(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-13
(54)【発明の名称】潤滑油組成物
(51)【国際特許分類】
C10M 159/22 20060101AFI20220906BHJP
C10M 137/10 20060101ALI20220906BHJP
C10N 10/04 20060101ALN20220906BHJP
C10N 10/12 20060101ALN20220906BHJP
C10N 30/00 20060101ALN20220906BHJP
C10N 30/12 20060101ALN20220906BHJP
C10N 40/25 20060101ALN20220906BHJP
【FI】
C10M159/22 ZHV
C10M137/10 A
C10N10:04
C10N10:12
C10N30:00 Z
C10N30:12
C10N40:25
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022500147
(86)(22)【出願日】2020-07-01
(85)【翻訳文提出日】2022-02-28
(86)【国際出願番号】 IB2020056211
(87)【国際公開番号】W WO2021005457
(87)【国際公開日】2021-01-14
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391050525
【氏名又は名称】シェブロンジャパン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】598037547
【氏名又は名称】シェブロン・オロナイト・カンパニー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 勲
(72)【発明者】
【氏名】尾之内 久成
(72)【発明者】
【氏名】ミラー、ジョン ロバート
【テーマコード(参考)】
4H104
【Fターム(参考)】
4H104BH07C
4H104DB05C
4H104FA02
4H104FA06
4H104LA08
4H104LA20
4H104PA41
4H104PA42
4H104PA44
(57)【要約】
潤滑油組成物であって、主要量の潤滑粘度の油と、約10~約40個の炭素原子を有する、異性化ノルマルアルファオレフィン(NAO)に由来するサリチレート化合物であって、該サリチレート化合物のTBNが、活性物質基準で、少なくとも600mgKOH/gである、該サリチレート化合物と、を含み、約0.12~約0.17重量%のカルシウムを含有し、かつマグネシウムを実質的に含まない、該潤滑油組成物が開示される。該潤滑油組成物でエンジンを潤滑する方法も提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑油組成物であって、
(a)主要量の潤滑粘度の油と、
(b)アルファオレフィンの異性化レベル(I)が約0.1~約0.4であり、約10~約40個の炭素原子を有する、異性化ノルマルアルファオレフィン(NAO)に由来するサリチレート化合物であって、前記サリチレート化合物のTBNが、活性物質基準で、少なくとも600mgKOH/gである、前記サリチレート化合物と、を含み、
前記潤滑油組成物が、約0.12~約0.17重量%のカルシウムを含有し、かつマグネシウムを実質的に含まず、全ての洗浄剤からの総石鹸含有量が、18mM未満であり、
前記異性化レベル(I)が、メチレン骨格基(-CH2-)(化学シフト1.01~1.38ppm)に結合したメチル基(-CH3)(化学シフト0.3~1.01ppm)の相対量を表し、等式(I):
I=m/(m+n) 等式(I)
[式中、mが、0.3±0.03~1.01±0.03ppmの化学シフトを有するメチル基についてのNMR積分であり、nが、1.01±0.03~1.38±0.10ppmの化学シフトを有するメチレン基についてのNMR積分である]によって定義される、前記潤滑油組成物。
【請求項2】
ジチオリン酸亜鉛化合物をさらに含む、請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項3】
モリブデンジチオカルバメートをさらに含む、請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項4】
マグネシウムが、50ppm未満で存在する、請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項5】
前記潤滑油組成物が、エンジン内の腐食を低減する、請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項6】
前記エンジンが、EGRシステムを装備した内燃エンジンである、請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項7】
前記エンジンが、ハイブリッドエンジンまたはターボGDIエンジンである、請求項5に記載の潤滑油組成物。
【請求項8】
エンジンを潤滑する方法であって、潤滑油組成物であって、
(a)主要量の潤滑粘度の油と、
(b)アルファオレフィンの異性化レベル(I)が約0.1~約0.4であり、約10~約40個の炭素原子を有する、異性化ノルマルアルファオレフィン(NAO)に由来するサリチレート化合物であって、前記サリチレート化合物のTBNが、活性物質基準で、少なくとも600mgKOH/gmである、前記サリチレート化合物と、を含み、
前記潤滑油組成物が、約0.12~約0.17重量%のカルシウムを含有し、かつマグネシウムを実質的に含まず、全ての洗浄剤からの総石鹸含有量が、18mM未満であり、
前記異性化レベル(I)が、メチレン骨格基(-CH2-)(化学シフト1.01~1.38ppm)に結合したメチル基(-CH3)(化学シフト0.3~1.01ppm)の相対量を表し、等式(I):
I=m/(m+n) 等式(I)
[式中、mが、0.3±0.03~1.01±0.03ppmの化学シフトを有するメチル基についてのNMR積分であり、nが、1.01±0.03~1.38±0.10ppmの化学シフトを有するメチレン基についてのNMR積分である]によって定義される、前記潤滑油組成物で、前記エンジンを潤滑することを含む、前記方法。
【請求項9】
前記エンジンが、ハイブリッドエンジン、またはターボGDIエンジンである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記エンジンが、EGRシステムを装備した内燃エンジンである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記潤滑油組成物が、前記エンジン内の腐食を低減する、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記潤滑油組成物が、ジチオリン酸亜鉛化合物をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記潤滑油組成物が、モリブデンジチオカルバメートをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
