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特表2022-539926耐高荷重の一体化した誘導制御システム
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  • 特表-耐高荷重の一体化した誘導制御システム 図1
  • 特表-耐高荷重の一体化した誘導制御システム 図2
  • 特表-耐高荷重の一体化した誘導制御システム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-14
(54)【発明の名称】耐高荷重の一体化した誘導制御システム
(51)【国際特許分類】
   F41G 7/22 20060101AFI20220907BHJP
   F42B 15/01 20060101ALI20220907BHJP
   G05D 1/08 20060101ALI20220907BHJP
   G05D 1/12 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
F41G7/22
F42B15/01
G05D1/08
G05D1/12 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021502935
(86)(22)【出願日】2019-06-21
(85)【翻訳文提出日】2021-01-19
(86)【国際出願番号】 CN2019092205
(87)【国際公開番号】W WO2020073682
(87)【国際公開日】2020-04-16
(31)【優先権主張番号】201811187337.2
(32)【優先日】2018-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514112868
【氏名又は名称】北京理工大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】林徳福
(72)【発明者】
【氏名】師興偉
(72)【発明者】
【氏名】王偉
(72)【発明者】
【氏名】王江
(72)【発明者】
【氏名】王輝
(72)【発明者】
【氏名】紀毅
(72)【発明者】
【氏名】韓丁丁
(72)【発明者】
【氏名】程文伯
(72)【発明者】
【氏名】趙健廷
【テーマコード(参考)】
2C014
5H301
【Fターム(参考)】
2C014DA01
2C014DB03
2C014DD11
5H301AA06
5H301CC04
5H301CC07
5H301CC08
5H301FF11
(57)【要約】
【課題】
【解決手段】本発明は、耐高荷重の一体化した誘導制御システムを提供し、該システムにおいて、航法システム、誘導システム、及び制御システムを一体的に設計し、いずれもデータをマイクロプロセッサモジュールに送信して処理し、サブシステム間の信号伝達の時間遅延により飛翔体制御が影響されるのを避け、その中、特にシート状を呈する耐高荷重アンテナを設計しており、従来のテーパー状アンテナ及び改良後のリング状アンテナと比較して、該シート状アンテナは、より強い衛星信号受信能力を持つのみならず、さらに耐高荷重の特性を有し、高動的、高荷重の場合でも安定的に動作可能である。なお、航法モジュール及び誘導モジュールで取得した目視線角速度がいずれも十分に的確ではなく、誤差が存在するため、マイクロプロセッサモジュールにおいて姿勢推定演算後の目視線角速度を用いて航法計算を行い、命中精度をさらに向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高荷重の場合でも飛翔体の姿勢を精確に制御することができることを特徴とする耐高荷重の一体化した誘導制御システム。
【請求項2】
飛翔体の姿勢を精確に制御するために必要荷重を提供し、転舵指令を生成するための一体化したマイクロプロセッサモジュール(1)を含むことを特徴とする請求項1に記載の誘導制御システム。
【請求項3】
飛翔体の位置及び速度情報をリアルタイムで取得するための航法モジュール(2)と、
飛翔体のロール角、回転速度及び目視線角情報をリアルタイムで取得するための誘導モジュール(3)と、
転舵指令を実行し、転舵状態をマイクロプロセッサモジュール(1)にリアルタイムでフィードバックし、転舵指令に対してフィードバック補償を行い、操舵精度を向上させるための制御モジュール(4)と、
をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の誘導制御システム。
【請求項4】
前記航法モジュール(2)は、耐高荷重アンテナ(21)、干渉防止サブモジュール(22)及び衛星誘導サブモジュール(23)を含み、
前記耐高荷重アンテナ(21)の形状はシート状であり、高荷重時に衛星信号を受信するためであり、
前記干渉防止サブモジュール(22)は前記耐高荷重アンテナ(21)に接続され、前記衛星信号をフィルタリング処理するためであり、
前記衛星誘導サブモジュール(23)は、フィルタリング処理された衛星信号を受信して該信号に基づいて飛翔体の位置及び速度情報をリアルタイムで推定演算することを特徴とする請求項3に記載の誘導制御システム。
【請求項5】
耐高荷重アンテナ(21)が飛翔体の外壁に設けられており、
好ましくは、前記飛翔体の外壁には、凹状収容槽(5)が設置されており、前記耐高荷重アンテナ(21)が前記収容槽(5)内に取り付けられており、かつ耐高荷重アンテナ(21)の外部には保護バッフル(51)が設置されていることを特徴とする請求項4に記載の誘導制御システム。
【請求項6】
前記耐高荷重アンテナ(21)が複数枚設置され、飛翔体の周囲に均一に分布されており、好ましくは、前記耐高荷重アンテナ(21)が4枚設置されていることを特徴とする請求項5に記載の誘導制御システム。
【請求項7】
前記誘導モジュール(3)は、地磁気センサ(31)とストラップダウンレーザシーカー(32)とを含み、
前記地磁気センサ(31)は、飛翔体のロール角及び回転速度をリアルタイムでセンシングするためであり、
ストラップダウンレーザシーカー(32)は、飛翔体の目視線角をリアルタイムでセンシングするためであることを特徴とする請求項3に記載の誘導制御システム。
【請求項8】
前記制御モジュール(4)は、操舵装置サーボサブモジュール(41)と電動操舵装置(42)とを含み、
前記操舵装置サーボサブモジュール(41)は転舵指令を受信し、それを操舵装置信号に変換し、電動操舵装置(42)の操舵動作を制御するためであり、
前記操舵装置サーボサブモジュール(41)はさらに電動操舵装置の転舵状態をセンシングするためであることを特徴とする請求項3に記載の誘導制御システム。
【請求項9】
前記マイクロプロセッサモジュール(1)において、航法モジュール(2)から取得した飛翔体の位置及び速度情報に基づいて第1の目視線角速度
【数1】

を取得し、
さらに、誘導モジュール(3)から取得した飛翔体の目視線角に基づいて第2の目視線角速度
【数2】

を取得し、
前記
【数3】

及び
【数4】

を推定演算処理して得られた最終目視線角速度
【数5】

を飛翔体の目視線角速度とすることを特徴とする請求項2に記載の誘導制御システム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の耐高荷重の一体化した誘導制御システムを用いて飛翔体を制御することを特徴とする耐高荷重の誘導制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛翔体の誘導制御システムに関し、具体的に耐高荷重の一体化した誘導制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
誘導制御システムは、高動的飛翔体の掛け替えのない中核組成部分の1つであり、高動的飛翔体の性能を決める肝心なものであり、従来の誘導制御システムは、通常、空間定位ジャイロ、フラットレーザシーカー、空気圧操舵装置等で構成されるが、上記コンポーネントは、設計した高動的飛翔体が高荷重のシステムへの破壊的影響に耐えられないのを本質的に決定し、多くのコンポーネントが高動的の場合に理論的な動作性能を持たなくなり、しかも、従来の誘導制御システムは、具体的な型式に応じて航法システム、誘導システム、及び制御システムを個別に設計する必要がよくあり、このようにして大量の時間及び精力をかかる必要があるのみならず、サブシステム間が協調せず、マッチングしない問題も存在する。特に、高荷重の作用により、このような従来の設計方案は、航法システム、誘導システム及び制御システムの間の指令伝達の遅延をよりひどくし、深刻な結果を引き起こす。従って、高荷重に耐えられる汎用の一体化航法誘導制御システムを設計し、高荷重、大機動の飛行条件で一体的に集積して正常に動作可能にすることは、高動的飛翔体の性能の向上に対して重大な意味を有する。
