IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司の特許一覧

特表2022-539959駆動用バッテリーの自己加熱制御方法及び装置
<>
  • 特表-駆動用バッテリーの自己加熱制御方法及び装置 図1
  • 特表-駆動用バッテリーの自己加熱制御方法及び装置 図2
  • 特表-駆動用バッテリーの自己加熱制御方法及び装置 図3
  • 特表-駆動用バッテリーの自己加熱制御方法及び装置 図4
  • 特表-駆動用バッテリーの自己加熱制御方法及び装置 図5
  • 特表-駆動用バッテリーの自己加熱制御方法及び装置 図6
  • 特表-駆動用バッテリーの自己加熱制御方法及び装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-14
(54)【発明の名称】駆動用バッテリーの自己加熱制御方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 58/25 20190101AFI20220907BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20220907BHJP
   H01M 10/651 20140101ALI20220907BHJP
   H01M 10/633 20140101ALI20220907BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20220907BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20220907BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
B60L58/25
H01M10/615
H01M10/651
H01M10/633
H01M10/625
B60L50/60
H02J7/00 P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571441
(86)(22)【出願日】2021-05-14
(85)【翻訳文提出日】2021-11-30
(86)【国際出願番号】 CN2021093844
(87)【国際公開番号】W WO2022007501
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】202010664362.6
(32)【優先日】2020-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】黄 孝▲鍵▼
(72)【発明者】
【氏名】但 志▲敏▼
(72)【発明者】
【氏名】李 宝
(72)【発明者】
【氏名】左 希▲陽▼
【テーマコード(参考)】
5G503
5H031
5H125
【Fターム(参考)】
5G503BB01
5G503CB11
5G503DA04
5G503FA06
5G503GB06
5H031CC09
5H031HH06
5H125AA01
5H125AC12
5H125BC19
5H125CD09
5H125EE05
5H125EE25
(57)【要約】
駆動用バッテリーの自己加熱制御方法及び装置であって、システムパラメータ及び回転子の前のサンプリング時間での第1温度に基づいて回転子の現在のサンプリング時間での第2温度を取得し(S201)、第1温度及び第2温度に基づいて回転子の後のサンプリング時間での第3温度を推定し(S202)、第3温度が回転子の消磁温度に達した場合、駆動用バッテリーの自己加熱を停止する(S204)。回転子の自己加熱動作条件下での回転子温度を推定し、回転子温度を回転子の消磁温度と比較することで、駆動用バッテリーの自己加熱を停止するか否かを決定し、さらに駆動用バッテリーの自己加熱の制御を実現する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動用バッテリーの自己加熱制御方法であって、
システムパラメータ及び永久磁石モーターの回転子の第1温度に基づいて前記回転子の第2温度を取得するステップであって、前記システムパラメータは、前記回転子の材料比熱容量、前記回転子の質量及びサンプリング時間間隔内の前記回転子の昇温に使用される電力を含み、前記第1温度は前記回転子の第1サンプリング時間での温度であり、前記第2温度は前記回転子の第2サンプリング時間での温度であり、前記第2サンプリング時間は現在のサンプリング時間であり、前記第1サンプリング時間は前記第2サンプリング時間の前のサンプリング時間であるステップと、
前記第1温度及び前記第2温度に基づき、前記回転子の第3温度を推定するステップであって、前記第3温度は前記回転子の第3サンプリング時間での温度であり、前記第3サンプリング時間は前記第2サンプリング時間の後のサンプリング時間であるステップと、
前記第3温度が前記回転子の消磁温度に達した場合、前記駆動用バッテリーの自己加熱を停止するステップと、
を含むことを特徴とする駆動用バッテリーの自己加熱制御方法。
【請求項2】
前記自己加熱制御方法は、
前記駆動用バッテリーのセルの前記第2サンプリング時間でのセル温度を収集するステップと、
前記セル温度が前記セルの指定温度に達した場合、前記駆動用バッテリーの自己加熱を停止するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の自己加熱制御方法。
【請求項3】
前記システムパラメータ及び前記回転子の第1温度に基づいて前記回転子の第2温度を取得するステップは具体的に、
前記システムパラメータに基づき、前記サンプリング時間間隔内の回転子温度変化量を決定するステップと、
前記第1温度及び前記回転子温度変化量に基づき、前記第2温度を決定するステップと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の自己加熱制御方法。
【請求項4】
前記システムパラメータに基づき、前記サンプリング時間間隔内の回転子温度変化量を決定するステップは具体的に、
第1式に基づいて前記回転子温度変化量を決定するステップを含み、前記第1式は以下の式であることを特徴とする請求項3に記載の自己加熱制御方法。
【数1】
【請求項5】
前記第1温度及び前記第2温度に基づき、前記回転子の第3温度を推定するステップは具体的に、
前記第1温度及び前記第2温度に基づき、回転子温度変化量を決定するステップと、
前記第2温度及び前記回転子温度変化量に基づき、前記第3温度を推定するステップと、
を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の自己加熱制御方法。
【請求項6】
前記自己加熱制御方法は、
永久磁石モーターの損失及び放熱電力に基づき、永久磁石モーターの昇温電力を決定するステップと、
永久磁石モーターの固定子コアの昇温電力及び固定子巻線の昇温電力を取得するステップと、
前記永久磁石モーターの昇温電力、前記固定子巻線の昇温電力及び前記固定子コアの昇温電力に基づき、前記回転子の昇温に使用される電力を決定するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の自己加熱制御方法。
【請求項7】
前記永久磁石モーターの損失及び放熱電力に基づき、永久磁石モーターの昇温電力を決定するステップの前、前記自己加熱制御方法は、
固定子コアの損失、固定子巻線の損失及び回転子の渦電流損失に基づき、前記永久磁石モーターの損失を計算するステップをさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の自己加熱制御方法。
【請求項8】
永久磁石モーターの固定子コアの昇温電力及び固定子巻線の昇温電力を取得するステップは具体的に、
前記サンプリング時間間隔内の固定子コアの温度変化量及び固定子巻線の温度変化量を取得するステップと、
前記固定子コアの温度変化量、前記固定子コアの質量及び前記固定子コアの材料比熱容量に基づき、前記固定子コアの昇温電力を決定するステップと、
前記固定子巻線の温度変化量、前記固定子巻線の質量及び前記固定子巻線の材料比熱容量に基づき、前記固定子巻線の昇温電力を決定するステップと、
を含むことを特徴とする請求項6に記載の自己加熱制御方法。
【請求項9】
前記自己加熱制御方法は、
第2式に基づいて前記回転子の渦電流損失を決定するステップをさらに含み、前記第2式は以下の式であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の自己加熱制御方法。
【数2】
【請求項10】
モーターコントローラであって、
