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特表2022-539982立方形及びフッ化不動態化を有する青色発光ナノクリスタル
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  • 特表-立方形及びフッ化不動態化を有する青色発光ナノクリスタル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-14
(54)【発明の名称】立方形及びフッ化不動態化を有する青色発光ナノクリスタル
(51)【国際特許分類】
   C01B 19/04 20060101AFI20220907BHJP
   C09K 11/88 20060101ALI20220907BHJP
   C09K 11/08 20060101ALI20220907BHJP
   C09K 11/67 20060101ALI20220907BHJP
   C09K 11/61 20060101ALI20220907BHJP
   C09K 11/56 20060101ALI20220907BHJP
   C09K 11/70 20060101ALI20220907BHJP
   B82Y 20/00 20110101ALI20220907BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20220907BHJP
   H01L 33/28 20100101ALI20220907BHJP
   H01L 33/06 20100101ALI20220907BHJP
   H05B 33/14 20060101ALI20220907BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20220907BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALN20220907BHJP
【FI】
C01B19/04 W
C09K11/88 ZNM
C09K11/08 G
C09K11/67
C09K11/61
C09K11/08 A
C09K11/56
C09K11/70
C01B19/04 C
B82Y20/00
B82Y40/00
H01L33/28
H01L33/06
H05B33/14 Z
G02B5/20
G02F1/13357
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021574800
(86)(22)【出願日】2020-07-10
(85)【翻訳文提出日】2022-02-10
(86)【国際出願番号】 US2020041551
(87)【国際公開番号】W WO2021007494
(87)【国際公開日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】62/872,866
(32)【優先日】2019-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/941,228
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505082822
【氏名又は名称】ナノシス・インク.
【住所又は居所原語表記】233 S.Hillview Drive Milpitas,CA 95035 U.S.A
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ニューメイヤー,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】イッペン,クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】マ,ルイシン
(72)【発明者】
【氏名】バレラ,ディエゴ
(72)【発明者】
【氏名】マンダース,ジェシー ロバート
【テーマコード(参考)】
2H148
2H391
3K107
4H001
5F241
【Fターム(参考)】
2H148AA07
2H391AB04
2H391AB06
2H391AB34
2H391EA05
3K107AA06
3K107BB01
3K107BB02
3K107CC04
3K107CC07
3K107CC45
3K107DD57
3K107DD58
3K107FF12
3K107FF13
3K107FF14
4H001CA02
4H001CC07
4H001CC08
4H001CC09
4H001CC13
4H001CF01
4H001XA01
4H001XA06
4H001XA07
4H001XA09
4H001XA15
4H001XA16
4H001XA30
4H001XA34
4H001XA40
4H001XA49
4H001XA52
4H001XA72
5F241AA03
5F241CA04
5F241CA38
5F241CA43
5F241CA67
5F241FF01
5F241FF11
(57)【要約】
本開示は、ナノテクノロジーの分野に関する。本開示は、フッ化不動態化によってナノ構造を調製する方法を提供する。また本開示は、フッ化及びアミン不動態化によってナノ構造を調製する方法も提供する。ナノ構造は、高い量子収量、狭い発光ピーク幅、調整可能な発光波長とコロイド安定性を有する。本方法を使用して調製されるナノ構造も提供される。そして、ナノ構造膜及びナノ構造を含む成型品も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノクリスタルコアを含むコアと、
前記コア上に配置される少なくとも1つのシェルとを含み、
前記少なくとも1つのシェルがZnS及びフッ化物を含む、ナノ構造。
【請求項2】
前記コアがZnSe1-xTeを含み、且つ0≦x<1である、請求項1に記載のナノ構造。
【請求項3】
前記少なくとも1つのシェルがZnSeを含む、請求項1又は2に記載のナノ構造。
【請求項4】
前記少なくとも1つのシェルが、ZnSeを含む第1のシェル、並びにZnS及びフッ化物を含む第2のシェルを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のナノ構造。
【請求項5】
前記フッ化物が、金属フッ化物、フッ化アンモニウム又はフッ化テトラアルキルアンモニウムの形態である、請求項1~4のいずれか一項に記載のナノ構造。
【請求項6】
前記フッ化物が、ZnF、HfF又はZrFを含む金属フッ化物の形態である、請求項1~5のいずれか一項に記載のナノ構造。
【請求項7】
前記ナノ構造中の亜鉛に対する前記ナノ構造のフッ化物のモル比が約0.05~約0.35である、請求項1~6のいずれか一項に記載のナノ構造。
【請求項8】
前記ナノ構造が、
ZnSeを含むコア、並びにZnS及びZnFを含む少なくとも1つのシェル、
ZnSeを含むコア、ZnSeを含む少なくとも1つのシェル、並びにZnS及びZnFを含む少なくとも1つのシェル、
ZnSe1-xTe(式中、0≦x<1である)を含むコア、並びにZnS及びZnFを含む少なくとも1つのシェル、又は
ZnSe1-xTe(式中、0≦x<1である)を含むコア、ZnSeを含む少なくとも1つのシェル、並びにZnS及びZnFを含む少なくとも1つのシェル
を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のナノ構造。
【請求項9】
(a)ナノクリスタルコアを提供すること、
(b)任意選択的に、(a)の前記コアを亜鉛供給源及びセレン供給源と混合し、ZnSeシェルを有するコアを提供すること、
(c)(a)の前記コア又は(b)のZnSeシェルを有する前記コアをフッ化物供給源と混合すること、
(d)(c)の前記混合物中に亜鉛供給源及び硫黄供給源を含む溶液を浸出すること
を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のナノ構造の調製方法。
【請求項10】
ZnSe又はZnSe1-xTe(式中、0≦x<1である)及び第1の金属フッ化物を含むコアと、
前記コア上に配置される少なくとも1つのシェルとを含み、
前記少なくとも1つのシェルがZnS及び任意選択的に第2の金属フッ化物を含む、ナノ構造。
【請求項11】
前記第1の金属フッ化物がZnF、HfF又はZrFを含む、請求項10に記載のナノ構造。
【請求項12】
前記第2の金属フッ化物がZnF、HfF又はZrFを含む、請求項10又は11に記載のナノ構造。
【請求項13】
前記ナノ構造中の亜鉛に対する前記ナノ構造のフッ化物のモル比が約0.05~約0.35である、請求項10~12のいずれか一項に記載のナノ構造。
【請求項14】
前記ナノ構造が、
ZnSe及びZnF、HfF又はZrFを含む金属フッ化物を含むコア;並びにZnS及びZnF、HfF又はZrFを含む金属フッ化物を含む少なくとも1つのシェル;
ZnSe及びZnF、HfF又はZrFを含む金属フッ化物を含むコア;ZnSeを含む少なくとも1つのシェル、並びにZnS及びZnF、HfF又はZrFを含む金属フッ化物を含む少なくとも1つのシェル;
ZnSe及びZnF、HfF又はZrFを含む金属フッ化物を含むコア;並びZnSを含む少なくとも1つのシェル;
ZnSe及びZnF、HfF又はZrFを含む金属フッ化物を含むコア;ZnSeを含む少なくとも1つのシェル;並びにZnSを含む少なくとも1つのシェル;
ZnSe1-xTe(式中、0<x<1である)及びZnF、HfF又はZrFを含む金属フッ化物を含むコア;並びにZnS及びZnF、HfF又はZrFを含む金属フッ化物を含む少なくとも1つのシェル;
ZnSe1-xTe(式中、0<x<1である)及びZnF、HfF又はZrFを含む金属フッ化物を含むコア;ZnSeを含む少なくとも1つのシェル;並びにZnS及びZnF、HfF又はZrFを含む金属フッ化物を含む少なくとも1つのシェル;
ZnSe1-xTe(式中、0<x<1である)及びZnF、HfF又はZrFを含む金属フッ化物を含むコア;並びにZnSを含む少なくとも1つのシェル;或いは
ZnSe1-xTe(式中、0<x<1である)及びZnF、HfF又はZrFを含む金属フッ化物を含むコア;ZnSeを含む少なくとも1つのシェル;並びにZnSを含む少なくとも1つのシェル
を含む、請求項10~13のいずれか一項に記載のナノ構造。
【請求項15】
ナノ構造を提供するために、
(a)亜鉛供給源、セレン供給源及び第1の金属フッ化物供給源の溶液を混合し、ZnSe又はZnSe1-xTe(式中、0≦x<1である)及び第1の金属フッ化物を含むコアを提供すること、
(b)任意選択的に、(a)の前記コアを亜鉛供給源及びセレン供給源と混合し、ZnSeシェルを有するコアを提供すること、
(c)任意選択的に、(a)のコア又は(b)のZnSeシェルを有する前記コアを第2の金属フッ化物供給源と混合すること、並びに
(d)(a)、(b)又は(c)の前記混合物中に亜鉛供給源及び硫黄供給源を含む溶液を浸出すること
を混合することを含む、請求項10~14のいずれか一項に記載のナノ構造の調製方法。
【請求項16】
前記ナノ構造が約60%~約99%の光ルミネセンス量子収量を示す、請求項1~8又は請求項10~14のいずれか一項に記載のナノ構造。
【請求項17】
前記ナノ構造が量子ドットである、請求項1~8又は請求項10~14のいずれか一項に記載のナノ構造。
【請求項18】
請求項1~8又は請求項10~14のいずれか一項に記載のナノ構造を含むデバイス。
【請求項19】
請求項1~8又は請求項10~14のいずれか一項に記載のナノ構造、及び少なくとも1つの有機樹脂を含む、膜。
【請求項20】
請求項19に記載の膜を含む成型品。
【請求項21】
ナノクリスタルコアを含むコアと、
前記コア上に配置される、ZnS又はZnSeを含む少なくとも1つのシェルと、
ナノ構造の表面に結合した少なくとも1つのフッ化物と、
ナノ構造の表面に結合した少なくとも1つのアミンと
を含む、ナノ構造。
【請求項22】
前記コアがInPを含む、請求項21に記載のナノ構造。
【請求項23】
前記少なくとも1つのシェルがZnSeを含む、請求項21又は22に記載のナノ構造。
【請求項24】
前記少なくとも1つのシェルが、ZnSeを含む第1のシェル、並びにZnSを含む第2のシェルを含む、請求項21~23のいずれか一項に記載のナノ構造。
【請求項25】
前記フッ化物が、金属フッ化物、フッ化アンモニウム又はフッ化テトラアルキルアンモニウムの形態である、請求項21~24のいずれか一項に記載のナノ構造。
【請求項26】
前記フッ化物がフッ化テトラアルキルアンモニウムの形態である、請求項21~25のいずれか一項に記載のナノ構造。
【請求項27】
前記ナノ構造中の亜鉛に対する前記ナノ構造に結合したフッ化物のモル比が約0.05~約0.35である、請求項21~26のいずれか一項に記載のナノ構造。
【請求項28】
前記ナノ構造が、InPを含むコアと、ZnSを含む少なくとも1つのシェルと、ZnSeを含む少なくとも1つのシェルと、前記ナノ構造の表面に結合したフッ化テトラアルキルアンモニウムと、前記ナノ構造の表面に結合したオクチルアミンとを含むナノ構造を含む、請求項21~27のいずれか一項に記載のナノ構造。
【請求項29】
前記ナノ構造が450nm~550nmのピーク発光波長を有する、請求項21~28のいずれか一項に記載のナノ構造。
【請求項30】
前記ナノ構造が550nm~650nmのピーク発光波長を有する、請求項21~29のいずれか一項に記載のナノ構造。
【請求項31】
前記ナノ構造が約60%~約99%の光ルミネセンス量子収量を示す、請求項21~30のいずれか一項に記載のナノ構造。
【請求項32】
前記ナノ構造が約60%~約90%の光ルミネセンス量子収量を示す、請求項21~31のいずれか一項に記載のナノ構造。
【請求項33】
前記ナノ構造が量子ドットである、請求項21~32のいずれか一項に記載のナノ構造。
【請求項34】
請求項21~33のいずれか一項に記載のナノ構造を含むデバイス。
【請求項35】
請求項21~33のいずれか一項に記載のナノ構造、及び少なくとも1つの有機樹脂を含む、膜。
【請求項36】
請求項35に記載の膜を含む成型品。
【請求項37】
ナノ構造を提供するために、
(a)ナノクリスタルコアと、前記コア上に配置される、ZnS又はZnSeを含む少なくとも1つのシェルとを含むナノ構造、
(b)少なくとも1つのフッ化物供給源、及び
(c)少なくとも1つのアミン供給源
を混合することを含む、請求項21~33のいずれか一項に記載のナノ構造の調製方法。
【請求項38】
前記ナノ構造の表面に結合した少なくとも1つのアミンをさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のナノ構造。
【請求項39】
前記ナノ構造の表面に結合した少なくとも1つのアミンをさらに含む、請求項10~14のいずれか一項に記載のナノ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示は、ナノテクノロジーの分野に関する。本開示は、フッ化不動態化によってナノ構造を調製する方法を提供する。また本開示は、フッ化及びアミン不動態化によってナノ構造を調製する方法も提供する。ナノ構造は、高い量子収量、狭い発光ピーク幅、調整可能な発光波長とコロイド安定性を有する。本方法を使用して調製されるナノ構造も提供される。そして、ナノ構造膜及びナノ構造を含む成型品も提供される。
【背景技術】
【0002】
[0002] 様々な電子デバイス及び光学デバイス中に半導体ナノ構造を組み込むことができる。そのようなナノ構造の電気特性及び光学特性は、例えば、それらの組成、形状及びサイズ次第で多様である。例えば、半導体ナノ粒子のサイズ調整可能な特性は、発光ダイオード(LED)及び液晶ディスプレー(LCD)などの用途に関して非常に興味深い。高度に発光性のナノ構造は、そのような用途に関して特に望ましい。
【0003】
[0003] 長鎖アルキル配位子の立体容積は、充填の限界のため、半導体ナノクリスタルの表面上で不十分な配位子被覆をもたらす可能性がある。同様に、丸型粒子の表面は、配位子による不動態化が困難になるおそれのある段差、くぼみ及びよじれを示す。量子ドットの表面上のそのような不動態化されていない部位は、電位が量子ドット全体に適用される時に正孔トラップとして作用する中間ギャップ状態を導くおそれがある。正孔はHTL-QD界面において蓄積し、作動電圧の上昇及び不可逆的な電気化学分解を導くであろう。
【0004】
[0004] ほとんどの量子ドットのネイティブ(native)配位子の組合せ(例えば、カルボキシレート及びホスフィン)は疎水性であり、したがって、これらのネイティブ配位子を含む量子ドットは広範囲の有機媒体中で可溶性ではなく、量子ドット膜の調製において一般に使用されるマトリックス材料と適合しない。これらの問題を解決するために配位子交換を使用することができるが、交換は表面トラップ状態に影響し得、したがって、量子ドットの光ルミネセンス量子収量に影響し得る。例えば、金属カルボキシレート錯体は、種々のルイス塩基を使用して、カルボキシレート末端ME錯体(ME=CdSe、CdS、PbSe又はPbS)から容易に置換された(Anderson, N.C., et al., J. Am. Chem. Soc. 135: 18536-18548 (2013))。しかしながら、CdSe及びCdSナノクリスタルからの表面結合Cd(OCR)(R=オレイル又はテトラデシル)の最高90%までの除去によって、CdSeナノクリスタルに関しては10%から<1%まで、そしてCdSナノクリスタルに関しては20%から<1%までの光ルミネセンス量子収量の減少がもたらされることが判明した。したがって、それらの非線形独立のみならず、Cd(OCR)がアミン結合によって同時に置換されることが可能であるため、光ルミネセンス量子収量及び連結は単純に関連しないことが判明した。
【0005】
[0005] 高い量子収量、狭い発光ピーク幅、調整可能な発光波長及びコロイド安定性を有するナノ構造を製造することが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
[0006] いくつかの実施形態において、本開示は、ナノクリスタルコアを含むコアと;コア上に配置される、ZnS及びフッ化物を含む少なくとも1つのシェルとを含むナノ構造を提供する。
【0007】
[0007] いくつかの実施形態において、コアはZnSe、ZnSeTe、InP又はInAsを含む。いくつかの実施形態において、コアは、ZnSe1-xTe(式中、0≦x<1である)を含む。
【0008】
[0008] いくつかの実施形態において、ナノ構造は2つのシェルを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのシェルはZnSeを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのシェルはZnSe及びフッ化物を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのシェルは、ZnSeを含む第1のシェル、並びにZnS及びフッ化物を含む第2のシェルを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのシェルは、ZnSe及びフッ化物を含む第1のシェル、並びにZnS及びフッ化物を含む第2のシェルを含む。
【0009】
[0009] いくつかの実施形態において、フッ化物は、金属フッ化物、フッ化アンモニウム又はフッ化テトラアルキルアンモニウムの形態である。いくつかの実施形態において、フッ化物は、ZnF、HfF又はZrFを含む金属フッ化物の形態である。いくつかの実施形態において、金属フッ化物はZnFである。
【0010】
[0010] いくつかの実施形態において、少なくとも1つのシェルは、ZnS及びZnFを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのシェルは、ZnSe及びZnFを含む。
【0011】
[0011] いくつかの実施形態において、フッ化物は、フッ化テトラブチルアンモニウム、フッ化テトラプロピルアンモニウム、フッ化ジイソプロピルジメチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム及びフッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、フッ化ジヘキサデシルジメチルアンモニウム、フッ化ジテトラデシルジメチルアンモニウム、フッ化ジドデシルジメチルアンモニウム、フッ化ジデシルジメチルアンモニウム、フッ化ジオクチルジメチルアンモニウム、フッ化ビス(エチルヘキシル)ジメチルアンモニウム、フッ化オクタデシルトリメチルアンモニウム、フッ化オレイルトリメチルアンモニウム、フッ化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、フッ化テトラデシルトリメチルアンモニウム、フッ化ドデシルトリメチルアンモニウム、フッ化デシルトリメチルアンモニウム、フッ化オクチルトリメチルアンモニウム、フッ化フェニルエチルトリメチルアンモニウム、フッ化ベンジルトリメチルアンモニウム、フッ化フェニルトリメチルアンモニウム、フッ化ベンジルヘキサデシルジメチルアンモニウム、フッ化ベンジルテトラデシルジメチルアンモニウム、フッ化ベンジルドデシルジメチルアンモニウム、フッ化ベンジルデシルジメチルアンモニウム、フッ化ベンジルオクチルジメチルアンモニウム、フッ化ベンジルトリブチルアンモニウム、又はフッ化ベンジルトリエチルアンモニウムを含むフッ化テトラアルキルアンモニウムの形態である。いくつかの実施形態において、フッ化テトラアルキルアンモニウムは、フッ化テトラブチルアンモニウムである。
【0012】
[0012] いくつかの実施形態において、ナノ構造中の亜鉛に対するナノ構造に結合したフッ化物のモル比は、約0.05~約0.33である。
【0013】
[0013] いくつかの実施形態において、ナノ構造中の亜鉛に対するナノ構造に結合したフッ化物のモル比は約0.13である。いくつかの実施形態において、ナノ構造中の亜鉛に対するナノ構造に結合したフッ化物のモル比は約0.32である。
【0014】
[0014] いくつかの実施形態において、ナノ構造は溶媒をさらに含む。いくつかの実施形態において、溶媒は非極性溶媒である。いくつかの実施形態において、非極性溶媒は、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン又はその混合物を含む。いくつかの実施形態において、非極性溶媒はオクタンである。いくつかの実施形態において、非極性溶媒はヘキサンである。
【0015】
[0015] いくつかの実施形態において、ナノ構造は約60%~約99%の光ルミネセンス量子収量を示す。いくつかの実施形態において、ナノ構造は約70%~約99%の光ルミネセンス量子収量を示す。
【0016】
[0016] いくつかの実施形態において、ナノ構造は、ZnSeを含むコア、並びにZnS及びZnFを含む少なくとも1つのシェルを含む。いくつかの実施形態において、ナノ構造は、ZnSeを含むコア、ZnSeを含む少なくとも1つのシェル、並びにZnS及びZnFを含む少なくとも1つのシェルを含む。いくつかの実施形態において、ナノ構造は、ZnSeを含むコア、ZnSe及びZnFを含む少なくとも1つのシェル、並びにZnS及びZnFを含む少なくとも1つのシェルを含む。いくつかの実施形態において、ナノ構造は、ZnSe1-xTe(式中、0≦x<1である)を含むコア、並びにZnS及びZnFを含む少なくとも1つのシェルを含む。いくつかの実施形態において、ナノ構造は、ZnSe1-xTe(式中、0≦x<1である)を含むコア、ZnSeを含む少なくとも1つのシェル、並びにZnS及びZnFを含む少なくとも1つのシェルを含む。いくつかの実施形態において、ナノ構造は、ZnSe1-xTe(式中、0≦x<1である)を含むコア、ZnSe及びZnFを含む少なくとも1つのシェル、並びにZnS及びZnFを含む少なくとも1つのシェルを含む。
