(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-13
(54)【発明の名称】三元系電池廃棄物総合回収におけるマンガン-リチウム分離と抽出前溶液調製プロセス及び三元系電池廃棄物からコバルト-ニッケル-マンガン-リチウム元素を総合回収する方法
(51)【国際特許分類】
C22B 7/00 20060101AFI20220906BHJP
C22B 3/44 20060101ALI20220906BHJP
C22B 3/22 20060101ALI20220906BHJP
C22B 23/00 20060101ALI20220906BHJP
C22B 47/00 20060101ALI20220906BHJP
C22B 26/12 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
C22B7/00 C
C22B3/44 101A
C22B3/44 101Z
C22B3/22
C22B23/00 102
C22B47/00
C22B26/12
C22B3/44 101B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502096
(86)(22)【出願日】2020-08-17
(85)【翻訳文提出日】2022-01-10
(86)【国際出願番号】 CN2020109430
(87)【国際公開番号】W WO2021047352
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】201910867738.0
(32)【優先日】2019-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201911384665.6
(32)【優先日】2019-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201911384663.7
(32)【優先日】2019-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518458056
【氏名又は名称】湖南金源新材料股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】劉訓兵
(72)【発明者】
【氏名】欧陽剣君
(72)【発明者】
【氏名】劉席巻
(72)【発明者】
【氏名】呉山木
(72)【発明者】
【氏名】趙湘平
(72)【発明者】
【氏名】董雄武
(72)【発明者】
【氏名】張超文
(72)【発明者】
【氏名】周群成
(72)【発明者】
【氏名】羅春
(72)【発明者】
【氏名】▲つぇん▼三線
【テーマコード(参考)】
4K001
【Fターム(参考)】
4K001AA07
4K001AA16
4K001AA19
4K001AA34
4K001BA22
4K001DB02
4K001DB03
4K001DB16
4K001DB22
4K001DB23
4K001DB24
(57)【要約】
三元系電池廃棄物総合回収におけるマンガン-リチウム分離と抽出前溶液調製プロセス及
び三元系電池廃棄物からコバルト-ニッケル-マンガン-リチウム元素を総合回収する方
法は、電池廃棄物の回収利用方法に関し、従来技術に存在するコバルト、ニッケル、マン
ガン、リチウム元素は抽出と逆抽出のプロセス経路を経なければならず、生産コストが高
いという問題を解決し、加水分解法により、コバルト・ニッケルイオンを不純物除去液か
ら分離させ、不純物除去液におけるマンガン、リチウムプラズマは抽出工程を経ず、大部
分のマンガンイオンを抽出前に湿式法手段で分離除去させ、抽出システムに入ることを回
避し、ニッケルイオンは完全な抽出完全な逆抽出の抽出プロセスを経ず、関連する不純物
のみを抽出除去した後、水酸化ニッケルを直接沈殿する。従来の完全な抽出完全な逆抽出
技術に比べ、プロセスが簡単で、原材料の消費が低減され、18.72%の水酸化ナトリ
ウム、44.70%の硫酸、79.12%の塩酸を節約することができ、製造の総合コス
トが15%低下した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三元系電池廃棄物総合回収におけるマンガン-リチウム分離プロセスであって、
a.廃棄三元系電池を解体して得られた廃三元系電池料粉を酸浸出して銅及び鉄・アル
ミニウムを除去した後、不純物除去液を得るステップと、
b.不純物除去液を水酸化ナトリウムでPH値5.5~6.5に調整し、水酸化コバル
トと水酸化ニッケルとの混合物を沈殿させ、濾過し、洗浄し、濾液及び洗浄液をマンガン
-リチウム分離操作工程に入るステップと、
c.洗浄液及び濾液を希硫酸でPH4.5~5.0に調整し、コバルトとニッケルの質
量総量の2.0~4.0倍で固体硫化ナトリウムを添加して、反応時間は30~65分間
であり、溶液中に残留するコバルト・ニッケルイオンが硫化コバルトと硫化ニッケルとの
沈殿を形成し、濾過し、洗浄し、フィルターケーキは硫化コバルトと硫化ニッケルとの混
合物であり、酸溶解工程に戻り、濾液及び洗浄液はマンガン沈殿工程に入るステップと、
d.ステップcで得られた濾液及び洗浄液を水酸化ナトリウムでPH8~11に調整し
、反応時間は30~120分間であり、マンガンイオンを沈殿させ、濾過し、洗浄し、水
酸化マンガンフィルターケーキ、リチウム含有濾液及び洗浄液を得るステップと、
e.リチウム含有濾液及び洗浄液を蒸発濃縮させ、結晶化させて硫酸ナトリウムを除去
した後、濃縮リチウム液を得るステップと、
f.飽和炭酸ナトリウム溶液で炭酸リチウムを沈殿させ、濾過洗浄後に炭酸リチウムフ
ィルターケーキとリチウム沈殿母液を得るステップと、を含むことを特徴とするプロセス
。
【請求項2】
まず、廃棄三元系電池を解体して得られた廃三元系電池料粉を酸浸出して銅及び鉄・ア
ルミニウムを除去した後、不純物除去液を得て、その後、水酸化ナトリウムでPH値を調
整し、コバルト・ニッケルイオンを水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物に沈殿さ
せ、溶液におけるリチウム・マンガンイオンと分離し、さらに、水酸化コバルトと水酸化
ニッケルとの混合物を硫酸で溶解し、フッ化物でカルシウム・マグネシウムイオンを除去
し、バッテリーグレードの硫酸コバルト製造用の抽出前溶液を得る、ことを特徴とする三
元系電池廃棄物総合回収における抽出前溶液調製プロセス。
【請求項3】
三元系電池廃棄物総合回収における抽出前溶液調製プロセスであって、
a.廃棄三元系電池を解体して得られた廃三元系電池料粉を酸浸出して銅及び鉄・アル
ミニウムを除去した後、不純物除去液を得るステップと、
b.不純物除去液を水酸化ナトリウムでPH値5.5~6.5に調整し、水酸化コバル
トと水酸化ニッケルとの混合物を沈殿させ、濾過し、洗浄し、フィルターケーキは水酸化
コバルトと水酸化ニッケルとの混合物であるステップと、
c.水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物を50~80%の硫酸で溶解し、硫酸
コバルトと硫酸ニッケルとの混合溶液を形成するステップと、
d.水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物で硫酸コバルトと硫酸ニッケルとの混
合溶液のPHを5.0~6.0に調整し、濾過し、フィルターケーキがステップcに戻り
、溶解し続けるステップと、
e.濾液中にフッ化物でカルシウム・マグネシウムイオンを除去するステップと、
f.濾過し、洗浄し、濾液はP204抽出前溶液であり、P204抽出での不純物除去
工程に入るステップと、を含むことを特徴とするプロセス。
【請求項4】
三元系電池廃棄物からコバルト-ニッケル-マンガン-リチウム元素を総合回収する方
法であって、
a.廃棄三元系電池を解体して得られた廃三元系電池料粉を酸浸出して銅及び鉄・アル
ミニウムを除去した後、不純物除去液を得るステップと、
b.不純物除去液を水酸化ナトリウムでPH値5.5~6.5に調整し、水酸化コバル
トと水酸化ニッケルとの混合物を沈殿させ、濾過し、洗浄し、フィルターケーキ及び濾液
をそれぞれ処理するステップと、
c.フィルターケーキは水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物であり、硫酸で溶
解後、PHを5.0~6.0に調整し、溶解液にフッ化物を添加してカルシウム・マグネ
シウムイオンを除去し、濾過し、洗浄し、濾液はP204抽出での不純物除去工程に入っ
て徹底的に不純物除去し、抽出残液がP507抽出工程に入り、P507コバルトイオン
完全な抽出・完全な逆抽出後に高濃度の純粋な硫酸コバルト溶液を得て、蒸発結晶してバ
ッテリーグレードの硫酸コバルト製品を得て、抽出残液は硫酸ニッケル溶液であり、CY
272抽出での不純物除去工程に入るステップと、
d.CY272抽出での不純物除去工程を経た後、抽出残液は純粋な硫酸ニッケル液体
であり、水酸化ナトリウムでPH値を6~10に調整し、水酸化ニッケルを沈殿させ、純
水で2~4回逆方向洗浄した後に、フィルターケーキはバッテリーグレードの水酸化ニッ
ケルであり、濾液及び洗浄液は廃水ステーションで処理された後に循環利用されるステッ
プと、
e.ステップbで得られた濾液及び洗浄液に硫化ナトリウムを添加して残留するコバル
ト・ニッケルイオンを除去し、濾過し、洗浄し、フィルターケーキは硫化コバルトと硫化
ニッケルとの混合物であり、酸溶解工程に戻り、濾液及び洗浄液はマンガン沈殿工程に入
るステップと、
f.ステップeで得られた濾液及び洗浄液を水酸化ナトリウムでPH8~11に調整し
