(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-14
(54)【発明の名称】炭素排出削減データ処理方法、装置、及びコンピュータ読み取り可能記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/00 20120101AFI20220907BHJP
【FI】
G06Q50/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021575301
(86)(22)【出願日】2020-07-07
(85)【翻訳文提出日】2022-01-21
(86)【国際出願番号】 CN2020100598
(87)【国際公開番号】W WO2021008405
(87)【国際公開日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】201910630983.X
(32)【優先日】2019-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】518040828
【氏名又は名称】シャンハイ・ウェイリアン・インフォメーション・テクノロジー・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120846
【氏名又は名称】吉川 雅也
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【氏名又は名称】鳥野 正司
(72)【発明者】
【氏名】ティエン,シンリ
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC60
(57)【要約】
【課題】 本発明は、炭素排出削減データ処理方法、装置、及びコンピュータ読み取り可能記憶媒体を提供している。
【解決手段】 この方法によれば、炭素排出削減挙動を持つ対象の属性にマッチングする目標スマートコントラクト(210)を決定し、目標スマートコントラクト及び炭素排出削減挙動に対応する炭素挙動データに基づいて、対象に対応する炭素排出削減相当量(220)を決定し、炭素排出削減相当量をブロックチェーンプラットフォームのノードに送信して、炭素排出削減相当量をブロックチェーンプラットフォーム上における企業利用者に関連付けられた第1口座中(230)に記憶し、この対策を使用することによって、利用者の炭素排出量又は排出削減量について効果的且つ正確な統計を行うことができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素排出削減挙動を有する対象の属性にマッチングする目標スマートコントラクトを決定することと、
前記目標スマートコントラクト及び前記炭素排出削減挙動に対応する炭素挙動データに基づいて、前記対象に対応する炭素排出削減相当量を決定することと、
前記炭素排出削減相当量をブロックチェーンプラットフォームのノードに送信して、前記炭素排出削減相当量を前記ブロックチェーンプラットフォーム上における企業利用者に関連付けられた第1口座に記憶することと、を含む炭素排出削減データ処理方法。
【請求項2】
前記炭素排出削減相当量を決定することは、
前記目標スマートコントラクトに関連付けられた参照排出関係に基づいて参照排出量を決定することと、
少なくとも前記参照排出量に基づいて前記炭素排出削減相当量を決定することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記参照排出関係は、予め定義された排出基準に従って生成される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも前記参照排出量に基づいて前記炭素排出削減相当量を決定することは、
前記対象の属性に関する所定の排出関係に基づいて実際の排出量を決定することと、
前記参照排出量及び前記実際の排出量に基づいて前記炭素排出削減相当量を決定することと、を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記炭素排出削減挙動を持つ前記対象は、輸送装置、省エネ家電、リサイクルされた物品、及び循環利用される物品のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記対象の属性は、輸送装置の種類、輸送装置の型番、スマート家電の型番、スマート家電の作動モード、リサイクルされた物品の種類、及び循環利用される物品の種類のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記目標スマートコントラクトを決定することは、候補スマートコントラクトと、前記対象の1つの属性又は複数の属性の組み合わせに対応するキーワードとの対応関係によって、前記対象にマッチングする候補スマートコントラクトを目標スマートコントラクトとして決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記企業利用者からの炭素トークンの発行要求を受信したことに対応して、ブロックチェーンプラットフォームの前記企業利用者の第1口座に記憶されている、前記企業利用者の少なくとも1つの対象の炭素排出削減挙動に由来する炭素排出削減相当量の固定保留量を決定することと、
前記固定保留量及び第1所定比例関係に基づいて、炭素トークンの発行量を決定することと、
前記第1口座における炭素排出削減相当量に基づいて、前記発行量の炭素トークンを生成することと、
前記固定保留量の炭素排出削減相当量を、前記第1口座から前記ブロックチェーンプラットフォームの第2口座に転送することと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
企業利用者からの炭素トークンの消費要求を受信したことに対応して、前記企業利用者の第1口座における前記炭素トークンの消費保留量を決定することと、
前記炭素トークンの前記消費保留量及び第2所定比例関係に基づいて、前記炭素排出削減相当量の固定解除量を決定することと、
前記第1口座から前記消費保留量の前記炭素トークンを廃棄することと、
前記固定解除量の前記炭素排出削減相当量を、前記第2口座から前記第1口座に転送することと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記炭素トークンの総量及び前記第2口座における炭素排出削減相当量に基づいて、前記第1所定比例関係及び前記第2所定比例関係を決定することをさらに含む、請求項8及び9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
炭素排出削減挙動を持つ対象に関する個人利用者の炭素トークンの配布要求に対応して、前記個人利用者の炭素挙動に対応する炭素挙動データに基づいて、前記炭素トークンの交換量を決定することと、
前記交換量の前記炭素トークンを、前記個人利用者を含む複数の個人利用者の口座に関連付けられた前記第1口座から前記個人利用者の口座に転送することと、をさらに含む請求項8及び9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
1以上のプロセッサと、
1以上のプログラムを記憶するために用いられ、前記1以上のプログラムが前記1以上のプロセッサによって実行されると、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法を前記1以上のプロセッサに実現させる記憶装置と、を含む炭素排出削減データ処理電子装置。
【請求項13】
コンピュータプログラムが記憶されており、前記プログラムがプロセッサによって実行されると、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法が実現される、コンピュータ読み取り可能記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンピュータの技術分野に関し、より具体的には、炭素排出削減データ処理方法、装置、及びコンピュータ読み取り可能記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
温室効果ガスは、大気中で、地面により反射される太陽放射を吸収して、放射を再放出することができるいくつかのガスである。炭素排出は、温室効果ガス排出の略語である。温室効果ガスの中で最も重要なガスは、二酸化炭素であるため、炭素(Carbon)という用語が代表として使用される。現在の研究によると、温室効果ガスは、地球の表面温度を上昇させて、環境や気候に影響を与え、危害を及ぼす。従って、炭素排出をいかに制御するか、及び排出削減技術によって炭素排出量をいかに削減するかが、現在、最も重要な環境保護トピックの1つとなっている。
【0003】
全世界又は全国の炭素排出量を制御するために、現在一般に採用されている方法は、国際組織又は各国の国家機関からエネルギーを消費する企業利用者の各々に炭素排出クレジットを割り当てる方法、あるいは、炭素排出削減目標を指定する方法である。実際の炭素排出量がその排出クレジットを超える企業利用者は、生産を継続することができなくなる。例えば、中国では、関連する国家主管部門が炭素排出削減を実施するプロジェクトや企業利用者に対して中国認証自主排出削減量(CCER)を監督及び承認しており、企業利用者は、例えば、新エネルギー端末のプロジェクトを実施して温室効果ガスを削減することによって対応する量のCCERを得ることができる。炭素排出がオーバーした企業利用者は、何らかの方法で炭素排出削減活動を実施している企業利用者から相応の炭素排出クレジットを得ることで生産を継続することができる。しかし、これらの既存の対策は、通常、企業レベルの利用者を対象としているため、利用者の炭素排出量又は排出削減量について統計を行うことは困難である。
【発明の概要】
【0004】
本開示の実施例は、データ処理対策を提案している。
【0005】
本開示の第1態様において、炭素排出削減データ処理方法を提供している。この方法は、炭素排出削減挙動を有する対象の属性にマッチングする目標スマートコントラクトを決定することと、目標スマートコントラクト及び炭素排出削減挙動に対応する炭素挙動データに基づいて、対象に対応する炭素排出削減相当量を決定することと、炭素排出削減相当量をブロックチェーンプラットフォームのノードに送信して、炭素排出削減相当量をブロックチェーンプラットフォーム上における企業利用者に関連付けられた第1口座に記憶することと、を含む。
