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特表2022-539862環状アルキレンカーボネートおよびポリアミドを含む複合体、この複合体の調製プロセスならびにこの複合体の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-13
(54)【発明の名称】環状アルキレンカーボネートおよびポリアミドを含む複合体、この複合体の調製プロセスならびにこの複合体の使用
(51)【国際特許分類】
   C08L 77/00 20060101AFI20220906BHJP
   C08K 5/1565 20060101ALI20220906BHJP
   C08K 5/156 20060101ALI20220906BHJP
   C08J 3/12 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
C08L77/00
C08K5/1565
C08K5/156
C08J3/12 A CFG
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022500852
(86)(22)【出願日】2019-07-10
(85)【翻訳文提出日】2022-03-02
(86)【国際出願番号】 IB2019055874
(87)【国際公開番号】W WO2021005402
(87)【国際公開日】2021-01-14
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522008791
【氏名又は名称】レダンテーア ソチエタ レスポンサビリタ リミタータ
【氏名又は名称原語表記】REDANTEA S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【弁理士】
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【弁理士】
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】マッシモ ブロッカテッリ
【テーマコード(参考)】
4F070
4J002
【Fターム(参考)】
4F070AA54
4F070AB26
4F070AC43
4F070AC66
4F070AE28
4F070DA44
4J002CL001
4J002CL061
4J002EL106
4J002FA041
4J002HA01
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、環状アルキレンカーボネートおよびポリアミドを含む新しい複合体、新しい複合体の調製プロセスならびに新しい複合体の使用を提供する。さらに、本発明の課題は、ポリアミド系材料のリサイクル、可溶化、精製、および/または粉末化のための環状アルキレンカーボネートの使用を提供する。
【解決手段】本願発明の環状アルキレンカーボネートは、化学式(I)の複合体である。
【化1】
化学式(1)
ここで、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、水素原子もしくは1~4個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルキル鎖、好ましくは水素原子もしくは1~2個の炭素原子を有するアルキル鎖を表す。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の環状アルキレンカーボネートと少なくとも1種のポリアミドとを含むことを特徴とする固体複合体。
【請求項2】
前記少なくとも1種の環状アルキレンカーボネートは、化学式(I)の化合物であり、
【化1】
化学式(1)
ここで、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、水素原子もしくは1~4個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルキル鎖、好ましくは水素原子もしくは1~2個の炭素原子を有するアルキル鎖を表すことを特徴とする請求項1に記載の固体複合体。
【請求項3】
前記少なくとも1種のポリアミドがナイロンおよびアラミドならびにそれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の固体複合体。
【請求項4】
前記ポリアミド/前記環状アルキレンカーボネートの重量比は、0.2~1であり、有利には、0.25~0.8、例えば、0.25~0.5であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の固体複合体。
【請求項5】
