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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-13
(54)【発明の名称】力信号処理
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20220906BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
G06F3/041 600
G06F3/044 126
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576545
(86)(22)【出願日】2020-06-17
(85)【翻訳文提出日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 GB2020051452
(87)【国際公開番号】W WO2021005327
(87)【国際公開日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】1909827.6
(32)【優先日】2019-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516247225
【氏名又は名称】ケンブリッジ タッチ テクノロジーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Cambridge Touch Technologies Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100091904
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 重雄
(72)【発明者】
【氏名】ミッチ、リッカルド
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン、アロキア
(57)【要約】
いくつかの力値を処理する方法が説明される。各々の力値は、センサ位置に対応する。センサ位置は、方向に沿って離れて間隔を空けられる。方法は、力値を受信すること(S11)を含む。方法はまた、力値が1つ以上の候補ピークを含むかどうかを判定すること(S12)を含む。各々の候補ピークは、力値の極大値に対応する。方法はまた、少なくとも1つの候補ピークが最小力閾値を上回ったことに応答して(S13)、力値を補間し、補間済み力値及び最小力閾値を上回る候補ピークに基づいて、いくつかのピーク座標及び対応するピーク力値を推定すること(S14)を含む。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の力値を処理する方法であって、各々の力値は、センサ位置に対応し、前記センサ位置は、方向に沿って離れて間隔を空けられ、前記方法は、
前記複数の力値を受信することと、
前記複数の力値が1つ以上の候補ピークを含むかどうかを判定することであって、各々の候補ピークは、前記複数の力値の極大値に対応する、前記判定することと、
少なくとも1つの候補ピークが最小力閾値を上回ったことに応答して、
前記複数の力値を補間することと、
前記補間済み力値及び前記最小力閾値を上回る前記候補ピークに基づいて、いくつかのピーク座標及び対応するピーク力値を推定することと、
を備えた、前記方法。
【請求項2】
少なくとも1つのピーク力値が第2の力閾値を上回ったことに応答して、前記第2の力閾値を上回る各々のピーク力値及び前記対応するピーク座標を出力することを更に備えた、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各々のピーク座標に対し、
前記ピーク座標が追跡済みタッチイベントと関連付けられたと判定したことに応答して、
前記追跡済みタッチイベントに対していくつかの前に推定されたピーク座標を記憶した座標バッファに前記ピーク座標を追加することと、
前記座標バッファに基づいて、平均座標を計算することと、
前記平均座標及び前記ピーク力値を出力することと、
前記ピーク座標がいずれかの追跡済みタッチイベントと関連付けられていないと判定したことに応答して、
新たな追跡済みタッチイベントに前記ピーク座標及び前記対応するピーク力値を記憶することと、
前記ピーク座標及び前記対応するピーク力値を出力することと、
を更に備えた、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の力値を補間することは、前記複数の力値を使用して多項式スプラインを計算することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
各々の候補ピークは、候補センサ位置及び候補力値に対応し、前記補間済み力値及び前記1つ以上の候補ピークに基づいて、いくつかのピーク座標及び対応するピーク力値を推定することは、各々の候補ピークに対し、
前記候補センサ位置が最小センサ位置または最大センサ位置に等しいと判定したことに応答して、
前記候補センサ位置及び隣接したセンサ位置を結合する第1のスプラインセグメントの定常点を計算することと、
最大値に対応する第1の定常点が前記第1のスプラインセグメントに内に位置するかどうかを判定することと、
正の判定に応答して、前記第1の定常点に等しいピーク座標を割り当て、前記ピーク座標において前記第1のスプラインセグメントを評価することに等しい対応するピーク値を割り当てることと、
負の判定に応答して、前記候補センサ位置に等しいピーク座標を割り当て、前記候補力値に等しい対応するピーク値を割り当てることと、
前記候補センサ位置が最小センサ位置または最大センサ位置に対応しないと判定したことに応答して、
最大力値に対応する前記候補センサ位置及び前記隣接したセンサ位置を結合する第2のスプラインセグメントの定常点を計算することと、
最大値に対応する第2の定常点が前記第2のスプラインセグメント内に位置すると判定したことに応答して、前記第2の定常点に等しいピーク座標を割り当て、前記ピーク座標において前記第2のスプラインセグメントを評価することに等しい対応するピーク値を割り当てることと、
最大値に対応する定常点が前記第2のスプラインセグメント内に位置しないと判定したことに応答して、
前記候補センサ位置及び前記他の隣接したセンサ位置を結合する第3のスプラインセグメントの定常点を計算することと、
最大値に対応する第3の定常点が前記第3のスプラインセグメント内に位置すると判定したことに応答して、前記第3の定常点に等しいピーク座標を割り当て、前記ピーク座標において前記第3のスプラインセグメントを評価することに等しい対応するピーク値を割り当てることと、
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
各々の候補ピークは、候補センサ位置及び候補力値に対応し、前記補間済み力値及び前記1つ以上の候補ピークに基づいて、いくつかのピーク座標及び対応するピーク力値を推定することは、各々の候補ピークに対し、
前記候補センサ位置が最小センサ位置または最大センサ位置に対応すると判定したことに応答して、
前記候補センサ位置及び隣接したセンサ位置を結合する第1のスプラインセグメントの定常点を計算することと、
最大値に対応する第1の定常点が前記第1のスプラインセグメントに内に位置するかどうかを判定することと、
正の判定に応答して、前記第1の定常点に等しいピーク座標を割り当て、前記ピーク座標において前記第1のスプラインセグメントを評価することに等しい対応するピーク値を割り当てることと、
負の判定に応答して、前記候補センサ位置に等しいピーク座標を割り当て、前記候補力値に等しい対応するピーク値を割り当てることと、
前記候補センサ位置が最小センサ位置または最大センサ位置に対応しないと判定したことに応答して、
前記隣接したセンサ位置の1つに前記候補センサ位置を結合する第2のスプラインセグメントの定常点を計算することと、
最大値に対応する第2の定常点が前記第2のスプラインセグメント内に位置すると判定したことに応答して、前記第2の定常点を有効及び高優先度として割り当てることと、
前記第2の定常点が第3のスプラインセグメント内に位置すると判定したことに応答して、前記第2の定常点を有効及び低優先度として割り当てることと、
前記他の隣接したセンサ位置に前記候補センサ位置を結合する前記第3のスプラインセグメントの定常点を計算することと、
最大値に対応する第3の定常点が前記第3のスプラインセグメント内に位置すると判定したことに応答して、前記第3の定常点を有効及び高優先度として割り当てることと、
最大値に対応する前記第3の定常点が前記第2のスプラインセグメント内に位置すると判定したことに応答して、前記第3の定常点を有効及び低優先度として割り当てることと、
ピーク座標及び対応するピーク値を、
前記第2の定常点が有効であり、有効な第3の定常点が存在しないことに応答して、前記第2の定常点に等しい前記ピーク座標を割り当て、前記ピーク座標において前記第2のスプラインセグメントを評価することに等しい前記対応するピーク値を割り当てることと、
前記第3の定常点が有効であり、有効な第2の定常点が存在しないことに応答して、前記第3の定常点に等しい前記ピーク座標を割り当て、前記ピーク座標において前記第3のスプラインセグメントを評価することに等しい前記対応するピーク値を割り当てることと、
前記第2の定常点が高優先度であり、前記第3の定常点が低優先度であることに応答して、前記第2の定常点に等しい前記ピーク座標を割り当て、前記ピーク座標において前記第2のスプラインセグメントを評価することに等しい前記対応するピーク値を割り当てることと、
前記第3の定常点が高優先度であり、前記第2の定常点が低優先度であることに応答して、前記第3の定常点に等しい前記ピーク座標を割り当て、前記ピーク座標において前記第3のスプラインセグメントを評価することに等しい前記対応するピーク力値を割り当てることと、
前記第2の定常点及び前記第3の定常点の両方が高優先度であり、または前記第2の定常点及び前記第3の定常点の両方が低優先度であることに応答して、前記第2の定常点及び前記第3の定常点のどちらかが大きい方の力値に対応することに等しい前記ピーク座標を割り当て、前記ピーク座標において前記それぞれのスプラインセグメントを評価することに等しい前記対応するピーク力値を割り当てることと、
に従って割り当てることと、
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の力値を補間することは、
前記複数の力値に基づいて離散フーリエ変換を計算することによって、周波数スペクトルを取得することと、
前記周波数スペクトルの高周波数端において複数のゼロ値を挿入することによって、ゼロ挿入済み周波数スペクトルを生成することと、
前記ゼロ挿入済み周波数スペクトルの逆離散フーリエ変換を計算することに基づいて、補間済み力値を取得することと、
を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記補間済み力値及び前記1つ以上の候補ピークに基づいて、いくつかのピーク座標及び対応するピーク力値を推定することは、各々の候補ピークに対し、
候補ピークを開始位置として使用して、前記補間済み力値の極大値を探索することと、
別の候補ピークにまだ割り当てられていない前記補間済み力値の極大値を特定したことに応答して、前記極大値に等しいピーク力値を割り当て、前記極大値の位置に等しい対応するピーク座標を割り当てることと、
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
等間隔の位置に対応する複数の変換済み力値に、センサ位置に対応する前記複数の力値を変換することを更に備え、前記周波数スペクトルは、前記複数の変換済み力値の離散フーリエ変換を計算することによって取得される、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の変換済み力値への前記複数の力値の前記変換は、各々の等間隔の位置を一括するセンサ位置及び力値のペアに基づいた補間を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法に従って複数の第1の力値を処理することであって、各々の第1の力値は、第1のセンサ位置に対応し、前記第1のセンサ位置は、第1の方向に沿って離れて間隔が空けられる、前記処理することと、
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法に従って複数の第2の力値を処理することであって、各々の第2の力値は、第2のセンサ位置に対応し、前記第2のセンサ位置は、前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿って離れて間隔が空けられる、前記処理することと、を備え、
前記第1の力値に基づいて推定されたピーク座標は、二次元座標を取得するよう、前記第2の力値に基づいて推定されたピーク座標と照合される、
方法。
【請求項12】
ピーク力値は、前記第1の力値に基づいて判定された第1のピーク値及び前記第2の力値に基づいて判定された第2のピーク値の平均または重み付け平均に基づいて推定される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
複数の第1の電極と少なくとも1つの第2の電極との間に配列された圧電材料の層を含むタッチパネルからの信号を処理する方法であって、
前記第1の電極から1つ以上の圧電信号を受信することと、
各々の圧電信号に対し、
前記圧電信号から第1のDCオフセット値を減算することによって、補正済み圧電値を計算することと、
前記補正済み圧電値が圧電信号閾値を上回るかどうかを判定することと、
正の判定に応答して、前の力値及び前記補正済み圧電値の合計に等しい力値を設定することと、
負の判定に応答して、前記前の力値に等しい力値を設定することと、
いくつかの前の力値を記憶したバッファに前記力値を追加し、またはいくつかの前の補正済み圧電値を記憶したバッファに前記補正済み圧電値を追加することと、
前記バッファに記憶された前記値の勾配値、平均値、及び分散値を計算することと、
前記勾配値が勾配閾値を下回るかどうか、及び前記分散値が分散閾値を下回るかどうかを判定することと、
正の判定に応答して、前記平均値に等しい第2のDCオフセット値を更新することと、
負の判定に応答して、前記第2のDCオフセット値を更新しないことと、
前記力値及び前記第2のDCオフセット値に基づいて、補正済み力値を計算することと、
を備えた、前記方法。
【請求項14】
前記複数の力値は、請求項13に記載の方法に従って計算された補正済み力値に対応する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の第1の力値及び前記複数の第2の力値は、請求項13に記載の方法に従って計算された補正済み力値に対応する、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されたコントローラを備えた、装置。
【請求項17】
複数の第1の電極と少なくとも1つの第2の電極との間に配列された圧電材料の層を含むタッチパネルから受信された圧電信号を処理する装置であって、
複数の第1の力チャネルであって、各々の第1の力チャネルは、
第1の方向に沿って離れて間隔を空けられた第1のセンサ位置に対応する前記タッチパネルの1つ以上の第1の電極から圧電信号を受信し、
前記受信された圧電信号に対応する第1の力値を計算する、
ように構成された前記複数の第1の力チャネルと、
前記複数の第1の力値を受信するように構成された位置処理モジュールであって、
前記複数の第1の力値が1つ以上の第1の候補ピークを含むかどうかを判定し、各々の第1の候補ピークは、前記複数の第1の力値の極大値に対応し、
少なくとも1つの第1の候補ピークが最小力閾値を上回ったことに応答して、
前記複数の第1の力値を補間し、
前記補間された第1の力値及び前記最小力閾値を上回る前記第1の候補ピークに基づいて、いくつかの第1のピーク座標及び対応する第1のピーク力値を推定する、
前記処理モジュールと、
を備えた、前記装置。
【請求項18】
複数の第2の力チャネルであって、各々の第2の力チャネルは、
前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿って離れて間隔を空けられた第2のセンサ位置に対応する前記タッチパネルの1つ以上の第1の電極から圧電信号を受信し、
前記受信された圧電信号に対応する第2の力値を計算する、
ように構成された前記複数の第2の力チャネルを更に備え、
前記位置処理モジュールは、前記複数の第2の力値を受信するように更に構成され、
前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿って離れて間隔を空けられた第2のセンサ位置に配列された第1の電極に対応する圧電信号に対応する複数の第2の力値を計算し、
前記複数の第2の力値が1つ以上の第2の候補ピークを含むかどうかを判定し、各々の第2の候補ピークは、前記複数の第2の力値の極大値に対応し、
少なくとも1つの第2の候補ピークが最小力閾値を上回ったことに応答して、
前記複数の第2の力値を補間し、
前記補間された第2の力値及び前記最小力閾値を上回る前記第2の候補ピークに基づいて、いくつかの第2のピーク座標及び対応する第2のピーク力値を推定し、
前記位置処理モジュールは、二次元座標を取得するよう、第1のピーク座標を第2のピーク座標と照合するように更に構成されている、
請求項17に記載の装置。
【請求項19】
各々の第1の力チャネルまたは第2の力チャネルは、請求項13に記載の方法に従って前記対応する力値を補正済み力値として計算するように構成されている、請求項17または18に記載の装置。
【請求項20】
請求項17~19のいずれか一項に記載の装置と、
複数の第1の電極と少なくとも1つの第2の電極との間に配列された圧電材料の層を含むタッチパネルと、
を備えた、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
力検知のためのタッチパネルからの信号を処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
力検知能力を有するタッチスクリーンパネルは、三次元マルチタッチ対話を通じてユーザ経験を高めることができる。
