(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-13
(54)【発明の名称】複数の駆動ステージ及び関連モードを備えるスイッチングコンバータ
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20220906BHJP
【FI】
H02M3/155 K
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576563
(86)(22)【出願日】2019-06-24
(85)【翻訳文提出日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 CN2019092512
(87)【国際公開番号】W WO2020257962
(87)【国際公開日】2020-12-30
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【氏名又は名称】佐藤 仁
(71)【出願人】
【識別番号】390020248
【氏名又は名称】日本テキサス・インスツルメンツ合同会社
(72)【発明者】
【氏名】リャン ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイビン ジン
(72)【発明者】
【氏名】ダン リー
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA02
5H730AA14
5H730AS05
5H730BB13
5H730CC01
5H730DD04
5H730FD11
5H730FF05
(57)【要約】
システム(100)が出力インダクタ(114)を備えるスイッチングコンバータ(102)を含む。スイッチングコンバータ(102)は、出力インダクタに結合されるスイッチノード(430)を備えるスイッチセット(112)も含む。スイッチングコンバータ(102)は、スイッチセットに結合される第1の駆動ステージ(108A)も含む。スイッチングコンバータ(102)は、スイッチセット(112)に結合される第2の駆動ステージ(108B)も含む。スイッチングコンバータ(102)は、第1の駆動ステージ(108A)及び第2の駆動ステージ(108B)に結合されるコントローラ(103)も含む。コントローラは、供給電圧検出器回路(104)を含む。コントローラは、供給電圧検出器回路の出力に結合されるレベルシフタ(106)も含む。コントローラは、レベルシフタと第2の駆動ステージとの間に結合される選択回路(107)も含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
スイッチングコンバータを含み、
前記スイッチングコンバータが、
出力インダクタと、
前記出力インダクタに結合されるスイッチノードを備えるスイッチセットと、
前記スイッチセットに結合される第1の駆動ステージと、
前記スイッチセットに結合される第2の駆動ステージと、
前記第2の駆動ステージに結合されるコントローラと、
を備え、前記コントローラが、
供給電圧検出器回路と、
前記供給電圧検出器回路の出力に結合されるレベルシフタと、
前記レベルシフタと前記第2の駆動ステージとの間に結合される選択回路と、
を含む、
システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1の駆動ステージが、前記スイッチセットに第1の駆動信号寄与を提供するように構成され、前記第2の駆動ステージが、前記スイッチセットに第2の駆動信号寄与を提供するように構成され、前記第2の駆動信号寄与が前記第1の駆動信号寄与よりも大きい、システム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムであって、前記コントローラが、
前記第1の駆動ステージのみをイネーブルする第1の駆動モードと、
前記第1及び第2の駆動ステージ両方をイネーブルする第2の駆動モードと、
のうちの1つを選択するように構成される、
システム。
【請求項4】
請求項2に記載のシステムであって、前記コントローラが、前記スイッチングコンバータに対する供給電圧が閾値よりも高いことを前記供給電圧検出器回路が検出することに応答して前記第1の駆動モードを選択するように構成される、システム。
【請求項5】
請求項2に記載のシステムであって、前記コントローラが、前記スイッチングコンバータに対する供給電圧が前記閾値よりも低いことを前記供給電圧検出器回路が検出することに応答して前記第2の駆動モードを選択するように構成される、システム。
【請求項6】
請求項2に記載のシステムであって、前記コントローラが、前記第2の駆動ステージのみをイネーブルする第3の駆動モードを選択するように構成される、システム。
【請求項7】
スイッチングコンバータデバイスであって、
出力インダクタノードに結合されるスイッチノードを備えるスイッチセットと、
前記スイッチセットに結合される第1の駆動ステージと、
前記スイッチセットに結合される第2の駆動ステージと、
前記第1の駆動ステージ及び前記第2の駆動ステージに結合されるコントローラと、
を含み、
前記コントローラが、第1の駆動モードと第2の駆動モードの間で選択するように構成され、前記第1の駆動モードが、前記第1の駆動ステージ又は前記第2の駆動ステージのいずれかが前記スイッチセットに駆動信号を提供できるようにし、前記第2の駆動モードが、前記第1の駆動ステージ及び前記第2の駆動ステージの両方が前記スイッチセットに駆動信号を提供できるようにする、
スイッチングコンバータデバイス。
【請求項8】
請求項7に記載のスイッチングコンバータデバイスであって、前記第1の駆動ステージが、前記スイッチセットに第1の駆動信号寄与を提供するように構成され、前記第2の駆動ステージが、前記スイッチセットに第2の駆動信号寄与を提供するように構成され、前記第2の駆動信号寄与が前記第1の駆動信号寄与よりも大きい、スイッチングコンバータデバイス。
【請求項9】
請求項8に記載のスイッチングコンバータデバイスであって、
前記第1の駆動モードが前記第1の駆動ステージのみをイネーブルし、
前記コントローラが、前記第2の駆動ステージのみをイネーブルする第3の駆動モードをサポートするように構成される、
スイッチングコンバータデバイス。
【請求項10】
請求項7に記載のスイッチングコンバータデバイスであって、
前記コントローラが、供給電圧検出器回路を含み、前記スイッチングコンバータに対する供給電圧が閾値よりも高いことを前記供給電圧検出器回路が検出することに応答して、前記第1の駆動モードをイネーブルするように構成される、
スイッチングコンバータデバイス。
【請求項11】
請求項7に記載のスイッチングコンバータデバイスであって、
前記コントローラが、供給電圧検出器回路を含み、前記スイッチングコンバータに対する供給電圧が前記閾値よりも低いことを前記供給電圧検出器回路が検出することに応答して、前記第2の駆動モードをイネーブルするように構成される、
スイッチングコンバータデバイス。
【請求項12】
請求項7に記載のスイッチングコンバータデバイスであって、前記コントローラが、供給電圧検出器回路とレベルシフタとを含み、前記レベルシフタが、前記供給電圧検出器回路と前記第2の駆動ステージとの間に結合される、スイッチングコンバータデバイス。