前記少なくとも1種の環状アルキレンカーボネートおよび前記少なくとも1種のポリアミドは、2種併せると、前記固体複合体の少なくとも50%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらに最大100%を占めており、この割合は、前記固体複合体の総重量に対する前記2種の成分重量で表されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の固体複合体。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の固体複合体の調製プロセスであって、前記調製プロセスは、
a.少なくとも1種のポリアミド系材料と、160℃から沸点までの範囲の温度に予熱された、少なくとも1種の環状アルキレンカーボネートとを混合するステップと、
b.必要に応じて、ステップ(a)で得られた流体混合物を、250℃~200℃の範囲の温度でろ過するステップと、
c.必要に応じて、1種以上の他の成分を追加するステップと、
d.このようにして得られた前記流体混合物を冷却するステップとを含んでいることを特徴とする。
【請求項7】
ステップ(d)から得られた前記固体複合体を粉末化することを特徴とする請求項6に記載の固体複合体の調製プロセス。
【請求項8】
前記粉末複合体は、少なくとも1種の環状アルキレンカーボネートを溶解することができるが、少なくとも1種のポリアミドを溶解することができない溶媒で抽出されることを特徴とする請求項7に記載の固体複合体の調製プロセス。
【請求項9】
ステップ(a)の開始時に、ポリマーとしてのポリエステルおよび/またはポリカーボネートが前記流体混合物に添加されて、前記ポリマーを含むポリアミド複合体が得られることを特徴とする請求項6から8の何れか1項に記載の固体複合体の調製プロセス。
【請求項10】
ステップ(a)の開始時に、前記流体混合物をさらなる試薬と反応させてポリアミド誘導体を得ること、および/または前記流体混合物にさらなる成分を加えることを特徴とする請求項6から8の何れか1項に記載の固体複合体の調製プロセス。
【請求項11】
ポリアミド系材料を可溶化および/または粉末化および/または精製および/またはリサイクルするための、請求項2に定める環状アルキレンカーボネートの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、環状アルキレンカーボネートおよびポリアミドを含む新しい複合体、この新しい複合体の調製プロセスならびにこの新しい複合体の使用に関する。さらに、本発明の主題は、ポリアミド系材料のリサイクル、可溶化、精製、および/または粉末化のための環状アルキレンカーボネートの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボネート、特に環状アルキレンカーボネートは、非常に低い蒸気圧、高沸点、難燃性、および高い自己着火温度を有するため、「グリーン溶剤」、すなわち安全かつ低毒性(英語では「環境に優しい溶剤」)としての溶剤ファミリーを構成している。
【0003】
ポリアミドとは、炭素骨格に沿ってアミド結合を有するポリマーを示している。ポリアミドは、高度な技術的特徴および環境要因に対する耐性が必要な場合に、たとえば、専門的な物品、漁網、および生地の製造において、常に使用される。
【0004】
ポリアミドは、通常の押出成形および射出成形によって物品に成形することができ、また、ポリマーの「回転成形」のプロセスにも使用することができる。回転成形とは、ポリアミドを粉末化することがそれほど高価でなければ、粉末ポリマーから開始して中空体の物品を得ることができる技術である。理論的には、ポリアミド製の物品は、何度もリサイクルできることは特筆すべきことである。しかし残念ながら、ポリアミドと一緒になっている他の材料からの分離の工程も考慮すると、ポリアミドのリサイクルコストは、非常に高価である。これらの問題の典型的な例は、漁網が使い古されて使用できなくなることである。影響が大きい順として、中国、ペルー、ロシア、米国など、大規模な漁船団が操業するすべての海岸にとって、使い古された漁網は、重大な汚染要因となっている。このような製品のポリアミドから金属製のフック、小さい綿やポリエチレンのロープを取り除くには、手作業が必要となる。しかし、ネットの結び目に詰まった砂や、漁網の網目に頑強に付着した多数の小さな貝殻をポリアミドから取り除く方法は存在しない。そのため、ポリアミドを含む物品の精製およびリサイクルのための新しいプロセスを提供することが必要であり、このプロセスは、簡単で経済的であること、さらに人や環境に有害な溶媒や試薬を使用するものであってはならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の1つの目的は、環状アルキレンカーボネートおよびポリアミドを含む新しい複合体を提供すること、ならびにポリアミド系材料の精製、粉末化およびリサイクルのための環状アルキレンカーボネートの使用を提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、この新しい複合体を調製するためのプロセスを提供することである。
【0007】
本発明のさらなる目的は、ポリアミド系材料の精製およびリサイクルのためのプロセスを提供することである。
【0008】
本発明の1つの目的は、ポリアミド系材料の可溶化および粉末化のためのプロセスを提供することでもある。