【0006】
本開示の第2態様において、炭素排出削減データ処理電子装置を提供している。炭素排出削減データ処理電子装置は、1以上のプロセッサと、1以上のプログラムを記憶するために用いられ、1以上のプログラムが1以上のプロセッサによって実行されると、本開示の第1態様による方法を1以上のプロセッサに実現させる記憶装置と、を含む。
【0007】
本開示の第3態様において、コンピュータプログラムが記憶されており、プログラムがプロセッサによって実行されると、本開示の第1態様による方法が実現される、コンピュータ読み取り可能記憶媒体を提供している。
【0008】
発明の概要の部分は、概念の選択を簡素化された形で紹介するために提供されるものであり、これらは、以下の具体的な実施方法において更に説明される。発明の概要の部分は、本開示の鍵となる特徴又は主な特徴を識別することを意図するものでもなく、本開示の範囲を限定することを意図するものでもない。
【0009】
図面を組み合わせて、本開示の例示的な実施例を更に詳しく説明することによって、本開示の上記及び他の目的、特徴及び利点がより明らかになり、ここで、本開示の例示的な実施例において、同じ参照符号は、通常、同じ部材を表す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示を実施することができるいくつかの実施例のシステムの模式図を示す。
【
図2】本開示の実施例による炭素排出削減データ処理方法のフローチャートを示す。
【
図3】本開示の実施例による炭素トークンの発行方法のフローチャートを示す。
【
図4】本開示の実施例による炭素トークンの消費方法のフローチャートを示す。
【
図5】本開示の実施例による企業の炭素トークンを個人利用者に配布する方法のフローチャートを示す。
【
図6】本開示の実施例を実現するのに適した炭素排出削減データ処理電子装置のブロック図を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
各図面において、同じ又は対応する符号は、同じ又は対応する部分を表す。
【0012】
以下に、図面を参照して、本開示の好ましい実施例をより詳しく説明する。図面には本開示の好ましい実施例が示されているが、本開示は、ここに記述された実施例に限定されるべきでなく、様々な形で実現することができることを理解されたい。むしろ、これらの実施例は、本開示をより徹底的且つ完全なものにするとともに、本開示の範囲を当業者に完全に伝えるために提供される。
【0013】
本明細書で使用される「含む」という用語及びその変形は、開放的な含む、即ち「含むが、これに限定されない」を表す。特に説明がない限り、「又は」という用語は、「及び/又は」を表す。「に基づいて」という用語は、「に少なくとも部分的に基づいて」を表す。「一例示的実施例」及び「一実施例」という用語は、「少なくとも1つの例示的実施例」を表す。「他の実施例」という用語は、「少なくとも1つの他の実施例」を表す。「第1」、「第2」等の用語は、異なる又は同じ対象を指してもよい。以下には、他の明示的及び暗黙的な定義も含まれ得る。
【0014】
上述したように、全世界又は全国の炭素排出量を制御するために、中国では、関連する国家主管部門が炭素排出削減を実施するプロジェクトや企業利用者に対して中国認証自主排出削減量(CCER)を監督及び承認しており、企業利用者は、例えば、新エネルギー端末のプロジェクトを実施して温室効果ガスを削減することによって対応する量のCCERを得ることができる。炭素排出がオーバーした企業利用者は、何らかの方法で炭素排出削減活動を実施している企業利用者から相応の炭素排出クレジットを得ることで生産を継続することができる。
【0015】
しかし、これらの既存の対策は、通常、企業レベルの利用者を対象としているため、利用者の炭素排出量又は排出削減量について統計を行うことは困難である。このように、個人利用者がいくつかの省エネツール(例えば、新エネルギー車両、省エネ家電等)やサービス(例えば、中古品のリサイクルのためのサービス、ごみの分別のためのサービス等)を利用する際に発生する炭素排出削減量は、炭素排出削減生態プラットフォームに組み込まれて、炭素排出削減資源として認定、管理及び取引されることが困難である。これにより、大量の炭素排出削減資源の放置及び浪費が生じるため、個人利用者や企業利用者(例えば、新エネルギー端末のメーカー、中古品のリサイクルサービスを提供する企業利用者等)が炭素排出削減行動に参加する積極性を向上させることに不利である。
【0016】
一方、生活水準の向上、例えば、自家用車の保有量の増加、家電製品の種類の増加及び普及、並びに様々な生活物資のモデルチェンジ速度の加速等に伴い、個人の生活から発生する炭素排出量が益々多くなり、この部分の炭素排出量は、徐々に全世界の炭素排出量の中で無視できない部分となってきており、巨大な潜在価値を有している。
【0017】
従って、個人利用者の炭素排出削減行動をいかに定量化してそれに価値を生み出させることによって、個人利用者がその炭素排出削減行動から利益を得られるようにすることも研究に値する課題となっている。
【0018】
上記の課題及び他の潜在的な課題を解決するために、本開示の例示的実施例は、データ処理対策を提案している。この対策において、まず、炭素排出削減挙動を持つ対象の属性にマッチングする目標スマートコントラクトを決定し、次に、目標スマートコントラクト及び炭素排出削減挙動に対応する炭素挙動データに基づいて、対象に対応する炭素排出削減相当量を決定し、次いで、炭素排出削減相当量をブロックチェーンプラットフォームのノードに送信して、炭素排出削減相当量をブロックチェーンプラットフォーム上における企業利用者に関連付けられた第1口座に記憶する。この対策を使用することによって、利用者の炭素排出削減量について効果的且つ正確な統計を行うことができる。
【0019】
図1は、本開示を実施することができるいくつかの実施例のシステム100の模式図を示す。
図1に示すように、システム100は、炭素排出削減挙動を持つ対象110、業務システム120、及びブロックチェーンプラットフォーム130を含む。炭素排出削減挙動を有する対象110は、複数の種類の対象112、114、116、及び118(説明の便益上、以下に、総称して又は個別に、対象110と称する)を含む。ブロックチェーンプラットフォーム130は、複数のブロックチェーンノード140-1、140-2、140-3(説明の便益上、以下に、総称して又は個別に、ブロックチェーンノード140と称する)を含むことができる。
【0020】
図1に示すように、異なる適用シナリオに応じて、炭素排出削減挙動を有する対象110は、例えば、輸送装置112(例えば、新エネルギー車両)、省エネ家電114、リサイクルされた物品116、及び循環利用される物品118(即ち、リサイクルされて二次利用される中古品)等であり得る。
【0021】
輸送装置112は、例えば、電動車両(BEV)112-1、ハイブリッド車両(HEV)112-2、及び共有自転車112-3等であり得る。ここで、BEV112-1は、事前にフル充電された蓄電池を介してモータに給電してから、モータによって車両を駆動し、バッテリの電気量は、外部電源を介して補充される。HEV112-2は、1つのディーゼルエンジン及び1以上のモータを含む車両である。各輸送装置112には一意の識別子が対応しており、この識別子は、この輸送装置112を一意に識別するIDを含む。このIDは、例えば、この輸送装置112のフレーム番号であるか、又はこの輸送装置112のフレーム番号とエンジン番号との組み合わせである。
【0022】
いくつかの実施例において、輸送装置112は、車載モジュール115が配置されてもよく、この車載モジュール115は、例えば、無線通信機能を持つ車載スマート端末装置であり、走行中の車両の動きを監視及び管理するために用いられる。この車載スマート端末装置は、輸送装置112のID及び炭素挙動データ(例えば、走行距離、燃料消費量、電力消費量)等のデータを記録及び送信することができる。いくつかの実施例において、車載モジュール115は、無線通信装置117を介して、記録された輸送装置のID及び炭素挙動データを送信してもよい。例えば、個人利用者113-1が輸送装置112-2を使用した後、輸送装置112-2は、更に、車載モジュール115によって記録されたID及び炭素挙動データを、ネットワークを介して業務システム120に送信してもよい。
【0023】
いくつかの実施例において、輸送装置112のID及び炭素挙動データは、個人利用者の携帯端末を介して送信される。共有自転車112-3を例にすると、個人利用者113-2が共有自転車112-3を使用した後、共有自転車112-3を使用した個人利用者113-2が所有する携帯端末119は、ダウンロードされているアプリケーションプログラムを介して、この共有自転車のID(例えば、フレーム番号)及び炭素挙動データ(例えば、走行距離)を取得し、このID及び炭素挙動データを業務システム120に送信することができる。
【0024】
同様に、省エネ家電114は、エアコン、洗濯機、冷蔵庫等の様々な種類の省エネ家電を含むことができる。本明細書において、省エネ家電114は、有線又は無線の通信モジュールが配置された家電製品であり得る。例えば、省エネ家電114は、モノのインターネット(IoT)機能を有する家電製品であり得る。更に、各省エネ家電114は、システム100全体において、一意の識別子(ID)を割り当てられるか、又は他の任意の方法で一意の識別子(ID)を有することができる。省エネ家電114は、様々な作動条件下での炭素挙動データ(例えば、電力消費量)を記録し、その通信モジュールを介して、この炭素挙動データ及び省エネ家電114のIDを業務システム120に同時に送信することができる。
【0025】
物品116及び118は、いずれも紙製品、プラスチック製品、ガラス製品、金属製品、家電等を含むことができ、物品116と物品118との主な違いは、物品116はリサイクルされた後に処理(例えば、廃棄)されるが、物品118はリサイクルされた後に再び循環利用されることにある。例えば、古書の場合、リサイクルされた後に、古本として販売、又は他の方法で他の利用者に流通されて使用されると、この古書は物品118とみなされる。逆に、この古書がリサイクルされた後に廃棄処理が実行されると、この古書は物品116とみなされる。
【0026】
物品116及び118は、通常、それ自体は業務システム120と通信する能力を有しておらず、物品116及び118のリサイクルを実行する機構のシステム(