マグネシウムが、前記潤滑油組成物の50ppm未満で存在する、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
エンジンから燃料経済をできるだけ圧搾する必要があるため、エンジンの小型化は自動車業界における大きな傾向となっている。しかしながら、これは、低速早期着火(LSPI)と呼ばれる現象を通じて、ある特定の事例で問題を引き起こし得る。場合によっては、これが、エンジンハードウェアの壊滅的な故障につながり得る。潤滑剤中に存在するカルシウム洗浄剤から生じるカルシウムは、主に、有害因子として認識されている。しかしながら、カルシウムは、洗浄性及び防錆性能を提供するために利用され、これらの利点を提供するために相当量(すなわち、>1800ppmのCa)で存在しなければならない。業界の多くは、LSPIの問題を補うために、カルシウムレベルを低下させ、マグネシウム含有洗浄剤に置き換えている。マグネシウム洗浄剤は、一般に良好なTBN保持力を有するが、酸の中和には不得手である。加えて、マグネシウム洗浄剤は、結晶及びゲル形成が起こるため、時に取り扱いが困難である場合がある。したがって、適切な腐食制御も提供する、マグネシウムを実質的に含まない潤滑油の必要性が存在する。本出願の発明者らは、この問題に対するそのような解決策を見出した。
【発明の概要】
【0002】
本開示の一実施形態によれば、潤滑油組成物であって、
(a)主要量の潤滑粘度の油と、
(b)約10~約40個の炭素原子を有する異性化ノルマルアルファオレフィン(NAO)に由来するサリチレート化合物であって、サリチレート化合物のTBNが、活性物質基準で、少なくとも600mgKOH/gである、サリチレート化合物と、を含み、
約0.12~約0.17重量%のカルシウムを含有し、かつマグネシウムを実質的に含まない、潤滑油組成物が提供される。
【0003】
また、エンジンを潤滑する方法であって、潤滑油組成物であって、
(a)主要量の潤滑粘度の油と、
(b)約10~約40個の炭素原子を有する異性化ノルマルアルファオレフィン(NAO)に由来するサリチレート化合物であって、サリチレート化合物のTBNが、活性物質基準で、少なくとも600mgKOH/gである、サリチレート化合物と、を含み、
約0.12~約0.17重量%のカルシウムを含有し、かつマグネシウムを実質的に含まない、潤滑油組成物で、該エンジンを潤滑することを含む、方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本発明は、様々な修正形態及び代替形態が可能であるが、それらの特定の実施形態が本明細書に詳細に記載されている。しかしながら、特定の実施形態の本明細書での記載は、開示された特定の形態に本発明を限定することを意図するものではなく、逆に、この意図は、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の趣旨及び範囲内に収まる全ての修正、等価物、及び代替物を網羅することであることを理解されたい。
【0005】
本明細書に開示された主題の理解を容易にするために、本明細書で使用されるような数多くの用語、略語、または他の省略形が下記に定義される。定義されていない任意の用語、略語、または省略形は、本出願の提出と同時期に当業者によって使用される通常の意味を有すると理解される。
【0006】
定義
本明細書で使用される場合、以下の用語は、相反する明示的な記述がない限り、以下の意味を有する。本明細書において、以下の語句及び表現は、使用される場合及び使用されるとき、下記に与えられる意味を有する。
【0007】
「主要量」とは、組成物の50重量%よりも多いことを意味する。
【0008】
「少量」とは、組成物の50重量%未満であることを意味し、記述した添加剤に関して、及び組成物中に存在する全ての添加剤の総質量に関して表現され、添加剤(複数可)の活性成分とみなされる。
【0009】
「実質的に含まない」とは、50未満、40未満、30未満、10未満、50重量ppm未満を意味する。
【0010】
「活性成分」もしくは「活性物質」、または「オイルフリー」は、希釈剤または溶媒ではない添加剤材料を指す。
【0011】
報告される全ての百分率は、別段記述がない限り、活性成分基準での重量%である(すなわち、キャリアまたは希釈油に関係ない)。
【0012】
略語「ppm」は、潤滑油組成物の総重量に基づいて、重量百万分率を意味する。
【0013】
総塩基価(TBN)は、ASTM D2896に従って決定した。
【0014】
金属-「金属」という用語は、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはそれらの混合物を指す。
【0015】
150℃での高温高剪断(HTHS)粘度は、ASTM D4863に従って決定した。
【0016】
100℃での動粘度(KV100)は、ASTM D445に従って決定した。
【0017】
-35℃でのコールドクランキングシミュレータ(Cold Cranking Simulator:CCS)粘度は、ASTM D5293に従って決定した。
【0018】
オレフィン-「オレフィン」という用語は、数多くのプロセスによって得られる、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する不飽和脂肪族炭化水素のクラスを指す。1つの二重結合を含有するものがモノ-アルケンと呼ばれ、2つの二重結合を有するものがジエン、アルキルジエンまたはジオレフィンと呼ばれる。アルファオレフィンは、二重結合が第1の炭素と第2の炭素との間にあるため、特に反応性である。例は、中生分解性界面活性剤のための出発点として使用される1-オクテン及び1-オクタデセンである。直鎖オレフィン及び分岐鎖オレフィンもオレフィンの定義に含まれる。
【0019】
ノルマルアルファオレフィン-「ノルマルアルファオレフィン」という用語は、鎖の始端及び末端中に存在する炭素-炭素二重結合を有する直鎖の非分岐鎖炭化水素であるオレフィンを指す。
【0020】
異性化ノルマルアルファオレフィン。本明細書で使用される場合、「異性化ノルマルアルファオレフィン」という用語は、存在するオレフィン種の分布の変化及び/またはアルキル鎖に沿った分岐の導入をもたらす異性化条件を受けているアルファオレフィンを指す。異性化オレフィン生成物は、約10~約40個の炭素原子、好ましくは約20~約28個の炭素原子及び好ましくは約20~約24個の炭素原子を含有する直鎖アルファオレフィンを異性化することによって得ることができる。
【0021】
本明細書で言及される全てのASTM規格は、本出願の出願日における最新バージョンである。
【0022】
一態様では、本開示は、潤滑油組成物であって、
(a)主要量の潤滑粘度の油と、
(b)約10~約40個の炭素原子を有する異性化ノルマルアルファオレフィン(NAO)に由来するサリチレート化合物であって、サリチレート化合物のTBNが、活性物質基準で、少なくとも600mgKOH/gである、サリチレート化合物と、を含み、
約0.12~約0.17重量%のカルシウムを含有し、かつマグネシウムを実質的に含まない、潤滑油組成物に関する。
【0023】
潤滑粘度の油