【0009】
これらの目的は、明細書および特許請求の範囲に記載する複合体およびプロセスを通して得ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1つの態様によれば、本発明の主題は、少なくとも1種の環状アルキレンカーボネートおよび少なくとも1種のポリアミドを含む複合体であり、特に、少なくとも1種の環状アルキレンカーボネートおよび少なくとも1種のポリアミドを含み、それが常温、常圧で固体である複合体である。
【0011】
本発明において、「複合体」とは、2種以上の物質からなり、それが由来する各物質の物理的特性とは異なる物理的特性を示す複合物質を示している。
【0012】
「環状アルキレンカーボネート」、または「アルキレンカーボネート」のみの表現は、本明細書では、化学式(I)の複合体を示している。
【化1】
化学式(1)
ここで、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、水素原子もしくは1~4個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルキル鎖、好ましくは水素原子もしくは1~2個の炭素原子を有するアルキル鎖を表す。
【0013】
好ましい実施形態によれば、R1、R2、R3およびR4は水素であり、もしくはR1およびR3は水素で、R2およびR4は1個または2個の炭素原子を有するアルキル鎖であり、もしくはR1、R2およびR3は水素で、R4は1個または2個の炭素原子を有するアルキル鎖である。
【0014】
本明細書では、異なる種類のアルキレンカーボネートの混合物も、「アルキレンカーボネート」という表現に含まれている。
【0015】
本発明による好ましいアルキレンカーボネートは、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)およびこれらの混合物であり、以下の式を有している。
【化2】
【0016】
本明細書における「ポリアミド」という表現は、炭素骨格に沿ってアミド結合を有するポリマーまたはポリマーの混合物を示している。本発明による好ましいポリアミドは、ナイロン6およびナイロン6,6である。しかし、より一般的には、すべての種類のナイロンとアラミドを指している。
【0017】
好ましい実施形態によれば、これらのアルキレンカーボネートは、上記に定めたエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、およびこれらの混合物から選択され、このポリアミドは、ナイロンおよびアラミド、より好ましくはナイロン6およびナイロン6,6から選択される。
【0018】
上述のように、本発明の複合体は、常温、常圧で固体である。
【0019】
さらに、本発明の複合体は、上述のアルキレンカーボネートよりも高く、ポリアミドよりも低い溶融温度を有している。
【0020】
好ましい実施形態によれば、ポリアミド/アルキレンカーボネートの重量比は、0.2~1であり、有利には、0.25~0.8、例えば、0.25~0.5である。
【0021】
好ましい実施形態によれば、本発明の複合体は、本質的に、アルキレンカーボネートおよびポリアミドで構成されており、ここで、「本質的に構成される」とは、この2種の成分が複合体の主要な成分であることを示している。それにもかかわらず、この複合体は、少量ではあるが、他の成分を含むこともできる。限定されない例として、本発明の複合体は、他のポリマー、添加剤、ナノ粒子、発泡剤、改質剤、安定剤、染料、不純物などから選択される追加の成分を含むこともできる。
【0022】
好ましい実施形態によれば、本発明の複合体中の2種の成分、少なくとも1種のアルキレンカーボネートおよび少なくとも1種のポリアミドは、2種併せると、少なくとも50%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらに最大100%を占めている。この割合は、複合体の総重量に対するこの2種の成分重量で表される。
【0023】
別の態様によれば、本発明は、上述のように本発明の複合体を調製するためのプロセスに言及しており、このプロセスは、
a.上述のような少なくとも1種のポリアミド系材料と、160℃から沸点までの範囲の温度に予熱された、上述のような少なくとも1種のアルキレンカーボネートとを混合するステップと、
b.必要に応じて、ステップ(a)で得られた高温の流体混合物を、好ましくは窒素雰囲気で、ろ過するステップと、
c.必要に応じて、1種以上の他の成分を追加するステップと、
d.このようにして得られた流体混合物を冷却するステップとを含んでいる。
【0024】
ここで、「ポリアミド系材料」は、全ての種類のポリアミド系材料を示しており、例えば、以下で詳しく説明するように、純粋なポリアミド、他の成分と混合されたポリアミド、および/またはポリアミド製の物品および製品に由来するものであることを示している。
【0025】
ステップ(a)の前に、例えばオーブンでポリアミド材料を乾燥させることが好ましい。
【0026】
