(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-14
(54)【発明の名称】生体組織の置換および再生のためのプラグ形状インプラントならびにそのインプラントを調製するための方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/30 20060101AFI20220907BHJP
【FI】
A61F2/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021576652
(86)(22)【出願日】2020-06-23
(85)【翻訳文提出日】2022-01-07
(86)【国際出願番号】 NL2020050412
(87)【国際公開番号】W WO2020263087
(87)【国際公開日】2020-12-30
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521559153
【氏名又は名称】ジョイントスフィア ビー.ヴィー.
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ハームセン,エジディウス ゲラルダス マリア
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ブール,エヴァラルダス ヨハネス フベルタス
(72)【発明者】
【氏名】メルソン,ジレ ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】フランセン,ペトラス マテウス エジディウス アドリアヌス
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA03
4C097BB01
4C097BB09
4C097CC01
4C097CC06
4C097DD02
4C097DD04
4C097DD10
4C097EE04
4C097EE19
4C097FF05
4C097SC09
(57)【要約】
プラグの形状の生体組織の置換および再生のための非生分解性インプラントであって、骨組織に固定するように構成されたベースセクション(2)と、軟骨層の中間および深部ゾーンの軟骨組織を置換するように構成され、かつ少なくとも0.2mmの厚さを有する中間セクション(3)と、軟骨組織をその上および中に成長させるように構成され、ひいては軟骨層の表面ゾーンを再生する上部セクション(4)と、を備え、中間および上部セクションは、同じ熱可塑性エラストマー材料を含み、これは、上部セクションにおいて多孔質であり、かつ中間セクションにおいて非多孔質であり、熱可塑性エラストマー材料は、ウレタンおよび尿素基を含む線状ブロックコポリマーを含み、かつ軟骨再生特性を有する追加のペプチド化合物を実質的に含まず、ベースセクション材料は、チタンまたはチタン合金などの生体適合性金属、焼結結晶性ヒドロキシアパタイトなどのセラミック、リン酸鉱物などの鉱物、およびポリマー、任意選択でヒドロゲルポリマー、ならびにそれらの組み合わせのうちの1つを含む、非生分解性インプラント。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグの形状の生体組織の置換および再生のための非生分解性インプラントであって、骨組織に固定するように構成されたベースセクションと、軟骨層の中間および深部ゾーンの軟骨組織を置換するように構成され、かつ少なくとも0.2mmの厚さを有する中間セクションと、軟骨組織をその上および中に成長させるように構成され、ひいては前記軟骨層の表面ゾーンを再生する上部セクションと、を備え、前記中間および上部セクションが、同じ熱可塑性エラストマー材料を含み、前記熱可塑性エラストマー材料が、前記上部セクションにおいて多孔質であり、かつ前記中間セクションにおいて非多孔質であり、前記熱可塑性エラストマー材料が、ウレタンおよび尿素基を含む線状ブロックコポリマーを含み、かつ軟骨再生特性を有する追加のペプチド化合物を実質的に含まず、前記ベースセクション材料が、チタンまたはチタン合金などの生体適合性金属、焼結結晶性ヒドロキシアパタイトなどのセラミック、リン酸鉱物などの鉱物、およびポリマー、任意選択でヒドロゲルポリマー、ならびにそれらの組み合わせのうちの1つを含む、非生分解性インプラント。
【請求項2】
前記熱可塑性エラストマー材料が、カーボネート基をさらに含む、請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記熱可塑性エラストマー材料が、ポリ-ウレタン-ビス尿素-アルキレンカーボネートを含む、請求項1または2に記載のインプラント。
【請求項4】
前記熱可塑性エラストマー材料が、脂肪族である、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項5】
