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特表2022-539775レール軌道上の車輪を検出するための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-13
(54)【発明の名称】レール軌道上の車輪を検出するための装置
(51)【国際特許分類】
   G01P 13/00 20060101AFI20220906BHJP
   B61L 1/18 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
G01P13/00 E
B61L1/18 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021577925
(86)(22)【出願日】2020-06-25
(85)【翻訳文提出日】2022-02-16
(86)【国際出願番号】 EP2020067836
(87)【国際公開番号】W WO2021004800
(87)【国際公開日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】2023451
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521567583
【氏名又は名称】ビルド コネクテッド ビー. ブイ.
【氏名又は名称原語表記】BUILD CONNECTED B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ファン デル スリーク, マールテン ピム
(72)【発明者】
【氏名】ヘーレス, レイニエル ウィレム
(72)【発明者】
【氏名】クラネンブルク, ウィヘルト ジャン
【テーマコード(参考)】
2F034
5H161
【Fターム(参考)】
2F034AA09
2F034AA15
2F034DC01
2F034DC02
5H161AA01
5H161BB09
5H161DD11
5H161FF01
(57)【要約】
レール軌道上の車輪の運動方向を検出するための方法および装置であって、装置が、磁場を提供するための少なくとも1つの磁石と、提供された磁場の磁束密度または磁束密度の変化を示す磁場値を検知するための磁場センサと、磁場センサと通信する少なくとも1つのプロセッサとを備え、少なくとも1つのプロセッサが、それぞれの時刻に関する複数の磁場値を磁場センサから取得し、装置を通過している車輪の運動方向が取得されるように、取得された複数の磁場値を分析するように構成される、方法および装置が開示される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール軌道上の車輪の運動方向を検出するための装置であって、前記装置が、前記レール軌道の側面または側面近傍に配置されるように構成され、前記装置が、
磁場を提供するための少なくとも1つの永久磁石と、
提供された前記磁場の磁束密度または前記磁束密度の変化を示す磁場値を検知するための磁場センサと、
前記磁場センサと通信する少なくとも1つのプロセッサとを備え、前記少なくとも1つのプロセッサが、
それぞれの時刻に関する複数の前記磁場値を前記磁場センサから取得し、かつ
前記装置を通過している車輪の運動方向が取得されるように、取得された前記複数の磁場値を分析するように構成される、装置。
【請求項2】
前記複数の磁場値を、車輪が存在しないときに前記磁場センサによって検知されるベースライン磁場値と比較して、前記ベースライン磁場値と比較した前記複数の磁場値の相対的な増加とその後の減少または相対的な減少とその後の増加を検出することによって、前記装置を通過している車輪の運動方向が取得されるように、前記プロセッサが、取得された前記複数の磁場値を分析するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記比較することが、
前記装置を通過している前記車輪が第1の運動方向を有すると決定するために、前記複数の磁場値のうちの1つが、第1の時点で、前記ベースライン磁場値よりも大きく、かつ前記複数の磁場値のうちの別の1つが、前記第1の時点の後の第2の時点で、前記ベースライン磁場値よりも小さいか否かを検出し、
前記装置を通過している前記車輪が前記第1の運動方向と異なる第2の運動方向を有すると決定するために、前記複数の磁場値のうちの1つが、第1の時点で、前記ベースライン磁場値よりも小さく、かつ前記複数の磁場値のうちの別の1つが、前記第1の時点の後の第2の時点で、前記ベースライン磁場値よりも大きいか否かを検出することを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記比較することが、
前記複数の磁場値のうちの第1の値と前記ベースライン磁場値との第1の差が、前記ベースライン磁場値を超過する第1の閾値を上回るか、または前記ベースライン磁場値未満の第2の閾値を下回るかを検出し、
前記第1の差が前記第1の閾値を上回るとき、前記装置を通過している前記車輪が、第1の運動方向を有すると決定するために、前記複数の磁場値のうちの、前記第1の値より後の時点に対応する、第2の値と、前記ベースライン磁場値との第2の差が、第3の閾値を下回るか否かを検出し、かつ
前記第1の差が前記第2の閾値を下回るとき、前記装置を通過している前記車輪が、前記第1の運動方向と異なる第2の運動方向を有すると決定するために、前記複数の磁場値のうちの、前記第1の値より後の時点に対応する、第2の値と、前記ベースライン磁場値との第2の差が、第4の閾値を上回るか否かを検出することを含む、請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
取得された前記複数の磁場値のうちの少なくとも1つが、前記レール軌道上の車輪の存在を示す条件を満たすか否かを検出するように、前記少なくとも1つのプロセッサがさらに構成され、取得された前記磁場値が、前記レール軌道上の車輪の存在を示す前記条件を満たすときにのみ、前記車輪の方向を取得するように、前記少なくとも1つのプロセッサが構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記レール軌道上の車輪の存在を示す前記条件が、前記複数の磁場値のうちの少なくとも1つの値と、車輪が存在しないときに前記磁場センサによって検知されるベースライン磁場値との差の絶対値である、所定の第5の閾値を超えるという条件である、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記装置が前記レール軌道の前記側面または前記側面近傍に配置されるとき、前記磁場センサが前記少なくとも1つの磁石および前記レール軌道の長手方向の対称点の外側にあるように、前記磁場センサが配置され、好ましくは、前記装置が前記レール軌道または前記レール軌道近傍に配置されるときに、前記少なくとも1つの磁石の磁極軸線が、前記レール軌道の長手方向に対して垂直になるように、前記少なくとも1つの磁石が配置されるとき、前記磁場センサが、前記磁極軸線に隣接して配置される、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記装置が、前記磁場を提供するための、第1の磁石および第2の磁石を備え、前記第1の磁石および前記第2の磁石が、第1の距離だけ互いに離隔され、前記第1の磁石および前記第2の磁石の両方から生じる前記磁場を、前記磁場センサが検知できるように、前記磁場センサが配置される、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の磁石の磁場成分の第1の磁場方向が、前記第2の磁石の磁場成分の第2の磁場方向と異なる位置に、前記磁場センサが配置される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の磁石および前記第2の磁石の磁極方向が略平行で逆方向になるように、前記第1の磁石および前記第2の磁石が配置される、請求項8または9に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の磁石および前記第2の磁石の磁極方向が略平行で同方向になるように、前記第1の磁石および前記第2の磁石が配置される、請求項8または9に記載の装置。
【請求項12】
前記装置が、基部と、前記基部とは反対側の上面とを備え、前記第1の磁石および前記第2の磁石が、前記上面に対して略平行に配置され、前記第1の磁石および前記第2の磁石の磁極方向が、前記上面に対して略垂直である、請求項8~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記第1の距離が、20mm~200mmの範囲にあり、前記磁場センサが、好ましくは、前記第1の磁石および前記第2の磁石のそれぞれから略等しい距離に配置される、請求項8~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの磁石が、少なくとも5000ガウス、好ましくは少なくとも8000ガウス、より好ましくは少なくとも12000ガウスの残留磁気を有する、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記車輪が最大10cmの距離で前記装置を通過しているとき、提供された前記磁場が、前記車輪によって少なくとも部分的に影響されるように、前記少なくとも1つの磁石が構成され、前記磁場センサが、前記車輪によって引き起こされる磁場の前記変化を検知するように、前記磁場センサが配置される、請求項1~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記装置が前記レール軌道または前記レール軌道近傍に配置されるとき、前記少なくとも1つの磁石と、前記車輪が前記装置を通過するときの前記車輪の最も近い位置との間の第3の距離と同様または同じ程度の第2の距離だけ、前記少なくとも1つの磁石から前記磁場センサが離隔されている、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記磁場センサが、第1の垂直検知方向および第2の垂直検知方向で前記磁場の2つの成分を検知する二次元磁場センサであり、前記プロセッサが、
それぞれの時刻に関する第1の複数の前記磁場値およびそれぞれの時刻に関する第2の複数の前記磁場値をそれぞれ、対応する第1の検知方向および第2の検知方向で前記磁場センサから取得し、
前記磁場値が、前記装置を通過している前記レール軌道上の車輪の存在を示す、第6の閾値未満に低下するか、または第7の閾値を超過して上昇するかを検出することによって、取得された前記第1の複数の磁場値を分析し、かつ
車輪の存在が検出されると、前記第2の複数の磁場値を分析して、前記車輪の前記運動方向を決定するように構成される、請求項1~16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記少なくとも1つのプロセッサが、
