(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-13
(54)【発明の名称】末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂、その製造方法、及び該末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂を含む樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C08G 79/04 20060101AFI20220906BHJP
C08F 290/06 20060101ALI20220906BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
C08G79/04
C08F290/06
H05K1/03 630H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577653
(86)(22)【出願日】2020-09-18
(85)【翻訳文提出日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 KR2020012636
(87)【国際公開番号】W WO2021054771
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】10-2019-0115560
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】カン,ソン キュ
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ド キョン
【テーマコード(参考)】
4J030
4J127
【Fターム(参考)】
4J030CB35
4J030CD11
4J030CE02
4J030CE11
4J030CF02
4J030CG22
4J127AA01
4J127AA02
4J127AA03
4J127BA031
4J127BB021
4J127BB031
4J127BB032
4J127BB101
4J127BB111
4J127BB112
4J127BB161
4J127BB221
4J127BB222
4J127BC021
4J127BC022
4J127BC141
4J127BC151
4J127BC152
4J127BD111
4J127BD232
4J127BE041
4J127BE04Y
4J127BE341
4J127BE34Y
4J127BF241
4J127BF24X
4J127BF691
4J127BF69X
4J127BG051
4J127BG052
4J127BG05X
4J127BG05Y
4J127BG142
4J127BG14Y
4J127BG171
4J127BG17Y
4J127BG351
4J127BG35X
4J127CB351
4J127CC291
4J127FA03
4J127FA38
(57)【要約】
末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂、その製造方法、及び末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂を含む樹脂組成物に係り、末端に含まれた不飽和基により、誘電率及び誘電損失係数を低減させることができるだけではなく、高いリン含量を基に、すぐれたレベルの難燃性を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物を含む、末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂:
<化学式1>
前記化学式1にて、X
1及びX
2は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ基、下記化学式2または下記化学式3で表され、
X
1及びX
2のうち少なくともいずれか一つは、下記化学式2または下記化学式3で表され、
Y
1及びY
2は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、下記化学式4ないし下記化学式8のいうちのいずれか一つで表され、
R
1’は、C
1-C
20アルキル、C
2-C
20アルケニル、C
2-C
20アルキニル、C
3-C
20シクロアルキルまたはC
6-C
20アリールであり、
n1は、1ないし15の整数であり、
<化学式2>
前記化学式2にて、R
2’は、水素、C
1-C
8アルキルまたは
であり、
前記R
3’は、水素またはC
1-C
8アルキルであり、
前記m1は、0または1の整数であり、m2は、0ないし5の整数であり、
前記m2が2以上である場合、2つ以上のR3’は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
<化学式3>
<化学式4>
前記化学式4で、前記R
1ないし前記R
4は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素、C
1-C
20アルキル、C
2-C
20アルケニル、C
2-C
20アルキニル、C
3-C
20シクロアルキルまたはC
6-C
20アリールであり、
前記a1及び前記b1は、互いに独立して、0ないし4の整数であり、
前記a1が2以上である場合、2つ以上のR
1は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
前記b1が2以上である場合、2つ以上のR
2は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
<化学式5>
前記化学式5で、R
9ないしR
14は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素またはC
1-C
3アルキルであり、
<化学式6>
前記化学式6にて、前記R
15及び前記R
16は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素、C
1-C
20アルキル、C
2-C
20アルケニル、C
2-C
20アルキニル、C
3-C
20シクロアルキルまたはC
6-C
20アリールであり、
前記a2及び前記b2は、互いに独立して、0ないし4の整数であり、
前記a2が2以上である場合、2つ以上のR
15は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
前記b2が2以上である場合、2つ以上のR
16は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
<化学式7>
前記化学式7にて、前記R
21及び前記R
22は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素、C
1-C
20アルキル、C
2-C
20アルケニル、C
2-C
20アルキニル、C
3-C
20シクロアルキルまたはC
6-C
20アリールであり、
前記a3及び前記b3は、互いに独立して、0ないし3の整数であり、
前記a3が2以上である場合、2つ以上のR
21は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
前記b3が2以上である場合、2つ以上のR
22は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
<化学式8>
前記化学式8にて、R
25は、水素、C
1-C
20アルキル、C
2-C
20アルケニル、C
2-C
20アルキニル、C
3-C
20シクロアルキルまたはC
6-C
20アリールであり、
前記a4は、0ないし4の整数であり、
前記a4が2以上である場合、2つ以上のR
25は、互いに同一であるか、あるいは異なっている。
【請求項2】
前記化学式1にて、Y
1及びY
2は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、下記化学式9ないし下記化学式16のいうちのいずれか一つで表される化合物である、請求項1に記載の末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂:
<化学式9>
<化学式10>
<化学式11>
<化学式12>
<化学式13>
<化学式14>
<化学式15>
<化学式16>
【請求項3】
前記化学式1にて、R
1’は、C
1-C
8アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、C
3-C
12シクロアルキルまたはC
6-C
20アリールであり、
n1は、1ないし8の整数であり、
前記化学式2で、R
2’は、水素またはC
1-C
8アルキルであり、
前記化学式4にて、R
1ないしR
4は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素、C
1-C
8アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、C
3-C
12シクロアルキルまたはC
6-C
20アリールであり、
前記化学式5にて、R
9ないしR
14は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素またはメチルであり、
前記化学式6にて、R
15及びR
16は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素、C
1-C
8アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、C
3-C
12シクロアルキルまたはC
6-C
20アリールであり、
前記化学式7にて、R
21及びR
22は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素、C
1-C
8アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、C
3-C
12シクロアルキルまたはC
6-C
20アリールであり、
前記化学式8にて、R
25は、水素、C
1-C
8アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、C
3-C
12シクロアルキルまたはC
6-C
20アリールである、請求項1に記載の末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有数である。
【請求項4】
前記化学式1で表される化合物のリン含量は、前記化合物全体重量を基準に、7ないし15質量%である、請求項1に記載の末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有数である。
【請求項5】
前記化学式1で表される化合物は、重量平均分子量が1,000ないし7,000g/molである、請求項1に記載の末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有数である。
【請求項6】
前記化学式1で表される化合物は、ガラス転移温度が170ないし210℃である、請求項1に記載の末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有数である。
【請求項7】
前記化学式1は、下記化学式17-1、下記化学式17-2または下記化学式17-3で表されるものである、請求項1に記載の末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂:
<化学式17-1>
<化学式17-2>
<化学式17-3>
前記化学式17-1、前記化学式17-2または前記化学式17-3にて、それぞれのRは、独立して、C
