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特表2022-539851改善されたセルフタッピング歯科インプラント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-13
(54)【発明の名称】改善されたセルフタッピング歯科インプラント
(51)【国際特許分類】
   A61C 8/00 20060101AFI20220906BHJP
【FI】
A61C8/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022500816
(86)(22)【出願日】2020-07-04
(85)【翻訳文提出日】2022-02-28
(86)【国際出願番号】 IB2020056310
(87)【国際公開番号】W WO2021005481
(87)【国際公開日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】19185034.6
(32)【優先日】2019-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】311008368
【氏名又は名称】アンソジール
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】リチャード,エルベ
【テーマコード(参考)】
4C159
【Fターム(参考)】
4C159AA05
(57)【要約】
本発明は、冠状端部(2a)と頂端部(2b)との間に縦軸(I-I)に沿って延びるインプラント体(2)を含む歯科インプラント(1)に関し、インプラント体(2)はコア(3)を含み、コア(3)に沿って、少なくとも1つのねじ山(F1、F2)を有する螺旋ねじ(4)が延び、コア(3)は、歯科インプラント(1)の長さの少なくとも1つのセクション(T2、T3、T4)上で頂端部(2b)に向かって先細りであり:-少なくとも2つのタッピング溝(R1、R3)がねじ(4)に配置され、この溝は、少なくとも1つのねじ山(F1、F2)が一連の連続したねじ山アーク(AF)を含むように、少なくとも1つのねじ山(F1、F2)を中断し;-各ねじ山アーク(AF)は、歯科インプラント(1)の頂端部(2b)に向けられた頂端面(SA)、及び歯科インプラント(1)の冠状端部(2a)に向けられた冠状端面(SC)を含み;-周辺外側面(SLR)が、ねじ山アーク(AF)の頂端面(SA)と冠状端面(SC)とを接続し;-コア(3)が先細りである歯科インプラント(1)の上記の少なくとも1つのセクション(T2、T3、T4)において、少なくとも1つのねじ山アーク(AF)は、半径方向のオフセット(RR)を有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冠状端部と頂端部との間に縦軸に沿って延びるインプラント体を含む歯科インプラントであって、前記インプラント体はコアを有し、前記コアに沿って、少なくとも1つのねじ山を有する螺旋ねじが延び、前記コアは、前記歯科インプラントの長さの少なくとも1つのセグメントにわたって、前記頂端部の方向において先細りであり、
- 少なくとも2つのタッピング溝が前記ねじに形成され、前記少なくとも1つのねじ山が一連の連続したねじ山アークを有するように、前記少なくとも1つのねじ山を中断し、ねじ山アークは、それに続くねじ山アークから、前記少なくとも2つのタッピング溝のうちの1つによって分離され、
- 各ねじ山アークは、前記歯科インプラントの前記頂端部に向けられた頂端面、及び前記歯科インプラントの前記冠状端部に向けられた冠状端面を有し、
- 各ねじ山アークは、前記ねじ山アークの前記頂端面と前記冠状端面とを接続し、且つ先端から終端まで展開する周辺外側面を有し、
前記コアが先細りである前記歯科インプラントの前記少なくとも1つのセグメントにおいて、少なくとも1つのねじ山アークは半径方向のセットバックを有し、それによって、半径方向のセットバックを有する前記少なくとも1つのねじ山アークの前記周辺外側面は、全てのポイントにおいて、半径方向のセットバックを有する前記少なくとも1つのねじ山アークに続くねじ山アークの周辺外側面の前記縦軸からの最大距離よりも短い前記縦軸からの距離に位置することを特徴とする、歯科インプラント。
【請求項2】
前記少なくとも1つのねじ山は、各々が半径方向のセットバックを有するねじ山アークと半径方向のセットバックを有さないねじ山アークとを交互に有することを特徴とする、請求項1に記載の歯科インプラント。
【請求項3】
- 前記歯科インプラントは、半径方向のセットバックを有する複数のねじ山アークを含み、
