(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-13
(54)【発明の名称】PD-L1阻害剤としてのインダン
(51)【国際特許分類】
C07C 229/22 20060101AFI20220906BHJP
C07C 217/54 20060101ALI20220906BHJP
C07C 309/14 20060101ALI20220906BHJP
C07C 229/14 20060101ALI20220906BHJP
C07C 255/54 20060101ALI20220906BHJP
C07C 311/51 20060101ALI20220906BHJP
C07D 211/46 20060101ALI20220906BHJP
C07D 207/267 20060101ALI20220906BHJP
C07D 211/76 20060101ALI20220906BHJP
C07D 213/85 20060101ALI20220906BHJP
C07D 487/10 20060101ALI20220906BHJP
C07D 205/04 20060101ALI20220906BHJP
C07D 205/12 20060101ALI20220906BHJP
A61K 31/445 20060101ALI20220906BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220906BHJP
A61K 31/4015 20060101ALI20220906BHJP
A61K 31/45 20060101ALI20220906BHJP
A61K 31/4406 20060101ALI20220906BHJP
A61K 31/4188 20060101ALI20220906BHJP
A61K 31/397 20060101ALI20220906BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20220906BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20220906BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220906BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20220906BHJP
A61P 5/00 20060101ALI20220906BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220906BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220906BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
C07C229/22 CSP
C07C217/54
C07C309/14
C07C229/14
C07C255/54
C07C311/51
C07D211/46
C07D207/267
C07D211/76
C07D213/85
C07D487/10
C07D205/04
C07D205/12
A61K31/445
A61K45/00
A61K31/4015
A61K31/45
A61K31/4406
A61K31/4188
A61K31/397
A61P31/04
A61P31/12
A61P35/00
A61P37/02
A61P5/00
A61P43/00 121
A61P35/02
A61P31/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022500742
(86)(22)【出願日】2020-07-09
(85)【翻訳文提出日】2022-03-03
(86)【国際出願番号】 US2020041316
(87)【国際公開番号】W WO2021007386
(87)【国際公開日】2021-01-14
(32)【優先日】2019-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】507416218
【氏名又は名称】ケモセントリックス,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100170852
【氏名又は名称】白樫 依子
(72)【発明者】
【氏名】ビエンカム マラソン
(72)【発明者】
【氏名】ベンカット レディ マリ
(72)【発明者】
【氏名】ダレン ジェイ.マクマートリー
(72)【発明者】
【氏名】スリーニバス パナ
(72)【発明者】
【氏名】ハワード エス.ロス
(72)【発明者】
【氏名】ラジンダー シン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン チュイ
(72)【発明者】
【氏名】ペングリー ジャーン
【テーマコード(参考)】
4C050
4C055
4C084
4C086
4H006
【Fターム(参考)】
4C050AA04
4C050BB05
4C050CC04
4C050EE03
4C050FF01
4C050GG03
4C050HH01
4C055AA01
4C055BA01
4C055CA03
4C055CA16
4C055CA59
4C055CB04
4C055CB19
4C055DA01
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB071
4C084ZB072
4C084ZB111
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB331
4C084ZB332
4C084ZB351
4C084ZB352
4C084ZC032
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC02
4C086BC08
4C086BC17
4C086BC21
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB07
4C086ZB11
4C086ZB26
4C086ZB33
4C086ZB35
4C086ZC75
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB20
4H006BM30
4H006BM72
4H006BN10
4H006BN20
4H006BP30
4H006BS10
4H006BU32
4H006BU36
4H006BU42
4H006BU46
(57)【要約】
式(I)または式(II)で表される化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩またはプロドラッグまたは生物学的同配体を提供し、
式中、R
1、R
2a、R
2b、R
2c、R
3、R
4、R
5、R
6a、R
6b、R
2a’、R
2b’、R
2c’、R
3’、R
4’、R
5’、R
6a’、R
6b’、Y、Y’、ならびに下付き文字mおよびnは、本明細書で規定される通りである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)または式(II)で表される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物であって、
【化1】
【化2】
式中、
YおよびY’はそれぞれ、O、NH、およびN(C
1-4アルキル)からなる群から独立して選択され;
R
1は、H、ハロゲン、CN、C
1-4アルキル、C
1-4ハロアルキル、-O-C
1-4アルキル、および-O-C
1-4ハロアルキルからなる群から独立して選択され;
R
2a、R
2b、R
2c、R
2a’、R
2b’、およびR
2c’はそれぞれ、H、ハロゲン、-CN、-R
a、-CO
2R
b、-CONR
bR
c、-OC(O)NR
bR
c、-NR
cC(O)R
b、-NR
cC(O)
2R
a、-NR
b-C(O)NR
bR
c、-NR
bR
c、-OR
b、-X
1-OR
b、-X
1-NR
bR
c、-X
1-CO
2R
b、-SF
5、および-S(O)
2NR
bR
cからなる群から独立して選択され、各X
1はC
1-4アルキレンであり;R
bおよびR
cのそれぞれは、水素、C
1-8アルキル、およびC
1-8ハロアルキルから独立して選択され、あるいは同じ窒素原子に結合すると窒素原子と組み合わされて、N、O、およびSから選択された環員としての0~2個のさらなるヘテロ原子を有し、かつ場合によってはオキソで置換された5員環または6員環を形成でき;各R
aは、C
1-8アルキル、C
2-8アルケニル、およびC
1-8ハロアルキルからなる群から独立して選択され;
R
3およびR
3’はそれぞれ、-NR
dR
eおよび4~12員の単環式、二環式、またはスピロ環式非芳香族複素環からなる群から独立して選択され、かつ場合によっては1~6個のR
3aで置換され;
R
dは、H、C
1-8ハロアルキル、およびC
1-8アルキルからなる群から選択され;
R
eは、H、-C
1-8アルキル、C
1-8ハロアルキル、C
1-8ヒドロキシアルキル、-X
2-CO
2R
g、-X
2-CONR
gR
h、-X
2-CONHSO
2R
g、-X
2-SO
2NR
gR
h、-X
2-SO
3R
g、-X
2-B(OH)
2、-X
2-PO
3H
2、-X
2-C(O)NHOH、-X
2-NR
gR
h、-C(O)R
g、C
3-10シクロアルキル、-C
3-10シクロアルキル-COOR
g、-C
3-10シクロアルキル-OR
g、C
4-8ヘテロシクリル、-C
4-8ヘテロシクリル-COOR
g、-C
4-8ヘテロシクリル-OR
g、-X
2-C
4-8ヘテロシクリル、-C(=O)O-X
2-C
4-8ヘテロシクリル、-X
2-C
3-10シクロアルキル、C
5-10ヘテロアリール、-X
2-C
5-10ヘテロアリール、-X
2-C
6-10アリール、-X
2-(C=O)-C
6-10アリール、-CO
2-X
2-O
2C-C
1-8アルキル、-X
2-NH(C=O)-C
2-8アルケニル、-X
2-NH(C=O)-C
1-8アルキル、-X
2-NH(C=O)-C
2-8アルキニル、-X
2-(C=O)-NH-X
2-COOR
g、および場合によってはCO
2Hで置換される-X
2-(C=O)-NH-X
2-OR
gから選択され;R
eのアルキル部分またはアルキレン部分は、場合によっては、OH、COOH、SO
2NH
2、CONH
2、C(O)NHOH、COO-C
1-8アルキル、およびPO
3H
2から独立して選択される1~3個の置換基でさらに置換され;R
eのC
5-10ヘテロアリール部分およびC
6-10アリール部分は、場合によっては、OH、B(OH)
2、COOH、NH
2、SO
2NH
2、CONH
2、C(O)NHOH、PO
3H
2、COO-C
1-8アルキル、C
1-4アルキル、C
1-4アルキレン-OH、C
1-4アルキレン-SO
2NH
2、C
1-4アルキレンCONH
2、C
1-4アルキレン-C(O)NHOH、C
1-4アルキレン-PO
3H
2、およびC
1-4アルキレン-COOHから独立して選択される1~3個の置換基で置換され;R
eのC
4-8ヘテロシクリル部分およびC
3-10シクロアルキル部分は、場合によっては1~4個のR
w置換基で置換され;あるいは
それが結合しているNと組み合わされたR
eは、天然アミノ酸および非天然アミノ酸を含むモノアミノ酸、ジペプチド、またはトリペプチドであり、非天然アミノ酸は、C
2-4ヒドロキシアルキル、C
1-3アルキルグアニジニル、およびC
1-4アルキルヘテロアリールからなる群から選択されるα炭素置換基を有し、天然アミノ酸または非天然アミノ酸のそれぞれのα炭素は、場合によってはメチル基でさらに置換され、モノペプチド、ジペプチド、またはトリペプチドの末端部分は、C(O)OH、C(O)O-C
1-6アルキル、C(O)NH
2、およびPO
3H
2からなる群から選択され;
各R
3aは、ハロゲン、-CN、オキソ、-R
f、-CO
2R
g、-CONR
gR
h、-CONHC
1-6アルキル-OH、-C(O)R
g、-OC(O)R
g、-OC(O)NR
gR
h、-NR
gC(O)R
h、-NR
gC(O)
2R
h、-CONHOH、-PO
3H
2、-NR
g-X
2-C(O)
2R
h、-NR
gC(O)NR
gR
h、-NR
gR
h、-OR
g、-S(O)
2NR
gR
h、-O-X
2-OR
g、-O-X
2-NR
gR
h、-O-X
2-CO
2R
g、-O-X
2-CONR
gR
h、-X
2-OR
g、-X
2-NR
gR
h、-X
2-CO
2R
g、-X
2-CONR
gR
h、-X
2-CONHSO
2R
g、およびSF
5からなる群から独立して選択され;X
2はC
1-6アルキレンであり、かつ場合によっては、OH、NH
2、SO
2NH
2、CONH
2、C(O)NHOH、PO
3H
2、COO-C
1-8アルキル、またはCO
2Hでさらに置換され、R
gおよびR
hのそれぞれは、水素、場合によってはOH、NH
2、SO
2NH
2、CONH
2、C(O)NHOH、PO
3H
2、COO-C
1-8アルキル、およびCO
2Hから選択される1~2個の置換基で置換されたC
1-8アルキル、および場合によってはOH、NH
2、SO
2NH
2、CONH
2、C(O)NHOH、PO
3H
2、COO-C
1-8アルキル、およびCO
2Hから選択される1~2個の置換基で置換されたC
1-8ハロアルキルから独立して選択され、あるいは同じ窒素原子に結合すると、R
gおよびR
hは窒素原子と組み合わされて、N、O、またはSから選択された環員としての0~2個のさらなるヘテロ原子を有し、かつ場合によってはオキソで置換された5員環または6員環を形成でき;各R
fは、-OH、それぞれが場合によってはOH、NH
2、SO
2NH
2、CONH
2、C(O)NHOH、PO
3H
2、COO-C
1-8アルキル、またはCO
2Hで置換されていてもよいC
1-8アルキル、C
2-8アルケニル、およびC
1-8ハロアルキルからなる群から独立して選択され;
各R
w置換基は、C
1-4アルキル、C
1-4アルキレン-OH、C
1-4アルキレン-COOH、C
1-4アルキレン-SO
2NH
2、C
1-4アルキレン-CONH
2、C
1-4アルキレン-C(O)NHOH、C
1-4アルキレン-PO
3H、OH、COO-C
1-8アルキル、COOH、SO
2NH
2、CONH
2、C(O)NHOH、PO
3H
2、およびオキソから独立して選択され;
R
4およびR
4’はそれぞれ、それらのそれぞれが場合によっては1~5個のR
4aで置換されている、O-C
1-8アルキル、O-C
1-8ハロアルキル、C
6-10アリール、C
5-10ヘテロアリール、-O-C
1-4アルキル-C
4-7ヘテロシクロアルキル、-O-C
1-4アルキル-C
6-10アリール、および-O-C
1-4アルキル-C
5-10ヘテロアリールからなる群から独立して選択され;
各R
4aは、ハロゲン、-CN、-R
i、-CO
2R
j、-CONR
jR
k、-C(O)R
j、-OC(O)NR
jR
k、-NR
jC(O)R
k、-NR
jC(O)
2R
i、-NR
j-C(O)NR
