(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-13
(54)【発明の名称】軸方向磁束マシンの固定子の冷却機構
(51)【国際特許分類】
H02K 9/19 20060101AFI20220906BHJP
【FI】
H02K9/19 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577899
(86)(22)【出願日】2020-07-08
(85)【翻訳文提出日】2022-02-25
(86)【国際出願番号】 EP2020069177
(87)【国際公開番号】W WO2021005084
(87)【国際公開日】2021-01-14
(32)【優先日】2019-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521567103
【氏名又は名称】マグナックス ベーフェー
【氏名又は名称原語表記】MAGNAX BV
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ライネン,ペーター
【テーマコード(参考)】
5H609
【Fターム(参考)】
5H609BB01
5H609BB19
5H609PP02
5H609PP05
5H609PP06
5H609PP08
5H609PP09
5H609QQ01
5H609QQ08
(57)【要約】
一実施形態によれば、軸方向磁束マシンの固定子(100)が開示され(100)、軸方向磁束マシンの回転軸に対応する中心軸(103)と、冷却流体を供給及び排出するためのポートと、冷却流体(600)を中心軸(103)を中心として接線方向に流すための外側冷却チャネル(201、301-302)を備える外側構造(101)と、冷却流体を中心軸(103)を中心として接線方向に流す(601)ための内側冷却チャネル(202)を備える内部構造(102)と、対称的に配置された固定子要素(105)を備える中間構造(106)とを備えており、固定子要素は、強磁性コア(500)と、強磁性コア(500)の周りに巻かれたターン(501~504)を備えるコイルとを備えており、固定子(100)は、さらに、外側冷却チャネル(201、301-302)及び内側冷却チャネル(202)間で冷却流体を案内するように構成された案内壁(104)を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向磁束マシンための固定子(100)であって、
取り付けられたときに前記軸方向磁束マシンの回転軸に対応する中心軸(103)と、
冷却流体を供給及び排出するための第1及び第2のポートと、
前記中心軸(103)を中心に同軸に配置された内側構造(102)、中間構造(106)、及び外側構造(101)と、
を備え、
前記中間構造(106)が前記内側構造(102)と前記外側構造(101)との間に配置され、
前記外側構造が、冷却流体が前記中心軸(103)を中心に接線方向(600)に流れるように構成された外側冷却チャネル(201、301-302)を備えており、
前記内部構造(102)が、冷却流体が前記中心軸(103)に対して接線方向(601)に流れるように構成された内側冷却チャネル(202)を備えており、
前記中間構造(106)が、対称に配置された複数の固定子要素(105)を備え、1つの固定子要素は、強磁性コア(500)と、前記強磁性コア(500)の周りに巻かれた複数のターン(501~504)を備えるコイルとを備えており、
前記固定子(100)は、さらに、前記固定子要素の間に配置された複数の案内壁(104)をさらに備えており、これにより、流体通路(610、710-711、720-721)を通って流れる流体を前記コイルに押し付けて強制的に流すように、前記外側冷却チャネル(201、301-302)及び内側冷却チャネル(202)間に流体通路(610、710-711、720-721)を規定することを特徴とする固定子。
【請求項2】
請求項1に記載の固定子(100)において、
前記案内壁(104)のそれぞれが、2つの隣接する固定子要素の間に配置され、半径方向に延在することを特徴とする固定子。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の固定子(100)において、
前記ターン(501~504)が、コイルの2つ以上の隣接して巻かれた連続ターン間の間隔を形成するように配置され、間隔が前記外側冷却チャネル(201、301-302)及び内側冷却チャネル(202)間の流体通路として半径方向チャネル(510~512)を形成するように配置され、
前記案内壁(104)は、さらに、冷却流体が前記半径方向チャネル(510~512)を通って強制的に流れるように構成されることを特徴とする固定子。
【請求項4】
請求項3に記載の固定子(100)において、