【0003】
タッチパネルでは、投影型容量性タッチ検出のために駆動電極及び検知電極が使用される。力検出能力を加えるために、圧電層、電極(駆動電極及び検知電極であってもよい)、並びに固定電圧または接地において保持されるカウンタ電極が採用される。層を統合し、機械的ロバスト性をもたらすために、PET薄膜、接着剤、保護ガラスなどの追加の誘電層が含まれることがある。共に、センサスタック内の層の構成は、センサアーキテクチャを定める。
【0004】
容量性検知を圧電方式力検出能力と組み合わせたタッチセンサの例は、国際公開第WO2016/102975A1号において記載されている。この文献はまた、パターン化電極がユーザ入力面と駆動電極及び検知電極との間に位置付けられた、組み込みタッチパネル(電極が偏光板などの表示素子と共に散在した)の例を記載している。容量性検知を圧電方式力検出能力と組み合わせたタッチセンサの更なる例は、国際公開第WO2017/109455A1号において記載されている。
【0005】
欧州特許出願公開第2902886A1号明細書は、タッチパネル、押下量計算ユニット、及びタッチ検出信号生成ユニットを含む、タッチ入力デバイスを記載している。タッチパネルは、圧電センサ及び静電気センサを含む。圧電センサは、押下量計算ユニットに、動作面を押下することによって取得された変位量に対応する押下信号を出力する。静電気センサは、タッチ検出信号生成ユニットに、タッチ及び非タッチに対応するタッチ信号を出力する。タッチ検出信号生成ユニットは、押下量計算ユニットに、タッチ状態及び非タッチ状態に従って二値化されたタッチ検出信号を出力する。押下量計算ユニットは、タッチ状態を示すタッチ検出信号が入力される期間の間に、押下信号と基準電位との差分を統合し、押下量検出信号を生成し、押下量検出信号を出力する。押下量計算ユニットは、非タッチ状態を示す非タッチ検出信号が入力される期間の間に、基準電位をリセットする。
【0006】
特開2015-097068号公報は、圧電体を有するタッチパネル、及びタッチパネルへの静的圧力負荷を検出するための圧力検出部を含む、タッチ入力デバイスを記載している。圧力検出部は、圧電体が押下されるときに発生した電気信号の統合された値に基づいて、静的圧力負荷を検出する。
【0007】
二次的位置検知法(例えば、抵抗性タッチ検知または容量性タッチ検知)なしの圧電方式力検出を使用したタッチパネルが提案されてきた。例えば、特開2010-026938号公報は、ポリフッ化ビニリデン四フッ化エチレンコポリマを包含する圧電素地層、圧電素地層の1つの表面上に設けられた第1の電極、及び圧電素地層の他の表面上に設けられた第2の電極を含む、タッチパネルを記載している。
【発明の概要】
【0008】
本発明の第1の態様に従って、いくつかの力値を処理する方法が提供される。各々の力値は、センサ位置に対応する。センサ位置は、方向に沿って離れて間隔を空けられる。方法は、力値を受信することを含む。方法はまた、力値が1つ以上の候補ピークを含むかどうかを判定することを含む。各々の候補ピークは、力値の極大値に対応する。方法はまた、少なくとも1つの候補ピークが最小力閾値を上回ったことに応答して、力値を補間し、補間済み力値及び最小力閾値を上回る候補ピークに基づいて、いくつかのピーク座標及び対応するピーク力値を推定することを含む。
【0009】
方法はまた、力値に対応するセンサ位置を受信することを含んでもよい。方法はまた、力値に対応する記憶済みセンサ位置を取り出すことを含んでもよい。
【0010】
センサ位置の最小間隔未満の精度までピーク座標を推定することができる。言い換えると、推定済みピーク座標隣接したセンサ位置の間にあってもよい。
【0011】
推定されたピーク座標及び対応するピーク力値の数は、候補ピークの数以下であってもよい。
【0012】
方法はまた、いずれかの推定済みピーク座標及び対応するピーク力値を出力することを含んでもよい。
【0013】
方法はまた、少なくとも1つのピーク力値が第2の力閾値を上回ったことに応答して、第2の力閾値を上回る各々のピーク力値及び対応するピーク座標を出力することを含んでもよい。
【0014】
方法はまた、各々のピーク座標に対し、ピーク座標が追跡済みタッチイベントと関連付けられたと判定したことに応答して、追跡済みタッチイベントに対していくつかの前に推定されたピーク座標を記憶した座標バッファにピーク座標を追加することと、座標バッファに基づいて、平均座標を計算することと、平均座標及びピーク力値を出力することと、を含んでもよい。
【0015】
方法はまた、ピーク座標がいずれかの追跡済みタッチイベントと関連付けられていないと判定したことに応答して、新たな追跡済みタッチイベントにピーク座標及び&対応するピーク力値を記憶することと、ピーク座標及び対応するピーク力値を出力することと、を含んでもよい。
【0016】
複数の力値を補間することは、複数の力値を使用して多項式スプラインを計算することを含んでもよい。多項式スプラインは、三次スプラインであってもよい。
【0017】
各々の候補ピークは、候補センサ位置及び候補力値に対応してもよい。補間済み力値及び1つ以上の候補ピークに基づいて、いくつかのピーク座標及び対応するピーク力値を推定することは、各々の候補ピークに対し、候補センサ位置が最小センサ位置または最大センサ位置に等しいと判定したことに応答して、候補センサ位置及び隣接したセンサ位置を結合する第1のスプラインセグメントの定常点を計算することと、最大値に対応する第1の定常点が第1のスプラインセグメントに内に位置するかどうかを判定することと、正の判定に応答して、第1の定常点に等しいピーク座標を割り当て、ピーク座標において第1のスプラインセグメントを評価することに等しい対応するピーク値を割り当てることと、負の判定に応答して、候補センサ位置に等しいピーク座標を割り当て、候補力値に等しい対応するピーク値を割り当てることと、を含んでもよい。
【0018】
補間済み力値及び1つ以上の候補ピークに基づいて、いくつかのピーク座標及び対応するピーク力値を推定することは、各々の候補ピークに対し、候補センサ位置が最小センサ位置または最大センサ位置に対応しないと判定したことに応答して、最大力値に対応する候補センサ位置及び隣接したセンサ位置を結合する第2のスプラインセグメントの定常点を計算することと、最大値に対応する第2の定常点が第2のスプラインセグメント内に位置すると判定したことに応答して、第2の定常点に等しいピーク座標を割り当て、ピーク座標において第2のスプラインセグメントを評価することに等しい対応するピーク値を割り当てることと、最大値に対応する定常点が第2のスプラインセグメント内に位置しないと判定したことに応答して、候補センサ位置及び他の隣接したセンサ位置を結合する第3のスプラインセグメントの定常点を計算することと、最大値に対応する第3の定常点が第3のスプラインセグメント内に位置すると判定したことに応答して、第3の定常点に等しいピーク座標を割り当て、ピーク座標において第3のスプラインセグメントを評価することに等しい対応するピーク値を割り当てることと、を含んでもよい。
【0019】
各々の候補ピークは、候補センサ位置及び候補力値に対応してもよい。補間済み力値及び1つ以上の候補ピークに基づいて、いくつかのピーク座標及び対応するピーク力値を推定することは、各々の候補ピークに対し、候補センサ位置が最小センサ位置または最大センサ位置に対応すると判定したことに応答して、候補センサ位置及び隣接したセンサ位置を結合する第1のスプラインセグメントの定常点を計算することと、最大値に対応する第1の定常点が第1のスプラインセグメントに内に位置するかどうかを判定することと、正の判定に応答して、第1の定常点に等しいピーク座標を割り当て、ピーク座標において第1のスプラインセグメントを評価することに等しい対応するピーク値を割り当てることと、負の判定に応答して、候補センサ位置に等しいピーク座標を割り当て、候補力値に等しい対応するピーク値を割り当てることと、を含んでもよい。
【0020】
補間済み力値及び1つ以上の候補ピークに基づいて、いくつかのピーク座標及び対応するピーク力値を推定することは、各々の候補ピークに対し、候補センサ位置が最小センサ位置または最大センサ位置に対応しないと判定したことに応答して、隣接したセンサ位置の1つに候補センサ位置を結合する第2のスプラインセグメントの定常点を計算することと、最大値に対応する第2の定常点が第2のスプラインセグメント内に位置すると判定したことに応答して、第2の定常点を有効及び高優先度として割り当てることと、第2の定常点が第3のスプラインセグメント内に位置すると判定したことに応答して、第2の定常点を有効及び低優先度として割り当てることと、他の隣接したセンサ位置に候補センサ位置を結合する第3のスプラインセグメントの定常点を計算することと、最大値に対応する第3の定常点が第3のスプラインセグメント内に位置すると判定したことに応答して、第3の定常点を有効及び高優先度として割り当てることと、最大値に対応する第3の定常点が第2のスプラインセグメント内に位置すると判定したことに応答して、第3の定常点を有効及び低優先度として割り当てることと、を含んでもよい。ピーク座標及び対応するピーク値は、第2の定常点が有効であり、有効な第3の定常点が存在しないことに応答して、第2の定常点に等しいピーク座標を割り当て、ピーク座標において第2のスプラインセグメントを評価することに等しい対応するピーク値を割り当てることと、第3の定常点が有効であり、有効な第2の定常点が存在しないことに応答して、第3の定常点に等しいピーク座標を割り当て、ピーク座標において第3のスプラインセグメントを評価することに等しい対応するピーク値を割り当てることと、第2の定常点が高優先度であり、第3の定常点が低優先度であることに応答して、第2の定常点に等しいピーク座標を割り当て、ピーク座標において第2のスプラインセグメントを評価することに等しい対応するピーク値を割り当てることと、第3の定常点が高優先度であり、第2の定常点が低優先度であることに応答して、第3の定常点に等しいピーク座標を割り当て、ピーク座標において第3のスプラインセグメントを評価することに等しい対応するピーク力値を割り当てることと、第2の定常点及び第3の定常点の両方が高優先度であり、または第2の定常点及び第3の定常点の両方が低優先度であることに応答して、第2の定常点及び第3の定常点のどちらかが大きい方の力値に対応することに等しいピーク座標を割り当て、ピーク座標においてそれぞれのスプラインセグメントを評価することに等しい対応するピーク力値を割り当てることと、に従って割り当てられてもよい。
【0021】
複数の力値を補間することは、複数の力値に基づいて離散フーリエ変換を計算することによって、周波数スペクトルを取得することと、周波数スペクトルの高周波数端においていくつかゼロ値を挿入することによって、ゼロ挿入済み周波数スペクトルを生成することと、ゼロ挿入済み周波数スペクトルの逆離散フーリエ変換を計算することに基づいて、補間済み力値を取得することと、を含んでもよい。
【0022】
補間済み力値を取得することは、ゼロ挿入済み周波数スペクトルの逆離散フーリエ変換を計算することと、力を入れた周期のアーチファクトを除去することを含んでもよい。反転されたゼロ挿入済みから力を入れた周期のアーチファクトを除去することは、力値の最小値または力値の終値未満である補間済み力値のセグメントを除去することを含んでもよい。補間済み力値のセグメントが除去されるとき、最小センサ位置座標と最大センサ位置座標との間で範囲に連続的に及ぶよう残りの補間済み力値がワープされてもよい。
【0023】
補間済み力値及び1つ以上の候補ピークに基づいて、いくつかのピーク座標及び対応するピーク力値を推定することは、各々の候補ピークに対し、候補ピークを開始位置として使用して、補間済み力値の極大値を探索することと、別の候補ピークにまだ割り当てられていない補間済み力値の極大値を特定したことに応答して、極大値に等しいピーク力値を割り当て、極大値の位置に等しい対応するピーク座標を割り当てることと、を含んでもよい。
【0024】
方法はまた、等間隔の位置に対応する複数の変換済み力値に、センサ位置に対応する力値を変換することを含んでもよく、周波数スペクトルは、変換済み力値の離散フーリエ変換を計算することによって取得される。
【0025】
変換済み力値への力値の変換は、各々の等間隔の位置を一括するセンサ位置及び力値のペアに基づいた補間を含んでもよい。
【0026】
方法は、いくつかの第1の力値及びいくつかの第2の力値を処理することを含んでもよい。各々の第1の力値は、第1のセンサ位置に対応してもよい。第1のセンサ位置は、第1の方向に沿って離れて間隔を空けられてもよい。各々の第2の力値は、第2のセンサ位置に対応してもよい。第2のセンサ位置は、第1の方向とは異なる第2の方向に沿って離れて間隔を空けられてもよい。第1の力値に基づいて推定されたピーク座標は、二次元座標を取得するよう、第2の力値に基づいて推定されたピーク座標と照合されてもよい。照合することは、対応するピーク力値を考慮してもよい。
【0027】
ピーク力値は、第1の力値に基づいて判定された第1のピーク値及び第2の力値に基づいて判定された第2のピーク値の平均または重み付け平均に基づいて推定されてもよい。
【0028】
本発明の第2の態様に従って、複数の第1の電極と少なくとも1つの第2の電極との間に配列された圧電材料の層を含むタッチパネルからの信号を処理する方法が提供される。方法は、第1の電極から1つ以上の圧電信号を受信することを含む。方法はまた、各々の圧電信号に対し、圧電信号から第1のDCオフセット値を減算することによって、補正済み圧電値を計算することを含む。方法はまた、各々の圧電信号に対し、補正済み圧電値が圧電信号閾値を上回るかどうかを判定することと、正の判定に応答して、前の力値及び補正済み圧電値の合計に等しい力値を設定することと、負の判定に応答して、前の力値に等しい力値を設定することと、を含む。方法はまた、各々の圧電信号に対し、いくつかの前の力値を記憶したバッファに力値を追加し、またはいくつかの前の補正済み圧電値を記憶したバッファに補正済み圧電値を追加することと、を含む。方法はまた、バッファに記憶された値の勾配値、平均値、及び分散値を計算することを含む。方法はまた、各々の圧電信号に対し、勾配値が勾配閾値を下回るかどうか、及び分散値が分散閾値を下回るかどうかを判定することと、正の判定に応答して、平均値に等しい第2のDCオフセット値を更新することと、負の判定に応答して、の第2のDCオフセット値を更新しないことと、を含む。方法はまた、各々の圧電信号に対し、力値及び第2のDCオフセット値に基づいて、補正済み力値を計算することを含む。
【0029】
第2のDCオフセット値は、ゼロに初期化されてもよい。方法は、補正済み力値を出力することを含んでもよい。
【0030】
バッファがいくつかの力値を記憶するとき、力値及び第2のDCオフセット値に基づいて補正済み力値を計算することは、力値から第2のDCオフセット値を減算することを含んでもよい。
【0031】
バッファがいくつかの補正済み圧電値を記憶するとき、力値及び第2のDCオフセット値に基づいて補正済み力値を計算することは、力値から第2のDCオフセット値及びバッファによって記憶された、いくつかの補正済み圧電値の積を減算することを含んでもよい。
【0032】
バッファがいくつかの補正済み圧電値を記憶するとき、力値及び第2のDCオフセット値に基づいて補正済み力値を計算することは、圧電信号閾値を上回る各々のバッファされた補正済み圧電値を減算することと、バッファされた補正済み圧電値及び第2のDCオフセットを上回る第2のDCオフセットの各々の差を加算することと、を含んでもよい。
【0033】
第1の態様によって処理された力値は、第2の態様に従って計算された補正済み力値に対応してもよい。
【0034】
第1の態様によって処理された第1の力値及び第2の力値は、第2の態様に従って計算された補正済み力値に対応してもよい。
【0035】
本発明の第3の態様に従って、第1の態様及び/または第2の態様の方法を実行するように構成されたコントローラを含む装置が提供される。
【0036】
本発明の第4の態様に従って、複数の第1の電極と少なくとも1つの第2の電極との間に配列された圧電材料の層を含むタッチパネルから受信された圧電信号を処理する装置が提供される。装置は、いくつかの第1の力チャネルを含む。各々の第1の力チャネルは、第1の方向に沿って離れて間隔を空けられた第1のセンサ位置に対応するタッチパネルの1つ以上の第1の電極から圧電信号を受信するように構成される。各々の第1の力チャネルは、受信された圧電信号に対応する第1の力値を計算するように構成される。装置はまた、複数の第1の力値を受信するように構成された位置処理モジュールを含む。位置処理モジュールはまた、第1の力値が1つ以上の第1の候補ピークを含むかどうかを判定するように構成される。各々の第1の候補ピークは、第1の力値の極大値に対応する。位置処理モジュールはまた、少なくとも1つの第1の候補ピークが最小力閾値を上回ったことに応答して、複数の第1の力値を補間し、補間された第1の力値及び最小力閾値を上回る第1の候補ピークに基づいて、いくつかの第1のピーク座標及び対応する第1のピーク力値を推定するように構成される。
【0037】
第1の力チャネル及び位置処理モジュールは、単一のデバイスにおいて実装されてもよい。第1の力チャネル及び位置処理モジュールは、1つ以上のマイクロコントローラまたは特定用途向け集積回路を使用して実装されてもよい。
【0038】
装置はまた、いくつかの第2の力チャネルを含んでもよい。各々の第2の力チャネルは、第1の方向とは異なる第2の方向に沿って離れて間隔を空けられた第2のセンサ位置に対応するタッチパネルの1つ以上の第1の電極から圧電信号を受信するように構成されてもよい。各々の第2の力チャネルは、受信された圧電信号に対応する第2の力値を計算するように構成されてもよい。位置処理モジュールは更に、複数の第2の力値を受信するように構成されてもよい。位置処理モジュールは更に、第1の方向とは異なる第2の方向に沿って離れて間隔を空けられた第2のセンサ位置に配列された第1の電極に対応する圧電信号に対応する第2の力値を計算するように構成されてもよい。位置処理モジュールは更に、第2の力値が1つ以上の第2の候補ピークを含むかどうかを判定するように構成されてもよい。各々の第2の候補ピークは、複数の第2の力値の極大値に対応してもよい。位置処理モジュールは更に、少なくとも1つの第2の候補ピークが最小力閾値を上回ったことに応答して、複数の第2の力値を補間し、補間された第2の力値及び最小力閾値を上回る第2の候補ピークに基づいて、いくつかの第2のピーク座標及び対応する第2のピーク力値を推定するように構成されてもよい。位置処理モジュールは更に、二次元座標を取得するよう、第1のピーク座標を第2のピーク座標と照合するように構成されてもよい。