jR
k、-NR
jR
k、および-OR
jからなる群から独立して選択され;
各R
iは、C
1-8アルキル、C
2-8アルケニル、およびC
1-8ハロアルキルからなる群から独立して選択され;場合によっては、2個のR
4a置換基が隣接する原子上にある場合に、それらを組み合わせて、場合によってはオキソで置換された5員または6員の縮合炭素環式環または縮合複素環式環を形成し;
R
jおよびR
kはそれぞれ、水素、C
1-8アルキル、およびC
1-8ハロアルキルから独立して選択され、あるいは同じ窒素原子に結合すると窒素原子と組み合わされて、N、O、またはSから選択される環員としての0~2個のさらなるヘテロ原子を有し、かつ場合によってはオキソで置換される5員環または6員環を形成でき;
各nは、独立して0、1、2、または3であり;
R
5およびR
5’はそれぞれ、ハロゲン、-CN、-R
q、-CO
2R
r、-CONR
rR
s、-C(O)R
r、-NR
rR
s、および-OR
rからなる群から独立して選択され、
R
rおよびR
sはそれぞれ、水素、C
1-4アルキル、およびC
1-4ハロアルキルから独立して選択され、あるいは同じ窒素原子に結合すると窒素原子と組み合わされて、N、O、またはSから選択される環員としての0~2個のさらなるヘテロ原子を有し、場合によってはオキソで置換される5員環または6員環を形成でき;各R
qは、C
1-8アルキルおよびC
1-8ハロアルキルからなる群から独立して選択され;
R
6aおよびR
6a’はそれぞれ、H、C
1-4アルキル、およびC
1-4ハロアルキルからなる群から独立して選択され;
各mは、独立して0、1、2、3、または4であり;
R
6bおよびR
6b’はそれぞれ、F、C
1-4アルキル、およびC
1-4ハロアルキルからなる群から独立して選択される、化合物。
【請求項2】
前記化合物は式(I)によって表される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記化合物は式(II)によって表される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記YおよびY’はそれぞれ、OおよびNHからなる群から独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
前記YおよびY’はそれぞれOである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
前記各下付き文字nは、独立して0または1である、請求項2または3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
前記各下付き文字mは、独立して0または1である、請求項2または3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
前記各下付き文字mは独立して0または1であり、かつ前記各下付き文字nは独立して0または1である、請求項2または3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
前記R
3およびR
3’はそれぞれ、独立して4~9員の単環式またはスピロ環式非芳香族複素環であり、場合によっては1~4個のR
3aで置換されている、請求項2または3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
前記R
3およびR
3’はそれぞれ、独立して-NR
dR
eである、請求項2または3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
前記R
3およびR
3’はそれぞれ-NR
dR
eであり、それが結合しているNと組み合わされたR
eは、天然アミノ酸または非天然アミノ酸であり、前記非天然アミノ酸は、C
2-4ヒドロキシアルキルおよびC
1-3アルキルグアニジニルからなる群から選択されるα炭素置換基を有し、前記天然アミノ酸または非天然アミノ酸のそれぞれのα炭素は、場合によってはメチル基でさらに置換され、その末端部分は、C(O)OH、C(O)O-C
1-6アルキル、およびC(O)NH
2からなる群から選択される、請求項2または3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
前記R
3およびR
3’はそれぞれ-NR
dR
eであり、それが結合しているNと組み合わされたR
eは、天然アミノ酸または非天然アミノ酸であり、前記非天然アミノ酸はC
2-4ヒドロキシアルキルα炭素を有し、前記天然アミノ酸または非天然アミノ酸のそれぞれのα炭素は、メチル基でさらに置換され、その末端部分は、C(O)OH、C(O)O-C
1-4アルキル、およびC(O)NH
2からなる群から選択される、請求項2または3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
前記R
2a、R
2b、R
2c、R
2a’、R
2b’、およびR
2c’はそれぞれ、H、ハロゲン、-CN、-R
a、-CO
2R
b、-CONR
bR
c、-NR
bR
c、および-OR
bからなる群から独立して選択され、前記R
bおよびR
cはそれぞれ、水素、C
1-8アルキル、およびC
1-8ハロアルキルから独立して選択され、あるいは同じ窒素原子に結合すると窒素原子と組み合わされて、N、O、およびSから選択された環員としての0~2個のさらなるヘテロ原子を有し、かつ場合によってはオキソで置換された5員環または6員環を形成でき、前記各R
aは、C
1-8アルキル、C
2-8アルケニル、およびC
1-8ハロアルキルからなる群から独立して選択される、請求項2または3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
前記R
1は、H、ハロゲン、CN、またはC
1-4アルキルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項15】
前記R
4およびR
4’はそれぞれ、O-C
1-8アルキル、O-C
1-8ハロアルキル、-O-C
1-4アルキル-C
6-10アリール、および-O-C
1-4アルキル-C
5-10ヘテロアリールからなる群から独立して選択され、これらのそれぞれは、場合によっては1~5個のR
4aで置換されている、請求項2または3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
前記R
4およびR
4’はそれぞれ、O-C
1-8アルキル、-O-C
1-4アルキルフェニル、および-O-C
1-4アルキルピリジルからなる群から独立して選択され、これらのそれぞれは、場合によっては1~3個のR
4aで置換されている、請求項2または3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
前記R
2a、R
2b、R
2c、R
2a’、R
2b’、およびR
2c’はそれぞれ、H、ハロゲン、-CN、-R
a、-CO
2R
b、-CONR
bR
c、-NR
bR
c、および-OR
bからなる群から独立して選択され;前記R
bおよびR
cはそれぞれ、水素、C
1-8アルキル、およびC
1-8ハロアルキルから独立して選択され、あるいは同じ窒素原子に結合すると窒素原子と組み合わされて、N、O、およびSから選択される環員としての0~2個のさらなるヘテロ原子を有し、かつ場合によってはオキソで置換される5員環または6員環を形成でき;前記各R
aは、C
1-8アルキル、C
2-8アルケニル、およびC
1-8ハロアルキルからなる群から独立して選択され;前記各R
3は、4~9員の単環式またはスピロ環式の非芳香族複素環式環であり、場合によっては1~4個のR
3aで置換されていて;前記各R
4は、O-C
1-8アルキル、-O-C
1-4アルキルフェニル、および-O-C
1-4アルキルピリジルからなる群から選択され、これらのそれぞれは、場合によっては1~3個のR
4aで置換されている、請求項2または3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
前記R
2a、R
2b、R
2c、R
2a’、R
2b’、およびR
2c’はそれぞれ、H、ハロゲン、-CN、-R
a、-CO
2R
b、-CONR
bR
c、-NR
bR
c、および-OR
bからなる群から独立して選択され;前記R
bおよびR
cはそれぞれ、水素、C
1-8アルキル、およびC
1-8ハロアルキルから独立して選択され、あるいは同じ窒素原子に結合すると窒素原子と組み合わされて、N、O、およびSから選択される環員としての0~2個のさらなるヘテロ原子を有し、かつ場合によってはオキソで置換される5員環または6員環を形成でき;前記各R
aは、C
1-8アルキル、C
2-8アルケニル、およびC
1-8ハロアルキルからなる群から独立して選択され;前記各R
3は-NR
dR
eであり、それが結合しているNと組み合わされたR
eは、天然アミノ酸または非天然アミノ酸であり、前記非天然アミノ酸はC
2-4ヒドロキシアルキルおよびC
1-3アルキルグアニジニルからなる群から選択されるα炭素置換基を有し、前記天然アミノ酸または非天然アミノ酸のそれぞれのα炭素は、場合によってはメチル基でさらに置換され、その末端部分は、C(O)OH、C(O)O-C
1-6アルキル、およびC(O)NH
2からなる群から選択され;前記各R
4は、O-C
1-8アルキル、-O-C
1-4アルキルフェニル、および-O-C
1-4アルキルピリジルからなる群から選択され、これらのそれぞれは、場合によっては1~3個のR
4aで置換されている、請求項2または3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
前記R
3およびR
3’はそれぞれ、以下からなる群から独立して選択される、請求項1または18に記載の化合物。
【化3】
【請求項20】
++または+++活性を有する、表1の化合物から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
前記化合物は、光学的に純粋な異性体または濃縮された異性体である、請求項1~20のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩および薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項23】
1種以上の追加の治療薬をさらに含む、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記1種以上の追加の治療薬は、抗菌剤、抗ウイルス剤、細胞毒性剤、遺伝子発現調節剤、化学療法剤、抗癌剤、抗血管新生剤、免疫療法剤、抗ホルモン剤、抗線維化剤、放射線療法剤、放射線治療剤、抗腫瘍剤、および抗増殖剤からなる群から選択される、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
対象でのPD-1シグナル伝達経路によって媒介される免疫応答を調節する方法であって、治療有効量の請求項1~21のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、あるいは請求項22~24のいずれか一項に記載の組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項26】
免疫応答の増強、刺激、調節、および/または増大を必要とする対象での免疫応答を増強、刺激、調節、および/または増大させる方法であって、治療有効量の請求項1~21のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、あるいは請求項22~24のいずれか一項に記載の組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項27】
癌細胞の成長、増殖、または転移の阻害を必要とする対象での癌細胞の成長、増殖、または転移を阻害する方法であって、治療有効量の請求項1~21のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、あるいは請求項22~24のいずれか一項に記載の組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項28】
PD-1シグナル伝達経路によって媒介される疾患または障害に罹患している対象、あるいは罹患し易い対象を治療する方法であって、治療有効量の請求項1~21のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、あるいは請求項22~24のいずれか一項に記載の組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項29】
前記対象は、感染症、細菌感染症、ウイルス感染症、真菌感染症、固形腫瘍、血液系悪性腫瘍、免疫障害、炎症性疾患、および癌からなる群から選択される疾患または障害に罹患している、請求項25~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記疾患または障害は、黒色腫、膠芽腫、食道腫瘍、上咽頭癌、ブドウ膜黒色腫、リンパ腫、リンパ球性リンパ腫、原発性CNSリンパ腫、T細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、前立腺がん、去勢抵抗性前立腺がん、慢性骨髄細胞性白血病、カポジ肉腫線維肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨形成肉腫、血管肉腫、リンパ管肉腫、滑膜腫、髄膜腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、軟組織肉腫、肉腫、敗血症、胆管腫瘍、基底細胞がん、胸腺新生物、甲状腺がん、副甲状腺がん、子宮がん、副腎がん、肝臓感染症、メルケル細胞がん、神経腫瘍、濾胞中心リンパ腫、大腸がん、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、および慢性リンパ球性白血病を含む慢性白血病または急性白血病、多発性骨髄腫、卵巣腫瘍、骨髄異形成症候群、皮膚または眼内悪性黒色腫、腎細胞がん、小細胞肺がん、肺がん、中皮腫、乳がん、扁平上皮非小細胞肺がん(SCLC)、非扁平上皮がん非小細胞肺がん(NSCLC)、結腸直腸がん、卵巣がん、胃がん、肝細胞がん、膵癌、膵臓がん、膵管腺がん、頭頸部扁平上皮がん、頭頸部がん、消化管がん、HIV、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、ヘルペスウイルス症、乳頭腫ウイルス症、インフルエンザ症、骨がん、皮膚がん、直腸がん、肛門部がん、精巣がん、卵管がん、子宮内膜がん、子宮頸部がん、膣がん、外陰部がん、食道がん、小腸がん、内分泌系がん、尿道がん、陰茎がん、膀胱がん、腎臓がん、尿管がん、腎盂がん、中枢神経系新生物(CNS)、腫瘍血管新生、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、類表皮がん、石綿症、癌腫、腺がん、乳頭状がん、嚢胞腺がん、気管支原性がん、腎細胞がん、移行上皮癌、絨毛がん、セミノーマ、胎生期がん、ウィルムス腫瘍、多形性腺腫、肝細胞乳頭腫、腎尿細管腺腫、嚢胞腺腫、乳頭腫、腺腫、平滑筋腫、横紋筋肉腫、血管腫、リンパ管腫、骨腫、軟骨腫、脂肪腫、および線維腫からなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