潤滑粘度の油(「ベースストック」または「基油」と称されることもある)は、潤滑剤の主要な液体構成物であり、その中に添加剤及び場合によって他の油がブレンドされて、例えば、最終的な潤滑剤(または潤滑剤組成物)を生成する。基油は、濃縮物を作製するため、及びそれから潤滑油組成物を作製するために有用であり、天然及び合成の潤滑油ならびにそれらの組み合わせから選択され得る。
【0024】
天然油としては、動物油及び植物油、液体石油、ならびにパラフィン系、ナフテン系及び混合パラフィン系-ナフテン系タイプの水素化精製され、溶媒処理された鉱物潤滑油が挙げられる。石炭または頁岩に由来する潤滑粘度の油も有用な基油である。
【0025】
合成潤滑油としては、重合及び共重合オレフィンなどの炭化水素油(例えば、ポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレン-イソブチレンコポリマー、塩素化ポリブチレン、ポリ(1-ヘキセン)、ポリ(1-オクテン)、ポリ(1-デセン))、アルキルベンゼン(例えば、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニルベンゼン、ジ(2-エチルヘキシル)ベンゼン)、ポリフェノール(例えば、ビフェニル、テルフェニル、アルキル化ポリフェノール)、ならびにアルキル化ジフェニルエーテル及びアルキル化ジフェニルスルフィド、ならびに、それらの誘導体、類似体及び同族体が挙げられる。
【0026】
別の好適なクラスの合成潤滑油は、ジカルボン酸(例えば、マロン酸、アルキルマロン酸、アルケニルマロン酸、コハク酸、アルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、アジピン酸、リノール酸二量体、フタル酸)の、様々なアルコール(例えば、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2-エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコール)とのエステルを含む。これらのエステルの具体例としては、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジ(2-エチルヘキシル)、フマル酸ジ-n-ヘキシル、セバシン酸ジオクチル、アゼライン酸ジイソオクチル、アゼライン酸ジイソデシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジデシル、セバシン酸ジエイコシル、リノール酸二量体の2-エチルヘキシルジエステル、ならびに1モルのセバシン酸を2モルのテトラエチレングリコール及び2モルの2-エチルヘキサン酸と反応させることによって形成された複合エステルが挙げられる。
【0027】
合成油として有用なエステルとしては、C5~C12のモノカルボン酸及びポリオール、ならびにネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール及びトリペンタエリスリトールなどのポリオールエーテルから作製されたものも挙げられる。
【0028】
基油は、フィッシャー・トロプシュ合成炭化水素に由来し得る。フィッシャー・トロプシュ合成炭化水素は、フィッシャー・トロプシュ触媒を使用して、H2及びCOを含有する合成ガスから作製される。そのような炭化水素は、典型的には、基油として有用であるために、さらなる加工を必要とする。例えば、炭化水素は、当業者に知られているプロセスを使用して、水素化異性化;水素化分解及び水素化異性化;脱ろう;または水素化異性化及び脱ろうされ得る。
【0029】
未精製、精製及び再精製油は、本発明の潤滑油組成物に使用することができる。未精製油は、さらなる精製処理なしで、天然または合成の供給源から直接得られたものである。例えば、レトルト操作から直接得られた頁岩油、蒸留から直接得られた石油、またはエステル化プロセスから直接得られ、さらなる処理なしで使用されるエステル油は、未精製油である。精製油は、1つ以上の特性を改善するために1つ以上の精製ステップでさらに処理されていることを除いて、未精製油と同様である。蒸留、溶媒抽出、酸または塩基の抽出、濾過及び浸透などの多くのそのような精製技法が、当業者に知られている。
【0030】
再精製油は、すでに実用的に使用されている精製油に適用された精製油を得るために使用されるプロセスと同様のプロセスによって得られる。そのような再精製油は、再生油または再加工油としても知られており、多くの場合、使用済み添加剤及び油分解生成物の承認のための技法によってさらに加工される。
【0031】
したがって、本発明の潤滑油組成物を作製するために使用され得る基油は、American Petroleum Institute(API)基油交換可能性ガイドライン(Base Oil Interchangeability Guidelines)(API公開1509)に指定されるように、グループI~Vの基油のいずれかから選択され得る。そのような基油グループを下記の表1にまとめる。
【表1】
【0032】
本明細書での使用に好適な基油は、APIのグループII、グループIII、グループIV及びグループVの油、ならびにそれらの組み合わせに対応する様々な油のいずれか、好ましくは、それらの並外れた揮発性、安定性、粘度及び清浄性の特徴により、グループIII~グループVの油である。
【0033】
本開示の潤滑油組成物で使用するための潤滑粘度の油は、基油とも称され、典型的には、組成物の総重量に基づいて、主要量、例えば、50重量%超、好ましくは約70重量%超、より好ましくは約80~約99.5重量%及び最も好ましくは約85~約98重量%の量で存在する。本明細書で使用される場合、「基油」という表現は、単一の製造業者によって同じ仕様で(供給源または製造業者の場所とは無関係に)生成され、同じ製造業者の仕様を満たし、特有の式、生成物識別番号もしくはそれらの両方で識別される潤滑剤構成成分であるベースストックまたはベースストックのブレンドを意味すると理解されよう。本明細書で使用するための基油は、ありとあらゆるそのような用途、例えば、エンジン油、船舶シリンダー油、機能性流体(油圧作動油、ギヤ油、トランスミッション流体など)のための潤滑油組成物を配合する際に使用される、任意の現在知られているまたは後に発見される潤滑粘度の油であり得る。加えて、本明細書で使用するための基油は、任意選択で、粘度指数向上剤、例えば、高分子アルキルメタクリレート;オレフィン系コポリマー、例えば、エチレン-プロピレンコポリマーまたはスチレン-ブタジエンコポリマーなど;及びそれらの混合物を含有し得る。
【0034】
当業者が容易に理解するように、基油の粘度は用途に依存する。したがって、本明細書で使用するための基油の粘度は、普通、摂氏100℃(C.)で約2~約2000センチストークス(cSt)の範囲である。一般に、エンジン油として使用される基油は、個々に、100℃で約2cSt~約30cSt、好ましくは約3cSt~約16cSt及び最も好ましくは約4cSt~約12cStの動粘度範囲を有し、望ましいグレードのエンジン油、例えば0W、0W-8、0W-12、0W-16、0W-20、0W-26、0W-30、0W-40、0W-50、0W-60、5W、5W-20、5W-30、5W-40、5W-50、5W-60、10W、10W-20、10W-30、10W-40、10W-50、15W、15W-20、15W-30、15W-40、30、40などのSAE粘度グレードを有する潤滑油組成物を与えるために、望ましい最終用途及び完成油中の添加剤に依存して、選択またはブレンドされる。
