(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-13
(54)【発明の名称】モジュール式椅子用の生地
(51)【国際特許分類】
A47C 31/11 20060101AFI20220906BHJP
B68G 7/05 20060101ALI20220906BHJP
D04B 1/00 20060101ALI20220906BHJP
D04B 1/18 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
A47C31/11 Z
B68G7/05 A
D04B1/00 C
D04B1/00 A
D04B1/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022500744
(86)(22)【出願日】2020-07-09
(85)【翻訳文提出日】2022-03-04
(86)【国際出願番号】 IB2020056462
(87)【国際公開番号】W WO2021005550
(87)【国際公開日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】102019000011508
(32)【優先日】2019-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522007037
【氏名又は名称】ディーブイエイト アイディー エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フリッツ、トーシュテン
【テーマコード(参考)】
4L002
【Fターム(参考)】
4L002AA05
4L002AB02
4L002AC01
4L002BA00
4L002BA06
4L002DA00
4L002EA00
4L002EA06
4L002FA06
(57)【要約】
モジュール式椅子(1)用の生地(21)であって、使用中、椅子(1)への着座時の使用者を支持するのに好適な表面(210)と、表面(210)のエッジによって定義される周辺領域(211)とを定義するのに好適であり、生地(21)は、表面(210)に、基部が少なくとも1本のメインフィラメント(210c)を有する周期的な模様を含み、その内部に、所定の径路に沿って緯糸として配置された、少なくとも1本のセカンダリフィラメント(210f)も挿入されており、メインフィラメント(210c)およびセカンダリフィラメント(210f)は、周辺領域(211)で互いに緻密に取り付けられており、生地(21)は、周辺領域(211)に沿って生地(21)の一部の内部に捕捉された長い要素を定義する少なくとも1つのスプール(212)を含み、ここで、メインフィラメント(210c)の織物は、スプール(212)を収容するのに好適な管形状を作り、セカンダリフィラメント(210f)は、メインフィラメント(210c)およびセカンダリフィラメント(210f)をスプール(212)で互いにブロックするように、スプール(212)に少なくとも部分的に巻き付く、生地が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュール式椅子用の生地であって、
-使用中、前記モジュール式椅子への着座時の使用者を支持するのに好適な表面と、
-前記表面のエッジによって定義される周辺領域と
を定義するのに好適であり、
-前記生地は、前記表面に、基部が少なくとも1本のメインフィラメントを有する周期的な模様を含み、
-前記表面は、少なくとも1つの局在領域を含み、ここで前記生地は、基部が少なくとも1本の前記メインフィラメントを有する周期的な模様を備え、その内部に、所定の径路に沿って緯糸として配置された、少なくとも1本のセカンダリフィラメントも挿入されており、
-前記メインフィラメントおよび前記セカンダリフィラメントは、前記周辺領域で互いに緻密に取り付けられており、
前記生地は、
前記周辺領域に沿って前記生地の一部の内部に捕捉された長い要素を定義する少なくとも1つのスプールを含み、ここで、前記メインフィラメントの前記周期的な模様は、前記スプールを収容するのに好適な管形状を作り、前記セカンダリフィラメントは、前記メインフィラメントおよび前記セカンダリフィラメントを前記スプールで互いにブロックするように、前記スプールに少なくとも部分的に巻き付く、
生地。
【請求項2】
前記セカンダリフィラメントは、「イギリス編み」または「フォルスイングリッシュリブ」となるように前記スプールに接続されている、請求項1に記載の生地。
【請求項3】
前記局在領域において、前記セカンダリフィラメントは、前記メインフィラメントの2つの隣接する列と共に織られ、前記メインフィラメントの前記隣接する列は、ピックと呼ばれる一方向に配置された織目および複数のループを定義し、前記ピックは、前記所定の径路を定義し、前記セカンダリフィラメントは、前記ピックに沿って前記複数のループに隣接した前記織目に導入される、請求項1または2に記載の生地。
【請求項4】
前記局在領域において、前記セカンダリフィラメントは、前記メインフィラメントの2つの隣接する列と共に織られ、前記メインフィラメントの前記隣接する列は、ピックと呼ばれる一方向に配置された複数のループを定義し、前記ピックは、前記所定の径路を定義し、前記セカンダリフィラメントは、前記ピックに沿って前記複数のループに導入される、請求項1または2に記載の生地。
【請求項5】
織目または前記複数のループは、前記ピックに沿った複数のセカンダリフィラメントを含む、請求項3または4に記載の生地。
【請求項6】
前記生地は、前記局在領域において、基部が少なくとも1本の前記メインフィラメントを有する周期的な模様をそれぞれが含む2つの層を含み、前記セカンダリフィラメントは、前記層の間に埋め込まれている、請求項1から5のいずれか1項に記載の生地。
【請求項7】
前記セカンダリフィラメントは、前記層に交互に織り込まれるか、または前記セカンダリフィラメントは、基本的にサンドイッチ構造を定義する2つの層の間に挿入される、請求項6に記載の生地。
【請求項8】
使用者が載ることを可能にするのに好適であり、フレームおよび請求項1から7のいずれか1項に記載の生地を含む、少なくとも1つの載置部を備え、前記フレームは、前記周辺領域の少なくとも一部で張力下の前記生地を支持するのに好適である、モジュール式椅子。
【請求項9】
前記フレームは、前記生地および前記フレームを一緒に取り付けるために前記スプールの少なくとも一部を捕捉するよう構成された、少なくとも1つの中空かつ連続的なガイドを定義する、請求項8に記載のモジュール式椅子。
【請求項10】
前記生地は、少なくとも1つの背もたれおよび1つの座部を定義し、前記表面は、前記背もたれおよび前記座部の所定の箇所に配置された複数の前記局在領域を含み、前記局在領域は、前記メインフィラメントを有する前記基部に挿入された前記セカンダリフィラメントのタイプまたは数に関連して、より高いまたはより低い弾性または剛性を有する、請求項8または9に記載のモジュール式椅子。
【請求項11】
背もたれは、着座時の前記使用者の腰領域に配置された第1の前記局在領域、着座時の前記使用者の胸椎の上部に配置された第2の前記局在領域、および前記第1の局在領域と前記第2の局在領域との間に配置された第3の前記局在領域を含み、前記第1の局在領域および前記第2の局在領域は、高い弾性を有する前記セカンダリフィラメントを含み、前記第3の局在領域は、前記第1の局在領域および第2の局在領域の前記セカンダリフィラメントよりも高い剛性を有する前記セカンダリフィラメントを含む、請求項8から10のいずれか1項に記載のモジュール式椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルにおいて特定されるタイプのモジュール式椅子用の生地に関する。
【0002】
特に、本発明は、モジュールタイプの椅子用の生地に関する。本文書において、「椅子」という用語は、用語の最も広い意味で、使用者が座ることを可能にし、構成に応じて、オフィス用、家庭用、庭園用、奢侈品などを含む様々なタイプの用途に用いられる椅子、アームチェア、ソファ、または他のものからなりうる任意のデバイスである。
【背景技術】
【0003】
周知のように、当技術分野の現状では、例えば肘掛け付き、リクライナ付き、スリング付き、またはアームチェアもしくはソファなど、椅子が意図される基準市場による多くの異なるタイプの椅子が生産されている。
【0004】
歴史的に、椅子は単純なベンチを由来とする。後者は実際、座部を床から上げることを可能にする少なくとも2つの支柱に構造的に接続された座部を定義する単純な支持面を備えている。
【0005】
現在、椅子は通常、少なくとも1名で好ましくは1名の使用者を、座部と呼ばれる面で支持することを可能にするようにデザインされる。ほとんどの椅子は、背もたれ等の追加の載置用要素も有し、肘掛け、ならびに上肢および下肢各々を支持するための支持具も備えうる。
【0006】
普及している様々なタイプの椅子の中には、背もたれを様々な角度でリクライニングすることができ、使用者の所望により座位または臥位を取ることができる折り畳み式シェーズロングからなる所謂デッキチェアと、座部を支持する実質的に十字またはX字の構造を有し、場合により折り畳み式である、フォールドスツールとしても開発されたキュアルールシートと、全体的に折り畳み式であり歴史的に戦場で使用されたトリポリナと、概してポリマ材料で作られ、屋外環境で、主にレストラン業界で使用される一体型椅子と、対象の椅子に典型的なロッキング運動を可能にするようデザインされた2つの湾曲した支持具を備えるロッキングチェアと、床レベルおよび座部レベルで曲げられ、連続した管によって水平に接続された2本の垂直材のみを備える、非常に一般的に使用されているカンチレバーチェアとがある。