システムパラメータ及び永久磁石モーターの回転子の第1温度に基づいて前記回転子の第2温度を取得するための取得モジュールであって、前記システムパラメータは、前記回転子の材料比熱容量、前記回転子の質量及びサンプリング時間間隔内の前記回転子の昇温に使用される電力を含み、前記第1温度は前記回転子の第1サンプリング時間での温度であり、前記第2温度は前記回転子の第2サンプリング時間での温度であり、前記第2サンプリング時間は現在のサンプリング時間であり、前記第1サンプリング時間は前記第2サンプリング時間の前のサンプリング時間である取得モジュールと、
前記第1温度及び前記第2温度に基づき、前記回転子の第3温度を推定するための推定モジュールであって、前記第3温度は前記回転子の第3サンプリング時間での温度であり、前記第3サンプリング時間は前記第2サンプリング時間の後のサンプリング時間である推定モジュールと、
前記第3温度が前記回転子の消磁温度に達した場合、前記駆動用バッテリーの自己加熱を停止するための制御モジュールと、
を備えることを特徴とするモーターコントローラ。
【請求項11】
前記モーターコントローラは収集モジュールをさらに備え、
前記収集モジュールは前記駆動用バッテリーのセルの前記第2サンプリング時間でのセル温度を収集することに用いられ、
前記制御モジュールはさらに、前記セル温度が前記セルの指定温度に達した場合、前記駆動用バッテリーの自己加熱を停止することに用いられることを特徴とする請求項10に記載のモーターコントローラ。
【請求項12】
前記取得モジュールは具体的に、
前記システムパラメータに基づき、前記サンプリング時間間隔内の回転子温度変化量を決定することと、
前記第1温度及び前記回転子温度変化量に基づき、前記第2温度を決定することと、に用いられることを特徴とする請求項10に記載のモーターコントローラ。
【請求項13】
前記取得モジュールは具体的に、
第1式に基づいて前記回転子温度変化量を決定することに用いられ、前記第1式は以下の式であることを特徴とする請求項12に記載のモーターコントローラ。
【数3】
【請求項14】
前記推定モジュールは具体的に、
前記第1温度及び前記第2温度に基づき、回転子温度変化量を決定することと、
前記第2温度及び前記回転子温度変化量に基づき、前記第3温度を推定することと、に用いられることを特徴とする請求項10~13のいずれか1項に記載のモーターコントローラ。
【請求項15】
前記取得モジュールはさらに、
永久磁石モーターの損失及び放熱電力に基づき、永久磁石モーターの昇温電力を決定することと、
永久磁石モーターの固定子コアの昇温電力及び固定子巻線の昇温電力を取得することと、
前記永久磁石モーターの昇温電力、固定子巻線の昇温電力及び前記固定子コアの昇温電力に基づき、前記回転子の昇温に使用される電力を決定することと、に用いられることを特徴とする請求項10~13のいずれか1項に記載のモーターコントローラ。
【請求項16】
前記取得モジュールはさらに、
固定子コアの損失、固定子巻線の損失及び回転子の渦電流損失に基づき、前記永久磁石モーターの損失を計算することに用いられることを特徴とする請求項15に記載のモーターコントローラ。
【請求項17】
前記取得モジュールは具体的に、
前記サンプリング時間間隔内の固定子コアの温度変化量及び固定子巻線の温度変化量を取得することと、
前記固定子コアの温度変化量、前記固定子コアの質量及び前記固定子コアの材料比熱容量に基づき、前記固定子コアの昇温電力を決定することと、
前記固定子巻線の温度変化量、前記固定子巻線の質量及び前記固定子巻線の材料比熱容量に基づき、前記固定子巻線の昇温電力を決定することと、に用いられることを特徴とする請求項15に記載のモーターコントローラ。
【請求項18】
前記取得モジュールはさらに、
第2式に基づいて前記回転子の渦電流損失を決定することに用いられ、前記第2式は以下の式であることを特徴とする請求項10~13のいずれか1項に記載のモーターコントローラ。
【数4】
【請求項19】
永久磁石モーター、駆動用バッテリー、インバーター及び請求項10~18のいずれか1項に記載のモーターコントローラを備えることを特徴とする動力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2020年07月10日に提出された、名称が「駆動用バッテリーの自己加熱制御方法及び装置」である中国特許出願2020106643626の優先権を主張し、該出願の全内容は援用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は電気自動車の技術分野に関し、特に駆動用バッテリーの自己加熱制御方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
電気自動車の車載駆動用バッテリーパックへの加熱方法は、間接加熱及び内部加熱の2種の方法に分けることができる。間接加熱方法には、主に空気加熱、液体加熱、相変化材料加熱、熱抵抗加熱などがあり、これらの加熱方法は、通常、循環容器を加熱し、熱伝導物質を間接的に加熱して、熱量をバッテリーパックに伝導することであり、加熱効率が低い。
【0004】
内部加熱の自己加熱技術の場合、該自己加熱技術は電気自動車の動力構造に基づいて、バッテリーパックを加熱可能なパルス電流波形を調整することであり、従来のバッテリーパック加熱方法と比較して、自己加熱技術は、コストが低く、加熱速度が速いという特徴を有する。
【0005】
永久磁石モーターを使用して駆動用バッテリーを加熱する過程で、自己加熱制御を行うために回転子温度を取得する必要がある。従来技術では、回転子温度の推定はモーターの通常の動作条件下で行われる。
【0006】
静止又は拘束の動作条件下でのモーターの場合、モーターの動作状態が変化するため、既存の回転子温度の推定方法は適用できなくなり、バッテリーの自己加熱時間を正確に推定することができなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願は、駆動用バッテリーの自己加熱制御方法及び装置を提供し、駆動用バッテリーの自己加熱時間を正確に推定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様では、本願は駆動用バッテリーの自己加熱制御方法を提供し、システムパラメータ及び永久磁石モーターの回転子の第1温度に基づいて回転子の第2温度を取得するステップであって、システムパラメータは、回転子の材料比熱容量、回転子の質量及びサンプリング時間間隔内の回転子の昇温に使用される電力を含み、第1温度は回転子の第1サンプリング時間での温度であり、第2温度は回転子の第2サンプリング時間での温度であり、第2サンプリング時間は現在のサンプリング時間であり、第1サンプリング時間は第2サンプリング時間の前のサンプリング時間であるステップと、第1温度及び第2温度に基づき、回転子の第3温度を推定するステップであって、第3温度は回転子の第3サンプリング時間での温度であり、第3サンプリング時間は第2サンプリング時間の後のサンプリング時間であるステップと、第3温度が回転子の消磁温度に達した場合、駆動用バッテリーの自己加熱を停止するステップと、を含む。
【0009】
選択可能に、方法は、駆動用バッテリーのセルの第2サンプリング時間でのセル温度を収集するステップと、セル温度がセルの指定温度に達した場合、駆動用バッテリーの自己加熱を停止するステップと、をさらに含む。
【0010】
上記技術案では、セル温度と永久磁石モーターの回転子温度を同時に監視する。
【0011】
選択可能に、システムパラメータ及び回転子の第1温度に基づいて回転子の第2温度を取得するステップは具体的に、システムパラメータに基づき、サンプリング時間間隔内の回転子温度変化量を決定するステップと、第1温度及び回転子温度変化量に基づき、第2温度を決定するステップと、を含む。
【0012】
選択可能に、システムパラメータに基づき、サンプリング時間間隔内の回転子温度変化量を決定するステップは具体的に、第1式に基づいて回転子温度変化量を決定するステップを含み、第1式は以下の通りである。
【数1】
【0013】
選択可能に、第1温度及び第2温度に基づき、回転子の第3温度を推定するステップは具体的に、第1温度及び第2温度に基づき、回転子温度変化量を決定するステップと、第2温度及び回転子温度変化量に基づき、第3温度を推定するステップと、を含む。
【0014】
上記技術案では、システムパラメータに基づいてサンプリング時間間隔内の回転子温度変化量を決定する。次に、第1温度及び回転子温度変化量に基づいて第2温度を決定し、さらに回転子の後のサンプリング時間での第3温度をさらに推定して、自己加熱動作条件下での回転子の温度を推定することを実現できる。
【0015】
選択可能に、方法は、永久磁石モーターの損失及び放熱電力に基づき、永久磁石モーターの昇温電力を決定するステップと、永久磁石モーターの固定子コアの昇温電力及び固定子巻線の昇温電力を取得するステップと、永久磁石モーターの昇温電力、固定子巻線の昇温電力及び固定子コアの昇温電力に基づき、回転子の昇温に使用される電力を決定するステップと、をさらに含む。