図1に示すような物品116のリサイクルのためのシステム1162、及び物品118のリサイクルのためのシステム1182)を介して、リサイクルされた紙製品の枚数や重量、リサイクルされたプラスチックや金属製品の重量や数、リサイクルされた家電の種類や数等の対応する炭素挙動データを記録する。当業者は、炭素挙動データはここにリストアップされているものに限定されず、他の様々な可能な炭素排出削減に関するデータも含むことができることを理解することができる。システム1162又は1182は、リサイクル物品116又は118によって生成される炭素挙動データ、及び物品116又は118の利用者(即ち、物品116又は118の所有者、例えば、上述した利用者113-1又は113-2であり得る)のID、もしくはシステム1162又は1182のIDを業務システム120に同時に送信することができる。
【0027】
更に、物品116及び118が同一の物品の異なる適用シナリオでの分類であり得ることに鑑みて、業務システム120が異なるモデルに合わせて炭素排出削減相当量を算出するように、同一の物品のこのような分類情報(即ち、リサイクルされた物品に属するか、それとも、循環利用される物品に属するか)を業務システム120に同時に送信することもできる。
【0028】
これらのデータを得た後、業務システム120は、これらに対して処理を行って、
図2を参照して以下に説明するように、炭素排出削減相当量150を生成する。
図1に示すように、業務システム120は、生成された炭素排出削減相当量150をブロックチェーンプラットフォーム130のノード140に送信することができる。
【0029】
各ブロックチェーンノード140は、複数のスマートコントラクトが配置されていてもよい。
図1は、ブロックチェーンノード140に配置された2つのスマートコントラクト142及び144を示している。
【0030】
当業者は、
図1に示す業務システム120とブロックチェーンプラットフォーム130との区分は、論理的な区分であり、事実上、ブロックチェーンプラットフォーム130は、物理的に、業務システム120の一部であってもよく、あるいは、その逆であってもよいことを理解することができる。言い換えれば、業務システム120とブロックチェーンプラットフォーム130とを論理的又は物理的に一体化することができる。
【0031】
図2は、本開示の実施例による炭素排出削減データ処理方法200のフローチャートを示す。方法200は、図示しない追加の動作を含むこともでき、且つ/又は、図示した動作を省略することもでき、本開示の範囲は、この点に関しては限定されないことを理解されたい。説明の便益上、
図1を参照して、方法200を説明する。
図1は、本開示の実施例を実現することができる例示的なシステムのみを示している。本開示の実施例を実現することができるシステムは、
図1に示す形態に限定されず、より多い、又はより少ない、又は異なる構成要素を含むことができることを理解されたい。
【0032】
210において、業務システム120は、炭素排出削減挙動を持つ対象110の属性にマッチングする目標スマートコントラクトを決定することができる。
【0033】
上述したように、異なるシナリオに応じて、対象110は、輸送装置112(例えば、新エネルギー車両)、省エネ家電114、リサイクルされた物品116、及び循環利用される物品118(即ち、リサイクルされて利用される中古品)等であり得る。
【0034】
いくつかの実施例において、個人利用者は、輸送装置112を運転したり、省エネ家電114を使用したりすることによって、輸送装置112又は省エネ家電114に炭素排出削減挙動を発生させる。一例では、個人利用者が輸送装置112(例えば、電気自動車)を使用した後、業務システム120は、この個人利用者が今回使用したこの輸送装置112の関連データ、例えば、輸送装置112の識別データ及び炭素挙動データを得ることができる。ここで、得られた識別データは、輸送装置112に対応する識別子であり得る。この識別子は、例えば、輸送装置112のフレーム番号、又はこの輸送装置112のフレーム番号とエンジン番号との組み合わせであり得る。
【0035】
得られた炭素挙動データは、例えば、対象の炭素消費量又は炭素排出削減挙動データであり得る。具体的には、異なる適用シナリオに応じて、炭素挙動データは、例えば、輸送装置の走行距離、輸送中に消費された燃料の量、輸送装置の運転又は家電の稼働に消費された電気量、リサイクルされた物品を処理するのに消費された電力及び/又は燃料等を含むことができる。
【0036】
いくつかの実施例において、業務システム120は、ローカル記憶装置(図示せず)、輸送装置の車載モジュール、省エネ家電114の通信モジュール、又は対象に関する利用者の携帯端末のアプリケーションプログラムを介して、識別データ及び炭素挙動データを取得することができる。
【0037】
いくつかの実施例において、業務システム120は、取得された対象110の識別子が所定の識別子群に属するかどうかを判断することができる。この所定の識別子群は、例えば、第三者の権威機関によって事先に審査及び認証された対象110(例えば、特定の種類の輸送装置112又は省エネ家電114等)である。対象110の識別子が所定の識別子群に属すると特定された場合、この識別子に基づいてこの対象110に対応する属性を取得し、更には、得られた属性に基づいて目標スマートコントラクトを決定することができる。
【0038】
いくつかの実施例において、属性は、対象110の種類であり得る。輸送装置112を例にすると、輸送装置112は、電動輸送装置及びハイブリッド輸送装置を含むことができる。あるいは、省エネ家電114の場合、属性は、この家電の種類(例えば、エアコン、洗濯機、冷蔵庫等)、型番(例えば、洗浄容量が6kg、8kg、又は10kgの洗濯機)、作動モード(例えば、洗濯機は、通常、標準モード、混合モード、高速洗浄モード、及びウール洗浄モード等を有する)等であり得る。地域が異なれば、排出基準も異なる可能性があるため、対象110の属性は、炭素挙動が発生する地域を指し示してもよい。他のいくつかの実施例では、物品のリサイクル及び物品の循環利用の適用シナリオにおいて、属性は、物品の種類(例えば、紙製品、プラスチック製品、ガラス製品、金属製品、様々な家電等)及び分類情報(リサイクルされたか、それとも、循環利用されたか)であり得る。
【0039】
目標スマートコントラクトは、炭素挙動データを炭素排出削減相当量に変換するために用いられる。輸送装置112を例にすると、異なる型番の輸送装置は、排出量、動力、乗客定員、及び積載量等の多くの要因において差が存在する。省エネ家電114に関しては、異なる種類の家電、又は同じ種類の家電の異なる型番、又は異なる作動モードのいずれも異なる電力消費量に対応する。上述したこれらの要因は、炭素排出削減相当量の計算関係に影響を与えることが多いため、対象110の異なる属性に対して対応する目標スマートコントラクトをマッチングさせればよい。
【0040】
いくつかの実施例において、業務システム120は、様々な候補スマートコントラクトとキーワードとの対応関係を記憶し、且つこの対応関係によってこの対象110にマッチングする候補スマートコントラクトを目標スマートコントラクトとして決定することができる。ここで、キーワードは、この対象110の1つの属性又は複数の属性の組み合わせに対応することができる。例えば、対象110が省エネ家電114である場合、キーワードは、省エネ家電114の種類(例えば、エアコン、冷蔵庫、洗濯機)に設定してもよく、あるいは、種類及び型番(例えば、洗浄容量が6kg、8kg又は10kgの洗濯機)、作動モード(例えば、洗濯機の標準モード、混合モード、快速モード等)、並びに他の属性のうちのいずれかの組み合わせに設定してもよい。例えば、キーワードが省エネ家電114の種類である場合、候補スマートコントラクトから対象110の種類にマッチングする候補スマートコントラクトを目標スマートコントラクトとして選択することができる。また、例えば、キーワードが省エネ家電114の種類及び型番の組み合わせである場合、候補スマートコントラクトから対象110の種類及び型番に同時にマッチングする候補スマートコントラクトを目標スマートコントラクトとして選択することができる。
【0041】
もちろん、当業者は、キーワード及び候補スマートコントラクトの設定が、システムを実現する際の複雑さによって、あるいは、異なる適用シナリオによって異なる可能性があることを理解することができる。
【0042】
220において、業務システム120は、目標スマートコントラクト及び炭素排出削減挙動に対応する炭素挙動データに基づいて、対象110に対応する炭素排出削減相当量を決定することができる。いくつかの実施例において、参照排出量及び実際の炭素排出量に基づいて、炭素排出削減相当量を決定することができる。
【0043】
以下に、輸送装置112、省エネ家電114、物品リサイクルサービス、及び物品循環利用サービスの4種類の異なるシナリオにおいて、参照排出量及び実際の排出量をいかに決定して、炭素排出削減相当量を決定することができるかについて、それぞれ説明する。
【0044】
シナリオ1:輸送装置のシナリオ
いくつかの実施例において、
図1に示すように、対象110は、輸送装置112であり得る。業務システム120は、目標スマートコントラクトに関連付けられた参照排出関係に基づいて参照排出量を決定することができ、ここで、参照排出関係は、予め定義された排出基準に従って生成される。いくつかの実施例において、輸送装置の参照排出量を算出するために、業務システム120は、例えば、輸送装置112と同じ又は類似した属性(例えば、同じ種類、あるいは、同じ又は類似した型番等)を有する輸送装置(以下に、参照輸送装置種類iと総称する)の排出を参照排出関係とし、更には、輸送装置112の参照排出量を算出することができる。例えば、業務システム120は、以下のような式に基づいて、輸送装置112の参照排出量(BEとも称する)を算出することができる。
【0045】
【0046】
ここで、BEyは、統計される期間(y)内の参照排出量(gCO2)を表し、EFBL,i,yは、参照輸送装置種類iの統計される期間(y)内での排出係数(gCO2/km)を表し、DDi,yは、プロジェクト輸送装置種類i(即ち、現在の輸送装置112)の統計される期間(y)内での走行距離(km)を表す。
【0047】
【0048】
ここで、SFCiは、参照輸送装置種類iの単位距離あたりの燃料消費量(即ち、燃料消費率)を表し、その単位は、g/kmであってよく、NCVBL,iは、参照輸送装置種類iの燃料消費の真発熱量(J/g)を表し、EFBL,iは、参照輸送装置種類iの燃料消費の排出係数(gCO2/TJ)を表す。