【0035】
C10~C40異性化ノルマルアルファオレフィン(NAO)に由来するサリチレート洗浄剤化合物
本開示の一態様では、C10~C40異性化NAOに由来するサリチレート洗浄剤化合物は、活性物質基準で、少なくとも600、600以上、600~800、600~750、600~700mgKOH/gのTBNを有する。
【0036】
本開示の一態様では、オイルフリー基準で、600mgKOH/グラム以上のTBNを有するC10~C40異性化NAOに由来するサリチレート洗浄剤は、その全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,993,499号に記載されるように調製することができる。
【0037】
本開示の一態様では、C10~C40異性化NAOに由来するサリチレート洗浄剤は、Caサリチレート洗浄剤である。
【0038】
本開示の一態様では、C10~C40異性化NAOに由来するサリチレート洗浄剤は、アルキル化ヒドロキシベンゾエート洗浄剤であり得る。一実施形態では、洗浄剤は、サリチレート洗浄剤であり得る。別の実施形態では、洗浄剤は、カルボキシレート洗浄剤であり得る。本開示の一態様では、オイルフリー基準で、600mgKOH/g以上のTBNを有するサリチレート洗浄剤は、1分子当たり約14~約28個、または約20~約24個の炭素原子を有する異性化アルファオレフィンに由来するアルキル基を有するアルキルフェノールから作製される。
【0039】
本開示の一態様では、活性物質基準で、600mgKOH/g以上のTBNを有するC10~C40異性化NAOに由来するサリチレート洗浄剤は、C10~C40異性化NAOに由来するアルキル基を有する1つ以上のアルキルフェノール、及びC10~C40異性化NAOとは異なるアルキル基を有する1つ以上のアルキルフェノールから作製される。好ましくは、C10~C40異性化NAOとは異なるアルキル基を有する1つ以上のアルキルフェノールは、少なくとも9個、9~24個及び10~15個の炭素原子の高度に分岐鎖のアルキル基を有する。本開示の一態様では、潤滑油組成物は、活性物質基準で、600mgKOH/g以上のTBNを有するC10~C40異性化NAOに由来するサリチレート洗浄剤のCa含有量換算で、約0.03~0.17重量%、0.04~0.17重量%、0.05~0.17重量%、0.06~0.17重量%、好ましくは0.07~0.1重量%、好ましくは0.08~0.16重量%、好ましくは0.09~0.16重量%、好ましくは0.10~0.16重量%、好ましくは0.11~0.16重量%、好ましくは0.12~0.16重量%、好ましくは0.13~0.15重量%、好ましくは0.12~0.15重量%、好ましくは0.06~0.14、0.07~0.14、0.07~0.12、0.08~0.14重量%を含む。
【0040】
本開示の一態様では、潤滑油組成物中のカルシウムの総量は、0.12~0.17重量%、0.13~0.17重量%、0.14~0.17重量%、0.12~0.16重量%、0.12~0.15重量%、0.12~0.14重量%、0.13~0.15重量%、0.13~0.14重量%、0.14~0.16重量%及び0.14~0.15重量%である。
【0041】
本開示の一態様では、活性物質基準で、TBN 600以上を有するC10~C40異性化NAOに由来するサリチレートを含む潤滑油組成物は、自動車用エンジン油、ガスエンジン油、オートバイ用油、二元燃料エンジン油、モバイルガスエンジン油または機関車用エンジン油である。
【0042】
本開示の別の態様では、潤滑油組成物は、EGR制御システム、自然吸気エンジン、ハイブリッドエンジン油、過給ガソリン直噴エンジン(GDI)油を装備した内燃エンジンで使用するためのものである。
【0043】
EGR制御システムを装備した内燃エンジンでは、EGRガスがかなり腐食性である。
【0044】
エンジン油温度が低い状況では、油中に水が蓄積し、エンジン部品の腐食を引き起こす腐食性の高いEGRガスに接触する。本開示の一態様では、潤滑油組成物は、EGR制御システムを装備した内燃エンジン内の腐食を阻止または低減する。本開示の別の態様では、潤滑油組成物は、低いエンジン油温度が、エンジン部品の腐食を引き起こす腐食性の高いEGRガスに接触する水の蓄積につながる、EGR制御システムを装備した内燃エンジン内の腐食を阻止または低減する。特に、ハイブリッド車両の場合には、この車両は、内燃エンジンが燃料供給を停止されている状態で、モータからの駆動力によって走行することができる。EV走行が頻繁に使用されるときに短時間でエンジンを暖めることは困難であり、溶解したEGRガスを有する水が集まり、溜まりやすくなる。本発明の潤滑油組成物中の金属含有洗浄剤は、一般に、有機酸の金属塩(一般に、「石鹸構成成分」と称される)、及び基油中の有機酸金属塩の周りに集まる塩基性無機塩の粒子(例えば、炭酸カルシウム粒子)を含む油性分散液の形態で利用可能である。石鹸含有量は、1Kgの油に基づく。
【0045】
1)有機酸金属塩含有量(石鹸含有量)の測定:金属含有洗浄剤中の鉱油部分及び低分子量化合物を、従来のゴム膜透析法によって除去する。膜内に残っている残渣(A)を秤量する。これとは別に、金属含有洗浄剤中のカーボネート由来の二酸化炭素の含有量を測定し、金属元素の定量分析を実施する。二酸化炭素含有量及び金属含有量から、炭酸カルシウムまたは炭酸マグネシウムなどの過塩基構成成分の量(B)を計算する。石鹸含有量(つまり、有機酸金属塩含有量)は、(A)から(B)を推定することによって計算する。
一実施形態では、潤滑油組成物の総石鹸含有量は、18mM未満である。一実施形態では、潤滑油組成物の総石鹸含有量は、2mM~18mMである。別の実施形態では、潤滑油組成物の総石鹸含有量は、2mM~17mM、2mM~16mMまたは3mM~16mMである。
【0046】
追加の洗浄剤
追加のカルシウム洗浄剤は、完成油中の総カルシウムが0.17重量%を超えないように存在し得る。
【0047】
本発明の潤滑油組成物は、活性物質基準で、10~800、10~700、30~690、30~600、50~600、100~600、150~600、50~500、150~500、50~450、200~450mgKOH/gのTBNを有する1つ以上の過塩基性洗浄剤をさらに含有することができる。
【0048】
使用され得る洗浄剤としては、油溶性過塩基性スルホネート、非硫黄含有フェネート、硫化フェネート、サリキサレート、サリチレート、サリゲニン、複合洗浄剤及びナフテネート洗浄剤、ならびに金属、特にアルカリまたはアルカリ土類金属、例えば、バリウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム及びマグネシウムの他の油溶性サリチレートが挙げられる。最も一般的に使用される金属は、潤滑剤で使用される洗浄剤中に両方存在し得るカルシウム及びマグネシウム、ならびにカルシウム及び/またはマグネシウムのナトリウムとの混合物である。
【0049】