前記ターン(501~504)が、第2の端部よりも大きい第1の端部を備える先細状の断面を有し、前記半径方向チャネルがV字形の断面を備えるように前記ターンが巻かれたときに、前記第1の端部が前記強磁性コアに面することを特徴とする固定子。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の固定子(100)において、
前記流体通路(610)を通って流れる流体がすべて、前記外側冷却チャネル(201)から前記内側冷却チャネル(202)へ、またはその逆に流れるように、前記外側冷却チャネル(201、301-302)が第1のポートを備え、前記内側冷却チャネル(202)が第2のポートを備えることを特徴とする固定子。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか一項に記載の固定子(100)において、
前記外側チャネル(301-302)が仕切り(303)を備え、これにより、第1の仕切られた外側チャネル(301)および第2の仕切られた外側チャネル(302)を形成し、
前記第1の仕切られた外側チャネル(301)が前記第1のポートを備え、前記第2の仕切られた外側チャネル(302)が前記第2のポートを備えており、これにより、前記流体通路(710-711、720-721)が交互のパターンに従って配置され、流体が前記第1の仕切られた外側チャネル(301)から前記内側冷却チャネル(202)に流れる流体通路(710-711)と、流体が前記内側冷却チャネル(202)から前記第2の仕切られた外側チャネル(302)に流れる流体通路(720-721)とを備えることを特徴とする固定子。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の固定子(100)において、
前記中間構造(106)が、さらに、前記固定子(100)の外面をシールするように配置された環状カバー(401)を備えることを特徴とする固定子。
【請求項8】
請求項7に記載の固定子(100)において、
前記環状カバー(401)が、前記環状カバー(401)を形成するように構成された複数の構造要素を備えることを特徴とする固定子。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の固定子(100)において、
前記外側構造(101)が、前記外側構造(101)を形成するように構成された複数の構造モジュールを備えることを特徴とする固定子。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の固定子(100)において、
前記案内壁(104)が電気絶縁材料を備えることを特徴とする固定子。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の固定子(100)において、
前記案内壁は、約0.1mmから約1.0mm、好ましくは約0.5mmの厚さを有することを特徴とする固定子。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の固定子(100)を備える軸方向磁束マシン。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に記載の軸方向磁束マシンのための固定子(100)を冷却する方法において、
冷却流体を、前記中心軸(103)を中心に、前記外側冷却チャネル(201、301-302)及び前記内側冷却チャネル(202)を通して接線方向に流すステップと、
前記冷却流体を、前記案内壁(104)によって規定された前記流体通路(610、710-711、720-721)を通して前記外側冷却チャネル(201、301-302)及び前記内側冷却チャネル(202)間に流すことにより、前記コイルに押し付けて強制的に流すステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、軸方向磁束マシン用の固定子の分野に関する。より具体的には、本発明は、そのような固定子を冷却するための冷却機構および冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
軸方向磁束マシンは、様々な異なる用語の下で当技術分野で知られているタイプの電気機械である。特に、限定されないが、ヨークレスおよびセグメント化アーマチュア(YASA)モータまたは発電機、ヨークレス軸方向磁束機、軸方向エアギャップ電子モータまたは発電機、軸方向磁束永久磁石機、または単に軸方向磁束マシンと称される。これらの用語は、そのような機械の特定の実施形態を示し得るが、以下の説明では、軸方向磁束マシンという用語が使用される。それにもかかわらず、軸方向磁束マシンの基本原理は引き続き適用可能であることが理解されよう。
【0003】