1-C
8アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、C
3-C
12シクロアルキルまたはC
6-C
20アリールであり、
それぞれのn2は、独立して、1ないし8の整数である。
【請求項8】
前記化学式1は、下記化学式18-1、下記化学式18-2または下記化学式18-3で表されるものである、請求項1に記載の末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂:
<化学式18-1>
<化学式18-2>
<化学式18-3>
前記化学式18-1、前記化学式18-2または前記化学式18-3で、それぞれのRは、独立して、C
1-C
8アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、C
3-C
12シクロアルキルまたはC
6-C
20アリールであり、
それぞれのn3は、独立して、1ないし8の整数である。
【請求項9】
前記化学式1は、下記化学式19-1、下記化学式19-2または下記化学式19-3で表されるものである、請求項1に記載の末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂:
<化学式19-1>
<化学式19-2>
<化学式19-3>
前記化学式19-1、前記化学式19-2または前記化学式19-3にて、それぞれのRは、独立して、C
1-C
8アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、C
3-C
12シクロアルキルまたはC
6-C
20アリールであり、
それぞれのn4は、独立して、1ないし8の整数である。
【請求項10】
前記化学式1は、下記化学式20-1、下記化学式20-2または下記化学式20-3で表されるものである、請求項1に記載の末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂:
<化学式20-1>
<化学式20-2>
<化学式20-3>
前記化学式20-1、前記化学式20-2または前記化学式20-3で、それぞれのRは、独立して、C
1-C
8アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、C
3-C
12シクロアルキルまたはC
6-C
20アリールであり、
それぞれのn5は、独立して、1ないし8の整数である。
【請求項11】
前記末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂は、1GHzにおける誘電率(D
k)が3.6未満である、請求項1に記載の末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有数である。
【請求項12】
前記末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂は、1GHzにおける誘電損失係数(D
f)が0.0050未満である、請求項1に記載の末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有数である。
【請求項13】
ヒドロキシル末端されたオリゴマー性ホスホネートを提供する段階(S1)と、
前記ヒドロキシル末端されたオリゴマー性ホスホネートと、不飽和基とを含む反応物を反応させ、末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂を製造する段階(S2)と、を含み、
前記不飽和基は、アクリレートまたはビニルベンジル基である、末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂の製造方法。
【請求項14】
前記S2段階の反応は、触媒存在下で行われ、
前記触媒は、4-ジメチルアミノピリジン、ピリジン、トリエチルアミン、アンモニア水、NaOH、KOH、LiOH、K
2CO
3、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド及びAlCl
3のうちから選択されるいずれか1つ、または2つ以上の混合物である、請求項13に記載の末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂の製造方法。
【請求項15】
前記不飽和基を含む反応物は、メタクリロイルハライド、メタクリル無水物、アクリル無水物、メタクリル酸、アクリル酸、4-ビニルベンジルハライド、4-ビニルベンジルアルコール、2-ビニルベンジルハライド及び2-ビニルベンジルアルコールのうちから選択されるいずれか1つ、または2つ以上の混合物である、請求項13に記載の末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂の製造方法。
【請求項16】
前記S2段階において、前記不飽和基を含む反応物は、前記オリゴマー性ホスホネートのヒドロキシ基1当量を基準にし、0.5ないし5当量の含量に投入される、請求項13に記載の末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂の製造方法。
【請求項17】
前記S2段階において、反応は、50℃ないし90℃の温度で行われる、請求項13に記載の末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂の製造方法。
【請求項18】
前記S2段階反応の溶媒は、ジメチルアニリン、アセトニトリル、ジメルホルムアミド(DMF)、トルエン、キシレン、塩化メチレン、クロロベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノール、メチルヒドロフラン(THF)、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)及びメチルイソブチルケトン(MIBK)のうちから選択されるいずれか1つ、または2つ以上の混合物である、請求項13に記載の末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂の製造方法。
【請求項19】
前記S2段階の不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂に、アルカリ化合物を利用して未反応物質を除去する精製段階(S3)を含む、請求項13に記載の末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂の製造方法。
【請求項20】
前記ヒドロキシル末端されたオリゴマー性ホスホネートは、下記化学式21で表される、請求項13に記載の末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂の製造方法:
<化学式21>
前記化学式21にて、Y
1及びY
2は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、下記化学式4ないし下記化学式8のいうちのいずれか一つで表される化合物であり、
R
4’は、C
1-C
20アルキル、C
2-C
20アルケニル、C
2-C
20アルキニル、C
3-C
20シクロアルキルまたはC
6-C
20アリールであり、
n6は、1ないし15の整数であり、
<化学式4>
前記化学式4にて、前記R
1ないし前記R4は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素、C
1-C
20アルキル、C
2-C
20アルケニル、C
2-C
20アルキニル、C
3-C
20シクロアルキルまたはC
6-C
20アリールであり、
前記a1及び前記b1は、互いに独立して、0ないし4の整数であり、
前記a1が2以上である場合、2つ以上のR
1は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
前記b1が2以上である場合、2つ以上のR
2は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
<化学式5>
前記化学式5にて、R
9ないしR
14は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素またはC
1-C
3アルキルであり、
<化学式6>
前記化学式6にて、前記R
15及び前記R
16は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素、C
1-C
20アルキル、C
2-C
20アルケニル、C
2-C
20アルキニル、C
3-C
20シクロアルキルまたはC
6-C
20アリールであり、
前記a2及び前記b2は、互いに独立して、0ないし4の整数であり、
前記a2が2以上である場合、2つ以上のR
15は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
前記b2が2以上である場合、2つ以上のR
16は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
<化学式7>
前記化学式7にて、前記R
21及び前記R
22は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素、C
1-C
20アルキル、C
2-C
20アルケニル、C
2-C
20アルキニル、C
3-C
20シクロアルキルまたはC
6-C
20アリールであり、
前記a3及び前記b3は、互いに独立して、0ないし3の整数であり、
前記a3が2以上である場合、2つ以上のR
21は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
前記b3が2以上である場合、2つ以上のR
22は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
<化学式8>
前記化学式8で、R
25は、水素、C
1-C
20アルキル、C
2-C
20アルケニル、C
2-C
20アルキニル、C
3-C
20シクロアルキルまたはC
6-C
20アリールであり、
前記a4は、0ないし4の整数であり、
前記a4が2以上である場合、2つ以上のR
25は、互いに同一であるか、あるいは異なっている。
【請求項21】
前記化学式21にて、Y
1及びY
2は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、下記化学式9ないし下記化学式16のいうちいずれか一つで表される化合物である、請求項20に記載の末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂の製造方法:
<化学式9>
<化学式10>
<化学式11>
<化学式12>
<化学式13>
<化学式14>
<化学式15>
<化学式16>
【請求項22】
下記化学式1で表される化合物、硬化剤及び硬化促進剤を含む、末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂組成物:
<化学式1>
前記化学式1にて、X
1及びX
2は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ基、下記化学式2または下記化学式3で表され、
X
1及びX
2のうち少なくともいずれか一つは、下記化学式2または下記化学式3で表され、
Y
1及びY
2は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、下記化学式4ないし下記化学式8のいうちいずれか一つで表され、
R
1’は、C
1-C
20アルキル、C
2-C
20アルケニル、C
2-C
20アルキニル、C
3-C
20シクロアルキルまたはC