【0017】
[0017] いくつかの実施形態において、ナノ構造は量子ドットである。いくつかの実施形態において、ナノ構造は実質的に立方形である。
【0018】
[0018] いくつかの実施形態において、本開示は、ナノ構造を提供するために、
(a)ナノクリスタルコアを提供すること;
(b)任意選択的に、(a)のコアを亜鉛供給源及びセレン供給源と混合し、ZnSeシェルを有するコアを提供すること;
(c)(a)のコア又は(b)のZnSeシェルを有するコアをフッ化物供給源と混合すること;並びに
(d)(c)の混合物中に亜鉛供給源及び硫黄供給源を含む溶液を浸出すること
を含む、ナノ構造を調製する方法を提供する。
【0019】
[0019] いくつかの実施形態において、コアはZnSe、ZnSeTe、InP又はInAsを含む。いくつかの実施形態において、コアは、ZnSe1-xTe(式中、0≦x<1である)を含む。いくつかの実施形態において、コアはZnSeを含む。
【0020】
[0020] いくつかの実施形態において、(b)での混合は、約250℃~約350℃の温度における。いくつかの実施形態において、(b)での混合は、約310℃の温度における。
【0021】
[0021] いくつかの実施形態において、(b)での混合は、(a)のコアを、亜鉛供給源、セレン供給源及び任意選択的にフッ化物供給源と混合して、ZnSe及びフッ化物を含むシェルを有するコアを提供することを含む。いくつかの実施形態において、フッ化物供給源は、金属フッ化物、NHF又はフッ化テトラアルキルアンモニウムを含む。いくつかの実施形態において、フッ化物供給源は、ZnF、HfF又はZrFを含む金属フッ化物である。いくつかの実施形態において、フッ化物供給源はZnFである。
【0022】
[0022] いくつかの実施形態において、(c)での混合は、約70℃~約130℃の温度における。いくつかの実施形態において、(c)での混合は、約100℃の温度における。
【0023】
[0023] いくつかの実施形態において、(d)での浸出は、約250℃~約350℃の温度における。いくつかの実施形態において、(d)での浸出は、約310℃の温度における。
【0024】
[0024] いくつかの実施形態において、(d)での浸出は、約0.05mL/分~約2.0mL/分の浸出速度における。いくつかの実施形態において、(d)での浸出は、約0.1mL/分の浸出速度における。
【0025】
[0025] いくつかの実施形態において、(b)のセレン供給源は、セレン化トリオクチルホスフィン、セレン化トリ(n-ブチル)ホスフィン、セレン化トリ(sec-ブチル)ホスフィン、セレン化トリ(tert-ブチル)ホスフィン、セレン化トリメチルホスフィン、セレン化トリフェニルホスフィン、セレン化ジフェニルホスフィン、セレン化フェニルホスフィン、セレン化シクロヘキシルホスフィン、オクタセレノール、ドデカセレノール、セレノフェノール、元素セレン、セレン化水素、セレン化ビス(トリメチルシリル)又はその混合物を含む。いくつかの実施形態において、(b)のセレン供給源は、セレン化トリオクチルホスフィンである。
【0026】
[0026] いくつかの実施形態において、(b)の亜鉛供給源は、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛、酢酸亜鉛、亜鉛アセチルアセトネート、ヨウ化亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、フッ化亜鉛、炭酸亜鉛、シアン化亜鉛、硝酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、酸化亜鉛、過酸化亜鉛、過塩素酸亜鉛、硫酸亜鉛、ヘキサン酸亜鉛、オクタン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸亜鉛又はその混合物を含む。いくつかの実施形態において、(b)の亜鉛供給源は、オレイン酸亜鉛である。
【0027】
[0027] いくつかの実施形態において、(c)のフッ化物供給源は、金属フッ化物、NHF又はフッ化テトラアルキルアンモニウムを含む。いくつかの実施形態において、(c)のフッ化物供給源は、ZnF、HfF又はZrFを含む金属フッ化物である。いくつかの実施形態において、(c)のフッ化物供給源は、ZnFである。
【0028】
[0028] いくつかの実施形態において、(d)の亜鉛供給源は、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛、酢酸亜鉛、亜鉛アセチルアセトネート、ヨウ化亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、フッ化亜鉛、炭酸亜鉛、シアン化亜鉛、硝酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、酸化亜鉛、過酸化亜鉛、過塩素酸亜鉛、硫酸亜鉛、ヘキサン酸亜鉛、オクタン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸亜鉛又はその混合物を含む。いくつかの実施形態において、(d)の亜鉛供給源は、オレイン酸亜鉛である。
【0029】
[0029] いくつかの実施形態において、(d)の硫黄供給源は、硫化トリオクチルホスフィン、元素硫黄、オクタンチオール、ドデカンチオール、オクタデカンチオール、硫化トリブチルホスフィン、イソチオシアン酸シクロヘキシル、α-トルエンチオール、トリチオ炭酸エチレン、アリルメルカプタン、硫化ビス(トリメチルシリル)、硫化トリオクチルホスフィン又はその組合せを含む。いくつかの実施形態において、(d)の硫黄供給源は、硫化トリオクチルホスフィンである。
【0030】
[0030] いくつかの実施形態において、本開示は、ZnSe又はZnSe1-xTe(式中、0≦x<1である)及び第1の金属フッ化物を含むコアと;コア上に配置される、ZnS及び任意選択的に第2の金属フッ化物を含む少なくとも1つのシェルとを含むナノ構造を提供する。
【0031】
[0031] いくつかの実施形態において、コアはZnSeを含む。いくつかの実施形態において、コアは、ZnSe1-xTe(式中、0≦x<1である)を含む。
【0032】
[0032] いくつかの実施形態において、ナノ構造は2つのシェルを含む。
【0033】
[0033] いくつかの実施形態において、第1の金属フッ化物は、ZnF、HfF又はZrFを含む。いくつかの実施形態において、第1の金属フッ化物は、ZrFである。
【0034】
[0034] いくつかの実施形態において、第2の金属フッ化物は、ZnF、HfF又はZrFを含む。いくつかの実施形態において、第2の金属フッ化物は、ZrFである。
【0035】
[0035] いくつかの実施形態において、少なくとも1つのシェルは、ZnS及びZrFを含む。
【0036】
[0036] いくつかの実施形態において、ナノ構造中の亜鉛に対するナノ構造のフッ化物のモル比は、約0.05~約0.35である。
【0037】
[0037] いくつかの実施形態において、ナノ構造は溶媒をさらに含む。いくつかの実施形態において、溶媒は非極性溶媒である。いくつかの実施形態において、非極性溶媒は、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン又はその混合物を含む。いくつかの実施形態において、非極性溶媒はオクタンである。いくつかの実施形態において、非極性溶媒はヘキサンである。
【0038】
[0038] いくつかの実施形態において、ナノ構造は約60%~約99%の光ルミネセンス量子収量を示す。いくつかの実施形態において、ナノ構造は約70%~約99%の光ルミネセンス量子収量を示す。
【0039】
[0039] いくつかの実施形態において、ナノ構造は、ZnSe、及びZnF、HfF又はZrFを含む金属フッ化物を含むコア;並びにZnS及びZnF、HfF又はZrFを含む金属フッ化物を含む少なくとも1つのシェルを含む。
【0040】
[0040] いくつかの実施形態において、ナノ構造は、ZnSe及びZnF、HfF又はZrFを含む金属フッ化物を含むコア;ZnSeを含む少なくとも1つのシェル、並びにZnS及びZnF、HfF又はZrFを含む金属フッ化物を含む少なくとも1つのシェルを含む。
【0041】
[0041] いくつかの実施形態において、ナノ構造は、ZnSe、並びにZnF、HfF及びZrFを含む金属フッ化物を含むコア;並びにZnSを含む少なくとも1つのシェルを含む。
【0042】
[0042] いくつかの実施形態において、ナノ構造は、ZnSe及びZnF、HfF又はZrFを含む金属フッ化物を含むコア;ZnSeを含む少なくとも1つのシェル;並びにZnSを含む少なくとも1つのシェルを含む。
【0043】
[0043] いくつかの実施形態において、ナノ構造は、ZnSe1-xTe(式中、0<x<1である)及びZnF、HfF又はZrFを含む金属フッ化物を含むコア;並びにZnS及びZnF、HfF又はZrFを含む金属フッ化物を含む少なくとも1つのシェルを含む。
【0044】
[0044] いくつかの実施形態において、ナノ構造は、ZnSe1-xTe(式中、0<x<1である)及びZnF、HfF又はZrFを含む金属フッ化物を含むコア;ZnSeを含む少なくとも1つのシェル;並びにZnS及びZnF、HfF又はZrFを含む金属フッ化物を含む少なくとも1つのシェルを含む。
【0045】
[0045] いくつかの実施形態において、ナノ構造は、ZnSe1-xTe(式中、0<x<1である)及びZnF、HfF又はZrFを含む金属フッ化物を含むコア;並びにZnSを含む少なくとも1つのシェルを含む。
【0046】
[0046] いくつかの実施形態において、ナノ構造は、ZnSe1-xTe(式中、0<x<1である)及びZnF、HfF又はZrFを含む金属フッ化物を含むコア;ZnSeを含む少なくとも1つのシェル;並びにZnSを含む少なくとも1つのシェルを含む。
【0047】
[0047] いくつかの実施形態において、ナノ構造は量子ドットである。
【0048】
[0048] いくつかの実施形態において、ナノ構造は実質的に立方形である。
【0049】
[0049] いくつかの実施形態において、本開示は、ナノ構造を提供するために、
(a)亜鉛供給源、セレン供給源及び第1の金属フッ化物供給源の溶液を混合し、ZnSe又はZnSe1-xTe(式中、0≦x<1である)及び第1の金属フッ化物を含むコアを提供すること;
(b)任意選択的に、(a)のコアを亜鉛供給源及びセレン供給源と混合し、ZnSeシェルを有するコアを提供すること;
(c)任意選択的に、(a)のコア又は(b)のZnSeシェルを有するコアを第2の金属フッ化物供給源と混合すること;並びに
(d)(a)、(b)又は(c)の混合物中に亜鉛供給源及び硫黄供給源を含む溶液を浸出すること
を含む、ナノ構造を調製する方法を提供する。
【0050】
[0050] いくつかの実施形態において、(a)での混合は、約20℃~約120℃の温度における。いくつかの実施形態において、(a)での混合は、約100℃の温度における。
【0051】
[0051] いくつかの実施形態において、(b)での混合は、約250℃~約350℃の温度における。いくつかの実施形態において、(b)での混合は、約310℃の温度における。
【0052】
[0052] いくつかの実施形態において、(c)での混合は、約20℃~約120℃の温度における。いくつかの実施形態において、(c)での混合は、約100℃の温度における。
【0053】
[0053] いくつかの実施形態において、(d)での浸出は、約250℃~約350℃の温度における。いくつかの実施形態において、(d)での浸出は、約310℃の温度における。
【0054】
[0054] いくつかの実施形態において、(d)での浸出は、約0.05mL/分~約5.0mL/分の浸出速度における。いくつかの実施形態において、(d)での浸出は、約0.5mL/分の浸出速度における。
【0055】
[0055] いくつかの実施形態において、(a)のセレン供給源は、セレン化トリオクチルホスフィン、セレン化トリ(n-ブチル)ホスフィン、セレン化トリ(sec-ブチル)ホスフィン、セレン化トリ(tert-ブチル)ホスフィン、セレン化トリメチルホスフィン、セレン化トリフェニルホスフィン、セレン化ジフェニルホスフィン、セレン化フェニルホスフィン、セレン化シクロヘキシルホスフィン、オクタセレノール、ドデカセレノール、セレノフェノール、元素セレン、セレン化水素、セレン化ビス(トリメチルシリル)又はその混合物を含む。いくつかの実施形態において、(a)のセレン供給源は、セレン化トリオクチルホスフィンである。
【0056】
[0056] いくつかの実施形態において、(a)の亜鉛供給源は、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛、酢酸亜鉛、亜鉛アセチルアセトネート、ヨウ化亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、フッ化亜鉛、炭酸亜鉛、シアン化亜鉛、硝酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、酸化亜鉛、過酸化亜鉛、過塩素酸亜鉛、硫酸亜鉛、ヘキサン酸亜鉛、オクタン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸亜鉛又はその混合物を含む。いくつかの実施形態において、(a)の亜鉛供給源は、オレイン酸亜鉛である。
【0057】
[0057] いくつかの実施形態において、(a)の第1の金属フッ化物は、ZnF、HfF又はZrFを含む。いくつかの実施形態において、(a)の第1の金属フッ化物供給源は、ZnFである。いくつかの実施形態において、(a)の第1の金属フッ化物供給源は、HfFである。いくつかの実施形態において、(a)の第1の金属フッ化物供給源は、ZrFである。
【0058】
[0058] いくつかの実施形態において、(b)の亜鉛供給源は、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛、酢酸亜鉛、亜鉛アセチルアセトネート、ヨウ化亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、フッ化亜鉛、炭酸亜鉛、シアン化亜鉛、硝酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、酸化亜鉛、過酸化亜鉛、過塩素酸亜鉛、硫酸亜鉛、ヘキサン酸亜鉛、オクタン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸亜鉛又はその混合物を含む。いくつかの実施形態において、(b)の亜鉛供給源は、オレイン酸亜鉛である。
【0059】
[0059] いくつかの実施形態において、(b)のセレン供給源は、セレン化トリオクチルホスフィン、セレン化トリ(n-ブチル)ホスフィン、セレン化トリ(sec-ブチル)ホスフィン、セレン化トリ(tert-ブチル)ホスフィン、セレン化トリメチルホスフィン、セレン化トリフェニルホスフィン、セレン化ジフェニルホスフィン、セレン化フェニルホスフィン、セレン化シクロヘキシルホスフィン、オクタセレノール、ドデカセレノール、セレノフェノール、元素セレン、セレン化水素、セレン化ビス(トリメチルシリル)又はその混合物を含む。いくつかの実施形態において、(b)のセレン供給源は、セレン化トリオクチルホスフィンである。
【0060】
[0060] いくつかの実施形態において、(c)の第2の金属フッ化物は、ZnF、HfF又はZrFを含む。いくつかの実施形態において、(c)の第2の金属フッ化物供給源は、ZnFである。いくつかの実施形態において、(c)の第2の金属フッ化物供給源は、HfFである。いくつかの実施形態において、(c)の第2の金属フッ化物供給源は、ZrFである。
【0061】
[0061] いくつかの実施形態において、(d)の亜鉛供給源は、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛、酢酸亜鉛、亜鉛アセチルアセトネート、ヨウ化亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、フッ化亜鉛、炭酸亜鉛、シアン化亜鉛、硝酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、酸化亜鉛、過酸化亜鉛、過塩素酸亜鉛、硫酸亜鉛、ヘキサン酸亜鉛、オクタン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸亜鉛又はその混合物を含む。いくつかの実施形態において、(d)の亜鉛供給源は、オレイン酸亜鉛である。
【0062】
[0062] いくつかの実施形態において、(d)の硫黄供給源は、硫化トリオクチルホスフィン、元素硫黄、オクタンチオール、ドデカンチオール、オクタデカンチオール、硫化トリブチルホスフィン、イソチオシアン酸シクロヘキシル、α-トルエンチオール、トリチオ炭酸エチレン、アリルメルカプタン、硫化ビス(トリメチルシリル)、硫化トリオクチルホスフィン又はその組合せを含む。いくつかの実施形態において、(d)の硫黄供給源は、硫化トリオクチルホスフィンである。
【0063】
[0063] いくつかの実施形態において、本開示は、本開示のナノ構造を含むデバイスを提供する。いくつかの実施形態において、デバイスはディスプレーデバイスである。
【0064】
[0064] いくつかの実施形態において、ディスプレーデバイスは、
バックプレーンと;
バックプレーン上に配置されるディスプレーパネルと;
ディスプレーパネルの上に配置される、ナノ構造を含むパターン化された量子ドット層と
を含む、量子ドットカラーコンバータを含む。
【0065】
[0065] いくつかの実施形態において、バックプレーンは、青色LED、LCD、OLED又はマイクロLEDを含む。
【0066】
[0066] いくつかの実施形態において、本開示は、ナノ構造の少なくとも1つの集団を含むナノ構造膜であって、ナノ構造が、ナノクリスタルコアを含むコア;及びコア上に配置される少なくとも1つのシェルを含み、少なくとも1つのシェルがZnS及びフッ化物を含む、ナノ構造膜を提供する。
【0067】
[0067] いくつかの実施形態において、本開示は、ナノ構造の少なくとも1つの集団を含むナノ構造膜であって、ナノ構造が、ZnSe又はZnSe1-xTe(式中、0≦x<1である)及び第1の金属フッ化物を含むコアと;コア上に配置される、ZnS及び任意選択的に第2の金属フッ化物を含む少なくとも1つのシェルとを含むナノ構造膜を提供する。
【0068】
[0068] いくつかの実施形態において、ナノ構造膜は、少なくとも1つの有機樹脂をさらに含む。いくつかの実施形態において、ナノ構造膜は、1~5種の有機樹脂を含む。いくつかの実施形態において、ナノ構造膜は、1種の有機樹脂を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1種の有機樹脂は、熱硬化性樹脂又はUV硬化性樹脂である。いくつかの実施形態において、少なくとも1種の有機樹脂は、UV硬化性樹脂である。
【0069】
[0069] いくつかの実施形態において、本開示は、ナノ構造膜を含む成型品を提供する。
【0070】
[0070] いくつかの実施形態において、成型品は、
(a)第1のバリア層;
(b)第2のバリア層;並びに
(c)第1のバリア層と第2のバリア層との間の発光層であって、ナノクリスタルコアを含むコアと;コア上に配置される、ZnS及びフッ化物を含む少なくとも1つのシェルとを含むナノ構造の集団を含む発光層
を含む。
【0071】
[0071] いくつかの実施形態において、成型品は、
(a)第1のバリア層;
(b)第2のバリア層;並びに
(c)第1のバリア層と第2のバリア層との間の発光層であって、ZnSe又はZnSe1-xTe(式中、0≦x<1である)及び第1の金属フッ化物を含むコアと;コア上に配置される、ZnS及び任意選択的に第2の金属フッ化物を含む少なくとも1つのシェルとを含むナノ構造の集団を含む発光層
を含む。
【0072】
[0072] いくつかの実施形態において、ナノ構造は量子ドットである。
【0073】
[0073] いくつかの実施形態において、成型品はエレクトロルミネセントデバイスである。いくつかの実施形態において、成型品は発光ダイオードである。いくつかの実施形態において、成型品は液体結晶ディスプレーである。
【0074】
[0074] いくつかの実施形態において、エレクトロルミネセントデバイスの最大外部量子効率(EQE)は、約1.5%~約15%である。
【0075】
[0075] いくつかの実施形態において、エレクトロルミネセントデバイスの最大外部量子効率(EQE)は、約5%である。
【0076】
[0076] いくつかの実施形態において、エレクトロルミネセントデバイスは、約19秒~約35秒後に500cd/m(ニット)の初期光度の50%に達する。
【0077】
[0077] いくつかの実施形態において、エレクトロルミネセントデバイスが500cd/m(ニット)の初期光度の50%に達する時間(T50)は、シェル中にいずれのフッ化物も含まない相当するナノ構造を含むエレクトロルミネセントデバイスのT50より少なくとも約3倍長い。
【図面の簡単な説明】
【0078】
図1】[0078]「トラップ状態」として示される中間ギャップトラップ状態による状態図の密度の概略図である。ハロゲン化物イオンによる完全表面被覆によって、中間ギャップトラップ状態が減少し、より良好な電子的にバランスのよい量子ドットを形成する。
図2】[0079]ZnSe/ZnSコア/シェル構造量子ドットで典型的である、典型的な準球形モルフォロジーを示す透過型電子顕微鏡(TEM)イメージである。
図3】[0080]4モル当量のZnFによって処理されたZnSe/ZnSコア/シェル構造量子ドットの合成のため、四面体及び立方体の粒子の比率の増加を示すTEMイメージである。
図4】[0081]14モル当量のZnFによるZnSe/ZnSコア/シェル構造量子ドットの合成のため、四面体及び立方体の粒子の比率の増加を示すTEMイメージである。
図5】[0082]ZnSeTe/ZnSe/ZnSコア/シェル/シェル構造量子ドットで典型的である、典型的な準球形モルフォロジーを示すTEMイメージである。
図6】[0083]ZnFを使用する、ZnSeTe/ZnSe/ZnSコア/シェル/シェル構造量子ドットの合成のため、四面体及び立方体の粒子の比率の増加を示すTEMイメージである。
図7】[0084]標準配位子(ZnFでない)によるZnSe/ZnS量子ドット(●)、4モル当量のZnFによって処理されたZnSe/ZnS量子ドット(◆)及び14モル当量のZnFによって処理されたZnSe/ZnS量子ドット(■)に関する外部量子効率(EQE)対光度(ニット)の散布図である。
図8】[0085]ZnFによって処理されたZnSe/ZnS量子ドットのX線光電子分光法(XPS)調査スペクトルである。
図9A】[0086]ZnFによって処理されたZnSe/ZnS量子ドットに対してZnFを用いない標準ZnSe/ZnS量子ドット(図9A)を比較する、フッ素1s領域の高解像度XPSスペクトルを示す。
図9B】[0086]ZnFによって処理されたZnSe/ZnS量子ドットに対してZnFを用いない標準ZnSe/ZnS量子ドット(図9A)を比較する、フッ素1s領域の高解像度XPSスペクトルを示す。