車輪が前記装置の略上方にある瞬間を示す、前記第1の複数の磁場値のピーク位置を推定することによって、前記車輪の前記運動方向を決定するために前記第2の複数の磁場値を分析し、
推定された前記ピーク位置付近の前記第2の複数の磁場値の一次導関数の符号を決定し、
前記一次導関数の決定された前記符号が正のとき、前記車輪の前記運動方向が前記レール軌道に沿った第1の方向であると決定し、かつ
前記一次導関数の決定された前記符号が負のとき、前記車輪の前記運動方向が前記レール軌道に沿った第2の方向であると決定するように構成される、請求項8に従属する請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記装置の基部とは反対側にある前記装置の上面であって、前記装置が前記レール軌道または前記レール軌道近傍に配置されるとき、少なくとも一部が前記車輪の下方に配置されるように構成される、前記装置の上面に対して、前記第1の検知方向が略平行であり、前記装置の取付側面であって、前記装置を前記レールの前記側面に配置するように構成される、前記装置の取付側面に対して、前記第1の検知方向がさらに略平行である、請求項10に従属する請求項17または18に記載の装置。
【請求項20】
前記装置の基部とは反対側にある前記装置の上面であって、前記装置が前記レール軌道または前記レール軌道近傍に配置されるとき、少なくとも一部が前記車輪の下方に配置されるように構成される、前記装置の上面に対して、前記第2の検知方向が略平行であり、前記装置の取付側面であって、前記装置を前記レールの前記側面に配置するように構成される、前記装置の取付側面に対して、前記第2の検知方向がさらに略平行である、請求項11に従属する請求項11または12に記載の装置。
【請求項21】
前記装置近傍の前記レールを通過している列車車両によって前記レールに誘導される磁場を抑制するための、少なくとも1つの追加の磁石をさらに備える、請求項1~20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記装置の基部とは反対側の上面であって、前記装置が前記レール軌道に配置されるとき、少なくとも一部が前記車輪の下方に配置されるように構成される、上面と、前記装置を前記レールの前記側面に配置するように構成される取付側面とを備え、前記少なくとも1つの追加の磁石が、前記装置を前記レール軌道に取り付けるための、前記取付側面に対して略垂直な磁極方向を有して配置される、少なくとも1つの取付磁石として機能する、請求項1~21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記少なくとも1つの追加の磁石が、少なくとも5000ガウス、好ましくは少なくとも8000ガウス、より好ましくは少なくとも12000ガウスの残留磁気を有する、永久磁石である、請求項21または22に記載の装置。
【請求項24】
単一の磁場センサを備える、請求項1~23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記車輪の取得された前記運動方向を送信するための、好ましくは、無線ネットワークインタフェースである、ネットワークインタフェースをさらに備える、請求項1~24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
加速度センサなどの、運動を検出するためのセンサをさらに備え、前記少なくとも1つのプロセッサが、
前記装置の運動を示す運動値を取得し、かつ
前記取得するステップおよび前記分析するステップを後で実施するために、前記レール軌道用の車輪を備える車両が接近していることを示す所定の閾値を、前記運動値が超えたときにのみ、磁場値を検知するための前記磁場センサを有効にするように構成される、請求項1~25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記装置に電力を供給するためのエネルギー貯蔵手段をさらに備える、請求項1~26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
レール軌道上の車輪を検出するための方法であって、磁場を提供するための少なくとも1つの永久磁石と、提供された前記磁場の磁束密度または前記磁束密度の変化を示す磁場値を検知するための磁場センサと、前記磁場センサと通信する少なくとも1つのプロセッサとを備える装置内で実施され、前記少なくとも1つのプロセッサが、
それぞれの時刻に関する複数の前記磁場値を前記磁場センサから取得するステップと、
前記装置を通過している車輪の運動方向が取得されるように、取得された前記複数の磁場値を分析するステップとを実施することを含む、方法。
【請求項29】
請求項1~27のいずれか一項に記載の装置を使用する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
プログラムが請求項1~27のいずれか一項に記載の装置で実行されるときに、請求項28または29に記載の方法を実施するためのコンピュータ実行可能命令を備える、コンピュータプログラム製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許開示は、レール軌道(railtrack)上の列車の車輪を検出するための装置、列車の車輪を検出するための方法、および列車の車輪を検出するためのコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
列車を利用した鉄道輸送などにおける、レール軌道に関する多くの応用において、列車車両の所在情報を取得することは有益である。多くの操車場、特に電化システムのない操車場には、安全システムが欠けている。
【0003】
例えばホール効果デバイスを使用した、レール軌道上の車輪の検出が、例えば米国特許第4524932号明細書に示されている。ここでは、ホール素子の飽和を回避するために、磁束ゼロを作り出す目的で永久磁石を貫通して穿孔された極間孔に、ホール効果デバイスが設置される。検出器は、永久磁石からの磁束レベルの変化によって、レール軌道に沿った、列車車両の車輪の通過を検出するように構成される。この単一の装置では、通過中の列車が、どの方向に向かって進んでいるかを検出することができない。
【0004】
米国特許出願公開第2007/0001059号明細書および国際公開第2017/045888号の特許文献は、列車車両の方向および速度を決定するために、複数のセンサが使用される例である。
【0005】
レール軌道上の車輪の検出を改善することが、本特許開示の目的のうちの1つである。
【発明の概要】
【0006】
第1の態様によれば、レール軌道上の車輪の運動方向を検出するための装置であって、装置がレール軌道の側面または側面近傍に配置されるように構成され、装置が、
磁場を提供するための少なくとも1つの磁石と、
提供された磁場の磁束密度または磁束密度の変化を示す磁場値を検知するための磁場センサと、
磁場センサと通信する少なくとも1つのプロセッサとを備え、少なくとも1つのプロセッサが、
それぞれの時刻に関する複数の磁場値を磁場センサから取得し、
装置を通過している車輪の運動方向が取得されるように、取得された複数の磁場値を分析するように構成される、装置が提供される。
【0007】
本方法によって、装置を通過している車輪の運動方向を取得することができる。このようにして、レールシステム上の車両を追跡することが可能になる。例えば、より多くの装置が操車場のいくつかの場所に配置されると、入庫および出庫する列車のデータベースを保持することが可能になる。
【0008】
車輪が少なくとも1つの磁石の近くを通過するとき、車輪は、磁気分路、または磁場を遮断もしくは変更する要素として機能する。言い換えると、少なくとも1つの磁石によって発生する磁力線は、短絡される。車輪が通過すると、磁場成分は、(センサの位置およびセンサに対して車輪がどちら側から接近しているかに応じて)最初に減少または増加し、次いで、それぞれ増加または減少する。これら2つの異なる可能性のそれぞれは、対応する車輪の運動方向を示す。
【0009】
また、センサ近傍に磁石が存在し、レールに沿った車輪通過位置の近傍に装置が配置可能であることに起因して、装置は、車輪などの(運動方向に)対称的な物体の運動方向さえも検出され得るように、装置内および装置の周囲に不均一な磁場を提供する。これらの後者の物体の場合、物体の運動方向は、地球表面の地磁気などの均一な磁場では、検出することがより困難であるか、むしろ検出不可能であろう。
【0010】
一般に、当業者は、本開示を読んだ後、本開示の上記の態様、実施形態および教示が、列車車両以外の他の分野に適用され得、代わりにその場合、車輪は少なくとも1つの磁石の磁場に影響を及ぼす任意の物体であり、磁場センサは局所磁場に与えられた影響を検知することを理解するであろう。
【0011】
一実施形態では、複数の磁場値を、車輪が存在しないときに磁場センサによって検知されるベースライン磁場値と比較して、ベースライン磁場値と比較した複数の磁場値の相対的な増加とその後の減少または相対的な減少とその後の増加を検出することによって、装置を通過している車輪の運動方向が取得されるように、プロセッサは、取得された複数の磁場値を分析するように構成される。相対的な増加および減少は、好ましくは実質的であり、実質的とは、例えば、相対的な増加および減少が、磁場値の雑音レベルの少なくとも2倍であることを意味してもよい。相対的な増加および減少が実質的であることは、追加的または代替的に、相対的な増加および減少が、センサ雑音と、磁気機械的効果(以下を参照)、通過している車両/車輪の残留磁場、および地磁気の外乱などの他の磁気的影響との合計値の少なくとも2倍であることを意味してもよい。
【0012】
別の実施形態では、比較することは、装置を通過している車輪が第1の運動方向を有すると決定するために、複数の磁場値のうちの1つが、第1の時点で、ベースライン磁場値よりも大きく、複数の磁場値のうちの別の1つが、第1の時点の後の第2の時点で、ベースライン磁場値よりも小さいか否かを検出することと、装置を通過している車輪が第1の運動方向と異なる第2の運動方向を有すると決定するために、複数の磁場値のうちの1つが、第1の時点で、ベースライン磁場値よりも小さく、複数の磁場値のうちの別の1つが、第1の時点の後の第2の時点で、ベースライン磁場値よりも大きいか否かを検出することとを備える。これは、運動方向を決定する堅実な方法を提供する。
【0013】