6-C
20アリールであり、
n1は、1ないし15の整数であり、
<化学式2>
前記化学式2にて、R
2’は、水素、C
1-C
8アルキルまたは
であり、
前記R
3’は、水素またはC
1-C
8アルキルであり、
前記m1は、0または1の整数であり、m2は、0ないし5の整数であり、
前記m2が2以上である場合、2つ以上のR
3’は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
<化学式3>
<化学式4>
前記化学式4にて、前記R
1ないし前記R
4は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素、C
1-C
20アルキル、C
2-C
20アルケニル、C
2-C
20アルキニル、C
3-C
20シクロアルキルまたはC
6-C
20アリールであり、
前記a1及び前記b1は、互いに独立して、0ないし4の整数であり、
前記a1が2以上である場合、2つ以上のR
1は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
前記b1が2以上である場合、2つ以上のR
2は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
<化学式5>
前記化学式5にて、R
9ないしR
14は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素またはC
1-C
3アルキルであり、
<化学式6>
前記化学式6にて、前記R
15及び前記R
16は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素、C
1-C
20アルキル、C
2-C
20アルケニル、C
2-C
20アルキニル、C
3-C
20シクロアルキルまたはC
6-C
20アリールであり、
前記a2及び前記b2は、互いに独立して、0ないし4の整数であり、
前記a2が2以上である場合、2つ以上のR
15は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
前記b2が2以上である場合、2つ以上のR
16は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
<化学式7>
前記化学式7にて、前記R
21及び前記R
22は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素、C
1-C
20アルキル、C
2-C
20アルケニル、C
2-C
20アルキニル、C
3-C
20シクロアルキルまたはC
6-C
20アリールであり、
前記a3及び前記b3は互いに独立して、0ないし3の整数であり、
前記a3が2以上である場合、2つ以上のR
21は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
前記b3が2以上である場合、2つ以上のR
22は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
<化学式8>
前記化学式8にて、R
25は、水素、C
1-C
20アルキル、C
2-C
20アルケニル、C
2-C
20アルキニル、C
3-C
20シクロアルキルまたはC
6-C
20アリールであり、
前記a4は、0ないし4の整数であり、
前記a4が2以上である場合、2つ以上のR
25は、互いに同一であるか、あるいは異なっている。
【請求項23】
前記化学式1にて、Y
1及びY
2は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、下記化学式9ないし下記化学式16のいうちいずれか一つで表される化合物である、請求項22に記載の末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂組成物:
<化学式9>
<化学式10>
<化学式11>
<化学式12>
<化学式13>
<化学式14>
<化学式15>
<化学式16>
【請求項24】
前記化学式1にて、R
1’は、C
1-C
8アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、C
3-C
12シクロアルキルまたはC
6-C
20アリールであり、
n1は、1ないし8の整数であり、
前記化学式2にて、R
2’は、水素またはC
1-C
8アルキルであり、
前記化学式4にて、R
1ないしR
4は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素、C
1-C
8アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、C
3-C
12シクロアルキルまたはC
6-C
20アリールであり、
前記化学式5にて、R
9ないしR
14は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素またはメチルであり、
前記化学式6にて、R
15及びR
16は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素、C
1-C
8アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、C
3-C
12シクロアルキルまたはC
6-C
20アリールであり、
前記化学式7にて、R
21及びR
22は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素、C
1-C
8アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、C
3-C
12シクロアルキルまたはC
6-C
20アリールであり、
前記化学式8にて、R
25は、水素、C
1-C
8アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、C
3-C
12シクロアルキルまたはC
6-C
20アリールである、請求項22に記載の末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂組成物。
【請求項25】
前記化学式1で表される化合物100重量部に対し、硬化剤0.1ないし50重量部、及び硬化促進剤0.0001ないし0.05重量部を含む、請求項22に記載の末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂組成物。
【請求項26】
前記末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂組成物は、変性PPO(modified polyphenylene oxide)樹脂をさらに含む、請求項22に記載の末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂組成物。
【請求項27】
請求項22ないし26のうち、いずれか1項に記載の、末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂組成物を利用して製造された銅箔積層板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂、その製造方法、及び前記末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂を含む樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ、半導体、ディスプレイ、通信機器といった多様な電子製品には、特定の電子回路が印刷された印刷回路基板(PCB:printed circuit board)が使用されている。基板上には、信号伝達のための配線(signal line)、配線間の短絡などを防止するための絶縁膜(insulating layer)、スイッチング素子(switching element)などが形成されてもいる。
【0003】
該印刷回路基板は、ガラスファイバに、エポキシ樹脂含浸させて半径化させたプリプレグを、回路が形成された内層回路基板上に積層する方式によっても形成される。または、回路が形成された内層回路基板の回路パターン上に、絶縁層を相互に積層して基板を製造するビルドアップ(build-up)工法によって製造されうる。ここで、該ビルドアップ工法は、ビアホールを形成し、配線密度を増大させ、レーザ加工などによって回路を形成するために、印刷回路基板の高密度化及び薄膜化に利点を有する。
【0004】
最近、電子機器の軽薄短小化趨勢により、印刷回路基板も、高集積化されて高密度化されることにより、電子機器の安定性及び信頼性のために、該印刷回路基板の電気的、熱的、機械的な安定性が重要な要素になっている。
【0005】
印刷回路基板において、電子機器の小型化、薄膜化、高性能化の流れに伴い、配線ピッチの狭小化による高密度配線の具現が要求されている。そのために、既存のワイヤボンディング方式の代わりとなり、半田ボールにより、半導体装置と配線基板とを接合させるフリップチップ接続方式が主に利用されている。
【0006】
該フリップチップ接続方式は、配線基板と半導体装置との間に半田ボールを配し、全体を加熱することにより、半田をリフローさせて接合するために、さらに耐引火性が高い絶縁材料が要求されている。
【0007】
それに加え、前述の電子機器の高性能化要求により、電子機器の内部における信号の高速化及び高周波化がなされる傾向を示している。電気信号の伝送損失は、誘電損失係数(Df:dielectric dissipation factor)及び周波数と比例する。周波数が高いほど、伝送損失は、大きくなり、信号の減衰を引き起こし、信号伝送の信頼性低下が生ずる。また、伝送損失が熱に変換され、発熱の問題も引き起こされてしまう。従って、既存の絶縁材料より誘電率と誘電損失係数とがさらに小さい絶縁材料が必要となる。
【0008】
しかし、従来の絶縁材料として、多く使用されるエポキシ樹脂組成物及びその硬化物の場合、固有の特性により、誘電率と誘電損失係数とを低くすることが容易ではない。
【0009】
それと係わり、韓国登録特許第10-1596992号は、含浸性、接着力、難燃性、及び他の高分子との相溶性にすぐれる非ハロゲン系難燃性重合体及びその製造方法について開示している。
【0010】
また、大韓民国公開特許第2016-0018507号には、エポキシ樹脂組成物に使用され、難燃性、耐熱性及び誘電特性などを改善させるリン原子含有活性エステル樹脂について開示している。
【0011】
それらが提示する難燃性の重合体または活性エステル樹脂の場合、最終硬化物の難燃特性を一定レベル改善したが、その効果が十分ではなく、誘電特性については、考慮されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明が解決しようとする技術的課題は、リン系難燃性樹脂の末端を不飽和基でキャッピングし、難燃性及び誘電特性を同時に満足する樹脂及びその製造方法、並びにそれを含む樹脂組成物を提供することのである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一側面は、下記化学式1で表される化合物を含む、末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂に関するものである。
【0014】
【0015】
前記化学式1で、X1及びX2は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ基、下記化学式2または下記化学式3で表され、
X1及びX2のうち少なくともいずれか一つは、下記化学式2または下記化学式3で表され、
