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特表2022-539610グルコピラノシル誘導体及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-12
(54)【発明の名称】グルコピラノシル誘導体及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 309/10 20060101AFI20220905BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220905BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20220905BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20220905BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20220905BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20220905BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220905BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20220905BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20220905BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20220905BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20220905BHJP
   A61P 1/10 20060101ALI20220905BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20220905BHJP
   A61K 31/351 20060101ALI20220905BHJP
   C07D 493/08 20060101ALI20220905BHJP
   A61K 31/35 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
C07D309/10 CSP
A61K45/00
A61P3/10
A61P9/12
A61P3/04
A61P3/06
A61P43/00 111
A61P1/00
A61P9/00
A61P9/04
A61P13/12
A61P1/10
A61P27/02
A61K31/351
C07D493/08 B
A61K31/35
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022500969
(86)(22)【出願日】2020-07-09
(85)【翻訳文提出日】2022-03-02
(86)【国際出願番号】 CN2020101014
(87)【国際公開番号】W WO2021004498
(87)【国際公開日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】201910618876.5
(32)【優先日】2019-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.SPAN
(71)【出願人】
【識別番号】515014990
【氏名又は名称】サンシャイン・レイク・ファーマ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SUNSHINE LAKE PHARMA CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Northern Industrial Area,Songshan Lake,Dongguan,Guangdong 523000,China
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェン・グ
(72)【発明者】
【氏名】ウヨン・ウ
(72)【発明者】
【氏名】パンパン・カン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイフア・ワン
(72)【発明者】
【氏名】ジアンユ・リウ
(72)【発明者】
【氏名】シンシャン・デン
【テーマコード(参考)】
4C071
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C071AA03
4C071BB01
4C071CC12
4C071EE05
4C071FF06
4C071GG02
4C071HH05
4C071JJ01
4C071KK14
4C071LL01
4C084AA19
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BA07
4C086CB40
4C086MA02
4C086MA05
4C086NA14
4C086ZA33
4C086ZA36
4C086ZA42
4C086ZA66
4C086ZA70
4C086ZA81
4C086ZC33
4C086ZC35
4C086ZC41
(57)【要約】
本発明は、ナトリウム依存性グルコース輸送体1(SGLT1)阻害剤としての式(I)のグルコピラノシル誘導体、その薬学的に許容される塩又は立体異性体に関し、更に、誘導体を含有する医薬組成物、糖尿病及び糖尿病関連疾患を処置するための薬物の調製における、化合物又はその医薬組成物の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)を有する化合物又はその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、N-オキシド、溶媒和物、代謝産物、薬学的に許容される塩、二量体、三量体若しくはプロドラッグ
【化1】
(式中、
Yは-(CH2)q-、-O-、-NH-、-S-、-S(=O)-又はS(=O)2-であり;qは0、1、2又は3であり;
LはC1~6アルキレン又はC1~6アルケニレンであり、前記Lは非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRyで置換されており;
R1はH、重水素、F、Cl、Br、I、-OH、-CN、-NO2、-NH2、-SH、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルキル、C1~6ハロアルコキシ、C1~6アルキルアミノ、C1~6アルキルチオ、シアノC1~6アルキル、アミノC1~6アルキル、ヒドロキシC1~6アルキル又はC3~6シクロアルキルであり;
R5及びR6の各々は独立に、H、重水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C3~6シクロアルキル、5~6員ヘテロシクリル、C6~10アリール又は5~6員ヘテロアリールであり;或いはR5、R6は、これらが結合している窒素原子と一緒になって、5~6員複素環式環又は5~6員複素芳香環を形成し;
R4はF、Cl、Br、I、OH、CN、NO2、NH2、-SH、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルキル、C1~6ハロアルコキシ、C1~6アルキルチオ、C1~6アルキルアミノ、ヒドロキシC1~6アルキル、シアノC1~6アルキル、アミノC1~6アルキル、C3~6シクロアルキル、5~6員ヘテロシクリルトリル、C6~10アリール又は5~6員ヘテロアリールであり、前記C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルキル、C1~6ハロアルコキシ、C1~6アルキルチオ、C1~6アルキルアミノ、ヒドロキシC1~6アルキル、シアノC1~6アルキル、アミノC1~6アルキル、C3~6シクロアルキル、5~6員ヘテロシクリルトリル、C6~10アリール又は5~6員ヘテロアリールの各々は独立に、置換されているか、又は1つ、2つ若しくは3つのRxで置換されており;
R2及びR3の各々は独立に、H、重水素、F、Cl、Br、I、OH、CN、NO2、NH2、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルキル、C1~6ハロアルコキシ、C1~6アルキルアミノ、C1~6アルキルチオ、ヒドロキシC1~6アルキル、シアノC1~6アルキル又はアミノC1~6アルキルであり;
或いはR2、R3は、これらが結合している
【化2】
と一緒になって、
【化3】
を形成し、R2基への結合は*によって特定され、R3基への結合は**によって特定され;
R7及びR8の各々は独立に、H、重水素、F、Cl、Br、I、OH、CN、NO2、NH2、-SH、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C1~6アルキルアミノ、C1~6ハロアルキル、C1~6ハロアルコキシ、C3~8シクロアルキル、3~8員ヘテロシクリル、C6~10アリール又は5~8員ヘテロアリールであり、前記C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C1~6アルキルアミノ、C1~6ハロアルキル、C1~6ハロアルコキシ、C3~8シクロアルキル、3~8員ヘテロシクリル、C6~10アリール又は5~8員ヘテロアリールの各々は独立に、非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRwで置換されており;
或いはR7、R8及びこれらが結合している炭素原子は、C3~8炭素環式環又は3~8員複素環式環を形成し、前記C3~8炭素環式環及び3~8員複素環式環の各々は独立に、非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRwで置換されており;
各Rx、Ry及びRwは独立に、重水素、F、Cl、Br、I、CN、NO2、OH、NH2、-SH、=O、-C(=O)OH、-C(=O)NH2、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6アルキルアミノ又はC1~6ハロアルコキシであり;
化合物は、
【化4】
を含まない)。
【請求項2】
式(II)
【化5】
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Lが-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH(CH3)CH2-、-CH2(CH2)2CH2-、-C(CH3)2CH2-、-CH2(CH2)3CH2-、-CH2(CH2)4CH2-、-CH=CH-、-CH=CHCH2-、-CH2CH=CH-、-CH=CHCH2CH2-、-CH2CH=CHCH2-又は-CH2CH2CH=CH-であり、前記Lが非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRyで置換されている、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
R1がH、重水素、F、Cl、Br、I、-OH、-CN、-NO2、-NH2、-SH、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ビニル、エチニル、メトキシ、エトキシ、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、シアノメチル、アミノメチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシルであり;
R5及びR6の各々が独立に、H、重水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ビニル、エチニル、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、5~6員ヘテロシクリル、フェニル又は5~6員ヘテロアリールであり;或いはR5、R6が、これらが結合している窒素原子と一緒になって、5~6員複素環式環又は5~6員複素芳香環を形成する、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
R4がF、Cl、Br、I、OH、CN、NO2、NH2、-SH、C1~4アルキル、C2~4アルケニル、C2~4アルキニル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルチオ、C1~4アルキルアミノ、ヒドロキシC1~4アルキル、シアノC1~4アルキル、アミノC1~4アルキル、C3~6シクロアルキル、5~6員ヘテロシクリル、C6~10アリール又は5~6員ヘテロアリールであり、前記C1~4アルキル、C2~4アルケニル、C2~4アルキニル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルチオ、C1~4アルキルアミノ、ヒドロキシC1~4アルキル、シアノC1~4アルキル、アミノC1~4アルキル、C3~6シクロアルキル、5~6員ヘテロシクリル、C6~10アリール又は5~6員ヘテロアリールの各々が独立に、非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRxで置換されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
R4がF、Cl、Br、I、OH、CN、NO2、NH2、-SH、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ビニル、エチニル、1-プロピニル、プロパルギル、メトキシ、エトキシ、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メチルチオ、エチルチオ、メチルアミノ、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、シアノメチル、アミノメチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、5~6員ヘテロシクリル、フェニル又は5~6員ヘテロアリールであり、前記メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ビニル、エチニル、1-プロピニル、プロパルギル、メトキシ、エトキシ、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メチルチオ、エチルチオ、メチルアミノ、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、シアノメチル、アミノメチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、5~6員ヘテロシクリル、フェニル又は5~6員ヘテロアリールの各々が独立に、非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRxで置換されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
R7及びR8の各々が独立に、H、重水素、F、Cl、Br、I、OH、CN、NO2、NH2、-SH、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4アルキルアミノ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C3~6シクロアルキル、5~6員ヘテロシクリル、C6~10アリール又は5~6員ヘテロアリールであり;前記C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4アルキルアミノ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C3~6シクロアルキル、5~6員ヘテロシクリル、C6~10アリール又は5~6員ヘテロアリールの各々が独立に、非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRwで置換されており;
或いはR7、R8及びこれらが結合している炭素原子がC3~7炭素環式環又は5~6員複素環式環を形成し、前記C3~7炭素環式環及び5~6員複素環式環の各々が独立に、非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRwで置換されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
R7及びR8の各々が独立に、H、重水素、F、Cl、Br、I、OH、CN、NO2、NH2、-SH、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、メトキシ、エトキシ、メチルアミノ、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオラニル、ピペリジニル、モルホリニル、硫黄モルホリニル、ピペラジニル、フェニル、フリル、ピロリル、ピリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、1,3,5-トリアジニル、チアゾリル、チエニル、ピラジニル、ピリダジニル又はピリミジニルであり、前記メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、メトキシ、エトキシ、メチルアミノ、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオラニル、ピペリジニル、モルホリニル、硫黄モルホリニル、ピペラジニル、フェニル、フリル、ピロリル、ピリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、1,3,5-トリアジニル、チアゾリル、チエニル、ピラジニル、ピリダジニル又はピリミジニルの各々が独立に、非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRwで置換されており;
或いはR7、R8及びこれらが結合している炭素原子がシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル又はピペラジニルを形成し、前記シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル又はピペラジニルの各々が独立に、非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRwで置換されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
各Rx、Ry及びRwが独立に、重水素、F、Cl、Br、I、CN、NO2、OH、NH2、-SH、=O、-C(=O)OH、-C(=O)NH2、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、メチルアミノ又はトリフルオロメトキシである、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
以下の構造:
【化6】
の1つを有する請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物又はその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、N-オキシド、溶媒和物、代謝産物、薬学的に許容される塩、二量体、三量体若しくはプロドラッグ。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物を含み、薬学的に許容される担体、賦形剤、アジュバント、ビヒクル又はこれらの組合せを更に含む、医薬組成物。
【請求項12】
1種又は複数の追加の治療薬を更に含み、前記追加の治療薬が抗糖尿病薬、抗高血糖薬、抗肥満薬、抗高血圧薬、食欲抑制薬、脂質低下薬又はこれらの組合せから選択される、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記抗糖尿病薬及び抗高血糖薬の各々が、SGLT2阻害剤、ビグアナイド薬物、スルホニル尿素薬物、グルコシダーゼ阻害剤、PPARアゴニスト、αP2阻害剤、PPARα/γ二重活性化因子、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤、グリニド薬物、インスリン、グルカゴン様ペプチド-1阻害剤、PTP1B阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルコース-6-ホスファターゼ阻害剤又はこれらの組合せから独立に選択され;前記抗肥満薬が、抗中心性肥満薬、MCH受容体アンタゴニスト、ニューロペプチドY受容体アンタゴニスト、カンナビノイド受容体アンタゴニスト、脳腸ペプチドアンタゴニスト、リパーゼ阻害剤、β3アゴニスト、11β-HSD1阻害剤、DGAT-1阻害剤、ペプチド食欲抑制薬、コレシストキニンアゴニスト、摂食阻害剤又はこれらの組合せから選択され;前記脂質低下薬が、MTP阻害剤、HMGCoAレダクターゼ阻害剤、スクアレンシンテターゼ阻害剤、ベータ酪酸脂質低下薬、ACAT阻害剤、リポキシゲナーゼ阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、回腸ナトリウムイオン/胆汁酸共輸送体阻害剤、LDL受容体活性の上方制御剤、ナイアシン脂質低下薬、胆汁酸キレート又はこれらの組合せから選択され;或いは前記脂質低下薬が、プラバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチン又はこれらの組合せから選択される、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
SGLT1を阻害する;又は腸内環境を改善する;又は疾患を予防若しくは処置する、前記疾患の症状を減少させる、又は前記疾患の進行若しくは発症を遅延させるのに使用するための請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物又は請求項11から13のいずれか一項に記載の医薬組成物であって、前記疾患が糖尿病、糖尿病合併症、インスリン抵抗性、高血糖、高インスリン血症、高脂血症、肥満、X症候群、粥状動脈硬化、心血管疾患、うっ血性心不全、低マグネシウム血症、低ナトリウム血症、腎不全、血中濃度に関連する障害、便秘又は高血圧であり;
前記糖尿病合併症が、糖尿病性網膜症、糖尿病性ニューロパチー又は糖尿病性腎症であり;前記高脂血症が高トリグリセリド血症である、化合物又は医薬組成物。
【請求項15】
SGLT1を阻害する;又は腸内環境を改善する;又は疾患を予防若しくは処置する、前記疾患の症状を減少させる、又は前記疾患の進行若しくは発症を遅延させる方法であって、治療上有効量の請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物又は請求項11から13のいずれか一項に記載の医薬組成物を、このような処置を必要とする患者に投与する工程を含み、前記疾患が糖尿病、糖尿病合併症、インスリン抵抗性、高血糖、高インスリン血症、高脂血症、肥満、X症候群、粥状動脈硬化、心血管疾患、うっ血性心不全、低マグネシウム血症、低ナトリウム血症、腎不全、血中濃度に関連する障害、便秘又は高血圧であり;
前記糖尿病合併症が、糖尿病性網膜症、糖尿病性ニューロパチー又は糖尿病性腎症であり;前記高脂血症が高トリグリセリド血症である、方法。
【請求項16】
医薬の製造における請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物又は請求項11から13のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用であって、前記医薬がSGLT1を阻害するため;又は腸内環境を改善するため;又は疾患を予防若しくは処置する、前記疾患の症状を減少させる、又は前記疾患の進行若しくは発症を遅延させるために使用され、前記疾患が糖尿病、糖尿病合併症、インスリン抵抗性、高血糖、高インスリン血症、高脂血症、肥満、X症候群、粥状動脈硬化、心血管疾患、うっ血性心不全、低マグネシウム血症、低ナトリウム血症、腎不全、血中濃度に関連する障害、便秘又は高血圧であり;
前記糖尿病合併症が、糖尿病性網膜症、糖尿病性ニューロパチー又は糖尿病性腎症であり;前記高脂血症が高トリグリセリド血症である、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、全体が参照により本明細書に組み込まれる、2019年7月10日に出願された中国特許出願シリアル番号201910618876.5号に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明は、医薬品の分野に属し、特に、ナトリウム依存性グルコース輸送体(SGLT)阻害剤としてのグルコピラノシル誘導体、それらを調製する方法、誘導体を含有する医薬組成物、並びに医薬品における誘導体及びその組成物の適用に関する。より具体的には、本発明は、糖尿病及び糖尿病関連疾患を処置するための医薬品の製造における、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは立体異性体、又は化合物を含有する医薬組成物の使用である。
【背景技術】
【0003】
糖尿病は、高血糖を特徴とする、一般的な慢性疾患である。糖尿病の発症は、末梢組織におけるインスリン抵抗性、インビボにおけるインスリンの低下、及び肝臓における糖新生の増加と関連する。食事及び運動を通して疾患を有効に制御することができない場合、処置のためのインスリン又は経口血糖降下薬が必要とされる。現在、血糖降下薬は、ビグアナイド、スルホニル尿素、インスリン感受性改善薬、グリニド、α-グルコシダーゼ阻害剤及びDPP-IV(ジペプチジルペプチダーゼIV)阻害剤等を含む。しかしながら、これらの現在の血糖降下薬は欠陥を有する。ビグアナイドは乳酸アシドーシスを引き起こし得る。スルホニル尿素は重度の低血糖をもたらし得る。グリニドの不適当な使用も低血糖を引き起こし得る。インスリン感受性改善薬は浮腫、心不全及び体重増加につながり得る。α-グルコシダーゼ阻害剤は腹部膨満及び下痢を引き起こし得る。DPP-IV阻害剤は、低血糖の所望の効果を達成するためにメトホルミンと組み合わせる必要がある。したがって、より安全で、より有効で、新規な血糖降下薬を開発する緊急の必要性がある。
【0004】
グルコース輸送体タンパク質が、グルコースを輸送するために細胞膜に埋め込まれた担体タンパク質のクラスであることが研究によって分かった。グルコースは、細胞膜の脂質二重層構造を通過するためにグルコース輸送体タンパク質によらなければならない。グルコース輸送体タンパク質は2つのカテゴリーに分けられる。第1のカテゴリーはナトリウム依存性グルコース輸送体(SGLT)であり、他方のカテゴリーはグルコース輸送体(GLUT)である。SGLTの2つの主なファミリーメンバーはSGLT1及びSGLT2である。SGLT1は、小腸、腎臓、心臓及び気管に主に分布しており、腸刷子縁及び腎近位尿細管の遠位S3セグメントで優勢に発現され、少数は心臓及び気管で発現され、2:1のナトリウムのグルコースに対する比でグルコース及びガラクトースを輸送する。一方、SGLT2は腎臓に主に分布しており、腎近位尿細管のS1セグメントで優勢に発現され、1:1のナトリウムのグルコースに対する比でグルコースを輸送する。生体内では、グルコースが、同時のエネルギー消費を伴って、濃度勾配に対する能動輸送を通してSGLTによって輸送される。一方、グルコースは、輸送プロセスにおいてエネルギー消費を伴わないで、濃度勾配に沿って促進拡散を通してGLUTによって輸送される。研究は、正常には、血漿グルコースが腎臓糸球体で濾過され、尿細管の近位S1セグメントでグルコースの90%がSGLT2によって上皮細胞に能動輸送され、尿細管の遠位S3セグメントでグルコースの10%がSGLT1によって上皮細胞に能動輸送され、次いで、上皮基底膜のGLUTによって末梢毛細血管網に輸送され、尿細管によるグルコースの再吸収を達成することを示している。それ故、SGLTは、細胞におけるグルコース代謝の調節における第1段階であり、糖尿病を有効に処置するための理想的な標的である。SGLTの阻害は、低血糖のリスクを引き起こし得るグルコースの正常な反調節機序に影響を及ぼさないだろう。一方、腎グルコース排出の増加を通した血中グルコースの低下は、肥満患者において体重減少を促進し得る。SGLT阻害剤の作用機序が、膵臓β細胞機能障害又はインスリン抵抗性の程度に依存しないことも研究によって分かった。したがって、SGLT阻害剤の有効性は、重度のインスリン抵抗性によってもβ細胞不全によっても減
少しない。これを単独で又は他の血糖降下薬と組み合わせて使用して、補完機序を通して血糖降下効果をより良く発揮することができる。したがって、SGLT阻害剤は、理想的な新規の血糖降下薬である。
【0005】
更に、SGLT阻害剤を、糖尿病関連合併症を処置するために使用することができることも研究によって分かった。例えば、網膜症、ニューロパチー、腎疾患、グルコース代謝障害によって引き起こされるインスリン抵抗性、高インスリン血症、高脂血症、肥満等である。一方、SGLT阻害剤を、スルホンアミド、チアゾリジンジオン、メトホルミン及びインスリン等の現在の治療薬と組み合わせて使用することもでき、これにより医薬品の有効性に影響を及ぼすことなく用量を低下させ、それによって、副作用を回避又は減少させ、患者のコンプライアンスを向上することができる。
【0006】
現在、研究は、選択的SGLT2阻害剤の発見に焦点を当てている。ダパグリフロジン、カナグリフロジン及びエンパグリフロジン等の、臨床試験におけるSGLT阻害剤のほとんどが、選択的SGLT2阻害剤である。しかしながら、近年の臨床試験の結果は、SGLT1阻害剤が、グルコース再吸収を阻害することによってより大きな利益を示し得ることを示している(米国特許出願公開第20110218159号)。先天的SGLT1異常を有する患者ではグルコース及びガラクトースの吸収が不十分であることが報告されており、このことがSGLT1活性を阻害することによって炭水化物の吸収を低下させるための事実的基礎を提供している。更に、OLETFラット及びストレプトゾシン(streptozoon)誘導糖尿病の症状を有するラットでは、SGLT1のmRNA及びタンパク質が増加し、グルコースの吸収が加速した。よって、SGLT1活性の遮断は、小腸におけるグルコース等の炭水化物の吸収を阻害し、その後、血糖値の上昇を妨げることができる。特に、上記機序に基づいてグルコースの吸収を遅延させることによって、食後高血糖を有効に正常化することができる。更に、SGLT1阻害剤はまた、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)のレベルを増加させることもできる(Moriya,R.ら、Am JPhysiol Endorinol Metab、297:E1358~E1365(2009))。
【0007】
要約すると、SGLT阻害剤、特にSGLT1に対する優れた阻害活性を有する化合物が、糖尿病のための新規な治療薬としての優れた開発見込みを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第20110218159号
【特許文献2】国際公開第06035967号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Moriya,R.ら、Am JPhysiol Endorinol Metab、297:E1358~E1365(2009)
【非特許文献2】Handbook of Chemistry and Physics、第75版 1994
【非特許文献3】「Organic Chemistry」、Thomas Sorrell、University Science Books、Sausalito:1999
【非特許文献4】「March's Advanced Organic Chemistry」、Michael B. Smith及びJerry March、John Wiley&Sons、ニューヨーク:2007
【非特許文献5】Remington's Pharmaceutical Sciences、第18版 Mack Printing Company、1990、1289~1329頁
【非特許文献6】Higuchiら、Pro-drugs as Novel delivery Systems、第14巻、A.C.S.Symposium Series
【非特許文献7】Rocheら、Bioreversible Carriers in Drug Design、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press、1987
【非特許文献8】Rautioら、Prodrugs:Design and Clinical Applications、Nature Reviews Drug Discovery、2008、7、255~270頁
【非特許文献9】Heckerら、Prodrugs of Phosphates and Phosphonates、J.Med.Chem.、2008、51、2328~2345頁
【非特許文献10】Bergeら、J.Pharmacol Sci、1977、66:1~19頁
【非特許文献11】Advanced Organic Chemistiy、Jerry March、第4版、Wiley Interscience、頁