【0039】
第1の力チャネル、第2の力チャネル、及び位置処理モジュールは、単一のデバイスにおいて実装されてもよい。第1の力チャネル、第2の力チャネル、及び位置処理モジュールは、1つ以上のマイクロコントローラまたは特定用途向け集積回路を使用して実装されてもよい。
【0040】
各々の第1の力チャネルまたは第2の力チャネルは、第2の態様に従って対応する力値を補正済み力値として計算するように構成されてもよい。
【0041】
システムは、装置及びタッチパネルを含んでもよい。タッチパネルは、いくつかの第1の電極と少なくとも1つの第2の電極との間に配列された圧電材料の層を含んでもよい。
【0042】
添付図面を例として参照して、本発明の特定の実施形態がここで説明される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】圧電検知のためのタッチパネルの概略断面図である。
図2】圧電検知のためのシステムを概略的に示す。
図3】タッチパネルとのユーザ対話の力プロファイルを概略的に示す。
図4図3に示された力プロファイルに対応する理想的な圧電信号を示す。
図5】測定済み圧電信号の例を提示する。
図6】力信号処理モジュールを概略的に示す。
図7】対応する圧電信号から力値を計算する方法の処理フローチャートである。
図8】ユーザ対話位置を判定する方法の処理フローチャートである。
図9】いくつかの候補ピークを判定する方法の処理フローチャートである。
図10】力情報を生成及び/または更新する方法の処理フローチャートである。
図11】力値を補間し、ピークを推定する第1の方法の処理フローチャートである。
図12】力値を補間し、ピークを推定する第2の方法の処理フローチャートである。
図13】力値を補間し、ピークを推定する第3の方法の処理フローチャートである。
図14】等間隔の位置に対応する変換済み力値を計算する方法を示す。
図15】周波数スペクトルを示す。
図16図15に示された周波数スペクトルへのゼロ挿入を示す。
図17】補間済み力値の例を概略的に示す。
図18】補正された補間済み力値の例を概略的に示す。
図19】補間済み力値及び補正された補間済み力値の実験的な例を提示する。
図20】三次多項式スプラインを使用して取得された補間済み力値に対する測定済み力値の比較を提示する。
図21】フーリエ変換法を使用して取得された補正された補間済み力値に対する測定済み力値の比較を提示する。
図22図21に示された補正された補間済み力値に対する、図20に示された補間済み力値の比較を提示する。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下では、同一の部分は、同一の参照符号によって表される。
【0045】
圧電力検知において直面する問題は、圧電材料に力を加えることによって生成された信号が本質的に過渡的であることである。結果として、圧電力センサからの出力信号は、静的または低速に変化する加えられた力の測定を可能にする処理を必要とする。本明細書の方法は、圧電方式タッチパネルシステムを使用して測定された力の精度及び信頼性を改善すると共に、タッチパネルから受信された圧電力信号を処理する速度を維持または改善することに関連する。本明細書はまた、1つ以上のユーザ対話の存在及び/または位置(複数可)を検出するための容量検知などの二次的な測定方法に依存することなく、静的または低速に変化する加えられた力の測定を改善することに関連する。
【0046】
タッチパネルシステム
図1を参照して、圧電タッチパネル1の簡易断面図が示される。
【0047】
タッチパネル1は、第1の層構造2及び第2の層構造3、共通電極4、いくつかの第1の検知電極5、並びにいくつかの第2の検知電極6を含む。
【0048】
第1の層構造2は、第1の面7及び第2の反対の面8を有する。第1の層構造2は、少なくとも圧電材料の層9を含む、1つ以上の層を含む。第1の層構造2に含まれる各々の層は全体的に、平面であり、厚さ方向zに垂直な第1の方向x及び第2の方向yに延在する。第1の層構造2の1つ以上の層は、第1の面7と第2の面8との間に配列され、その結果、第1の層構造2の各々の層の厚さ方向zは、第1の面7及び第2の面8に垂直である。第1の検知電極5は、第1の層構造2の第1の面7上に配置され、共通電極4は、第1の層構造2の第2の面8上に配置される。
【0049】
好ましくは、圧電層9は、圧電ポリマ、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの適切なフッ素ポリマから形成される。しかしながら、圧電層は代わりに、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などの圧電セラミックの層から形成されてもよい。
【0050】
第2の層構造3は、第3の面10及び第4の反対の面11を有する。第2の層構造3は、1つ以上の誘電層12を含む。各々の誘電層12は全体的に、平面であり、厚さ方向zに垂直な第1の方向x及び第2の方向yに延在する。第2の層構造3の1つ以上の誘電層12は、第3の面10と第4の面11との間に配列され、その結果、第2の層構造3の各々の誘電層12の厚さ方向zは、第3の面10及び第4の面11に垂直である。第2の検知電極6は、第2の層構造3の第3の面10上に配置され、第2の層構造3の第4の面11は、第1の検知電極5に接触する。代わりに、第1の検知電極5は、第4の面11上に配置されてもよい。
【0051】
好ましくは、誘電層(複数可)12は、ポリエチレンテレフタレート(PET)または感圧接着剤(PSA)材料などのポリマ誘電材料の層を含む。しかしながら、誘電層(複数可)12は、酸化アルミニウムなどのセラミック絶縁材料の層を含んでもよい。
【0052】
好ましくは、共通電極4、第1の検知電極5、及び/または第2の検知電極6は、酸化インジウムスズ(ITO)または酸化インジウム亜鉛(IZO)から形成される。しかしながら、共通電極4、第1の検知電極5、及び/または第2の検知電極6は、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、またはポリ(3、4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホナート(PEDOT/PSS)などの導電性ポリマから形成されてもよい。共通電極4、第1の検知電極5、及び/または第2の検知電極6は、アルミニウム、銅、銀、または薄膜としての堆積及びパターニングに適切な他の金属などの金属膜の形式を取ってもよい。共通電極4、第1の検知電極5、及び/または第2の検知電極6は、金属メッシュ、ナノワイヤ、任意選択で銀ナノワイヤ、グラフェン、またはカーボンナノチューブから形成されてもよい。
【0053】
本明細書において説明される実施例は、圧電力検知のための方法に主に関連するが、タッチパネル1は任意選択で、圧電力検知に加えて容量測定のために、例えば、各々の第1の電極5及び各々の第2の電極6の自己容量を測定するために、または第1の電極5及び第2の電極6のペアの間で相互容量を測定するために使用されてもよい。
【0054】
図2をも参照して、力検知システム13が示される。
【0055】
力検知システム13は、タッチパネル1、測定フロントエンド14、及び力信号処理モジュール15を含む。任意選択で、いくつかの実施例では、システム13はまた、容量性信号処理モジュール16を含んでもよい。
【0056】
第1の検知電極5は各々、第1の方向xに延在し、第1の検知電極5は、第2の方向yに均等に間隔が空けられたアレイ内に配置される。第2の検知電極6は各々、第2の方向yに延在し、第2の検知電極6は、第1の方向xに均等に間隔が空けられたアレイ内に配置される。共通電極4は、共通電極4が少なくとも部分的に第1の検知電極5及び第2の検知電極6の各々の下にあるように広がる。共通電極は、第1の層構造2の第2の面8と実質的に同一に広がる。
【0057】
任意選択の容量性信号処理モジュール16が含まれるとき、第2の検知電極6との第1の検知電極5の各々の交差17は、相互容量検知のための別個のタッチセンサを効果的に設けることができる。
【0058】
タッチパネル1は、力検知システム13を組み込んだ電子デバイス(図示せず)のディスプレイの上で接合されてもよい。例えば、力検知システム13は、携帯電話、タブレットコンピュータ、ポータブルコンピュータまたはラップトップコンピュータ、ディスプレイ、及びテレビなどに組み込まれてもよい。
【0059】
本明細書で、用語「ユーザ対話」は全体的に、タッチパネル1またはタッチパネル1の上にある材料の層をユーザが押下することを指す。ユーザ対話は、ユーザの指またはスタイラス(導電性であるか否かに関わらず)を伴うことがある。ユーザ対話は全体的に、圧電材料の層9の歪み及び検出可能な圧電応答を生じさせるのに十分な力により、タッチパネル1をユーザが押下することを伴うとして理解される。ユーザ対話の位置は、ユーザが指またはスタイラスを移動させる時間と共に変化することがある。タッチパネル1及びシステム13は、「マルチタッチ」対話と称されることがある、1つ以上の同時ユーザ対話の測定及び追跡をサポートする。
【0060】
任意選択の容量性信号処理モジュール16が含まれるとき、ユーザ対話は加えて、直接の物理接触なしに、または十分な力を加えることなく、ユーザの指または導電性スタイラスがタッチパネル1に近接することを含んでもよい。
【0061】
測定フロントエンド14は、タッチパネル1に対して圧電力測定を実行する。測定フロントエンド14は、1つ以上のユーザ対話に応答して、圧電層9の歪みにより第1の検知電極5と共通電極4との間で誘導された電圧を検出することによって、力を測定する。測定フロントエンド14はまた、第2の検知電極6と共通電極4との間で誘導された電圧を測定する。このようにして、測定フロントエンド14は、1つ以上のユーザ対話によりタッチパネル1に加えられた力の二次元分解測定をもたらすことができる。
【0062】
任意選択の容量性信号処理モジュール16が含まれるとき、測定フロントエンド14はまた、第1の検知電極5及び第2の検知電極6の各々の交差17についての相互容量を測定してもよい。
【0063】
任意選択の容量性信号処理モジュール16が含まれるとき、測定フロントエンド14は、圧電力信号及び容量を同時に測定してもよい。例えば、測定フロントエンド14は、国際公開第2017/109455A1号明細書において説明され、または国際公開第2016/102975A2号明細書において説明されるように構成されてもよく、両文献の全体的な内容は、参照によって以下に組み込まれる。特に、適切に組み合わされた力及び容量タッチパネルシステム13が国際公開第2017/109455A1号明細書の図4~23に示され、国際公開第2017/109455A1号明細書の図4~23を参照して説明されている。更に、適切に組み合わされた力及びタッチパネルシステム13が国際公開第2016/102975A2号明細書の図15~29に示され、国際公開第2016/102975A2号明細書の図15~29を参照して説明されている。
【0064】
測定フロントエンド14は、圧電信号18を出力する。圧電信号18は、第1の検知電極5と共通電極4との間及び/または第2の検知電極6と共通電極4との間で誘導された、増幅した圧電電圧及び/または積分した圧電電圧に対応する。測定フロントエンド14は、圧電材料の層9の焦電応答を除去するように構成された低周波数カットオフフィルタを含んでもよい。低周波数カットオフは、1ヘルツ~7ヘルツの値を取ってもよい。測定フロントエンド14は、主配電周波数、例えば、50ヘルツまたは60ヘルツを除去するように構成されたノッチフィルタを含んでもよい。
【0065】
任意選択の容量性信号処理モジュール16が含まれるとき、測定フロントエンド14はまた、容量信号19を出力してもよい。測定フロントエンド14が圧電信号及び容量を同時に測定するように構成されるとき、例えば、測定フロントエンド14が国際公開第2017/109455A1号明細書において説明され、または国際公開第2016/102975A2号明細書において説明されるように構成されるとき、圧電信号18及び容量信号19を取得するための各々の検知電極5、6に対応する信号の周波数分離によって、信号18、19が取得される。
【0066】
任意選択の容量性信号処理モジュール16が含まれるとき、容量性信号処理モジュール16は、容量情報20を判定するよう、容量信号19を受信及び処理し、容量情報20は、いくつかのユーザ対話及び各々のユーザ対話のx-y座標を含んでもよい。容量性信号処理モジュール16は、従来の容量性タッチコントローラと同一の方式において機能してもよく、従来の容量性タッチコントローラによって設けられてもよい。いくつかの実施例では、容量性信号処理モジュール16はまた、測定フロントエンド14に、容量測定のための駆動信号を提供する。検知電極5、6の自己容量、または第1の検知電極5及び第2の検知電極6のいずれかのペアの間の相互容量は、既知の方法に従って容量性信号処理モジュール16によって測定されてもよい。
【0067】
力信号処理モジュール15は、圧電信号18を受信する。力信号処理モジュール15は、圧電信号18を使用して、タッチパネル1に力を加えるユーザ対話に対応する1つ以上の出力Fを測定するように構成される。出力Fの計算は、容量情報20の入力または未処理容量信号19に依存しない。力信号処理モジュール15は、ユーザ対話の回数、各々のユーザ対話のx-y座標、及び各々のユーザ対話によって加えられた力をも含む力情報21を判定するために、測定済み出力Fを分析するように構成される。
【0068】
任意選択の容量性信号処理モジュール16が含まれるとき、力信号処理モジュール15はまた、容量情報20を受信してもよく、容量情報20は、力情報21を確認するために有用であることができる。
【0069】
第1の検知電極5及び第2の検知電極6が実質的に矩形であるとして示されたが、投影型容量タッチパネルにおける使用に既知のいずれかの他の電極形状またはパターンが使用されてもよい。例えば、第1の検知電極5及び第2の検知電極6に対して、ダイヤモンドパターン化電極が使用されてもよい。
【0070】
タッチパネル1の第1の層構造2は、第1の面7及び第2の反対の面8が圧電材料層9の面であるように、圧電材料の層9のみを含んでもよい。代わりに、第1の層構造2は、圧電材料の層9と第1の層構造2の第1の面7との間で積層された1つ以上の誘電層12を含んでもよい。第1の層構造2は、第1の層構造2の第2の面8と圧電材料の層9との間で積層された1つ以上の誘電層12を含んでもよい。
【0071】
第2の層構造3は、第3の面10及び第4の反対の面11が単一の誘電層12の面であるように、単一の誘電層12を含んでもよい。代わりに、第2の層構造3が使用される必要がなく、第2の検知電極6が代わりに、第1の検知電極5に沿って第1の面7上に配置されてもよい。
【0072】
図1及び図2では、x及びyとラベル付けされた直交する軸に沿って延在する第1の面7及び第2の面8並びに第1の層構造2及び第2の層構造3が示され、第1の層構造2及び第2の層構造3の各々の層の厚さ方向は、x軸及びy軸に直交する、zとラベル付けされた軸と位置合わせされる。しかしながら、第1の方向x、第2の方向y、及び厚さ方向zは、示されるような右回りの直交系を形成する必要はない。例えば、第1の方向x及び第2の方向yは、30度もしくは45度または0度よりも大きく90度よりも小さいいずれかの他の角度において交差してもよい。
【0073】
先に説明されたタッチパネル1及びシステム13、並びに国際公開第2017/109455A1号明細書及び国際公開第2016/102975A2号明細書を参照して議論される更なる詳細は、本明細書の方法を理解することを目的に提供されるが、本明細書の方法は、タッチパネル1及びシステム13に限定されない。本明細書の方法は、圧電センサのアレイを含むいずれかのタッチパネルシステムと共に採用されてもよい。
【0074】
図3をも参照して、タッチパネル1に加えられる概略的な力入力22が示される。
【0075】
圧電材料の層9は、分極しており、タッチパネル1に力を加えるユーザ対話により生じる歪みに応答して、分極Pにより分極化されるようになる。圧電材料の層9の分極Pは、共通電極4と検知電極5、6との間で発展する、対応する電荷Qpiezo(t)を結果としてもたらす。分極Pを生じさせる歪みは、圧縮及び張力から結果として生じてもよい。分極Pを生じさせる歪みは、圧電材料層9の面内での伸長であってもよい。圧電材料の層9と検知電極5、6との間の密な接触は必要とされない。全体的に、圧電材料の層9のより大きな歪み(より力のあるユーザ対話によって生じる)は、より大きな分極Pを結果としてもたらし、対応して、近接した検知電極5、6上で誘導されるより大きな規模の電荷Qpiezo(t)を結果としてもたらす。電荷Qpiezo(t)と関連付けられた電流である圧電応答Ipiezo(t)は、圧電信号18を判定するよう増幅及び/または積分されてもよい。
【0076】
図4をも参照して、力入力22に対応する理想的な圧電信号23が示される。
【0077】
圧電信号23は、圧電信号18の理想的な例を表す。例えば、測定フロントエンド14から出力され、及び/または測定フロントエンド14によって増幅された圧電信号18、23は、過渡信号である。誘導された圧電電圧は、リーク電流に起因して時間と共に減衰する。その上、圧電電流Ipiezoを増幅するために使用することができる積分電荷増幅器の出力も、時間と共に減衰する。
【0078】
例えば、第1の負荷期間、t<=<=tの間、力22は、ゼロから第1の力値Fまで着実に増大する。力22の増大の速度が圧電信号23の減衰の速度と比較して高速であると仮定して、対応する圧電信号23は、第1の負荷期間t<=t<=tの間に着実に減少し、力22が第1の力値Fに到達するにつれて、Vの第1のピーク値に到達する。力22は、第1の保持期間、t<t<=tの間にFにおいて一定に保持される。第1の保持期間、t<t<=tの間、圧電信号23は、第1のピーク値Vから上昇して、理想のケースではゼロDCオフセットに向かって減衰する。
【0079】