図10】[0087]対照ZnSe/ZnS量子ドット、シェル層にのみ金属フッ化物を含有するZnSe/ZnS量子ドット、コア層にのみ金属フッ化物を含有するZnSe/ZnS量子ドット、並びにコア層及びシェル層の両方で金属フッ化物を含有するZnSe量子ドットの溶液量子収量、最大外部量子効率とデバイス寿命を比較する表である。
図11】[0088]3つの異なる濃度:0μL、5μL及び20μLのドデシルアミンの添加後の5つの異なるZnSe及びZnSのシェルの厚さ((エッチングされたInPコア上で)4.5単層のZnSe及び2.5単層のZnS;2.5単層のZnSe及び6.5単層のZnS;2.5単層のZnSe及び2.5単層のZnS;3.5単層のZnSe及び4.5単層のZnS;並びに3.5単層のZnSe及び4.5単層のZnS)を含むInP/ZnSe/ZnS量子ドットの光ルミネセンス強度を示す棒グラフである。
図12】[0089]アミンなどの中性ルイス塩基配位子(L)が、カルボキシレート末端CdS、CdSe、PbS又はPbSe量子ドットから、金属カルボキシレート(MがCd又はPbであり、XがOCR、Cl又はSRであり、そしてRがC1~20アルキル又はオレイルである、MX)を容易に置換する、L-促進Z-型配位子置換を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
定義
[0090] 他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解されるものと同じ意味を有する。以下の定義は、当該技術における定義を補い、本出願に関連し、いずれかの関連又は無関連の場合、例えば、いずれかの一般に所有された特許又は出願に帰属しない。本明細書に記載されるものと類似又は同等のいずれの方法及び材料も本発明の試験の実行において使用可能であるが、本明細書中に好ましい材料及び方法が記載される。したがって、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明する目的であり、制限することは意図されない。
【0080】
[0091] 本明細書及び添付の請求の範囲において使用される場合、単数形の「a」、「an」及び「the」は、本明細書中に他に明確に記載されない限り、複数の対象を含む。したがって、例えば、「ナノ構造」という記載は、複数のそのようなナノ構造などを含む。
【0081】
[0092] 「約」という用語は、本明細書で使用される場合、所与の量の値が、その値の±10%まで変動することを示す。例えば、「約100nm」は、その値を含めて、90nmから110nmまでの範囲のサイズを包囲する。
【0082】
[0093] 「ナノ構造」は、約500nm未満の寸法の少なくとも1つの領域又は特徴的寸法を有する構造である。いくつかの実施形態において、ナノ構造は、約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約20nm未満又は約10nm未満の寸法を有する。典型的に、領域又は特徴的寸法は、構造の最小軸に沿うものである。そのような構造の例としては、ナノワイヤ、ナノロッド、ナノチューブ、分枝状ナノ構造、ナノテトラポッド、ナノトリポッド、ナノバイポッド、ナノクリスタル、ナノドット、量子ドット、ナノ粒子などが含まれる。ナノ構造は、例えば、実質的に結晶質、実質的に単結晶、多結晶、非晶質、又はその組合せであることが可能である。いくつかの実施形態において、ナノ構造の3つの寸法のそれぞれは、約500nm未満、約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約20nm未満又は約10nm未満の寸法を有する。
【0083】
[0094] 「ヘテロ構造」という用語は、ナノ構造に関して使用される場合、少なくとも2つの異なる及び/又は区別できる材料種によって特徴づけられるナノ構造を意味する。典型的に、ナノ構造の1つの領域は第1の材料種を含むが、ナノ構造の第2の領域は第2の材料種を含む。特定の実施形態において、ナノ構造は、第1の材料のコア、及び第2の(又は第3などの)材料の少なくとも1つのシェルを含み、そこで異なる材料種が、例えば、ナノワイヤの長軸、分枝状ナノワイヤの腕の長軸、又はナノクリスタルの中心に対して放射状に分布する。シェルは、シェルとして考えられる、又はナノ構造の場合、ヘテロ構造として考えられる隣接材料を完全に被覆することができるが、被覆する必要はない。例えば、第2の材料の小島によって被覆される1つの材料のコアによって特徴づけられるナノクリスタルは、ヘテロ構造である。他の実施形態において、異なる材料種は、ナノ構造中の異なる位置で、例えば、ナノワイヤの主要(長)軸に沿って、又は分枝状ナノワイヤの腕の長軸に沿って分布する。ヘテロ構造中の異なる領域は、完全に異なる材料を含むことができるか、又は種々の領域は、異なるドーパント又は同一ドーパントの異なる濃度を有する基材(例えば、ケイ素)を含むことができる。
【0084】
[0095] 本明細書で使用される場合、ナノ構造の「直径」は、ナノ構造の第1の軸に垂直の断面の直径を意味する。第1の軸は、第2及び第3の軸に対して長さで最も大きい差異を有する(第2及び第3の軸は長さが互いにほぼ等しい2本の軸である)。第1の軸が、必ずしもナノ構造の最も長い軸であるというわけではない。例えば、ディスク形ナノ構造に関して、断面は、ディスクの短い縦方向軸に対して垂直である実質的に円形の断面である。断面図が円形ではない場合、直径は、その断面の主要及びマイナーの軸の平均である。細長いか、又は高アスペクト比のナノ構造、例えばナノワイヤに関して、直径は、ナノワイヤの最も長い軸に対して垂直な断面全体で測定される。球形ナノ構造に関して、直径は、1つの側面から他の側面まで球体の中心を通って測定される。
【0085】
[0096] 「結晶質」又は「実質的に結晶質」という用語は、ナノ構造に関して使用される場合、ナノ構造が、構造の1つ又はそれ以上の寸法全体で長距離秩序を典型的に示すという事実を意味する。単結晶に関する秩序が結晶の境界を超えて延長することができないため、「長距離秩序」という用語が特定のナノ構造の絶対サイズに依存することは当業者によって理解される。この場合、「長距離秩序」は、少なくともナノ構造の寸法の大多数全体での実質的な秩序を意味する。いくつかの例において、ナノ構造は、酸化物又は他のコーティングを有することができるか、或いはコア及び少なくとも1つのシェルから構成されることができる。そのような例において、酸化物、シェル又は他のコーティングが、そのような秩序を示すことができる(例えば、それは非晶質、多結晶であり得る)が、示す必要はない。このような場合、「結晶質」、「実質的に結晶質」、「実質的に単結晶」、又は「単結晶」という句は、ナノ構造の中央コアを意味する(コーティング層又はシェルを除外する)。「結晶質」又は「実質的に結晶質」という用語は、本明細書で使用される場合、構造が実質的な長距離秩序(例えば、ナノ構造又はそのコアの少なくとも1つの軸の長さの少なくとも約80%超の秩序)を示す限り、種々の欠陥、積層欠陥、原子置換などを含む構造を含むようにも意図される。加えて、ナノ構造のコアと外側との間、又はコアと隣接シェルとの間、又はシェルと第2の隣接シェルとの間の界面が、非晶質領域を含有することが可能であるか、又は非晶質であることさえも可能であることは明白である。本明細書で定義されるように、これは、ナノ構造が結晶質又は実質的に結晶質であることを妨げない。
【0086】
[0097] 「単結晶」という用語は、ナノ構造に関して使用される場合、ナノ構造が実質的に結晶質であり、且つ実質的に単結晶を含むことを示す。コア及び1つ又はそれ以上のシェルを含むナノ構造ヘテロ構造に関して使用される場合、「単結晶」は、コアが実質的に結晶質であり、且つ実質的に単結晶を含むことを示す。
【0087】
[0098] 「ナノクリスタル」は、実質的に単結晶であるナノ構造である。したがって、ナノクリスタルは、約500nm未満の寸法の少なくとも1つの領域又は特徴的寸法を有する。いくつかの実施形態において、ナノクリスタルは、約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約20nm未満又は約10nm未満の寸法を有する。「ナノクリスタル」という用語は、種々の欠陥、積層欠陥、原子置換などを含む実質的に単結晶のナノ構造、並びにそのような欠陥、積層欠陥又は置換のない実質的に単結晶のナノ構造を含むように意図される。コア及び1つ又はそれ以上のシェルを含むナノクリスタルヘテロ構造の場合、ナノクリスタルのコアは、典型的に実質的に単結晶であるが、シェルは実質的に単結晶である必要がない。いくつかの実施形態において、ナノ結晶の3つの寸法のそれぞれは、約500nm未満、約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約20nm未満又は約10nm未満の寸法を有する。
【0088】
[0099] 「量子ドット」(又は「ドット」)という用語は、量子閉じ込め又は励起子閉じ込めを示すナノクリスタルを意味する。量子ドットは、材料特性が実質的に均質であることが可能であるか、又は特定の実施形態においては不均質であることが可能であり、例えば、コア及び少なくとも1つのシェルを含む。量子ドットの光学特性は、それらの粒径、化学組成及び/又は表面組成に影響を受ける可能性があり、そして当該技術において利用可能な適切な光学試験によって決定されることが可能である。ナノ結晶径を、例えば、約1nm~約15nmの範囲で調節することができることによって、全ての光学スペクトルの光電子放出範囲が、演色において大きい融通性を提供することが可能となる。
【0089】
[0100] 「配位子」は、例えば、共有結合、イオン、ファンデルワールス又はナノ構造の表面との他の分子相互作用によってナノ構造の1つ又はそれ以上の表面と(強く又は弱く)相互作用することができる分子である。
【0090】
[0101] 「光ルミネセンス量子収量」は、例えば、ナノ構造又はナノ構造の集団によって吸収される光子に対する放出される光子の比率である。当該技術において知られるように、量子収量は、既知の量子収量値によって十分に特徴づけられた標準試料を使用する比較研究法によって典型的に決定される。
【0091】
[0102] 本明細書で使用される場合、「単層」という用語は、関連する格子平面間の最も近い距離としてシェル材料の容積結晶構造から誘導されたシェルの厚さの測定単位である。一例として、立方格子構造に関して、1つの単層の厚さは、[111]方向の隣接した格子平面間の距離として決定される。一例として、立方ZnSeの1つの単層は0.33nmに相当し、そして立方ZnSの1つの単層は0.31nmの厚さに相当する。合金材料の単層の厚さは、ベガード(Vegard)の法則によって、合金組成物から決定することができる。
【0092】
[0103] 本明細書で使用される場合、「シェル」という用語は、コア上へ、又は、同一若しくは異なる組成の以前に堆積させたシェル上に堆積させる材料であって、シェル材料の単一堆積から得られるものを指す。正確なシェル厚は、材料、並びに前駆体インプット及び変換次第であり、ナノメートル又は単層で報告することができる。本明細書で使用される場合、「標的シェル厚」は、必要とされる前駆体量の計算のために使用される意図されたシェル厚を指す。本明細書で使用される場合、「実際のシェル厚」は、合成後のシェル材料の実際に堆積した量を指し、当該技術において知られる方法によって測定することができる。一例として、実際のシェル厚は、シェル合成の前及び後にナノクリスタルのTEMイメージから決定される粒子直径を比較することによって測定することができる。
【0093】
[0104] 本明細書で使用される場合、「半値全幅」(FWHM)という用語は、量子ドットのサイズ分布の程度である。量子ドットの発光スペクトルは、ガウス曲線の形状を一般に有する。ガウス曲線の幅は、FWHMとして定義されて、粒子のサイズ分布についての認識を与える。より小さいFWHMは、より狭い量子ドットナノクリスタルサイズ分布に相当する。FWHMは、発光波長最大にも依存する。
【0094】
[0105] 「ピークの発光波長」(PWL)は、光源の放射分析発光スペクトルがその最大に達する波長である。
【0095】
[0106] 本明細書で使用される場合、「外部量子効率」(EQE)という用語は、デバイスを通過する電子の数に対する発光ダイオード(LED)から放出される光子の数の比率である。EQEは、LEDがいかに効率的に電子を光子に変換し、それらを脱出させるかを測定する。EQEは、次式を使用して測定可能である。
EQE=[注入効率]×[ソリッドステート量子収量]×[抽出効率]
式中、
注入効率=活性領域中に注入される、デバイスを通過する電子の割合;
ソリッドステート量子収量=放射性であり、したがって、光子を生じる、活性領域における全ての電子-正孔再結合の割合;並びに
抽出効率=デバイスから脱出する、活性領域において生じた光子の割合。
【0096】
[0107] 明確に別途示されない限り、本明細書で列挙される範囲は包括的である。
【0097】
[0108] 本明細書中に、様々な追加的な用語が定義されるか、又は他に特徴づけられる。
【0098】
ナノ構造
[0109] いくつかの実施形態において、本開示は、ナノクリスタルコアを含むコアと;コア上に配置される、ZnS及びフッ化物を含む少なくとも1つのシェルとを含むナノ構造を提供する。
【0099】
[0110] いくつかの実施形態において、コアはZnSe、ZnSeTe、InP又はInAsを含む。
【0100】
[0111] いくつかの実施形態において、コアは、ZnSe1-xTe(式中、0≦x<1である)を含む。
【0101】
[0112] いくつかの実施形態において、ナノ構造は2つのシェルを含む。
【0102】
[0113] いくつかの実施形態において、少なくとも1つのシェルは、ZnSeを含む第1のシェル、並びにZnS及びフッ化物を含む第2のシェルを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのシェルは、ZnSe及びフッ化物を含む第1のシェル、並びにZnS及びフッ化物を含む第2のシェルを含む。
【0103】
[0114] いくつかの実施形態において、フッ化物は、金属フッ化物、フッ化アンモニウム又はフッ化テトラアルキルアンモニウムの形態である。
【0104】
[0115] いくつかの実施形態において、ナノ構造は量子ドットである。
【0105】
[0116] いくつかの実施形態において、フッ化物は、ZnF、HfF及びZrFからなる群から選択される金属フッ化物の形態である。いくつかの実施形態において、金属フッ化物はZnFである。
【0106】
[0117] いくつかの実施形態において、本開示は、ZnSe又はZnSe1-xTe(式中、0≦x<1である)及び第1の金属フッ化物を含むコアと;コア上に配置される、ZnS及び任意選択的に第2の金属フッ化物を含む少なくとも1つのシェルとを含むナノ構造を提供する。
【0107】
[0118] いくつかの実施形態において、ナノ構造は2つのシェルを含む。
【0108】
[0119] いくつかの実施形態において、第1の金属フッ化物は、ZnF、HfF及びZrFからなる群から選択される。
【0109】
[0120] いくつかの実施形態において、第2の金属フッ化物は、ZnF、HfF及びZrFからなる群から選択される。
【0110】
[0121] いくつかの実施形態において、ナノ構造は量子ドットである。
【0111】
[0122] いくつかの実施形態において、ナノ構造は少なくとも1つのアミンをさらに含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのアミンは、ナノ構造の表面に結合している。
【0112】
[0123] いくつかの実施形態において、本開示は、ナノクリスタルコアを含むコアと;コア上に配置される、ZnS及びフッ化物を含む少なくとも1つのシェルと;ナノ構造の表面に結合した少なくとも1つのアミンとを含むナノ構造を提供する。
【0113】
[0124] いくつかの実施形態において、本開示は、ナノクリスタルコアを含むコアと;コア上に配置される、ZnS又はZnSeを含む少なくとも1つのシェルと;ナノ構造の表面に結合した少なくとも1つのフッ化物と;ナノ構造の表面に結合した少なくとも1つのアミンとを含むナノ構造を提供する。
【0114】
ナノ構造膜
[0125] いくつかの実施形態において、本開示は、ナノ構造の少なくとも1つの集団を含むナノ構造膜であって、ナノ構造が、ナノクリスタルコアを含むコア;及びコア上に配置される少なくとも1つのシェルを含み、少なくとも1つのシェルがZnS及びフッ化物を含む、ナノ構造膜を提供する。
【0115】
[0126] いくつかの実施形態において、本開示は、ナノクリスタルコアを含むコアと;コア上に配置される、ZnS又はZnSeを含む少なくとも1つのシェルと;ナノ構造の表面に結合した少なくとも1つのフッ化物と;ナノ構造の表面に結合した少なくとも1つのアミンとを含むナノ構造の少なくとも1つの集団を含む、ナノ構造膜を提供する。
【0116】
[0127] いくつかの実施形態において、本開示は、ナノ構造の少なくとも1つの集団を含むナノ構造膜であって、ナノ構造が、ZnSe又はZnSe1-xTe(式中、0≦x<1である)及び第1の金属フッ化物を含むコアと;コア上に配置される、ZnS及び任意選択的に第2の金属フッ化物を含む少なくとも1つのシェルとを含むナノ構造膜を提供する。
【0117】
[0128] いくつかの実施形態において、本開示は、InPを含むコアと;コア上に配置される、ZnS又はZnSeを含む少なくとも1つのシェルと;ナノ構造の表面に結合した少なくとも1つのフッ化物と;ナノ構造の表面に結合した少なくとも1つのアミンとを含むナノ構造の少なくとも1つの集団を含む、ナノ構造膜を提供する。
【0118】
[0129] いくつかの実施形態において、ナノ構造膜は、少なくとも1つの有機樹脂をさらに含む。
【0119】
[0130] いくつかの実施形態において、ナノ構造は量子ドットである。
【0120】
ナノ構造成型品
[0131] いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書に記載されるナノ構造膜を含む成型品を提供する。
【0121】
[0132] いくつかの実施形態において、成型品は、
(a)第1のバリア層;
(b)第2のバリア層;並びに
(c)第1のバリア層と第2のバリア層との間の発光層であって、ナノクリスタルコアを含むコアと;コア上に配置される、ZnS及びフッ化物を含む少なくとも1つのシェルとを含むナノ構造の集団を含む発光層
を含む。
【0122】
[0133] いくつかの実施形態において、成型品は、
(a)第1のバリア層;
(b)第2のバリア層;並びに
(c)第1のバリア層と第2のバリア層との間の発光層であって、ナノクリスタルコアを含むコアと;コア上に配置される、ZnS又はZnSeを含む少なくとも1つのシェルと;ナノ構造の表面に結合した少なくとも1つのフッ化物と;ナノ構造の表面に結合した少なくとも1つのアミンとを含むナノ構造の集団を含む、発光層
を含む。
【0123】
[0134] いくつかの実施形態において、成型品は、
(a)第1のバリア層;
(b)第2のバリア層;並びに
(c)第1のバリア層と第2のバリア層との間の発光層であって、ZnSe又はZnSe1-xTe(式中、0≦x<1である)及び第1の金属フッ化物を含むコアと;コア上に配置される、ZnS及び任意選択的に第2の金属フッ化物を含む少なくとも1つのシェルとを含むナノ構造の集団を含む発光層
を含む。
【0124】
[0135] いくつかの実施形態において、成型品は、
(a)第1のバリア層;
(b)第2のバリア層;並びに
(c)第1のバリア層と第2のバリア層との間の発光層であって、InPを含むコアと;コア上に配置される、ZnS又はZnSeを含む少なくとも1つのシェルと;ナノ構造の表面に結合した少なくとも1つのフッ化物と;ナノ構造の表面に結合した少なくとも1つのアミンとを含むナノ構造の集団を含む、発光層
を含む。
【0125】
[0136] いくつかの実施形態において、ナノ構造は量子ドットである。
【0126】
[0137] いくつかの実施形態において、成型品はエレクトロルミネセントデバイスである。いくつかの実施形態において、成型品は発光ダイオードである。いくつかの実施形態において、成型品は液体結晶ディスプレーである。
【0127】
ナノ構造の製造
[0138] 様々なナノ構造のコロイド合成のための方法が当該技術において知られる。そのような方法には、例えば、得られるナノ構造のサイズ及び/又は形状分布を制御するためにナノ構造成長を制御する技術が含まれる。
【0128】
[0139] 典型的なコロイド合成において、半導体ナノ構造は、熱溶液(例えば、熱溶媒及び/又は界面活性剤)中に熱分解を受ける前駆体を急速に注入することによって製造される。前駆体を、同時に、又は逐次的に注入することが可能である。前駆体は、急速に反応し、核を形成する。核へのモノマー付加によって、ナノ構造成長が生じる。
【0129】
[0140] 界面活性剤分子は、ナノ構造の表面と相互作用する。成長温度において、界面活性剤分子はナノ構造表面から急速に吸着及び脱着し、そして成長するナノ構造の凝塊形成を抑制しながら、ナノ構造からの原子の付加及び/又は除去を可能にする。一般に、界面活性剤がナノ構造表面に弱く配位結合することによって、ナノ構造の急速な成長が可能となり、一方、ナノ構造表面により強く結合する界面活性剤は、より遅いナノ構造の成長をもたらす。界面活性剤は、ナノ構造成長を遅くさせるために、1つ(又はそれ以上の)前駆体と相互作用することも可能である。
【0130】
[0141] 単一界面活性剤の存在下でのナノ構造成長によって、典型的に球形ナノ構造が得られる。2種以上の界面活性剤の混合物を使用することによって、成長を制御することができ、例えば、2種(又はそれ以上)の界面活性剤が、成長するナノ構造の異なる結晶表面に異なって吸着する場合、非球形ナノ構造を製造することができる。
【0131】
[0142] したがって、多数のパラメーターがナノ構造成長に影響を及ぼすことが知られており、そして得られたナノ構造のサイズ及び/又は形状分布を制御するために、独立して、又は組み合わせて、操作可能である。これらとしては、例えば、温度(核形成及び/又は成長)、前駆体組成、時間依存性前駆体濃度、互いに対する前駆体の比率、界面活性剤組成、界面活性剤の数、並びに互いに対する及び/又は前駆体に対する界面活性剤の比率が含まれる。
【0132】
[0143] グループII-VIナノ構造の合成は、例えば、それぞれが全体として参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第6,225,198号、同第6,322,901号、同第6,207,229号、同第6,607,829号、同第7,060,243号、同第7,374,824号、同第6,861,155号、同第7,125,605号、同第7,566,476号、同第8,158,193号及び同第8,101,234号、並びに米国特許出願公開第2011/0262752号及び同第2011/0263062に記載されている。
【0133】
[0144] CdSe/CdS/ZnSコア/シェルナノ構造などのグループII-VIナノ構造は、上記の通り、望ましい発光挙動を示すことができるが、カドミウムの毒性などの問題のため、そのようなナノ構造を使用することができる用途は制限されている。したがって、良好な発光特性とともに、より毒性の低い代替が高度に望ましい。
【0134】