前記中間セクションの前記エラストマー材料が、室温で10MPa未満、より好ましくは5MPa未満の弾性率を有する、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項6】
前記上部セクションの前記多孔質エラストマー材料が、室温で、前記中間セクションの前記エラストマー材料の前記弾性率の80%未満の弾性率を有する、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項7】
前記ベースセクションが、非多孔質ベースセクション材料のコアと、多孔質ベースセクション材料の円周シェルと、を備え、前記シェルが、前記ベースセクションの最大直径の10%未満である厚さを有する、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項8】
前記ベースセクションが、上面と底面との間に延在し、多孔質ベースセクション材料の層を備え、前記層が、前記上面に隣接し、前記ベースセクションの最大高さの10%未満である厚さを有し、前記層内の前記ベースセクション材料の細孔が、生体適合性エラストマー材料を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項9】
前記ベースセクション材料が、チタン、ジルコニウム、クロム、アルミニウム、ステンレス鋼、ハフニウム、タンタルもしくはモリブデン、およびそれらの合金、またはそれらの任意の組み合わせから選択される金属を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項10】
前記ベースセクション材料が、酸化物、窒化物、炭化物およびホウ化物、もしくはそれらの任意の組み合わせから選択されるセラミックまたは鉱物を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項11】
前記ベースセクション材料が、コラーゲン、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、ポリエチレングリコール(PEG)、キチン、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、水膨潤性N-ビニルラクタム、デンプングラフトコポリマー、およびこれらの誘導体、ならびにこれらの組み合わせを含む、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項12】
前記ベースセクション材料が、非ヒドロゲルポリマー、好ましくは、ポリエーテル-ケトン-ケトン(PEKK)、ポリエーテル-エーテル-ケトン(PEEK)、およびポリエーテル-ケトン-エーテル-ケトン-ケトン(PEKEKK)などのポリアリールエーテルケトンポリマーを含む、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項13】
前記ポリアリールエーテルケトンポリマーの総体積に対して20%未満の多孔度を有する、実質的に非多孔質のポリアリールエーテルケトンポリマーを含む、請求項12に記載のインプラント。
【請求項14】
前記ベースセクションが、非多孔質ポリアリールエーテルケトンポリマーを含む、請求項12または13に記載のインプラント。
【請求項15】
好ましくは前記ベースセクションに提供される、医療用画像化のための造影剤もしくは放射性医薬品または本体をさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項16】
前記ベースセクションの前記上面が、不規則性または起伏を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項17】
前記ベースセクションが、前記エラストマー材料を含む中央に配置された空洞を備える、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項18】
前記ベースセクションが、不規則性または起伏を有する外面を備える、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項19】
前記インプラントの上面が、移植されたときに、好ましくは0.1~1mmの距離にわたって、骨軟骨構造上に存在する軟骨の上面の下になるように、前記ベースセクションの高さ、非多孔質中間セクションの高さ、および多孔質上部セクションの高さが選択される、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項20】