【0003】
上記の原因により、本発明者は、従来の誘導制御システムを鋭意に研究し、上記課題を解決することができる新規な誘導制御システムの設計を望んでいる。
【発明の概要】
【0004】
上記の問題を解決するために、本発明者は鋭意に研究し、耐高荷重の一体化した誘導制御システムを設計し、該システムにおいて、航法システム、誘導システム、及び制御システムを一体的に設計しており、いずれもデータをマイクロプロセッサモジュールに送信して処理し、サブシステム間の信号伝達の時間遅延により飛翔体制御が影響されるのを避け、その中、特に、シート状を呈する耐高荷重アンテナを設計しており、従来のテーパー状アンテナ及び改良後のリング状アンテナと比較して、該シート状アンテナは、より強い衛星信号受信能力を持つのみならず、さらに耐高荷重の特性を有し、高動的、高荷重の場合でも安定的に動作可能である。なお、航法モジュール及び誘導モジュールにより取得した目視線角速度は、いずれも十分に的確ではなく、誤差が存在するため、マイクロプロセッサモジュールにおいて姿勢推定演算後の目視線角速度を使用して航法計算を行い、命中精度をさらに向上させることができ、本発明を成し遂げた。
【0005】
具体的に、本発明の目的は、高荷重の場合でも飛翔体の姿勢を精確に制御することができる耐高荷重の一体化した誘導制御システムを提供することにある。
【0006】
その中、該システムは、飛翔体の姿勢を精確に制御するために必要荷重を提供し、転舵指令を生成するための一体化したマイクロプロセッサモジュール1を含む。
【0007】
その中、該システムは、さらに、飛翔体の位置及び速度情報をリアルタイムで取得するための航法モジュール2と、飛翔体のロール角、回転速度及び目視線角情報をリアルタイムで取得するための誘導モジュール3と、転舵指令を実行し、転舵状態をマイクロプロセッサモジュール1にリアルタイムでフィードバックし、転舵指令に対してフィードバック補償を行い、操舵精度を向上させるための制御モジュール4と、を含む。
【0008】
その中、前記航法モジュール2は、耐高荷重アンテナ21、干渉防止サブモジュール22及び衛星誘導サブモジュール23を含み、
前記耐高荷重アンテナ21の形状がシート状であり、高荷重時に衛星信号を受信するためであり、前記干渉防止サブモジュール22が前記耐高荷重アンテナ21に接続されており、前記衛星信号をフィルタリング処理するためであり、前記衛星誘導サブモジュール23は、フィルタリング処理した衛星信号を受信して該信号に基づいて飛翔体の位置及び速度情報をリアルタイムで推定演算する。
【0009】
その中、耐高荷重アンテナ21が飛翔体の外壁に設置されており、好ましくは、前記飛翔体の外壁には、凹状収容槽5が設置されており、前記耐高荷重アンテナ21が前記収容槽5内に取り付けられており、かつ耐高荷重アンテナ21の外部に保護バッフル51が設置されている。
【0010】
その中、前記耐高荷重アンテナ21が複数枚設置され、飛翔体の周囲に均一に分布されており、好ましくは、前記耐高荷重アンテナ21が4枚設置されている。
【0011】
その中、前記誘導モジュール3は、地磁気センサ31とストラップダウンレーザシーカー32とを含み、前記地磁気センサ31は、飛翔体のロール角及び回転速度をリアルタイムでセンシングするためであり、ストラップダウンレーザシーカー32は、飛翔体の目視線角をリアルタイムでセンシングするためである。
【0012】
その中、前記制御モジュール4は、操舵装置サーボサブモジュール41と電動操舵装置42とを含み、前記操舵装置サーボサブモジュール41は転舵指令を受信し、それを操舵装置信号に変換し、電動操舵装置42の操舵動作を制御するためであり、前記操舵装置サーボサブモジュール41はさらに電動操舵装置の転舵状態をセンシングするためである。
【0013】
その中、前記マイクロプロセッサモジュール1において、航法モジュール2から取得した飛翔体の位置及び速度情報に基づいて第1の目視線角速度
【0014】
【数1】
【0015】
を取得し、さらに誘導モジュール3から取得した飛翔体の目視線角に基づいて第2の目視線角速度
【0016】
【数2】
【0017】
を取得し、前記
【0018】
【数3】
【0019】
及び
【0020】
【数4】
【0021】
を推定演算処理して得られた最終目視線角速度
【0022】
【数5】
【0023】
を飛翔体の目視線角速度とする。
【0024】
本発明は下記の有益な効果を含む。
【0025】