- 半径方向のセットバックを有する前記ねじ山アークは、前記縦軸の周囲全体にバランスの取れた様式で分布されている
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の歯科インプラント。
【請求項4】
前記少なくとも1つのねじ山アークは、その周辺外側面のポイント全てが、前記縦軸から実質的に同じ距離に位置するように、半径方向のセットバックを有することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の歯科インプラント。
【請求項5】
半径方向のセットバックを有する前記少なくとも1つのねじ山アークの半径方向のセットバックは、半径方向のセットバックを有する前記少なくとも1つのねじ山アークに続くねじ山アークの終端又は先端の近くの前記頂端面の最大高さの30%以下であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の歯科インプラント。
【請求項6】
-前記歯科インプラントのねじ長さの一部において、前記歯科インプラントは、前記冠状端部の方向において前記頂端部から展開する頂端セグメントを有し、
- 前記頂端セグメントは、半径方向のセットバックを有するねじ山アークを有さない
ことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の歯科インプラント。
【請求項7】
前記ねじは、複数のねじ山を含み、好ましくは2つのねじ山を含むことを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の歯科インプラント。
【請求項8】
3つのタッピング溝が前記ねじに形成されていることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の歯科インプラント。
【請求項9】
前記少なくとも2つのタッピング溝は、前記歯科インプラントのねじ長さの半分以上にわたって延びていることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の歯科インプラント。
【請求項10】
前記少なくとも2つのタッピング溝は、螺旋状に延びていることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の歯科インプラント。
【請求項11】
前記コアは、円錐角で先細りであることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の歯科インプラント。
【請求項12】
前記ねじは先細りあり、好ましくは円錐角で先細りであることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の歯科インプラント。
【請求項13】
前記ねじは円柱状であることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の歯科インプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科インプラント学の分野に関し、特に、セルフタッピング歯科インプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
患者の上顎骨又は下顎骨にインプラントを配置する場合、可能な限り迅速に又は直ちに、すなわち骨がインプラントの骨内表面にコロニーを形成する時間を有する前に、上記のインプラントを入れ込むことができるように、可能な限り最良のインプラント後の安定性(一次安定性と呼ばれる)を得ることが重要である。
【0003】
インプラントの一次安定性は、特に、インプラントが行われる骨の密度に依存する。
【0004】
骨密度が低い(従来、Mischの分類によるとD3又はD4の密度である)場合、ドリルを使用して上顎骨又は下顎骨に円柱状の穴が開けられ、次に、この穴に、骨に開けられた穴の体積よりも大きい体積を有する歯科インプラントの骨内部分が挿入される。例えば、冠状端部と頂端部との間に縦軸に沿って延びるインプラント体を含む既知の歯科インプラントを使用することが可能であり、上記のインプラント体はコアを有し、コアに沿って、少なくとも1つのねじ山を有する螺旋ねじが延び、上記のコアは、インプラントの長さの少なくとも1つのセグメントにわたって、頂端部の方向において先細りである。そのような歯科インプラントは、例えば、特許文献1に記載されている。歯科インプラントは、一般的に、円柱状の穴の断面に実質的に等しい断面を有する頂端部を有する。歯科インプラントはその挿入の間に、一次安定性が向上するように、骨に開けられた穴の周辺において骨を徐々に圧迫する。
