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特表2022-539677イメージング反射器アンテナシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-13
(54)【発明の名称】イメージング反射器アンテナシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H01Q 19/17 20060101AFI20220906BHJP
   H01Q 3/20 20060101ALI20220906BHJP
   H01Q 13/02 20060101ALI20220906BHJP
   H01Q 3/26 20060101ALI20220906BHJP
   H01Q 1/28 20060101ALN20220906BHJP
【FI】
H01Q19/17
H01Q3/20
H01Q13/02
H01Q3/26 Z
H01Q1/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021574865
(86)(22)【出願日】2020-04-13
(85)【翻訳文提出日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 US2020027905
(87)【国際公開番号】W WO2021006937
(87)【国際公開日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】16/697,755
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/504,984
(32)【優先日】2019-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520128820
【氏名又は名称】ノースロップ グラマン システムズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラオ、サダカー、ケー.
【テーマコード(参考)】
5J020
5J021
5J045
5J046
【Fターム(参考)】
5J020AA03
5J020BA10
5J020BA19
5J020BC04
5J020BC06
5J020DA04
5J020DA06
5J020DA07
5J020DA08
5J020DA09
5J021AA01
5J021AA05
5J021AA09
5J021AA11
5J021AB07
5J021BA01
5J021DA03
5J021DB01
5J021FA17
5J021FA23
5J021FA26
5J021FA32
5J021GA02
5J021GA08
5J021HA05
5J021HA07
5J021JA03
5J021JA05
5J021JA06
5J045CA01
5J045CA04
5J045DA01
5J045LA01
5J045NA02
5J046AA03
5J046AA04
5J046AB03
5J046AB05
5J046AB09
5J046AB19
5J046KA03
(57)【要約】
アンテナシステムがアンテナと給電素子とを備える。アンテナは給電素子を組み合わせて高利得素子ビーム(HGEB)を形成するように構成され、さらにシステムがHGEBを組み合わせて大きなカバレッジビームを形成するように構成される。給電アレイは信号を前記アンテナに転送するように構成され、アンテナの焦点面からデフォーカス距離だけデフォーカスされ、N個の給電素子を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナシステムであって、
単一反射器イメージングアンテナ(SRIA)と、
N個の給電素子を含む給電アレイと、
を備え、
前記給電アレイは信号を前記アンテナへ転送するように構成され、前記給電アレイは前記アンテナの焦点面からデフォーカス距離だけデフォーカスされ、前記アンテナは前記給電素子を組み合わせて高利得素子ビーム(HGEB)を形成するように構成され、前記システムはさらに前記HGEBを組み合わせて大きなカバレッジビームを形成するように構成される、アンテナシステム。
【請求項2】
前記給電素子はJ個のHGBEを形成する、請求項1に記載のアンテナシステム。
【請求項3】
Jは7~9の数である、請求項2に記載のアンテナシステム。
【請求項4】
前記給電アレイはN個のホーンを備える、請求項1に記載のアンテナシステム。
【請求項5】
前記システムはビーム当たり1個のホーンを使用する、請求項4に記載のアンテナシステム。
【請求項6】
Nは近似的に37に等しい、請求項4に記載のアンテナシステム。
【請求項7】
前記アンテナは単一のオフセット放物面反射器アンテナを備える、請求項1に記載のアンテナシステム。
【請求項8】
前記システムは、前記給電アレイを固定したまま前記反射器アンテナをジンバル動作させるように構成された2軸ジンバル機構をさらに備える、請求項7に記載のアンテナシステム。
【請求項9】
前記システムは小さい領域上で精密な電子的走査を遂行するように構成され、前記システムはさらに、前記給電アレイを固定したまま前記2軸ジンバル機構を使用して前記反射器アンテナをジンバル動作させ、大きな領域上の粗い機械的走査を遂行するように構成される、請求項8に記載のアンテナシステム。
【請求項10】
ビーム走査方法であって、
単一反射器アンテナ(SRIA)を含むアンテナシステムを使用し、かつN個の給電素子を含む給電アレイを使用するステップであって、前記給電アレイは信号を前記アンテナへ転送するように構成され、前記給電アレイは前記アンテナの焦点面からデフォーカス距離だけデフォーカスされ、前記アンテナは前記給電素子を組み合わせてM個の中利得素子ビーム(MGEB)を形成するように構成され、前記アンテナはさらに前記MGEBを組み合わせてJ個の高利得素子ビーム(HGEB)を形成するように構成され、かつ、前記システムはさらにMGEBの全て又は一部を組み合わせて、前記N個の給電素子と前記アンテナを使用してN個の単一素子ビームを形成する、大きなカバレッジビームを形成するように構成されるステップと、
前記N個の給電素子を使用して前記N個の単一素子ビームを組み合わせるステップと、
第1レベルビーム成形回路(BFN)にM個のMGEBを形成するステップと、
前記MGEBを第2レベルBFNで組み合わせて前記大きなカバレッジビームを生成するステップと、
を含む、ビーム走査方法。
【請求項11】
組み合わせることがJ個のHGEBを形成することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記N個の単一素子ビームを組み合わせる前記ステップが、前記形成するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
Mは近似的に19に等しい、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記HGEBは従来技術に比べて少なくとも約2.2デシベル(dB)優れた利得を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
Nは近似的に37に等しい、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
ビームの走査方法であって、
アンテナシステムを使用するステップであって、前記システムはアンテナを備え、前記アンテナは単一反射器イメージングアンテナ(SRIA)を備え、前記システムはさらに2軸ジンバル機構を備え、前記システムはさらに、前記アンテナに信号を転送するように構成された給電アレイをさらに備え、前記給電アレイは前記アンテナの焦点面からデフォーカス距離だけデフォーカスされ、前記給電アレイはN個の給電素子を備え、前記アンテナは前記給電素子を組み合わせてJ個の高利得素子ビーム(HGEB)を形成するように構成され、前記システムはさらに前記HGEBを組み合わせて、第1領域上で精密な電子走査を行う大きなカバレッジビームを形成して、前記J個のHGEBと前記大きなカバレッジビームとを生成するように構成される、アンテナシステムを使用するステップと、
前記給電アレイを固定したまま前記反射器アンテナをジンバル動作させることにより、前記2軸ジンバル機構を用いて第2領域上で粗い機械走査を実行するステップと、
を含み、
ここで前記第2領域は前記第1領域より大きく、J個の第2レベルビームと大きなカバレッジビームとを生成する、ビームの走査方法。