さらに別の実施形態では、比較することは、複数の磁場値のうちの第1の値とベースライン磁場値との第1の差が、ベースライン磁場値を超過する第1の閾値を上回るか、またはベースライン磁場値未満の第2の閾値を下回るかを検出することと、第1の差が第1の閾値を上回るとき、装置を通過している車輪が、第1の運動方向を有すると決定するために、複数の磁場値のうちの、第1の値より後の時点に対応する、第2の値と、ベースライン磁場値との第2の差が、第3の閾値を下回るか否かを検出することと、第1の差が第2の閾値を下回るとき、装置を通過している車輪が、第1の運動方向と異なる第2の運動方向を有すると決定するために、複数の磁場値のうちの、第1の値より後の時点に対応する、第2の値と、ベースライン磁場値との第2の差が、第4の閾値を上回るか否かを検出することとを備える。この実施形態は、装置を通過している車輪の運動方向を決定する、特に堅実な方法を提供する。
【0014】
磁場センサは、好ましくは、静止状態、すなわち、少なくとも1つの磁石によって提供される磁場に影響を与える車輪がない状態で、センサの位置に存在する磁場の方向とは実質的に異なる検知方向で、磁場値を検知するように構成される。検知方向は、静止状態のセンサの位置に存在する磁場の方向に対して垂直であってもよい。この垂直検知方向において、少なくとも1つの磁石の近くを車輪が通過するとき、磁気分路として機能する車輪は、磁場に最も大きな影響を及ぼす。
【0015】
別の実施形態では、磁場センサは、好ましくは、少なくとも1つの磁石が車輪の存在によって分流されたとき、最大の磁場値変化を有する検知方向で磁場値を検知するように構成される。
【0016】
永久磁石は、より少ない電力しか必要とせず、永久磁石によって、少なくとも1年、さらには6年以上までの長期間にわたって、装置が無線で動作することができるので、少なくとも1つの磁石は、好ましくは永久磁石である。
【0017】
車輪は、好ましくは、様々な鋼鉄または鋳鉄などの強磁性材料など、少なくとも1つの磁石によって提供される磁場に影響を及ぼす材料で、部分的または完全に構成される。ほとんどの列車の車輪は鋼鉄製である。ほとんどの列車の車輪は、車輪、したがって列車をレール上に走行させ続けるために、片側にフランジを備える。装置は、好ましくは、装置の近く、例えば10cm以内、好ましくは5cmまたは2cm以内を通過しているフランジを検出するように構成され、かつそのような検出に好適である。
【0018】
センサは、好ましくは、少なくとも1つの磁石の外面から離れて、より好ましくは、少なくとも1つの磁石の側面または下方に配置される。一実施形態では、装置がレール軌道の側面または側面近傍に配置されるとき、磁場センサが、少なくとも1つの磁石およびレール軌道の長手方向の対称点の外側にあるように、磁場センサは配置される。好ましくは、装置がレール軌道またはレール軌道近傍に配置されるときに、少なくとも1つの磁石の磁極軸線が、レール軌道の長手方向に対して垂直になるように、少なくとも1つの磁石が配置されるとき、磁場センサは、磁極軸線に隣接して配置される。これにより、少なくとも1つの磁石が発生する磁場および車輪の運動経路(つまり、レールの長手方向に沿った運動経路)と比べて、対称的な位置にセンサを配置することが回避される。磁石に対して横方向のセンサの位置は、単一の磁石および単一の磁場センサを使用して、車輪の運動方向を検出できるようにする位置の一例である。
【0019】
一実施形態では、取得された複数の磁場値のうちの少なくとも1つが、レール軌道上の車輪の存在を示す条件を満たすか否かを検出するように、少なくとも1つのプロセッサがさらに構成され、取得された磁場値が、レール軌道上の車輪の存在を示す条件を満たすときにのみ、車輪の方向を取得するように、少なくとも1つのプロセッサが構成される。この実装は、装置を動作させるために必要な電力を節約する。
【0020】
好ましくは、レール軌道上の車輪の存在を示す条件は、複数の磁場値のうちの少なくとも1つの値と、車輪が存在しないときに磁場センサによって検知されるベースライン磁場値との差の絶対値である、所定の第5の閾値を超えるという条件である。
【0021】
別の実施形態では、装置は、磁場を提供するための、第1の磁石および第2の磁石を備え、第1の磁石および第2の磁石は、第1の距離だけ互いに離隔され、第1の磁石および第2の磁石の両方から生じる磁場を、磁場センサが検知できるように、磁場センサが配置される。2つの磁石が使用される好適なとき、好ましくは、側面に装置を配置することができるレールの、長手方向に並ぶ2つの磁石の間にセンサが配置される。
【0022】
好ましくは、第1の磁石の磁場成分またはベクトルの第1の磁場方向が、第2の磁石の磁場成分またはベクトルの第2の磁場方向と異なる位置に、磁場センサは配置される。このようにして、2つの磁石のうちの少なくとも1つによって発生する磁場に、車輪が接近して、続いてその磁場を遮断すると、センサは、磁束密度の大きな増加および後続の減少(またはその逆)を測定し、運動方向のより正確な決定を可能にする。磁場を遮断する車輪は、磁場を変化させる一例であることが理解されよう。
【0023】
第1の磁石および第2の磁石を有する装置の実施形態は、車輪の存在を従来技術よりも高い正確度でより一般的に検出することにも適している。通過している車輪の運動方向を測定する必要もない。したがって、別の態様によれば、装置を通過している車輪の運動方向が取得されるように、取得された複数の磁場値を分析するのではなく、代わりに、少なくとも2つの磁石を有する装置は、装置を通過している車輪の、少なくとも存在が取得されるように、取得された複数の磁場値を分析するように少なくとも構成される。複数の磁場値を分析することによって、通過している車輪の速度をより高い正確度で測定することも一般に可能である。上記および下記に説明される(好ましい)実施形態は、本明細書に説明される可能な態様の任意の実施形態に関係することが理解されよう。
【0024】
好ましくは、第1の磁石および第2の磁石の磁極方向が略平行で逆方向(substantiallyanti-parallel)になるように、第1の磁石および第2の磁石は配置される。センサが、第1の磁石と第2の磁石との間に、第1の磁石と第2の磁石から等距離で配置され、第1の磁石および第2の磁石が、近似的に、または略等しい強度を有するとき、好ましい検知方向は、第1の磁石および第2の磁石の磁極方向に、近似的に、または略平行である。
【0025】
代替的に、第1の磁石および第2の磁石の磁極方向が略平行で同方向(substantiallyparallel)になるように、第1の磁石および第2の磁石は配置される。センサが、第1の磁石と第2の磁石との間に、第1の磁石と第2の磁石から等距離で配置され、第1の磁石および第2の磁石が、近似的に、または略等しい強度を有するとき、好ましい検知方向は、第1の磁石および第2の磁石の磁極方向に、近似的に、または略垂直である。
【0026】
平行で逆方向な磁極方向は、検知方向の磁場に対してより大きな影響を及ぼし、装置の正確度および/または精度を高めるので、平行で逆方向が好ましい。
【0027】
一実施形態では、装置は、基部と、基部とは反対側の上面とを備え、第1の磁石および第2の磁石は、上面に対して略平行に配置され、第1の磁石および第2の磁石の磁極方向は、上面に対して略垂直である。このようにして、車輪は、例えば5cmの距離で上面を通過しているとき、磁石によって発生する磁力線に最も大きな影響を及ぼす。
【0028】
一実施形態では、第1の距離が、20mm~200mmの範囲にあり、磁場センサが、好ましくは、第1の磁石および第2の磁石のそれぞれから略等しい距離に配置される。
【0029】
一実施形態では、磁場センサは、-50~+50ガウスの範囲で、磁束密度または磁束密度の変化を検知するように構成される。磁場センサの磁気感度は、好ましくは10ミリガウス未満、より好ましくは5ミリガウス未満、例えば1,1.5または2ミリガウスである。
【0030】
一実施形態では、少なくとも1つの磁石によって提供される磁場は、地球の平均磁場よりも大幅に大きい(例えば、少なくとも2倍、または少なくとも10倍大きい)。好ましくは、少なくとも1つの磁石は、磁場センサの位置において、少なくとも1.5ガウスの磁束密度を提供する。少なくとも1つの磁石は、少なくとも5000ガウス、好ましくは少なくとも8000ガウス、より好ましくは少なくとも12000ガウスの残留磁気を有することが好ましい。これらの磁石を用いて、装置内の磁石から約10mm~50mmの距離で車輪を測定することが、特に有益である。より具体的には、これらの磁石と組み合わせた上記の好ましい磁場センサの組み合わせは、装置を通過している車輪の存在、速さ、速度、および/または運動方向の正確な測定に、特に適した装置を提供する。
【0031】
一実施形態では、車輪が最大10cmの距離で装置を通過しているとき、提供された磁場が、車輪によって少なくとも部分的に影響されるように、少なくとも1つの磁石は構成され、磁場センサが、車輪によって引き起こされる磁場の変化を検知するように、磁場センサは配置される。磁場センサの正確な位置は、当業者によって理解されるように、使用される磁石、車輪(フランジ)からの距離、磁石に対する磁場センサの位置などに応じて変化し得る。
【0032】
好ましくは、装置がレール軌道またはレール軌道近傍に配置されるとき、少なくとも1つの磁石と、車輪が装置を通過するときの車輪の最も近い位置との間の第3の距離と同様または同じ程度の第2の距離だけ、少なくとも1つの磁石から磁場センサは離隔されている。この配置方式を用いて、異なるサイズの異なる磁石、および磁場センサは、正確な測定値を取得するための装置内に適切に配置され得る。
【0033】
さらなる実施形態では、磁場センサは、第1の垂直検知方向および第2の垂直検知方向で磁場の2つの成分を検知する二次元磁場センサであり、プロセッサは、
それぞれの時刻に関する第1の複数の磁場値およびそれぞれの時刻に関する第2の複数の磁場値をそれぞれ、対応する第1の検知方向および第2の検知方向で磁場センサから取得し、
磁場値が、装置を通過しているレール軌道上の車輪の存在を示す、閾値(第6の閾値)未満に低下するか、または閾値(第7の閾値)を超過して上昇するかを検出することによって、取得された第1の複数の磁場値を分析し、
車輪の存在が検出されると、第2の複数の磁場値を分析して、車輪の運動方向を決定するように構成される。
【0034】
一方の検知方向の変化が、通常、他方の検知方向よりも大きく、同時に他方の検知方向が、車輪が装置に接近してくる(その後、装置から離れる)方向に感度があるため、この実施形態は特に有益である。
【0035】
少なくとも1つのプロセッサは、車輪が装置の略上方にある瞬間を示す、第1の複数の磁場値のピーク位置を推定することによって、車輪の運動方向を決定するために第2の複数の磁場値を分析し、推定されたピーク位置付近の第2の複数の磁場値の一次導関数の符号を決定し、一次導関数の決定された符号が正のとき、車輪の運動方向がレール軌道に沿った第1の方向であると決定し、一次導関数の決定された符号が負のとき、車輪の運動方向がレール軌道に沿った第2の方向であると決定するように構成されることが好ましい。本開示全体を考慮すると、ピーク位置は、ここでは低下位置を示す場合があることが理解されよう。
【0036】
この好ましい実施形態により、少ない処理要求で車輪の運動方向を決定することができる。特に、装置は携帯電源を有する無線装置であることが好ましいため、処理が少ないということは、電池または他の電力供給手段がより長時間持続することを意味する。