【非特許文献12】L.W.Deady、Syn.Comm.1977、7、509~514頁
【非特許文献13】Jacquesら、Enantiomers, Racemates and Resolutions(Wiley Interscience、ニューヨーク、1981)
【非特許文献14】Principles of Asymmetric Synthesis(第2版 Robert E.Gawley、Jeffrey Aube、Elsevier、Oxford、英国、2012)
【非特許文献15】Eliel,E.L. StereoChemistry of Carbon Compounds(McGraw-Hill、NY、1962)
【非特許文献16】Wilen,S.H. Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions 268頁(E.L.Eliel編、Univ. of Notre Dame Press、Notre Dame、IN 1972)
【非特許文献17】S.P.Parker編、McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms(1984)McGraw-Hill Book Company、ニューヨーク
【非特許文献18】Eliel,E.及びWilen,S.、「StereoChemistry of Organic Compounds」、John Wiley&Sons,Inc.、ニューヨーク、1994
【非特許文献19】Johannssonら、J.Clin.Endocrinol.Metab.、1997;82、727~734頁
【非特許文献20】「Remington's Pharmaceutical Sciences」、第20版、Mack Publishing Company、Easton、Pa.、(1985)
【非特許文献21】「Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use」 Stahl及びWermuth(Wiley-VCH、Weinheim、ドイツ、2002)
【非特許文献22】Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第21版、2005、編者D.B.Troy、Lippincott Williams&Wilkins、フィラデルフィア
【非特許文献23】Encyclopedia of Pharmaceutical Technology、編者J.Swarbrick及びJ.C.Boylan、1988~1999、Marcel Dekker、ニューヨーク
【非特許文献24】Zhang,S.ら、Drug Discovery Today、12(9/10)、373~381頁、2007
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、腸内環境を改善する、又は糖尿病、インスリン抵抗性、高血糖、高インスリン血症、高脂血症、肥満、X症候群、粥状動脈硬化、心血管疾患、うっ血性心不全、低マグネシウム血症、低ナトリウム血症、腎不全、血中濃度に関連する障害、便秘若しくは高血圧、及びそれらの合併症を予防若しくは処置するための、SGLT1に対する明らかな阻害活性を有する化合物を提供する。本発明はまた、化合物を調製する方法、化合物を含む医薬組成物、並びに哺乳動物、特にヒトにおいて上記疾患を処置するための薬物を調製するために化合物及び組成物を使用する方法を提供する。既存の類似の化合物と比較して、本発明の化合物は、より良い薬理学的活性を有するだけでなく、より優れたインビボでの代謝反応速度特性及びインビボでの薬力学的特性も有する。具体的には、本発明の化合物は、SGLT1に対する優れた阻害活性及び優れた血糖降下効果を有する。したがって、本発明によって提供される化合物は、既存の類似の化合物よりも優れたドラッガビリティ(druggability)を有する。
【0011】
一態様では、本発明は、式(I)を有する化合物又はその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、N-オキシド、溶媒和物、代謝産物、薬学的に許容される塩、二量体、三量体若しくはプロドラッグ
【0012】
【化1】
【0013】
(式中、
Yは-(CH2)q-、-O-、-NH-、-S-、-S(=O)-又はS(=O)2-であり;qは0、1、2又は3であり;
LはC1~6アルキレン又はC1~6アルケニレンであり、Lは非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRyで置換されており;
R1はH、重水素、F、Cl、Br、I、-OH、-CN、-NO2、-NH2、-SH、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルキル、C1~6ハロアルコキシ、C1~6アルキルアミノ、C1~6アルキルチオ、シアノC1~6アルキル、アミノC1~6アルキル、ヒドロキシC1~6アルキル又はC3~6シクロアルキルであり;
R5及びR6の各々は独立に、H、重水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C3~6シクロアルキル、5~6員ヘテロシクリル、C6~10アリール又は5~6員ヘテロアリールであり;或いはR5、R6は、これらが結合している窒素原子と一緒になって、5~6員複素環式環又は5~6員複素芳香環を形成し;
R4はF、Cl、Br、I、OH、CN、NO2、NH2、-SH、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルキル、C1~6ハロアルコキシ、C1~6アルキルチオ、C1~6アルキルアミノ、ヒドロキシC1~6アルキル、シアノC1~6アルキル、アミノC1~6アルキル、C3~6シクロアルキル、5~6員ヘテロシクリル、C6~10アリール又は5~6員ヘテロアリールであり、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルキル、C1~6ハロアルコキシ、C1~6アルキルチオ、C1~6アルキルアミノ、ヒドロキシC1~6アルキル、シアノC1~6アルキル、アミノC1~6アルキル、C3~6シクロアルキル、5~6員ヘテロシクリル、C6~10アリール又は5~6員ヘテロアリールの各々は独立に、置換されているか、又は1つ、2つ若しくは3つのRxで置換されており;
R2及びR3の各々は独立に、H、重水素、F、Cl、Br、I、OH、CN、NO2、NH2、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルキル、C1~6ハロアルコキシ、C1~6アルキルアミノ、C1~6アルキルチオ、ヒドロキシC1~6アルキル、シアノC1~6アルキル又はアミノC1~6アルキルであり;
或いはR2、R3は、これらが結合している
【0014】
【化2】
【0015】
と一緒になって、
【0016】
【化3】
【0017】
を形成し、R2基への結合は*によって特定され、R3基への結合は**によって特定され;
R7及びR8の各々は独立に、H、重水素、F、Cl、Br、I、OH、CN、NO2、NH2、-SH、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C1~6アルキルアミノ、C1~6ハロアルキル、C1~6ハロアルコキシ、C3~8シクロアルキル、3~8員ヘテロシクリル、C6~10アリール又は5~8員ヘテロアリールであり、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C1~6アルキルアミノ、C1~6ハロアルキル、C1~6ハロアルコキシ、C3~8シクロアルキル、3~8員ヘテロシクリル、C6~10アリール又は5~8員ヘテロアリールの各々は独立に、非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRwで置換されており;
或いはR7、R8及びこれらが結合している炭素原子は、C3~8炭素環式環又は3~8員複素環式環を形成し、C3~8炭素環式環及び3~8員複素環式環の各々は独立に、非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRwで置換されており;
各Rx、Ry及びRwは独立に、重水素、F、Cl、Br、I、CN、NO2、OH、NH2、-SH、=O、-C(=O)OH、-C(=O)NH2、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6アルキルアミノ又はC1~6ハロアルコキシであり;
化合物は、
【0018】
【化4】
【0019】
を含まない)
に関する。
【0020】
他の実施形態では、本発明は、式(II)を有する化合物又はその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、N-オキシド、溶媒和物、代謝産物、薬学的に許容される塩、二量体、三量体若しくはプロドラッグ
【0021】
【化5】
【0022】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、L及びYは本明細書に定義される通りである)
に関する。
【0023】
他の実施形態では、Lが-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH(CH3)CH2-、-CH2(CH2)2CH2-、-C(CH3)2CH2-、-CH2(CH2)3CH2-、-CH2(CH2)4CH2-、-CH=CH-、-CH=CHCH2-、-CH2CH=CH-、-CH=CHCH2CH2-、-CH2CH=CHCH2-又は-CH2CH2CH=CH-であり、Lが非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRyで置換されている。
【0024】
他の実施形態では、R1がH、重水素、F、Cl、Br、I、-OH、-CN、-NO2、-NH2、-SH、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ビニル、エチニル、メトキシ、エトキシ、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、シアノメチル、アミノメチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシルである。
【0025】
他の実施形態では、R5及びR6の各々が独立に、H、重水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ビニル、エチニル、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、5~6員ヘテロシクリル、フェニル又は5~6員ヘテロアリールであり;或いはR5、R6が、これらが結合している窒素原子と一緒になって、5~6員複素環式環又は5~6員複素芳香環を形成する。
【0026】
他の実施形態では、R4がF、Cl、Br、I、OH、CN、NO2、NH2、-SH、C1~4アルキル、C2~4アルケニル、C2~4アルキニル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルチオ、C1~4アルキルアミノ、ヒドロキシC1~4アルキル、シアノC1~4アルキル、アミノC1~4アルキル、C3~6シクロアルキル、5~6員ヘテロシクリル、C6~10アリール又は5~6員ヘテロアリールであり、C1~4アルキル、C2~4アルケニル、C2~4アルキニル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルチオ、C1~4アルキルアミノ、ヒドロキシC1~4アルキル、シアノC1~4アルキル、アミノC1~4アルキル、C3~6シクロアルキル、5~6員ヘテロシクリル、C6~10アリール又は5~6員ヘテロアリールの各々が独立に、非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRxで置換されている。
【0027】
更に他の実施形態では、R4がF、Cl、Br、I、OH、CN、NO2、NH2、-SH、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ビニル、エチニル、1-プロピニル、プロパルギル、メトキシ、エトキシ、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メチルチオ、エチルチオ、メチルアミノ、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、シアノメチル、アミノメチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、5~6員ヘテロシクリル、フェニル又は5~6員ヘテロアリールであり、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ビニル、エチニル、1-プロピニル、プロパルギル、メトキシ、エトキシ、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メチルチオ、エチルチオ、メチルアミノ、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、シアノメチル、アミノメチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、5~6員ヘテロシクリル、フェニル又は5~6員ヘテロアリールの各々が独立に、非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRxで置換されている。
【0028】
他の実施形態では、R7及びR8の各々が独立に、H、重水素、F、Cl、Br、I、OH、CN、NO2、NH2、-SH、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4アルキルアミノ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C3~6シクロアルキル、5~6員ヘテロシクリル、C6~10アリール又は5~6員ヘテロアリールであり、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4アルキルアミノ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C3~6シクロアルキル、5~6員ヘテロシクリル、C6~10アリール又は5~6員ヘテロアリールの各々が独立に、非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRwで置換されており;
或いはR7、R8及びこれらが結合している炭素原子がC3~7炭素環式環又は5~6員複素環式環を形成し、C3~7炭素環式環及び5~6員複素環式環の各々が独立に、非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRwで置換されている。
【0029】
更に他の実施形態では、R7及びR8の各々が独立に、H、重水素、F、Cl、Br、I、OH、CN、NO2、NH2、-SH、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、メトキシ、エトキシ、メチルアミノ、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオラニル、ピペリジニル、モルホリニル、硫黄モルホリニル(sulfurmorpholinyl)、ピペラジニル、フェニル、フリル、ピロリル、ピリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、1,3,5-トリアジニル、チアゾリル、チエニル、ピラジニル、ピリダジニル又はピリミジニルであり、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、メトキシ、エトキシ、メチルアミノ、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオラニル、ピペリジニル、モルホリニル、硫黄モルホリニル、ピペラジニル、フェニル、フリル、ピロリル、ピリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、1,3,5-トリアジニル、チアゾリル、チエニル、ピラジニル、ピリダジニル又はピリミジニルの各々が独立に、非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRwで置換されており;
或いはR7、R8及びこれらが結合している炭素原子がシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル又はピペラジニルを形成し、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル又はピペラジニルの各々が独立に、非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRwで置換されている。
【0030】
他の実施形態では、各Rx、Ry及びRwが独立に、重水素、F、Cl、Br、I、CN、NO2、OH、NH2、-SH、=O、-C(=O)OH、-C(=O)NH2、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、メチルアミノ又はトリフルオロメトキシである。
【0031】
更なる態様では、本明細書に開示される化合物を含む医薬組成物が本明細書で提供される。
【0032】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物が、薬学的に許容される担体、賦形剤、アジュバント、ビヒクル又はこれらの組合せを更に含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物が1種又は複数の追加の治療薬を更に含み、追加の治療薬が抗糖尿病薬、抗高血糖薬、抗肥満薬、抗高血圧薬、食欲抑制薬、脂質低下薬又はこれらの組合せから選択される。
【0034】
他の実施形態では、本明細書に開示される抗糖尿病薬及び抗高血糖薬が、SGLT2阻害剤、ビグアナイド、スルホニル尿素、グルコシダーゼ阻害剤、PPARアゴニスト(ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体アゴニスト)、αP2阻害剤(脂肪細胞脂肪酸結合タンパク質阻害剤)、PPARα/γ二重活性化因子(ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体α/γ二重活性化因子)、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤、グリニド、インスリン、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)阻害剤、PTP1B阻害剤(タンパク質チロシンホスファターゼ1B阻害剤)、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルコース-6-ホスファターゼ阻害剤又はこれらの組合せから独立に選択される。
【0035】
他の実施形態では、本明細書に開示される抗肥満薬が、抗中心性肥満薬、MCH(メラニン凝集ホルモン)受容体アンタゴニスト、ニューロペプチドY受容体アンタゴニスト、及びカンナビノイド受容体アンタゴニスト、脳腸ペプチドアンタゴニスト、リパーゼ阻害剤、β3アゴニスト、11β-HSD1(11βヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1)阻害剤、DGAT-1(ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ1)阻害剤、ペプチド食欲抑制薬、コレシストキニンアゴニスト、摂食阻害剤又はこれらの組合せから選択される。
【0036】
他の実施形態では、本明細書に開示される脂質低下薬が、MTP阻害剤(ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質阻害剤)、HMGCoAレダクターゼ阻害剤(ヒドロキシメチルグルタリル補酵素Aレダクターゼ阻害剤)、スクアレンシンターゼ阻害剤、ベータ酪酸の脂質低下薬(フィブラート脂質低下薬としても知られる)、ACAT阻害剤(アセチルコレステリルアセチルトランスフェラーゼ阻害剤)、リポキシゲナーゼ阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、回腸Na(+)/胆汁酸共輸送体阻害剤、LDL受容体活性の上方制御剤、ナイアシンの脂質低下薬、胆汁酸キレート又はこれらの組合せから選択される。
【0037】
更に他の実施形態では、本明細書に開示される脂質低下薬が、プラバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、アタバスタチン(atavastatin)、ロスバスタチン又はこれらの組合せから選択される。
【0038】
一態様では、本発明は、SGLT1を阻害するのに使用するための本明細書に開示される化合物又は医薬組成物に関する。
【0039】
更なる態様では、本発明は、腸内環境を改善するのに使用するための本明細書に開示される化合物又は医薬組成物に関する。
【0040】
更なる態様では、本発明は、疾患を予防若しくは処置する、疾患の症状を減少させる、又は疾患の進行若しくは発症を遅延させるのに使用するための本明細書に開示される化合物又は医薬組成物であって、疾患が糖尿病、糖尿病合併症、インスリン抵抗性、高血糖、高インスリン血症、高脂血症、肥満、X症候群、粥状動脈硬化、心血管疾患、うっ血性心不全、低マグネシウム血症、低ナトリウム血症、腎不全、血中濃度に関連する障害、便秘又は高血圧である、化合物又は医薬組成物に関する。
【0041】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される糖尿病合併症が、糖尿病性網膜症、糖尿病性ニューロパチー又は糖尿病性腎症である。
【0042】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される高脂血症が高トリグリセリド血症である。
【0043】
他の態様では、本発明は、SGLT1を阻害する方法であって、治療上有効量の本明細書に開示される化合物又は医薬組成物を、このような処置を必要とする患者に投与する工程を含む方法に関する。
【0044】
他の態様では、本発明は、腸内環境を改善する方法であって、治療上有効量の本明細書に開示される化合物又は医薬組成物を、このような処置を必要とする患者に投与する工程を含む方法に関する。
【0045】
他の態様では、本発明は、疾患を予防若しくは処置する、疾患の症状を減少させる、又は疾患の進行若しくは発症を遅延させる方法であって、治療上有効量の本明細書に開示される化合物又は医薬組成物を、このような処置を必要とする患者に投与する工程を含み、疾患が糖尿病、糖尿病合併症、インスリン抵抗性、高血糖、高インスリン血症、高脂血症、肥満、X症候群、粥状動脈硬化、心血管疾患、うっ血性心不全、低マグネシウム血症、低ナトリウム血症、腎不全、血中濃度に関連する障害、便秘又は高血圧である、方法に関する。
【0046】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される糖尿病合併症が、糖尿病性網膜症、糖尿病性ニューロパチー又は糖尿病性腎症である。
【0047】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される高脂血症が高トリグリセリド血症である。
【0048】
他の態様では、本発明は、医薬の調製における本明細書に開示される化合物又は医薬組成物の使用であって、医薬がSGLT1を阻害するために使用される、使用に関する。
【0049】
更なる態様では、本発明は、医薬の調製における本明細書に開示される化合物又は医薬組成物の使用であって、医薬が腸内環境を改善するために使用される、使用に関する。
【0050】
更なる態様では、本発明は、薬物の調製における本明細書に開示される化合物又は医薬組成物の使用であって、薬物が疾患を予防若しくは処置する、疾患の症状を減少させる、又は疾患の進行若しくは発症を遅延させるために使用され、疾患が糖尿病、糖尿病合併症、インスリン抵抗性、高血糖、高インスリン血症、高脂血症、肥満、X症候群、粥状動脈硬化、心血管疾患、うっ血性心不全、低マグネシウム血症、低ナトリウム血症、腎不全、血中濃度に関連する障害、便秘又は高血圧である、使用に関する。
【0051】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される糖尿病合併症が、糖尿病性網膜症、糖尿病性ニューロパチー又は糖尿病性腎症である。
【0052】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される高脂血症が高トリグリセリド血症である。
【0053】
前記は本明細書に開示される一定の態様を単に要約するものであり、限定的な性質であることを意図するものではない。これらの態様及び他の態様を以下でより十分に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本発明は、グルコピラノシル誘導体、その調製方法及びその適用を提供する。当業者であれば、この記事から学習し、プロセスパラメータを適切に修正することができる。特に注目すべきは、全ての類似の置換及び修正が当業者に自明であり、本発明に含まれるとみなされることである。
【0055】
一般用語の定義
ここで、その例が付随する構造及び式で例示される、本発明の一定の実施形態に詳細に言及する。本発明は、本発明の範囲内に含まれ得る全ての代替、修正、及び等価物を網羅することを意図している。当業者であれば、本発明の実施に使用され得る、本明細書に記載される方法及び材料と類似の又は等価な多くの方法及び材料を認識するだろう。本発明は、本明細書に記載される方法及び材料に決して限定されない。それだけに限らないが、定義される用語、用語の使用、記載される技術等を含む、組み込まれる文献、特許及び類似の資料の1つ又は複数が本出願と異なる、又は矛盾する場合、本出願が優先する。
【0056】
明確にするために、別個の実施形態の文脈で記載される、本発明の一定の特徴を、単一の実施形態で組み合わせて提供することもできることが更に理解される。逆に、簡潔のために、単一の実施形態の文脈で記載される、本発明の様々な特徴を、別々に、又は任意の適切な部分的組合せで提供することもできる。
【0057】
特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で言及される全ての特許及び刊行物は、全体が参照により組み込まれる。本明細書で使用される場合、特に指示しない限り、以下の定義を適用するものとする。本発明の目的のために、化学元素は、元素周期表、CASバージョン、及びHandbook of Chemistry and Physics、第75版 1994に従って特定される。更に、有機化学の一般原則は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、「Organic Chemistry」、Thomas Sorrell、University Science Books、Sausalito:1999及び「March's Advanced Organic Chemistry」、Michael B. Smith及びJerry March、John Wiley&Sons、ニューヨーク:2007を参照することができる。
【0058】
本明細書で使用される「a」、「an」及び「the」という文法上の冠詞は、本明細書で特に指示しない限り、また文脈と明確に矛盾しない限り、「少なくとも1つの」又は「1つ又は複数の」を含むことを意図する。よって、本明細書で使用される冠詞は、1つ又は2つ以上の(すなわち、少なくとも1つの)文法上の目的語の冠詞を指す。例として、「成分(a component)」は1つ又は複数の成分を意味し、よって、おそらく、2つ以上の成分が企図され、記載される実施形態の実施に採用又は使用され得る。
【0059】
特に明言しない限り、本発明の明細書及び特許請求の範囲で使用される用語は以下の定義を有する。
【0060】
「含む」という用語は、オープンな表現であり、本明細書に開示される内容物を含むことを意味するが、他の内容物を除外しない。
【0061】
本明細書に記載されるように、本明細書に開示される化合物は、場合により例えば上に一般的に例示される、又は本発明の特定のクラス、サブクラス及び種によって例示される、1つ又は複数の置換基で置換されていてもよい。「場合により置換された」、「非置換であるか、又は置換基によって置き換えられた」及び「置換された又は非置換の」という用語は互換的に使用することができることを理解すべきである。「場合により」又は「任意の」という用語は、その後に記載されるイベント又は状態が起こり得るが、必ずしも起こらなくてもよいことを指し、この記載は、イベント又は状態が起こる状況、及びイベント又は状態が起こらない状況を含む。一般に、「場合により」という用語は、「置換された」という用語が先行していようがいまいが、所与の構造中の1個又は複数の水素原子が非置換であるか、又は具体的な置換基で置換されていることを意味する。特に指示しない限り、場合により置換された基は、基の各置換可能な位置に置換基を有し得る。所与の構造中の2つ以上の位置が指定される基から選択される2つ以上の置換基で置換され得る場合、置換基は各位置で同じであっても異なっていてもよい。置換基は、それだけに限らないが、D、F、Cl、Br、I、CN、NO2、OH、NH2、オキソ(=O)、-C(=O)OH、-C(=O)NH2、-SH、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、アルキルチオ、ハロアルコキシ、ヒドロキシアルキル、シアノアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリール等であり得る。
【0062】
更に、説明する必要があることは、特に明言しない限り、「各~は独立に」、「~及び~の各々は独立に」及び「~は独立している」という句が互換的であり、広く理解されるということである。同じ記号によって表される具体的な選択肢は異なる群で互いに独立であり;又は同じ記号によって表される具体的な選択肢は同じ群で互いに独立である。
【0063】
本明細書中の様々な場所で、本明細書に開示される化合物の置換基が群又は範囲で開示される。本発明が、このような群及び範囲のメンバーの各及び全ての個々の部分的組合せを含むことが具体的に意図される。例えば、「C1~6アルキル」という用語は、具体的には、独立に開示されるC1アルキル(メチル)、C2アルキル(エチル)、C3アルキル、C4アルキル、C5アルキル及びC6アルキルを指し;「C3~8-シクロアルキル」は、独立に開示されるC3シクロアルキル(シクロプロピル)、C4シクロアルキル(シクロブチル)、C5シクロアルキル(シクロペンチル)、C6シクロアルキル(シクロヘキシル)、C7シクロアルキル(シクロヘプチル)及びC8シクロアルキル(シクロオクチル)を指す。
【0064】
本明細書中の様々な場所で、連結置換基が記載される。構造が連結基を明確に要する場合、その群について列挙されるマーカッシュ可変要素が連結基であると理解される。例えば、構造が連結基を要し、その可変要素についてのマーカッシュ群の定義が「アルキル」又は「アリール」を列挙する場合、「アルキル」又は「アリール」がそれぞれ連結アルキレン基又はアリーレン基を表すと理解される。
【0065】
本明細書で使用される場合、「アルキル」又は「アルキル基」という用語は、1~20個の炭素原子の飽和直鎖又は分岐鎖一価炭化水素基を指す。特に指定しない限り、アルキル基は1~20個の炭素原子を含有し;いくつかの実施形態では、アルキル基が1~12個の炭素原子を含有し;いくつかの実施形態では、アルキル基が1~10個の炭素原子を含有し;他の実施形態では、アルキル基が1~9個の炭素原子を含有し;他の実施形態では、アルキル基が1~8個の炭素原子を含有し;他の実施形態では、アルキル基が1~6個の炭素原子を含有する、すなわちC1~6アルキルであり;他の実施形態では、アルキル基が1~4個の炭素原子を含有する、すなわちC1~4アルキルであり、他の実施形態では、アルキル基が1~3個の炭素原子を含有する、すなわちC1~3アルキルであり;他の実施形態では、アルキル基が1~2個の炭素原子を含有する、すなわちC1~2アルキルである。
【0066】
アルキル基のいくつかの非限定的な例としては、メチル(Me、-CH3)、エチル(Et、-CH2CH3)、n-プロピル(n-Pr、-CH2CH2CH3)、イソプロピル(i-Pr、-CH(CH3)2)、n-ブチル(n-Bu、-CH2CH2CH2CH3)、イソブチル(i-Bu、-CH2CH(CH3)2)、sec-ブチル(s-Bu、-CH(CH3)CH2CH3)、tert-ブチル(t-Bu、-C(CH3)3)、n-ペンチル(-CH2CH2CH2CH2CH3)、2-ペンチル(-CH(CH3)CH2CH2CH3)、3-ペンチル(-CH(CH2CH3)2)、2-メチル-2-ブチル(-C(CH3)2CH2CH3)、3-メチル-2-ブチル(-CH(CH3)CH(CH3)2)、3-メチル-l-ブチル(-CH2CH2CH(CH3)2)、2-メチル-l-ブチル(-CH2CH(CH3)CH2CH3)、n-ヘキシル(-CH2CH2CH2CH2CH2CH3)、2-ヘキシル(-CH(CH3)CH2CH2CH2CH3)、3-ヘキシル(-CH(CH2CH3)(CH2CH2CH3))、2-メチル-2-ペンチル(-C(CH3)2CH2CH2CH3)、3-メチル-2-ペンチル(-CH(CH3)CH(CH3)CH2CH3)、4-メチル-2-ペンチル(-CH(CH3)CH2CH(CH3)2)、3-メチル-3-ペンチル(-C(CH3)(CH2CH3)2)、2-メチル-3-ペンチル(-CH(CH2CH3)CH(CH3)2)、2,3-ジメチル-2-ブチル(-C(CH3)2CH(CH3)2)、3,3-ジメチル-2-ブチル(-CH(CH3)C(CH3)3、n-ヘプチル、n-オクチル等が挙げられる。アルキル基は、1つ又は複数の本明細書に開示される置換基で場合により置換されていてもよい。