【0049】
更に、排出係数EFBL,i,yを算出する際には、参照輸送装置種類iの技術改善状況を考慮してもよい。この場合、参照輸送装置種類iの排出係数EFBL,i,yは、次のように表すことができる。
【0050】
【0051】
ここで、IRtは、t年における参照輸送装置の技術改善係数を表す。技術改善係数は、通常、暦年を物理単位とする。本発明の一実例において、全ての参照輸送装置種類の技術改善係数をデフォルト値の0.99に設定することができる。他の実例において、実際の技術改善状況に応じてこの係数を調整してもよい。このような方法によって、本対策は、参照排出関係が固定された場合に適用することができるだけでなく、時間に応じて、又は参照輸送装置の技術改善状況に応じて、可変の参照排出関係を使用することもできる。
【0052】
いくつかの実施例において、業務システム120は、対象110の属性に関する所定の排出関係に基づいて、実際の排出量を決定してもよい。そして、参照排出量及び実際の排出量の両方に基づいて、炭素排出削減相当量を決定する。
【0053】
いくつかの実施例において、対象110が輸送装置であるシナリオにおいて、受信した識別データ及び炭素挙動データによって、対応する所定の排出関係(即ち、炭素排出モデル)を決定することができる。一実施例において、輸送装置を電気自動車及びハイブリッド車の2種類に分類することによって、輸送装置の種類に応じて、対応する電気自動車に関する所定の排出関係又はハイブリッド車に関する所定の排出関係にマッチングさせることができる。他の実施例において、炭素排出関係は、より多い種類を含んでもよい。この場合、輸送装置の型番又はパラメータ等の要因に基づいて事前に分けることができる。
【0054】
所定の排出関係を決定した後、業務システム120は、決定した所定の排出関係に基づいて、炭素挙動データを炭素排出量に変換することができる。ここで、この炭素排出量は、輸送装置の実際の排出量(プロジェクト排出量(PE)とも称する)を表し、輸送装置によって消費される電力及び/又は燃料によって発生する排出を指す。
【0055】
一例では、輸送装置がハイブリッド車である場合、その実際の排出量は、以下の式によって求めることができる。
【0056】
【0057】
ここで、PEyは、統計される期間(y)内のプロジェクト排出量(gCO2)を表し、SECi,yは、プロジェクト輸送装置種類iが統計される期間(y)内に消費する電気量(kWh)を表し、EFyは、プロジェクト輸送装置種類iの統計される期間(y)内での電力消費のCO2排出係数(kgCO2/kWh)を表し、TDLyは、統計される期間(y)内での電力伝達及び割り当ての平均損失漏れ率を表し、SFCi,yは、プロジェクト輸送装置種類iの統計される期間(y)内での燃料消費量(g)を表し、NCVi,yは、プロジェクト輸送装置種類iの統計される期間(y)内での燃料消費量の真発熱量(J/g)を表し、EFi,yは、プロジェクト輸送装置種類iが統計される期間(y)内に消費する燃料のCO2排出係数(gCO2/TJ)を表す。
【0058】
輸送装置が電動輸送装置である場合、その実際の排出量は、以下の式によって算出することができる。
【0059】
【0060】
ここで、PEyは、統計される期間(y)内のプロジェクト排出量(gCO2)を表し、SECi,yは、プロジェクト輸送装置種類iが統計される期間(y)内に消費する電気量(kWh)を表し、EFyは、プロジェクト輸送装置種類iの統計される期間(y)内での電力消費のCO2排出係数(kgCO2/kWh)を表し、TDLyは、統計される期間(y)内での電力伝達及び割り当ての平均漏れ率を表す。
【0061】
上記で実現される簡素化された関係において、他のパラメータは変わらないと仮定すると、BEの計算は、車両の実際の走行距離(DDi,y)にのみ関連し、PEの計算は、車両によって消費される電気量(SECi,y)及び燃料量(SFCi,y)のみに関連し、これは、炭素削減量の計算を大幅に簡素化している。
【0062】
上記の方法によって参照排出量(BE)及び実際の排出量(PE)をそれぞれ決定した後、業務システム120は、実際の排出量及び参照排出量に基づいて、輸送装置を使用した場合の炭素排出削減相当量を決定することができる。いくつかの実施例において、以下の式によって炭素排出削減量を算出することができる。
【0063】
【0064】
ここで、ERyは、統計される期間(y)内の排出削減量(gCO2)を表し、この排出削減量ER(Emission Reductions)は、新エネルギー輸送装置、省エネ家電、物品リサイクルサービス等を利用することによって実現される排出削減量を表し、定量化した後の値は、炭素排出削減相当量と称し、BEyは、統計される期間(y)内の参照排出量(gCO2)を表し、PEyは、統計される期間(y)内のプロジェクト排出量(gCO2)を表し、LEyは、統計される期間(y)内の漏れ量(gCO2)を表し、通常、この項目は考慮されない。
【0065】
他のいくつかの実施例において、国や国際組織によって公表された排出基準を参照排出関係としてもよい。例えば、属性が輸送装置であるシナリオにおいて、『車両用圧縮点火式、ガス燃料点火式エンジン、及び自動車の排気汚染物排出限界、並びに測定方法(中国III、IV、Vステージ)』の規制に基づくことができ、車両の排出は、以下のようなIII、IV、Vステージの基準を満たすべきである。ESCテストで測定された一酸化炭素、全ての炭化水素化合物、窒素酸化物、及び粒子状物質の密度、並びにELRテストで測定された不透明スモークは、いずれも以下の表1に示す値を超えてはならない。
【0066】
【0067】
ここで、ESCは、エンジンの定常状態のサイクルであり、ELRは、エンジンの負荷スモークテストである。
【0068】
ETCの追加テストを行う必要があるディーゼルエンジン、及びETCテストを行う必要があるガスエンジンに関しては、その一酸化炭素、非メタン炭化水素化合物、メタン(適用する場合)、窒素酸化物、及び粒子状物質(適用する場合)の密度は、いずれも表2に示す値を超えてはならない。
【0069】
【0070】
ここで、ETCは、エンジンの過渡状態のサイクルを表し、NGエンジンは、天然ガスエンジンを表し、EEVは、環境に優しい自動車を表す。
【0071】
この場合、参照排出量(BE)及び実際の排出量(PE)を算出する際に、排出成分中の各炭素化合物を、同量の炭素を含む二酸化炭素CO2にそれぞれ変換して、対応するCO2の合計をPE及びBEとしてそれぞれ算出することができる。
【0072】
同様に、参照排出関係も可変であってよい。例えば、国内の地域間の発展の不均衡によって、異なる地域の輸送装置の排出基準が異なる可能性があり、既に国のV基準を強制的に使用している地域もあれば、国のIV基準を依然として採用している地域もある。業務システム120は、対象の所在地域に基づいて異なる基準を選択して使用することができる。対象が国外にある場合も同様に設定することができる。更に、社会の環境保護水準の向上に伴い、国の排出量基準や国際排出量基準は、表にリストアップされていない条件にまで更に高くなっている場合がある。この場合にも、業務システム120は、その参照排出関係を適応的に調整することができる。
【0073】
上述した国の基準や国際基準を参照排出関係として使用した上記の実施例において、輸送装置の製造業者は、ある種類の輸送装置を大量生産する前に、その各項目の排出指標に対するテストを行って、製造ライセンスを取得しなければならない。これらの測定された指標は、輸送装置の種類ごとに、業務システム120に予め記憶されてもよく、あるいは、使用されるたびに車両や車両製造業者によって業務システム120に送信されてもよい。
【0074】
これにより、車両の炭素排出削減量の計算は、テストによって得られた対象110(即ち、輸送装置)の排出指標と、表1及び/又は表2の炭素排出物成分(例えば、一酸化炭素(CO)、炭化水素化合物(HC)、メタン(CH4)、非メタン炭化水素化合物(NMHC)等)の基準とに基づいてCO2に換算して、PE及びBEを算出することによって、炭素排出削減量ERを算出することができる。表1及び表2の基準を使用して炭素排出削減量を算出する場合、測定される目標車両の走行時間(即ち、統計される期間)及び平均走行出力も考慮しなければならないことを理解されたい。
【0075】
以上、対象110が輸送装置であるシナリオにおいて、参照排出量及び実際の排出量をどのように得て、炭素排出削減相当量を決定するかという方法について説明した。最初の方法は、主に、エネルギー消費の角度から排出削減を考慮したが、これに対し、2番目の方法は、主に、廃棄物の排出の角度から排出削減を考慮している。
【0076】
シナリオ2:省エネ家電のシナリオ
いくつかの実施例において、対象110は、省エネ家電114であり得る。この場合、利用者が省エネ家電114を使用する際に、この省エネ家電の炭素排出削減相当量を決定することができる。また、この炭素排出削減相当量も、この利用者の炭素排出削減量としてカウントされ、この利用者の総炭素排出削減行動の結果の一部とすることができる。このようなシナリオにおいて、業務システム120は、目標スマートコントラクトに関連付けられた参照排出関係に基づいて参照排出量を決定することができ、ここで、参照排出関係は、予め定義された排出基準に従って生成される。
【0077】
一例では、表3に示すように、国のエネルギー効率水準(例えば、1級、2級、又は3級等)を参照排出関係として、参照排出量を算出することができる。この国のエネルギー効率水準は、エネルギー効率比の形で表してもよく、あるいは、単位時間あたりの電力消費量の形で表してもよい。
【0078】
【0079】
代替的又は追加的に、現在の省エネ家電114と類似した属性(例えば、洗濯機容量、モータ回転数、定格出力のうちの1以上)を有する家電を参照家電として選択して、参照排出量を算出してもよい。このような方法によって、業務システム120に登録されていない省エネ家電種類であっても、それについて対応する炭素削減量を算出することができる。
【0080】
いくつかの実施例において、上述したように、業務システム120は、対象110の属性に関する所定の排出関係に基づいて実際の排出量を決定してから、参照排出量及び実際の排出量の両方に基づいて炭素排出削減相当量を決定してもよい。ここで、所定の排出関係は、異なる種類の家電の排出量の基準を表すことができる任意のパラメータで表すことができる。現在、所定の排出関係は、通常、少なくとも対象110の単位時間あたりの電力消費量を含むが、これに限定されない。