[0145] いくつかの実施形態において、ナノ構造はカドミウムを含まない。本明細書で使用される場合、「カドミウムを含まない」という用語は、ナノ構造が重量基準で100ppm未満のカドミウムを含有することを意図する。危険物質に関する制限令(Restriction of Hazardous Substances)(RoHS)順守の定義によって、未加工の均質な前駆体材料中には、0.01重量%(100ppm)より多くのカドミウムがあってはならないことが要求される。本発明のCdを含まないナノ構造中のカドミウムレベルは、前駆体材料中の痕跡量金属濃度によって制限される。Cdを含まないナノ構造のための前駆体材料中の(カドミウムを含む)痕跡量金属濃度は、誘導結合プラズマ質量分光学(ICP-MS)分析によって評価され、そしてパートパービリオン(ppb)レベルである。いくつかの実施形態において、「カドミウムを含まない」ナノ構造は、約50ppm未満、約20ppm未満、約10ppm未満又は約1ppm未満のカドミウムを含有する。
【0135】
[0146] いくつかの実施形態において、ナノ構造はナノクリスタルコアを含む。いくつかの実施形態において、コアはZnSe、ZnSeTe、InP又はInAsを含む。いくつかの実施形態において、コアは、ZnSe1-xTe(式中、0≦x<1である)を含む。いくつかの実施形態において、コアはZnSeを含む。いくつかの実施形態において、コアはInPを含む。
【0136】
[0147] いくつかの実施形態において、ナノ構造は、コア上に配置される少なくとも1つのシェルを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのシェルはZnSeを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのシェルは、ZnSを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのシェルはZnSeを含み、そして少なくとも1つのシェルはZnSを含む。
【0137】
[0148] いくつかの実施形態において、少なくとも1つのシェルは、ZnS及びフッ化物を含む。いくつかの実施形態において、ナノ構造は2つのシェルを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのシェルはZnSeを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのシェルはZnSe及びフッ化物を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのシェルは、ZnSeを含む第1のシェル、並びにZnS及びフッ化物を含む第2のシェルを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのシェルは、ZnSe及びフッ化物を含む第1のシェル、並びにZnS及びフッ化物を含む第2のシェルを含む。いくつかの実施形態において、フッ化物は、金属フッ化物、フッ化アンモニウム又はフッ化テトラアルキルアンモニウムの形態である。いくつかの実施形態において、フッ化物は、ZnF、HfF及びZrFからなる群から選択される金属フッ化物の形態である。いくつかの実施形態において、金属フッ化物はZnFである。
【0138】
[0149] いくつかの実施形態において、ナノ構造は、InPを含むコアと、ZnS又はZnSeを含む少なくとも1つのシェルとを含む。いくつかの実施形態において、ナノ構造は、InPを含むコアと、ZnSを含む少なくとも1つのシェルと、ZnSeを含む少なくとも1つのシェルとを含む。
【0139】
[0150] いくつかの実施形態において、ナノ構造は、ZnSeを含むコアと、ZnS及びZnFを含む少なくとも1つのシェルとを含む。いくつかの実施形態において、ナノ構造は、ZnSeを含むコアと、ZnSeを含む少なくとも1つのシェルと、ZnS及びZnFを含む少なくとも1つのシェルとを含む。いくつかの実施形態において、ナノ構造は、ZnSeを含むコアと、ZnSe及びZnFを含む少なくとも1つのシェルと、ZnS及びZnFを含む少なくとも1つのシェルとを含む。いくつかの実施形態において、ナノ構造は、ZnSe1-xTe(式中、0≦x<1である)を含むコアと、ZnS及びZnFを含む少なくとも1つのシェルとを含む。いくつかの実施形態において、ナノ構造は、ZnSe1-xTe(式中、0≦x<1である)を含むコアと、ZnSeを含む少なくとも1つのシェルと、ZnS及びZnFを含む少なくとも1つのシェルとを含む。いくつかの実施形態において、ナノ構造は、ZnSe1-xTe(式中、0≦x<1である)を含むコアと、ZnSe及びZnFを含む少なくとも1つのシェルと、ZnS及びZnFを含む少なくとも1つのシェルとを含む。
【0140】
[0151] いくつかの実施形態において、ナノ構造は、ZnSe又はZnSe1-xTe(式中、0≦x<1である)及び第1の金属フッ化物を含むコアを含む。いくつかの実施形態において、コアは、ZnSe1-xTe(式中、0≦x<1である)及び第1の金属フッ化物を含む。いくつかの実施形態において、コアは、ZnSe及び第1の金属フッ化物を含む。いくつかの実施形態において、第1の金属フッ化物は、ZnF、HfF及びZrFからなる群から選択される。
【0141】
[0152] いくつかの実施形態において、ナノ構造は、コア上に配置される少なくとも1つのシェルを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのシェルはZnS及び任意選択的に第2の金属フッ化物を含む。いくつかの実施形態において、ナノ構造は2つのシェルを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのシェルはZnSeを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのシェルは、ZnSeを含む第1のシェル、並びにZnS及び任意選択的に第2の金属フッ化物を含む第2のシェルを含む。いくつかの実施形態において、第2の金属フッ化物は、ZnF、HfF及びZrFからなる群から選択される。
【0142】
[0153] いくつかの実施形態において、ナノ構造は、ZnSe並びにZnF、HfF及びZrFからなる群から選択される金属フッ化物を含むコアと;ZnS並びにZnF、HfF及びZrFからなる群から選択される金属フッ化物を含む少なくとも1つのシェルとを含む。
【0143】
[0154] いくつかの実施形態において、ナノ構造は、ZnSe並びにZnF、HfF及びZrFからなる群から選択される金属フッ化物を含むコアと;ZnSeを含む少なくとも1つのシェルと、ZnS並びにZnF、HfF及びZrFからなる群から選択される金属フッ化物を含む少なくとも1つのシェルとを含む。
【0144】
[0155] いくつかの実施形態において、ナノ構造は、ZnSe並びにZnF、HfF及びZrFからなる群から選択される金属フッ化物を含むコアと;ZnSを含む少なくとも1つのシェルとを含む。
【0145】
[0156] いくつかの実施形態において、ナノ構造は、ZnSe並びにZnF、HfF及びZrFからなる群から選択される金属フッ化物を含むコアと;ZnSeを含む少なくとも1つのシェルと;ZnSを含む少なくとも1つのシェルとを含む。
【0146】
[0157] いくつかの実施形態において、ナノ構造は、ZnSe1-xTe(式中、0<x<1である)並びにZnF、HfF及びZrFからなる群から選択される金属フッ化物を含むコアと;ZnS並びにZnF、HfF及びZrFからなる群から選択される金属フッ化物を含む少なくとも1つのシェルとを含む。
【0147】
[0158] いくつかの実施形態において、ナノ構造は、ZnSe1-xTe(式中、0<x<1である)並びにZnF、HfF及びZrFからなる群から選択される金属フッ化物を含むコアと;ZnSeを含む少なくとも1つのシェルと;ZnS並びにZnF、HfF及びZrFからなる群から選択される金属フッ化物を含む少なくとも1つのシェルとを含む。
【0148】
[0159] いくつかの実施形態において、ナノ構造は、ZnSe1-xTe(式中、0<x<1である)並びにZnF、HfF及びZrFからなる群から選択される金属フッ化物を含むコアと;ZnSを含む少なくとも1つのシェルとを含む。
【0149】
[0160] いくつかの実施形態において、ナノ構造は、ZnSe1-xTe(式中、0<x<1である)並びにZnF、HfF及びZrFからなる群から選択される金属フッ化物を含むコアと;ZnSeを含む少なくとも1つのシェルと;ZnSを含む少なくとも1つのシェルとを含む。
【0150】
[0161] いくつかの実施形態において、ナノ構造は、全体として参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2017/0306227号の方法を使用して調製される。
【0151】
[0162] いくつかの実施形態において、ナノ構造は量子ドットである。
【0152】
[0163] いくつかの実施形態において、ナノ構造は実質的に立方形である。
【0153】
溶媒
[0164] いくつかの実施形態において、ナノ構造は溶媒をさらに含む。
【0154】
[0165] いくつかの実施形態において、溶媒は、クロロホルム、アセトン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ブタノン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、1,4-ブタンジオールジアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、グリセリルトリアセテート、酢酸ヘプチル、酢酸ヘキシル、酢酸ペンチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジ(プロピレングリコール)ジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、モノメチルエーテルグリコールエステル、ガンマ-ブチロラクトン、メチル酢酸-3-エチルエーテル、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、プロパンジオールモノメチルエーテル、プロパンジオールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、イソプロピルアルコール及びその組合せからなる群から選択される。
【0155】
[0166] いくつかの実施形態において、溶媒は非極性溶媒である。いくつかの実施形態において、非極性溶媒は、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン及びその混合物からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、非極性溶媒はオクタンである。いくつかの実施形態において、非極性溶媒はヘキサンである。
【0156】
フッ化物不動態化がシェル中にあるナノ構造の製造
[0167] いくつかの実施形態において、本開示は、ナノ構造を提供するために、
(a)ナノクリスタルコアを提供すること;
(b)任意選択的に、(a)のコアを亜鉛供給源及びセレン供給源と混合し、ZnSeシェルを有するコアを提供すること;
(c)(a)のコア又は(b)のZnSeシェルを有するコアをフッ化物供給源と混合すること;並びに
(d)(c)の混合物中に亜鉛供給源及び硫黄供給源を含む溶液を浸出すること
を含む、ナノ構造を調製する方法を提供する。
【0157】
[0168] いくつかの実施形態において、コアはZnSe、ZnSeTe、InP又はInAsを含む。いくつかの実施形態において、コアは、ZnSe1-xTe(式中、0≦x<1である)を含む。いくつかの実施形態において、コアはZnSeを含む。
【0158】
[0169] いくつかの実施形態において、フッ化物供給源対ナノクリスタルコアのモル比は、約1:1~約30:1、約1:1~約25:1、約1:1~約20:1、約1:1~約15:1、約1:1~約10:1、約1:1~約9:1、約1:1~約8:1、約1:1~約7:1、1:1~約6:1、約1:1~約5:1、約1:1~約4:1、約1:1~約3:1又は約1:1~約2:1である。いくつかの実施形態において、フッ化物供給源対ナノクリスタルコアのモル比は、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、約9:1、約10:1、約11:1、約12:1、約13:1、約14:1、約15:1、約16:1、約17:1、約18:1、約19:1、約20:1、約21:1、約22:1、約23:1、約24:1、約25:1、約26:1、約27:1、約28:1、約29:1又は約30:1である。
【0159】
[0170] いくつかの実施形態において、(b)の亜鉛供給源は、ジアルキル亜鉛化合物である。いくつかの実施形態において、(b)の亜鉛供給源は、カルボン酸亜鉛である。いくつかの実施形態において、(b)の亜鉛供給源は、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛、酢酸亜鉛、亜鉛アセチルアセトネート、沃化亜鉛、亜鉛ブロミド、塩化亜鉛、フッ化亜鉛、亜鉛炭酸塩、青化亜鉛、硝酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、酸化亜鉛、過酸化亜鉛、亜鉛過塩素酸塩、硫酸亜鉛、ヘキサン酸亜鉛、オクタン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸亜鉛又はその混合物である。いくつかの実施形態において、(b)の亜鉛供給源は、オレイン酸亜鉛、ヘキサン酸亜鉛、オクタン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸亜鉛又はその混合物である。いくつかの実施形態において、(b)の亜鉛供給源は、オレイン酸亜鉛である。
【0160】
[0171] いくつかの実施形態において、(b)のセレン供給源は、アルキル置換セレノウレアである。いくつかの実施形態において、(b)のセレン供給源は、セレン化ホスフィンである。いくつかの実施形態において、(b)のセレン供給源は、セレン化トリオクチルホスフィン、セレン化トリ(n-ブチル)ホスフィン、セレン化トリ(sec-ブチル)ホスフィン、セレン化トリ(tert-ブチル)ホスフィン、セレン化トリメチルホスフィン、セレン化トリフェニルホスフィン、セレン化ジフェニルホスフィン、セレン化フェニルホスフィン、セレン化トリシクロヘキシルホスフィン、セレン化シクロヘキシルホスフィン、1-オクタセレノール、1-ドデカセレノール、セレノフェノール、元素セレン、セレン化水素、セレン化ビス(トリメチルシリル)、セレノウレア又はその混合物である。いくつかの実施形態において、(b)のセレン供給源は、セレン化トリ(n-ブチル)ホスフィン、セレン化トリ(sec-ブチル)ホスフィン又はセレン化トリ(tert-ブチル)ホスフィンである。いくつかの実施形態において、(b)のセレン供給源は、セレン化トリオクチルホスフィンである。
【0161】
[0172] いくつかの実施形態において、(b)での混合は、約250℃~約350℃の温度における。いくつかの実施形態において、(b)での混合は、約310℃の温度における。
【0162】
[0173] いくつかの実施形態において、(b)での混合は、(a)のコアを、亜鉛供給源、セレン供給源及び任意選択的にフッ化物供給源と混合して、ZnSe及びフッ化物を含むシェルを有するコアを提供することを含む。
【0163】
[0174] いくつかの実施形態において、フッ化物供給源は金属フッ化物、フッ化アンモニウム又はフッ化テトラアルキルアンモニウムである。
【0164】
[0175] いくつかの実施形態において、フッ化物供給源は、ZnF、HfF及びZrFからなる群から選択される金属フッ化物である。いくつかの実施形態において、金属フッ化物はZnFである。いくつかの実施形態において、金属フッ化物はHfFである。いくつかの実施形態において、金属フッ化物はZrFである。
【0165】
[0176] いくつかの実施形態において、フッ化物供給源は、フッ化テトラブチルアンモニウム、フッ化テトラプロピルアンモニウム、フッ化ジイソプロピルジメチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム及びフッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、フッ化ジヘキサデシルジメチルアンモニウム、フッ化ジテトラデシルジメチルアンモニウム、フッ化ジドデシルジメチルアンモニウム、フッ化ジデシルジメチルアンモニウム、フッ化ジオクチルジメチルアンモニウム、フッ化ビス(エチルヘキシル)ジメチルアンモニウム、フッ化オクタデシルトリメチルアンモニウム、フッ化オレイルトリメチルアンモニウム、フッ化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、フッ化テトラデシルトリメチルアンモニウム、フッ化ドデシルトリメチルアンモニウム、フッ化デシルトリメチルアンモニウム、フッ化オクチルトリメチルアンモニウム、フッ化フェニルエチルトリメチルアンモニウム、フッ化ベンジルトリメチルアンモニウム、フッ化フェニルトリメチルアンモニウム、フッ化ベンジルヘキサデシルジメチルアンモニウム、フッ化ベンジルテトラデシルジメチルアンモニウム、フッ化ベンジルドデシルジメチルアンモニウム、フッ化ベンジルデシルジメチルアンモニウム、フッ化ベンジルオクチルジメチルアンモニウム、フッ化ベンジルトリブチルアンモニウム、及びフッ化ベンジルトリエチルアンモニウムからなる群から選択されるフッ化テトラアルキルアンモニウムである。
【0166】
[0177] いくつかの実施形態において、フッ化テトラアルキルアンモニウムは、フッ化テトラブチルアンモニウムである。
【0167】
[0178] いくつかの実施形態において、(c)での混合は、約20℃~約120℃の温度における。いくつかの実施形態において、(c)での混合は、約100℃の温度における。
【0168】
[0179] いくつかの実施形態において、(c)での混合は、アミン供給源をさらに含む。
【0169】
[0180] いくつかの実施形態において、アミン供給源は、低級アルキルアミン、アルケニルアミン、ヒドロアルキルアミン、ハロアルキルアミン、第一級アリールアミン、第二級アリールアミン又は複素環アミンである。いくつかの実施形態において、アミン供給源は、第二級アミン、すなわち、2つのC-N結合及び1つのN-H結合を含有するアミン基を有するアミンである。いくつかの実施形態において、アミン供給源は、合計20個以下の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態において、アミン供給源は、10個以下の炭素原子を含有する。第一級アミンの例は、アルキルアミン、例えばエチルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ヘキサデシルアミン及びオクタデシルアミン;アルケニルアミン、例えばアリルアミン、2-ヘキセニルアミン、4-デセニルアミン及びオクタデセニルアミン;アルカノールアミン、例えばエタノールアミン、オクタノールアミン及びドデカノールアミン;ハロアルキルアミン、例えばベタクロロエチルアミン;並びにアリールアミン、例えばアニリンである。本明細書で記載される化合物を調製するために使用され得る第二級アミンの例は、ジアルキルアミン、例えばジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、ジイソブチルアミン、ジヘキシルアミン及びジオクチルアミン;ジアルケニルアミン、例えばジアリルアミン及びジヘキセニルアミン;ジアルカノールアミン、例えばジエタノールアミン及びジデカノールアミン;ジハロアルキルアミン、例えばビス(ベータ-クロロエチル)アミン;並びにN,N’-ジアルキルアルキレンジアミン、例えばN,N-ジメチルエチレンジアミンである。第二級アミンは、必ずしも2つの同一置換基を含有する必要がない。そのような混合アミンの例としては、N-メチルエタノールアミン、N-メチルアリルアミン及びN-メチルアニリンが含まれる。追加的な第二級アミンとしては、アミン窒素が複素環内に含まれるアミンが含まれる。いくつかの実施形態において、複素環アミンは六員環複素環アミンである。そのような複素環アミンの例としては、モルホリン、ピペリジン、ピロリジン、N-メチルピペラジン、ヘキサメチレンイミン及びチオモルホリンが含まれる。いくつかの実施形態において、複素環アミンは、追加的なヘテロ原子、例えば、窒素、酸素又は硫黄を含有してもよい。
【0170】
[0181] いくつかの実施形態において、(d)の亜鉛供給源は、ジアルキル亜鉛化合物である。いくつかの実施形態において、(d)の亜鉛供給源は、カルボン酸亜鉛である。いくつかの実施形態において、(d)の亜鉛供給源は、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛、酢酸亜鉛、亜鉛アセチルアセトネート、沃化亜鉛、亜鉛ブロミド、塩化亜鉛、フッ化亜鉛、亜鉛炭酸塩、青化亜鉛、硝酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、酸化亜鉛、過酸化亜鉛、亜鉛過塩素酸塩、硫酸亜鉛、ヘキサン酸亜鉛、オクタン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸亜鉛又はその混合物である。いくつかの実施形態において、(d)の亜鉛供給源は、オレイン酸亜鉛、ヘキサン酸亜鉛、オクタン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸亜鉛又はその混合物である。いくつかの実施形態において、(d)の亜鉛供給源は、オレイン酸亜鉛である。
【0171】
[0182] いくつかの実施形態において、(d)の硫黄供給源は、硫化トリオクチルホスフィン、元素硫黄、オクタンチオール、ドデカンチオール、オクタデカンチオール、硫化トリブチルホスフィン、イソチオシアン酸シクロヘキシル、α-トルエンチオール、トリチオ炭酸エチレン、アリルメルカプタン、硫化ビス(トリメチルシリル)、硫化トリオクチルホスフィン及びその組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、(d)の硫黄供給源は、硫化トリオクチルホスフィンである。
【0172】
[0183] いくつかの実施形態において、(d)での浸出は、約280℃~約320℃の温度における。いくつかの実施形態において、(d)での浸出は、約310℃の温度における。
【0173】
[0184] いくつかの実施形態において、(d)での浸出は、約0.05mL/分~約5.0mL/分の浸出速度における。いくつかの実施形態において、(d)での浸出は、約0.1mL/分の浸出速度における。
【0174】
[0185] いくつかの実施形態において、ナノ構造中の亜鉛に対するナノ構造に結合したフッ化物のモル比は、約0.05~約0.35である。いくつかの実施形態において、ナノ構造中の亜鉛に対するナノ構造に結合したフッ化物のモル比は約0.13である。
【0175】
[0186] いくつかの実施形態において、ナノ構造は室温まで冷却される。いくつかの実施形態において、有機溶媒は、ナノ構造を含む反応混合物を希釈するために添加される。
【0176】
[0187] いくつかの実施形態において、反応混合物を希釈するために使用される有機溶媒は、エタノール、ヘキサン、ペンタン、トルエン、ベンゼン、ジエチルエーテル、アセトン、酢酸エチル、ジクロロメタン(塩化メチレン)、クロロホルム、ジメチルホルムアミド又はN-メチルピロリジノンである。いくつかの実施形態において、有機溶媒はトルエンである。いくつかの実施形態において、有機溶媒は、トルエン及びエタノールの組合せである。
【0177】