基本原理は、概して、軸方向磁束マシンが、中心軸と同軸に配置された円板状またはリング状の回転子および固定子構造を備えることである。典型的には、固定子は、複数の固定子要素を含み、それぞれの固定子要素は、前記中心軸の周りに回転対称に配置されたコイルおよび強磁性コアを含み、回転子は、中心軸の周りを回転できるようにベアリングに取り付けられた永久磁石のセットを含む。動作条件に応じて、回転子は固定子から発生する磁場によって駆動されるため機械はモータとして動作するか、風車などの外力によって駆動されるため発電機として動作する。他の電気機械と比較して軸方向磁束マシンは、より高い電力密度を有する。換言すれば、それはより軽いマシンであるが、他のマシンと比較して同様のパワーを有している。
【0004】
軸方向磁束マシンが作動すると、その固定子の内部で熱が放散される。安全上の理由だけでなく、機械の効率のためにも、熱を排出する必要がある。例えば、WO2010/092400には、軸方向磁束マシンが2つの環状プレートおよび2つの円筒形壁を有する固定子ハウジングを含む固定子が開示されている。この環状プレートは、固定子要素のシューを受け入れるためのポケットを含み、固定子の2つのクラムシェルハウジングが一緒に組み立てられるときに、複数の固定子要素を配置するのに役立つ。さらに、組み立てられるときに、固定子ハウジングは、それらを冷却するために、非導電性液体などの冷却流体が固定子要素間の空間にポンプで送られることを可能にするポートを備えている。
【0005】
したがって、放散された熱を排出するために、冷却流体は固定子を通してポンプで送られ、熱が吸収されると、冷却流体は排出される。しかしながら、欠点は、冷却流体が制御されない方法で固定子内を流れ、局所的な流れの渦を引き起こし、固定子に大きな温度勾配を引き起こす可能性があることである。これにより、専用スポットに熱が集中するなどの望ましくない状況が発生し、固定子の機能が低下する可能性がある。これは、冷却流体の非効率的な使用につながり、その結果、放散された熱を排出するための固定子の容量がより少なくなり、このため、電力および効率が低下する。同様の対応する欠点を伴う同様の解決策が、CN109474114に開示されている。
【0006】
別の解決策は、DE102014221648に提示されている。それは、固定子と回転子との間のエアギャップに近い領域までの固定子コアの改善された冷却を目標とする、L字形またはU字形の断面を有する冷却チャネルの構成を開示する。この冷却チャネルの構成は、円周方向の2つのチャネルと、双方の円周方向チャネルを接続する半径方向のチャネルとを含む。冷却チャネルの配置は隣接しており、半径方向のチャネルは固定子のカバーの固定子の外面に配置されている。したがって、利用可能な冷却チャネルはコイルから完全に分離されており、冷却チャネルを流れる流体はコイルと接触しない。その結果、コイルの効率的な冷却が得られない。
【0007】
したがって、本発明の目的は、上記の欠点を軽減し、改善された冷却システムを有する固定子を提供することである。
【発明の概要】
【0008】
この目的は、第1の態様によれば、軸方向磁束マシン用の固定子によって達成され、この固定子は、
取り付けられたときに前記軸方向磁束マシンの回転軸に対応する中心軸と、
冷却流体を供給及び排出するための第1及び第2のポートと、
前記中心軸を中心に同軸に配置された内側構造、中間構造、及び外側構造と、
を備え、
前記中間構造が前記内側構造と前記外側構造との間に配置され、
前記外側構造が、冷却流体が前記中心軸を中心に接線方向に流れるように構成された外側冷却チャネルを備えており、
前記内部構造が、冷却流体が前記中心軸に対して接線方向に流れるように構成された内側冷却チャネルを備えており、
前記中間構造が、対称に配置された複数の固定子要素を備え、1つの固定子要素は、強磁性コアと、前記強磁性コアの周りに巻かれた複数のターンを備えるコイルとを備えており、
前記固定子は、さらに、前記固定子要素の間に配置された複数の案内壁をさらに備えており、これにより、流体通路を通って流れる流体を前記コイルに押し付けて強制的に流すように、前記外側冷却チャネル及び内側冷却チャネル間に流体通路を規定する。
【0009】
固定子は、3つの主要部分、すなわち、内側構造、中間構造、および外側構造からなる。これらの3つのパーツは、共通の中心軸として取り付けられた場合、軸方向磁束マシンの回転軸の周りに同軸に配置される。より具体的には、内側構造は中心軸に最も近く配置され、外側構造は中心軸から最も離れて配置され、中間構造は内側構造と外側構造の間に配置される。
【0010】
固定子は、冷却流体を供給および排出するための2つのポートをさらに備えている。例えば、第1のポートは冷却流体を固定子に供給し、第2のポートは冷却流体を固定子から排出する。第1のポートと第2のポートの機能を逆にすることもでき、すなわち、第1のポートは排出用であり、第2のポートは供給用となる。したがって、固定子は、冷却流体を固定子に循環させるための2つのポートをさらに備えることに留意されたい。循環は、さらに、外部ポンプによって駆動され、この場合、外部ポンプは固定子の一部を形成しない。第1および第2のポートは、固定子の異なる位置に配置することができ、これは、様々な実施形態によってさらに示されるであろう。
【0011】