【0007】
上述の例に加えて、特定の形状に対する市場の需要等の美的必要性、または例えば椅子製品の高い品質レベルを維持しながら生産プロセスを最適化する必要性から生じる技術的必要性を満たすようにデザインされた、タイプおよび構造の異なる他の椅子がいくつか存在する。このタイプの例は、特許出願EP-A-1092798およびGB-A-2193980に記載されている。
【0008】
上記の特許出願に記載されている椅子は、複数のセクションが異なる機械的特性を有する椅子の座部および背もたれの製造を可能にするような特徴および構成を有する。
【0009】
特に、全ての椅子において、生地が被覆または形成する椅子の部分に必要または最適な剛性または弾性に生地の一部を適合させるオプションがあり、したがって、支持面が弾性の異なる領域を有する椅子が作られる。
【0010】
詳細に述べると、出願EP-A-1092798には、編生地の複数の部分が、比較的高いまたは低い柔軟性をもつ領域を生成するように特性の異なるフィラメントから作られている、編生地が記載されている。この技術は、ソックス連結を用いて、すなわち、予め形成された構造体上にソックスを配置することにより、座部内にも実装されている。
【0011】
一方、特許出願GB-A-2193980は、例えば椅子の背もたれで潜在的に利用可能であり、織物の密度の増大または減少に起因して特性の異なる部分が存在する生地を記載している。
【0012】
上述の技術の大きな欠点は、弾性の異なる生地の部分が肉眼で視認可能であるということである。したがって、美的形態が椅子の市場性に関連するデザイン等のセクタでは、予め形成された構造体を不規則な材料で被覆することは、椅子の成功に大きな影響を与えうる。
【0013】
また、既に記載された生地製造方法は、生地表面に大きな不均一性を生じさせ、着座時の使用者の快適さに影響を与える。
【0014】
また、例えば、ソックス構成では、生地が構造体から無制御に解放されることが可能となるので、生地を構造体に連結するための方法は、そのような生地を使用する技術的効果または利点を著しく減少させる。
【0015】
この状況において、本発明の基礎となる技術的課題は、上述の欠点のうち少なくともいくつかを実質的に克服することが可能なモジュール式椅子用の生地を創出することである。特に、重要な技術的課題は、快適さおよび外観の点から優れた性能を提供することである。
【0016】
この技術的課題の文脈において、本発明の重要な目的は、生地の外観に影響を与えずに、異なる機械的特性によって特徴付けられる座部または背もたれの領域を作ることを可能にするモジュール式椅子用生地を得ることである。
【0017】
本発明の別の重要な目的は、先の利点と併せて、使用者が座る際に機械的特徴の不規則性を感じないような、充分な表面規則性を有するモジュール式椅子用生地を作ることである。
【0018】
結論として、本発明のさらなる目的は、生地自体の解放を制御するように椅子の構造に連結されうる椅子用生地を作ることである。
【0019】
技術的課題および特定した目的は、添付の請求項1で請求されるようなモジュール式椅子用生地によって達成される。好ましい技術的実施形態は、従属請求項においてハイライトされる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明の特徴および利点は、添付図面を参照して、本発明のいくつかの好ましい実施形態の以下の詳細な説明から明確化される。
【0021】
【
図3】本発明による椅子のストレッチャおよび支持部の詳細である。
【
図4】本発明による椅子のフレームの斜視概略図である。
【0022】
【
図5a】休止構成または組立前構成にある、本発明による椅子のフレームのヒンジによって作られる機構の詳細を示す。
【0023】
【
図5b】使用構成または組立後構成にある、本発明による椅子のフレームのヒンジによって作られる機構の詳細を示す。
【
図6】ガイドを有する本発明による椅子のフレームの断面図である。
【0024】
【
図8】本発明による椅子のフレームガイドに生地スプールを導入する概略的な例を示す。
【0025】
【
図9a】2枚の生地が単一のガイドにおいてフレームに接続されている、本発明による椅子のフレームの断面図を示す。
【0026】
【
図9b】2つのガイド、生地、および連結デバイスを有し、生地および連結デバイスが特別なガイドの手段によってフレームにそれぞれ接続されている、本発明による椅子のフレームの断面図である。
【0027】
【
図10】載置部の底部を被覆する生地を含む本発明による椅子の正面図である。
【0028】
【
図11】オフィスの実施形態における、載置部の底部の連結デバイスおよび支持部を含む、本発明による椅子の正面図を示す。
【0029】
【
図12】生地が掛けられている代替的な実施形態を含む、本発明による椅子の正面図を示す。
【0030】
【
図13a】
図1~2に示される好ましい実施形態における、本発明による椅子の詳細な側面図である。
【0031】
【
図13b】
図9aおよび10に示される代替的な実施形態における、本発明による椅子の詳細な側面図である。
【0032】
【
図13c】
図9bおよび11に示される代替的な実施形態における、本発明による椅子の詳細な側面図を示す。
【
図14】本発明による椅子のインサートの斜視図を示す。
【
図15】本発明による椅子のインサートを上から見た図を示す。
【0033】
【
図16】連結ゾーンのプロファイルがハイライトされている、本発明による椅子のインサートの側面図を表す。
【0034】
【
図17a】凸構造のための本発明による椅子のインサートの変形の一例を示す。
【0035】
【
図17b】凹構造のための本発明による椅子のインサートの変形の一例を示す。
【0036】
【
図18】二重接合ゾーンを有するが外部ボディを有しない、本発明による椅子のインサートの斜視図である。
【0037】
【
図19】二重接合ゾーンを有する本発明による椅子のインサートのプロファイルの側面図を表す。
【0038】
【
図20a】本発明による椅子のインサートを本発明によるモジュール式椅子に適用する一例を示す。
【0039】
【
図20b】本発明によるモジュール式椅子において本発明による椅子に2つのインサートを適用する一例を示しており、ここで、1つのインサートは二重接合ゾーンを有し、1つのインサートは単一接合ゾーンを有する。
【0040】
【
図21a】セカンダリフィラメントがニット織物の表と裏を交互しながらそれ自体をループに挿入することなくピックに沿ってメインフィラメントと共に織られている、本発明による生地の第1の例である。
【0041】
【
図21b】セカンダリフィラメントがピックに沿ってループを通ってメインフィラメントと共に織られている、本発明による生地の第2の例である。
【0042】
【
図22】ガイドを伴うフレームが設けられた椅子における、本発明によるフレームと生地との間の連結部の上断面図を表す。
【
図23】本発明による生地を有する椅子の背もたれの一実施形態を示す。
【0043】
【
図24】本発明による生地を含む椅子の使用中の椅子の側面図を、本発明による生地の局在領域に起因して腰および胸椎領域で選択的に変形された背もたれの詳細と共に示す。
【0044】
【
図25a】本発明による生地の、織り込まれてスプールに完全に巻かれた単層ニット織物と第2ヤーンとの間の連結の一例を示す。
【0045】
【
図25b】本発明による生地の、織り込まれてスプールに部分的に巻かれた単層ニット織物と第2ヤーンとの間の連結の一例を示し、この織物の緯糸は、二重の第2ヤーンを有する。
【0046】
【
図26a】本発明による生地の、織り込まれてスプールに部分的に巻かれた二重層ニット織物と第2ヤーンとの間の連結の一例であり、この織物の緯糸は、二重の第2ヤーンを有し、第2ヤーンは、サンドイッチ編地層の間に配置されている。
【0047】
【
図26b】本発明による生地の、織り込まれてスプールに完全に巻かれた二重層ニット織物と第2ヤーンとの間の連結の一例であり、第1ヤーンは、サンドイッチ編地層の間に配置されている。
【0048】
【
図26c】本発明による生地の、織り込まれてスプールに完全に巻かれた二重層ニット織物と第2ヤーンとの間の連結の一例を示し、第1ヤーンは、編地層間で交互に織り込まれている。
【0049】
【
図27】本発明による生地の単層および/または二重層ニット織物と、織り込まれた第2ヤーンとの間の連結の一例を示し、第2ヤーンは、ニット織物から作られた管状部分内に配置されている。
【0050】
【
図28】セカンダリフィラメントによって作られるニット織物を通る連続経路を作るセカンダリフィラメントから局在領域が作られている、本発明による生地パターンである。
【0051】
【
図29a】連続経路をなすセカンダリフィラメントの簡略図を表し、後者がスプールに巻かれる様子がハイライトされており、スプールに平行なセカンダリフィラメントのギャップがハイライトされている。
【0052】
【
図29b】連続経路をなす2本のセカンダリフィラメントの簡略図を示し、後者がスプールに巻かれる様子がハイライトされており、スプールに平行なセカンダリフィラメントのギャップがハイライトされている。