てマンガンイオンを沈殿させ、濾過し、洗浄し、水酸化マンガンフィルターケーキ、リチ
ウム含有濾液及び洗浄液を得るステップと、
g.リチウム含有濾液及び洗浄液を蒸発させて、硫酸ナトリウムを結晶化させて濃縮リ
チウム液を得て、炭酸ナトリウムで炭酸リチウムを沈殿させ、濾過して洗浄した後に炭酸
リチウムフィルターケーキ及びリチウム沈殿母液を得て、リチウム沈殿母液は鉄アルミニ
ウム除去工程に戻されてPH値調整用のアルカリ液として使用するステップと、を含むこ
とを特徴とする三元系電池廃棄物からコバルト-ニッケル-マンガン-リチウム元素を総
合回収する方法。
【請求項5】
前記水酸化ナトリウムは、32%以下の液体水酸化ナトリウム、または固体水酸化ナト
リウムであることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の三元系電池廃棄物総合回
収におけるマンガン-リチウム分離と抽出前溶液調製プロセス及び三元系電池廃棄物から
コバルト-ニッケル-マンガン-リチウム元素を総合回収する方法。
【請求項6】
前記液体水酸化ナトリウムの濃度は、1~32%であることを特徴とする請求項5に記
載の三元系電池廃棄物総合回収におけるマンガン-リチウム分離と抽出前溶液調製プロセ
ス及び三元系電池廃棄物からコバルト-ニッケル-マンガン-リチウム元素を総合回収す
る方法。
【請求項7】
前記液体水酸化ナトリウムの濃度は、15~30%であることを特徴とする請求項6に
記載の三元系電池廃棄物総合回収におけるマンガン-リチウム分離と抽出前溶液調製プロ
セス及び三元系電池廃棄物からコバルト-ニッケル-マンガン-リチウム元素を総合回収
する方法。
【請求項8】
前記不純物除去液を水酸化ナトリウムでPH値6~6.2に調整することを特徴とする
請求項1~4のいずれかに記載の三元系電池廃棄物総合回収におけるマンガン-リチウム
分離と抽出前溶液調製プロセス及び三元系電池廃棄物からコバルト-ニッケル-マンガン
-リチウム元素を総合回収する方法。
【請求項9】
硫酸の濃度は、5~80%であることを特徴とする請求項2または4に記載の三元系電
池廃棄物総合回収におけるマンガン-リチウム分離と抽出前溶液調製プロセス及び三元系
電池廃棄物からコバルト-ニッケル-マンガン-リチウム元素を総合回収する方法。
【請求項10】
硫酸の濃度は、30~78%であることを特徴とする請求項9に記載の三元系電池廃棄
物総合回収におけるマンガン-リチウム分離と抽出前溶液調製プロセス及び三元系電池廃
棄物からコバルト-ニッケル-マンガン-リチウム元素を総合回収する方法。
【請求項11】
硫酸の濃度は、55~75%であることを特徴とする請求項10に記載の三元系電池廃
棄物総合回収におけるマンガン-リチウム分離と抽出前溶液調製プロセス及び三元系電池
廃棄物からコバルト-ニッケル-マンガン-リチウム元素を総合回収する方法。
【請求項12】
前記フッ化物を添加してカルシウム・マグネシウムイオンを除去するステップは、溶解
液におけるカルシウム・マグネシウムイオンの総量の5~10倍で現物フッ化物を添加し
て、10~60分間を反応させてカルシウム・マグネシウムイオンを沈殿させることを特
徴とする請求項2~4のいずれかに記載の三元系電池廃棄物総合回収におけるマンガン-
リチウム分離と抽出前溶液調製プロセス及び三元系電池廃棄物からコバルト-ニッケル-
マンガン-リチウム元素を総合回収する方法。
【請求項13】
前記フッ化物を添加してカルシウム・マグネシウムイオンを除去するステップは、溶解
液におけるカルシウム・マグネシウムイオンの総量の7~8倍で現物フッ化物を添加して
、30~40分間反応させてカルシウム・マグネシウムイオンを沈殿させることを特徴と
する請求項12に記載の三元系電池廃棄物総合回収におけるマンガン-リチウム分離と抽
出前溶液調製プロセス及び三元系電池廃棄物からコバルト-ニッケル-マンガン-リチウ
ム元素を総合回収する方法。
【請求項14】
前記フッ化物は、フッ化ナトリウム、フッ化アンモニウム、フッ化カリウムのいずれか
1種であることを特徴とする請求項12または13に記載の三元系電池廃棄物総合回収に
おけるマンガン-リチウム分離と抽出前溶液調製プロセス及び三元系電池廃棄物からコバ
ルト-ニッケル-マンガン-リチウム元素を総合回収する方法。
【請求項15】
前記ステップeにおける硫化ナトリウムの添加は、ステップbで得られた濾液及び洗浄
液におけるコバルトとニッケルとの総量の2.0~5.0倍で固体硫化ナトリウムを添加
して、30~60分間反応させて残留するコバルト・ニッケルイオンを回収することを特
徴とする請求項4に記載三元系電池廃棄物からコバルト-ニッケル-マンガン-リチウム
元素の総合回収の新たな方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池廃棄物の回収利用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄三元系電池材料を解体してコバルト-ニッケル-マンガン-リチウムを回収利用す
る過程において、従来技術が採用する方法は以下のとおりである。廃棄三元系電池を解体
して廃棄正極材料粉を得て、さらに酸浸出、銅除去、鉄・アルミニウム除去、カルシウム
・マグネシウム除去などの操作により、不純物除去液を得た後、大体2種類のプロセス経
路がある。一つは完全な抽出完全な逆抽出によりコバルト-ニッケル-マンガンの混合塩
溶液を得て、配合した後に水酸化ナトリウムで三元前駆体を合成して回収する。二つは分
級抽出分離によって高濃度の純粋な硫酸コバルト、硫酸ニッケル、硫酸マンガン溶液を得
て、それぞれ蒸発濃縮結晶し、バッテリーグレードの硫酸コバルト、硫酸ニッケル、硫酸
マンガン結晶を製造して回収する。混合塩溶液から三元前駆体を製造しても、分級抽出で
単体硫酸コバルト、硫酸ニッケル、硫酸マンガン結晶体を製造しても、全てのコバルト-
ニッケル-マンガン元素は抽出と逆抽出のプロセス経路を経なければならず、製造コスト
が高いという問題が存在する。生産コストを決めるのは抽出された金属イオンのモル総数
である。そのため、現在の廃棄三元系電池の回収利用のプロセス経路は抽出プロセスのコ
ストが高いという制約を受け、廃棄三元系電池の回収利用を深刻に制限する。例えば中国
特許公開番号がCN110512080Aであり、公開日が2019年11月29日であ
る廃棄ニッケル-コバルト-マンガン-リチウムイオン電池における有価金属の分離回収
方法の開示する技術は、a.廃棄ニッケル-コバルト-マンガン-リチウムイオン電池を
解体し、放電し、破砕し、破砕後の廃棄電池シートを酸及び還元剤溶液で浸出し、浸出液
を得るステップと、b.浸出液に有価金属アルカリ溶液を加えてpH=1.5~2.5に
調整し、60~90℃まで昇温し、1~10倍量のニッケル粉末を加えて銅を除去し、1
0~30min反応させ、加熱を停止し、過酸化水素水又は次亜塩素酸ナトリウムを加え
て二価鉄を三価鉄に酸化し、さらに有価金属アルカリ溶液を加えて溶液pH=4.2~4
.5に調整し、鉄とアルミニウムを除去し、0.5~3h反応させ、固液分離した後にニ
ッケル、コバルト、マンガン、リチウムを含む不純物除去液を得るステップと、c.希釈
後のP204を水酸化リチウム溶液で鹸化した後、不純物除去液を抽出し、ニッケル、コ
バルト、マンガンを全てP204に抽出させ、抽出剤を純水で洗浄した後に硫酸で逆抽出
を行い、抽出残液はリチウム含有溶液であり、逆抽出液はニッケル、コバルト及びマンガ
ンの混合液であるステップと、d.抽出残液に炭酸塩又は炭酸ガスを加えてリチウムを沈
殿させ、沈殿を濾過洗浄して炭酸リチウムを得て、濾液及び洗浄水を浸出段に戻すステッ
プとを含む。存在する不足は抽出してマンガン・リチウムイオンを分離して回収すること
ができ、プロセスが複雑で、製造フローが長く、生産コストが高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
混合塩溶液から三元前駆体を製造しても、分級抽出で単体硫酸コバルト、硫酸ニッケル
、硫酸マンガン結晶体を製造しても、全てのコバルト-ニッケル-マンガン元素は抽出と
逆抽出のプロセス経路を経なければならず、製造コストが高いという問題が存在する。生
産コストを決めるのは抽出された金属イオンのモル総数である。そのため、現在の廃棄三
元系電池の回収利用のプロセス経路は抽出プロセスのコストが高いという制約を受け、廃
棄三元系電池の回収利用を深刻に制限する。
【0004】
本発明の第1の目的は、従来技術の欠点を克服し、三元系電池廃棄物総合回収における
マンガン-リチウム分離プロセスを開示し、不純物除去液から大部分のコバルト・ニッケ
ルイオンを除去した後、硫化ナトリウムで溶液に残留するコバルト・ニッケルイオンに硫
化コバルト、硫化ニッケル沈殿を形成させ、さらにコバルト・ニッケルイオンを分離した
後、加水分解法でマンガンイオンを除去し、それにより抽出操作を経ず、マンガン-リチ
ウム分離を実現し、マンガン・リチウムイオンをそれぞれ回収するという目的を達成する
ことである。
【0005】
本発明の第2の目的は、従来技術に存在する全てのコバルト、ニッケル、マンガン、リ
チウム元素は抽出と逆抽出のプロセス経路を経なければならず、プロセスが複雑であり、
生産コストが高いという問題を解決し、加水分解法により、コバルト・ニッケルイオンを
不純物除去液から分離させ、不純物除去液におけるマンガン、リチウムプラズマは抽出工
程を経ず、それにより生産コストを低減させる三元系電池廃棄物総合回収における抽出前
溶液調製プロセスを提供することである。
【0006】
本発明の第3の目的は、従来技術に存在するコバルト-ニッケル-マンガン元素を回収