【0037】
一実施形態では、それぞれの磁極が互いに平行で逆方向に配置される2つの磁石があるとき、装置の基部とは反対側にある装置の上面であって、装置がレール軌道またはレール軌道近傍に配置されるとき、少なくとも一部が車輪の下方に配置されるように構成される、装置の上面に対して、第1の検知方向は略平行であり、装置の取付側面であって、装置をレールの側面に配置するように構成される、装置の取付側面に対して、第1の検知方向はさらに略平行である。
【0038】
一実施形態では、それぞれの磁極が互いに平行で同方向に配置される2つの磁石があるとき、装置の基部とは反対側にある装置の上面であって、装置がレール軌道またはレール軌道近傍に配置されるとき、少なくとも一部が車輪の下方に配置されるように構成される、装置の上面に対して、第2の検知方向は略平行であり、装置の取付側面であって、装置をレールの側面に配置するように構成される、装置の取付側面に対して、第2の検知方向はさらに略平行である。
【0039】
別の実施形態では、装置は、装置近傍のレールを通過している列車車両によってレールに誘導される磁場を抑制するための、少なくとも1つの追加の磁石を備える。追加の磁石が、レールに磁場を印加することにより、装置は、磁場センサによって測定された磁場に対する車輪の影響をより正確に測定することができる。追加の磁石によるこの磁場がレールに印加されないと、列車または他の通常は重い列車車両が通過するとき、レールに導入された力によって磁場が誘導される。この効果は、ビラリ効果または逆磁歪効果として知られている。この効果は、機械的応力を受けたときの、材料の磁化率の変化として説明され得る。より一般的には、少なくとも1つの追加の磁石があれば、レール内の磁区のすべてではないにしても大部分が、追加の磁石によって誘導される磁場に略整列するため、車両によって及ぼされる力の影響は少なくとも低減されるか、または排除さえされる。
【0040】
好ましくは、装置は、装置の基部とは反対側の上面であって、装置がレール軌道またはレール軌道近傍に配置されるとき、少なくとも一部が車輪の下方に配置されるように構成される、上面と、装置をレールの側面に配置するように構成される取付側面と、装置をレール軌道に取り付けるための、取付側面に対して略垂直な磁極方向を有して配置される、少なくとも1つの取付磁石とを備える。
【0041】
取付磁石は、ナットおよびボルト、レールの対応する穴、および/または特殊なクランプを必要とせずに、装置をレールに取り付けたり取り外したりするための実用的な手段を提供する。
【0042】
したがって、本開示の別の態様は、少なくとも1つの磁石と、装置を通過している車輪を少なくとも検出するための任意の種類の磁場センサとを有する装置であり、1つ以上の磁石(好ましくは永久磁石)が、装置の中または近くに、そしてレールまたはレール近傍に配置されて、与えられ得る磁気機械的効果を低減するか、または排除さえする。これらの磁石は、取付磁石であってもよいが、これは、少なくとも車輪、または速度、運動方向などの任意の他のパラメータの検出の改善された測定値を取得するためには必須ではない。
【0043】
上記の態様/実施形態のいずれかの実施形態では、取付磁石は、少なくとも5000ガウス、好ましくは少なくとも8000ガウス、より好ましくは少なくとも12000ガウスの残留磁気を有する、永久磁石である。
【0044】
上記の態様/実施形態のいずれかの実施形態では、装置は単一の磁場センサを備える。電子部品の数および装置の電力消費を低減し、電池寿命を延ばすので、単一の磁場センサを、特に上記のような2つの磁石、好ましくは永久磁石と組み合わせて、使用することは有益である。
【0045】
上記の態様/実施形態のいずれかの実施形態では、装置は、車輪の取得された運動方向を送信するための、好ましくは、無線ネットワークインタフェースである、ネットワークインタフェースをさらに備える。鉄道ネットワークの多くの部分において、電力線および通信線のネットワークを提供するには費用がかかりすぎることが多いため、無線インタフェースの使用は特に有益である。無線インタフェースは、LoRaネットワークまたはGSM(登録商標)ネットワークなどの低電力長距離ネットワークを使用するように構成されることが好ましい。装置のさらなる利点は、生データが、ネットワークを介して送信されなくてもよいことであり、装置は、プロセッサを用いて、装置内部でデータの分析を実施する。これにより、限定した量のデータ送信が可能となり、電池の寿命も長くなる。
【0046】
一実施形態では、装置は、加速度センサなどの、運動を検出するためのセンサをさらに備え、少なくとも1つのプロセッサは、装置の運動を示す運動値を取得し、取得するステップおよび分析するステップを後で実施するために、レール軌道用の車輪を備える車両が接近していることを示す所定の閾値を、運動値が超えたときにのみ、磁場値を検知するための磁場センサを有効にするように構成される。特に、検出される運動は、装置/レールの振動であり得る。運動検出センサおよび磁場センサは、一体的に設けられてもよい。磁場センサは、通常、加速度センサなどの運動検出センサよりも多くの電力を必要とするため、加速度センサが使用されて、接近する車両/車輪の兆候を最初に取得すれば、電力が節約される。一般に、MEMS型センサが装置に使用され得る。
【0047】
さらなる実施形態では、装置は、装置に電力を供給するためのエネルギー貯蔵手段を備える。また、太陽電池などの可搬型電力供給手段が設けられてもよい。
【0048】
さらなる態様によれば、磁場を提供するための少なくとも1つの磁石と、提供された磁場の磁束密度または磁束密度の変化を示す磁場値を検知するための磁場センサと、磁場センサと通信する少なくとも1つのプロセッサとを備える装置内で実施され、少なくとも1つのプロセッサが、それぞれの時刻に関する複数の磁場値を磁場センサから取得するステップと、装置を通過している車輪の運動方向が取得されるように、取得された複数の磁場値を分析するステップとを実施することを含む、方法が提供される。
【0049】
明らかなように、第1の態様による装置は、特に、上記および/または下記で説明された、いずれか1つ以上の方法ステップを適用するように構成される。また、本明細書で説明された方法および方法ステップについて言及した、いずれの利点も装置に適用され、装置について言及した利点が、対応する方法および方法ステップに適用されることは明らかであろう。
【0050】
さらなる態様によれば、プログラムが第1の態様による装置で実行されるときに、上記および/または下記で説明された、いずれか1つの実施形態のいずれか1つのステップによる、任意の1つの方法を実施するためのコンピュータ実行可能命令を備える、コンピュータプログラム製品が提供される。
【0051】
さらなる態様によれば、プログラムが第1の態様による装置で実行されるときに、上記および/または下記で説明された、いずれか1つの実施形態のいずれか1つのステップによる方法を実施するためのコンピュータ実行可能命令を備える、コンピュータプログラムが提供される。
【0052】
別の態様によれば、上記および/または下記で説明された方法のいずれか1つの実施形態の、1つ以上のステップを実施するために、機械可読形式および機械実行可能形式でプログラムを符号化する、データ記憶装置が提供される。
【0053】
添付の図面は、本開示の装置の、現在の好ましい非限定的で例示的な実施形態を示すために使用される。添付の図面と併せて読むと、以下の詳細な説明から、本開示の特徴および目的の、上記および他の利点が、より明らかになり、態様および実施形態が、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】列車車両を支えるレールの側面に配置された、本開示による装置の一実施形態の概略側面図である。
図2】本開示による装置の一実施形態の斜視概略図である。
図3図1に示されるレールの長手方向の側面部分断面図である。
図4図1図3の装置を示し、装置に対して数箇所の位置にある列車車両の車輪を示す、レールの側面概略図である。
図5】装置の2つの磁石の磁場への異なる寄与について、本開示の装置の一実施形態に従ったいくつかの位置における磁場方向および磁束密度を示す図の配列であり、2つの磁石は平行で逆方向の磁極方向を有する。
図6】装置の2つの磁石の磁場への異なる寄与について、本開示の装置の一実施形態に従ったいくつかの位置における磁場方向および磁束密度を示す図の配列であり、2つの磁石は平行で同方向の磁極方向を有する。
図7】装置の2つの磁石の磁場への異なる寄与について、本開示の装置の一実施形態に従ったいくつかの位置における磁場方向および磁束密度を示す図の配列であり、2つの磁石は、各N極が互いに向かい合う平行で逆方向の磁極方向を有する。
図8A】前進方向に通過している車輪について、図5の装置の実施形態近傍の、時間関数として3方向で測定された磁束密度の図である。
図8B】後退方向に通過している車輪について、図5の装置の実施形態近傍の、時間関数として3方向で測定された磁束密度の図である。
図9】本開示の一実施形態による、電子機器を収容する装置の一部の図である。
図10】本開示の一実施形態による方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図1に示されるように、レール軌道上の車輪の運動方向を検出するための装置1は、機関車3が通過しているレール2の内側側面に配置されている。機関車3は列車車両の一例である。これらの図における機関車3(結果として機関車3の車輪)の運動方向は、機関車が右から左に向かって移動しているときは前進として示され、機関車3が右に向かって移動しているときは後退として示される。
【0056】
したがって、装置1は、レール2の、側面または側面近傍に配置されるように構成される。装置1は、本実施形態では、第1の磁石12および第2の磁石14を備える(図2参照)。これらの磁石12および磁石14は、磁場を提供するためのものである。装置1は、提供された磁場の磁束密度または磁束密度の変化を示す磁場値を検知するための磁場センサ18をさらに備える(図3を参照)。センサ18は、好ましくは防水方式で、装置1の電子部品を収容する筐体16内に配置される。装置1は、磁場センサ18と通信する少なくとも1つのプロセッサ40をさらに備える(図9参照)。また、装置1は、蓄電手段の一例である電池44と、運動センサの一例である加速度センサ42と、無線インタフェース48とを備えてもよい。装置1は、代替的にまたは追加的に有線インタフェースを備えることができるが、実装を容易にするために無線インタフェースが好ましい。無線インタフェース48は、LoRaネットワークまたはGSM(登録商標)ネットワークを介して接続することが好ましい。装置1はまた、プロセッサ40が実行するための命令を記憶するように構成された記憶ユニット46を備える。これらの命令は、ファームウェアの形態をとってもよい。