過塩基性金属洗浄剤は、一般に、炭化水素、洗浄剤酸、例えば:スルホン酸、サリチレートなど、金属酸化物または金属水酸化物(例えば、酸化カルシウムまたは水酸化カルシウム)、ならびにキシレン、メタノール及び水などの促進剤の混合物を炭酸化することによって生成される。例えば、過塩基性スルホン酸カルシウムを調製するために、炭酸化において、酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムが気体の二酸化炭素と反応して、炭酸カルシウムを形成する。スルホン酸は、過剰なCaOまたはCa(OH)2で中和されて、スルホネートを形成する。
【0050】
過塩基性洗浄剤は、低過塩基性、例えば、活性物質基準で、100を下回るTBNを有する過塩基性塩であり得る。一実施形態では、低過塩基性塩のTBNは、約30~約100であり得る。別の実施形態では、低過塩基性塩のTBNは、約30~約80であり得る。過塩基性洗浄剤は、中過塩基性、例えば、約100~約250のTBNを有する過塩基性塩であり得る。一実施形態では、中過塩基性塩のTBNは、約100~約200であり得る。別の実施形態では、中過塩基性塩のTBNは、約125~約175であり得る。過塩基性洗浄剤は、高過塩基性、例えば、250を上回るTBNを有する過塩基性塩であり得る。一実施形態では、高過塩基性塩のTBNは、活性物質基準で、約250~約800であり得る。
【0051】
一実施形態では、洗浄剤は、アルキル置換ヒドロキシ芳香族カルボン酸の1つ以上のアルカリまたはアルカリ土類金属塩であり得る。好適なヒドロキシ芳香族化合物としては、1~4個及び好ましくは1~3個のヒドロキシル基を有する単核モノヒドロキシ及びポリヒドロキシ芳香族炭化水素が挙げられる。好適なヒドロキシ芳香族化合物としては、フェノール、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール、クレゾールなどが挙げられる。好ましいヒドロキシ芳香族化合物は、フェノールである。
【0052】
アルキル置換ヒドロキシ芳香族カルボン酸のアルカリまたはアルカリ土類金属塩のアルキル置換部分は、約10~約80個の炭素原子を有するアルファオレフィンに由来する。採用されるオレフィンは、直鎖、異性化直鎖、分岐鎖または部分的に分岐鎖の直鎖であり得る。オレフィンは、直鎖オレフィンの混合物、異性化直鎖オレフィンの混合物、分岐鎖オレフィンの混合物、部分的に分岐鎖の直鎖の混合物または前述のいずれかの混合物であり得る。
【0053】
一実施形態では、使用され得る直鎖オレフィンの混合物は、1分子当たり約10~約40個の炭素原子を有するオレフィンから選択されるノルマルアルファオレフィンの混合物である。一実施形態では、ノルマルアルファオレフィンは、固体触媒または液体触媒のうちの少なくとも1つを使用して異性化される。
【0054】
一実施形態では、アルキル置換ヒドロキシ安息香酸洗浄剤のアルカリ土類金属塩のアルキル基などのアルキル置換ヒドロキシ芳香族カルボン酸のアルカリまたはアルカリ土類金属塩中に含有されたアルキル基の少なくとも約50モル%、少なくとも約75モル%、少なくとも約80モル%、少なくとも約85モル%、少なくとも約90モル%、少なくとも約95モル%は、C20以上である。別の実施形態では、アルキル置換ヒドロキシ芳香族カルボン酸のアルカリまたはアルカリ土類金属塩は、アルキル基がC20~約C28ノルマルアルファオレフィンであるアルキル置換ヒドロキシ安息香酸に由来するアルキル置換ヒドロキシ安息香酸のアルカリまたはアルカリ土類金属塩である。別の実施形態では、アルキル基は、少なくとも2つのアルキル化フェノールに由来する。少なくとも2つのアルキルフェノールのうちの少なくとも1つ上のアルキル基は、異性化アルファオレフィンに由来する。第2のアルキルフェノール上のアルキル基は、分岐鎖もしくは部分的に分岐鎖のオレフィン、高度に異性化されたオレフィンまたはそれらの混合物に由来し得る。
【0055】
別の実施形態では、アルキル置換ヒドロキシ芳香族カルボン酸のアルカリまたはアルカリ土類金属塩は、20~40個の炭素原子、好ましくは20~28個の炭素原子、より好ましくは異性化20~24NAOを有するアルキル基に由来するサリチレートである。
【0056】
スルホネートは、典型的には、石油の分留から得られるものなどのアルキル置換芳香族炭化水素のスルホン化によって、または芳香族炭化水素のアルキル化によって得られるスルホン酸から調製することができる。例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ジフェニルまたはそれらのハロゲン誘導体をアルキル化することによって得られるものが挙げられる。アルキル化は、約3~70個を超える炭素原子を有するアルキル化剤を有する触媒の存在下で実施され得る。アルカリールスルホネートは、通常、アルキル置換芳香族部分当たり約9~約80個以上の炭素原子、好ましくは約16~約60個の炭素原子、好ましくは約16~30個の炭素原子及びより好ましくは20~24個の炭素原子を含有する。
【0057】
硫化フェネート洗浄剤であるフェノール及び硫化フェノールの金属塩は、酸化物または水酸化物などの適切な金属化合物との反応によって調製され、中性または過塩基性の生成物は、当技術分野でよく知られている方法によって得ることができる。硫化フェノールは、フェノールを、硫化水素、一ハロゲン化硫黄もしくは二ハロゲン化硫黄などの硫黄または硫黄含有化合物と反応させることによって調製され、一般に、2つ以上のフェノールが硫黄含有架橋によって架橋される化合物の混合物である生成物を形成することができる。
【0058】
硫化フェネートの一般の調製に関する追加の詳細は、例えば、その内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第2,680,096号、同第3,178,368号、同第3,801,507号、及び同第8,580,717号に見出すことができる。
【0059】
ここで、本発明のプロセスで使用される反応物及び試薬を詳細に考慮すると、最初に、硫黄の全ての同素体形態を使用することができる。硫黄は、溶融硫黄として、または固体(例えば、粉末または微粒子)として、または適合性のある炭化水素液体中の固体懸濁液のいずれかとして採用することができる。
【0060】
例えば、酸化カルシウムと比べてその取り扱いが便利であり、また優れた結果を示すため、カルシウム塩基として水酸化カルシウムを使用することが望ましい。他のカルシウム塩基、例えば、カルシウムアルコキシドも使用することができる。
【0061】
使用され得る好適なアルキルフェノールは、得られた過塩基性硫化カルシウムアルキルフェネート組成物を油溶性にするのに十分な数の炭素原子をアルキル置換基が含有するものである。油溶性は、単一の長鎖アルキル置換によって、またはアルキル置換基の組み合わせによって提供され得る。典型的には、使用されるアルキルフェノールは、異なるアルキルフェノール、例えばC20~C24アルキルフェノールの混合物である。
【0062】
一実施形態では、好適なアルキルフェノール系化合物は、約0.1~約0.4のアルファオレフィンの異性化レベル(I)を有する、1分子当たり約10~約40個の炭素原子を有する異性化アルファオレフィンアルキル基に由来する。一実施形態では、好適なアルキルフェノール系化合物は、約9~約80個の炭素原子を有する分岐鎖オレフィン系プロピレンオリゴマーまたはそれらの混合物であるアルキル基に由来する。一実施形態では、分岐鎖オレフィン系プロピレンオリゴマーまたはその混合物は、約9~約40個の炭素原子を有する。一実施形態では、分岐鎖オレフィン系プロピレンオリゴマーまたはその混合物は、約9~約18個の炭素原子を有する。一実施形態では、分岐鎖オレフィン系プロピレンオリゴマーまたはその混合物は、約9~約12個の炭素原子を有する。