(1)本発明の誘導制御システムにおいて、従来の空間定位ジャイロの代わりに地磁気センサを用い、フラットシーカーの代わりにストラップダウンレーザシーカーを用い、空気圧操舵装置の代わりに電動操舵装置を用いることにより、該システムは、良好な耐高荷重を有することとなり、高荷重、大機動の飛翔体において使用可能であり、的確な誘導データ情報を提供できるとともに、毀傷リスクを低下させることもできる。
【0026】
(2)本発明の誘導制御システムにおいて、航法システム、誘導システム、及び制御システムを一体的に設計することにより、サブシステム間の信号伝達の時間遅延によって飛翔体制御が影響されるのを避けた。
【0027】
(3)本発明の誘導制御システムにおいて、フラットシーカーの代わりにストラップダウンレーザシーカーを用い、航法システム、誘導システム、及び制御システムを一体的に設計することにより、飛翔体の積載空間を節約し、飛翔体の耐荷重能力を向上させた。
【0028】
(4)本発明の誘導制御システムは、広域適応性を有し、各種の型式の飛翔体に適用可能であり、汎用の誘導制御システム方案である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、本発明の1つの好適な実施形態に係る耐高荷重の一体化した誘導制御システムの全体構造図を示す。
図2図2は、本発明の1つの好適な実施形態に係る耐高荷重の一体化した誘導制御システムにおける耐高荷重アンテナの構造概略図を示す。
図3図3は、実験例において3つの角速度条件での飛翔体軌跡を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面及び実施例によって本発明をさらに詳しく説明する。これらの説明により、本発明の特徴及び利点がより明瞭かつ明確になる。
【0031】
ここで専用する「例示的」という用語の意味は、「例、実施例又は説明的に用いる」ことである。ここで「例示的」に説明するあらゆる実施例は、その他の実施例より好ましいと解釈される必要はない。図面において実施例の各種の態様を示しているが、特に指摘がない限り、図面を縮尺して描く必要はない。
【0032】
本発明が提供する耐高荷重の一体化した誘導制御システムは、図1に示すように、該システムは、高荷重の場合でも飛翔体の姿勢を精確に制御することができる。
【0033】
本発明に記載の高荷重とは、飛翔体に作用する気動力及びエンジン推力の合力と飛翔体の重力との比の値が10000以上であることを指す。高動的とは、飛翔体が大機動飛行を行うことができ、大きい法線加速度(一般的には、法線加速度が10g以上の飛行状況を大機動飛行と称し、gは重力加速度である)。一般的に、高荷重/高動的の場合に、飛翔体自体のセンサ装置、例えば空間ジャイロ、慣性ジャイロ、フラットレーザシーカー等がその測定基準を失い、精確な測定結果が得られないこととなる。
【0034】
1つの好適な実施形態において、該システムは、飛翔体の姿勢を精確に制御するために必要荷重を提供し、転舵指令を生成するための一体化したマイクロプロセッサモジュール1を含む。前記一体化とは、該誘導制御システムにおける航法モジュール、誘導モジュール及び制御モジュールの計算部分が一体的に集積され、センシングにより基礎データを取得した後にいずれも該マイクロプロセッサモジュール中に送信し、マイクロプロセッサモジュールで統一的に処理することにより、航法システム、誘導システム及び制御システム間の指令伝達の遅延が発生する問題を避け、各信号が互いに干渉して引き起こしたシステムノイズを低下させることもできる。
【0035】
好ましくは、図1に示すように、該システムは、さらに、航法モジュール2、誘導モジュール3及び制御モジュール4を含み、その中、航法モジュール2は、飛翔体の位置及び速度情報をリアルタイムで取得するためであり、誘導モジュール3は、飛翔体のロール角、回転速度及び目視線角情報をリアルタイムで取得するためであり、制御モジュール4は、転舵指令を実行し、転舵状態をマイクロプロセッサモジュール1にリアルタイムでフィードバックし、転舵指令に対してフィードバック補償を行い、操舵精度を向上させるためである。いわゆるフィードバック補償は、リアルタイム転舵状態を制御モジュール4の入力量とすることにより、閉ループシステムを構成することである。フィードバック補償により、転舵指令の精度を向上させることができる。本発明におけるフィードバック補償については、本分野で知られているフィードバック補償を用いることができ、特に限定しない。