【0081】
いくつかの実施例において、異なる種類の家電に異なる所定の排出関係を対応させることができ、例えば、洗濯機、エアコン、テレビにそれぞれ異なる所定の排出関係を設定することができる。選択的には、同じ種類の異なる製造業者によって生産された異なる型番の家電にも異なる所定の排出関係を対応させることができる。しかも、同じ家電の異なる作動モードにも異なる所定の排出関係を対応させる可能性がある。例えば、洗濯機という種類の家電に関しては、異なるブランドの異なる型番は、炭素排出の面で差が大きく、異なる作動モードでの排出量さえも差が大きい可能性がある。従って、これらの異なる種類、異なる型番、又は異なる作動モードに対して、対応する所定の排出関係をそれぞれ配置し、且つ家電と所定の排出関係との対応関係を業務システム120に事前に作成し且つ保存すればよい。
【0082】
更に、業務システム120に新たに接続された家電に関しても、その排出パラメータと、業務システム120に記憶されている同じ種類の家電の排出パラメータとを比較して、排出パラメータに最も近い家電の所定の排出関係をこの新たに接続された家電の所定の排出関係として選択することができる。
【0083】
一例では、ある型番の洗濯機の各作動モードでの単一作動の電力消費量は、表4に示す通りである。
【0084】
【0085】
従って、表3及び表4に合わせて、洗濯機を使用する際の参照排出量及び実際の排出量をそれぞれ決定することによって、炭素排出削減相当量を決定することができる。例えば、この洗濯機が標準プログラムモードで一回作動すると、1級エネルギー消費量を参照排出関係とする場合、それが毎回節約する電力消費量は、0.66-0.3588=0.3012(度)である。2012年の華北地域の二酸化炭素の排出係数(0.8843kgCO2/度)で計算すると、該洗濯機の今回の作動によって達成された炭素排出削減相当量は、0.3012*0.8843=0.266(kgCO2)である。
【0086】
シナリオ3:物品リサイクルサービスのシナリオ
いくつかの実施例において、上述したように、対象110は、リサイクルされた物品116であり得る。リサイクルされた物品は、例えば、紙製品、プラスチック製品、ガラス製品、金属製品、様々な家電等であり得るが、これに限定されない。いくつかの実施例において、目標スマートコントラクトに関連付けられた参照排出関係に基づいて参照排出量を決定する。上述したこれらのリサイクルされた物品の場合、その参照排出量は、この物品がリサイクルされて再利用されないと仮定して、それをごみとして処理するのに消費される炭素排出量であり得る。例えば、リサイクル物品i(例えば、ポリテレフタレート系プラスチック(PET))を例にすると、1キログラムあたりのこの物品を処理するための炭素排出量(BE)は、以下の式(7)によって算出することができる。
【0087】
【0088】
ここで、Qi,yは、リサイクルされた物品iの重量を指し、kg(キログラム)を単位とする。
【0089】
Liは、補正係数であり、この物品のリサイクル過程における損失を補正するために用いられ、その値は、例えば、0.75であり得る。
【0090】
Biは、国別の補正係数を指し、異なる国の状況を区別するために用いられる。例えば、『京都議定書』の付属書類1の国家及び非付属書類1の国家について異なる国別の補正係数を設定することができる。一実例において、中国についてのBiを1に設定する。
【0091】
SECBL,iは、1トンあたりのこの物品iを処理するための電力消費量を指し、その値は、例えば、1.11MWh/t(メガワットアワー/トン)である。
【0092】
EFel,yは、統計される期間y内の二酸化炭素の排出係数を表し、例えば、2012年の華北地域の二酸化炭素の排出係数は、0.8843tCO2/MWh(トンCO2/メガワットアワー)であり、SFCBL,iは、1トンあたりのこの物品iを処理するための燃料消費量を指し、その値は、例えば、15GJ/t(ギガジュール/トン)である。
【0093】
EFFF,CO2は、消費される燃料の排出係数を指し、その値は、例えば、0.0675tCO2/GJ(トンCO2/ギガジュール)である。
【0094】
いくつかの実施例において、対象の属性に関する所定の排出関係に基づいて実際の排出量を決定してもよい。各種類のリサイクル物品は、異なる所定の排出関係を有することができ、この所定の排出関係は、主に、物品のリサイクル過程で消費される電力及び/又は燃料によって発生する炭素排出を指し示す。例えば、異なる属性の物品、例えば、紙製品、プラスチック製品、ガラス製品、金属製品、様々な家電等に対して異なる所定の排出関係を設定することができる。例えば、リサイクル物品種類i(例えば、ポリテレフタレート系プラスチック(PET))を例にすると、1キログラムのこの物品をリサイクルするたびの炭素排出量(PE)は、以下の通りである。
【0095】
【0096】
ここで、EFel,yは、統計される期間y内の二酸化炭素の排出係数を表し、例えば、2012年の華北地域の二酸化炭素の排出係数は、0.8843tCO2/MWh(トンCO2/メガワットアワー)(即ち、884.3kgCO2/MWh(キログラムCO2/メガワットアワー))である。
【0097】
ECi,yは、リサイクル過程で物品iを再処理するための電力消費量を指し、単位は、例えば、MWh(メガワットアワー)であり得る。
【0098】
SECp,iは、リサイクル過程で輸送ツールによって消費される電気量を指す。排出関係の簡略化された計算において、この項目は、計算に含まれなくてもよく、即ち、その値を0と取る。
【0099】
FCi,yは、リサイクル過程における燃料消費量を指し、単位は、例えば、t(トン)であり得る。
【0100】
NCVFFは、消費される燃料の真発熱量を指し、その値は、例えば、0.04307GJ/t(ギガジュール/トン)である。
【0101】
EFFF,CO2は、消費される燃料の排出係数を指し、その値は、例えば、67.5kgCO2/GJ(キログラムCO2/ギガジュール)である。
【0102】
これにより、上記の式に基づいて、参照排出量及び実際の排出量をそれぞれ算出することによって、炭素排出削減相当量を決定することができる。例えば、上記の式(6)を参照して炭素排出削減量を算出することができる。
【0103】
シナリオ4:物品循環利用サービスのシナリオ
シナリオ3における物品116と同様に、シナリオ4における物品118も、紙製品、プラスチック製品、ガラス製品、金属製品、家電等を含むことができ、物品116と物品118との主な違いは、シナリオ3において、物品116はリサイクルされた後に処理(例えば、廃棄)されるが、シナリオ4において、物品118はリサイクルされた後に再び循環利用される(即ち、中古品)ことにある。
【0104】
以下に、本が循環利用されること(古本)を例にすると、この場合、物品118(即ち、この本)の属性は紙製品であると判断される。従って、紙製品の参照排出量は次の通りであると決定することができる。
【0105】
【0106】
ここで、Qi,yは、リサイクルされた紙製品の重量を指し、単位は、kg(キログラム)である。
【0107】
EFBL,iは、(元の処理方法に従って)1キログラムあたりの紙製品を処理することによって発生する排出を指し、その値は、例えば、紙製品1キログラムあたり0.1kgCO2である。
【0108】
選択的には、このようなシナリオでの実際の排出量PEは、0に近いと考える。従って、以下の式によって物品リサイクルの炭素排出削減量を算出することによって、炭素排出削減相当量を決定することができる。
【0109】
【0110】
230において、業務システム120は、ブロックチェーンプラットフォーム130のノード140に炭素排出削減相当量を送信して、炭素排出削減相当量をブロックチェーンプラットフォーム130上における企業利用者に関連付けられた第1口座に記憶する。
【0111】
いくつかの実施例において、炭素排出削減相当量を、企業利用者に関連付けられた第1口座に記憶するように、ブロックチェーンプラットフォーム130に伝送することができ、この企業利用者は、複数の対象110に関連付けられてもよい。いくつかの実施例において、この企業利用者は、例えば、輸送装置112(例えば、新エネルギー車両)及び/又は省エネ家電114の製造者であり、且つ/又は、物品116のリサイクル、物品118の循環利用等のサービスの提供者である。企業利用者によって提供される様々な炭素削減製品及び/又は炭素削減サービスを個人利用者が利用することによって発生する全ての炭素排出削減相当量を、この企業利用者の口座に全て記憶させることによって、企業利用者及び個人利用者の全ての炭素排出削減相当量を集計することが容易になり、集計された炭素排出削減相当量に基づいて、後続する第三者認定、炭素トークンの交換を行うこと、あるいは、他の炭素取引を行うことが容易になる。
【0112】
いくつかの実施例において、炭素排出削減相当量をブロックチェーンプラットフォーム130に伝送することは、「予め定められた時間間隔に達すること」及び「取得された識別データ及び炭素挙動データのデータ量が所定値を超えること」の2つのうちの少なくとも1つを満たすことを判断することと、2つのうちの少なくとも1つを満たす場合、決定された炭素排出削減相当量を一括化して、ブロックチェーンプラットフォーム130のノード140に伝送することとを含んでいてもよい。
【0113】
生識別データ及び炭素挙動データのブロックチェーンプラットフォーム130への伝送に関しては、いくつかの実施例において、「予め定められた時間間隔に達すること」及び「取得された識別データ及び炭素挙動データのデータ量が所定値を超えること」の2つのうちの少なくとも1つを満たすかどうかを判断し、2つのうちの少なくとも1つを満たす場合、取得された生識別データ及び炭素挙動データを一括化して、分散型記憶装置に伝送し、この識別データ及び炭素挙動データのハッシュ値を算出し、このハッシュ値を一括化して、ブロックチェーンプラットフォーム130に伝送する。上記の「予め定められた時間間隔」又は「データ量の所定値」を設定することによって、予め定められた時間間隔に達し、且つ/又は、取得されたデータ量が所定値を超える場合、「ネットワークからリアルタイムで取得された、生識別データ及び炭素挙動データ、並びにスマートコントラクトを介して決定された炭素排出削減相当量のデータ」をリアルタイムでブロックチェーンに伝送するのではなく、上記のデータを一括化してブロックチェーンに伝送することによって、ブロックチェーンのハッシュレート及びコストを大幅に節約している。