【0057】
装置1では、第1の磁石12および第2の磁石14は、第1の距離b+cだけ互いに離隔され(図4参照)、第1の磁石12および第2の磁石14の両方から生じる磁場を、磁場センサが検知できるように、磁場センサ18が配置される。
【0058】
図3および図4に示されるように、装置1は、基部24と、基部24とは反対側の上面26とを備える。装置1は、レール2の側面に装置を取り付けるための取付側面28をさらに備える。図3では、装置は、側面30の反対側の、レール2の側面に取り付けられる。取付側面28の反対側に、装置1は第2の側面29を備える。この側面29には、筐体16が取り付けられる。第1の磁石12および第2の磁石14は、上面26に対して略平行に方向づけられ、第1の磁石12および第2の磁石14の磁極方向は、上面26に対して略垂直である。明らかなように、また以下でも説明されるように、第1の磁石12および第2の磁石14の向きが異なることも可能である。
【0059】
第1の距離b+cは、20mm~200mmの範囲にあり、磁場センサ18は、好ましくは、第1の磁石および第2の磁石のそれぞれから(x方向に)略等しい距離bおよび距離cに配置される。しかしながら、図示された実施形態では、センサ18は、2つの磁石12、14間の中央にあるのではなく、磁石12、14の下にy方向の距離dで配置される。以下でさらに詳細に説明されるように、特に、距離dの位置において、一方の測定方向における磁場の成分またはベクトルが、両方の磁石について同じである場合に、この配置が実施される。
【0060】
プロセッサ40は、それぞれの時刻に関する複数の磁場値を磁場センサ18から取得する。その後、取得された複数の磁場値は、装置1を通過している車輪4、または車輪のリムもしくはフランジ5の運動方向が取得されるように分析される。
【0061】
データセットの一例が図8Aに示される。図8Aの最上部のデータ「By」を参照すると、破線で示されたベースライン71がある。装置1を通過している車輪4の運動方向が取得されるような、取得された複数の磁場値の分析は、複数の磁場値を、車輪4(または他の物体)が存在しないときに磁場センサ18によって検知されるベースライン71磁場値と比較して、ベースライン71(またはベースライン81)磁場値と比較した複数の磁場値の相対的な増加70とその後の減少72(図8A)または相対的な減少80とその後の増加82(図8B)を検出することによって実施され得る。
【0062】
追加的または代替的に、比較することは、装置1を通過している車輪4が前進している(図8A)、つまり図1の左に移動していると決定するために、複数の磁場値のうちの1つが、第1の時点78で、ベースライン71、81磁場値よりも大きく、複数の磁場値のうちの別の1つが、第1の時点の後の第2の時点79で、ベースライン71磁場値よりも小さいか否かを検出することによって実施されてもよい。
【0063】
車輪4が反対の後退方向に移動していることを決定するためには、今度は、装置1を通過している車輪4が後退している(図8B)、つまり図1の右に移動していると決定するために、複数の磁場値のうちの1つが、第1の時点88で、ベースライン81磁場値よりも小さく、複数の磁場値のうちの別の1つが、第1の時点88の後の第2の時点89で、ベースライン磁場値81よりも大きいことが検出される。
【0064】
代替的または追加的に、比較することは、複数の磁場値のうちの第1の値とベースライン磁場値との第1の差が、ベースライン磁場値を超過する第1の閾値を上回るか、またはベースライン磁場値未満の第2の閾値を下回るかを検出することを備える。第1の差が第1の閾値を上回るとき、装置1を通過している車輪4が、第1の運動方向(前進)を有すると決定するために、複数の磁場値のうちの、第1の値より後の時点に対応する、第2の値と、ベースライン磁場値との間の第2の差が、第3の閾値を下回るか否かが検出される。第1の差が第2の閾値を下回るとき、装置1を通過している車輪4が、第2の運動方向(後退)を有すると決定するために、複数の磁場値のうちの、第1の値より後の時点に対応する、第2の値と、ベースライン磁場値との間の第2の差が、第4の閾値を上回るか否かが検出される。
【0065】
取得された複数の磁場値のうちの少なくとも1つが、レール2上の車輪4の存在を示す条件を満たすか否かを検出するように、装置1が構成され、取得された磁場値が、レール軌道上の車輪の存在を示す条件を満たすときにのみ、車輪4の方向を取得するように、プロセッサ40が構成されてもよい。レール2上の車輪の存在を示す条件は、複数の磁場値のうちの少なくとも1つの値と、車輪が存在しないときに磁場センサによって検知されるベースライン磁場値との差の絶対値である、所定の第5の閾値を超えるという条件であってもよい。装置1が、図2から図4に示されるx方向およびy向などの2つの垂直方向で、検知することができるセンサ18を有するとき、2つの方向のうちの1つの方向で条件をチェックすることができる。例えば、図8Aでは、「Bx」信号はx方向の磁束に対応し、「By」信号はy方向の磁束に対応する。「Bx」信号は、車輪が通過しているときに信号の大きな低下を示すので、条件が満たされているか否かを調べる目的で使用され得る。
【0066】
図4に示される実施形態のように、第1の磁石の磁場成分の第1の磁場方向が、第2の磁石の磁場成分の第2の磁場方向と異なる位置に、磁場センサ18が配置されることが好ましい。これは、図5から図7で見られ得る。磁石12、14の磁場を平行で逆方向にして整列してある実施形態に関する図5では、2つの磁石の厳密な中間点では、第1の磁石および第2の磁石の磁場成分がBの同じx成分を有するため、すなわちゼロとなるため、センサ18は、2つの磁石の厳密な中間点ではない位置に配置される。しかしながら、図8Aおよび図8Bに示されるデータに相当する、y成分の増加/減少、または減少/増加を測定することは、依然として可能である。
【0067】
磁石12,14の磁場を平行で同方向にして整列してある実施形態に関する図6では、磁石間の中央の位置は、x方向(0)およびy方向(矢印によって示されるように下向きの磁場)の両方で同じ成分を有する。したがって、センサ18は、磁石間の中央位置よりも若干下方に配置される。図6で、磁石12のx方向の成分は、磁石14の寄与が無視されるプロット100では左に向いている。磁石12の寄与が無視されるプロット128では、磁石14のx方向の成分は、右に向いている。両方の磁石の寄与が考慮されるとき(プロット124)、x方向の正味の磁場はゼロである。
【0068】
代替方法として、センサ18によって、依然として中央位置が使用され得るように、2つの磁石のうちの1つを回転させることも可能である。
【0069】
図5から図7において、「Ba」は、磁石12によって発生する最大磁場を示し、「Bb」は、磁石14によって発生する最大磁場を示す。それぞれのプロット104、124および144は、車輪4または他の物体が存在しない状況を示し、センサ18は、両方の磁石12,14によって発生する磁場を測定する。車輪が右から接近すると(例えば、図4の位置4’)、車輪は、磁石14によって発生する磁場の一部を遮断する。一例として、プロット102、122および124は、磁石14がプロット104、124および144の状況で生成することができる磁場の半分を生成する状況を示す。
【0070】
プロット102を参照すると、センサ18の位置におけるy方向の磁場成分が増加していることが分かる。磁石14の磁場が完全に遮断されると、プロット100に示されるように、センサ18の位置におけるy方向の磁場成分はより一層増加している。これは、図8Aの状況に対応し、増加70はBy信号で見られ得る。
【0071】
車輪4がさらに左(前方)に移動すると、再びプロット102の状況になり、プロット104に示される状況に対応して、y方向についてのみではあるが、By信号が再び減少する。車輪4がさらに左に移動すると、磁石12によって発生する磁場が部分的に遮断され、センサによって測定される磁場のy成分が下に向き始めているプロット106の状況と同様の状況になり、結果的に、減少72の開始を経由して、図8Aに示されるような信号の減少となる。減少72の最小値は、プロット108に示されるように、磁石12が全く寄与しないときに取得される。しかしながら、実際には、この状況は実現されない可能性が高い。図5から図7は、装置1の動作原理を示すために使用される。車輪がさらに左に向かって移動すると、車輪4が磁石12の磁場を部分的に遮断するため、再びプロット106と同様の状況が発生する(例えば、図4に示す位置4’’)。y成分は依然として下に向けられているが、再びここでわずかに小さくなる。一旦、車輪4が十分に遠く離れると、プロット104のように、再び、両方の磁石12および14が寄与する。
【0072】
左から(例えば、図4の位置4’’から)接近する後退車輪についても同様の推論が成り立ち、左から接近する場合の信号は図8Bに示されており、y方向の信号が最初に減少し、次いで増加することが理解されよう。この差は、上述のように運動方向を決定するために装置1で使用される。
【0073】
図6は、磁石12および14の磁気軸線の幾何学的形状が平行で同方向である装置の、結果として生じる磁場の方向および大きさを示す。プロット120~128は、プロット100~108と均等である。この場合、x方向の磁場は、図8Aおよび図8Bの「By」信号と同様の信号を示す。y方向の磁場は、図8Aおよび図8Bの「Bx」信号と同様の信号を示す。
【0074】
図7は、磁石12および14がそれらの磁気軸線を互いに向けて方向づけられている別の例を示しており、多くの方向づけが可能であることを示している。プロット140~148は、プロット100~108およびプロット120~128と均等である。ここでも、x方向の磁場は、図8Aおよび図8Bの「By」信号と同様の信号を示す。
【0075】
対称な位置が図5図7に示されているが、他に、磁石12および14の磁気軸線の非対称な方向づけもさらに可能である。
【0076】
磁石12および14は、永久磁石であることが好ましい。1つの適切な磁石は、N45の磁化等級を有する、Webcraft GmbHによって製造されたNbFeB磁石であり、この場合、N45は13200~13700ガウスの残留磁気(B)を意味する。この磁石は、直径10mm、高さ10mmの円筒形状を有する。極軸線は、円筒の長手方向に沿って向いている。
【0077】
車輪が最大10cmの距離a(図3および図4参照)で装置を通過しているとき、少なくとも1つの磁石12、14が、車輪4によって少なくとも部分的に影響される磁場を提供するように、装置1は構成される。車輪4のフランジ5から、1.5から5cmの範囲の距離に配置されるように、装置が構成されることが好ましい。上述のように車輪によって引き起こされる磁場の変化を検知するように、磁場センサ18が配置される。
【0078】
図示された実施形態における磁場センサ18は、図2から図4に示されるx方向およびy方向など、第1の垂直検知方向および第2の垂直検知方向で磁場の2つの成分を検知する二次元磁場センサである。