[0188] いくつかの実施形態において、ナノ構造は単離される。いくつかの実施形態において、ナノ構造は、有機溶媒を使用する沈殿によって単離される。いくつかの実施形態において、ナノ構造はエタノールによる凝集によって単離される。いくつかの実施形態において、ナノ構造は、遠心分離と、それに続いて有機溶媒のデカンテーションによってさらに単離される。
【0178】
フッ化物不動態化がコア中にあるナノ構造の製造
[0189] いくつかの実施形態において、本開示は、ナノ構造を提供するために、
(a)亜鉛供給源、セレン供給源及び第1の金属フッ化物供給源の溶液を混合し、ZnSe又はZnSe1-xTe(式中、0≦x<1である)及び第1の金属フッ化物を含むコアを提供すること;
(b)任意選択的に、(a)のコアを亜鉛供給源及びセレン供給源と混合し、ZnSeシェルを有するコアを提供すること;
(c)任意選択的に、(a)のコア又は(b)のZnSeシェルを有するコアを第2の金属フッ化物供給源と混合すること;並びに
(d)(a)、(b)又は(c)の混合物中に亜鉛供給源及び硫黄供給源を含む溶液を浸出すること
を含む、ナノ構造を調製する方法を提供する。
【0179】
[0190] いくつかの実施形態において、第1の金属フッ化物供給源対コアのモル比は、約1:1~10:1、約1:1~約9:1、約1:1~8:1、約1:1~約7:1、約1:1~約6:1、約1:1~約5:1、約1:1~約4:1、約1:1~約3:1又は約1:1~約2:1である。いくつかの実施形態において、第1の金属フッ化物供給源対コアのモル比は、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、約9:1又は約10:1である。
【0180】
[0191] いくつかの実施形態において、第2の金属フッ化物供給源対コアのモル比は、約1:1~約30:1、約1:1~約25:1、約1:1~約20:1、約1:1~約15:1、約1:1~約10:1、約1:1~約9:1、約1:1~約8:1、約1:1~約7:1、1:1~約6:1、約1:1~約5:1、約1:1~約4:1、約1:1~約3:1又は約1:1~約2:1である。いくつかの実施形態において、第2の金属フッ化物供給源対ナノクリスタルコアのモル比は、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、約9:1、約10:1、約11:1、約12:1、約13:1、約14:1、約15:1、約16:1、約17:1、約18:1、約19:1、約20:1、約21:1、約22:1、約23:1、約24:1、約25:1、約26:1、約27:1、約28:1、約29:1又は約30:1である。
【0181】
[0192] いくつかの実施形態において、(a)のセレン供給源は、セレン化トリオクチルホスフィン、セレン化トリ(n-ブチル)ホスフィン、セレン化トリ(sec-ブチル)ホスフィン、セレン化トリ(tert-ブチル)ホスフィン、セレン化トリメチルホスフィン、セレン化トリフェニルホスフィン、セレン化ジフェニルホスフィン、セレン化フェニルホスフィン、セレン化シクロヘキシルホスフィン、オクタセレノール、ドデカセレノール、セレノフェノール、元素セレン、セレン化水素、セレン化ビス(トリメチルシリル)及びその混合物からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、(a)のセレン供給源は、セレン化トリオクチルホスフィンである。
【0182】
[0193] いくつかの実施形態において、(a)の亜鉛供給源は、ジアルキル亜鉛化合物である。いくつかの実施形態において、(a)の亜鉛供給源は、カルボン酸亜鉛である。いくつかの実施形態において、(a)の亜鉛供給源は、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛、酢酸亜鉛、亜鉛アセチルアセトネート、沃化亜鉛、亜鉛ブロミド、塩化亜鉛、フッ化亜鉛、亜鉛炭酸塩、青化亜鉛、硝酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、酸化亜鉛、過酸化亜鉛、亜鉛過塩素酸塩、硫酸亜鉛、ヘキサン酸亜鉛、オクタン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸亜鉛又はその混合物である。いくつかの実施形態において、(a)の亜鉛供給源は、オレイン酸亜鉛、ヘキサン酸亜鉛、オクタン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸亜鉛又はその混合物である。いくつかの実施形態において、(a)の亜鉛供給源は、オレイン酸亜鉛である。
【0183】
[0194] いくつかの実施形態において、(a)の第1の金属フッ化物は、ZnF、HfF及びZrFからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、(a)の第1の金属フッ化物供給源は、ZnFである。いくつかの実施形態において、(a)の第1の金属フッ化物供給源は、HfFである。いくつかの実施形態において、(a)の第1の金属フッ化物供給源は、ZrFである。
【0184】
[0195] いくつかの実施形態において、(a)での混合は、第1のアミン供給源をさらに含む。
【0185】
[0196] いくつかの実施形態において、アミン供給源は、低級アルキルアミン、アルケニルアミン、ヒドロアルキルアミン、ハロアルキルアミン、第一級アリールアミン、第二級アリールアミン又は複素環アミンである。いくつかの実施形態において、アミン供給源は、第二級アミン、すなわち、2つのC-N結合及び1つのN-H結合を含有するアミン基を有するアミンである。いくつかの実施形態において、アミン供給源は、合計20個以下の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態において、アミン供給源は、10個以下の炭素原子を含有する。第一級アミンの例は、アルキルアミン、例えばエチルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ヘキサデシルアミン及びオクタデシルアミン;アルケニルアミン、例えばアリルアミン、2-ヘキセニルアミン、4-デセニルアミン及びオクタデセニルアミン;アルカノールアミン、例えばエタノールアミン、オクタノールアミン及びドデカノールアミン;ハロアルキルアミン、例えばベタクロロエチルアミン;並びにアリールアミン、例えばアニリンである。本明細書で記載される化合物を調製するために使用され得る第二級アミンの例は、ジアルキルアミン、例えばジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、ジイソブチルアミン、ジヘキシルアミン及びジオクチルアミン;ジアルケニルアミン、例えばジアリルアミン及びジヘキセニルアミン;ジアルカノールアミン、例えばジエタノールアミン及びジデカノールアミン;ジハロアルキルアミン、例えばビス(ベータ-クロロエチル)アミン;並びにN,N’-ジアルキルアルキレンジアミン、例えばN,N-ジメチルエチレンジアミンである。第二級アミンは、必ずしも2つの同一置換基を含有する必要がない。そのような混合アミンの例としては、N-メチルエタノールアミン、N-メチルアリルアミン及びN-メチルアニリンが含まれる。追加的な第二級アミンとしては、アミン窒素が複素環内に含まれるアミンが含まれる。いくつかの実施形態において、複素環アミンは六員環複素環アミンである。そのような複素環アミンの例としては、モルホリン、ピペリジン、ピロリジン、N-メチルピペラジン、ヘキサメチレンイミン及びチオモルホリンが含まれる。いくつかの実施形態において、複素環アミンは、追加的なヘテロ原子、例えば、窒素、酸素又は硫黄を含有してもよい。
【0186】
[0197] いくつかの実施形態において、(a)での混合は、約70℃~約130℃の温度における。いくつかの実施形態において、(a)での混合は、約100℃の温度における。
【0187】
[0198] いくつかの実施形態において、(b)の亜鉛供給源は、ジアルキル亜鉛化合物である。いくつかの実施形態において、(b)の亜鉛供給源は、カルボン酸亜鉛である。いくつかの実施形態において、(b)の亜鉛供給源は、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛、酢酸亜鉛、亜鉛アセチルアセトネート、沃化亜鉛、亜鉛ブロミド、塩化亜鉛、フッ化亜鉛、亜鉛炭酸塩、青化亜鉛、硝酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、酸化亜鉛、過酸化亜鉛、亜鉛過塩素酸塩、硫酸亜鉛、ヘキサン酸亜鉛、オクタン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸亜鉛又はその混合物である。いくつかの実施形態において、(b)の亜鉛供給源は、オレイン酸亜鉛、ヘキサン酸亜鉛、オクタン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸亜鉛又はその混合物である。いくつかの実施形態において、(b)の亜鉛供給源は、オレイン酸亜鉛である。
【0188】
[0199] いくつかの実施形態において、(b)のセレン供給源は、セレン化トリオクチルホスフィン、セレン化トリ(n-ブチル)ホスフィン、セレン化トリ(sec-ブチル)ホスフィン、セレン化トリ(tert-ブチル)ホスフィン、セレン化トリメチルホスフィン、セレン化トリフェニルホスフィン、セレン化ジフェニルホスフィン、セレン化フェニルホスフィン、セレン化シクロヘキシルホスフィン、オクタセレノール、ドデカセレノール、セレノフェノール、元素セレン、セレン化水素、セレン化ビス(トリメチルシリル)及びその混合物からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、(b)のセレン供給源は、セレン化トリオクチルホスフィンである。
【0189】
[0200] いくつかの実施形態において、(b)での混合は、約250℃~約350℃の温度における。いくつかの実施形態において、(b)での混合は、約310℃の温度における。
【0190】
[0201] いくつかの実施形態において、(c)の第2の金属フッ化物は、ZnF、HfF及びZrFからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、(c)の第2の金属フッ化物供給源は、ZnFである。いくつかの実施形態において、(c)の第2の金属フッ化物供給源は、HfFである。いくつかの実施形態において、(c)の第2の金属フッ化物供給源は、ZrFである。
【0191】
[0202] いくつかの実施形態において、(c)での混合は、第2のアミン供給源をさらに含む。
【0192】
[0203] いくつかの実施形態において、アミン供給源は、低級アルキルアミン、アルケニルアミン、ヒドロアルキルアミン、ハロアルキルアミン、第一級アリールアミン、第二級アリールアミン又は複素環アミンである。いくつかの実施形態において、アミン供給源は、第二級アミン、すなわち、2つのC-N結合及び1つのN-H結合を含有するアミン基を有するアミンである。いくつかの実施形態において、アミン供給源は、合計20個以下の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態において、アミン供給源は、10個以下の炭素原子を含有する。第一級アミンの例は、アルキルアミン、例えばエチルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ヘキサデシルアミン及びオクタデシルアミン;アルケニルアミン、例えばアリルアミン、2-ヘキセニルアミン、4-デセニルアミン及びオクタデセニルアミン;アルカノールアミン、例えばエタノールアミン、オクタノールアミン及びドデカノールアミン;ハロアルキルアミン、例えばベタクロロエチルアミン;並びにアリールアミン、例えばアニリンである。本明細書で記載される化合物を調製するために使用され得る第二級アミンの例は、ジアルキルアミン、例えばジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、ジイソブチルアミン、ジヘキシルアミン及びジオクチルアミン;ジアルケニルアミン、例えばジアリルアミン及びジヘキセニルアミン;ジアルカノールアミン、例えばジエタノールアミン及びジデカノールアミン;ジハロアルキルアミン、例えばビス(ベータ-クロロエチル)アミン;並びにN,N’-ジアルキルアルキレンジアミン、例えばN,N-ジメチルエチレンジアミンである。第二級アミンは、必ずしも2つの同一置換基を含有する必要がない。そのような混合アミンの例としては、N-メチルエタノールアミン、N-メチルアリルアミン及びN-メチルアニリンが含まれる。追加的な第二級アミンとしては、アミン窒素が複素環内に含まれるアミンが含まれる。いくつかの実施形態において、複素環アミンは六員環複素環アミンである。そのような複素環アミンの例としては、モルホリン、ピペリジン、ピロリジン、N-メチルピペラジン、ヘキサメチレンイミン及びチオモルホリンが含まれる。いくつかの実施形態において、複素環アミンは、追加的なヘテロ原子、例えば、窒素、酸素又は硫黄を含有してもよい。
【0193】
[0204] いくつかの実施形態において、(c)での混合は、約70℃~約130℃の温度における。いくつかの実施形態において、(c)での混合は、約100℃の温度における。
【0194】
[0205] いくつかの実施形態において、(d)の亜鉛供給源は、ジアルキル亜鉛化合物である。いくつかの実施形態において、(d)の亜鉛供給源は、カルボン酸亜鉛である。いくつかの実施形態において、(d)の亜鉛供給源は、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛、酢酸亜鉛、亜鉛アセチルアセトネート、沃化亜鉛、亜鉛ブロミド、塩化亜鉛、フッ化亜鉛、亜鉛炭酸塩、青化亜鉛、硝酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、酸化亜鉛、過酸化亜鉛、亜鉛過塩素酸塩、硫酸亜鉛、ヘキサン酸亜鉛、オクタン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸亜鉛又はその混合物である。いくつかの実施形態において、(d)の亜鉛供給源は、オレイン酸亜鉛、ヘキサン酸亜鉛、オクタン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸亜鉛又はその混合物である。いくつかの実施形態において、(d)の亜鉛供給源は、オレイン酸亜鉛である。
【0195】
[0206] いくつかの実施形態において、(d)の硫黄供給源は、硫化トリオクチルホスフィン、元素硫黄、オクタンチオール、ドデカンチオール、オクタデカンチオール、硫化トリブチルホスフィン、イソチオシアン酸シクロヘキシル、α-トルエンチオール、トリチオ炭酸エチレン、アリルメルカプタン、硫化ビス(トリメチルシリル)、硫化トリオクチルホスフィン及びその組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、(d)の硫黄供給源は、硫化トリオクチルホスフィンである。
【0196】
[0207] いくつかの実施形態において、(d)での浸出は、約250℃~約350℃の温度における。いくつかの実施形態において、(d)での浸出は、約310℃の温度における。
【0197】
[0208] いくつかの実施形態において、(d)での浸出は、約0.05mL/分~約5.0mL/分の浸出速度における。いくつかの実施形態において、(d)での浸出は、約0.5mL/分の浸出速度における。
【0198】
[0209] いくつかの実施形態において、ナノ構造中の亜鉛に対するナノ構造に結合したフッ化物のモル比は、約0.05~約0.35である。
【0199】
[0210] いくつかの実施形態において、ナノ構造は室温まで冷却される。いくつかの実施形態において、有機溶媒は、ナノ構造を含む反応混合物を希釈するために添加される。
【0200】
[0211] いくつかの実施形態において、反応混合物を希釈するために使用される有機溶媒は、エタノール、ヘキサン、ペンタン、トルエン、ベンゼン、ジエチルエーテル、アセトン、酢酸エチル、ジクロロメタン(塩化メチレン)、クロロホルム、ジメチルホルムアミド又はN-メチルピロリジノンである。いくつかの実施形態において、有機溶媒はトルエンである。いくつかの実施形態において、有機溶媒は、トルエン及びエタノールの組合せである。
【0201】
[0212] いくつかの実施形態において、ナノ構造は単離される。いくつかの実施形態において、ナノ構造は、有機溶媒を使用する沈殿によって単離される。いくつかの実施形態において、ナノ構造はエタノールによる凝集によって単離される。いくつかの実施形態において、ナノ構造は、遠心分離と、それに続いて有機溶媒のデカンテーションによってさらに単離される。
【0202】
アミン不動態化
[0213] いくつかの実施形態において、本開示は、ナノクリスタルコアを含むコアと;コア上に配置される、ZnS及びフッ化物を含む少なくとも1つのシェルと;ナノ構造に結合した少なくとも1つのアミンとを含むナノ構造を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、ナノクリスタルコアを含むコアと;コア上に配置される、ZnSを含む少なくとも1つのシェルと;ナノ構造に結合した少なくとも1つのフッ化物と;ナノ構造に結合した少なくとも1つのアミンとを含むナノ構造を提供する。
【0203】
[0214] ほとんどの量子ドットのネイティブ配位子の組合せ(例えば、カルボキシレート及びホスフィン)は、広範囲の有機媒体中で可溶性ではなく、量子ドット膜の調製において一般に使用されるマトリックス材料と適合しない。これらの問題を解決するために配位子交換を使用することができるが、交換は表面トラップ状態に影響し得、したがって、量子ドットの光ルミネセンス量子収量に影響し得る。そして、それらの非線形独立のみならず、金属カルボキシレート錯体がアミン結合によって同時に置換されることが可能であるため、光ルミネセンス量子収量及び連結は単純に関連しないことが判明した。
【0204】
[0215] さらにまた、量子ドット、特にInP量子ドットは、第一級アミンに感応性であることが知られる。このような感応性のため、InP量子ドットと一緒に使用することが可能であるマトリックス材料及び/又は配位子の選択肢は制限される。
【0205】
[0216] InP量子ドットの消失の相対範囲を低下させる試みは、中程度の成功のみを示した。例えば、InP量子ドットの厚い無機シェルコーティングを使用することによって、アミンによる量子収量消失の範囲を低下させることが可能であることが判明した。図11に示すように、2.5単層のZnSe及び6.5単層のZnSを含む最も厚いシェルコーティングは、2.5単層のZnSe及び2.5単層のZnSを含む最も薄いシェルコーティングよりも大きい量の、ドデシルアミンによる量子ドット消失を防いだ。しかしながら、非常に厚いシェルを有する量子ドットでは、より低い絶対量子収量を最終的に引き起こし得る、歪み誘起界面トラップが生じ得る。
【0206】
[0217] カルボキシレート末端CdSe、CdS、PbSe及びPbS量子ドットの配位化学に関する調査によって、消失機構の説明が提供される(Anderson, N.C., et al., J. Am. Chem. Soc. 135: 18536-18548 (2013))。図12に示すように、アミンなどの中性ルイス塩基配位子(L)は、カルボキシレート末端CdSe、CdS、PbS又はPbS量子ドットから、金属カルボキシレート(MがCd又はPbであり、且つXがOCR、Cl又はSRである、MX)を容易に置換する。アミン分子は、量子ドット表面上で金属カルボキシレートに、そして金属部位に配位する。したがって、得られるアミン-金属錯体は、高度に可溶性であり、量子ドット表面から容易に除去される。
【0207】
[0218] アミンは、金属部位の表面に結合することができる。モデル研究によって、アミンは、負に荷電したCdTe量子ドット上でCd-CdダイマーへのCd2+の還元を防止することが示された(du Fosse, I., et al., Chem. Mater. 31:4575-4583 (2019))。例えば、フッ化物配位子を含む量子ドットの表面へのアミンの結合は、オレイン酸亜鉛などのネイティブ配位子と比較して、フッ化亜鉛などのフッ化物配位子の低い空間要求によって促進されると考えられる。したがって、フッ化物配位子及びアミンは、量子ドット表面上で共存することができて、そして正孔及び電子トラップの両方を不活性化することができる。
【0208】
[0219] いくつかの実施形態において、ナノ構造の表面に結合するアミンは、低級アルキルアミン、アルケニルアミン、ヒドロアルキルアミン、ハロアルキルアミン、第一級アリールアミン、第二級アリールアミン又は複素環アミンである。いくつかの実施形態において、ナノ構造の表面に結合するアミンは、第二級アミン、すなわち、2つのC-N結合及び1つのN-H結合を含有するアミン基を有するアミンである。いくつかの実施形態において、ナノ構造の表面に結合するアミンは、合計20個以下の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態において、ナノ構造の表面に結合するアミンは、10個以下の炭素原子を含有する。第一級アミンの例は、アルキルアミン、例えばエチルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ヘキサデシルアミン及びオクタデシルアミン;アルケニルアミン、例えばアリルアミン、2-ヘキセニルアミン、4-デセニルアミン及びオクタデセニルアミン;アルカノールアミン、例えばエタノールアミン、オクタノールアミン及びドデカノールアミン;ハロアルキルアミン、例えばベタクロロエチルアミン;並びにアリールアミン、例えばアニリンである。本明細書で記載されるナノ構造の表面に結合することが可能である第二級アミンの例としては、ジアルキルアミン、例えばジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、ジイソブチルアミン、ジヘキシルアミン及びジオクチルアミン;ジアルケニルアミン、例えばジアリルアミン及びジヘキセニルアミン;ジアルカノールアミン、例えばジエタノールアミン及びジデカノールアミン;ジハロアルキルアミン、例えばビス(ベータ-クロロエチル)アミン;並びにN,N’-ジアルキルアルキレンジアミン、例えばN,N-ジメチルエチレンジアミンが含まれる。第二級アミンは、必ずしも2つの同一置換基を含有する必要がない。そのような混合アミンの例としては、N-メチルエタノールアミン、N-メチルアリルアミン及びN-メチルアニリンが含まれる。追加的な第二級アミンとしては、アミン窒素が複素環内に含まれるアミンが含まれる。いくつかの実施形態において、複素環アミンは六員環複素環アミンである。そのような複素環アミンの例としては、モルホリン、ピペリジン、ピロリジン、N-メチルピペラジン、ヘキサメチレンイミン及びチオモルホリンが含まれる。いくつかの実施形態において、複素環アミンは、追加的なヘテロ原子、例えば、窒素、酸素又は硫黄を含有してもよい。
【0209】
第1の配位子
[0220] いくつかの実施形態において、ナノ構造は、それらの表面に結合した配位子を含む。いくつかの実施形態において、ナノ構造は、ナノ構造を外部水分及び酸化から保護し、凝塊を制御して、マトリックス材料中でのナノ構造の分散を可能にする配位子を含むコーティング層を含む。適切な第1の配位子としては、全体として参照によって本明細書で組み込まれる米国特許第6,949,206号;同第7,267,875号;同第7,374,807号;同第7,572,393号;同第7,645,397号;及び同第8,563,133号;並びに米国特許出願公開同第2008/0237540号;同第2008/0281010号;同第2010/0110728号に開示されるものが含まれる。