【0016】
選択可能に、永久磁石モーターの損失及び放熱電力に基づき、永久磁石モーターの昇温電力を決定するステップの前、方法は、固定子コアの損失、固定子巻線の損失及び回転子の渦電流損失に基づき、永久磁石モーターの損失を計算するステップをさらに含む。
【0017】
選択可能に、永久磁石モーターの固定子コアの昇温電力及び固定子巻線の昇温電力を取得するステップは具体的に、サンプリング時間間隔内の固定子コアの温度変化量及び固定子巻線の温度変化量を取得するステップと、固定子コアの温度変化量、固定子コアの質量及び固定子コアの材料比熱容量に基づき、固定子コアの昇温電力を決定するステップと、固定子巻線の温度変化量、固定子巻線の質量及び固定子巻線の材料比熱容量に基づき、固定子巻線の昇温電力を決定するステップと、を含む。
【0018】
上記技術案では、回転子が静止状態にあることを考慮した場合、固定子巻線の損失、固定子コアの損失及び回転子の渦電流損失を計算することで、モーターの総損失を得て、さらにモーターの放熱効率、固定子巻線及び固定子コアの昇温電力を組み合わせて、回転子の昇温に使用される電力を決定し、さらに該システムパラメータに基づいて回転子温度をさらに推定することができる。
【0019】
選択可能に、方法は、第2式に基づいて回転子の渦電流損失を決定するステップをさらに含み、第2式は以下の通りである。
【数2】
【0020】
第2態様では、本願はモーターコントローラを提供し、システムパラメータ及び永久磁石モーターの回転子の第1温度に基づいて回転子の第2温度を取得するための取得モジュールであって、システムパラメータは、回転子の材料比熱容量、回転子の質量及びサンプリング時間間隔内の回転子の昇温に使用される電力を含み、第1温度は回転子の第1サンプリング時間での温度であり、第2温度は回転子の第2サンプリング時間での温度であり、第2サンプリング時間は現在のサンプリング時間であり、第1サンプリング時間は第2サンプリング時間の前のサンプリング時間である取得モジュールと、第1温度及び第2温度に基づき、回転子の第3温度を推定するための推定モジュールであって、第3温度は回転子の第3サンプリング時間での温度であり、第3サンプリング時間は第2サンプリング時間の後のサンプリング時間である推定モジュールと、第3温度が回転子の消磁温度に達した場合、駆動用バッテリーの自己加熱を停止するための制御モジュールと、を備える。
【0021】
選択可能に、モーターコントローラは収集モジュールをさらに備え、収集モジュールは駆動用バッテリーのセルの第2サンプリング時間でのセル温度を収集することに用いられ、制御モジュールはさらに、セル温度がセルの指定温度に達した場合、駆動用バッテリーの自己加熱を停止することに用いられる。
【0022】
選択可能に、取得モジュールは具体的に、システムパラメータに基づき、サンプリング時間間隔内の回転子温度変化量を決定することと、第1温度及び回転子温度変化量に基づき、第2温度を決定することと、に用いられる。
【0023】
選択可能に、取得モジュールは具体的に、第1式に基づいて回転子温度変化量を決定することに用いられ、第1式は以下の通りである。
【数3】
【0024】
選択可能に、推定モジュールは具体的に、第1温度及び第2温度に基づき、回転子温度変化量を決定することと、第2温度及び回転子温度変化量に基づき、第3温度を推定することと、に用いられる。
【0025】
選択可能に、取得モジュールはさらに、永久磁石モーターの損失及び放熱電力に基づき、永久磁石モーターの昇温電力を決定することと、永久磁石モーターの固定子コアの昇温電力及び固定子巻線の昇温電力を取得することと、永久磁石モーターの昇温電力、固定子巻線の昇温電力及び固定子コアの昇温電力に基づき、回転子の昇温に使用される電力を決定することと、に用いられる。
【0026】
選択可能に、取得モジュールはさらに、固定子コアの損失、固定子巻線の損失及び回転子の渦電流損失に基づき、永久磁石モーターの損失を計算することに用いられる。
【0027】
選択可能に、取得モジュールは具体的に、サンプリング時間間隔内の固定子コアの温度変化量及び固定子巻線の温度変化量を取得することと、固定子コアの温度変化量、固定子コアの質量及び固定子コアの材料比熱容量に基づき、固定子コアの昇温電力を決定することと、固定子巻線の温度変化量、固定子巻線の質量及び固定子巻線の材料比熱容量に基づき、固定子巻線の昇温電力を決定することと、に用いられる。
【0028】
選択可能に、取得モジュールはさらに、第2式に基づいて回転子の渦電流損失を決定することに用いられ、第2式は以下の通りである。
【数4】
【0029】
第3態様では、本願は動力システムを提供し、永久磁石モーター、駆動用バッテリー、インバーター及びモーターコントローラを備え、モーターコントローラは第1態様及び選択可能な技術案に関する駆動用バッテリーの自己加熱制御方法を実行することに用いられる。
【0030】
第4態様では、本願は電気自動車を提供し、動力システムを備え、動力システムは、永久磁石モーター、駆動用バッテリー、インバーター及びモーターコントローラを備え、モーターコントローラは第1態様及び選択可能な技術案に関する駆動用バッテリーの自己加熱制御方法を実行することに用いられる。
【0031】
第5態様では、本願は制御装置を提供し、メモリ及びプロセッサを備え、メモリはプロセッサが実行可能な命令を記憶するためのメモリであり、プロセッサは第1態様及び選択可能な技術案に関する駆動用バッテリーの自己加熱制御方法を実行するように構成される。
【0032】
第6態様では、本願はコンピュータ可読記憶媒体を提供し、コンピュータ可読記憶媒体にはコンピュータ実行命令が記憶され、コンピュータ実行命令がプロセッサによって実行されると、第1態様及び選択可能な技術案に関する駆動用バッテリーの自己加熱制御方法を実現することに用いられる。
【0033】
本願は駆動用バッテリーの自己加熱制御方法及び装置を提供し、システムパラメータ及び回転子の前のサンプリング時間での第1温度に基づいて回転子の現在のサンプリング時間での第2温度を取得し、第1温度及び第2温度に基づいて回転子の後のサンプリング時間での第3温度を推定し、第3温度が回転子の消磁温度に達した場合、駆動用バッテリーの自己加熱を停止する。本願は、回転子の自己加熱動作条件下での回転子温度を推定し、回転子温度を回転子の消磁温度と比較することで、駆動用バッテリーの自己加熱を停止するか否かを決定し、さらに駆動用バッテリーの自己加熱の制御を実現する。
【0034】
本願の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下、本願の実施例に使用される必要がある図面を簡単に説明し、明らかなように、以下に説明される図面は本願のいつくかの実施例に過ぎず、当業者が、創造的な労働を必要とせずに、さらに図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本願の一実施例に開示されている動力システムの構造模式図である。
図2】本願の一実施例に開示されている駆動用バッテリーの構造模式図である。
図3】本願の一実施例に開示されている駆動用バッテリーの自己加熱制御方法の模式的なフローチャートである。
図4】本願の別の実施例に開示されている駆動用バッテリーの自己加熱制御方法の模式的なフローチャートである。
図5】本願の一実施例に開示されている駆動用バッテリーの自己加熱制御方法の原理図である。
図6】本願の一実施例に開示されているモーターコントローラの構造原理図である。
図7】本願の一実施例に開示されている制御装置の構造原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図面では、図面は実際の比例で描かれていない。
【0037】
以下、図面及び実施例を参照しながら、本願の実施形態をさらに詳細に説明する。以下の実施例の詳細な説明及び図面は、本願の原理を例示的に説明するためのものに過ぎず、本願の範囲を限定するものではなく、すなわち、本願は説明される実施例に限定されない。
【0038】
本願の説明では、説明する必要があるように、特に説明されない限り、「複数」は2つ以上を意味し、「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などの用語が示す方位又は位置関係は、本願を容易に説明し及び説明を簡素化するためのものに過ぎず、示す装置又は素子が必ず特定の方位を有し、特定の方位で構築及び操作されることを指示又は暗示しないため、本願を限定するものとして理解できない。また、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、説明するためのものに過ぎず、相対的な重要性を指示又は暗示するものとして理解できない。「垂直」は厳密な意味での垂直ではなく、誤差許容範囲内のものである。「平行」は厳密な意味での平行ではなく、誤差許容範囲内のものである。