【0036】
更に好適な実施形態において、図1図2に示すように、前記航法モジュール2は、耐高荷重アンテナ21、干渉防止サブモジュール22及び衛星誘導サブモジュール23を含み、前記耐高荷重アンテナ21の形状がシート状であり、高荷重時に衛星信号を受信するためであり、前記干渉防止サブモジュール22が前記耐高荷重アンテナ21に接続されており、前記衛星信号をフィルタリング処理するためであり、前記衛星誘導サブモジュール23は、フィルタリング処理した衛星信号を受信して該信号に基づいて飛翔体の位置及び速度情報をリアルタイムで推定演算するためである。
【0037】
その中、耐高荷重アンテナ21が飛翔体の外壁に設置されており、好ましくは、図2に示すように、前記飛翔体の外壁には凹状収容槽5が設置されており、前記耐高荷重アンテナ21が前記収容槽5内に取り付けられており、前記収容槽5の深さ寸法が前記アンテナの厚さ寸法より大きく、かつ耐高荷重アンテナ21の外部には保護バッフル51が設置されている。
【0038】
耐高荷重アンテナ21が収容槽5の底部に固定されており、好ましくは、前記収容槽がちょうど耐高荷重アンテナ21を収容でき、収容槽の側壁が耐高荷重アンテナ21のために横方向リミットを提供して、耐高荷重アンテナ21の摺動を防止することができ、前記保護バッフル51が収容槽の頂部に固定されており、それ自体が完全に収容槽の内部に収容され、飛翔体の外面をほぼ平滑にすることができ、前記保護バッフルの外部形状が飛翔体の外部輪郭に一致し、円弧状であってもよいし、フラット状であってもよく、前記保護バッフルの内側が耐高荷重アンテナ21に当接しており、耐高荷重アンテナ21を固定し、加速過程において耐高荷重アンテナ21が移動及び破壊しないよう確保するためである。
【0039】
前記保護バッフル51は、飛翔体の加速段階でその内側の耐高荷重アンテナ21を保護し、耐高荷重アンテナ21が加速過程において損なわれるのを防止するためであり、前記飛翔体が誘導段階に入った場合、前記保護バッフル51は飛翔体から脱離し、耐高荷重アンテナ21を外部に露出させ、さらに耐高荷重アンテナ21の衛星信号の受信を便利となり、衛星信号が保護バッフル51によりシールド/干渉されるのを避ける。好ましくは、耐高荷重アンテナ21が飛翔体上の操舵装置に類似して、いずれも誘導段階でのみ動作を開始するので、前記保護バッフル51と飛翔体の操舵装置外部のバッフルとを同期的に制御して、同期的に脱離させることができる。
【0040】
前記耐高荷重アンテナ21の形状がシート状であり、即ち、前記耐高荷重アンテナ21がシート状アンテナ又は薄板状アンテナであり、該アンテナは、矩形のフラット状であってもよいし、弧度を持つ円弧板状であってもよく、飛翔体の外部輪郭に応じて設置することができ、本願では、好ましくは弧度を持つ円弧板状であり、飛翔体の外部輪郭に一致し、かつ飛翔体がローリングする過程において、弧度を持つ円弧板状アンテナは、衛星信号を受信する時間がより長く、信号強度がより良い。
【0041】
好ましくは、前記耐高荷重アンテナ21が複数枚設置され、飛翔体の周囲に均一に分布されており、好ましくは、前記耐高荷重アンテナ21が4枚に設置されており、本願において、好ましくは、該耐高荷重アンテナ21が飛翔体のローリングする周方向に沿って配置され、飛翔体の高速ローリング時の衛星信号受信能力が弱くならないよう保証する。
【0042】
本願におけるシート状の耐高荷重アンテナ21は、従来のテーパー状アンテナ又はリング状アンテナと比較して、シート状アンテナが占める空間面積が小さいため、外部ノイズ又は干渉に影響されにくく、かつシート状のアンテナの集積度がより高く、その衛星信号受信能力がより強い。
【0043】
好ましくは、前記シート状の耐高荷重アンテナ21は、従来のリング状アンテナ又はテーパー状アンテナと同じ材料を用いて製造することができ、該耐高荷重アンテナ21は、安定性及び物理強度を保証する前提で、コスト低減のために厚さをなるべく低減することができる。
【0044】
好ましくは、前記耐高荷重アンテナ21の長さ寸法は、好ましくは120~200mmであり、前記耐高荷重アンテナ21の幅寸法は、好ましくは50~70mmであり、その厚さが4~8mmである。
【0045】
好ましくは、衛星誘導サブモジュール23は、GPS受信装置、北斗受信装置及びGLONASS受信装置を含み、上記複数の受信装置を設置することで衛星情報の取得精度及び受信能力を向上させることができる。
【0046】