力22は、第2の負荷期間t<t<=tの間、第1の力値Fからa第2の力値Fまで再度増大する。力22の増大の速度が圧電信号23の減衰の速度と比較して高速であると仮定して、対応する圧電信号23は、第2の負荷期間t<t<=tの間に着実に減少し、力22が第2の力値Fに到達するにつれて、Vの第2のピーク値に到達する。力22は次いで、第2の保持期間、t<t<=tの間にFにおいて一定に保持される。第2の保持期間、t<t<=tの間、圧電信号23は、第2のピーク値Vから上昇して、理想のケースではゼロ信号に向かって減衰する。
【0080】
第2の保持期間、t<t<=tの終わりに、ユーザ対話は、無負荷期間t<t<=tの間、力22の解放により終了する。力22の減少の速度が圧電信号23の減衰の速度と比較して高速であると仮定して、対応する圧電信号23は、無負荷期間t<t<=tの間に着実に増大し、力22がゼロに到達するにつれて、第3のピーク値Vに到達する。負荷ではなく無負荷から結果として生じる第3のピーク値Vは、第1のピーク値V及び第2のピーク値Vとは反対の兆候を有する。ユーザ対話の終わりに、圧電信号23は、理想のケースではゼロDCオフセットに向かって減衰する。
【0081】
図4は、圧電信号23が負荷に応答して負になり、無負荷に応答して正になることを示すが、圧電信号23の極性は、タッチパネル1及びシステム13の構成に応じて、他の実施例では反転してもよい。
【0082】
図4に示されるように、圧電信号23が理想的であるとき、圧電信号23の減衰は、圧電信号23の勾配及び/または値に基づいて、例えば、圧電信号23の単純な条件付き積分などの様々な方法によって補償されてもよい。圧電信号23の勾配及び値が同一の兆候を有するときに圧電信号23を積分することによって、加えられた力22に比例した推定された推定済み測定値を回復することができる。
【0083】
しかしながら、組み合わされた力及び容量測定のためにタッチパネル1及びシステム13が実際に使用されるとき、圧電信号23は、DCオフセットにおける変動及び著しい雑音源の影響を受けることがあり、それらは、単純な値及び勾配に基づいた条件付き積分の信頼できる演算を妨げることがある。
【0084】
理論または特定の詳細な実施例によって限定されることを望むことなく、タッチパネル1及びシステム13についてのDCオフセット変動及び雑音の潜在的な源を議論することが、本明細書を理解するために有益になることができる。タッチパネル1及びシステム13は、ハンドヘルドの、バッテリ動作デバイス(図示せず)に据え付けられることが多いことがある。そのようなデバイスは、典型的には接地されず、または不十分に接地されることが多く、それは、雑音ピックアップ及びDCオフセットにおける変動への影響を増大させることがある。加えて、ユーザは、それらの衣服、フットウェア、及び/またはそれらの環境の間の対話の結果として、静電気により頻繁に帯電されるようになることがある。これは更に、容量性結合によるDCオフセットにおける変動に貢献することがあり、また、タッチパネル1と最初に接触すると、ユーザの指及び/またはスタイラスの静電気放電を結果としてもたらすことがある。そのような結合及び/または静電気放電は、ユーザ対話に近い検知電極5、6に電荷Qesを印加することがあり、電荷Qesは、加えられた力から結果として生じる電荷Qpiezoに等しいことがあり、または更に相当に電荷Qpiezoを上回ることがある。更に、間断なくタッチパネル1をタップすることなどの短い対話は、1つのタップからの信号が次のタップが開始する前に完全に減衰していないことがあり、不正確な力の測定につながることを理由に、勾配及び値に基づいたアプローチを混乱させることがある。先述した議論は、排他的でなく、多くの追加の因子が、タッチパネル1及びシステム13のDCオフセット変動及び雑音レベルに貢献することがある。したがって、感度及び/または計算速度を犠牲にすることなく、容量情報20及び/または未処理容量信号19を受信するためのいずれの要件をもなしに、改善された信頼度によりタッチパネル1に加えられた力を測定する方法に対する必要性が存在する。
【0085】
測定済み圧電信号の例
図5をも参照して、タッチパネル1及びシステム13の例を使用して取得された測定済み圧電信号の例が示される。
【0086】
測定済み圧電信号24は、圧電信号18の例である。測定済み圧電信号24は、一次垂直軸に対抗してプロットされる。いくつかの方式において測定済み圧電信号24が理想の圧電信号23から逸脱することを観察することができる。特に、測定済み圧電信号24は、雑音を含み、実質的に接触負荷を加える持続したユーザ対話の間のDCオフセットはゼロではない。
【0087】
図7に関連して以下に説明される方法に従って判定された力値25、F(t)は、図5の二次垂直軸に対抗してプロットされる。
【0088】
本明細書において詳述される方法は、DCオフセットにおける変動及び他の雑音源に対してよりロバストである、タッチパネル1に加えられた力を測定する方法を提供することによって、圧電測定が実際に実装されるときに直面する問題に対処することを意図している。本明細書において詳述される方法はまた、ユーザ対話の位置を判定するために力値が使用されることを可能にする。このようにして、容量情報20または未処理容量信号19の入力に対する必要性なしに、いくつかのユーザ対話と共に、各々のユーザ対話の位置及び加えられた力を判定するために、力検知タッチシステム13が使用されてもよい。これは、改善されたタッチパネルシステムを提供することができ、それは、位置及び力情報を提供するために容量性測定及び圧電測定の組み合わせを使用するタッチパネルシステムよりも複雑でない。同時に、本明細書において詳述される方法は、ユーザによって感知可能であることがある過度な待ち時間を導入することを回避するのに十分な速度において、コントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、マイクロコントローラ、またはマイクロプロセッサによって効率的に実行することができる。過度な待ち時間は、ユーザを悩ませることがあり、または待ち時間が非常に大きくなる場合、それは、正確な入力を提供することを困難にすることがあり、もしくは不可能にすることがある。
【0089】
圧電測定に基づいたタッチパネルシステムのみが提案されてきたが、そのようなシステムは、タッチパネルとしての使用のために広範囲には適合されていない。これは、問題となる雑音環境内で静的または低速に変化する力の信頼できる測定を得る際の先に議論された困難性を理由とし、また、圧電測定から正確なユーザ対話位置を判定する困難性を理由とすることが信じられている。本明細書の方法は、力値Fの測定における改善をもたらすことができ、また、1つ以上のユーザ対話の座標を判定する際の改善をもたらすことができる。
【0090】
力信号処理モジュール
図6をも参照して、力信号処理モジュール15の1つの実施例の構成が示される。
【0091】
力信号処理モジュール15は、いくつかの力チャネル26及び位置処理モジュール27を含む。各々の力チャネル26は、フロントエンドモジュール14から圧電信号18を受信し、受信された圧電信号18に対応する力値Fを計算する。力値Fは、図7を参照して以下に説明されるように計算されてもよい。
【0092】
各々の圧電信号18は、単一の第1の電極5または第2の電極6に対応してもよい。代わりに、圧電信号18は、2つ以上の隣接した第1の電極5のグループまたは2つ以上の隣接した第2の電極6のグループに対応してもよい。力チャネル26の第1のグループ28は、第1の電極5から生じる圧電信号18を受信及び処理し、力チャネル26の第2のグループ29は、第2の電極6から生じる圧電信号を受信及び処理する。
【0093】
P(t)は、概して時間依存圧電信号18を表すものとする。Pは、時間tにおける圧電信号P(t)を表すものとし、同様に、Pi+1は、時間t+δtにおける圧電信号P(t+δt)を表すものとし、δtは、例えば、サンプリング周期である。同様に、F(t)は、概して時間依存力値を表し、Fは、時間tにおける力値F(t)を表すものとし、同様に、Fi+1は、時間t+δtにおける力値F(t+δt)を表すものとする。
【0094】
測定フロントエンド14が、第1の電極5に対応する数Nの圧電信号18、P(t)を出力する場合、Py(t)は、N個の圧電信号18、P(t)のn番目を表すものとする。加えて、Pyn、iは、時間tにおける圧電信号Py(t)を表すものとし、Pyn、i+1は、時間t+δtにおける圧電信号Py(t+δt)を表すものとする。同様に、Fy(t)は、N個の対応する力値F(t)のn番目を表すものとする。加えて、Fyn、iは、時間tにおける力値Fy(t)を表すものとし、Pyn、i+1は、時間t+δtにおける力値Fy(t+δt)を表すものとする。yは、N個の圧電信号のn番目Pyn、i及びN個の力値のn番目Fyn、iに対応するセンサ位置を表すものとする。センサ位置yは、特定の第1の電極5の重心または2つ以上の隣接した第1の電極5のグループの重心であってもよい。
【0095】
測定フロントエンド14が、第2の電極6に対応する数Mの圧電信号18、P(t)を出力する場合、Px(t)は、M個の圧電信号18、P(t)のm番目を表すものとする。加えて、Pxm、iは、時間tにおける圧電信号Px(t)を表すものとし、Pxm、i+1は、時間t+δtにおける圧電信号Px(t+δt)を表すものとする。同様に、Fx(t)は、M個の対応する力値F(t)のm番目を表すものとする。加えて、Fxm、iは、時間tにおける力値Fx(t)を表すものとし、Pxm、i+1は、時間t+δtにおける力値Fx(t+δt)を表すものとする。xは、M個の圧電信号のm番目Pxm、i及びM個の力値のm番目Fxm、iに対応するセンサ位置を表すものとする。センサ位置xは、特定の第2の電極6の重心または2つ以上の隣接した第2の電極6のグループの重心であってもよい。
【0096】
位置処理モジュール27は、第1の電極5力値Fyn、i(第1の力値Fyn、iとも称される)及び第2の電極力値Fxm、i(第2の力値Fxm、iとも称される)を受信するように構成される。位置処理モジュール27は、第1の力値Fyn、i及び第2の力値Fxm、iを別個に処理する。第1の力値Fyn、iの処理が説明されることになるが、第2の力値Fxm、iの処理は同一である。
【0097】
位置処理モジュール27は、第1の力値Fyn、iが1つ以上の候補ピークR、…、RKcを含むかどうかを判定するよう、第1の力値Fyn、iを分析し、Kcは、候補ピークの数を表し、Rは、Kc個の候補ピークのk番目を表すものとする。候補ピークRを判定する例は、図9を参照して更に説明される。各々の候補ピークRは、第1の力値Fyn、iにおける極大値、例えば、センサ位置yの1つに等しい候補位置yにおける第1の力値Fyn、iの1つに等しい最大値F に対応する。簡略して、R={y、F }は、Kc個の候補ピークのk番目に対応する値のペアを表すものとする。
【0098】
第1の力値Fyn、i及び第2の力値Fxm、iに対して計算された候補ピークRの間で区別する必要性があり、表記Ry={y、Fy }は、第1の力値Fyn、iに対して判定された数Kycの候補ピークのk番目を表すものとする。同様に、Rx={x、Fx }は、第2の力値Fxm、iに対して判定された数Kxcの候補ピークのk番目を表すものとする。
【0099】
候補ピークRのうちの少なくとも1つが最小力閾値Fthreshを上回る、すなわち、F >Fthreshであると仮定して、第1の力値Fyn、iは、第1のセンサ位置y以外の座標yに対応する補間済み力値Gを推定するよう補間される。使用される補間の性質に応じて、補間済み力値Gは、1つ以上の位置の連続関数、例えば、G(y)に対応してもよい。代わりに、補間済み力値Gは、元のセンサ位置yよりも狭く間隔を空けられた、補間済み位置yint、…、yint、…、yintNintに対応する数Nintの離散値G、…、G、…GNintの形式を取ってもよい。
【0100】
第1の力値Fyn、i及び第2の力値Fxm、iについての補間済み力値Gの間で区別する必要性があり、Gyは、第1の力値Fyn、iについての補間済み力値を表すものとし、Gxは、第2の力値Fxm、iについての補間済み力値を表すものとする。
【0101】
位置処理モジュール27は、1つ以上のピークH、…、Hが存在するかどうかを判定するよう、補間済み力値G及び候補ピークRを分析し、Kは、発見されたピークの総数を表し、Hは、K個のピークのk番目を表す。各々のピークHは、ピーク座標yp及び対応するピーク力値Fpを含む。簡略して、H={yp、Fp}は、K個の候補ピークのk番目に対応する値のペアを表すものとする。概して、ピークの数kは、候補ピーク数のKc以下であってもよい。
【0102】
第1の力値Fyn、i及び第2の力値Fxm、iについてのピークHの間で区別する必要性があり、Hy={yp、Fyp}は、第1の力値Fyn、iに対して判定されたKy個のピークのk番目に対応する値のペアを表すものとし、Hx={xp、Fxp}は、第2の力値Fxm、iに対して判定されたKx個のピークのk番目に対応する値のペアを表すものとする。
【0103】
概して、第1の力値Fyn、i及び第2の力値Fxm、iから判定されたピークの数は、同一、すなわち、Kx=Kyであるはずである。しかしながら、同一のユーザ対話に対応するピークHy、Hxの順序付けは、インデックスkに関して異なってもよい。結果として、位置処理モジュール27は、特定のユーザ対話についての二次元座標(xp、yp)を取得するよう、第1の力値Fyn、iに基づいて推定されたピーク座標ypを、第2の力値Fxm、iに基づいて推定されたピーク座標xpと照合するように構成されてもよい。照合することは好ましくは、ピーク力値Fyp、Fxp及び/または前の時間点から追跡されたユーザ対話に関する情報に基づいてもよい。
【0104】
力チャネル26及び位置処理モジュール27は、例えば、マイクロコントローラまたは特定用途向け集積回路などの単一のデバイスによって実装されてもよい。代わりに、力チャネル26及び位置処理モジュール27は、マイクロコントローラ及び特定用途向け集積回路などの2つ以上のデバイスを使用して実装されてもよい。いくつかの実施例では、力信号処理モジュール15及びフロントエンドモジュール14は、単一のデバイス、例えば、マイクロコントローラ及び特定用途向け集積回路などとして統合されてもよい。
【0105】
力値を計算する方法
図7をも参照して、対応する圧電信号P、18から力値Fを計算する方法についての処理フローチャートが示される。
【0106】
対応する圧電信号P、18から力値Fを計算する方法は、各々の力チャネル26によって実行されてもよい。
【0107】
圧電信号Pが受信される(ステップS1)。任意選択で、この段階において、全てのチャネルにわたる圧電信号Pの平均として取得された共通モード値PCMが圧電信号Pから減算されてもよい。例えば、測定フロントエンド14は、共通モード値PCMを測定してもよく、力チャネルの各々に共通モード値PCMを出力してもよい。
【0108】
受信された圧電信号Pは、第1の電極5に対応する圧電信号Pyn、iまたは第2の電極6に対応する圧電信号Pxm、iであってもよい。
【0109】
圧電信号Pから第1のDCオフセット値Poffを減算することによって、補正済み圧電値Pc=P-Poffが計算される(ステップS2)。いくつかの実施例では、第1のDCオフセットPoffは、タッチパネル10を組み込んだデバイス(図示せず)がパワーオンされ、スリープモードからウェイクし、または拡張した持続時間の間にアイドルであるときに実行される較正ルーチンによって初期化されてもよい。いくつかの実施例では、第1のDCオフセットPoffは、事前較正されてもよい。いずれかのケースでは、第1のDCオフセットPoffは、ユーザ対話が存在しない期間の間、圧電信号P(t)に対して測定された平均値に基づいて設定されてもよい。この条件は、事前較正のケースについて確認するためにより簡易的であることができる。しかしながら、任意選択の容量性信号処理モジュール16が含まれる場合、第1のDCオフセットを初期化または事前較正することの目的として、ユーザ対話がないことを確認するために容量情報20が使用されてもよい。
【0110】
補正済み圧電値Pcが圧電信号閾値Pthreshに対して比較され(ステップS3)、例えば、条件Pc>Pthreshが試験されてもよい。代わりに及び好ましくは、条件|Pc|>Pthreshが試験されてもよい。この条件は、力チャネルがユーザ対話を検出しているかどうかを試験することにおおよそ対応する。厳密には、この条件は、加えられた力が変化しているかどうかを試験する。
【0111】
圧電信号閾値Pthreshは、タッチパネル10を組み込んだデバイス(図示せず)がパワーオンされ、スリープモードからウェイクし、または拡張した持続時間の間にアイドルであるときに実行されるルーチンによって、事前較正されてもよく、または較正されてもよい。いくつかの実施例では、圧電信号閾値Pthreshは、ユーザ対話が存在しない期間の間、圧電信号Pに対して測定された標準誤差の3倍~5倍の倍数に設定されてもよい。この条件は、事前較正のケースについて確認するためにより簡易的であることができる。しかしながら、任意選択の容量性信号処理モジュール16が含まれる場合、圧電信号閾値Pthreshを較正することの目的として、ユーザ対話がないことを確認するために容量情報20が使用されてもよい。
【0112】
補正済み圧電値Pcが|Pc|>Pthreshを満たす場合、すなわち、ユーザ対話が発生した場合(ステップS3|Yes)、力チャネル26についての力値Fは、補正済み圧電値Pc及び前の力値Fi-1の合計に等しく設定される(ステップS4)。例えば、力値Fは、F=Fi-1+Pcとして更新されてもよい。各々のチャネル26についての力値Fは、タッチパネル10を組み込んだデバイス(図示せず)がパワーオンされ、スリープモードからウェイクし、または拡張した持続時間の間にアイドルであるときにゼロに初期化または再初期化されてもよい。各々のチャネル26についての力値Fはまた、例えば、拡張した持続時間の間にアイドルであることに応答して、ユーザが加えられた力を除去するときにユーザ対話を検出することなど、特定のイベントが検出されたときにゼロに再初期化されてもよい。
【0113】
補正済み圧電値Pcが|Pc|>Pthresh満たさない場合、すなわち、|Pc|<=Pthreshであり、ユーザ対話が発生していない場合(ステップS3|No)、チャネルについての力値Fは、前の力値Fi-1に等しく設定され(ステップS5)、すなわち、F=Fi-1である。これは、チャネル力値Fを一定に保持すると共に、圧電信号P(または、好ましくはその規模|P|)が圧電信号閾値Pthreshを下回る効果を有する。