【0005】
しかし、この種の歯科インプラントがより高い密度(従来、Mischの分類によるとD1又はD2の密度)の骨に挿入される場合、骨密度は、骨の圧迫し易さを低くするため、歯科インプラントの貫入には、はるかに高いねじ締めトルクが必要となり、これは、歯科インプラントによるダメージを受けることなく支持されるには高すぎることがある(特に、その接続のレベルでは、回転駆動による歯科インプラントのねじ込みを可能とする)。従って、一般的に、骨に開けられた穴への歯科インプラントの導入に先立ち、タップを使用して、歯科インプラントの雄ねじに実質的に対応する雌ねじを用いて骨に穴を提供することが必要である。
【0006】
しかし、タップの使用は時間がかかり、デリケートである。実際、円柱状の穴を開けるために以前に使用されていたドリルは1分あたり1000を超える回転で駆動されたが、タップは、非常に低い回転速度(1分あたり約50の回転)でのみ駆動されるべきである。従って、開業医にとって、タップで上顎骨又は下顎骨を誤って貫通しないように道具の速度を変更することが重要である。タップの低い回転駆動速度のためにタッピングステップは時間のかかるものにされ、タップを壊すことなく徐々に骨を交互にタップするように、一方向に、次に他方向に駆動しなければならないので、タッピングステップはさらに複雑になる。
【0007】
タップを使用する必要性を回避するために、歯科インプラント自体に少なくとも1つのタッピング溝を提供することが提案されてきた。
【0008】
しかし、ねじ込みの間の挿入トルクは、比較的高いまま又は高すぎるままである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】EP 1,624,826
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明によって取り組まれる問題は、良好な一次安定性を得るために骨を圧迫することによって低密度の骨に挿入することができるが、骨に開けられた穴をタッピングする予備的動作に頼る必要がなく、より高い密度の骨に挿入することもできる歯科インプラントを利用可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これらの目的を達成するために、また他の目的も達成するために、本発明は、冠状端部と頂端部との間に縦軸に沿って延びるインプラント体を含む歯科インプラントを提案し、上記のインプラント体はコアを有し、コアに沿って、少なくとも1つのねじ山を有する螺旋ねじが延び、上記のコアは、歯科インプラントの長さの少なくとも1つのセグメントにわたって、頂端部の方向において先細りであり、
- 少なくとも2つのタッピング溝がねじに形成され、上記の少なくとも1つのねじ山を中断し、それによって、上記の少なくとも1つのねじ山は、一連の連続したねじ山アーク(thread arcs)を有し、ねじ山アークは、それに続くねじ山アークから、上記の少なくとも2つのタッピング溝のうちの1つによって分離され、
- 各ねじ山アークは、歯科インプラントの頂端部に向けられた頂端面、及び歯科インプラントの冠状端部に向けられた冠状端面を有し、
- 各ねじ山アークは、このねじ山アークの頂端面と冠状端面とを接続し、且つ先端から終端まで展開する周辺外側面(a peripheral lateral surface)を有し、
本発明によると、コアが先細りである歯科インプラントの上記の少なくとも1つのセグメントにおいて、少なくとも1つのねじ山アークは半径方向のセットバックを有し、それによって、半径方向のセットバックを有する上記の少なくとも1つのねじ山アークの周辺外側面は、全てのポイントにおいて、半径方向のセットバックを有する上記の少なくとも1つのねじ山アークに続くねじ山アークの周辺外側面の縦軸からの最大距離よりも短い縦軸からの距離に位置する。
【0012】
歯科インプラントが骨に開けられた穴にねじ込まれると、その周辺外側面上の半径方向のセットバックのために、半径方向のセットバックを有する上記のねじ山アークの周辺外側面は、それに続く且つそれのすぐ前に穴に貫入するねじ山アークの周辺外側面が以前に擦り付けられた骨物質を擦ることはない。それによって、骨にねじ込むときの挿入トルクは低下するが、骨におけるタッピング及びねじ込み機能が影響を受けることはない。
【0013】
当然ながら、挿入トルクのこの低下は、半径方向のセットバックを有するねじ山アークをいくつか設けることによって強化される。従って、上記の少なくとも1つのねじ山は、有利に、半径方向のセットバックを有するねじ山アークと、半径方向のセットバックを有さないねじ山アークとを交互に有し得る。