【請求項17】
精密な電子走査を行う前記ステップは、直径約1°の領域ビームを使用する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
粗い機械走査を実行する前記ステップの後に、前記第2レベルビームをスポットビームと大きなカバレッジビームの1以上として使用する追加ステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
Nは近似的に37に等しい、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
Jは7~19の範囲の数である、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年7月8日出願の「イメージング反射器アンテナシステムおよび方法」と題する米国特許出願第16/504,984号の継続出願であり、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、イメージング反射器アンテナシステムおよび方法に関する。
【発明の概要】
【0003】
アンテナシステムがアンテナを含み、アンテナは給電素子を組み合わせて高利得素子ビーム(HGEB)を形成するように構成され、更にシステムがHGEBを組み合わせて大きなカバレッジビームを形成するように構成される。アンテナシステムはまた、信号をアンテナに転送するように構成された給電アレイも含み、給電アレイはアンテナの焦点面からデフォーカス距離だけデフォーカスされ、給電アレイは、N個の給電素子を備える。例えば、信号は無線周波数(RF)信号を含む。
【0004】
ビームの走査方法は以下のステップを含む。単一反射器アンテナ(SRIA)を含むアンテナシステムを使用し、かつN個の給電素子を含む給電アレイを使用するステップであって、給電アレイは信号をアンテナへ転送するように構成され、給電アレイはアンテナの焦点面からデフォーカス距離だけデフォーカスされ、アンテナは給電素子を組み合わせてM個の中利得素子ビーム(MGEB)を形成するように構成され、アンテナはさらにMGEBを組み合わせてJ個の高利得素子ビーム(HGEB)を形成するように構成され、かつ、システムはさらにMGEBの全て又は一部を組み合わせて、N個の給電素子とアンテナを使用してN個の単一素子ビームを形成する、大きなカバレッジビームを形成するように構成されるステップと、N個の給電素子を使用してN個の単一素子ビームを組み合わせるステップと、第1レベルビーム成形回路(BFN)にM個のMGEBを形成するステップと、MGEBを第2レベルBFNで組み合わせて大きなカバレッジビームを生成するステップ、である。
【0005】
ビームの走査方法が以下のステップを含む。アンテナシステムを使用するステップであって、システムはアンテナを備え、アンテナは単一反射器イメージングアンテナ(SRIA)を備え、システムはさらに2軸ジンバル機構を備え、システムはさらに、アンテナに信号を転送するように構成された給電アレイを備え、給電アレイはアンテナの焦点面からデフォーカス距離だけデフォーカスされ、給電アレイはN個の給電素子を備え、アンテナは給電素子を組み合わせてJ個の高利得素子ビーム(HGEB)を形成するように構成され、システムはさらにHGEBを組み合わせて大きなカバレッジビームを形成し、第1の領域上で精密な電子走査を行い、J個のHGEBと大きなカバレッジビームとを生成するように構成される、アンテナシステムを使用するステップと、給電アレイを固定したまま反射器アンテナをジンバル動作させることにより、2軸ジンバル機構を用いて第2領域上で粗い機械走査を実行するステップと、を含む。ここで第2領域は第1領域より大きく、J個の第2レベルビームと大きなカバレッジビームとを生成する。
【0006】
アンテナシステムは、アンテナが、給電素子を組み合わせて高利得素子ビーム(HGEB)を形成するように構成され、システムがさらにHGEBを組み合わせて大きなカバレッジのビームを形成するように構成された、単一反射器イメージングアンテナ(SRIA)と、SRIAアンテナの背面に配置された2軸ジンバル機構と、アンテナへ信号を転送するように構成された給電アレイと、を含む。給電アレイはアンテナの焦点面からデフォーカス距離だけデフォーカスされ、給電アレイはN個の給電素子を備え、給電アレイはさらにN個の偏波器を備え、前記給電アレイはさらにN個のフィルタを備え、給電アレイはさらにN個の増幅器を備え、増幅器は信号を第1レベルのビーム形成回路(BFN)に送るように構成され、第1レベルのBFNは、給電素子を組み合わせてM個の中利得素子ビーム(MGEB)を形成するように構成され、給電アレイはさらにM個のポスト第1レベルBFN増幅器を備え、給電アレイはさらにN個の局部発振器/ミキサーを備え、給電アレイはさらに、MGEBを組み合わせて、J個の送出される高利得素子ビーム(HGEB)を形成するように構成された、第2レベルのデジタルBFNを備え、システムはさらに、HGEBを組み合わせて大きなカバレッジのビームを形成するように構成される。
【0007】
アンテナシステムは、システムが主反射器とさらに副反射器を備えるデュアル反射器イメージングアンテナ(DRIA)と、信号をアンテナに転送するように構成された給電アレイとを含む。給電アレイはアンテナの焦点面からデフォーカス距離だけデフォーカスされ、給電アレイはN個の給電素子を受けるように構成され、給電アレイは第1レベルのビーム形成回路(BFN)を介してN個の信号を送り出し、給電アレイはさらにN個の減衰器を備え、給電アレイはさらにN個の移相器を備え、給電アレイはさらに3N個の増幅器を備え、給電アレイはさらにN個のトリプレクサを備え、給電アレイはさらに3N個の偏波器を備え、給電アレイはさらに3N個のフィルタを含み、給電アレイはさらにN個の増幅器を備え、システムはさらに、ビームを組み合わせて大きなグローバルカバレッジビームと高利得走査スポットビームとを同時に形成するように構成される。
【0008】
添付の図面は、様々な代表的実施形態をより完全に説明するために使用され、当業者が本明細書に開示される代表的実施形態とその固有の利点をよりよく理解するために使用可能な視覚的表示を提供する。これらの図面において、同様な参照番号は対応する素子を識別する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】単一反射器イメージングアンテナ(SRIA)システムの構成要素の図である。
図2】単一反射器イメージングアンテナ(SRIA)システムに使用可能な給電アレイの図である。
図3】SRIAシステムに関する、パーセンテージ帯域幅に対する統合デュアルバンド給電アレイの反射減衰量の測定値をプロットしたグラフである。
図4】SRIAシステムに関する、パーセンテージ帯域幅に対する統合デュアルバンド給電アレイの軸上の軸比の測定値をプロットしたグラフである。
図5A】方位角に対する統合デュアルバンド給電アレイの指向性をプロットしたグラフである。
図5B】本発明の実施形態で使用可能な単一給電アセンブリの図である。
図6】ビーム形成回路なしのビームごとに単一の給電を使用する低周波帯域用のSRIAシステムに関する、計算された素子ビームパターンの方位角に対する、統合デュアルバンド給電アレイを使用するSRIAシステムの指向性をプロットしたグラフである。
図7】方位角面内の7素子ビームから成る第1レベルのビーム形成回路を用いた低周波帯域用SRIAシステムに関する、合成中利得素子ビーム(MGEB)素子ビームパターンの方位角に対する、統合デュアルバンド給電アレイを用いるSRIAシステムの指向性をプロットしたグラフである。
図8】低周波帯域用の例示的高利得マルチビーム(HGMB)を形成する合成MGEBの方位角に対する、統合デュアルバンド給電アレイを用いたSRIAシステムの指向性をプロットしたグラフである。
図9】ビームを方位角平面のボアサイト方向から0.5度外れた方向へ電子走査したときの、低周波帯域用の例示的HGMBを形成する合成MGEBの方位角に対する、統合デュアルバンド給電アレイを用いたSRIAシステムの指向性をプロットしたグラフである。
図10】高周波帯域かつ大きなカバレッジビーム用のHGMBの合成素子ビームパターンの方位角に対する、統合デュアルバンド給電アレイを使用するSRIAシステムの指向性をプロットしたグラフである。
図11】ハイブリッド走査方法を示す図である。
図12】SRIAシステムの構成要素の概略図である。