【請求項13】
スイッチングコンバータ回路であって、
第1の駆動ステージと、
第2の駆動ステージと、
前記第1の駆動ステージ及び前記第2の駆動ステージに結合される信号経路と、
を含み、
前記信号経路が、第1の駆動モード及び第2の駆動モードを選択的にトリガするように構成され、前記第1の駆動ステージ又は前記第2の駆動ステージのいずれかが、前記第1の駆動モードで駆動信号を提供するために選択され、前記第1の駆動ステージ及び前記第2の駆動ステージの両方が、前記第2の駆動モードで駆動信号を提供するために選択される、
スイッチングコンバータ回路。
【請求項14】
請求項13に記載のスイッチングコンバータ回路であって、前記駆動信号を受信するように構成されるトランジスタを更に含み、
前記トランジスタが、制御端子、第1の電流端子、及び第2の電流端子を含み、前記制御端子が前記第1及び第2の駆動ステージに結合され、前記第1の電流端子が供給電圧ノードに結合され、前記第2の電流端子が出力インダクタノードに結合される、
スイッチングコンバータ回路。
【請求項15】
請求項14に記載のスイッチングコンバータ回路であって、
前記トランジスタが第1のトランジスタであり、
前記第1の駆動ステージが第2のトランジスタ及び第3のトランジスタを含み、
前記第2及び第3のトランジスタの各々が、それぞれの端子と、第1の電流端子と、第2の電流端子とを有し、前記第2及び第3のトランジスタの前記制御端子が駆動制御ノードに結合され、前記第2のトランジスタの前記第2の電流端子が前記第3のトランジスタの前記第1の電流端子に結合され、前記第1のトランジスタの前記制御端子が、前記第2のトランジスタの前記第2の電流端子と前記第3のトランジスタの前記第1の電流端子との間のノードに結合される、
スイッチングコンバータ回路。
【請求項16】
請求項15に記載のスイッチングコンバータ回路であって、
前記第2の駆動ステージが第4のトランジスタ及び第5のトランジスタを含み、
前記第4及び第5のトランジスタの各々が、それぞれの端子と、第1の電流端子と、第2の電流端子とを有し、前記第4及び第5のトランジスタの前記制御端子が駆動制御ノードに結合され、前記第4のトランジスタの前記第2の電流端子が前記第5のトランジスタの前記第1の電流端子に結合され、前記第1のトランジスタの前記制御端子が、前記第4のトランジスタの前記第2の電流端子と前記第5のトランジスタの前記第1の電流端子との間のノードに結合される、
スイッチングコンバータ回路。
【請求項17】
請求項16に記載のスイッチングコンバータ回路であって、前記第3のトランジスタの前記第2の電流端子及び前記第5のトランジスタの前記第2の電流端子が、前記出力インダクタノードに結合される、スイッチングコンバータ回路。
【請求項18】
請求項16に記載のスイッチングコンバータ回路であって、前記第2のトランジスタの前記第1の電流端子及び前記第4のトランジスタの前記第1の電流端子が、電力供給ノードに結合される、スイッチングコンバータ回路。
【請求項19】
請求項16に記載のスイッチングコンバータ回路であって、レベルシフタ及びORゲートを更に含み、前記ORゲートが、2つの入力ノードと1つの出力ノードとを含み、前記第4のトランジスタの前記制御端子が前記ORゲートの前記出力ノードに結合され、前記ORゲートの前記2つの入力ノードのうちの第1の入力ノードが前記レベルシフタの出力ノードに結合され、前記ORゲートの前記2つの入力ノードのうちの第2の入力ノードが前記駆動制御ノードに結合される、スイッチングコンバータ回路。
【請求項20】
請求項16に記載のスイッチングコンバータ回路であって、レベルシフタ及びANDゲートを更に含み、前記ANDゲートが2つの入力ノード及び1つの出力ノードを含み、前記第5のトランジスタの前記制御端子が前記ANDゲートの前記出力ノードに結合され、前記ANDゲートの前記2つの入力ノードのうちの第1の入力ノードが、インバータを介して前記レベルシフタの出力ノードに結合され、前記ANDゲートの前記2つの入力ノードのうちの第2の入力ノードが前記駆動制御ノードに結合される、スイッチングコンバータ回路。
【請求項21】
請求項14に記載のスイッチングコンバータ回路であって、前記スイッチングコンバータ回路に対する供給電圧が閾値よりも高いことを前記供給電圧検出器回路が検出することに応答して、前記トランジスタの前記制御端子に駆動信号を提供するために、前記第1の駆動ステージのみが用いられる、スイッチングコンバータ回路。
【請求項22】
請求項21に記載のスイッチングコンバータ回路であって、前記スイッチングコンバータ回路に対する供給電圧が前記閾値よりも低いことを前記供給電圧検出器回路が検出することに応答して、前記トランジスタの前記制御端子に駆動信号を提供するために、前記第1の駆動ステージ及び前記第2の駆動ステージの両方が用いられる、スイッチングコンバータ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電源及びパワーコンバータは、様々な電子システムにおいて用いられる。電力は一般に、交流(AC)信号として長距離にわたって送られる。AC信号は、各ビジネス又はホームロケーションにとって望ましいように分割及び測定され、しばしば個別の電子デバイス又は構成要素と共に用いるために直流(DC)に変換される。最近の電子システムはしばしば、異なるDC電圧を用いて動作するように設計されたデバイス又は構成要素を使用する。したがって、こうしたシステムには、様々なDC-DCコンバータ、又は、広範な出力電圧をサポートするDC-DCコンバータが必要である。
【0002】
多くの異なるDC-DCコンバータトポロジが存在する。利用可能なトポロジは、用いられる構成要素、扱われる電力の量、入力電圧、出力電圧、効率、信頼度、サイズ、及び/又は他の特徴に関して、異なる。DC-DCコンバータトポロジの一例は降圧コンバータである。降圧コンバータのスイッチングスルーレートは、効率及び入力供給電圧リンギングに影響を与える。例えば、スイッチングスルーレートが速いほどより効率的であるが、結果としてより多くの入力供給電圧リンギングを生じさせる。いくつかのシナリオにおいて、入力供給電圧リンギングは結果として、降圧コンバータの少なくとも1つのスイッチについて降伏電圧を超える入力供給電圧を生じさせる可能性がある。スイッチングコンバータを改善するための努力が進められている。
【発明の概要】
【0003】
本開示の少なくとも1つの例によれば、或るシステムが、出力インダクタを備えるスイッチングコンバータを含む。スイッチングコンバータは、出力インダクタに結合されるスイッチノードを備えるスイッチセットも含む。スイッチングコンバータは、スイッチセットに結合される第1の駆動ステージも含む。スイッチングコンバータは、スイッチセットに結合される第2の駆動ステージも含む。スイッチングコンバータは、第1の駆動ステージ及び第2の駆動ステージに結合されるコントローラも含む。コントローラは、供給電圧検出器回路を含む。コントローラは、供給電圧検出器回路の出力に結合されるレベルシフタも含む。コントローラは、レベルシフタと第2の駆動ステージとの間に結合される選択回路も含む。
【0004】