Y1及びY2は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、下記化学式4ないし下記化学式8のいうちいずれか一つで表され、
R1’は、C1-C20アルキル、C2-C20アルケニル、C2-C20アルキニル、C3-C20シクロアルキルまたはC6-C20アリールであり、
n1は、1ないし15の整数であり、
【0016】
【0017】
前記化学式2で、R
2’は、水素、C
1-C
8アルキルまたは
であり、
【0018】
前記R3’は、水素またはC1-C8アルキルであり、
前記m1は、0または1の整数であり、m2は、0ないし5の整数であり、
前記m2が2以上である場合、2つ以上のR3’は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
【0019】
【0020】
【0021】
前記化学式4で、前記R1ないし前記R4は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素、C1-C20アルキル、C2-C20アルケニル、C2-C20アルキニル、C3-C20シクロアルキルまたはC6-C20アリールであり、
前記a1及び前記b1は、互いに独立して、0ないし4の整数であり、
前記a1が2以上である場合、2つ以上のR1は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
前記b1が2以上である場合、2つ以上のR2は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
【0022】
【0023】
前記化学式5で、R9ないしR14は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素またはC1-C3アルキルであり、
【0024】
【0025】
前記化学式6で、前記R15及び前記R16は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素、C1-C20アルキル、C2-C20アルケニル、C2-C20アルキニル、C3-C20シクロアルキルまたはC6-C20アリールであり、
前記a2及び前記b2は、互いに独立して、0ないし4の整数であり、
前記a2が2以上である場合、2つ以上のR15は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
前記b2が2以上である場合、2つ以上のR16は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
【0026】
【0027】
前記化学式7で、前記R21及び前記R22は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素、C1-C20アルキル、C2-C20アルケニル、C2-C20アルキニル、C3-C20シクロアルキルまたはC6-C20アリールであり、
前記a3及び前記b3は互いに独立して、0ないし3の整数であり、
前記a3が2以上である場合、2つ以上のR21は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
前記b3が2以上である場合、2つ以上のR22は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
【0028】
【0029】
前記化学式8で、R25は、水素、C1-C20アルキル、C2-C20アルケニル、C2-C20アルキニル、C3-C20シクロアルキルまたはC6-C20アリールであり、
前記a4は、0ないし4の整数であり、
前記a4が2以上である場合、2つ以上のR25は、互いに同一であるか、あるいは異なっている。
【0030】
本発明の他の側面は、ヒドロキシル末端されたオリゴマー性ホスホネートを提供する段階(S1)と、前記ヒドロキシル末端されたオリゴマー性ホスホネートと、不飽和基とを含む反応物を反応させ、末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂を製造する段階(S2)と、を含み、前記不飽和基は、アクリレートまたはビニルベンジル基である不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂を製造する方法を提供する。
【0031】
本発明のさらに他の側面は、下記化学式1で表される化合物、硬化剤及び硬化促進剤を含む、末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂組成物に係わるものである。
【0032】
【0033】
前記化学式1で、X1及びX2は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ基、下記化学式2または下記化学式3で表される化合物であり、
X1及びX2のうち少なくともいずれか一つは、下記化学式2または下記化学式3で表される化合物であり、
Y1及びY2は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、下記化学式4ないし下記化学式8のいうちいずれか一つで表される化合物であり、
R1’は、C1-C20アルキル、C2-C20アルケニル、C2-C20アルキニル、C3-C20シクロアルキルまたはC6-C20アリールであり、
n1は、1ないし15の整数であり、
【0034】
【0035】
前記化学式2で、R
2’は、水素、C
1-C
8アルキルまたは
であり、
前記R
3’は、水素またはC
1-C
8アルキルであり、
前記m1は、0または1の整数であり、m2は、0ないし5の整数であり、
前記m2が2以上である場合、2つ以上のR
3’は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
【0036】
【0037】
【0038】
前記化学式4で、前記R1ないし前記R4は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素、C1-C20アルキル、C2-C20アルケニル、C2-C20アルキニル、C3-C20シクロアルキルまたはC6-C20アリールであり、
前記a1及び前記b1は、互いに独立して、0ないし4の整数であり、
前記a1が2以上である場合、2つ以上のR1は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
前記b1が2以上である場合、2つ以上のR2は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
【0039】
【0040】
前記化学式5で、R9ないしR14は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素またはC1-C3アルキルであり、
【0041】
【0042】
前記化学式6で、前記R15及び前記R16は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素、C1-C20アルキル、C2-C20アルケニル、C2-C20アルキニル、C3-C20シクロアルキルまたはC6-C20アリールであり、
前記a2及び前記b2は、互いに独立して、0ないし4の整数であり、
前記a2が2以上である場合、2つ以上のR15は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
前記b2が2以上である場合、2つ以上のR16は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
【0043】
【0044】
前記化学式7で、前記R21及び前記R22は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素、C1-C20アルキル、C2-C20アルケニル、C2-C20アルキニル、C3-C20シクロアルキルまたはC6-C20アリールであり、
前記a3及び前記b3は互いに独立して、0ないし3の整数であり、
前記a3が2以上である場合、2つ以上のR21は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
前記b3が2以上である場合、2つ以上のR22は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
【0045】
【0046】
前記化学式8で、R25は、水素、C1-C20アルキル、C2-C20アルケニル、C2-C20アルキニル、C3-C20シクロアルキルまたはC6-C20アリールであり、
前記a4は、0ないし4の整数であり、
前記a4が2以上である場合、2つ以上のR25は、互いに同一であるか、あるいは異なっている。
【0047】
本発明のさらに他の側面は、末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂組成物を利用して製造された銅箔積層板を提供する。
【発明の効果】
【0048】
本発明による、末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂は、末端に含まれた不飽和基により、誘電率及び誘電損失係数を低減させることができるだけではなく、高いリン含量を基に、すぐれたレベルの難燃性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】本発明の実施例1で製造された、末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂のGPC(gel permeation chromatography)測定結果を示すグラフである。
【
図2】本発明の実施例1で製造された、末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂のNMR(nuclear magnetic resonance)結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下において、本発明のさまざまな側面、及び多様な具現例につき、さらに具体的に説明する。
【0051】
本明細書及び請求範囲に使用された用語や単語は、一般的であったり辞書的であったりする意味に限定して解釈されるものではなく、発明者は、自身の発明を最善の方法で説明するために、用語の概念を適切に定義することができるという原則に従い、本発明の技術的思想に符合する意味と概念とに解釈されるものである。
【0052】
本発明で使用された用語は、単に特定実施例についての説明に使用されたものであり、本発明を限定する意図ではない。単数の表現は、文脈上、明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本発明において、「含む」または「有する」のような用語は、明細書上に記載された特徴、数、段階、動作、構成要素、部品、またはそれらの組み合わせが存在するということを指定するものであり、1つまたはそれ以上の他の特徴、数、段階、動作、構成要素、部品、またはそれらの組み合わせの存在または付加の可能性を事前に排除するものではないと理解されなければならない。
【0053】
本発明で使用された用語「難燃特性」、「難燃性」または「耐引火性」は、可燃性と不燃性との中間のものであり、燃焼し難い材料の性質を意味し、耐引火性、防炎性、防煙性などと同一意味を有する。
【0054】
本発明で使用された用語「アルキル基」は、1個ないし20個、望ましくは、1個ないし10個、さらに望ましくは、1個ないし8個の炭素原子の線状または分枝状の飽和一価炭化水素基を意味する。前記アルキル基は、非置換のものだけではなく、後述する一定置換基によってさらに置換されたものも包括して称することができる。前記アルキル基の例として、メチル基、エチル基、プロピル基、2-プロピル基、n-ブチル基、イソ-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ドデシル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、卜リクロロメチル基、ヨードメチル基、ブロモメチル基などを挙げることができる。