【0114】
直近のチャネル力値F及び数Nbuff-1の前のチャネル力値Fi-Nbuff+1、…、Fi-2、Fi-1を記憶したバッファ{Fi-Nbuff+1、…、Fi-1、F}に対して線形回帰分析が実行される(ステップS6)。例えば、力値Fは、バッファ{Fi-Nbuff、…、Fi-2、Fi-1}の先頭に追加され、最古の測定値Fi-Nbuffを退去させ、次いで、更新されたバッファ{Fi-Nbuff+1、…、Fi-1、F}に対して回帰分析が実行される。回帰分析は、勾配∂F/∂t、バッファされた力値{Fi-Nbuff+1、…、Fi-2、Fi-1、F}の平均の形式にあるオフセットδF、及び分散σ を判定する。
【0115】
代替的に、力値{Fi-Nbuff+1、…、Fi-1、F}を記憶する代わりに、バッファは、処理済み圧電値のNbuff個の前の値{Pci-Nbuff+1、…、Pci-1、Pc}を記憶してもよく、処理済み圧電信号Pcを単位として、勾配∂Pc/∂t、オフセットδPc、及び分散σ Pcを判定するよう、処理済み圧電信号Pcの値に対して線形回帰分析(ステップS6)が行われてもよい。
【0116】
勾配∂F/∂tは、事前較正済み勾配閾値ΔFに対して比較され、分散σ は、事前較正済み分散閾値σ threshに対して比較される(ステップS7)。条件∂F/∂t<ΔF及びσ <σ threshの両方が満たされる必要がある。この状況は、力チャネル26の不活動に対応すると見なされる。
【0117】
不活動についての双条件は、ユーザ対話が相対的に一貫した力を加える活性期間から、勾配∂F/∂t及び分散σ の両方が低いアイドル期間を区別することを可能にすることができる。発明者は、ユーザがタッチパネルに一貫した力を加えることを試みるとき、バッファ{Fi-Nbuff+1、…、Fi-1、F}の勾配∂F/∂tが相対的に低いことがあるが、バッファ{Fi-Nbuff+1、…、Fi-1、F}の分散σ が相対的に高いままであることを発見した。理論によって制限されることを望むことなく、そのような期間の間の相対的に高い分散σ は、人間が静的な力を正当に加えることが不可能であることから結果として生じることがあり、加えられた力における連続した小さな変化を結果としてもたらすことが推定される。勾配閾値ΔF及び分散閾値σ threshは、ユーザ対話が存在しない期間の間に取得された勾配∂F/∂t及び分散σ の値に基づいて較正されてもよい。
【0118】
代わりに、バッファが力値{Fi-Nbuff+1、…、Fi-1、F}の代わりに補正済み圧電値{Pci-Nbuff+1、…、Pci-1、Pc}を記憶するとき、事前較正済み勾配閾値ΔPに対して勾配∂Pc/∂tを比較し、事前較正済み分散閾値σp threshに対して分散σ Pcを比較することによって、補正済み圧電値Pcを単位として不活動の試験(ステップS7)が実行されてもよい。
【0119】
バッファ{Fi-Nbuff+1、…、Fi-1、F}がアイドル期間に対応すると判定される場合(ステップS7|Yes)、第2のDCオフセット値Foffは、オフセットδFに等しいように更新される(ステップS8)。代わりに、バッファが力値{Fi-Nbuff+1、…、Fi-1、F}の代わりに補正済み圧電値{Pci-Nbuff+1、…、Pci-1、Pc}を記憶するとき、第2のDCオフセット値Poff2は、補正済み圧電値Pcを単位として表現され、オフセットδPに等しいように更新される。第2のDCオフセット値Foff、Poff2は、タッチパネル10を組み込んだデバイス(図示せず)がパワーオンされる時にゼロに初期化される。
【0120】
バッファ{Fi-Nbuff+1、…、Fi-1、F}が活性期間に対応すると判定される場合(ステップS7|No)、第2のDCオフセット値Foff、Poff2は更新されない。
【0121】
補正済み力値Fcは、力値F及び第2のDCオフセット値Foff、Poff2に基づいて計算され、次いで、出力される(ステップS9)。例えば、補正済み力値Fcは、位置処理モジュール27に出力されてもよい。このようにして、補正済み力値Fcの計算は、経時的な各々の力チャネル26のDCオフセットにおけるドリフトを考慮することができる。
【0122】
補正済み力値Fcは、力値Fから力Foffを単位として第2のDCオフセットを減算することによって、Fc=F-Foffに従って計算されてもよい。
【0123】
代わりに、バッファが力値{Fi-Nbuff+1、…、Fi-1、F}の代わりに補正済み圧電値{Pci-Nbuff+1、…、Pci-1、Pc}を記憶するとき、補正済み力値Fcは、力値Fから、補正済み圧電信号Poff2を単位としてバッファサイズNbuff及び第2のDCオフセットの積を減算することによって、Fc=F-Nbuff×Poff2に従って計算されてもよい。
【0124】
更なる代替例では、補正済み圧電信号Poff2を単位として第2のDCオフセットを使用した補正済み力値Fcの計算は、よりロバストな方式において、以下によって実行されてもよい:
1.力値Fから、|Pc|>Pthreshを満たす各々のバッファされた補正済み圧電信号値{Pci-Nbuff+1、…、Pci-1、Pc}を減算すること、及び
2.力値Fに、|Pc-Poff2|>Pthreshを満たす各々のバッファされた補正済み圧電信号値{Pci-Nbuff+1、…、Pci-1、Pc}を加算すること。
【0125】
タッチパネル10が使用中のままである間(ステップS10)、計算が次の圧電信号Pi+1の繰り返しから開始して繰り返される(ステップS1)。
【0126】
力値を計算する方法がシステム13のコンテキストにおいて、及び位置処理モジュール27に補正済み力値Fcを提供することに関して説明されてきたが、過渡圧電信号P入力に基づいて補正済み力値Fcを計算するために、前に説明された力値を計算する方法がいずれかの圧電タッチパネルにおいて使用されてもよい。例えば、国際公開第2017/109455A1号明細書または国際公開第2016/102975A2号明細書に説明されるように、組み合わされた力及び容量測定デバイスについての補正済み力値Fcを計算するために、力値を計算する方法が使用されてもよい。
【0127】
補正済み力値Fcがタッチパネル10に加えられた力に比例すると共に、ニュートン(または同等の単位)にある実際の力値への変換は、1つ以上の較正係数の使用を必要とすることが認識されよう。概して、異なるセンサ位置y、xに対応する力チャネル26は、先述のセンサ位置y、xにわたって直接加えられた同一の力に応答して、異なる圧電信号P、18の規模を経験することがある。これは、境界条件及び/またはデバイス(図示せず)内のタッチパネル10の支持との組み合わせで、タッチパネル10の積み重ねの湾曲動作から結果として生じる。例えば、タッチパネル10上で既知の位置に既知の力を加えることによって、各々の力チャネル26に対して較正係数が事前に判定されてもよい。力チャネル26は、出力された補正済み力値Fcの計算におけるそのような事前較正済み幾何学的影響を含んでもよい。
【0128】
代わりに、事前較正済み幾何学的影響に対する力値Fの補正は、位置処理モジュール27に従ってもよい。これは、使用する較正係数を判定するとき、より正確に推定されたピーク座標xp、ypが使用されることを可能にすることができる。
【0129】
ユーザ対話位置を判定する方法
図8をも参照して、ユーザ対話位置を判定する方法の処理フローチャートが示される。
【0130】
ユーザ対話位置を判定する方法は、力値F、Fyn、i、Fxm、iに基づいて実行されてもよく、力値F、Fyn、i、Fxm、iは、図7を参照して説明された力値を計算する方法に従って計算された補正済み力値Fcである。しかしながら、これは、必須ではなく、ユーザ対話位置を判定する方法は、いずれかの適切な方法に従って計算された力値Fyn、i、Fxm、i、Fまたは補正済み力値Fcに基づいて実行されてもよい。ユーザ対話位置を判定する方法は、位置処理モジュール27のコンテキストにおいて説明される。しかしながら、ユーザ対話位置を判定する方法は、1つ以上の方向において間隔を空けられたセンサ位置x、yに対応する力値Fを受信するいずれかの適切な装置によっても実行されてもよい。
【0131】
力値Fy1、i、…、Fyn、i、Fx1、i、Fxm、iが受信される(ステップS11)。各々の力値Fyn、i、Fxm、iは、センサ位置y、xに対応する。例えば、力値Fy1、i、…、Fyn、i、Fx1、i、…、Fxm、iは、システム13の力チャネル26の第1のグループ28及び第2のグループ29から受信される。
【0132】
力値Fy1、i、…、Fyn、i、Fx1、i、…、Fxm、iが1つ以上の候補ピークRを含むかどうかを判定するよう、力値Fy1、i、…、Fyn、i、Fx1、i、…、Fxm、iが分析される(ステップS12)。第1の電極5に対応する力値Fy1、i、…、Fyn、iは、Kyc個の候補ピークRy={y、Fy }の第1のセットを判定するよう処理され、第2の電極6に対応する力値Fx1、i、…、Fxm、iは、Kxc個の候補ピークRx={x、Fx }の第2のセットを判定するよう処理される。候補ピークRy、Rxを判定するためにいずれかの適切なピーク発見方法が使用されてもよく、以下に1つの実施例が説明される(図9を参照)。候補ピークKyc、Kxcの数はゼロであってもよく、言い換えると、いずれかの候補ピークRy、Rxが必ずしも存在しない。
【0133】
言い換えると、候補ピークを判定する処理(ステップS12)は、センサ位置x、yの間の間隔に等しい精度により、1つ以上のユーザ対話の位置の大まかな識別を実行することに対応する。
【0134】
位置処理モジュール27は、いずれかの候補ピークRが最小力閾値Fthreshを上回るかどうかを試験する(ステップS13)。最小力閾値を上回らないいずれかの候補ピークRは、候補ピークRのリストから除去される。第1の力値Fyn、i及び第2の力値Fxm、iに対して試験が別個に行われ、第1の力値Fyn、i及び第2の力値Fxm、iのそれぞれに対して異なる閾値Fythresh及びFxthreshが使用されてもよい。例えば、第1の候補ピークRyは、条件Fy >Fythreshに従って試験されてもよく、第2の候補ピークRxは、条件Fx >Fxthreshに従って試験されてもよい。
【0135】
第1の力値Fyn、i及び第2の力値Fxm、iなどの2軸力データを処理するとき、位置処理モジュール27は、等しい数Kyx、Kxcの候補ピークRy、Rxを施行してもよい。例えば、閾値Fthresh、Fythresh、Fxthreshを下回る候補ピークRy、Rxの除去の後に、Kyc=0の第1のピークRyまたはKxc=0の第2のピークRxのいずれかが存在する場合(ステップS13|No)、方法は、次の力値Fyn、i+1、Fxm、i+1を取得することに戻る(ステップS11)。
【0136】
閾値Fthresh、Fythresh、Fxthreshを下回る候補ピークRy、Rxの除去の後に、異なる数Kyx、Kxcの候補ピークRy、Rxが存在する場合(ステップS13|Yes)、位置処理モジュール27は、数Kyx、Kxcの候補ピークRy、Rxが等しくKyx=Kxcになるまで、最小から最大の候補ピーク値Fp の順序において、第1の候補ピークRyまたは第2の候補ピークRxを除去する。例えば、Fy >Fythreshを満たすKyc=4の第1の候補ピークRy、及びFx >Fxthreshを満たすKxc=2の第2の候補ピークRxが存在した場合、位置処理モジュール27は、最小の候補ピーク値Fy を有する2つの第1の候補ピークRyを除去してもよい。
【0137】
いくつかの実施例では、各々の力チャネル26は、別個に較正された最小力閾値を有してもよい。例えば、第1の候補ピークRy={y、Fy }に対し、各々の候補ピーク値Fy は、対応する候補位置yに応じた最小力閾値Fythresh(y)と比較されてもよい。第2の候補ピークRx={x、Fx }を評価するために、同様の位置依存最小力閾値Fxthresh(x)が採用されてもよい。
【0138】
例えば、ユーザ対話が存在しない期間の間、対応する力チャネル(複数可)に対して測定された標準誤差の3倍~5倍の倍数に基づいて、較正実験から閾値Fthreshまたは位置依存閾値Fthresh(x)、Fthresh(y)が判定されてもよい。
【0139】
少なくとも1つの候補ピークRが最小力条件を満たす場合(ステップS13|Yes)、補間済み力値Gが対応する力値Fに基づいて判定され、いずれかのピークHが補間済み力値G及び候補ピークRに基づいて存在するかどうかが推定される(ステップS14)。発見された数KのピークHは、数Kcの入力候補ピークR以下であってもよく、数KのピークHがゼロであることが可能である。各々のピークHは、ピーク座標yp、xp、及び対応するピーク力値Fpを含む。理論では、数KのピークHは、第1の電極5及び/または第2の電極6の分解能(間隔)のみによって制限される。実際には、数KのピークHは典型的には、1つ、2つ、または3つであってもよい。例えば、多くの共通入力ジェスチャは、1本の指または2本の指を利用する。より多くの数KのピークH、例えば、4、5、またはそれ以上は、誤った検出を示すことがあり、測定品質の推定への要因となることがある。
【0140】
使用される補間の性質に応じて、補間済み力値Gは、1つ以上の位置の連続関数、例えば、G(y)に対応してもよい。代わりに、補間済み力値Gは、元のセンサ位置yよりも狭く間隔を空けられた、補間済み位置yint、…、yint、…、yintNintに対応する数Nintの離散値G、…、G、…GNintの形式を取ってもよい。
【0141】
第1の力値Fyn、i及び第2の力値Fxm、iなどの2軸データが処理されるとき、位置処理モジュール17は、第1の補間済み力値G及び第1の候補ピークRyに基づいていずれかの第1のピークHy={yp、Fyp}について試験し、第2の補間済み力値Gx及び第2の候補ピークRxに基づいていずれかの第2のピークHx={xp、Fxp}について試験する前に、前に説明されたような、等しい数Kyc=Kxc>0の第1の候補ピークRy及び第2の候補ピークRx(ステップS13|Yes)を保証することができる。
【0142】
補間済み力値Gを判定することは、対応する力値Fを使用して多項式スプラインh(y)を計算することに基づいてもよい。多項式スプラインh(y)は好ましくは、三次スプラインである。多項式スプラインh(y)を計算することに基づいて補間済み力値Gを判定する例は、以下で更に説明される(図11)。
【0143】
代わりに、補間済み力値Gを判定することは、対応する力値Fにフーリエ変換法を適用することに基づいてもよい(図13)。
【0144】
位置処理モジュール27は、いずれかの推定されたピークH、Hy、Hxが登録閾値Fregを上回るピーク力Fp、Fyp、Fxpに対応するかどうかをチェックする(ステップS15)。登録閾値Fregは、最小力閾値Fthreshよりも大きく、異なる目的を有する。一方、最小力閾値Fthreshは、入力力値F、Fyn、i、Fxm、iにおいて雑音を排除するよう較正され、システム13がユーザ対話を登録する前に、登録閾値Fregは、最小力、すなわち、最小信号を提供するよう設定される。登録閾値Fregは、タッチパネル10の意図した使用、ユーザの好み、及びシステム13からの入力を受信するタッチパネル10を含むデバイス(図示せず)によって実行されるオペレーティングシステムまたはソフトウェアによってなど、のうちの1つ以上に従って調節可能であってもよい。登録閾値Fregは、ステアリングホイール、ジョイスティックまたはコンピューティングデバイスについての他のタイプコントローラ周辺機器の「デッドゾーン」と同様の方式において振る舞ってもよい。
【0145】
いくつかの実施例では、登録閾値Fregを上回るときに入力における突然のジャンプを回避するために、位置処理モジュール27は、出力の前に、ピーク力Fp、Fyp、Fxpから登録閾値Fregを減算する。
【0146】
位置処理モジュール27は、この段階において等しい数Ky、KxのピークHy、Hxを施行しない(S17及び図10を参照)。
【0147】
第1の力値Fyn、i及び第2の力値Fxm、iのそれぞれに対して、異なる登録閾値Fyreg及びFxregが使用されてもよい。例えば、第1のピークHyは、条件Fyp>Fyregに従って試験されてもよく、第2の候補ピークRxは、条件Fxp>Fxregに従って試験されてもよい。いくつかの実施例では、各々の力チャネル26は、別個に調節可能な登録閾値を有してもよい。例えば、第1のピークHy={yp、Fyp}に対し、各々の候補ピーク値Fypは、対応するピーク位置ypに応じた登録閾値Fyreg(yp)と比較されてもよい。第2のピークHx={xp、Fxp}を評価するために、同様の位置依存登録閾値Fxreg(xp)が採用されてもよい。
【0148】
例えば、その各々が異なる登録閾値Fregセットを有することができる、タッチパネル10の表面上で2つ以上の異なる入力ゾーンを規定するために、システム13からの入力を受信するオペレーティングシステムまたはソフトウェアによって、位置依存登録閾値Fyreg(y)、Fxreg(x)も調節されてもよい。
【0149】
少なくとも1つのピークH、Hy、Hxが登録閾値(複数可)Fregを上回る場合(ステップS15|Yes)、大域タッチフラグが真の値に設定され(ステップS16)、力情報21が生成または更新される(ステップS17)。
【0150】
単軸データに対し、例えば、力値Fの1つのセットのみが処理される場合、力情報21は単純に、推定済みピークHを含んでもよい(ステップS17)。任意選択で、位置処理モジュール27は、1つ以上のアクティブタッチイベントE、…、E、…、ENeに各々のピークHを割り当てることを試みてもよく、Eは、Ne個のアクティブタッチイベントのj番目を表す。位置処理モジュール27は、タッチイベントEの前に測定された座標ye、xeへのピーク位置yp、xpの近接度に基づいて、アクティブタッチイベントEにピークHを割り当ててもよい。例えば、2つが過度な距離だけ分離されることを理由に、位置処理モジュール27が既存のアクティブタッチイベントEにピークHを割り当てることが不可能である場合、位置処理モジュール27は、ピークHを記憶するよう、新たなタッチイベントEを開始してもよい。同様に、既存のアクティブタッチイベントEがそれに割り当てられたピークHを有さない場合、そのイベントEは、終了したと見なされ、アクティブイベントEのリストから除去される。