【0114】
いくつかの実施例において、予め定められた時間間隔を設定する際に、ブロックチェーンのハッシュレート及びコストを効果的に節約すること、及び良好な利用者体験の両立を考慮している。例えば、24時間、12時間、又は他の適切な時間に設定することができる。
【0115】
選択的には、ブロックチェーンのハッシュレート及びコストを更に節約するために、ネットワークからリアルタイムで取得された、生識別データ及び炭素挙動データは、一括化されて分散型記憶装置に記憶される(例えば、背景データベースに記憶されて、第三者によって保守される)。そして、この取得された生識別データ及び炭素挙動データのハッシュ値を算出し、再びこのハッシュ値を一括化して、ブロックチェーンプラットフォーム130に送信して、保管する。いくつかの実施例において、ネットワークからリアルタイムで取得された識別データ及び炭素挙動のデータ量が少ない場合、識別データ及び炭素挙動データのデータ量が予め定められた値に達したかどうか、あるいは、予め定められた値を超えたかどうかを確認することもできる。予め定められた値に達したこと、又は予め定められた値を超えたことを確認する場合、識別データ及び炭素挙動データのハッシュ値をブロックチェーンプラットフォーム130に伝送して、保管する。
【0116】
選択的には、ブロックチェーンプラットフォーム130は、第1口座における炭素排出削減相当量に関連付けられた炭素取引をブロックチェーン事務として公表することができる。炭素取引データをブロックチェーン事務として公表することによって、炭素取引過程のデータは、合意を得るとともに改ざんできなくなり、これにより、従来の炭素取引方法における炭素排出削減データが不透明であり、正確性に欠けるという問題を解決している。
【0117】
選択的又は追加的に、炭素排出削減データ処理方法200は、ブロックチェーンプラットフォーム130に伝送されるデータの特徴に基づいて、データを記憶するためのデータベース型を設けることを更に含んでいてもよく、データベース型は、一度記憶されると更新されないデータを記憶するための基本情報型のデータベース、複数回更新する必要があるデータを記憶するための追跡情報型のデータベース、並びに所有権及びその変更過程に関係するデータを記憶するための所有権情報型のデータベースのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施例において、炭素排出削減データ処理方法200は、設定されたデータベース型に基づいて、データベースの対応するアクセス方法及び権限を決定することを更に含む。
【0118】
更に、方法200は、利用者の炭素排出削減相当量をポイントに変換する過程を更に含む。利用者の炭素排出削減行動が第三者の権威機関によって認定されているかどうかに応じて、利用者の炭素排出削減相当量をポイントに変換することは、異なる実施形態が存在し得る。
【0119】
一方では、第三者の権威機関(例えば、Det Norske VeritasのDNV-GL等)によって認定された炭素排出削減行動に関しては、この炭素排出削減行動の生データがシステム100全体に偽りなく信頼できると考えられるため、それをブロックチェーンのネットワーク全体で認められ且つ流通可能なポイントに直接変換することができ、それはより高い信頼性を持つ。このようなポイントは、システム100全体で認められるため、システム100内のデジタル通貨として流通(例えば、譲渡、支払い等)させることができることを理解することができる。
【0120】
他方では、第三者の権威機関によって認定されていない炭素排出削減行動に関しては、利用者を引き付けてこの省エネアプリケーションに積極的に参加させるためにも、利用者の参加行動に対して報酬を与える、即ち、業務システム120内のみで認められるポイントを与える必要がある。
【0121】
従って、選択的には、方法200においてデータソース(即ち、例えば、輸送装置、輸送装置を使用する個人利用者の端末等)から生データを直接取得するか、それとも、第三者の認定機関を介して生データを取得するかに応じて、炭素削減量をポイントに変換する方法は2つある。第三者の認定機関によって認定された生データに関しては、炭素削減量を第1ポイント(即ち、炭素トークン)に変換して、この第1ポイントと、利用者のID又は口座とを関連付けてブロックチェーンに記憶してもよく、あるいは、それらとツール(例えば、輸送装置)やサービス(例えば、物品リサイクルサービス)の識別子の3つとも関連付けて記憶してもよい。第三者の認定機関によって認定されていない生データ(例えば、データソースから直接取得されたデータ)に関しては、これらの生データによって決定された炭素削減量を第2ポイントに変換して、第2ポイントと、この利用者のID又は口座とを関連付けて業務システム120に記憶してもよく、あるいは、それらとツールやサービスの識別子の3つとも関連付けて記憶してもよい。
【0122】
上記の第1ポイント(即ち、炭素トークン)がシステム100全体でデジタル通貨として流通される機能を有するため、本開示の対策は、炭素トークンを発行し、配布し、流通させ、チャージし、且つ消費する等の方法を更に含む。炭素トークンは、システム100(ブロックチェーンプラットフォーム130を含む)全体で使用できる価値証明である。ブロックチェーンの下層技術の保証に基づいて、炭素トークンをブロックチェーンプラットフォーム130上において低コストで交換及び流通することができ、炭素排出削減資源の価値移動の効率を高めている。以下に、
図3から
図5に合わせて、本開示の実施例による炭素トークン発行、消費、及び交換方法のフローチャートを説明する。当業者は、
図3から
図5に示す方法に合わせて、
図2の方法の一部として実施することもでき、又は個別の方法として実施することもできることを理解することができる。
【0123】
図3は、本開示の実施例による炭素トークンの発行方法300のフローチャートを示す。
図3では、各動作は、例えば、業務システム120及び/又はブロックチェーンプラットフォーム130のプロセッサによって実行される。方法300は、図示しない追加の動作を含むこともでき、且つ/又は、図示した動作を省略することもでき、本開示の範囲は、この点に関しては限定されない。
【0124】
310において、業務システム120が企業利用者からの炭素トークンの発行要求を受信した場合、まず、ブロックチェーンプラットフォーム130の企業利用者の第1口座に記憶されている、企業利用者の少なくとも1つの対象110の炭素排出削減挙動に由来する炭素排出削減相当量の固定保留量を決定する。
【0125】
いくつかの実施例において、業務システム120が企業利用者からの炭素トークンの発行要求を受信した場合、企業利用者の第1口座における炭素排出削減証明又は炭素排出削減相当量の固定保留量を取得することができる。いくつかの実施例において、この第1口座は、例えば、炭素排出削減行動を採用した企業利用者のブロックチェーン口座であり、且つこの企業利用者は、例えば、第三者の認定機関の監査下で、炭素排出削減行動を取ることによって(例えば、新エネルギー車両を生産することによって、省エネ家電を生産することによって、又は物品リサイクル又は物品循環利用サービスを提供することによって)、一定量の炭素排出削減証明(例えば、CCER)を得て、それをブロックチェーンプラットフォーム130上におけるこの企業利用者に関連付けられた第1口座に転送する。具体的には、ブロックチェーンプラットフォーム130上において、この企業利用者の炭素排出削減証明は、その炭素トークンウォレットのアドレスの下に記録することができる。
【0126】
炭素トークンの価値安定性を保証し、既に同等の炭素トークンを発行するために用いられた炭素排出削減相当量又は排出削減証明を投機家が繰り返し使用することを防ぐために、炭素トークン発行方法300では、同等の炭素トークンを発行するために用いられた「炭素排出削減相当量又は排出削減証明」は、固定されるべきである。この固定保留量は、例えば、炭素トークンを発行するために企業利用者によって入力される値から導き出されたものである。いくつかの実施例において、この固定保留量は、第1口座における炭素排出削減証明又は炭素排出削減相当量の総量以下であってもよく、そのため、企業利用者は、口座における炭素排出削減証明又は炭素排出削減相当量の全て又は一部に基づいて、炭素トークンの発行を要求してもよい。
【0127】
いくつかの実施例において、企業利用者からの炭素トークンの発行要求を受信した場合、まず、企業利用者の第1口座における炭素排出削減証明又は炭素排出削減相当量が第三者の認定機関によって既に認定されたかどうかを確認し、第三者の認定機関によって既に認定されたことを確認した場合、企業利用者の第1口座における炭素排出削減証明又は炭素排出削減相当量の固定保留量を取得する。上記の手段を採用することによって、企業利用者が炭素トークンの発行を要求した当初に、その関連データは、第三者の認定機関によって既に監査及び検証されていることになる。
【0128】
320において、固定保留量及び第1所定比例関係に基づいて、炭素トークンの発行量を決定する。いくつかの実施例において、第1所定比例関係、及び炭素排出削減証明又は炭素排出削減相当量の固定保留量に基づいて、炭素トークンの発行量を決定することを含むことができる。
【0129】
この第1所定比例関係に関しては、いくつかの実施例において、企業利用者の炭素トークンの発行要求が検出された場合、ブロックチェーンプラットフォーム130上に現存する炭素トークンの総量、及び第2口座における固定された炭素排出削減証明又は炭素排出削減相当量の総量に基づいて、この第1所定比例関係を決定する。この第2口座は、例えば、第三者の認定機関によって検証及び固定されたものである。上記の手段を採用することによって、第三者の認定機関に検証及び固定された炭素排出削減証明又は炭素排出削減相当量の総量、及び第1所定比例関係に基づいて、炭素トークンを発行することができ、炭素トークンの価値の比較的な安定及び発行の規範を保証することができる。
【0130】
330において、第1口座における炭素排出削減相当量に基づいて、発行量の炭素トークンを生成する。
【0131】