するために全て抽出及び抽出と逆抽出のプロセス経路を経なければならず、回収コストが
高いという問題を解決し、プロセスが簡単で、材料消費・電力消費を低減し、生産コスト
を顕著に低減する三元系電池廃棄物からコバルト-ニッケル-マンガン-リチウム元素を
総合的に回収する方法を開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の技術的解決手段は、三元系電池廃棄物総合回収におけるマンガン-リチ
ウム分離プロセスであって、
a.廃棄三元系電池を解体して得られた廃三元系電池料粉を酸浸出して銅及び鉄・アル
ミニウムを除去した後、不純物除去液を得るステップと、
b.不純物除去液を水酸化ナトリウムでPH値5.5~6.5、好ましくは6に調整し
、水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物を沈殿させ、濾過し、洗浄し、濾液及び洗
浄液をマンガン-リチウム分離操作工程に入るステップと、
c.洗浄液及び濾液を希硫酸でPH4.5~5.0に調整し、コバルトとニッケルの質
量総量の2.0~4.0倍、好ましくは2.5~3.5倍、3倍で固体硫化ナトリウムを
添加して、反応時間は30~65分間であり、好ましくは35~60分間、40~55分
間、45~50分間であり、溶液中に残留するコバルト・ニッケルイオンを硫化コバルト
と硫化ニッケルとの沈殿に形成させ、濾過し、洗浄し、フィルターケーキは硫化コバルト
と硫化ニッケルとの混合物であり、酸溶解工程に戻り、濾液及び洗浄液はマンガン沈殿工
程に入るステップと、
d.ステップcで得られた濾液及び洗浄液を水酸化ナトリウムでPH8~11に、好ま
しくは9~10に調整し、反応時間は30~120分間であり、好ましくは40~110
分間、50~100分間、60~90分間、70~80分間であり、マンガンイオンを沈
殿させ、濾過し、洗浄し、水酸化マンガンフィルターケーキ、リチウム含有濾液及び洗浄
液を得るステップと、
e.リチウム含有濾液及び洗浄液を蒸発濃縮させ、結晶化させて硫酸ナトリウムを除去
した後、濃縮リチウム液を得るステップと、
f.飽和炭酸ナトリウム溶液で炭酸リチウムを沈殿させ、濾過洗浄後に炭酸リチウムフ
ィルターケーキとリチウム沈殿母液を得るステップと、
g.リチウム沈殿母液に残留するリチウムイオンを回収するために、リチウム沈殿母液
は不純物除去液製造工程に戻されてPH値調整用のアルカリ液として使用するとを含むこ
とを特徴とするプロセスである。
【0008】
さらに、ステップcで得られた希硫酸は、1~4Nの硫酸溶液である。
【0009】
さらに、ステップdにおける前記水酸化ナトリウムは、32%以下の液体水酸化ナトリ
ウム、または固体水酸化ナトリウムである。
【0010】
さらに、液体水酸化ナトリウムの濃度は、1~32%であり、好ましくは15~30%
である。
【0011】
本発明の第2の技術的解決手段は、廃棄三元系電池を解体して得られた廃三元系電池料
粉を酸浸出して銅及び鉄・アルミニウムを除去した後、不純物除去液を得て、その後、水
酸化ナトリウムでPH値を調整し、コバルト・ニッケルイオンを水酸化コバルトと水酸化
ニッケルとの混合物に沈殿させ、溶液におけるリチウム・マンガンイオンと分離し、さら
に、水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物を硫酸で溶解し、フッ化物でカルシウム
・マグネシウムイオンを除去し、バッテリーグレードの硫酸コバルト製造用の抽出前溶液
を得る、ことを特徴とする三元系電池廃棄物総合回収における抽出前溶液調製プロセスで
ある。
【0012】
本発明の第3の技術的解決手段は、三元系電池廃棄物総合回収における抽出前溶液調製
プロセスであって、
a.廃棄三元系電池を解体して得られた廃三元系電池料粉を酸浸出して銅及び鉄・アル
ミニウムを除去した後、不純物除去液を得るステップと、
b.不純物除去液を水酸化ナトリウムでPH値5.5~6.5に調整し、水酸化コバル
トと水酸化ニッケルとの混合物を沈殿させ、濾過し、洗浄し、フィルターケーキは水酸化
コバルトと水酸化ニッケルとの混合物であるステップと、
c.水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物を50~80%の硫酸で溶解し、硫酸
コバルトと硫酸ニッケルとの混合溶液を形成するステップと、
d.水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物で硫酸コバルトと硫酸ニッケルとの混
合溶液のPHを5.0~6.0に調整し、濾過し、フィルターケーキがステップcに戻り
、溶解し続けるステップと、
e.濾液中にフッ化物でカルシウム・マグネシウムイオンを除去するステップと、
f.濾過し、洗浄し、濾液はP204抽出前溶液であり、P204抽出での不純物除去
工程に入るステップと、を含むことを特徴とするプロセスである。
【0013】
さらに、水酸化ナトリウムの濃度は、1~32%であり、好ましくは5~10%、25
~31%、15~30%、20%の液体水酸化ナトリウム、または固体水酸化ナトリウム
である。
【0014】
さらに、前記硫酸の濃度は、55~75%であり、好ましくは60~70%であり、好
ましくは65%である。
【0015】
さらに、前記フッ化物は、フッ化ナトリウム、フッ化アンモニウム、フッ化カリウムの
1種または複種の混合物である。
【0016】
さらに、フッ化物を添加してカルシウム・マグネシウムイオンを除去するステップは、
溶解液におけるカルシウム・マグネシウムイオンの総量の5~10倍、好ましくは6~9
倍、7~8倍で現物フッ化物を添加する。
【0017】
さらに、前記現物フッ化物を添加した後に、反応時間を10~60分間、好ましくは1
5~55分間、20~50分間、25~45分間、30~40分間に制御し、反応温度を
60~90℃、好ましくは65~85℃、70~80℃に制御して、カルシウム・マグネ
シウムイオンを沈殿させる。
【0018】
本発明の第4の技術的解決手段は、三元系電池廃棄物からコバルト-ニッケル-マンガ
ン-リチウム元素を総合回収する方法であって、
a.廃棄三元系電池を解体して得られた廃三元系電池料粉を酸浸出して銅及び鉄・アル
ミニウムを除去した後、不純物除去液を得るステップと、
b.不純物除去液を水酸化ナトリウムでPH値5.5~6.5に調整し、水酸化コバル
トと水酸化ニッケルとの混合物を沈殿させ、濾過し、洗浄し、フィルターケーキ及び濾液
をそれぞれ処理するステップと、
c.フィルターケーキは水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物であり、硫酸で溶
解後、PHを5.0~6.0に調整し、溶解液にフッ化物を添加してカルシウム・マグネ
シウムイオンを除去し、濾過し、洗浄し、濾液はP204抽出での不純物除去工程に入っ
て徹底した不純物除去し、抽出残液がP507抽出工程に入り、P507コバルトイオン
完全な抽出・完全な逆抽出後に高濃度の純粋な硫酸コバルト溶液を得て、蒸発結晶してバ
ッテリーグレードの硫酸コバルト製品を得て、抽出残液は硫酸ニッケル溶液であり、CY
272抽出での不純物除去工程に入るステップと、
d.CY272抽出での不純物除去工程を経た後、抽出残液は純粋な硫酸ニッケル液体
であり、水酸化ナトリウムでPH値を6~10に調整し、水酸化ニッケルを沈殿させ、純
水で2~4回、好ましくは3回逆方向洗浄した後に、フィルターケーキはバッテリーグレ
ードの水酸化ニッケルであり、濾液及び洗浄液は廃水ステーションで処理された後に循環
利用されるステップと、
e.ステップbで得られた濾液及び洗浄液に硫化ナトリウムを添加して残留するコバル
ト・ニッケルイオンを除去し、濾過し、洗浄し、フィルターケーキは硫化コバルトと硫化
ニッケルとの混合物であり、酸溶解工程に戻り、濾液及び洗浄液はマンガン沈殿工程に入
るステップと、
f.ステップeで得られた濾液及び洗浄液を水酸化ナトリウムでPH8~11、好まし
くは9~10に調整してマンガンイオンを沈殿させ、濾過し、洗浄し、水酸化マンガンフ
ィルターケーキ、リチウム含有濾液及び洗浄液を得るステップと、
g.リチウム含有濾液及び洗浄液を蒸発させて、硫酸ナトリウムを結晶化させて濃縮リ
チウム液を得て、炭酸ナトリウムで炭酸リチウムを沈殿させ、濾過して洗浄した後に炭酸
リチウムフィルターケーキ及びリチウム沈殿母液を得て、リチウム沈殿母液は鉄アルミニ
ウム除去工程に戻されてPH値調整用のアルカリ液として使用するステップと、を含むこ
とを特徴とする方法である。
【0019】
さらに、水酸化ナトリウムは、32%以下の液体水酸化ナトリウム、または固体水酸化
ナトリウムである。
【0020】
さらに、液体水酸化ナトリウムの濃度は、1~32%であり、15~30%である。
【0021】
さらに、不純物除去液を水酸化ナトリウムでPH値6~6.2に調整する。
【0022】
さらに、ステップcにおける硫酸は、5~80%、好ましくは30~78%、40~7
7%、50~76%、55~75%、60~74%、65~73%、68~72%、70
%である。
【0023】
さらに、ステップcにおける溶解液にフッ化物を添加してカルシウム・マグネシウムイ
オンを除去するステップは、溶解液におけるカルシウム・マグネシウムイオンの総量の5
~10倍、好ましくは6~9倍、7~8倍で現物フッ化物を添加して、10~60分間、
好ましくは15~55分間、20~50分間、25~45分間、30~40分間を反応さ
せてカルシウム・マグネシウムイオンを沈殿させる。
【0024】
さらに、ステップhにおける前記硫化ナトリウムの添加は、ステップbで得られた濾液
及び洗浄液におけるコバルトとニッケルとの総量の2.0~5.0倍、好ましくは2.5