本開示の少なくとも1つの例によれば、スイッチングコンバータデバイスが、出力インダクタノードに結合されるスイッチノードを備えるスイッチセットを含む。スイッチングコンバータデバイスは、スイッチセットに結合される第1の駆動ステージも含む。スイッチングコンバータデバイスは、スイッチセットに結合される第2の駆動ステージも含む。スイッチングコンバータデバイスは、第1の駆動ステージ及び第2の駆動ステージに結合されるコントローラも含む。コントローラは、第1の駆動モードと第2の駆動モードの間で選択するように構成される。第1の駆動モードは、第1の駆動ステージ又は第2の駆動ステージのいずれかが、スイッチセットに駆動信号を提供できるようにする。第2の駆動モードは、第1の駆動ステージ及び第2の駆動ステージの両方が、スイッチセットに駆動信号を提供できるようにする。
【0005】
本開示の少なくとも1つの例によれば、スイッチングコンバータ回路が第1の駆動ステージ及び第2の駆動ステージを含む。スイッチングコンバータ回路は、第1の駆動ステージ及び第2の駆動ステージに結合される信号経路も含む。信号経路は、第1の駆動モード及び第2の駆動モードを選択的にトリガするように構成される。第1の駆動ステージ又は第2の駆動ステージのいずれかが、第1の駆動モードで駆動信号を提供するために選択される。第1の駆動ステージ及び第2の駆動ステージの両方が、第2の駆動モードで駆動信号を提供するために選択される。
【0006】
次に、様々な例の詳細な説明のために添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】いくつかの例に従ったシステムを示すブロック図である。
【0008】
【
図2】いくつかの例に従った、スイッチングコンバータ及び関連モードについての入力供給電圧を示す図表である。
【0009】
【
図3A】いくつかの例に従った、スイッチングノード電圧波形を示すタイミング図である。
【
図3B】いくつかの例に従った、スイッチングノード電圧波形を示すタイミング図である。
【0010】
【
図4】いくつかの例に従ったシステムを示す概略図である。
【0011】
【
図5A】いくつかの例に従った、入力供給電圧波形及びスイッチングノード電圧波形を示すタイミング図である。
【0012】
【
図5B】いくつかの例に従った、
図5Aに示される様々な波形に対応する駆動ステージ制御信号を示すタイミング図である。
【0013】
【
図6A】いくつかの例に従った、最大差動電圧値を入力供給電圧の関数として示す図表である。
【
図6B】いくつかの例に従った、最大差動電圧値を入力供給電圧の関数として示す図表である。
【0014】
【
図6C】いくつかの例に従った、効率を負荷の関数として示す図表である。
【0015】
【
図7】いくつかの例に従った、スイッチングコンバータ制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書において、複数の駆動ステージ及び駆動モードを備えるスイッチングコンバータトポロジが開示される。駆動ステージはスイッチングコンバータのスイッチセットに結合され、スイッチセットは、少なくとも1つのスイッチとスイッチノードとを含む。開示されたスイッチングコンバータトポロジを用いて、スイッチングコンバータは、入力供給電圧に基づいてその動作を調整する。例えば、入力供給電圧が閾値レベルよりも低い場合、2つの駆動ステージのうちの2つを用いて、スイッチングコンバータのスイッチセットに(例えば、ハイサイドスイッチ又はローサイドスイッチを駆動させるための)駆動信号を提供する。スイッチセットに駆動信号を提供するために2つの駆動ステージのうちの2つが用いられるとき、スイッチングスルーレートは増加し、これがスイッチングコンバータの効率を増加させ、入力供給電圧のリンギングを増加させる。入力供給電圧は閾値レベルよりも低いため、こうしたリンギングは最大電圧ターゲット(例えば、スイッチングコンバータの少なくとも1つのトランジスタの降伏電圧)を超えることはない。他方で、入力供給電圧が閾値レベルよりも高いか又は等しい場合、2つの駆動ステージのうちの1つのみを用いて、スイッチングコンバータのスイッチセットに(例えば、ハイサイドスイッチ又はローサイドスイッチを駆動させるため)駆動信号を提供する。スイッチセットに駆動信号を提供するために2つの駆動ステージのうちの1つのみが用いられるとき、スイッチングスルーレートは減少し、これがスイッチングコンバータの効率を減少させ、入力供給電圧のリンギングを減少させる。入力供給電圧は閾値レベルよりも高いか又は等しいため、こうしたリンギングは、最大電圧ターゲット(例えば、スイッチングコンバータの少なくとも1つのトランジスタの降伏電圧)を超えることを避けるために最小化されるべきである。
【0017】
いくつかの例において、スイッチングコンバータが、複数のモードをサポートするコントローラを含み、モードは入力供給電圧検出器の出力に基づいて選択される。例えば、入力供給電圧検出器の出力が、スイッチングコンバータのための入力供給電圧が閾値レベルよりも高いか又は等しいことを示す場合、コントローラは、スイッチセットに駆動信号を提供するために、第1の駆動ステージ及び第2の駆動ステージのうちの1つのみを使用する第1の駆動モードを選択するように構成される。他方で、入力供給電圧検出器の出力が、スイッチングコンバータのための入力供給電圧が閾値レベルよりも低いことを示す場合、コントローラは、スイッチセットに駆動信号を提供するために、第1の駆動ステージ及び第2の駆動ステージの両方を使用する第2の駆動モードを選択するように構成される。いくつかの例において、コントローラは、供給電圧検出器回路及びレベルシフタを含み、レベルシフタは、供給電圧検出器回路と第2の駆動ステージとの間に結合される。
【0018】
いくつかの例において、第1の駆動ステージは、スイッチセットに第1の駆動信号寄与(contribution)を提供するように構成され、第2の駆動ステージは、スイッチセットに第2の駆動信号寄与を提供するように構成され、第2の駆動信号寄与は第1の駆動信号寄与よりも大きい。必要に応じて、コントローラは、追加のモード(例えば、第1の駆動ステージのみが用いられる、第2の駆動ステージのみが用いられる、第1及び第2の両方の駆動ステージが用いられる)をサポートし得る。いくつかの例においては、2つより多くの駆動ステージが可能である。本明細書で説明するスイッチングコンバータトポロジを用いる場合、スイッチングコンバータの効率及びリンギング管理は、入力供給電圧検出器及び関連する閾値に基づいて行なわれる。より良く理解するために、様々なスイッチングコンバータオプション及び電流モニタ回路オプションを、下記のように図面を用いて説明する。
【0019】