外側構造は、冷却流体が流れる外側冷却チャネルを含む。流れるときに、冷却流体は中心軸の周りを接線方向に流れ、これは、中心軸の周りの循環的な流れを表す。
【0012】
内側構造は、同様に、冷却チャネル、内側冷却チャネルを含み、それを通って冷却流体が中心軸の周りを接線方向に流れ、これは、中心軸の周りの循環的な流れを表す。
【0013】
中間構造は、複数の対称的に配置された固定子要素を含む。固定子要素は、強磁性コアと、強磁性コアの周りに巻かれた複数のターンとを含む。このようにして、ターンはコアに巻かれたコイルを形成する。したがって、強磁性コアとコイルは、軸方向磁束マシンに適した電磁石を形成する。
【0014】
固定子は、それが複数の案内壁を含むという点でさらに特徴付けられる。案内壁は固定子要素の間にある。このようにして、複数の案内壁は外側と内側の冷却チャネル間の流体通路を規定する。これは、冷却流体が隣接する固定子要素の間を外側から内側の冷却チャネルに、またはその逆に流れ、それによって案内壁によって導かれることを意味する。
【0015】
したがって、冷却流体は、中心軸の周りの接線方向に内側および外側冷却チャネルを通って流れる。次に、冷却流体は、内側及び外側冷却チャネル間の固定子を通って半径方向に流れるように強制される。この強制は、内側チャネルと外側チャネルの間で制御された方法で冷却流体を案内するように構成された案内壁によって達成される。
【0016】
案内壁は、冷却流体の流体力学、外部ポンプの力によって加えられる流量、および冷却チャネルの寸法に適応するように設計されている。したがって、案内壁の形状とその材料は、リストされたこれらのパラメータに適合する。
【0017】
案内壁はさらに、冷却流体を外側から内側の冷却チャネルに導くか、内側の冷却チャネルから外側冷却チャネルに導くか、又は、冷却流体を双方向に導くように適合され、これにより、流れの方向は、冷却流体と第1及び第2ポートの位置とに加えられる力によって決定される。これは、固定子のさまざまな実施形態によってさらに説明される。
【0018】
さまざまな利点が確認されている。第一に、コイル間にスペースを備えた内側および外側冷却チャネルのみを提供する代わりに、案内壁は、冷却流体が内側チャネルと外側チャネルとの間で所定の方法で流れるように強制する。したがって、制御されていない冷却流体の流れに依存する代わりに、流れが強制され、それによって、固定子内の特定の位置での流体の経路および流動速度の双方を制御する。このようにして、冷却媒体流体の経路および速度を最適化して、固定子から最大量の熱を抽出することができる。
【0019】
第二に、流れの経路と速度が制御されるため、冷却流体が固定子内にとどまる時間は、それに加えられる力によって同様に制御され得る。このようにして、その冷却能力の観点から冷却流体をこの時間に適合させることができ、そうでなければ、時間を冷却流体の冷却能力に適合させることができる。
【0020】
第三に、固定子内の特定の位置での流体経路と速度が制御されるため、固定子の冷却も効率的に制御される。その利点は、熱集中が回避され、固定子内の温度勾配が所望のレベルに制限されることである。
【0021】
案内壁は、流体通路を通って流れる流体をコイルに押し付けて強制的に流すように配置されている。これは、固定子要素の間を流れている間、流体をコイルのターンに沿ってコイルに押し付けて強制的に流すことを意味する。したがって、案内壁が内側チャネルと外側チャネルの間で冷却流体を案内するとき、冷却流体はさらにコイルに押し付けられ、それによってコイルと直接接触する流体の割合を増加させ、コイルと直接接触することなくコイルを通過する流体の割合を最小限に抑える。
【0022】
したがって、当技術分野で知られている固定子の固定子要素間に存在するギャップのために、熱を吸収することができるポンプで送られる冷却流体のごく一部の代わりに、ギャップによってほとんどの流体が固定子要素間を制限なく通過し、必ずしもコイルと接触することなく、ガイド壁により、冷却流体のかなりの部分がコイルに押し付けられて流れるようになる。
【0023】
軸方向磁束マシンが動作しているときに、電流がコイルを流れ、銅損のために熱が放散される。このため、コイルを冷却する必要がある。したがって、冷却流体をコイルに押し付けて強制的に流すことにより、コイルは効率的な方法で冷却される。
【0024】
一実施形態によれば、各案内壁は、2つの隣接する固定子要素の間に配置され、半径方向に延在する。例えば、一実施形態では、案内壁は、半径方向に延びる細長い本体を有する。一実施形態では、固定子要素と案内壁は交互になり、すなわち、案内壁は、隣接する固定子要素の各対の間に存在する。案内壁は、中心軸を中心とした回転対称パターンに従って配置される。
【0025】
一実施形態によれば、各案内壁は、2つの隣接する固定子要素の間に配置され、半径方向に延在する。例えば、ターンが、コイルの2つ以上の隣接して巻かれた連続ターン間の間隔を形成するように配置され、間隔が前記外側冷却チャネル及び内側冷却チャネル間の流体通路として半径方向チャネルを形成するように配置され、前記案内壁は、さらに、冷却流体が半径方向チャネルを通って強制的に流れるように構成される。