【0039】
以下の説明に現れる方位詞はいずれも図示される方向であり、本願の具体的な構造を限定するものではない。本願の説明では、説明する必要があるように、特に明確に規定及び限定されない限り、「装着」、「接続」、「連結」という用語は広い意味で理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能な接続又は一体的な接続であってもよく、直接接続であってもよく、中間媒体を介した間接的接続であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本願での具体的な意味を理解することができる。
【0040】
電気自動車とは、駆動用バッテリーが動力を供給する自動車である。図1に示すように、電気自動車の動力システム100は、駆動用バッテリー10、インバーター20、モーター30及びモーターコントローラ(MCU:Motor Controller Unit)40を備える。駆動用バッテリー10の正負極はインバーター20の直流側に接続され、インバーター20の交流側はモーター30の固定子巻線に接続される。駆動用バッテリー10はインバーター20を介してモーターに給電する。MCU40には複数の入力端が設けられ、モーター動作状態データ、及びモーター制御命令を受信することに用いられる。MCU40はモーター制御命令、モーター動作状態データ及び駆動用バッテリーの動作状態データに基づき、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)信号を生成し、インバーターからモーター30に供給された電圧及び電流の大きさを制御し、モーター回転数を制御して、自動車の走行速度の制御を実現する。
【0041】
図2に示すように、駆動用バッテリー10はバッテリーモジュール101、バッテリー管理システム(BMS:Battery Management System)102、及び補助構造103を備える。バッテリーモジュール101は複数の動力セルを直列及び並列に接続して形成され、動力セルは駆動用バッテリーの中核部材であり、駆動用バッテリーが電気エネルギーを供給する供給源である。バッテリー管理システム102の主な機能は充放電管理、高電圧制御、バッテリー状態の評価、バッテリーデータの収集、バッテリー保護及びバッテリー熱管理を行うことである。補助構造103は、通常、外部フレーム、電気接続装置及び絶縁部材などを備える。外部フレームはバッテリーモジュールを保護し、支持するなどの役割を果たし、電気接続装置は、インバーターなどの他の電力消費機器に接続する役割を果たし、絶縁部材は絶縁保護の役割を果たす。
【0042】
バッテリー管理システム102の熱管理機能は駆動用バッテリーが適切な温度範囲内に動作することを確保することに用いられる。熱管理機能は主にバッテリー温度の正確な測定及び監視、バッテリーパックの温度が高すぎる時の効果的な放熱、低温条件下での急速加熱を実現し、及びバッテリーパックの温度場の均一な分布を確保することである。低温条件下での急速加熱は、セル温度が低い場所で使用される場合、駆動用バッテリーが最適な性能を安定して発揮するように、駆動用バッテリーを定格のセル温度まで加熱する必要があることを意味する。
【0043】
既存の駆動用バッテリー加熱方式は間接加熱及び直接加熱に分けることができる。間接加熱とは、駆動用バッテリーの外部に熱源を配置して加熱することを指す。間接加熱方法は、空気加熱、液体加熱、及び加熱フィルムによる加熱などであってもよい。加熱源の異なりによって、バッテリーの加熱速度も異なる。外部熱源によってバッテリーを加熱し、熱伝導媒体上に熱損失を発生させ、従って、間接加熱の効率が高くない。
【0044】
直接加熱とは、内部で駆動用バッテリーを加熱することを指す。一般的な直接加熱方式は、内部抵抗による加熱であり、具体的には、インバーターの制御端にPWM信号を入力し、モーターを静止に維持させ、駆動用バッテリー及び固定子巻線が閉回路を形成し、固定子巻線が電気エネルギーを貯蔵する。固定子巻線のインダクタンス特性により、固定子巻線はバッテリーに交番電流を供給し、駆動用バッテリーは交番電流が自体を流れる内部抵抗を使用して加熱する。駆動用バッテリーの内部抵抗が低温環境で大きいため、駆動用バッテリーの加熱効率が高くなる。
【0045】
駆動用バッテリーの自己加熱技術は、加熱効率が高いため、電気自動車に幅広く応用される。バッテリーの自己加熱技術が永久磁石式同期モーターに応用される場合、駆動用バッテリーの自己加熱では、回転子が静止状態を維持するため、回転子に大量の渦電流を誘導し、回転子の渦電流損失に起因して回転子の温度を上昇させ、回転子の永久磁石の温度が臨界温度を超える場合、回転子の永久磁石が不可逆的に消磁され、モーターの正常使用に影響を与える。従って、駆動用バッテリーを自己加熱する場合、回転子温度をリアルタイムに監視する必要がある。
【0046】
現在、回転子温度の推定はモーターの通常の動作条件下で行われる。静止又は拘束の動作条件下でのモーターの場合、モーターの動作状態が変化するため、既存の回転子温度の推定方法は適用できなくなる。
【0047】
本願は駆動用バッテリーの自己加熱制御方法及び装置を提供し、上記問題を解決することを目的とする。本願の発明構想は以下のとおりである。発明者は、自己加熱動作条件下で、永久磁石モーターの回転子が静止状態にあり、固定子巻線がエネルギー貯蔵素子として交番電流を供給することを発見し、従って、回転子温度を推定する場合、固定子コアの損失、回転子の損失及び固定子巻線の損失の合計をモーターの損失として、さらにモーターの損失、モーターの放熱、固定子巻線の昇温電力及び固定子コアの昇温電力に基づいて回転子の昇温電力を計算し、次に回転子の昇温電力に基づいて回転子温度を推定する。回転子の静止状態での回転子温度を推定し、回転子温度を回転子の消磁温度と比較することで、駆動用バッテリーの自己加熱を停止するか否かを決定し、さらに駆動用バッテリーの自己加熱の制御を実現する。
【0048】
図3に示すように、本願の実施例1は駆動用バッテリーの自己加熱制御方法を提供し、該方法の実行本体はMCUであり、該方法は以下のステップを含む。
【0049】
S201、システムパラメータ及び永久磁石モーターの回転子の第1温度に基づいて回転子の第2温度を取得する。
【0050】
システムパラメータは、回転子の材料比熱容量、回転子の質量及びサンプリング時間間隔内の回転子の昇温に使用される電力を含む。
【0051】
第1温度は回転子の第1サンプリング時間での温度であり、第2温度は回転子の第2サンプリング時間での温度である。第2サンプリング時間は現在のサンプリング時間であり、第1サンプリング時間は第2サンプリング時間の前のサンプリング時間である。
【0052】
S202、第1温度及び第2温度に基づき、回転子の第3温度を推定する。
【0053】
第3温度は回転子の第3サンプリング時間での温度であり、第3サンプリング時間は第2サンプリング時間の後のサンプリング時間である。
【0054】
S203、第3温度が回転子の消磁温度に達したか否かを判断し、YESであれば、S204に進み、そうでなければ、S205に進む。
【0055】
S204、駆動用バッテリーの自己加熱を停止する。
【0056】
MCUは加熱を停止するモーター制御命令を生成し、インバーターを制御することで駆動用バッテリーの加熱を停止する。
【0057】
S205、駆動用バッテリーの自己加熱を継続する。
【0058】
MCUは加熱を継続するモーター制御命令を生成し、インバーターを制御することで永久磁石モーターに駆動用バッテリーの加熱を継続させる。
【0059】
本願の実施例に係る制御方法では、先ず自己加熱動作条件下での回転子温度を推定し、次に回転子温度を回転子の消磁温度と比較し、駆動用バッテリーの自己加熱を停止するか否かを決定し、駆動用バッテリーの自己加熱過程の制御を実現する。
【0060】
図4に示すように、本願の実施例2は駆動用バッテリーの自己加熱制御方法を提供し、該方法の実行本体はMCUであり、該方法は以下のステップを含む。
【0061】
S301、システムパラメータ及び永久磁石モーターの回転子の第1温度に基づいて回転子の第2温度を取得する。
【0062】
以下の方式で回転子の第2温度を取得する。すなわち、システムパラメータに基づいてサンプリング時間間隔内の回転子温度変化量を決定する。第1温度及び回転子温度変化量に基づき、第2温度を決定する。
【0063】
第1式に基づいて回転子温度変化量を決定し、第1式は以下のとおりである。
【数5】
【0064】