【0053】
【
図29c】連続経路をなすセカンダリフィラメントの簡略図を示し、後者がスプールに巻かれる様子がハイライトされており、スプールに平行なセカンダリフィラメントのギャップがまたハイライトされており、他のセカンダリフィラメントが様々なピックに沿って追加されている。
【0054】
【
図30a】内部に織り込まれたスレッドがなく、1層のニット織物のみがある、本発明による生地を断面で見た図である。
【0055】
【
図30b】セカンダリフィラメントがニット織物の層に緯糸として織り込まれ、セカンダリフィラメントがピックからピックへと通るようにスプール内部に部分的に挿入され、セカンダリフィラメントが矢印によって示されるように編地層の両側で交互になるように視認可能である、本発明による生地の局在領域を断面で見た図を表す。
【0056】
【
図31a】セカンダリフィラメントが2層のニット織物の間に緯糸として埋め込まれ、セカンダリフィラメントがピックからピックへと通るようにスプール内部に部分的に挿入されている、本発明による生地の局在領域を断面で見た図を示す。
【0057】
【
図31b】セカンダリフィラメントがニット織物の層に緯糸として織り込まれ、編生地の片側のセカンダリフィラメントを隠すのに好適な第2のニット織物層があり、セカンダリフィラメントがピックからピックへと通るようにスプール内部に部分的に挿入されている、本発明による生地の局在領域を断面で見た図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0058】
本文書において、測度、値、形状、および幾何学的表現(垂直性および平行性等)は、「ほぼ」のような文言または「およそ」もしくは「実質的に」等の他の類似の用語と関連付けられる場合、生産および/または製造における誤差に起因する測定誤差または誤りを除くもの、とりわけ、それが関連付けられる値、測度、形状、または幾何学的表現からの僅かな逸脱を除くものと理解されたい。例えば、値に関連付けられる場合、このような用語は、好ましくは、その値自体からの10%以下の逸脱を示す。
【0059】
さらに、「第1」、「第2」、「より高い」、「より低い」、「主」、および「二次的」等の用語が使用される場合、これらは、順序、関係の優先度、または相対位置を必ずしも識別するとは限らず、単に異なるコンポーネントを互いからより明確に区別するために使用されうる。
【0060】
別段の記述がない限り、本文書で報告される測定値およびデータは、国際標準大気ICAO(ISO 2533:1975)で実行されたとみなされるものとする。
【0061】
図面を参照すると、参照番号21は、本発明によるモジュール式椅子用生地の全体を示す。
【0062】
生地21は、好ましくは、下記のようにモジュール式椅子1と共に使用される。しかし、生地21は、少なくとも1つのフレームと、例えば管状要素を含む1つの支持構造とを備える任意の椅子に使用することができる。実際、生地21は、当技術分野の現在状態で任意の椅子に使用することができる。また、生地21を含む椅子は、インサート100も含みうる。
【0063】
インサート100もまた、好ましくは、下記のようにモジュール式椅子1と共に使用される。しかし、インサート100は、少なくとも1つのフレームと、例えば管状要素を含む1つの支持構造とを備える任意の椅子に使用することができる。実際、インサート100は、当技術分野の現在状態で任意の椅子に使用することができる。
【0064】
椅子という用語は、好ましくは、椅子を指す。いずれの場合も、椅子は、使用者が座ることを可能にし、したがって構成に応じてアームチェアまたはソファ等の椅子以外のデバイスを構成することもできる任意のデバイスでありうる。
【0065】
例えば、椅子は、自動車等の車両、または列車もしくは航空機等の他の輸送手段のための座部であってもよい。
【0066】
また、椅子は、特定用途およびデザインに制限されず、家庭用、オフィス、または記述したもの以外の他の環境、例えば、レストラン、ホテル、会議室、研究室などにおける使用等、様々な種類の使用に適宜適合することができる。特に、モジュール式椅子1は、好ましくは、少なくとも1つの載置部2を備える。
【0067】
載置部2は、好ましくは、使用者が載ることを可能にするのに好適である。したがってこれは、実質的に、使用者の身体の少なくとも一部に適応することができる椅子1の部分である。よって載置部2は、好ましくは、フレーム20および生地21を含む。
【0068】
生地21は、繊維シートのみによって定義されてもよく、または例えば2片の生地の間に捕捉されたパッド要素を含んでもよい。好ましくは、いずれの場合も、生地21は、表面210および周辺領域211を定義する。
【0069】
表面210は、好ましくは、使用中に使用者を支持するのに好適である。したがって、好ましくは、前記使用者のための支持面を定義し、使用者の重力を支持するのに好適である。
【0070】
周辺領域211は、その代わりに、表面210のエッジによって実質的に定義される。換言すると、周辺領域211は、表面210の境界ゾーンによって実質的に定義される。
【0071】
また、生地21は、複合繊維、すなわち周りに生地フィラメントが撚られたポリマフィラメントを含みうる。このタイプの繊維は、生地を強化すること、またはより広く言えば、生地21の局所的機械的特性を自在に変更することを可能にする。「局所的特性」という用語は、表面210が、それぞれが独自の機械的特性を定義し、したがって表面から表面へと異なりうる、より小さな表面のセットとみなされうることを意味する。
【0072】
実質上、生地21のコンフォメーションは、例えば、有限要素理論、または表面を個別化し、個別化した要素の局所的機械的特性を制御することを可能にする他のタイプの方法等の研究および処理の手段によって達成することができる。
【0073】
好ましくは、生地21は、自動編み機、特に横編み機として知られる機械によって作られる。
【0074】
これらの機械を用いると、既に述べたように、生地21が椅子1において相互作用する構造要素による所望の特徴を得ることを可能にするように、表面210の個別の要素の機械的特性を制御することが可能である。生地21は、従来の織機を用いて作ることもできる。
【0075】
例えばこの場合、生地21は、例えば生地21に採用されるスレッド数または緯糸に応じて、表面210内で異なる機械的特性を示しうる。
【0076】
生地21は、コンピュータ処理技術で作られるか従来のテキスタイル技術で作られるかを問わず、局在する支持要素を含んでもよい。例えば、生地21は、表面210の剛性を局所的に増大させるよう、バーまたはフィラメント等のその金属構造内に、生地21に容易に作ることのできる捕捉されたまたは織り込まれた内部ポケットを含みうる。この意味で、生地21は、前記生地21の構造を強化するのに好適な、例えば金属のリブまたはダイアフラムを含む、織物表面210として現れうる。
【0077】
好ましい実施形態において、生地21は、2つの異なる製織方法を組み合わせることによって作られる。実際、ニット織物の技術を製織のものと組み合わせることによって作られることが好ましい。具体的には、生地21は、表面210に、基部が少なくとも1本のメインニット織物フィラメント210cを有する周期的な模様を含む。
【0078】
また、表面210は、好ましくは、生地21が周期的な模様を備える少なくとも1つの局在領域210bを含み、その基部は、ニット生地に織り込まれた少なくとも1本のセカンダリフィラメント210fも有する。
【0079】
したがって、局在領域210bは基本的に、緯糸フィラメントが挿入されている編地の領域であることが好ましい。したがって、生地21は基本的に、織縫の技術を編成の技術と組み合わせて使用し、内部にセカンダリフィラメント210fが緯糸として挿入されている編構造を含む、ハイブリッド生地であることが好ましい。
【0080】
これらのセカンダリフィラメント210fは、所定の径路に沿って、少なくともメインフィラメント210cの2つの隣接する列の間に織り込まれるように、編生地の内部に挿入されることが好ましい。周知のように、編生地を構成する周期的な模様は、基本的に、少なくとも1本のメインフィラメント210cを含む、連続的で互いに編み込まれた連続する列によって定義されうる。
【0081】
しかし、セカンダリフィラメント210fの挿入は、製織以外の原理を使用して行うこともできる。例えば、第1ヤーン210cは、二重層を形成するように処理されうる。したがって、第2ヤーンは、例えば交互に2つの編地層に織り込まれてもよいし、または、編生地が前後2層を有する場合、織物の第2ヤーン210fは、編生地に織り込まれずに層の間に単に挿入されてもよい。
【0082】
したがって、概して生地21は、ニット織物を定義する少なくとも1本の第1ヤーン210cを基本的に含み、ニット織物の内部には、様々でありうる諸実施形態によれば、緯糸すなわち所定の径路に沿って配置された少なくとも1本の第2ヤーン210fが挿入される。
【0083】
図21a、25a、および25bには、生地21の好ましい織物の一例が示されている。編生地のメインフィラメント210cの隣接する列は、ピック210eと呼ばれる方向に沿って基本的に配置されたループ210dを定義する。後者は、好ましくは、セカンダリフィラメント210fの所定の径路を定義する。緯糸のセカンダリフィラメント210fは、好ましくはループ210dに隣接して配置され、メインフィラメント210cおよびピック210eによって定義される織物の間を通る。
