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特表2022-539922銅抗菌プラスチックマスターバッチの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-14
(54)【発明の名称】銅抗菌プラスチックマスターバッチの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/22 20060101AFI20220907BHJP
   D01F 1/10 20060101ALI20220907BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20220907BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
C08J3/22 CES
C08J3/22 CFD
C08J3/22 CFG
D01F1/10
C08L101/00
C08K3/22
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2020556958
(86)(22)【出願日】2020-07-20
(85)【翻訳文提出日】2020-10-12
(86)【国際出願番号】 CN2020103099
(87)【国際公開番号】W WO2021243822
(87)【国際公開日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】63/032,910
(32)【優先日】2020-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520397312
【氏名又は名称】戴壟科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】DAZZEON TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】6F., No.337,Sec.1,Dunhua S.Rd.Da’an Dist.Taipei, Taiwan 10685
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】陳 宏棟
(72)【発明者】
【氏名】王 奕中
(72)【発明者】
【氏名】張 咏
(72)【発明者】
【氏名】沈 佩蓉
【テーマコード(参考)】
4F070
4J002
4L035
【Fターム(参考)】
4F070AA13
4F070AA15
4F070AA47
4F070AA54
4F070AC14
4F070AC15
4F070AC37
4F070AC43
4F070AC46
4F070AC50
4F070AC55
4F070AC71
4F070AC83
4F070AC89
4F070AC90
4F070AE03
4F070AE10
4F070AE14
4F070FA12
4F070FB04
4F070FB06
4F070FC05
4J002AA011
4J002BB031
4J002BB121
4J002CF061
4J002CH022
4J002CL001
4J002DE096
4J002EJ067
4J002EW067
4J002FA041
4J002FD077
4J002FD186
4J002FD312
4J002GK01
4J002GK02
4J002HA06
4L035AA05
4L035BB31
4L035EE11
4L035GG01
4L035HH10
4L035JJ04
4L035KK05
(57)【要約】
本発明は、新しい処方を含む銅抗菌プラスチックマスターバッチ及びその加工製造方法に関し、この処方は主に酸化第一銅と酸化亜鉛の抗菌混合粉体を含む。抗菌混合粉体を水で混合した後、さらに混合スラリーに研磨し、混合スラリーを130℃~150℃で噴霧乾燥させて微粉を形成し、微粉は抗菌作用を有する添加物であり、抗菌微粉を12wt%~15wt%の添加割合でプラスチックマスターバッチの原料に添加し、さらに予備混合、加熱撹拌、溶融混練、押出し、冷却、造粒などの製造工程により銅抗菌プラスチックマスターバッチを得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅抗菌プラスチックマスターバッチの製造方法であって、
酸化第一銅(CuO)と酸化亜鉛(ZnO)とを混合して抗菌混合粉体を形成するステップ(a)と、
前記抗菌混合粉体を分散剤、酸化防止剤と共に水に加え、均一に混合し、混合スラリーを形成するステップ(b)と、