【0055】
本発明で使用された用語「アルケニル基」は、1つ以上の炭素・炭素二重結合を含む2個ないし20個、望ましくは、2個ないし10個、さらに望ましくは、2個ないし6個の炭素原子の線状または分枝状の一価炭化水素基を意味する。前記アルケニル基は、炭素・炭素二重結合を含む炭素原子を介したり、飽和された炭素原子を介したりして結合されうる。前記アルケニル基は、非置換のものだけではなく、後述する一定置換基によってさらに置換されたものも包括して称することができる。前記アルケニル基の例として、エテニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、ペンテニル基5-ヘキセニル基、ドデセニル基などを挙げることができる。
【0056】
本発明で使用された用語「アルキニル基」は、1以上の炭素・炭素三重結合を含む2個ないし20個、望ましくは、2個ないし10個、さらに望ましくは、2個ないし6個の炭素原子の線状または分枝状の一価炭化水素基を意味する。前記アルキニル基は、炭素・炭素三重結合を含む炭素原子を介したり、飽和された炭素原子を介したりして結合されうる。前記アルキニル基は、後述する一定置換基によってさらに置換されたものも包括して称することができる。例えば、前記アルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基などを挙げることができる。
【0057】
本発明で使用された用語「シクロアルキル基」は、3個ないし20個、望ましくは、3個ないし12個の環炭素の飽和または不飽和の一価の単環、二環または三環の非芳香族炭化水素基を意味し、後述する一定置換基によってさらに置換されたものも包括して称することができる。例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、デカヒドロナフタレニル基、アダマンチル基、ノルボルニル基(すなわち、ピシクロ[2,2,1]ヘプト-5-エニル)などを挙げることができる。
【0058】
本発明で使用された用語「アリール基」は、6個ないし40個、望ましくは、6個ないし20個の環原子を有する一価の単環、二環または三環の芳香族炭化水素基を意味し、後述する一定置換基によってさらに置換されたものも包括して称することができる。前記アリール基の例として、フェニル基、ビフェニル基、フルオレン基などを挙げることができる。
【0059】
本発明において、全ての化合物または置換基は、特別な言及がない限り、置換または非置換のものでもある。ここで、置換されたというのは、水素原子が、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、チオ基、メチルチオ基、アルコキシ基、ニトリル基、アルデヒド基、エポキシ基、エーテル基、エステル基、カルボニル基、アセタール基、ケトン基、アルキル基、パーフルオロアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基、ベンジル基、アリール基、ヘテロアリール基、それらの誘導体、及びそれらの組み合わせからなる群のうちから選択されるいずれか一つで代替されたものを意味する。
【0060】
最近、電子機器及び通信機器の小型化及び高性能化の趨勢により、それら製品における信号伝達速度が速くなっており、使用される信号の周波数帯は、MHz領域からGHz領域に移動している。しかし、そのように信号の周波数が高くなる場合、損失される信号の量が増加するだけではなく、ノイズが増大するために、信号伝送の信頼性を確保し難く、伝送損失が熱に変換され、発熱問題が生じてしまう。しかし、既存の印刷回路基板の絶縁素材として多用されているエポキシ樹脂の場合、高い誘電率と誘電損失係数とを有するために、微細化、高集積化された印刷回路基板に適用されるには、限界がある。従って、電子機器の高速化及び高周波数化と共に、ハロゲン系難燃剤の排除といった技術の流れに合わせ、低い誘電特性、及び優秀な難燃特性を同時に有する絶縁材料が必要である。
【0061】
そのために、本発明においては、リン系難燃性樹脂の末端を不飽和基で置換することにより、高い難燃性と低誘電特性とを確保した樹脂を提示する。
【0062】
本発明の一側面は、下記化学式1で表される化合物を含む、末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂を提供する。
【0063】
【0064】
前記化学式1で、X1及びX2は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ基、下記化学式2または下記化学式3で表され、
X1及びX2のうち少なくともいずれか一つは、下記化学式2または下記化学式3で表され、
Y1及びY2は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、下記化学式4ないし下記化学式8のいうちいずれか一つで表され、
R1’は、C1-C20アルキル、C2-C20アルケニル、C2-C20アルキニル、C3-C20シクロアルキルまたはC6-C20アリールであり、
n1は、1ないし15の整数であり、
【0065】
【0066】
前記化学式2で、R
2’は、水素、C
1-C
8アルキルまたは
であり、
前記R
3’は、水素またはC
1-C
8アルキルであり、
前記m1は、0または1の整数であり、m2は、0ないし5の整数であり、
前記m2が2以上である場合、2つ以上のR
3’は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
【0067】
【0068】
【0069】
前記化学式4で、前記R1ないし前記R4は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素、C1-C20アルキル、C2-C20アルケニル、C2-C20アルキニル、C3-C20シクロアルキルまたはC6-C20アリールであり、
前記a1及び前記b1は、互いに独立して、0ないし4の整数であり、
前記a1が2以上である場合、2つ以上のR1は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
前記b1が2以上である場合、2つ以上のR2は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
【0070】
【0071】
前記化学式5で、R9ないしR14は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素またはC1-C3アルキルであり、
【0072】
【0073】
前記化学式6で、前記R15及び前記R16は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素、C1-C20アルキル、C2-C20アルケニル、C2-C20アルキニル、C3-C20シクロアルキルまたはC6-C20アリールであり、
前記a2及び前記b2は、互いに独立して、0ないし4の整数であり、
前記a2が2以上である場合、2つ以上のR15は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
前記b2が2以上である場合、2つ以上のR16は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
【0074】
【0075】
前記化学式7で、前記R21及び前記R22は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素、C1-C20アルキル、C2-C20アルケニル、C2-C20アルキニル、C3-C20シクロアルキルまたはC6-C20アリールであり、
前記a3及び前記b3は互いに独立して、0ないし3の整数であり、
前記a3が2以上である場合、2つ以上のR21は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
前記b3が2以上である場合、2つ以上のR22は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
【0076】
【0077】
前記化学式8で、R25は、水素、C1-C20アルキル、C2-C20アルケニル、C2-C20アルキニル、C3-C20シクロアルキルまたはC6-C20アリールであり、
前記a4は、0ないし4の整数であり、
前記a4が2以上である場合、2つ以上のR25は、互いに同一であるか、あるいは異なっている。
【0078】
前記化学式2ないし前記化学式8にて、*は、隣接原子との結合位置を示す。
【0079】
本発明の末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂は、リン含有樹脂で発現される本然の難燃性を有するだけではなく、反応性を有する末端の不飽和基により、樹脂組成物製造のために添加される他の製品との架橋反応を介し、硬化に参与することができるという長所がある。また、前述の末端をキャッピングする不飽和基の前記化学式2のアクリレート基、及び化学式3のビニルベンジル基は、その他の不飽和基と比較し、短い鎖長を有するために、架橋形成において有利である。
【0080】
さらには、一般的な構造のホスホネートの場合、単純添加剤の役割を行うために、硬化後、耐熱性及び誘電特性が低下してしまう問題があるが、本発明の前記化学式1のホスホネート構造は、架橋役割に参与することができるために、硬化後、耐熱性及び誘電特性の損失がないという長所を有する。
【0081】
例えば、前記化学式4は、下記化学式4-1によって表されうる。
【0082】
【0083】
前記化学式4-1で、R3ないしR8は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素、C1-C20アルキル、C2-C20アルケニル、C2-C20アルキニル、C3-C20シクロアルキルまたはC6-C20アリールである。
【0084】
また、前記化学式6は、下記化学式6-1によって表されうる。
【0085】
【0086】
前記化学式6-1でR17ないしR20は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素、C1-C20アルキル、C2-C20アルケニル、C2-C20アルキニル、C3-C20シクロアルキルまたはC6-C20アリールである。
【0087】
前記化学式7は、例えば、下記化学式7-1によって表されうる。
【0088】
【0089】
前記化学式7-1で、R23ないしR24は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素、C1-C20アルキル、C2-C20アルケニル、C2-C20アルキニル、C3-C20シクロアルキルまたはC6-C20アリールである。
【0090】
前記化学式1で、望ましくは、R1’は、C1-C6アルキル、C2-C5アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C6シクロアルキルまたはC6-C12アリールでもあり、さらに望ましくは、メチル基、エチル基、メチレン基、エチレン基、シクロヘキサン基、フェニル基、ナフチル基でもあり、最も望ましくは、メチル基及びフェニル基でもあるが、前記化学式1で、R1’が前述の作用基に該当する場合、組成物形成に使用される他の樹脂及び溶媒との相溶性にすぐれるためである。
【0091】
一具現例において、前記化学式1で、Y1及びY2は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、下記化学式9ないし下記化学式16のいうちいずれか一つで表される化合物でもある。