【0084】
具体的には、局在領域210b内のセカンダリフィラメント210fは、メインフィラメント210cの2つの隣接する列と共に織られ、メインフィラメント210cの隣接する列は、したがって、セカンダリフィラメント210fが通る織目を定義する。
【0085】
特に、セカンダリフィラメント210fは、したがって、
図21bにあるようにループ210dごとまたは2つのループ210dごとにループ210dの目の前後を通るように、メインフィラメント210cと共に織られることが好ましい。概して、セカンダリフィラメント210fは、ピック210eに沿ってメインフィラメント210cと共に織られることが好ましいが、他の方向でメインフィラメント210cと共に織られてもよい。
【0086】
当然ながら、織物は、複数のセカンダリフィラメント210fを、例えばピック210eの方向に沿って含んでもよい。
【0087】
緯糸をニット織物に挿入する点から上記の結果を得るためには、編処理機で、後ろおよび前、すなわち表側および裏側に各々対応するように、針の位置を交互に変更し続けながら、第1ヤーン210cを第2ヤーン210fの周りに織り込むことを含む処理が採用されうる。このようにして、メインフィラメント210cは、基本的にセカンダリフィラメント210fをブロックするようにその周りに巻かれた編目を形成する。
【0088】
具体的には、セカンダリフィラメント210fはまた、スレッドガイドの手段により、針の処理と同時でも、メインフィラメント210cによって定義されるニット織物の内部に挿入されうる。本質的に当業者に知られているスレッドガイドは、したがって、織物が形成されている間に、セカンダリフィラメント210fを後者の内部に位置付けることができる。
【0089】
スレッドガイドは、複数のセカンダリフィラメント210fを織物内に位置付けるよう構成されていてもよい。
【0090】
第2の実施形態において、セカンダリフィラメント210fは、ループ210d自体によって定義されるピック210eに沿ってループ210dの内部に導入され、したがって、生地21によって定義される表面210の局在領域210bの内部に隠される。
【0091】
また、編生地のメインフィラメント210cの2つの隣接する列の間に位置合わせされたループ210dは、ピック210eに沿った1本の緯糸であるセカンダリフィラメント210f、または複数の緯糸であるセカンダリフィラメント210fを含みうる。
【0092】
このようにして、例えばいくつかの局在領域210bが、局在領域210bが椅子(例えば椅子1)の例えば座部または背もたれに対してとる位置に応じて特定の特性をもって形成されうる。
【0093】
既に述べたように、セカンダリフィラメント210fは、基本的に2つの編地層の間に織り込まれてもよい。セカンダリフィラメント210fは、したがって、基部がメインフィラメント210cによって定義される織物をそれぞれが定義する2つの層の間に埋め込まれてもよい。また、セカンダリフィラメント210fは、
図26cに示されるように、例えば交互に2つの層に織り込まれてもよく、または
図26aおよび26bに示されるように、基本的にサンドイッチ構造を定義する2つの層の間に挿入されてもよい。さらに、メインフィラメント210cのニット織物は、
図27に示されるように、1または複数のセカンダリフィラメント210fが挿入される複数の管状部分を定義しうる。
【0094】
セカンダリフィラメント210fは、好ましくは、メインフィラメント210cとは異なる機械的特徴を定義する。例えば、セカンダリフィラメント210fは、局在領域210bにおける生地21の局所的な弾性または剛性を増大させるように、メインフィラメント210cと比較して剛性が高くても低くてもよい。
【0095】
セカンダリフィラメント210fは、代替的に、メインフィラメント210cのもの以外の熱特性または電気特性を定義してもよい。この意味で、例えばセカンダリフィラメント210fは、メインフィラメント210cと同様の機械的特性を有するが、電流の通過ではなく熱に対する反応性が高いまたは異なるフィラメントであってもよい。例えば、セカンダリフィラメント210fは、内部を電流が通過する結果として形状を変化させるようデザインされた圧電材料、またはセカンダリフィラメント210fが熱の適用もしくは供給中止に比例して延びるもしくは縮むことを可能にする材料も含みうる。
【0096】
いずれの場合も、セカンダリフィラメント210fおよびメインフィラメント210cは、生地の周辺領域211で一緒にしっかり接続されることが好ましい。しっかり接続されるとは、セカンダリフィラメント210fおよびメインフィラメント210cが、局在領域210bにおいて定義される織物または重なる領域では互いにスライド可能であるが、周辺領域211では、互いに対して緩くないように一緒にリンクされることを指す。この結合は、周辺領域211内に配置された2つの固定箇所でフィラメント210f、210cを縫い付ける、もしくは接着する、もしくは熱溶接することによって、または下記の方法によっても得ることができる。
【0097】
この最後の特徴は、基本的に、緯糸の動作による編生地の有効性を改善することを可能にする。
【0098】
好ましくは、フレーム20は、使用中、または換言すると組立てられたときに、閉じた構造を定義する。その結果、フレーム20は、それ自体を閉じて、輪の場合と同様に孔を形成するように、湾曲した径路に沿って延びる。
【0099】
フレーム20は、必ずしも平面部分から形成された構造を有することはなく、特に
図2、4および8に示されるように、空間内で三次元的に延びる複雑な構造を有することが好ましい。
【0100】
このタイプの複雑な構造は、例えば、複合3D曲線、すなわち三次元空間における少なくとも2つの主軸を中心に回転する径路に沿って作られる曲線である。
【0101】
好ましくは、フレーム20は、閉じた構造を作る使用状態または組立構成、および異なる形状を取る未使用状態または組立前構成を定義する。
【0102】
使用中または組立後構成において、フレーム20は、周辺領域211の少なくとも一部で張力下の生地21を支持するようデザインされていることが好ましい。
【0103】
生地21は実際、その周辺領域211に沿ってフレーム20に完全に接続されていてもよく、または例えば
図12に示されるように掛けられた生地21の一部を含む椅子1を定義する場合には、その周辺領域211に沿って部分的にのみ接続されていてもよい。
【0104】
この最後の方策は、異なる生地21を用いて椅子1を作る場合にも適切でありうる。実際、椅子1は、周辺部分でフレーム20に部分的に接続され、かつ載置部2を作るように他の生地に部分的に接続された、生地21を備えうる。
【0105】
特に、フレーム20は、前記フレーム20が取る形状に対して生地21を局所的に緊張させる。
【0106】
未使用状態または組立前構成では、その代わりに、フレーム20は生地21を解放することができる。
【0107】
これを達成するためには、フレーム20は少なくとも2つの部品200を備えることが好ましいが、必ずしもその必要はない。
【0108】
部品200は、フレーム20によって定義される閉じた構造のセクションと実質的に一致しうるフレーム20の部分である。好ましくは、これらは互いに別個になっており、2つの固定箇所で互いに緩く接続される。代替的に、これらは、個々の部品200の識別を可能にする部品200間の緩み箇所を定義する、単一部品の部分であってもよい。後者の場合、固定箇所は、緩み箇所に対応する。好ましくは、これらの固定箇所は、部品200の端点に対応するが、他の点、例えば中間点が、不規則なエッジを有する環状形状を形成するように設けられてもよい。好ましくは、部品200は、2つのヒンジ201の手段によって互いに緩く接続される。
【0109】
ヒンジ201は好ましくは、部品200の、すなわちフレーム20の、使用(組立)または休止(組立前)の状態または構成の切り替えを可能にする手段である。これらのヒンジ201は、好ましくは機械式である。
【0110】
特に、ヒンジ201は、部品200が実際にフレーム20を形成する使用または組立の構成と、部品200が一緒に相互に折り畳まれる休止または組立前の構成とを定義することが好ましい。
【0111】
このようにして、部品200またはフレーム20が休止または組立前構成にあるとき、支持面2の全寸法は減少する。
【0112】
ヒンジ201はそれぞれ、好ましくは回転軸2aを定義する。回転軸2aは、閉じた構造を2つの実質的に同一の部分に分割する矢状面に沿って存在することが好ましい。使用中、矢状面は垂直方向を適切に含む。
【0113】
回転軸2aは、好ましくは、フレーム20の部品200に与えられる自由度のみを定義する。したがって、原理上、部品200は、好ましくは専らヒンジ201の回転軸2aを中心にして回転するのに好適である。
【0114】
適切には、2つのヒンジ201の回転軸2aは、互いと位置合わせされる。その結果、フレーム20は、休止または組立前構成において実質的に閉じられるかまたは折り畳まれ、フレーム20が生地21を緊張させる安定平衡構成に対応する少なくとも1つの使用構成または組立後構成を識別することにより、再び開放することができる。
【0115】
特に、前記フレーム20は、好ましくは部品200が使用構成にあるときにのみ、生地21を緊張させる。
【0116】