前記混合スラリーを研磨して微細化させるステップ(c)と、
研磨して微細化された混合スラリーを130℃~150℃で噴霧乾燥させ、抗菌微粉を形成するステップ(d)と、
前記抗菌微粉をプラスチックマスターバッチの原料に添加するステップ(e)と、
予備混合、加熱撹拌、溶融混練、押出し、冷却及び造粒を含む製造工程により前記銅抗菌プラスチックマスターバッチを得るステップ(f)と、
を含むことを特徴とする、製造方法。
【請求項2】
前記分散剤は、カルボン酸共重合体、アルキルポリエーテル、酸性ポリエーテル、ポリプロピレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、酸性ポリエステルポリアミド、ポリウレタン、リン酸エステル又はそれらの任意の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記酸化防止剤は、フェノール化合物、ヘキサメチレンジアミン化合物、アルコールエステル系化合物、アルキルカルボン酸アルコールエステル系化合物、プロピオン酸エステル系化合物、リン酸エステル系化合物、亜リン酸エステル系化合物、チオカルボン酸エステル系化合物又はそれらの任意の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ステップ(b)において、重量比で15~20wt%の前記抗菌混合粉体、5~10wt%の前記分散剤、及び0.1~0.5wt%の前記酸化防止剤を70~75wt%の水に加え、均一に混合してスラリーを形成する。ことを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記ステップ(c)において、ステップ(b)の混合スラリー中の粒子を、平均粒径が50~1000nmに達するまで研磨して微細化させることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記ステップ(e)において、ステップ(d)で噴霧乾燥させた後に形成された抗菌微粉を12wt%~15wt%の割合で前記プラスチックマスターバッチの原料に添加することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記ステップ(d)の抗菌微粉の組成は、1.5~4wt%の酸化第一銅(CuO)及び8~11wt%の酸化亜鉛(ZnO)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記プラスチックマスターバッチの原料は、PEポリエチレン、PPポリプロピレン、PAポリアミド、PETポリエチレンテレフタレート又は銅アンモニア繊維を含み、混錬、押出し、造粒によりプラスチックマスターバッチに加工することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の製造方法により製造されることを特徴とする、銅抗菌プラスチックマスターバッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に特定の割合の酸化第一銅(CuO)と酸化亜鉛(ZnO)を混合してなり、繊維織物及び不織物(例えば、不織布)などの加工品(例えば、マスク、衣類、寝具など)に使用することで製品が抗菌功用を有する新しい銅抗菌プラスチックマスターバッチの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の抗菌プラスチックマスターバッチの製造方法には、加工プロセスにおいて糸引き、紡糸、紡績、製織により得られた繊維織物及び不織物、問えば、不織布などの加工品は、マスターバッチの処方で形成された材料の特性により、次の繊維加工過程において、加工良品率が良くなく、繊維に断裂、ざらつき、太さムラ、黒点、黒斑が発生しやすいため、加工製品の特性に影響を与え、製造コストを向上させるなどの問題がある。
【0003】
そこで、現在の衛生抗菌関連産業において、繊維織物及び不織物に適用できる材料並びにその製造方法の開発は、解決される必要がある重要な課題となっている。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、新しい処方を含む銅抗菌プラスチックマスターバッチ及びその加工製造方法を提供する。提供される抗菌添加物及びその割合により、マスターバッチの糸引き、紡績、製織などの過程における加工良品率を向上させることができ、織物繊維の製品、例えば、マスク、衣類、寝具などに使用することにより生産加工コストを削減し、製品性能を向上させることができる。
【0005】