図1は、いくつかの例に従ったシステム100を示すブロック図である。システム100は、集積回路(IC)、マルチダイモジュール(MDM)、個別構成要素、又はそれらの組み合わせを表す。いくつかの例において、IC、MDM、及び/又はディスクリート構成要素が、印刷回路基板(PCB)を用いて互いに結合される。図に示されるように、システム100は、スイッチセット112に結合される複数の駆動ステージ108A~108Nを備えるスイッチングコンバータデバイス102を含む。スイッチセット112は、一つ又は複数のスイッチとスイッチノードとを含む。一例において、駆動ステージ108A~108Nはスイッチセット112のハイサイドスイッチに結合され、駆動ステージ108A~108Nの各々は、それぞれの駆動信号寄与をハイサイドスイッチに提供するように構成される。別の例において、駆動ステージ108A~108Nはスイッチセット112のローサイドスイッチに結合され、駆動ステージ108A~108Nの各々は、それぞれの駆動信号寄与をハイサイドスイッチに提供するように構成される。いくつかの例において、各駆動信号寄与は互いに等しい(例えば、2つの駆動信号の場合は50%寄与、4つの駆動信号の場合は25%寄与、など)。他の例において、各駆動信号寄与は互いに異なる(例えば、2つの駆動信号の場合は60%及び40%寄与、など)。いくつかの例において、駆動ステージ108A~108Nのうちのいくつかが、スイッチセット112のハイサイドスイッチに結合される一方で、駆動ステージ108A~108Nのうちのその他が、スイッチセットのローサイドスイッチに結合される。
【0020】
図1の例において、駆動ステージ108A~108Nはコントローラ103に結合される。コントローラ103は、スイッチングコンバータ102に対する入力供給電圧に基づいて、駆動ステージ108A~108Nに指示する。図示されるように、コントローラ103は、入力供給電圧レベルを検出するように構成された入力供給電圧検出器104を含む。いくつかの例において、入力供給電圧検出器104は、一つ又は複数のコンパレータ及び閾値を用いて、入力供給電圧検出を行なう。他の例において、入力供給電圧検出器104は、入力供給電圧を測定するように構成される。用いられる特定の入力供給電圧検出機構に関係なく、入力供給電圧検出器104は、入力供給電圧レベルを示す検出信号(DS)を提供するように構成される。
【0021】
いくつかの例において、コントローラ103は、入力供給電圧検出器104から検出信号を受信するように構成されたレベルシフタ106も含む。レベルシフタ106は、コントローラ103が、駆動ステージ108A~108Nのうちの少なくとも1つをイネーブル又はディセーブルすることができるように、検出信号を別の電圧領域へと調整する。
図1の例において、コントローラ103は、複数のモードのうちの1つを選択するように構成された選択論理107も含む。いくつかの例において、モードは、入力供給電圧検出器104から出力される検出信号に基づいて選択される。例えば、検出信号が、スイッチングコンバータ102に対する入力供給電圧が閾値レベルよりも大きいか又は等しいことを示す場合、コントローラ103は、スイッチセット112に駆動信号を提供するために駆動ステージ108A~108Nのうちの1つのみ(又は、サブセットのみ)を用いる第1の駆動モードを選択するように構成される。他方で、入力供給電圧検出器104からの検出信号が、スイッチングコンバータ102に対する入力供給電圧が閾値レベルよりも低いことを示す場合、コントローラ103は、(第1の駆動モードに比べて)より多くの(又はすべての)駆動ステージ108A~108Nを用いてスイッチセットに駆動信号を提供する、第2の駆動モードを選択するように構成される。
【0022】
一例において、2つの駆動ステージが存在する。入力供給電圧が閾値レベルよりも高いか又は等しい場合、入力供給電圧検出器104から出力される検出信号は低い。これに応答して、レベルシフタ106は用いられず、コントローラ103は、2つの駆動ステージのうちの第1の駆動ステージに、スイッチセット112に駆動信号を提供するよう指示する。入力供給電圧が閾値レベルよりも低いとき、入力供給電圧検出器104から出力される検出信号はより高い。これに応答して、レベルシフタ106は検出信号の電圧領域を変更し、結果としてコントローラ103は、2つの駆動ステージの両方に、スイッチセット112に駆動信号を提供するように指示する。
【0023】
降圧コンバータの例において、スイッチセット112は、入力供給電圧ノードと接地ノードとの間に直列に結合される、ハイサイドスイッチ及びローサイドスイッチを含む。この例において、ハイサイドスイッチとローサイドスイッチとの間のノードが、出力インダクタ(例えば、システム100に対する出力構成要素114のうちの1つ)に結合されるスイッチノード又は出力インダクタノードに対応する。この例において、出力構成要素114は出力キャパシタも含み、出力キャパシタによって蓄えられた電荷は負荷116に提供される。いくつかの例において、コントローラ103は、異なるモードを用いて、入力供給電圧レベルに基づいてハイサイドスイッチに駆動信号を提供するよう、駆動ステージ108A~108Nに指示する。他の例において、コントローラ103は、異なるモードを用いて、入力供給電圧レベルに基づいてローサイドスイッチに駆動信号を提供するよう、駆動ステージ108A~108Nに指示する。いくつかの例において、駆動ステージの第1のセットが、入力供給電圧レベルに基づいてハイサイドスイッチに駆動信号を提供するために用いられ、駆動ステージの第2のセットが、入力供給電圧レベルに基づいてローサイドスイッチに駆動信号を提供するために用いられる。
【0024】
図2は、いくつかの例に従った、スイッチングコンバータ(例えば、
図1におけるスイッチングコンバータ102)及び関連モードについての入力供給電圧を示す図表200である。図に示されるように、図表200は、示された電圧範囲の異なる部分に異なるモードが割り当てられた、およそ11Vから21Vまでの電圧範囲を表す。より具体的には、異なるモードは効率最大化モード202、中間モード204、及びリング最小化モード206を含む。
図2の例において、効率最大化モード202は11V~15Vに対応し、中間ノード204は15V~17Vに対応し、リング最小化モード206は17V~21Vに対応する。また、カスタマー入力供給電圧208(例えば、12V)、最大推奨入力供給電圧(例えば、17V)210、絶対最大入力供給電圧(例えば、19V)212、及び設計ターゲット入力供給電圧(例えば、21V)214についての例示の値が示されている。他の例において、効率最大化モード202、中間モード204、及びリング最小化モード206に割り当てられた電圧は、
図2の例とは異なり得る。また、顧客入力供給電圧208、最大推奨入力供給電圧210、絶対最大入力供給電圧212、及び設計ターゲット入力供給電圧214も異なり得る。
【0025】
図3A及び
図3Bは、いくつかの例に従ったスイッチングノード電圧波形を示すタイミング図である。
図3Aのタイミング図において、スイッチノード電圧波形302が示されている。図に示されるように、スイッチノード電圧波形302は立下りエッジシナリオを示し、スイッチノード電圧は高レベル304から低レベル310へと降下する。
図3Aの例において、立下りエッジのスルーレートは、ポイント306から308の間の電圧変化/時間変化(dv/dt)として測定される。スイッチノード電圧波形302は、スイッチノード電圧が、最小値314と低レベル310との間にオフセット312を伴い、最小値314に達することも示す。
図3Aの例において、スイッチノード電圧当たりのスルーレートは、およそ3V/nsである。こうしたスルーレートはリンギング問題を減少させるが、結果として非効率なスイッチング動作(より速いスルーレートに比べてより多くのスイッチング損失)を生じさせる。
【0026】