使用構成、または組立後もしくは安定平衡の構成を実現するために、本発明による椅子1は、一方向のみの部品200の相互回転を可能にするよう構成されていることが好ましい。特に、可能となる往復回転は、載置部2に置かれる可能性のある重りまたは使用者の重力にフレーム20が対抗することを可能にするよう、好ましくは地面に対して反対である。
【0117】
地面に対して反対の回転という用語は、フレーム20を本のように開くとき、本が開かれたらそのページが地面に面することが可能になるのと同様に、地面に面することを意味する。
【0118】
この意味で、好ましくは、椅子1は、第1の実施形態の例において、ヒンジ201の特定の構成を提供する。
【0119】
詳細に述べると、
図5a、5b、および7に示されるように、ヒンジ201のそれぞれは、干渉部分201aを含む。
【0120】
干渉部分201aは、好ましくは、部品200が使用構成のフレーム20を実現するときにのみ、互いに干渉する。また、干渉部分201aは、使用者が支持面210に載っているとき、使用者の重力に比例した相互干渉力を提供するように方向付けられる。
【0121】
換言すると、干渉部分201aは、フレーム20が使用中で部品200が安定平衡の姿勢に置かれたときにぶつかるようデザインされた肩部であってよく、干渉力は、互いに面した干渉部分201aの間で相互作用する接続反応であってよい。
【0122】
適切には、部品200は、干渉部分201aに起因して安定平衡姿勢を達成する。
【0123】
より複雑な構成において、ヒンジ201は、例えば家庭用ドアヒンジ等の機械式ヒンジではなくてよく、弾性変形によって部品200の緩みを可能にするのに好適なヒンジ201でありうる。
【0124】
この文脈において、部品200はさらに、既に述べたように、閉じた単一部品の一部で、特定の固定された緩み箇所で折り畳むのに好適なものでもよい。これらのような適用例は、例えば、ヒンジの可能な動きが構造の機械的接続の代わりに材料の変形に充てられうるベアリングレスシステムに存在する。
【0125】
また、ヒンジ201は、使用または組立後の構成にあるとき、生地21を緊張状態に保ち続けることを保証するよう、部品200を互いにロックするのに好適なロック手段も想定しうる。
【0126】
代替的に、ヒンジ201は、応力を受けていない場合に部品200を使用または組立後の構成に保つため、バネ等の弾性要素を含んでもよい。後者の場合、ロックデバイスは、部品200、従ってフレームを、休止または組立前構成にロックするよう構成されていてよい。
【0127】
またはその代わりに、干渉部分201a自体がロック手段を備えていてもよい。例えば、後者は、干渉部分201aがぶつかるとすぐにヒンジ201を中心とする回転をブロックするのに好適な、圧力ロック式弾性機構を含みうる。また、この機構は、再び押されると、部品200の解放およびヒンジ201の解放を可能にしうる。このタイプの一例は、バネ押さえを有するロック機構でありうる。
【0128】
生地21は、上述のように、好ましくはその周辺領域211の少なくとも一部に沿って、フレーム20に接続される。特に、好ましくは、フレーム20はガイド202を定義する。
【0129】
ガイド202は、好ましくは、少なくとも部品200のそれぞれに沿って連続する中空ガイドである。特に、ガイド202は、ガイド202の寸法に適合する剛性要素等の要素が通ることのできる、トラックの形状を実質的に取ることが好ましい。
【0130】
このタイプの例は、例えば、参照として本明細書に組み込まれる特許出願US-A-2839126の第1段62~72行目および第2段1~12行目に記載されている。
【0131】
したがって、実質上、ガイド202は、物体が前記ガイド202内部に挿入されることを可能にする接近孔を含んでもよい。これらの孔は、例えば、フレーム20の所定の箇所に、例えば部品200の端部の固定箇所等に位置決めされうる。好ましくは、接近孔は、
図8に示されるように、物体が上部から下部へと挿入されうるように、地面に対してフレーム20の上部領域に位置決めされる。好ましくは、接近孔は、使用または組立後の構成にある椅子1に注目する使用者から隠れるように地面に面している。よって生地21は、少なくとも1つのスプール212を含むことが好ましい。
【0132】
スプール212は、生地21の強化された部分によって、すなわち生地21のうちより大きな厚さおよび/または密度をもつ部分によって定義されてもよく、または生地21の外部で前記生地21に取り付けられる要素によって定義されてもよい。
【0133】
好ましくは、いずれの場合も、スプール212は、周辺領域211に沿って配置され、ガイド202の内部に挿入されるようデザインされる。
【0134】
後者が、基部がメインフィラメント210cによって定義される周期的な模様によって定義される1または複数の編地層内に織り込まれるセカンダリフィラメント210fを連結させる手段によって形成される、生地21の好ましい実施形態において、スプール212は、周辺領域211において生地21の一部の内部に捕捉された長い要素でありうる。
【0135】
したがって、メインフィラメント210cは、好ましくは、スプール212に適応するようデザインされた管状構造を形成しうる。当然ながら、生地21は、ステープルまたは接着またはその他の方法のような手段により、ただ単にスプール212に接合することもできる。
【0136】
また、セカンダリフィラメント210fは、メインフィラメント210cに、特にスプール212に接続することが好ましい。これに関して、セカンダリフィラメント210fは、
図25a~26cに示されるように、スプールを中心として少なくとも1回ほぼ完全にターンするように生地21内部に挿入されることが好ましい。したがって、セカンダリフィラメント210fは、好ましくはスプール212の周りに巻かれる。
【0137】
特に、セカンダリフィラメント210fは、
図25a、26b、および26cにあるように、スプール212の周りに完全に巻き付いてもよく、または、
図25bおよび26aにあるように、それに部分的に巻き付いて、例えば、スプール212に適応する生地21の管状構造にセカンダリフィラメント210fが入り、その後に出ることによってなされるように、二重のセカンダリフィラメント210fの緯糸を基本的に定義してもよい。
【0138】
セカンダリフィラメント210fをスプール212に巻くことには、メインフィラメント210cおよびセカンダリフィラメント210fを一緒にスプール212でブロックする効果がある。
【0139】
緯糸のセカンダリフィラメント210fの配置はまた、複数の経路をたどりうる。
図28は、例えば、緯糸、すなわちセカンダリフィラメント210fが、連続経路をたどってニット織物内に配置されている、生地の局在領域210bのパターンを表す。
【0140】
したがって、この経路は、
図29a~29cに簡略に図示されているように、セカンダリフィラメント210fを、スプール212に1回完全にターンして巻き付き、それから、メインフィラメント210cによって定義されるニット織物内を進み、前のスプール212の反対側に配置されたスプール212の周りに再び巻き付くように配置することによって説明されうる。下または上の1列すなわちピック210eに通るために、セカンダリフィラメント210fは、スプール212と平行に進み、それからこれに再び巻き付き、開始スプール212に達するまでそれ自体をメインフィラメント210cと再び織り込む。当然ながら、この手順は、いくつかのピック210eに沿って、1本のセカンダリフィラメント210fまたはさらには3本目以上のセカンダリフィラメント210fを導入することを含みうる。
【0141】
さらにより具体的には、セカンダリフィラメント210fは、編生地を作るフィラメントと針との間で通常行われる「イギリス編み(hooked in English)」または「フォルスイングリッシュリブ(false English rib)」となるようにスプール212に接続されてもよい。また、セカンダリフィラメント210fは、スプール212の隣に引っ張って一方のピック210eから他方に通してもよく、またはスプール212が管状要素である場合、この後者自体の内部に挿入してもよい。
【0142】
フレーム20の構造に戻ると、ガイド202は好ましくは、スプール212がその内部でスライドすることを可能にするようデザインされる。詳細に述べると、ガイド202は、生地21およびフレーム20を一緒に取り付けるために、スライド部212の少なくとも一部を捕捉するよう構成される。
【0143】
したがって、スプール212を生地21の周辺領域211に沿って連続的に作ってもよく、または生地21が複数の連続的なスプール212を設けてもよい。
【0144】
好ましくは、フレーム20は、生地21に対して実質的に蛇腹であり、その内部に、ガイド202でスプール212をスライドさせることによって生地を配置することができる。同様の機構は、参照として本明細書に組み込まれる特許出願US-B-6293624の第3段26~52行目にも記載されている。
【0145】
しかし、好ましくは、ガイド202は、椅子1の底部すなわち地面からのみ接近可能であり、生地21は、フレーム20の少なくとも一部の周りに巻かれるようにフレーム20に接続される。
【0146】
このようにして、フレーム20と生地21との間の接続が使用者から隠されるのみならず、さらにフレーム20自体が生地21で被覆され、生地21がフレーム20に巻かれることにより、張力がさらに保証される。
【0147】
よって、部品200は異なっていてもよく、または同一で、回転軸2aに対して互いの鏡映対称であってもよい。