【0079】
第1の複数の磁場値および第2の複数の磁場値のそれぞれは、それぞれの時刻に関して、対応する第1の検知方向および第2の検知方向で、磁場センサ18から取得されることが好ましい。その後、磁場値が、レール軌道上で装置を通過している車輪の存在を示す閾値未満に低下するか否かを検出することによって、取得された第1の複数の磁場値が分析される。例えば、第1の複数の磁場値は、図8Aおよび図8Bの「Bx」信号である。
【0080】
車輪の存在が検出されると、車輪の運動方向を決定するために、第2の複数の磁場値が分析される。
【0081】
車輪の運動方向を決定するための第2の複数の磁場値のこの分析は、車輪4が装置1の略上方にある瞬間を示す、第1の複数の磁場値(Bx)のピーク位置76,86を推定することによって行われてもよい。その後、推定されたピーク位置76,86付近の第2の複数の磁場値(By)の一次導関数の符号が決定される。一次導関数の決定された符号が正(減少80と増加82との間の信号Byに見られるような図8Bの状況)のとき、レール軌道に沿った後退方向である車輪の運動方向が決定される。一次導関数の決定された符号が負(増加70と減少72との間の信号Byに見られるような図8Aの状況)のとき、車輪の運動方向がレール2に沿った後退方向であると決定される。
【0082】
これは、運動方向を決定する、資源効率がよく実用的な方法であるが、測定信号の増加/減少または減少/増加を決定する他の様々な方法が、当業者には明らかであろう。
【0083】
装置1は、装置1近傍のレール2を通過している列車車両3によってレール2に誘導される磁場を抑制するための、追加の磁石20~22をさらに備えてもよい。磁石20~22は、上述のような磁気機械的効果に関して最大の有益な効果を得るために、取付側面28の付近に配置される。
【0084】
追加の磁石20~22は、装置をレール2に取り付けるための取付磁石として機能することもできる。好ましくは、追加の磁石20~22は、取付側面28に対して略垂直な磁極方向を有する。
【0085】
磁石20~22は、永久磁石であることが好ましい。1つの適切な磁石は、N42の磁化等級を有する、Webcraft GmbHによって製造されたNbFeB磁石であり、この場合、N42は12900~13200ガウスの残留磁気(B)を意味する。この磁石は、直径20mm、高さ10mmの円筒形状を有する。極軸線は、円筒の長手方向に沿って向いている。
【0086】
説明された装置1は、有益なことに、好適な実施形態に関して説明されたように、車輪4を正確に検出し、任意選択的に車輪4の運動方向も取得するために、単一の磁場センサ18のみを必要とする。車両3の速度も、例えば図8Aおよび図8Bの信号に基づいて、取得され得ることが理解されよう。増加および減少がより短い期間にわたって生じるとき、車両3は、増加および減少がより長い期間にわたって生じるときよりも速く移動している。次いで、装置1の較正により、車両3の速度を決定することができる。
【0087】
装置1は、加速度センサ42などの、運動を検出するためのセンサを備えてもよい。そのとき、装置の運動を示す運動値が取得され得、取得ステップおよび分析ステップを後で実施するために、レール軌道用の車輪を備える車両が接近していることを示す所定の閾値を運動値が超えたときにのみ、磁場値を検知するための磁場センサが有効になる。例えば、運動値は、動きセンサ(例えば、加速度センサ)から取得された複数のデータ点の分散とすることができ、振動レベルの表示を取得するために、データ点の分散が決定され得る。次に、分散が、振動レベル閾値を示す所定の分散を超えるか否かが決定され得る。
【0088】
図10に示されるように、レール軌道上の車輪を検出する方法は、それぞれの時刻に関する複数の磁場値を磁場センサから取得するステップ50と、装置を通過している車輪の運動方向が取得されるように、取得された複数の磁場値を分析するステップ52とを含む。他のステップは、装置1に関連して上記で説明されているか、または上記の説明から容易に導出可能である。
【0089】
当業者は、上述された様々な方法のステップが、プログラムされたコンピュータによって実施され得ることを容易に認識するであろう。本明細書では、いくつかの実施形態はまた、機械またはコンピュータ可読であり、命令の機械実行可能プログラムまたはコンピュータ実行可能プログラムを符号化するプログラム記憶装置、例えばデジタルデータ記憶媒体を含めることも意図されており、前記命令は、前記上述された方法のステップの一部またはすべてを実行する。プログラム記憶装置は、例えば、デジタルメモリ、磁気ディスクおよび磁気テープなどの磁気記憶媒体、ハードドライブ、または光学的に読み取り可能なデジタルデータ記憶媒体であってもよい。実施形態はまた、上述された方法の前記ステップを実施するようにプログラムされたコンピュータを含めることも意図されている。
【0090】
「ユニット」、「プロセッサ」、または「モジュール」とラベル付けされた任意の機能ブロックを含む、図に示された様々な要素の機能は、専用ハードウェア、ならびにファームウェアなどのソフトウェアを適切なソフトウェアに関連付けて実行することができるハードウェアの使用によって提供されてもよい。プロセッサによって提供されるとき、機能は、単一の専用プロセッサによって、単一の共有プロセッサによって、または複数の個々のプロセッサによって提供されてもよく、そのうちのいくつかは共有されてもよい。さらに、「ユニット」、「プロセッサ」、または「コントローラ」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行することができるハードウェアを排他的に指すと解釈されるべきではなく、限定はしないが、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェアを記憶するための読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、および不揮発性記憶装置を暗黙的に含んでもよい。従来の、および/または特注の、他のハードウェアが含まれる場合もある。同様に、図に示されるスイッチはいずれも概念的なものに過ぎない。プログラムロジックの動作を介して、専用ロジックを介して、プログラム制御と専用ロジックとの相互作用を介して、または手動によってでさえ、それらの機能が実行されてもよく、特定の技術は、より具体的に文脈から理解されるように、実装者によって選択可能である。
【0091】
本明細書における任意のブロック図は、本発明の原理を具現化する例示的な回路の概念図を表すことが、当業者には理解されるべきである。同様に、任意のフローチャート、フロー図、状態遷移図、擬似コードなどは、コンピュータ可読媒体に実質的に表され、コンピュータまたはプロセッサによってそのように実行され得る様々なプロセスを、そのようなコンピュータまたはプロセッサが明示的に示されているか否かにかかわらず、表すことが理解されよう。
【0092】
本開示は、以下の実施形態をさらに含む。
【0093】
1.レール軌道上の車輪の運動方向を検出するための装置であって、装置が、レール軌道の側面または側面近傍に配置されるように構成され、装置が、
磁場を提供するための少なくとも1つの磁石と、
提供された磁場の磁束密度または磁束密度の変化を示す磁場値を検知するための磁場センサと、
磁場センサと通信する少なくとも1つのプロセッサとを備え、少なくとも1つのプロセッサが、
それぞれの時刻に関する複数の磁場値を磁場センサから取得し、
装置を通過している車輪の運動方向が取得されるように、取得された複数の磁場値を分析するように構成される、装置。
【0094】
2.複数の磁場値を、車輪が存在しないときに磁場センサによって検知されるベースライン磁場値と比較して、ベースライン磁場値と比較した複数の磁場値の相対的な増加とその後の減少または相対的な減少とその後の増加を検出することによって、装置を通過している車輪の運動方向が取得されるように、プロセッサが、取得された複数の磁場値を分析するように構成される、実施形態1に記載の装置。
【0095】
3.比較することが、
装置を通過している車輪が第1の運動方向を有すると決定するために、複数の磁場値のうちの1つが、第1の時点で、ベースライン磁場値よりも大きく、複数の磁場値のうちの別の1つが、第1の時点の後の第2の時点で、ベースライン磁場値よりも小さいか否かを検出することと、
装置を通過している車輪が第1の運動方向と異なる第2の運動方向を有すると決定するために、複数の磁場値のうちの1つが、第1の時点で、ベースライン磁場値よりも小さく、複数の磁場値のうちの別の1つが、第1の時点の後の第2の時点で、ベースライン磁場値よりも大きいか否かを検出することとを備える、実施形態2に記載の装置。
【0096】
4.比較することが、
複数の磁場値のうちの第1の値とベースライン磁場値との第1の差が、ベースライン磁場値を超過する第1の閾値を上回るか、またはベースライン磁場値未満の第2の閾値を下回るかを検出することと、
第1の差が第1の閾値を上回るとき、装置を通過している車輪が、第1の運動方向を有すると決定するために、複数の磁場値のうちの、第1の値より後の時点に対応する、第2の値と、ベースライン磁場値との第2の差が、第3の閾値を下回るか否かを検出することと、
第1の差が第2の閾値を下回るとき、装置を通過している車輪が、第1の運動方向と異なる第2の運動方向を有すると決定するために、複数の磁場値のうちの、第1の値より後の時点に対応する、第2の値と、ベースライン磁場値との第2の差が、第4の閾値を上回るか否かを検出することとを備える、実施形態2または3に記載の装置。
【0097】
5.取得された複数の磁場値のうちの少なくとも1つが、レール軌道上の車輪の存在を示す条件を満たすか否かを検出するように、少なくとも1つのプロセッサがさらに構成され、取得された磁場値が、レール軌道上の車輪の存在を示す条件を満たすときにのみ、車輪の方向を取得するように、少なくとも1つのプロセッサが構成される、実施形態1~4のいずれか一項に記載の装置。
【0098】
6.レール軌道上の車輪の存在を示す条件が、複数の磁場値のうちの少なくとも1つの値と、車輪が存在しないときに磁場センサによって検知されるベースライン磁場値との差の絶対値である、所定の第5の閾値を超えるという条件である、実施形態5に記載の装置。
【0099】
7.装置がレール軌道の側面または側面近傍に配置されるとき、磁場センサが少なくとも1つの磁石およびレール軌道の長手方向の対称点の外側にあるように、磁場センサが配置され、好ましくは、装置がレール軌道またはレール軌道近傍に配置されるときに、少なくとも1つの磁石の磁極軸線が、レール軌道の長手方向に対して垂直になるように、少なくとも1つの磁石が配置されるとき、磁場センサが、磁極軸線に隣接して配置される、実施形態1~6のいずれか一項に記載の装置。
【0100】