図13A】37個の給電素子を第1レベルビーム形成回路(BFN)と第2レベルBFNを用いて反射器の照射に使用するときの、HGEBの2周波数帯域における方位角に対する、統合デュアルバンド給電アレイを使用するSRIAの指向性をプロットした2つのグラフの組である。
図13B】37個の給電素子を第1レベルビーム形成回路(BFN)と第2レベルBFNを用いて反射器の照射に使用するときの、HGEBの2周波数帯域における方位角に対する、統合デュアルバンド給電アレイを使用するSRIAの指向性をプロットした2つのグラフの組である。
図14】デュアル反射器イメージングアンテナ(SRIA)システムの構成要素の図である。
図15】デュアル反射器イメージングアンテナ(SRIA)システムの構成要素の模式図である。
図16】地球静止衛星からのDRIAシステムにより形成されるボアサイト方向のスポットビームのθ角に対する実効的等方放射電力(EIRP)をプロットしたグラフ1600である。
図17】地球静止衛星からのDRIAシステムにより形成されるボアサイト方向から-6度ずれてビームを走査するときの、スポットビームのθ角に対してEIRPをプロットしたグラフである。
図18】ビーム走査方法のフローチャートである。
図19】ビーム走査方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
軌道上でのビーム再設定を可能とするアンテナシステムが、イメージング反射器アンテナを採用する高利得マルチビーム(HGMB)を使用して提供される。全地球をカバーするビーム走査は、小領域の精密な電子走査と、より大きなグローバルカバレッジでの粗い機械走査との組み合わせを用いて達成される。この方法は、素子ビームを使用する従来法に比べて利得の大幅な改善を提供し、また低コストペイロードでHGMBと広域カバレッジビームとを同時に提供可能である。
【0011】
本発明の実施形態は、イメージング反射器アンテナのすべての給電素子を最適化された励振で組み合わせて高利得素子ビーム(HGEB)を形成することで、複数の高利得の重なり合うスポットビームを提供する。HGEBは、そうして組み合わされて1以上のよりカバレッジの大きいビームと、1以上の妨害器の低減を可能とする適応されたビームとを形成する。
【0012】
本システムは、N個の低利得素子ビームを組み合わせて、M個の中利得素子ビーム(MGEB)とする。システムは次いでM個のMGEBを組み合わせて、J個の高利得素子ビームにする。N個の給電素子の組み合わせはN個のビームのアンテナ利得を、従来技術に比べて約2.0dB~3.0dBだけ増加させる。ハイブリッド走査法は、小領域上の電子走査と、二軸ジンバル機構を使用する大領域上の機械走査とを、給電アレイを固定したままで反射器アンテナをジンバル操作することで組み合わせる。
【0013】
N個の給電素子励振(振幅と位相の両方)を使用して、N個の素子ビームの組を、N個の素子ビームのクラスタで所望の走査位置に走査する。ビームは次いで、組み合わされてまずM個のMGEBを形成し、そのMGEBを使用して再び組み合わされて、J個のHGEBを形成する。単一のアンテナが、高利得マルチビーム(HGMB)とシアタ(theater)カバレッジビームの両方を提供する。
【0014】
図1は、単一反射器イメージングアンテナ(SRIA)システム100の構成要素の図である。システム100は、単一のオフセット反射器アンテナ110を備える。例えば単一オフセット反射器アンテナ110は単一のオフセット放物面反射器アンテナ110を備える。図には、直交座標軸x111、y112(紙面に垂直に延伸)及びz113を示す。アンテナ110は直径D114を有する。アンテナ110は焦点115を有する。任意選択によりシステムはさらに2軸のジンバル機構117を有し、ハイブリッド走査方式を使用する。
【0015】
システム100は、アンテナ110と電力を交換するように構成された給電アレイ120をさらに備える。例えば給電アレイは7つの素子を備える。給電アレイ120は、焦点115から給電アレイの焦点距離h125の位置に配置される。焦点115は軸130上にある。例えば、図に示すように、焦点115はほぼ放物面軸130上にある。軸130は焦点115に第1端部を有する。軸130は、アンテナ110の近端132の直下の位置に第2端部131を有し、アンテナ110の近端と同じx座標を有する。軸130は焦点距離F133を有する。
【0016】
給電アレイ120は、焦点115からアンテナ110の近端132までのx軸上の距離に等しいデフォーカス距離H135だけ焦点面からデフォーカスしている。本発明の実施形態によると、隣接ビームの重なりを改善してシステムが各ビームに対してより多くの素子を使用可能となるようにするために、給電アレイ120は焦点面から離される。これにより給電アレイ120からの素子ビームがデフォーカスされ、それによって素子ビームが拡がって隣接ビームとの重なりが改善される。給電素子のアレイを使用して各ビームを形成する。第1レベルのビーム形成回路を使用すると、これによりビーム効率が14%から約50%に向上する。次いで第2レベルのビーム形成を使用して、ビーム効率を約80%に向上させる。
【0017】
例示的なアンテナの幾何学パラメータは、D=129λ、焦点距離F/D=1.2、デフォーカス距離H=51.65λである。ここでλは低周波の中帯域での波長である。給電アレイは、焦点面からデフォーカス距離だけデフォーカスされる。デフォーカスの結果、デフォーカス距離に応じて素子ビームが拡がり、隣接ビームとの間の重なりが増加する。素子ビームは通常、反射器への照射が最適ではないために低い利得である。いくつかの素子ビームを組み合わせることにより、特定数の中利得素子ビーム(MGEB)が形成される。次いで、特定数の高利得素子ビーム(HGEB)が形成され、これらのHGEBを使用して次に、干渉源の位置にヌルを形成する適応ビームか、高利得のシアタ(theater)カバレッジかのいずれかを形成する。素子ビームの代わりにHGEBを使用することで、アップリンクでは利得対雑音温度(G/T)のはるかに良好な比が与えられ、あるいはダウンリンクでは実効等方放射電力が向上する。図7図8に関して後で議論するように、G/T比は、従来技術に対して約2.2デシベル(dB)の改善を示す。
【0018】
単一反射器イメージングアンテナ(SRIA)
【0019】
イメージングアンテナの給電アレイは焦点から外れている、すなわちデフォーカスされている。これにより素子ビームが拡がり、隣接ビームとの重なりが改善される。そうして多数の素子ビームを使用して高利得マルチビーム(HGMB)の形成が可能となる。単一素子ビームに比べて反射器上の照射が最適化されることにより、利得の改善が実現する。HGMBは小シアタカバレッジ上を電子走査可能である。HGMBの使用により、複数の妨害器からの干渉をキャンセル可能であり、また大きなシアタカバレッジを形成可能である。
【0020】
図2は、単一反射器イメージングアンテナ(SRIA)システム(図示せず)に使用可能な給電アレイ200の図である。例示的な給電アレイ200は、反射器アンテナ(図示せず)に電力を供給する37個の素子210A・・・210Z、210AA・・・210AKで示される。アレイ200の37個の素子210A・・・210Z、210AA・・・210AKは、六角形の格子200に配置される。また、37個の素子210A・・・210Z、210AA・・・210AKの寸法、及び給電アレイ200の寸法を示す、垂直スケール220と水平スケール225も提供される。例えば、隣接する素子210M、210S、210Tの中心間の間隔d230は約0.49インチである。
【0021】
これにより本発明の実施形態では、従来技術よりも隣接するビーム間の重なりがよくなる。複数の給電素子を最適な振幅と最適な位相励振で組み合わせることにより、遠方界においてより広いビームが高い効率で生成される。例えば、最適化は、デンマーク国コペンハーゲンのTICRA(www.ticra.Com)で販売されている汎用反射器アンテナソフトウェアパッケージ(GRASP)の反射器アンテナコードを使用して実行される。
【0022】
素子ビームの組み合わせは、2段階のプロセスで行われる。
1.限られた数、通常7個、の素子ビームが使用される。このシステムはビーム当たり1個の素子を使用する。溢出損失のため、この段階では約15%の低効率となる。
1A.中間段階において、計算された素子ビームは第1レベルのビーム形成回路(BFN)を使用して組み合わされ、中利得ビームを形成する。
2.第1段階で形成されたビームが第2レベルBFNで結合されて、高利得マルチビームを生成する。
【0023】