~4.5倍、3~4倍で固体硫化ナトリウムを添加して、30~60分間、好ましくは3
5~55分間、40~50分間反応させて残留するコバルト・ニッケルイオンを回収する
。
【発明の効果】
【0025】
本発明は以上の技術的解決手段を採用するため、従来技術に存在する回収コバルト-ニ
ッケル-マンガン元素は抽出と逆抽出のプロセス経路を経なければならず、回収コストが
高いという問題を解決し、加水分解法により、コバルト・ニッケルイオンを不純物除去液
から分離させ、不純物除去液におけるマンガン、リチウムなでのイオンは抽出工程を経ず
、大部分のマンガンイオンを抽出前に湿式法手段で分離除去させ、抽出システムに入るこ
とを回避し、ニッケルイオンは完全な抽出完全な逆抽出の抽出プロセスを経ず、関連する
不純物のみを抽出除去した後、水酸化ニッケルを直接沈殿する。プロセスは簡単で、材料
消費・電力消費を低減し、生産コストを少なくとも20%節約する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【本発明の最適な実施形態】
【0027】
最適な実施形態1:三元系電池廃棄物総合回収におけるマンガン-リチウム分離プロセス
は、以下のステップで行う。
a.廃棄三元系電池を解体して得られた廃三元系電池料粉を酸浸出して銅及び鉄・アル
ミニウムを除去した後、不純物除去液を得る。
b.不純物除去液を30%の水酸化ナトリウムでPH値6に調整し、水酸化コバルトと
水酸化ニッケルとの混合物を沈殿させ、濾過し、洗浄し、濾液及び洗浄液をマンガン-リ
チウム分離操作工程に入る。
c.20m3の反応釜内に15m3の洗浄液及び濾液をポンプで送られ、2Nの硫酸溶
液でPH5.0に調整し、コバルトとニッケルの総量4.0倍の固体硫化ナトリウムを添
加して、45分間反応させ、溶液中に残留するコバルト・ニッケルイオンを硫化コバルト
と硫化ニッケルとの沈殿に形成させ、60m2の板枠圧濾器で濾過し、洗浄し、フィルタ
ーケーキは硫化コバルトと硫化ニッケルとの混合物であり、酸溶解工程に戻り、濾液及び
洗浄液はマンガン沈殿工程に入る。
d.ステップcで得られた濾液及び洗浄液を水酸化ナトリウムでPH9.5に調整し、
120分間反応させ、マンガンイオンを沈殿させ、60m2の板枠圧濾器で濾過し、洗浄
し、水酸化マンガンフィルターケーキ、リチウム含有濾液及び洗浄液を得る。
e.リチウム含有濾液及び洗浄液を蒸発濃縮させ、結晶化させて硫酸ナトリウムを除去
した後、濃縮リチウム液を得る。
f.飽和炭酸ナトリウム溶液で炭酸リチウムを沈殿させ、濾過洗浄後に炭酸リチウムフ
ィルターケーキとリチウム沈殿母液を得る。
g.リチウム沈殿母液に残留するリチウムイオンを回収するために、リチウム沈殿母液
は不純物除去液製造工程に戻されてPH値調整用のアルカリ液として使用する。
【0028】
最適な実施形態2:三元系電池廃棄物総合回収における抽出前溶液調製プロセスは、以下
のステップで行う。
a.廃棄三元系電池を解体して得られた廃三元系電池料粉を酸浸出して銅及び鉄・アル
ミニウムを除去した後、不純物除去液を得る。
b.20m3の反応釜内に15m3の不純物除去液をポンプで送られ、10%の水酸化
ナトリウム溶液でPH値6.1に調整し、水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物を
沈殿させ、60m2の自動板枠圧濾器で濾過し、洗浄し、フィルターケーキは水酸化コバ
ルトと水酸化ニッケルとの混合物である。
c.20m3の反応釜内に水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物を60%の硫酸
で溶解し、硫酸コバルトと硫酸ニッケルとの混合溶液を形成する。
d.水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物で硫酸コバルトと硫酸ニッケルとの混
合溶液のPHを5.5に調整し、60m2の自動板枠圧濾器で濾過し、フィルターケーキ
がステップcに戻り、溶解し続ける。
e.20m3の反応釜内に15m3の硫酸コバルトと硫酸ニッケルとの混合溶液をポン
プで送られ、溶液におけるカルシウム・マグネシウムイオンの総量の6倍でフッ化物を添
加して、反応温度を70℃に保持して45分間反応させてカルシウム・マグネシウムイオ
ンを除去する。
f.濾過し、洗浄し、濾液はP204抽出前溶液であり、P204抽出での不純物除去
工程に入る。
【0029】
最適な実施形態3:三元系電池廃棄物からコバルト-ニッケル-マンガン-リチウム元素
を総合回収する方法は、以下のステップで行う。
a.廃棄三元系電池を解体して得られた廃三元系電池料粉を酸浸出して銅及び鉄・アル
ミニウムを除去した後、不純物除去液を得る。
b.不純物除去液を濃度20%の水酸化ナトリウム溶液でPH値6.1に調整し、水酸
化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物を沈殿させ、濾過し、洗浄し、フィルターケーキ
及び濾液をそれぞれ処理する。
c.水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物を60%の硫酸溶液にゆっくりと添加
して、水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物でPHを5.5に調整し、溶解液にお
けるカルシウム・マグネシウムイオンの総量の6倍で現物フッ化物を添加して、45分間
反応させ、濾過し、洗浄し、フィルターケーキはカルシウム・マグネシウム滓であり、別
々に処理され、濾液はP204抽出での不純物除去工程に入り、不純物除去抽出をし、水
酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物から持ち込まれた少量のマンガン、鉄、亜鉛な
どの不純物を抽出して除去し、抽出残液中の主なイオンはコバルトとニッケルであり、こ
れらはP507抽出プロセスに入る。P507コバルトイオン完全な抽出・完全な逆抽出
後に高濃度の純粋な硫酸コバルト溶液を得て、蒸発結晶してバッテリーグレードの硫酸コ
バルト製品を得て、抽出残液は硫酸ニッケル溶液であり、CY272抽出での不純物除去
工程に入る。
d.CY272抽出での不純物除去工程を経た後、抽出残液は純粋な硫酸ニッケル液体
であり、20%の水酸化ナトリウム溶液でPH値を9.5に調整し、水酸化ニッケルを沈
殿させ、純水で3回逆方向洗浄した後に、フィルターケーキはバッテリーグレードの水酸
化ニッケルである。濾液及び洗浄液は廃水ステーションで処理された後に循環利用される
。
e.ステップbで得られた濾液及び洗浄液におけるコバルトとニッケルとの総量の4.
0倍で固体硫化ナトリウムを添加して、45分間反応させ、濾過し、洗浄し、フィルター
ケーキは硫化コバルトと硫化ニッケルとの混合物であり、酸溶解工程に戻り、濾液及び洗
浄液はマンガン沈殿工程に入る。
f.ステップeで得られた濾液及び洗浄液を濃度20%の水酸化ナトリウム溶液でPH9
.5に調整し、60分間反応させ、濾過し、洗浄し、水酸化マンガンフィルターケーキ、
リチウム含有濾液及び洗浄液を得る。
g.リチウム含有濾液及び洗浄液を蒸発濃縮させ、遠心分離による結晶硫酸ナトリウム
を除去し、リチウム液を濃縮させ、炭酸ナトリウムで炭酸リチウムを沈殿させ、濾過して
洗浄した後に炭酸リチウムフィルターケーキ及びリチウム沈殿母液を得る。リチウム沈殿
母液は鉄アルミニウム除去工程に戻されてPH値調整用のアルカリ液として使用する。
本発明の実施形態
【0030】
本発明をより明確に理解するために、
図1を結合して具体的な実施形態と実施例で本発
明をさらに説明する。
実施形態1:三元系電池廃棄物総合回収におけるマンガン-リチウム分離プロセスは、以
下のステップで行う。
a.廃棄三元系電池を解体して得られた廃三元系電池料粉を酸浸出して銅及び鉄・アル
ミニウムを除去した後、不純物除去液を得る。
b.不純物除去液を水酸化ナトリウムでPH値5.5~6.5、好ましくは6に調整し
、水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物を沈殿させ、濾過し、洗浄し、濾液及び洗
浄液をマンガン-リチウム分離操作工程に入る。
c.洗浄液及び濾液を希硫酸でPH4.5~5.0に調整し、コバルトとニッケルの質
量総量の2.0~4.0倍、好ましくは2.5~3.5倍、3倍で固体硫化ナトリウムを
添加して、反応時間は30~65分間であり、好ましくは35~60分間、40~55分
間、45~50分間であり、溶液中に残留するコバルト・ニッケルイオンを硫化コバルト
と硫化ニッケルとの沈殿に形成させ、濾過し、洗浄し、フィルターケーキは硫化コバルト
と硫化ニッケルとの混合物であり、酸溶解工程に戻り、濾液及び洗浄液はマンガン沈殿工
程に入る。
d.ステップcで得られた濾液及び洗浄液を水酸化ナトリウムでPH8~11、好まし
くは9~10に調整し、反応時間は30~120分間であり、好ましくは40~110分
間、50~100分間、60~90分間、70~80分間であり、マンガンイオンを沈殿
させ、濾過し、洗浄し、水酸化マンガンフィルターケーキ、リチウム含有濾液及び洗浄液
を得る。
e.リチウム含有濾液及び洗浄液を蒸発濃縮させ、結晶化させて硫酸ナトリウムを除去
した後、濃縮リチウム液を得る。
f.飽和炭酸ナトリウム溶液で炭酸リチウムを沈殿させ、濾過洗浄後に炭酸リチウムフ
ィルターケーキとリチウム沈殿母液を得る。
g.リチウム沈殿母液に残留するリチウムイオンを回収するために、リチウム沈殿母液
は不純物除去液製造工程に戻されてPH値調整用のアルカリ液として使用する。
さらに、ステップcで得られた希硫酸は、1~4Nの硫酸溶液である。