治療有効量の1種以上の追加の治療薬を前記対象に投与することをさらに含む、請求項25~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記1種以上の追加の治療薬は、抗菌剤、抗ウイルス剤、細胞毒性剤、遺伝子発現調節剤、化学療法剤、抗癌剤、抗血管新生剤、免疫療法剤、抗ホルモン剤、抗線維化剤、放射線療法剤、放射線治療剤、抗腫瘍剤、および抗増殖剤からなる群から選択される、請求項31に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許法に基づいて2019年7月10日付けの米国仮出願第62/872,541号の利益を主張する出願であり、参照によりその全体が本明細書内に組み込まれる。
連邦政府が後援する研究開発の下で実施された発明への権利に関する陳述
【0002】
該当なし
コンパクトディスクで提出される「配列リスト」、表、またはコンピュータプログラムリスト付属物に対する参照
【0003】
該当なし
【背景技術】
【0004】
プログラム細胞死タンパク質-1(PD-1)は、その2種のリガンドであるPD-L1またはPD-L2との相互作用により負のシグナルを伝達するCD28スーパーファミリーの成員である。PD-1およびそのリガンドは幅広く発現して、T細胞の活性化および耐性に広範囲の免疫調節の役割を発揮する。PD-1およびそのリガンドは、感染性免疫と腫瘍免疫を減弱して、慢性的な感染と腫瘍の進行を促進することに関与している。
【0005】
PD-1経路の調節は、種々のヒトの疾患に治療の可能性を有する(Hyun-Tak Jin et al., Curr Top Microbiol Immunol. (2011); 350:17-37)。PD-1経路の遮断は、癌治療において注目の的になっている。プログラム細胞死タンパク質-1(PD-1)免疫チェックポイント経路を遮断する治療用抗体は、T細胞の下方制御を防止し、かつ癌に対する免疫応答を促進する。いくつかのPD-1経路阻害剤は、臨床試験の様々な段階で強力な活動性を示している(RD Harvey, Clinical Pharmacology and Therapeutics (2014); 96(2), 214-223)。
【0006】
PD-1またはCD80のいずれかとのPD-L1の相互作用を遮断する薬剤が望まれている。いくつかの抗体が開発され、かつ商品化されている。非ペプチド性小分子を開示するいくつかの特許出願が公開されている(Bristol-Myers Squibb社出願のWO2015/160641号、WO2015/034820号、WO2017/066227号、およびWO2018/009505号;Aurigene社出願のWO2015/033299号およびWO2015/033301号;Incyte社出願のWO2017/070089号、US2017/0145025号、WO2017/106634号、US2017/0174679号、WO2017/192961号、WO2017/222976号、WO2017/205464号、WO2017/112730号、WO2017/041899号、およびWO2018/013789号;Maxinovel社出願のWO2018/006795号;およびChemoCentryx社出願のWO2018/005374号)。しかしながら、経口投与性、安定性、生体利用能、治療指数、および毒性の観点で有益な特徴を発揮することができる、PD-L1阻害剤としての小分子などの新規の化合物の必要性が依然として存在している。
【発明の概要】
【0007】
一側面では、本明細書は、式(I)または式(II)を有する化合物、あるいは薬学的に許容可能な塩、あるいはそのプロドラッグまたは生物学的同配体を提供し、
【化1】
【化2】
式中、R
1、R
2a、R
2b、R
2c、R
3、R
4、R
5、R
6a、R
6b、R
2a’、R
2b’、R
2c’、R
3’、R
4’、R
5’、R
6a’、R
6b’、Y、Y’、ならびに下付き文字mおよびnは、本明細書で規定される通りである。
【0008】
本明細書で提供される化合物に加えて、本開示はさらに、これらの化合物の1種以上を含む医薬組成物、ならびにそのような化合物の調製および使用に関連する方法を提供する。実施態様によっては、これら化合物を、PD-1/PD-L1経路に関連する疾患を治療する治療法に使用する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
該当なし
【発明を実施するための形態】
【0010】
略語と定義
本明細書で使用される用語「a」、「an」、または「the」は、1つの要素を有する側面を含むだけでなく、複数の要素を有する側面もまた含む。例えば、単数形の「a」、「an」、および「the」には、文脈で明確に指示していない限り、複数の指示対象が含まれる。従って、例えば「1個の細胞(a cell)」と述べる場合には、複数のその細胞(cells)も含み、「薬剤(the agent)」と述べる場合には、当業者に知られている1種以上の薬剤(agents)なども含む。
【0011】
用語「約」および「およそ」は、一般に、測定値の特質または精度を考慮して、測定された量の許容可能な程度の誤差を意味するものとする。典型的な誤差の程度の例としては、所定の数値または数値範囲の20%以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内である。あるいは、特に生物学的システムでは、用語「約」および「およそ」は、所定の数値の1桁以内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内の数値を意味してもよい。本明細書に記載される数値は、特に明記しない限り近似値であり、用語「約」または「およそ」は、明示的に記載されていない場合には推量してもよいことを意味する。
【0012】
用語「アルキル」は、それ単独で、または別の置換基の一部として、特に明記しない限り、指定された炭素原子の数を有する直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基を意味する(すなわちC1-8は1~8個の炭素を意味する)。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルなどが挙げられる。用語「アルケニル」は、1個以上の二重結合を有する不飽和アルキル基を指す。同様に用語「アルキニル」は、1個以上の三重結合を有する不飽和アルキル基を指す。アルケニル基の例としては、ビニル、2-プロペニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-(ブタジエニル),2,4-ペンタジエニル、および3-(1,4-ペンタジエニル)が挙げられる。アルキニル基の例としては、エチニル、1-および3-プロピニル、3-ブチニル、ならびにより高次の同族体および異性体が挙げられる。
【0013】
用語「シクロアルキル」は、表示の数の環原子(例えばC3-6シクロアルキル)を有し、完全に飽和しているか、または環頂点間に1個のみの二重結合を有する炭化水素環を指す。「シクロアルキル」はまた、例えば、ビシクロ「2.2.1」ヘプタン、ビシクロ「2.2.2」オクタンなどの二環式および多環式の炭化水素環を指すことを意味する。二環式または多環式の環は、縮合、架橋、スピロ、またはそれらの組合せであってもよい。
【0014】
用語「ヘテロシクロアルキル」または「ヘテロシクリル」は、N、O、およびSから選択される1~5個のヘテロ原子を含むシクロアルキル基を指し、場合によっては窒素原子および硫黄原子は酸化され、かつ場合によっては窒素原子は四級化されている。ヘテロシクロアルキルは、単環式、二環式、または多環式の環系であってもよい。二環式環または多環式環は、融合、架橋、スピロ化されてもよく、またはそれらの組合せであってもよい。例えば「C4-12ヘテロシクリル」という呼称では、4~12個の環員を有し、環員の少なくとも1個がヘテロ原子である基を指すことが分かっている。ヘテロシクロアルキル基の非限定的な例として、ピロリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ブチロラクタム、バレロラクタム、イミダゾリジノン、テトラゾロン、ヒダントイン、ジオキソラン、フタルイミド、ピペリジン、1,4-ジオキサン、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリン-S-オキシド、チオモルホリン-S,S-オキシド、ピペラジン、ピラン、ピリドン、3-ピロリン、チオピラン、ピロン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、キヌクリジンなどが挙げられる。ヘテロシクロアルキル基は、環炭素またはヘテロ原子を介して分子の残りの部分に結合できる。
【0015】
用語「アルキレン」は、それ単独でまたは別の置換基の一部として、-CH2CH2CH2CH2-で例示されるように、アルカンに由来する二価基を意味する。アルキレン基は、鎖状または分岐状であってもよい。後者の例としては、-CH2C(CH3)2CH2-、-CH2C(CH3)2-、または-CH(CH3)CH2CH2-である。典型的には、アルキル(またはアルキレン)基は1~12個の炭素原子を有し、本開示では8個以下の炭素原子を有するそれらの基が好ましい。同様に、「アルケニレン」および「アルキニレン」は、それぞれ、二重結合または三重結合を有する「アルキレン」の不飽和形態を指す。
【0016】
用語「アルコキシ」、「アルキルアミノ」、および「アルキルチオ」(またはチオアルコキシ)は、それらの従来からの意味で使用され、それぞれ、酸素原子、アミノ基、または硫黄原子を介して分子の残りの部分に結合するこれらのアルキル基を指す。さらにジアルキルアミノ基の場合には、アルキル部分は同じであっても異なっていてもよく、かつ組み合わされて、それぞれが結合している窒素原子と3~7員環を形成してもよい。従って、-NRaRbとして表示される基は、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、アゼチジニルなどを含むことを意味する。
【0017】
用語「ハロ」または「ハロゲン」は、それ単独でまたは別の置換基の一部として、特に明記しない限り、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素の各原子を意味する。さらに用語「ハロアルキル」は、モノハロアルキルおよびポリハロアルキルを含むことを意味する。例えば、用語「C1-4ハロアルキル」は、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、4-クロロブチル、3-ブロモプロピルなどを含むことを意味する。
【0018】
用語「ヒドロキシアルキル」または「アルキル-OH」は、水素原子の少なくとも1個(かつ最大3個)がヒドロキシ基で置換されている、上記に定義されたアルキル基を指す。アルキル基に関して、ヒドロキシアルキル基は、C1-6などの任意の適切な数の炭素原子を有してもよい。ヒドロキシアルキル基の例として、限定はされないが、ヒドロキシメチル、(ヒドロキシが1位または2位にある)ヒドロキシエチル、(ヒドロキシが1位、2位、または3位にある)ヒドロキシプロピル、および2,3-ジヒドロキシプロピルが挙げられる。
【0019】
用語「アリール」は、特に明記しない限り、互いに融合または共有結合している単一の環または複数の環(最大3個の環)であってもよい多価不飽和炭化水素基、典型的には芳香族の炭化水素基を意味する。
【0020】
用語「ヘテロアリール」は、1~5個のヘテロ原子の環頂点を有する5~10員の芳香環を指し、ヘテロ原子のそれぞれは、N、O、およびSから選択され、場合によっては窒素および硫黄原子は酸化され、場合によっては窒素原子は四級化されている。ヘテロアリール基は、ヘテロ原子を介して分子の残りの部分に結合できる。「C5-10ヘテロアリール」という呼称は、環員のうちの少なくとも1個はヘテロ原子である5~10個の環員を有するヘテロアリール部分を指すことが分かっている。アリール基の非限定的な例には、フェニル、ナフチル、およびビフェニルが含まれ、ヘテロアリール基の非限定的な例には、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミンジニル、トリアジニル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シノリニル、フタラジニル、ベンゾトリアジニル、プリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、イソベンゾフリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾトリアジニル、チエノピリジニル、チエノピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、イミダゾピリジン、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル、キノリル、イソキノリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、インダゾリル、プテリジニル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、ピロリル、チアゾリル、フリル、およびチエニルなどが含まれる。上述のアリール環系およびヘテロアリール環系のそれぞれの置換基は、以下に記載の許容可能な置換基の群から選択される。
【0021】
上述の用語(例えば、「アルキル」、「アリール」、および「ヘテロアリール」)のいずれかが、置換基についてさらなる表記がなく「置換される」と述べられる場合には、指定の基の置換形態は、以下に提供される通りである。
【0022】
(多くの場合にアルキレン、アルケニル、アルキニル、およびシクロアルキルと呼ばれる基を含む)アルキル基の置換基は、0~(2m’+1)の範囲の数で、-ハロゲン、-OR’、-NR’R”、-SR’、-SiR’R”R”’、-OC(O)R’、-C(O)R’、-CO2R’、-CONR’R”、-OC(O)NR’R”、-NR”C(O)R’、-NR’-C(O)NR”R”’、-NR”C(O)2R’、-NH-C(NH2)=NH、-NR’C(NH2)=NH、-NH-C(NH2)=NR’、-S(O)R’、-S(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-NR’S(O)2R”,-CN、および-NO2から選択される種々の基であってもよく、ここでm’はこの基の炭素原子の総数である。R’、R”およびR”’はそれぞれ独立して、水素、非置換C1-8アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換アリール、1~3個のハロゲンで置換されたアリール、非置換C1-8アルキル、C1-8アルコキシまたはC1-8チオアルコキシ、あるいは非置換アリール-C1-4アルキル基を指す。R’とR”が同一の窒素原子に結合している場合に、それらは窒素原子と組み合わされて3員環、4員環、5員環,6員環、または7員環を形成できる。例えば、-NR’R”は、1-ピロリジニルおよび4-モルホリニルを含むことを意味する。それ単独でまたは別の基の一部として使用される用語「アシル」は、その基の結合点に最の近接している炭素上の2個の置換基が、置換基=O(例えば、-C(O)CH3、-C(O)CH2CH2OR’など)で置換されているアルキル基を指す。