回転子温度変化量を決定した後、第1温度と回転子温度変化量を加算して、第2温度を取得することができる。システムパラメータに基づいてサンプリング時間間隔内の回転子温度変化量を得て、前のサンプリング時間での回転子温度及び算出された回転子温度変化量に基づいて現在のサンプリング時間での回転子温度を取得して、自己加熱動作条件下での回転子温度の推定を実現する。
【0065】
S302、第1温度及び第2温度に基づき、回転子の第3温度を推定する。
【0066】
以下の方式で回転子の第3温度を推定する。すなわち、第1温度及び第2温度に基づいて回転子温度変化量を決定し、第2温度及び回転子温度変化量に基づいて第3温度を推定する。
【0067】
第2温度と第1温度を減算し、サンプリング時間間隔内の回転子温度変化量を決定する。次に回転子の現在のサンプリング時間での第2温度とサンプリング時間間隔内の回転子温度変化量を加算して、回転子の後のサンプリング時間での第3温度を決定することができる。
【0068】
第1温度が回転子の初期サンプリング時間での温度を表す場合、回転子が位置する環境温度を初期サンプリング時間での温度として使用する。
【0069】
S303、第3温度が回転子の消磁温度に達したか否かを判断し、YESであれば、S304に進み、そうでなければ、S305に進む。
【0070】
S304、駆動用バッテリーの自己加熱を停止する。
【0071】
S305、駆動用バッテリーのセルの第2サンプリング時間でのセル温度を収集する。
【0072】
駆動用バッテリーの内部に配置されるセンサによって駆動用バッテリーのセルの第2サンプリング時間でのセル温度を収集する。
【0073】
説明する必要があるように、ここではS305及びS306をステップS304の後に実行することは限定されず、すなわち、セル温度の収集及びセル温度の判断ステップが、回転子温度が消磁温度に達したか否かを判断するステップの後に実行されることは限定されず、S301~S304のうちのいずれか1つのステップの前に実行されてもよい。
【0074】
S306、セル温度がセルの指定温度に達したか否かを判断し、判断結果がYESであれば、S304に進み、そうでなければ、S307に進む。
【0075】
セルの指定温度はセルの材料に応じて決定されるものであり、駆動用バッテリーのセル温度が指定温度に達した場合、駆動用バッテリーは最適な性能を達成することができる。セル温度に基づいて駆動用バッテリーの自己加熱を停止するか否かを決定することで、セル温度がセルの指定温度に達した場合、自己加熱を停止することを実現し、駆動用バッテリーの自己加熱過程の制御を実現する。
【0076】
S307、駆動用バッテリーの自己加熱を継続して、S301に移行する。
【0077】
本願の実施例に係る制御方法では、システムパラメータに基づいてサンプリング時間間隔内の回転子温度変化量を決定する。次に第1温度及び回転子温度変化量に基づき、第2温度を決定する。さらに回転子の後のサンプリング時間での第3温度をさらに推定し、推定して自己加熱動作条件下での回転子温度を得た後、回転子温度及び回転子の消磁温度に基づいて駆動用バッテリーの自己加熱を停止するか否かを決定し、駆動用バッテリーの自己加熱の制御を実現する。
【0078】
以下、図5を参照して本願の実施例3に係る駆動用バッテリーの自己加熱制御方法を説明し、該方法の実行本体はMCUであり、該方法は以下のステップを含む。
【0079】
S401、永久磁石モーターのシステムパラメータを取得する。
【0080】
システムパラメータは、回転子の材料比熱容量、回転子の質量及びサンプリング時間間隔内の回転子の昇温に使用される電力を含む。
【0081】
第2式に基づいて回転子の渦電流損失
【数6】
を決定し、第2式は以下のとおりである。
【数7】
【0082】
以下の方式でサンプリング時間間隔内の回転子の昇温に使用される電力
【数8】
を取得する。すなわち、永久磁石モーターの損失及び放熱電力
【数9】
に基づいて永久磁石モーターの昇温電力を決定し、永久磁石モーターの固定子コアの昇温電力及び固定子巻線の昇温電力を取得し、永久磁石モーターの昇温電力、固定子巻線の昇温電力及び固定子コアの昇温電力に基づき、回転子の昇温に使用される電力
【数10】
を決定する。
【0083】
以下の方式で永久磁石モーターの損失を計算する。すなわち、固定子コアの損失
【数11】
、固定子巻線の損失
【数12】
及び回転子の渦電流損失
【数13】
に基づいて永久磁石モーターの損失を計算する。
【0084】
以下の式(3)に基づいて固定子コアの損失
【数14】
を計算する。
【数15】
【0085】
以下の式(4)に基づいて固定子巻線の損失
【数16】
を計算する。
【数17】
【0086】
式(2)~(4)に基づいてそれぞれ回転子の渦電流損失
【数18】
、固定子コアの損失
【数19】
及び固定子巻線の損失
【数20】
を算出した後、固定子コアの損失
【数21】
、固定子巻線の損失
【数22】
及び回転子の渦電流損失
【数23】
を加算して、永久磁石モーターの損失を取得することができる。
【0087】
モーターの冷却構造に応じて永久磁石モーターの放熱電力
【数24】
を計算し、永久磁石モーターが水冷を用いる場合、以下の式(5)に基づいて放熱電力
【数25】
を計算することができる。
【数26】
【0088】
説明する必要があるように、異なる冷却構造は異なる放熱モデルに対応し、対応する放熱量も変化する。
【0089】
永久磁石モーターの損失及び放熱電力
【数27】
を取得した後、永久磁石モーターの損失と放熱電力
【数28】
を減算して、永久磁石モーターの昇温電力
【数29】
を取得することができる。
【0090】
以下の方式で永久磁石モーターの固定子コアの昇温電力及び固定子巻線の昇温電力を取得する。すなわち、サンプリング時間間隔内の固定子コアの温度変化量及び固定子巻線の温度変化量を取得し、固定子コアの温度変化量、固定子コアの質量
【数30】
及び固定子コアの材料比熱容量
【数31】
に基づいて固定子コアの昇温電力
【数32】
を決定し、固定子巻線の温度変化量、固定子巻線の質量
【数33】
及び固定子巻線の材料比熱容量
【数34】
に基づいて固定子巻線の昇温電力
【数35】
を決定する。
【0091】
以下の式に基づいて固定子コアの昇温電力を計算する。
【数36】
【0092】
以下の式に基づいて固定子巻線の昇温電力を計算する。
【数37】
【0093】
永久磁石モーターの昇温電力、固定子巻線の昇温電力及び固定子コアの昇温電力を取得した後、永久磁石モーターの昇温電力から固定子巻線の昇温電力を差し引き、固定子コアの昇温電力を差し引いて、回転子の昇温に使用される電力
【数38】
を取得することができる。
【0094】
具体的には、以下の式(8)に基づいて回転子の昇温に使用される電力を計算することができる。
【数39】
【0095】
上記技術案では、モーターの損失及びモーターの放熱電力に基づいてモーターの昇温電力を決定し、次にモーターの昇温電力、固定子コアの昇温電力及び固定子巻線の昇温電力に基づいて回転子の昇温電力を算出し、さらに回転子の昇温電力に基づいて回転子温度をさらに推定することができる。
【0096】
S402、システムパラメータ及び永久磁石モーターの回転子の第1温度に基づいて回転子の第2温度を取得する。
【0097】
式(1)に基づいて回転子温度変化量
【数40】
を算出した後、以下の式に基づいて第2温度を計算する。
【数41】
【0098】
S403、第1温度及び第2温度に基づいて回転子の第3温度を推定する。
【0099】
式(9)に基づいて第2温度を算出した後、回転子の現在の昇温速度
【数42】
を計算し、具体的な計算式(10)は以下のとおりである。
【数43】
【0100】
次に現在の回転子の昇温速度に基づき、後のサンプリング時間での回転子温度
【数44】
を予測し、その計算式(11)は以下のとおりである。
【数45】
【0101】
MCUのサンプリング時間間隔が同じであるため、式(10)及び(11)は以下の式(12)に簡素化できる。
【数46】
【0102】
S404、第3温度が回転子の消磁温度に達したか否かを判断し、YESであれば、S405に進み、そうでなければ、S406に進む。
【0103】
S405、駆動用バッテリーの自己加熱を停止する。
【0104】
S406、駆動用バッテリーのセルの第2サンプリング時間でのセル温度を収集する。
【0105】
S407、セル温度がセルの指定温度に達したか否かを判断し、判断結果がYESであれば、S405に進み、そうでなければ、S408に進む。
【0106】
S408、駆動用バッテリーの自己加熱を継続して、S401に移行する。
【0107】