図3Bのタイミング図において、別のスイッチノード電圧波形322が示されている。図示されるように、スイッチノード電圧波形322は立下りエッジシナリオを示し、スイッチノード電圧は高レベル325から低レベル330へと降下する。
図3Bの例において、立下りエッジのスルーレートは、ポイント324から326の間の電圧変化/時間変化(dv/dt)として測定される。スイッチノード電圧波形320は、スイッチノード電圧が、最小値332と低レベル330との間にオフセット328を伴い、最小値332に達することも示す。
図3Bの例において、スイッチノード電圧当たりのスルーレートは、およそ10V/nsである。こうしたスルーレートは(スイッチノード電圧波形302のスルーレートに比べて)より効率的であるが、リンギング問題を増加させる。言い換えれば、
図3Bに示されるオフセット328は、
図3Aに示されるオフセット312よりも大きい。スイッチングコンバータ(例えば、
図1におけるスイッチングコンバータ102)に用いられる構成要素の降伏電圧に関連した入力供給電圧レベルに依存して、異なるオフセットが許容される(入力供給電圧にオフセットを加えたものは、スイッチングコンバータ構成要素の降伏電圧を超えてはならない)。
【0027】
図4は、いくつかの例に従ったシステム400を示す概略図である。図示されるように、システム400は、スイッチセット436(
図1におけるスイッチセット112の一例)、駆動ステージ415及び421(
図1における駆動ステージ108A~108Nの例)、選択論理411(
図1における選択論理107の一例)、レベルシフタ410(
図1におけるレベルシフタ106の一例)、及び入力供給電圧検出器402(
図1における入力供給電圧検出器104の一例)を備える、スイッチングコンバータ401(
図1におけるスイッチングコンバータ102の一例)を含む。
【0028】
図示されるように、スイッチセット436はハイサイドスイッチ(M2)及びローサイドスイッチ(M3)を含む。M2とM3の間にスイッチノード430がある。
図4の例において、M2は、第1の駆動ステージ415及び第2の駆動ステージ421に結合される制御端子を含む。M2の第1の電流端子は、第1のインダクタ(L1)を介して入力供給ノード428に結合され、M2の第2の電流端子及びM3の第1の電流端子は、スイッチノード430に結合される。また、M3の制御端子は、バッファ432を介してローサイド駆動信号(XDRVL)ノード434に結合される。M3の第2の電流端子は、第2のインダクタ(L2)を介して接地ノード436に結合される。
図4の例において、L1及びL2は、ドライバ設計にとっての考慮事項である(例えば、印刷回路基板又は「PCB」からの)寄生インダクタンスを表す。
【0029】
図示されるように、スイッチノード430は出力インダクタ(LOUT)の第1の端部にも結合される。LOUTの第2の端部は出力ノード438に結合される。図示されるように、出力ノード438は、出力キャパシタ(COUT)の第1の端子にも結合される。COUTの第2の端子は接地ノード436に結合される。
図4の例において、負荷440が出力ノード438と接地ノード436との間に結合され、負荷440は、出力ノード438において出力電圧(VOUT)によって電力供給される。
図1及び
図4を比較すると、
図4のLOUT及びCOUTは出力構成要素114の例であり、
図4の負荷440は
図1の負荷116の一例である。
【0030】
動作において、第1の駆動ステージ415は、ノード417からのハイサイド駆動信号(XDRVH)に応答して、M2(ハイサイドスイッチ)の制御端子に第1の駆動信号419を提供するように構成される。より具体的には、第1の駆動ステージ415は2つのトランジスタMP1及びMN1を含み、2つのトランジスタは、それぞれのバッファ416及び418を介してノード417に結合されるそれらの制御端子を有する。また、MP1の第1の電流端子は、入力供給(BST)ノード414に結合される。いくつかの例において、BSTは、スイッチングノード430よりも約5V高い電源である。いくつかの例において、BSTのための電圧レベルは、BSTノード414とスイッチノード430との間にキャパシタ(C1)を置くことによって得られる。より具体的には、C1の第1の(例えば、頂部)プレートがBSTノード414に結合され、C1の第2の(例えば、底部)プレートがスイッチノード430に結合される。
【0031】
MP1の第2の電流端子はMN1の第1の電流端子に結合され、MN1の第2の電流端子はスイッチノード430に結合される。VOUTが閾値又は別のトリガより下に降下することに応答して、XDRVHはハイからローへ遷移し、これによって、M2をオンにする(VOUTを増加させる)ために、MP1及びMN1に第1の駆動信号419を提供させる。VOUTが閾値又は別のトリガに達すると、XDRVHはローからハイへ遷移し、これによってMP1及びMN1に第1の駆動信号419の提供を停止させ、結果としてM2がオフにされる。いくつかの例において、第1の駆動ステージ415は複数の駆動モードで用いられる。
【0032】
動作において、第2の駆動ステージ421は、入力供給電圧が閾値よりも低いという入力供給電圧検出器402からの指示に応答して、M2(ハイサイドスイッチ)の制御端子に第2の駆動信号427を提供するように構成される。より具体的には、入力供給電圧検出器402は、入力電圧供給(PVIN)ノード404と接地(PGND)ノード408との間にR1及びR2を直列に備える分圧器を含む。R1とR2との間のノード405における値は、コンパレータ406の入力ノードのうちの1つに提供される。コンパレータ406の他方の入力ノードは基準電圧(VBG)を受け取る。いくつかの例において、PVIN=N×VGB及びR1=(N-1)×R2である。ノード405における電圧がVBGより高いか又はVBGに等しいとき、コンパレータ406の出力は低であり(VINが高であるとき、コンパレータ406の出力は高である)、結果として、XDRVHが低であるとき、第2の駆動ステージ421は用いられない(例えば、入力供給電圧が閾値より高いとき、第1の駆動ステージ415のみが用いられる)。他方で、ノード405における電圧がVBGより低いとき、コンパレータ406の出力は低く、結果として、XDRVHが低であるとき、第2の駆動ステージ421が用いられる(XDRVHが高であるとき、結果としてM2はオフにされ、XDRVHが低であるとき、結果としてM2はオンになる)(例えば、入力供給電圧が閾値よりも低いとき、第1の駆動ステージ415及び第2の駆動ステージ421の両方が用いられる)。
【0033】
図示されるように、コンパレータ406の出力は、BSTノード414と接地ノード408との間にR3、M1、及びR4を含むレベルシフタ410に制御信号を提供する。また、M1の制御端子はコンパレータ406の出力に結合され、M1の第1の電流端子はR3に結合され、M1の第2の電流端子はR4に結合される。より具体的には、R3の第1の端部がBSTノード414に結合され、R3の第2の端部がM1の第1の電流端子に結合される。一方で、R4の第1の端部はM1の第2の電流端子に結合され、R4の第2の端部は接地ノード408に結合される。
図4の例において、構成要素412(例えば、シュミットコンパレータ)が、R3の第2の端部における電圧レベルを別の電圧レベルに調整する。