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
望ましくは、前記化学式1で、R1’は、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C12シクロアルキルまたはC6-C20アリールであり、n1は、1ないし8の整数であり、前記化学式2で、R2’は、水素またはC1-C8アルキルであり、前記化学式4で、R1ないしR4は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C12シクロアルキルまたはC6-C20アリールであり、前記化学式5で、R9ないしR14は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素またはメチルであり、前記化学式6で、R15及びR16は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C12シクロアルキルまたはC6-C20アリールであり、前記化学式7で、R21及びR22は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C12シクロアルキルまたはC6-C20アリールであり、前記化学式8で、R25は、水素、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C12シクロアルキルまたはC6-C20アリールアリールでもある。
【0101】
特に、前記n1は、1ないし8の整数であることが望ましいが、n1が8を超える場合、分子量が相対的に大きくなり、粘度が高く、組成物が十分な流動性を有することができず、硬化物の成形性を阻害してしまうためである。
【0102】
前述のように、前記化学式1で表される化合物は、高いリン含量を有し、既存リン系化合物のように、難燃性能を付与することができる。しかし、一般的なリン系難燃剤は、反応性がないか、あるいは反応性が低く、硬化架橋密度が低下してしまい、最終硬化物の物性が顕著に低下してしまう問題が生じうる。また、化学式1で表される化合物内に存在する不飽和基において、反応性にすぐれ、耐熱性を向上させることができる。
【0103】
また、前記化学式1で、X1及びX2は、いずれも前記化学式2または前記化学式3で表される化合物であることが望ましい。両末端が、いずれも前記化学式2または前記化学式3で表される化合物である場合、末端の不飽和基によって発現される低誘電特性が向上され、また反応性が向上され、追って製造される樹脂組成物成形過程において、商業的に可能なゲル時間を期待することができる。
【0104】
前記化学式1で表される化合物のリン含量は、前記化合物全体重量を基準に、7ないし15質量%でもある。前記リン含量が7質量%未満である場合、難燃性及び耐熱性が低下してしまう問題と、樹脂配合時、多量の難燃添加剤が必要であると短所とがあり、15質量%を超える場合、反応性が低下し、溶剤、及び他の製品に対する相溶性、並びに溶解度に問題があることになる。
【0105】
前記化学式1で表される化合物は、重量平均分子量が1,000ないし7,000g/molでもあり、望ましくは、1,500ないし4,000g/molでもある。前記重量平均分子量が1,000g/mol未満である場合、耐熱性及び誘電特性の改善効果が不足してしまい、7,000g/molを超える場合、溶媒との相溶性が低下し、応用が困難となる。
【0106】
前記化学式1で表される化合物は、ガラス転移温度が170ないし210℃でもある。前記ガラス転移温度範囲において、優秀な耐熱性を有する。
【0107】
望ましい具現例によれば、末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂は、下記化学式17-1、下記化学式17-2または下記化学式17-3によっても表される。
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
前記化学式17-1、前記化学式17-2または前記化学式17-3で、それぞれのRは、独立して、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C12シクロアルキルまたはC6-C20アリールであり、
それぞれのn2は、独立して、1ないし8の整数である。
【0112】
さらに他の望ましい具現例によれば、末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂は、下記化学式18-1、下記化学式18-2または下記化学式18-3によっても表される。
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
前記化学式18-1、前記化学式18-2または前記化学式18-3で、それぞれのRは、独立して、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C12シクロアルキルまたはC6-C20アリールであり、
それぞれのn3は、独立して、1ないし8の整数である。
【0117】
さらに他の望ましい具現例によれば、末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂は、下記化学式19-1、下記化学式19-2または下記化学式19-3によっても表される。
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
前記化学式19-1、前記化学式19-2または前記化学式19-3で、それぞれのRは、独立して、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C12シクロアルキルまたはC6-C20アリールであり、
それぞれのn4は、独立して、1ないし8の整数である。
【0122】
さらに他の望ましい具現例によれば、末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂は、下記化学式20-1、下記化学式20-2または下記化学式20-3によっても表される。
【0123】
【0124】
【0125】
【0126】
前記化学式20-1、前記化学式20-2または前記化学式20-3で、それぞれのRは、独立して、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C12シクロアルキルまたはC6-C20アリールであり、
それぞれのn5は、独立して、1ないし8の整数である。
【0127】
前述のように、前記化学式17ないし前記化学式20で表される化合物は、化合物内に存在する不飽和基によって反応性にすぐれ、耐熱性を向上させることができ、特に、化学式17ないし化学式20である場合、組成物形成に使用される他の樹脂及び溶媒との相溶性にすぐれるということを確認した。
【0128】
前記末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂は、1GHzにおける誘電率(Dk)が3.6未満でもある。また、前記末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂は、1GHzにおける誘電損失係数(Df)が0.0050未満でもある。
【0129】
前述のように、本発明の末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂は、末端にアクリレート基またはビニルベンジル基を導入することによって発現される構造的な特徴により、優秀な低誘電特性を示すことができる。また、リンを含むホスホネートを反復単位に含み、難燃性が大きく向上される。特に、前述のように、本発明の、末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂は、7ないし15質量%の高いリン含量を有するが、追って製造される樹脂組成物において、リン含量が低いその他樹脂に比べ、相対的に少ない組成だけでも、要求されるリン含量を充足することができるという長所を有する。
【0130】
本発明の他の側面は、ヒドロキシル末端されたオリゴマー性ホスホネートを提供する段階(S1)と、前記ヒドロキシル末端されたオリゴマー性ホスホネートと、不飽和基とを含む反応物を反応させ、末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂を製造する段階(S2)と、を含み、前記不飽和基は、アクリレートまたはビニルベンジル基である不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂の製造方法を提供する。前記製造方法は、固体化過程なしに精製工程に投入し、効果的に副産物及び塩を除去することができるために、産業工程に適用が容易であるという長所がある。
【0131】
前記S2段階の反応は、触媒の存在下に行われ、前記触媒は、アミン系化合物である4-ジメチルアミノピリジン、ピリジン、トリエチルアミン、アンモニア水、アルカリ金属酸化物であるNaOH・KOH・LiOH・K2CO3、アンモニウム化合物であるテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、アルミニウム化合物であるAlCl3のうちから選択されるいずれか1つ、または2つ以上の混合物でもある。特に、アルカリ金属酸化物を使用する場合、その濃度は、0~50質量%が適切である。
【0132】
前記反応は、水が含まれた触媒を使用する場合、相間移動触媒も存在した状態で反応させることが望ましい。特に、アルカリ金属水酸化物を使用する場合、相間移動触媒下で反応させることが望ましい。該相間移動触媒は、水といった極性溶剤相と、非極性溶剤相との中で反応を行う際、アルカリ金属水酸化物を、極性溶剤から非極性溶剤へと持って来る役割を行う。
【0133】
具体的には、アルカリ金属水酸化物として、水酸化ナトリウム水溶液を、トルエンのような有機溶剤の触媒として使用した場合、相間移動触媒なしには、反応促進に寄与が困難となる。
【0134】
前記相間移動触媒は、特別に制限されるものではないが、テトラ-n-ブチルアンモニウムクロリド(TBAC)、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロミド(TBAB)のような4級アンモニウム塩になりうる。
【0135】
前記不飽和基を含む反応物は、メタクリロイルハライド(methacryloyl halide)、メタクリル無水物(MAAH:methacrylic anhydride)、アクリル無水物(acrylic anhydride)、メタクリル酸、アクリル酸、4-ビニルベンジルハライド(4-vinylbenzyl halide)と2-ビニルベンジルハライド(2-vinylbenzyl halide)との混合物、及び4-ビニルベンジルアルコール(4-vinylbenzyl alcohol)と2-ビニルベンジルアルコール(2-vinylbenzyl alcohol)との混合物のうちから選択されるいずれか1、または2以上の混合物でもある。前記メタクリロイルハライドは、メタクリロイルフルオリド、メタクリロイルクロリド、メタクリロイルブロミド、メタクリロイルヨーダイド、及びそれらの組み合わせからなる群のうちから選択されうるのであり、前記4-ビニルベンジルハライドまたは2-ビニルベンジルハライドは、ビニルベンジルフルオリド、ビニルベンジルクロリド、ビニルベンジルブロミド、ビニルベンジルヨーダイド、及びそれらの組み合わせからなる群のうちから選択されうる。
【0136】
前記不飽和基を含む反応物は、望ましくは、メタクリル無水物または4-ビニルベンジルクロリド(4-vinylbenzyl chloride)と2-ビニルベンジルクロリド(2-vinylbenzyl chloride)との混合物でありうるが、提示された他の反応物よりも、反応をさらに容易に進める効果があるためである。