【0023】
同様に、アリール基およびヘテロアリール基の置換基は様々であり、一般に0~芳香環系の開原子価の総数までの範囲の数で、-ハロゲン、-OR’、-OC(O)R’、-NR’R”、-SR’、-R’、-CN、-NO2、-CO2R’、-CONR’R”、-C(O)R’、-OC(O)NR’R”、-NR”C(O)R’、-NR”C(O)2R’、-NR’-C(O)NR”R”’、-NH-C(NH2)=NH、-NR’C(NH2)=NH、-NH-C(NH2)=NR’、-S(O)R’、-S(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-NR’S(O)2R”、-N3、パーフルオロ(C1-C4)アルコキシ、およびパーフルオロ(C1-C4)アルキルから選択され、ここでR’、R”、およびR”’は、水素、C1-8アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-8アルケニル、C2-8アルキニル、非置換アリールおよびヘテロアリール、(非置換アリール)-C1-4アルキル、ならびに非置換アリールオキシ-C1-4アルキルから独立して選択される。他の適切な置換基には、1~4個の炭素原子のアルキレン繋ぎ鎖によって環原子に結合された上述のアリール置換基のそれぞれが含まれる。
【0024】
アリール環またはヘテロアリール環の隣接する原子上の置換基のうちの2個を、場合によっては、式:-T-C(O)-(CH2)q-U-の置換基で置換してもよく、ここでTおよびUは、独立して-NH-、-O-、-CH2-、または単結合であり、qは0~2の整数である。あるいは、アリール環またはヘテロアリール環の隣接する原子上の置換基のうちの2個を、場合によっては、式:-A-(CH2)r-B-の置換基で置換してもよく、ここでAおよびBは、独立して-CH2-、-O-、-NH-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、-S(O)2NR’-、または単結合であり、rは1~3の整数である。このように形成された新規の環の単結合のうちの1個を、場合によっては、二重結合で置換してもよい。あるいは、アリール環またはヘテロアリール環の隣接する原子上の置換基のうちの2個を、場合によっては、式:-(CH2)s-X-(CH2)t-の置換基で置換してもよく、ここでsおよびtは独立して0~3の整数であり、Xは-O-、-NR’-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、または-S(O)2NR’-である。-NR’-および-S(O)2NR’-中の置換基R’は、水素または非置換C1-6アルキルから選択される。
【0025】
本明細書で使用される用語「ヘテロ原子」は、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、およびシリコン(Si)を含むことを意味する。
【0026】
本明細書の開示はさらに、そのプロドラッグおよび生物学的同配体に関する。適切な生物学的同配体には、例えば、カルボン酸置換物(ホスホン酸、ホスフィン酸、スルホン酸、スルフィン酸、およびテトラゾールなどの酸性複素環式基)が含まれる。適切なプロドラッグは、生理学的条件下で加水分解かつ/あるいは酸化して式Iの化合物を提供することが知られている従来からの基を含んでいる。
【0027】
用語「患者」および「対象」には、霊長類(特にヒト)、飼い慣らされた伴侶動物(イヌ、ネコ、ウマなど)、および家畜(ウシ、ブタ、ヒツジなど)が含まれる。
【0028】
本明細書で使用される用語「治療すること」または「治療」は、疾患緩和治療および症候性治療の両方を含み、いずれも予防的(すなわち症状の発症前に、症状を予防、遅延、または症状の重症度を軽減する)であってもよく、あるいは治療的(すなわち症状の発症後に、症状の重症度および/または期間を軽減する)であってもよい。
【0029】
用語「薬学的に許容可能な塩」は、本明細書に記載の化合物に見られる特定の置換基に応じて、比較的毒性の無い酸または塩基で調製される有効化合物の塩を含むことを意味する。本開示の化合物が比較的酸性の官能性を含む場合には、中性形態のその化合物を、そのままのまたは適切な不活性溶媒中のいずれかで十分な量の所望の塩基と接触させて、塩基付加塩を得ることができる。薬学的に許容可能な無機塩基に由来する塩の例として、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、および亜鉛などの塩が挙げられる。薬学的に許容可能な有機塩基に由来する塩には、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの置換アミン、環状アミン、天然起源アミンなどを含む一級、二級、および三級アミンの塩が含まれる。本開示の化合物が比較的塩基性の官能性を含む場合には、中性形態のその化合物を、そのままのまたは適切な不活性溶媒中のいずれかで十分な量の所望の酸と接触させて、酸付加塩を得ることができる。薬学的に許容可能な酸付加塩の例として、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、またはリン酸などの無機酸に由来する塩、ならびに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などの比較的毒性の無い有機酸に由来する塩が挙げられる。さらにアルギン酸塩などのアミノ酸の塩、およびグルクロン酸またはガラクツロン酸などの有機酸の塩も含まれる(例えば、Berge, S.M., et al, “Pharmaceutical Salts”, Journal of Pharmaceutical Science, 1977, 66, 1-19を参照)。本開示の特定の化合物は、化合物を塩基性付加塩または酸付加塩のいずれかに変換することが可能になる塩基性および酸性の両方の官能性を含む。
【0030】
中性形態の化合物は、塩を塩基または酸と接触させ、かつ従来の方法で親化合物を単離して再生してもよい。親形態の化合物は、極性溶媒への溶解性などの特定の物理特性において種々の塩形態とは異なるが、その他の点では、塩は本開示の目的のための親形態の化合物と同等である。
【0031】
本開示の特定の化合物は、非溶媒和形態ならびに水和形態を含む溶媒和形態で存在できる。一般に、溶媒和形態は、非溶媒和形態と同等であり、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。本開示の特定の化合物は、複数の結晶形態または非晶質形態で存在してもよい。一般に、全ての物理的形態は、本開示によって想定される使用では同等であり、かつ本開示の範囲内にあることが意図されている。
【0032】
本発明の特定の化合物は、不斉炭素原子(光学中心)または二重結合を有し、ラセミ体、ジアステレオ異性体、幾何異性体、位置異性体、および個々の異性体(例えば個別の鏡像異性体)は全て、本発明の範囲内に含まれることが意図されている。立体化学的な図が示される場合には、それは、異性体のうちの1種が存在し、他の異性体は実質的に含まない化合物を指すことを意味する。別の異性体を「実質的に含まない」とは、2種の異性体の比率が少なくとも80/20、より好ましくは90/10、あるいは95/5またはそれ以上であることを示している。実施態様によっては、異性体のうちの1種は、少なくとも99%の量で存在する。
【0033】
本開示の化合物はまた、その化合物を構成する原子の1個以上に非天然の比率で原子同位体を含んでもよい。例えば化合物は、トリチウム(3H)、ヨウ素125(125I)、または炭素14(14C)などの放射性同位体で放射性標識されていてもよい。本開示の化合物の全ての同位体変異は、放射性であるかどうかにかかわらず、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。例えば化合物を、任意の数の水素原子が重水素(2H)同位体で置換されるように調製してもよい。本開示の化合物はまた、その化合物を構成する原子の1個以上に非天然の比率で原子同位体を含んでもよい。同位体の非天然の比率は、自然界に見られる量から問題の原子の100%からなる量までの範囲として規定してもよい。例えば化合物は、トリチウム(3H)、ヨウ素125(125I)、または炭素14(14C)などの放射性同位体、あるいは重水素(2H)または炭素13(13C)などの非放射性同位体を組み込んでもよい。このような同位体変異は、本出願内の他の場所で説明される変異にさらなる有用性を提供できる。例えば、本開示の化合物の同位体性変異体には、限定はされないが、例えば診断試薬および/または画像化試薬として、あるいは細胞毒性治療薬/放射線毒性治療薬として、さらなる有用性を見出すことができる。さらに本開示の化合物の同位体性変異体は、治療中の安全性、耐性、または有効性の向上に寄与できる薬物動態学的特性かつ薬力学的特性を変更できる。本開示の化合物の全ての同位体変異は、放射性であるかどうかにかかわらず、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
化合物
【0034】
一側面では、本開示は、式(I)または式(II)を有する化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物を提供し、
【化3】
【化4】
式中、
YおよびY’はそれぞれ、O、NH、およびN(C
1-4アルキル)からなる群から独立して選択され;
R
1は、H、ハロゲン、CN、C
1-4アルキル、C
1-4ハロアルキル、-O-C
1-4アルキル、および-O-C
1-4ハロアルキルからなる群から独立して選択され;
R
2a、R
2b、R
2c、R
2a’、R
2b’、およびR
2c’はそれぞれ、H、ハロゲン、-CN、-R
a、-CO
2R
b、-CONR
bR
c、-OC(O)NR
bR
c、-NR
cC(O)R
b、-NR
cC(O)
2R
a、-NR
b-C(O)NR
bR
c、-NR
bR
c、-OR
b、-X
1-OR
b、-X
1-NR
bR
c、-X
1-CO
2R
b、-SF
5、および-S(O)
2NR
bR
cからなる群から独立して選択され、各X
1はC
1-4アルキレンであり;R
bおよびR
cのそれぞれは、水素、C
1-8アルキル、およびC
1-8ハロアルキルから独立して選択され、あるいは同じ窒素原子に結合すると窒素原子と組み合わされて、N、O、およびSから選択された環員としての0~2個のさらなるヘテロ原子を有し、かつ場合によってはオキソで置換された5員環または6員環を形成でき;各R
aは、C
1-8アルキル、C
2-8アルケニル、およびC
1-8ハロアルキルからなる群から独立して選択され;
R
3およびR
3’はそれぞれ、-NR
dR
eおよび4~12員の単環式、二環式、またはスピロ環式非芳香族複素環からなる群から独立して選択され、かつ場合によっては1~6個のR
3aで置換され;
R
dは、H、C
1-8ハロアルキル、およびC
1-8アルキルからなる群から選択され;
R
eは、H、-C
1-8アルキル、C
1-8ハロアルキル、C
1-8ヒドロキシアルキル、-X
2-CO
2R
g、-X
2-CONR
gR
h、-X
2-CONHSO
2R
g、-X
2-SO
2NR
gR
h、-X
2-SO
3R
g、-X
2-B(OH)
2、-X
2-PO
3H
2、-X
2-C(O)NHOH、-X
2-NR
gR
h、-C(O)R
g、C
3-10シクロアルキル、-C
3-10シクロアルキル-COOR
g、-C
3-10シクロアルキル-OR
g、C
4-8ヘテロシクリル、-C
4-8ヘテロシクリル-COOR
g、-C
4-8ヘテロシクリル-OR
g、-X
2-C
4-8ヘテロシクリル、-C(=O)O-X
2-C
4-8ヘテロシクリル、-X
2-C
3-10シクロアルキル、C
5-10ヘテロアリール、-X
2-C
5-10ヘテロアリール、-X
2-C
6-10アリール、-X
2-(C=O)-C
6-10アリール、-CO
2-X
2-O
2C-C
1-8アルキル、-X
2-NH(C=O)-C
2-8アルケニル、-X
2-NH(C=O)-C
1-8アルキル、-X
2-NH(C=O)-C
2-8アルキニル、-X
2-(C=O)-NH-X
2-COOR
g、および場合によってはCO
2Hで置換される-X
2-(C=O)-NH-X
2-OR
gから選択され;R
eのアルキル部分またはアルキレン部分は、場合によっては、OH、COOH、SO
2NH
2、CONH
2、C(O)NHOH、COO-C
1-8アルキル、およびPO
3H
2から独立して選択される1~3個の置換基でさらに置換され;R
eのC
5-10ヘテロアリール部分およびC
6-10アリール部分は、場合によっては、OH、B(OH)
2、COOH、NH
2、SO
2NH
2、CONH
2、C(O)NHOH、PO
3H
2、COO-C
1-8アルキル、C
1-4アルキル、C
1-4アルキレン-OH、C
1-4アルキレン-SO
2NH
2、C
1-4アルキレンCONH
2、C
1-4アルキレン-C(O)NHOH、C
1-4アルキレン-PO
3H
2、およびC
1-4アルキレン-COOHから独立して選択される1~3個の置換基で置換され;R
eのC
4-8ヘテロシクリル部分およびC
3-10シクロアルキル部分は、場合によっては1~4個のR
w置換基で置換され;あるいは
それが結合しているNと組み合わされたR
eは、天然アミノ酸および非天然アミノ酸を含むモノアミノ酸、ジペプチド、またはトリペプチドであり、非天然アミノ酸は、C
2-4ヒドロキシアルキル、C
1-3アルキルグアニジニル、およびC
1-4アルキルヘテロアリールからなる群から選択されるα炭素置換基を有し、天然アミノ酸または非天然アミノ酸のそれぞれのα炭素は、場合によってはメチル基でさらに置換され、モノペプチド、ジペプチド、またはトリペプチドの末端部分は、C(O)OH、C(O)O-C
1-6アルキル、C(O)NH
2、およびPO
3H
2からなる群から選択され;
各R
3aは、ハロゲン、-CN、オキソ、-R
f、-CO
2R
g、-CONR
gR
h、-CONHC
1-6アルキル-OH、-C(O)R
g、-OC(O)R
g、-OC(O)NR
gR
h、-NR
gC(O)R
h、-NR
gC(O)
2R
h、-CONHOH、-PO
3H
2、-NR
g-X
2-C(O)
2R
h、-NR
gC(O)NR
gR
h、-NR
gR
h、-OR
g、-S(O)
2NR
gR
h、-O-X
2-OR
g、-O-X
2-NR
gR
h、-O-X
2-CO
2R
g、-O-X
2-CONR
gR
h、-X
2-OR
g、-X
2-NR
gR
h、-X
2-CO
2R
g、-X
2-CONR
gR
h、-X
2-CONHSO
2R
g、およびSF
5からなる群から独立して選択され;X
2はC
1-6アルキレンであり、かつ場合によっては、OH、NH
2、SO
2NH
2、CONH