【0034】
図示されるように、構成要素412の出力は選択論理411に提供される。
図4の例において、選択論理411はORゲート420、インバータ422、及びANDゲート424を含む。より具体的には、構成要素412の出力はORゲート420の入力ノードに提供され、ORゲートの出力ノードはMP2の制御端子に結合される。ORゲート420の他の入力ノードは、ハイサイド駆動信号ノード417に結合される。構成要素412の出力は、インバータ422への入力でもある。インバータ422の出力は、ANDゲート424の入力ノードに結合される。ANDゲート424の他方の入力ノードは、ハイサイド駆動信号ノード417に結合される。ANDゲート424の出力ノードは、MN2の制御端子に結合される。第1の駆動モードでは、第1の駆動ステージ415のみが用いられる。いくつかの例において、第1の駆動モードにおけるMP1及びMN1の制御は、XDRVHの関数である。より具体的には、第1の駆動モードにおいてXDRVHが低であるとき、MN1はオフになり、MP1はオンになり、M2はオンになる。これに対して、第1の駆動モードにおいてXDRVHが高であるとき、MN1はオンになり、MP1はオフになり、M2はオフになる。第2の駆動モードでは、第1の駆動ステージ415及び第2の駆動ステージ421の両方が用いられる。いくつかの例において、第2の駆動モードにおけるMP1、MN1、MP2、及びMN2の制御は、XDRVHの関数である。より具体的には、第2の駆動モードにおいてXDRVHが低であるとき、MP1及びM2はオンにされる。構成要素412の出力が低である(VINが閾値よりも低いことを示す)場合、MP2もオンになる(M2をより速くオンさせる)。他方で、構成要素412の出力が高である(VINが閾値よりも高いことを示す)場合、MP2はオンにされない。また、第2の駆動モードにおいてXDRVHが高であるとき、MN1はオンにされ、M2はオフにされる。構成要素412の出力が低である(VINが閾値よりも低いことを示す)場合、MN2もオンになる(M2をより速くオフさせる)。これに対して、構成要素412の出力が高である(VINが閾値よりも高いことを示す)場合、MN2はオンしない。
【0035】
図4の例において、スイッチングコンバータ401の動作は入力供給電圧に基づいて調整される。入力供給電圧が閾値レベルよりも低い(入力供給電圧検出器402によって検出される)場合、第1及び第2の駆動ステージ415及び421の両方が、駆動信号をM2に提供するために用いられる。第1及び第2の駆動ステージ415及び421の両方が、駆動信号をM2に提供するために用いられるとき、スイッチングスルーレートは増加し、これによって、スイッチングコンバータ401の効率は向上し、入力供給電圧リンギングは増加する。入力供給電圧は閾値レベルよりも低いため、こうしたリンギングは最大電圧ターゲット(例えば、スイッチングコンバータ401の少なくとも1つのトランジスタの降伏電圧)を超えない。他方で、入力供給電圧が閾値レベルよりも高いか又は閾値レベルに等しい場合、駆動信号をM2に提供するために第1の駆動ステージ415のみが用いられる。駆動信号をM2に提供するために第1の駆動ステージ415のみが用いられるとき、スイッチングスルーレートは減少し、これによって、スイッチングコンバータ401の効率は低下し、入力供給電圧リンギングも減少する。入力供給電圧は閾値レベルよりも高いか又は閾値レベルに等しいため、こうしたリンギングは最大電圧ターゲット(例えば、スイッチングコンバータ401の少なくとも1つのトランジスタの降伏電圧)を超えるのを避けるために最小化されるべきである。
【0036】
いくつかの例において、
図4の入力供給電圧検出器402、レベルシフタ410、及び選択論理411は、第1の駆動ステージ415及び第2の駆動ステージ421に結合される信号経路の一例であり、信号経路は、第1の駆動モード及び第2の駆動モードを選択的にトリガするように構成される。第1の駆動モードにおいて、駆動信号を(例えば、
図4におけるM2に)提供するために、第1の駆動ステージ又は第2の駆動ステージのいずれかが選択される。第2の駆動モードにおいて、駆動信号を(例えば、M2に)提供するために、第1の駆動ステージ及び第2の駆動ステージの両方が選択される。
【0037】
図5Aは、いくつかの例に従った、入力供給電圧波形及びスイッチングノード電圧波形を示すタイミング
図500である。タイミング
図500において、様々な入力供給電圧波形502、506、及び510が示されている。入力供給電圧波形502は、およそ21Vの基底値と、リンギングに起因した時間504におけるおよそ25Vの最大値とを有する。入力供給電圧波形506は、およそ17Vの基底値と、リンギングに起因した時間508におけるおよそ24Vの最大値とを有する。入力供給電圧波形510は、およそ17Vの基底値と、リンギングに起因した時間512におけるおよそ21Vの最大値とを有する。
【0038】
タイミング
図500には、様々なスイッチノード電圧波形514、518、522も示されている。スイッチノード電圧波形514は、入力供給電圧波形502に対応する。図示されるように、スイッチノード電圧波形514に対するスイッチノード電圧は、およそ21Vで開始した後、およそ0Vまで低下し、21Vから0Vへの遷移は、大部分が、入力供給電圧波形502におけるリンギングに対応する立下りエッジ間隔516の間に生じる。スイッチノード電圧波形518は、入力供給電圧波形510に対応する。図示されるように、スイッチノード電圧波形518に対するスイッチノード電圧は、およそ17Vで開始した後、およそ0Vまで低下し、17Vから0Vへの遷移は、大部分が、入力供給電圧波形510におけるリンギングに対応する立下りエッジ間隔520の間に生じる。
【0039】
スイッチノード電圧波形522は、入力供給電圧波形506に対応する。図示されるように、スイッチノード電圧波形522に対するスイッチノード電圧は、およそ17Vで開始した後、およそ0Vまで低下し、17Vから0Vへの遷移は、大部分が、入力供給電圧波形506におけるリンギングに対応する立下りエッジ間隔524の間に生じる。図に示されるように、立下りエッジ間隔524は立下りエッジ間隔516及び520より小さく、これは、スイッチノード電圧波形522に対するスルーレート及び関連する効率が、スイッチノード電圧波形514及び518のそれぞれのスルーレートよりも高いことを示す。タイミング
図500において、入力供給電圧波形506及びスイッチノード電圧波形522は、入力供給電圧が閾値レベルよりも低いように決定されるシナリオを表す。これに応答して、本明細書で説明するようなリンギングに使用可能な電圧バジェットが存在するとき、効率を増加させるために、複数の駆動ステージを用いてスイッチングコンバータスイッチが駆動される。
【0040】
図5Bは、いくつかの例に従った、
図5Aに示される様々な波形に対応する駆動ステージ制御信号を示すタイミング
図540である。図示されるように、タイミング
図540は、MP1及びMN1のオン/オフ状態に対応する波形のセット542を含み、波形のセット542は結果として、
図5Aに示される立下りエッジ間隔516を生じさせる。タイミング