【0210】
[0221] いくつかの実施形態において、ナノ構造は、マルチパート配位子構造、例えば、ヘッド基、テール基及びミドル/ボディ基が独立して製造されて、それらの特定の機能のために最適化されて、次いで理想的に機能する完全表面配位子へと組み合わせられる、米国特許出願公開第2008/237540号に開示される3パート配位子構造を含む。
【0211】
[0222] いくつかの実施形態において、第1の配位子は、1つ又はそれ以上の有機ポリマー配位子を含む。適切な配位子は、酸素透過性が低い状態での効率的且つ強い結合量子ドット封入を提供し;マトリックス材料の領域中に沈殿又は分離して、不連続二相又は多相マトリックスを形成し;マトリックス材料中で有利に分散し;そして商業的に入手可能な材料であるか、又は商業的に入手可能な材料から容易に配合することができる。
【0212】
[0223] いくつかの実施形態において、第1の配位子は、カルボキシ、チオール、ホスフィン又はホスフィンオキシド基を含む。
【0213】
[0224] いくつかの実施形態において、第1の配位子は、カルボキシ基を含む。いくつかの実施形態において、第1の配位子は、カルボン酸基を含む。いくつかの実施形態において、第1の配位子はカルボン酸基を含み、そしてカルボン酸はカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸又はパルミチン酸である。いくつかの実施形態において、第1の配位子は、カルボキシレートである。いくつかの実施形態において、第1の配位子はカルボキシレートを含み、そしてカルボキシレートはカルボキシアルキルである。
【0214】
[0225] いくつかの実施形態において、第1の配位子は、金属カルボキシレートを含む。いくつかの実施形態において、第1の配位子は、オレイン酸亜鉛、ヘキサン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛及びPEG-カルボン酸亜鉛からなる群から選択される金属カルボキシレートである。いくつかの実施形態において、第1の配位子は、オレイン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛及びPEG-カルボン酸亜鉛からなる群から選択される金属カルボキシレートである。いくつかの実施形態において、第1の配位子は、オレイン酸亜鉛である。
【0215】
[0226] いくつかの実施形態において、第1の配位子は、ホスフィン基を含む。いくつかの実施形態において、第1の配位子はホスフィン基を含み、そしてホスフィン基は、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリヘキシルホスフィン、トリオクチルホスフィン(TOP)又はトリデシルホスフィンである。
【0216】
[0227] いくつかの実施形態において、第1の配位子は、ホスフィンオキシド基を含む。いくつかの実施形態において、第1の配位子はホスフィンオキシド基を含み、そしてホスフィンオキシドは、トリフェニルホスフィンオキシド、トリブチルホスフィンオキシド、トリヘキシルホスフィンオキシド、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)又はトリデシルホスフィンオキシドである。
【0217】
配位子交換
[0228] いくつかの実施形態において、本発明は、ナノ構造上の配位子を交換する方法に関する。いくつかの実施形態において、ナノ構造上の第1の配位子は、少なくとも1つのフッ化物配位子と交換される。配位子交換の間、フッ化物配位子の少なくとも1つの官能性基は、ナノ構造のネイティブ疎水性配位子を置換して、ナノクリスタル表面上への配位子の安定なアンカリングを提供する。いくつかの実施形態において、ナノ構造は量子ドットである。
【0218】
[0229] いくつかの実施形態において、第1の配位子は、共有結合によってナノ構造に結合される。いくつかの実施形態において、第1の配位子は、非共有結合によってナノ構造に結合される。
【0219】
[0230] いくつかの実施形態において、本開示は、第2の配位子が第1の配位子を置換してナノ構造に結合するように、ナノ構造に結合した第1の配位子を有するナノ構造の集団と、第2の配位子である少なくとも1つのフッ化物配位子とを含む反応混合物を混合することを含む、ナノ構造上の第1の配位子を第2の配位子と置換する方法に関する。
【0220】
[0231] いくつかの実施形態において、フッ化物配位子は、金属フッ化物、フッ化アンモニウム又はフッ化テトラアルキルアンモニウムから選択される。
【0221】
[0232] いくつかの実施形態において、フッ化物配位子は、ZnF、HfF及びZrFからなる群から選択される金属フッ化物である。いくつかの実施形態において、金属フッ化物はZnFである。いくつかの実施形態において、金属フッ化物はHfFである。いくつかの実施形態において、金属フッ化物はZrFである。
【0222】
[0233] いくつかの実施形態において、フッ化物配位子は、フッ化テトラブチルアンモニウム、フッ化テトラプロピルアンモニウム、フッ化ジイソプロピルジメチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム及びフッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、フッ化ジヘキサデシルジメチルアンモニウム、フッ化ジテトラデシルジメチルアンモニウム、フッ化ジドデシルジメチルアンモニウム、フッ化ジデシルジメチルアンモニウム、フッ化ジオクチルジメチルアンモニウム、フッ化ビス(エチルヘキシル)ジメチルアンモニウム、フッ化オクタデシルトリメチルアンモニウム、フッ化オレイルトリメチルアンモニウム、フッ化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、フッ化テトラデシルトリメチルアンモニウム、フッ化ドデシルトリメチルアンモニウム、フッ化デシルトリメチルアンモニウム、フッ化オクチルトリメチルアンモニウム、フッ化フェニルエチルトリメチルアンモニウム、フッ化ベンジルトリメチルアンモニウム、フッ化フェニルトリメチルアンモニウム、フッ化ベンジルヘキサデシルジメチルアンモニウム、フッ化ベンジルテトラデシルジメチルアンモニウム、フッ化ベンジルドデシルジメチルアンモニウム、フッ化ベンジルデシルジメチルアンモニウム、フッ化ベンジルオクチルジメチルアンモニウム、フッ化ベンジルトリブチルアンモニウム、又はフッ化ベンジルトリエチルアンモニウムからなる群から選択されるフッ化テトラアルキルアンモニウムである。
【0223】
[0234] いくつかの実施形態において、フッ化テトラアルキルアンモニウムは、フッ化テトラブチルアンモニウムである。
【0224】
[0235] いくつかの実施形態において、フッ化物配位子は、フッ化テトラブチルアンモニウムである。
【0225】
[0236] いくつかの実施形態において、ナノ構造は量子ドットである。
【0226】
[0237] いくつかの実施形態において、第2の配位子は、ナノ構造に共有結合する。いくつかの実施形態において、第2の配位子は、ナノ構造に非共有結合する。
【0227】
[0238] いくつかの実施形態において、混合は、約0℃~約200℃、約0℃~約150℃、約0℃~約100℃、約0℃~約80℃、約20℃~約200℃、約20℃~約150℃、約20℃~約100℃、約20℃~約80℃、約50℃~約200℃、約50℃~約150℃、約50℃~約100℃、約50℃~約80℃、約80℃~約200℃、約80℃~約150℃、約80℃~約100℃、約100℃~約200℃、約100℃~約150℃又は約150℃~約200℃の温度で実行される。いくつかの実施形態において、混合は、約50℃~約100℃の温度で実行される。いくつかの実施形態において、混合は、約70℃の温度で実行される。
【0228】
[0239] いくつかの実施形態において、混合は、約1分及び約6時間、約1分及び約2時間、約1分及び約1時間、約1分及び約40分、約1分及び約30分、約1分及び約20分、約1分及び約10分、約10分及び約6時間、約10分及び約2時間、約10分及び約1時間、約10分及び約40分、約10分及び約30分、約10分及び約20分、約20分及び約6時間、約20分及び約2時間、約20分及び約1時間、約20分及び約40分、約20分及び約30分、約30分及び約6時間、約30分及び約2時間、約30分及び約1時間、約30分及び約40分、約40分及び約6時間、約40分及び約2時間、約40分及び約1時間、約1時間及び約6時間、約1時間及び約2時間又は約2時間及び約6時間の期間で実行される。いくつかの実施形態において、混合は、約40分及び約2時間の期間で実行される。いくつかの実施形態において、混合は、約1時間の期間で実行される。
【0229】
[0240] いくつかの実施形態において、反応混合物は溶媒をさらに含む。いくつかの実施形態において、溶媒は、クロロホルム、アセトン、ブタノン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、メチルイソブチルケトン、モノメチルエーテルグリコールエステル、ガンマ-ブチロラクトン、メチル酢酸-3-エチルエーテル、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、プロパンジオールモノメチルエーテル、プロパンジオールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、イソプロピルアルコール及びその組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、溶媒はトルエンである。
【0230】
[0241] フッ化物配位子によって置換された第1の配位子の百分率は、19F NMR又はフーリエ変換赤外線分光学(FTIR)によって測定することができる。いくつかの実施形態において、フッ化物配位子によって置換された第1の配位子のモル百分率は、約20%~約100%、約20%~約80%、約20%~約60%、約20%~約40%、約25%~約100%、約25%~約80%、約25%~約60%、約25%~約40%、約30%~約100%、約30%~約80%、約30%~約60%、約30%~約40%、約40%~約100%、約40%~約80%、約40%~約60%、約60%~約100%、約60%~約80%又は約80%~約100%である。
【0231】
[0242] ナノ構造の集団のナノ構造に結合したフッ化物配位子の百分率は、19F NMRによって測定することができ、結合した配位子は、(結合したフッ化物配位子)/(結合+遊離したフッ化物配位子)を使用して算出される。
【0232】
[0243] いくつかの実施形態において、ナノ構造に結合したフッ化物配位子のモル百分率は、約20%~約100%、約20%~約100%、約20%~約80%、約20%~約60%、約20%~約40%、約25%~約100%、約25%~約80%、約25%~約60%、約25%~約40%、約30%~約100%、約30%~約80%、約30%~約60%、約30%~約40%、約40%~約100%、約40%~約80%、約40%~約60%、約60%~約100%、約60%~約80%又は約80%~約100%である。
【0233】
フッ化物配位子及びアミンによるナノ構造の製造
[0244] いくつかの実施形態において、本開示は、ナノ構造を提供するために、
(a)ナノクリスタルコアと、コア上に配置される、ZnS又はZnSeを含む少なくとも1つのシェルとを含むナノ構造;及び
(b)少なくとも1つのフッ化物供給源;及び
(c)少なくとも1つのアミン供給源
を混合することを含む、ナノ構造を調製する方法を提供する。
【0234】
[0245] いくつかの実施形態において、フッ化物供給源対ナノ構造のモル比は、約0.5:1~約10:1、約0.5:1~約9:1、約0.5:1~8:1、約0.5:1~約7:1、約0.5:1~約6:1、約0.5:1~約5:1、約0.5:1~約4:1、約0.5:1~約3:1、約0.5:1~約2:1又は約0.5:1~約1:1である。いくつかの実施形態において、フッ化物供給源対ナノ構造のモル比は、約0.5:1、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、約9:1又は約10:1である。
【0235】
[0246] いくつかの実施形態において、(a)のナノ構造は、InP/ZnSe/ZnSである。いくつかの実施形態において、(a)のナノ構造は、赤色発光InP/ZnSe/ZnSである。いくつかの実施形態において、(a)のナノ構造は、緑色発光InP/ZnSe/ZnSである。
【0236】
[0247] いくつかの実施形態において、(b)のフッ化物供給源は、フッ化テトラアルキルアンモニウム、ZnF、HfF及びZrFからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、(b)のフッ化物供給源は、ZnFである。いくつかの実施形態において、(b)のフッ化物供給源は、HfFである。いくつかの実施形態において、(b)のフッ化物供給源は、ZrFである。いくつかの実施形態において、(b)のフッ化物供給源は、フッ化テトラアルキルアンモニウムである。
【0237】
[0248] いくつかの実施形態において、(c)のアミン供給源は、低級アルキルアミン、アルケニルアミン、ヒドロアルキルアミン、ハロアルキルアミン、第一級アリールアミン、第二級アリールアミン又は複素環アミンである。いくつかの実施形態において、(c)のアミン供給源は、第二級アミン、すなわち、2つのC-N結合及び1つのN-H結合を含有するアミン基を有するアミンである。いくつかの実施形態において、(c)のアミン供給源は、合計20個以下の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態において、(c)のアミン供給源は、10個以下の炭素原子を含有する。第一級アミンの例は、アルキルアミン、例えばエチルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ヘキサデシルアミン及びオクタデシルアミン;アルケニルアミン、例えばアリルアミン、2-ヘキセニルアミン、4-デセニルアミン及びオクタデセニルアミン;アルカノールアミン、例えばエタノールアミン、オクタノールアミン及びドデカノールアミン;ハロアルキルアミン、例えばベタクロロエチルアミン;並びにアリールアミン、例えばアニリンである。本明細書で記載される化合物を調製するために使用され得る第二級アミンの例は、ジアルキルアミン、例えばジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、ジイソブチルアミン、ジヘキシルアミン及びジオクチルアミン;ジアルケニルアミン、例えばジアリルアミン及びジヘキセニルアミン;ジアルカノールアミン、例えばジエタノールアミン及びジデカノールアミン;ジハロアルキルアミン、例えばビス(ベータ-クロロエチル)アミン;並びにN,N’-ジアルキルアルキレンジアミン、例えばN,N-ジメチルエチレンジアミンである。第二級アミンは、必ずしも2つの同一置換基を含有する必要がない。そのような混合アミンの例としては、N-メチルエタノールアミン、N-メチルアリルアミン及びN-メチルアニリンが含まれる。追加的な第二級アミンとしては、アミン窒素が複素環内に含まれるアミンが含まれる。いくつかの実施形態において、複素環アミンは六員環複素環アミンである。そのような複素環アミンの例としては、モルホリン、ピペリジン、ピロリジン、N-メチルピペラジン、ヘキサメチレンイミン及びチオモルホリンが含まれる。いくつかの実施形態において、複素環アミンは、追加的なヘテロ原子、例えば、窒素、酸素又は硫黄を含有してもよい。いくつかの実施形態において、アミン供給源は、オクチルアミンである。
【0238】
[0249] いくつかの実施形態において、混合は、約50℃~約130℃の温度における。いくつかの実施形態において、混合は、約50℃~約130℃、約50℃~約100℃、約50℃~約70℃、約70℃~約130℃、約70℃~約100℃又は約100℃~約130℃の温度における。いくつかの実施形態において、混合は、70℃の温度における。
【0239】
[0250] いくつかの実施形態において、ナノ構造に対する結合したフッ化物のモル比は、約0.05~約0.35である。
【0240】
[0251] いくつかの実施形態において、ナノ構造は室温まで冷却される。いくつかの実施形態において、有機溶媒は、ナノ構造を含む反応混合物を希釈するために添加される。
【0241】
[0252] いくつかの実施形態において、反応混合物を希釈するために使用される有機溶媒は、エタノール、ヘキサン、ペンタン、トルエン、ベンゼン、ジエチルエーテル、アセトン、酢酸エチル、ジクロロメタン(塩化メチレン)、クロロホルム、ジメチルホルムアミド又はN-メチルピロリジノンである。いくつかの実施形態において、有機溶媒はトルエンである。いくつかの実施形態において、有機溶媒は、トルエン及びエタノールの組合せである。
【0242】
[0253] いくつかの実施形態において、ナノ構造は単離される。いくつかの実施形態において、ナノ構造は、有機溶媒を使用する沈殿によって単離される。いくつかの実施形態において、ナノ構造はエタノールによる凝集によって単離される。いくつかの実施形態において、ナノ構造は、遠心分離と、それに続いて有機溶媒のデカンテーションによってさらに単離される。
【0243】
ナノ構造の改善された特性
[0254] いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法を使用して調製されるコア/シェルナノ構造は、高い光ルミネセンス量子収量を示す。いくつかの実施形態において、コア/シェルナノ構造は、60%~100%、60%~95%、60%~90%、60%~85%、60%~80%、60%~70%、70%~100%、70%~95%、70%~90%、70%~85%、70%~80%、80%~100%、80%~95%、80%~90%、80%~85%、85%~100%、85%~95%、80%~85%、85%~100%、85%~90%、90%~100%、90%~95%又は95%~100%の光ルミネセンス量子収量を有することが可能である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法を使用して調製されるコア/シェルナノ構造は、60%~99%の光ルミネセンス量子収量を有する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法を使用して調製されるコア/シェルナノ構造は、70%~99%の光ルミネセンス量子収量を有する。
【0244】
[0255] 本明細書に記載の方法を使用して調製されるコア/シェルナノ構造の光ルミネセンススペクトルは、スペクトルのいかなる所望の部分も本質的に包含する。いくつかの実施形態において、コア/シェルナノ構造の光ルミネセンススペクトルは、300nm~750nm、300nm~650nm、300nm~550nm、300nm~450nm、450nm~750nm、450nm~650nm、450nm~550nm、450nm~750nm、450nm~650nm、450nm~550nm、550nm~750nm、550nm~650nm又は650nm~750nmのピーク発光波長(PWL)を有する。いくつかの実施形態において、コア/シェルナノ構造の光ルミネセンススペクトルは、400nm~500nmのPWLを有する。
【0245】
[0256] 本明細書に記載の方法を使用して調製されるコア/シェルナノ構造のサイズ分布は、比較的狭くなることが可能である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法を使用して調製される集団又はコア/シェルナノ構造の光ルミネセンススペクトルは、10nm~60nm、10nm~40nm、10nm~30nm、10nm~20nm、20nm~60nm、20nm~40nm、20nm~30nm、30nm~60nm、30nm~40nm又は40nm~60nmの半値全幅を有する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法を使用して調製される集団又はコア/シェルナノ構造の光ルミネセンススペクトルは、10nm~40nmの半値全幅を有する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法を使用して調製されるコア/シェルナノ構造の集団の光ルミネセンススペクトルは、30nm~45nmの半値全幅を有する。
【0246】
ナノ構造膜
[0257] いくつかの実施形態において、本明細書で記載される方法によって調製されるコア/シェルナノ構造は、ナノ構造膜中に組み込まれる。いくつかの実施形態において、ナノ構造膜は、量子ドット強化膜(QDEF)中に組み込まれる。
【0247】
[0258] いくつかの実施形態において、本開示は、
(a)ナノクリスタルコアを含むコアと;コア上に配置される、ZnS及びフッ化物を含む少なくとも1つのシェルとを含むナノ構造の少なくとも1つの集団;並びに
(b)少なくとも1つの有機樹脂
を含むナノ構造膜を提供する。
【0248】
[0259] いくつかの実施形態において、本開示は、
(a)ナノクリスタルコアを含むコアと;コア上に配置される、ZnSを含む少なくとも1つのシェルと;ナノ構造の表面に結合した少なくとも1つのフッ化物と;ナノ構造の表面に結合した少なくとも1つのアミンとを含むナノ構造の少なくとも1つの集団;並びに
(b)少なくとも1つの有機樹脂
を含むナノ構造膜を提供する。
【0249】
[0260] いくつかの実施形態において、ナノ構造は量子ドットである。
【0250】
[0261] いくつかの実施形態において、本開示は、
(a)ZnSe又はZnSe1-xTe(式中、0≦x<1である)及び第1の金属フッ化物を含むコアと;コア上に配置される、ZnS及び任意選択的に第2の金属フッ化物を含む少なくとも1つのシェルとを含むナノ構造の少なくとも1つの集団;並びに
(b)少なくとも1つの有機樹脂
を含むナノ構造膜を提供する。
【0251】
[0262] いくつかの実施形態において、本開示は、
(a)InPを含むコアと;コア上に配置される、ZnS又はZnSeを含む少なくとも1つのシェルと;ナノ構造の表面に結合した少なくとも1つのフッ化物と;ナノ構造の表面に結合した少なくとも1つのアミンとを含むナノ構造の少なくとも1つの集団;並びに
(b)少なくとも1つの有機樹脂
を含むナノ構造膜を提供する。
【0252】
[0263] いくつかの実施形態において、ナノ構造は量子ドットである。
【0253】
[0264] いくつかの実施形態において、コア/シェルナノ構造は、マトリックスに包埋される。本明細書で使用される場合、「包埋される」という用語は、ナノ構造がマトリックスの主要成分を構成するマトリックス材料内に封じ込められるか、又は包まれることを示すために使用される。いくつかの実施形態において、ナノ構造はマトリックス材料を通して均一に分布する。いくつかの実施形態において、ナノ構造は、アプリケーション特有の均一性分布関数によって分布する。
【0254】
[0265] いくつかの実施形態において、ナノ構造は、青色可視波長スペクトル、緑色可視波長スペクトル、又は赤色可視波長スペクトルで発光するサイズを有する均質集団を含むことができる。いくつかの実施形態において、ナノ構造は、青色可視波長スペクトルで発光するサイズを有するナノ構造の第1の集団、緑色可視波長スペクトルで発光するサイズを有するナノ構造の第2の集団、及び赤色可視波長スペクトルで発光するサイズを有するナノ構造の第3の集団を含むことができる。