本願の実施例に係る制御方法では、回転子が静止状態にあることを考慮した場合、固定子巻線の損失、固定子コアの損失及び回転子の渦電流損失を計算して、モーターの総損失を得て、次にモーターの放熱電力を差し引いて、モーターの総昇温電力を決定することができ、総昇温電力から固定子巻線及び固定子コアの昇温電力を差し引いて、回転子の昇温に使用される電力を決定することができ、さらに該システムパラメータに基づいて回転子温度をさらに推定することができ、上記方式で推定して自己加熱動作条件下での回転子温度を得て、次に回転子温度を回転子の消磁温度と比較し、比較結果に基づいて駆動用バッテリーの自己加熱を停止するか否かを決定し、駆動用バッテリーの自己加熱過程の制御を実現する。
【0108】
以下、本願の実施例4に係る駆動用バッテリーの自己加熱制御方法を説明し、該方法の実行本体はMCUであり、該方法は以下のステップを含む。
【0109】
S501、永久磁石モーターのシステムパラメータを取得する。
【0110】
固定子巻線に配置される電流センサによって固定子巻線の電流を収集し、固定子巻線及び固定子コアに配置される温度センサによって固定子巻線温度TCu及び固定子コア温度Tを収集し、且つ環境に配置される温度センサによって環境温度を収集する。
【0111】
モーターコントローラMCUによって各センサが収集したデータを収集し、さらに永久磁石モーターの固定子巻線電流振幅I、固定子巻線に供給された電流周波数f、永久磁石モーターの固定子巻線温度TCu、永久磁石モーターのモーター固定子コア温度T及び環境温度Tを取得し、且つ環境温度を回転子の初期サンプリング時間での初期温度として使用する。
【0112】
シミュレーション及び実験的ベンチマークによって、回転子の拘束動作条件下で、固定子巻線に供給された異なる電流に対応する固定子磁束密度Bと回転子磁束密度Bの磁束密度対応表を作成する。
【0113】
固定子コアの表面及び固定子巻線の端部の温度センサによって固定子コアの温度及び固定子巻線の温度変化量を測定し、さらに固定子巻線の昇温電力及び固定子コアの昇温電力を算出する。
【0114】
電流センサによって固定子巻線の電流及び周波数を測定し、固定子巻線の損失を算出する。磁束密度対応表を検索することで、加熱電流の大きさに対応する固定子磁束密度及び回転子磁束密度を決定し、固定子コアの損失及び回転子の渦電流損失を算出する。
【0115】
MCUは各センサのデータを収集した後、固定子巻線に供給された電流に基づいて固定子磁束密度Bを決定し、次に式(1)~(8)に基づき、サンプリング時間間隔内の回転子の昇温に使用される電力を算出する。MCUはさらに回転子の材料比熱容量及び回転子の質量をロードする必要がある。
【0116】
S502、システムパラメータ及び永久磁石モーターの回転子の第1温度に基づいて回転子の第2温度を取得する。
【0117】
式(9)を使用して回転子の現在のサンプリング時間での第2温度を計算する。
【0118】
S503、第1温度及び第2温度に基づいて回転子の第3温度を推定する。
【0119】
式(12)を使用して回転子の後のサンプリング時間での温度を予測する。
【0120】
S504、第3温度が回転子の消磁温度に達したか否かを判断し、YESであれば、S505に進み、そうでなければ、S506に進む。
【0121】
S505、駆動用バッテリーの自己加熱を停止し、加熱時間を統計する。
【0122】
予測された回転子温度が回転子の消磁温度に達した場合、駆動用バッテリーの加熱を停止し、駆動用バッテリーの加熱時間を統計し、方法は終了する。
【0123】
S506、駆動用バッテリーのセルの第2サンプリング時間でのセル温度を収集する。
【0124】
駆動用バッテリーの内部に配置される温度センサによってセル温度を収集し、BMSによって温度センサが取得したセル温度を収集し、BMSとMCUとの通信により、BMSによってセル温度をモーターコントローラMCUに送信する。
【0125】
S507、セル温度がセルの指定温度に達したか否かを判断し、判断結果がYESであれば、S505に進み、そうでなければ、S508に進む。
【0126】
S508、駆動用バッテリーの自己加熱を継続して、S501に移行する。
【0127】
本願の実施例に係る制御方法では、固定子及び環境に配置されるセンサによってデータを収集し、上記データに基づいてシステムパラメータを決定し、さらに上記システムパラメータに基づいて回転子温度を推定し、自己加熱動作条件下での回転子温度を取得した後、回転子温度を回転子の消磁温度と比較し、駆動用バッテリーの自己加熱を停止するか否かを決定し、駆動用バッテリーの自己加熱過程の制御を実現する。
【0128】
図6に示すように、本願はモーターコントローラを提供し、該モーターコントローラは上記実施例の永久磁石モーターの自己加熱制御方法における各ステップを実行することに用いられ、該モーターコントローラ600は、システムパラメータ及び永久磁石モーターの回転子の第1温度に基づいて回転子の第2温度を取得するための取得モジュール601であって、システムパラメータは、回転子の材料比熱容量、回転子の質量及びサンプリング時間間隔内の回転子の昇温に使用される電力を含み、第1温度は回転子の第1サンプリング時間での温度であり、第2温度は回転子の第2サンプリング時間での温度であり、第2サンプリング時間は現在のサンプリング時間であり、第1サンプリング時間は第2サンプリング時間の前のサンプリング時間である取得モジュール601と、第1温度及び第2温度に基づき、回転子の第3温度を推定するための推定モジュール602であって、第3温度は回転子の第3サンプリング時間での温度であり、第3サンプリング時間は第2サンプリング時間の後のサンプリング時間である推定モジュール602と、第3温度が回転子の消磁温度に達した場合、駆動用バッテリーの自己加熱を停止するための制御モジュール603と、を備える。
【0129】
選択可能に、モーターコントローラは収集モジュール604をさらに備え、収集モジュール604は駆動用バッテリーのセルの第2サンプリング時間でのセル温度を収集することに用いられ、制御モジュール603はさらに、セル温度がセルの指定温度に達した場合、駆動用バッテリーの自己加熱を停止することに用いられる。
【0130】
選択可能に、取得モジュール601は具体的に、システムパラメータに基づき、サンプリング時間間隔内の回転子温度変化量を決定することと、第1温度及び回転子温度変化量に基づき、第2温度を決定することと、に用いられる。
【0131】
選択可能に、取得モジュール601は具体的に、第1式に基づいて回転子温度変化量を決定することに用いられ、第1式は以下の通りである。
【数47】
【0132】
選択可能に、推定モジュール602は具体的に、第1温度及び第2温度に基づき、回転子温度変化量を決定することと、第2温度及び回転子温度変化量に基づき、第3温度を推定することと、に用いられる。
【0133】
選択可能に、取得モジュール601はさらに、永久磁石モーターの損失及び放熱電力に基づき、永久磁石モーターの昇温電力を決定することと、永久磁石モーターの固定子コアの昇温電力及び固定子巻線の昇温電力を取得することと、永久磁石モーターの昇温電力、固定子巻線の昇温電力及び固定子コアの昇温電力に基づき、回転子の昇温に使用される電力を決定することと、に用いられる。
【0134】
選択可能に、取得モジュール601はさらに、固定子コアの損失、固定子巻線の損失及び回転子の渦電流損失に基づき、永久磁石モーターの損失を計算することに用いられる。
【0135】
選択可能に、取得モジュール601は具体的に、サンプリング時間間隔内の固定子コアの温度変化量及び固定子巻線の温度変化量を取得することと、固定子コアの温度変化量、固定子コアの質量及び固定子コアの材料比熱容量に基づき、固定子コアの昇温電力を決定することと、固定子巻線の温度変化量、固定子巻線の質量及び固定子巻線の材料比熱容量に基づき、固定子巻線の昇温電力を決定することと、に用いられる。
【0136】
選択可能に、取得モジュール601はさらに、第2式に基づいて回転子の渦電流損失を決定することに用いられ、第2式は以下の通りである。
【数48】
【0137】
図7に示すように、本実施例に係る制御装置700は、メモリ701及びプロセッサ702を備える。
【0138】
メモリ701は、コンピュータ実行命令を記憶することに用いられ、プロセッサ702は、メモリに記憶されるコンピュータ実行命令を実行して、上記実施例の永久磁石モーターの自己加熱制御方法によって実行される各ステップを実現することに用いられる。具体的には、上記永久磁石モーターの自己加熱制御方法の実施例における関連説明を参照すればよい。
【0139】
選択可能に、上記メモリ701は独立してもよく、プロセッサ702と集積されてもよい。
【0140】
メモリ701が独立して設置される場合、該制御装置はメモリ701とプロセッサ702を接続するためのバスをさらに備える。
【0141】
本願の実施例はコンピュータ可読記憶媒体をさらに提供し、コンピュータ可読記憶媒体にはコンピュータ実行命令が記憶され、プロセッサがコンピュータ実行命令を実行すると、上記制御装置によって実行される永久磁石モーターの自己加熱制御方法を実現する。
【0142】