図540は、MP1及びMN1のオン/オフ状態に対応する波形のセット544も含み、波形のセット544は結果として、
図5Aに示される立下りエッジ間隔520を生じさせる。いくつかの例において、MP2及びMN2についての制御信号は、立下りエッジ間隔516及び520の間、オフ状態である。タイミング
図540は、MP1、MP2、MN1、及びMN2についてのオン/オフ状態に対応する波形のセット546も含み、波形のセット546は結果として、
図5Aに示される立下りエッジ間隔524を生じさせる。
【0041】
図6A及び
図6Bは、いくつかの例に従った、最大差動電圧値を入力供給電圧の関数として示す図表600及び610である。
図6Aの図表600において、線604は以前の駆動ストラテジに対応し、PVIN-PGNDはVINが増加するにつれて線形に増加する。本明細書で用いられる場合、PVIN及びPGNDは、このノード上でのリンギングを含む(PVIN-PGND=VIN(dc)+VIN(リンギング)+GND(リンギング))。一方、図表600における線602は新しい駆動ストラテジに対応し、線602についてのPVIN-PGNDは、線604についてのPVIN-PGNDよりも高い。図示されるように、線602は、VINが所定の閾値VIN(例えば、
図6Aの例では17V)まで増加するにつれて線形に増加する。閾値VINを超えると、線602は、線602についてのPVIN-PGNDが18V又はそれ以上のVIN値において線604についてのPVIN-PGNDと一致するように、下方に下がる。
図6Aの例において、線602は2倍値に対応し、これは第2のステージドライバの強度が第1のステージドライバの強度に等しいことを示す。いくつかの例において、等しい強度は同じチャネル幅を有することを指し、両方のステージドライバがオンであるとき、チャネル幅は2倍である。したがって、VINが閾値よりも下のとき、第1及び第2のステージドライバ両方がオンになり、結果として線602は線604に関して2倍値になる。
【0042】
図6Bの図表610において、線614は以前の駆動ストラテジに対応し、PVIN-PGNDはVINが増加するにつれて線形に増加する。一方、図表610における線612は新しい駆動ストラテジに対応し、線614についてのPVIN-PGNDは、線614についてのPVIN-PGNDよりも高い。図示されるように、線612は、VINが所定の閾値VIN(例えば、
図6Bの例では17V)まで増加するにつれて線形に増加する。閾値VINを超えると、線612は、線612についてのPVIN-PGNDが18V又はそれ以上のVIN値において線614についてのPVIN-PGNDと一致するように、下方に下がる。
図6Bの例において、線612は4倍値に対応し、これは第2のステージドライバの強度が第1のステージドライバの強度の3倍であることを示す。したがって、VINが閾値よりも下のとき、第1及び第2のステージドライバ両方がオンになり、結果として線612は線614に関して4倍値になる。
【0043】
図6Cは、いくつかの例に従った、効率を負荷の関数として示す図表620である。図表620において、線624は既存の駆動ストラテジに対応し、効率は、およそ90%に達した後、負荷の関数としておよそ84%まで降下する。一方、線622は新しい駆動ストラテジに対応し、この場合、効率はおよそ92%に達した後、負荷の関数としておよそ85%まで降下する。図表620の場合、推定される値は、VIN=12V、VOUT=1V、及びL=1μHを含む。
【0044】
図7は、いくつかの例に従った、スイッチングコンバータ制御方法700を示すフローチャートである。図示されるように、方法700は、ブロック702においてVINを監視することを含む。VINが閾値レベルよりも大きいか又は等しい(決定ブロック704)場合、ブロック706において、駆動信号を提供するために2つの駆動ステージのうちの1つ(例えば、
図4における第1の駆動ステージ415)が用いられる。他方で、VINが閾値レベルよりも大きくないか又は等しくない(決定ブロック704)場合、ブロック708において、駆動信号を提供するために2つの駆動ステージのうちの2つ(例えば、
図4における第1及び第2の駆動ステージ415及び421)が用いられる。いくつかの例において、方法700は、スイッチングコンバータ(
図4の例におけるスイッチコンバータ401など)のハイサイドスイッチを制御するために用いられる。他の例において、方法700は、スイッチングコンバータのローサイドスイッチを制御するために用いられる。
【0045】
いくつかの例において、開示されるスイッチングコンバータ(例えば、
図1のスイッチングコンバータ102又は
図4のスイッチングコンバータ401)の一つ又は複数が、ラップトップ又はタブレットなどのバッテリ式デバイスにおいて用いられる。一例として、バッテリ駆動デバイスにおいてスイッチングコンバータが用いられ得、スイッチングコンバータに対するVINは、バッテリ又はAC/DCアダプタによって提供される。スイッチングコンバータは、バッテリ駆動デバイスの電子構成要素に電力供給する際に使用するために、VINをVOUTまで低下させる(例えば、6V又はそれ以上のVIN、及び3.3V又は5VのVOUT)。
【0046】
「結合する」という用語は、本明細書全体を通じて用いられる。この用語は、本開示の説明と一貫した機能的関係を可能にする、接続、通信、又は信号経路を包含し得る。例えば、デバイスAが或る行為を行なうためにデバイスBを制御するための信号を生成する場合、第1の例において、デバイスAはデバイスBに結合されるか、又は、第2の例において、介在構成要素CがデバイスAとデバイスBとの間の機能関係を実質的に変化させない場合、デバイスBがデバイスAによって生成される制御信号を介してデバイスAによって制御されるように、デバイスAは介在構成要素Cを介してデバイスBに結合される。
【0047】
特許請求の範囲内で、説明した実施形態におおける改変が可能であり、また、他の実施形態も可能である。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチングコンバータ
であって、
ハイサイドトランジスタと、ローサイドトランジスタと、前記
ハイサイドトランジスタと前記ローサイドトランジスタとの間に結合されるスイッチノード
とを
含むスイッチセットと、
第1のトランジスタと第2のトランジスタとを含む第1の駆動ステージであって、前記第1のトランジスタが第1の制御端子と第1の電流端子と前記スイッチセットに結合される
第2の電流端子とを有し、前記第2のトランジスタが第2の制御端子と前記スイッチセットに結合される第3の電流端子と前記第2の電流端子と前記スイッチセットとに結合される第4の電流端子とを有する、前記第1の駆動ステージと、
第3のトランジスタと第4のトランジスタとを含む第2の駆動ステージであって、前記第3のトランジスタが第3の制御端子と第5の電流端子と前記第2の電流端子と前記スイッチセット
とに結合される
第6の電流端子とを有し、前記第4のトランジスタが第4の制御端子と前記スイッチノードに結合される第7の電流端子と前記第2の電流端子と前記スイッチセットとに結合される第8の電流端子とを有する、前記第2の駆動ステージと、
前記第2の駆動ステージに結合されるコントローラ
であって、
供給電圧検出器回路と、