2、C(O)NHOH、PO
3H
2、COO-C
1-8アルキル、またはCO
2Hでさらに置換され、R
gおよびR
hのそれぞれは、水素、場合によってはOH、NH
2、SO
2NH
2、CONH
2、C(O)NHOH、PO
3H
2、COO-C
1-8アルキル、およびCO
2Hから選択される1~2個の置換基で置換されたC
1-8アルキル、および場合によってはOH、NH
2、SO
2NH
2、CONH
2、C(O)NHOH、PO
3H
2、COO-C
1-8アルキル、およびCO
2Hから選択される1~2個の置換基で置換されたC
1-8ハロアルキルから独立して選択され、あるいは同じ窒素原子に結合すると、R
gおよびR
hは窒素原子と組み合わされて、N、O、またはSから選択された環員としての0~2個のさらなるヘテロ原子を有し、かつ場合によってはオキソで置換された5員環または6員環を形成でき;各R
fは、-OH、それぞれが場合によってはOH、NH
2、SO
2NH
2、CONH
2、C(O)NHOH、PO
3H
2、COO-C
1-8アルキル、またはCO
2Hで置換されていてもよいC
1-8アルキル、C
2-8アルケニル、およびC
1-8ハロアルキルからなる群から独立して選択され;
各R
w置換基は、C
1-4アルキル、C
1-4アルキレン-OH、C
1-4アルキレン-COOH、C
1-4アルキレン-SO
2NH
2、C
1-4アルキレン-CONH
2、C
1-4アルキレン-C(O)NHOH、C
1-4アルキレン-PO
3H、OH、COO-C
1-8アルキル、COOH、SO
2NH
2、CONH
2、C(O)NHOH、PO
3H
2、およびオキソから独立して選択され;
R
4およびR
4’はそれぞれ、それらのそれぞれが場合によっては1~5個のR
4aで置換されている、O-C
1-8アルキル、O-C
1-8ハロアルキル、C
6-10アリール、C
5-10ヘテロアリール、-O-C
1-4アルキル-C
4-7ヘテロシクロアルキル、-O-C
1-4アルキル-C
6-10アリール、および-O-C
1-4アルキル-C
5-10ヘテロアリールからなる群から独立して選択され;
各R
4aは、ハロゲン、-CN、-R
i、-CO
2R
j、-CONR
jR
k、-C(O)R
j、-OC(O)NR
jR
k、-NR
jC(O)R
k、-NR
jC(O)
2R
i、-NR
j-C(O)NR
jR
k、-NR
jR
k、および-OR
jからなる群から独立して選択され;
各R
iは、C
1-8アルキル、C
2-8アルケニル、およびC
1-8ハロアルキルからなる群から独立して選択され;場合によっては、2個のR
4a置換基が隣接する原子上にある場合に、それらを組み合わせて、場合によってはオキソで置換された5員または6員の縮合炭素環式環または縮合複素環式環を形成し;
R
jおよびR
kはそれぞれ、水素、C
1-8アルキル、およびC
1-8ハロアルキルから独立して選択され、あるいは同じ窒素原子に結合すると窒素原子と組み合わされて、N、O、またはSから選択される環員としての0~2個のさらなるヘテロ原子を有し、かつ場合によってはオキソで置換される5員環または6員環を形成でき;
各nは、独立して0、1、2、または3であり;
R
5およびR
5’はそれぞれ、ハロゲン、-CN、-R
q、-CO
2R
r、-CONR
rR
s、-C(O)R
r、-NR
rR
s、および-OR
rからなる群から独立して選択され、
R
rおよびR
sはそれぞれ、水素、C
1-4アルキル、およびC
1-4ハロアルキルから独立して選択され、あるいは同じ窒素原子に結合すると窒素原子と組み合わされて、N、O、またはSから選択される環員としての0~2個のさらなるヘテロ原子を有し、場合によってはオキソで置換される5員環または6員環を形成でき;各R
qは、C
1-8アルキルおよびC
1-8ハロアルキルからなる群から独立して選択され;
R
6aおよびR
6a’はそれぞれ、H、C
1-4アルキル、およびC
1-4ハロアルキルからなる群から独立して選択され;
各mは、独立して0、1、2、3、または4であり;
R
6bおよびR
6b’はそれぞれ、F、C
1-4アルキル、およびC
1-4ハロアルキルからなる群から独立して選択される。
【0035】
一実施態様群では、本明細書に提供される化合物は、式(I)によって表される。
【0036】
一実施態様群では、本明細書で提供される化合物は、式(II)によって表される。
【0037】
一実施態様群では、式(I)または式(II)の化合物は、YおよびY’がそれぞれ、OおよびNHからなる群から独立して選択される化合物である。
【0038】
一実施態様群では、式(I)または式(II)の化合物は、YおよびY’がそれぞれOである化合物である。
【0039】
実施態様によっては、式(I)または式(II)の化合物は、下付き文字nのそれぞれが0または1である化合物である。実施態様によっては、式(I)または式(II)の化合物は、下付き文字mのそれぞれが0または1である化合物である。実施態様によっては、式(I)または式(II)の化合物は、下付き文字nのそれぞれが0または1であり、かつ下付き文字mのそれぞれが0または1である化合物である。
【0040】
実施態様によっては、式(I)または式(II)の化合物は、R3およびR3’のそれぞれが、場合によっては1~4個のR3aで置換されている、4~9員の単環式またはスピロ環式非芳香族複素環である化合物である。
【0041】
実施態様によっては、式(I)または式(II)の化合物は、各R3およびR3’が独立して-NRdReである化合物である。
【0042】
実施態様によっては、式(I)または式(II)の化合物は、R3およびR3’がそれぞれ独立して-NRdReであり、かつそれが結合しているNと組み合わされたReは、天然アミノ酸または非天然アミノ酸である化合物であり、ここで非天然アミノ酸は、C2-4ヒドロキシアルキルおよびC1-3アルキルグアニジニルからなる群から選択されるα炭素置換基を有し、天然アミノ酸または非天然アミノ酸のそれぞれのα炭素は、場合によってはメチル基でさらに置換されていて、その末端部分は、C(O)OH、C(O)O-C1-6アルキル、およびC(O)NH2からなる群から選択される。
【0043】
実施態様によっては、式(I)または式(II)の化合物は、R3およびR3’がそれぞれ独立して-NRdReであり、かつそれが結合しているNと組み合わされたReが天然アミノ酸または非天然アミノ酸である化合物であり、ここで非天然アミノ酸は、C2-4ヒドロキシアルキルα炭素を有し、天然アミノ酸または非天然アミノ酸のそれぞれのα炭素は、場合によってはメチル基でさらに置換されていて、その末端部分は、C(O)OH、C(O)O-C1-4アルキル、およびC(O)NH2からなる群から選択される。
【0044】
実施態様によっては、式(I)または式(II)の化合物は、R2a、R2b、R2c、R2a’、R2b’およびR2c’がそれぞれ、H、ハロゲン、-CN、-Ra、-CO2Rb、-CONRbRc、-NRbRc、および-ORbからなる群から独立して選択される化合物であり;ここでRbおよびRcはそれぞれ、水素、C1-8アルキル、およびC1-8ハロアルキルから独立して選択され、あるいは同じ窒素原子に結合すると窒素原子と組み合わされて、N、O、またはSから選択される環員としての0~2個のさらなるヘテロ原子を有し、かつ場合によってはオキソで置換される5員環または6員環を形成でき;各Raは、C1-8アルキル、C2-8アルケニル、およびC1-8ハロアルキルからなる群から独立して選択される。
【0045】
実施態様によっては、式(I)または式(II)の化合物は、R4およびR4’がそれぞれ、O-C1-8アルキル、O-C1-8ハロアルキル、-O-C1-4アルキル-C6-10アリール、および-O-C1-4アルキル-C5-10ヘテロアリールからなる群から独立して選択され、これらのそれぞれは、場合によっては1~5個のR4aで置換されている化合物である。
【0046】
実施態様によっては、式(I)または式(II)の化合物は、R4およびR4’がそれぞれ、O-C1-8アルキル、-O-C1-4アルキルフェニル、および-O-C1-4アルキルピリジルからなる群から独立して選択され、これらのそれぞれは、場合によっては1~3個のR4aで置換されている化合物である。
【0047】
実施態様によっては、式(I)または式(II)の化合物は、R2a、R2b、R2c、R2a’、R2b’、およびR2c’がそれぞれ、H、ハロゲン、-CN、-Ra、-CO2Rb、-CONRbRc、-NRbRc、および-ORbからなる群から独立して選択される化合物であり;ここでRbおよびRcはそれぞれ、水素、C1-8アルキル、およびC1-8ハロアルキルから独立して選択され、あるいは同じ窒素原子に結合すると窒素原子と組み合わされて、N、O、またはSから選択される環員としての0~2個のさらなるヘテロ原子を有し、かつ場合によってはオキソで置換される5員環または6員環を形成でき;各Raは、C1-8アルキル、C2-8アルケニル、およびC1-8ハロアルキルからなる群から独立して選択され;各R3は、4~9員の単環式またはスピロ環式の非芳香族複素環式環であり、かつ場合によっては1~4個のR3aで置換されていて;各R4は、O-C1-8アルキル、-O-C1-4アルキルフェニル、および-O-C1-4アルキルピリジルからなる群から選択され、それらのそれぞれは、場合によっては1~3個のR4aで置換されている。
【0048】
実施態様によっては、式(I)または式(II)の化合物は、R2a、R2b、R2c、R2a’、R2b’およびR2c’がそれぞれ、H、ハロゲン、-CN、-Ra、-CO2Rb、-CONRbRc、-NRbRc、および-ORbからなる群から独立して選択される化合物であり;ここでRbおよびRcはそれぞれ、水素、C1-8アルキル、およびC1-8ハロアルキルから独立して選択され、あるいは同じ窒素原子に結合すると窒素原子と組み合わされて、N、O、またはSから選択される環員としての0~2個のさらなるヘテロ原子を有し、かつ場合によってはオキソで置換される5員環または6員環を形成でき;各Raは、C1-8アルキル、C2-8アルケニル、およびC1-8ハロアルキルからなる群から独立して選択され;各R3は-NRdReであり、それが結合しているNと組み合わされたReは、天然アミノ酸または非天然アミノ酸であり、非天然アミノ酸はC2-4ヒドロキシアルキルおよびC1-3アルキルグアニジニルからなる群から選択されるα炭素置換基を有し、天然アミノ酸または非天然アミノ酸のそれぞれのα炭素は、場合によってはメチル基でさらに置換され、その末端部分は、C(O)OH、C(O)O-C1-6アルキル、およびC(O)NH2からなる群から選択され;各R4は、O-C1-8アルキル、-O-C1-4アルキルフェニル、および-O-C1-4アルキルピリジルからなる群から選択され、これらのそれぞれは、場合によっては1~3個のR4aで置換されている。
【0049】
実施態様によっては、式(II)の化合物は、R1がH、ハロゲン、CN、またはC1-4アルキルである化合物である。
【0050】
上述の実施態様のいずれかを含む選択された実施態様によっては、さらなる実施態様は、R
3およびR
3’がそれぞれ、以下からなる群から独立して選択される式(I)または式(II)の化合物を含む。
【化5】
【0051】
実施態様によっては、式(I)および式(II)のそれぞれについて、かつ上述のさらに選択された実施態様では、化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、++活性または+++活性を有する、表1から選択される化合物またはその塩である。
【0052】
上述の化合物に加えて、これらの化合物の薬学的に許容可能な塩もまた提供される。実施態様によっては、薬学的に許容可能な塩は、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン、塩酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸、アルギン酸、グルクロン酸、およびガラクツロン酸の塩から選択される。実施態様によっては、薬学的に許容可能な塩は、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、塩酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸、アルギン酸、グルクロン酸、およびガラクツロン酸の塩から選択される。実施態様によっては、薬学的に許容可能な塩は、ナトリウムまたは塩酸の塩である。
【0053】
塩形態に加えて、本開示は、プロドラッグ形態である化合物を提供する。本明細書に説明の化合物のプロドラッグは、生理学的条件下で化学変化を容易に受けて、本開示の化合物を提供する化合物である。さらにプロドラッグは、生体外環境で化学的方法または生化学的方法によって本開示の化合物に変換できる。例えばプロドラッグを、適切な酵素または化学試薬とともに経皮貼付け保持剤内に配置すると、本開示の化合物に徐々に変換できる。
【0054】
エステルを、対応するカルボン酸のプロドラッグとして使用してもよい。C1-10アルキルエステルまたはC1-10ハロアルキルエステルを、対応するカルボン酸のプロドラッグとして使用してもよい。tert-ブチルエステル、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなどのエステルを使用してもよい。
医薬組成物
【0055】
本明細書で提供される化合物に加えて、それらの化合物の組成物は、典型的には、医薬用担体または希釈剤を含む。
【0056】
本明細書で使用される用語「組成物」は、特定の量の特定の成分を含む生成物、ならびに特定の量の特定の成分の組合せから直接的または間接的に生じる任意の生成物を包含することを意図している。「薬学的に許容可能」とは、担体、希釈剤、または賦形剤が、製剤の他の成分と適合性があり、その受容者に有害であってはならないことを意味する。
【0057】
別の実施態様では、式(I)または式(II)の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩を含む本開示の化合物、および薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0058】