【0255】
[0266] マトリックス材料は、ナノ構造を収容することが可能な、いずれの適切なホストマトリックス材料でもあることが可能である。適切なマトリックス材料は、ナノ構造と、そしてナノ構造膜をデバイスに適用する際に使用される、いずれの包囲パッケージング材料又は層とも、化学的に、そして光学的に適合することが可能である。適切なマトリックス材料は、一次及び二次光の両方に対して透明である非黄色光学材料を含むことができ、したがって、一次及び二次光の両方がマトリックス材料を通して伝達することが可能である。マトリックス材料は、ポリマー、並びに有機及び無機酸化物を含むことが可能である。マトリックス材料中に使用される適切なポリマーは、そのような目的のために使用可能な、当業者に既知のいずれのポリマーでもあることが可能である。ポリマーは、実質的に半透明であることが可能であるか、又は実質的に透明であることが可能である。マトリックス材料としては、限定されないが、エポキシ、アクリレート、ノルボルネン、ポリエチレン、ポリ(ビニルブチラル):ポリ(酢酸ビニル)、ポリウレア、ポリウレタン;限定されないが、アミノシリコーン(AMS)、ポリフェニルメチルシロキサン、ポリフェニルアルキルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリジアルキルシロキサン、シルセスキオキサン、フッ素化シリコーン、並びにビニル及び水素化物置換シリコーンを含むシリコーン及びシリコーン誘導体;限定されないが、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート及びラウリルメタクリレートを含むモノマーから形成されるアクリルポリマー及びコポリマー;ポリスチレン、アミノポリスチレン(APS)及びポリ(アクリロニトリルエチレンスチレン)(AES)などのスチレンベースのポリマー;ジビニルベンゼンなどの二官能性モノマーによって架橋されたポリマー;配位子材料の架橋のために適切な架橋剤、配位子アミン(例えばAPS又はポリエチレンイミン配位子アミン)と組み合わせてエポキシを形成するエポキシドなどが含まれる。
【0256】
[0267] いくつかの実施形態において、マトリックス材料は、ナノ構造膜の光変換効率を改善することができる、TiOミクロビーズ、ZnSミクロビーズ又はガラスミクロビーズなどの分散ミクロビーズを含む。いくつかの実施形態において、マトリックス材料は、遮光素子を含むことができる。
【0257】
[0268] いくつかの実施形態において、マトリックス材料は、低い酸素及び水分透過性を有することが可能であり、高い光及び化学安定性を示すことが可能であり、良好な屈折率を示すことが可能であり、ナノ構造の外側表面に接着することが可能であり、したがって、ナノ構造を保護する気密シールを提供する。別の実施形態において、マトリックス材料は、ロール-ツー-ロール(roll-to-roll)加工を促進にするために、UV又は熱硬化法によって硬化性であることが可能である。
【0258】
[0269] いくつかの実施形態において、ナノ構造膜は、ポリマー(例えば、フォトレジスト)中でナノ構造を混合すること、及び基材上でナノ構造-ポリマー混合物を流し込むこと、ナノ構造をモノマーと混合すること、及びそれらを一緒に重合させること、ソル-ゲル中でナノ構造を混合して、酸化物を形成すること、又は当業者に既知の他のいずれの方法によって形成されることができる。
【0259】
[0270] いくつかの実施形態において、ナノ構造膜の形成は、膜押出成形プロセスを含むことが可能である。膜押出成形プロセスは、マトリックス材料と、バリア層がコーティングされたコア-シェルナノ構造、例えば金属ハロゲン化物及び/又は金属カルボキシレートで官能化されたナノ構造との均質混合物を形成すること、そして押出機に供給する上部取り付けホッパー中に均質混合物を導入することを含むことが可能である。いくつかの実施形態において、均質混合物は、ペレットの形態であることが可能である。膜押出成形プロセスは、スロットダイからナノ構造膜を押出成形し、押出成形されたナノ構造膜を冷却ロールに通すことをさらに含むことが可能である。いくつかの実施形態において、押出成形されたナノ構造膜は、約75μm未満、例えば、約70μm~約40μm、約65μm~約40μm、約60μm~約40μm又は約50μm~約40μmの範囲の厚さを有することが可能である。いくつかの実施形態において、ナノ構造膜は、約10μm未満の厚さを有する。いくつかの実施形態において、ナノ構造膜の形成は、二次プロセスを任意選択的に含み、その後に膜押出成形プロセスが行われることが可能である。二次プロセスは、共押出形成、熱形成、真空形成、プラズマ処理、成形及び/又はエンボシングなどのナノ構造膜層の上部表面にテクスチャーを提供するプロセスを含むことが可能である。テクスチャーのある上部表面ナノ構造膜は、例えば、ナノ構造膜の定義された光学拡散特性及び/又は定義された角光学発光特性の改善を補助することが可能である。
【0260】
ナノ構造成型品
[0271] いくつかの実施形態において、ナノ構造組成物は、ナノ構造成型品を形成するために使用される。いくつかの実施形態において、ナノ構造成型品は、液晶ディスプレー(LCD)又は発光ダイオード(LED)である。いくつかの実施形態において、ナノ構造組成物は、照明デバイスの発光層を形成するために使用される。照明デバイスは、フレキシブルな電子機器、タッチスクリーン、モニター、テレビ、携帯電話及び他のいずれかの高解像度ディスプレーなどの広範囲の種類の用途で使用されることが可能である。いくつかの実施形態において、照明デバイスは、発光ダイオード又は液晶ディスプレーである。いくつかの実施形態において、照明デバイスは、量子ドット発光ダイオード(QLED)である。QLEDの例は、完全に参照によって本明細書で組み込まれる米国特許出願公開第15/824,701号に開示される。
【0261】
[0272] いくつかの実施形態において、本開示は、
(a)第1の導電層;
(b)第2の導電層;及び
(c)第1のバリア層と第2のバリア層との間の発光層であって、ナノクリスタルコアを含むコアと;コア上に配置される、ZnS及びフッ化物を含む少なくとも1つのシェルとを含むナノ構造の集団を含む発光層
を含む発光ダイオードを提供する。
【0262】
[0273] いくつかの実施形態において、本開示は、
(a)第1の導電層;
(b)第2の導電層;及び
(c)第1のバリア層と第2のバリア層との間の発光層であって、ナノクリスタルコアを含むコアと;コア上に配置される、ZnS又はZnSeを含む少なくとも1つのシェルと;ナノ構造の表面に結合した少なくとも1つのフッ化物と;ナノ構造の表面に結合した少なくとも1つのアミンとを含むナノ構造の少なくとも1つの集団を含む発光層
を含む発光ダイオードを提供する。
【0263】
[0274] いくつかの実施形態において、本開示は、
(a)第1のバリア層;
(b)第2のバリア層;並びに
(c)第1のバリア層と第2のバリア層との間の発光層であって、ZnSe又はZnSe1-xTe(式中、0≦x<1である)及び第1の金属フッ化物を含むコアと;コア上に配置される、ZnS及び任意選択的に第2の金属フッ化物を含む少なくとも1つのシェルとを含むナノ構造の集団を含む発光層
を含む発光ダイオードを提供する。
【0264】
[0275] いくつかの実施形態において、本開示は、
(a)第1のバリア層;
(b)第2のバリア層;並びに
(c)第1のバリア層と第2のバリア層との間の発光層であって、InPを含むコアと;コア上に配置される、ZnS又はZnSeを含む少なくとも1つのシェルと;ナノ構造の表面に結合した少なくとも1つのフッ化物と;ナノ構造の表面に結合した少なくとも1つのアミンとを含むナノ構造の集団を含む発光層
を含む発光ダイオードを提供する。
【0265】
[0276] いくつかの実施形態において、発光層は、ナノ構造膜である。
【0266】
[0277] いくつかの実施形態において、発光ダイオードは、第1の導電層と、第2の導電層と、第1の導電層及び第2の導電層の間に配置される発光層とを含む。いくつかの実施形態において、発光層は薄膜である。
【0267】
[0278] いくつかの実施形態において、発光ダイオードは第1の導電層及び第2の導電層の間で追加的な層、例えば正孔注入層、正孔輸送層及び電子伝達層を含む。いくつかの実施形態において、正孔注入層、正孔輸送層及び電子伝達層は、薄膜である。いくつかの実施形態において、層は基材上で積層される。
【0268】
[0279] 第1の導電層及び第2の導電層に電圧が適用されると、第1の導電層で注入された正孔は、正孔注入層及び/又は正孔輸送層を通して発光層に移動し、そして第2の導電層から注入された電子は、電子伝達層を通して発光層に移動する。正孔及び電子は発光層で再結合し、励起子を生じる。
【0269】
ガラスLCDディスプレーデバイスの量子ドット
[0280] いくつかの実施形態において、ナノ構造膜は、ガラスLCDディスプレーデバイス上で量子ドットに組み込まれる。LCDディスプレーデバイスは、中間基材又はバリア層を必要とすることなく、光ガイドプレート(LGP)上に直接形成されるナノ構造膜を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、ナノ構造膜は、薄膜であることが可能である。いくつかの実施形態において、ナノ構造膜は、500μm以下、又は100μm以下、又は50μm以下の厚さを有することが可能である。いくつかの実施形態において、ナノ構造膜は、約15μm以下の厚さを有する薄膜である。
【0270】
[0281] LGPは、ガラスを含む、少なくとも上部側面を含む、1つ又はそれ以上の側面を有する光学的空洞を含むことが可能である。ガラスは、水分及び空気を含む不純物に対する優れた抵抗を提供する。さらに、ガラスは、構造的な剛性を維持しながら、薄い基材として形成されることが可能である。したがって、LGPは、十分なバリア及び構造的特性を有する基材を提供するために、少なくとも部分的にガラス表面から形成されることが可能である。
【0271】
[0282] いくつかの実施形態において、ナノ構造膜は、LGPの上で形成されることが可能である。いくつかの実施形態において、ナノ構造膜は、樹脂などのマトリックス材料に包埋されるナノ構造の集団を含む。ナノ構造膜は、ウェットコーティング、ペインティング、スピンコーティング又はスクリーン印刷などの当該技術において既知のいずれかの方法によってLGP上に形成することができる。堆積後、ナノ構造膜の樹脂を硬化することができる。いくつかの実施形態において、1つ又はそれ以上のナノ構造膜の樹脂は、部分的に硬化され、さらに加工されて、最終的に硬化されることが可能である。ナノ構造膜は、1枚の層として、又は別々の層として堆積させることが可能であり、そして別々の層は、様々な特性を含むことができる。ナノ構造膜の幅及び高さは、ディスプレーデバイスの視聴パネルのサイズに応じて、いかなる所望の寸法であることが可能である。例えば、ナノ構造膜は、腕時計及び電話などの小型ディスプレーデバイス実施形態において、比較的小さい表面積を有することが可能であり、又はナノ構造膜は、テレビ及びコンピューターモニターなどの大型ディスプレーデバイス実施形態に関しては、大きい表面積を有することが可能である。
【0272】
[0283] いくつかの実施形態において、光学的に透明な基材は、真空堆積、蒸着などの当該技術において既知のいずれかの方法によって、ナノ構造膜上で形成される。光学的に透明な基材は、ナノ構造膜の下にある層及び/又は構造に環境シーリングを提供するために構成されることが可能である。いくつかの実施形態において、遮光素子は、光学的に透明な基材に含まれることが可能である。いくつかの実施形態において、遮光素子は、基材及びナノ構造膜の間に配置されることが可能である第2の極性フィルターに含まれることが可能である。いくつかの実施形態において、遮光素子は、第2の光を伝達しながら、例えば、第1の光(例えば、青色光、UV光又はUV光及び青色光の組合せ)を反射することができる、二色性フィルターであることが可能である。遮光素子は、赤色及び緑色サブピクセルからのいずれかの未変換のUV光及び/又は青色サブピクセルからのUV光を除去するために、特定のUV光フィルタリング成分を含むことができる。
【0273】
量子ドットのオンチップ及びニアチップ配置
[0284] いくつかの実施形態において、ナノ構造は、「オンチップ」配置によってディスプレーデバイスに組み込まれる。本明細書で使用される場合、「オンチップ」とは、LEDカップ中にナノ構造を配置することを意味する。いくつかの実施形態において、ナノ構造は、LEDカップを充填するために、樹脂又は流体中に溶解される。
【0274】
[0285] いくつかの実施形態において、ナノ構造は、「ニアチップ」配置によってディスプレーデバイスに組み込まれる。本明細書で使用される場合、「ニアチップ」とは、出て行く光がナノ構造膜を通過するように、LEDアセンブリの上部表面をナノ構造でコーティングすることを意味する。
【0275】
ナノ構造色変換層を有するディスプレーデバイス
[0286] いくつかの実施形態において、本発明は、
(a)第1の光を放出するディスプレーパネル;
(b)第1の光をディスプレーパネルに提供するために構成されるバックライトユニット;及び
(c)色変換層を含む少なくとも1つのピクセル領域を含む色フィルター
を含むディスプレーデバイスを提供する。
【0276】
[0287] いくつかの実施形態において、色フィルターは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10のピクセル領域を含む。いくつかの実施形態において、青色光が色フィルター上で入射光線である場合、ピクセル領域を通して、赤色光、白色光、緑色光及び/又は青色光がそれぞれ放出され得る。いくつかの実施形態において、色フィルターは、完全に参照によって本明細書で組み込まれる米国特許出願公開第号2017/153366号に記載される。
【0277】
[0288] いくつかの実施形態において、各ピクセル領域は色変換層を含む。いくつかの実施形態において、色変換層は、入射光線を第1の色の光に変換するために構成される、本明細書に記載のナノ構造を含む。いくつかの実施形態において、色変換層は、入射光線を青色光に変換するために構成される、本明細書に記載のナノ構造を含む。
【0278】
[0289] いくつかの実施形態において、ディスプレーデバイスは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10の色変換層を含む。いくつかの実施形態において、ディスプレーデバイスは、本明細書に記載のナノ構造を含む、1つの色変換層を含む。いくつかの実施形態において、ディスプレーデバイスは、本明細書に記載のナノ構造を含む、2つの色変換層を含む。いくつかの実施形態において、ディスプレーデバイスは、本明細書に記載のナノ構造を含む、3つの色変換層を含む。いくつかの実施形態において、ディスプレーデバイスは、本明細書に記載のナノ構造を含む、4つの色変換層を含む。いくつかの実施形態において、ディスプレーデバイスは、少なくとも1つの赤色変換層、少なくとも1つの緑色変換層、及び少なくとも1つの青色変換層を含む。
【0279】
[0290] いくつかの実施形態において、色変換層は、約3μm~約10μm、約3μm~約8μm、約3μm~約6μm、約6μm~約10μm、約6μm~約8μm又は約8μm~約10μmの厚さを有する。いくつかの実施形態において、色変換層は、約3μm~約10μmの厚さを有する。
【0280】
[0291] 限定されないが、ペインティング、スプレーコーティング、溶媒スプレー、ウェットコーティング、接着剤コーティング、スピンコーティング、テープ-コーティング、ロールコーティング、フローコーティング、インクジェット印刷、フォトレジストパターニング、ドロップキャスティング、ブレードコーティング、ミスト堆積又はその組合せを含む、当該技術において既知のいずれかの適切な方法によって、ナノ構造色変換層を堆積することができる。いくつかの実施形態において、ナノ構造色変換層は、フォトレジストパターニングによって堆積させる。いくつかの実施形態において、ナノ構造色変換層は、インクジェット印刷によって堆積させる。
【0281】
インクジェット印刷
[0292] 有機溶媒中でのナノ構造の分散を使用する薄膜の形成は、スピンコーティングなどのコーティング技術によって、しばしば達成される。しかしながら、これらのコーティング技術は、大きい面積上での薄膜の形成のために一般に適切ではなく、堆積した層をパターン化するための手段を提供せず、したがって、使用が限定される。インクジェット印刷は、低コストで大規模の薄膜の正確にパターン化された配置を可能にする。インクジェット印刷は、ナノ構造層の正確なパターニングも可能にし、ディスプレーの印刷ピクセルを可能にし、光パターニングを排除する。したがって、インクジェット印刷は、工業用途に関して、特にディスプレー用途において非常に魅力的である。
【0282】
[0293] インクジェット印刷のために一般に使用される溶媒は、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(DPMA)、ポリグリシジルメタクリレート(PGMA)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(EDGAC)及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)である。揮発性溶媒は、急速乾燥が可能であるため、インクジェット印刷においてもしばしば使用される。揮発性溶媒としては、エタノール、メタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル及びテトラヒドロフランが含まれる。従来のナノ構造は、これらの溶媒中に一般に溶解することができない。しかしながら、ポリ(アルキレンオキシド)配位子を含むナノ構造の増加した親水性のため、これらの溶媒中での溶解度は増加する。
【0283】
[0294] いくつかの実施形態において、インクジェット印刷のために使用される本明細書に記載のナノ構造は、DPMA、PGMA、EDGAC、PGMEA、エタノール、メタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、クロロホルム、クロロベンゼン、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ヘキサデカン、ウンデカン、デカン、ドデカン、キシレン、トルエン、ベンゼン、オクタデカン、テトラデカン、ブチルエーテル又はその組合せから選択される溶媒中に分散する。いくつかの実施形態において、インクジェット印刷のために使用される本明細書に記載のポリ(アルキレンオキシド)配位子を含むナノ構造は、DPMA、PGMA、EDGAC、PGMEA、エタノール、メタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン又はその組合せから選択される溶媒中に分散する。
【0284】
[0295] インクジェット印刷又はミクロ分散によって適用されるために、ナノ構造を含むインクジェット組成物は、適切な溶媒中に溶解されなければならない。溶媒は、ナノ構造組成物を分散させることができなければならなくて、そして選択されたプリントヘッド上にいかなる有害な影響も及ぼしてはならない。
【0285】
[0296] いくつかの実施形態において、インクジェット組成物は、表面活性化合物、潤滑剤、湿潤剤、分散助剤、疎水化剤、接着剤、流動性向上剤、消泡剤、脱気剤、希釈剤、補助剤、着色剤、染料、顔料、感光剤、安定剤及び抑制剤などの1つ又はそれ以上の追加的な成分をさらに含む。
【0286】
[0297] いくつかの実施形態において、本明細書に記載のナノ構造組成物は、重量基準で、インクジェット組成物の約0.01%~約20%を構成する。いくつかの実施形態において、ポリ(アルキレンオキシド)配位子を含むナノ構造は、重量基準で、インクジェット組成物の約0.01%~約20%、約0.01%~約15%、約0.01%~約10%、約0.01%~約5%、約0.01%~約2%、約0.01%~約1%、約0.01%~約0.1%、約0.01%~約0.05%、約0.05%~約20%、約0.05%~約15%、約0.05%~約10%、約0.05%~約5%、約0.05%~約2%、約0.05%~約1%、約0.05%~約0.1%、約0.1%~約20%、約0.1%~約15%、約0.1%~約10%、約0.1%~約5%、約0.1%~約2%、約0.1%~約1%、約0.5%~約20%、約0.5%~約15%、約0.5%~約10%、約0.5%~約5%、約0.5%~約2%、約0.5%~約1%、約1%~約20%、約1%~約15%、約1%~約10%、約1%~約5%、約1%~約2%、約2%~約20%、約2%~約15%、約2%~約10%、約2%~約5%、約5%~約20%、約5%~約15%、約5%~約10%、約10%~約20%、約10%~約15%又は約15%~20%を構成する。
【0287】
[0298] いくつかの実施形態において、本明細書に記載のナノ構造又はナノ構造組成物を含むインクジェット組成物は、電子デバイスの配合物中に使用される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のナノ構造又はナノ構造組成物を含むインクジェット組成物は、ナノ構造膜、ディスプレーデバイス、照明デバイス、バックライトユニット、色フィルター、表面発光デバイス、電極、磁気記憶装置及び電池からなる群から選択される電子デバイスの配合物中に使用される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のナノ構造組成物を含むインクジェット組成物は、発光デバイスの配合物中に使用される。
【0288】
改善された特性を有する照明デバイス
[0299] いくつかの実施形態において、本開示のナノ構造を使用して調製される照明デバイスは、約1.5%~約20%、約1.5%~約15%、約1.5%~約12%、約1.5%~約10%、約1.5%~約8%、約1.5%~約4%、約1.5%~約3%、約3%~約20%、約3%~約15%、約3%~約12%、約3%~約10%、約3%~約8%、約8%~約20%、約8%~約15%、約8%~約12%、約8%~約10%、約10%~約20%、約10%~約15%、約10%~約12%、約12%~約20%、約12%~約15%又は約15%~約20%のEQEを示す。いくつかの実施形態において、本開示のナノ構造を使用して調製される照明デバイスは、約1.5%~約15%のEQEを示す。いくつかの実施形態において、本開示のナノ構造を使用して調製される照明デバイスは、約5%のEQEを示す。いくつかの実施形態において、照明デバイスは発光ダイオードである。
【0289】
[0300] いくつかの実施形態において、本開示のナノ構造を使用して調製される照明デバイスは、改善された寿命を示す。いくつかの実施形態において、本開示のナノ構造を使用して調製される照明デバイスは、約1秒~約100秒、約1秒~約50秒、約1秒~約40秒、約1秒~約30秒、約1秒~約20秒、約1秒~約10秒、約10秒~約100秒、約10秒~約50秒、約10秒~約40秒、約10秒~約30秒、約10秒~約20秒、約20秒~約100秒、約20秒~約50秒、約20秒~約40秒、約20秒~約30秒、約30秒~約40秒、約40秒~約100秒、約40秒~約50秒又は約50秒~約100秒後に、500cd/m(ニット)の初期光度の50%に達する(T50)。いくつかの実施形態において、本開示のナノ構造を使用して調製される照明デバイスは、約19秒~約35秒後に、500cd/m(ニット)の初期光度の50%に達する(T50)。