前記中間セクションの底面が、移植されたときに、骨軟骨構造上に存在する軟骨の底面とほぼ同じレベルとなるように、前記ベースセクションの高さ、前記非多孔質中間セクションの高さ、および前記多孔質上部セクションの高さが選択される、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項21】
わずかに湾曲した上面を有する上部セクションを備え、矢状面および/または内側-外側面において15mm~150mmの範囲の曲率半径を有する、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項22】
前記ベースセクション材料が、繊維状もしくは粒子状のポリマーおよび/または金属からなる群から選択される強化材料を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項23】
先行請求項のいずれか一項に記載のインプラントの調製のための方法であって、
a)室温で型内にベースセクションを提供することであって、前記ベースセクションが、生体適合性金属、セラミック、リン酸鉱物などの鉱物、およびポリマー、任意選択でヒドロゲルポリマー、ならびにそれらの組み合わせのうちの1つを含むベースセクション材料と、前記ベースセクションの上部に熱可塑性エラストマー材料の顆粒と、を含み、前記熱可塑性材料が、ウレタン基および尿素基を含む線状ブロックコポリマーを含み、軟骨再生特性を有する追加のペプチド化合物を実質的に含まない、提供することと、
b)前記熱可塑性エラストマー材料が溶融して前記ベースセクションと融合するように、前記型を閉じ、1~2GPaの圧力下で100℃~250℃の温度まで上記アセンブリを加熱することと、
c)前記アセンブリを室温まで冷却して、前記熱可塑性エラストマー材料を固め、前記型を開くことと、
d)前記型を開く前または開いた後のいずれかに、前記熱可塑性エラストマー材料の上部セクションに細孔を設けることと、を含む、方法。
【請求項24】
工程b)の後に、前記型が開かれ、前記熱可塑性エラストマー材料の追加の顆粒が前記型に加えられ、工程b)が繰り返される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記インプラントの上面が、好ましくは0.1~1mmの距離にわたって、前記骨軟骨構造上の前記軟骨層の上面の下にある、請求項1~22のいずれか一項に記載のインプラントを含む、骨軟骨構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグの形状の生体組織の置換および再生のためのインプラントに関する。本発明は、特に、プラグの形状の骨軟骨構造の置換および再生のためのインプラントに関する。本発明はさらに、インプラントの調製のための方法、およびインプラントを含む骨軟骨構造に関する。
【背景技術】
【0002】
骨軟骨構造とは、軟骨および骨を含む構造を指す。典型的な骨軟骨構造は、大腿骨(thighbone)(大腿骨(femur))、脛骨(shinbone)(脛骨(tibia))、および膝蓋骨(kneecap)(膝蓋骨(patella))に見出すことができる。骨の表面は関節(硝子質)軟骨の比較的厚い層で覆われているため、このような構造は互いにぴったりとはまり、スムーズに動く。(骨)軟骨欠損は、関節軟骨および任意に下にある(軟骨下)骨へのあらゆるタイプの損傷である。通常、(骨)軟骨欠損は、例えば、大腿骨と脛骨の末端、および膝蓋骨の後ろの特定の体重負荷スポットに現れる。これらは、動きを妨げる、粗い軟骨、小さな骨および軟骨の断片から、完全な軟骨の喪失の範囲にまで及ぶ可能性がある。
【0003】
関節面の外傷は、スポーツを実施している若い活動的な人々において、または事故に続くものとして一般的である。病変は軟骨層のみを含み得るが、多くの場合、下にある軟骨下骨も含み得る。関節軟骨は治癒する傾向が非常に低く、修復組織は元の組織よりも質的に劣っている。これは常に何年にもわたって変形性関節症(OA)の形成につながり、このことは高齢者の障害と生活の質の低下の主な原因である。この状態の標準的な治療法は、最終的には人工関節による関節置換術である。臨床的には効果的であるが、非生物学的インプラントは10~20年より長くは持続せず、修正手術ははるかに効果が低く、非常に費用がかかる。この理由のため、多くの研究が生涯続く生物学的再生治療の開発に捧げられている。しかしながら、有望なインビトロの結果にもかかわらず、これまでのところ、実際の生活状態で長期間にわたって現在の標準治療よりも効果的であることが証明されている解決策は1つもない。
【0004】
軟骨層は神経線維を欠いているため、患者は損傷の重症度に気づいていないことがよくある。最終段階中、患部の関節は骨でこすることからなり、激しい痛みと可動性の制限をもたらす。患者が医学的処置を求めるときまでに、痛みを和らげ、軟骨の損傷を修復するために外科的介入が必要になる場合がある。このような外科的介入を回避または延期するために、関節用のインプラントが開発されている。これらは、軟骨損傷の初期段階で骨構造に埋め込むことができ、したがって、関節の見過ごされていない変性を回避するために、予防的治療のために提供され得る。