8.装置が、磁場を提供するための、第1の磁石および第2の磁石を備え、第1の磁石および第2の磁石が、第1の距離だけ互いに離隔され、第1の磁石および第2の磁石の両方から生じる磁場を、磁場センサが検知できるように、磁場センサが配置される、実施形態1~7のいずれか一項に記載の装置。
【0101】
9.第1の磁石の磁場成分の第1の磁場方向が、第2の磁石の磁場成分の第2の磁場方向と異なる位置に、磁場センサが配置される、実施形態8に記載の装置。
【0102】
10.第1の磁石および第2の磁石の磁極方向が略平行で逆方向になるように、第1の磁石および第2の磁石が配置される、実施形態8または9に記載の装置。
【0103】
11.第1の磁石および第2の磁石の磁極方向が略平行で同方向になるように、第1の磁石および第2の磁石が配置される、実施形態8または9に記載の装置。
【0104】
12.装置が、基部と、基部とは反対側の上面とを備え、第1の磁石および第2の磁石が、上面に対して略平行に配置され、第1の磁石および第2の磁石の磁極方向が、上面に対して略垂直である、実施形態8~11のいずれか一項に記載の装置。
【0105】
13.第1の距離が、20mm~200mmの範囲にあり、磁場センサが、好ましくは、第1の磁石および第2の磁石のそれぞれから略等しい距離に配置される、実施形態8~12のいずれか一項に記載の装置。
【0106】
14.少なくとも1つの磁石が永久磁石である、実施形態1~13のいずれか一項に記載の装置。
【0107】
15.少なくとも1つの磁石が、少なくとも5000ガウス、好ましくは少なくとも8000ガウス、より好ましくは少なくとも12000ガウスの残留磁気を有する、実施形態14に記載の装置。
【0108】
16.車輪が最大10cmの距離で装置を通過しているとき、提供された磁場が、車輪によって少なくとも部分的に影響されるように、少なくとも1つの磁石が構成され、磁場センサが、車輪によって引き起こされる磁場の変化を検知するように、磁場センサが配置される、実施形態1~15のいずれか一項に記載の装置。
【0109】
17.装置がレール軌道またはレール軌道近傍に配置されるとき、少なくとも1つの磁石と、車輪が装置を通過するときの車輪の最も近い位置との間の第3の距離と同様または同じ程度の第2の距離だけ、少なくとも1つの磁石から磁場センサが離隔されている、実施形態16に記載の装置。
【0110】
18.磁場センサが、第1の垂直検知方向および第2の垂直検知方向で磁場の2つの成分を検知する二次元磁場センサであり、プロセッサが、
それぞれの時刻に関する第1の複数の磁場値およびそれぞれの時刻に関する第2の複数の磁場値をそれぞれ、対応する第1の検知方向および第2の検知方向で磁場センサから取得し、
磁場値が、装置を通過しているレール軌道上の車輪の存在を示す、閾値未満に低下するか否かを検出することによって、取得された第1の複数の磁場値を分析し、
車輪の存在が検出されると、第2の複数の磁場値を分析して、車輪の運動方向を決定するように構成される、実施形態1~17のいずれか一項に記載の装置。
【0111】
19.少なくとも1つのプロセッサが、
車輪が装置の略上方にある瞬間を示す、第1の複数の磁場値のピーク位置を推定することによって、車輪の運動方向を決定するために第2の複数の磁場値を分析し、
推定されたピーク位置付近の第2の複数の磁場値の一次導関数の符号を決定し、
一次導関数の決定された符号が正のとき、車輪の運動方向がレール軌道に沿った第1の方向であると決定し、
一次導関数の決定された符号が負のとき、車輪の運動方向がレール軌道に沿った第2の方向であると決定するように構成される、実施形態8に従属する実施形態18に記載の装置。
【0112】
20.装置の基部とは反対側にある装置の上面であって、装置がレール軌道またはレール軌道近傍に配置されるとき、少なくとも一部が車輪の下方に配置されるように構成される、装置の上面に対して、第1の検知方向が略平行であり、装置の取付側面であって、装置をレール軌道の側面に配置するように構成される、装置の取付側面に対して、第1の検知方向がさらに略平行である、実施形態10に従属する実施形態18または19に記載の装置。
【0113】
21.装置の基部とは反対側にある装置の上面であって、装置がレール軌道またはレール軌道近傍に配置されるとき、少なくとも一部が車輪の下方に配置されるように構成される、装置の上面に対して、第2の検知方向が略平行であり、装置の取付側面であって、装置をレール軌道の側面に配置するように構成される、装置の取付側面に対して、第2の検知方向がさらに略平行である、実施形態11に従属する実施形態11または12に記載の装置。
【0114】
22.装置近傍のレール軌道を通過している列車車両によってレール軌道に誘導される磁場を抑制するための、少なくとも1つの追加の磁石をさらに備える、実施形態1~21のいずれか一項に記載の装置。
【0115】
23.装置の基部とは反対側の上面であって、装置がレール軌道に配置されるとき、少なくとも一部が車輪の下方に配置されるように構成される、上面と、装置をレール軌道の側面に配置するように構成される取付側面とを備え、少なくとも1つの追加の磁石が、装置をレール軌道に取り付けるための、取付側面に対して略垂直な磁極方向を有して配置される、少なくとも1つの取付磁石として機能する、実施形態1~22のいずれか一項に記載の装置。
【0116】
24.少なくとも1つの追加の磁石が、少なくとも5000ガウス、好ましくは少なくとも8000ガウス、より好ましくは少なくとも12000ガウスの残留磁気を有する、永久磁石である、実施形態22または23に記載の装置。
【0117】
25.単一の磁場センサを備える、実施形態1~24のいずれか一項に記載の装置。
【0118】
26.車輪の取得された運動方向を送信するための、好ましくは、無線ネットワークインタフェースである、ネットワークインタフェースをさらに備える、実施形態1~25のいずれか一項に記載の装置。
【0119】
27.加速度センサなどの、運動を検出するためのセンサをさらに備え、少なくとも1つのプロセッサが、
装置の運動を示す運動値を取得し、
取得するステップおよび分析するステップを後で実施するために、レール軌道用の車輪を備える車両が接近していることを示す所定の閾値を、運動値が超えたときにのみ、磁場値を検知するための磁場センサを有効にするように構成される、実施形態1~26のいずれか一項に記載の装置。
【0120】
28.装置に電力を供給するためのエネルギー貯蔵手段をさらに備える、実施形態1~27のいずれか一項に記載の装置。
【0121】
29.レール軌道上の車輪を検出するための方法であって、磁場を提供するための少なくとも1つの磁石と、提供された磁場の磁束密度または磁束密度の変化を示す磁場値を検知するための磁場センサと、磁場センサと通信する少なくとも1つのプロセッサとを備える装置内で実施され、少なくとも1つのプロセッサが、
それぞれの時刻に関する複数の磁場値を磁場センサから取得するステップと、
装置を通過している車輪の運動方向が取得されるように、取得された複数の磁場値を分析するステップとを実施することを含む、方法。
【0122】
30.実施形態1~28のいずれか一項に記載の装置を使用する、実施形態29に記載の方法。
【0123】
31.プログラムが実施形態1~28のいずれか一項に記載の装置で実行されるときに、実施形態29または30に記載の方法を実施するためのコンピュータ実行可能命令を備える、コンピュータプログラム製品。
【0124】
説明された方法および装置の原理は、特定の実施形態に関連して上記に説明されているが、この説明は単なる例としてなされたものであり、添付された特許請求の範囲によって決定される保護範囲を限定するものとしてではないことを理解されたい。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2020-12-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール軌道上の車輪の運動方向を検出するための装置であって、前記装置が、前記レール軌道の側面または側面近傍に配置されるように構成され、前記装置が、
磁場を提供するための少なくとも1つの永久磁石と、
提供された前記磁場の磁束密度または前記磁束密度の変化を示す磁場値を検知するための磁場センサと、
前記磁場センサと通信する少なくとも1つのプロセッサとを備え、前記少なくとも1つのプロセッサが、
それぞれの時刻に関する複数の前記磁場値を前記磁場センサから取得し、かつ
前記装置を通過している車輪の運動方向が取得されるように、取得された前記複数の磁場値を分析するように構成される、装置。
【請求項2】
前記複数の磁場値を、車輪が存在しないときに前記磁場センサによって検知されるベースライン磁場値と比較して、前記ベースライン磁場値と比較した前記複数の磁場値の相対的な増加とその後の減少または相対的な減少とその後の増加を検出することによって、前記装置を通過している車輪の運動方向が取得されるように、前記プロセッサが、取得された前記複数の磁場値を分析するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記比較することが、
前記装置を通過している前記車輪が第1の運動方向を有すると決定するために、前記複数の磁場値のうちの1つが、第1の時点で、前記ベースライン磁場値よりも大きく、かつ前記複数の磁場値のうちの別の1つが、前記第1の時点の後の第2の時点で、前記ベースライン磁場値よりも小さいか否かを検出し、
前記装置を通過している前記車輪が前記第1の運動方向と異なる第2の運動方向を有すると決定するために、前記複数の磁場値のうちの1つが、第1の時点で、前記ベースライン磁場値よりも小さく、かつ前記複数の磁場値のうちの別の1つが、前記第1の時点の後の第2の時点で、前記ベースライン磁場値よりも大きいか否かを検出することを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記比較することが、
前記複数の磁場値のうちの第1の値と前記ベースライン磁場値との第1の差が、前記ベースライン磁場値を超過する第1の閾値を上回るか、または前記ベースライン磁場値未満の第2の閾値を下回るかを検出し、
前記第1の差が前記第1の閾値を上回るとき、前記装置を通過している前記車輪が、第1の運動方向を有すると決定するために、前記複数の磁場値のうちの、前記第1の値より後の時点に対応する、第2の値と、前記ベースライン磁場値との第2の差が、第3の閾値を下回るか否かを検出し、かつ
前記第1の差が前記第2の閾値を下回るとき、前記装置を通過している前記車輪が、前記第1の運動方向と異なる第2の運動方向を有すると決定するために、前記複数の磁場値のうちの、前記第1の値より後の時点に対応する、第2の値と、前記ベースライン磁場値との第2の差が、第4の閾値を上回るか否かを検出することを含む、請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