【0063】
一実施形態では、好適なアルキルフェノール系化合物は、蒸留カシューナッツ殻液(CNSL)または水素化蒸留カシューナッツ殻液を含む。蒸留CNSLは、生分解性メタ-ヒドロカルビル置換フェノールの混合物であり、ヒドロカルビル基が直鎖及び不飽和であり、カルダノールを含む。蒸留CNSLの触媒水素化により、主として3-ペンタデシルフェノール中に富むメタ-ヒドロカルビル置換フェノールの混合物が生じる。
【0064】
アルキルフェノールは、パラ-アルキルフェノール、メタ-アルキルフェノールまたはオルトアルキルフェノールであり得る。過塩基性生成物が望ましい場合、p-アルキルフェノールは、高度に過塩基性のカルシウム硫化アルキルフェネートの調製を促進すると考えられるため、アルキルフェノールは、好ましくは主として、オルトアルキルフェノールであるアルキルフェノールの約45モルパーセント以下を有するパラアルキルフェノールであり、より好ましくはアルキルフェノールの約35モルパーセント以下がオルトアルキルフェノールである。アルキル-ヒドロキシトルエンまたはキシレン、及び少なくとも1つの長鎖アルキル置換基に加えて1つ以上のアルキル置換基を有する他のアルキルフェノールも使用することができる。蒸留カシューナッツ殻液の場合には、蒸留CNSLの触媒水素化により、メタ-ヒドロカルビル置換フェノールの混合物が生じる。
【0065】
一実施形態では、1つ以上の過塩基性清浄剤は、上述の少なくとも2つの界面活性剤に由来する界面活性剤系を含むとして当技術分野で知られている複合またはハイブリッド清浄剤であり得る。
【0066】
一実施形態では、1つ以上の過塩基性洗浄剤は、20~28個の炭素原子、より好ましくは20~24個の炭素原子を有するアルキル基を有するサリチレートであり得る。別の実施形態では、1つ以上の過塩基性洗浄剤は、C14~18NAOに由来するアルキル基を有するサリチレートであり得、潤滑油に対するCa含有量換算で、0.05重量%未満、好ましくは0.025重量%未満、より好ましくは0.01重量%未満に寄与する。
【0067】
一般に、洗浄剤の量は、潤滑油組成物の総重量に基づいて、約0.001重量%~約50重量%、または約0.05重量%~約25重量%、または約0.1重量%~約20重量%、または約0.01~15重量%であり得る。
【0068】
摩耗防止剤
本明細書に開示される潤滑油組成物は、1つ以上の摩耗防止剤を含み得る。摩耗防止剤は、金属部品の摩耗を低減する。好適な摩耗防止剤としては、式(式1):
Zn[S-P(=S)(OR1)(OR2)]2 式1
[式中、R1及びR2が、1~18個(例えば、2~12個)の炭素原子を有し、アルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、アルカリル及び脂環式ラジカルなどのラジカルを含む、異なるヒドロカルビルラジカルの同じものであり得る]のジヒドロカルビルジチオリン酸亜鉛(ZDDP)などのジヒドロカルビルジチオリン酸金属塩が挙げられる。R1及びR2基として特に好ましいのは、2~8個の炭素原子を有するアルキル基である(例えば、アルキルラジカルは、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、2-エチルヘキシルであり得る)。油溶性を得るために、炭素原子の総数(すなわち、R1+R2)は、少なくとも5個である。したがって、ジヒドロカルビルジチオリン酸亜鉛は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛を含み得る。ジアルキルジチオリン酸亜鉛は、一次、二次のジアルキルジチオリン酸亜鉛またはそれらの組み合わせである。ZDDPは、潤滑油組成物の3重量%以下(例えば、0.1~1.5重量%または0.5~1.0重量%)で存在し得る。一実施形態では、本明細書に記載のマグネシウムサリチレート洗浄剤を含有する潤滑油組成物は、酸化防止剤化合物をさらに含む。一実施形態では、酸化防止剤は、ジフェニルアミン酸化防止剤である。別の実施形態では、酸化防止剤は、ヒンダードフェノール酸化防止剤である。さらに別の実施形態では、酸化防止剤は、ジフェニルアミン酸化防止剤とヒンダードフェノール酸化防止剤との組み合わせである。
【0069】
酸化防止剤
本明細書に開示された潤滑油組成物は、1つ以上の酸化防止剤を含み得る。酸化防止剤は、実用中に鉱油が劣化する傾向を低減する。酸化劣化は、潤滑剤中のスラッジ、金属表面上のワニス状堆積物によって、及び粘度成長によって証明され得る。好適な酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、芳香族アミン及び硫化アルキルフェノール、ならびにそれらのアルカリ及びアルカリ土類金属塩が挙げられる。
【0070】
ヒンダードフェノール酸化防止剤は、多くの場合、立体障害基として、二級ブチル基及び/または三級ブチル基を含有する。フェノール基は、ヒドロカルビル基(典型的には、直鎖または分岐鎖アルキル)及び/または第2の芳香族基と結合する架橋基でさらに置換され得る。好適なヒンダードフェノール酸化防止剤の例としては、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール;4-メチル-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール;4-エチル-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール;4-プロピル-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール;4-ブチル-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール;及び4-ドデシル-2,6-ジ-tert-ブチルフェノールが挙げられる。他の有用なヒンダードフェノール酸化防止剤としては、Ciba製のIRGANOX(登録商標)L-135などの2,6-ジ-アルキル-フェノール系プロピオン酸エステル誘導体、ならびに4,4’-ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)及び4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)などのビス-フェノール系酸化防止剤が挙げられる。他の有用なヒンダードフェノール酸化防止剤としては、チオ-エチレン-ビス-(‘3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシルフェニル)プロピオネート(Ciba製のIRGANOX(登録商標)L-115)などの硫黄酸化防止剤を有するヒンダードフェノールが挙げられる。