【0005】
膝などの関節の関節軟骨損傷を治療するために、最も保守的で非侵襲的な選択肢から始まり、損傷が関節全体に広がっている場合は関節全体の置換で終わる多くの治療方法が利用可能である。現在利用可能な治療法には、初期段階の抗炎症薬が含まれる。これらは痛みを和らげることができるが、関節炎の症状への影響は限定的であり、さらに関節組織を修復しない。関節鏡によるデブリードメントなどの軟骨修復法は、少なくとも組織の変性を遅らせることを試みる。しかしながら、これらの方法は、軟組織の修復に部分的にしか効果がなく、関節の間隔を復元したり、または関節の安定性を改善したりすることはない。関節置換術(関節形成術)は、痛みを和らげ、可動性を回復するための他のすべての選択肢が失敗したか、もはや効果がない場合の最終的な解決策とみなされる。関節形成術は効果的であり得るが、この手順は極度に侵襲的で、技術的に困難であり、そして将来の治療選択肢を損なう可能性がある。軟骨の再生もまた、より具体的には、組織工学技術によって試みられている。足場と組み合わせた細胞、遺伝子および成長因子の使用は、機能的で生存可能な関節軟骨の再生において基本的な役割を果たす。これらのすべてのアプローチは、細胞レベルで身体の通常の治癒または修復のプロセスを刺激することに基づいている。これらの化合物の多くは、織られたポリ乳酸ベースのポリマーまたはコラーゲン繊維を含む様々な担体またはマトリックス上で送達される。軟骨を再生するための様々な試みにもかかわらず、関節軟骨の欠陥を修復するための信頼できかつ証明された治療法は現在存在していない。
【0006】
別の標準治療は、より小さな病変(≦2cm2)に対するマイクロフラクチャー(MFx)およびより大きな病変(>2cm2)に対する自己軟骨細胞移植(ACI)からなる。しかし、これらの技術を用いて再生された軟骨組織は、関節の生体力学的課題に耐えることができず、すでに18か月以内に変性し始める。したがって、人工関節による関節置換術の大幅な遅延は、それを防ぐことは言うまでもなく、不可能である。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、負荷分散の改善ならびに軟骨再生特性を有するプラグの形状の生体組織の置換および再生のためのインプラントを提供することである。別の目的は、骨軟骨構造の置換および再生のためのそのようなプラグ形状のインプラントを提供することである。さらに別の目的は、インプラントの調製のための方法を提供することである。本発明はさらに、関節軟骨病変を耐久性のある方法で修復することができ、人工関節による関節置換を少なくとも延期し、好ましくは防止するインプラントを提供することを目的としている。
【0008】
上記および他の目的は、請求項1に記載のプラグ形状のインプラントによって提供される。特にプラグ形状の非生分解性インプラントは、骨組織に固定するように構成されたベースセクションと、軟骨層の中間および深部ゾーンの軟骨組織を置換するように構成され、少なくとも0.2mmの厚さを有する中間セクションと、軟骨組織をその上および中に成長させるように構成され、したがって、軟骨層の表面ゾーンを再生する上部セクションと、を備え、中間および上部セクションは、同じ熱可塑性エラストマー材料を含み、これは、上部セクションにおいて多孔質であり、かつ中間セクションにおいて非多孔質であり、熱可塑性エラストマー材料は、ウレタン基および尿素基を含む線状ブロックコポリマーを含み、かつ軟骨再生特性を有する追加のペプチド化合物を実質的に含まず、ベースセクション材料が、生体適合性金属、セラミック、リン酸鉱物などの鉱物、およびポリマー、任意選択でヒドロゲルポリマー、ならびにそれらの組み合わせの1つを含む。好ましくは、熱可塑性エラストマー材料は、軟骨再生特性を有するいかなる追加の化合物も実質的に含まない。
【0009】
軟骨では、比較的薄い表面(接線)ゾーンがせん断応力からより深い層を保護し、関節軟骨の厚さの約10%~20%を占める。このゾーンのコラーゲン繊維(主にタイプIIおよびIXコラーゲン)はしっかりと充填され、関節面に平行に整列している(
図2)。表層には比較的多数の平坦化された軟骨細胞が含まれており、この層の完全性は、より深い層の保護と維持に不可欠である。このゾーンは滑液と接触しており、軟骨の引張特性のほとんどを担っており、これによって、関節によって加えられるせん断力、引張力、および圧縮力に抵抗することができる。
【0010】