ステップ(a)は、無酸素雰囲気で、好ましくは不活性雰囲気で、例えば、窒素雰囲気、あるいは真空、例えば3mmHgの圧力下で、揺らしながらおこなうことが好ましい。
【0027】
さらにステップ(a)において、少なくとも1種のアルキレンカーボネートは、少なくとも1種のポリアミドと混合される前に、180℃から上述した少なくとも1種のアルキレンカーボネートの沸点までの所望の温度、例えば約200℃に予熱される。
【0028】
本発明のプロセスにおいて、ポリアミド/アルキレンカーボネートの重量比は、0.2~1であり、有利には、0.25~0.7である。
【0029】
一実施形態によれば、工程(b)において、ろ過により、ポリアミド以外の存在している固体残留物からポリアミドを分離することができ、本質的にポリアミドおよびアルキレンカーボネートから構成される本発明の複合体を得ることができる。「本質的に構成される」は、2種の成分、少なくとも1種のアルキレンカーボネートおよび少なくとも1種のポリアミドが、少なくとも50%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらに最大100%であることを示している。このパーセンテージは、複合体の総重量に対するこの2種の成分重量で表される。
【0030】
ステップ(d)において、混合物を好ましくは室温まで冷却する。上述のプロセスを通じて得られた固体複合体は、本発明のさらなる主題を示している。
【発明を実施するための形態】
【0031】
特定の理論に拘束されることは望まないが、カーボネートの高い双極子モーメント(EC 4.80;PC 4.98;BC 5.28)を考慮すると、本発明の複合体の主題において、イオン力は、ポリアミド高分子と強極性カーボネート分子との間に確立され、その結果、通常液体である温度と圧力、すなわち常温、常圧においても、溶媒を固体状態に保っている。
【0032】
160℃以上の温度においてステップ(a)で得られた流体溶液は、温度と濃度の両方に依存する粘度と、使用するポリアミドの固有粘度に依存する粘度とを有している。これらの条件を変更することにより、当業者は、溶液の所望の粘度を得ることができ、例えば、流体/液体状態の混合物中の追加の成分および/または試薬のろ過および/または分散の操作を容易にすることができる。
【0033】
上述のように、常温、常圧で固体である本発明の複合体は、粉砕しやすいという重要な利点を有している。その結果、容易に粉末化することができ、ポリアミドと比較して、アルキレンカーボネートの量が多いほど、粉砕しやすくなる。粉末化は、簡単な機械または手動による粉砕によって、有利には、ステップ(d)で得られた複合体を、完全に冷却する前に、例えば40~60℃で、好ましくは約50℃で行うことができる。
【0034】
例えば簡単な粉砕後に得られた本発明の粉末複合体から、ポリアミドとは対照的に、例えば、アルキレンカーボネートが溶解する溶媒による簡単な抽出によって、完全に、または必要に応じて部分的に、アルキレンカーボネートを容易に回収することができる。好ましい溶媒は超臨界COである。しかし、例えば、アセトン、塩化メチレンなどの従来からの溶媒を有利に使用することができる。一般に、アルキレンカーボネートが可溶である任意の溶媒を使用することができる。しかし使用しているポリアミドを溶解することはない。
【0035】
このようにして、アルキレンカーボネートとポリアミドとが分離され、本質的に純粋なポリアミドの粉末が得られる。これは、本発明のさらなる主題となる。
【0036】
ポリアミドまたはポリアミド混合物を粉末化するための上述の少なくとも1種のアルキレンカーボネートの使用は、本発明のさらなる主題である。
【0037】
上述の工程(d)で得られた複合体からアルキレンカーボネートを粉末化および抽出することによって粉末ポリアミドを得るプロセス、およびこうして得られた粉末は、本発明の追加の主題を示しており、回転成形プロセスにおける粉末ポリアミドの使用も示している。
【0038】
現在、回転成形は、押出成形、射出成形、またはブロー成形では製造することができない製品の製造にのみ使用されている。粉末ポリアミドを顆粒ポリアミドと同等以下のコストで利用できるようにすることは、新しい機会を示すものである。本発明によって提供されるこの利点は、重要な技術的進歩を示すものである。
【0039】
必要に応じて、本発明により得られた粉末は、他の製造技術で使用されるように、公知の技術により押出しによって造粒することもできる。
【0040】
ポリアミド系開始材料は、必ずしも純粋でなくてもよいが、ポリアミドが他の物質と関連している使用済みの物品および製品の一部となる可能性があるため、本発明に由来するプロセスは、大きな環境価値があることも明らかである。実際、このポリアミド系材料を溶解する場合、上述のプロセスのステップ(a)から得られた流体混合物は、ステップ(b)によりろ過され、高温混合物に溶解されたポリアミドから析出する固体を分離することができる。次に、ポリアミドは、固化され、その後、上記のように、例えば抽出によるアルキレンカーボネートの除去によって、純粋な状態で回収することができる。
【0041】