【0014】
穴にねじ込むことによるその挿入の間の歯科インプラントの良好な向きを促進するために、好ましくは、以下のように準備することができる:
- 歯科インプラントは、半径方向のセットバックを有する複数のねじ山アークを含み、
- 半径方向のセットバックを有するねじ山アークは、縦軸の周囲全体にバランスのとれた様式で分布される。
【0015】
従って、これは、歯科インプラントの縦軸が、骨に開けられた穴の延長の軸と実質的に同軸である歯科インプラントの向きを促進する。
【0016】
機械加工による単純化された製造のために、上記の少なくとも1つのねじ山アークは、有利に、その周辺外側面のポイント全てが、縦軸から実質的に同じ距離に位置するように、半径方向のセットバックを有し得る。
【0017】
半径方向のセットバックを有する上記の少なくとも1つのねじ山アークのセットバックが、有利に、半径方向のセットバックを有する上記の少なくとも1つのねじ山アークに続くねじ山アークの終端又は先端近くの頂端面の(縦軸に実質的に垂直な面において得られる)最大高さの30%以下であることを提供することによって、良好な結果が得られている。
【0018】
この種のセットバックは、骨に対するインプラント周辺における摩擦を制限し(従って、ねじ込み時の挿入トルクを減らし)、同時に、ねじ山アークの頂端面及び冠状端面による骨物質上でのインプラントの良好な支持を提供するための優れた妥協である。
【0019】
有利に、以下のように準備することができる:
- 歯科インプラントのねじ長さの一部において、歯科インプラントは、冠状端部の方向において頂端部から展開する頂端セグメントを有し、
- 頂端セグメントは、半径方向のセットバックを有するねじ山アークを有していない。
【0020】
この種の頂端セグメントは、穴にねじ込むことによって歯科インプラントの良好な前進を得るように、穴の周辺における骨との良好な接触を(又は穴への良好な貫入さえも)提供する。
【0021】
好ましくは、ねじは、複数のねじ山、好ましくは2つのねじ山を含み得る。
【0022】
良好な歯科インプラントのバランスのために、3つのタッピング溝がねじに形成されるように有利に準備することができる。
【0023】
有利には、上記の少なくとも2つのタッピング溝は、歯科インプラントのねじ長さの半分以上にわたって延びる。従って、歯科インプラントの半分以上にわたって、半径方向のセットバックを有するねじ山アークと、半径方向のセットバックを有さないねじ山アークとを交互に提供することが可能であり、これによって、インプラントをねじ込むときに、そのねじ込み経路の半分以上にわたって挿入力を減らすのが可能となる。
【0024】
好ましくは、上記の少なくとも2つのタッピング溝は、螺旋状に延びてもよい。そのようなタッピング溝の形状は、交互の、半径方向のセットバックを有するねじ山アークと、半径方向のセットバックを有さないねじ山アークのより均一な分布を可能にする。次に、歯科インプラントは、ねじ込みによるその挿入の間のより良いバランスから利益を得る。
【0025】
有利には、コアは、円錐角で先細りであり得る。
【0026】
有利には、ねじは、好ましくは円錐角で、歯科インプラントの長さの全て又は一部にわたって先細りであり得る。代替的又は追加的に、ねじは、歯科インプラントの長さの全て又は一部にわたって円柱状であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の他の目的、特徴、及び利点が、添付の図を参照して与えられる以下の特定の実施形態の記載から明らかになる。
図1】縦軸を中心とした第1の向きにおける、本発明による歯科インプラントの特定の実施形態の側面図である。
図2】縦軸を中心とした第2の向きにおける、図1の歯科インプラントの側面図である。
図3】縦軸を中心とした第3の向きにおける、図1の歯科インプラントの側面図である。
図4図1の歯科インプラントの斜視図である。
図5】破線が、ねじ山アーク上に半径方向のセットバックがない歯科インプラントの外部被覆を例示している、図3からの図である。
図6図1の歯科インプラントのねじ山アークの部分縦断面図である。
図7図1の歯科インプラントの部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1乃至7は、本発明による歯科インプラント1の特定の実施形態を例示している。
【0029】
図1乃至5において例示されているように、歯科インプラント1は、冠状端部2aと頂端部2bとの間に縦軸I-Iに沿って延びるインプラント体2を含む。インプラント体2はコア3を有し、コア3に沿って、少なくとも1つのねじ山を有する螺旋ねじ4が延びている。この場合、ねじ4はここでは、2つのねじ山F1及びF2を含む。
