(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-13
(54)【発明の名称】電流フィードスルー
(51)【国際特許分類】
F01N 3/20 20060101AFI20220906BHJP
【FI】
F01N3/20 K
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022501353
(86)(22)【出願日】2020-06-24
(85)【翻訳文提出日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2020067597
(87)【国際公開番号】W WO2021008832
(87)【国際公開日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】102019210368.5
(32)【優先日】2019-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519031896
【氏名又は名称】ヴィテスコ テクノロジーズ ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Vitesco Technologies GmbH
【住所又は居所原語表記】Siemensstrasse 12,93055 Regensburg,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ ブリュック
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ランゲンフェルト
(72)【発明者】
【氏名】マーク ブルッガー
(72)【発明者】
【氏名】カトリン コニエチュニー
(72)【発明者】
【氏名】ロレンツォ パチェ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン アーラース
【テーマコード(参考)】
3G091
【Fターム(参考)】
3G091AB01
3G091CA04
(57)【要約】
本発明は、電気的に加熱可能な触媒コンバータのための電流フィードスルー(1,8,10)であって、触媒コンバータはその内部に、電流フィードスルー(1,8,10)によって電気的に接触可能な少なくとも1つの導電体を有しており、電流フィードスルーは、触媒コンバータの内部から触媒コンバータの外側のケーシング壁を貫通してガイドされている中央の導電性のエレメント(2)と、この導電性のエレメント(2)の半径方向外周面を取り囲む電気絶縁層(3)と、導電性のエレメント(2)と電気絶縁層(3)とがその内部に収容されている金属性のスリーブ(4)と、を有しており、触媒コンバータの内部から、電流フィードスルー(1,8,10)に沿って、触媒コンバータの外側に配置された接触面へ向かう熱伝導を減らすための装置が、電流フィードスルー(1,8,10)の表面にまたは電流フィードスルー(1,8,10)に直接隣接して配置されている、電流フィードスルー(1,8,10)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に加熱可能な触媒コンバータのための電流フィードスルー(1,8,10)であって、前記触媒コンバータはその内部に、前記電流フィードスルー(1,8,10)によって電気的に接触可能な少なくとも1つの導電体を有しており、前記電流フィードスルーは、前記触媒コンバータの内部から前記触媒コンバータの外側のケーシング壁を貫通してガイドされている中央の導電性のエレメント(2)と、前記導電性のエレメント(2)の半径方向外周面を取り囲む電気絶縁層(3)と、前記導電性のエレメント(2)と前記電気絶縁層(3)とがその内部に収容されている金属性のスリーブ(4)と、を有している電流フィードスルー(1,8,10)において、
前記触媒コンバータの内部から、前記電流フィードスルー(1,8,10)に沿って、前記触媒コンバータの外側に配置された接触面へ向かう熱伝導を減らすための装置が、前記電流フィードスルー(1,8,10)の表面にまたは前記電流フィードスルー(1,8,10)に直接隣接して配置されていることを特徴とする、電流フィードスルー(1,8,10)。
【請求項2】
前記導電性のエレメントはピン(2)によって形成されている、請求項1記載の電流フィードスルー(10)。
【請求項3】
前記装置は、前記導電性のエレメントにおける、熱伝導性が減じられた少なくとも1つの部分区分(11)によって形成されている、請求項1または2記載の電流フィードスルー(10)。
【請求項4】
前記装置は、熱シールド(7)によって形成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の電流フィードスルー(1)。
【請求項5】
前記熱シールド(7)は、前記接触面をシールドするために、前記ケーシング壁の外面に配置されている、請求項4記載の電流フィードスルー(1)。
【請求項6】
前記熱シールドは、前記ケーシング壁の内面に配置されている、請求項4記載の電流フィードスルー。
【請求項7】
前記装置は、前記電流フィードスルーに熱的に接続されている付加的な熱質量によって形成されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の電流フィードスルー。
【請求項8】
前記装置は、前記電流フィードスルーに熱的に接続されている単一のまたは複数の冷却リブによって形成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の電流フィードスルー。
【請求項9】
前記装置は、少なくとも所定の区分(9)で著しく減少した直径を有する導電性のエレメントによって形成されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の電流フィードスルー(8)。