1つの好適な実施形態において、図1に示すように、前記誘導モジュール3は、地磁気センサ31及びストラップダウンレーザシーカー32を含む。
【0047】
前記地磁気センサ31は、飛翔体のロール角及び回転速度をリアルタイムでセンシングするためであり、センシングした情報をマイクロプロセッサモジュール1に送信するためであり、従来の空間定位ジャイロと比較して、地磁気センサは、フレーム角の制約を受けないので、高荷重の条件で正常に動作することができる。本発明に記載のセンシングは、測定又は感応と理解することができ、飛翔体の動的情報を取得するためである。
【0048】
本発明に記載の地磁気センサ31は本分野でよく用いられる地磁気センサであり、特に限定せず、上記機能を満足できるものであればよい。
【0049】
本発明に記載のストラップダウンレーザシーカー32は、本分野でよく用いられるストラップダウンレーザシーカーであり、特に限定せず、上記機能を満足できるものであればよい。
【0050】
ストラップダウンレーザシーカー32は、飛翔体の目視線角をリアルタイムでセンシングし、測定情報をマイクロプロセッサモジュールに送信するためであり、従来のフラットシーカーと比較して、ストラップダウンシーカーはフラットに取り付ける必要がなく、飛翔体に直接に固定し接続することができ、機体の積載空間を節約するのみならず、高荷重条件での動作性能も良好であり、さらに航法誘導制御システムの一体化の実現に有利である。
【0051】
1つの好適な実施形態において、図1に示すように、前記制御モジュール4は操舵装置サーボサブモジュール41及び電動操舵装置42を含む。
【0052】
前記操舵装置サーボサブモジュール41は転舵指令を受信し、それを操舵装置信号に変換し、電動操舵装置42の操舵動作を制御するためであり、電動操舵装置42は、好ましくは比例式電動操舵装置であり、従来の空気圧操舵装置と比較して、より良い耐高荷重能力を有し、特に大機動の条件で、飛翔体の姿勢の精確制御を実現することができる。
【0053】
前記操舵装置サーボサブモジュール41は、さらに電動操舵装置の転舵状態をセンシングするためである。
【0054】
1つの好適な実施形態において、前記マイクロプロセッサモジュール1において、航法モジュール2から取得した飛翔体の位置及び速度情報に基づいて第1の目視線角速度
【0055】
【数6】
【0056】
を取得する。
【0057】
さらに誘導モジュール3から取得した飛翔体の目視線角に基づいて第2の目視線角速度
【0058】
【数7】
【0059】
を取得する。
【0060】
前記
【0061】
【数8】
【0062】
及び
【0063】
【数9】
【0064】
を推定演算処理した後に得られた最終目視線角速度
【0065】
【数10】
【0066】
を飛翔体の目視線角速度とする。
【0067】
具体的に、
【0068】
【数11】
【0069】
は、下記の式(一)で得られる。
【0070】
【数12】
【0071】
(一)
式中、
【0072】
【数13】
【0073】
【0074】
【数14】
【0075】
【0076】
【数15】
【0077】
【0078】
【数16】
【0079】
【数17】
【0080】
は目標が地上座標系において
【0081】
【数18】
【0082】
軸方向に沿う位置を表す。
【0083】
【数19】
【0084】
は目標が地上座標系において
【0085】
【数20】
【0086】
軸方向に沿う位置を表す。
【0087】
【数21】
【0088】
は飛翔体が地上座標系において
【0089】
【数22】
【0090】
軸方向に沿う位置を表す。
【0091】
【数23】
【0092】
は飛翔体が地上座標系において
【0093】
【数24】
【0094】
軸に沿う位置を表す。
【0095】
【数25】
【0096】
は飛翔体と目標が地上座標系において
【0097】
【数26】
【0098】
軸方向に沿う相対距離を表す。
【0099】
【数27】
【0100】
は飛翔体と目標が地上座標系において
【0101】
【数28】
【0102】
軸方向に沿う相対距離を表す。
【0103】
【数29】
【0104】
は飛翔体が地上座標系において
【0105】
【数30】
【0106】
軸方向に沿う速度を表す。
【0107】
【数31】
【0108】
は飛翔体が地上座標系において
【0109】
【数32】
【0110】
軸方向に沿う速度を表す。
【0111】
【数33】
【0112】
は目標が地上座標系において