したがって、本発明のプロセスは、使用済みの物品および製品などのポリアミド系材料の簡単なリサイクルを可能にする。
【0042】
ポリアミド系材料をリサイクルするための少なくとも1種のアルキレンカーボネートの使用は、本発明のさらなる主題を示している。
【0043】
上述のプロセスで使用できるポリアミド系材料は、すでに述べたように、純粋なポリアミド、ポリアミド製の物品および製品とすることができる。この開始材料の非限定的な例としては、アルキレンカーボネートに溶解しない炭素繊維、ポリオレフィン繊維、天然繊維、または他の材料と共にポリアミド繊維を含む生地または漁網、もしくは材料が挙げられる。
【0044】
上述の本発明のプロセスは、工業的用途に適したコストで、高純度の粉末ポリアミドを得ることができることが容易に理解される。
【0045】
別の態様によれば、本発明の主題は、上記のステップ(a)またはステップ(b)で得られた流体混合物に、ポリマーアロイを形成するポリエステルおよび/またはポリカーボネートなどアルキレンカーボネートに可溶な他のポリマーを添加することを含む、ポリアミド複合体の調製プロセスに関する。これらのポリマーの融点の顕著な違いを考慮すると、他の方法ではほとんど得ることができないものである。
【0046】
本発明のプロセスを通して、ポリアミド系開始材料と比較してより小さい曲げ弾性率を有するポリアミドを調製することもできる。実際、得られた本発明の粉末化合物からアルキレンカーボネートを部分抽出することにより、一定量のアルキレンカーボネートを含むポリアミドの粉末が得られる。これにより、純粋なポリアミドと比較してより小さい曲げ弾性率を有する粉末の「可塑性」ポリアミドが生成される。所望の曲げ弾性率を得るために、当業者ならば、化合物中に残されるべきであるアルキレンカーボネートの量を完全に推定することができる。
【0047】
本発明の上述のプロセスのすべての変形およびこれらの変形に由来する複合体/製品は、本発明の追加の主題を示している。
【0048】
本発明のさらなる主題は、ポリアミドを可溶化するための上述のアルキレンカーボネートの使用である。
【0049】
本発明は、例示のためであり、決して限定する目的ではなく、以下の実施例から詳細に説明される。
【0050】
実験セクション
実施例1
110℃で2時間オーブン乾燥させた、95%ポリアミド繊維と5%炭素繊維とから成る淡青色の糸350gを、窒素雰囲気でゆっくりと揺らしながら、250℃でプロピレンカーボネート1300gに溶解させる。ポリアミドを完全に溶解させるプロセスは、15分かかる。高温の溶液は、真空下において、250℃~200℃ですばやくろ過される。フィルターには炭素繊維が残っている。ろ過された溶液は、室温で15分間冷却され、温度がまだ50℃のときに乳棒で粉砕される。得られた微粉末は、ソックスレー抽出器で、ソックスレー抽出器から出てくる塩化メチレンが着色しなくなるまで、塩化メチレンで抽出される。吸着した塩化メチレンを蒸発させた後、330gの微粉末が得られ、これは熱重量分析では98%が単一の物質であることを示している。残りの2%は、残留溶媒またはいくらかの無機フィラーで構成されていることになる。
【0051】
実施例2
110℃で2時間オーブン乾燥させた、95%ポリアミド繊維と5%炭素繊維とから成る淡青色の糸300gを、ポリエチレンテレフタレートの顆粒75gとポリカーボネートの顆粒75gに加え、この混合物を窒素雰囲気でゆっくりと揺らしながら、250℃で1700gのエチレンカーボネートに溶解させる。ポリマーを完全に溶解させるプロセスは、25分かかる。この溶液は、真空下において、250℃~200℃ですばやくろ過される。フィルターには炭素繊維が残っている。ろ過された溶液は、室温で15分間冷却され、温度がまだ50℃のときに乳棒で粉砕される。得られた微粉末は、ソックスレー抽出器で、ソックスレー抽出器から出てくる塩化メチレンが着色しなくなるまで、塩化メチレンで抽出される。吸着した塩化メチレンを蒸発させた後、400gの微粉末が得られる。
【0052】
実施例3
110℃で2時間オーブン乾燥させた、95%ポリアミド繊維と5%炭素繊維とから成る淡青色の糸500gを、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、およびブチレンカーボネートそれぞれ33重量%の混合物1500gに、窒素雰囲気でゆっくりと揺らしながら、250℃で溶解させる。完全に溶解させるプロセスは、15分かかる。高温の溶液は、真空下において、250℃~200℃ですばやくろ過される。フィルターには炭素繊維が残っている。ろ過された溶液に、190℃で6gの粉末の5-フェニルテトラゾール(Ferrocell SPT)を加え、揺らしながら分散させた後、室温で15分間冷却させる。得られた固溶体は、温度がまだ50℃のときに乳棒で粉砕される。得られた微粉末は、ソックスレー抽出器で、ソックスレー抽出器から出てくる塩化メチレンが着色しなくなるまで、塩化メチレンで抽出される。吸着した塩化メチレンを除去した後、480gの微粉末が得られる。これを260℃で押し出し、急速に冷却して、0.6g/ccの密度を有する発泡ポリマーのストリップが生成される。
【国際調査報告】