具体的には、本発明で提供される処方は、主に酸化第一銅(CuO)と酸化亜鉛(ZnO)の抗菌混合粉体を含む。この抗菌混合粉体は、水、分散剤及び酸化防止剤を混合し、微細化スラリーに研磨することにより製造される。この分散剤は、カルボン酸共重合体、アルキルポリエーテル、酸性ポリエーテル、ポリプロピレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、酸性ポリエステルポリアミド、ポリウレタン、リン酸エステルを含む。この酸化防止剤は、フェノール化合物、ヘキサメチレンジアミン化合物、アルコールエステル系化合物、アルキルカルボン酸アルコールエステル系化合物、プロピオン酸エステル系化合物、リン酸エステル系化合物、亜リン酸エステル系化合物、チオカルボン酸エステル系化合物を含む。混合した後、微細化スラリーに研磨する際に、スラリーをDLS(動的光散乱法)により測定したところ、スラリー中の粒子の平均粒径が50~1000nmに達するまで連続的に研磨する。これによって、スラリー中の粒子の表面積が大幅に増大し、添加量が減少される。また、比較的細い粒子は、後続のプラスチック原料との混合、均一な溶融に有利であり、有利于平均分布于製品表面への均一な分布、抗菌粉体の利用効率の向上、製品の有効な抗菌作用の向上、抗菌効果の不均一の回避、プラスチック製品のざらつき質感の低減に有利である。
【0006】
前記スラリーを130℃~150℃で噴霧乾燥させ、抗菌微粉を形成する。この抗菌微粉は、抗菌作用を有する添加物である。この抗菌微粉は、12wt%~15wt%の添加割合でプラスチックマスターバッチの原料に添加される。ここで、酸化第一銅(CuO)の添加割合は1.5~4wt%、酸化亜鉛(ZnO)の添加割合は8~11wt%である。添加割合が高すぎると、製品の加工特性に影響を与え、例えば、生地繊維が断裂しやすく、加工が困難であり、廃棄品が増加し、プラスチック製品の機械的特性が低下し、生地完成品の触り心地が良くないなどの問題がある。添加した後、プラスチックマスターバッチ原料と共に予備混合、加熱撹拌、溶融混練、押出し、冷却、造粒などの製造工程を行い、銅抗菌プラスチックマスターバッチを得る。
【0007】
前記抗菌プラスチックマスターバッチ原料を、ブロー、キャスト、ホットプレス、射出などの様々な成形プロセスにより抗菌効果を有するプラスチック制品に加工することができる。也可借由如:メルトブロー、糸引き、紡糸、紡績などのプロセスにより、単一の銅抗菌繊維、2種類以上の異なる繊維を混紡製織により得られた紡績加工品、及び不織物(例えば、不織布)などを様々なマスク、衣類、寝具などの完成品に加工することもできる。
【0008】
本発明の抗菌原料添加物を用いて製造されたプラスチックマスターバッチを加工製品である織物及び不織物(例えば、不織布)などの繊維製品、生地製品に使用する場合、繊維加工プロセスを考慮すると、プラスチックマスターバッチ材質は、例えば、PPポリプロピレン、PAポリアミド、PEポリエチレン、PETポリエチレンテレフタレート、Nylonナイロン、レーヨンなどの材料に適用される。
【0009】
具体的には、前記銅抗菌プラスチックマスターバッチの製造方法及び添加物の割合は以下の通りである。(a)酸化第一銅(CuO)と酸化亜鉛(ZnO)とを混合し、抗菌混合粉体を形成する。(b)この抗菌混合粉体を分散剤、酸化防止剤と共に水中に加え、均一に混合し、混合スラリーを形成する。(c)含まれる抗菌混合粉体の平均粒径が50~1000nmに達するまでこのスラリーをを研磨して微細化させる。(d)微細化したスラリーを130℃~150℃で噴霧乾燥させ微粉を形成する。(e)この抗菌微粉を12%~15%の割合でプラスチックマスターバッチの原料に添加する。(f)予備混合、加熱撹拌、溶融混練、押出し、冷却及び造粒などを含む製造工程により銅抗菌プラスチックマスターバッチを得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の銅抗菌プラスチックマスターバッチの製造方法のフローチャートである。
図2】本発明の混合スラリー中の粒子を研磨して微細化した後のDLS粒度分布図である。
図3】本発明の銅抗菌PPプラスチックマスターバッチで織ったPPメルトブロー不織布(Cu-PP)の抗菌効果の写真図である。