【0148】
この最後の例は、特に部品200の生産を最適化するために好ましい。後者は実際、三次元押出の手段によってアルミニウムで作られるのが好ましい。当然ながら、部品200は、例えばやはり押出されるポリマ材料、または非共面の延長経路により中空で連続したプロファイルを作ることを可能にする他の材料で作られていてもよい。別のタイプの実施形態において、部品200、したがってフレーム20は、例えば金属コアへのポリマ射出成形等の技術の手段により、例えばポリマ材料等の異なる材料が被覆された金属コアを含む複合構造体を使用して作ることができる。
【0149】
しかし、非共面の態様は、依然として不必要な要素であるが、特にそれによってもたらされる快適さに関しては、椅子1を作るために好ましい。椅子1は、載置部2に加えて、耐荷重部分3もまた備える。
【0150】
耐荷重部分3は、好ましくは、懸架され地面から恒久的に間隔をあけた載置部2を支持するようデザインされる。例えば、従来の椅子に含まれる典型的な耐荷重部分3は、4本以下の支持脚から作られる。
【0151】
そうでない場合、耐荷重部分3は、載置部2に接続されうる管状構造で作られるのが好ましいが、必ずしもその必要はない。より広くは、耐荷重部分3は、取り付け手段30を含む。
【0152】
取り付け手段30は、載置部2および耐荷重部分3を着脱可能かつ安定的に接続するのに好適であることが好ましい。
【0153】
これらの取り付け手段30は、好ましくは、椅子1を作るように所定の固定箇所で部分2および3を接続するのに好適な連動接続である。より具体的には、フレーム20は突起部22を含む。
【0154】
突起部22は、好ましくは、地面に向かって突出する。突起部22は、例えば、フレーム20から突出して他の外部コンポーネントと相互作用する円柱状要素である。
【0155】
したがってこれらの突起部22は、結果として、ネイル、ボルト、または他のタイプのジョイント等の公知の固着手段によってフレーム20に接続されることが好ましい。代替的に、突起部22は、フレーム20に直接作ることができる。
【0156】
したがって突起部22は、金属、または好ましくはポリマ材料で作られうる。例えば、突起部22は、射出成形技術を使用して作ることができる。
【0157】
よって、取り付け手段30は、突起部213と相互作用するよう構成されるのが好適である。特に、取り付け手段30は、載置部2を耐荷重部分3の上に恒久的にブロックするよう、突起部22に適応するよう構成された構造の孔31を含むことが好ましい。特に、椅子1は、載置部2、および場合によってはその上に置かれた重りまたは使用者の重量が、載置部2および耐荷重部分3を互いに接続され恒久的にロックされた状態に保つ傾向があるように構成されることが好ましい。
【0158】
上述の耐荷重部分3は、必ずしも上記のような構造を定義するとは限らないが、載置部2および耐荷重部分3の連結を可能にするのに好適な取り付け手段30を含むことを条件として、従来の構成、例えばカンチレバー式、4本脚、または他の構成を含んでもよい。椅子1の代替的構成において、部品200は、
図9bに示されるように、2つのガイド202をそれぞれ備えうる。例えばこの場合、
図10および13bに明確に示されるように、一方は載置部2を作るために、他方は椅子の底部を被覆するために使用することができる、2つの異なる生地21を捕捉するように、椅子1を構成することができる。第2のガイド202はまた、
図9bおよび13cに示されるように、連結デバイス5の連動による接続を可能にすることができる。
【0159】
連結デバイス5は、例えば、第2のガイド202との接続を介し、椅子1の底部の一部を隠し、載置部2を任意のタイプの耐荷重部分3に接続可能にして、それを支持するように、地面に対して載置部2の底部に設けられたボディ外郭でありうる。実際、連結デバイス5は、例えば、
図11に示されるような典型的なオフィス用椅子のホイール支持具等の耐荷重部分3に載置部2を連結するのを可能にするように、金属またはポリマ構造で作られることによって与えられるような、独自の剛性を有しうる。
【0160】
その結果、連結デバイス5は、フレーム20の下部分に対抗する形状であってよく、特に、第2のガイド202に対抗する形状のエッジを有してよく、載置部2の生地21の表面210の最終形状に対抗する形状であってよい。当然ながら、連結デバイス5は、当技術分野の現状で知られている載置部2の連接機構を含みうる。このタイプの機構は、例えば、シンクロチルトという用語で知られている。椅子1は、また、ストレッチャ4を備えることが好ましい。
【0161】
ストレッチャ4は、耐荷重部分3の一部で、その内部に一体化されていてもよく、または外部要素であってもよい。
【0162】
好ましくは、ストレッチャ4は、生地21が、少なくとも2つの、またはさらに多くの特定の領域を定義するように、所定の固定箇所に沿って支持面210を緊張させるよう構成される。生地21は、伸長されたとき、背もたれ21aおよび座部21bを定義することが好ましい。
【0163】
座部21aは、好ましくは支持部3に隣接して配置され、背もたれ21aは、それから間隔をあけ、使用者の背に適応するのに好適である。特に、ストレッチャ4は、座部21aにより大きな張力を及ぼすことが可能である。
【0164】
したがって、座部21aは、例えば背もたれに比してより大きな張力を受ける支持面210を含む。
【0165】
ストレッチャ4の存在は、生地21をフレーム20に使用するのに厳密には必要とされない。生地21は、実際、例えば
図23に表されるように、少なくともガイド202が設けられたフレーム20を好ましくは含む任意の椅子に敷くことができる。
【0166】
生地21は、張力下に置かれるように、スプール212およびガイド202によってフレーム20に接続されることが好ましい。特に、生地21は、少なくとも周辺領域211においてしっかり取り付けられるように、フレーム20に取り付けられる。
図22において明確に視認可能なこの特徴が重要であるのは、このように実行されるフレーム20と生地21との連結が、生地21がフレーム20上で動かず、局在領域210bを非局在化し、生地21によってもたらされる機械的影響を無効にさせることを意味するからである。
【0167】
実際、椅子1のように生地21を含む椅子は、特定の構成を定義することが好ましい。
【0168】
局在領域210bは、好ましくは、背もたれ21aおよび座部21bの所定の箇所に配置される。特に、背もたれ21aを形成する生地21は、好ましくは3つの局在領域210bを含む。
【0169】
第1の局在領域210bは、着座時の使用者の腰領域に配置され、第2の局在領域210bは、好ましくは、着座した使用者の胸椎の上部に配置され、第3の局在領域210bは、第1および第2の局在領域210bの間に配置される。
【0170】
特に、第1の局在領域210bおよび第2の局在領域210bは、これらの局在領域210bが変形されうるように、高い弾性を有する第2のフィラメント210fを含むことが好ましい。
【0171】
第3の局在領域210bは、局在領域210bが、少なくとも他の2つの局在領域210bと比較して高い剛性を有し、容易に変形できないように、剛性の第2のフィラメント210fを少なくとも1本含むことが好ましい。
【0172】
このようにして、使用者が椅子に座ると、生地21は、使用者の身体の腰部分および胸椎に沿うが、フレーム20の構造は必ずしもそのような形状ではない。実際、耐荷重性は生地21に課せられ、表面210の形状は、
図24に示されるように、椅子が少なくとも背もたれ21aにおいてとりうる形状を局在領域210bと共に定義する。
【0173】
同じ問題は、例えば座部21bについてもいうことができる。例えば、より柔軟で、したがって局在領域210bを定義する側壁と、より高い、例えば背もたれ21aの第3の局在領域210bと同様の剛性、またはさらに高い剛性を有する、例えばより多くのセカンダリフィラメント210fをピック210eに沿って配置した、中央載置領域とを、座部に設けることができる。
【0174】
したがって、局在領域210bは、概して、メインフィラメント210cを含む基部に挿入されたセカンダリフィラメント210fのタイプまたは数に関連して、より高いまたはより低い弾性または剛性を有する。ストレッチャ4は、好ましくは管状要素40を含む。
【0175】
したがって管状要素40は、中空または中実とすることができる。これは好ましくはU字型またはC字型であり、その延びに沿って支持面210に張力を及ぼすのに好適である。
【0176】
したがって支持面210は、ストレッチャ4が生地21を地面に向かって直接緊張させるように、ストレッチャ4と地面との間に配置されうる。好ましくは、支持面210はポケット210aを含む。
【0177】
ポケット210aは、管状要素40の少なくとも一部に適応するよう構成されるのが好ましい。このようにして、管状要素40は、動きを受けると、それと共に生地21の一部を動かす。
【0178】
さらに、ポケット210aの形状に応じて、生地21はまた、ポケット210aに対する管状要素40の取り付け箇所に沿ってのみ引張られるか、またはポケット210aが管状要素40を完全に被覆する場合、生地21は、管状要素40の全範囲に沿って引張られる。
【0179】
この構成において、管状要素40は、
図2に示されるように、地面に対して生地21の下方、かつ前記生地に作られたポケット210aの内部に配置されることが好ましい。また、耐荷重部分3は、第2の突起部32を含みうる。