給電アレイは、ファクタ1.6(高帯域と低帯域の中心周波数比)だけ分離し、両帯域におけるデュアルCP能力が全体帯域幅の20.5%である、デュアルバンド上で動作するように設計される。
【0024】
図3は、SRIAシステムに関する、パーセンテージ帯域幅320に対する統合デュアルバンド給電アレイの反射減衰量310(デシベル[dB]単位)の測定値をプロットしたグラフ300である。図には、低周波数帯域1に対する反射減衰量330と高周波数帯域2に対する反射減衰量340を示す。上で述べたように、高周波数帯域2は、低周波数帯域1の周波数の約1.6倍の周波数を有する。低周波数帯域1に対するパーセンテージ帯域幅は、帯域の中心周波数から+/-1.7%である。高周波数帯域2に対するパーセンテージ帯域幅は、帯域の中心周波数から+/-2.5%である。両帯域に関し、反射減衰量の測定値は23dBより良好であり、信号の1%未満が反射して戻ることを意味する。
【0025】
図4はSRIAシステムに関する、パーセンテージ帯域幅420に対する統合デュアルバンド給電アレイの軸上の軸比410(dB単位)の測定値をプロットしたグラフ400である。図には、低周波数帯域1と高周波数帯域2に対する軸比を示す。上で述べたように、高周波数帯域2は低周波数帯域1の周波数の約1.6倍の周波数を有する。測定された軸比は両帯域に関して0.65dBよりも良好であり、これは28.5dBを超える交差偏波アイソレーションに換算される。図4に示すように、本発明の実施形態は、代表的な従来技術の軸比である約1.5dB、これは21.3dBを超える交差偏波アイソレーションに換算される、を大幅に改善する。
【0026】
図5Aは、方位角(度単位)520に対する統合デュアルバンド給電アレイの指向性510(デシベル(等方)[dBi]単位)をプロットしたグラフ500である。図には、電波暗室内で測定された給電素子パターンを示す。図には、低周波数帯域1に対する主偏波パターン530と高周波数帯域2に対する主偏波パターン540を示す。上で述べたように、高周波数帯域2は、低周波数帯域1の周波数の約1.6倍の周波数を有する。また、図には、低周波数帯域1に対する交差偏波パターン550と高周波数帯域2に対する交差偏波パターン560を示す。交差偏波パターン550、560は、両帯域に対して約30dBを超える優れた交差偏波性能を示す。単一給電は、主SRIA反射器を照射するものとして定義される。測定される給電パターンはSRIA2次素子ビームパターンの計算に使用される。
【0027】
図5Bは、本発明の実施形態で使用可能な単一給電アセンブリ570の図である。給電アレイは、遠方界での素子ビームの重なりを改善するために、六角形のグリッドに密に詰められた37個のそのような給電アセンブリ570を使用する。給電アセンブリは、ホーン580、偏波器590及びダイプレクサ595を備える。例えば、ホーン580は、低周波数帯域1で約1.19λの開口直径を有するマルチフレアホーンを備える。ダイプレクサ595は、2つの周波数帯域間の所望のアイソレーションを提供するために、共通の導波管接合部、低周波数リジェクトフィルタ、及び高周波数リジェクトフィルタを備える。例えば、偏波器590及びダイプレクサ595の1以上は、給電アセンブリ570が少なくとも約50dBのアイソレーションによって2つの周波数帯域を分離可能とするように構成される。
【0028】
図6は、ビーム形成回路なしでビームごとに単一の給電を使用する低周波帯域用のSRIAシステムに関して、計算された素子ビームパターンの方位角620(度単位)に対する、統合デュアルバンド給電アレイを使用するSRIAシステムの指向性610(dBi単位)をプロットしたグラフ600である。図は、ビーム形成回路なしでビームごとに1つの給電を使用する低周波数帯域1用の方位角平面の7つの給電に対する、SRIAイメージング反射器の7つの計算された素子ビームパターン630A・・・630Gを示す。計算された素子ビームパターン630A・・・630Gは、隣接ビームとの重なりを示す。ただし、反射器端部での約3.0dBの低照射テーパのために、14%の低いアンテナ効率となっている。
【0029】
図7は、方位角面内の7ビームのそれぞれが7素子から成る第1レベルのビーム形成回路を用いて合成した、低周波帯域のSRIAシステム用の中利得素子ビームパターンに関して、統合デュアルバンド給電アレイを用いるSRIAシステムの指向性710(dBi単位)を方位角(度単位)720に対してプロットしたグラフ700である。図に示すのは、第1レベルのビーム形成回路(BFN)を用いて、低周波帯域1における中利得素子ビーム(MGEB)740の合成に使用する用SRIAイメージング反射器の7つの素子ビームパターン730A・・・730Gである。MGEB740は、素子ビームより高い利得を有し、効率が約50%増加している。ボアサイトでの単一MGEBとエリアカバレッジビームは、第1レベルのBFNを介して37の素子ビームすべてを組み合わせることによって得られる。図2に示す例示的給電アレイは、37個の素子を反射器アンテナに給電して使用される。
【0030】
7個の素子ビーム730A-730Gは方位角平面内にビームごとに1つの素子を有する。アレイの37個の素子は、隣接ビーム間の良好な重なりを得るために、六角形の格子に配列される。方位角平面内の7素子ビームを使用した組み合わせMGEB730A・・・730Gは、曲線740としてプロットされており、ボアサイトビームの軸上利得が49.2dBiまで改善され、中程度の第1レベルBFNアンテナ効率の50.6%の結果となっていることが示されている。適切な振幅と位相分布を有する、37の素子ビームすべてを組み合わせた関連面積ビーム(直径1°)が、42.2dBiの最小指向性を有する面積ビーム曲線740として示されている。また、合成スポットビーム750も示されており、これはグローバルカバレッジの中心を表すボアサイト位置(方位角ゼロ及び仰角ゼロ)にプロットされている。
【0031】
図8は、低周波帯域用の例示的高利得マルチビーム(HGMB)を形成する合成MGEBの方位角(度単位)820に対して、統合デュアルバンド給電アレイを用いたSRIAシステムの指向性810(dBi単位)をプロットしたグラフ800である。図に示すのは、低周波数帯域1の方位角平面におけるイメージング反射器の7つの合成MGEBパターン830A・・・830Gである。これらのMGEBは次に第2レベルのデジタルBFNによって結合されてHGEB840を形成する。2つのレベルのビーム形成回路を使用することにより、低周波数帯域1に対するデジタルビーム形成回路(DBFN)を介してすべてのMGEBを組み合わせることで、ボアサイトにおける単一高利得ビームとエリアカバレッジビームが得られる。図2に示す例示的給電アレイが、37個の素子を反射器アンテナに給電させて再度使用される。
【0032】
MGEBビーム830A~830Gのいくつかを組み合わせて、システムが高利得マルチビーム(HGMB)を生成する。第1レベルBFNを介して形成された生成MGEBを次にデジタルBFNで組み合わせて、約82%の高アンテナ効率を示す51.4dBiの利得を有する高利得スポットビームが合成される。この効率は、反射器アンテナで達成可能な理論的最大値である。従来技術の設計に対比すると利得増分は約2.2dBであり、この増分は、最適照射での反射器への照射と、隣接ビーム間のビーム重なりの改善とにより可能である。また、カバレッジビーム850も示されており、これは従来技術の方法に比べて約2.8dBという利得の顕著な増加が達成され、直径1°にわたり45.0dBiの最小指向性を有する。これは利得エリア積24837を表し、輪郭形成ビームすなわち成形ビームで可能な最高値である。これはカバレッジ全体でのフラットな利得応答及びカバレッジ領域外での急激な減衰によるものである。
【0033】
図9は、ビームを方位角平面のボアサイト方向から0.5度外れた方向へ電子走査するときの、低周波帯域用の例示的HGMBを形成する合成MGEBの方位角に対する、統合デュアルバンド給電アレイを用いたSRIAシステムの指向性をプロットしたグラフである。
【0034】