図4図4(a)及び図4(b)は、生地製品の抗菌効果の量化棒グラフである。図4(a)は、ブランク対照群を示す。図4(b)は、本発明で製造された銅抗菌PPプラスチックマスターバッチを用いて織ったPPメルトブロー不織布を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の銅抗菌プラスチックマスターバッチの製造方法は、以下のステップを含む。(a)酸化第一銅(CuO)と酸化亜鉛(ZnO)とを混合し、抗菌混合粉体をプラスチックマスターバッチの抗菌添加剤として形成する。(b)この抗菌混合粉体を分散剤、酸化防止剤と共に水中に加え、均一に混合し、混合スラリーを形成する。(c)このスラリーを研磨して微細化させる。(d)微細化した後のスラリーを130℃~150℃で噴霧乾燥させ、抗菌微粉を形成する。(e)この乾燥抗菌微粉を12%~15%の割合でプラスチックマスターバッチの原料に添加する。(f)順に予備混合、加熱撹拌、溶融混練、押出し、冷却、造粒などを含む製造工程により本発明の銅抗菌プラスチックマスターバッチを得る。
【0012】
一実施例において、前記分散剤は、カルボン酸共重合体、アルキルポリエーテル、酸性ポリエーテル、ポリプロピレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、酸性ポリエステルポリアミド、ポリウレタン、リン酸エステル又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0013】
一実施例において、前記酸化防止剤は、フェノール化合物、ヘキサメチレンジアミン、アルコールエステル系化合物、アルキルカルボン酸アルコールエステル系化合物、プロピオン酸エステル系化合物、リン酸エステル系化合物、亜リン酸エステル系化合物、チオカルボン酸エステル系化合物又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0014】
一実施例において、ステップ(b)において、重量比で15~20wt%の抗菌混合粉体、5~10wt%の分散剤、及び0.1~0.5wt%の酸化防止剤を70~75wt%の水中に加え、均一に混合し、スラリーを形成する。好ましくは、前記酸化防止剤の添加量は、ステップ(e)で添加されるプラスチックマスターバッチの原料の0.3%wt~0.5%wtである。
【0015】
一実施例において、ステップ(c)において、ステップ(b)の混合スラリー中の粒子を、平均粒径が50~1000nmに達するまで研磨して微細化させる。好ましくは、研磨された粒子の粒径は100~500nmである。その動的光散乱(DLS)粒径分析図を図2に示す。
【0016】
一実施例において、ステップ(e)において、ステップ(d)で噴霧乾燥させて形成された抗菌微粉を12wt%~15wt%の割合でプラスチックマスターバッチの原料に添加する。
【0017】
一実施例において、ステップ(d)の抗菌微粉の組成は、1.5~4wt%の酸化第一銅(CuO)及び8~11wt%の酸化亜鉛(ZnO)を含む。
【0018】
一実施例において、プラスチックマスターバッチの原料は、PEポリエチレン、PPポリプロピレン、PAポリアミド、PETポリエチレンテレフタレート又は銅アンモニア繊維を含む。混錬、押出し、造粒によりプラスチックマスターバッチに加工する。
【0019】
好ましくは、銅抗菌プラスチックマスターバッチの製造方法は、上記段落[0011]から[0018]に記載の内容を含む。
【0020】
具体的な例において、本発明の銅抗菌プラスチックマスターバッチの製造方法は、図1に示すように、以下のステップにより実行される。(a)酸化第一銅(CuO)と酸化亜鉛(ZnO)とを混合し、抗菌混合粉体を形成する。(b)重量比で20wt%の抗菌混合粉体、5wt%の分散剤(分散剤は、カルボン酸共重合体、アルキルポリエーテル、酸性ポリエーテル、ポリプロピレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、酸性ポリエステルポリアミド、ポリウレタン、リン酸エステルであってもよい)であるポリプロピレングリコール、酸化防止剤(フェノール化合物、ヘキサメチレンジアミン化合物、アルコールエステル系化合物、アルキルカルボン酸アルコールエステル系化合物、プロピオン酸エステル系化合物、リン酸エステル系化合物、亜リン酸エステル系化合物、チオカルボン酸エステル系化合物であってもよい。ここで、酸化防止剤は、テトラキス[β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]ペンタエリスリトールエステルとトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)亜リン酸エステルとを1:1で混合してなる複合型酸化防止剤を使用する。混合後の酸化防止剤の添加量はステップ(e)で添加されるプラスチックマスターバッチの原料の0.3%wt~0.5%wtである)を75wt%の水に加えて均一に混合し、混合スラリーを形成する。