表面ゾーンの真下の深部または下の部分には、表面ゾーンと深部ゾーンの間に解剖学的かつ機能的なブリッジを提供する中間(介在または移行)ゾーンがある。中間ゾーンは、軟骨全体の体積の40%~60%を占め、プロテオグリカンとより厚いコラーゲン原線維が含まれている。この層では、コラーゲンは斜めに組織化されており、軟骨細胞は球状でかつ低密度である。機能的には、中間ゾーンは圧縮力に対する最初の抵抗線である。
【0011】
コラーゲン原線維が関節面に垂直に配置されていることを考えると、軟骨の深部は圧縮力に対する最大の抵抗を提供する原因となる。深部ゾーンには、放射状に配置された最大直径のコラーゲン原線維、最大のプロテオグリカン含有量、および最小の水分濃度が含まれている。軟骨細胞は通常、円柱状に配置され、コラーゲン繊維に平行で、関節線に垂直である。深部ゾーンは、関節軟骨の体積の約30%を表す。
【0012】
ベースセクション材料は、周囲の骨に適切なレベルの機械的支持を提供し、好ましくは骨形成を可能にする任意の好適な材料で形成することができる。インプラントの中間および上部セクションの熱可塑性エラストマー材料を含む好適な材料は、生体適合性であり、そのことによって、これらの材料が、生体組織または生物に害を及ぼすことなく、それらと共存することが可能であることを意味する。さらに、本発明によるインプラントは、実質的に非生分解性であり、軟骨置換と軟骨再生を組み合わせる。本発明の文脈における非生分解性材料とは、移植されたインプラントの環境によって、より複雑でない化合物またはより少ない炭素原子を有する化合物に分解されない材料を意味する。実質的に非生分解性の材料の重量平均分子量は、移植の1年後の元の重量平均分子量と比較して、最大で20%、より好ましくは最大で10%、さらにより好ましくは最大で5%、さらにより好ましくは、依然として最大で1%減少する。
【0013】
ベースセクション材料として好適な金属には、チタン、ジルコニウム、クロム、アルミニウム、ステンレス鋼、ハフニウム、タンタルまたはモリブデン、およびそれらの合金、またはそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。任意選択で、金属の表面層を酸化、窒化、浸炭、またはホウ素化して、コーティングされた金属ベースセクションを形成することができる。
【0014】
ベースセクション材料として好適なセラミックおよび鉱物には、酸化物、窒化物、炭化物またはホウ化物、またはそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。好適な例には、生物活性ガラス、ベータリン酸三カルシウム(TCP)、二相性リン酸カルシウムなどのリン酸カルシウムおよびヒドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、クロルアパタイト、および/またはカルシウム欠乏アパタイトなどのアパタイト、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
【0015】
ベースセクション材料として好適な(ヒドロゲル)ポリマーには、コラーゲン、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、ポリエチレングリコール(PEG)、キチン、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、水膨潤性N-ビニルラクタム、デンプングラフトコポリマー、および誘導体とそれらの組み合わせが含まれる。
【0016】
ベースセクションの他の好ましい材料は、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)ポリマーを含む。PAEKポリマーは、ケトン(R-CO-R)とエーテル基(R-O-R)を交互に含む半結晶性熱可塑性ポリマーを含む。官能基間の連結基Rは、1,4-置換アリール基を含む。ベースセクションで使用されるPAEKポリマーは、とりわけ、PEK(ポリエーテルケトン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PEKK(ポリエーテルケトンケトン)、PEEKK(ポリエーテルエーテルケトンケトン)およびPEKEKK(ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン)を含み得る。加水分解に対するその優れた耐性のために、ベースセクションのポリアリールエーテルケトンポリマーは、本発明のインプラントにおいて有利に使用される。これは、滅菌しても分解せず、長時間体内に移植しても分解しない。これはまた、中間セクションと上部セクションのエラストマー材料に特によく結合することがわかる。
【0017】
本発明のインプラントのベースセクションで使用される材料は、それ自体で使用することができ、または一実施形態では、繊維状または粒子状のポリマーおよび/または金属からなる群から選択される強化材料を含むことができる。