実施態様によっては、医薬組成物はさらに、1種以上の追加の治療薬を含む。実施態様によっては、1種以上の追加の治療薬は、抗菌剤、抗ウイルス剤、細胞毒性剤、遺伝子発現調節剤、化学療法剤、抗癌剤、抗血管新生剤、免疫療法剤、抗ホルモン剤、抗線維化剤、放射線療法剤、放射線治療剤、抗腫瘍剤、および抗増殖剤からなる群から選択される。実施態様によっては、1つ以上の追加の治療薬は、ケモカインおよび/または化学誘因受容体の拮抗薬であり、これには、限定はされないが、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10、CCR11、CCR12、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5、CXCR6、CXCR7、C3aR、および/またはC5aRが含まれる。ケモカインおよび/または化学誘因受容体の拮抗薬は、当技術分野では既知であり、例えば、WO2007/002667号、WO2007/002293号、WO/2003/105853号、WO/2007/022257号、WO/2007/059108号、WO/2007/044804号、WO2007/115232号、WO2007/115231号、WO2008/147815号、WO2010/030815号、WO2010/075257号、WO2011/163640号、WO2010/054006号、WO2010/051561号、WO2011/035332号、WO2013/082490号、WO2013/082429号、WO2014/085490号、WO2014/100735号、WO2014/089495号、WO2015/084842号、WO2016/187393号、WO2017/127409号、WO 2017/087607号、WO2017/087610号、WO2017/176620号、WO2018/222598号、WO2018/222601号、WO2013/130811号、WO2006/076644号、WO2008/008431号、WO2009/038847号、WO2008/008375号、WO2008/008374号、WO2008/010934号、WO2009/009740号、WO2005/112925号、WO2005/112916号、WO2005/113513号、WO2004/085384号、およびWO2004/046092号に説明されている。ケモカインおよび/または化学誘因受容体の拮抗薬にはまた、CCX354、CCX9588、CCX140、CCX872、CCX598、CCX6239、CCX9664、CCX2553、CCX3587、CCX3624、CCX2991、CCX282、CCX025、CCX507、CCX430、CCX765、CCX224、CCX662、CCX650、CCX832、CCX168、CCX168-M1、CCX3022、および/またはCCX3384が含まれる。
【0059】
本開示の化合物を投与するための医薬組成物は、単位剤形で好都合に提供でき、かつ薬学および薬物送達の技術分野で周知のいずれかの方法によって調製してもよい。全ての方法は、有効成分を1種以上の付属成分を構成する担体と結合させる工程を含む。一般に医薬組成物は、有効成分を液体担体または微細に粉砕された固体担体、あるいはその両方と均一かつ密接に結合させる工程、次いで必要に応じて生成物を所望の製剤に成形する工程によって調製される。医薬組成物中には、有効対象化合物を、疾患の過程または病状に対して所望の効果を生み出すのに十分な量で含んでいる。
【0060】
有効成分を含む医薬組成物は、例えば、錠剤、トローチ、口内錠、水性または油性懸濁液、分散性粉末または顆粒、US2002/0012680号に説明されるような乳濁液および自己乳化物、硬質または軟質カプセル、シロップ、エリキシル剤、溶液、頬内貼付剤、経口ゲル、チューインガム、咀嚼錠剤、発泡性粉末、および発泡性錠剤のような経口使用に適する形態であってもよい。経口使用を目的とする組成物は、医薬組成物の製造のための当技術分野で既知の任意の方法に従って調製でき、そのような組成物には、薬学的に優雅で口当たりの良い製剤を提供するために、甘味剤、香味剤、着色剤、抗酸化剤、および保存剤からなる群から選択される1種以上の薬剤を含んでもよい。錠剤は、錠剤の製造に適する無毒性の薬学的に許容可能な賦形剤とともに混合された有効成分を含む。これらの賦形剤は、例えば、セルロース、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ブドウ糖、マンニトール、ソルビトール、乳糖、リン酸カルシウム、またはリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;コーンスターチまたはアルギン酸などの造粒剤および崩壊剤;PVP、セルロース、PEG、デンプン、ゼラチン、またはアカシアなどの結合剤;およびステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルクなどの潤滑剤であってもよい。錠剤は、被覆されていなくてもよく、あるいは既知の技術によって腸内でまたはその他の部分で被覆されていて、胃腸管での崩壊および吸収を遅らせ、それによって長期間に亘って持続的な作用を提供してもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリンなどの時間的遅延材料を使用してもよい。これらはまた、放出制御用の浸透圧治療錠剤を形成するために、US 4,256,108号、US 4,166,452号、およびUS 4,265,874号に説明の技術によって被覆されていてもよい。
【0061】
経口使用のための製剤はまた、有効成分を、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリン、種々の平均径のポリエチレングリコール(PEG)(例えば、PEG400、PEG4000)などの不活性な固体希釈剤、およびクレモフォアまたはソルトールなどの特定の界面活性剤と混合した硬質ゼラチンカプセル、あるいは有効成分を、水、あるいは落花生油、液状パラフィン、またはオリーブオイルなどの油性媒体と混合した軟質ゼラチンカプセルとして提供してもよい。さらに乳状液を、油などの非水混和性成分とともに調製し、モノグリセリドまたはジグリセリド、PEGエステルなどの界面活性剤で安定化させてもよい。
【0062】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適する賦形剤とともに混合された有効物質を含む。そのような賦形剤は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、およびアカシアゴムなどの懸濁剤であり、分散剤または湿潤剤は、レシチンなどの天然起源のホスファチド、あるいはポリオキシステアリン酸エチレンなどのアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、あるいはヘプタデカエチレンオキシセタノールなどのエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、あるいはポリオキシエチレンソルビトールモノオレイン酸塩などのエチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合生成物、あるいはポリエチレンソルビタンモノオレイン酸塩などのエチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来する部分エステルとの縮合生成物であってもよい。水性懸濁液はまた、p-ヒドロキシ安息香酸エチルまたはn-プロピルなどの1種以上の防腐剤、1種以上の着色剤、1種以上の香味剤、およびショ糖またはサッカリンなどの1種以上の甘味剤を含んでもよい。
【0063】
油性懸濁液は、有効成分を落花生油、オリーブ油、ゴマ油、またはココナッツ油などの植物油中に、あるいは液状パラフィンなどの鉱物油中に懸濁して処方してもよい。油性懸濁液は、蜜蝋、硬質パラフィン、またはセチルアルコールなどの増粘剤を含んでもよい。上述のような甘味料および香味料を添加して、口当たりの良い経口製剤を提供してもよい。これらの組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化剤を添加して保存してもよい。
【0064】
水の添加による水性懸濁液の調製に適する分散性粉末および顆粒は、分散剤または湿潤剤、懸濁剤、および1種以上の防腐剤とともに混合した有効成分を提供する。適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤は、例としては上述の通りである。さらなる賦形剤として、例えば甘味料、香味料、および着色剤がさらに存在してもよい。
【0065】
本開示の医薬組成物はまた、水中油型の乳濁液の形態であってもよい。油相は、オリーブ油または落花生油などの植物油、液状パラフィンなどの鉱油、あるいはこれらの混合液であってもよい。適切な乳化剤は、アカシアゴムまたはトラガカントゴムなどの天然起源のゴム、大豆、レシチンなどの天然起源のホスファチド、ソルビタンモノオレイン酸などの脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来するエステルまたは部分エステル、およびポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸などの前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物であってもよい。乳濁液はまた、甘味料および香味料を含んでもよい。
【0066】
シロップおよびエリキシル剤を、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、またはショ糖などの甘味剤とともに処方してもよい。このような配合物はまた、粘稠剤、防腐剤、香味料、および着色剤を含んでもよい。経口溶剤は、例えば、シクロデキストリン、PEG、および界面活性剤と組み合わせて調製してもよい。
【0067】
医薬組成物は、無菌の注射可能な水性懸濁液または油脂性懸濁液の形態であってもよい。この懸濁液は、上述の適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて、既知の技術に従って配合してもよい。無菌の注射可能な調製物はまた、例えば、1,3-ブタンジオール溶液として、非毒性の非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒中の無菌性の注射可能溶液または懸濁液であってもよい。使用できる許容可能な媒体および溶媒として、水、リンゲル液、および等張塩化ナトリウム溶液が挙げられる。さらに無菌性の不揮発性油は、従来から、溶媒または懸濁媒体として用いられている。この目的のためには、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドを含むいずれかの無刺激性の不揮発性油を使用してもよい。さらにオレイン酸などの脂肪酸は、注射用剤の調製に使用されている。
【0068】
本開示の化合物はまた、薬物の直腸投与のために坐剤の形態で投与されてもよい。これらの組成物は、常温では固体であるが直腸温度では液体であり、それによって直腸内で溶融して薬物を放出する適切な非刺激性賦形剤とともに薬物を混合して調製できる。このような材料には、カカオバターおよびポリエチレングリコールが含まれる。さらにこれら化合物を、溶液または軟膏によって眼への送達を介して投与してもよい。さらに対象化合物の経皮送達は、イオン泳動性の貼付剤などによって実施してもよい。局所使用のためには、本開示の化合物を含むクリーム、軟膏、ゼリー、溶液、または懸濁液などが用いられる。本明細書で使用される「局所投与」にはまた、口内洗浄薬およびうがい薬の使用を含むことを意味する。
【0069】
本開示の化合物はまた、標的可能な薬物担体として適切な重合体である担体と結合させてもよい。このような重合体には、ポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルタミドフェノール、またはパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシドポリリジンが含まれてもよい。さらに、本開示の化合物は、薬物の制御放出を達成するのに有用な生分解性重合体の部類である担体に、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸の共重合体、ポリ-ε-カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、およびヒドロゲルの架橋性または両親媒性ブロック共重合体などに結合されてもよい。重合体および半透性重合体基質は、弁、ステント、管、装具などの成形品に形成されてもよい。本開示の一実施態様では、本開示の化合物を、ステントまたはステント移植装具として形成される重合体または半透性重合体基質に結合する。
疾患および障害を治療する方法
【0070】
本開示の化合物を、免疫調節剤として用いてもよい。本開示の化合物を、生体外および生体内の両方での種々の環境において、作動薬、拮抗薬、部分作動薬、逆作動薬、PD-1および/またはPD-L1の阻害剤として用いてもよい。実施態様によっては、本開示の化合物を、PD-1/PD-L1タンパク質間のタンパク質相互作用の阻害剤として用いてもよい。実施態様によっては、本開示の化合物を、PD-L1の阻害剤として用いてもよい。実施態様によっては、本開示の化合物を、CD80/PD-L1タンパク質間のタンパク質相互作用の阻害剤として用いてもよい。実施態様によっては、本開示の化合物を用いて、生体外または生体内で、PD-1とPD-L1間および/またはPD-1とCD80間および/またはPD-1とPD-L2間の相互作用を阻害してもよい。実施態様によっては、本開示の化合物を用いて、VISTAおよび/またはTIM-3を阻害してもよい。実施態様によっては、本開示の化合物は、PD-1/PD-L1タンパク質間のタンパク質相互作用の阻害剤、ならびにVISTAおよび/またはTIM-3の阻害剤であってもよい。実施態様によっては、PD-1/PD-L1タンパク質間のタンパク質相互作用の阻害剤であることに加えて、本開示の化合物は、CTLA-4および/またはBTLAおよび/またはLAG-3および/またはKLRG-1および/または2B4および/またはCD160および/またはHVEMおよび/またはCD48および/またはE-カドヘリンおよび/またはMHC-IIおよび/またはガレクチン-9および/またはCD86および/またはPD-L2および/またはVISTAおよび/またはTIM-3および/またはCD80の阻害剤であってもよい。
【0071】
本開示の化合物を、水溶液中でかつリガンドの受容体への結合に適切な条件下で、それらが相互作用する受容体と接触させてもよい。受容体は、懸濁液中(例えば、単離された膜または細胞調製物中)に、培養細胞または単離細胞中に、あるいは組織または器官中に存在してもよい。
【0072】
好ましくは、受容体と接触する本開示の化合物の量は、例えばELISAを使用して測定されるように、生体外でのPD-1/PD-L1の結合を阻害するのに十分である必要がある。受容体は、溶液または懸濁液中に、培養または単離された細胞調製物中に、あるいは対象内に存在してもよい。
【0073】
実施態様によっては、本開示の化合物は、T細胞の活性化を回復かつ増強するのに有用である。実施態様によっては、本開示の化合物は、対象内での免疫応答を増強するのに有用である。実施態様によっては、本開示の化合物は、癌および感染症などの様々な治療領域内での疾患または障害を治療、予防、またはその進行を遅延させるのに有用である。
【0074】
実施態様によっては、本開示の化合物は、PD-1/PD-L1タンパク質間のタンパク質相互作用の調節に応答する病状を患う対象を治療するために使用できる。
【0075】
実施態様によっては、対象でのPD-1シグナル伝達経路によって媒介される免疫応答を調節する方法を提供し、この方法は、式(I)または式(II)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む本開示の化合物、あるいは式(I)または式(II)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む組成物の治療有効量を対象に投与することを含む。
【0076】