(c)前記スラリーを、水中の抗菌混合粉体の平均粒径が50~1000nmに達するまで研磨して微細化させる。(d)研磨して微細化させた後のスラリーを130℃~150℃で噴霧乾燥させ、抗菌微粉を形成する。(e)乾燥抗菌微粉を12wt%~15wt%の割合でプラスチックマスターバッチの原料に添加する。最後に、予備混合、加熱撹拌、溶融混練、押出し、冷却、造粒などの製造工程により銅抗菌プラスチックマスターバッチを得る。前記銅抗菌プラスチックマスターバッチの材質は、PPポリプロピレン繊維、PEポリエチレン繊維、PETポリエチレンテレフタレート繊維、PAポリアミド繊維及び銅アンモニア繊維をを含み、混錬、押出し、造粒によりプラスチックマスターバッチに加工する。
【0021】
以下、実験例により本発明を説明する。
実験例1
40gの酸化第一銅(CuO)、80gの酸化亜鉛(ZnO)を秤量し、抗菌混合粉体を形成した。(b)重量比で20wt%の抗菌混合粉体、5wt%の分散剤であるポリプロピレングリコール、酸化防止剤(テトラキス[β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]ペンタエリスリトールエステルとトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)亜リン酸エステルとを1:1で混合してなる。混合後の酸化防止剤の添加量はステップ(e)で添加されるプラスチックマスターバッチの原料の0.3%wt~0.5%wtである)を75wt%の水中に均一に混合し、混合スラリーを形成する。600~1500rpmの回転速度で撹拌した。(c)ボールミルによりこのスラリーを研磨し、DLS(動的光散乱法)によりスラリー中の微細化された粒子のサイズを測定し、平均粒径が50~1000nmに達するまで連続的に研磨した。(d)130~150℃で前記スラリーを噴霧乾燥させ、抗菌微粉を形成した。(e)前記抗菌微粉12wt%をPPポリプロピレンプラスチック原料に加え(PEポリエチレン、PETポリエチレンテレフタレート、PAポリアミドなどのプラスチック原料に加えてもよい)、さらに、予備混合、加熱撹拌、溶融混練、押出し、冷却、造粒などの製造工程により銅抗菌プラスチックマスターバッチを得た。
【0022】
実験例2
40gの酸化第一銅(CuO)、110gの酸化亜鉛(ZnO)を秤量し、抗菌混合粉体を形成した。(b)重量比で20wt%の抗菌混合粉体、5wt%の分散剤であるポリプロピレングリコール、酸化防止剤(テトラキス[β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]ペンタエリスリトールエステルとトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)亜リン酸エステルとを1:1で混合してなる。混合後の酸化防止剤の添加量はステップ(e)で添加されるプラスチックマスターバッチの原料の0.3%wt~0.5%wtである)を75wt%の水中に均一に混合し、混合スラリーを形成する。600~1500rpmの回転速度で撹拌した。(c)ボールミルによりこのスラリーを研磨し、DLS(動的光散乱法)によりスラリー中の微細化された粒子のサイズを測定し、平均粒径が50~1000nmに達するまで連続的に研磨した。(d)130~150℃で前記スラリーを噴霧乾燥させ、抗菌微粉を形成した。(e)前記抗菌微粉15wt%をPETポリエチレンテレフタレートプラスチック原料に加え(PEポリエチレン、PPポリプロピレン、PAポリアミドなどのプラスチック原料に加えてもよい)、さらに、予備混合、加熱撹拌、溶融混練、押出し、冷却、造粒などの製造工程により銅抗菌プラスチックマスターバッチを得た。
【0023】
抗菌実験と効果
本抗菌実験は、日本標準法JIS L 1902:2015に準じて行われた。実験される菌種は、P.aeruginosa,E.coli,methicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA),S.aureus,K.pneumoniae和C.albicansを含む。ここで、銅抗菌PPプラスチックマスターバッチで織ったPPメルトブロー不織布(Cu-PP)に用いるプラスチックマスターバッチは、ポリプロピレンであった。銅抗菌PPプラスチックマスターバッチで織ったPPメルトブロー不織布(Cu-PP)を用いて抗菌実験を行った。実験結果の写真を図3に示す。左側の写真は実験開始から0時間培養されたときのコロニー数であり、約3x10CFU/mlであった。右側の写真は本発明の銅抗菌PPプラスチックマスターバッチで織ったPPメルトブロー不織布(Cu-PP)で18-24時間接触した後のコロニー数であり、20CFU/ml未満であった。