【0018】
本発明のインプラントのベースセクションはまた、放射線を吸収する医療画像用の造影剤、例えば、放射線造影剤またはMRI造影剤、またはそれ自体が放射線を放出する放射性医薬品を含み得る。ベースセクションはまた、例えばタンタルなどの高融点金属を含み得る、ビーズなどの小さな固体の物体または本体を含み得る。
【0019】
プラグ形状のインプラントのベースセクションは骨アンカーとして機能するが、中間セクションと上部セクションの組み合わせは、損傷した軟骨の部分的な置換として、また軟骨再生のための足場として機能する。プラグ形状のインプラントでは、上部セクションとは、移植されたときに軟骨相に最も近いセクションを指す。ベースセクションとは、移植されたときに軟骨相から最も遠いセクションを指す。中間セクションは、上部セクションとベースセクションの間に位置している。
【0020】
水平面または垂直面を通るプラグ形状のインプラントの断面は、任意の好適な形状を有することができる。断面は、円形、正方形であり得、または六角形、八角形、または十角形などの多角形の場合がある。いくつかの実施形態では、プラグ形状のインプラントは、円錐台構造として成形されるようにテーパー状にされ得る。好ましくは、インプラントは、上部セクションよりもベースセクションでより小さな断面を有する。断面(または円筒形インプラントの場合は直径)は、ベースセクションと上部セクションの間で連続的に変化する場合があり、または、例えば、セクション間の境界面で不連続性を示す場合がある。
【0021】
インプラントがテーパー状のプロファイルを有する場合、テーパーの角度は好ましくは1°~45°である。いくつかの実施形態では、テーパーは、約3°~30°、より好ましくは5°~30°、さらにより好ましくは10°~15°である。テーパー状のプロファイルは、骨軟骨欠損へのインプラントの挿入を容易にし、宿主組織への損傷の可能性をさらに減らす可能性がある。インプラントは、好ましくは、取り付け手段なしで使用され、そのジオメトリーおよび周囲の組織構造によって骨軟骨構造に留まる。インプラントは膝に使用することができるが、側頭顎関節、足首、股関節、肩などの他の関節にも使用され得る。
【0022】
本発明によれば、ベースセクションの上部のプラグ形状インプラントは、軟骨組織を置換するように構成された中間セクションと、軟骨組織をその上および中に成長させるように構成された上部セクションをさらに含み、中間セクションおよび上部セクションは、同じ熱可塑性エラストマー材料を含む。これは、少なくともそのビルディングブロックが化学的に同じであることを意味する。本明細書で以下に述べるように、いくつかの物理的特性、例えばそれらの重量平均分子量は異なる場合がある。熱可塑性エラストマー材料は、上部セクションが多孔質で、中間セクションが非多孔質であり、ウレタンおよび/または尿素基を含む線状ブロックコポリマーを含む。さらに、熱可塑性エラストマー材料は、軟骨再生特性を有するペプチド化合物を実質的に含んでいない。驚くべきことに、本発明のインプラントは、軟骨組織を再生することができ、したがって、軟骨再生特性を示すいかなる機能性化合物の使用も回避することができることが見出された。特に、この実施形態によるインプラントは、ペプチド、例えば、RGD配列を含むものの使用を必要としないことが見出された。これらの化合物は、インテグリンの結合を可能にし、それによって細胞接着を刺激すると言われている。
【0023】
本発明の線状ブロックコポリマーは、分子鎖間の水素結合相互作用に由来する弾性特性を有するセグメント化されたコポリマーである。このようなコポリマーは、ポリウレタンおよび/またはポリ尿素セグメントの「ハード」結晶化ブロックを含み、「ソフト」ブロックの間にポリエステルおよび/またはポリアミドの「ハード」結晶化ブロックもまた含み得る。室温では、低融点の「ソフト」ブロックは高融点の「ハード」ブロックと適合しない可能性があり、結晶化または液-液分離による相分離を引き起こす。これらのコポリマーは、セグメント化されたコポリマーの「ハード」ブロックの結晶化に起因する可逆的な物理的架橋を示す。熱可塑性エラストマーは、より高い温度、より具体的には「ハード」ブロックの融点を超える温度で任意の形状に形成することができる。一方、熱可塑性エラストマーは、低温、すなわち、典型的な体温で機械的安定性および弾性特性を提供する。このことにより、これらの材料は、ヒトまたは動物の軟骨の代替材料として特に好適である。
【0024】
熱可塑性エラストマーの構成要素は、一般に3つのビルディングブロック、例えば、ポリエーテル、ポリエステルまたはポリカーボネート骨格を有する長鎖ジオール、二官能性ジイソシアネート、そして最後に、水、別の(時には短鎖)ジオール、またはジアミンなどの鎖延長剤を含み得る。後者の鎖延長剤は、熱可塑性エラストマーにビス尿素単位をもたらすため、好ましい。