図9は、ビームを方位角平面のボアサイト方向から0.5度外れた方向へ電子走査するときの、低周波帯域用の例示的高利得マルチビーム(HGMB)940を形成する合成MGEB930の方位角(度単位)920に対する、統合デュアルバンド給電アレイを用いたSRIAシステムの指向性910(dBi単位)をプロットしたグラフ900である。アレイの37個の素子は、ここでも隣接ビーム間の良好な重なりを得るために、六角形の格子に配列される。図9は、第1レベルのビーム形成回路を使用した、イメージング反射器の7つのビーム930A..930Gの合成MGEBパターンと、方位角平面内で第2レベルのBFNを使用して合成した、単一のHGEBを示す。図9はさらに、ボアサイトから0.5度まで走査された単一高利得ビームを示す。反射鏡アンテナに給電する37個の素子を有する、図2に示す例示的給電アレイをここでも使用する。すべての素子ビームは、スポットビーム及び大きなカバレッジを有するビームの生成に効果的に使用される。
【0035】
図には合成されたHGEBパターン940も示されており、これはボアサイトから方位角方向に0.5度まで電子走査される。指向性が方位角の関数としてプロットされている。図9はまた、低周波数帯域1用の第2レベルデジタルBFNを介してMGEBを組み合わせることで得られる、ボアサイト方向の1度の広域カバレッジビーム950を示す。図9は、MGEBを含むすべてのビームとHGEBが方位角方向にボアサイトから0.5度まで外れて走査されることを除けば、図8と同じである。
【0036】
図10は、高周波帯域用の合成MGEB、HGEB及び広域カバレッジビームパターンに関して、統合デュアルバンド給電アレイを用いたSRIAシステムの指向性1010(dBi単位)を、方位角(度単位)1020に対してプロットしたグラフ1000である。アレイの37個の素子は、ここでも隣接ビーム間の良好な重なりを得るために六角形の格子に配列される。図10は、第1レベルビーム形成回路を用いた方位角平面内のイメージング反射器の合成MGEBパターン1030A・・・1030Gと、ボアサイトでの単一高利得ビーム1040と、高周波数帯域2の第2レベルデジタルBFNを介してMGEBを組み合わせて取得されたエリアカバレッジビーム1050とを示す。図10は、高周波数帯域2に対して、図8と等価である。反射鏡アンテナに給電する37個の素子を有する図2に示す例示的給電アレイをここでも使用する。すべての素子ビームは、スポットビーム及び大きなカバレッジを有するビームの生成に効果的に使用される。
【0037】
図には、合成カバレッジビーム1040も示されており、これはグローバルカバレッジの中心を表すボアサイト位置(方位角ゼロ及び仰角ゼロ)にプロットされる。また、ボアサイト方向にほぼ中心があって、約1°の直径のカバレッジを有するより大きなビーム1050も示されている。
【0038】
図10に示す結果は、振幅制御と位相制御の1以上を使用して、デジタルBFNを介した電子的組み合わせにより達成される。MGEBは良好な重なりを示し、スポットビームの形成を可能とし、また大きな利得値を有するHGEB及びカバレッジビームを生成する。
【0039】
図11は、ハイブリッド走査方法1100を示す図である。この例示的な図では、2軸ジンバル機構(ここには図示せず;図12に示す)を使用した反射器の機械的走査が、大きな外側の円1110上で実行され、その間、給電アレイ120は静止したままである。図に示す外側の円1110は、約17.4度の直径を有し、静止軌道衛星からの地球全体のカバレッジに適している。このハイブリッド走査方法1100は、限られた数(ここでは37)の素子でより広いカバレッジを提供し、高利得素子ビームとより大きなカバレッジビームを同時に提供しながら、複雑さとコストを低減する。2軸ジンバル機構を使用して地球上の所望位置に対してアンテナを粗く走査し、次に精密な電子走査を使用してビームを正確な所望位置に配置する。さらには、直径1度の円1120上でビームの正確な電子走査を行い、地上のビーム位置の微調整を行う。
【0040】
図12は、SRIAシステム1200の構成要素の模式図である。SRIAシステム1200は、反射器アンテナ110をさらに備える。2軸ジンバル機構117が反射器アンテナ110の背面に配置される。SRIAシステム1200は、給電アレイ120をさらに備える。給電アレイ120は、N個のホーン1210A・・・1210AK(H=約37)の小さなアレイを備える。各ホーンが反射器アンテナ110を照射して、対応する素子ビーム1220A・・・1220AKを形成する。素子ビーム1220A・・・1220AKは、ビーム1220A・・・1220AKごとに1つのホーン1210A・・・1210AKを使用し、したがってBFNを必要としない。素子ビーム1220A・・・1220AKは、反射器アンテナ110上への照射は最適ではないので、約15%の低効率である。給電アレイ120はさらに、直線偏波を所望の円偏波に変換するように構成された、対応する偏波器1230A・・・1230AKを備える。例えば、所望の円偏波は、右旋円偏波(RHCP)又は左旋円偏波(LHCP)を含む。
【0041】
給電アレイ120はさらに、N個のフィルタ1240A・・・1240AKの小さなアレイを含む。例えばフィルタ1240A・・・1240AKはバンドパスフィルタ(BPF)1240A・・・1240AKを含む。N個のバンドパスフィルタ(BPF)は、所望の周波数を最小損失で通過させ、他方で不要な周波数帯域を排除して、約15%のビーム効率値を有するLGEB1245A・・・1245AKを生成する。
【0042】
給電アレイ120はさらに、N個の低ノイズ増幅器(LNA)1250A・・・1250AKの小さなアレイを含む。N個のLNA 1250A・・・1250AKはそれぞれの信号を第1レベルのRF BFN1255に送る。
【0043】
給電アレイ120はさらに第1レベルの無線周波数(RF)BFN1255を備える。給電アレイ120はさらに、分割回路1260A・・・1260Xを備える。給電アレイ120はさらに、組合せ回路1265A・・・1265Xを備える。BPF1240A・・・1240AK、及びLNA1250A・・・1250AKを通過した後、信号はM個の成分に分割される。Mは必要とするビームの数に等しく、例えば、近似的又は正確にM=19である。Lは、1以上の組合せ回路1265A・・・1265Yを使用してMGEBを形成するために組み合わされるホーンの数である。例えば通常L=7であるが、これに限定されるものではない。次にL個の隣接素子からの信号がM個の分割回路を介して組み合わされ、M個の中利得ビーム1270A・・・1270Mが形成される。例えば、図示したように、分割回路1260Aと1260Xは結合して組合せ回路1265Bに給電する。例えば、M個のMGEB1270A・・・1270Mが、ビーム効率値が約50%である代表的な第1レベルのビーム形成を有する。
【0044】
給電アレイ120はさらに、M個のポスト第1レベル増幅器1275A・・・1275Mの小さいアレイを含む。給電アレイ120はさらに、M個の局部発振器(LO)/ミキサ1280A・・・1280Mの小さいアレイを含む。ポスト第1レベルBFN増幅器1275A・・・1275Mは、それぞれの信号をM個のLO/ミキサ1280A・・・1280Mへ送る。M個のLO/ミキサ1280A・・・1280Mから出てくるのはM個の第1レベルビーム1285A・・・1285Mの中間周波数(IF)ビームである。
【0045】
M個のビーム1285A・・・1285Mは、ダウンコンバートされたIFビーム1285A・・・1285Mである。給電アレイ120はさらに第2レベルデジタルBFN1290を備え、これが出力するJ個の第2レベルHGEB1295A・・・1295Jを合成して形成する。通常、Jは7から19の間の数である。ただしこれに限らない。
【0046】
出力するHGEB1295A・・・1295Jは約80%の効率を有する高利得ビームである。出力する第2レベルのビーム1295A・・・1295Jは、スポットビーム又は大カバレッジビームの1以上として使用可能である。これらの出力する第2レベルビーム1295A・・・1295Jは、反射器の背面に位置する2軸ジンバル機構を使用してグローバルカバレッジエリア内を移動する。
【0047】
図13A-13Bは、全37個の給電素子を第1レベルビーム形成回路(BFN)と第2レベルBFNを用いて反射器の照射に使用するときの、HGEBの2周波数帯域における方位角(度単位)1320A、1320Bに対する、統合デュアルバンド給電アレイを使用するSRIAシステムの指向性1310A、1310B(dBi単位)をプロットした2つのグラフの組である。図13Aは低周波数30.0GHzにおける給電パターンのプロットである。図13Bは高周波数45.5GHzにおける給電パターンのプロットである。また、反射器で照射されるエッジ角度における、所要最小エッジテーパを示す線1330A、1330Bも含まれている。図に示すように、12dBより大きな、必要最小エッジテーパは、本発明の実施形態によれば両方の周波数帯域において容易に満たされた。給電アレイの電子走査は、図12に示すように半径約1度の限られた領域で使用される。図13A-13Bはエッジテーパを示しており、反射器の端部における単一ホーン素子により生成される電界の、反射器の中心に対する減少を意味している。