【0067】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語と「alk-」という接頭辞の両方が、直鎖飽和炭素鎖と分岐飽和炭素鎖の両方を含む。
【0068】
「アルキレン」という用語は、2個の水素原子の除去によって飽和直鎖又は分岐鎖炭化水素基から誘導される飽和二価炭化水素基を指す。特に指定しない限り、アルキレン基は1~12個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態では、アルキレン基が1~8個の炭素原子を含有し;他の実施形態では、アルキレン基が1~6個の炭素原子を含有する、すなわちC1~6アルキレンであり;更に他の実施形態では、アルキレン基が1~4個の炭素原子を含有する、すなわちC1~4アルキレンであり;更に他の実施形態では、アルキレン基が1~3個の炭素原子を含有する、すなわちC1~3アルキレンであり;更に他の実施形態では、アルキレン基が1~2個の炭素原子を含有する、すなわちC1~2アルキレンである。このような例としては、それだけに限らないが、メチレン(-CH2-)、エチリデン(-CH2CH2-又は-CH(CH3)-を含む)、イソプロピリデン(-CH(CH3)CH2-又は-C(CH3)2-を含む)、n-プロピリデン(-CH2CH2CH2-、-CH(CH2CH3)-又は-CH2CH(CH3)-を含む)、n-ブチリデン(-CH2(CH2)2CH2-、-CH(CH2CH2CH3)-、-CH2CH(CH2CH3)-、-CH2CH2CH(CH3)-又は-CH(CH3)CH(CH3)-を含む)、tert-ブチリデン(-CH(CH(CH3)2)-、-CH2CH(CH3)CH2-又は-CH2C(CH3)2-を含む)、ペンチリデン(例えば、-CH2(CH2)3CH2-)、ヘキシリデン(例えば、-CH2(CH2)4CH2-)等が挙げられる。アルキレンは、1つ又は複数の本明細書に開示される置換基で場合により置換されていてもよい。
【0069】
「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの不飽和部位、すなわち炭素-炭素sp2二重結合を有する、2~12個の炭素原子の直鎖又は分岐鎖一価炭化水素基を指し、アルケニル基は、1つ又は複数の本明細書に記載される置換基で場合により独立に置換されていてもよく、「シス」及び「トランス」配向、又は代わりに、「E」及び「Z」配向を有する基を含む。いくつかの実施形態では、アルケニル基が2~8個の炭素原子を含有する、すなわちC2~8アルケニルであり;他の実施形態では、アルケニル基が2~6個の炭素原子を含有する、すなわちC2~6アルケニルであり;更に他の実施形態では、アルケニル基が2~4個の炭素原子を含有する、すなわちC2~4アルケニルである。アルケニル基の例としては、それだけに限らないが、ビニル(-CH=CH2)、プロペニル(-CH2CH=CH2、-CH=CHCH3)、ブテニル(-CH=CHCH2CH3、-CH2CH=CHCH3、-CH2CH2CH=CH2、-CH=C(CH3)2、-CH=C(CH3)2、-CH2C(CH3)=CH2)、ペンテニル(-CH2CH2CH2CH=CH2、-CH2CH2CH=CHCH3、-CH2CH2CH=CHCH3、-CH2CH=CHCH2CH3、-CH=CHCH2CH2CH3、-CH2CH2C(CH3)=CH2、-CH2CH=C(CH3)2、-CH=CHCH(CH3)2、-C(CH2CH3)=CHCH3、-CH(CH2CH3)CH=CH2)等が挙げられる。
【0070】
「アルケニレン」という用語は、2個の水素原子の除去によって直鎖又は分岐一価炭化水素基から誘導される一価炭化水素基を指し、不飽和部位の少なくとも1つが炭素-炭素sp2二重結合である。特に指定しない限り、アルケニレン基は1~12個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態では、アルケニレン基が1~8個の炭素原子を含有し;他の実施形態では、アルケニレン基が1~6個の炭素原子を含有する、すなわちC1~6アルケニレンであり;他の実施形態では(in others In embodiments)、アルケニレン基が1~4個の炭素原子を含有する、すなわちC1~4アルケニレンであり;更に他の実施形態では、アルケニレン基が1~3個の炭素原子を含有し;いくつかの実施形態では、アルケニレン基が1~2個の炭素原子を含有する。このような例としては、それだけに限らないが、-CH=CH-、-CH2CH=CH-、-CH=CHCH2-、-CH=CHCH2CH2-、-CH2CH=CHCH2-、-CH2CH2CH=CH-、-CH=CHCH2CH2-、-CH2CH=CHCH2-、-CH2CH2CH=CH-、-CH2CH2CH2CH=CH-等が挙げられる。アルケニレンは、1つ又は複数の本明細書に開示される置換基で場合により置換されていてもよい。
【0071】
「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの不飽和部位、すなわち炭素-炭素、sp三重結合を有する、2~12個の炭素原子の直鎖又は分岐鎖一価炭化水素基を指す。いくつかの実施形態では、アルキニル基が2~8個の炭素原子を含有する。他の実施形態では、アルキニル基が2~6個の炭素原子を含有する、すなわちC2~6アルキニルである。更に他の実施形態では、アルキニルが2~4個の炭素原子を含有する、すなわちC2~4アルキニル(C2-6 alkynyl)である。アルキニルのいくつかの非限定的な例としては、エチニル(-C≡CH)、1-プロピニル(CH3C≡C-)、2-プロピニル(プロパルギル、-CH2C≡CH)、1-ブチニル、2-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-メチル-1-ブチニル、1-ヘキシニル、1-ヘプチニル及び1-オクチニル等が挙げられる。アルキニル基は、1つ又は複数の本明細書に開示される置換基で場合により独立に置換されていてもよい。
【0072】
「アルコキシ」又は「アルキルオキシ」という用語は、酸素原子を介して分子の残りに結合したアルキル基、すなわちアルキル-O-(式中、アルキル基は本明細書に定義される通りである)を指す。いくつかの実施形態では、アルコキシ基が1~20個の炭素原子を含有し;他の実施形態では、アルコキシ基が1~10個の炭素原子を含有し;更に他の実施形態では、アルコキシ基が1~8個の炭素原子を含有し;更に他の実施形態では、アルコキシ基が1~6個の炭素原子を含有する、すなわちC1~6アルコキシであり;更に他の実施形態では、アルコキシ基が1~4個の炭素原子を含有する、すなわちC1~4アルコキシ(C1-6 alkoxy)であり;更に他の実施形態では、アルコキシ基が1~3個の炭素原子を含有し;更に他の実施形態では、アルコキシ基が1~2個の炭素原子を含有する。
【0073】
アルコキシ基のいくつかの非限定的な例としては、メトキシ(MeO、-OCH3)、エトキシ(EtO、-OCH2CH3)、1-プロポキシ(n-PrO、n-プロポキシ、-OCH2CH2CH3)、2-プロポキシ(i-PrO、i-プロポキシ、-OCH(CH3)2)、1-ブトキシ(n-BuO、n-ブトキシ、-OCH2CH2CH2CH3)、2-メチル-l-プロポキシ(i-BuO、i-ブトキシ、-OCH2CH(CH3)2)、2-ブトキシ(s-BuO、s-ブトキシ、-OCH(CH3)CH2CH3)、2-メチル-2-プロポキシ(t-BuO、t-ブトキシ、-OC(CH3)3)、1-ペントキシ(n-ペントキシ、-OCH2CH2CH2CH2CH3)、2-ペントキシ(-OCH(CH3)CH2CH2CH3)、3-ペントキシ(-OCH(CH2CH3)2)、2-メチル-2-ブトキシ(-OC(CH3)2CH2CH3)、3-メチル-2-ブトキシ(-OCH(CH3)CH(CH3)2)、3-メチル-l-ブトキシ(-OCH2CH2CH(CH3)2)、2-メチル-l-ブトキシ(-OCH2CH(CH3)CH2CH3)等が挙げられ、アルコキシ基は独立に、非置換であってもよいし、1つ又は複数の本明細書に記載される置換基で置換されていてもよい。
【0074】
「アルキルチオ」という用語は、硫黄原子を介して分子の残りに結合したアルキル基、すなわちアルキル-S-(式中、アルキル基は本明細書に記載される意味を有する)を指す。いくつかの実施形態では、アルキルチオ基が1~6個の炭素原子を含有する、すなわちC1~6アルキルチオであり;他の実施形態では、アルキルチオ基が1~4個の炭素原子を含有する、すなわちC1~4アルキルチオであり;更に他の実施形態では、アルキルチオ基が1~3個の炭素原子を含有し;更に他の実施形態では、アルキルチオ基が1~2個の炭素原子を含有する。アルキルチオ基のいくつかの非限定的な例としては、メチルチオ、エチルチオ等が挙げられる。アルキルチオ基は、1つ又は複数の本明細書に開示される置換基で場合により置換されていてもよい。
【0075】
「アルキルアミノ」又は「アルキルアミノ」という用語は、アミノ基がそれぞれ1つ又は2つのアルキル基で独立に置換されている「N-アルキルアミノ」及び「N,N-ジアルキルアミノ」を含む。いくつかの実施形態では、アルキルアミノが、窒素原子に結合した1つ又は2つのC1~6アルキルを有するアルキルアミノ基、すなわちC1~6アルキルアミノである。他の実施形態では、アルキルアミノが、窒素原子に結合した1つ又は2つのC1~4アルキルを有するアルキルアミノ基、すなわちC1~4アルキルアミノである。他の実施形態では、アルキルアミノが、窒素原子に結合した1つ又は2つのC1~2アルキルを有するアルキルアミノ基、すなわちC1~2アルキルアミノである。適切なアルキルアミノ基のいくつかの例としては、モノアルキルアミノ又はジアルキルアミノ、それだけに限らないが、メチルアミノ(N-メチルアミノ)、エチルアミノ(N-エチルアミノ)、N,N-ジメチルアミノ及びN,N-ジエチルアミノ等が挙げられる。アルキルアミノ基は、1つ又は複数の本明細書に開示される置換基で場合により置換されていてもよい。
【0076】
「ハロアルキル」という用語は、1個又は複数のハロゲン原子で置換されたアルキル基を指す。いくつかの実施形態では、ハロアルキル基が1~10個の炭素原子を含有する。他の実施形態では、ハロアルキル基が1~8個の炭素原子を含有する。更に他の実施形態では、ハロアルキル基が1~6個の炭素原子を含有する、すなわちC1~6ハロアルキルである。更に他の実施形態では、ハロアルキル基が1~4個の炭素原子を含有する、すなわちC1~4ハロアルキルである。更に他の実施形態では、ハロアルキル基が1~3個の炭素原子を含有する、すなわちC1~3ハロアルキルである。更に他の実施形態では、ハロアルキル基が1~2個の炭素原子を含有する、すなわちC1~2ハロアルキルである。ハロアルキルのいくつかの非限定的な例としては、フルオロメチル(-CH2F)、ジフルオロメチル(-CHF2)、トリフルオロメチル(-CF3)、フルオロエチル(-CHFCH3、-CH2CH2F)、ジフルオロエチル(-CF2CH3、-CFHCFH2、-CH2CHF2)、ペルフルオロエチル、フルオロプロピル(-CHFCH2CH3、-CH2CHFCH3、-CH2CH2CH2F)、ジフルオロプロピル(-CF2CH2CH3、-CFHCFHCH3、-CH2CH2CHF2、-CH2CF2CH3、-CH2CHFCH2F)、トリフルオロプロピル、1,1-ジクロロエチル、1,2-ジクロロプロピル等が挙げられる。ハロアルキル基は、1つ又は複数の本明細書に記載される置換基で場合により置換されている。
【0077】
「ハロアルコキシ」という用語は、1つ又は複数のハロゲン置換基で置換されたアルコキシ基を指す。いくつかの実施形態では、ハロアルコキシ基が1~10個の炭素原子を含有する。他の実施形態では、ハロアルコキシ基が1~8個の炭素原子を含有する。更に他の実施形態では、ハロアルコキシ基が1~6個の炭素原子を含有する、すなわちC1~6ハロアルコキシである。更に他の実施形態では、ハロアルコキシ基が1~4個の炭素原子を含有する、すなわちC1~4ハロアルコキシである。更に他の実施形態では、ハロアルコキシ基が1~3個の炭素原子を含有する、すなわちC1~3ハロアルコキシである。更に他の実施形態では、ハロアルコキシ基が1~2個の炭素原子を含有する、すなわちC1~2ハロアルコキシである。ハロアルコキシ基のいくつかの非限定的な例としては、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ等が挙げられる。ハロアルコキシ基は、1つ又は複数の本明細書に記載される置換基で場合により置換されている。
【0078】
「ヒドロキシアルキル」又は「ヒドロキシアルキル」という用語は、1つ又は複数のヒドロキシ置換基を有するアルキル基(アルキル基は本明細書に定義される通りである)を指す。いくつかの実施形態では、ヒドロキシアルキル基が1~6個の炭素原子を含有する、すなわちC1~6ヒドロキシアルキルであり;更に他の実施形態では、ヒドロキシアルキル基が1~4個の炭素原子を含有する、すなわちC1~4ヒドロキシアルキルであり;更に他の実施形態では、ヒドロキシアルキル(alkylene)基が1~3個の炭素原子を含有する、すなわちC1~3ヒドロキシアルキルであり;更に他の実施形態では、ヒドロキシアルキル基が1~2個の炭素原子を含有する、すなわちC1~2ヒドロキシアルキルである。ヒドロキシアルキルのいくつかの非限定的な例としては、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル(-CH2CH2OH)、1-ヒドロキシエチル(-CHOHCH3)、1,2-ジヒドロキシエチル(-CHOHCH2OH)、2,3-ジヒドロキシプロピル(-CH2CHOHCH2OH)、1-ヒドロキシプロピル(-CH2CH2CH2OH)、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル等が挙げられる。ヒドロキシアルキル基は、1つ又は複数の本明細書に記載される置換基で場合により置換されている。
【0079】
「シアノアルキル」という用語は、1つ又は複数のシアノ(-CN)基で置換されたアルキルを指す。アルキルは本明細書に記載される意味を有し、シアノアルキルは1つ又は複数の本明細書に記載される置換基で場合により置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるシアノアルキル基が1つ又は複数のシアノ(-CN)基で置換されたC1~6アルキル、例えばシアノC1~6アルキルを指し;いくつかの実施形態では、シアノアルキル基が1つ又は複数のシアノ(-CN)基で置換されたC1~4アルキル、例えばシアノC1~4アルキルを指し;いくつかの実施形態では、シアノアルキル基が1つ又は複数のシアノ(-CN)基で置換されたC1~2アルキル、例えばシアノC1~2アルキルを指す。シアノアルキル基のいくつかの非限定的な例としては、シアノメチル、シアノエチル(例えば、2-シアノエチル)等が挙げられる。
【0080】
「アミノアルキル」という用語は、1つ又は複数のシアノ(-NH)基で置換されたアルキルを指す。アルキルは本明細書に記載される意味を有し、アミノアルキルは1つ又は複数の本明細書に記載される置換基で場合により置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるアミノアルキル基が1つ又は複数のアミノ基(-NH2)で置換されたC1~6アルキル基、例えばアミノC1~6アルキルを指し;いくつかの実施形態では、アミノアルキル基が1つ又は複数のアミノ基(-NH2)で置換されたC1~4アルキル基、例えばアミノC1~4アルキルを指し;いくつかの実施形態では、アミノアルキル基が1つ又は複数のアミノ基(-NH2)で置換されたC1~2アルキル基、例えばアミノC1~2アルキルを指す。アミノアルキル基のいくつかの非限定的な例としては、アミノメチル、アミノエチル(例えば、2-アミノエチル)、アミノ-n-プロピル(例えば、-CH2CH2CH2NH2)等が挙げられる。
【0081】
「シクロアルキル」という用語は、分子の残りに結合した1つ又は複数の結合点を有し、3~12個の環炭素原子を有する飽和単環式、二環式又は三環式環系を指す。いくつかの実施形態では、シクロアルキルが3~10個の環炭素原子を含有する環系であり;他の実施形態では、シクロアルキルが3~8個の環炭素原子を含有する環系であり;他の実施形態では、シクロアルキルが5~8個の環炭素原子を含有する環系であり;他の実施形態では、シクロアルキル基が3~6個の環炭素原子を含有する環系、例えばC3~6シクロアルキルであり;他の実施形態では、シクロアルキルが5~6個の環炭素原子を含有する環系、例えばC5~6シクロアルキルである。シクロアルキル基の例としては、それだけに限らないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。シクロアルキル基は、1つ又は複数の本明細書に開示される置換基で場合により置換されていてもよい。
【0082】
「カルボシクリル」という用語は、飽和である、又は1つ若しくは複数の不飽和単位を含有し、3~14個の環炭素原子を含有するが、芳香環をまったく含有しない非芳香族炭素環式環系を指す。「炭素環式環」、「カルボシクリル」又は「炭素環式」という用語は本明細書で互換的に使用される。いくつかの実施形態では、炭素環式環の環炭素原子の数が3~12個であり;他の実施形態では、炭素環式環の環炭素原子の数が3~10個であり;他の実施形態では、炭素環式環の環炭素原子の数が3~8個、例えばC3~8カルボシクリルであり;他の実施形態では、炭素環式環の環炭素原子の数が3~7個、例えばC3~7カルボシクリルであり;他の実施形態では、炭素環式環の環炭素原子の数が3~6個、例えばC3~6カルボシクリル(3-6 carbocyclyl)であり;他の実施形態では、炭素環式環の環炭素原子の数が5~6個、例えばC5~6カルボシクリルであり;他の実施形態では、炭素環式環の環炭素原子の数が5~8個である。他の実施形態では、炭素環式環の環炭素原子の数が6~8個である。「カルボシクリル」は、単環式、二環式又は多環式の縮合、スピロ又は架橋炭素環式環系を含み、接続された原子群又は点が炭素環上にある、炭素環が1つ若しくは複数の非芳香族炭素環、又は1つ若しくは複数の芳香環、又はこれらの組合せと縮合することができる多環式環系も含む。二環式カルボシクリル基は架橋二環式カルボシクリル、縮合二環式カルボシクリル及びスピロ二環式カルボシクリルを含み、「縮合」二環式環系は、2個の隣接環原子を共有する2つの環を含有する。架橋二環式基は、2個、3個又は4個の隣接環原子を共有する2つの環を含む。スピロ環系は1個の環原子を共有する。適切なカルボシクリル基には、それだけに限らないが、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルが含まれる。カルボシクリル基のいくつかの非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1-シクロペンタ-1-エニル、1-シクロペンタ-2-エニル、1-シクロペンタ-3-エニル、シクロヘキシル、1-シクロヘキサ-1-エニル、1-シクロヘキサ-2-エニル、1-シクロヘキサ-3-エニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、シクロドデシル等が
挙げられる。架橋カルボシクリル基には、それだけに限らないが、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[3.3.1]ノニル、ビシクロ[3.2.3]ノニル等が含まれる。カルボシクリル基は、1つ又は複数の本明細書に記載される置換基で場合により置換されている。
【0083】
「ヘテロシクリル」という用語は、そのうちの少なくとも1個の環原子が窒素、硫黄及び酸素原子から選択される3~12個の環原子を含有する、飽和又は部分不飽和の非芳香族単環式、二環式又は三環式環系を指し、ヘテロシクリルは非芳香族であり、芳香環を含有せず、環系は分子の残りに接続した1つ又は複数の接続点を有する。「ヘテロシクリル」という用語は、単環式、二環式又は多環式の縮合、スピロ又は架橋複素環式環系を含む。二環式ヘテロシクリルは、架橋二環式ヘテロシクリル、縮合二環式ヘテロシクリル及びスピロ二環式ヘテロシクリルを含む。「ヘテロシクリル」及び「複素環」という用語は本明細書で互換的に使用される。特に指定しない限り、ヘテロシクリルは炭素系又は窒素系であり得、-CH2-基が-C(=O)-によって場合により置き換えられていてもよい。環の硫黄原子が場合によりS-オキシドに酸化されていてもよい。環の窒素が場合によりN-オキシドに酸化されていてもよい。いくつかの実施形態では、ヘテロシクリルが3~8個の環原子の環系、すなわち、3~8員ヘテロシクリルであり;他の実施形態では、ヘテロシクリルが3~6個の環原子の環系、すなわち、3~6員ヘテロシクリルであり;他の実施形態では、ヘテロシクリルが5~7個の環原子の環系であり;他の実施形態では、ヘテロシクリルが5~10個の環原子の環系であり;他の実施形態では、ヘテロシクリルが5~8個の環原子の環系であり;他の実施形態では、ヘテロシクリルが6~8個の環原子の環系であり;他の実施形態では、ヘテロシクリルが5~6個の環原子の環系、すなわち、5~6員ヘテロシクリルであり;他の実施形態では、ヘテロシクリルが4個の環原子の環系であり;他の実施形態では、ヘテロシクリルが5個の環原子の環系であり;他の実施形態では、ヘテロシクリルが6個の環原子で構成される環系であり;他の実施形態では、ヘテロシクリルが7個の環原子の環系であり;他の実施形態では、ヘテロシクリルが8個の環原子の環系である。
【0084】
ヘテロシクリルのいくつかの非限定的な例としては、オキシラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チオヘテロブチル、ピロリジニル、2-ピロリニル、3-ピロリニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロチエニル、1,3-ジオキソシクロペンチル、ジチオシクロペンチル、テトラヒドロピラニル、二水素ピラニル(dihydrogenpyranyl)、2H-ピラニル、4H-ピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、ジオキソアルキル、ジチアアルキル(dithiaalkyl)、チオキサニル、ホモピペラジニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チアシクロヘプタニル、テトラヒドロピロリル、ジヒドロピロリル、テトラヒドロピリジル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロピラジニル、テトラヒドロピリダジニルが挙げられる。-C(=O)-で置換されたヘテロシクリル中の-CH2-基のいくつかの非限定的な例としては、2-オキソピロリジニル、オキソ-1,3-チアゾリジニル、2-ピペリジノニル(2-piperidinonyl)、3,5-ジオキソピペリジニル、ピリミジンジオニル等が挙げられる。ヘテロシクリル中の酸化された硫黄原子のいくつかの非限定的な例としては、スルホラニル及び1,1-ジオキソチオモルホリニルが挙げられる。架橋ヘテロシクリル基には、それだけに限らないが、2-オキサビシクロ[2.2.2]オクチル、1-アザビシクロ[2.2.2]オクチル、3-アザビシクロ[3.2.1]オクチル等が含まれる。ヘテロシクリル基は、1つ又は複数の本明細書に開示される置換基で場合により置換されていてもよい。
【0085】
「m員」(mは整数である)という用語は、典型的には、部分の環形成原子の数を記載し、環形成原子の数がmである。例えば、ピペリジニルは6個の環原子からなるヘテロシクリルであり、1,2,3,4-テトラリルは10個の環原子からなるカルボシクリル基である。
【0086】
「アリール」という用語は、各環が3~7個の環原子を含有し、分子の残りに結合した1つ又は複数の結合点を有する、合計6~14個の環原子、又は6~12個の環原子、又は6~10個の環原子を有する、単環式、二環式及び三環式の芳香族炭素環式環系を指す。「アリール」という用語は、「アリール環」又は「芳香環」という用語と互換的に使用され得る。例えば、アリール基はフェニル、ナフチル及びアントリルを含み得る。アリール基は、1つ又は複数の本明細書に開示される置換基で場合により置換されていてもよい。
【0087】
「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1つの環が1個又は複数のヘテロ原子を含有し、各環が5~7個の環原子を含有し、系の少なくとも1つの環が芳香族である、合計5~16個の環原子を有する単環式、二環式及び三環式の芳香族系を指す。一方、ヘテロアリールは、分子の残りに結合した1つ又は複数の結合点を有する。特に明言しない限り、ヘテロアリール基は、任意の合理的な部位(CHのC、又はNHのNであり得る)を通して分子の残り(例えば、式の主構造)に結合することができる。ヘテロアリール基が-CH2-基を含有する場合、-CH2-基は-C(=O)-基によって場合により置き換えられていてもよい。「ヘテロアリール」及び「複素芳香環」又は「複素芳香族化合物」という用語は本明細書で互換的に使用され得る。他の実施形態では、ヘテロアリールが、O、S及びNから独立に選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を含有する5~14員ヘテロアリールであり;他の実施形態では、ヘテロアリールが、O、S及びNから独立に選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を含有する5~12員ヘテロアリールであり;他の実施形態では、ヘテロアリールが、O、S及びNから独立に選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を含有する5~10員ヘテロアリールであり;他の実施形態では、ヘテロアリールが、O、S及びNから独立に選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を含有する5~8員ヘテロアリールであり;他の実施形態では、ヘテロアリールが、O、S及びNから独立に選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を含有する5~7員ヘテロアリールであり;他の実施形態では、ヘテロアリールが、O、S及びNから独立に選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を含有する5~6員ヘテロアリールであり;他の実施形態では、ヘテロアリールが、O、S及びNから独立に選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を含有する5員ヘテロアリールであり;他の実施形態では、ヘテロアリールが、O、S及びNから独立に選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を含有する6員ヘテロアリールである。
【0088】
ヘテロアリールには以下の単環式基が含まれるが、これらの単環式基に限定されず:2-フラニル、3-フラニル、N-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、5-イミダゾリル、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、N-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル、ピリダジニル(例えば、3-ピリダジニル)、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、テトラゾリル(例えば、5H-テトラゾリル、2H-テトラゾリル)、トリアゾリル(例えば、2-トリアゾリル、5-トリアゾリル、4H-1,2,4-トリアゾリル、1H-1,2,4-トリアゾリル、1,2,3-トリアゾリル)、2-チエニル、3-チエニル、ピラゾリル(例えば、2-ピラゾリル及び3-ピラゾリル)、イソチアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,2,3-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、ピラジニル、1,3,5-トリアジニル;それだけに限らないが、以下の二環式又は三環式基も含まれる:インドロリニル(indololinyl)、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インドリル(例えば、2-インドリル)、プリニル、キノリニル(例えば、2-キノリニル、3-キノリニル、4-キノリニル)、イソキノリニル(例えば、1-イソキノリニル、3-イソキノリニル又は4-イソキノリニル)、フェノキサチエニル、ジベンズイミダゾリル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル。ヘテロアリール基は、1つ又は複数の本明細書に開示される置換基で場合により置換されている。
【0089】
「ヘテロ原子」という用語は、S、N及びPの任意の酸化形態;第一級、第二級、第三級及び第四級アンモニウム塩の形態;又はその窒素原子の水素が置換されている形態、例えばN(3,4-ジヒドロ-2H-ピロリルのような)、NH(ピロリジニルのような)若しくはNR(N-置換ピロリジニルのような、Rは本明細書に記載される置換基である)を含む、O、S、N、P及びSiを指す。
【0090】
「ハロゲン」という用語は、フルオロ(F)、クロロ(Cl)、ブロモ(Br)又はヨード(I)を指す。
【0091】
「カルボン酸」又は「カルボキシ」という用語は-C(=O)OHを指す。
【0092】
「カルボニル」という用語は、単独で使用されようが、他の用語と合わせて使用されようが、-(C=O)-を表す。
【0093】
「D」という用語は重水素化、すなわち2Hを指す。
【0094】
「薬学的に許容される」という用語は、物質又は組成物が、他の成分を含有する製剤及び/又はそれで処置される哺乳動物と化学的及び/又は毒物学的に適合性でなければならないことを意味する。好ましくは、本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、動物、更に特にはヒトにおける使用について米国連邦政府若しくは州政府の規制当局によって承認されていること、又は米国薬局方若しくは他の一般的に認識される薬局方に列挙されていることを意味する。
【0095】
「担体」という用語は、当業者に公知の任意の溶媒、分散媒、コーティング、界面活性剤、抗酸化剤、保存剤(例えば、抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、塩、薬物安定剤、結合剤、賦形剤、分散剤、潤滑剤、甘味剤、香味剤、着色剤、又はこれらの組合せを含む(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences、第18版 Mack Printing Company、1990、1289~1329頁)。任意の慣用的な担体が有効成分と不適合性である場合を除いて、治療用組成物又は医薬組成物におけるその使用が包含される。
【0096】
「医薬組成物」という用語は、本明細書に記載される化合物の1種又は複数、又はその生理学的/薬学的に許容される塩若しくはプロドラッグと他の化学成分の混合物を指し、他の化学成分は、例えば生理学的/薬学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤、結合剤、アジュバント及び追加の治療薬、例えば抗糖尿病薬、抗高血糖薬、抗脂肪過多症薬、抗高血圧薬、抗血小板薬、抗粥状動脈硬化薬、脂質低下薬等である。医薬組成物の目的は、化合物の生物への投与を促進することである。
【0097】
「プロドラッグ」という用語は、インビボで式(I)の化合物に変換される化合物を指す。このような変換は、例えば血中でのプロドラッグ形態の加水分解、又は血液若しくは組織中での親形態への酵素変換によって影響を及ぼされ得る。本明細書に開示される化合物のプロドラッグは、例えばエステルであり得る。本発明でプロドラッグとして利用され得るエステルは、フェニルエステル、脂肪族(C1~24)エステル、アシルオキシメチルエステル、カーボネート、カルバメート及びアミノ酸エステルである。例えば、ヒドロキシ基を含有する本明細書に開示される化合物は、プロドラッグの形態の化合物を得るためにアシル化され得る。他のプロドラッグ形態には、ホスフェート、例えば親化合物上のヒドロキシ基のホスホネーション(phosphonation)から誘導されるホスフェート化合物が含まれる。プロドラッグの完全な議論は、その全てが、全体が参照により本明細書に組み込まれる、以下の文献を参照することができる:Higuchiら、Pro-drugs as Novel delivery Systems、第14巻、A.C.S.Symposium Series;Rocheら、Bioreversible Carriers in Drug Design、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press、1987;Rautioら、Prodrugs:Design and Clinical Applications、Nature Reviews Drug Discovery、2008、7、255~270頁、及びHeckerら、Prodrugs of Phosphates and Phosphonates、J.Med.Chem.、2008、51、2328~2345頁。