【0113】
【数34】
【0114】
軸方向に沿う速度を表す。
【0115】
【数35】
【0116】
は目標が地上座標系において
【0117】
【数36】
【0118】
軸方向に沿う速度を表す。
【0119】
【数37】
【0120】
は飛翔体と目標が地上座標系において
【0121】
【数38】
【0122】
軸方向に沿う相対速度を表す。
【0123】
【数39】
【0124】
は飛翔体と目標が地上座標系において
【0125】
【数40】
【0126】
軸方向に沿う相対速度を表す。
【0127】
地上座標系について、通常、座標原点を発射点とし、
【0128】
【数41】
【0129】
軸方向は、発射点から目標点への方向であり、
【0130】
【数42】
【0131】
軸方向が
【0132】
【数43】
【0133】
軸に垂直して鉛直上向きであり、目標が静的目標である場合、目標の速度が0であり、目標の位置は飛翔体に予め格納されており、飛翔体自体の位置及び速度は飛翔体上のデバイスによりセンシングして得るものである。
【0134】
一般的に、航法システムは、衛星信号を受信するため、必ず時間遅延が存在し、かつ、推定演算した速度、位置情報に基づいて目視線角速度を算出するため、最終的に取得した目視線角速度が十分に的確ではなく、誤差が存在する。ストラップダウンレーザシーカーで測定した目視線角は、微分器で演算した後に目視線角速度を取得することができるが、微分器の計算結果は通常大きな誤差が存在する。このために、本発明において、マイクロプロセッサモジュールは航法モジュール及びストラップダウンレーザシーカーで算出した目視線角速度に対してデータ推定演算を行い、最終的に取得した目視線角速度の精度を向上させることにより、より精確な転舵指令を推定演算し、飛翔体の命中精度を向上させる。
【0135】
目視線角
【0136】
【数44】
【0137】
は、ストラップダウンレーザシーカー32により直接にセンシングして取得することができ、微分器で演算した後に第2の目視線角速度
【0138】
【数45】
【0139】
を得ることができる。
【0140】
下記の式(二)により推定演算計算を行う。
【0141】
【数46】
【0142】
(二)
本発明において、前記マイクロプロセッサモジュールはデータ推定演算により最終目視線角速度
【0143】
【数47】
【0144】
を取得した後、さらに該目視線角速度
【0145】
【数48】
【0146】
に基づいて必要荷重を算出し、具体的に、必要荷重=目視線角速度
【0147】
【数49】
【0148】
*弾相対速度*航法比であり、一般的に、航法比の値が2~4である。
【0149】
1つの好適な実施形態において、前記誘導制御システムにおいて、さらに電源モジュールを含み、電源モジュールが飛翔体に積載した熱電源に接続され、回路全体の入力と出力を整合し、短絡などの問題によりシステムが損なわれるのを防止する。電源給電モジュールは、必要な定格電圧を各モジュールへ提供し、各コンポーネントの正常動作を保証することができる。一部のサブシステムの特定の需要に対して、電源給電モジュールは、リセット電圧信号を提供することができる。
【0150】
本発明は、耐高荷重の誘導制御方法をさらに提供し、該方法では前述した耐高荷重の一体化した誘導制御システムを用いて飛翔体を制御する。具体的に、該方法において、耐高荷重アンテナ21によって高荷重の条件で衛星信号を受信し、干渉防止サブモジュール22によって前記衛星信号をフィルタリング処理し、衛星誘導サブモジュール23によって該信号に基づいて飛翔体の位置及び速度情報をリアルタイムで推定演算し、地磁気センサ31によって飛翔体のロール角及び回転速度をリアルタイムでセンシングし、ストラップダウンレーザシーカー32によって飛翔体の目視線角をリアルタイムでセンシングし、マイクロプロセッサモジュール1によって必要荷重を推定演算し、転舵指令を生成し、操舵装置サーボサブモジュール41によって転舵指令を操舵装置信号に変換し、電動操舵装置で操舵動作を行うことにより、飛翔体の姿勢を精確に制御する。
【0151】
その中、前記マイクロプロセッサモジュールは、まず、データ推定演算により最終目視線角速度
【0152】
【数50】
【0153】
を取得し、さらにこれに基づいて必要荷重を推定演算する。
【0154】
実験例