具体的には、第2スマートコントラクトを介して発行量の炭素トークンを生成し、且つそれを第1口座に記憶することができる。いくつかの実施例において、第2スマートコントラクトは、第三者の認定機関(例えば、Det Norske VeritasのDNV-GL)の秘密鍵を介して署名される。いくつかの実施例において、第三者の認定機関が炭素トークンの発行から消費に関係するスマートコントラクト、並びに企業利用者による炭素トークン交換及び流通の過程を監査及び検証することを担当することによって、炭素トークンの発行の権限、規範、及び規則遵守を保証する。いくつかの実施例において、第三者の認定機関は、ブロックチェーンプラットフォーム130、及び様々な対象やサービスのアプリケーションプログラムインターフェースを監査及び検証し、対象(例えば、輸送装置)のID、取得された生炭素挙動データ、決定された炭素排出削減相当量等を認定及び査定することを更に担当する。
【0132】
340において、固定保留量の炭素排出削減相当量を、第1口座からブロックチェーンプラットフォーム130の第2口座に転送する。具体的には、固定保留量の排出削減証明又は炭素排出削減相当量を、第1口座から第2口座に転送することができる。いくつかの実施例において、対応する発行が完了した後、固定保留量の排出削減証明又は炭素排出削減相当量は、第三者の認定機関が監査、検証、及び固定を担当する第2口座に転送される。
【0133】
図4は、本開示の実施例による炭素トークンの消費方法400のフローチャートを示す。
図4では、各動作は、例えば、業務システム120及び/又はブロックチェーンプラットフォーム130のプロセッサによって実行される。方法400は、図示しない追加の動作を含むこともでき、且つ/又は、図示した動作を省略することもでき、本開示の範囲は、この点に関しては限定されないことを理解されたい。
【0134】
405において、企業利用者からの炭素トークンの消費要求を受信したかどうかを判断する。炭素トークンの消費要求を受信した場合、410において、企業利用者の第1口座における炭素トークンの消費保留量を決定する。具体的には、企業利用者の炭素トークンの消費要求を受信したかどうかを判断し、炭素トークンの消費要求を受信した場合、企業利用者の第1口座における炭素トークンの消費保留量を取得することができる。いくつかの実施例において、企業利用者の炭素トークンの消費要求を受信した場合、第1口座に関連付けられた炭素トークンウォレットのアドレス及び炭素トークンの消費保留量を取得する。いくつかの実施例において、炭素トークンの消費保留量は、第1口座における炭素トークンの総量以下であり得る。これにより、企業利用者は、その口座における炭素トークンの全て又は一部を消費して、相応の炭素排出削減証明又は炭素排出削減相当量を交換したり、システム100内で任意の他の実物又は仮想物品を交換したりすることができる。いくつかの実施例において、企業利用者の炭素トークンの消費要求を受信した場合、この企業利用者の第1口座における炭素トークンが第三者の認定機関によって既に認定されたかどうかを確認し、第三者の認定機関によって既に認定されたことを確認した場合、第1口座における炭素トークンの消費保留量を取得する。これにより、企業利用者が炭素トークンの消費を開始してから、その関連データは、第三者の認定機関の監査及び検証に既に組み込まれていることになる。
【0135】
420において、炭素トークンの消費保留量及び第2所定比例関係に基づいて、炭素排出削減相当量の固定解除量を決定する。具体的には、第2所定比例関係及び炭素トークンの消費保留量に基づいて、排出削減証明又は炭素排出削減相当量の固定解除量を決定することができる。
【0136】
この第2所定比例関係に関しては、いくつかの実施例において、企業利用者の炭素トークンの消費要求が検出された場合、ブロックチェーンプラットフォーム130上に現在記録されている利用者の炭素トークンの総量、及び第2口座における固定された炭素排出削減証明又は炭素排出削減相当量の総量に基づいて、この第2所定比例関係を決定する。上述したような第1所定比例関係及び第2所定比例関係は、同じであっても異なっていてもよく、ここでは限定されないことを理解されたい。
【0137】
430において、第1口座から消費保留量の炭素トークンを廃棄する。具体的には、第1口座において、第3スマートコントラクトを介して消費保留量の炭素トークンを削除することができる。いくつかの実施例において、この第3スマートコントラクトは、第三者の認定機関の秘密鍵を介して署名される。
【0138】
440において、固定解除量の炭素排出削減相当量を、第2口座から第1口座に転送する。具体的には、固定解除量の排出削減証明又は炭素排出削減相当量を、第2口座から第1口座に転送することができる。いくつかの実施例において、第1口座において、固定解除された排出削減証明又は炭素排出削減相当量は、後続する炭素トークンの発行に再利用されてもよい。
【0139】
図5は、本開示の実施例による炭素トークンを個人に配布する方法500のフローチャートを示す。
図5では、各動作は、例えば、業務システム120及び/又はブロックチェーンプラットフォーム130のプロセッサによって実行される。方法500は、図示しない追加の動作を含むこともでき、且つ/又は、図示した動作を省略することもでき、本開示の範囲は、この点に関しては限定されない。
【0140】
510において、炭素排出削減挙動を持つ対象110に関する個人利用者の炭素トークンの配布要求を受信したかどうかを判断し、炭素トークンの配布要求を受信した場合、この個人利用者の炭素挙動に対応する炭素挙動データに基づいて、炭素トークンの交換量を決定する。
【0141】
例えば、輸送装置112に関する個人利用者の炭素トークン配布要求を受信したかどうかを判断する。炭素トークンの配布要求を受信した場合、輸送装置112の炭素挙動データに基づいて、炭素トークンの配布量を決定する。いくつかの実施例において、この第1口座は、例えば、新エネルギー車の製造企業又は共有新エネルギー車のサービスを提供する企業に属する。この輸送装置112に関する個人利用者は、例えば、新エネルギー車の購入者又は共有新エネルギー車の利用者である。いくつかの実施例において、この第1口座は、省エネ家電114を生産する企業利用者、物品リサイクル又は循環利用サービスを提供する企業利用者等に属してもよい。この対象110に関する個人利用者は、例えば、この省エネ家電114を使用する個人利用者、又は物品をリサイクルセンターに運搬する個人利用者であり得る。
【0142】
520において、交換量の炭素トークンを、個人利用者を含む複数の個人利用者の口座に関連付けられ得る第1口座からこの個人利用者の口座に転送する。この関連付けは、例えば、個人利用者が企業利用者の輸送装置112、省エネ家電114を購入したり、登録したりする時、又は物品リサイクルサービスを提供する企業利用者に登録する時に実行することができる。
【0143】
いくつかの実施例において、上記の方法に基づいて、企業利用者の第1口座における一定量の炭素排出削減相当量又は炭素排出削減証明を対応する量の炭素トークンに交換した後、第1口座に関連付けられた個人利用者が新エネルギー車を使用する過程における炭素挙動データに従って、対応する量の炭素トークンを報酬として交換して、個人利用者の関連口座(即ち、企業の口座システムに委託された個人利用者の口座)に配布する。いくつかの実施例において、個人利用者は、個人ウォレットのアドレスをチェックし且つ複製して、企業の口座システムに個人の炭素トークンウォレットのアドレスを結び付けることができ、個人利用者が炭素トークンの配布要求を発信したら、企業利用者のシステムは、炭素トークンの配布要求を受信し、検証した後、炭素トークンの配布量を決定し、その後、企業の炭素トークンウォレットにおいて、対応する配布量の炭素トークンを個人利用者の炭素トークンウォレットのアドレスに転送し、個人利用者は、個人ウォレットで炭素トークンの量を受信したかどうかを確認することができる。この配布過程の記録は、ブロックチェーン上に保管される。
【0144】
代替的には、企業又は個人利用者が得られた炭素トークンは、ブロックチェーンプラットフォーム130上で流通され、且つ同等の価値のサービスや商品を交換する、例えば、ブロックチェーンプラットフォーム130上におけるブロックチェーンチェーンストアモジュールを介して同等の価値のサービスや商品を交換することができる。上記の手段を採用することによって、炭素トークンは、企業ウォレットから個人利用者が企業に委託した個人ウォレットに配布されて、個人利用者及び企業が炭素排出削減行動及びプロジェクトに参加することにより積極的になる。
【0145】
いくつかの実施例において、利用者の個人ウォレットにおける炭素トークンを企業の第1口座に関連付けられた個人口座にチャージすることもできる。例えば、個人利用者がチャージ要求を発信し、企業利用者が個人利用者のために一意のチャージアドレスを作成したら、個人利用者は、システムにおいて自分のチャージアドレスをチェックし、複製することができ、個人利用者が個人ウォレットからチャージアドレスへの転送を開始したら、企業利用者は、個人利用者のチャージアドレスを監視し、取引が成功したことを確認して、企業利用者のシステムに関連付けられた個人利用者の個人口座における炭素トークンを増やし、個人利用者は、企業利用者のシステムにおいて自分のチャージ履歴をチェックする。
【0146】
以上、
図3から
図5に合わせて、企業利用者を炭素トークンの配布対象とする操作過程を説明したが、炭素トークンを得た企業利用者は、対応する量の炭素トークンを、対応する炭素削減製品やサービスを実際に利用する個人利用者に転送することによって、企業及び個人が両方とも利益を得ることを保証するだけでなく、同じ排出削減行動がシステム100内で繰り返し計算されないことを確保してもよい。しかし、当業者は、本発明が他の形態として実現することもできることを理解することができる。例えば、個人利用者を炭素トークンの配布対象として、個人利用者が様々な炭素排出削減製品やサービスを利用する炭素排出削減行動を炭素トークンに変換した後に、必要に応じて、対応する量の炭素トークンを、対応する製品を生産する又は対応するサービスを提供する企業利用者に転送してもよい。
【0147】
図6は、本開示の実施例を実現するのに適した炭素排出削減データ処理電子装置600のブロック図を模式的に示す。装置600は、
図1の業務システム120及び/又はブロックチェーンプラットフォーム130のノード140における1以上のホストを実現するために用いられてもよい。図に示すように、装置600は、中央処理ユニット(CPU)601を含み、読み取り専用メモリ(ROM)602に記憶されているコンピュータプログラム命令、又は記憶ユニット608からランダムアクセスメモリ(RAM)603にロードされているコンピュータプログラム命令に従って、様々な適切な動作及び処理を実行することができる。RAM603には、装置600の操作に必要な様々なプログラム及びデータも記憶することができる。CPU601、ROM602以及RAM603は、バス604を介して互いに接続される。入力/出力(I/O)インターフェース605もバス604に接続される。