典型的な芳香族アミン酸化防止剤は、1つのアミン窒素に直接結合した少なくとも2つの芳香族基を有する。典型的な芳香族アミン酸化防止剤は、少なくとも6個の炭素原子のアルキル置換基を有する。本明細書で有用な芳香族アミン酸化防止剤の特定例としては、4,4’-ジオクチルジフェニルアミン、4,4’-ジノニルジフェニルアミン、N-フェニル-1-ナフチルアミン、N-(4-tert-オクチフェニル(octyphenyl))-1-ナフチルアミン及びN-(4-オクチルフェニル)-1-ナフチルアミンが挙げられる。酸化防止剤は、潤滑油組成物の0.01~5重量%(例えば、0.1~2重量%)で存在し得る。
【0071】
分散剤
本明細書に開示された潤滑油組成物は、1つ以上の分散剤を含み得る。分散剤は、エンジン作動中に酸化からもたらされる、油中で不溶性である懸濁材料中に維持され、それによって金属部品上でのスラッジの凝集及び沈殿または堆積を阻止する。本明細書で有用な分散剤としては、ガソリンエンジン及びディーゼルエンジンでの使用時に堆積物の形成を低減させるのに効果的であると知られている、窒素含有の無灰(金属を含まない)分散剤が挙げられる。
【0072】
好適な分散剤としては、ヒドロカルビルスクシンイミド、ヒドロカルビルスクシンアミド、ヒドロカルビル置換コハク酸の混合エステル/アミド、ヒドロカルビル-置換コハク酸のヒドロキシエステル、ならびにヒドロカルビル置換フェノール、ホルムアルデヒド及びポリアミンのマンニッヒ縮合生成物が挙げられる。また、ポリアミンとヒドロカルビル置換フェニル酸との縮合生成物も好適である。これらの分散剤の混合物も使用することができる。塩基性窒素含有無灰分散剤は、よく知られている潤滑油添加剤であり、それらの調製方法は特許文献に広く記載されている。好ましい分散剤は、アルケニル置換基が好ましくは40個超の炭素原子の長鎖である、アルケニルスクシンイミド及びアルケニルスクシンアミドである。これらの材料は、ヒドロカルビル置換ジカルボン酸材料をアミン官能基を含有する分子と反応させることによって容易に作製される。好適なアミンの例は、ポリアルキレンポリアミン、ヒドロキシ置換ポリアミン及びポリオキシアルキレンポリアミンなどのポリアミンである。
【0073】
特に好ましい無灰分散剤は、ポリイソブテニルコハク酸無水物及び式2:
NH2(CH2CH2NH)zH 式2
[式中、zが、1~11である]のポリエチレンポリアミンなどのポリアルキレンポリアミンから形成されたポリイソブテニルスクシンイミドである。ポリイソブテニル基は、ポリイソブテンに由来し、好ましくは、700~3000ダルトン(例えば、900~2500ダルトン)の範囲の数平均分子量(Mn)を有する。例えば、ポリイソブテニルスクシンイミドは、900~2500ダルトンのMnを有するポリイソブテニル基に由来するビス-スクシンイミドであり得る。当技術分野で知られているように、分散剤は、後処理され得る(例えば、ホウ素化剤または環状カーボネート、エチレンカーボネートなどで)。
【0074】
窒素含有無灰(金属を含まない)分散剤は、塩基性であり、分散剤が添加される潤滑油組成物のTBNに、追加の硫酸灰分を導入することなく寄与する。分散剤は、潤滑油組成物の0.1~10重量%(例えば、2~5重量%)で存在し得る。
【0075】
抑泡剤
本明細書に開示された潤滑油組成物は、油中の泡を破壊し得る1つ以上の抑泡剤を含み得る。好適な抑泡剤または消泡抑制剤の非限定的な例としては、シリコーン油またはポリジメチルシロキサン、フルオロシリコーン、アルコキシル化脂肪族酸、ポリエーテル(例えば、ポリエチレングリコール)、分岐鎖ポリビニルエーテル、アルキルアクリレートポリマー、アルキルメタクリレートポリマー、ポリアルコキシアミン及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0076】
追加の共添加剤
本開示の潤滑油組成物はまた、これらの添加剤が分散または溶解される潤滑油組成物の任意の望ましい特性を付与または改善することができる他の従来の添加剤を含有し得る。当業者に知られている任意の添加剤は、本明細書に開示された潤滑油組成物に使用され得る。いくつかの好適な添加剤は、Mortier et al.,「Chemistry and Technology of Lubricants」,2nd Edition,London,Springer,(1996)、及びLeslie R.Rudnick,「Lubricant Additives:Chemistry and Applications」,New York,Marcel Dekker(2003)に記載されており、これらの両方が参照により本明細書に組み込まれる。例えば潤滑油組成物は、酸化防止剤、摩耗防止剤、金属洗浄剤などの洗浄剤、防錆剤、曇り止め剤、解乳化剤、金属不活性剤、摩擦調整剤、流動点降下剤、消泡剤、共溶媒、腐食抑制剤、無灰分散剤、多機能剤、染料、極圧剤など及びそれらの混合物とブレンドすることができる。様々な添加剤が知られており、市販されている。これらの添加剤、またはそれらの類似化合物は、通常のブレンド手順によって、本開示の潤滑油組成物の調製用に採用することができる。
【0077】
潤滑油配合物の調製において、添加剤を炭化水素油、例えば鉱物潤滑油または他の好適な溶媒中に、10~100重量%の活性成分濃縮物の形態で導入することが一般的慣行である。
【0078】
通常、これらの濃縮物は、完成した潤滑剤、例えばクランクケースモータ油を形成する際に、添加剤パッケージの1重量部当たり3~100、例えば5~40重量部の潤滑油で希釈され得る。濃縮物の目的は、当然、様々な材料の取り扱いをより容易にし、扱いやすくすること、及び最終的なブレンド中での溶解または分散を促進することである。
【0079】
前述の添加剤の各々は、使用されるとき、潤滑剤に望ましい特性を付与するために機能的に有効な量で使用される。したがって、例えば、添加剤が摩擦調整剤である場合、この摩擦調整剤の機能的に有効な量は、潤滑剤に望ましい摩擦調整特徴を付与するのに十分な量となる。
【0080】
一般に、潤滑油組成物中の添加剤の各々の濃度は、使用されるとき、潤滑油組成物の総重量に基づいて、約0.001重量%~約20重量%、約0.01重量%~約15重量%、または約0.1重量%~約10重量%、約0.005重量%~約5重量%、または約0.1重量%~約2.5重量%の範囲であり得る。さらに、潤滑油組成物中の添加剤の総量は、潤滑油組成物の総重量に基づいて、約0.001重量%~約20重量%、約0.01重量%~約10重量%または約0.1重量%~約5重量%の範囲であり得る。
【0081】
以下の実施例は、本発明の実施形態を例示するために提示されているが、明記された特定の実施形態に本発明を限定することを意図するものではない。相反する記載がない限り、全ての部及び百分率は重量によるものである。全ての数値は、概算である。数の範囲が与えられているとき、記述された範囲外の実施形態は依然として本発明の範囲内に収まり得ることを理解されたい。各実施例に記載された特定の詳細は、本発明の必須の特徴として解釈されるべきではない。
【実施例】
【0082】
以下の実施例は、例示的な目的のみを意図しており、本開示の範囲を決して限定するものではない。
【0083】
異性化レベル(I)及びNMR法
オレフィンの異性化レベル(I)を、水素-1(1H)NMRによって決定した。NMRスペクトルは、TopSpin3.2スペクトル処理ソフトウェアを使用して、400MHzでクロロホルム-d1中のBruker Ultrashield Plus 400上で得た。