さらに、ステップdにおける前記水酸化ナトリウムは、32%以下の液体水酸化ナトリ
ウム、または固体水酸化ナトリウムである。
さらに、液体水酸化ナトリウムの濃度は1~32%であり、好ましくは15~30%で
ある。
【0031】
実施形態2:三元系電池廃棄物総合回収における抽出前溶液調製プロセスは、廃棄三元系
電池を解体して得られた廃三元系電池料粉を酸浸出して銅及び鉄・アルミニウムを除去し
た後、不純物除去液を得て、その後、水酸化ナトリウムでPH値を調整し、コバルト・ニ
ッケルイオンを水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物に沈殿させ、溶液におけるリ
チウム・マンガンイオンと分離し、さらに、水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物
を硫酸で溶解し、フッ化物でカルシウム・マグネシウムイオンを除去し、バッテリーグレ
ードの硫酸コバルト製造用の抽出前溶液を得る。
【0032】
実施形態3:三元系電池廃棄物総合回収における抽出前溶液調製プロセスは、以下のステ
ップで行う。
a.廃棄三元系電池を解体して得られた廃三元系電池料粉を酸浸出して銅及び鉄・アル
ミニウムを除去した後、不純物除去液を得る。
b.不純物除去液を水酸化ナトリウムでPH値5.5~6.5に調整し、水酸化コバル
トと水酸化ニッケルとの混合物を沈殿させ、濾過し、洗浄し、フィルターケーキは水酸化
コバルトと水酸化ニッケルとの混合物である
c.水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物を50~80%の硫酸で溶解し、硫酸
コバルトと硫酸ニッケルとの混合溶液を形成する。
d.水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物で硫酸コバルトと硫酸ニッケルとの混
合溶液のPHを5.0~6.0に調整し、濾過し、フィルターケーキがステップcに戻り
、溶解し続ける。
e.濾液中にフッ化物でカルシウム・マグネシウムイオンを除去する。
f.濾過し、洗浄し、濾液はP204抽出前溶液であり、P204抽出での不純物除去
工程に入る。
さらに、水酸化ナトリウムの濃度は、1~32%であり、好ましくは5~10%、25
~31%、15~30%、20%の液体水酸化ナトリウム、または固体水酸化ナトリウム
である。
さらに、前記硫酸の濃度は、55~75%であり、好ましくは60~70%であり、好
ましくは65%である。
さらに、前記フッ化物は、フッ化ナトリウム、フッ化アンモニウム、フッ化カリウムの
1種または複種の混合物である。
さらに、フッ化物を添加してカルシウム・マグネシウムイオンを除去するステップは、
溶解液におけるカルシウム・マグネシウムイオンの総量の5~10倍、好ましくは6~9
倍、7~8倍で現物フッ化物を添加する。
さらに、前記現物フッ化物を添加した後に、反応時間を10~60分間、好ましくは1
5~55分間、20~50分間、25~45分間、30~40分間に制御し、反応温度を
60~90℃、好ましくは65~85℃、70~80℃に制御して、カルシウム・マグネ
シウムイオンを沈殿させる。
【0033】
実施形態4:三元系電池廃棄物からコバルト-ニッケル-マンガン-リチウム元素を総合
回収する方法は、以下のステップで行う。
a.廃棄三元系電池を解体して得られた廃三元系電池料粉を酸浸出して銅及び鉄・アル
ミニウムを除去した後、不純物除去液を得る。その特徴は以下である。
b.不純物除去液を水酸化ナトリウムでPH値5.5~6.5に調整し、水酸化コバル
トと水酸化ニッケルとの混合物を沈殿させ、濾過し、洗浄し、フィルターケーキ及び濾液
をそれぞれ処理する。
c.フィルターケーキは水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物であり、硫酸で溶
解後、PHを5.0~6.0に調整し、溶解液にフッ化物を添加してカルシウム・マグネ
シウムイオンを除去し、濾過し、洗浄し、濾液はP204抽出での不純物除去工程に入っ
て徹底した不純物除去し、抽出残液がP507抽出工程に入る。P507コバルトイオン
完全な抽出・完全な逆抽出後に高濃度の純粋な硫酸コバルト溶液を得て、蒸発結晶してバ
ッテリーグレードの硫酸コバルト製品を得て、抽出残液は硫酸ニッケル溶液であり、CY
272抽出での不純物除去工程に入る。
d.CY272抽出での不純物除去工程を経た後、抽出残液は純粋な硫酸ニッケル液体
であり、水酸化ナトリウムでPH値を6~10に調整し、水酸化ニッケルを沈殿させ、純
水で2~4回、好ましくは3回逆方向洗浄した後に、フィルターケーキはバッテリーグレ
ードの水酸化ニッケルであり、濾液及び洗浄液は廃水ステーションで処理された後に循環
利用される。
e.ステップbで得られた濾液及び洗浄液に硫化ナトリウムを添加して残留するコバル
ト・ニッケルイオンを除去し、濾過し、洗浄し、フィルターケーキは硫化コバルトと硫化
ニッケルとの混合物であり、酸溶解工程に戻り、濾液及び洗浄液はマンガン沈殿工程に入
る。
f.ステップeで得られた濾液及び洗浄液を水酸化ナトリウムでPH8~11、好まし
くは9~10に調整してマンガンイオンを沈殿させ、濾過し、洗浄し、水酸化マンガンフ
ィルターケーキ、リチウム含有濾液及び洗浄液を得る。
g.リチウム含有濾液及び洗浄液を蒸発させて、硫酸ナトリウムを結晶化させて濃縮リ
チウム液を得て、炭酸ナトリウムで炭酸リチウムを沈殿させ、濾過して洗浄した後に炭酸
リチウムフィルターケーキ及びリチウム沈殿母液を得て、リチウム沈殿母液は鉄アルミニ
ウム除去工程に戻されてPH値調整用のアルカリ液として使用する。
さらに、水酸化ナトリウムは、32%以下の液体水酸化ナトリウム、または固体水酸化
ナトリウムである。
さらに、液体水酸化ナトリウムの濃度は、1~32%であり、15~30%である。
さらに、不純物除去液を水酸化ナトリウムでPH値6~6.2に調整する。
さらに、ステップcにおける硫酸は、5~80%、好ましくは30~78%、40~7
7%、50~76%、55~75%、60~74%、65~73%、68~72%、70
%である。
さらに、ステップcにおける溶解液にフッ化物を添加してカルシウム・マグネシウムイ
オンを除去するステップは、溶解液におけるカルシウム・マグネシウムイオンの総量の5
~10倍、好ましくは6~9倍、7~8倍で現物フッ化物を添加して、10~60分間、
好ましくは15~55分間、20~50分間、25~45分間、30~40分間を反応さ
せてカルシウム・マグネシウムイオンを沈殿させる。
さらに、ステップhにおける前記硫化ナトリウムの添加は、ステップbで得られた濾液
及び洗浄液におけるコバルトとニッケルとの総量の2.0~5.0倍、好ましくは2.5
~4.5倍、3~4倍で固体硫化ナトリウムを添加して、30~60分間、好ましくは3
5~55分間、40~50分間反応させて残留するコバルト・ニッケルイオンを回収する
。
【0034】
実施形態5:三元系電池廃棄物からコバルト-ニッケル-マンガン-リチウム元素を総合
回収する方法は、以下のステップで行う。
a.廃棄三元系電池を解体して得られた廃三元系電池料粉を酸浸出して銅及び鉄・アル
ミニウムを除去した後、不純物除去液を得る。
b.不純物除去液を水酸化ナトリウムでPH値5.5~6.5に調整し、水酸化コバル
トと水酸化ニッケルとの混合物を沈殿させ、濾過し、洗浄し、フィルターケーキ及び濾液
をそれぞれ処理する。
c.フィルターケーキは水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物であり、硫酸で溶
解後、PHを5.0~6.0に調整し、溶解液にフッ化物を添加してカルシウム・マグネ
シウムイオンを除去し、濾過し、洗浄し、濾液はP204抽出での不純物除去工程に入っ
て徹底した不純物除去し、抽出残液がP507抽出工程に入る。P507コバルトイオン
完全な抽出・完全な逆抽出後に高濃度の純粋な硫酸コバルト溶液を得て、蒸発結晶してバ
ッテリーグレードの硫酸コバルト製品を得て、抽出残液は硫酸ニッケル溶液であり、CY
272抽出での不純物除去工程に入る。
d.CY272抽出での不純物除去工程を経た後、抽出残液は純粋な硫酸ニッケル液体
であり、水酸化ナトリウムでPH値を6~10に調整し、水酸化ニッケルを沈殿させ、純
水で2~4回、好ましくは3回逆方向洗浄した後に、フィルターケーキはバッテリーグレ
ードの水酸化ニッケルであり、濾液及び洗浄液は廃水ステーションで処理された後に循環
利用される。
e.ステップbで得られた濾液及び洗浄液に硫化ナトリウムを添加して残留するコバル
ト・ニッケルイオンを除去し、濾過し、洗浄し、フィルターケーキは硫化コバルトと硫化
ニッケルとの混合物であり、酸溶解工程に戻り、濾液及び洗浄液はマンガン沈殿工程に入
る
f.ステップeで得られた濾液及び洗浄液を水酸化ナトリウムでPH8~11、好まし
くは9~10に調整してマンガンイオンを沈殿させ、濾過し、洗浄し、水酸化マンガンフ
ィルターケーキ、リチウム含有濾液及び洗浄液を得る。
g.リチウム含有濾液及び洗浄液を蒸発させて、硫酸ナトリウムを結晶化させて濃縮リ
チウム液を得て、炭酸ナトリウムで炭酸リチウムを沈殿させ、濾過して洗浄した後に炭酸
リチウムフィルターケーキ及びリチウム沈殿母液を得て、リチウム沈殿母液は鉄アルミニ
ウム除去工程に戻されてPH値調整用のアルカリ液として使用する。
さらに、水酸化ナトリウムは、32%以下の液体水酸化ナトリウム、または固体水酸化
ナトリウムである。
さらに、液体水酸化ナトリウムの濃度は、1~32%であり、15~30%である。
さらに、不純物除去液を水酸化ナトリウムでPH値6~6.2に調整する。