同一発射場所において、同一目標位置に同一型式の複数枚の飛翔体を発射し、各々の飛翔体にとって、目標点がいずれも射程内にあり、飛翔体の進行過程における回転速度がいずれも6~10r/秒に制御され、各々の飛翔体上の荷重が10000g以上であり、各々の飛翔体の飛行軌跡を測定し製図し、図3を得た。
【0155】
その中、第1枚の飛翔体には図2に示す耐高荷重アンテナが取り付けられており、該耐高荷重アンテナによって衛星信号を受信し、該飛翔体のマイクロプロセッサモジュールにおいてデータ推定演算アルゴリズムにより目視線角速度
【0156】
【数51】
【0157】
を推定演算した後、さらにこれに基づいて必要荷重を推定演算し、ここで、推定演算過程において、下記の式(二)で目視線角速度
【0158】
【数52】
【0159】
を取得する。
【0160】
【数53】
【0161】
(二)
その中、
【0162】
【数54】
【0163】
であり、
【0164】
【数55】
【0165】
は、ストラップダウンレーザシーカーにより直接にセンシングして取得し、
【0166】
【数56】
【0167】
は、
【0168】
【数57】
【0169】
を微分演算して取得する。
【0170】
【数58】
【0171】
【0172】
【数59】
【0173】
【0174】
【数60】
【0175】
【0176】
【数61】
【0177】
【数62】
【0178】
の値が15000であり、
【0179】
【数63】
【0180】
の値が0であり、
【0181】
【数64】
【0182】
【0183】
【数65】
【0184】
【0185】
【数66】
【0186】
【0187】
【数67】
【0188】
【0189】
【数68】
【0190】
【0191】
【数69】
【0192】
の値がいずれも飛翔体上のデバイスによりセンシングして取得したものであり、かつ、リアルタイムで変化するものであり、一般的に、
【0193】
【数70】
【0194】
の値が15000以下であり、
【0195】
【数71】
【0196】
の値が-200~200間であり、
【0197】
【数72】
【0198】
の値が0~1000間であり、
【0199】
【数73】
【0200】
及び
【0201】
【数74】
【0202】
の値がいずれも0である。該飛翔体の軌跡曲線は、図3中の
【0203】
【数75】
【0204】
で表され、その中、長さの単位がメートルであり、速度の単位がメートル/秒である。
【0205】
第2枚の飛翔体は、第1枚の飛翔体と比較して、その上のアンテナが、従来技術における螺旋型アンテナ又はライン型アンテナを選択して使用し、その上のマイクロプロセッサモジュールは、航法モジュールで取得した目視線角速度を利用して航法誘導を行い、必要荷重を推定演算する。該飛翔体の軌跡曲線は、図3における
【0206】
【数76】
【0207】
で表される。
【0208】
第3枚の飛翔体は、第1枚の飛翔体と比較して、その上のアンテナが、従来技術における螺旋型アンテナ又はライン型アンテナを選択して使用し、その上のマイクロプロセッサモジュールは、誘導モジュールで取得した目視線角速度を利用して航法誘導を行い、必要荷重を推定演算する。該飛翔体の軌跡曲線は、図3における
【0209】
【数77】
【0210】
で表される。
【0211】
図3からわかるように、データ推定演算により生成した目視線角速度
【0212】
【数78】
【0213】
により、より的確な転舵指令を提供することができ、該目視線角速度に基づいて生成した転舵指令の作用により、飛翔体は目標を精確に命中することができ、円公算誤差を15メートル以内に制御することができる。また、その他の2枚の飛翔体について、その他の2種の目視線角速度に基づいて生成した転舵指令の作用により、円公算誤差が一般的に100メートル程度であり、かつ最終結果に失中量が存在する。
【0214】
以上、好適な実施形態を参照しながら本発明を説明したが、これらの実施形態は例示的なものに過ぎず、説明的作用だけである。これに基づき、本発明に対して種々の置き換え及び改進を行うことができ、これらはいずれも本発明の保護範囲内に入っている。
【符号の説明】
【0215】
1-マイクロプロセッサモジュール
2-航法モジュール
21-耐高荷重アンテナ
22-干渉防止サブモジュール
23-衛星誘導サブモジュール
3-誘導モジュール
31-地磁気センサ
32-ストラップダウンレーザシーカー
4-制御モジュール
41-操舵装置サーボサブモジュール
42-電動操舵装置
5-収容槽
51-保護バッフル
6-電源モジュール
図1
図2
図3
【国際調査報告】