【0048】
III デュアル反射器イメージングアンテナ(DRIA)
【0049】
中央給電主反射器を採用する本発明の他の実施形態は、約0.4の大きな焦点距離F/Dを有する。副反射器を使用して給電アレイからのRFエネルギを主反射器へ散乱させ、主反射器からの反射の後、最終的に自由空間へ散乱させる。ビームを、例えば8.7°又は12°の特定領域上で電子走査可能とするデジタルBFNを使用して、本アンテナで高利得ビームが形成される。例えば、代表的な走査には、地球静止(GEO)衛星用の約8.7°、及び中軌道全地球測位衛星(GPS)用の約12°がある。
【0050】
給電アレイは副反射器方向に7.5”デフォーカスされ、グローバルカバレッジビームの合成に必要な隣接ビームの重なりを改善する。PIMなしのハニカムパネルを放射素子とトリプレクサの間のインタフェースとして使用して、より大きなアレイのグランドプレーンを表す。トリプレクサを有する統合素子の測定された無線周波数(RF)性能を表1にまとめる。給電アレイは新規の7素子アレイを備える。各素子は直径が約7.5”であり、3つの帯域のそれぞれを高アイソレーションで分離する小型のトリプレクサで統合されている。95%の最小効率が測定された。システムは、最小のマルチパクションマージンが13dBの優れた電力処理性能を示す。
【0051】
【表1】
【0052】
測定された接続損失は約0.54dBより良好である。位相中心は帯域全体で0.1”以内で安定しており、ナビゲーションペイロードの重要なパラメータである、周波数帯域での群遅延変動が非常に小さくなっている。例えば、トリプレクサはくし形フィルタを含む。
【0053】
中央給電グレゴリアンアンテナを使用する小型デュアル反射器イメージングアンテナ(DRIA)は、GPS帯域で使用され、L1、L2、L5帯域で帯域幅の約31%をカバーするビームフレキシビリティを提供する。DRIAは、4mの展開可能メッシュ反射器と、直径0.78mの成形楕円副反射器とを使用する。例示的なデュアル反射器アンテナは、反射器の円形開口の近似的投影直径が4.0mである、中央給電オフセット放物面反射器を使用する。このアンテナは、中軌道(MEO)における全地球測位衛星(GPS)群に向けて、L帯域の3つの個別周波数帯域で動作する。
【0054】
図14は、デュアル反射器イメージングアンテナ(DRIA)システム1400の構成要素の図である。
【0055】
DRIAシステム1400は、カセグレンアンテナ構成を使用する主反射器1410を備える。主反射器1410は、主反射器焦点1415を有する。例えば、主反射器1410は1.7mの焦点距離を有する直径4mの放物面反射器を備える。DRIAシステム1400はさらに副反射器1420を備える。例えば、副反射器1420は双曲線の形状である。例えば、副反射器1420は双曲面形状である。例えば、副反射器1420は約0.78mの直径を有する。副反射器1420の焦点は、主反射器1410の主反射器焦点1415に位置する。副反射器1420の1次副反射器焦点1425は図に示す位置にある。
【0056】
DRIAシステム1400は、給電アレイ1430をさらに備える。給電アレイ1430は7つの給電素子1440A-1440Gを備える。例えば、給電素子1440A-144Gは、段差状開口統合放射器(STAIR)給電素子1440A-1440Gを備える。例えば、給電素子1440A-1440Gは、約8”の直径である。例えば、図に示すように、給電素子1440A-1440Gは、ほぼ六角形のグリッド状に配置される。主反射器焦点1415は副反射器の給電アレイ1430とは反対側に位置する。
【0057】
給電アレイ1430はさらに、偏波器(図示せず)を備える。素子1440A-1440Gの少なくとも1つはトリプレクサ(図示せず)を備える。好ましくは、各素子1440A-1440Gがトリプレクサ(図示せず)を備える。トリプレクサは、3つの周波数帯域L1、L2、L5を十分なアイソレーションで分離するように構成される。
【0058】
給電アレイ1430は、副反射器の1次副反射器焦点1425から、給電アレイのデフォーカス距離1450だけ変位している。給電アレイ1430はイメージング光学系を生成するために、副反射器1420に近づき、1次副反射器焦点1425から離れるように移動される。給電アレイのデフォーカス距離1450は約7.5”である。給電素子1440A-1440Gの数が限られているために、このシステムでは1レベルのビーム成形回路しか必要としない。
【0059】
図15は、デュアル反射器イメージングアンテナ(DRIA)システム1500の構成要素の模式図である。DRIAシステム1500は、反射器アンテナ110をさらに備える。反射器アンテナ110は、既に図1~14で説明したが、主アンテナと副反射器を備え、これは図では別々には示されていない。DRIAシステム1500は、給電アレイ120をさらに備える。この例ではN=7である。
【0060】
給電アレイ120は3帯域給電素子1510A、1510B、1510Cを備え、それぞれが、全体の約31%の帯域幅を有する、3つのGPS帯域L1、L2、L5をカバーする。GPS帯域1510A、1510B、1510Cは、無線周波数(RF)信号1510A、1510B、1510Cを含む。入力において、3つの帯域1510A(L1)、1510B(L2)、1510C(L5)のそれぞれは、それぞれの1:7の分割ビーム成形回路(BFN)1512A、1512B、1512Cを通過し、7つのL1RF信号1513A・・・1513G、7つのL2RF信号1514A・・・1514G、7つのL5RF信号1515A・・・1515Gを生成する。図示したものに代わる実施形態では、BFN1512A、1512B、1512Cが、固有の振幅制御と固有の位相制御の1以上を提供するように構成されたデジタルBFNを備える。この代替実施形態では、デジタルBFNは、ベースバンドのデジタル信号をL1、L2、L5周波数の1以上のRF信号に変換するように構成された局部発振器とアップコンバータを備える。
【0061】
7分割されたL1信号1513A、1513B・・・1513G、7分割されたL2信号1514A、1514B・・・1514G、7分割されたL5信号1515A、1515B・・・1515Gは、それぞれの信号を減衰させるように構成された全部で7つの可変減衰器1516A、1516B・・・1516Gの各1つを通過する。
7分割されたL1信号1513A、1513B・・・1513G、7分割されたL2信号1514A、1514B・・・1514G、7分割されたL5信号1515A、1515B・・・1515Gが、全体で3Nすなわち21の分割信号を共に構成する。次に、21の分割信号のそれぞれは、各信号を減衰させるように構成された合計21個の可変減衰器1516A・・・1516Gを通り、次に21の分割信号1513A、1513B・・・1513G、1514A、1514B・・・1514G、1515A、1515B・・・1515Gのそれぞれは、各ビームの走査及びそれぞれのカバレッジビームの成形の1以上をするように構成された合計21個の移相器1517A・・・1517Gの各1つを通過し、最後に21の分割信号1513A、1513B・・・1513G、1514A、1514B・・・1514G、1515A、1515B・・・1515Gのそれぞれが、合計21個の固体電力増幅器(SSPA)1518A、1518B・・・1518Gの内の1つを通過する。
【0062】
各SSPA1518A、1518B・・・1518Gを通過した後、21の分割信号1513A、1513B・・・1513G、1514A、1514B・・・1514G、1515A、1515B・・・1515Gのそれぞれが、7つのトリプレクサ1530A、1530B・・・1530Gのうちの1つに入る。トリプレクサ1530B・・・1530Gのそれぞれは、L1、L2、L5に対応する3つのSSPAからの3つの送信RF信号をそれぞれに組み合わせ、それらを各トリプレクサ1530A、1530B・・・1530G内部の共通ポートに組み合わせた後に、その組み合わせ信号1535A、1535B・・・1535Gを、セプタム偏波器を有する統合放射素子に給電する。トリプレクサ1530A、1530B・・・1530Gは、L1、L2及びL5周波数の1以上におけるRF信号間の十分なアイソレーション(通常70dBより大)を有する組み合わせ広帯域信号を提供する。トリプレクサ1530A、1530B・・・1530Gは、3つの入力ポートのそれぞれ及び共通出力ポートにおいて通常20dB超の良好なインピーダンス整合を提供する。