さらに、ステップcにおける前記フッ化物は、フッ化ナトリウム、フッ化アンモニウム
、フッ化カリウムのいずれか1種である。
さらに、ステップcにおける硫酸は、5~80%、好ましくは30~78%、40~7
7%、50~76%、55~75%、60~74%、65~73%、68~72%、70
%である。
さらに、ステップcにおける溶解液にフッ化物を添加してカルシウム・マグネシウムイ
オンを除去するステップは、溶解液におけるカルシウム・マグネシウムイオンの総量の5
~10倍、好ましくは6~9倍、7~8倍で現物フッ化物を添加して、10~60分間、
好ましくは15~55分間、20~50分間、25~45分間、30~40分間を反応さ
せてカルシウム・マグネシウムイオンを沈殿させる。
さらに、ステップhにおける前記硫化ナトリウムの添加は、ステップbで得られた濾液
及び洗浄液におけるコバルトとニッケルとの総量の2.0~5.0倍、好ましくは2.5
~4.5倍、3~4倍で固体硫化ナトリウムを添加して、30~60分間、好ましくは3
5~55分間、40~50分間反応させて残留するコバルト・ニッケルイオンを回収する
。
【0035】
実施例1:三元系電池廃棄物総合回収におけるマンガン-リチウム分離プロセスは、以下
のステップで行う。
a.廃棄三元系電池を解体して得られた廃三元系電池料粉を酸浸出して銅及び鉄・アル
ミニウムを除去した後、不純物除去液を得る。
b.不純物除去液を1%の水酸化ナトリウムでPH値5.5に調整し、水酸化コバルト
と水酸化ニッケルとの混合物を沈殿させ、濾過し、洗浄し、濾液及び洗浄液をマンガン-
リチウム分離操作工程に入る。
c.20m3の反応釜内に15m3の洗浄液及び濾液をポンプで送られ、4Nの硫酸溶
液でPH4.5に調整し、コバルトとニッケルの質量総量の2.0倍で固体硫化ナトリウ
ムを添加して、30分間反応させ、溶液中に残留するコバルト・ニッケルイオンを硫化コ
バルトと硫化ニッケルとの沈殿に形成させ、60m2の板枠圧濾器で濾過し、洗浄し、フ
ィルターケーキは硫化コバルトと硫化ニッケルとの混合物であり、酸溶解工程に戻り、濾
液及び洗浄液はマンガン沈殿工程に入る。
d.ステップcで得られた濾液及び洗浄液を固体水酸化ナトリウムでPH10.0に調
整し、60分間反応させ、マンガンイオンを沈殿させ、60m2の板枠圧濾器で濾過し、
洗浄し、水酸化マンガンフィルターケーキ、リチウム含有濾液及び洗浄液を得る。
e.リチウム含有濾液及び洗浄液を蒸発濃縮させ、結晶化させて硫酸ナトリウムを除去
した後、濃縮リチウム液を得る。
f.飽和炭酸ナトリウム溶液で炭酸リチウムを沈殿させ、濾過洗浄後に炭酸リチウムフ
ィルターケーキとリチウム沈殿母液を得る。
g.リチウム沈殿母液に残留するリチウムイオンを回収するために、リチウム沈殿母液
は不純物除去液製造工程に戻されてPH値調整用のアルカリ液として使用する。
【0036】
実施例2:三元系電池廃棄物総合回収におけるマンガン-リチウム分離プロセスは、以下
のステップで行う。
a.廃棄三元系電池を解体して得られた廃三元系電池料粉を酸浸出して銅及び鉄・アル
ミニウムを除去した後、不純物除去液を得る。
b.不純物除去液を32%の水酸化ナトリウムでPH値6.5に調整し、水酸化コバル
トと水酸化ニッケルとの混合物を沈殿させ、濾過し、洗浄し、濾液及び洗浄液をマンガン
-リチウム分離操作工程に入る。
c.20m3の反応釜内に15m3の洗浄液及び濾液をポンプで送られ、1Nの硫酸溶
液でPH4.7に調整し、コバルトとニッケルの質量総量の3.0倍で固体硫化ナトリウ
ムを添加して、40分間反応させ、溶液中に残留するコバルト・ニッケルイオンを硫化コ
バルトと硫化ニッケルとの沈殿に形成させ、60m2の板枠圧濾器で濾過し、洗浄し、フ
ィルターケーキは硫化コバルトと硫化ニッケルとの混合物であり、酸溶解工程に戻り、濾
液及び洗浄液はマンガン沈殿工程に入る。
d.ステップcで得られた濾液及び洗浄液を固体水酸化ナトリウムでPH9.0に調整
し、60分間反応させ、マンガンイオンを沈殿させ、60m2の板枠圧濾器で濾過し、洗
浄し、水酸化マンガンフィルターケーキ、リチウム含有濾液及び洗浄液を得る。
e.リチウム含有濾液及び洗浄液を蒸発濃縮させ、結晶化させて硫酸ナトリウムを除去
した後、濃縮リチウム液を得る。
f.飽和炭酸ナトリウム溶液で炭酸リチウムを沈殿させ、濾過洗浄後に炭酸リチウムフ
ィルターケーキとリチウム沈殿母液を得る。
g.リチウム沈殿母液に残留するリチウムイオンを回収するために、リチウム沈殿母液
は不純物除去液製造工程に戻されてPH値調整用のアルカリ液として使用する。
【0037】
実施例3:三元系電池廃棄物総合回収におけるマンガン-リチウム分離プロセスは、以下
のステップで行う。
a.廃棄三元系電池を解体して得られた廃三元系電池料粉を酸浸出して銅及び鉄・アル
ミニウムを除去した後、不純物除去液を得る。
b.不純物除去液を15%の水酸化ナトリウムでPH値6に調整し、水酸化コバルトと
水酸化ニッケルとの混合物を沈殿させ、濾過し、洗浄し、濾液及び洗浄液をマンガン-リ
チウム分離操作工程に入る。
c.20m3の反応釜内に15m3の洗浄液及び濾液をポンプで送られ、4Nの硫酸溶
液でPH4.8に調整し、コバルトとニッケルの質量総量の3.5倍で固体硫化ナトリウ
ムを添加して、60分間反応させ、溶液中に残留するコバルト・ニッケルイオンを硫化コ
バルトと硫化ニッケルとの沈殿に形成させ、60m2の板枠圧濾器で濾過し、洗浄し、フ
ィルターケーキは硫化コバルトと硫化ニッケルとの混合物であり、酸溶解工程に戻り、濾
液及び洗浄液はマンガン沈殿工程に入る。
d.ステップcで得られた濾液及び洗浄液を固体水酸化ナトリウムでPH8.5に調整
し、90分間反応させ、マンガンイオンを沈殿させ、60m2の板枠圧濾器で濾過し、洗
浄し、水酸化マンガンフィルターケーキ、リチウム含有濾液及び洗浄液を得る。
e.リチウム含有濾液及び洗浄液を蒸発濃縮させ、結晶化させて硫酸ナトリウムを除去
した後、濃縮リチウム液を得る。
f.飽和炭酸ナトリウム溶液で炭酸リチウムを沈殿させ、濾過洗浄後に炭酸リチウムフ
ィルターケーキとリチウム沈殿母液を得る。
g.リチウム沈殿母液に残留するリチウムイオンを回収するために、リチウム沈殿母液
は不純物除去液製造工程に戻されてPH値調整用のアルカリ液として使用する。
【0038】
実施例4:三元系電池廃棄物総合回収におけるマンガン-リチウム分離プロセスは、以下
のステップで行う。
a.廃棄三元系電池を解体して得られた廃三元系電池料粉を酸浸出して銅及び鉄・アル
ミニウムを除去した後、不純物除去液を得る。
b.不純物除去液を30%の水酸化ナトリウムでPH値6に調整し、水酸化コバルトと
水酸化ニッケルとの混合物を沈殿させ、濾過し、洗浄し、濾液及び洗浄液をマンガン-リ
チウム分離操作工程に入る。
c.20m3の反応釜内に15m3の洗浄液及び濾液をポンプで送られ、2Nの硫酸溶
液でPH5.0に調整し、コバルトとニッケルの質量総量の4.0倍で固体硫化ナトリウ
ムを添加して、45分間反応させ、溶液中に残留するコバルト・ニッケルイオンを硫化コ
バルトと硫化ニッケルとの沈殿に形成させ、60m2の板枠圧濾器で濾過し、洗浄し、フ
ィルターケーキは硫化コバルトと硫化ニッケルとの混合物であり、酸溶解工程に戻り、濾
液及び洗浄液はマンガン沈殿工程に入る。
d.ステップcで得られた濾液及び洗浄液を固体水酸化ナトリウムでPH9.5に調整
し、120分間反応させ、マンガンイオンを沈殿させ、60m2の板枠圧濾器で濾過し、
洗浄し、水酸化マンガンフィルターケーキ、リチウム含有濾液及び洗浄液を得る。
e.リチウム含有濾液及び洗浄液を蒸発濃縮させ、結晶化させて硫酸ナトリウムを除去
した後、濃縮リチウム液を得る。
f.飽和炭酸ナトリウム溶液で炭酸リチウムを沈殿させ、濾過洗浄後に炭酸リチウムフ
ィルターケーキとリチウム沈殿母液を得る。
g.リチウム沈殿母液に残留するリチウムイオンを回収するために、リチウム沈殿母液
は不純物除去液製造工程に戻されてPH値調整用のアルカリ液として使用する。
【0039】
実施例5:三元系電池廃棄物総合回収における抽出前溶液調製プロセスは、以下のステッ
プで行う。
a.廃棄三元系電池を解体して得られた廃三元系電池料粉を酸浸出して銅及び鉄・アル
ミニウムを除去した後、不純物除去液を得る。
b.20m3の反応釜内に15m3の洗浄液及び濾液をポンプで送られ、32%の水酸
化ナトリウムでPH値6.0に調整し、水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物を沈
殿させ、60m2の自動板枠圧濾器で濾過し、洗浄し、フィルターケーキは水酸化コバル
トと水酸化ニッケルとの混合物である。
c.20m3の反応釜内に水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物を80%の硫酸
で溶解し、硫酸コバルトと硫酸ニッケルとの混合溶液を形成する。
d.水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物で硫酸コバルトと硫酸ニッケルとの混
合溶液のPHを5.0に調整する。60m2の自動板枠圧濾器で濾過し、フィルターケー
キがステップcに戻り、溶解し続ける。
e.20m3の反応釜内に15m3の硫酸コバルトと硫酸ニッケルとの混合溶液をポン
プで送られ、溶液におけるカルシウム・マグネシウムイオンの総量の8倍でフッ化物を添
加して、反応温度を60℃に保持して50分間反応させてカルシウム・マグネシウムイオ
ンを除去する。
f.濾過し、洗浄し、濾液はP204抽出前溶液であり、P204抽出での不純物除去
工程に入る。
【0040】
実施例6:三元系電池廃棄物総合回収における抽出前溶液調製プロセスは、以下のステッ
プで行う。