実施態様によっては、免疫応答の増強、刺激、調節、および/または増大を必要とする対象での免疫応答を増強、刺激、調節、および/または増大させる方法を提供し、この方法は、式(I)または式(II)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む本開示の化合物、あるいは式(I)または式(II)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む本開示の化合物の組成物の治療有効量を対象に投与することを含む。
【0077】
実施態様によっては、癌細胞の成長、増殖、または転移の阻害を必要とする対象での癌細胞の成長、増殖、または転移を阻害する方法を提供し、この方法は、式(I)または式(II)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む本開示の化合物、あるいは式(I)または式(II)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む本開示の化合物の組成物の治療有効量を対象に投与することを含む。
【0078】
実施態様によっては、治療を必要とする対象を治療する方法を提供し、この方法は、式(I)または式(II)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む本開示の化合物、あるいは式(I)または式(II)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む本開示の化合物の組成物の治療有効量を対象に投与することを含む。
【0079】
実施態様によっては、対象は、感染症、細菌感染症、ウイルス感染症、真菌感染症、固形腫瘍、血液系悪性腫瘍、免疫障害、炎症性疾患、および癌からなる群から選択される疾患または障害に罹患している。実施態様によっては、疾患または障害は、黒色腫、膠芽腫、食道腫瘍、上咽頭癌、ブドウ膜黒色腫、リンパ腫、リンパ球性リンパ腫、原発性CNSリンパ腫、T細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、前立腺がん、去勢抵抗性前立腺がん、慢性骨髄細胞性白血病、カポジ肉腫線維肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨形成肉腫、血管肉腫、リンパ管肉腫、滑膜腫、髄膜腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、軟組織肉腫、肉腫、敗血症、胆管腫瘍、基底細胞がん、胸腺新生物、甲状腺がん、副甲状腺がん、子宮がん、副腎がん、肝臓感染症、メルケル細胞がん、神経腫瘍、濾胞中心リンパ腫、大腸がん、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、および慢性リンパ球性白血病を含む慢性白血病または急性白血病、多発性骨髄腫、卵巣腫瘍、骨髄異形成症候群、皮膚または眼内悪性黒色腫、腎細胞がん、小細胞肺がん、肺がん、中皮腫、乳がん、扁平上皮非小細胞肺がん(SCLC)、非扁平上皮がん非小細胞肺がん(NSCLC)、結腸直腸がん、卵巣がん、胃がん、肝細胞がん、膵癌(pancreatic carcinoma)、膵臓がん(pancreatic cancer)、膵管腺がん、頭頸部扁平上皮がん、頭頸部がん、消化管がん、HIV、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、ヘルペスウイルス症、乳頭腫ウイルス症、インフルエンザ症、骨がん、皮膚がん、直腸がん、肛門部がん、精巣がん、卵管がん、子宮内膜がん、子宮頸部がん、膣がん、外陰部がん、食道がん、小腸がん、内分泌系がん、尿道がん、陰茎がん、膀胱がん、腎臓がん、尿管がん、腎盂がん、中枢神経系新生物(CNS)、腫瘍血管新生、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、類表皮がん、石綿症(abestosis)、癌腫、腺がん、乳頭状がん、嚢胞腺がん、気管支原性がん、腎細胞がん、移行上皮癌、絨毛がん、セミノーマ、胎生期がん、ウィルムス腫瘍、多形性腺腫、肝細胞乳頭腫、腎尿細管腺腫、嚢胞腺腫、乳頭腫、腺腫、平滑筋腫、横紋筋肉腫、血管腫、リンパ管腫、骨腫、軟骨腫、脂肪腫、および線維腫からなる群から選択される。
【0080】
実施態様によっては、治療有効量の1種以上の追加の治療薬をさらに対象に投与する。実施態様によっては、1種以上の追加の治療薬は、抗菌剤、抗ウイルス剤、細胞毒性剤、遺伝子発現調節剤、化学療法剤、抗癌剤、抗血管新生剤、免疫療法剤、抗ホルモン剤、抗線維化剤、放射線療法剤、放射線治療剤、抗腫瘍剤、および抗増殖剤からなる群から選択される。実施態様によっては、1種以上の追加の治療薬は、ケモカインおよび/または化学誘因受容体の拮抗薬であり、これには、限定はされないが、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10、CCR11、CCR12、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5、CXCR6、CXCR7、C3aR、および/またはC5aRが含まれる。ケモカインおよび/または化学誘因受容体拮抗薬は当技術分野では既知であり、例えば、WO2007/002667号、WO2007/002293号、WO/2003/105853号、WO/2007/022257号、WO/2007/059108号、WO/2007/044804号、WO2007/115232号、WO2007/115231号、WO2008/147815号、WO2010/030815号、WO2010/075257号、WO2011/163640号、WO2010/054006号、WO2010/051561号、WO2011/035332号、WO2013/082490号、WO2013/082429号、WO2014/085490号、WO2014/100735号、WO2014/089495号、WO2015/084842号、WO2016/187393号、WO2017/127409号、WO 2017/087607号、WO2017/087610号、WO2017/176620号、WO2018/222598号、WO2018/222601号、WO2013/130811号、WO2006/076644号、WO2008/008431号、WO2009/038847号、WO2008/008375号、WO2008/008374号、WO2008/010934号、WO2009/009740号、WO2005/112925号、WO2005/112916号、WO2005/113513号、WO2004/085384号、およびWO2004/046092号に説明されている。ケモカインおよび/または化学誘因受容体拮抗薬にはさらに、CCX354、CCX9588、CCX140、CCX872、CCX598、CCX6239、CCX9664、CCX2553、CCX3587、CCX3624、CCX2991、CCX282、CCX025、CCX507、CCX430、CCX765、CCX224、CCX662、CCX650、CCX832、CCX168、CCX168-M1、CCX3022、および/またはCCX3384が含まれる。
【0081】
実施態様によっては、本開示の化合物を用いて、感染症を阻害できる。感染症には、限定はされないが、HIV症、インフルエンザ症、ヘルペス症、ジアルジア症、マラリア症、リーシュマニア症、および肝炎ウイルス(A、B、およびC型)、ヘルペスウイルス(例えば、VZV、HSV-I、HAV-6、HSV-II、およびCMV、エプスタイン・バーウイルス)、アデノウイルス、インフルエンザウイルス、フラビウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、コロナウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ムンプスウイルス、ロタウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、パルボウイルス、ワクシニアウイルス、HTLVウイルス、デング熱ウイルス、乳頭腫ウイルス、軟属腫ウイルス、小児麻痺ウイルス、狂犬病ウイルス、JCウイルス、およびアルボウイルス脳炎ウイルスによる病原性感染症、およびクラミジア菌、リケッチア菌、マイコバクテリア菌、ブドウ球菌、連鎖球菌、肺球菌、髄膜炎菌およびコノコクシ菌、クレブシエラ菌、プロテウス菌、セラチア菌、シュードモナス菌、大腸菌、レジオネラ菌、ジフテリア菌、サルモネラ菌、バシラス菌、コレラ菌、破傷風菌、ボツリヌス菌、炭疽菌、ペスト菌、レプトスピラ菌、およびライム病菌による病原性感染症、およびカンジダ属(アルビカンス、クルーセイ、グラブラータ、トロピカリスなど)、クリプトコックス・ネオフォルマンス、アスペルギルス属(フミガタス、ニジェールなど)、ムコラーレス属(ケカビ、ユミケカビ、クモノスカビなど)、スポロトリックス・シェンキイ、ブラストミセス・デルマチチジス、パラコクシジオイデス・ブラジリエンシス、コクシジオイデス・イミチス、およびヒストプラズマ・カプスラーツムの菌類による病原性感染症、ならびに赤痢アメーバ、大腸バランチジウム、ネグレリア・フォーレリ、アカントアメーバ種、ジアルジア・ランブリア、クリプトスポリジウム種、ニューモシスチス・カリニ、プラスモディウム・ビバックス、バベチア・ミクロチ、トリパノソーマ・ブルセイ、トリパノソーマ・クルージ、リーシュマニア・ドノバン、トキソプラズマ・ゴンディ、およびニッポンストロンジラス・ブラジリエンスの寄生虫による病原性感染症を含む。
【0082】
実施態様によっては、本開示の化合物を、HIV感染を阻害し、AIDSの進行を遅延させ、HIVウイルスの貯留を枯渇させ、あるいはHIV感染およびAIDSの症状の重症度を減弱させるために用いてもよい。
【0083】
本開示の化合物を、対象での癌および前癌症状の治療に用いてもよい。
【0084】
本明細書で提供される治療方法は、一般に、有効量の本明細書で提供される1種以上の化合物を対象に投与することを含む。それに適する対象には、本明細書で特定される障害または疾患に罹患しているか、または罹り易い対象(すなわち予防的治療)が含まれる。本明細書に記載の治療の典型的な対象には、哺乳動物、特に霊長類、特にヒトが含まれる。他の適する対象として、イヌ、ネコ、ウマなどの飼い慣らされた伴侶動物、またはウシ、ブタ、ヒツジなどの家畜が含まれる。
【0085】
一般に、本明細書で提供される治療方法は、有効量の本明細書で提供される1種以上の化合物を対象に投与することを含む。好ましい実施態様では、本開示の化合物を、好ましくは、静脈内に、経口的に、または局所的に対象(例えばヒト)に投与する。有効量は、PD-1/PD-L1の相互作用を調節するのに十分な量、および/または対象が示す症状を軽減または緩和するのに十分な量であってもよい。好ましくは、投与量は、PD-1/PD-L1の相互作用を確実に調節するのに十分に高い化合物(または化合物がプロドラッグである場合にはその活性代謝物)の血漿濃度をもたらすのに十分な量である。治療計画は、使用する化合物および治療する特定の病状に応じて変更してもよく、大半の障害の治療には、1日4回以下の投与頻度が好ましい。一般に、1日2回の投与計画がより好ましく、1日1回の投与が特に好ましい。しかしながら、任意の特定の対象の特定の用量水準および治療計画は、使用される特定の化合物の活性度、年齢、体重、全般的な健康状態、性別、食事、投与時間、投与経路、排泄率、薬物の組合せ(すなわち対象に投与されているその他の薬物)、および治療を受けている特定の疾患の重症度、ならびに処方する医療従事者の判断などの様々な要因に依存することが分かっている。一般的には、効果的な治療を提供するのに十分な最小用量の使用が好ましい。一般的に、対象では、治療または予防されている病状に適する医学的または獣医学的な診断基準を用いて、治療効果を監視してもよい。
組合せ
【0086】
本開示の化合物およびその他の薬物を含む併用医薬品は、両方の成分が単一の製剤内に含まれる組合せ製剤として投与されてもよく、あるいは別個の製剤として投与されてもよい。別個の製剤による投与には、同時投与およびある時間間隔での投与が含まれる。ある時間間隔での投与の場合には、本開示の化合物をまず投与し、続いて別の薬剤を投与してもよく、あるいは別の薬剤をまず投与し、続いて本開示の化合物を投与してもよい。それぞれの薬剤の投与方法は、同じでも異なっていてもよい。
【0087】
他の薬物の用量は、臨床的に使用されてきた用量に基づいて適切に選択できる。本開示の化合物と他の薬剤との配合比は、投与する対象の年齢および体重、投与方法、投与時間、治療する障害、症状、およびそれらの組合せに応じて適切に選択できる。例えば、他の薬物は、本開示の化合物の1質量部に対して、0.01~100質量部の量で用いられてもよい。他の薬剤は、適切な比率での2種類以上の任意の薬剤の組合せであってもよい。
【0088】
本明細書に記載の化合物は、抗菌剤、抗ウイルス剤、細胞毒性剤、遺伝子発現調節剤、化学療法剤、抗癌剤、抗血管新生剤、免疫療法剤、抗ホルモン剤、抗線維化剤、放射線療法剤、放射線治療剤、抗腫瘍剤、および抗増殖剤などの1種以上の治療剤とともに使用または組み合わせてもよい。これらの治療薬は、化合物、抗体、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドの形態であってもよい。
【0089】
本明細書に説明の化合物は、治療用抗体、二重特異性抗体、および「抗体様」治療用タンパク質(DARTs(登録商標)、Duobodies(登録商標)、Bites(登録商標)、XmAbs(登録商標)、TandAbs(登録商標)、Fab誘導体など)、抗体薬物複合体(ADC)、ウイルス、腫瘍溶解性ウイルス、(CRISPR Cas9を含む)CRISPRなどの遺伝子修飾因子または編集因子、亜鉛フィンガーヌクレアーゼまたは合成ヌクレアーゼ(TALEN)、CAR(キメラ抗原受容体)T細胞免疫療法剤、またはそれらの任意の組合せのうちの1種以上とともに使用または組み合わせてもよい。
【0090】
化学療法剤の例として、アルキル化剤、ニトロソ尿素剤、代謝拮抗剤、抗癌抗生物質、植物由来アルカロイド、トポイソメラーゼ阻害剤、ホルモン剤、ホルモン拮抗剤、アロマターゼ阻害剤、P-糖タンパク質阻害剤、白金複合体誘導体、その他の免疫療法剤、およびその他の抗癌剤が挙げられる。
【0091】
本明細書に説明の化合物は、白血球減少症(好中球減少症)治療薬、血小板減少症治療薬、制吐薬、および癌性疼痛介入薬などの癌治療補助剤とともに、併用してまたは混合形態で使用してもよくまたは組み合わせてもよい。
【0092】
本明細書に説明の化合物を、キナーゼ阻害剤とともに使用してもよくまたは組み合わせてもよい。
【0093】
一実施態様では、本開示の化合物は、他の免疫調節剤および/または増強剤とともに、併用してまたは混合形態で使用してもよい。免疫調節剤の例として、種々のサイトカイン、ワクチン、および免疫賦活剤が含まれる。免疫応答を刺激するこれらのサイトカイン、ワクチン、および免疫賦活剤の例として、限定はされないが、GM-CSF、M-CSF、G-CSF、インターフェロン-α、β、またはγ、IL-1、IL-2、IL-3、IL-12、ポリ(I:C)、およびCPGが挙げられる。増強剤には、シクロホスファミドおよびシクロホスファミドの類似体、抗TGFおよびイマチニブ(Gleevac)、パクリタキセル、スニチニブ(Sutent)または他の抗血管新生剤などの有糸分裂阻害剤、レトロゾール、A2aアデノシン受容体(A2AR)拮抗薬などのアロマターゼ阻害剤、血管新生阻害剤、アントラサイクリン、オキサリプラチン、ドキソルビシン、TLR4拮抗薬、およびIL-18拮抗薬が含まれる。