【0180】
第2の突起部32は、好ましくは突起部22と同じタイプであり、実質的に同じ機能を果たす。
【0181】
実際、第2の突起部32は、管状要素40の内部に収容され、したがって後者はこれらを収容するよう構成されることが好ましい。また、耐荷重部分3は、接続手段33を含む。
【0182】
接続手段33は、ストレッチャ4によって支持面210が連続的な張力を受ける、地面に向かって所定の位置で管状要素40をロックするよう構成されることが好ましい。
【0183】
適切には、接続手段33は、記述したとおり、ストレッチャ4の少なくとも一部が所定の位置に恒久的に配置された状態を保ち、連続的に作用を及ぼしうるように、それを捕捉するのに好適な、実質的な連動手段である。
【0184】
詳細に述べると、ストレッチャ4は、湾曲部または地面に対する陥凹部も定義しうる。後者は、実際、使用者が載置部2に座ったら、ストレッチャ4が接続手段33のロック方向と一致する力を及ぼすことを所与として、接続手段33間の連結を容易にし、それらの安定性を最大化することができる。
【0185】
載置部2、特に座部21bおよび背もたれ21aは、主にストレッチャ4に起因して得られる。しかし、例えば、部分的にはフレーム20の形状に起因して生地21が有しうる異なる剛性に起因して、フレーム20および生地21の構成も、載置部2の技術的態様に著しく寄与する。
【0186】
前記のように、機械編みの手段による生地21の生産技術は、生地21の密度およびコンフォメーションを局所的に制御することを可能にする。
【0187】
また、フレーム20の形状は、生地21がその周辺領域211に沿って異なる張力を受けることを可能にでき、好ましくは可能にする。
【0188】
特に、フレーム20は、座部21bのために確保された部分が背もたれ21aのために確保された部分よりも広い、好ましくは三次元の8形状を取る。
【0189】
このようにして、生地21は事前に、座部21bのために確保された領域が、より緊張される。その結果、各セクタにおいて制御された支持面210を定義するように、生地21、フレーム20およびストレッチャ4によってもたらされる技術的可能性を相乗的に組み合わせることが可能である。
【0190】
例えば、座部21bは、背もたれ21aよりも剛性が高く、したがって変形性が低い。
【0191】
構造に関する上記の椅子1の動作は、下記のその構築の手順によって実質的に定義される。
【0192】
構築手順は、椅子1を個々の部品から作ることを可能にする複数の連続した段階を備える。しかし、最も重要な段階は、緊張段階である。実際、緊張段階の間、部品200は、フレーム20を作って生地21を緊張させるように、回転軸2aに対して往復回転されるのが好ましい。
【0193】
この緊張段階は、載置部2が困難なく作られることを可能にし、椅子1を作るためにその正確な緊張を保証するという点で革新的である。
【0194】
また、緊張段階には、生地21がフレーム20に接続される取付段階が先行しうる。特に、表面210のスプール212が、例えば部品200の端部における特別な切り口を介して、部品のガイド202の内部に挿入され、それから生地21が周辺領域211でフレーム20に接続されることが好ましい。
【0195】
上記の段階の他に、このプロセスは、前の段階を補完するかまたはそれに置き換わりうる、他の関連する段階を含む。
【0196】
例えば、椅子1の好ましい製造プロセスは、緊張段階および場合によっては取付段階において定義される載置部2を含みうる。
【0197】
代替的に、製造プロセスは、緊張された生地21に適切に相互接続されたフレーム20および生地21を最初に含む載置部2を含みうる。
【0198】
よってこの手順は、耐荷重部分3および載置部2が互いに接続される接続段階を備えうる。
【0199】
特に、接続段階は、突起部22を取り付け手段30の孔31の内部に挿入することからなるのが好ましい。
【0200】
また、このプロセスは、有利には、ストレッチャ4が載置部2および耐荷重部分3に接続され、表面210を緊張させる、さらなる形状付け段階を含みうる。
【0201】
より詳細に述べると、ストレッチャ4の管状要素40は、表面210に作られたポケット210aの内部に挿入され、それから、その端部内部に第2の突起部32を挿入することによって接続されることが好ましい。
【0202】
ストレッチャ4は、部分2、3の両方に取り付けられたら、地面に対して並置され、生地21が所定の箇所で緊張されるような位置で管状要素40ひいてはストレッチャ4が保持されることを可能にする接続手段33によってロックされることが好ましい。
【0203】
その結果、椅子1の形状付けは、椅子1の背もたれ21aおよび座部21bが定義されることを可能にする。
【0204】
既に述べたように、インサート100は、上記のようにモジュール式椅子1の一部であってもよく、他の椅子のためにデザインされてもよい。いずれの場合も、インサート100は、支持構造101を備えることが好ましい。
【0205】
支持構造101は、好ましくは、インサート100を外部支持具105に取り付けることを可能にするようデザインされる。
【0206】
外部支持具105は、インサート100のしっかりとした取り付けを可能にするようデザインされた任意のタイプのボディでありうる。これはしたがって、例えば管状要素、例えば椅子のフレームに属するものでありうる。この意味で、外部支持具105は、好ましくはフレーム20と一致しうる。支持構造101はまた、好ましくは、主な延在方向101aを定義する。
【0207】
主な延在方向101aは、好ましくは、支持構造101が沿って延びる方向である。また、主な延在方向101aは、好ましくは、支持構造101が外部支持具105に取り付けられるのに沿う方向である。
【0208】
したがって支持構造101は、好ましくは、連結ゾーン102および接合ゾーン103を含む。
【0209】
連結ゾーン102は、1または複数の外部支持具105との接続を可能にするよう直にデザインされたゾーンであり、接合ゾーン103は、好ましくは、支持構造101を少なくとも1つの外部ボディ104に接合または接続することを可能にするようデザインされる。当然ながら、ちょうど連結ゾーンが、例えば
図20aおよび20bに示されるような複数の外部支持具105との連結を可能にしうるのと同様に、接合ゾーン103は、支持構造101を複数の外部ボディ104と接合することを可能にしうる。
【0210】
外部ボディ104は、好ましくは、接合ゾーン103に接合されうる任意の外部要素である。外部ボディ104は、好ましくは、例えばモジュール式椅子1のような椅子の被覆に寄与する要素であり、生地、パッド、またはボディ外郭等の固体等、この意味で有用な要素を含みうる。外部ボディ104は、好ましくは、生地、パッド、または固体のうちのいずれか1または複数である。
【0211】
したがってインサート100は、使用中、支持構造101と外部ボディ104の両方を備えることが好ましい。
【0212】
連結ゾーン102は、好ましくは、主な延在方向101aに沿って延びる開放管状要素を定義する。開放管状要素は、基本的に、主な延在方向101aに沿って延びる少なくとも1つの孔を備える管である。
【0213】
例えば、管状要素が薄壁を有する横桁である場合、連結ゾーン102は、開放セクションのある薄壁を有する横桁である。
【0214】
したがって連結ゾーン102は、基本的に、周辺セクション102bおよび有孔セクション102cを定義する開放プロファイルを定義する。
【0215】
開放プロファイルは、好ましくは、主な延在方向101aに対して垂直な面と比較して連結ゾーンのセクションによって作られる形状である。
【0216】
周辺セクション102bは、したがって、連結ゾーン102の壁によって作られるプロファイルの一部に基本的に対応し、有孔セクションは、プロファイルの自由な部分に対応する。
【0217】
特に、有孔セクション102cは、周辺セクション102bと比較して35%未満に対応することが好ましい。このようにして、連結ゾーン102は基本的に、支持構造101のフックを作る。
【0218】
接合ゾーン103は、対照的に、主な延在方向101aに沿って延びる平坦面を定義するのが好ましい。
【0219】
連結ゾーン102は、好ましくは基本的に円形であり、したがって、支持構造101は基本的に、全体として疑問符またはフック形状を作る。
【0220】
接合ゾーン103は、この実施形態では有孔セクション102cに直に隣接しているが、そうでなくてもよい。例えば、接合ゾーン103は、有孔セクション102cから遠いところで、周辺セクション102bに取り付けられてもよい。
【0221】
いずれの場合も、記述したとおり、接合ゾーン103は、インサート100を外部ボディ104に接合することを可能にするよう構成される。
【0222】
これに関して、接合ゾーン103は、好ましくは、様々な接合要素を備えながらも、依然として同じ発明概念に含まれうる。例えば、接合ゾーンは、ボタン等の連動要素に適応するようデザインされたアイレットを備えてもよく、またはボタン自体を含んでもよく、またはベルクロ(登録商標)、接着剤などを有する接着部を含んでもよい。
【0223】
接合ゾーン103は、好ましくは、有孔とするのに十分に薄く、生地が縫い付けられることを可能にしうる部分である。
【0224】
したがって支持構造101は、少なくとも1つの接合ゾーン103を備える。いずれの場合も、2つの接合ゾーン103を備えていてもよい。
【0225】