好ましい実施例を参照して本願を説明したが、本願の範囲から逸脱することなく、様々な改良を行い、等価物でその中の部材を置き換えることができる。特に、構造上の矛盾がない限り、各実施例に記載されている各技術的特徴をいずれも任意の方式で組み合わせることができる。本願は、本明細書に開示されている特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲にあるすべての技術案を含む。
【符号の説明】
【0143】
10 駆動用バッテリー
20 インバーター
30 モーター
40 モーターコントローラ(MCU:Motor Controller Unit)
100 動力システム
101 バッテリーモジュール
102 バッテリー管理システム(BMS:Battery Management System)
103 補助構造
600 モーターコントローラ
601 取得モジュール
602 推定モジュール
603 制御モジュール
604 収集モジュール
700 制御装置
701 メモリ
702 プロセッサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2021-11-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動用バッテリーの自己加熱制御方法であって、
システムパラメータ及び永久磁石モーターの回転子の第1温度に基づいて前記回転子の第2温度を取得するステップであって、前記システムパラメータは、前記回転子の材料比熱容量、前記回転子の質量及びサンプリング時間間隔内の前記回転子の昇温に使用される電力を含み、前記第1温度は前記回転子の第1サンプリング時間での温度であり、前記第2温度は前記回転子の第2サンプリング時間での温度であり、前記第2サンプリング時間は現在のサンプリング時間であり、前記第1サンプリング時間は前記第2サンプリング時間の前のサンプリング時間であるステップと、
前記第1温度及び前記第2温度に基づき、前記回転子の第3温度を推定するステップであって、前記第3温度は前記回転子の第3サンプリング時間での温度であり、前記第3サンプリング時間は前記第2サンプリング時間の後のサンプリング時間であるステップと、
前記第3温度が前記回転子の消磁温度に達した場合、前記駆動用バッテリーの自己加熱を停止するステップと、
を含む駆動用バッテリーの自己加熱制御方法。
【請求項2】
前記自己加熱制御方法は、
前記駆動用バッテリーのセルの前記第2サンプリング時間でのセル温度を収集するステップと、
前記セル温度が前記セルの指定温度に達した場合、前記駆動用バッテリーの自己加熱を停止するステップと、
をさらに含む請求項1に記載の自己加熱制御方法。
【請求項3】
前記システムパラメータ及び前記回転子の第1温度に基づいて前記回転子の第2温度を取得するステップは具体的に、
前記システムパラメータに基づき、前記サンプリング時間間隔内の回転子温度変化量を決定するステップと、
前記第1温度及び前記回転子温度変化量に基づき、前記第2温度を決定するステップと、
を含む請求項1に記載の自己加熱制御方法。
【請求項4】
前記システムパラメータに基づき、前記サンプリング時間間隔内の回転子温度変化量を決定するステップは具体的に、
第1式に基づいて前記回転子温度変化量を決定するステップを含み、前記第1式は以下の式である請求項3に記載の自己加熱制御方法。
【数1】
【請求項5】
前記第1温度及び前記第2温度に基づき、前記回転子の第3温度を推定するステップは具体的に、
前記第1温度及び前記第2温度に基づき、回転子温度変化量を決定するステップと、
前記第2温度及び前記回転子温度変化量に基づき、前記第3温度を推定するステップと、
を含む請求項1~4のいずれか1項に記載の自己加熱制御方法。
【請求項6】
前記自己加熱制御方法は、
永久磁石モーターの損失及び放熱電力に基づき、永久磁石モーターの昇温電力を決定するステップと、
永久磁石モーターの固定子コアの昇温電力及び固定子巻線の昇温電力を取得するステップと、
前記永久磁石モーターの昇温電力、前記固定子巻線の昇温電力及び前記固定子コアの昇温電力に基づき、前記回転子の昇温に使用される電力を決定するステップと、
をさらに含む請求項1~4のいずれか1項に記載の自己加熱制御方法。
【請求項7】
前記永久磁石モーターの損失及び放熱電力に基づき、永久磁石モーターの昇温電力を決定するステップの前、前記自己加熱制御方法は、
固定子コアの損失、固定子巻線の損失及び回転子の渦電流損失に基づき、前記永久磁石モーターの損失を計算するステップをさらに含む請求項6に記載の自己加熱制御方法。
【請求項8】
永久磁石モーターの固定子コアの昇温電力及び固定子巻線の昇温電力を取得するステップは具体的に、
前記サンプリング時間間隔内の固定子コアの温度変化量及び固定子巻線の温度変化量を取得するステップと、
前記固定子コアの温度変化量、前記固定子コアの質量及び前記固定子コアの材料比熱容量に基づき、前記固定子コアの昇温電力を決定するステップと、
前記固定子巻線の温度変化量、前記固定子巻線の質量及び前記固定子巻線の材料比熱容量に基づき、前記固定子巻線の昇温電力を決定するステップと、
を含む請求項6に記載の自己加熱制御方法。
【請求項9】
前記自己加熱制御方法は、
第2式に基づいて前記回転子の渦電流損失を決定するステップをさらに含み、前記第2式は以下の式である請求項1~4のいずれか1項に記載の自己加熱制御方法。
【数2】
【請求項10】
モーターコントローラであって、
システムパラメータ及び永久磁石モーターの回転子の第1温度に基づいて前記回転子の第2温度を取得するための取得モジュールであって、前記システムパラメータは、前記回転子の材料比熱容量、前記回転子の質量及びサンプリング時間間隔内の前記回転子の昇温に使用される電力を含み、前記第1温度は前記回転子の第1サンプリング時間での温度であり、前記第2温度は前記回転子の第2サンプリング時間での温度であり、前記第2サンプリング時間は現在のサンプリング時間であり、前記第1サンプリング時間は前記第2サンプリング時間の前のサンプリング時間である取得モジュールと、
前記第1温度及び前記第2温度に基づき、前記回転子の第3温度を推定するための推定モジュールであって、前記第3温度は前記回転子の第3サンプリング時間での温度であり、前記第3サンプリング時間は前記第2サンプリング時間の後のサンプリング時間である推定モジュールと、
前記第3温度が前記回転子の消磁温度に達した場合、前記駆動用バッテリーの自己加熱を停止するための制御モジュールと、
を備えるモーターコントローラ。
【請求項11】
前記モーターコントローラは収集モジュールをさらに備え、
前記収集モジュールは前記駆動用バッテリーのセルの前記第2サンプリング時間でのセル温度を収集することに用いられ、
前記制御モジュールはさらに、前記セル温度が前記セルの指定温度に達した場合、前記駆動用バッテリーの自己加熱を停止することに用いられる請求項10に記載のモーターコントローラ。
【請求項12】
前記取得モジュールは具体的に、
前記システムパラメータに基づき、前記サンプリング時間間隔内の回転子温度変化量を決定することと、
前記第1温度及び前記回転子温度変化量に基づき、前記第2温度を決定することと、に用いられる請求項10に記載のモーターコントローラ。
【請求項13】
前記取得モジュールは具体的に、
第1式に基づいて前記回転子温度変化量を決定することに用いられ、前記第1式は以下の式である請求項12に記載のモーターコントローラ。
【数3】
【請求項14】
前記推定モジュールは具体的に、
前記第1温度及び前記第2温度に基づき、回転子温度変化量を決定することと、
前記第2温度及び前記回転子温度変化量に基づき、前記第3温度を推定することと、に用いられる請求項10~13のいずれか1項に記載のモーターコントローラ。
【請求項15】
前記取得モジュールはさらに、
永久磁石モーターの損失及び放熱電力に基づき、永久磁石モーターの昇温電力を決定することと、
永久磁石モーターの固定子コアの昇温電力及び固定子巻線の昇温電力を取得することと、
前記永久磁石モーターの昇温電力、固定子巻線の昇温電力及び前記固定子コアの昇温電力に基づき、前記回転子の昇温に使用される電力を決定することと、に用いられる請求項10~13のいずれか1項に記載のモーターコントローラ。
【請求項16】
前記取得モジュールはさらに、
固定子コアの損失、固定子巻線の損失及び回転子の渦電流損失に基づき、前記永久磁石モーターの損失を計算することに用いられる請求項15に記載のモーターコントローラ。
【請求項17】
前記取得モジュールは具体的に、
前記サンプリング時間間隔内の固定子コアの温度変化量及び固定子巻線の温度変化量を取得することと、
前記固定子コアの温度変化量、前記固定子コアの質量及び前記固定子コアの材料比熱容量に基づき、前記固定子コアの昇温電力を決定することと、