写真における寒天ガム(ゼリー)の左右列は、それぞれ細菌溶液を本発明の銅抗菌PPプラスチックマスターバッチで織ったPPメルトブロー不織布で接触する前及び18-24時間接触した後のサンプルであった。ここで、(a)及び(g)はP.aeruginosaであり、(b)及び(h)はE.coliであり、(c)及び(i)はmethicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA)であり、(d)及び(j)はS.aureusであり、(e)及び(k)はK.pneumoniaeであり、(f)及び(l)はC.albicansであった。明らかなように、本発明で提供される銅抗菌プラスチックマスターバッチで織ったPPメルトブロー不織布(Cu-PP)は、前記菌種に対して優れた抗菌効果を有する。
【0024】
異なる生地製品の抗菌効果の量化棒グラフを図4(a)及び図4(b)に示す。図4(a)は、ブランク対照群、即ち、本発明の銅抗菌プラスチックマスターバッチで織った生地を使用せずに行われた実験である。18~24時間後、菌数は継続的に繁殖して増加した。図4(b)は、本発明の銅抗菌PPプラスチックマスターバッチで織ったPPメルトブロー不織布を用いて行われた抗菌実験である。明らかなように、本発明の銅抗菌プラスチックマスターバッチで織った生地製品(PPメルトブロー不織布)は、18~24時間後に少なくとも95%以上のコロニー数(CFU/ml)を減少させた。つまり、本発明の銅抗菌プラスチックマスターバッチは、予測できない優れた抗菌効果を有する。
【0025】
表1は、銅抗菌PPプラスチックマスターバッチで製造された抗菌PP生地(メルトブロー不織布/Cu-PP)の抗菌指数を示す。この抗菌PP生地は、使い捨てマスクに使用され、50回の水洗い処理せずに、そのままCu-PPメルトブロー不織布で実験した。Japan Textile Evaluation Technology Council(JTETC)日本繊維評価技術協会標準に定義された生地の抗菌指数に準じる。表2は、銅抗菌PETプラスチックマスターバッチで製造された抗菌PET生地(Cu-PET)の抗菌効果を示す。American Association of Textile Chemists and Colorists(AATCC)米国紡績化学協会の水洗試験標準:AATCC 135-2018法に準じ、50回水洗し、Japan Textile Evaluation Technology Council(JTETC)日本繊維評価技術協会標準に定義された生地の抗菌指数に準じ、この抗菌指数が3以上である場合、抗菌効果は非常に有効であることを示す。本発明の銅抗菌PETプラスチックマスターバッチで製造された抗菌PET生地の抗菌能力指数は、50回水洗した後においても、僅か約3-6%低下した。
【0026】
明らかなように、本発明の銅抗菌プラスチックマスターバッチで織った生地製品の抗菌効果は、洗浄により低下することがなく、これは、本発明の銅抗菌プラスチックマスターバッチの抗菌活性が良好な操作耐性及び安定性を有し、再利用できるため経済的利益を有することを示している。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
以上より、本発明は、新しい処方を含む銅抗菌プラスチックマスターバッチ及びその加工製造方法に関し、主に酸化第一銅(CuO)と酸化亜鉛(ZnO)の抗菌混合粉体を含む。この混合粉体を水で分散剤、酸化防止剤と混合し、さらに研磨してスラリーに微細化させ、スラリーをDLS(動的光散乱法)により測定した結果、スラリー中の粒子の平均粒が50~1000nmに達するまで連続的に研磨し、このスラリーを130℃~150℃で噴霧乾燥させ、微粉を形成し、この微粉は抗菌作用を有する添加物である。この抗菌微粉を12wt%~15wt%の添加割合でプラスチックマスターバッチの原料に添加する。添加後にさらにプラスチックマスターバッチ原料と共に予備混合、加熱撹拌、溶融混練、押出し、冷却、造粒などの製造工程により処理して銅抗菌プラスチックマスターバッチを得る。
【0030】
以上は特定の実験例により本発明を説明したが、本発明の範囲を制限しない。本発明の思想から逸脱しない限り、当業者は本発明の意図及び範囲内において様々な変形又は変更を行うことができる。また、要約書と発明の名称は特許文献の検索を補助するためのものであり、本発明の権利範囲を制限するものではない。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】