この代替的な実施形態において、接合ゾーン103は、有孔セクション102cによって互いから分離され、周辺セクション102bの反対端に各々取り付けられることが好ましい。
【0226】
このようにして、連結ゾーン102は、接合ゾーン103の間に任意の外部支持具105を導入することにより、後者を容易に収容することができる。
【0227】
実際、支持構造101の全体は、好ましくは、単一部品から作られ、可撓性材料を含む。さらにより具体的には、支持構造101は、ゴムのように変形することができるポリマ材料を含む。支持構造101の変形は、専ら弾性であってもよく、または部分的に弾性もしくは塑性であってもよく、あるいは支持構造101は、その変形を維持し、それを所望のように形状付けること、例えば、連結ゾーン102を外部支持具105に対抗する形状にすることを可能にするように、全体的に塑性変形可能な要素であってもよい。連結ゾーン102は、有利には、複数の第1のノッチ102aを備える。
【0228】
第1のノッチ102aは、連結ゾーンの表面に配置された貫通孔である。したがってノッチは、基本的に、連結ゾーン102の周辺セクション102bに配置されることが好ましい。
【0229】
ノッチ102aは、実際、好ましくは周辺にあり、主な延在方向101aに対して垂直な面に沿って延びる。
【0230】
このようにして、第1のノッチ102aは、支持構造101の少なくとも一部と、主な延在方向101aの少なくとも一部の少なくとも湾曲部との、好ましくは弾性の変形を可能にするように生成される。さらにより具体的には、ノッチ102aは、支持構造101の少なくとも一部が、主に連結ゾーン102で容易に曲げられることを可能にする。
【0231】
したがって第1のノッチ102aは、連結ゾーン102の対応する面によって定義されるセクションのプロファイルによって局所的に定義される、周辺セクション102bの少なくとも70%に沿って延びることが好ましい。
【0232】
これに関して、接合ゾーン103は、好ましくは複数の第2のノッチ103aも備える。
【0233】
第2のノッチ103aも、支持構造101の少なくとも一部と、主な延在方向101aの少なくとも一部の少なくとも湾曲部との、好ましくは弾性の変形を可能にするように、主な延在方向101aに対して垂直な面に沿って延びることが好ましい。
【0234】
具体的には、第2のノッチ103aは、好ましくは、主に接合ゾーン103を曲げることを可能にする。
【0235】
また、第1のノッチ102aおよび第2のノッチ103aは、好ましくは、対応する面に配置される。
【0236】
また、第1のノッチ102aと第2のノッチ103aの両方が異なる形状を定義してもよい。例えばこれらは、基本的に直線形状を定義し、したがって、周辺セクション102bに沿い、かつ接合ゾーン3によって定義される平坦面に沿う、直線的貫通孔を定義しうる。
【0237】
または、ノッチ102a、103aのそれぞれが、二等辺三角形状を定義してもよく、この二等辺三角形の頂点は各々、接合ゾーン103および連結ゾーン102に向けられる。
【0238】
第1のノッチ102aは、好ましくは直線的であり、第2のノッチ103は、三角形状を作る。したがってインサート100は、異なる構成で使用されうる。
【0239】
例えば、インサート100は、モジュール式椅子1のような椅子に挿入されうる。したがって椅子1は、インサート100およびフレーム20を実質的に備えてよく、フレーム20はただ単に管状要素を定義してよい。
【0240】
したがって、この場合、インサート100の外部支持具105は、フレーム20に対応する。使用中、連結ゾーン102はフレーム20を捕捉することができ、フレーム20が直線的でなければ、支持構造101は、主な延在方向101aを局所的に変化させることにより、フレーム20に合わせて形状付けられる。したがって、基本的にインサート100は、その変形性により、任意のフレーム20、例えば椅子1のような複雑な形状を有するフレームに適合することが容易に可能である。
【0241】
また、上述の割合および変形できる材料で連結ゾーン102を定義することにより、通常の直径または異なるサイズのセクションを有するフレーム20の捕捉が可能である。
【0242】
既に述べたように、実際、インサート100は、例えばポリマだがこれに限らない変形可能な材料で作られるのが好ましい。また、単一部品で作られるのが好ましいが、一緒に接合された複数の部品で作られてもよい。
【0243】
好ましい使用構成において、椅子1は、上記の特徴のいくつかを含むフレーム20を備える。基本的に、例えば、フレーム20は、少なくとも1つのガイド202を定義し、生地21は、ガイド202の内部に捕捉されるようデザインされた少なくとも1つのスプール212を含む。したがって、ガイド202は、既に記載したように、生地21およびフレーム20を一緒に取り付けるために、スプール212の少なくとも一部を捕捉するよう構成される。また、いずれの場合も、ガイド202は、インサート100およびフレーム20を一緒に取り付けるために、インサート100の連結ゾーン102を捕捉するよう構成される。また、連結ゾーン102は、有利には、結果としてスプール212を捕捉する。
【0244】
このようにして、ガイド202は、生地21と外部ボディ104の両方を同時にしっかりと取り付けることが可能なブロックを作る。
【0245】
この特徴は、椅子1に生地を組立てる際に本質的に重要である。例えば、組立は、椅子1の機能部品の接合、またはさらには単純な被覆からなりうる。
【0246】
実際、インサート100は、椅子1を組立てるための特別な手順の実施を可能にする。
【0247】
組立手順は、基本的に単純な組立手順であってもよく、または基本的に椅子1を被覆するための手順であってもよい。
【0248】
特に、組立手順または被覆手順は、上記の構造を作るために、少なくとも連結段階および挿入段階を備える。
【0249】
連結段階では、スプール212が、好ましくは、インサート100を生地21と一緒に取り付けるように連結ゾーン102の内部に捕捉される。
【0250】
また、挿入段階では、椅子1が外部ボディ104と生地21の両方で少なくとも部分的に被覆されるように、連結ゾーン102が、インサート100およびフレーム20を一緒に取り付けるようにガイド202に挿入される。
【0251】
したがって、外部ボディ104は、ボディ外郭、または生地21によって隠される追加の生地もしくはパッドでありうる。本発明による生地21は、重要な利点を達成する。
【0252】
実際、生地21は、表面210の外観に影響を与えることなく、局在領域210bの機械的特性を定義かつ制御することを可能にする。
【0253】
実際、生地21は、それが取付けられる椅子の人間工学性を著しく増大させ、支持面210の剛性および弾性特徴を正確かつ制御された様式で定義する。
【0254】
また、緯糸のセカンダリフィラメント210fが、好ましくはピック210eに沿って、かつ例えば編生地間でピック210eに沿って、ループ210dに隣接して、もしくはループ210dの内部に、またはやはり2つの編地層間に配置されることにより、生地21から織糸端が出てくるのを制限することが可能になる。したがって、生地21を含む椅子に座る使用者は、生地に違和感または不均一さを感じない。
【0255】
結論として、生地21および少なくとも1つのガイド202を含むフレーム20で作られうる背もたれ21aおよび座部21bの構成は、使用中に使用者の身体に沿い、したがって使用者が載っていないときは変形しない椅子の生産を可能にする。基本的に、この最後の効果は、デザインの観点から特に重要である。その理由は、使用者の背に好適な形態を取るように剛性があり湾曲した背もたれを作ることが必要なくなり、変形される局在解放領域210bを定義するのが、スプール212の手段によってガイド202に取り付けられた生地21自体だからである。また、生地21は、インサート100と適合する。
【0256】
本発明に対して、特許請求の範囲において定義される発明概念の範囲に含まれる変更が行われうる。
【0257】
例えば、生地21およびフレーム20を取り付けるシステムは、異なっていてもよく、2つの間の着脱不可能な接続を含みうる。また、ガイド202は、
図9aに示されるように、いくつかの隣接するスプール212を収容するのに好適でありうる。したがって、フレーム20は、例えば重なっている複数の生地21に動作可能に接続および接合してもよい。したがって、インサート100は、中間部106を備えていてもよい。
【0258】
中間部106は、例えば、連結ゾーン102と接合ゾーン103との間に配置されうる。また、第2のノッチ103aを含まない、接合ゾーン103の一部であってもよい。
【0259】
また、中間部106は、好ましくは塑性変形可能な部分である。この変形を達成するには、中間部106は、可撓性を増大させつつ支持構造102の局所的な厚さを減少させるようデザインされた溝と、薄い金属等の塑性コアとを備えうる。当然ながら、連結ゾーンに対する接合ゾーン103の向きを変化させるような塑性変形を可能にする任意の材料を使用することが可能である。
【0260】
したがって、生地21は、ある種のネットを作るようにピック210eに対して斜めに配置された、1または複数の追加のセカンダリフィラメント210fを含みうる。
【0261】
この文脈において、全ての詳細は均等な要素で置き換えることができ、材料、形状、および寸法は、任意の材料、形状、および寸法でありうる。
【国際調査報告】