前記固定子巻線の温度変化量、前記固定子巻線の質量及び前記固定子巻線の材料比熱容量に基づき、前記固定子巻線の昇温電力を決定することと、に用いられる請求項15に記載のモーターコントローラ。
【請求項18】
前記取得モジュールはさらに、
第2式に基づいて前記回転子の渦電流損失を決定することに用いられ、前記第2式は以下の式である請求項10~13のいずれか1項に記載のモーターコントローラ。
【数4】
【請求項19】
永久磁石モーター、駆動用バッテリー、インバーター及び請求項10~18のいずれか1項に記載のモーターコントローラを備える動力システム。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動用バッテリーの自己加熱制御方法であって、
システムパラメータ及び永久磁石モーターの回転子の第1温度に基づいて前記回転子の第2温度を取得するステップであって、前記システムパラメータは、前記回転子の材料比熱容量、前記回転子の質量及びサンプリング時間間隔内の前記回転子の昇温に使用される電力を含み、前記第1温度は前記回転子の第1サンプリング時間での温度であり、前記第2温度は前記回転子の第2サンプリング時間での温度であり、前記第2サンプリング時間は現在のサンプリング時間であり、前記第1サンプリング時間は前記第2サンプリング時間の前のサンプリング時間であるステップと、
前記第1温度及び前記第2温度に基づき、前記回転子の第3温度を推定するステップであって、前記第3温度は前記回転子の第3サンプリング時間での温度であり、前記第3サンプリング時間は前記第2サンプリング時間の後のサンプリング時間であるステップと、
前記第3温度が前記回転子の消磁温度に達した場合、前記駆動用バッテリーの自己加熱を停止するステップと、
を含む駆動用バッテリーの自己加熱制御方法。
【請求項2】
前記自己加熱制御方法は、
前記駆動用バッテリーのセルの前記第2サンプリング時間でのセル温度を収集するステップと、
前記セル温度が前記セルの指定温度に達した場合、前記駆動用バッテリーの自己加熱を停止するステップと、
をさらに含む請求項1に記載の自己加熱制御方法。
【請求項3】
前記システムパラメータ及び前記回転子の第1温度に基づいて前記回転子の第2温度を取得するステップは具体的に、
前記システムパラメータに基づき、前記サンプリング時間間隔内の回転子温度変化量を決定するステップと、
前記第1温度及び前記回転子温度変化量に基づき、前記第2温度を決定するステップと、
を含む請求項1に記載の自己加熱制御方法。
【請求項4】
前記システムパラメータに基づき、前記サンプリング時間間隔内の回転子温度変化量を決定するステップは具体的に、
第1式に基づいて前記回転子温度変化量を決定するステップを含み、前記第1式は以下の式である請求項3に記載の自己加熱制御方法。
【数1】
【請求項5】
前記第1温度及び前記第2温度に基づき、前記回転子の第3温度を推定するステップは具体的に、
前記第1温度及び前記第2温度に基づき、回転子温度変化量を決定するステップと、
前記第2温度及び前記回転子温度変化量に基づき、前記第3温度を推定するステップと、
を含む請求項1~4のいずれか1項に記載の自己加熱制御方法。
【請求項6】
前記自己加熱制御方法は、
永久磁石モーターの損失及び放熱電力に基づき、永久磁石モーターの昇温電力を決定するステップと、
永久磁石モーターの固定子コアの昇温電力及び固定子巻線の昇温電力を取得するステップと、
前記永久磁石モーターの昇温電力、前記固定子巻線の昇温電力及び前記固定子コアの昇温電力に基づき、前記回転子の昇温に使用される電力を決定するステップと、
をさらに含む請求項1~4のいずれか1項に記載の自己加熱制御方法。
【請求項7】
前記永久磁石モーターの損失及び放熱電力に基づき、永久磁石モーターの昇温電力を決定するステップの前、前記自己加熱制御方法は、
固定子コアの損失、固定子巻線の損失及び回転子の渦電流損失に基づき、前記永久磁石モーターの損失を計算するステップをさらに含む請求項6に記載の自己加熱制御方法。
【請求項8】
永久磁石モーターの固定子コアの昇温電力及び固定子巻線の昇温電力を取得するステップは具体的に、
前記サンプリング時間間隔内の固定子コアの温度変化量及び固定子巻線の温度変化量を取得するステップと、
前記固定子コアの温度変化量、前記固定子コアの質量及び前記固定子コアの材料比熱容量に基づき、前記固定子コアの昇温電力を決定するステップと、
前記固定子巻線の温度変化量、前記固定子巻線の質量及び前記固定子巻線の材料比熱容量に基づき、前記固定子巻線の昇温電力を決定するステップと、
を含む請求項6に記載の自己加熱制御方法。
【請求項9】
前記自己加熱制御方法は、
第2式に基づいて前記回転子の渦電流損失を決定するステップをさらに含み、前記第2式は以下の式である請求項1~4のいずれか1項に記載の自己加熱制御方法。
【数2】
【請求項10】
モーターコントローラであって、
システムパラメータ及び永久磁石モーターの回転子の第1温度に基づいて前記回転子の第2温度を取得するための取得モジュールであって、前記システムパラメータは、前記回転子の材料比熱容量、前記回転子の質量及びサンプリング時間間隔内の前記回転子の昇温に使用される電力を含み、前記第1温度は前記回転子の第1サンプリング時間での温度であり、前記第2温度は前記回転子の第2サンプリング時間での温度であり、前記第2サンプリング時間は現在のサンプリング時間であり、前記第1サンプリング時間は前記第2サンプリング時間の前のサンプリング時間である取得モジュールと、
前記第1温度及び前記第2温度に基づき、前記回転子の第3温度を推定するための推定モジュールであって、前記第3温度は前記回転子の第3サンプリング時間での温度であり、前記第3サンプリング時間は前記第2サンプリング時間の後のサンプリング時間である推定モジュールと、
前記第3温度が前記回転子の消磁温度に達した場合、駆動用バッテリーの自己加熱を停止するための制御モジュールと、
を備えるモーターコントローラ。
【請求項11】
前記モーターコントローラは収集モジュールをさらに備え、
前記収集モジュールは前記駆動用バッテリーのセルの前記第2サンプリング時間でのセル温度を収集することに用いられ、
前記制御モジュールはさらに、前記セル温度が前記セルの指定温度に達した場合、前記駆動用バッテリーの自己加熱を停止することに用いられる請求項10に記載のモーターコントローラ。
【請求項12】
前記取得モジュールは具体的に、
前記システムパラメータに基づき、前記サンプリング時間間隔内の回転子温度変化量を決定することと、
前記第1温度及び前記回転子温度変化量に基づき、前記第2温度を決定することと、に用いられる請求項10に記載のモーターコントローラ。
【請求項13】
前記取得モジュールは具体的に、
第1式に基づいて前記回転子温度変化量を決定することに用いられ、前記第1式は以下の式である請求項12に記載のモーターコントローラ。
【数3】
【請求項14】
前記推定モジュールは具体的に、
前記第1温度及び前記第2温度に基づき、回転子温度変化量を決定することと、
前記第2温度及び前記回転子温度変化量に基づき、前記第3温度を推定することと、に用いられる請求項10~13のいずれか1項に記載のモーターコントローラ。
【請求項15】
前記取得モジュールはさらに、
永久磁石モーターの損失及び放熱電力に基づき、永久磁石モーターの昇温電力を決定することと、
永久磁石モーターの固定子コアの昇温電力及び固定子巻線の昇温電力を取得することと、
前記永久磁石モーターの昇温電力、固定子巻線の昇温電力及び前記固定子コアの昇温電力に基づき、前記回転子の昇温に使用される電力を決定することと、に用いられる請求項10~13のいずれか1項に記載のモーターコントローラ。
【請求項16】
前記取得モジュールはさらに、
固定子コアの損失、固定子巻線の損失及び回転子の渦電流損失に基づき、前記永久磁石モーターの損失を計算することに用いられる請求項15に記載のモーターコントローラ。
【請求項17】
前記取得モジュールは具体的に、
前記サンプリング時間間隔内の固定子コアの温度変化量及び固定子巻線の温度変化量を取得することと、
前記固定子コアの温度変化量、前記固定子コアの質量及び前記固定子コアの材料比熱容量に基づき、前記固定子コアの昇温電力を決定することと、
前記固定子巻線の温度変化量、前記固定子巻線の質量及び前記固定子巻線の材料比熱容量に基づき、前記固定子巻線の昇温電力を決定することと、に用いられる請求項15に記載のモーターコントローラ。
【請求項18】
前記取得モジュールはさらに、
第2式に基づいて前記回転子の渦電流損失を決定することに用いられ、前記第2式は以下の式である請求項10~13のいずれか1項に記載のモーターコントローラ。
【数4】
【請求項19】
永久磁石モーター、駆動用バッテリー、インバーター及び請求項10~18のいずれか1項に記載のモーターコントローラを備える動力システム。
【国際調査報告】