【0148】
装置600における複数の部材は、I/Oインターフェース605に接続され、例えば、キーボード、マウス等の入力ユニット606と、例えば、様々な種類のディスプレイ、スピーカ等の出力ユニット607と、例えば、磁気ディスク、光ディスク等の記憶ユニット608と、例えば、ネットワークカード、モデム、無線通信トランシーバ等の通信ユニット609とを含む。通信ユニット609は、装置600がインターネットのようなコンピュータネットワーク及び/又は各種電気通信ネットワークを介して他の装置と情報/データを交換することを可能にする。
【0149】
処理ユニット601は、上述した様々な方法及び処理を実行し、例えば、データバックアップを制御するための方法200、300、400、及び500を実行する。例えば、いくつかの実施例において、方法200、300、400、及び500は、コンピュータソフトウェアプログラムとして実現され、機械読み取り可能媒体、例えば、記憶ユニット608に記憶されていてもよい。いくつかの実施例において、コンピュータプログラムの一部又は全ては、ROM602及び/又は通信ユニット609を介して装置600にロード及び/又はインストールされていてもよい。コンピュータプログラムがRAM603にロードされて、CPU601によって実行される場合、上記の方法200、300、400、及び500の1以上の操作を実行することができる。代替的には、他の実施例において、CPU601は、他の任意の適切な方法によって(例えば、ファームウェアによって)、方法200、300、500、及び600の1以上の動作を実行するように構成されてもよい。
【0150】
本開示は、方法、装置、及び/又はコンピュータ読み取り可能記憶媒体であり、本開示の各態様を実行するためのコンピュータ読み取り可能プログラム命令がロードされていてもよい。
【0151】
コンピュータ読み取り可能記憶媒体は、命令実行装置によって使用される命令を保持し且つ記憶することができる有形装置であり得る。コンピュータ読み取り可能記憶媒体は、例えば、電気記憶装置、磁気記憶装置、光記憶装置、電磁記憶装置、半導体記憶装置、又は上記の任意の適切な組み合わせであり得るが、これらに限定されない。コンピュータ読み取り可能記憶媒体のより具体的な例(非網羅的なリスト)には、携帯用コンピュータディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、携帯用コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、メモリスティック、フロッピーディスク、機械的コーディング装置、例えば命令が記憶されているパンチカード又は溝内の突起構造、及び上記の任意の適切な組み合わせが含まれる。ここで使用されるコンピュータ読み取り可能記憶媒体は、無線電波や他の自由に伝播される電磁波、導波管や他の伝送媒体を介して伝播される電磁波(例えば、光ファイバケーブルを介した光パルス)、又は電線を介して伝送される電気信号のような過渡信号自体として解釈されない。
【0152】
ここで説明したコンピュータ読み取り可能プログラム命令は、コンピュータ読み取り可能記憶媒体からそれぞれの計算/処理装置にダウンロードするか、あるいは、ネットワーク、例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、及び/又は無線ネットワークを介して、外部コンピュータ又は外部記憶装置にダウンロードすることができる。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光ファイバ伝送、無線伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ネットワークゲートウェイコンピュータ、及び/又はエッジサーバを含むことができる。各計算/処理装置におけるネットワークアダプタカード又はネットワークインターフェースは、ネットワークからコンピュータ読み取り可能プログラム命令を受信し、このコンピュータ読み取り可能プログラム命令を転送して、各計算/処理装置におけるコンピュータ読み取り可能記憶媒体に記憶させる。
【0153】
本開示の操作を実行するためのコンピュータプログラム命令は、アセンブリ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械関連命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、あるいは、1以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれたソースコード又はターゲットコードであってよく、プログラミング言語は、Smalltalk、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」言語又は類似したプログラミング言語のような従来の手続き型プログラミング言語を含む。コンピュータ読み取り可能プログラム命令は、利用者のコンピュータ上で完全に実行、利用者のコンピュータ上で部分的に実行、1つの独立したソフトウェアパッケージとして実行、一部を利用者のコンピュータ上で一部をリモートコンピュータ上で実行、又はリモートコンピュータやサーバ上で完全に実行することができる。リモートコンピュータに関係する場合、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意の種類のネットワークを介して、利用者のコンピュータに接続されてもよく、あるいは、外部コンピュータに接続されてもよい(例えば、インターネットサービス提供者を利用してインターネットを介して接続される)。いくつかの実施例において、コンピュータ読み取り可能プログラム命令の状態情報を利用することによって、電子回路、例えば、プログラマブル論理回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又はプログラマブル論理アレイ(PLA)をカストマイズし、この電子回路は、コンピュータ読み取り可能プログラム命令を実行することによって、本開示の各態様を実現することができる。
【0154】
ここでは、本開示の実施例による方法、装置、及びコンピュータ読み取り可能記憶媒体のフローチャート及び/又はブロック図を参照して、本開示の各態様を説明した。フローチャート及び/又はブロック図の各ブロック、並びに、フローチャート及び/又はブロック図の各ブロックの組み合わせは、いずれもコンピュータ読み取り可能プログラム命令によって実現可能であることを理解されたい。
【0155】
これらのコンピュータ読み取り可能プログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供されて、機械を生産することができ、これにより、これらの命令は、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサによって実行されると、フローチャート及び/又はブロック図における1以上のブロックに規定された機能/動作を実現する装置を生成する。これらのコンピュータ読み取り可能プログラム命令はまた、コンピュータ読み取り可能記憶媒体に記憶することができ、これらの命令により、コンピュータ、プログラマブルデータ処理装置、及び/又は他の装置が特定の方法で作動するため、命令が記憶されているコンピュータ読み取り可能媒体は、フローチャート及び/又はブロック図における1以上のブロックに規定された機能/動作を実現する各態様の命令を含む製造品を含む。
【0156】
コンピュータ読み取り可能プログラム命令はまた、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、又は他の装置にロードされ、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、又は他の装置上で一連の操作ステップを実行して、コンピュータの実現過程を生成することができ、これにより、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、又は他の装置上で実行される命令がフローチャート及び/又はブロック図における1以上のブロックに規定された機能/動作を実現する。
【0157】
図面におけるフローチャート及びブロック図は、本開示の複数の実施例による方法、装置、及びコンピュータ読み取り可能記憶媒体によって実現可能なシステム体系、機能、及び操作を示している。この点に関しては、フローチャート又はブロック図における各ブロックは、モジュール、プログラム部、又は命令の一部を表すことができ、モジュール、プログラム部又は命令の一部は、規定された論理機能を実現するための実行可能命令を1以上含む。いくつかの代替的な実施において、ブロックに示された機能は、図面に示された順序と異なる順序で発生させてもよい。例えば、2つの連続するブロックは、実際に、関連する機能に応じて、基本的に並列に実行してもよく、時には逆の順序で実行してもよい。ブロック図及び/又はフローチャートにおける各ブロック、並びに、ブロック図及び/又はフローチャートにおけるブロックの組み合わせは、規定された機能又は動作を実行する専用のハードウェアベースのシステムによって実現してもよく、あるいは、専用のハードウェア及びコンピュータ命令の組み合わせによって実現してもよいことにも留意されたい。
【0158】
本開示の各実施例は上述されており、上記の説明は網羅的なものではなく例示的なものであり、開示された各実施例に限定されない。説明された各実施例の範囲及び精神を逸脱しない限り、当業者にとって多くの修正及び変更は明らかである。本明細書で使用された用語の選択は、各実施例の原理、実際の用途、又は市場における技術に対する改善を最も良く説明すること、あるいは、他の当業者が本明細書に開示された各実施例を理解できるようにすることを意図している。
【0159】
以上の説明は、本開示の選択的な実施例にすぎず、本開示を限定するためのものではなく、当業者にとって、本開示は様々な修正及び変更が可能である。本開示の精神及び原理内で行われた任意の修正、同等の置換、改良等は、いずれも本開示の保護範囲内に含まれるべきである。
【国際調査報告】