【0026】
ターンが強磁性コアの周りに巻かれ、それによってコイルを形成するとき、ターンは、チャネルがコイルに形成されるように配置または構成される。これらのチャネル、半径方向チャネルは、冷却流体がその中に流れるようにさらに構成される。したがって、本明細書の続きでは、流体通路という用語は、半径方向チャネルを示すためにも使用される。さらに、案内壁は、冷却流体を案内するときに、冷却流体が半径方向チャネルに向かって、及び半径方向チャネルの内側に案内されるように構成されている。このようにして、冷却流体と接触するコイルおよびコアの表面積が拡大され、その結果、コイルおよび/または強磁性コアによって放散される熱は、さらに効率的な方法で排出される。
【0027】
一実施形態によれば、ターンが、第2の端部よりも大きい第1の端部を備える先細状の断面を有し、前記半径方向チャネルがV字形の断面を備えるように前記ターンが巻かれたときに、前記第1の端部が前記強磁性コアに面する。
【0028】
好適には、ターンは、一方の端部である第1の端部が反対側の端部である第2の端部よりも大きい先細状の断面を有する。したがって、断面の形状は、先細状、平坦状、または切頂である。換言すれば、先細の形状は、三角形またはL字形などの様々な形状を含み、それにより、側面間の角をさらに丸くする。ターンが巻かれ、それによって半径方向チャネルが形成されると、断面の大きい方の端である第1の端は強磁性コアの方を向き、小さい方の端である第2の端は強磁性コアの反対側を向く。このように、半径方向チャネルはV字形の断面を持する。V字形は、強磁性コアの円周から離れるときに半径方向チャネルの幅が大きくなることを意味する。このようにして、冷却流体と接触しているコイルの表面積がさらに拡大され、それにより、流体のコイルからの熱の伝達がさらに強化される。
【0029】
冷却流体を供給および排出するための第1及び第2のポートが専用の場所に配置される、固定子の異なる実施形態について、次にさらに説明する。
【0030】
一実施形態によれば、流体通路を通って流れる流体がすべて、前記外側冷却チャネルから前記内側冷却チャネルへ、またはその逆に流れるように、前記外側冷却チャネルが第1のポートを備え、前記内側冷却チャネルが第2のポートを備える。
【0031】
したがって、第1のポートは、外側冷却チャネルに結合または接続される。この第1のポートを通して、冷却流体は、外側冷却チャネルに供給または排出さ得る。次に、第2のポートが内側冷却チャネルに結合される。第1のポートの機能、すなわち冷却流体の排出または供給に応じて、第2のポートの機能は補完的になる。したがって、第1のポートが冷却流体の供給に使用される場合、第2のポートは冷却流体を排出する。その逆も同様である。
【0032】
冷却流体は、外側と内側の冷却チャネルの間を半径方向に流れる。冷却流体は、外側冷却チャネルから内側の冷却チャネルに、またはその逆に流れる。
【0033】
第1のポートが冷却流体を供給するためのものである場合、冷却流体は外側冷却チャネルの固定子に入り、案内壁が冷却流体を内側の冷却チャネルに向けて案内する。次に、冷却流体は、内側の冷却チャネルに結合された第2のポートによって固定子から排出される。冷却流体が固定子内にあるとき、冷却流体はその中で放散された熱を吸収し、したがって熱は固定子から排出される。次に、冷却流体が再び固定子の外側で冷却されると、冷却流体は再び固定子に供給するのに適したものになる。すでに強調したように、冷却流体の供給は、内側の冷却チャネルを介して実行され、それを排出するために外側冷却チャネルに導かれる。
【0034】
別の実施形態によれば、外側チャネルが仕切りを備え、これにより、第1の仕切られた外側チャネルの仕切られた外側チャネルを形成し、前記第1の仕切られた外側チャネルが前記第1のポートを備え、前記第2の仕切られた外側チャネルが前記第2のポートを備えており、これにより、前記流体通路ターンに従って配置され、流体が前記第1の仕切られた外側チャネルから前記内側冷却チャネルに流れる流体通路と、流体が前記内側冷却チャネルから前記第2の仕切られた外側チャネルに流れる流体通路とを備える。
【0035】
仕切りは、外側チャネルを2つの隣接する外側チャネル、つまり第1と第2の仕切られた外側チャネルに分割する。次に、第1および第2のポートは、それぞれ、第1および第2の仕切られた外側チャネルに接続または結合される。内側チャネルには、ポートが接続も結合もされていない。
【0036】
第1のポートに冷却流体が供給され、第2のポートを介して冷却流体が排出される。すでに強調したように、ポートの機能を逆し得る。ここでは、第1のポートが供給ポートとして機能している実施形態について説明する。
【0037】
冷却液は、第1のポートから供給され、第1の仕切られた外側チャネルを介して固定子に入る。次に、案内壁は、中間構造を通って冷却流体を内側冷却チャネルに案内する。
【0038】