a.廃棄三元系電池を解体して得られた廃三元系電池料粉を酸浸出して銅及び鉄・アル
ミニウムを除去した後、不純物除去液を得る。
b.20m3の反応釜内に15m3の洗浄液及び濾液をポンプで送られ、98%の固体
水酸化ナトリウムでPH値5.8に調整し、水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物
を沈殿させ、60m2の自動板枠圧濾器で濾過し、洗浄し、フィルターケーキは水酸化コ
バルトと水酸化ニッケルとの混合物である。
c.20m3の反応釜内に水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物を50%の硫酸
で溶解し、硫酸コバルトと硫酸ニッケルとの混合溶液を形成する。
d.水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物で硫酸コバルトと硫酸ニッケルとの混
合溶液のPHを5.5に調整する。60m2の自動板枠圧濾器で濾過し、フィルターケー
キがステップcに戻り、溶解し続ける。
e.20m3の反応釜内に15m3の硫酸コバルトと硫酸ニッケルとの混合溶液をポン
プで送られ、溶液におけるカルシウム・マグネシウムイオンの総量の5倍でフッ化物を添
加して、反応温度を70℃に保持して30分間反応させてカルシウム・マグネシウムイオ
ンを除去する。
f.濾過し、洗浄し、濾液はP204抽出前溶液であり、P204抽出での不純物除去
工程に入る。
【0041】
実施例7:三元系電池廃棄物総合回収における抽出前溶液調製プロセスは、以下のステッ
プで行う。
a.廃棄三元系電池を解体して得られた廃三元系電池料粉を酸浸出して銅及び鉄・アル
ミニウムを除去した後、不純物除去液を得る。
b.20m3の反応釜内に15m3の洗浄液及び濾液をポンプで送られ、15%の水酸
化ナトリウム溶液でPH値6.2に調整し、水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物
を沈殿させ、60m2の自動板枠圧濾器で濾過し、洗浄し、フィルターケーキは水酸化コ
バルトと水酸化ニッケルとの混合物である。
c.20m3の反応釜内に水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物を70%の硫酸
で溶解し、硫酸コバルトと硫酸ニッケルとの混合溶液を形成する。
d.水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物で硫酸コバルトと硫酸ニッケルとの混
合溶液のPHを5.2に調整する。60m2の自動板枠圧濾器で濾過し、フィルターケー
キがステップcに戻り、溶解し続ける。
e.20m3の反応釜内に15m3の硫酸コバルトと硫酸ニッケルとの混合溶液をポン
プで送られ、溶液におけるカルシウム・マグネシウムイオンの総量の10倍でフッ化物を
添加して、反応温度を80℃に保持して60分間反応させてカルシウム・マグネシウムイ
オンを除去する。
f.濾過し、洗浄し、濾液はP204抽出前溶液であり、P204抽出での不純物除去
工程に入る。
【0042】
実施例8:三元系電池廃棄物総合回収における抽出前溶液調製プロセスは、以下のステッ
プで行う。
a.廃棄三元系電池を解体して得られた廃三元系電池料粉を酸浸出して銅及び鉄・アル
ミニウムを除去した後、不純物除去液を得る。
b.20m3の反応釜内に15m3の洗浄液及び濾液をポンプで送られ、10%の水酸
化ナトリウム溶液でPH値6.1に調整し、水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物
を沈殿させ、60m2の自動板枠圧濾器で濾過し、洗浄し、フィルターケーキは水酸化コ
バルトと水酸化ニッケルとの混合物である。
c.20m3の反応釜内に水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物を60%の硫酸
で溶解し、硫酸コバルトと硫酸ニッケルとの混合溶液を形成する。
d.水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物で硫酸コバルトと硫酸ニッケルとの混
合溶液のPHを5.5に調整し、60m2の自動板枠圧濾器で濾過し、フィルターケーキ
がステップcに戻り、溶解し続ける。
e.20m3の反応釜内に15m3の硫酸コバルトと硫酸ニッケルとの混合溶液をポン
プで送られ、溶液におけるカルシウム・マグネシウムイオンの総量の6倍でフッ化物を添
加して、反応温度を70℃に保持して45分間反応させてカルシウム・マグネシウムイオ
ンを除去する。
f.濾過し、洗浄し、濾液はP204抽出前溶液であり、P204抽出での不純物除去
工程に入る。
【0043】
実施例9:三元系電池廃棄物からコバルト-ニッケル-マンガン-リチウム元素を総合回
収する方法は、以下のステップで行う。
a.廃棄三元系電池を解体して得られた廃三元系電池料粉を酸浸出して銅及び鉄・アル
ミニウムを除去した後、不純物除去液を得る。b.不純物除去液を濃度98%の水酸化ナ
トリウムでPH値6.0に調整し、水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物を沈殿さ
せ、濾過し、洗浄し、フィルターケーキ及び濾液をそれぞれ処理する。c.水酸化コバル
トと水酸化ニッケルとの混合物を80%硫酸溶液にゆっくりと添加して、水酸化コバルト
と水酸化ニッケルとの混合物でPHを5.5に調整し、溶解液におけるカルシウム・マグ
ネシウムイオンの総量の8倍で現物フッ化物を添加して、60分間反応させ、濾過し、洗
浄し、フィルターケーキはカルシウム・マグネシウム滓であり、別々に処理され、濾液は
P204抽出での不純物除去工程に入り、不純物除去抽出をし、水酸化コバルトと水酸化
ニッケルとの混合物から持ち込まれた少量のマンガン、鉄、亜鉛などの不純物を抽出して
除去し、抽出残液中の主なイオンはコバルトとニッケルであり、これらはP507抽出プ
ロセスに入る。P507コバルトイオン完全な抽出・完全な逆抽出後に高濃度の純粋な硫
酸コバルト溶液を得て、蒸発結晶してバッテリーグレードの硫酸コバルト製品を得て、抽
出残液は硫酸ニッケル溶液であり、CY272抽出での不純物除去工程に入る。
d.CY272抽出での不純物除去工程を経た後、抽出残液は純粋な硫酸ニッケル液体
であり、98%の固体水酸化ナトリウムでPH値を10に調整し、水酸化ニッケルを沈殿
させ、純水で3回逆方向洗浄した後に、フィルターケーキはバッテリーグレードの水酸化
ニッケルである。濾液及び洗浄液は廃水ステーションで処理された後に循環利用される。
e.ステップbで得られた濾液及び洗浄液におけるコバルトとニッケルとの総量の2.
0倍で固体硫化ナトリウムを添加して、60分間反応させ、濾過し、洗浄し、フィルター
ケーキは硫化コバルトと硫化ニッケルとの混合物であり、酸溶解工程に戻り、濾液及び洗
浄液はマンガン沈殿工程に入る。
f.ステップeで得られた濾液及び洗浄液を濃度98%の固体水酸化ナトリウムでPH
10.0に調整し、60分間反応させ、濾過し、洗浄し、水酸化マンガンフィルターケー
キ、リチウム含有濾液及び洗浄液を得る
g.リチウム含有濾液及び洗浄液を蒸発濃縮させ、遠心分離による結晶硫酸ナトリウム
を除去し、リチウム液を濃縮させ、炭酸ナトリウムで炭酸リチウムを沈殿させ、濾過して
洗浄した後に炭酸リチウムフィルターケーキ及びリチウム沈殿母液を得る。リチウム沈殿
母液は鉄アルミニウム除去工程に戻されてPH値調整用のアルカリ液として使用する。
【0044】
実施例10:三元系電池廃棄物からコバルト-ニッケル-マンガン-リチウム元素を総合
回収する方法は、以下のステップで行う。
a.廃棄三元系電池を解体して得られた廃三元系電池料粉を酸浸出して銅及び鉄・アル
ミニウムを除去した後、不純物除去液を得る。
b.不純物除去液を濃度32%の水酸化ナトリウムでPH値5.8に調整し、水酸化コ
バルトと水酸化ニッケルとの混合物を沈殿させ、濾過し、洗浄し、フィルターケーキ及び
濾液をそれぞれ処理する。
c.水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物を50%硫酸溶液中にゆっくりと添加
して、水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物でPHを6.0に調整し、溶解液にお
けるカルシウム・マグネシウムイオンの総量の5倍で現物フッ化物を添加して、50分間
反応させ、濾過し、洗浄し、フィルターケーキはカルシウム・マグネシウム滓であり、別
々に処理され、濾液はP204抽出での不純物除去工程に入り、不純物除去抽出をし、水
酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物から持ち込まれた少量のマンガン、鉄、亜鉛な
どの不純物を抽出して除去し、抽出残液中の主なイオンはコバルトとニッケルであり、こ
れらはP507抽出プロセスに入る。P507コバルトイオン完全な抽出・完全な逆抽出
後に高濃度の純粋な硫酸コバルト溶液を得て、蒸発結晶してバッテリーグレードの硫酸コ
バルト製品を得て、抽出残液は硫酸ニッケル溶液であり、CY272抽出での不純物除去
工程に入る。
d.CY272抽出での不純物除去工程を経た後、抽出残液は純粋な硫酸ニッケル液体
であり、32%の水酸化ナトリウム溶液でPH値を10に調整し、水酸化ニッケルを沈殿
させ、純水で3回逆方向洗浄した後に、フィルターケーキはバッテリーグレードの水酸化
ニッケルである。濾液及び洗浄液は廃水ステーションで処理された後に循環利用される。
e.ステップbで得られた濾液及び洗浄液におけるコバルトとニッケルとの総量の3.