【0098】
「代謝産物」という用語は、指定される化合物又はその塩の、体内で代謝を通して産生される産物を指す。化合物の代謝産物は、当技術分野で公知の日常的な技術を使用して特定され得、その活性は、本明細書に記載されるような試験を使用して特性評価され得る。このような産物は、例えば投与された化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、脱アミド、エステル化、エステル分解、酵素切断等から生じ得る。したがって、本発明は、本明細書に開示される化合物を哺乳動物と十分な期間接触させることによって産生される代謝産物を含む、本明細書に開示される化合物の代謝産物を含む。
【0099】
「薬学的に許容される塩」という用語は、本明細書に開示される化合物の有機塩又は無機塩を指す。薬学的に許容される塩は当技術分野で周知である。例えば、薬学的に許容される塩は、以下の文献に詳細に記載される:Bergeらは、J.Pharmacol Sci、1977、66:1~19頁で薬学的に許容される塩を詳細に記載している。薬学的に許容される塩(pharmaceutically salts)のいくつかの非限定的な例としては、塩酸、臭化水素酸塩、リン酸、メタリン酸、硫酸、硝酸及び過塩素酸等の無機酸、若しくはメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、グリコール酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、マロン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、リンゴ酸、フマル酸、乳酸及びラクトビオン酸等の有機酸により形成されるアミノ基の塩、又はイオン交換等の当技術分野で使用される他の方法を使用することによって得られる塩が挙げられる。他の薬学的に許容される塩には、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、マロン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、チオシアン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩等が含まれる。適切な塩基から誘導される塩には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム及びN+(C1~4アルキル)4塩が含まれる。本発明はまた、本明細書に開示される窒素基を含有する任意の化合物から形成される四級化を想起する。水又は油に可溶性又は分散性の生成物は、このような四級化によって得られ得る。代表的なアルカリ又はアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム
、カルシウム、マグネシウム等が含まれる。更なる薬学的に許容される塩には、適切な場合には、非毒性アンモニウム、第四級アンモニウム、及びハロゲン化物、水酸化物、カルボキシレート、サルフェート、ホスフェート、ニトレート、C1~8スルホネート又はアリールスルホネート等の対イオンを使用して形成されるアミンカチオンが含まれる。
【0100】
「溶媒和物」という用語は、1つ又は複数の溶媒分子と本明細書に開示される化合物の会合又は複合体を指す。溶媒和物を形成する溶媒のいくつかの非限定的な例としては、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル、酢酸及びエタノールアミンが挙げられる。「水和物」という用語は、溶媒分子が水である複合体を指す。
【0101】
「N-オキシド」という用語は、化合物がいくつかのアミン官能基を含有する場合に、酸化されてN-オキシドを形成する1個又は2個以上の窒素原子を指す。N-オキシドの特定の例は、第三級アミン又は窒素含有複素環の窒素原子のN-オキシドである。N-オキシドは、対応するアミンを過酸化水素又は過酸(例えば、ペルオキシカルボン酸)等の酸化剤で処理することによって形成することができる(Advanced Organic Chemistiy、Jerry March、第4版、Wiley Interscience、頁参照)。更に特に、N-オキシドは、アミン化合物を、例えばジクロロメタン等の不活性溶媒中で、m-クロロ過安息香酸(MCPBA)と反応させる、L.W.Deady(Syn.Comm.1977、7、509~514頁)の手順によって調製することができる。
【0102】
本明細書に開示される化合物のいずれの不斉原子(例えば、炭素等)も、(R)-、(S)-、(R,S)-又は(S,S)-配置等のラセミで又はエナンチオマー的に濃縮されて存在することができる。一定の実施形態では、各不斉原子が、(R)-又は(S)-配置で少なくとも50%エナンチオマー過剰、少なくとも60%エナンチオマー過剰、少なくとも70%エナンチオマー過剰、少なくとも80%エナンチオマー過剰、少なくとも90%エナンチオマー過剰、少なくとも95%エナンチオマー過剰、又は少なくとも99%エナンチオマー過剰を有する。可能ならば、不飽和二重結合を有する原子上の置換基がシス-(Z)-又はトランス-(E)-の形態で存在し得る。
【0103】
よって、本明細書に記載されるように、本発明の化合物は、可能な異性体、回転異性体、アトロプ異性体、互変異性体又はこれらの混合物の形態で存在し得る。例えば、本発明の化合物は、実質的に純粋な幾何(シス若しくはトランス)異性体、ジアステレオマー、光学異性体(エナンチオマー)、ラセミ体又はこれらの混合物である。
【0104】
いずれの得られる立体異性体の混合物も、構成成分の物理化学的差異に基づいて、例えばクロマトグラフィー及び/又は分別結晶によって、純粋な又は実質的に純粋な幾何又は光学異性体、エナンチオマー、ジアステレオマーに分離することができる。
【0105】
いずれの得られる最終生成物又は中間体のラセミ体も、当業者に公知の方法によって、例えばそのジアステレオマー塩の分離によって、光学対掌体に分割することができる。ラセミ生成物は、キラルクロマトグラフィー、例えばキラル吸着剤を使用した高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分割することもできる。特に、エナンチオマーは不斉合成によって調製することもできる。例えば、Jacquesら、Enantiomers, Racemates and Resolutions(Wiley Interscience、ニューヨーク、1981);Principles of Asymmetric Synthesis(第2版 Robert E.Gawley、Jeffrey Aube、Elsevier、Oxford、英国、2012);Eliel,E.L. StereoChemistry of Carbon Compounds(McGraw-Hill、NY、1962);及びWilen,S.H. Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions 268頁(E.L.Eliel編、Univ. of Notre Dame Press、Notre Dame、IN 1972)を参照。
【0106】
本発明はまた、1個又は複数の原子が、天然の一般的な原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子によって置き換えられていることを除いて、本明細書に記載されるものと同一の本発明の同位体標識化合物も含む。本発明の化合物に組み込むこともできる例示的な同位体には、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素及び塩素の同位体、例えば2H、3H、13C、14C、15N、16O、17O、31P、32P、36S、18F及び37Clが含まれる。
【0107】
上記同位体及び/又は他の原子の他の同位体を含む本発明の化合物、並びに化合物の薬学的に許容される塩が本発明の範囲に含まれる。本発明の同位体標識化合物、例えば3H又は14C等の放射性同位体が組み込まれたものは、薬物及び/又は基質組織分布アッセイで有用である。調製及び検出の容易さのために、重水素化同位体が特に好ましい、すなわち3H及び炭素-14、すなわち14C。更に、重水素、すなわち2H等の重同位体による置換は、より大きな代謝安定性に由来するいくつかの治療上の利点、例えばインビボ半減期の増加又は投与量要求の減少をもたらし得る。したがって、これが好ましい場合もある。
【0108】
本明細書で使用される立体化学的定義及び慣習は一般的に、S.P.Parker編、McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms(1984)McGraw-Hill Book Company、ニューヨーク;並びにEliel,E.及びWilen,S.、「StereoChemistry of Organic Compounds」、John Wiley&Sons,Inc.、ニューヨーク、1994に従う。本発明の化合物は不斉中心又はキラル中心を含有し得るので、異なる立体異性体形態で存在し得る。本明細書に開示される化合物の全ての立体異性体形態が、それだけに限らないが、ジアステレオマー、エナンチオマー及びアトロプ異性体を含むが、その混合物、例えばラセミ混合物も本発明の範囲に含まれることが意図される。多くの有機化合物は光学活性形態で存在する、すなわち、これらの化合物は平面偏光の平面を回転させる能力を有する。光学活性化合物を記載する際、接頭辞D及びL、又はR及びSを使用して、そのキラル中心の周りの分子の絶対配置を表す。接頭辞d及びl、又は(+)及び(-)を採用して、化合物による平面偏光の回転のサインを表し、(-)又はlは、化合物が左旋性であることを意味する。(+)又はdが接頭辞として付いた化合物は右旋性である。所与の化学構造について、これらの立体異性体は、互いに鏡像であることを除いて、同一である。具体的な立体異性体はエナンチオマーと呼ばれ、このような異性体の混合物はしばしば、エナンチオマー混合物と呼ばれる。エナンチオマーの50:50混合物はラセミ混合物又はラセミ体と呼ばれ、キラル反応又はプロセスで立体選択も立体特異性も存在しない場合に生じ得る。
【0109】
出発物質及び手順の選択に応じて、本発明の化合物は、可能な立体異性体の1つの形態で又はその混合物、例えば不斉炭素原子の数に応じて、ラセミ体及びジアステレオ異性体混合物として存在することができる。光学活性(R)-及び(S)-異性体は、キラルシントン若しくはキラル試薬を使用して調製され得る、又は慣用的な技術を使用して分割され得る。化合物が二重結合を含有する場合、置換基はE又はZ配置であり得る。化合物が二置換シクロアルキルを含有する場合、シクロアルキルの置換基はシス-又はトランス-配置を有し得る。
【0110】
本発明の化合物は不斉中心又はキラル中心を含有し得るので、異なる立体異性体形態で存在し得る。本明細書に開示される化合物の全ての立体異性体形態が、それだけに限らないが、ジアステレオマー、エナンチオマー及びアトロプ異性体を含み、同様にその混合物、例えばラセミ混合物も本発明の範囲に含まれることが意図される。
【0111】
特に指示しない限り、本明細書に記載される構造はまた、これらの構造を含む全ての異性体(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマーアトロプ異性体及び幾何(又はコンフォメーション))形態;例えば、各不斉中心のR及びS配置、(Z)及び(E)二重結合異性体、並びに(Z)及び(E)コンフォーマーも意味する。したがって、本化合物の単一立体化学異性体及びエナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物及び幾何異性体(又は配座異性体)混合物が本明細書に開示される範囲内にある。
【0112】
「互変異性体」又は「互変異性型」という用語は、低いエネルギー障壁を介して相互転換できる異なるエネルギーの構造異性体を指す。互変異性化が可能である場合(例えば、溶液中)、互変異性体の化学平衡に達することができる。例えば、プロトン互変異性体(プロトトロピック(prototropic)互変異性体としても知られる)は、ケト-エノール及びイミン-エナミン異性化等の、プロトンの移動を介した相互変換を含む。原子価互変異性体は、結合電子の一部の再編成による相互変換を含む。ケト-エノール互変異性化の具体例は、ペンタン-2,4-ジオン互変異性体と4-ヒドロキシペンタ-3-エン-2-オン互変異性体の相互変換である。互変異性化の別の例は、フェノール-ケト互変異性化である。フェノール-ケト互変異性の具体例は、ピリジン-4-オールとピリジン-4(1H)-オン互変異性である。特に明言しない限り、本明細書に開示される化合物の全ての互変異性型が本発明の範囲内にある。
【0113】
「幾何異性体」という用語は「シス-トランス異性体」とも呼ばれ、二重結合(オレフィンの二重結合、C=N二重結合及びN=N二重結合を含む)又は自由に回転することができない環炭素原子の単結合によって引き起こされる。
【0114】
「二量体」という用語は、二重形態で現れる同じ又は同じ種類の物質を指し、単一状態で存在しない特性又は機能を有し得る。一般的な例としては、ジシクロペンタジエン、二量体化塩化第一銅、スクロース等が挙げられる。
【0115】
「三量体」という用語は、新たな分子に重合した3つの同一の又は同一の種の物質を指し、新たな分子は、低分子量のポリマーである三量体とみなされる。
【0116】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は動物を指す。典型的には、動物は哺乳動物である。対象はまた、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス、魚類、鳥類等を指す。一定の実施形態では、対象が霊長類である。更に他の実施形態では、対象がヒトである。
【0117】
本明細書で使用される「対象」及び「患者」という用語は互換的に使用される。「対象」及び「患者」という用語は、動物(例えば、鳥類又は哺乳動物、例えばニワトリ、ウズラ又はシチメンチョウ)、特に非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ウサギ、モルモット、ラット、ネコ、イヌ及びマウス)、及び霊長類(例えば、サル、チンパンジー及びヒト)、特にヒトを含む「哺乳動物」を指す。一実施形態では、対象が非ヒト動物、例えば飼育動物(例えば、ウマ、ウシ、ブタ若しくはヒツジ)又はペット(例えば、イヌ、ネコ、モルモット若しくはウサギ)である。他の実施形態では、「患者」がヒトを指す。
【0118】
「X症候群」という用語は、代謝症候群の状態、疾患としても知られ、この障害は、参照により本明細書に組み込まれる、Johannssonら、J.Clin.Endocrinol.Metab.、1997;82、727~734頁に詳述される。
【0119】
「腸改善」という用語は、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)及びラクトバチルス属(Lactobacillus)等の有益な細菌の増加、腸内の有機酸の増加、並びに腸内の腐敗産物の減少を指す。
【0120】
更に、特に明言しない限り、本明細書に描かれる構造はまた、1個又は複数の同位体濃縮原子の存在においてのみ異なる化合物を含むことも意味している。
【0121】
本明細書で使用される場合、任意の疾患又は障害の「処置する」、「処置すること」又は「処置」という用語は、一実施形態では、疾患又は障害を改善すること(すなわち、疾患又はその臨床症状の少なくとも1つの発達を遅延させる又は停止する又は減少させること)を指す。別の実施形態では、「処置する」、「処置すること」又は「処置」が、患者によって識別可能でないかもしれないものを含む少なくとも1つの物理パラメータを緩和又は改善することを指す。更に別の実施形態では、「処置する」、「処置すること」又は「処置」が、疾患又は障害を物理的に(例えば、識別可能な症状の安定化)、生理的に(例えば、物理パラメータの安定化)、又はその両方で調節することを指す。更に別の実施形態では、「処置する」、「処置すること」又は「処置」が、疾患又は障害の発症又は発達又は進行を予防すること又は遅延させることを指す。
【0122】
本発明の化合物の説明
本発明は、腸内環境を改善する、又は糖尿病、糖尿病の合併症、インスリン抵抗性、高血糖、高インスリン血症、高脂血症、肥満、X症候群、粥状動脈硬化、心血管疾患、うっ血性心不全、低マグネシウム血症、低ナトリウム血症、腎不全、血中濃度に関連する障害、便秘若しくは高血圧を予防若しくは処置するための薬物を調製するための、SGLT1に対するより良い阻害活性を有する化合物を提供する。本発明はまた、化合物、化合物を含む医薬組成物を調製する方法、並びに哺乳動物、特にヒトにおいて上記疾患を処置するための薬物を調製するために化合物及び組成物を使用する方法を提供する。既存の類似の化合物と比較して、本発明の化合物は、より良い薬理学的活性を有するだけでなく、より優れたインビボでの代謝反応速度特性及びインビボでの薬力学的特性も有する。同時に、調製方法が単純且つ容易で、プロセス方法が安定であり、工業生産に適している。したがって、本発明によって提供される化合物は、既存の類似の化合物よりも優れたドラッガビリティを有する。
【0123】
具体的に言えば、一態様では、本発明は、式(I)を有する化合物又はその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、N-オキシド、溶媒和物、代謝産物、薬学的に許容される塩、二量体、三量体若しくはプロドラッグ
【0124】
【化6】
【0125】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、L及びYは本明細書に定義される通りである)
に関する。化合物は、
【0126】
【化7】
【0127】
を含まない。
【0128】
他の実施形態では、本発明は、式(II)を有する化合物又はその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、N-オキシド、溶媒和物、代謝産物、薬学的に許容される塩、二量体、三量体若しくはプロドラッグ
【0129】
【化8】
【0130】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、L及びYは本明細書に定義される通りである)
に関する。
【0131】
いくつかの実施形態では、Yが-(CH2)q-、-O-、-NH-、-S-、-S(=O)-又は-S(=O)2-であり;qが0、1、2又は3である。
【0132】
いくつかの実施形態では、LがC1~6アルキレン又はC1~6アルケニレンであり、Lが非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRyで置換されており、Ryが本明細書に定義される通りである。
【0133】
他の実施形態では、Lが-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH(CH3)CH2-、-CH2(CH2)2CH2-、-C(CH3)2CH2-、-CH2(CH2)3CH2-、-CH2(CH2)4CH2-、-CH=CH-、-CH=CHCH2-、-CH2CH=CH-、-CH=CHCH2CH2-、-CH2CH=CHCH2-又は-CH2CH2CH=CH-であり、Lが非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRyで置換されており、Ryが本明細書に定義される通りである。
【0134】
いくつかの実施形態では、R1がH、重水素、F、Cl、Br、I、-OH、-CN、-NO2、-NH2、-SH、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルキル、C1~6ハロアルコキシ、C1~6アルキルアミノ、C1~6アルキルチオ、シアノC1~6アルキル、アミノC1~6アルキル、ヒドロキシC1~6アルキル又はC3~6シクロアルキルである。
【0135】
他の実施形態では、R1がH、重水素、F、Cl、Br、I、-OH、-CN、-NO2、-NH2、-SH、C1~4アルキル、C2~4アルケニル、C2~4アルキニル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルアミノ、C1~4アルキルチオ、シアノC1~4アルキル、アミノC1~4アルキル、ヒドロキシC1~4アルキル又はC3~6シクロアルキルである。
【0136】
更に他の実施形態では、R1がH、重水素、F、Cl、Br、I、-OH、-CN、-NO2、-NH2、-SH、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ビニル、エチニル、メトキシ、エトキシ、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、シアノメチル、アミノメチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシルである。
【0137】
いくつかの実施形態では、R5及びR6の各々が独立に、H、重水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C3~6シクロアルキル、5~6員ヘテロシクリル、C6~10アリール又は5~6員ヘテロアリールであり;或いはR5、R6が、これらが結合している窒素原子と一緒になって、5~6員複素環式環又は5~6員複素芳香環を形成する。
【0138】
他の実施形態では、R5及びR6の各々が独立に、H、重水素、C1~4アルキル、C2~4アルケニル、C2~4アルキニル、C1~4ハロアルキル、C3~6シクロアルキル、5~6員ヘテロシクリル、C6~10アリール又は5~6員ヘテロアリールであり;或いはR5、R6が、これらが結合している窒素原子と一緒になって、5~6員複素環式環又は5~6員複素芳香環を形成する。
【0139】
更に他の実施形態では、R5及びR6の各々が独立に、H、重水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ビニル、エチニル、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、5~6員ヘテロシクリル、フェニル又は5~6員ヘテロアリールであり;或いはR5、R6が、これらが結合している窒素原子と一緒になって、5~6員複素環式環又は5~6員複素芳香環を形成する。
【0140】
いくつかの実施形態では、R4がF、Cl、Br、I、OH、CN、NO2、NH2、-SH、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルキル、C1~6ハロアルコキシ、C1~6アルキルチオ、C1~6アルキルアミノ、ヒドロキシC1~6アルキル、シアノC1~6アルキル、アミノC1~6アルキル、C3~6シクロアルキル、5~6員ヘテロシクリル、C6~10アリール又は5~6員ヘテロアリールであり、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルキル、C1~6ハロアルコキシ、C1~6アルキルチオ、C1~6アルキルアミノ、ヒドロキシC1~6アルキル、シアノC1~6アルキル、アミノC1~6アルキル、C3~6シクロアルキル、5~6員ヘテロシクリル、C6~10アリール又は5~6員ヘテロアリールの各々が独立に、非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRxで置換されており、Rxが本明細書に定義される通りである。
【0141】
他の実施形態では、R4がF、Cl、Br、I、OH、CN、NO2、NH2、-SH、C1~4アルキル、C2~4アルケニル、C2~4アルキニル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルチオ、C1~4アルキルアミノ、ヒドロキシC1~4アルキル、シアノC1~4アルキル、アミノC1~4アルキル、C3~6シクロアルキル、5~6員ヘテロシクリル、C6~10アリール又は5~6員ヘテロアリールであり、C1~4アルキル、C2~4アルケニル、C2~4アルキニル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルチオ、C1~4アルキルアミノ、ヒドロキシC1~4アルキル、シアノC1~4アルキル、アミノC1~4アルキル、C3~6シクロアルキル、5~6員ヘテロシクリル、C6~10アリール又は5~6員ヘテロアリールの各々が独立に、非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRxで置換されており、Rxが本明細書に定義される通りである。
【0142】
他の実施形態では、R4がF、Cl、Br、I、OH、CN、NO2、NH2、-SH、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ビニル、エチニル、1-プロピニル、プロパルギル、メトキシ、エトキシ、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル(trisfluoromethyl)、トリフルオロメトキシ、メチルチオ、エチルチオ、メチルアミノ、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、シアノメチル、アミノメチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、5~6員ヘテロシクリル、フェニル又は5~6員ヘテロアリールであり、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ビニル、エチニル、1-プロピニル、プロパルギル、メトキシ、エトキシ、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メチルチオ、エチルチオ、メチルアミノ、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、シアノメチル、アミノメチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、5~6員ヘテロシクリル、フェニル又は5~6員ヘテロアリールの各々が独立に、非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRxで置換されており、Rxが本明細書に定義される通りである。
【0143】
いくつかの実施形態では、R2及びR3の各々が独立に、H、重水素、F、Cl、Br、I、OH、CN、NO2、NH2、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルキル、C1~6ハロアルコキシ、C1~6アルキルアミノ、C1~6アルキルチオ、ヒドロキシC1~6アルキル、シアノC1~6アルキル又はアミノC1~6アルキルであり;
【0144】
或いはR2、R3が、これらが結合している
【0145】
【化9】
【0146】
と一緒になって、
【0147】
【化10】
【0148】
を形成し、R2基への結合が*によって特定され、R3基への結合が**によって特定される。
【0149】
いくつかの実施形態では、R2及びR3の各々が独立に、H、重水素、F、Cl、Br、I、OH、CN、NO2、NH2、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ビニル、エチニル、メトキシ、エトキシ、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メチルアミノ、メチルチオ、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、シアノメチル、シアノエチル又はアミノメチルであり;
【0150】
或いはR2、R3が、これらが結合している
【0151】
【化11】
【0152】
と一緒になって、
【0153】
【化12】
【0154】
を形成し、R2基への結合が*によって特定され、R3基への結合が**によって特定される。
【0155】
いくつかの実施形態では、R7及びR8の各々が独立に、H、重水素、F、Cl、Br、I、OH、CN、NO2、NH2、-SH、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C1~6アルキルアミノ、C1~6ハロアルキル、C1~6ハロアルコキシ、C3~8シクロアルキル、3~8員ヘテロシクリル、C6~10アリール又は5~8員ヘテロアリールであり、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C1~6アルキルアミノ、C1~6ハロアルキル、C1~6ハロアルコキシ、C3~8シクロアルキル、3~8員ヘテロシクリル、C6~10アリール又は5~8員ヘテロアリールの各々が独立に、非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRwで置換されており;
或いはR7、R8及びこれらが結合している炭素原子が、C3~8炭素環式環又は3~8員複素環式環を形成し、C3~8炭素環式環及び3~8員複素環式環の各々が独立に、非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRwで置換されており、Rwが本明細書に定義される通りである。
【0156】
他の実施形態では、R7及びR8の各々が独立に、H、重水素、F、Cl、Br、I、OH、CN、NO2、NH2、-SH、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4アルキルアミノ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C3~6シクロアルキル、5~6員ヘテロシクリル、C6~10アリール又は5~6員ヘテロアリールであり、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4アルキルアミノ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C3~6シクロアルキル、5~6員ヘテロシクリル、C6~10アリール又は5~6員ヘテロアリールの各々が独立に、非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRwで置換されており;
或いはR7、R8及びこれらが結合している炭素原子が、C3~7炭素環式環又は5~6員複素環式環を形成し、C3~7炭素環式環及び5~6員複素環式環の各々が独立に、非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRwで置換されており、Rwが本明細書に定義される通りである。
【0157】
更に他の実施形態では、R7及びR8の各々が独立に、H、重水素、F、Cl、Br、I、OH、CN、NO2、NH2、-SH、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、メトキシ、エトキシ、メチルアミノ、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオラニル、ピペリジニル、モルホリニル、硫黄モルホリニル、ピペラジニル、フェニル、フリル、ピロリル、ピリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、1,3,5-トリアジニル、チアゾリル、チエニル、ピラジニル、ピリダジニル又はピリミジニルであり、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、メトキシ、エトキシ、メチルアミノ、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオラニル、ピペリジニル、モルホリニル、硫黄モルホリニル、ピペラジニル、フェニル、フリル、ピロリル、ピリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、1,3,5-トリアジニル、チアゾリル、チエニル、ピラジニル、ピリダジニル又はピリミジニルの各々が独立に、非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRwで置換されており;
或いはR7、R8及びこれらが結合している炭素原子がシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル又はピペラジニルを形成し、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル又はピペラジニルの各々が独立に、非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRwで置換されており、Rwが本明細書に定義される通りである。
【0158】
いくつかの実施形態では、各Rx、Ry及びRwが独立に、重水素、F、Cl、Br、I、CN、NO2、OH、NH2、-SH、=O、-C(=O)OH、-C(=O)NH2、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6アルキルアミノ又はC1~6ハロアルコキシである。
【0159】
他の実施形態では、各Rx、Ry及びRwが独立に、重水素、F、Cl、Br、I、CN、NO2、OH、NH2、-SH、=O、-C(=O)OH、-C(=O)NH2、C1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4アルコキシ、C1~4アルキルアミノ又はC1~4ハロアルコキシである。