取得された前記複数の磁場値のうちの少なくとも1つが、前記レール軌道上の車輪の存在を示す条件を満たすか否かを検出するように、前記少なくとも1つのプロセッサがさらに構成され、取得された前記磁場値が、前記レール軌道上の車輪の存在を示す前記条件を満たすときにのみ、前記車輪の方向を取得するように、前記少なくとも1つのプロセッサが構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記レール軌道上の車輪の存在を示す前記条件が、前記複数の磁場値のうちの少なくとも1つの値と、車輪が存在しないときに前記磁場センサによって検知されるベースライン磁場値との差の絶対値である、所定の第5の閾値を超えるという条件である、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記装置が前記レール軌道の前記側面または前記側面近傍に配置されるとき、前記磁場センサが前記少なくとも1つの磁石および前記レール軌道の長手方向の対称点の外側にあるように、前記磁場センサが配置され、好ましくは、前記装置が前記レール軌道または前記レール軌道近傍に配置されるときに、前記少なくとも1つの磁石の磁極軸線が、前記レール軌道の長手方向に対して垂直になるように、前記少なくとも1つの磁石が配置されるとき、前記磁場センサが、前記磁極軸線に隣接して配置される、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記装置が、前記磁場を提供するための、第1の磁石および第2の磁石を備え、前記第1の磁石および前記第2の磁石が、第1の距離だけ互いに離隔され、前記第1の磁石および前記第2の磁石の両方から生じる前記磁場を、前記磁場センサが検知できるように、前記磁場センサが配置される、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の磁石の磁場成分の第1の磁場方向が、前記第2の磁石の磁場成分の第2の磁場方向と異なる位置に、前記磁場センサが配置される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の磁石および前記第2の磁石の磁極方向が略平行で逆方向になるように、前記第1の磁石および前記第2の磁石が配置される、請求項8または9に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の磁石および前記第2の磁石の磁極方向が略平行で同方向になるように、前記第1の磁石および前記第2の磁石が配置される、請求項8または9に記載の装置。
【請求項12】
前記装置が、基部と、前記基部とは反対側の上面とを備え、前記第1の磁石および前記第2の磁石が、前記上面に対して略平行に配置され、前記第1の磁石および前記第2の磁石の磁極方向が、前記上面に対して略垂直である、請求項8~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記第1の距離が、20mm~200mmの範囲にあり、前記磁場センサが、好ましくは、前記第1の磁石および前記第2の磁石のそれぞれから略等しい距離に配置される、請求項8~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの磁石が、少なくとも5000ガウス、好ましくは少なくとも8000ガウス、より好ましくは少なくとも12000ガウスの残留磁気を有する、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記車輪が最大10cmの距離で前記装置を通過しているとき、提供された前記磁場が、前記車輪によって少なくとも部分的に影響されるように、前記少なくとも1つの磁石が構成され、前記磁場センサが、前記車輪によって引き起こされる磁場の前記変化を検知するように、前記磁場センサが配置される、請求項1~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記装置が前記レール軌道または前記レール軌道近傍に配置されるとき、前記少なくとも1つの磁石と、前記車輪が前記装置を通過するときの前記車輪の最も近い位置との間の第3の距離と同様または同じ程度の第2の距離だけ、前記少なくとも1つの磁石から前記磁場センサが離隔されている、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記磁場センサが、第1の垂直検知方向および第2の垂直検知方向で前記磁場の2つの成分を検知する二次元磁場センサであり、前記プロセッサが、
それぞれの時刻に関する第1の複数の前記磁場値およびそれぞれの時刻に関する第2の複数の前記磁場値をそれぞれ、対応する第1の検知方向および第2の検知方向で前記磁場センサから取得し、
前記磁場値が、前記装置を通過している前記レール軌道上の車輪の存在を示す、第6の閾値未満に低下するか、または第7の閾値を超過して上昇するかを検出することによって、取得された前記第1の複数の磁場値を分析し、かつ
車輪の存在が検出されると、前記第2の複数の磁場値を分析して、前記車輪の前記運動方向を決定するように構成される、請求項1~16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記少なくとも1つのプロセッサが、
車輪が前記装置の略上方にある瞬間を示す、前記第1の複数の磁場値のピーク位置を推定することによって、前記車輪の前記運動方向を決定するために前記第2の複数の磁場値を分析し、
推定された前記ピーク位置付近の前記第2の複数の磁場値の一次導関数の符号を決定し、
前記一次導関数の決定された前記符号が正のとき、前記車輪の前記運動方向が前記レール軌道に沿った第1の方向であると決定し、かつ
前記一次導関数の決定された前記符号が負のとき、前記車輪の前記運動方向が前記レール軌道に沿った第2の方向であると決定するように構成される、請求項8に従属する請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記装置の基部とは反対側にある前記装置の上面であって、前記装置が前記レール軌道または前記レール軌道近傍に配置されるとき、少なくとも一部が前記車輪の下方に配置されるように構成される、前記装置の上面に対して、前記第1の検知方向が略平行であり、前記装置の取付側面であって、前記装置を前記レールの前記側面に配置するように構成される、前記装置の取付側面に対して、前記第1の検知方向がさらに略平行である、請求項10に従属する請求項17または18に記載の装置。
【請求項20】
前記装置の基部とは反対側にある前記装置の上面であって、前記装置が前記レール軌道または前記レール軌道近傍に配置されるとき、少なくとも一部が前記車輪の下方に配置されるように構成される、前記装置の上面に対して、前記第2の検知方向が略平行であり、前記装置の取付側面であって、前記装置を前記レールの前記側面に配置するように構成される、前記装置の取付側面に対して、前記第2の検知方向がさらに略平行である、請求項11に従属する請求項17または18に記載の装置。
【請求項21】
前記装置近傍の前記レールを通過している列車車両によって前記レールに誘導される磁場を抑制するための、少なくとも1つの追加の磁石をさらに備える、請求項1~20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記装置の基部とは反対側の上面であって、前記装置が前記レール軌道に配置されるとき、少なくとも一部が前記車輪の下方に配置されるように構成される、上面と、前記装置を前記レールの前記側面に配置するように構成される取付側面とを備え、前記少なくとも1つの追加の磁石が、前記装置を前記レール軌道に取り付けるための、前記取付側面に対して略垂直な磁極方向を有して配置される、少なくとも1つの取付磁石として機能する、請求項1~21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記少なくとも1つの追加の磁石が、少なくとも5000ガウス、好ましくは少なくとも8000ガウス、より好ましくは少なくとも12000ガウスの残留磁気を有する、永久磁石である、請求項21または22に記載の装置。
【請求項24】
単一の磁場センサを備える、請求項1~23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記車輪の取得された前記運動方向を送信するための、好ましくは、無線ネットワークインタフェースである、ネットワークインタフェースをさらに備える、請求項1~24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
加速度センサなどの、運動を検出するためのセンサをさらに備え、前記少なくとも1つのプロセッサが、
前記装置の運動を示す運動値を取得し、かつ
前記取得するステップおよび前記分析するステップを後で実施するために、前記レール軌道用の車輪を備える車両が接近していることを示す所定の閾値を、前記運動値が超えたときにのみ、磁場値を検知するための前記磁場センサを有効にするように構成される、請求項1~25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記装置に電力を供給するためのエネルギー貯蔵手段をさらに備える、請求項1~26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
レール軌道上の車輪を検出するための方法であって、磁場を提供するための少なくとも1つの永久磁石と、提供された前記磁場の磁束密度または前記磁束密度の変化を示す磁場値を検知するための磁場センサと、前記磁場センサと通信する少なくとも1つのプロセッサとを備える装置内で実施され、前記少なくとも1つのプロセッサが、
それぞれの時刻に関する複数の前記磁場値を前記磁場センサから取得するステップと、
前記装置を通過している車輪の運動方向が取得されるように、取得された前記複数の磁場値を分析するステップとを実施することを含む、方法。
【請求項29】
請求項1~27のいずれか一項に記載の装置を使用する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
プログラムが請求項1~27のいずれか一項に記載の装置で実行されるときに、請求項28または29に記載の方法を実施するためのコンピュータ実行可能命令を備える、コンピュータプログラム製品。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
米国特許出願公開第2007/0001059号明細書および国際公開第2017/045888号の特許文献は、列車車両の方向および速度を決定するために、複数のセンサが使用される例である。
特許文献EP1362759A1には、列車車輪の存在および移動方向を評価するために、交番磁場を発生させる第1のコイルと、第1のコイルに対して軸方向に位置合わせされて反対方向の2つの交番磁場を発生させる同面積の第2のコイルとを備える、列車車輪センサが記載されている。
特許文献US2010/235123A1は、鉄道車両の車輪の位置を特定する方法の例に関する。
【国際調査報告】