライバ5が給電される。マイクロコントローラ4およびB6ドライバ5は、異なるハードウェアモジュールとして形成されている。三相インバータ6の3つの相u、v、wを用いて電圧が供給される、アクチュエータ装置の電動油圧作動ポンプの電気モータMを整流するためのB6ドライバ5の制御は、マイクロコントローラ4によって検出された回転センサ7、例えば、角度オフセットして配置された複数のホールセンサの回転特性値によって行われる。マイクロコントローラ4は、ポンプの出力要求に基づいて、例えば、上位の変速機制御デバイスによって整流を決定し、かつ要求された出力に設定するためにB6ドライバ5を用いて適切な回転数を制御する。
【0024】
電気モータMの作動に関連する作動データは、監視装置8、例えば、ウォッチドッグによって監視される。監視装置8の機能信号は、副給電路3の制御モジュール9によって検出され、評価される。機能信号によって主給電路2の障害が検知された場合、副給電路3が起動し、制御モジュール9は、三相インバータ6への介入によって、電気モータを電気的に整流するための単純な制御信号を生成する。制御信号に基づいて、電気モータMは、主給電路2が復旧するまで、またはアクチュエータ装置によって作動されるドライブトレインを装備した自動車が、安定した作動状態になるまで、相u、v、wを用いて所定の、一定の回転数に整流される。電源S1から分離され、例えば、個別にヒューズ保護され、かつ/または専用の電源供給を用いて作動されている、電源S2の図示された実施例では、副給電路3が給電される。
【符号の説明】
【0025】
1 制御装置
2 主給電路
3 副給電路
4 マイクロコントローラ
5 B6ドライバ
6 三相インバータ
7 回転センサ
8 監視装置
9 制御モジュール
M 電気モータ
S1 電源
S2 電源
u 相
v 相
w 相
図1
【国際調査報告】