【0160】
更に他の実施形態では、各Rx、Ry及びRwが独立に、重水素、F、Cl、Br、I、CN、NO2、OH、NH2、-SH、=O、-C(=O)OH、-C(=O)NH2、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、メチルアミノ又はトリフルオロメトキシである。
【0161】
他の実施形態では、本発明は、式(III)を有する化合物又はその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、N-オキシド、溶媒和物、代謝産物、薬学的に許容される塩、二量体、三量体若しくはプロドラッグ
【0162】
【化13】
【0163】
(式中、R1、R4、R5、R6、R7、R8、L及びYは本明細書に定義される通りである)
に関する。
【0164】
他の実施形態では、本発明は、式(IV)を有する化合物又はその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、N-オキシド、溶媒和物、代謝産物、薬学的に許容される塩、二量体、三量体若しくはプロドラッグ
【0165】
【化14】
【0166】
(式中、R1、R4、R5、R6、R7、R8、L及びYは本明細書に定義される通りである)
に関する。
【0167】
更に他の実施形態では、本発明は、以下の1つの構造又はその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、N-オキシド、溶媒和物、代謝産物、薬学的に許容される塩、二量体、三量体若しくはプロドラッグ
【0168】
【化15】
【0169】
に関する。
【0170】
更なる態様では、本明細書に開示される化合物を含む医薬組成物が本明細書で提供される。
【0171】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物が、薬学的に許容される担体、賦形剤、アジュバント、ビヒクル又はこれらの組合せを更に含む。
【0172】
他の実施形態では、医薬組成物が、液体、固体、半固体、ゲル又はスプレーの形態であり得る。
【0173】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物が1種又は複数の追加の治療薬を更に含み、追加の治療薬が抗糖尿病薬、抗高血糖薬、抗肥満薬、抗高血圧薬、食欲抑制薬、脂質低下薬又はこれらの組合せから選択される。
【0174】
他の実施形態では、本明細書に開示される抗糖尿病薬及び抗高血糖薬が、SGLT2阻害剤、ビグアナイド、スルホニル尿素、グルコシダーゼ阻害剤、PPARアゴニスト(ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体アゴニスト)、αP2阻害剤(脂肪細胞脂肪酸結合タンパク質阻害剤)、PPARα/γ二重活性化因子(ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体α/γ二重活性化因子)、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤、グリニド、インスリン、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)阻害剤、PTP1B阻害剤(タンパク質チロシンホスファターゼ1B阻害剤)、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルコース-6-ホスファターゼ阻害剤又はこれらの組合せから独立に選択される。
【0175】
他の実施形態では、本明細書に開示される抗肥満薬が、抗中心性肥満薬、MCH(メラニン凝集ホルモン)受容体アンタゴニスト、ニューロペプチドY受容体アンタゴニスト、及びカンナビノイド受容体アンタゴニスト、脳腸ペプチドアンタゴニスト、リパーゼ阻害剤、β3アゴニスト、11β-HSD1(11βヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1)阻害剤、DGAT-1(ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ1)阻害剤、ペプチド食欲抑制薬、コレシストキニンアゴニスト、摂食阻害剤又はこれらの組合せから選択される。
【0176】
他の実施形態では、本発明の抗高血圧薬が、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、カルシウムチャネルアンタゴニスト、カリウムチャネル開口薬、利尿薬又はこれらの組合せから選択される。
【0177】
他の実施形態では、本明細書に開示される脂質低下薬が、MTP阻害剤(ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質阻害剤)、HMGCoAレダクターゼ阻害剤(ヒドロキシメチルグルタリル補酵素Aレダクターゼ阻害剤)、スクアレンシンターゼ阻害剤、ベータ酪酸の脂質低下薬(フィブラート脂質低下薬としても知られる)、ACAT阻害剤(アセチルコレステリルアセチルトランスフェラーゼ阻害剤)、リポキシゲナーゼ阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、回腸Na(+)/胆汁酸共輸送体阻害剤、LDL受容体活性の上方制御剤、ナイアシンの脂質低下薬、胆汁酸キレート又はこれらの組合せから選択される。
【0178】
更に他の実施形態では、本明細書に開示される脂質低下薬が、プラバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、アタバスタチン、ロスバスタチン又はこれらの組合せである。
【0179】
更なる態様では、本発明は、医薬の調製における本明細書に開示される化合物又は医薬組成物の使用であって、医薬がSGLT1を阻害するために使用される、使用に関する。
【0180】
更なる態様では、本発明は、医薬の調製における本明細書に開示される化合物又は医薬組成物の使用であって、医薬が腸内環境を改善するために使用される、使用に関する。
【0181】
更なる態様では、本発明はまた、医薬の調製における本明細書に開示される化合物又は医薬組成物の使用であって、医薬が疾患を予防若しくは処置する、疾患の症状を減少させる、又は疾患の進行若しくは発症を遅延させるために使用され、疾患が糖尿病、糖尿病合併症、インスリン抵抗性、高血糖、高インスリン血症、高脂血症、肥満、X症候群、粥状動脈硬化、心血管疾患、うっ血性心不全、低マグネシウム血症、低ナトリウム血症、腎不全、血中濃度に関連する障害、便秘又は高血圧である、使用に関する。
【0182】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される糖尿病合併症が、糖尿病性網膜症、糖尿病性ニューロパチー又は糖尿病性腎症である。
【0183】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される高脂血症が高トリグリセリド血症である。
【0184】
更なる態様では、本発明は、本発明の化合物又は医薬組成物を使用してSGLT1活性を阻害する方法であって、治療上有効量の化合物又は医薬組成物を患者に投与する工程を含む方法に関する。
【0185】
更なる態様では、本発明は、本発明の化合物又は医薬組成物を使用して腸内環境を改善する方法であって、治療上有効量の化合物又は医薬組成物を患者に投与する工程を含む方法に関する。
【0186】
更なる態様では、本発明は、本発明の化合物又は医薬組成物を使用して以下の疾患を予防又は処置する方法であって、有効治療用量の本発明の化合物又は医薬組成物を患者に投与する工程を含み、疾患が糖尿病、糖尿病合併症、インスリン抵抗性、高血糖、高インスリン血症、高脂血症、肥満、X症候群、粥状動脈硬化、心血管疾患、うっ血性心不全、低マグネシウム血症、低ナトリウム血症、腎不全、血中濃度に関連する障害又は高血圧である、方法に関する。更に、本明細書で提供される上記化合物又は医薬組成物は他の療法又は治療薬と共投与され得る。投与様式は、同時に、順次に又は一定の時間間隔で行うことができる。
【0187】
治療効果、予防効果又は持続効果を実施するために要求される化合物又は医薬組成物の投与量は、一般的に、投与される具体的な化合物、患者、具体的な疾患又は状態及びその重症度、投与経路及び頻度等に依存し、具体的な状況に従って担当医によって決定される必要がある。例えば、本明細書で提供される化合物又は医薬組成物は、静脈内に適用する場合、1週間に1回、又は更に長い間隔で適用することができる。
【0188】
更なる態様では、本発明は、SGLT1の活性を阻害するための本明細書に開示される化合物又は医薬組成物の適用に関する。
【0189】
更なる態様では、本発明は、腸内環境を改善するための本明細書に開示される化合物又は医薬組成物の適用に関する。
【0190】
更なる態様では、本発明は、以下の疾患を予防若しくは処置する、疾患の症状を減少させる、又は疾患の進行若しくは発症を遅延させるための本明細書に開示される化合物又は医薬組成物の適用であって、疾患が糖尿病、糖尿病合併症、インスリン抵抗性、高血糖、高インスリン血症、高脂血症、肥満、X症候群、粥状動脈硬化、心血管疾患、うっ血性心不全、低マグネシウム血症、低ナトリウム血症、腎不全、血中濃度に関連する障害又は高血圧である、適用に関する。
【0191】
いくつかの実施形態では、塩が薬学的に許容される塩を指す。「薬学的に許容される」という用語は、物質又は組成物が、他の成分を含有する製剤及び/又はそれで処置される哺乳動物と化学的及び/又は毒物学的に適合性でなければならないことを意味する。
【0192】
本発明の化合物はまた、必ずしも薬学的に許容される塩ではなく、本発明の化合物を調製及び/又は精製するために使用され得る、並びに/或いは本発明の化合物のエナンチオマーの中間体を分離するために使用され得る、このような化合物の他の塩も含む。
【0193】
薬学的に許容される酸付加塩は無機酸及び有機酸を用いて形成することができ、例えば酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、臭化物/臭化水素酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、カンファースルホン酸塩、塩化物/塩酸塩、クロルテオフィロネート(chlortheophyllonate)、クエン酸塩、エタンジスルホン酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、馬尿酸塩、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフトエ酸塩、ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オクタデカン酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/水素、リン酸塩/二水素、リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、次サリチル酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩及びトリフルオロ酢酸塩であり得る。
【0194】
塩を誘導することができる無機酸には、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等が含まれる。
【0195】
塩を誘導することができる有機酸には、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルホサリチル酸等が含まれる。
【0196】
薬学的に許容される塩基付加塩は、無機塩基及び有機塩基を用いて形成することができる。
【0197】
塩を誘導することができる無機塩基には、例えば、アンモニウム塩及び周期表のI~XII族の金属が含まれる。一定の実施形態では、塩が、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、銀、亜鉛及び銅から誘導され;特に適した塩には、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム及びマグネシウム塩が含まれる。
【0198】
塩を誘導することができる有機塩基には、例えば、第一級、第二級及び第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂等が含まれる。一定の有機アミンには、例えばイソプロピルアミン、ベンザチン、コリネート(cholinate)、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、リジン、メグルミン、ピペラジン及びトロメタミンが含まれる。
【0199】
本発明の薬学的に許容される塩は、慣用的な化学法によって、親化合物、塩基性又は酸性部分から合成することができる。一般的に、このような塩は、これらの化合物の遊離酸形態を化学量論的な量の適切な塩基(例えば、水酸化、炭酸、重炭酸Na、Ca、Mg若しくはK等)と反応させることによって、又はこれらの化合物の遊離塩基形態を化学量論的な量の適切な酸と反応させることによって調製することができる。このような反応は、典型的には水中若しくは有機溶媒中、又は2つの混合物中で行われる。一般的に、実行可能な場合、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール又はアセトニトリルの等の非水性媒体の使用が望ましい。追加の適切な塩のリストは、例えば「Remington's Pharmaceutical Sciences」、第20版、Mack Publishing Company、Easton、Pa.、(1985);並びに「Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use」 Stahl及びWermuth(Wiley-VCH、Weinheim、ドイツ、2002)に見出すことができる。
【0200】
更に、その塩を含む本発明の化合物は、その水和物の形態でも得ることもできる、又はその結晶化のための他の溶媒を含むこともできる。本発明の化合物は、本質的に又は計画的に、薬学的に許容される溶媒(水を含む)と溶媒和物を形成することができ;したがって、本発明の化合物は溶媒和形態と非溶媒和形態の両方を含む。
【0201】
本明細書で与えられるいずれの式も、化合物の同位体非濃縮形態並びに同位体濃縮形態を表すことを意図している。同位体濃縮化合物は、1個又は複数の原子が選択された原子質量又は質量数を有する原子によって置き換えられていることを除いて、本明細書で与えられる一般式によって描かれる構造を有する。本発明の化合物に組み込むことができる例示的な同位体には、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素及び塩素の同位体、例えば2H、3H、11C、13C、14C、15N、18F、31P、32P、36S、37Cl又は125Iが含まれる。
【0202】
更なる態様では、本発明の化合物が、本発明に定義される同位体濃縮化合物、例えば3H、14C及び18F等の放射性同位体、又は2H及び13C等の非放射性同位体が存在するものを含む。このような同位体濃縮化合物は、代謝研究(14Cを用いる)、反応速度研究(例えば、2若しくは3を用いる)、検出若しくはイメージング技術、例えば陽電子放射断層撮影(PET)若しくは単一光子放射断層撮影(SPECT)(薬物若しくは基質組織分布アッセイを含む)、又は患者の放射性処置に有用である。18F濃縮化合物は、PET又はSPECT研究にとって特に望ましいものとなり得る。式(I)、(II)、(III)又は(IV)の同位体濃縮化合物は、一般的に、以前使用された非標識試薬の代わりに、適切な同位体標識試薬を使用して、当業者に公知の慣用的な技術によって、又は付随する例及び調製に記載されるものと類似のプロセスによって調製することができる。
【0203】
更に、重同位体、特に重水素(すなわち、2H又はD)による置換は、より大きな代謝安定性に起因する一定の治療上の利点、例えばインビボ半減期の増加又は投与量要求の減少又は治療指数の改善をもたらし得る。この文脈における重水素は式(I)の化合物の置換基とみなされることが理解される。このような重同位体、具体的には重水素の濃度は、同位体濃縮係数によって定義され得る。本明細書で使用される「同位体濃縮係数」という用語は、指定される同位体の同位体存在度と天然存在度との間の比を意味する。本発明の化合物の置換基が重水素として指定される場合、このような化合物は、少なくとも3500(各指定される重水素原子で52.5%の重水素取り込み)、少なくとも4000(60%の重水素取り込み)、少なくとも4500(67.5%の重水素取り込み)、少なくとも5000(75%の重水素取り込み)、少なくとも5500(82.5%の重水素取り込み)、少なくとも6000(90%の重水素取り込み)、少なくとも6333.3(95%の重水素取り込み)、少なくとも6466.7(97%の重水素取り込み)、少なくとも6600(99%の重水素取り込み)、又は少なくとも6633.3(99.5%の重水素取り込み)の各指定される重水素原子についての同位体濃縮係数を有する。本発明の薬学的に許容される溶媒和物は、結晶化の溶媒が同位体置換されていてもよいもの、例えば、D2O、d6-アセトン、DMSO-d6を含む。
【0204】
前記は本明細書に開示される一定の態様を単に要約しているにすぎず、これらの態様に限定されない。他の態様を以下でより完全に説明する。
【0205】
本発明の化合物の医薬組成物及び製剤及び投与
本発明は、本発明の化合物若しくは例に示される構造の化合物、又はその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、N-オキシド、溶媒和物、代謝産物、二量体、三量体及び薬学的に許容される塩若しくはプロドラッグを含む医薬組成物に関する。医薬組成物は、少なくとも1種の薬学的に許容される担体、アジュバント、賦形剤、ビヒクル又はこれらの組合せと、場合により、他の治療成分及び/又は予防成分とを更に含む。本明細書に開示される組成物中の化合物の量は、生体試料又は患者においてナトリウム依存性グルコース輸送体1(SGLT1)活性を阻害するための有効で検出可能な量である。
【0206】
本明細書に開示される化合物が、処置のために遊離形態で、又は適切な場合には、その薬学的に許容される誘導体として存在することができることも理解されよう。薬学的に許容される誘導体のいくつかの非限定的な例としては、必要とする患者に投与すると、本明細書で別名で記載される化合物又はその代謝産物若しくは残基を直接的又は間接的に提供することができる、薬学的に許容されるプロドラッグ、塩、エステル、このようなエステルの塩又は任意の他の付加物若しくは誘導体が挙げられる。
【0207】
薬学的に許容される担体は、化合物の生物学的活性を不当に阻害しない不活性成分を含有し得る。薬学的に許容される担体は、患者に投与したら、生体適合性、例えば非毒性、非炎症性、非免疫原性であるべきである、又は他の有害効果も副作用もあるべきでない。標準的な製薬技術を使用することができる。
【0208】
本明細書に記載されるように、本明細書に開示される医薬組成物又は薬学的に許容される組成物は、本明細書で使用される場合、特定の所望の剤形に適した、任意の及び全ての溶媒、希釈剤、又は他の液体ビヒクル、分散助剤又は懸濁助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤又は乳化剤、保存剤、固体結合剤、潤滑剤等を含む、薬学的に許容される担体、アジュバント又は賦形剤を更に含む。各々の内容が参照により本明細書に組み込まれる、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第21版、2005、編者D.B.Troy、Lippincott Williams&Wilkins、フィラデルフィア並びにEncyclopedia of Pharmaceutical Technology、編者J.Swarbrick及びJ.C.Boylan、1988~1999、Marcel Dekker、ニューヨークは、薬学的に許容される組成物の製剤化に使用される様々な担体及びそれらを調製するための公知の技術を開示した。慣用的な担体媒体が、例えば任意の望ましくない生物学的効果をもたらす、又は薬学的に許容される組成物の任意の他の成分と有害な方法で相互作用する等、本明細書に開示される化合物と不適合性である場合を除いて、任意の他の慣用的な担体媒体及びその使用が本発明の範囲内にあることが熟慮される。
【0209】
薬学的に許容される担体として使用することができる物質のいくつかの非限定的な例としては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝剤物質(例えば、tween 80、ホスフェート、グリシン、ソルビン酸又はソルビン酸カリウム)、飽和植物性脂肪酸のメタグリセリド混合物、水、塩又は電解質(例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム又は亜鉛塩)、シリカゲル、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリプロピレンオキシド-ブロックコポリマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラノリン、糖類(例えば、ラクトース、グルコース及びスクロース)、デンプン(例えば、コーンスターチ及びジャガイモデンプン)、セルロース及びその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロース)、粉末ガム、麦芽、ゼラチン、タルク、賦形剤(例えば、カカオ(cocoa)脂及び坐剤ワックス)、油(例えば、落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油及び大豆油)、エチレングリコール(例えば、プロピレングリコール又はポリエチレングリコール)、エステル(例えば、オレイン酸エチル及びドデカン酸エチル)、寒天、緩衝剤(例えば、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム)、アルギン酸、パイロジェンフリー水、等張生理食塩水、リンゲル液、エタノール及びリン酸緩衝液が挙げられ、他の非毒性適合性潤滑剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウム)、並びに着色剤、固着防止剤、コーティング剤、甘味剤及び香味増強剤、保存剤及び抗酸化剤も、配合者の判断に従って組成物中に存在することができる。
【0210】
本発明の化合物又は組成物は、任意の適切な方法で投与することができ、感染症の重症度に従って、経口、直腸、非経口、大槽内、膣内、腹腔内、局所的に(粉末、軟膏若しくは液滴を通して)、経口若しくは経鼻スプレーとして経口等でヒト又は他の動物に投与することができる。
【0211】
経口投与用の液体剤形には、それだけに限らないが、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシルが含まれる。活性化合物に加えて、液体剤形は、当技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤、例えば水又は他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカーボネート、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル、並びにこれらの混合物を含有し得る。不活性希釈剤に加えて、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤又は懸濁化剤、甘味剤、香味剤及びフレーバー増強剤等のアジュバントも含有し得る。
【0212】
滅菌注射用水又は油懸濁液等の注射用調製物は、公知の技術に従って、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁液を使用して調製することができる。滅菌注射用調製物はまた、非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の滅菌注射用溶液、懸濁液又はエマルジョン、例えば1,3-ブタンジオール中溶液であり得る。許容されるビヒクル及び溶媒には、水、リンゲル液、U.S.P.及び等張塩化ナトリウム溶液が含まれる。更に、滅菌の不揮発性油が溶媒又は懸濁媒として慣用的に採用される。この目的のために、合成モノグリセリド又はジグリセリドを含む任意の無臭の固定油が採用され得る。更に、オレイン酸等の脂肪酸が注射液を調製するために使用される。
【0213】
例えば、滅菌水又は他の滅菌注射用媒体に事前に溶解した又は分散可能な注射用調製物は、細菌保持フィルターを通した濾過によって、又は滅菌固体組成物の添加によって滅菌することができる。
【0214】
本発明の化合物又は組成物の作用を延長するために、皮下注射又は筋肉内注射によって化合物の吸収を遅延させることがしばしば望ましい。これは、水溶性が乏しい結晶性(crystallineline)又は非晶質材料の液体懸濁液の使用によって達成され得る。その場合、化合物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、溶解速度は血漿サイズ及び結晶形態に依存し得る。或いは、非経口投与された化合物の遅延吸収は、化合物を油ビヒクルに溶解又は懸濁することによって達成することができる。注射用デポー形態は、ポリラクチド-ポリクリコール酸等の生分解性ポリマー中で化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成することによって調製される。化合物の放出速度は、化合物のポリマーに対する比及び採用される特定のポリマーの性質に基づいて制御することができる。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリオルトエステル及びポリ無水物が挙げられる。注射用デポー製剤はまた、化合物を、体組織に適合性のリポソーム又はマイクロエマルジョンに捕捉させることによっても調製される。
【0215】
直腸又は膣投与用の組成物は、特に、本発明の化合物と適切な非刺激性賦形剤又は担体、例えばカカオバター、ポリエチレングリコール又は坐剤ワックスを混和することによって調製することができる坐剤である。賦形剤又は担体は、室温で固体であるが、体温で液体であり、よって、直腸又は膣腔内で融解し、活性化合物を放出する。
【0216】
経口投与用の固体剤形には、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤及び顆粒剤が含まれる。これらの剤形では、活性化合物が、少なくとも1種の薬学的に許容される不活性賦形剤又は担体、例えばクエン酸ナトリウム又はリン酸カルシウム並びに/或いはa)充填剤又は嵩高剤、例えばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール及びケイ酸、b)結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース及びアカシア、c)保水剤、例えばグリセロール、d)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプン又はタピオカデンプン、アルギン酸、一定のケイ酸塩及び炭酸ナトリウム、e)ブロッカー溶液、例えばパラフィン、f)吸収促進剤、例えば第四級アミン、g)湿潤剤、例えばセチルアルコール及びモノステアリン酸グリセリル、h)吸収剤、例えばカオリン及びベントナイト、i)潤滑剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム及びこれらの混合物と混合される。カプセル剤、錠剤及び丸剤の場合、剤形が緩衝剤も含み得る。
【0217】
類似の型の固体組成物が、ラクトース又は乳糖並びに高分子量ポリエチレングリコール等の賦形剤を使用して、ソフト及びハードゲルカプセルの充填剤としても採用され得る。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤及び顆粒剤の固体剤形は、製薬分野で周知の腸溶性コーティング及び他のコーティング等のコーティング及びシェルを用いて調製することができる。これらは、場合により乳化剤を含有してもよく、場合により遅延した方法で、又は好ましくは腸の一部でのみ有効成分を放出することができるような組成物の特性も有し得る。使用することができる包埋組成物の例としては、ポリマー物質及びワックスが挙げられる。類似の型の固体組成物が、ラクトース又は乳糖並びに高分子量ポリエチレングリコール等の賦形剤を使用して、ソフト及びハードゲルカプセルの充填剤としても採用され得る。
【0218】
活性化合物は、上記賦形剤の1つ又は複数と共にマイクロカプセル化された形態で提供することもできる。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤及び顆粒剤の固体剤形は、製薬分野で周知の腸溶性コーティング、制御放出コーティング及び他のコーティング等のコーティング及びシェルを用いて調製することができる。これらの固体剤形では、活性化合物が少なくとも1種の不活性希釈剤、例えばスクロース、ラクトース又はデンプンと混合され得る。一般に、このような剤形は、不活性希釈剤以外の追加の材料、例えば打錠用潤滑剤及び他の打錠用アジュバント、例えばステアリン酸マグネシウム及び微結晶セルロースも含有し得る。カプセル剤、錠剤及び丸剤の場合、剤形が緩衝剤も含み得る。これらは、場合により乳化剤を含有してもよく、場合により遅延した方法で、又は好ましくは腸の一部でのみ有効成分を放出することができるような組成物の特性も有し得る。使用することができる包埋組成物の例としては、ポリマー物質及びワックスが挙げられる。
【0219】
本発明の化合物の局所又は経皮投与形態には、軟膏、軟膏、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入薬又はパッチが含まれる。活性化合物は、無菌条件下で、薬学的に許容される担体及び任意の要求される保存剤又は要求され得る緩衝剤と混和される。眼科用製剤、点耳液及び点眼液も本発明の範囲内とみなされる。更に、本発明は、化合物の体への送達を制御する追加の利点を提供する経皮パッチの使用を熟慮する。剤形は、化合物を適切な媒体に溶解又は分散することによって調製することができる。吸収促進剤を使用して、皮膚を通した化合物の流動を増加させることもできる。速度制御膜を提供することによって、又は化合物をポリマーマトリックス若しくはゲルに分散することによって、速度を制御することができる。
【0220】
本発明の組成物はまた、経口、非経口、吸入スプレーにより、局所、直腸、経鼻、経口、経膣又はキットの埋め込みによっても投与され得る。本発明で使用される「非経口」という用語は、それだけに限らないが、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、関節滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、肝内、病巣内及び頭蓋内注射又は注入技術を含む。特に、組成物は経口、腹腔内又は静脈内投与される。
【0221】
本発明の組成物の滅菌注射用形態は水性又は油性懸濁液であり得る。これらの懸濁液は、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤を使用して、当技術分野で公知の技術を用いて調製することができる。滅菌注射用調製物はまた、非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の滅菌注射用溶液又は懸濁液、例えば1,3-ブタンジオール中溶液であり得る。許容されるビヒクル及び溶媒には、水、リンゲル液、U.S.P.及び等張塩化ナトリウム溶液が含まれる。更に、滅菌の不揮発性油が溶媒又は懸濁媒として慣用的に採用される。この目的のために、合成モノグリセリド又はジグリセリドを含む任意の無臭の固定油が採用され得る。更に、オリーブ油又はヒマシ油等の、特にポリオキシエチレン化の形態の天然の薬学的に許容される油と同様に、オレイン酸及びそのグリセリド誘導体等の脂肪酸が注射液の調製に使用される。これらの油溶液又は懸濁液は、長鎖アルコール希釈剤又は分散剤、例えばカルボキシメチルセルロース、又はエマルジョン及び懸濁液を含む薬学的に許容される製剤の製剤化に慣用的に採用される類似の分散剤も含有し得る。他の一般的に使用される界面活性剤、例えばTween、Span、及び薬学的に許容される固体、液体又は他の剤形の製造に一般的に使用される他の乳化剤又はバイオアベイラビリティ増強剤も製剤化の目的に使用され得る。
【0222】
本発明の医薬組成物は、それだけに限らないが、カプセル剤、錠剤、水性懸濁液又は溶液を含む任意の経口的に許容される剤形で経口投与することができる。経口錠剤の場合、慣用的な担体には、それだけに限らないが、ラクトース及びデンプンが含まれる。ステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤も通常添加される。カプセル形態での経口投与のために、有用な希釈剤には、ラクトース及び乾燥コーンスターチが含まれる。水性懸濁液が経口的に要求される場合、有効成分は乳化剤及び懸濁化剤と組み合わせられる。所望であれば、いくつかの甘味剤、フレーバー増強剤又は着色剤を添加してもよい。
【0223】
或いは、本発明の医薬組成物は、直腸使用のために坐剤の形態で投与され得る。医薬組成物は、薬剤と、室温で固体であるが、直腸温度で液体であり、したがって、直腸内で融解して薬物を放出する非刺激性賦形剤を混合することによって調製することができる。このような物質には、それだけに限らないが、カカオバター、ビーズワックス及びポリエチレングリコールが含まれる。