【0063】
例えば、トリプレクサ1530Aは、RFのL1信号1530A、RFのL2信号1514A、RFのL5信号1515Aを組み合わせ、これらのトリプレクサ1530A内部の共通ポートに組み合わせた後に、この組み合わせ信号1535Aを偏波器1540Aに、次いで放射素子1550Aに給電する。偏波器1540A、1540B・・・1540Gはセプタム設計を使用して実装される。例えばセプタム偏波器1540A、1540B・・・1540Gの個々の直交左旋円偏波(LHCP)ポートは、反射減衰量及び軸比の1以上を改善するために、同軸負荷により内部終端される。例えば、偏波器1540A、1540B・・・1540Gは、それぞれ直線偏波されたRF信号1535A、1535B・・・1535Gを右旋円偏波(RHCP)信号1550A、1550B..1550Gに変換する。それによりシステム1500は、地球上に高利得走査スポットビームと大きなグローバルカバレッジビームとを同時に形成する。
【0064】
図16は、地球静止衛星からのDRIAシステムにより形成されるスポットビームのボアサイト方向におけるθ角(度単位)1620に対する実効等方輻射電力(EIRP)1610(デシベルワット[dBW]単位)をプロットしたグラフ1600である。例えば、使用されるDRIAシステムは、図15に詳細を示す、7素子の再構成可能な給電アレイである。
【0065】
図示しているのは、L1 GPS周波数に対するスポットビーム曲線1630と、L2 GPS周波数に対するスポットビーム曲線1640である。プロットは、各帯域における7つのSSPAのそれぞれに対して1ワットのRF出力電力を仮定する規格化EIRPを示す。垂直ライン1650A-1650Fは地上での異なるカバレッジ角におけるEIRPを示し、極限線1660A、1660Bは、ビームが地球の中心に向いているときの地球の端におけるEIRPを示す。ライン1650A~1650F内の領域において(従って、-3度~+3度の間のθに対して)L1がL2よりもEIRPが高いことは、L1帯域のより高い周波数に起因する。
【0066】
図17は、地球静止衛星からのDRIAシステムにより形成されるビームがボアサイト方向から-6度離れて走査されるときの、スポットビームのθ角(度単位)1720に対する実効等方輻射電力(EIRP)1710(デシベルワット[dBW]単位)をプロットしたグラフ1700である。例えば、使用されるDRIAシステムは、図15に詳細を示す、7素子の再構成可能な給電アレイである。副反射器及び給電アレイは可動部品のない静止状態であり、要求されるビームのフレキシビリティは給電アレイの可変減衰器と可変移相器を使用して達成される。
【0067】
図示しているのは、L1 GPS周波数に対するスポットビーム曲線1730と、L2 GPS周波数に対するスポットビーム曲線1740である。プロットは、各帯域における7つのSSPAのそれぞれに対して1ワットのRF出力電力を仮定した規格化EIRPを示す。垂直線1750A-1750Fは地上での異なるカバレッジ角におけるEIRPを示し、極限線1760A、1760Bは、ビームが地球の中心に向いているときの地球の端におけるEIRPを示す。ライン1750A~1750F内の領域において(従って、-9度~-3度の間のθに対して)L1がL2よりもEIRPが高いことは、L1帯域のより高い周波数に起因する。
【0068】
DRIAの代替実施形態において、主反射器は、中軌道(MEO)衛星及び低軌道(LEO)衛星の1以上に対する走査範囲を拡張するために、上記のSRIAに関して説明したものと同様の2軸ジンバル機構を採用可能である。この一連の実施形態では、給電アレイと副反射器の1以上を静止させたまま、主反射器を方位角方向と仰角方向の1以上に独立して移動させる。粗走査が主反射器の機械的走査で行われ、精密な電子走査が給電アレイを使用して行われる。
【0069】
図18は、ビーム走査方法1800のフローチャートである。
【0070】
方法1800のステップの順序は図18で示すものや、以下の議論で記述するものに限定されない。いくつかのステップは、最終結果に影響することなく異なる順序で行い得る。
【0071】
ステップ1810において、単一反射器イメージングアンテナで構成されるアンテナシステムを使用し、かつN個の給電素子から成る給電アレイを使用する。給電アレイは信号をアンテナへ転送するように構成され、給電アレイはアンテナの焦点面からデフォーカス距離だけデフォーカスされている。アンテナは給電素子を組み合わせてM個の中利得素子ビーム(MGEB)を形成するように構成される。アンテナはさらにMGEBを組み合わせてJ個の高利得素子ビーム(HGEB)を形成するように構成される。そしてシステムはさらにMGEBの全て又は一部を組み合わせて大きなカバレッジビームを形成し、N個の給電素子とアンテナを使用してN個の単一素子ビームを形成するように構成される。次に、ブロック1810は制御をブロック1820に移す。
【0072】
ステップ1820において、N個の給電素子を使用して単一素子ビームが組み合わされる。これはビーム形成回路を必要としない。次に、ブロック1820は制御をブロック1830に移す。
【0073】
ステップ1830において、第1レベルのビーム形成回路(BFN)を使用してM個のMGEBが形成される。次に、ブロック1830は制御をブロック1840に移す。
【0074】
ステップ1840において、MGEBが第2レベルのBFNで組み合わされて大きなカバレッジビームを生成する。そうしてブロック1840がプロセスを終了させる。
【0075】
図19は、ビーム走査方法1900のフローチャートである。
【0076】
方法1900のステップの順序は図19で示すものや、以下の議論で記述するものに限定されない。いくつかのステップは、最終結果に影響することなく異なる順序で行い得る。
【0077】
ステップ1910においてアンテナシステムを使用する。このシステムはアンテナを備え、そのアンテナは単一反射器イメージングアンテナ(SRIA)を備える。システムはさらに2軸ジンバル機構を備え、システムはさらに、アンテナに信号を転送するように構成された給電アレイを備え、給電アレイはアンテナの焦点面からデフォーカス距離だけデフォーカスされ、フィードアレイはN個のフィード素子を含む。アンテナは給電素子を組み合わせてJ個の高利得素子ビーム(HGEB)を形成するように構成される。システムはさらにHGEBを組み合わせて大きなカバレッジビームを形成するように構成され、第1の領域上に精密な電子走査を行って、J個のHGEBと大きなカバレッジビームとを生成する。次に、ブロック1910は制御をブロック1920に移す。例えば、精密電子走査を行うステップは、直径約1°の面積ビームを使用する。
【0078】
ステップ1920において粗機械走査は、2軸ジンバル機構を用いて、副反射器と給電アレイを静止させたままで反射器アンテナをジンバル動作させることにより、第2領域上で実行される。ここで第2領域は第1領域より大きく、J個の第2レベルビームと大きなカバレッジビームとを生成する。そうしてブロック1920がプロセスを終了させる。
【0079】
任意選択によりこの方法は、粗機械走査を実行するステップの後に、第2レベルのビームをスポットビームと大きなカバレッジビームの1以上として使用することを実行する、追加ステップを含む。
【0080】
本発明の実施形態の利点は、従来技術の手法に比べて約2.2dBの改善が得られることである。本発明の実施形態の更なる利点は、素子数を大幅に低減可能なことである。これは、給電アレイを固定した状態での反射器のジンバル操作による大きなカバレッジでの粗走査に、小さいカバレッジでの給電アレイの電子走査を組み合わせたハイブリッド走査方法を使用することによる。
【0081】
開示した方法は、低コストのイメージング反射器アンテナ設計を使用して、高利得の複数かつ成形されたビームを大きなカバレッジ領域にわたり実現するという利点を有する。ビームの位置及び形状は、アプリケーションに応じてデジタルビーム成形、又はアナログとデジタルのビーム成形器の組み合わせを使用して、軌道上で再構成可能である。更なる利点としては、素子ビームを採用する従来方法に比べて利得が大幅に改善されることが含まれる。さらに別の利点としては、本発明の実施形態は低コストのペイロードでHGMBと広域カバレッジビームの両方を同時に提供可能なことである。
【0082】