【0030】
図5では、インプラント体2の外部被覆5、又はねじ山F1及びF2の周辺外側面の被覆を例示するために破線が使用されている。コア3の被覆も、破線によって例示されている。従って、インプラント体2は、その冠状端部2aからその頂端部2bまで5つのセグメントT1乃至T5を含むことが分かる。
【0031】
セグメントT1では、コア3は実質的に円柱状であり、ねじ4は、冠状端部2aに向かって先細りの円錐状である。従って、(縦軸I-Iに実質的に垂直な面において得られる)ねじ山F1及びF2の高さは、冠状端部2aの方向において減少する。歯科インプラント1の断面がその冠状端部2aの近くで段階的に減少することによって、歯科インプラント1の審美的なインテグレーションのために、前庭-口蓋方向において上顎骨又は下顎骨の骨稜(osseous crest)の近くで減少する骨の体積を考慮することが可能になる。
【0032】
セグメントT2では、コア3は、頂端部2bの方向において先細りになっており、頂端部2bに向かって先細りの円錐状であり、ねじ4は、実質的に円柱状である。従って、(縦軸I-Iに実質的に垂直な面において得られる)ねじ山F1及びF2の高さは、頂端部2bの方向において増加する。
【0033】
セグメントT3でも、コア3は円錐状である。その先細りは、セグメントT2と同じである。ねじ4も、頂端部2bの方向において先細りになっており、頂端部2bに向かって先細りの円錐状である。ねじ4の高さの変化は、コア3及びねじ4のそれぞれの円錐角A3とA4との関係に依存する:
- コア3の円錐角A3がねじ4の円錐角A4よりも大きい場合、ねじ4の高さは頂端部2bの方向において増加し、
- コア3の円錐角A3がねじ4の円錐角A4と等しい場合、ねじ4の高さは頂端部2bの方向において実質的に一定であり、
- コア3の円錐角A3がねじ4の円錐角A4よりも小さい場合、ねじ4の高さは頂端部2bの方向において減少する。
【0034】
図において例示されている特定の実施形態では、円錐角A3及びA4は実質的に等しい。
【0035】
セグメントT4では、コア3は依然として円錐状であり、頂端部2bに向かって先細りになっている。その先細りは、セグメントT2及びT3におけるものと同じである。ねじ4は、その一部が丸みを帯び、セグメントT4とT5の連結部において実質的にゼロの高さを有する。
【0036】
セグメントT5は、半レンズの形で凸状であり、完全に任意である。
【0037】
従って、コア3は、歯科インプラント1の長さの少なくとも1つのセグメントにわたって、この場合はセグメントT2乃至T4にわたって、頂端部2bの方向において先細りである。
【0038】
3つの異なる向きで歯科インプラント1を示している図1乃至3から分かるように、少なくとも2つのタッピング溝がねじ4に形成される。この場合、3つのタッピング溝R1乃至R3があり、ねじ山F1及びF2を中断している。従って、ねじ山F1及びF2は、それぞれ一連の連続したねじ山アークAFを有し、ねじ山アークAFは、上記の少なくとも2つのタッピング溝R1、R2、又はR3のうち1つによって、それに続くねじ山アークAFから分離されている。図では、説明の明瞭さに影響を与えないように、ねじ山アークの一部のみが参照符号AFによって示されている。
【0039】
タッピング溝R1乃至R3は、歯科インプラント1のねじ長さの半分以上(この場合、約85%)にわたって延びている。
【0040】
溝R1乃至R3は直線状ではなく、歯科インプラント1に沿って、縦軸I-Iを中心として螺旋状に延びている。
【0041】
図6においてより良く見ることができるように、各ねじ山アークAFは、歯科インプラント1の頂端部2bに向けられた頂端面SAを有し、(縦軸I-Iに実質的に垂直な面において得られる)高さHSAを有している。各ねじ山アークAFは、歯科インプラント1の冠状端部2aに向けられた冠状端面SCも有し、(縦軸I-Iに実質的に垂直な面において得られる)高さHSCを有している。各ねじ山アークAFは、このねじ山アークAFの頂端面SAと冠状端面SCとを接続する周辺外側面SLPを有する。
【0042】
図7においてより良く見ることができるように、ねじ山アークAFの周辺外側面SLPは、先端EAから後端EFまで螺旋状に展開している。先端EAは、骨にねじ込むことによる歯科インプラント1の挿入の間に最初に骨に貫入することを意図しており、骨にタップを形成するために骨に切り込むことを意図している。
【0043】