【0224】
本発明の医薬組成物はまた、特に治療標的が局所投与によって容易にアクセス可能な領域又は器官(眼、皮膚又は下部腸疾患を含む)を含む場合に、局所投与され得る。領域又は器官の各々に適した局所製剤を調製することは容易である。
【0225】
下部腸管への局所投与は、肛門坐剤製剤(上記参照)又は適切な浣腸製剤で達成することができる。局所皮膚パッチを使用することもできる。
【0226】
局所投与のために、医薬組成物は、1種又は複数の担体に懸濁又は溶解した活性成分を含有する適切な軟膏として製剤化され得る。局所投与に適した本発明の化合物の担体には、それだけに限らないが、鉱油、黄色ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、乳化ワックス及び水が含まれる。或いは、医薬組成物は、1種又は複数の薬学的に許容される担体に懸濁又は溶解した活性成分を含有する適切なローション又はクリームとして製剤化され得る。適切な担体には、それだけに限らないが、鉱油、pan-60(ソルビタンモノステアレート)、Tween 60(ポリソルベート60)、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコール及び水が含まれる。
【0227】
眼科的使用のために、医薬組成物は、塩化ベンザルコニウム等の保存剤を含む又は含まない、等張性pH調節をした滅菌生理食塩水中微粉化懸濁液、又は特に等張性pH調節をした滅菌生理食塩水溶液に製剤化され得る。或いは、眼科的使用のために、医薬組成物を、ワセリン等のクリームとして製剤化することができる。
【0228】
医薬組成物はまた、鼻エアロゾル又は吸入によって投与することもできる。組成物は、製薬分野で周知の技術に従って調製され、ベンジルアルコール及び他の適切な保存剤、バイオアベイラビリティ吸収促進剤、フルオロカーボン及び/又は他の慣用的な可溶化剤若しくは分散剤を使用してブライン中溶液に調製される。
【0229】
本発明の方法に使用される化合物は単位剤形に製剤化することができる。「単位剤形」という用語は、各単位が、場合により適切な医薬担体と合わせて、所望の治療効果をもたらすよう計算された所定量の活性物質を含有する、対象の単位用量として適した物理的に離散した単位を指す。単位剤形は、1日1回投与又は1日複数回投与(例えば、1日当たり約1~4回若しくはそれ以上)の1回として投与することができる。1日複数回投与を使用する場合、各投与の単位剤形は同じであっても異なっていてもよい。
【0230】
本明細書に開示される化合物は、単独の医薬として、又は1種若しくは複数の他の追加の治療(医)薬と組み合わせて(組合せが許容できない有害効果を引き起こさない)投与することができる。これは、糖尿病、糖尿病合併症及び他の関連疾患の処置に特に関連し得る。これらの疾患のいくつかの非限定的な例としては、I型糖尿病、II型糖尿病、糖尿病性網膜症、糖尿病性ニューロパチー、糖尿病性腎症、インスリン抵抗性、高血糖、高インスリン血症、脂肪酸又はグリセロールの上昇した血中レベル、高脂血症、肥満、高トリグリセリド血症、X症候群、糖尿病合併症、粥状動脈硬化、心血管疾患、うっ血性心不全、低マグネシウム血症、低ナトリウム血症、腎不全、血中濃度に関連する障害、及び高血圧が挙げられる。本明細書で使用される場合、追加の治療薬には、抗糖尿病薬、抗高血糖薬、抗肥満薬、抗高血圧薬、食欲抑制薬、脂質低下薬又はこれらの組合せが含まれる。
【0231】
本明細書に開示される抗糖尿病薬には、それだけに限らないが、SGLT2阻害剤(例えば、ダパグリフロジン、カナグリフロジン、トホグリフロジン、イプラグリフロジン、ルセオグリフロジン、エンパグリフロジン)、ビグアナイド(例えば、フェンホルミン、メトホルミン)、スルホニル尿素(例えば、アセトヘキサミド、クロルプロパミド、グリベンクラミド、グリピジド、グリクラジド、グリメピリド、グリペンチド、グリキドン、トラザミド及びトルブタミド)、メグリチニド、グリニド(例えば、レパグリニド、ナテグリニド)、α-グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース)、α-グルコシダーゼ阻害剤(エステラーゼ、カミグリボース、エミグリテート、ミグリトール、ボグリボース、プラジミシン、サルボスタチン)、PPARアゴニスト(例えば、バラグリタゾン、シグリタゾン、ダルグリタゾン、エングリタゾン、イサグリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン及びトログリタゾン)、PPARα/γ二重アゴニスト(例えば、CLX-0940、GW-1536、GW-1929、GW-2433、KRP-297、L-796449、LR-90、MK-0767及びSB-219994)、DPP-IV阻害剤(例えば、シタグリプチン、ビダグリプチン、アログリプチン、リナグリプチン及びサキサグリプチン)、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)アゴニスト(例えば、エキセンジン-3及びエキセンジン-4)、タンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP-1B)阻害剤(例えば、トロズスクエミン、ヒルチオサール(hyrtiosal)抽出物及びZhang,S.ら、Drug Discovery Today、12(9/10)、373~381頁、2007によって開示される化合物)、インスリン、インスリン模倣物、肝グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、VPAC2受容体アゴニスト、グルコキナーゼ活性化因子、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤又はグルコース-6-ホスファターゼ阻害剤、αP2阻害剤、アセチル-CoAカルボキシラーゼ-2(ACC-2)阻害剤、ホスホジエステラーゼ(PDE)-10阻害剤、ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT)1又は2阻害剤、グルコース輸送体4(GLUT4)調節因子及びグルタミン-フルクトース-6-リン酸アミドトランスフェラーゼ(GFAT)阻害剤が含まれる。
【0232】
本明細書に開示される抗高血糖薬には、それだけに限らないが、SGLT2阻害剤(例えば、ダパグリフロジン、カナグリフロジン、トホグリフロジン、イプラグリフロジン、ルセオグリフロジン、エンパグリフロジン)、ビグアナイド(例えば、フェンホルミン、メトホルミン)、スルホニル尿素(例えば、アセトヘキサミド、クロルプロパミド、グリベンクラミド、グリピジド、グリクラジド、グリメピリド、グリペンチド、グリキドン、トラザミド及びトルブタミド)、メグリチニド、グリニド(例えば、レパグリニド、ナテグリニド)、α-グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース)、α-グルコシダーゼ阻害剤(エステラーゼ、カミグリボース、エミグリテート、ミグリトール、ボグリボース、プラジミシン、サルボスタチン)、PPARアゴニスト(例えば、バラグリタゾン、シグリタゾン、ダルグリタゾン、エングリタゾン、イサグリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン及びトログリタゾン)、PPARα/γ二重アゴニスト(例えば、CLX-0940、GW-1536、GW-1929、GW-2433、KRP-297、L-796449、LR-90、MK-0767及びSB-219994)、DPP-IV阻害剤(例えば、シタグリプチン、ビダグリプチン、アログリプチン、リナグリプチン及びサキサグリプチン)、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)アゴニスト(例えば、エキセンジン-3及びエキセンジン-4)、タンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP-1B)阻害剤(例えば、トロズスクエミン、ヒルチオサール抽出物及びZhang,S.ら、Drug Discovery Today、12(9/10)、373~381頁、2007によって開示される化合物)、インスリン、インスリン模倣物、肝グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、VPAC2受容体アゴニスト、グルコキナーゼ活性化因子、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤又はグルコース-6-ホスファターゼ阻害剤、αP2阻害剤、アセチル-CoAカルボキシラーゼ-2(ACC-2)阻害剤、ホスホジエステラーゼ(PDE)-10阻害剤、ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT)1又は2阻害剤、グルコース輸送体4(GLUT4)調節因子及びグルタミン-フルクトース-6-リン酸アミドトランスフェラーゼ(GFAT)阻害剤が含まれる。
【0233】
本明細書に開示される抗肥満薬には、それだけに限らないが、抗中心性肥満薬(例えば、デクスフェンフルラミン、フェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、アンフェプラモン、d-アンフェタミン、マジドール、フェニルプロパノールアミン、クロベンゾレックス、MHC受容体アゴニスト(例えば、国際公開第06035967号に記載される化合物、SB-568849;SNAP-7941、T-226296)、ニューロペプチドY受容体アンタゴニスト(例えば、CP-422935)、カンナビノイド受容体アンタゴニスト(例えば、リモナバント、SR-147778)、脳腸ペプチドアンタゴニスト、リパーゼ阻害剤(例えば、オルリスタット、ATL-962)、β3アゴニスト(例えば、AJ-9677、AZ40140)、11β-HSD1阻害剤(例えば、BVT-3498、INCB13739)、DGAT-1阻害剤、ペプチド食欲抑制薬(例えば、レプチン、CNTF(毛様体神経栄養因子))、コレシストキニンアゴニスト(例えば、リンチトリプト(lintitript))、摂食阻害剤(例えば、P-57)が含まれる。
【0234】
本明細書に開示される脂質低下薬には、それだけに限らないが、MTP阻害剤、HMGCoAレダクターゼ阻害剤、スクアレンシンターゼ阻害剤、フィブリン酸誘導体、ACAT阻害剤、リポキシゲナーゼ阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、回腸Na(+)/胆汁酸共輸送体阻害剤、LDL受容体活性の上方制御剤、胆汁酸封鎖剤又はナイアシン脂質低下薬が含まれる。いくつかの実施形態では、脂質低下薬が、プラバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、アタバスタチン及びロスバスタチンから選択される。抗肥満薬には、CB-1アンタゴニスト(例えば、リモナバント、タラナバント、スリナバント、オテナバント、SLV319及びAVE1625)、腸選択的MTP阻害剤(例えば、ジルロタピド、ミトラタピド及びインプリタピド)、CCKaアゴニスト、5-HT2cアゴニスト(例えば、ロルカセリン)、MCR4アゴニスト、リパーゼ阻害剤(例えば、セチリスタット)、PYY3-36、オピオイドアンタゴニスト(例えば、ナルトレキソン)、オレオイル-エストロン、オビネピチド、プラムリンチド、テソフェンシン、レパコニン(lepaconine)、リラグルチド、ブロモクリプチン、オルリスタット、エキセナチド、AOD-9604及びシブトラミド(sibutramide)が含まれる。
【0235】
適切な抗炎症薬には、性器/尿道感染症を予防及び処置するための薬物、例えばクランベリー(Vaccinium macrocarpon)及びその誘導体、例えばクランベリー(Vaccinium macrocarpon)ジュース、クランベリー(Vaccinium macrocarpon)抽出物又はクランベリー(Vaccinium macrocarpon)のフラボノールが含まれる。更に、他の適切な抗炎症薬には、それだけに限らないが、アスピリン、非ステロイド性抗炎症薬、糖質コルチコイド、スルファサラジン及びシクロオキシゲナーゼII選択的阻害剤等が含まれる。
【0236】
本発明の化合物及び医薬組成物の使用
本明細書に開示される化合物又は組成物中の化合物の量は、ナトリウム依存性グルコース輸送体(SGLT)活性、特にSGLT1の活性を阻害するために有効で検出可能な量である。よって、本発明の化合物は、糖尿病及び関連疾患を予防及び処置する、又はこれらの疾患の症状を改善するために使用されるだろう。
【0237】
本発明の化合物は、それだけに限らないが、有効量の本明細書に開示される化合物又は組成物を患者に投与することによって、糖尿病若しくは関連疾患を予防若しくは処置する、又は糖尿病若しくは関連疾患を減少させる、又は糖尿病若しくは関連疾患の進行若しくは発症を遅延させる、又は患者においてHDLレベルを増加させるのに有用であるだろう。疾患には、それだけに限らないが、糖尿病、特にII型糖尿病、及びインスリン抵抗性、高血糖、高インスリン血症、高脂血症、例えば高トリグリセリド血症、糖尿病合併症、例えば糖尿病性網膜症、糖尿病性ニューロパチー若しくは糖尿病性腎症、肥満、X症候群、粥状動脈硬化、心血管疾患、うっ血性心不全、低マグネシウム血症、低ナトリウム血症、腎不全、血中濃度に関連する障害、便秘又は高血圧が含まれる。
【0238】
本発明の化合物は、優れた腸内環境改善効果を有し、ビフィズス菌及び乳酸桿菌等の有益な細菌を増加させ、腸内の有機酸を増加させ、腸内の腐敗産物を減少させることができる。腸内環境を改善することによって、腸内環境の変化に関連する疾患を改善することができる。「腸内環境の変化に関連する疾患」には、それだけに限らないが、慢性腎疾患、偽膜性大腸炎/出血性腸炎、感染性腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、過敏性腸症候群、肥満、粥状動脈硬化、高血圧、ギランバレー症候群、アレルギー性疾患、糖尿病、多発性硬化症、自己免疫疾患、アルコール性肝機能障害、非アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、非ステロイド性抗炎症薬によって引き起こされる腸炎、ストレス、うつ病、インフルエンザ、歯周病、がん、花粉症、機能性ディスペプシア、掻痒等が含まれる。
【0239】
更に、本明細書に開示される化合物又は医薬組成物はまた、後期の糖尿病の損傷、例えば腎症、網膜症、ニューロパチー、心筋梗塞、末梢動脈閉塞性疾患、血栓症、動脈硬化、炎症、免疫疾患、自己免疫疾患、例えばAIDS、喘息、骨粗鬆症、がん、乾癬、アルツハイマー病、統合失調症及び感染性疾患を予防又は処置するのにも適している。
【0240】
化合物又は薬学的に許容される組成物の「有効量」又は「有効用量」は、上記障害の1つ又は複数を処置する又はその重症度を減少させるのに有効な量である。化合物又は薬学的に許容される組成物は、かなり広い用量範囲で有効に投与される。例えば、1日量は、1人当たり約0.1mg~1000mgであり、化合物又は薬学的に許容される組成物は1日に1回投与で又は複数の分割投与で投与することができる。本明細書に開示される方法による化合物及び組成物は、障害若しくは疾患を処置する又はその重症度を減少させるのに有効な任意の量及び任意の投与経路を使用して投与され得る。要求される正確な量は、対象の種、年齢及び全身状態、感染症の重症度、特定の薬剤、その投与様式等に応じて、対象ごとに異なる。化合物又は組成物は、1種又は複数の上に論じられる他の治療薬と共に投与することもできる。
【0241】
一般的合成及び検出方法
本発明を説明する目的のために、例を以下に列挙する。本発明はこれらの実施形態に限定されず、本発明を実施する方法を提供するにすぎないことを理解すべきである。
【0242】
本発明では、化合物の化学名が対応する構造に一致しない場合、化合物を対応する構造によって特徴付ける。
【0243】
一般的に、本明細書に開示される化合物は、特に明言しない限り、本明細書に記載される方法によって調製することができ、置換基は上記の式(I)、式(II)、式(III)又は式(IV)について定義される通りである。以下の非限定的なスキーム及び例を提供して本発明を更に例示する。
【0244】
当業者であれば、記載される化学反応を、いくつかの本明細書に開示される他の化合物を調製するために容易に適合させることができ、本明細書に開示される化合物を調製する代替方法が本明細書に開示される範囲内にあるとみなされることを認識するだろう。例えば、本発明による例示されていない化合物の合成は、当業者に明らかな修正によって、例えば干渉基を適切に保護することによって、記載されるもの以外の当技術分野で公知の他の適切な試薬を利用することによって、及び/又は反応条件の日常的な修正を行うことによって、首尾よく実施され得る。或いは、本明細書に開示される、又は当技術分野で公知の他の反応は、本明細書に開示される他の化合物の調製への適用性を有すると認識されよう。
【0245】
化合物の構造を核磁気共鳴(1H-NMR、13C-NMR及び/又は19F-NMR)によって特定した。1H-NMR、13C-NMR、19F-NMR化学シフト(δ)をppm(10-6)として記録した。1H-NMR、13C-NMR及び19F-NMRをBruker Ultrashield-400 NMR分光計及びBruker Avance III HD 600 NMR分光計によって決定した。溶媒は、重水素化クロロホルム(CDCl3)、重水素化メタノール(CD3OD若しくはMeOH-d4)又は重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO-d6)とした。TMS(0ppm)又はクロロホルム(7.25ppm)を参照標準として使用した。ピーク多重度を報告する場合、以下の略語を使用する:s(一重項)、d(二重項)、t(三重項)、m(多重項)、br(ブロード)、dd(二重項の二重項)、dt(三重項の二重項)、td(二重項の三重項)、brs(ブロードな一重項)。カップリング定数Jをヘルツ(Hz)で報告した。
【0246】
Novasepポンプ250高速液体クロマトグラフィーを精製の調製又は分裂の調製に一般的に使用する。
【0247】
Agilen-6120 Quadrupole LC/MS質量分析計をLC-MSの決定に使用する。
【0248】
カラムクロマトグラフィーに使用されるシリカゲルは一般的に、Qingdao Ocean Chemical Factory社300~400メッシュシリカゲルであった。
【0249】
本発明の出発物質は公知であり、Shanghai Accela社、Energy社、J&K,Tianjin Alfa社等の市場から購入することができる、又は先行技術における慣用的な合成方法によって調製することができるだろう。
【0250】
特に明言しない限り、本明細書に開示される反応は窒素雰囲気で行った。
【0251】
「窒素雰囲気」という用語は、反応フラスコが約1L窒素で満たされたバルーン又はステンレス鋼オートクレーブを備えるような雰囲気を指す。
【0252】
「水素雰囲気」という用語は、反応フラスコが約1L水素で満たされたバルーン又はステンレス鋼オートクレーブを備えるような雰囲気を指す。
【0253】
特に明言しない限り、本明細書に開示される例で使用される溶液は水溶液であった。
【0254】
特に明言しない限り、反応温度は室温であった。
【0255】
特に明言しない限り、室温は20℃~30℃であった。
【0256】
例における反応プロセスは、薄層クロマトグラフィー(TLC)によって監視した。TLCプレートの展開用の溶媒系は、ジクロロメタン及びメタノール、ジクロロメタン及び酢酸エチル、石油エーテル及び酢酸エチルを含んでいた。溶媒系中の溶媒の体積比は、化合物の極性に従って調整した。
【0257】
カラムクロマトグラフィーの溶出系は、A:石油エーテル及び酢酸エチル;B:ジクロロメタン及び酢酸エチル;C:ジクロロメタン及びメタノールを含んでいた。溶出系中の溶媒の体積比は、化合物の極性に従って調整し、時々、アンモニア水等の塩基性薬剤又は酢酸等の酸性薬剤を添加することによっても調整した。
以下の略語を、本明細書を通して使用する:
【0258】
【表1】
【0259】
一般的合成手順
本明細書に開示される化合物を調製するための典型的な合成手順を以下の合成スキーム1~3に示す。特に明言しない限り、R2、R3、R4、R7及びR8は本明細書に定義される通りである。
合成スキーム1:
【0260】
【化16】
【0261】
式(5)の中間体は合成スキーム1に開示される方法によって合成することができる。最初に、化合物(1)と化合物(2)の縮合反応によって化合物(3)を得ることができる。化合物(3)を接触水素化に供して、アミノ基上の保護基を除去して、化合物(4)を得ることができる。最後に、化合物(4)を塩化水素又はその溶液で塩化(salted)して、化合物(5)を得る。
合成スキーム2:
【0262】
【化17】
【0263】
式(8)の中間体又は式(9)の中間体は合成スキーム2に開示される方法によって合成することができる。最初に、化合物(6)に触媒条件下でヒドロキシ保護基アリルの除去を受けさせて、化合物(7)を得ることができる。次いで、触媒2,2,6,6-テトラメチルピペリジンオキシド条件下で、化合物(7)とヨードベンゼンジアセテートの酸化反応によって化合物(8)を得る。化合物(8)に接触水素化下でヒドロキシ保護基Bnの除去を受けさせて、化合物(9)を得ることができる。
合成スキーム3:
【0264】
【化18】
【0265】
式(11)に示される化合物は合成スキーム3に開示される方法によって合成することができる。最初に、化合物(8)と化合物(5)の縮合反応によって、化合物(10)を得ることができる。次いで、化合物(10)に接触水素化下でヒドロキシ保護基Bnの除去を受けさせて、化合物(11)を得ることができる。
【実施例
【0266】
(実施例1)
N-(2-ジメチルアミノエチル)-1-[4-[4-[[5-[(2S,3R,4S,5S,6R)-6-エチル-3,4,5-トリヒドロキシ-テトラヒドロピラン-2-イル]-2-メチル-フェニル]メチル]フェニル]ブチリルアミノ]シクロヘキシルホルムアミド
【0267】
【化19】
【0268】
ステップ1 ベンジルN-[1-(2-ジメチルアミノエチルカルバモイル)シクロヘキシル]カルバメート
【0269】
【化20】
【0270】
1-(ベンジルオキシカルボキサミド)-シクロヘキシルギ酸(2.5g、9.0mmol)を室温でジクロロメタン(30mL)に溶解し、0℃に冷却した。HATU(4.0g、10mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(5.0mL、29mmol)を添加し、混合物を20分間攪拌した。N,N-ジメチル-1,2-エタンジアミン(1.0g、11mmol)を添加し、混合物を室温に加熱し、一晩攪拌した。反応を停止した。反応混合物を水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、吸引濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/無水メタノール(v/v)=30/1)によって精製して、標記化合物を黄色油(1.8g、57%)として得た。
【0271】
ステップ2 1-アミノ-N-(2-ジメチルアミノエチル)シクロヘキシルホルムアミド
【0272】
【化21】
【0273】
反応フラスコに、室温で、ベンジルN-[1-(2-ジメチルアミノエチルカルバモイル)シクロヘキシル]カルバメート(1.8g、5.2mmol)、10%パラジウム/炭素(0.20g、0.19mmol)及びメタノール(20mL)を順番に添加した。混合物を水素下で3時間攪拌した。次いで、混合物を吸引濾過し、濃縮して、標記化合物を黄色油(1.1g、100%)として得た。
【0274】
MS(ESI、陽イオン)m/z:214.1[M+H]+。
【0275】
ステップ3 1-アミノ-N-(2-ジメチルアミノエチル)シクロヘキシルホルムアミド二塩酸塩
【0276】
【化22】
【0277】
1-アミノ-N-(2-ジメチルアミノエチル)シクロヘキシルホルムアミド(1.0g、4.7mmol)を室温で酢酸エチル(10mL)に溶解した。HClのイソプロピルアルコール中溶液(3mL、5M)を添加した。反応混合物を10分間攪拌し、次いで、0℃に冷却し、30分間攪拌した。混合物を吸引濾過し、濾過ケークを酢酸エチル(5mL)で洗浄し、真空中で乾燥させて、標記化合物を白色固体(0.92g、65%)として得た。
【0278】
ステップ4 (3R,4S,5R,6R)-3,4,5-トリベンジルオキシ-6-(ベンジルオキシメチル)テトラヒドロピラン-2-オン
【0279】
【化23】
【0280】
反応フラスコに、室温で、(3R,4S,5R,6R)-3,4,5-トリベンジルオキシ-6-(ベンジルオキシメチル)テトラヒドロピラン-2-オール(130g、240mmol)、重炭酸ナトリウム(80.0g、952mmol)、ジクロロメタン(1000mL)及び水(800mL)を順番に添加した。混合物を0℃に冷却した。混合物に、臭化カリウム(18.0g、151mmol)及び2,2,6,6-テトラメチルピペリジンオキシド(5.6g、36mmol)を添加し、次いで、次亜塩素酸ナトリウム溶液(360g、利用可能な塩素6.2%、利用可能な塩素629mmol)を混合物に1回添加した。混合物を20分間攪拌した。反応混合物を分離した。有機相を飽和ブライン(500mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、吸引濾過し、濃縮して、標記化合物を黄色油(129g、100%)として得た。
【0281】
ステップ5 アセテート[(2R,3R,4S,5R)-3,4,5-トリベンジルオキシ-6-オキソ-テトラヒドロピラン-2-イル]メチル
【0282】
【化24】
【0283】
無水酢酸(200mL、2.12mol)中(3R,4S,5R,6R)-3,4,5-トリベンジルオキシ-6-(ベンジルオキシメチル)テトラヒドロピラン-2-オン(130g、241mmol)の混合物に、室温で氷酢酸(350mL)を添加した。反応混合物を窒素下で-15℃に冷却し、次いで、濃硫酸(14.0mL、263mmol)を滴加し、混合物を-15~-10℃で2.5時間攪拌した。得られた混合物を氷水(1.5L)に注ぎ入れ、酢酸エチル(1.0L)で抽出した。有機相を水(500mL)、飽和重炭酸ナトリウム(1.0L)及び飽和ブライン(500mL)で順番に洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、吸引濾過した。濾液を濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE(v/v)=1/4)によって精製して、標記化合物を無色油(85g、71%)として得た。
【0284】
ステップ6 4-(4-ブロモフェニル)ブチル-1-オール
【0285】
【化25】
【0286】
4-(4-ブロモフェニル)ブタン酸(50.0g、150mmol)を室温でテトラヒドロフラン(250mL)に溶解し、混合物を窒素下で-10℃に冷却した。次いで、ボランのテトラヒドロフラン中溶液(1.0M、300mL、300mmol)を滴加した。混合物を室温に加熱し、2時間攪拌した。反応混合物を氷水(500mL)に注ぎ入れ、酢酸エチル(500mL)で抽出した。有機相を飽和塩水(200mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、吸引濾過及び濃縮に供して、標記化合物を無色油(47.0g、98%)として得た。
【0287】
ステップ7 1-(4-アリルオキシブチル)-4-ブロモ-ベンゼン
【0288】
【化26】
【0289】
4-(4-ブロモフェニル)ブチル-1-オール(47.0g、205mmol)を室温でテトラヒドロフラン(500mL)に溶解し、混合物を窒素下で-10℃に冷却した。水素化ナトリウム(11.0g、275mmol)をバッチに添加し、30分間攪拌した。混合物に、臭化アリル(33.6g、288mmol)を滴加した。次いで、混合物を室温に加熱し、一晩攪拌した。反応溶液を氷水(1.0L)に注ぎ入れることによって、反応混合物をクエンチし、混合物を酢酸エチル(500mL)で抽出した。有機相を飽和生理食塩水(200mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、吸引濾過及び濃縮に供した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE(v/v)=1/40)によって精製して、標記化合物を無色油(33.0g、60%)として得た。
【0290】
ステップ8 [4-(4-アリルオキシブチル)フェニル]-マグネシウムブロミド
【0291】
【化27】
【0292】
反応フラスコに、室温で、マグネシウムストリップ(6.4g、0.26mol)及びヨウ素(0.6g、2mmol)を順番に添加した。1-(4-アリルオキシブチル)-4-ブロモ-ベンゼン1c(59.0g、219mmol)をテトラヒドロフラン(300mL)に溶解し、溶液の10mlを窒素下で添加した。混合物を反応の開始(ヨウ素の色が消失した)まで加熱し、次いで、残りの溶液を滴加し、65℃で20分間攪拌して、標記化合物を褐色溶液(65g、100%)として得た。そして、次の工程を直接進めた。
【0293】
ステップ9 5-ヨード-2-メチル-ベンゾイルクロリド
【0294】
【化28】
【0295】
5-ヨード-2-メチル-安息香酸(50.0g、191mmol)を室温でジクロロメタン(500mL)に溶解し、混合物を窒素下で-10℃に冷却した。次いで、塩化オキサリル(25mL、0.29mol)及びN,N-ジメチルホルムアミド(1.5mL、19mmol)を滴加した。混合物を室温で一晩攪拌し、濃縮して、標記化合物を黄色固体(53g、100%)として得た。
【0296】
ステップ10 5-ヨード-N-メトキシ-N,2-ジメチル-ベンズアミド
【0297】
【化29】
【0298】
反応フラスコに、室温で、5-ヨード-2-メチル-ベンゾイルクロリド(53.0g、189mmol)、ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(37.0g、379mmol)及びジクロロメタン(500mL)を順番に添加し、混合物を窒素下で0℃に冷却した。次いで、トリエチルアミン(106mL、761mmol)を滴加し、室温で3.5時間攪拌した。反応混合物を飽和ブライン(500mL)で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、吸引濾過及び濃縮に供して、標記化合物を黄色油(54g、93%)として得た。
【0299】
MS(ESI、陽イオン)m/z:306.0[M+H]+。
【0300】
ステップ11 [4-(4-アリルオキシブチル)フェニル]-5-ヨード-2-メチル-フェニル)メチルケトン
【0301】
【化30】
【0302】
テトラヒドロフラン(200mL)中5-ヨード-N-メトキシ-N,2-ジメチル-ベンズアミド(50.0g、164mmol)を室温で-20℃に冷却した。ステップ3で合成した[4-(4-アリルオキシブチル)フェニル]-マグネシウムブロミド1d(63.0g、215mmol)を窒素下で滴加した。混合物を-20℃で1時間攪拌し、次いで、室温で一晩攪拌した。反応混合物を0℃に冷却し、液滴飽和塩化アンモニウム水溶液(400mL)でクエンチした。得られた混合物を酢酸エチル(300mL×2)で抽出した。合わせた有機層を飽和ブライン(300mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、吸引濾過した。濾液を濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE(v/v)=1/30)によって精製して、標記化合物を無色油(59.0g、83%)として得た。
【0303】
ステップ12 2-[[4-(4-アリルオキシブチル)フェニル]メチル]-4-ヨード-1-メチル-ベンゼン
【0304】
【化31】
【0305】
反応フラスコに、室温で、[4-(4-アリルオキシブチル)フェニル]-5-ヨード-2-メチル-フェニル)メチルケトン(59.0g、136mmol)及びトリフルオロ酢酸(150ml)を順番に添加した。反応混合物を窒素下で0℃に冷却した。次いで、トリエチルシラン(174mL、1.09mol)及びトリフルオロメタンスルホン酸(12.5mL、141mmol)を順番に滴加し、混合物を室温で1時間攪拌した。得られた混合物を濃縮した。残留物を酢酸エチル(600mL)に溶解し、水(500mL)、飽和重炭酸ナトリウム(500mL)及び飽和ブライン(500mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、吸引濾過した。濾液を濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル)によって精製して、標記化合物を黄色油(57g、99%)として得た。
【0306】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 7.52 - 7.47 (m, 2H), 7.13 (d, 2H), 7.04 (d, 2H), 6.92 (d, 1H), 5.95 (m, 1H), 5.30 (dd, 1H), 5.20 (dd, 1H), 4.02 - 3.97 (m, 2H), 3.91 (s, 2H), 3.48 (t, 2H), 2.64 (t, 2H), 2.21 (s, 3H) , 1.76 - 1.63 (m, 4H).