【0137】
前記S2段階において、前記不飽和基を含む反応物は、前記オリゴマー性ホスホネートのヒドロキシ基1当量を基準にし、0.5ないし5当量の含量でもって投入されうる。前記範囲未満である場合、不飽和基の量が顕著に少なく、前記範囲を超える場合、余剰未反応物により、製造される樹脂の品質が低下してしまい、不要な製造コストが上昇し、望ましくない。
【0138】
前記S2段階において、該反応は、50℃ないし90℃の温度において行われうる。前記温度が50℃未満である場合、反応速度が過度に遅く、樹脂製造に長期間が必要となり、90℃超過の場合、過度に速い反応速度により、過反応が進みうるために、望ましくない。
【0139】
前記S2段階反応の溶媒は、化合物との反応を阻害しないものであるならば、特別に制限されるものではない。特に、羅列するならば、ジメチルアニリン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、トルエン、キシレン、塩化メチレン、クロロベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノール、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)及びメチルイソブチルケトン(MIBK)のうちから選択されるいずれか1、または2以上の混合物でありうる。そのうち、望ましくは、トルエンまたはキシレンのような非極性溶剤にもなるが、重合物の円滑な精製工程の効率を高めることができるためである。
【0140】
前記S2段階の、不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂に、アルカリ化合物を利用し、未反応物質を除去する精製段階(S3)を含んでもよい。前記精製段階は、反応物の種類により、少しずつ違いがあるが、主に、生成される塩と、その副産物とを除去するために実施され、例えば、NaOH水溶液をアルカリ化合物として使用することができる。
【0141】
前記ヒドロキシル末端されたオリゴマー性ホスホネートは、下記化学式21で表されるものでもある。
【0142】
【0143】
前記化学式21でY1及びY2は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、下記化学式4ないし下記化学式8のいうちいずれか一つで表される化合物であり、
R4’は、C1-C20アルキル、C2-C20アルケニル、C2-C20アルキニル、C3-C20シクロアルキルまたはC6-C20アリールであり、
n6は、1ないし15の整数であり、
【0144】
【0145】
前記化学式4で、前記R1ないし前記R4は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素、C1-C20アルキル、C2-C20アルケニル、C2-C20アルキニル、C3-C20シクロアルキルまたはC6-C20アリールであり、
前記a1及び前記b1は、互いに独立して、0ないし4の整数であり、
前記a1が2以上である場合、2つ以上のR1は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
前記b1が2以上である場合、2つ以上のR2は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
【0146】
【0147】
前記化学式5で、R9ないしR14は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素またはC1-C3アルキルであり、
【0148】
【0149】
前記化学式6で、前記R15及び前記R16は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素、C1-C20アルキル、C2-C20アルケニル、C2-C20アルキニル、C3-C20シクロアルキルまたはC6-C20アリールであり、
前記a2及び前記b2は、互いに独立して、0ないし4の整数であり、
前記a2が2以上である場合、2つ以上のR15は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
前記b2が2以上である場合、2つ以上のR16は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
【0150】
【0151】
前記化学式7で、前記R21及び前記R22は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素、C1-C20アルキル、C2-C20アルケニル、C2-C20アルキニル、C3-C20シクロアルキルまたはC6-C20アリールであり、
前記a3及び前記b3は互いに独立して、0ないし3の整数であり、
前記a3が2以上である場合、2つ以上のR21は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
前記b3が2以上である場合、2つ以上のR22は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
【0152】
【0153】
前記化学式8で、R25は、水素、C1-C20アルキル、C2-C20アルケニル、C2-C20アルキニル、C3-C20シクロアルキルまたはC6-C20アリールであり、
前記a4は、0ないし4の整数であり、
前記a4が2以上である場合、2つ以上のR25は、互いに同一であるか、あるいは異なっている。
【0154】
また、前記化学式21で、Y1及びY2は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、下記化学式9ないし下記化学式16のいうちのいずれか一つで表される化合物でもある。
【0155】
【0156】
【0157】
【0158】
【0159】
【0160】
【0161】
【0162】
【0163】
本発明のさらに他の側面は、前記化学式1で表される化合物、硬化剤及び硬化促進剤を含む、末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂組成物を提供する。
【0164】
望ましくは、前記化学式1で、R1’は、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C12シクロアルキルまたはC6-C20アリールであり、n1は、1ないし8の整数であり、前記化学式2で、R2’は、水素またはC1-C8アルキルであり、前記化学式4で、R1ないしR4は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C12シクロアルキルまたはC6-C20アリールであり、前記化学式5で、R9ないしR14は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素またはメチルであり、前記化学式6で、R15及びR16は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C12シクロアルキルまたはC6-C20アリールであり、前記化学式7で、R21及びR22は、互いに同じであるか、あるいは異なっており、水素、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C12シクロアルキルまたはC6-C20アリールであり、前記化学式8で、R25は、水素、C1-C8アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C12シクロアルキルまたはC6-C20アリールでもある。
【0165】
前記化学式1で表される化合物100重量部に対し、硬化剤0.1ないし50重量部、及び硬化促進剤0.0001ないし0.05重量部を含んでもよい。
【0166】
前記硬化剤が前記範囲内に含まれる場合、適する硬化速度を有するという長所がある。前記硬化促進剤は、0.0001重量部未満である場合、硬化反応が円滑になされず、0.05重量部超過の場合、過反応が起きてしまい、望ましくない。
【0167】
前記硬化剤は、本発明が属する分野で一般的に使用されるものを使用することができ、例えば、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、ビスマレイミド(bismaleimide)などを挙げることができる。望ましくは、トリアリルイソシアヌレートでもあるが、構造内に、不飽和基を2個以上含んでおり、多官能基導入を介する効果的な架橋反応が行われうるためである。
【0168】
前記硬化促進剤も、本発明が属する分野において、一般的に使用されるものを使用することができ、例えば、ジクミル過酸化物(DCP)、過酸化ベンゾイルといった過酸化物やアゾビスイソブチロニトリルといった一般的なラジカル開始剤を有することができる。
【0169】
前記末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂組成物は、変性PPO(modified polyphenylene oxide)樹脂をさらに含んでもよい。前記変性PPO樹脂は、誘電率や誘電特性にすぐれ、超高周波領域においても、その特性にすぐれると知られたポリフェニレンエーテルを変性させたSA-9000(SABIC社)などを例として挙げることができ、前記末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂に含まれ、架橋反応の一助とするだけではなく、誘電特性及び耐熱性を向上させるという効果がある。
【0170】
本発明のさらに他の側面は、前記末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂組成物を利用して製造される銅箔積層板を提供する。
【0171】
以下、実施例を介し、本発明についてさらに詳細に説明する。それら実施例は、単に、本発明についてさらに具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲は、それら実施例によって制限されるものではなないということ、は本発明が属する技術分野において当業者であるならば、自明であろう。
【実施例】
【0172】
<実施例1:メタルアクリル基でキャッピングされたリン含有樹脂製造(diphenyl P-methylphosphonate polymer with 4,4’-(1-methylethylidene)bis[phenol])>
窒素でパージされた3Lの3口フラスコに、メチルホスホン酸ジフェニルポリマー及び4,4'-(1-メチルエチリデン)ビス[フェノール](diphenyl P-methylphosphonate polymer with 4,4’-(1-methylethylidene)bis[phenol])500g(0.66mol)と、トルエン1,300.5gとを投入し、DMAP(4-ジメチルアミノピリジン;4-dimethylaminopyridine)を10g投入した後、75℃まで昇温させた。
【0173】
次に、MAAH(メタクリル酸無水物;methacrylic anhydride)128.48gを4時間徐々に投入した。投入が完了すれば、75℃で20時間反応させて冷却を実施した。冷却後、未反応原料を除去するために、精製反応として、水1,938.98gと、50% NaOH 107.42gとを投入し、1時間75℃で撹拌した。
【0174】
撹拌が完了した後、静置を行い、分液を実施した。下層の水分を除去した後、水517gを投入して撹拌した。撹拌後、リン酸を投入し、pHを5~6レベルに設定した。中和水洗層を除去した後、真空減圧下でトルエン溶剤を脱気させて除去した。70℃において、真空度200~300Torrに脱気させ、反応溶剤を除去した後、MEK溶剤を214g投入した。