【0094】
実施態様によっては、本明細書に説明の化合物は、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10、CCR11、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5、CXCR6、CXCR7、ChemR23、C5aR、C5a、およびC5のうちの1種以上の調節剤とともに使用してもよくまたは組み合わせてもよい。実施態様によっては、調節剤は拮抗薬である。
【0095】
実施態様によっては、本明細書に説明の化合物は、例えば、WO2007/002667号、WO2007/002293号、WO/2003/105853号、WO/2007/022257号、WO/2007/059108号、WO/2007/044804号、WO2007/115232号、WO2007/115231号、WO2008/147815号、WO2010/030815号、WO2010/075257号、WO2011/163640号、WO2010/054006号、WO2010/051561号、WO2011/035332号、WO2013/082490号、WO2013/082429号、WO2014/085490号、WO2014/100735号、WO2014/089495号、WO2015/084842号、WO2016/187393号、WO2017/127409号、WO 2017/087607号、WO2017/087610号、WO2017/176620号、WO2018/222598号、WO2018/222601号、WO2013/130811号、WO2006/076644号、WO2008/008431号、WO2009/038847号、WO2008/008375号、WO2008/008374号、WO2008/010934号、WO2009/009740号、WO2005/112925号、WO2005/112916号、WO2005/113513号、WO2004/085384号、WO2004/046092号に説明される1種以上のケモカインおよび/または化学誘因受容体拮抗薬とともに使用してもよくまたは組み合わせてもよい。本開示で有用なケモカインおよび/または化学誘因受容体拮抗薬にはさらに、CCX354、CCX9588、CCX140、CCX872、CCX598、CCX6239、CCX9664、CCX2553、CCX3587、CCX3624、CCX2991、CCX282、CCX025、CCX507、CCX430、CCX765、CCX224、CCX662、CCX650、CCX832、CCX168、CCX168-M1、CCX3022、および/またはCCX3384が含まれる。
投与量
【0096】
1日かつ体重1 kg当たり約0.1 mg~約140 mgの投与量水準は、PD-1/PD-L1相互作用を伴う病状の治療または予防に有用である(1日かつヒト対象当たり約0.5 mg~約7 g)。単一剤形を生成するために担体材料と組み合わせ得る有効成分の量は、治療される宿主および特定の投与様式に応じて変更する。投与単位形態は、一般に、約1 mg~約500 mgの有効成分を含む。経口、経皮、静脈内、または皮下投与される化合物の場合に、5 ng/mL~10 μg/mL血清の血清濃度を達成するのに十分な量の化合物を投与することが好ましく、より好ましくは20 ng/mL~1 μg/mL血清の血清濃度を達成するのに十分な化合物を投与する必要があり、最も好ましくは、50 ng/mL~200 ng/mL血清の血清濃度を達成するのに十分な化合物を投与する必要がある。(関節炎の治療のための)滑膜中への直接注射の場合には、約1 μmolの局所濃度を達成するのに十分な化合物を投与する必要がある。
【0097】
投与の頻度はまた、使用される化合物および治療される特定の疾患に応じて変更してもよい。しかしながら大半の障害の治療には、1日4回、1日3回、またはそれ以下の投与計画が好ましく、1日1回または1日2回の投与計画が特に好ましい。但し、任意の特定の対象への特定の用量水準は、使用される特定の化合物の活性度、年齢、体重、全般的な健康状態、性別、食事、投与時間、投与経路、排泄率、薬剤の組合せ(すなわち対象に投与されている他の薬剤)、治療を受けている特定の疾患の重症度を含む様々な要因、および処方する医療従事者の判断を含むその他の要因に依存することは分かっている。
【0098】
本開示の別の態様では、本開示の化合物を、医薬品以外の様々な生体外および生体内用途に使用できる。本開示の化合物をまた、PD-1/PD-L1の相互作用活性の測定での陽性対照として、すなわちPD-1および/またはPD-L1に結合する候補薬剤の能力を決定するための標準として使用してもよく、あるいは、陽電子放射断層撮影(PET)または単一光子放射型コンピューター断層撮影(SPECT)用の放射性追跡子として使用してもよい。
【0099】
さらに本開示の範囲内には、本開示の化合物またはその薬学的に許容可能な塩および使用説明書を含むキットが含まれる。キットには、少なくとも1種の追加試薬をさらに含んでもよい。キットには、典型的には、キットの内容物の使用目的を示すラベルが含まれる。用語「ラベル」には、キット表面またはキットとともに供給される、あるいはその他の方法でキットに付属している記述または記録された資料が含まれる。
【実施例】
【0100】
以下の実施例は、式(I)または式(II)の化合物を含む本開示の化合物を製造する種々の方法を示している。以下の実施例を、説明のために提供しているが、請求の開示内容を限定するものではない。
【0101】
以下に使用される試薬および溶媒は、Aldrich Chemical社(Milwaukee, Wisconsin, USA)などの商業的な供給元から入手できる。1H-NMRスペクトルを、Varian Mercury 400 MHzのNMR分光計で記録した。有意なピークは、テトラメチルシラン(TMS)に対して与えられ、多重度(s:一重線、d:二重線、t:三重線、q:四重線、m:多重線)および陽子数の順に表にされている。質量分析の結果は、電荷に対する質量の比率として報告されている。実施例では、単一のm/z値を、最も一般的な同位体原子を含むM+H(または注記のようなM-H)イオンに対して報告している。同位体の型は、全ての場合の予測式に対応している。エレクトロスプレーイオン化(ESI)質量分析は、試料の送達にHP1100 HPLCを使用して、Hewlett-Packard社製のMSDエレクトロスプレー質量分析計で実施した。通常、分析対象物は0.1 mg/mLでメタノールまたはCH3CN中に溶解し、この1 μLを送達溶媒とともに質量分析計に注入して、100~1000 Daの範囲で走査した。全ての化合物を、1%のギ酸を含むアセトニトリル/水を送達溶媒として用いて、陽性または陰性ESIモードで分析できた。
【0102】
TLCは、薄層クロマトグラフィーを意味し、この略語が、実施例および本開示の説明全体を通して用いられる。
【0103】
本開示の範囲内の化合物は、当業者には既知の様々な反応を用いて、以下の説明のように合成できる。当業者ならさらに、本開示の目標化合物を合成するために別の方法を使用することができ、本文書の本文内に説明される手法が、全てを網羅するものではないが、目的の化合物への広範囲に適用可能なかつ実用的な経路を提供していることを分かっている。
【0104】
本特許内で請求される特定の分子は、種々の鏡像異性体およびジアステレオ異性体の形態で存在でき、特定の鏡像異性体が指定されていない限り、これらの化合物のそのような全ての変異体が請求されている。
【0105】
この文書での重要な化合物を合成するのに使用される実験手順の詳細な説明により、それらを識別する物理的データ、ならびにそれらに関連する構造図によって説明される分子がもたらされる。
【0106】
当業者ならさらに、有機化学での標準的な単離精製手順中に、酸性物および塩基性物が頻繁に使用されることが分かっている。親化合物の塩は、それらの塩が必然的な固有の酸性度または塩基性度を有する場合には、この特許に説明される実験手順中に生成されることもある。
実施例1:((2S,2’S)-2,2’-((((((1S,1’S)-2,2’,3,3’-テトラヒドロ-1H,1’H-[4,4’-ビインデン]-1,1’-ジイル)ビス(オキシ))ビス(5-クロロ-2-((5-シアノピリジン-3-イル)メトキシ)-4,1-フェニレン))ビス(メチレン))ビス(アザネジイル))ビス(3-ヒドロキシプロパン酸)
【化6】
【0107】
工程a:(S)-5-((4-クロロ-2-ホルミル-5-((4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)オキシ)フェノキシ)メチル)ニコチノニトリル(350 mg、0.66 mmol)、5-[[5-[(1S)-4-ブロモインダン-1-イル]オキシ-4-クロロ-2-ホルミル-フェノキシ]メチル]ピリジン-3-カルボニトリル(320 mg、0.66 mmol)、および2 Mの水溶性K2CO3(1.0 mL、2.0 mmol)のジオキサン溶液(13 mL)を30分間窒素中で脱気し、その後ジクロロメタン(110 mg、0.13 mmol)と複合体を形成した1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]-ジクロロパラジウム(II)を加えた。さらに10分間脱気した後に、この溶液を90℃に加熱し、この温度で4時間撹拌した。次に水(20 mL)を反応混合物に加えて、この混合物を2:1のクロロホルム:イソプロパノールで抽出した(20 mLで3回)。化合した有機物をMgSO4で乾燥し、濾過し、かつ真空中で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン中で50%のEtOAcから100%のEtOAcへ)による粗物質の精製により、5,5’-(((((1S,1’S)-2,2’,3,3’-テトラヒドロ-1H,1’H-[4,4’-ビインデン]-1,1’-ジイル)ビス(オキシ))ビス(4-クロロ-6-ホルミル-3,1-フェニレン))ビス(オキシ))ビス(メチレン))ジニコチノニトリルを得た。
【0108】
工程b:5,5’-((((((1S,1’S)-2,2’,3,3’-テトラヒドロ-1H,1’H-[4,4’-ビインデン]-1,1’-ジイル)ビス(オキシ))ビス(4-クロロ-6-ホルミル-3,1-フェニレン))ビス(オキシ))ビス(メチレン))ジニコチノニトリル(100 mg、0.124 mmol)およびL-セリン(130 mg、1.24 mmol)を、DMF(4 mL)中で1時間撹拌し、その後にトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.72 g、3.4 mmol)を10分掛けて少しずつ加えた。この反応混合物を室温で一晩撹拌した。DMFの大部分を真空除去し、粗物質を逆相分取HPLC(0.1%のNH4CO3Hを含むCH3CN-H2O)で精製して、((2S,2’S)-2,2’-((((((1S,1’S)-2,2’,3,3’-テトラヒドロ-1H,1’H-[4,4’-ビインデン]-1,1’-ジイル)ビス(オキシ))ビス(5-クロロ-2-((5-シアノピリジン-3-イル)メトキシ)-4,1-フェニレン))ビス(メチレン))ビス(アザネジイル))ビス(3-ヒドロキシプロパン酸)を得た。C52H46Cl2N6O10の[M+H]+でのMS:(ES)m/zの計算値は985.3、実測値は985.7。1H NMR (400 MHz、メタノール-d4):δ 9.02~8.99 (m, 2H)、8.91 (d, J = 1.9 Hz, 2H)、8.46 (t, J = 1.9 Hz, 2H)、7.51 (s, 2H)、7.36~7.29 (m, 4H)、7.30~7.24 (m, 2H)、7.08 (s, 2H)、6.08~5.94 (m, 2H)、5.41 (s, 4H)、4.61 (s, 4H)、4.37 (d, J = 13.1 Hz, 2H)、4.25 (d, J = 13.0 Hz, 2H)、3.99 (dd, J = 11.9, 3.9 Hz, 2H)、3.84 (dd, J = 11.8, 7.1 Hz, 2H)、3.55 (dd, J = 7.0, 3.9 Hz, 2H)、3.09~2.93 (m, 2H)、2.83~2.69 (m, 2H)、2.60~2.44 (m, 2H)、2.18~2.04 (m, 2H)。
生体での実施例:酵素結合免疫吸着測定-ELISA
【0109】
96ウェルプレートを、1μg/mLの(R&D社から入手した)ヒトPD-L1のPBS溶液により4℃で一晩置いた。次にこれらウェルを、0.05%のTWEEN-20を含む2%(W/V)BSAのPBS溶液により37℃で1時間封止した。これらプレートを0.05%のTWEEN-20を含むPBS溶液で3回洗浄し、各化合物を希釈媒体中で段階的に希釈(1:5)して、ELISAプレートに加えた。ヒトPD-1および0.3μg/mLのビオチン(ACRO Biosystems社製)を加えて、37℃で1時間培養した後に、0.05%のTWEEN-20を含むPBS溶液で3回洗浄した。2回目の封止を、0.05%のTWEEN-20を含む2%(W/V)BSAのPBS溶液で37℃で10分間実施して、これらプレートを0.05%のTWEEN-20を含むPBS溶液で3回洗浄した。ストレプトアビジン-HRPを37℃で1時間添加した後に、これらプレートを0.05%のTWEEN-20を含むPBS溶液で3回洗浄した。TMB基質を加えて、37℃で20分間反応させた。停止溶液(2 NのH
2SO
4水溶液)を加えた。マイクロプレート分光光度計を用いて、450 nmでの吸光度を読み取った。結果を表1に示す。IC
50値は、100~10,000 nM(+);100 nM未満(++)として示されている。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【表1-11】
【0110】
表1の化合物は、実施例1に説明の合成方法と類似の方法を用いて調製した。
【0111】
本発明の特定の実施態様は、本発明を実行するために本明細書に説明されている。前述の説明を読み込むと、開示される実施態様の変形が当該技術の当業者には明白となる可能性があり、それらの当業者が必要に応じてそのような変形を用いる可能性があると予想される。従って本発明は、本明細書に具体的に説明される以外の方法でも実施され、かつ本発明は、準拠する法令によって承認されるように、本明細書に添付された特許請求の範囲に記載される全ての主題の変形物および等価物を含むことを意図している。さらに、その全ての可能な変形における上述の要素の任意の組合せは、本明細書内に別段の指示がない限り、あるいは文脈として明らかに矛盾のない限り、本発明によって包含される。
【0112】
本明細書に引用の刊行物、特許出願、受託番号、およびその他の参考文献の全ては、個々の刊行物または特許出願が参照により組み込まれることが具体的にかつ個々に示されるのと同じように、参照により本明細書内に組み込まれる。
【国際調査報告】