【請求項10】
前記装置は、延長された導電性のエレメントによって形成されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の電流フィードスルー。
【請求項11】
前記装置は、熱エネルギを変換するために、材料の相変化が行われる、前記電流フィードスルーのセグメントによって形成されている、請求項1から10までのいずれか1項記載の電流フィードスルー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的に加熱可能な触媒コンバータのための電流フィードスルーであって、触媒コンバータはその内部に、電流フィードスルーによって電気的に接触可能な少なくとも1つの導電体を有しており、電流フィードスルーは、触媒コンバータの内部から触媒コンバータの外側のケーシング壁を貫通してガイドされている中央の導電性のエレメントと、この導電性のエレメントの半径方向外周面を取り囲む電気絶縁層と、導電性のエレメントと電気絶縁層とがその内部に収容されている金属性のスリーブと、を有している、電流フィードスルーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、電気的に加熱可能な触媒コンバータが公知である。この触媒コンバータは、通常、電流が流れる導体を有しており、この導体は、電気的な接触を介して電圧源に接続されている。触媒コンバータは、外部に対してガス密に形成されているので、触媒コンバータの外側ジャケットを貫通してガイドされ、内部の熱導体に接触する特別な電気的フィードスルーが存在している。
【0003】
この場合、この電気的フィードスルーは、通常、非導電性の媒体、例えばセラミック内に埋め込まれている導電体から成っている。非伝導性材料はさらに、金属スリーブによって取り囲まれていてよく、この金属スリーブは、接合技術によって永続的に、機械的負荷に抗して、触媒コンバータの金属性のジャケットに接続することができる。従来技術から公知のような電気的フィードスルーは、したがって、通常、中央の導電体、例えばピンと、セラミック絶縁体と、金属性の外側スリーブとを有している。
【0004】
従来技術から公知の電流フィードスルーの欠点は特に、電流を通すピンと、触媒コンバータの内部における電気的に接触すべき構成エレメントとの間の材料接続的な接続によって、電流フィードスルーの外側の領域で、高い熱負荷が生じることにある。このような熱負荷は、電流フィードスルーに対する排ガスエネルギの対流によって、または電流フィードスルーと直接、材料接続的に接続している熱導体自体の加熱によって生じる。過剰に高い熱負荷のもとでは、外側の領域で、特に電流フィードスルーの接触領域で、給電部の絶縁体の損傷、または給電部と電流フィードスルーとの間の接続手段の損傷が生じるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の課題は、外側の接触領域と、排ガスが周囲に流れる、触媒コンバータの内側領域との熱的な分離を含む、電気的に加熱可能な触媒コンバータのための電流フィードスルーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
電流フィードスルーに関するこの課題は、請求項1の特徴を有する電流フィードスルーによって解決される。
【0007】
本発明の実施例は、電気的に加熱可能な触媒コンバータのための電流フィードスルーであって、触媒コンバータはその内部に、電流フィードスルーによって電気的に接触可能な少なくとも1つの導電体を有しており、電流フィードスルーは、触媒コンバータの内部から触媒コンバータの外側のケーシング壁を貫通してガイドされている中央の導電性のエレメントと、この導電性のエレメントの半径方向外周面を取り囲む電気絶縁層と、導電性のエレメントと電気絶縁層とがその内部に収容されている金属性のスリーブと、を有しており、触媒コンバータの内部から、電流フィードスルーに沿って、触媒コンバータの外側に配置された接触面へ向かう熱伝導を減らすための装置が、電流フィードスルーの表面にまたは電流フィードスルーに直接隣接して配置されている、電流フィードスルーに関する。
【0008】
電流フィードスルーの、触媒コンバータ内に突入する領域は、一般的に、ホットエンドとも呼ばれる。何故ならば、一方では、触媒コンバータを通って流れる排ガスが高温レベルに寄与する場合があり、他方では、触媒コンバータの内部における導電体自体の通電によっても高温レベルが生じる可能性があるからである。
【0009】
触媒コンバータの外側に位置する、電流フィードスルーの端部は、通常、触媒コンバータの内側よりも著しく低い温度であるので、コールドエンドとも呼ばれる。
【0010】
例えば、電圧源との接続部が形成されるコールドエンド領域は特に、熱に敏感である。これは、一方では、通常使用される導電体の材料、例えば、ケーブルの絶縁材料に起因するものであり、さらには、導電体と電流フィードスルーの接触面との間の、その都度選択される、例えばろう付け、圧着、またはばね的なクランプといった接続方法によるものである。
【0011】
ホットエンドから、外側に位置するコールドエンドへ向かう熱伝導を減らすための装置は、この場合、特に、触媒コンバータ内部の熱エネルギを保持するのに役立ち、または少なくとも電流フィードスルーに沿って外部に移送される熱エネルギを、可能な限り僅かに保つために役立つ。
【0012】
導電性のエレメントがピンによって形成されていても好適である。ピンは、好適には円形の横断面を有することができる。絶縁層と金属スリーブとは、ピンに対して同心的に配置することができる。
【0013】
この装置は、導電性のエレメントにおける、熱伝導性が減じられた少なくとも1つの部分区分によって形成されていると特に好適である。熱伝導性が減じられた少なくとも1つの部分区分は、ホットエンドで電流フィードスルー内にもたらされる熱エネルギの可能な限り大きな部分が、コールドエンドへ移送されるのを阻止するために、好適である。このために、例えば、特に導電性のエレメントよりも僅かな熱伝導性を有している断熱材料を選択することができる。