【0175】
前述のように得られた、末端がメタアクリル基でキャッピングされたリン含有樹脂は、リン含量が8.5質量%であり、GPC(gel permeation chromatography)測定の結果、分子量が28.78g/molであり、核磁気共鳴(NMR)分析法を利用して構造を確認した。
図1は、本発明の実施例1のGPC測定結果であり、
図2は、NMR測定結果である。
【0176】
<実施例2:ビニルベンジル基でキャッピングされたリン含有樹脂製造(diphenyl P-methylphosphonate polymer with 4,4’-(1-methylethylidene)bis[phenol])>
窒素でパージされた3Lの3口フラスコに、メチルホスホン酸ジフェニルポリマー及び4,4'-(1-メチルエチリデン)ビス[フェノール](diphenyl P-methylphosphonate polymer with 4,4’-(1-methylethylidene)bis[phenol])500g(0.66mol)と、トルエン1300.5gとを投入し、TBAB(テトラ-n-ブチルアンモニウムブロミド)2.5g、塩化ビニルベンジル混合物(2-ビニルベンジルクロリド/4-ビニルベンジルクロリド=2/8(2-vinylbenzyl chloride/4-vinylbenzyl chloride=2/8))111gを投入した後、75℃まで昇温させた。
【0177】
次に、50%水酸化ナトリウム水溶液69gを、1時間徐々に投入した。投入が完了すれば、75℃で20時間反応させ、冷却を実施した。冷却後、未反応原料を除去するために、精製反応として、水1,938.98gと50% NaOH 107.42gを投入し、1時間75℃で撹拌した。
【0178】
撹拌が完了した後、静置を行い、分液を実施した。下層の水分を除去した後、水517gを投入して撹拌した。撹拌後、リン酸を投入し、pHを5~6のレベルに設定した。中和水洗層を除去した後、真空減圧下でトルエン溶剤を脱気させて除去した。70℃で、真空度200~300Torrに脱気させ、反応溶剤を除去した後、トルエン溶剤を214g投入した。
【0179】
前述のように得られた、末端がビニルベンジル基でキャッピングされたリン含有樹脂は、リン含量が8.0質量%であり、GPC測定の結果、分子量が3,100g/molであった。核磁気共鳴分析法及びFT-IR(Fourier transform infrared spectroscopy)を利用し、構造を確認した。
【0180】
<実施例3:メタアクリル基でキャッピングされたリン含有樹脂製造(poly(m-phenylene methylphosphonate)>
窒素でパージされた3Lの3球フラスコに、ポリ(m-フェニレンメチルホスホネート)(poly(m-phenylene methylphosphonate))500g(0.66mol)とトルエン1,300.5gとを投入し、DMAP(4-ジメチルアミノピリジン;4-dimethylaminopyridine)を10g投入した後、75℃まで昇温させた。
【0181】
次に、MAAH 113.48gを2時間徐々に投入した。投入が完了すれば、75℃で20時間反応させ、冷却を実施した。冷却後、未反応原料を除去するために、精製反応として、水1,938.98gと50% NaOH 107.42gとを投入し、1時間75℃で撹拌した。
【0182】
撹拌が完了した後、静置を行い、分液を実施した。下層の水分を除去した後、水517gを投入して撹拌した。撹拌後、リン酸を投入し、pHを5~6レベルに設定した。中和水洗層を除去した後、真空減圧下で、トルエン溶剤を脱気させて除去した。70℃で、真空度200~300Torrに脱気させ、反応溶剤を除去した後、MEK溶剤を214g投入した。
【0183】
前述のように得られた、末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂は、リン含量が10.5質量%であり、GPC測定結果、分子量が2,127g/molであり、核磁気共鳴分析法及びFT-IRを利用して構造を確認した。
【0184】
<実施例4:ビニルベンジル基でキャッピングされたリン含有樹脂製造(poly(m-phenylene methylphoshponate)>
窒素でパージされた3Lの3球フラスコに、ポリ(m-フェニレンメチルホスホネート)(poly(m-phenylene methylphosphonate))500g(0.66mol)とトルエン1,300.5gとを投入し、TBAB 2.5g、塩化ビニルベンジル混合物(2-ビニルベンジルクロリド/4-ビニルベンジルクロリド=2/8(2-vinylbenzyl chloride/4-vinylbenzyl chloride=2/8))111gを投入した後、75℃まで昇温させた。
【0185】
次に、50%水酸化ナトリウム水溶液69gを、1時間徐々に投入した。投入が完了すれば、75℃で20時間反応させ、冷却を実施した。冷却後、未反応原料を除去するために、精製反応として、水1,938.98gと50% NaOH 107.42gとを投入し、1時間75℃で撹拌した。
【0186】
撹拌が完了した後、静置を行い、分液を実施した。下層の水分を除去した後、水517gを投入して撹拌した。撹拌後、リン酸を投入し、pHを5~6のレベルに設定した。中和水洗層を除去した後、真空減圧下で、トルエン溶剤を脱気させて除去した。70℃で、真空度200~300Torrに脱気させ、反応溶剤を除去した後、トルエン溶剤を214g投入した。
【0187】
前述のように得られた、末端がビニルベンジル基でキャッピングされたリン含有樹脂は、リン含量が9.5質量%であり、GPC測定の結果、分子量が2,442g/molであった。核磁気共鳴分析法及びFT-IRを利用して構造を確認した。
【0188】
<比較例1:商用リン含有樹脂使用>
商用リン含有樹脂であるSPV-100(大塚化学(株))を使用した。
【0189】
<末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂組成物製造>
実施例1~4による、末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂組成物内におけるリン含量を2.5質量%に合わせ、末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂組成物(ワニス)を下記表1に記載されているような含量で混合させて製造した。
【0190】
前記ワニスを製造する具体的な内容は、下記の通りである。
【0191】
硬化剤は、多官能基であるTAIC(トリアリルイソシアヌレート;triallyl isocyanurate)を使用し、誘電率と誘電特性とにすぐれると知られたポリフェニレンエーテル樹脂であるSA-9000(SABIC社)を使用し、ワニスにおけるリン含量を合わせるために、SA-9000(SABIC社)重量を調節した。硬化促進剤として、DCP(ジクミルペルオキシド;dicumylperoxide)を使用し、その量は、SA-9000に対して、5,000ppm注入した。また、ワニスの固形分を60重量%に合わせるために、MEK(メチルエチルケトン)を追加投入した。
【0192】
<商用リン含有樹脂組成物の製造>
前記実施例1~4による、末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂組成物の代わりに、前記比較例1の商用(市販)リン含有樹脂を使用したことを除いては、前述の、末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂組成物の製造の部分として、敍述されたところと同一に実施し、商用リン含有樹脂組成物を製造した。下記表1に、前記実施例1~4及び比較例1を含む樹脂組成物の配合比を示した。
【0193】
【0194】
<試験例:物性評価方法>
(1)重量平均分子量(Mw)測定
ゲル透過クロマトグラフィ(GPC)(Waters:Waters707)により、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)を求めた。測定する重合体は、4,000ppmの濃度になるように、テトラヒドロフランに溶解させ、GPCに100μlを注入した。GPC移動相は、テトロヒドロフランを使用し、1.0mL/分の流速で流入し、分析は、35℃で行った。カラムは、Waters HR-05,1,2及び4Eを直列で連結した。検出器としては、RI・PAD検知器(RI and PAD detector)を利用し、35℃で測定した。
【0195】
(2)リン含量測定
樹脂内リン含量は、US EPA 3052(Intertec Testing Services Korea Ltd. 依頼調査、US EPA 3052を参照して、酸分解により、ICP発光分光分析装置(ICP-OES)で決定(With reference to US EPA 3052, by acid digestion and determined by ICP-OES))によって調査した。ワニスのリン含量は、ワニス内樹脂含量を基に計算して導出した。
【0196】
(3)NMR測定
Avance 500(Brucker)装備を利用して測定した。
【0197】
(4)プリプレグ製造
ワニスにガラス纎維を含浸させ、常温で1時間自然乾燥させた後、155℃オーブンで乾燥させ、プリプレグを製造した。
【0198】
(5)銅箔積層板製造
前記のように製造されたプリプレグ6枚を重ね、表裏に銅箔(1オンス)を被せ、195℃で、40kgf/cm2圧力下で120分の間、プレッシングして製造した。
【0199】
(6)誘電率測定
前記製造された銅箔積層板を1cm×1cmに切った後、銅箔を剥がし、Agilent E4991A RF Impedance/Material Analyzerを使用し、1GHz下の条件で、誘電定数(Dk)及び誘電損失(Df)を測定した。具体的な測定条件は、以下の通りである。
【0200】
測定周波数:1GHz
測定温度:25~27℃
測定湿度:45~55%
測定試料厚:1.5mm
【0201】
(7)ガラス転移温度(Tg)測定
前述の実施例1~4及び比較例1で製造した銅箔を、DSC測定TA Instruments DSC Q2000を利用し、30℃で350℃まで、分当たり20℃の昇温速度で測定した。
【0202】
(8)難燃性測定
UL-94方法によって測定した。
【0203】
前述の方法で測定された物性を、下記表2に記載した。
【0204】
【0205】
前記表2から分かるように、実施例1ないし4の樹脂が比較例1に比べ、短いゲル化時間を有し、それは、比較例1よりも、架橋反応を介し、硬化にさらに参与することを意味する。重要物性であるガラス転移温度と誘電特性とにすぐれることを確認することができた。従って、本発明による、末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂は、末端に含まれた不飽和基により、誘電率及び誘電損失係数を低減させることができるだけではなく、高いリン含量を基に、すぐれたレベルの難燃性を示す。
【0206】
前述の実施例及び比較例は、本発明について説明するための例示であり、本発明は、それらに限定されるものではない。本発明が属する技術分野で当業者であるならば、それらから多様に変形し、本発明実施が可能であるので、本発明の技術的保護範囲は、特許請求の範囲によって定められるものである。
【産業上の利用可能性】
【0207】
本発明による、末端が不飽和基でキャッピングされたリン含有樹脂は、末端に含まれた不飽和基により、誘電率及び誘電損失係数を低減させることができるだけではなく、高いリン含量を基に、すぐれたレベルの難燃性を示す。
【国際調査報告】