【0151】
例えば、第1の力値Fyn、i及び第2の力値Fxm、iを処理する2軸データは、単軸データと同一の方式において単純に扱われてもよい。
【0152】
しかしながら、いくつかの実施例では、位置処理モジュール27は好ましくは、例えば、二次元ピークH2={(x2、y2)、F2)を生成するよう、第1のピークHyを対応する第2のピークHxと照合し、y2は、統合済みピークH2の第1の座標であり、x2は、統合済みピークH2の第2の座標であり、F2は、統合済みピークH2についての集約ピーク力である。第1の座標y2は、対応する第1のピーク座標ypに等しく設定されてもよい。代わりに、位置処理モジュール27がアクティブイベントEに第1のピークHy及び第2のピークHxのペアを割り当てる場合、第1の座標y2は、第1のピーク座標yp及び1つ以上の前に記憶されたイベント座標yeの平均に等しく設定されてもよい。第2の座標x2は、第1の座標y2と同一の方式において設定されてもよい。集約ピーク力F2は、対応する第1のピーク力Fyp及び第2のピーク力Fxpの平均または重み付け平均として判定されてもよい。既知の座標x、yに加えられた既知の力を使用して、重み付け係数が事前較正されてもよい。集約ピーク力F2を計算するために使用される重み付け係数は、統合済みピークH2の座標(x2、y2)に依存してもよい。
【0153】
理想の条件の下、数Kyの第1のピークHyは、数Kxの第2のピークHxに等しく、実際に、雑音または他の予測されない因子は、等しくない数Ky、Kxの第1のピークHy及び第2のピークHxを結果としてもたらすことがある。位置処理モジュール27は任意選択で、統合済みピークH2をアクティブタッチイベントEと照合し、統合済みピークH2を生成するとき、等しい数Ky=Kxの第1のピークHy及び第2のピークHxを施行してもよい。
【0154】
例えば、数Kyの第1のピークHyがKy=4であり、数Kxの第2のピークHxがKx=2である場合、位置処理モジュール27は、2つの第1のピークHyのみが残るまで、最低から最高のピーク値Fypの順序において、第1のピークHyを破棄することを開始してもよい。残りのKy=2の第1のピークHy及びKx=2の第2のピークHxは、統合済み2DピークH2を生成するよう照合されてもよく、アクティブタッチイベントEの割り当てのためにチェックされてもよい。第1のピークHy及び第2のピークHxを照合するための1つのオプションは、相対的ピーク力値Fyp、Fxpに基づいてもよい。例えば、4個のピークがHy={yp、Fyp}、Hy={yp、Fyp}、Hx={xp、Fxp}、Hx={xp、Fxp}である場合、次いで、Fyp>Fyp及びFxp<Fxpである場合、第1の2DピークH2は、Hy及びHxを統合することによって形成され、第2の2DピークH2は、Hy及びHxを統合することによって形成される。
【0155】
代わりに、数Kの第1のピークHyがKy=4であり、数Kxの第2のピークHxがKx=2である場合、位置処理モジュール27は、第1のピークHy及び第2のピークHxのどちらが追跡済みイベントEに対応するかを判定するために、アクティブタッチイベントEの座標(xe、ye)に対して第1のピークHy及び第2のピークHxの各々を比較してもよい。いずれかの余剰ピークHy、Hxは破棄されてもよい。2つのピーク、例えば、2つの第1のピークHyの両方が追跡済みイベントEの予め定められた距離以内にあるとき、位置処理モジュール27は、大きい方のピークHyを選択してもよい。
【0156】
ピークHy、Hxの2つ以上のペアを照合することを追跡済みイベントEとの比較に基づかせることによって、タッチ位置の曖昧さを回避することができる。例えば、ユーザは、タッチパネル10のスキャン速度においてタッチパネル10に2つの指を同時にタッチしていると考えることがあるが、2つの指の接触時間は、少なくとも1つのサンプリング周期によって分離される可能性が高い。加えられる力を増大させる速度も異なってもよい。ピークHy、Hxを追跡済みイベントEと比較することによって、初期タッチは、第1のイベントEを開始し、第2のタッチが登録されるとき、イベントEは、第1のピークHy及び第2のピークHxと一致し、第1のピークHy及び第2のピークHxの単一のペアを相互に一致させる。このアプローチは、第3のタッチイベントまたは更なるタッチイベントに明確に拡張されてもよい(既に言及しているが、3人よりも多いユーザの同時ユーザ対話が共通しなくてもよい)。
【0157】
一致する第1のピーク及び第2のピークの更なる例が、図10を参照して述べられる。
【0158】
ピークH、Hy、Hxが登録閾値(複数可)Fregを上回らない場合(ステップS15|No)、大域タッチフラグが偽の値に設定される(ステップS18)。いずれかの現在追跡されているタッチイベントEも、大域タッチフラグが偽に設定されたことに応答してリセット/除去されてもよい。いくつかの実施例では、チャネル26力値Fyn、i、Fxm、iのいくつかまたは全ても、大域タッチフラグが偽に設定されたことに応答してゼロにリセットされてもよい。
【0159】
力情報21が出力される(ステップS19)。力情報21は、ピークH、Hy、Hx、統合済みピークH2、及び/またはアクティブタッチイベントEを含んでもよい。力情報21は、タッチパネル10を組み込み、またはタッチパネル10を周辺機器として使用するデバイス(図示せず)の1つ以上のプロセッサに出力されてもよい。
【0160】
システム13がアクティブなままである間(ステップS20|Yes)、後続の力値Fi+1、Fyn、i+1、Fxm、i+1が取得される(ステップS11)。
【0161】
力チャネル26の第1のグループ28及び第2のグループ29から取得された2軸データを主に参照して、ユーザ対話位置を判定する方法が説明されてきたが、方法は、2軸力値のいずれかのセットに等しく適用可能である。
【0162】
いくつかの実施例では、単軸の力測定が使用されてもよく、ユーザ対話位置を判定する方法は、そのような例に等しく適用可能である。例えば、力信号処理モジュール15は、第1の電極5のみまたは第2の電極6のみに対応する圧電信号18を取得してもよく、単軸の力検知をもたらす。スライド制御のために、または容量信号処理モジュール16を含むシステム13における二次元容量検知との組み合わせでそのような例が使用されてもよい。
【0163】
候補ピークを判定する例
図9をも参照して、いくつかの候補ピークR、Ry、Rxを判定する例示的な方法についての処理フローチャートが示される(ステップS12)。しかしながら、ユーザ対話位置を判定する方法(ステップS12)は、候補ピークを判定するいずれかの適切な代替的な方法を採用してもよい。
【0164】
いくつかの候補ピークRyを判定する方法は、第1の力値Fyn、iに関連して説明される。しかしながら、いくつかの候補ピークを判定する方法は、第2の力値Fxm、i、または方向に沿って間隔を空けられたセンサ位置に対応するいずれかの他の力値Fのセットに同一に適用されてもよい。
【0165】
第1の力値のセット{Fy1、i、…、Fyn、i、…、Fyn、i}は、一時変数Fmaxに記憶される最大値を発見するよう探索され、対応するインデックスnは、一時変数nに記憶され、1<=n*<=Nである(ステップS21)。最大値Fmax及び最大インデックスn*は、いくつかの候補ピークRyを判定する方法に内在的な一時変数である。
【0166】
インデックスnは、最大インデックスn*に初期化され、増分変数INCは、+1の値に初期化され、ピーク候補カウンタkは、1の値に設定される(ステップS22)。
【0167】
インデックスnは、増分変数INCの加算によって新たな値に増分される(ステップS23)。ステップS22及びS23の全体的な効果は、最大値Fmaxの位置から第1の力値{Fy1、i、…、Fyn、i、…、Fyn、i}をスキャンすることを単純に開始することである。
【0168】
第1の力値{Fy1、i、…、Fyn、i、…、Fyn、i}の空間勾配∂Fy/∂yは、N個の第1の力値のn番目Fyn、iに対して判定され、勾配∂Fy/∂yの兆候が判定される(ステップS24)。例えば、前進差分勾配、後進差分勾配、または中央差分勾配などの勾配のいずれかの適切な数値測定を使用して、空間勾配∂Fy/∂yが判定されてもよい。∂Fy/∂yの計算は、センサ位置yを考慮することができる。しかしながら、勾配∂Fy/∂yの兆候のみが必要とされるので、センサ位置yは、勾配∂Fy/∂y計算から省略されてもよい。
【0169】
勾配∂Fy/∂yが負である場合(ステップS24|Yes)、現在インデックスnに対応する第1の力値Fyn、iは、別の一時変数Fminに記憶される(ステップS25)。最小力値Fminは、最大力値Fmaxから離れてスキャンするときに見られる最低の第1の力値Fyn、iを記録する。Fminの新たな値は、そうでなければ、いずれかの既に記憶された値を上書きする。インデックスnは、再度増分され(ステップS23)、勾配∂Fy/∂y条件が再試験される(ステップS24)。
【0170】
勾配∂Fy/∂yがゼロまたは正である場合(ステップS24|No)、現在記憶されている最大力値と最小力値との間の差分Fmax-Fminは、ピークシフト閾値Δpeakに対して比較される(ステップS26)。この条件は、ピークの立下りエッジに対する雑音が誤って最小値として記録される可能性を低減させるために適用される。
【0171】
差分Fmax-Fminがピークシフト閾値Δpeak以下である場合(ステップS26|No)、2つのピークの間の最小値が発見されておらず、インデックスnが増分される(ステップS23)。
【0172】
差分Fmax-Fminがピークシフト閾値Δpeakよりも大きい場合(ステップS26|Yes)、2つのピークの間の最小値が発見されており、最大インデックスn*と現在インデックスnとの間にあり、最大インデックスn*及び現在インデックスnを含むインデックス値に対応する第1の力値Fyn、iは、いくつかの候補ピークを判定する方法によって更なる考慮から排除される(ステップS27)。例えば、排除された(既に分析された)第1の力値Fyn、iは、第1の力値のセット{Fy1、i、…、Fyn、i}から除去されてもよい。代わりに、長さNのマスクベクトルが維持されてもよく、排除されていない第1の力値Fyn、iについての真(1)の値、及び排除された第1の力値Fyn、iについての偽の値(ゼロ)を保持する。排除された/排除されていない第1の力値Fyn、iを追跡するいずれかの他の適切な方法が使用されてもよい。
【0173】
いくつかの実施例では、n*~n-INCの範囲に対応し、n*~n-INCを含む力値Fxi、nは代わりに、n番目の力値Fxi、nがステップS27において排除されないように、更なる考慮から排除されてもよい。
【0174】
増分変数INCの値は、等式INC=-1についてチェックされる(ステップS28)。増分変数INCが+1に初期化されるので、この条件は、勾配スキャンが最大インデックスn*から離れた両方向において実行されたかどうかをチェックすることに対応する。
【0175】
増分変数INCが-1に等しくない場合(ステップS28|No)、増分変数INCは、INC=-1に設定され、最小発見ループが他の方向に移動して繰り返される(ステップS29)。
【0176】
増分変数INCがINC=-1を満たす場合(ステップS28|Yes)、両方向における最小発見ループが完了し、ピーク候補Ry={y、Fy }に候補位置y=yn*及び候補ピーク値Fy =Fmaxが割り当てられる(ステップS30)。
【0177】
いずれかの残りの排除されていないデータが存在する場合(ステップS31|Yes)、候補ピークカウンタkがk+1に増分され(ステップS31a)、残りの排除されていない第1の力値Fyn、iの最大値が発見される(ステップS21)。
【0178】
全てのデータが排除された場合(ステップS31|No)、候補ピークRyが出力され、数Kycの候補ピークRyが、カウンタkの現在値として設定される。
【0179】
視覚的な簡易化のために図9には示されないが、インデックスnがn>Nまたはn<1の値に増分される場合(ステップS23)、方法がステップS28に直接移動する。
【0180】
力情報を生成及び/または更新する方法
図10をも参照して、力情報21を生成及び/または更新する方法(ステップS17)についての処理フローチャートが示される。しかしながら、力情報21を生成及び/または更新する方法(ステップS17)は、力情報21を生成及び/または更新するいずれかの適切な代替的な方法を採用してもよい。
【0181】
上限インデックス値Ktotが判定される(ステップS32)。単軸データHに対し、上限インデックス値Ktotは、数KのピークH、Ktot=Kに等しく設定される。
【0182】
第1のピークHy及び第2のピークHxが処理されるとき、上限インデックス値Ktotは、数Ky、Kxの小さい方に設定され、すなわち、Ktot=min{Ky、Kx}である。加えて、第1のピークHy及び第2のピークHxのどちらが低い方の数を有しているかに関わらず、Ky、Kxは、一次ピークセットとしてフラグ付けされる。例えば、Ky=2及びKx=3である場合、第1のピークHyは、一次ピークとしてフラグ付けされ、第2のピークHxは、二次ピークとしてフラグ付けされる。これは、小さい方の数値ピークセットが誤り/偽ピークを包含する可能性が低いからである。
【0183】
力情報21を生成及び/または更新する方法の残りは、第1のピークHyが2軸データについての一次ピークセットであることを前提に説明されるべきである。しかしながら、方法は、第2のピークHxが一次ピークセットであった場合に等価である。
【0184】
インデックスkがk=1に初期化される(ステップS33)。
【0185】
tot個のピークHのk番目は、ピークHが既にアクティブのタッチイベントEに対応するかどうかを判定するよう、ゼロ以上のアクティブタッチイベントEに対してチェックされる。
【0186】
前に定義されたように、Eは、Ne個のアクティブタッチイベントのj番目を表し、単軸データについての記憶された座標ye(もしくは、xe)または2軸データについての座標(xe、ye)と関連付けられる。力情報21を生成及び/または更新する方法を説明する目的として、各々のアクティブタッチイベントEについての更なる特性を定義することが有益であるはずである。特に、アクティブタッチイベントEは、時間E(t)に応じて追跡されてもよく、E(t)は、Ej、iとして表され、E(t+δt)は、Ej、i+1として表される、などであるとする。同様に、時間tにおけるイベントEの座標は、(xej、i、yej、i)と表わされてもよい、などである。
【0187】
各々のアクティブタッチイベントは、Ej、i={Fej、i、(xe、ye)、Cbuff}として表されてもよく、Fej、iは、時間tにおけるj番目のアクティブタッチイベントEを表し、Cbuff={(xej、i、yej、i)、…、(xej、i-Nbuff2+1、yej、i-Nbuff2+1)}は、j番目のアクティブタッチイベントEの現在座標(xej、i、yej、i)及びNbuff2-1の前の座標を記憶した座標バッファである。単軸データに対し、値yej、iまたはxej、iのみが座標バッファCbuffによって記憶される。いくつかの実施例では、座標バッファCbuffは省略されてもよい。
【0188】
結果として、Ktot個のピークHのk番目がゼロ以上のアクティブタッチイベントEに対してチェックされるとき、チェックは、時間t-δtからアクティブタッチイベントに対して行われ、すなわち、Hが、Ej、i-1に対して試験される。
【0189】
例えば、k番目のピークHのピーク座標ypと直近の座標yej、i-1との間の絶対距離は、Ne個のアクティブタッチイベントEj、i-1の各々に対してチェックされてもよい。k番目のピークとj番目のアクティブタッチイベントとの間の距離をdとして表し、次いで、単軸データに対し、d=|yp-yej、i-1|である。距離dが関連付け閾値dassoc未満である場合、k番目のピークHは、j番目のアクティブタッチイベントに対応するとして割り当てられる。各々の時間tにおけるアクティブタッチイベントに1つのピークHのみが割り当てられてもよい。関連付け閾値dassocは、タッチパネルの較正の間に設定または判定されてもよく、概して、それらに限定されないが、電極の間のピッチまたは分離、及び機械的支持条件などを含む因子に依存する。関連付け閾値dassocは、相互に平行した指のペアについての典型的な幅または中心間距離に基づいて設定されてもよく、例えば、dassoc=20ミリメートルである。
【0190】
2つ以上の距離dが関連付け閾値dassoc未満である場合、k番目のピークは、最も近い、すなわち、dの最低値を有するアクティブタッチイベントEj、i-1に割り当てられる。代わりに、2つ以上の距離dが関連付け閾値dassoc未満であるケースでは、k番目のピークは代わりに、ピーク力Fpに値が最も近いイベント力値Fej、iを有するアクティブタッチイベントEj、i-1に割り当てられてもよい。他の実施例では、2つ以上の距離dが関連付け閾値dassoc未満であるとき、曖昧さを解決するために、距離d及び相対的力値Fej、i、Fpの組み合わせが使用されてもよい。
【0191】
距離dの全てが関連付け閾値dassoc以上である場合、k番目のピークは、いずれのアクティブタッチイベントEにも割り当てられない(ステップS34|no)。同様に、全てのタッチイベントEが他のピークHに既に割り当てられていることを理由に、k番目のピークをアクティブタッチイベントに割り当てることができない場合、k番目のピークは、いずれのアクティブタッチイベントEにも割り当てられない(ステップS34|no)。
【0192】
2軸データに対し、アクティブタッチイベントEとの関連付けをチェックすることは、ユーザ対話の二次元座標に対応するペアを形成するよう、第1のピークHy及び第2のピークHxを照合する処理をも含む。
【0193】
第1の段階では、単軸データについてと厳密に同一の方式において、k番目の一次ピークHyがアクティブタッチイベントEj、i-1に対してチェックされる。
【0194】
k番目の一次ピークHyがj番目のアクティブタッチイベントEj、i-1に対して照合される場合、Kx個の二次ピークHxk2(k2は、インデックス1<=k2<=Kxである)の全てが、j番目のアクティブタッチイベントEj、i+1に対して照合するためにチェックされる。一致した二次ピークHxk2が発見される場合、k番目の一次ピークHy及びk2番目の二次ピークHxk2は、j番目のアクティブタッチイベントEj、i-1に割り当てられる(ステップS34|yes)。任意選択で、k番目の一次ピークHy及びk2番目の二次ピークHxk2は、2DピークH2に統合されてもよい。1つの一次ピークHy及び1つの二次ピークHxのみが各々のタッチイベントEj、i-1に割り当てられてもよい。