【0084】
異性化レベル(I)は、メチレン骨格基(-CH2-)(化学シフト1.01~1.38ppm)に結合したメチル基(-CH3)(化学シフト0.30~1.01ppm)の相対量を表し、下記に示すような等式(I):
I=m/(m+n) 等式(I)
[式中、mは、0.3±0.03~1.01±0.03ppmの化学シフトを有するメチル基についてのNMR積分であり、nは、1.01±0.03~1.38±0.10ppmの化学シフトを有するメチレン基についてのNMR積分である]によって定義する。
【0085】
アルファオレフィンの異性化レベル(I)は、約0.1~約0.4、好ましくは約0.1~約0.3、より好ましくは約0.12~約0.3である。
【0086】
一実施形態では、NAOの異性化レベルは、約0.16であり、約20~約24個の炭素原子を有する。
【0087】
別の実施形態では、NAOの異性化レベルは、約0.26であり、約20~約24個の炭素原子を有する。
【0088】
ベースライン配合物1
0W-16潤滑油組成物を調製し、これには、主要量の潤滑粘度の基油と、以下の添加剤:
(1)エチレンカーボネート後処理ビス-スクシンイミド、
(2)ホウ酸化ビス-スクシンイミド、
(3)0.077重量%のリンの量の一次ジアルキルジチオリン酸亜鉛と二次ジアルキルジチオリン酸亜鉛との混合物であって、一次と二次のモル比が、9:1である、混合物、
(4)ジフェニルアミン酸化防止剤、
(5)PMA櫛型ポリマー、
(6)0.085重量%のモリブデン中のMoDTC化合物、
(7)抑泡剤、及び
(8)残りのグループIII基油、が含まれていた。
【0089】
洗浄剤1
アルキル化フェノール及びCaサリチレートを、C20~24異性化ノルマルアルファオレフィンを使用して、米国特許第8,993,499号と実質的に同じ方法で調製した。アルファオレフィンの異性化レベルは、約0.16である。得られたサリチレート組成物は、オイルフリー基準で、約630のTBN及び約22.4重量%のCa含有量を有する。
【0090】
洗浄剤2
C20~24NAOに由来するアルキル基を有する、活性物質基準で、690のTBN及び約26重量%のCa含有量を有する過塩基性スルホン酸カルシウム。
【0091】
洗浄剤3
サリチレートを、C14~18NAOに由来するアルキル基、ならびにオイルフリー基準で、TBN約300及びCa含有量約10.6重量%で調製した。
【0092】
洗浄剤4
アルキル化フェノール及びアルキル化Caサリチレートを、CP Chemから入手可能なC20~24異性化ノルマルアルファオレフィンを使用して、米国特許第8,993,499号と実質的に同じ方法で調製した。アルファオレフィンの異性化レベルは、約0.16である。得られたアルキル化サリチレート組成物は、オイルフリー基準で、約225mgKOH/gmのTBN及び8重量%のCa含有量を有する。
【0093】
洗浄剤5
アルキル化フェノール及びアルキル化Caサリチレートを、CP Chemから入手可能なC20~24異性化ノルマルアルファオレフィンを使用して、米国特許第8,993,499号と実質的に同じ方法で調製した。アルファオレフィンの異性化レベルは、約0.16である。得られたアルキル化サリチレート組成物は、オイルフリー基準で、約120mgKOH/gmのTBN及び4.2重量%のCa含有量を有する。
【0094】
洗浄剤6
サリチレートを、C14~18NAOに由来するアルキル基、ならびにオイルフリー基準で、TBN約520及びCa含有量約18.7重量%で調製した。
【0095】
実施例1
ベースライン配合物1に、洗浄剤1(35mM)を、Ca含有量換算で0.14重量%添加した。洗浄剤混合物からの総石鹸を下記の表2に示す。
【0096】
実施例2
ベースライン配合物1に、洗浄剤のmMに基づく約1.5:1:1の混合の、洗浄剤1(15.0mM)、洗浄剤4(10.0mM)及び洗浄剤5(10.0mM)の混合物の混合物を、Ca含有量換算で0.14重量%添加した。洗浄剤混合物からの総石鹸を下記の表2に示す。
【0097】
実施例3
ベースライン配合物1に、洗浄剤のmMに基づく約3.83:1:1の混合の、洗浄剤1(23.0mM)、洗浄剤4(6.0mM)及び洗浄剤5(6.0mM)の混合物を、Ca含有量換算で0.14重量%添加した。洗浄剤混合物からの総石鹸を下記の表2に示す。
【0098】
実施例4
ベースライン配合物1に、洗浄剤のmMに基づく約3.88:1:1の混合の、洗浄剤1(19.8mM)、洗浄剤4(5.10mM)及び洗浄剤5(5.10mM)の混合物を、Ca含有量換算で0.12重量%添加した。洗浄剤混合物からの総石鹸を下記の表3に示す。
【0099】
実施例5
ベースライン配合物1に、洗浄剤のmMに基づく約1.5:1:1の混合の、洗浄剤1(12.9mM)、洗浄剤4(8.55mM)及び洗浄剤5(8.55mM)の混合物を、Ca含有量換算で0.12重量%添加した。洗浄剤混合物からの総石鹸を下記の表3に示す。
【0100】
実施例6
ベースライン配合物1に、洗浄剤のmMに基づく約0.33:1:1の混合の、洗浄剤1(4.2mM)、洗浄剤4(12.9mM)及び洗浄剤5(12.9mM)の混合物を、Ca含有量換算で0.12重量%添加した。洗浄剤混合物からの総石鹸を下記の表3に示す。
【0101】
実施例7
ベースライン配合物1に、洗浄剤1(40mM)を、Ca含有量換算で0.16重量%添加した。洗浄剤混合物からの総石鹸を下記の表4に示す。
【0102】
比較例A
ベースライン配合物1に、洗浄剤2(35mM)を、Ca含有量換算で0.14重量%添加した。洗浄剤混合物からの総石鹸を下記の表2に示す。
【0103】
比較例B
ベースライン配合物1に、洗浄剤3(35mM)を、Ca含有量換算で0.14重量%添加した。洗浄剤混合物からの総石鹸を下記の表2に示す。
【0104】
比較例C
ベースライン配合物1に、洗浄剤のmMに基づく0.33:1:1の混合の、洗浄剤1(5mM)、洗浄剤4(15mM)、及び洗浄剤5(15mM)の混合物を、Ca含有量換算で0.14重量%添加した。洗浄剤混合物からの総石鹸を下記の表2に示す。
【0105】
比較例D
ベースライン配合物1に、洗浄剤6(35mM)を、Ca含有量換算で0.14重量%添加した。洗浄剤混合物からの総石鹸を下記の表2に示す。
【0106】
ボール錆試験(Ball Rust Test:BRT)-ASTM D6557
本明細書で言及されるボール錆試験は、ASTM-D-6557の方法を使用して実施する。ボール錆試験(BRT)は、流体潤滑剤の耐腐食能力を評価するための手順である。ASTM D6557に従って、ボールベアリングを油中に浸漬する。酸性汚染物質で飽和された空気を、49℃で18時間油を通して気泡にする。18時間の反応期間後、試験油からボールを取り出し、光反射率技法を使用してボール上の腐食量を定量化する。反射光の量を、平均濃淡値(AGV)として報告する。新しい未腐食のボールについてのAGVは、約140である。完全に腐食したボールは、20未満のAGV結果を有する。少なくとも100のAGVを示す潤滑油組成物が、BRTで合格となる。100未満のAGVを示す潤滑油組成物が、BRTで不合格となる。
【表2】
【表3】
【表4】
【国際調査報告】