【0025】
熱可塑性エラストマー材料が脂肪族であるインプラントの実施形態が好ましい。これは、熱可塑性エラストマーのすべてのビルディングブロックに芳香族基がなく、脂肪族基のみが含まれていることを意味する。本発明の熱可塑性エラストマーは、長鎖ジオールが最初に過剰のジイソシアネートと反応してイソシアネート官能化プレポリマーを形成するワンポット手順で調製することができる。続いて、後者は、好ましいジアミンなどの鎖延長剤と反応し、これは、ウレタン基を含む高分子量の熱可塑性エラストマーポリマーの形成を生じる。ジアミンが鎖延長剤として使用される場合、熱可塑性エラストマーはビスレア基も含み、これが好ましい。
【0026】
熱可塑性エラストマーを調製するための合成手順は、「ハード」ブロック長の分布につながる可能性がある。結果として、これらのブロックコポリマーの相分離は不完全である可能性があり、「ハード」ブロックの一部、特に短いブロックはソフト相に溶解し、ガラス転移温度の上昇を引き起こす。これは、上部および中間セクションの熱可塑性エラストマー材料の低温柔軟性および弾性のためにはあまり望ましくない。「ハード」ブロックの多分散性は、広い融解範囲と、温度に依存する動的機械熱分析(DMTA)のゴム状のプラトーとして示される。したがって、好ましい実施形態は、実質的に均一な長さの「ハード」ブロックを含むエラストマーブロックコポリマーを含む。これらは、「ハード」ブロックオリゴマーの混合物の分別、およびその後の特定の長さ(または長さの変化)の均一な「ハード」ブロックオリゴマーと上記のプレポリマーとの共重合によって調製することができる。
【0027】
熱可塑性エラストマーは、イソシアネート官能化プレポリマーとジアミンとの鎖延長反応によって調製することができるが、アミン官能化プレポリマーとジイソシアネートとの鎖延長反応によっても調製することができる。好適な市販のジアミンおよびジイソシアネートの例には、アルキレンジアミンおよび/またはジイソシアネート、アリーレンジアミンおよび/またはジイソシアネートが含まれる。アミン官能化プレポリマーもまた市販されているか、または(容易に入手可能な)ヒドロキシ官能化プレポリマーから、シアノエチル化とそれに続くシアノ基の還元、ガブリエル合成(ハロゲン化またはトシル化とそれに続くフタルイミドによる修飾、そして最後にフタルイミド基の脱保護による一級アミン形成)、または当技術分野で知られている他の方法によって調製することができる。イソシアネート官能化プレポリマーは、ヒドロキシ官能化プレポリマーと、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,4-ジイソシアネートブタン、1,6-ジイソシアネートヘキサンまたは4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアナート)などのジイソシアネートとの反応によって調製することができる。あるいは、イソシアネート官能化プレポリマーは、例えば、ジ-tert-ブチルトリカーボネートとの反応によって、アミン官能化プレポリマーから調製することができる。あらゆる種類の組成物の典型的には約500g/mol~約5000g/molの範囲の分子量のヒドロキシ官能化プレポリマーもまた有利に使用される。例には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレン-コ-プロピレン)グリコールおよびポリ(テトラヒドロフラン)などのポリエーテルのプレポリマー、ポリ(カプロラクトン)またはポリアジペートなどのポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリ(エチレン-ブチレン)などの硬化ポリオレフィンが含まれる。ポリカーボネートが好ましい。
【0028】
特に好ましいのは、ポリカーボネートのプレポリマーである。そのようなプレポリマーは、熱可塑性エラストマー材料が、ウレタンおよび/または尿素基に加えて、カーボネート基をさらに含む、一実施形態によるインプラントを生成する。そのようなインプラントは、他のインプラントよりも本発明の目的をより良好に満たすことが判明している。特に、その機械的特性がヒトまたは動物の軟骨の機械的特性に良好に適合しているという点で有益であることが判明している。驚くべきことに、移植されたインプラントにこの実施形態を使用すると、軟骨の再生が改善される。
【0029】
本発明の特に好ましい実施形態は、熱可塑性エラストマー材料がポリウレタン-ビス尿素-アルキレンカーボネート、より好ましくはポリウレタン-ビス尿素-ヘキシレンカーボネートを含むインプラントを提供する。
【0030】