コア3が先細りである歯科インプラント1のセグメントT2及びT3では、ねじ山アークAF(その周辺外側面SLPが、ねじ山アークAFを識別するために黒で色付けされている)は、半径方向のセットバックRRを有し、それによって、半径方向のセットバックRRを有する上記のねじ山アークAFの周辺外側面SLP(黒色)は、全てのポイントにおいて、半径方向のセットバックRRを有するねじ山アークに続くねじ山アークAFの周辺外側面SLPの縦軸I-Iからの最大距離より短い縦軸からの距離に位置する。
【0044】
一部のねじ山アークの半径方向のセットバックRRは、歯科インプラント1の外部被覆5によって図5において明確に示されている。
【0045】
この特徴は、セグメントT2に位置する3つのねじ山アークAF1、AF2、及びAF3を使用した図7においてより良く例示されている。ねじ山アークAF1及びAF2は、タッピング溝R1によって互いから分離され、ねじ山アークAF2及びAF3は、タッピング溝R2によって互いから分離されている。従って、ねじ山アークAF1及びAF3は、ねじ山アークAF2に続いている。
【0046】
ねじ4は、セグメントT2において円柱状であり、ねじ山アークAF1及びAF3の周辺外側面SLPは、円柱状のセグメントT2の半径Rに等しい縦軸I-Iからの一定の距離に位置している。その部分に対して、ねじ山アークAF2は、半径方向のセットバックRRを有し、これは、その周辺外側面SLP(読者が理解しやすいように黒色で示されている)が、全てのポイントにおいて、縦軸I-Iに対する半径Rよりも短い距離に位置することを意味している。より正確には、ねじ山アークAF2は、その周辺外側面SLPのポイント全てが、Rよりも短い縦軸I-Iからの実質的に同じ距離R´に位置するように、半径方向のセットバックを有する。
【0047】
従って、骨に開けられた穴にねじ込むことによる歯科インプラント1の挿入の間に、ねじ山は骨に切り込み、縦軸I-Iから離れるよう骨を圧迫し、その後ろに螺旋状の経路を残し、その経路に、次に、歯科インプラント1の回転のために、ねじ山アークAF2が貫入する。その半径方向のセットバックのために、ねじ山アークAF2の周辺外側面SLPは、ねじ山アークAF1の周辺外側面SLPが以前に形作った骨を擦らない。従って、骨への歯科インプラント1の挿入トルクは減少する。
【0048】
対照的に、ねじ山アークAF2の頂端面及び冠状端面は、ねじ山アークAF1の頂端面及び冠状端面が以前に形作った骨を擦ることになり、従って、縦軸I-Iに沿った歯科インプラントの良好な安定性を維持する。
【0049】
半径方向のセットバックRRを有する類似の構成が、セグメントT3の一部にも設けられ、ここでの半径方向のセットバックRRは、円錐台状である外部被覆5に対して相対的である。
【0050】
縦軸I-Iに沿った歯科インプラントの安定性と挿入トルクの減少との間の良好な妥協のために、ねじ山アークAF2の半径方向のセットバックRRは、続くねじ山アークAF1の終端EFの近くの頂端面SAの最大HSA高さの30%以下、又は続くねじ山アークAF3の先端EAの近くの頂端面SAの最大HSA高さの30%以下である。
【0051】
ねじ山アークAF上に半径方向のセットバックRRを与えるために、例えば、ねじ山アークAFを半径方向に整えるミリングカッターを使用して上記のねじ山アークAFを再加工することが可能である。
【0052】
図において例示されている実施形態では、ねじ山F1及びF2は、半径方向のセットバックRRを有するねじ山アークAFと、半径方向のセットバックRRを有さないねじ山アークAFとを交互に有している。言い換えると、半径方向のセットバックRRを有する各ねじ山アークAFが先行し、半径方向RRセットバックを有さないねじ山アークAFが続く。
【0053】
歯科インプラント1は、半径方向のセットバックRRを有する複数のねじ山アークAFを含み、半径方向のセットバックを有するねじ山アークAFは、縦軸I-Iの周囲全体にバランスのとれた様式で分布されることに留意されたい。これは、歯科インプラント1の縦軸I-Iと、骨に開けられた穴のドリル軸との良好な同軸アライメントを促進する。
【0054】
図5において、歯科インプラント1は、頂端部2bから冠状端部2aの方向において展開し、且つ半径方向のセットバックRRを有するねじ山アークAFを有さない頂端セグメントTAを含むことに留意されたい。ここで、頂端セグメントTAは、セグメントT4及びT5の全体を含み、セグメントT3の一部も含む。
【0055】
本発明は、明示的に記載された実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲内にあるその多様な異型及び一般化を含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】