【0307】
ステップ13 アセテート[(2R,3R,4S,5R,6S)-6-[3-[[4-(4-アリルオキシブチル)フェニル]メチル]-4-メチル-フェニル]-3,4,5-トリベンジルオキシ-6-ヒドロキシ-テトラヒドロピラン-2-イル]メチル
【0308】
【化32】
【0309】
2-[[4-(4-アリルオキシブチル)フェニル]メチル]-4-ヨード-1-メチル-ベンゼン(30.0g、71.4mmol)を室温でテトラヒドロフラン(150mL)に溶解した。混合物を窒素下で-10℃に冷却し、次いで、テトラヒドロフラン中イソプロピルマグネシウムクロリド(39mL、78mmol、2.0M)を添加し、混合物を1.5時間攪拌し、次いで、これを、窒素下、-10℃のテトラヒドロフラン(150mL)中アセテート[(2R,3R,4S,5R)-3,4,5-トリベンジルオキシ-6-オキソ-テトラヒドロピラン-2-イル]メチル(25.0g、50.9mmol)に滴加した。得られた混合物を2.5時間攪拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム溶液(200mL)でクエンチした。得られた混合物を酢酸エチル(300mL×2)で抽出した。合わせた有機層を飽和ブライン(500mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、吸引濾過した。濾液を濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE(v/v)=1/4)によって精製して、標記化合物を黄色油(32.1g、80%)として得た。
【0310】
ステップ14 アセテート[(2R,3R,4R,5S,6S)-6-[3-[[4-(4-アリルオキシブチル)フェニル]メチル]-4-メチル-フェニル]-3,4,5-トリベンジルオキシ-テトラヒドロピラン-2-イル]メチル
【0311】
【化33】
【0312】
アセトニトリル(100mL)及びジクロロメタン(100mL)の混合溶媒に、室温で、アセテート[(2R,3R,4S,5R,6S)-6-[3-[[4-(4-アリルオキシブチル)フェニル]メチル]-4-メチル-フェニル]-3,4,5-トリベンジルオキシ-6-ヒドロキシ-テトラヒドロピラン-2-イル]メチル(32.0g、40.7mmol)を添加した。トリエチルシラン(23.0mL、144mmol)を添加した。混合物を窒素下で-10℃に冷却した。三フッ化ホウ素(13mL、0.10mol)を滴加した。混合物を30分間攪拌し、次いで、室温に移し、室温で30分間攪拌した。混合物を0℃に冷却し、飽和重炭酸ナトリウム溶液(100mL)でクエンチし、分離した。有機相を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、吸引濾過し、濃縮して、標記化合物を黄色油(29g、92%)として得た。
【0313】
ステップ15 [(2R,3R,4R,5S,6S)-6-[3-[[4-(4-アリルオキシブチル)フェニル]メチル]-4-メチル-フェニル]-3,4,5-トリベンジルオキシ-テトラヒドロピラン-2-イル]メタノール
【0314】
【化34】
【0315】
アセテート[(2R,3R,4R,5S,6S)-6-[3-[[4-(4-アリルオキシブチル)フェニル]メチル]-4-メチル-ベンゼン]-3,4,5-トリベンジルオキシ-テトラヒドロピラン-2-イル]メチル(28.0g、36.4mmol)を無水メタノール(120mL)に溶解し、次いで、30%ナトリウムメトキシド溶液(6.0mL)を滴加した。混合物を20分間攪拌し、濃縮した。残留物に、酢酸エチル(300mL)を添加した。混合物を水(100mL)、塩酸溶液(1M、100mL)、飽和重炭酸ナトリウム溶液(100mL)及び飽和ブライン(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、吸引濾過した。濾液を濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE(v/v)=1/8)によって精製して、標記化合物を黄色油(8.0g、30%)として得た。
【0316】
ステップ16 ベンゼンスルホニルエステル[(2R,3R,4R,5S,6S)-6- [3-[[4-(4-アリルオキシブチル)フェニル]メチル]-4-メチル-フェニル]-3,4,5-トリベンジルオキシ-テトラヒドロピラン-2-イル]メチル4-メチル
【0317】
【化35】
【0318】
[(2R,3R,4R,5S,6S)-6-[3-[[4-(4-アリルオキシブチル)フェニル]メチル]-4-メチル-フェニル]-3,4,5-トリベンジルオキシ-テトラヒドロピラン-2-イル]メタノール(10.9g、15mmol)を室温でジクロロメタン(60mL)に溶解した。混合物に、p-トルエンスルホニルクロリド(3.0g、16mmol)、トリエチルアミン(3.1mL、22mmol)及び4-ジメチルアミノピリジン(54mg、0.44mmol)を順番に添加した。混合物を室温で2時間攪拌し、濃縮した。次いで、酢酸エチル(100mL)を残留物に添加した。混合物を水(80mL)及び飽和塩化ナトリウム溶液(80mL)で順番に洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。濾液を濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE(v/v)=1/8)によって精製して、標記化合物を無色油(9.0g、69%)として得た。
【0319】
ステップ17 (2S,3S,4S,5R,6R)-2-[3-[[4-(4-アリルオキシブチル)フェニル]メチル]-4-メチル-フェニル]-3,4,5-トリベンジルオキシ-6-エチル-テトラヒドロピラン
【0320】
【化36】
【0321】
ベンゼンスルホニルエステル[(2R,3R,4R,5S,6S)-6-[3-[[4-(4-アリルオキシブチル)フェニル]メチル]-4-メチル-フェニル]-3,4,5-トリベンジルオキシ-テトラヒドロピラン-2-イル]メチル4-メチル(3.1g、3.5mmol)を室温で無水テトラヒドロフラン(15mL)に溶解した。ヨウ化第一銅(2.0g、11mmol)を添加した。混合物を窒素下で-10℃に冷却した。メチルマグネシウムブロミドテトラヒドロフラン溶液(35mL、35mmol、1.0mol/L)を添加した。混合物を室温で一晩攪拌した。混合物を0℃に冷却し、飽和塩化アンモニウム溶液(50mL)でクエンチし、分離した。得られた混合物を酢酸エチル(50mL)で抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム溶液(50mL)で洗浄し、濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE(v/v)=1/25)によって精製して、標記化合物を無色油(2.3g、91%)として得た。
【0322】
ステップ18 4-[4-[[2-メチル-5-[(2S,3S,4S,5R,6R)-3,4,5-トリベンジルオキシ-6-トルエン-テトラヒドロピラン-2-イル]フェニル]メチル]フェニル]ブタン-1-オール
【0323】
【化37】
【0324】
(2S,3S,4S,5R,6R)-2-[3-[[4-(4-アリルオキシブチル)フェニル]メチル]-4-メチル-フェニル]-3,4,5-トリベンジルオキシ-6-エチル-テトラヒドロピラン(2.3g、3.2mmol)を室温で無水メタノール(20mL)に溶解した。二塩化パラジウム(0.28g、1.6mmol)を添加した。混合物をN2下、室温で2時間攪拌した。次いで、混合物を濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE(v/v)=1/3)によって精製して、標記化合物を無色油(1.4g、64%)として得た。
【0325】
ステップ19 4-[4-[[2-メチル-5-[(2S,3S,4S,5R,6R)-3,4,5-トリベンジルオキシ-6-エチル-テトラヒドロピラン-2-イル]フェニル]メチル]フェニル]ブタン酸
【0326】
【化38】
【0327】
4-[4-[[2-メチル-5-[(2S,3S,4S,5R,6R)-3,4,5-トリベンジルオキシ-6-エチル-テトラヒドロピラン-2-イル]フェニル]メチル]フェニル]ブタン-1-オール(1.4g、2.0mmol)を室温でジクロロメタン(20mL)に溶解した。水(3mL)、2,2,6,6-テトラメチルピペリジンオキシド(94mg、0.60mmol)及びヨードベンゼン二酢酸(1.6g、5.0mmol)を順番に添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌した。次いで、混合物を分離した。有機相を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、吸引濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE(v/v)=1/3)によって精製して、標記化合物を淡黄色油(1.2g、86%)として得た。
【0328】
ステップ20 N-(2-ジメチルアミノエチル)-1-[4-[4-[[2-メチル-5-[(2S,3S,4S,5R,6R)-3,4,5-トリベンジルオキシ-6-エチル-テトラヒドロピラン-2-イル]フェニル]メチル]フェニル]ブチリルアミノ]シクロヘキシルホルムアミド
【0329】
【化39】
【0330】
4-[4-[[2-メチル-5-[(2S,3S,4S,5R,6R)-3,4,5-トリベンジルオキシ-6-エチル-テトラヒドロピラン-2-イル]フェニル]メチル]フェニル]ブタン酸(0.40g、0.57mmol)を室温でジクロロメタン(10mL)に溶解した。1-アミノ-N-(2-ジメチルアミノエチル)シクロヘキシルカルボキサミド二塩酸塩(0.25g、0.87mmol)、HATU(0.26g、0.68mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.48mL、2.9mmol)を順番に添加した。混合物を室温で一晩連続的に攪拌した。次いで、混合物を減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール(v/v)=10/1)によって精製して、標記化合物を無色油(0.35g、69%)として得た。
【0331】
ステップ21 N-(2-ジメチルアミノエチル)-1-[4-[4-[[5-[(2S,3R,4S,5S,6R)-6-エチル-3,4,5-トリヒドロキシ-テトラヒドロピラン-2-イル]-2-メチル-フェニル]メチル]フェニル]ブチルアミド]シクロヘキシルホルムアミド
【0332】
【化40】
【0333】
N-(2-ジメチルアミノエチル)-1-[4-[4-[[2-メチル-5-[(2S,3S,4S,5R,6R)-3,4,5-トリベンジルオキシ-6-エチル-テトラヒドロピラン-2-イル]フェニル]メチル]フェニル]ブチリルアミノ]シクロヘキシルホルムアミド(0.35g、0.39mmol)を室温でメタノール(5mL)に溶解した。10%水酸化パラジウム/炭素(0.28g、0.20mmol)を添加した。反応混合物を水素下で2日間攪拌した。次いで、混合物を濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/無水メタノール(v/v)=10/1~5/1)によって精製して、標記化合物を白色固体(0.13g、53%)として得た。
【0334】
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 624.4 [M+H]+
【0335】
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ (ppm): 7.18-7.13 (m, 2H), 7.13 - 7.03 (m, 5H), 4.02 (d, 1H), 3.99 - 3.90 (m, 2H), 3.56 (t, 2H), 3.41 (m, 1H), 3.34 (d, 1H), 3.25-3.18 (m, 4H), 2.91 (s, 6H), 2.61 (t, 2H), 2.32 (t, 2H), 2.19 (s, 3H), 1.98-1.82 (m, 6H), 1.82-1.73 (m, 2H), 1.65-1.45 (m, 5H), 1.32 (m, 1H), 0.96 (t, 3H).
【0336】
(実施例2)
N-(2-ジメチルアミノエチル)-2-[4-[4-[[5-[(2S,3R,4S,5S,6R)-6-エチル-3,4,5-トリヒドロキシ-テトラヒドロピラン-2-イル]-2-メチル-フェニル]メチル]フェニル]ブチルアミド]-2-メチル-プロピオンアミド
【0337】
【化41】
【0338】
ステップ8 ベンジルN-[2-(2-ジメチルアミノエチルアミノ)-1,1-ジメチル-2-オキソ-エチル]カルバメート
【0339】
【化42】
【0340】
反応フラスコに、室温で、2-(ベンジルオキシカルボキサミド)-2-メチル-プロピオン酸(10.0g、42.1mmol)、カルボニルジイミダゾール(10.5g、64.8mmol)及びクロロホルム(100mL)を順番に添加した。混合物を窒素下で45分間攪拌した。混合物をN2下で45分間攪拌した。混合物に、N,N-ジメチル-1,2-エタンジアミン(5.6g、64mmol)を添加した。反応混合物を一晩連続的に攪拌した。反応混合物を水(200mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、吸引濾過及び濃縮に供して、標記化合物を黄色油(13g、100%)として得た。
【0341】
ステップ2 2-アミノ-N-(2-ジメチルアミノエチル)-2-メチル-プロパンアミド
【0342】
【化43】
【0343】
反応フラスコに、室温で、ベンジルN-[2-(2-ジメチルアミノエチルアミノ)-1,1-ジメチル-2-オキソ-エチル]カルバメート(13.0g、42.3mmol)、10%パラジウム/炭素(0.60g、0.57mmol)、テトラヒドロフラン(50mL)及び無水メタノール(70mL)を順番に添加した。混合物を水素下で2時間攪拌した。混合物を吸引濾過し、濃縮して、標記化合物を黄色油(7.0g、96%)として得た。
【0344】
ステップ3 2-アミノ-N-(2-ジメチルアミノエチル)-2-メチル-プロパンアミド二塩酸塩
【0345】
【化44】
【0346】
2-アミノ-N-(2-ジメチルアミノエチル)-2-メチル-プロパンアミド(8.0g、46mmol)を室温で酢酸エチル(80mL)に溶解した。混合物に、HClのイソプロピルアルコール(20mL、5M)中溶液を添加した。反応混合物を10分間攪拌し、次いで、0℃に冷却し、30分間攪拌した。混合物を濾過し、濾過ケークを酢酸エチル(20mL)で洗浄し、真空中で乾燥させて、標記化合物を白色固体(10.5g、92%)として得た。
【0347】
ステップ4 N-(2-ジメチルアミノエチル)-2-メチル-2-[4-[4-[[2-メチル-5-[(2S,3S,4S,5R,6R)-3,4,5-トリベンジルオキシ-6-エチル-テトラヒドロピラン-2-イル]フェニル]メチル]フェニル]ブチルアミド]プロピオンアミド
【0348】
【化45】
【0349】
4-[4-[[2-メチル-5-[(2S,3S,4S,5R,6R)-3,4,5-トリベンジルオキシ-6-エチル-テトラヒドロピラン-2-イル]フェニル]メチル]フェニル]ブタン酸(0.42g、0.60mmol)を室温でジクロロメタン(10mL)に溶解した。2-アミノ-N-(2-ジメチルアミノエチル)-2-メチル-プロピオンアミド二塩酸塩(0.22g、0.93mmol)、HATU(0.28g、0.74mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.50mL、3.0mmol)を順番に添加した。混合物を室温で一晩攪拌した。次いで、混合物を減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール(v/v)=10/1)によって精製して、標記化合物を無色油(0.32g、62%)として得た。
【0350】
ステップ5 N-(2-ジメチルアミノエチル)-2-[4-[4-[[5-[(2S,3R,4S,5S,6R)-6-エチル-3,4,5-トリヒドロキシ-テトラヒドロピラン-2-イル]-2-メチル-フェニル]メチル]フェニル]ブチルアミド]-2-メチル-プロピオンアミド
【0351】
【化46】
【0352】
N-(2-ジメチルアミノエチル)-2-メチル-2-[4-[4-[[2-メチル-5-[(2S,3S,4S,5R,6R)-3,4,5-トリベンジルオキシ-6-エチル-テトラヒドロピラン-2-イル]フェニル]メチル]フェニル]ブチルアミノ]プロピオンアミド(0.32g、0.37mmol)を室温でメタノール(5mL)に溶解した。10%水酸化パラジウム/炭素(0.26g、0.19mmol)を添加した。反応混合物を水素下で2日間攪拌した。次いで、混合物を吸引濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/無水メタノール(v/v)=10/1~5/1)によって精製して、標記化合物を白色固体(90mg、41%)として得た。
【0353】
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 584.4 [M+H]+
【0354】
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ (ppm): 7.17-7.13 (m, 2H), 7.13 - 7.04 (m, 5H), 4.05 (d, 1H), 3.95 (s, 2H), 3.66 - 3.53 (m, 3H), 3.50 (t, 1H), 3.31 - 3.14 (m, 4H), 2.96 (s, 6H), 2.63 (t, 2H), 2.28 - 2.22 (m, 2H), 2.24 (s, 3H), 1.95 - 1.84 (m, 2H),1.52 (m, 2H), 1.41 (s, 6H), 0.95 (t, 3H).
【0355】
(実施例3)
N-(2-ジメチルアミノエチル)-1-[4-[4-[[2-メチル-5-[(2S,3R,4S,5S,6R)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-プロピル-テトラヒドロピラン-2-イル]フェニル]メチル]フェニル]ブチリルアミノ]シクロヘキシルホルムアミド
【0356】
【化47】
【0357】
ステップ1 (2S,3S,4R,5S,6S)-6-[3-[[4-(4-アリルオキシブチル)フェニル]メチル]-4-メチル-フェニル]-3,4,5-トリベンジルオキシ-テトラヒドロピラン-2-カルボキシアルデヒド
【0358】
【化48】
【0359】
[(2R,3R,4R,5S,6S)-6-[3-[[4-(4-アリルオキシブチル)フェニル]メチル]-4-メチル-フェニル]-3,4,5-トリベンジルオキシ-テトラヒドロピラン-2-イル]メタノール(3.9g、5.4mmol)を室温でジクロロメタン(20mL)に溶解し、飽和重炭酸ナトリウム溶液(100mL)を添加した。混合物を0℃に冷却した。混合物に、臭化カリウム(0.38g、3.2mmol)及び2,2,6,6-テトラメチルピペリジンオキシド(75mg、0.48mmol)を添加し、次いで、次亜塩素酸ナトリウム溶液(15mL、14mmol、利用可能な塩素2.6%)を混合物に1回添加した。混合物を0~5℃で10分間攪拌した。反応混合物を分離した。有機相を飽和ブライン(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。混合物を吸引濾過し、濃縮して、標記化合物を赤色油(3.9g、100%)として得た。
【0360】
ステップ2 1-[(2R,3S,4R,5S,6S)-6-[3-[[4-(4-アリルオキシブチル)フェニル]メチル]-4-メチル-フェニル]-3,4,5-トリベンジルオキシ-テトラヒドロピラン-2-イル]プロパン-1-オール
【0361】
【化49】
【0362】
(2S,3S,4R,5S,6S)-6-[3-[[4-(4-アリルオキシブチル)フェニル]メチル]-4-メチル-フェニル]-3,4,5-トリベンジルオキシ-テトラヒドロピラン-2-カルボキシアルデヒド(3.9g、5.4mmol)を室温で無水テトラヒドロフラン(20mL)に溶解した。混合物をN2下で-20℃に冷却した。エチルマグネシウムブロミドエーテル溶液(2.7mL、8.1mmol、3.0mol/L)を滴加し、混合物を-20℃で30分間攪拌した。反応混合物を液滴飽和塩化アンモニウム溶液(30mL)でクエンチした。得られた混合物を酢酸エチル(20mL)で抽出した。有機層を飽和ブライン(20mL)で洗浄し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE(v/v)=1/10)によって精製して、標記化合物を淡黄色固体(1.8g、44%)として得た。
【0363】
ステップ3 メシレート1-[(2S,3S,4R,5S,6S)-6-[3-[[4-(4-アリルオキシブチル)フェニル]メチル]-4-メチル-フェニル]-3,4,5-トリベンジルオキシ-テトラヒドロピラン-2-イル]プロピル
【0364】
【化50】
【0365】
1-[(2R,3S,4R,5S,6S)-6-[3-[[4-(4-アリルオキシブチル)フェニル]メチル]-4-メチル-フェニル]-3,4,5-トリベンジルオキシ-テトラヒドロピラン-2-イル]プロパン-1-オール(1.5g、2.0mmol)を室温でピリジン(10mL)に溶解した。メタンスルホニルクロリド(0.63mL、8.1mmol)及び4-ジメチルアミノピリジン(12mg、0.1mmol)を順次添加した。混合物を室温で10時間攪拌した。次いで、酢酸エチル(30mL)を希釈のために添加した。得られた混合物を水(30mL×2)、1M希塩酸溶液(30mL)及び飽和重炭酸ナトリウム溶液(30mL)で順番に洗浄し、減圧下で濃縮して、標記化合物を黄色油(1.6g、96%)として得た。
【0366】
ステップ4 (2S,3S,4S,5R,6R)-2-[3-[[4-(4-アリルオキシブチル)フェニル]メチル]-4-メチル-フェニル]-3,4,5-トリベンジルオキシ-6-プロピル-テトラヒドロピラン
【0367】
【化51】
【0368】
1-[(2S,3S,4R,5S,6S)-6-[3-[[4-(4-アリルオキシブチル)フェニル]メチル]-4-メチル-フェニル]-3,4,5-トリベンジルオキシ-テトラヒドロピラン-2-イル]プロピルメシレート(1.6g、1.9mmol)を室温でジメチルスルホキシド(5mL)に溶解した。水素化ホウ素ナトリウム(0.64g、17mmol)を添加した。混合物を85℃に加熱し、5時間攪拌し、室温に冷却した。次いで、混合物を酢酸エチル(20mL)で希釈し、水(20mL 2)及び飽和塩化ナトリウム溶液(20mL)で洗浄し、減圧下で濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[酢酸エチル/石油エーテル(v/v)=1/25]によって精製して、標記化合物を白色固体(0.35g、25%)として得た。
【0369】
ステップ5 4-[4-[[2-メチル-5-[(2S,3S,4S,5R,6R)-3,4,5-ベンジルオキシ-6-プロピル-テトラヒドロピラン-2-イル]フェニル]メチル]フェニル]ブタン-1-オール
【0370】
【化52】
【0371】
(2S,3S,4S,5R,6R)-2-[3-[[4-(4-アリルオキシブチル)フェニル]メチル]-4-メチル-フェニル]-3,4,5-トリベンジルオキシ-6-プロピル-テトラヒドロピラン(0.35g、0.47mmol)を室温で無水メタノール(5mL)に溶解した。二塩化パラジウム(43mg、0.24mmol)を添加し、N2下、室温で2時間攪拌した。次いで、混合物を濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE(v/v)=1/4)によって精製して、標記化合物を無色油(0.23g、70%)として得た。
【0372】
ステップ6 4-[4-[[2-メチル-5-[(2S,3S,4S,5R,6R)-3,4,5-ベンジルオキシ-6-プロピル-テトラヒドロピラン-2-イル]フェニル]メチル]フェニル]ブタン酸
【0373】
【化53】
【0374】
4-[4-[[2-メチル-5-[(2S,3S,4S,5R,6R)-3,4,5-トリベンジルオキシ-6-エチル-テトラヒドロピラン-2-イル]フェニル]メチル]フェニル]ブタン-1-オール(0.23g、0.33mmol)を室温でジクロロメタン(5mL)に溶解した。水(1mL)、2,2,6,6-テトラメチルピペリジンオキシド(16mg、0.1mmol)及びヨードベンゼン二酢酸(0.27g、0.84mmol)を順番に添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌した。次いで、混合物を分離した。有機相を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE(v/v)=1/3)によって精製して、標記化合物を黄色油(0.19g、81%)として得た。
【0375】
ステップ7 N-(2-ジメチルアミノエチル)-1-[4-[4-[[2-メチル-5-[(2S,3S,4S,5R,6R)-3,4,5-トリベンジルオキシ-6-プロピル-テトラヒドロピラン-2-イル]フェニル]メチル]フェニル]ブチリルアミノ]シクロヘキシルホルムアミド
【0376】
【化54】
【0377】
4-[4-[[2-メチル-5-[(2S,3S,4S,5R,6R)-3,4,5-ベンジルオキシ-6-置換-テトラヒドロピラン-2-イル]フェニル]メチル]フェニル]ブタン酸(0.19g、0.26mmol)を室温でジクロロメタン(5mL)に溶解した。1-アミノ-N-(2-ジメチルアミノエチル)シクロヘキシルカルボキサミド二塩酸塩(0.12g、0.42mmol)、HATU(0.12g、0.32mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.22mL、1.3mmol)を順番に添加した。混合物を室温で一晩連続的に攪拌した。次いで、混合物を減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール(v/v)=10/1)によって精製して、標記化合物を無色油(0.14g、66%)として得た。
【0378】
ステップ8 N-(2-ジメチルアミノエチル)-1-[4-[4-[[5-[(2S,3R,4S,5S,6R)-6-プロピル-3,4,5-トリヒドロキシ-テトラヒドロピラン-2-イル]-2-メチル-フェニル]メチル]フェニル]ブチルアミド]シクロヘキシルホルムアミド
【0379】
【化55】
【0380】
N-(2-ジメチルアミノエチル)-1-[4-[4-[[2-メチル-5-[(2S,3S,4S,5R,6R)-3,4,5-トリベンジルオキシ-6-プロピル-テトラヒドロピラン-2-イル]フェニル]メチル]フェニル]ブチリルアミノ]シクロヘキシルホルムアミド(0.14g、0.17mmol)を室温でメタノール(3mL)に溶解した。10%水酸化パラジウム/炭素(0.12g、85μmol)を添加した。反応混合物を水素下で2日間攪拌した。次いで、混合物を濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/無水メタノール(v/v)=10/1~5/1)によって精製して、標記化合物を白色固体(41mg、38%)として得た。
【0381】
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 638.4 [M+H]+
【0382】
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ (ppm): 7.18 - 7.13 (m, 2H), 7.13 - 7.03 (m, 5H), 4.01 (d, 1H), 3.96 (s, 2H), 3.56 (t, 2H), 3.41 (t, 1H), 3.34 (d, 1H), 3.29 - 3.16 (m, 4H), 2.91 (s, 6H), 2.61 (t, 2H), 2.32 (t, 2H), 2.19 (s, 3H), 1.96-1.73 (m, 8H), 1.65-1.50 (m, 6H), 1.38 - 1.30 (m, 2H), 0.91 (t, 3H).
【0383】
(実施例4)
N-(2-ジメチルアミノエチル)-1-[4-[4-[[2-メチル-5-[(1S,2S,3S,4R,5S)-2,3,4,-トリヒドロキシ-1-(ヒドロキシメチル)-6,8-ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン-5-イル]フェニル]メチル]フェニル]ブチリルアミノ]シクロヘキシルホルムアミド
【0384】
【化56】
【0385】
ステップ1 [(2R,3R,4S,5R,6S)-6-[3-[[4-(4-アリルオキシブチル)フェニル]メチル]-4-メチル-フェニル]-3,4,5-トリベンジルオキシ-6-メトキシ-テトラヒドロピラン-2-イル]メタノール
【0386】
【化57】
【0387】
アセテート[(2R,3R,4S,5R,6S)-6-[3-[[4-(4-アリルオキシブチル)フェニル]メチル]-4-メチル-フェニル]-3,4,5-トリベンジルオキシ-6-ヒドロキシ-テトラヒドロピラン-2-イル]メチル(28.0g、35.6mmol)を室温で無水メタノール(300mL)に溶解した。濃塩酸(9.0mL、0.11mol)を添加した。混合物を3時間攪拌した。次いで、酢酸エチル(500mL)を添加した。混合物を水(500mL)、飽和重炭酸ナトリウム(200mL)及び飽和ブライン(200mL)で順番に洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、吸引濾過した。濾液を濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE(v/v)=1/4)によって精製して、標記化合物を無色油(23.0g、85%)として得た。
【0388】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 7.46 - 7.27 (m, 15H), 7.20-7.05 (m, 7H), 5.99 (m, 1H), 5.35 (dd, 1H), 5.25 (t, 1H), 5.02 (dt, 3H), 4.81 (d, 1H), 4.53 (d, 1H), 4.30 (t, 1H), 4.14 - 3.75 (m, 10H), 3.55 - 3.44 (m, 3H), 3.24 ( s, 3H), 2.67 (t, 2H), 2.34 (s, 3H), 1.79 - 1.67 (m, 4H).