内側の冷却チャネルは冷却流体を受け、次に、案内壁が流体を中間構造を通して第2の仕切られた外側チャネルに導く。したがって、冷却流体は、第1の仕切られた外側冷却チャネルから中間構造を通って内側冷却チャネルに到達し、再び第2の仕切られた外側冷却チャネルに戻る経路をたどる。
【0039】
冷却流体が同じ流体通路内で2つの反対方向に中間構造を通って案内されることを回避するために、案内壁はさらに、回転対称パターンに沿って半径方向に交互の方向に冷却流体を案内するように構成される。例えば、中間構造を通る隣接する流体通路は、それぞれ第1及び第2の仕切られた外側冷却チャネルに結合された交互な方法で端部が外側冷却チャネルに向いている。このようにして、それぞれ、第1の仕切られた外側冷却チャネルを内側冷却チャネルに接続し、第2の仕切られた外側冷却チャネルを内側冷却チャネルに接続する流体通路の交互のパターンが生じる。
【0040】
一実施形態によれば、中間構造が、さらに、前記固定子の外面をシールするように配置された環状カバーを備える。
【0041】
冷却流体が固定子内に留まるようにするために、中間構造は、固定子の外面をシールする環状カバーでさらに覆われている。この環状カバーは、完全な一体性を構成する。代替的に、環状カバーは、一緒に環状カバーを形成する複数の構造要素を含んでいる。次に、構造要素が外面に配置され、それによって環状カバーを構成する。
【0042】
一実施形態によれば、外側構造が、前記外側構造を形成するように構成された複数の構造モジュールを備える。
【0043】
外側冷却チャネルを含む外側構造は、仕切られているかどうかにかかわらず、複数のビルディングブロック、構造モジュールから構成することができ、これらは、一緒に結合および/または接続することができ、それによって外側構造を含む。
【0044】
一実施形態によれば、案内壁が電気絶縁材料を備える。
【0045】
電気絶縁材料を使用することにより、軸方向磁束マシンで使用する場合、案内壁が固定子の機能に影響を与えることはない。さらに、これはその安全性を高める。
【0046】
案内壁は、例えばポリマーを含む。これもまた、固定子の重量を減らすため、利点である。
【0047】
一実施形態によれば、案内壁は、約0.1mmから約1.0mm、好ましくは約0.5mmの厚さを有する。
【0048】
第2の態様によれば、本発明は、第1の態様による固定子を含む軸方向磁束マシンに関する。
【0049】
第3の態様によれば、本発明は、第1の態様による軸方向磁束マシンの固定子を冷却するための方法に関し、この方法は、
冷却流体を、前記中心軸を中心に、前記外側冷却チャネル及び前記内側冷却チャネルを通して接線方向に流すステップと、
前記冷却流体を、前記案内壁によって規定された前記流体通路を通して前記外側冷却チャネル及び前記内側冷却チャネル間に流すことにより、前記コイルに押し付けて強制的に流すステップと、
を備える。
【図面の簡単な説明】
【0050】
いくつかの例示的な実施形態を、添付の図面を参照して説明する。
【
図1】
図1は、本発明の実施形態による軸方向磁束機の固定子を示している。
【
図2】
図2は、外側冷却チャネルを含む説明のために、断面が開いた軸方向磁束機の固定子を示している。
【
図3】
図3は、仕切られた外側冷却チャネルを含む説明のために、断面が開いた軸方向磁束機の固定子を示している。
【
図4】
図4は、環状カバーを含む説明目的で断面が開いている軸方向磁束機の固定子を示している。
【
図5】
図5は、強磁性コアに巻かれたターンを示しており、ターンは放射状チャネルを形成している。
【
図6】
図6は、外側冷却チャネルを含む実施形態による、固定子内の冷却流体の流れの経路を示している。
【
図7】
図7は、仕切られた外側冷却チャネルを含む一実施形態による、固定子内の冷却流体の流れの経路を示している。
【
図8】
図8は、供給および排出ポートの概略図を備えた外側冷却チャネルを含む一実施形態による、固定子内の冷却流体の流れの経路を示している。
【
図9】
図9Aは、V字形の断面を有するターンを含む固定子要素を示す。
図9Bは、V字形の断面を含むターンの詳細図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1には、軸方向磁束機の固定子が示されている。固定子100は、固定子100が軸方向磁束機の中に取り付けられたときの軸方向磁束機の中心軸に対応する中心軸103を備える。固定子100は、外側構造101、内側構造102、および中間構造106をさらに含む。中間構造106は、固定子要素105などの複数の対称的に配置された固定子要素を含む。固定子要素105は、
図5にさらに示されている。固定子要素105は、強磁性コア500と、強磁性コア500の周りに巻かれたターン501~504とを含み、それによって電磁石を形成する。固定子100は、案内壁104などの案内壁をさらに備える。
図1の実施形態では、案内壁104は、半径方向に延びる細長い形状を有する。さらに、案内壁104は、隣接する固定子要素105の各対の間に配置される。 。