0倍で固体硫化ナトリウムを添加して、30分間反応させ、濾過し、洗浄し、フィルター
ケーキは硫化コバルトと硫化ニッケルとの混合物であり、酸溶解工程に戻り、濾液及び洗
浄液はマンガン沈殿工程に入る。
f.ステップeで得られた濾液及び洗浄液を濃度32%の水酸化ナトリウム溶液でPH
9.0に調整し、60分間反応させ、濾過し、洗浄し、水酸化マンガンフィルターケーキ
、リチウム含有濾液及び洗浄液を得る。
g.リチウム含有濾液及び洗浄液を蒸発濃縮させ、遠心分離による結晶硫酸ナトリウム
を除去し、リチウム液を濃縮させ、炭酸ナトリウムで炭酸リチウムを沈殿させ、濾過して
洗浄した後に炭酸リチウムフィルターケーキ及びリチウム沈殿母液を得る。リチウム沈殿
母液は鉄アルミニウム除去工程に戻されてPH値調整用のアルカリ液として使用する。
【0045】
実施例11:三元系電池廃棄物からコバルト-ニッケル-マンガン-リチウム元素を総合
回収する方法は、以下のステップで行う。
a.廃棄三元系電池を解体して得られた廃三元系電池料粉を酸浸出して銅及び鉄・アル
ミニウムを除去した後、不純物除去液を得る。
b.不純物除去液を濃度15%の水酸化ナトリウム溶液でPH値6.2に調整し、水酸
化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物を沈殿させ、濾過し、洗浄し、フィルターケーキ
及び濾液をそれぞれ処理する。
c.水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物を70%の硫酸溶液にゆっくりと添加
して、水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物でPHを5.0に調整し、溶解液にお
けるカルシウム・マグネシウムイオンの総量の10倍で現物フッ化物を添加して、30分
間反応させ、濾過し、洗浄し、フィルターケーキはカルシウム・マグネシウム滓であり、
別々に処理され、濾液はP204抽出での不純物除去工程に入り、不純物除去抽出をし、
水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物から持ち込まれた少量のマンガン、鉄、亜鉛
などの不純物を抽出して除去し、抽出残液中の主なイオンはコバルトとニッケルであり、
これらはP507抽出プロセスに入る。P507コバルトイオン完全な抽出・完全な逆抽
出後に高濃度の純粋な硫酸コバルト溶液を得て、蒸発結晶してバッテリーグレードの硫酸
コバルト製品を得て、抽出残液は硫酸ニッケル溶液であり、CY272抽出での不純物除
去工程に入る。
d.CY272抽出での不純物除去工程を経た後、抽出残液は純粋な硫酸ニッケル液体
であり、15%の水酸化ナトリウム溶液でPH値を9に調整し、水酸化ニッケルを沈殿さ
せ、純水で3回逆方向洗浄した後に、フィルターケーキはバッテリーグレードの水酸化ニ
ッケルである。濾液及び洗浄液は廃水ステーションで処理された後に循環利用される。
e.ステップbで得られた濾液及び洗浄液におけるコバルトとニッケルとの総量の3.
5倍で固体硫化ナトリウムを添加して、40分間反応させ、濾過し、洗浄し、フィルター
ケーキは硫化コバルトと硫化ニッケルとの混合物であり、酸溶解工程に戻り、濾液及び洗
浄液はマンガン沈殿工程に入る。
f.ステップeで得られた濾液及び洗浄液を濃度15%の水酸化ナトリウム溶液でPH
8.5に調整し、60分間反応させ、濾過し、洗浄し、水酸化マンガンフィルターケーキ
、リチウム含有濾液及び洗浄液を得る。
g.リチウム含有濾液及び洗浄液を蒸発濃縮させ、遠心分離による結晶硫酸ナトリウム
を除去し、リチウム液を濃縮させ、炭酸ナトリウムで炭酸リチウムを沈殿させ、濾過して
洗浄した後に炭酸リチウムフィルターケーキ及びリチウム沈殿母液を得る。リチウム沈殿
母液は鉄アルミニウム除去工程に戻されてPH値調整用のアルカリ液として使用する。
【0046】
実施例12:三元系電池廃棄物からコバルト-ニッケル-マンガン-リチウム元素を総合
回収する方法は、以下のステップで行う。
a.廃棄三元系電池を解体して得られた廃三元系電池料粉を酸浸出して銅及び鉄・アル
ミニウムを除去した後、不純物除去液を得る。
b.不純物除去液を濃度20%の水酸化ナトリウムでPH値6.1に調整し、水酸化コ
バルトと水酸化ニッケルとの混合物を沈殿させ、濾過し、洗浄し、フィルターケーキ及び
濾液をそれぞれ処理する。
c.水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物を60%の硫酸溶液中にゆっくりと添
加して、水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物でPHを5.5に調整し、溶解液に
おけるカルシウム・マグネシウムイオンの総量の6倍で現物フッ化物を添加して、45分
間反応さて、濾過し、洗浄し、フィルターケーキはカルシウム・マグネシウム滓であり、
別々に処理され、濾液はP204抽出での不純物除去工程に入り、不純物除去抽出をし、
水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの混合物から持ち込まれた少量のマンガン、鉄、亜鉛
などの不純物を抽出して除去し、抽出残液中の主なイオンはコバルトとニッケルであり、
これらはP507抽出プロセスに入る。P507コバルトイオン完全な抽出・完全な逆抽
出後に高濃度の純粋な硫酸コバルト溶液を得て、蒸発結晶してバッテリーグレードの硫酸
コバルト製品を得て、抽出残液は硫酸ニッケル溶液であり、CY272抽出での不純物除
去工程に入る。
d.CY272抽出での不純物除去工程を経た後、抽出残液は純粋な硫酸ニッケル液体
であり、20%の固体水酸化ナトリウムでPH値を9.5に調整し、水酸化ニッケルを沈
殿させ、純水で3回逆方向洗浄した後に、フィルターケーキはバッテリーグレードの水酸
化ニッケルである。濾液及び洗浄液は廃水ステーションで処理された後に循環利用される
。
e.ステップbで得られた濾液及び洗浄液におけるコバルトとニッケルとの総量の4.
0倍で固体硫化ナトリウムを添加して、45分間反応させ、濾過し、洗浄し、フィルター
ケーキは硫化コバルトと硫化ニッケルとの混合物であり、酸溶解工程に戻り、濾液及び洗
浄液はマンガン沈殿工程に入る。
f.ステップeで得られた濾液及び洗浄液を濃度20%の水酸化ナトリウム溶液でPH
9.5に調整し、60分間反応させ、濾過し、洗浄し、水酸化マンガンフィルターケーキ
、リチウム含有濾液及び洗浄液を得る
g.リチウム含有濾液及び洗浄液を蒸発濃縮させ、遠心分離による結晶硫酸ナトリウム
を除去し、リチウム液を濃縮させ、炭酸ナトリウムで炭酸リチウムを沈殿させ、濾過して
洗浄した後に炭酸リチウムフィルターケーキ及びリチウム沈殿母液を得る。リチウム沈殿
母液は鉄アルミニウム除去工程に戻されてPH値調整用のアルカリ液として使用する。
【0047】
本発明の関連する実験データは以下のとおりである。
【0048】
【0049】
【0050】
説明:
1、本表における原料は18m
3の不純物除去液、それに各元素の含量は以下のとおり
である。
つまり、金属の量はCo:167.22kg、Ni:404.46kg、Mn:227.
88kg、Li:110.52kgである。
2、本発明で完全な抽出完全な逆抽出が必要な金属は167.22kgのコバルトのみ
である。
3、従来のプロセスによると、完全な抽出完全な逆抽出の金属は、コバルト+ニッケル
+マンガン 799.56kgである。
【0051】
表2-2 従来フロー金属の完全な抽出完全な逆抽出における補助原料消費表(18m
3
不純物除去液)
注:3390、3322は、本出願人が完全な抽出完全な逆抽出プロセスを採用してトン
当たりの金属量に消費される水酸化ナトリウム量と硫酸量を抽出する生産実データである
。
【0052】
表2-3 本発明と従来の完全な抽出完全な逆抽出における補助原料消費対照表(18m
3不純物除去液)
説明:本表におけるデータは従来のフローに完全な抽出完全な逆抽出に必要な部分のみを
比較する。
【0053】
以上は、本発明の説明実施例に過ぎず、本発明の形式上及び実質上の限定ではなく、注
目すべきことは、当業者にとって、本発明の方法から逸脱しない前提で、行われたいくつ
かの改良及び補充も本発明の保護範囲と見なされるべきである。当業者であれば、本発明
の精神及び範囲から逸脱することなく、以上に開示された技術内容を利用して行われた若
干の変更、修飾及び進化の同等変化は、いずれも本発明の等価実施例である。同時に、本
発明の実質的な技術に基づいて上記実施例に対する任意の同等変化の変更、修飾及び進化
は、いずれも依然として本発明の保護範囲に属する。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の技術は大規模試験により、従来の完全な抽出完全な逆抽出技術に比べ、原材料
の消費が著しく低減され(表2-3を参照)、18.72%の水酸化ナトリウム、44.
70%の硫酸、79.12%の塩酸を節約することができる。本発明の技術は、2019
年9月に正式に生産に投入され、生産総合コストは完全な抽出完全な逆抽出技術に比べて
平均15%低下する。
【国際調査報告】