【0389】
ステップ2 [(2S,3S,4S,5R,6S)-6-[3-[[4-(4-アリルオキシブチル)フェニル]メチル]-4-メチル-フェニル]-3,4,5-トリベンジルオキシ-6-メトキシ-テトラヒドロピラン-2-イル]ホルムアルデヒド
【0390】
【化58】
【0391】
反応フラスコに、室温で、[(2R,3R,4S,5R,6S)-6-[3-[[4-(4-アリルオキシブチル)フェニル]メチル]-4-メチル-フェニル]-3,4,5-トリベンジルオキシ-6-メトキシ-テトラヒドロピラン-2-イル]メタノール(23.0g、30.4mmol)、重炭酸ナトリウム(16.0g、190mmol)、ジクロロメタン(250mL)及び水(160mL)を順番に添加した。混合物を0℃に冷却した。臭化カリウム(2.4g、20mmol)、2,2,6,6-テトラメチルピペリジンオキシド(0.75g、4.8mmol)及び次亜塩素酸ナトリウム溶液(52g、利用可能な塩素5.53%、利用可能な塩素81mmol)を順番に添加し、15分間攪拌した。反応混合物を分離した。有機相を飽和ブライン(200mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。混合物を濾過し、濃縮して、標記化合物を黄色油(23.0g、100%)として得た。
【0392】
ステップ3 (2R,3S,4S,5R,6S)-6-[3-[[4-(4-アリルオキシブチル)フェニル]メチル]-4-メチル-フェニル]-3,4,5-トリベンジルオキシ-2-(ヒドロキシメチル)-6-メトキシ-テトラヒドロピラン-2-ホルムアルデヒド
【0393】
【化59】
【0394】
[(2S,3S,4S,5R,6S)-6-[3-[[4-(4-アリルオキシブチル)フェニル]メチル]-4-メチル-フェニル]-3,4,5-トリベンジルオキシ-6-メトキシ-テトラヒドロピラン-2-イル]ホルムアルデヒド(23.0g、30.4mmol)を室温でN,N-ジメチルホルムアミド(200mL)に溶解し、0℃に冷却した。次いで、37%ホルムアルデヒド溶液(62.0g、764mmol)及びDBU(3.1g、20mmol)を添加した。混合物を室温に加熱し、一晩攪拌した。酢酸エチル(300mL)を添加した。反応混合物を水(400mL)及び飽和ブライン(200mL)で順番に洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。混合物を濾過し、濃縮して、標記化合物を黄色油(23.0g、96%)として得た。
【0395】
ステップ4 [(3S,4S,5R,6S)-6-[3-[[4-(4-アリルオキシブチル)フェニル]メチル]-4-メチル-フェニル]-3,4,5-トリベンジルオキシ-2-(ヒドロキシメチル)-6-メトキシ-テトラヒドロピラン-2-イル]メタノール
【0396】
【化60】
【0397】
(2R,3S,4S,5R,6S)-6-[3-[[4-(4-アリルオキシブチル)フェニル]メチル]-4-メチル-フェニル]-3,4,5-トリベンジルオキシ-2-(ヒドロキシメチル)-6-メトキシ-テトラヒドロピラン-2-カルボキシアルデヒド(23.0g、29.3mmol)を室温でメタノール(200mL)に溶解し、0℃に冷却した。水素化ホウ素ナトリウム(2.8g、74mmol)をバッチに添加した。混合物を10分間攪拌し続けた。酢酸エチル(500mL)を添加した。反応混合物を水(500mL)及び飽和ブライン(200mL)で順番に洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。混合物を濾過し、濃縮して、標記化合物を黄色油(23.0g、100%)として得た。
【0398】
ステップ5 [(1S,2S,3S,4R,5S)-5-[3-[[4-(4-アリルオキシブチル)フェニル]メチル]-4-メチル-フェニル]-2,3,4-トリベンジルオキシ-6,8-ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン-1-イル]メタノール
【0399】
【化61】
【0400】
[(3S,4S,5R,6S)-6-[3-[[4-(4-アリルオキシブチル)フェニル]メチル]-4-メチル-フェニル]-3,4,5-トリベンジルオキシ-2-(ヒドロキシメチル)-6-メトキシ-テトラヒドロピラン-2-イル]メタノール(23.0g、29.2mmol)を室温でテトラヒドロフラン(150mL)に溶解した。p-トルエンスルホン酸一水和物(7.0g、37mmol)を添加した。混合物を室温で一晩攪拌した。次いで、混合物を濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE(v/v)=1/8)によって精製して、標記化合物を黄色油(12.5g、57%)として得た。
【0401】
ステップ6 (1S,2S,3S,4R,5S)-5-[3-[[4-(4-アリルオキシブチル)フェニル]メチル]-4-メチル-フェニル]-2,3,4-トリベンジルオキシ-1-(ベンジルオキシメチル)-6,8-ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン
【0402】
【化62】
【0403】
[(1S,2S,3S,4R,5S)-5-[3-[[4-(4-アリルオキシブチル)フェニル]メチル]-4-メチル-フェニル]-2,3,4-トリベンジルオキシ-6,8-ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン-1-イル]メタノール(2.0g、2.6mmol)を室温でテトラヒドロフラン(20mL)に溶解し、0℃に冷却した。水素化ナトリウム(0.21g、5.3mmol、60%)及びテトラブチルアンモニウムヨージド(10mg、0.03mmol)を添加し、30分間攪拌した。臭化ベンジル(0.63mL、5.3mmol)を滴加し、室温で一晩攪拌した。混合物を0℃に冷却し、液滴水(20mL)でクエンチした。得られた混合物を酢酸エチル(20mL)で抽出し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE(v/v)=1/6)によって精製して、標記化合物を白色固体(2.2g、98%)として得た。
【0404】
ステップ7 4-[4-[[2-メチル-5-[(1S,2S,3S,4R,5S)-2,3,4-トリベンジルオキシ-1-(ベンジルオキシメチル)-6,8-ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン-5-イル]フェニル]メチル]フェニル]ブタン-1-オール
【0405】
【化63】
【0406】
(1S,2S,3S,4R,5S)-5-[3-[[4-(4-アリルオキシブチル)フェニル]メチル]-4-メチル-フェニル]-2,3,4-トリベンジルオキシ-1-(ベンジルオキシメチル)-6,8-ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン(2.2g、2.6mmol)をメタノール(20mL)及びジクロロメタン(4mL)に溶解した。二塩化パラジウム(0.23g、1.3mmol)を添加し、混合物を3時間攪拌した。次いで、混合物を濾過し、濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE(v/v)=1/2)によって精製して、標記化合物を無色油(1.5g、72%)として得た。
【0407】
ステップ8 4-[4-[[2-メチル-5-[(1S,2S,3S,4R,5S)-2,3,4-トリベンジルオキシ-1-(ベンジルオキシメチル)-6,8-ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン-5-イル]フェニル]メチル]フェニル]酪酸
【0408】
【化64】
【0409】
4-[4-[[2-メチル-5-[(1S,2S,3S,4R,5S)-2,3,4-トリベンジルオキシ-1-(ベンジルオキシメチル)-6,8-ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン-5-イル]フェニル]メチル]フェニル]ブタン-1-オール(1.4g、1.7mmol)を室温でジクロロメタン(20mL)に溶解した。水(3mL)、2,2,6,6-テトラメチルピペリジンオキシド(92mg、0.56mmol)及びヨードベンゼン二酢酸(1.5g、4.6mmol)を順番に添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌した。次いで、混合物を分離した。有機相を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、吸引濾過し、濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE(v/v)=1/2)によって精製して、標記化合物を黄色油(1.0g、70%)として得た。
【0410】
ステップ9 N-(2-ジメチルアミノエチル)-1-[4-[4-[[2-メチル-5-[(1S,2S,3S,4R,5S)-2,3,4,-トリベンジルオキシ-1-(ベンジルオキシメチル)-6,8-ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン-5-イル]フェニル]メチル]フェニル]ブチリルアミノ]シクロヘキシルホルムアミド
【0411】
【化65】
【0412】
4-[4-[[2-メチル-5-[(1S,2S,3S,4R,5S)-2,3,4-トリベンジルオキシ-1-(ベンジルオキシメチル)-6,8-ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン-5-イル]フェニル]メチル]フェニル]ブタン酸(0.50g、0.61mmol)(0.50g、0.61mmol)を室温でジクロロメタン(6mL)に溶解した。1-アミノ-N-(2-ジメチルアミノエチル)シクロヘキシルホルムアミド二塩酸塩(0.26g、0.91mmol)、HATU(0.28g、0.74mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.52mL、3.1mmol)を順番に添加した。混合物を室温で一晩連続的に攪拌した。次いで、混合物を減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール(v/v)=10/1)によって精製して、標記化合物を無色油(0.33g、53%)として得た。
【0413】
ステップ10 N-(2-ジメチルアミノエチル)-1-[4-[4-[[2-メチル-5-[(1S,2S,3S,4R,5S)-2,3,4,-トリヒドロキシ-1-(ヒドロキシメチル)-6,8-ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン-5-イル]フェニル]メチル]フェニル]ブチルアミド]シクロヘキシルホルムアミド
【0414】
【化66】
【0415】
N-(2-ジメチルアミノエチル)-1-[4-[4-[[2-メチル-5-[(1S,2S,3S,4R,5S)-2,3,4,-トリベンジルオキシ-1-(ベンジルオキシメチル)-6,8-ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン-5-イル]フェニル]メチル]フェニル]ブチリルアミノ]シクロヘキシルホルムアミド(0.33g、0.32mmol)を室温でメタノール(5mL)に溶解した。10%水酸化パラジウム/炭素(0.23g、0.16mmol)を添加した。反応混合物を水素下で3日間攪拌した。次いで、混合物を吸引濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/無水メタノール(v/v)=10/1~5/1)によって精製して、標記化合物を白色固体(0.11g、52%)として得た。
MS (ESI, 陽イオン) m/z: 654.4 [M+H]+
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ (ppm): 7.38 (s, 1H), 7.37 - 7.32 (m, 1H), 7.15 (d, 1H), 7.08 (q, 4H), 4.18 (d, 1H), 3.98 (s, 2H), 3.87 (d, 1H), 3.82 (d, 1H), 3.74 - 3.60 (m, 4H), 3.56 (t, 2H), 3.19 (t, 2H), 2.88 (s, 6H), 2.63 (t, 2H), 2.33 (t, 2H), 2.22 (s, 3H), 2.00 - 1.86 (m, 5H), 1.85-1.75 (m, 2H), 1.67 - 1.53 (m, 5H).
【0416】
試験症例
1.SGLT1に対する阻害活性の試験
【0417】
試験目的:
以下の方法を使用して、SGLT-1に対する本発明に記載される化合物の阻害活性を決定することができる。
【0418】
試験材料:
14C-AMG溶液をPerkinElmer社、カタログ番号NEZ080001MCから購入した;
α-メチルグルコシドをSigma社、カタログ番号M9376-100Gから購入した。
N-メチル-D-グルコサミンをSigma社、カタログ番号M2004-100Gから購入した。
フロリジンをSigma社、カタログ番号P3449-1Gから購入した。
96ウェル細胞培養プレートをCorning社、カタログ番号3903から購入した。
【0419】
試験方法:
mockトランスフェクトFIP-in CHO細胞(3×104)及びヒトSGLT1遺伝子を発現するCHO細胞をそれぞれ96ウェルプレートに播種した。細胞を12時間インキュベートした。96ウェルプレートの各ウェルを、ナトリウムを含まない緩衝液150μLで1回洗浄した。各ウェルに、様々な濃度の試験化合物及び0.5μM[14]-AMGを含有するナトリウム含有緩衝液50μLを添加した。インキュベーション混合物を37℃で1時間インキュベートした。各ウェルに、予め冷却したナトリウムを含まない緩衝液150μLを添加して、反応を終結させた。細胞ペレットを、ナトリウムを含まない緩衝液で3回洗浄し、ウェル中の残留液体を除去した。各ウェルに、予め冷却した100mM NaOH 20μLを添加した。96ウェルプレートを900rpmで5分間振動させた。シンチレーション流体(80μL)を各ウェルに添加し、次いで、これを600rpmで5分間振動させた。液体シンチレーションを使用して、14C-AMGの量を定量的に検出した。結果をtable 1(表2)に示す:
【0420】
【表2】
【0421】
試験結果は、本発明の化合物がSGLT1に対する有意な阻害活性を有することを示している。
【0422】
2.経口糖負荷試験及び尿糖排泄試験
【0423】
試験目的:
以下の方法を使用して、経口糖負荷及び糖尿排泄の改善に対する本発明の化合物の効果を評価することができる。
【0424】
試験材料:
ブドウ糖をCheng Du Kelong Chemical Reagent社から購入した。
Roche Biochemical Analyzer:尿糖検出用
Roche Excellence Blood Glucose Detector:血糖検出用
【0425】
試験方法:
一晩15時間の絶食後に、雄SDラットの体重及び空腹時血糖値を測定した。ラットを体重及び空腹時血漿血糖値によってグループ分けした。各試験群に0.1mg/Kgの用量で経管栄養によって対応する試験化合物を1回投与し、ブランク対照群に溶媒を投与した。30分後、各群の血糖値(すなわち、ゼロポイント血糖)を測定し、次いで、各群に経管栄養によってブドウ糖(4.0g/kg)を1回直ちに投与した。ブドウ糖投与の15分後、30分後及び60分後に尾静脈から血液を採取し、SDラットの血糖濃度を血糖値計で連続的に測定した。糖負荷後60分以内の血糖曲線下面積(AUCGlu 0~60分)の減少率を計算した。
【0426】
60分時点での血糖値を測定した後、各群を代謝ケージに入れ、代謝ケージを単位として、薬物投与後1.5時間~24時間及び24時間~48時間の間、尿を回収した。各点での各代謝ケージの尿量を記録した。尿を回収し、遠心分離して上清を得た。マウスは尿回収中、食物及び水を自由に利用できた。各時点でのSDラットの尿糖濃度を自動生化学分析装置で決定した。結果をtable 2(表3)に示す。
【0427】
【表3】
【0428】
試験結果は、本発明の化合物が、血糖値の低下に対する著しい効果を有することを示している。
【0429】
3.静脈内及び経口定量化後の本発明の化合物の薬物動態評価
【0430】
試験目的:
以下の試験を使用して、動物における本発明の化合物の薬物動態特性を評価した。
【0431】
試験方法:
一晩15時間の絶食後に、SDラットの体重を測定した。ラットを体重によってグループ分けした。5% DMSO及び5% Koliphor HS15及び90%生理食塩水ビヒクルに溶解することによって、試験化合物を投与した。静脈内投与した実験群については、試験動物に1mg/kg、2mg/kg又は5mg/kgの用量で投与し;経口投与した実験群については、試験動物に5mg/kgの用量で投与した。次いで、静脈血(約0.2mL)を薬物投与0.083時間前並びに薬物投与0.083(静脈内群のみ)、0.25、0.5、1.0、2.0、5.0、7.0及び24時間後に採取し、EDTAK2抗凝固チューブに入れ、21,000rpmで2分間遠心分離した。血漿を回収し、LC/MS/MS分析まで-20℃又は-70℃で保管した。血漿薬物濃度を各時点で測定した。WinNonlin 6.3ソフトウェア非コンパートメントモデルの方法によって薬物動態パラメータを計算し、薬物-時間曲線を描いた。
【0432】
試験結果は、本発明によって提供される化合物が、静脈内又は経口投与した場合に、優れた薬物動態特性を示すことを示している。
【0433】
本明細書の説明において、「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「例」、「具体例」又は「いくつかの例」等への参照用語は、その実施形態又は例に関して記載される特定の特徴、構造、材料又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語の概略表現は、必ずしも同じ実施形態又は例に向けられるものではない。更に、特定の特徴、構造、材料又は特性を、任意の適切な方法で、1つ又は複数の実施形態又は例に組み合わせることができる。更に、当業者であれば、異なる実施形態、例又はその特徴が互いに矛盾しない限り、これらを統合し、組み合わせることができる。
【0434】
説明的な実施形態を示し、記載してきたが、上記実施形態が本開示を限定すると解釈することはできず、本開示の精神、原理及び範囲から逸脱することなく、実施形態において変更、代替及び修正を行うことができることが当業者によって理解されよう。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)を有する化合物又はその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、N-オキシド、溶媒和物、代謝産物、薬学的に許容される塩、二量体、三量体若しくはプロドラッグ
【化1】
(式中、
Yは-(CH2)q-、-O-、-NH-、-S-、-S(=O)-又はS(=O)2-であり;qは0、1、2又は3であり;
LはC1~6アルキレン又はC1~6アルケニレンであり、前記Lは非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRyで置換されており;
R1はH、重水素、F、Cl、Br、I、-OH、-CN、-NO2、-NH2、-SH、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルキル、C1~6ハロアルコキシ、C1~6アルキルアミノ、C1~6アルキルチオ、シアノC1~6アルキル、アミノC1~6アルキル、ヒドロキシC1~6アルキル又はC3~6シクロアルキルであり;
R5及びR6の各々は独立に、H、重水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C3~6シクロアルキル、5~6員ヘテロシクリル、C6~10アリール又は5~6員ヘテロアリールであり;或いはR5、R6は、これらが結合している窒素原子と一緒になって、5~6員複素環式環又は5~6員複素芳香環を形成し;
R4はF、Cl、Br、I、OH、CN、NO2、NH2、-SH、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルキル、C1~6ハロアルコキシ、C1~6アルキルチオ、C1~6アルキルアミノ、ヒドロキシC1~6アルキル、シアノC1~6アルキル、アミノC1~6アルキル、C3~6シクロアルキル、5~6員ヘテロシクリル、C6~10アリール又は5~6員ヘテロアリールであり、前記C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルキル、C1~6ハロアルコキシ、C1~6アルキルチオ、C1~6アルキルアミノ、ヒドロキシC1~6アルキル、シアノC1~6アルキル、アミノC1~6アルキル、C3~6シクロアルキル、5~6員ヘテロシクリル、C6~10アリール又は5~6員ヘテロアリールの各々は独立に、換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRxで置換されており;
R2及びR3の各々は独立に、H、重水素、F、Cl、Br、I、OH、CN、NO2、NH2、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルキル、C1~6ハロアルコキシ、C1~6アルキルアミノ、C1~6アルキルチオ、ヒドロキシC1~6アルキル、シアノC1~6アルキル又はアミノC1~6アルキルであり;
或いはR2、R3は、これらが結合している
【化2】
と一緒になって、
【化3】
を形成し、R2基への結合は*によって特定され、R3基への結合は**によって特定され;
R7及びR8の各々は独立に、H、重水素、F、Cl、Br、I、OH、CN、NO2、NH2、-SH、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C1~6アルキルアミノ、C1~6ハロアルキル、C1~6ハロアルコキシ、C3~8シクロアルキル、3~8員ヘテロシクリル、C6~10アリール又は5~8員ヘテロアリールであり、前記C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C1~6アルキルアミノ、C1~6ハロアルキル、C1~6ハロアルコキシ、C3~8シクロアルキル、3~8員ヘテロシクリル、C6~10アリール又は5~8員ヘテロアリールの各々は独立に、非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRwで置換されており;
或いはR7、R8及びこれらが結合している炭素原子は、C3~8炭素環式環又は3~8員複素環式環を形成し、前記C3~8炭素環式環及び3~8員複素環式環の各々は独立に、非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRwで置換されており;
各Rx、Ry及びRwは独立に、重水素、F、Cl、Br、I、CN、NO2、OH、NH2、-SH、=O、-C(=O)OH、-C(=O)NH2、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6アルキルアミノ又はC1~6ハロアルコキシであり;
化合物は、
【化4】
を含まない)。
【請求項2】
式(II)
【化5】
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Lが-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH(CH3)CH2-、-CH2(CH2)2CH2-、-C(CH3)2CH2-、-CH2(CH2)3CH2-、-CH2(CH2)4CH2-、-CH=CH-、-CH=CHCH2-、-CH2CH=CH-、-CH=CHCH2CH2-、-CH2CH=CHCH2-又は-CH2CH2CH=CH-であり、前記Lが非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRyで置換されている、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
R1がH、重水素、F、Cl、Br、I、-OH、-CN、-NO2、-NH2、-SH、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ビニル、エチニル、メトキシ、エトキシ、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、シアノメチル、アミノメチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシルであり;
R5及びR6の各々が独立に、H、重水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ビニル、エチニル、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、5~6員ヘテロシクリル、フェニル又は5~6員ヘテロアリールであり;或いはR5、R6が、これらが結合している窒素原子と一緒になって、5~6員複素環式環又は5~6員複素芳香環を形成する、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
R4がF、Cl、Br、I、OH、CN、NO2、NH2、-SH、C1~4アルキル、C2~4アルケニル、C2~4アルキニル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルチオ、C1~4アルキルアミノ、ヒドロキシC1~4アルキル、シアノC1~4アルキル、アミノC1~4アルキル、C3~6シクロアルキル、5~6員ヘテロシクリル、C6~10アリール又は5~6員ヘテロアリールであり、前記C1~4アルキル、C2~4アルケニル、C2~4アルキニル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルチオ、C1~4アルキルアミノ、ヒドロキシC1~4アルキル、シアノC1~4アルキル、アミノC1~4アルキル、C3~6シクロアルキル、5~6員ヘテロシクリル、C6~10アリール又は5~6員ヘテロアリールの各々が独立に、非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRxで置換されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
R4がF、Cl、Br、I、OH、CN、NO2、NH2、-SH、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ビニル、エチニル、1-プロピニル、プロパルギル、メトキシ、エトキシ、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メチルチオ、エチルチオ、メチルアミノ、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、シアノメチル、アミノメチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、5~6員ヘテロシクリル、フェニル又は5~6員ヘテロアリールであり、前記メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ビニル、エチニル、1-プロピニル、プロパルギル、メトキシ、エトキシ、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メチルチオ、エチルチオ、メチルアミノ、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、シアノメチル、アミノメチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、5~6員ヘテロシクリル、フェニル又は5~6員ヘテロアリールの各々が独立に、非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRxで置換されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
R7及びR8の各々が独立に、H、重水素、F、Cl、Br、I、OH、CN、NO2、NH2、-SH、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4アルキルアミノ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C3~6シクロアルキル、5~6員ヘテロシクリル、C6~10アリール又は5~6員ヘテロアリールであり;前記C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4アルキルアミノ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C3~6シクロアルキル、5~6員ヘテロシクリル、C6~10アリール又は5~6員ヘテロアリールの各々が独立に、非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRwで置換されており;
或いはR7、R8及びこれらが結合している炭素原子がC3~7炭素環式環又は5~6員複素環式環を形成し、前記C3~7炭素環式環及び5~6員複素環式環の各々が独立に、非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRwで置換されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
R7及びR8の各々が独立に、H、重水素、F、Cl、Br、I、OH、CN、NO2、NH2、-SH、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、メトキシ、エトキシ、メチルアミノ、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、フェニル、フリル、ピロリル、ピリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、1,3,5-トリアジニル、チアゾリル、チエニル、ピラジニル、ピリダジニル又はピリミジニルであり、前記メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、メトキシ、エトキシ、メチルアミノ、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、フェニル、フリル、ピロリル、ピリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、1,3,5-トリアジニル、チアゾリル、チエニル、ピラジニル、ピリダジニル又はピリミジニルの各々が独立に、非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRwで置換されており;
或いはR7、R8及びこれらが結合している炭素原子がシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル又はピペラジニルを形成し、前記シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル又はピペラジニルの各々が独立に、非置換であるか、又は1つ、2つ若しくは3つのRwで置換されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
各Rx、Ry及びRwが独立に、重水素、F、Cl、Br、I、CN、NO2、OH、NH2、-SH、=O、-C(=O)OH、-C(=O)NH2、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、メチルアミノ又はトリフルオロメトキシである、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
以下の構造:
【化6】
の1つを有する請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物又はその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、N-オキシド、溶媒和物、代謝産物、薬学的に許容される塩、二量体、三量体若しくはプロドラッグ。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物を含み、薬学的に許容される担体、賦形剤、アジュバント、ビヒクル又はこれらの組合せを更に含む、医薬組成物。
【請求項12】
1種又は複数の追加の治療薬を更に含み、前記追加の治療薬が抗糖尿病薬、抗高血糖薬、抗肥満薬、抗高血圧薬、食欲抑制薬、脂質低下薬又はこれらの組合せから選択される、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記抗糖尿病薬及び抗高血糖薬の各々が、SGLT2阻害剤、ビグアナイド薬物、スルホニル尿素薬物、グルコシダーゼ阻害剤、PPARアゴニスト、αP2阻害剤、PPARα/γ二重活性化因子、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤、グリニド薬物、インスリン、グルカゴン様ペプチド-1阻害剤、PTP1B阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルコース-6-ホスファターゼ阻害剤又はこれらの組合せから独立に選択され;前記抗肥満薬が、抗中心性肥満薬、MCH受容体アンタゴニスト、ニューロペプチドY受容体アンタゴニスト、カンナビノイド受容体アンタゴニスト、脳腸ペプチドアンタゴニスト、リパーゼ阻害剤、β3アゴニスト、11β-HSD1阻害剤、DGAT-1阻害剤、ペプチド食欲抑制薬、コレシストキニンアゴニスト、摂食阻害剤又はこれらの組合せから選択され;前記脂質低下薬が、MTP阻害剤、HMGCoAレダクターゼ阻害剤、スクアレンシンテターゼ阻害剤、ベータ酪酸脂質低下薬、ACAT阻害剤、リポキシゲナーゼ阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、回腸ナトリウムイオン/胆汁酸共輸送体阻害剤、LDL受容体活性の上方制御剤、ナイアシン脂質低下薬、胆汁酸キレート又はこれらの組合せから選択され;或いは前記脂質低下薬が、プラバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチン又はこれらの組合せから選択される、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
SGLT1を阻害する;又は腸内環境を改善する;又は疾患を予防若しくは処置する、前記疾患の症状を減少させる、又は前記疾患の進行若しくは発症を遅延させるのに使用するための請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物又は請求項11から13のいずれか一項に記載の医薬組成物であって、前記疾患が糖尿病、糖尿病合併症、インスリン抵抗性、高血糖、高インスリン血症、高脂血症、肥満、X症候群、粥状動脈硬化、心血管疾患、うっ血性心不全、低マグネシウム血症、低ナトリウム血症、腎不全、血中濃度に関連する障害、便秘又は高血圧であり;
前記糖尿病合併症が、糖尿病性網膜症、糖尿病性ニューロパチー又は糖尿病性腎症であり;前記高脂血症が高トリグリセリド血症である、化合物又は医薬組成物。
【国際調査報告】