【0052】
図2では、説明の目的で、開放部分を備えた固定子200がさらに示されている。この例示的な図では、外側構造101が外側冷却チャネル201を含み、内側構造102が内側冷却チャネル202を含むことが観察される。外側201および内側202の冷却チャネルの双方が、中心軸103の周りに接線方向に延在し、冷却流体が中心軸103の周りに接線方向に流れるように配置されている。案内壁104はさらに、冷却流体が中間構造106を通って外側101と内側102の構造との間を流れて固定子要素105、特にそのターン501~504を冷却するように配置される。ここで、冷却流体がたどる経路を
図6を参照してさらに説明する。
【0053】
図6には、
図2の実施形態に係る固定子200内の冷却流体の流れの通路または経路が示されている。冷却流体がたどる経路は、外側冷却チャネル201の線600、中間構造106の線602および603などの矢印を含む線で示されている。この実施形態では、冷却流体は供給ポートを介して外側冷却チャネル201に供給される。この供給ポートは図示されていないが、供給ポートは、軸方向磁束機の固定子に冷却流体を供給するための当技術分野で知られているポートであることを理解されたい。
【0054】
冷却流体は、外側冷却チャネル201に供給され、ライン600に示すように、ステータ100、200の中心軸103を中心に外側冷却チャネル201内を接線方向に循環する。冷却流体が外側201と内側202の冷却チャネルの間の流体通路610などの流体通路を通過するとき、案内壁104などの案内壁は、固定子要素105のターン501~504に対して冷却流体を中間構造106に案内する。これが、線602及び603によって示されている。これは、
図5を参照してさらに説明される。
【0055】
強磁性コア500および強磁性コア500の周りに巻かれたターン501~504に加えて、固定子要素105は、ラジアルチャネル510~512を備える。ラジアルチャネル510~512は、ターン501~504の配置によって生じる。ラジアルチャネル510~512は、冷却流体が流れる外側チャネル201と内側チャネル202との間に流体通路を形成する。
【0056】
放射状チャネル510~512の形状は、V字形、長方形、三角形、切頂、または流体通路として使用するのに適した他の任意の形状であり得る。さらに、ラジアルチャネル510~512の形状は、ターン501~504の断面の形状、およびターン501~504が強磁性コア500の周りに巻かれる方法によって決定されることを理解されたい。次に、
図9Aおよび
図9Bを参照して、ラジアルチャネルをさらに説明する。
【0057】
図9Aには、中間構造106の断面が示されている。図示の断面900は、2つの固定子要素を含み、各固定子要素は、一組のターンと、固定子要素のコイルとの間の案内壁104とを含む。この図は、
図4を参照してさらに説明される、上側および下側にシーリング401をさらに含む。
図9Aの右側に示されているターン901は、ここで、詳細A902を参照して説明されており、
図9Bにさらに示されている。ラジアルチャネル904はV字形であり、外側構造201と内側構造202との間で冷却流体を案内するように構成されている。V字形の端部の幅905は、ターン901の寸法によって決定される。ターン901は、その上部906でさらに丸みを帯びており、それにより、鋭いエッジを回避する。これは、固定子100が組み立てられるときにガイド壁104を損傷するリスクを低減する。さらに、ラジアルチャネル904をV字形に成形することにより、ターンを冷却するための表面が拡大され、それにより、固定子要素105およびそのターン501~504を冷却する効率が向上する。
【0058】
再び
図6を参照すると、冷却流体は、ガイド壁104によって、流体通路610を通ってターン501~505に対して導かれ、その結果、冷却流体は、半径方向チャネル510~512を通って内側冷却チャネル202に流れる。冷却流体がラジアルチャネル510~512を通って流れるとき、それは、固定子100、200が軸方向磁束機、特にそのターン501~505で動作するときに放散される固定子要素105から熱を吸収する。
【0059】
次に、冷却流体は、矢印601によって示される内側冷却チャネル202に収集される。したがって、内側冷却チャネル202内の冷却流体は、外側冷却チャネル201内の冷却流体と比較してより高い温度を有する。次に、排水ポートによって内側冷却チャネル202から排出される。
【0060】
循環の方向も逆にすることができ、すなわち、内側冷却チャネル202から通路510~512を通って外側冷却チャネル201に至る。しかしながら、機能は、図示された実施形態と同様であることを理解されたい。
【0061】
冷却流体の流れの方向は、
図8にさらに概略的に示されている。符号800は、外側冷却チャネル201の供給ポートを示し、符号801は、内側冷却チャネル202の排出ポートを示す。したがって、