【0014】
この装置が熱シールドによって形成されていても好適である。熱シールドは特に、熱対流をシールドするために役立つ。
【0015】
好適な実施例は、熱シールドが、接触面をシールドするために、ケーシング壁の外面に配置されていることを特徴とする。このような熱シールドは特に、コールドエンドの方向に向かう、電流フィードスルー自体からの熱放射、および触媒コンバータのケーシングからの熱放射も遮断するのが望ましい。熱シールドは、電流フィードスルーを中心として、例えばロゼットの形式で配置することができる。
【0016】
熱シールドがケーシング壁の内面に配置されていても好適である。ケーシング壁の内面における熱シールドは特に、流れる排ガスから電流フィードスルーへの、そして電流フィードスルーを取り囲むケーシング領域への熱伝達を減らす目的で役立つ。触媒コンバータの内側に配置される熱シールドも、電流フィードスルーを中心として、例えばロゼットの形式で配置することができる。
【0017】
この装置は、電流フィードスルーに熱的に接続されている付加的な熱質量によって形成されていると、さらに好適である。付加的な熱質量は、比較的大きな質量の物体によって形成されていて、熱エネルギを吸収し、中間貯蔵するために役立つ。
【0018】
この装置は、電流フィードスルーに熱的に接続されている単一のまたは複数の冷却リブによって形成されていても好適である。冷却リブは特に、電流フィードスルーから周囲への熱の搬出のために役立つ。この場合、冷却リブは、好適には、触媒コンバータのケーシングの外側に位置する、電流フィードスルーの区分に配置されている。
【0019】
この装置は、少なくとも所定の区分で著しく減少した直径を有する導電性のエレメントによって形成されていると、さらに好適である。
【0020】
この場合、好適には所定の区分で、例えば比較的低い比抵抗を有する材料を選択することができる。比較的小さい直径により、熱伝導は減じられ、この場合に、比抵抗を適合させることにより、導電性は総計として損なわれない。
【0021】
この装置が、延長された導電性のエレメントによって形成されていても好適である。必ず必要な大きさ以上に導電性のエレメントを延長することによって特に、熱を電流フィードスルーから再び周囲に放出することができるまでの経路が拡大されるので、好適である。したがって、コールドエンドにおける温度レベルも減じることができる。延長とは、特に、標準的に設けられるよりも長い構成を意味する。
【0022】
さらに、この装置が、熱エネルギを変換するために、材料の相変化が行われる、電流フィードスルーのセグメントによって形成されていると、好適である。材料の相変化が行われる、例えば水の気化が行われるセグメントは、熱エネルギも除去され、したがって、電流フィードスルーの領域における温度レベルが低下するので、好適である。
【0023】
本発明の好適な別の構成は、従属請求項と以下の図面の説明に記載されている。
【0024】
以下に、本発明を複数の実施例について図面を参照しながら詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】熱シールドを備えた電流フィードスルーを示す図である。
【
図2】所定の区分で減少した直径を有する電流フィードスルーを示す図である。
【
図3】熱伝導性が減じられたセグメントを有する電流フィードスルーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、電流フィードスルー1を示している。このフィードスルーは、導電性のピン2から形成されており、このピンは、少なくとも所定の区分で、非導電性の絶縁層3によって取り囲まれている。絶縁層3の領域にはさらに、金属性のスリーブ4が配置されており、このスリーブ内には、導電性のピン2と絶縁層3とが収容されている。
【0027】
ピン2の右側の端部5は、いわゆるホットエンドを形成しており、図示されていない触媒コンバータ内に突入し、触媒コンバータにおける導電体と導電接触している。左側の端部6は、いわゆるコールドエンドを形成しており、触媒コンバータの外側で接触領域を形成する。
【0028】
さらに、金属スリーブ4および絶縁層3の、コールドエンド6に面した側に配置されている熱シールド7が示されている。熱シールド7は、図示されていない触媒コンバータの側からの、電流フィードスルー1のホットエンド5の方向からの熱放射を減らすために役立つ。熱シールド7は、例えば金属薄板から形成することができる。代替的にまたは付加的に、熱シールドは、断熱材料を有していてもよい。
【0029】
図2は、電流フィードスルー8の代替的な構成を示しており、この場合、電流フィードスルー8は、直径が減少した領域9を有している。この領域9では、例えば、比電気抵抗の比較的低い材料が使用されているので、直径が変更されているにもかかわらず、同じ導電率が得られる。直径が減少した領域9も、電流フィードスルー8の、コールドエンド6に面した側に配置されている。この場合、別の可能性としては、この個所9で電流フィードスルー1の材料を除去することができ、生じた溝に、熱伝導性がより低く、かつ同等の導電率を有する代替的な材料を配置することができる。
【0030】
図3は、電流フィードスルー10のさらに代替的な構成を示しており、この実施例では、熱伝導性が減じられたセグメント11が形成されている。このために、例えば、このようなセグメントを形成するために、ピンのその他の部分とは異なる材料を使用することができる。
【0031】
個々の実施例の異なる特徴は、互いに組み合わせられてもよい。
図1から
図3の実施例は、特に限定的な特徴を有しておらず、本発明の思想を明らかにするために役立つ。
【国際調査報告】