【0195】
任意選択で、比率|Fyp-Fxpk2|も事前較正済み閾値または一次ピーク力値Fypの一部に対して試験されてもよく、差分|Fyp-Fxpk2|が十分に低い場合のみ一致するとして、二次ピークHxk2が割り当てられてもよい。
【0196】
一致する二次ピークHxk2が発見されない場合、k番目の一次ピークHyがアクティブタッチイベントEj、i-1に一致するかに関わらず、割り当ては行われない(ステップS34|No)。
【0197】
k番目の一次ピークHyがいずれのアクティブイベントEにも一致しない場合、割り当ては行われない(ステップS34|No)。
【0198】
k番目のピークH(または、k番目の一次ピークHy)がアクティブタッチイベントEj、i-1に割り当てられない場合(ステップS34|No)、新たなタッチイベントEj、iが開始及びポピュレートされる(ステップS35)。例えば、数Neのイベントが1つだけ増分され、Ne+1番目のイベントENe+1、iがポピュレートされ、FeNe+1、i=Fpとしてピーク力値に等しいイベント力値を設定し、座標バッファCbuffNe+1={yp}にピーク座標を追加する。
【0199】
2軸データが処理されているとき、新たなイベントENe+1、iを開始する前に、k番目の一次ピークHyは、二次ピークHxと照合される必要はない。Kx個の二次ピークのk2番目Hxk2を表すように再度インデックスk2を使用して、k番目の一次ピークHyと各々の二次ピークHxk2との間のピーク差分値pdk2=|Fyp-Fxpk2|が計算される。最小ピーク差分値pdk2を有するk2番目の二次ピークHxk2は、k番目の一次ピークHyと照合される。k2番目の二次ピークHxk2は、一次ピークHyと照合するために利用可能な二次ピークHxのセットから除去される。
【0200】
任意選択で、第1の電極力値Fyn、i及び第2の電極力値Fxm、iの応答性における幾何学及び境界条件導出差分を考慮して、ピーク差分値pdk2の計算が重み付けられてもよい。例えば、ピーク差分値pdk2は、pdk2=|αFyp-βFxpk2|に従って計算されてもよい。係数α及びβは、タッチパネル10に適用された実際の力に比例するよう力値を調節することができ、既知の位置に加えられた既知の力を使用して事前較正されてもよい。いくつかの実施例では、重み付け係数α、βは、ピーク座標の関数であってもよく、例えば、ピーク差分値pdk2は、pdk2=|α(yp)Fyp-β(xpk2)Fxpk2|に従って計算されてもよい。重み付け済みピーク差分値pdk2を使用することは、第1のピーク力値Fyp及び第2のピーク力値Fxpk2の相対的高さのより信頼できる比較を可能にすることができる。
【0201】
k番目の一次ピークHyをk2番目の二次ピークHxk2と対にすることが確立されると、ピーク座標yej、i=ypに等しいイベント座標を設定し、FeNe+1、i=0.5×(Fyp+Fxpk2)としてピーク力値の平均に等しいイベント力値を設定し、座標バッファが使用されるときに、座標バッファCbuffNe+1={(xpk2、yp)}に第1のピーク座標及び第2のピーク座標を追加することによって、Ne+1番目のイベントENe+1、iがポピュレートされてもよい。
【0202】
任意選択で、FeNe+1、i=0.5×(αFyp+βFxpk2)に従って、重み付け係数α、βを使用してイベント力値FeNe+1、iが計算されてもよい。いくつかの実施例では、重み付け係数α、βは、ピーク座標yp、xpk2の関数であってもよく、イベント力値FeNe+1、iは、FeNe+1、i=0.5×(α(yp)Fyp+β(xpk2)Fxpk2)として計算されてもよい。
【0203】
k番目のピークH(または、k番目の一次ピークHy及びk番目の二次ピークHxk2)がj番目のアクティブタッチイベントEj、i-1に割り当てられる場合(ステップS34|Yes)、イベント力値Fej、iが更新される(ステップS36)。単軸データに対し、j番目のアクティブタッチイベントEj、iの力値Fej、iは、k番目のピーク力値Fej、i=Fpとして割り当てられる。
【0204】
2軸データに対し、イベント力値Fej、iは、Fej、i=0.5×(Fyp+Fxpk2)に従って、k番目の第1のピーク力値Fypピーク力値及びk2番目の第2のピーク力値Fxpk2ピーク力値の平均に等しく設定される。任意選択で、Fej、i=0.5×(αFyp+βFxpk2)について、重み付け係数α、βを使用してイベント力値Fej、iが計算されてもよい。いくつかの実施例では、重み付け係数α、βは、ピーク座標の関数であってもよく、イベント力値Fej、iは、Fej、i=0.5×(α(yp)Fyp+β(xpk2)Fxpk2)として計算されてもよい。
【0205】
イベント座標(xej、i、yej、i)が更新される(ステップS37)。単軸データに対し、k番目のピーク座標yは、座標バッファCbuffに追加される。座標バッファCbuffが満たされている場合、最古の座標yej、i-Nbuff2+1が退去される。イベント座標yej、iは、座標バッファCbuffに記憶されたNbuff2座標の平均に等しく設定される。いくつかの実施例では、座標バッファCbuffは、単一の前の値、Nbuff2=1を記憶してもよい。
【0206】
他の実施例では、座標バッファにわたる平均の代わりに、イベント座標yej、iは、以下に従って設定されてもよい。
【数1】
【0207】
fはインデックスであり、Cは重み係数であり、重み係数Cにわたる合計は、単一に評価する。Cの値は全体的に、例えば、fと共に相互にまたは指数関数的に、インデックスfの値が増大すると共に減少する。このようにして、より最近の座標は、より古い座標よりもイベント座標eyj、iにより著しく貢献することができる。
【0208】
サンプリング周期t、t+δtの間の計算済みピーク座標yp、xpk2における変化を平滑化することができることを理由に、このようにして座標バッファCbuffを使用することは有益であることができ、ユーザ対話位置の「ジッタ」を回避する。
【0209】
他の実施例では、座標バッファCbuffが使用されなくてもよく、イベント座標yej、iは単純に、k番目のピーク座標ypに等しく設定されてもよい。
【0210】
2軸データについての処理は、関与する全ての座標が二次元ベクトルであることを除き同一である。
【0211】
インデックスkが上限インデックスKtotに等しくない場合(ステップS38|No)、インデックス値が増分され(ステップS39)、タッチイベントEを生成または更新する処理が繰り返される(ステップS34~S37)。
【0212】
インデックスkが上限インデックスKtotに等しくない場合(ステップS38|No)、力情報20が蓄積される(ステップS40)。ピークH(または、第1のピークHy及び第2のピークHxのペア)が割り当てられていないいずれかのイベントEは、イベントEのリストから除去される。2軸データに対し、いずれかの一致しない二次ピークHxも除去されてもよい。力情報21が蓄積され、更新され、及び/または新たに作成されたアクティブタッチイベントEj、iを含む。任意選択で、力情報21はまた、ピークH、Hy、Hx及び/または受信された力値Fyn、i、Fym、iを含んでもよい。
【0213】
多項式スプラインを使用する方法
図11をも参照して、力値を補間し、ピークHを推定する(ステップS14)第1の例示的な方法の処理フローチャートが示される。しかしながら、力値を補間し、ピークHを推定する(ステップS14)方法は、力情報21を生成及び/または更新するいずれかの適切な代替的な方法を採用してもよい。
【0214】
力値を補間し、ピークHを推定する第1の方法は、第1の力値Fyn、i及び対応するセンサ位置y、並びに候補ピークRy={y、Fy }を参照して説明される。しかしながら、力値を補間し、ピークHを推定する第1の方法は、第2の力値Fxm、i、または方向に沿って離れて間隔を空けられたセンサ位置に対応するいずれかの他の力値Fのセットに等しく適用可能である。
【0215】
力値Fyn、i及び対応するセンサ位置yに対して多項式スプラインh(y)が計算される(ステップS41)。補間済み力値G(y)は、多項式スプラインG(y)=h(y)に相当する。多項式スプラインh(y)は、数N-1のスプラインセグメントから構成される。N-1個のスプラインセグメントh(y)のn番目は、n番目のセンサ位置yにおけるn番目の力値Fyn、iをn+1番目のセンサ位置yn+1におけるn+1番目の力値Fyn+1、iに結合する。多項式スプラインh(y)の計算は、隣接したスプラインセグメントh)及びhn+1(y)の間で施行される連続性により、隣接したスプラインセグメントh(y)及びhn+1(y)の一連の1つ以上の導関数をも施行する、多項式スプラインの次数に応じて、従来通りである。
【0216】
定常点の効率的な計算を可能にする閉形式解を第1の導関数の二次求根が有することを理由に、三次多項式スプラインh(y)が好ましい。しかしながら、用途及びスプラインセグメントh(y)の定常点を発見するための利用可能な計算リソースに応じて、より低位の多項式スプラインh(y)またはより高位の多項式スプラインh(y)が使用されてもよい。
【0217】
前に判定された候補ピークRyのリストy(ステップS12、ステップS41~S62)が取り指され、数Kyの候補ピークRyが判定され、取り出される(ステップS42)。
【0218】
Ky個の候補ピークRyの最初に対応して、インデックス値kがk=1に設定される(ステップS43)。
【0219】
k番目の候補ピークRyがエッジチャネルに対応するかどうかをチェックする(ステップS44)。これは、y=yまたはy=yであるかどうかをチェックすることに対応する。
【0220】
k番目の候補ピークRyがエッジチャネルに対応する場合(ステップS44|Yes)、定常点Sは、候補センサ位置y及び隣接したセンサ位置yを結合するスプラインセグメントに対して計算され、それに続き、最大値に対応するそれらの定常点Sを判定する(ステップS45)。y=yである場合、スプラインセグメントh(y)の定常点Sが計算されるのに対し、y=yである場合、スプラインセグメントhN-1(y)の定常点Sが計算される。
【0221】
N-1個のスプラインセグメントのn番目h(y)の定常点Sは、S={sn、1、…、sn、r、…、sn、Ndeg-1}として表されてもよく、Ndegは、多項式スプラインh(y)の次数を表し、rは、インデックスであり、1<=r<=Ndegである。実際には、Ndegは、少なくとも二次であり、すなわち、Ndeg=2である。三次スプラインh(y)の好ましい例では、Ndeg=3及びS={sn、1、sn、2}(変曲点に対してsn、1=sn、2)である。三次スプラインの特定の例では、定常点sn、1、sn、2は、閉形式二次方程式を使用して判定されてもよい。より高位Ndeg>3の多項式スプラインh(y)の定常点Sは、数的求根方法を使用して解かれる必要があることがある。
【0222】
多項式スプラインh(y)の全体の一部を定義するためにのみ、各々のスプラインセグメントh(y)が使用されるが、スプラインセグメントh(y)が多項式スプラインh(y)を定義したy~yn+1の範囲外に定常点Sがあることがあるときでさえ、先述の定常点S(平方根)を発見するよう各々のスプラインセグメントh(y)についての式が解かれてもよい。
【0223】
力値を補間し、ピークHを推定する方法の以下の処理の議論は、簡略して、多項式スプラインh(y)が三次(Ndeg=3)であることを想定する。しかしながら、力値を補間し、ピークHを推定する方法は、三次よりも大きな次数または少ない次数Ndegの多項式スプラインh(y)に拡張されてもよい。
【0224】
例えば、スプラインセグメントh(y)についての式の第2の導関数の符号に基づいて、定常点S={sn、1、sn、2)のどれが最大であるかが判定される。変曲点(または、次数に応じた起伏点)は、ゼロに等しい第2の導関数と共に、実際には可能性が低いと考えられ、そのような定常点が発生する場合、それらは、ピークを発見することを目的として無視される。この説明を目的として、定常点sn、1がn番目の三次スプラインセグメントh(y)についての式の最大値を表すことを想定する。
【0225】
計算済み最大値sn、1の妥当性がチェックされる(ステップS46)。対応するスプラインセグメントh(y)が多項式スプラインh(y)を定義した範囲内に最大値sn、1がある場合、最大値sn、1は、有効ピークに対応する(ステップS46|Yes)。例えば、y=yである場合、最大値s1、1は、有効になるために、y<=s1、1<yを満たす必要がある。同様に、y=yN-1である場合、最大値sn、1は、有効になるために、yN1<=s<=yを満たす必要がある。この条件は、多項式スプラインh(y)に存在する最大値sn、1を発見することに対応する。セグメントh(y)が多項式スプラインh(y)を定義した範囲外ある最大値sn、1は、実際に多項式スプラインh(y)に対して発生しない。
【0226】
計算済み最大値sn、1が有効である場合(ステップS46|Yes)、最大値sn、1に等しいピーク座標ypを割り当て、スプラインセグメントh(sn、1)の値に等しいピーク力Fypを最大限に割り当てることによって、k番目のピークHy={yp、Fyp}が設定される(ステップS47)。エッジチャネルに対し、nは、値1またはN-1を取ってもよい。
【0227】
計算済み最大値sn、1が有効でない場合(ステップS46|No)、候補座標yに等しいピーク座標ypを割り当て、候補力値Fy に等しいピーク力Fypを割り当てることによって、k番目のピークHy={yp、Fyp}が設定される(ステップS48)。
【0228】
k番目の候補ピークRyがエッジチャネルに対応しない場合(ステップS44|No)、最大力値に対応する候補センサ位置y及び隣接したセンサ位置yを結合し、それに続いて最大値sを判定するスプラインセグメントh(y)についての定常点Sが計算される(ステップS49)。
【0229】
=yであり、次いで、Fyn+1、i>Fyn-1、iである場合、スプラインセグメントh(y)についての定常点Sが計算される一方で、Fyn+1、i<Fyn-1、iである場合、スプラインセグメントhn-1(y)についての定常点Sn-1が計算される。定常点Sの計算は、エッジチャネルについて前に説明された(ステップS45)のと同一である。対応する最大値sn、1またはsn-1、1は、前に説明された定常点SまたはSn-1から判定される。
【0230】
計算済み最大値sn、1またはsn-1、1が有効性について試験される(S50)。計算済み最大値sn、1またはsn-1、1は、対応するスプラインセグメントh(y)またはhn-1(y)が多項式スプラインh(y)を定義した範囲内にそれがある場合に有効であり、そうでなければ無効である。これは、エッジチャネルに対して計算された最大値s1、1、sN、1に適用された条件と同一である(ステップS46)。
【0231】
計算済み最大値sn、1またはsn-1、1が有効である場合(ステップS50|Yes)、k番目のピークHy={yp、Fyp}が設定される(ステップS47)。例えば、Fyn+1、i>Fyn-1、iである場合、最大値sn、1に等しいピーク座標ypを割り当て、スプラインセグメントh(sn、1)の値に等しいピーク力Fypを最大限に割り当てることによって、k番目のピークHy={yp、Fyp}が設定される。しかしながら、Fyn+1、i<Fyn-1、iである場合、最大値sn-1、1に等しいピーク座標ypを割り当て、スプラインセグメントhn-1(sn-1、1)の値に等しいピーク力Fypを最大限に割り当てることによって、k番目のピークHy={yp、Fyp}が設定される。
【0232】
計算済み最大値sn、1またはn-1、1が有効でない場合(ステップS50|No)、候補センサ位置y及び他の隣接したセンサ位置yを結合し、それに続いて最大値sn-1、1またはsn、1を判定する他のスプラインセグメントh(y)についての定常点Sが計算される(ステップS51)。
【0233】
例えば、n番目のスプラインセグメントh(y)についての定常点S及び最大値sn、1が最初に計算されたように、Fyn+1、i>Fyn-1、iであり(ステップS49)、次いで、最初に計算された最大値sn、1が有効でない場合(ステップS50|no)、n-1番目のスプラインセグメントhn-1(y)についての定常点Sn-1及び最大値sn-1、1が2番目に計算される(ステップS51)。代わりに、n-1番目のスプラインセグメントhn1(y)についての定常点Sn-1及び最大値sn-1、1が最初に計算されたように、Fyn+1、i<Fyn-1、iであり(ステップS49)、次いで、最初に計算された最大値sn-1、1が有効でない場合(ステップS50|no)、n番目のスプラインセグメントh(y)についての定常点S及び最大値sn、1が2番目に計算される(ステップS51)。
【0234】
2番目に計算された最大値sn-1、1またはsn、1は必要に応じて、有効性についてチェックされる(ステップS52)。2番目に計算された最大値sn-1、1またはsn、1が有効である場合(ステップS52|Yes)、計算済み最大値sn-1、1またはsn、1を使用してk番目のピークHy={yp、Fyp}が設定される(ステップS47)。
【0235】
しかしながら、スプラインセグメントh(y)、hn-1(y)のいずれかにおいて有効な最大値sn、1が発見されなかった場合(ステップS52|No)、ピークHが割り当てられず、kをk+1に増分した後(ステップS53)、k+1番目の候補ピークRyk+1が処理される(ステップS44)。
【0236】
k番目のピークHyが設定された場合、全ての候補ピークRyが処理されたかどうか、すなわち、k<Kcであるかどうかをチェックする(ステップS54)。k<Kcである場合(ステップS54|Yes)、処理する更なる候補ピークRyが存在し、kをk+1に増分した後(ステップS53)、k+1番目の候補ピークRyk+1が処理される(ステップS44)。
【0237】
k>=である場合(ステップS54|No)、処理する更なる候補ピークRyが存在しない。
【0238】
多項式スプラインを使用する第2の方法