前記供給電圧検出器回路の出力に結合されるレベルシフタと、
前記レベルシフタと前記第2の駆動ステージとの間に結合される選択回路と、
を含む、前記コントローラと、
を含む、
スイッチングコンバータ。
【請求項2】
請求項1に記載の
スイッチングコンバータであって、
前記第1の駆動ステージが前記スイッチセットに第1の駆動信号寄与を提供するように構成され、前記第2の駆動ステージが前記スイッチセットに第2の駆動信号寄与を提供するように構成され、前記第2の駆動信号寄与が前記第1の駆動信号寄与よりも大きい、
スイッチングコンバータ。
【請求項3】
請求項2に記載の
スイッチングコンバータであって、
前記コントローラが、
前記第1の駆動ステージのみをイネーブルする第1の駆動モードと、
前記第1及び第2の駆動ステージ
の両方をイネーブルする第2の駆動モードと、
のうちの1つを選択するように構成される、
スイッチングコンバータ。
【請求項4】
請求項
3に記載の
スイッチングコンバータであって、
前記コントローラが、前記スイッチングコンバータに対する供給電圧が閾値よりも高いことを前記供給電圧検出器回路が検出することに応答して前記第1の駆動モードを選択するように
更に構成される、
スイッチングコンバータ。
【請求項5】
請求項
3に記載の
スイッチングコンバータであって、
前記コントローラが、前記スイッチングコンバータに対する供給電圧が閾値よりも低いことを前記供給電圧検出器回路が検出することに応答して前記第2の駆動モードを選択するように
更に構成される、
スイッチングコンバータ。
【請求項6】
請求項
3に記載の
スイッチングコンバータであって、
前記コントローラが、前記第2の駆動ステージのみをイネーブルする第3の駆動モードを選択するように
更に構成される、
スイッチングコンバータ。
【請求項7】
スイッチングコンバータデバイスであって、
ハイサイドトランジスタと、ローサイドトランジスタと、前記ハイサイドトランジスタと前記ローサイドトランジスタとの間に結合されるスイッチノード
とを
含むスイッチセットと、
第1のトランジスタと第2のトランジスタとを含む第1の駆動ステージであって、前記第1のトランジスタが第1の制御端子と第1の電流端子と前記スイッチセットに結合される
第2の電流端子とを有し、前記第2のトランジスタが第2の制御端子と前記スイッチノードに結合される第3の電流端子と前記第2の電流端子と前記スイッチセットとに結合される第4の電流端子とを有する、前記第1の駆動ステージと、
第3のトランジスタと第4のトランジスタとを含む第2の駆動ステージであって、前記第3のトランジスタが第3の制御端子と第5の電流端子と前記第2の電流端子と前記スイッチセット
とに結合される
第6の電流端子とを有し、前記第4のトランジスタが第4の制御端子と前記スイッチノードに結合される第7の電流端子と前記第2の電流端子と前記スイッチセットとに結合される第8の電流端子とを有する、前記第2の駆動ステージと、
前記第1の駆動ステージ
と前記第2の駆動ステージ
とに結合され、第1の駆動モードと第2の駆動モードの間で選択するように構成され
るコントローラであって、前記第1の駆動モードが、
前記スイッチセットに駆動信号を提供するために前記第1の駆動ステージ又は前記第2の駆動ステージのいずれか
をイネーブルし、前記第2の駆動モードが、
前記スイッチセットに駆動信号を提供するために前記第1の駆動ステージ
と前記第2の駆動ステージ
との両方
をイネーブルする、
前記コントローラと、
を含む、スイッチングコンバータデバイス。
【請求項8】
請求項7に記載のスイッチングコンバータデバイスであって、
前記第1の駆動ステージが前記スイッチセットに第1の駆動信号寄与を提供するように構成され、前記第2の駆動ステージが前記スイッチセットに第2の駆動信号寄与を提供するように構成され、前記第2の駆動信号寄与が前記第1の駆動信号寄与よりも大きい、スイッチングコンバータデバイス。
【請求項9】
請求項8に記載のスイッチングコンバータデバイスであって、
前記第1の駆動モードが前記第1の駆動ステージのみをイネーブルし、
前記コントローラが前記第2の駆動ステージのみをイネーブルする第3の駆動モードをサポートするように構成される、スイッチングコンバータデバイス。
【請求項10】
請求項7に記載のスイッチングコンバータデバイスであって、
前記コントローラが、供給電圧検出器回路を含み、前記スイッチングコンバータ
デバイスに対する供給電圧が閾値よりも高いことを前記供給電圧検出器回路が検出することに応答して前記第1の駆動モードをイネーブルするように構成される、スイッチングコンバータデバイス。
【請求項11】
請求項7に記載のスイッチングコンバータデバイスであって、
前記コントローラが、供給電圧検出器回路を含み、前記スイッチングコンバータ
デバイスに対する供給電圧が閾値よりも低いことを前記供給電圧検出器回路が検出することに応答して前記第2の駆動モードをイネーブルするように構成される、スイッチングコンバータデバイス。
【請求項12】
請求項7に記載のスイッチングコンバータデバイスであって、
前記コントローラが供給電圧検出器回路とレベルシフタとを含み、前記レベルシフタが前記供給電圧検出器回路と前記第2の駆動ステージとの間に結合される、スイッチングコンバータデバイス。
【請求項13】
スイッチングコンバータのスイッチセットにドライバ信号を提供するドライバ回路であって、前記スイッチセットがハイサイドトランジスタとローサイドトランジスタとを含み、前記ドライバ回路が、
入力電圧供給に結合されるように適合される入力と、出力とを有する入力供給電圧検出器と、
入力と出力と第1の論理ゲートと第2の論理ゲートとを有するセレクタ回路であって、前記セレクタ回路の入力が前記入力供給電圧検出器の出力に結合され、前記セレクタ回路の出力が前記第1及び第2の論理ゲートの出力に結合され、前記第1の論理ゲートと前記第2の論理ゲートとが各々駆動信号に結合される入力を有する、前記セレクタ回路と、
第1の駆動ステージであって、
第1の制御入力と第1の電流端子と第2の電流端子とを有する第1のトランジスタであって、前記第1の制御端子が前記駆動信号に結合され、前記第2の電流端子が前記スイッチセットに結合される、前記第1のトランジスタと、
第2の制御端子と第3の電流端子と第4の電流端子とを有する第2のトランジスタであって、前記第2の制御端子が前記駆動信号に結合され、前記第3の電流端子が前記第2の電流端子に結合され、前記第4の電流端子が前記スイッチセットに結合される、前記第2のトランジスタと、
を含む、前記第1の駆動ステージと、
第2の駆動ステージであって、
第3の制御端子と第5の電流端子と第6の電流端子とを有する第3のトランジスタであって、前記第3の制御端子が前記第1の論理ゲートの出力に結合され、前記第6の電流端子が前記第2の電流端子と前記スイッチセットとに結合される、前記第3のトランジスタと、
第4の制御端子と第7の電流端子と第8の電流端子とを有する第4のトランジスタであって、前記第4の制御端子が前記第2の論理ゲートの出力に結合され、前記第8の電流端子が前記スイッチセットに結合され、前記第7の電流端子が前記第6の電流端子と前記第2の電流端子と前記スイッチセットとに結合される、前記第4のトランジスタと、
を含む、前記第2の駆動ステージと、
を含む、ドライバ回路。
【国際調査報告】