本発明の実施形態の利点は、最適化された振幅と最適化された位相励振を有する複数の給電素子を組み合わせることにより、本発明の実施形態を使用して従来技術である焦点面給電アレイに比べてアンテナの遠方界において拡大画像を生成可能であり、またより広い素子ビームを有することである。更なる利点は、素子ビームの広がりが隣接ビーム間の重なりを改善し各ビームに対してより大きな給電アレイの使用を可能とすることである。本発明の実施形態のまた更なる利点は、アレイ内の給電素子の数が多いほど効率が改善されてより高いアンテナ利得が提供されることである。その結果、本発明の実施形態は、従来技術に比べて隣接ビーム間でより良好な重なりを実現する。2レベルBFN方式の利点は、デジタルBFNへの入力とデジタルBFNへの出力の1つ以上の数を低減し、したがって処理の複雑さと電力の1以上が大幅に低減されることである。
【0083】
本発明の実施形態の更なる利点は、再構成可能なビーム形状を提供することである。本発明の実施形態のさらに追加的な利点は、ビーム形状を軌道に適合させて、大きなシアタカバレッジを提供しつつ、複数の妨害器を処理可能なことである。
【0084】
本発明の実施形態の更なる利点は、これにより非常に高い利得値がもたらされることであり、効率は約80%である。本発明の実施形態の更なる利点は、改善された利得対雑音温度比である。本発明の実施形態のまた更なる利点は、ビームの重なりの改善であり、その結果大きなカバレッジビームもまた利得が向上する。
【0085】
本発明の実施形態の更なる利点は、衛星アンテナのための軌道上のビーム再構成とビーム走査の1以上の能力を提供することである。衛星アンテナは軍事用通信衛星と商用通信衛星の1以上に使用され得る。軌道上のビーム再構成とビーム走査の1以上は、カバレッジ、ビーム走査及び干渉軽減の1以上において変動があった場合の、それに対応する運用上の柔軟性を向上させる。
【0086】
本発明の実施形態の利点は、より小領域に対して高解像度が達成され、反射器のジンバル操作でビームをより大きなカバレッジで移動することによってグローバルカバレッジが達成されることである。これは、本発明の実施形態と従来技術の手法との比較結果により示される。
【0087】
本発明の実施形態の更なる利点は、従来技術に比べて、少数の素子により所望の結果が達成可能なことである。本発明の実施形態のまた更なる利点は、単一反射器イメージングアンテナ(SRIA)及びデュアル反射器イメージングアンテナ(DRIA)の1以上の潜在能力を、従来技術よりもより効果的に利用することにある。
【0088】
本発明の実施形態の別の利点は、アンテナが、複数の素子ビームと、より大きなシアタカバレッジビームとを同時に生成することである。本発明の実施形態のなお更なる利点は、複数の静止ビームを使用して干渉源の数をゼロにするか、より高い利得のビームを提供するかの1以上を行う適応ビームを生成することである。
【0089】
本発明の実施形態のなお更なる利点は、素子ビームを使用する従来方法に比べて、利得が大幅に改善されることである。HGEBの利得の増加とは別の利点は、反射器の照射テーパの増加によってサイドローブレベルがはるかに低く、それにより妨害器に対する干渉軽減が大幅に改善されることである。
【0090】
本発明の実施形態のなお更なる利点は、小さいカバレッジ領域にわたって給電素子の電子走査を行うハイブリッド走査方式を使用している間、複数のアンテナビームが隣接ビームの重なりを維持したままグローバルカバレッジ領域にわたって一緒に走査されることである。本発明の実施形態のさらに別の利点は、給電アレイと副反射器を固定した状態で、大きいカバレッジ領域にわたって主反射器の機械的走査が実行されることである。本発明の実施形態の別の利点は、反射器への給電アレイ照射の遮断による潜在的な利得低下が、デフォーカス距離Hによって回避されることである。
【0091】
本発明の実施形態の別の利点は、大きなF/Dが選択されて、ビームを電子走査するときの走査損失が改善されることである。このハイブリッド走査には、(a)給電アレイの素子数が最小化され、それによりコストも最小化されること、(b)低走査損失で広いカバリッジのビームを可能とすること、の2つの利点がある。この方法は、僅か37素子の小さい給電アレイの使用によりコストを低減しつつ、走査損失を最小化する。20”のオフセットクリアランスにより、走査ビームが、アンテナ利得を低下させる可能性のある遮蔽効果を受けることを防止する。ハイブリッド走査方式の使用により、静止衛星からの大きなグローバルカバレッジ領域全体にわたり、スポットビームとカバレッジビームの走査が可能である。
【0092】
本発明の実施形態のなお更なる利点は、中利得ビームがデジタルBFNへの入力数を減らし、それにより、入力数とともにBFNへの電力要求が指数関数的に増大することを防止する。
【0093】
本発明の実施形態の更なる利点は、ハイブリッド走査方式が両帯域に対して約30dBを超える優れた交差偏波性能をもたらすことである。
【0094】
本発明の実施形態の更なる利点は、DRIAシステムが、3つの周波数帯域L1、L2、L5を相互に十分なアイソレーションで分離することである。本発明の実施形態のなお更なる利点は、DRIAシステムが遠方界にイメージング光学系を生成することである。本発明の実施形態のさらに追加の利点は、イメージング光学系は、7素子アレイの隣接ビーム間の良好な重なりを可能とし、効率の高い高利得スポットビームを形成することである。本発明の実施形態のなお更なる利点は、DRIAシステムが7素子ビームを組み合わせて、大きな地球カバレッジビームか、又は所望のグローバルカバレッジ上を電子的に走査可能なスポットビームかのいずれかを形成可能とすることである。本発明の実施形態の別の利点は、DRIAシステムは1レベルのBFNしか必要としないことである。本発明の実施形態の更なる利点は、成形された双曲面副反射器プロファイルが効率を改善することである。本発明の実施形態の別の例は、DRIAシステムで移相器と減衰器を使用することで、各帯域(L1、L2,及びL5)におけるRF信号の振幅を独立して変更可能なことである。そしてそれにより地上からの成形ビームカバレッジも変更可能である。DRIAシステムの更なる利点は、偏波器をセプタム設計として実装することで、放射素子に一体化されたコンパクトなシステムを提供しながら、所望帯域幅に応えることが可能なことである。DRIAシステムの更なる利点には、本システムに偏波器をセプタム設計で実装することで反射減衰量及び軸比性能の1以上が改良されることが含まれる。DRIAシステムのなお更なる利点には、1以上のトリプレクサが、L1、L2、L5周波数の1以上においてRF信号間の十分なアイソレーション(通常70dBより大)で、組み合わされた広帯域信号を提供することが含まれる。DRIAシステムのなお別の利点には、1以上のトリプレクサが、3つの入力ポートのそれぞれと共通の出力ポートとにおいて、通常20dB超の良好なインピーダンス整合を提供することが含まれる。
【0095】
地図の自動注釈付けのための方法により使用されるソフトウェアは、システムがアクセス可能な任意の場所にあってよいことは、当業者には理解されるであろう。ネットワークの変形の数やソフトウェアの場所などには事実上制限がないことは当業者にはさらに理解されるであろう。例えば、本発明の実施形態は他の反射器形状、例えばこれに限らないが、カセグレンアンテナ、グレゴリアンアンテナ、軸方向に変位した楕円体(ADE)副反射器を有するデュアル反射器、非集束単一反射器アンテナ、等の1以上に採用可能である。これらはなおも本開示の発明内に含まれる。
【0096】
上記の代表的実施形態を、例示的構成における特定の構成要素で説明したが、当業者であれば、異なる構成及び/又は異なる構成要素を使用して、別の代表的実施形態を実装可能であることが理解されるであろう。例えば、特定のステップの順序、及び特定の構成要素は、本発明の機能を実質的に損なうことなしに変更可能であることは、当業者には理解されるであろう。
【0097】
本明細書において詳細に説明した代表的実施形態及び開示した主題は、例及び例示として提示するものであり、限定として提示するものではない。説明した実施形態の形態及び詳細は様々な変更を加えることができ、本発明の範囲内に留まる等価な実施形態をもたらすことは、当業者には理解されるであろう。したがって、上記の説明の主題は例示的であるとして解釈されるべきであり、限定的な意味で解釈されるべきではないことが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【国際調査報告】