【0290】
[0301] いくつかの実施形態において、シェル中にフッ化物を用いた、本開示のナノ構造を使用して調製される照明デバイスが、500cd/m(ニット)の初期光度の50%に達する時間(T50)は、シェル中にいずれのフッ化物も含まない相当するナノ構造を含むエレクトロルミネセントデバイスのT50より少なくとも約3倍長い。
【実施例
【0291】
[0302] 以下の実施例は、本明細書に記載される製品及び方法の例証であり、非限定的である。当該分野において通常発生する、そして本開示を考慮して当業者に明らかである種々の条件、配合物及び他のパラメーターの適切な修正及び適応は、本発明の精神及び範囲内である。
【0292】
実施例1
TOPTe前駆体を使用するZnSe1-xTe合金ナノクリスタルの合成
[0303] TOPTe前駆体の調製:最初に、乾燥及び蒸留させたオレイルアミン2.5mLでテルル化トリオクチルホスフィン(1M Te、230μL)を希釈することによって、Te前駆体混合物を調製した。この溶液にリチウムトリエチルボロハイドライド(THF中1M、230μL)を添加し、それによって深紫色の溶液が得られた。最後に、オレイン酸亜鉛(トリオクチルホスフィン(TOP)中0.5M、460μL)を添加し、それによって、シリンジ中に吸引することが可能な無色不透明の粘性ゲルが得られた。
【0293】
[0304] 100mLの三ツ口フラスコにオレイルアミン(15mL)を添加し、30分間、110℃の真空下で脱気した。次いで、混合物を窒素流の下で300℃まで加熱した。この温度に到達したら、TOP中のセレン化トリオクチルホスフィン(TOPSe、2.7ミリモル)及びジフェニルホスフィン(225μL)の溶液(合計2.9mL)をフラスコに添加した。温度が300℃に戻ったら、上記のTOPTe前駆体及びTOP中のジエチル亜鉛(295μL)の溶液(1mL)を別のシリンジから迅速に注入した。温度を280℃に設定し、そして5分後、TOP中のジエチル亜鉛(294μL)及びTOPSe(4.4ミリモル)の溶液(合計3.8mL)の注入を、全部で3.8mLの完全な添加まで0.5mL/分の速度で開始した。前駆体注入の終了後、反応混合物を5分間、280℃に保持し、次いで室温まで冷却した。成長溶液を等体積のトルエン(40mL)で希釈し、そしてエタノール(120mL)を添加することによってナノクリスタルが沈澱した。遠心分離後、上澄みを廃棄し、そしてナノクリスタルをヘキサン(5mL)で再分散させた。アリコートから溶媒を蒸発させることによって、乾燥重量として濃度を測定した。乾燥材料にさらに熱重量分析を行い、ZnSe含有量を決定した。
【0294】
実施例2
ZnSeナノクリスタルの合成
[0305] ZnSeナノクリスタルは、TOPTe前駆体を注入せずに、実施例1の方法を使用して調製した。
【0295】
実施例3
ZnSe1-xTe/ZnSe緩衝ナノクリスタルの合成
[0306] 4つの単層(ML)ZnSeの標的シェル厚さを有する4.0nmの平均直径のZnSe1-xTeナノクリスタルのZnSe緩衝層を調製した。
【0296】
[0307] 100mLの三ツ口フラスコに、オレイン酸亜鉛(6.23g)、ラウリン酸(3.96g)、トリオクチルホスフィンオキシド(4.66g)及びTOP(9.4mL)を装填した。フラスコに、30分間100℃まで加熱し、脱気する前に、3回の真空及び窒素再充填サイクルを受けさせた。反応混合物を窒素ブランケット下に配置し、TOPSe(TOP中0.3Mのセレン1.8mL)と混合させたZnSe1-xTeコア(4.0mL、ヘキサン中28.0mg/mL)の溶液をフラスコに添加した。フラスコを2分間、減圧し、次いで、窒素流の下で310℃まで加熱した。この温度に到達したら、0.325mL/分の速度でTOPSe(10.4mL、TOP中0.3M)の低速注入を開始した。セレン注入の終了後、反応を10分間、310℃に保持し、次いで室温まで冷却した。反応混合物をトルエン(45mL)で希釈した。エタノール(135mL)を添加することによってコア/シェルナノクリスタルを沈澱させ、次いで、遠心分離、上澄みのデカンテーション及びヘキサン(5mL)中でのナノクリスタルの再分散によって単離した。この溶液をPTFE 0.22μmシリンジフィルターに通して濾過し、そしてアリコートから溶媒を蒸発させることによって、乾燥重量として濃度を測定した。乾燥材料にさらに熱重量分析を行い、ZnSe含有量を決定した。
【0297】
実施例4
フッ化物不動態化を有するZnSe1-xTe/ZnSe緩衝ナノクリスタルの合成
[0308] 手順は、実施例3に概説される方法と同一であるが、最初の3回の真空及び窒素再充填サイクルの前に、0.78ミリモルのフッ化亜鉛、フッ化ジルコニウム又はフッ化ハフニウムを添加した。
【0298】
実施例5
ZnSe/ZnSe緩衝ナノクリスタルの合成
[0309] 4つの単層(ML)ZnSeの標的シェル厚さを有する4.0nmの平均直径のZnSeナノクリスタルのZnSe緩衝層を調製した。
【0299】
[0310] 500mLの三ツ口フラスコに、オレイン酸亜鉛(27.63g)、ラウリン酸(17.54g)、トリオクチルホスフィンオキシド(18.00g)及びTOP(36.0mL)を装填した。次いで、フラスコに、30分間100℃まで加熱し、脱気する前に、3回の真空及び窒素再充填サイクルを受けさせた。反応混合物を窒素ブランケット下に配置し、ZnSeコア(2.0mL、ヘキサン中216.0mg/mL)の溶液をフラスコに添加した。フラスコを2分間、減圧し、次いで、窒素流の下で310℃まで加熱した。この温度に到達したら、0.720mL/分の速度でTOPSe(25.3mL、TOP中0.3M)の低速注入を開始した。セレン注入の終了後、反応を10分間、310℃に保持し、次いで室温まで冷却した。反応混合物をトルエン(95mL)で希釈した。エタノール(190mL)を添加することによってコア/シェルナノクリスタルを沈澱させ、次いで、遠心分離、上澄みのデカンテーション及びヘキサン(7mL)中でのナノクリスタルの再分散によって単離した。この溶液をPTFE 0.22μmシリンジフィルターに通して濾過し、そしてアリコートから溶媒を蒸発させることによって、乾燥重量として濃度を測定した。乾燥材料にさらに熱重量分析を行い、ZnSe含有量を決定した。
【0300】
実施例6
フッ化物不動態化を有するZnSe/ZnSe緩衝ナノクリスタルの合成
[0311] 手順は、実施例5に概説される方法と同一であるが、最初の3回の真空及び窒素再充填サイクルの前に、3.0ミリモルのフッ化亜鉛、フッ化ジルコニウム又はフッ化ハフニウムを添加した。
【0301】
実施例7
ZnSe1-xTe/ZnSe/ZnSコア/シェルナノクリスタルの合成
[0312] 4つの単層(ML)ZnSの標的シェル厚さを有する6.1nmの平均直径のZnSe1-xTe/ZnSeナノクリスタル上のZnSシェルを調製した。
【0302】
[0313] 25mLの三ツ口フラスコに、オレイン酸亜鉛(375mg)、ラウリン酸(240mg)、トリオクチルホスフィンオキシド(281mg)及びTOP(0.566mL)を装填した。次いで、フラスコに、30分間100℃まで加熱し、脱気する前に、3回の真空及び窒素再充填サイクルを受けさせた。反応混合物を窒素ブランケット下に配置し、オレイン酸亜鉛/TOPS(TOP中2.0Mの硫黄0.064mL+TOP中0.5Mのオレイン酸亜鉛0.254mL)と混合させた実施例3又は4のZnSe1-xTe/ZnSeナノクリスタル(0.30mL、ヘキサン中216.0mg/mL)の溶液をフラスコに添加した。フラスコを2分間、減圧し、次いで、窒素流の下で310℃まで加熱した。この温度に到達したら、0.103mL/分の速度でオレイン酸亜鉛/TOPS(9.5mL、TOP中0.3M)の低速注入を開始した。硫黄注入の終了後、反応を10分間、310℃に保持し、次いで室温まで冷却した。反応混合物をトルエン(5mL)で希釈した。エタノール(10mL)を添加することによってコア/シェルナノクリスタルを沈澱させ、次いで、遠心分離、上澄みのデカンテーション及びヘキサン(5mL)中でのナノクリスタルの再分散によって単離した。エタノール(10mL)で沈殿をもう一度繰り返し、ナノ結晶を最終的にオクタン(3mL)中に再分散させた。この溶液をPTFE 0.22μmシリンジフィルターに通して濾過し、そしてアリコートの乾燥重量を測定した後、濃度を18mg/mLに調整した。
【0303】
実施例8
ZnSe/ZnSe/ZnSコア/シェルナノクリスタルの合成
[0314] ZnSe1-xTe/ZnSeナノクリスタルの代わりに、実施例5又は実施例6のZnSe/ZnSeナノクリスタルを注入したことを除き、手順は実施例7に概説される方法と同一である。
【0304】
実施例9
フッ化物不動態化を有するZnSe/ZnSe/ZnSコア/シェルナノクリスタルの合成
[0315] 最初の3回の真空及び窒素再充填サイクルの前に、フラスコに無水フッ化亜鉛(1.94ミリモル)、又は0.9ミリモルのフッ化ハフニウム若しくはフッ化ジルコニウムのいずれかも装填したことを除き、手順は実施例8に概説される方法と同一である。
【0305】
実施例10
フッ化物不動態化を有するZnSe1-xTe/ZnSe/ZnSコア/シェルナノクリスタルの合成
[0316] 手順は、実施例7に概説される方法と同一であるが、最初の3回の真空及び窒素再充填サイクルの前に、3.0ミリモルのフッ化亜鉛、フッ化ジルコニウム又はフッ化ハフニウムを添加した。
【0306】
実施例11
増加したフッ化物不動態化を有するZnSe/ZnSe/ZnSコア/シェルナノクリスタルの合成
[0317] 最初の3回の真空及び窒素再充填サイクルの前に、フラスコに無水フッ化亜鉛(634.0mg)も装填したことを除き、手順は実施例9に概説される方法と同一である。
【0307】
実施例12
シェル化反応の間にフッ化物を使用して調製されるナノクリスタルの光ルミネセンス特性
[0318] シェル化反応の間にZnFの存在下で調製されたZnSe/ZnSコア/シェル及びZnSeTe/ZnSe/ZnSコア/シェル/シェル量子ドットの溶液光ルミネセンススペクトルを表1に示す。表1に示すように、十分に不動態化された表面を有する、結果として生じるコア/シェル量子ドットは、高い量子収量(QY)及び狭い半値全幅(FWHM)を示す。
【0308】
[0319] 表1に示されるように、4モル当量(試料B)から14モル当量(試料C)まで、シェル化反応の間のZnFの材料装填を増加させることによって、良好な表面被覆が得られ、予想外により高いQY及びより狭いFWHMが得られた。
【0309】
[0320] シェル成長の間のフッ化物の組み込みによって、ZnSシェル化量子ドットのモルフォロジーの変化も得られた。標準シェル成長条件を使用して合成される準球形粒子(図2及び図5)の代わりに、ZnFの装填レベルに関係なく、ZnFの存在下では立方体形状を有する粒子が得られた(図3図4及び図6)。これらの立方体粒子は、エレクトロルミネセントデバイスにおいて、より高い光度で有意に少ないロールオフも実証する。例えば、図7は、標準配位子(ZnFでない)によるZnSe/ZnS量子ドット(試料A)、4モル当量のZnFによって処理されたZnSe/ZnS量子ドット(試料B)及び14モル当量のZnFによって処理されたZnSe/ZnS量子ドット(試料C)に関する外部量子効率(EQE)対光度(ニット)の散布図である。改善されたロールオフは、ZnF配位子の改善された表面不動態化及び電気化学安定性を示す。
【0310】
[0321] さらにまた、シェル化反応の間、ZnFの存在下で調製された最終コア/シェル量子ドット中のフッ素の存在は、X線光電子分光法(XPS)によって確認することができる。図8は、全ての原子の1.9%がフッ素であり、そして測定されたF:Zn比が0.13である、実施例Bの全原子組成を示す。図9A及び9Bは、試料A及び試料Bの間のフッ素1sの領域の高解像度XPSスペクトルを比較する。試料Bに関する有意なシグナルが図9B中で観察された。
【0311】
【表1】
【0312】
実施例13
調製されたエレクトロルミネセントデバイス
[0322] デバイスは、スピンコーティング及び熱蒸発の組合せによって調製された。最初に、正孔注入材料ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スルホン酸スチレン)(PEDOT:PSS)(50nm)を、UV-オゾン処理された酸化インジウムスズ(ITO)基材上へスピンコーティングし、200℃において15分間、焼成した。デバイスを不活性雰囲気中に移し、正孔輸送材料N,N’-ジ(ナフタレン-1-イル)-N,N’-ビス(4-ビニルフェニル)ビフェニル-4,4’-ジアミン(VNPB)(20nm)をスピンコーティングによって堆積させ、15分間、200℃で焼成した。ZnSe/ZnS又はZnSe1-xTe/ZnSe/ZnS QDのいずれかの溶液をスピンコーティングによって堆積させ(発光層中に樹脂は使用されない)、続いて、電子伝達材料ZnMgO(20nm)のスピンコーティングを行った。次いで、Alカソード(150nm)を熱蒸発によって堆積させ、続いて、キャップ-ガラス、ゲッター及びエポキシ樹脂を使用して、デバイスの封入を行った。
【0313】
実施例14
試料A~Eの量子ドットを使用して調製されたデバイスのエレクトロルミネセント特性
[0323] シェル化反応の間にZnFの存在下で調製されたZnSe/ZnSコア/シェル及びZnSeTe/ZnSe/ZnSコア/シェル/シェル量子ドット(表1の試料A~E)を含むデバイスのエレクトロルミネセンススペクトルを表2に示す。表2に示すように、エレクトロルミネセント寿命(500cd/mでのT50)は、ZnFの存在下で調製される量子ドットでは、予想外であることに、2~6倍増加した。
【0314】
[0324] 表2に示されるように、4モル当量(試料Bによるデバイス)から14モル当量(試料Cによるデバイス)まで、シェル化反応の間のZnFの材料装填を増加させることによって、より良好な表面被覆が得られ、予想外により長い寿命が得られた。
【0315】
【表2】
【0316】
実施例15
シェル化反応の間に種々のフッ化物を使用して調製されたナノクリスタルの光ルミネセンス特性及びそれから調製されたデバイスのエレクトロルミネセント特性
[0325] シェル化反応の間にZnFの存在下で、及び他のフッ化物供給源の存在下で調製されたZnSe/ZnSコア/シェル及びZnSeTe/ZnSe/ZnSコア/シェル/シェル量子ドット(試料A~E)の溶液光ルミネセンススペクトルを表3に示す。
【0317】
【表3】
【0318】
[0326] 表3の試料A~Iの量子ドットをそれぞれ含むデバイス(デバイスA~I)のエレクトロルミネセンススペクトルを表4に示す。
【0319】
【表4】
【0320】
実施例16
コア緩衝成長/シェル反応の間に金属フッ化物を使用して調製されたナノクリスタルの光ルミネセンス特性及びそれから調製されたデバイスのエレクトロルミネセント特性
[0327] コア緩衝成長/シェル反応の間に第IV族のフッ化物の存在下で調製されたZnSe/ZnSコア/シェル及びZnSeTe/ZnSe/ZnSコア/シェル/シェル量子ドットの溶液光ルミネセンススペクトルを表5に示す。表5に示すように、十分に不動態化された表面を有する、結果として生じるコア/シェル量子ドットは、高い量子収量(QY)及び狭い半値全幅(FWHM)を示す。
【0321】
【表5】
【0322】
[0328] ZnSe/ZnSコア/シェル量子ドット(表5の試料J及びK)を含むデバイスのエレクトロルミネセンススペクトルを表6に示す。表6に示すように、エレクトロルミネセント寿命(500cd/mでのT50)は、コア中にZrFが存在する、調製された量子ドット(試料Kによるデバイス)で有意に増加した。
【0323】
【表6】
【0324】
実施例17
コア緩衝成長/シェル反応の間に金属フッ化物を使用して調製されたナノクリスタルの光ルミネセンス特性及びそれから調製されたデバイスのエレクトロルミネセント特性
[0329] コア緩衝成長/シェル反応の間に金属フッ化物の存在下で調製されたZnSe/ZnSコア/シェル量子ドットの溶液量子収量、及びこれらの量子ドットを含むデバイスのエレクトロルミネセンススペクトルを表7に示す(図10)。
【0325】
【表7】
【0326】
[0330] 表7に示すように、基本的な対照試料Pと比較して、金属フッ化物で処理された全てのZnSeコア(試料T~Y)においてベースラインEQEの保持が観察された。加えて、(2~5の順序による)デバイス寿命の有意且つ予想外の増加は、金属フッ化物がシェル化反応において存在した試料Q~S及びW~Yにおいて観察された。さらに、コア及びシェルの両方における金属フッ化物の組合せは、EQEを損なうことなく、エレクトロルミネセントデバイスのより長い動作寿命とともに、優れた量子ドットをもたらす(試料W~Y)。
【0327】
実施例18
量子ドット合成
[0331] 実施例19~25で使用された量子ドットは、全体として参照によって組み込まれる、米国特許出願公開第2017/0066965号(ZnSe/ZnS量子ドット)、米国特許出願公開第2017/0306227号(InP/ZnSe/ZnS量子ドット)、又は米国仮特許出願第62/677853号(ZnSe1-xTe/ZnSe/ZnS量子ドット)に記載の手順を使用して合成された。合成された量子ドットは、それらのネイティブ配位子としてオレイン酸亜鉛配位子でキャップされた。
【0328】
実施例19
InP/ZnSe/ZnS量子ドットのTBAF及びオクチルアミン処理(試料Z)
[0332] 10mgのフッ化テトラブチルアンモニウム三水和物(TBAF)、13mgの塩化ジドデシルジメチルアンモニウム及び8mgのオクチルアミンを1.8mLのトルエン中に溶解した。オレイン酸亜鉛ネイティブ配位子を含む緑色発光InP/ZnSe/ZnS量子ドット(18mg、42mg/mLのオクタン中貯蔵液0.43mL)をこの溶液に添加した。混合物を60分間、70℃で撹拌した。アセトニトリル(1.2mL)を用いた沈殿によってTBAF配位子を含む量子ドットを単離し、オクタン(0.5mL)中に再分散した。このオクタン分散体を光学的特徴決定用に使用した。
【0329】
実施例20
InP/ZnSe/ZnS量子ドットのオクチルアミン処理(試料AA)
[0333] 13mLの塩化ジドデシルジメチルアンモニウム及び8mgのオクチルアミンを1.8mLのトルエン中に溶解した。オレイン酸亜鉛ネイティブ配位子を含む緑色発光InP/ZnSe/ZnS量子ドット(18mg、42mg/mLのオクタン中貯蔵液0.43mL)をこの溶液に添加した。混合物を60分間、70℃で撹拌した。アセトニトリル(1.2mL)を用いた沈殿によって得られた量子ドットを単離し、オクタン(0.5mL)中に再分散した。このオクタン分散体を光学的特徴決定用に使用した。
【0330】
実施例21
InP/ZnSe/ZnS量子ドットのTBAF処理(試料AB)
[0334] 10mgのフッ化テトラブチルアンモニウム三水和物及び13mgの塩化ジドデシルジメチルアンモニウムを1.8mLのトルエン中に溶解した。オレイン酸亜鉛ネイティブ配位子を含む緑色発光InP/ZnSe/ZnS量子ドット(18mg、42mg/mLのオクタン中貯蔵液0.43mL)をこの溶液に添加した。混合物を60分間、70℃で撹拌した。アセトニトリル(1.2mL)を用いた沈殿によってTBAF配位子を含む量子ドットを単離し、オクタン(0.5mL)中に再分散した。このオクタン分散体を光学的特徴決定用に使用した。
【0331】
実施例22
InP/ZnSe/ZnS量子ドットの過剰オクチルアミン処理(試料AC及びAD)
[0335] 実施例19(TBAF及びオクチルアミン使用)並びに実施例20(オクチルアミンのみ使用)で調製された最終オクタン溶液0.1mLに過剰量のオクチルアミン(10mg)を添加した。これらの混合物は、光学的特徴決定用に直接使用した。
【0332】
実施例23
フッ化物及び/又はアミン処理後のナノクリスタルの光ルミネセンス特性、並びにそれから調製されたデバイスのエレクトロルミネセント特性
[0336] フッ化物処理を用いて、及び用いずに調製されたInP/ZnSe/ZnS量子ドットの溶液量子収量、光ルミネセンス、及び半値全幅の値を表8に示す。
【0333】
【表8】
【0334】
実施例24
InP/ZnSe/ZnS量子ドットのTBAF及びオクチルアミン処理(試料AE)
[0337] 19mgのTBAF、13mgの塩化ジドデシルジメチルアンモニウム及び8mgのオクチルアミンを1.8mLのトルエン中に溶解した。オレイン酸亜鉛ネイティブ配位子を含む赤色発光InP/ZnSe/ZnS QD(18mg、325mg/mLのオクタン中貯蔵液0.055mL)をこの溶液に添加した。混合物を120分間、70℃で撹拌した。アセトニトリル(0.6mL)を用いた沈殿によって、交換されたQDを単離し、オクタン(0.5mL)中に再分散した。このオクタン分散体を光学的特徴決定用に使用した。
【0335】
実施例25
InP/ZnSe/ZnS量子ドットのオクチルアミン処理(試料AF)
[0338] 塩化ジドデシルジメチルアンモニウム(13mg)及びオクチルアミン(8mg)をトルエン(1.8mL)中に溶解した。オレイン酸亜鉛ネイティブ配位子を含む赤色発光InP/ZnSe/ZnS QD(18mg、325mg/mLのオクタン中貯蔵液0.055mL)をこの溶液に添加した。混合物を120分間、70℃で撹拌した。アセトニトリル(0.6mL)を用いた沈殿によって、交換されたQDを単離し、オクタン(0.5mL)中に再分散した。このオクタン分散体を光学的特徴決定用に使用した。
【0336】
実施例26
InP/ZnSe/ZnS量子ドットのTBAF処理(試料AG)
[0339] フッ化テトラブチルアンモニウム三水和物(57mg)及び塩化ジドデシルジメチルアンモニウム(39mg)をトルエン(5.4mL)中に溶解した。オレイン酸亜鉛ネイティブ配位子を含む赤色発光InP/ZnSe/ZnS QD(54mg、325mg/mLのオクタン中貯蔵液0.165mL)をこの溶液に添加した。混合物を120分間、70℃で撹拌した。アセトニトリル(1.8mL)を用いた沈殿によって、交換されたQDを単離し、オクタン(1.5mL)中に再分散した。このオクタン分散体を光学的特徴決定用に使用した。
【0337】
実施例27
フッ化物及び/又はアミン処理後のナノクリスタルの光ルミネセンス特性、並びにそれから調製されたデバイスのエレクトロルミネセント特性
[0340] フッ化物処理を用いて、及び用いずに調製されたInP/ZnSe/ZnS量子ドットの溶液量子収量、光ルミネセンス、及び半値全幅の値を表9に示す。
【0338】
【表9】
【0339】
[0341] 種々の実施形態が上記で説明されたが、それらは一例として示されているだけであり、限定するものではないことは理解されるべきである。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、形状及び細部の種々の変更を実行することができることは、関連技術における当業者にとって明らかである。したがって、上記の例示的な実施形態のいずれによっても範囲が限定されるべきではないが、以下の請求の範囲及びそれらの同等物のみに従って定義されるべきである。
【0340】
[0342] 本明細書に記載の全ての刊行物、特許及び特許出願は、本発明が関係する当業者の技術のレベルを示し、それぞれの個々の刊行物、特許又は特許出願が具体的に及び個々に参照によって組み込まれることが示されるかのように、同一範囲の参照によって本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
【国際調査報告】