図12をも参照して、力値を補間し、ピークHを推定する第2の例示的な方法(ステップS14)の処理フローチャートが示される。しかしながら、力値を補間し、ピークHを推定する第2の例示的な方法(ステップS14)は、力情報21を生成及び/または更新するいずれかの適切な代替的な方法を採用してもよい。
【0239】
力値を補間し、ピークHを推定する第2の例示的な方法は、第1の力値Fyn、i及び対応するセンサ位置y、並びに候補ピークRy={y、Fy }を参照して説明される。しかしながら、力値を補間し、ピークHを推定する第2の例示的な方法は、第2の力値Fxm、i、または方向に沿って離れて間隔を空けられたセンサ位置に対応するいずれかの他の力値Fのセットに等しく適用可能である。
【0240】
簡略して、力値を補間し、ピークHを推定する第2の例示的な方法は、三次多項式スプラインh(y)を参照し、N-1個のスプラインセグメントのn番目h(y)の最大値に対応するよう定常点sn、1を取って説明される。
【0241】
力値を補間し、ピークHを推定する第2の例示的な方法は、エッジチャネルを処理する第1の方法と同一である(ステップS41~S48)。
【0242】
k番目の候補ピークRyがエッジチャネルに対応しない場合(ステップS44|No)、差異が発生する。
【0243】
候補位置yに結合する両方のスプラインセグメントh(y)についての定常点S及び対応する最大値sn、1が計算される(ステップS55及びS56)。例えば、候補位置yがn番目のセンサ位置y=yに対応する場合、センサ位置yn-1及びyを結合する第1のスプラインセグメントhn-1)についての第1の定常点Sn-1及び対応する第1の最大値sn-1、1が計算される(ステップS55)。加えて、センサ位置y及びyn+1を結合する第2のスプラインセグメントh(y)についての第2の定常点S及び対応する第2の最大値sn、1が計算されるステップS56)。
【0244】
第1の最大値sn-1、1及び第2の最大値sn、1の有効性が試験される(ステップS57)。第1の方法(ステップS50、S52)と比較して、第2の方法は、異なる基準に従って、第1の最大値sn-1、1及び第2の最大値sn、1の有効性を判定する。
【0245】
特に、第1の最大値sn-1、1が第1のスプラインセグメントhn-1(y)の範囲yn-1<=sn-1、1<y内にある場合、第1の最大値sn-1、1が有効として割り当てられ、高優先度としてフラグ付けされる。しかしながら、第1の最大値sn-1、1が第2のスプラインセグメントh(y)の範囲y<=sn-1、1<yn+1内にある場合、第1の最大値sn-1、1がなおも有効として割り当てられるが、低優先度としてフラグ付けされる。第1の最大値sn-1、1が第1のスプラインセグメントhn-1(y)及び第2のスプラインセグメントh(y)の範囲外にある場合、すなわち、sn-1、1<yn-1またはyn+1<=sn-1、1である場合、第1の最大値sn-1、1が無効として割り当てられる。
【0246】
同様に、第2の最大値sn、1が第2のスプラインセグメントh(y)の範囲y<=sn、1<yn+1内にある場合、第2の最大値sn、1が有効として割り当てられ、高優先度としてフラグ付けされる。しかしながら、第2の最大値sn、1が第1のスプラインセグメントhn-1(y)の範囲yn-1<=sn、1<y内にある場合、第2の最大値sn、1がなおも有効として割り当てられるが、低優先度としてフラグ付けされる。第2の最大値sn、1が第1のスプラインセグメントhn-1(y)及び第2のスプラインセグメントh(y)の範囲外にある場合、すなわち、sn、1<yn-1またはyn+1<=sn、1である場合、第2の最大値sn、1が無効として割り当てられる。
【0247】
第1の最大値sn-1、1及び第2の最大値sn、1の両方が無効である場合(ステップS57|No)、ピークHyが割り当てられず、インデックスkがk+1に増分され(ステップS53)、次の候補ピークRyが考慮される(ステップS44)。
【0248】
第1の最大値sn-1、1が有効であり(ステップS57|Yes)、第2の最大値sn、1が無効である場合(ステップS58|Yes)、第1の最大値sn-1、1に基づいて、k番目のピークHyが割り当てられる(ステップS59)。
【0249】
両方の最大値sn-1、1、sn、1が有効であり(ステップS57|Yes)、第1の最大値sn-1、1が高優先度であると共に、第2の最大値sn、1が低優先度である場合(ステップS58|Yes)、第1の最大値sn-1、1に基づいて、k番目のピークHyが割り当てられる(ステップS59)。
【0250】
第2の最大値sn、1が有効であり(ステップS57|Yes)、第1の最大値sn-1、1が無効である場合(ステップS58|N0、ステップS60|Yes)、第2の最大値sn、1に基づいて、k番目のピークHyが割り当てられる(ステップS61)。
【0251】
両方の最大値sn-1、1、sn、1が有効であり(ステップS57|Yes)、第2の最大値sn、1が高優先度であると共に、第1の最大値sn-1、1が低優先度である場合(ステップS58|N0、ステップS60|Yes)、第2の最大値sn、1に基づいて、k番目のピークHyが割り当てられる(ステップS61)。
【0252】
両方の最大値sn-1、1、sn、1が有効であり(ステップS57|Yes)、両方の最大値sn-1、1、sn、1が等しい優先度を有する場合(ステップS58|N0、ステップS60|No)、第1の最大値sn-1、1または第2の最大値sn、1のどちらが多項式スプラインh(sn-1、1)、h(sn、1)の最大値に対応するかに基づいて、k番目のピークHyが割り当てられる。
【0253】
フーリエ変換を使用する方法
図13をも参照して、力値を補間し、ピークHを推定する第3の例示的な方法(ステップS14)の処理フローチャートが示される。しかしながら、力値を補間し、ピークHを推定する方法(ステップS14)は、力情報21を生成及び/または更新するいずれかの適切な代替的な方法を採用してもよい。
【0254】
力値を補間し、ピークHを推定する第3の例示的な方法は、第1の力値Fyn、i及び対応するセンサ位置y、並びに候補ピークRy={y、Fy }を参照して説明される。しかしながら、力値を補間し、ピークHを推定する第3の例示的な方法は、第2の力値Fxm、i、または方向に沿って離れて間隔を空けられたセンサ位置に対応するいずれかの他の力値Fのセットに等しく適用可能である。
【0255】
センサ位置yが等しく間隔を空けられない場合、力値Fyn、i及び対応するセンサ位置yは、等間隔の位置y'及び変換済み力値Fy'n、iにシフトされる(ステップS63)。この処理は、センサ位置yがほぼ等しく間隔を空けられる場合に省略されてもよい。
【0256】
図14をも参照して、変換済み力値Fy'n、iを計算する例示的な方法が、以下に更に詳細に説明される。
【0257】
Φ=Φ(ω)は、N個の周波数のn番目ωに対応する複合振幅を表すものとし、周波数スペクトルΦは、力値Fyn、iの離散フーリエ変換または変換済み力値Fy'n、iを計算することによって取得される(ステップS64)。値Φの半分のみは、ナイキスト周波数ωnyqまで一意であり、残りの周波数ω>ωnqyは、反映済み値Φに対応する。周波数スペクトルΦは、高速フーリエ変換(FFT)アルゴリズムを使用して取得されてもよい。
【0258】
例えば、図15をも参照して、周波数スペクトルΦを記憶したアレイが概略的に示される。
【0259】
第1のブロック30は、ωnqyまでの周波数スペクトルΦの一意な値を保持する。第2のブロック31は、ナイキスト周波数ωnyqに関して反映された、周波数スペクトルΦの同一のN/2の値を保持する。言い換えると、インデックス値n1<N/2及びn2=N-n1+1についてΦn1=Φn2である。
【0260】
ナイキスト周波数ωnyqを上回る数Nzeroのゼロを挿入することによって、ゼロ挿入済み周波数スペクトルΦzeroが取得される(ステップS65)。ゼロ挿入済み周波数スペクトルΦzeroは、合計で総数Nint=N+Nzeroの値である。
【0261】
例えば、図16をも参照して、ゼロ32のブロックが第1のブロック30と第2のブロック31との間に挿入される。
【0262】
ゼロ挿入済み周波数スペクトルΦzeroの逆離散フーリエ変換を計算することによって、補間済み力値Gが取得される(ステップS66)。補間済み力値Gは、元のセンサ位置yよりも近くに間隔を空けられた補間済み位置yint、…、yint、…、yintNintに対応する、数Nint=N+Nzeroの離散値G、…、G、…GNintの形式を取る。補間済み位置yint、…、yint、…、yintNintは、yint=y及びyintNint=yであるように、センサ位置yと同一の範囲に及ぶことに留意されるべきである。
【0263】
補間済み力値Gから力を入れた周期のアーチファクトを除去することができる(ステップS67)。
【0264】
図17をも参照して、補間済み力値G、33の例が示される。
【0265】
フーリエ変換を取得し(ステップS64)、ゼロを挿入し(ステップS65)、次いで、逆フーリエ変換を計算する(ステップS66)処理は、補間済み力値Gを周期的にさせ、それは、テールアーチファクト領域34を導入させることがある。
【0266】
図18をも参照して、切り取られた補間済み力値Gtrun、35を形成するよう、テールアーチファクト領域34を除去することができる。切り取られた補間済み力値Gtrun、35は次いで、yからyのセンサ位置の元の範囲に及ぶ、取得され補正された補間済み力値Gcor、36に線形にワープされる。
【0267】
図19をも参照して、テールアーチファクト領域除去の実験的な例が示される。
【0268】
N=8の第1のセンサ5を含むタッチパネル10の例から実験的データが取得されている。ゼロ挿入済み周波数スペクトルΦzeroを反転させることから直接取得された補間済み力値33、Gは、測定済み力値Fy1、i、…、Fy8、iに対する良好でない対応付けをもたらすことを観察することができ、それは、力を入れた周期のアーチファクトの結果であると信じられている。テールアーチファクト領域34は、補間済み力値Gが最後の力値Fy8、iを下回って下がるyintNint=yへの領域yinttail、すなわち、G<Fy8、iである領域として定義される。テールアーチファクト領域34の除去及び元の領域y~yに及ぶ線形ワープに続いて、補正された補間済み力値Gcor、36は、測定済み力値Fy1、i、…、Fy8、iへの改善された対応付けをもたらすことを観察することができる。
【0269】
他の実施例では、テールアーチファクト領域34は、補間済み力値Gが最小力値min{Fy1、i、…、Fyn、i、…、Fyn、i}を下回って下がる領域として定義されてもよい。
【0270】
図13を再度参照して、Ky個の候補ピークRy={y、Fy }のリストが取り出される(ステップS68)。
【0271】
Ky個の候補ピークRyの最初を考慮して開始するよう、インデックスkがk=1に設定される(ステップS69)。
【0272】
k番目の候補ピークRyの位置yを開始点として使用して、極大値について補間済み力値G、または好ましくは補正された補間済み力値Gcorが探索される(ステップS70)。例えば、補間済み力値Gまたは補正された補間済み力値Gcorに対して計算された数値勾配に基づいて、勾配降下法が使用されてもよい。発見された最大値の位置は、yintmaxと表わされてもよく、対応する補正された補間済み力値は、Gcor(yintmax)と表わされてもよい。
【0273】
最大Gcor(yintmax)が一意であるかどうか、またはそれが前に処理されたピーク候補Ryについて既に発見されたかどうかがチェックされるべきである(ステップS71)。2つの候補ピークRyが同一の計算済み座標yintmaxに収束する場合、別個の候補ピークRyとしての初期検出は、誤りである可能性が高く、1つの対応するピークHyのみが割り当てられるべきである。
【0274】
計算済み座標yintmaxがそれまでに一意である場合(ステップS71|Yes)、ピーク位置yp=yintmaxを割り当て、ピーク力値Fyp=Gcor(yintmax)を割り当てることによって、k番目のピークHy={yp、Fyp}が設定される(ステップS72)。
【0275】
計算済み座標yintmaxが既に発見されている場合(ステップS71|No)、新たなピークHyが割り当てられない(ステップS72をスキップする)。
【0276】
インデックスk=Kycである場合(ステップS73|Yes)、全ての候補ピークRyが処理されている。
【0277】
インデックスk<Kycである場合(ステップS73|No)、インデックスkがk+1に増分され、次の候補ピークRyが処理される(ステップS70)。
【0278】
図14を再度参照して、等間隔の位置y'に対応する変換済み力値Fy'n、iを計算する例が示される。しかしながら、変換済み力値Fy'を計算するいずれかの適切な代替的な方法が代わりに使用されてもよい。
【0279】
等間隔の位置y'に対応する変換済み力値Fy'n、iを計算する例は、第1の力値Fyn、i及び対応するセンサ位置yを参照して説明される。しかしながら、等間隔の位置y'に対応する変換済み力値Fy'n、iを計算する例は、第2の力値Fxm、i、または方向に沿って間隔を空けられたセンサ位置に対応するいずれかの他の力値Fのセットに等しく適用可能である。
【0280】
等間隔の位置y'に対応する変換済み力値Fy'n、iは、センサ位置y及び対応する力値Fyn、iを一括する線形補間に基づいて単純に計算されてもよい。例えば、第2の変換済み力値Fy'2、iは、以下に従って計算されてもよい。
【数2】
【0281】
同様に、第3の変換済み力値Fy'3、i、第4の変換済み力値Fy'4、i、及び第5の変換済み力値Fy'5、iはそれぞれ、以下に従って計算されてもよい。
【数3】
【0282】
実験的データ
図20をも参照して、三次多項式スプラインh(y)の形式において取得された(図11)補間済み力値G、37に対する測定済み力値Fyn、iの比較が示される。
【0283】
多項式スプラインh(y)の性質を仮定して説明されるように、補間済み力値Gは、測定済み力値Fyn、iを通過する。ピークHyに対応する補間済み力値Gのピークがセンサ位置yの間にあることを観察することができる。
【0284】
図21をも参照して、フーリエ変換法を使用して取得された(図13)補正された補間済み力値Gcor、38に対する測定済み力値Fyn、iの比較が示される。
【0285】
特に、補正された補間済み力値Gcor、38を取得するために、高速フーリエ変換法が使用されている。補正された補間済み力値Gcor、38は全体的に、測定済み力値Fyn、iを辿るが、三次スプラインh(y)、37に対してとは異なり、補正された補間済み力値Gcor、38は、補正された補間済み力値Gcor、38を通過するよう制約されないことを観察することができる。
【0286】
図22をも参照して、三次多項式スプラインh(y)の形式にある補間済み力値G、37、及びフーリエ変換法を使用して取得された補正された補間済み力値Gcor、38の比較が示される。
【0287】
2つの方法の結果37、38は広く一致しているが、推定済みピーク位置yp及びピーク力値Fypにおける僅かな差異を観察することができ、それは、当初の測定済み力値Fyn、iを通過する多項式スプラインh(y)の制約からの結果であると考えられる。
【0288】
概して、特に、三次スプラインh(y)が使用されるとき、多項式スプラインh(y)法(図11、12)は、フーリエ変換法(図13)よりも相対的に高速であることがある。しかしながら、フーリエ変換法(図13)を使用して取得された補正された補間済み力値Gcor、38が当初の測定済み力値Fyn、iを通過するよう制約されないことを理由に、フーリエ変換法(図13)は、測定済み力値Fyn、iにおけるいずれかの雑音にあまり影響されないことがある。
【0289】
修正
前に説明された実施形態に様々な修正が行われてもよいことが認識されよう。そのような修正は、本明細書で既に説明された特徴の代わりにまたは加えて使用することができる、タッチパネル及びその構成部品の設計、製造、及び使用において、並びにタッチパネルからの信号の処理において既に知られている同等の特徴及び他の特徴を伴ってもよい。1つの実施形態の特徴は、別の実施形態の特徴と置き換えられてもよく、または別の実施形態の特徴によって補足されてもよい。
【0290】
測定フロントエンド14、力信号処理モジュール15、及び容量信号処理モジュール16が別個の構成要素として示されてきたが、実際には、それらの要素のいくつかまたは全ては、例えば、マイクロコントローラまたは特定用途向け集積回路などの単一の統合化デバイスによって提供されてもよい。
【0291】
力チャネル26及び位置処理モジュール27が別個の構成要素として提供されてもよいが、いくつかの実施例では、力チャネル26及び位置処理モジュール27は、例えば、マイクロコントローラまたは特定用途向け集積回路などの単一の統合化デバイスによって提供されてもよい。力チャネル26及び位置処理モジュール27の機能は、測定フロントエンド14及び/または容量信号処理モジュール16の機能と単一のデバイスにおいて統合されてもよい。
【0292】
特許請求の範囲は、本願において、特徴の特定の組み合わせに対して説明されてきたが、本発明の開示の範囲は、明示的にもしくは暗示的に本明細書に開示する任意の新規特徴もしくは特徴の任意の新規組み合わせまたはその任意の一般論をも、それがいずれかの請求項で現在特許請求されているのと同じ発明に関するのか否か、及びそれが本発明が軽減するのと同じ技術的な問題のいずれかまたはすべてを軽減するか否かに関わらず、含むことを理解されたい。出願人は、本明細書により、本出願の、またはそこから派生するいずれかの更なる出願の出願経過の間に新たな請求項が、そのような特徴及び/またはそのような特徴の組み合わせに対して考案されてもよいことを告示する。
図1
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図5
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図7
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図9
図10
図11
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【国際調査報告】