図8は、冷却流体が外側冷却チャネル201から中間構造106を通って内側冷却チャネル202に流れる実施形態を示している。符号802は、冷却流体が中心軸103の周りを接線方向に流れる外側冷却チャネル201を示している。そして、冷却流体は、中間構造105を通って804を流れ、内側冷却チャネル803に入る(線808)。
【0062】
別の実施形態によれば、冷却流体はまた、外側冷却チャネル201から内側冷却チャネル202に、またはその逆に流れる経路とは別の経路をたどる。その他の実施形態は、
図3および
図7を参照して説明される。
【0063】
図3には、固定子300の実施形態が示され、これにより、外側冷却チャネルは、仕切り303を介して2つの外側冷却チャネル301および302に仕切られる。内側冷却チャネル202は1つの仕切りを含み、これは
図2に示される実施形態の内側冷却チャネル202に対応する。この実施形態300では、供給ポートおよび排水ポートは、第1の外側冷却チャネル301および第2の外側冷却チャネル302にそれぞれ接続されている。
【0064】
この実施形態300の説明の続きにおいて、冷却流体を供給するための供給ポートは、第1の外側冷却チャネル301に接続され、排出のためのポートは、第2の外側冷却チャネル302に接続されると考えられる。 しかしながら、ポートの接続を逆にすることができることに留意されたい。
【0065】
冷却流体がたどる経路は、
図7を参照してさらに説明される。冷却流体は、供給ポート700を通って固定子300に入る。次に、冷却流体は、中間構造106を通って内側冷却チャネル202に向かって流れる。この実施形態300では、第1の外側冷却チャネル301は、中間構造106の流体通路に交互に接続されたパターンを通る。したがって、冷却流体が第1の外側冷却チャネル301に入るとき、冷却流体は、流体通路710~711および712~713を通って内側冷却チャネル202に流れる。したがって、710~711および712~713などの流体通路の交互のパターンが存在する。次に、内側冷却チャネル202内の冷却流体は、通路720~721および722~723を介して第2の外側冷却チャネル302に流れる。したがって、固定子の周囲にわたって、第1の外側冷却チャネル301を内側冷却チャネル202に接続し、内側冷却チャネル202を第2の外側冷却チャネル302に接続する交互の方法である流体通路のパターンが生じる。
【0066】
ここで、
図4を参照すると、実施形態200および実施形態300に係る固定子は、環状カバー401によって覆われている。環状カバー401は、固定子要素105を保護するだけでなく、冷却流体が固定子内に留まり、流体通路が十分に密閉される確実にする。したがって、環状カバー401は、
図9Aに示すように、ガイド壁に結合または接続される。環状カバー401は、カバー全体で作ることができ、またはパーティションまたは構築モジュールでできて、カバー401から固定子の外面を覆う。固定子のすべての外面が密封されるように、固定子の両側にシールカバー401が配置されている。
【0067】
本発明は特定の実施形態を参照することによって例示されてきたが、本発明が上述の例示的な実施形態の詳細に限定されず、本発明が、その範囲から逸脱することなく、様々な変更および修正で具体化され得ることは当業者には明らかであろう。したがって、本実施形態は、すべての点で例示的であり、限定的ではないと見なされるべきであり、本発明の範囲は、上述の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、したがって、特許請求の範囲の意味および同等性の範囲内にあるすべての変更は、そこに含まれることが意図されている。換言すれば、基本的な基礎原理の範囲内にあり、本質的な属性が本特許出願で主張されているいくつかの及びすべての修正、変形、または同等物をカバーすることが意図されている。さらに、本特許出願の読者は、「含んでいる」または「含む」という用語が他の要素またはステップを除外しないこと、「1つの」または「1つの」という用語が複数を除外しないこと、およびコンピュータシステム、プロセッサ、または別の統合ユニットなどの単一の要素は、特許請求の範囲に記載されたいくつかの手段の機能を果たすことを理解するであろう。請求項内の参照番号は、関連するそれぞれのクレームを限定するものとして解釈されないものとする。明細書または特許請求の範囲で使用される場合、「第1の」、「第2の」、第3の」、「a」、「b」、「c」などの用語は、類似の要素またはステップを区別するために導入され、必ずしも連続的または時系列の順序を記述しているわけではない。同様に、「上」、「下」、「上方」、「下方」などの用語は、説明の目的で導入されており、必ずしも相対的な位置を示すものではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、本発明の実施形態は、他の順序で、または上記で説明または図示されたものとは異なる方向で本発明に従って動作することができることに留意されたい。
【国際調査報告】