線状ブロックコポリマーにおいて軟骨再生特性を有するペプチド化合物を放棄することとは別に、インプラントは、インプラントもしくはパッチ組成物、および/または損傷もしくは欠陥の中およびその周辺の細胞の移動、統合、再生、増殖、および成長を容易にし、ならびに/または損傷もしくは欠陥の治癒を促進し、ならびに/または軟骨形成性および骨形成性であり、すなわち、それぞれ、軟骨および骨を構築し、成長させおよび産生する。これらの薬剤には、サイトカイン化合物、ケモカイン化合物、化学誘引物質化合物、抗菌性化合物、抗ウイルス性化合物、抗炎症性化合物、炎症誘発性化合物、骨または軟骨再生分子、細胞、血液成分(例えば、全血および血小板)、およびそれらの組み合わせが含まれるがこれらに限定されない。強度を高め、取り付けを容易にする薬剤もまた、インプラントに含まれ得る。好ましい実施形態では、エラストマー線状ブロックコポリマーは、軟骨再生特性を有するいかなる化合物も含まない。
【0031】
本発明の文脈における実質的に非多孔質の材料とは、材料の総体積に対して20%未満、好ましくは最大10%、より好ましくは最大5%の多孔質を有する材料を意味し、さらにより好ましくは、材料の総体積の最大1%である多孔質を有する材料を意味する。多孔質材料は、微細な開口部として定義される細孔を含む。細孔は、1mm未満の直径を有するミクロ細孔であり得るか、および1mmを超える直径を有するマクロ細孔であり得る。細孔は相互接続することができ、これは好ましいことであり、これは、細孔が内部で接続されているか、または部品または要素間に連続性があることを意味する。本発明の文脈における非多孔質材料は、任意のサイズの分子に対して不浸透性である材料を意味するものではなく、いくつかの小分子は実際に非多孔質材料を通過することができる可能性がある。むしろ、本発明の文脈における非多孔質材料は、滑液および/または血液に対して不浸透性である材料を表す。
【0032】
インプラントの多孔質部分の細孔サイズは、100~1000ミクロン、より好ましくは100~500ミクロン、そして最も好ましくは300~500ミクロンから選択することができる。
【0033】
インプラントの上部セクションおよび中間セクションに使用される熱可塑性エラストマーは、その機械的特性をヒトおよび動物の軟骨の特性に適合させることが可能にするため、特に有利である。本発明の一実施形態では、中間セクションのエラストマー材料は、室温で10MPa未満、より好ましくは8MPa未満、7MPa未満、6MPa未満、5MPa未満、4MPa未満、3MPa未満、または2MPa未満以下の弾性率を有するインプラントを提供することができる。
【0034】
本出願の文脈において、室温は、20~30℃の範囲の温度、より好ましくは25℃の温度を意味する。
【0035】
同様に、インプラントの好ましい実施形態は、上部セクションの多孔質エラストマー材料が、室温で、中間セクションのエラストマー材料の弾性率の80%未満、より好ましくは、中間セクションのエラストマー材料の弾性率の50%未満、さらにより好ましくは10~50%、さらにより好ましくは15~40%、そして最も好ましくは20~30%の弾性率を有する上部セクションを含む。このような弾性率の低下は、中間セクションの材料の多孔質を改変することによって、または例えばその重量平均分子量を変更することを通して中間セクションの材料の物理的特性を改変することによって達成することができる。
【0036】
上部セクションのエラストマー材料の多孔質は、広い範囲内で選択することができる。上部セクションのエラストマー材料の好ましい多孔質は、20~80体積%、より好ましくは30~70体積%、さらにより好ましくは40~60体積%、そして最も好ましくは45~55体積%から選択される。
【0037】
本発明の有用な実施形態は、ベースセクションが非多孔質ベースセクション材料のコアと、多孔質ベースセクション材料の、好ましくは、円周方向のシェルとを含み、シェルがベースセクションの最大直径の10%未満である厚さを有するインプラントを提供する。他の有用な実施形態は、(円周方向の)シェルが、ベースセクションの最大直径の9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満の厚さを有するインプラントを提供する。あるいは、(円周方向の)シェルの断面積は、ベースセクションの最大断面積の最大35%をカバーする。他の有用な実施形態は、(円周方向の)シェルの断面積が、ベースセクションの最大断面積の30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、または5%未満、3%未満、または1%未満であるインプラントを提供する。
【0038】
上部および中間セクションの機械的特性の上記に開示された好ましい組み合わせを有する実施形態は、軟骨の再生を促進する傾向がある。これは、(動的)負荷中のインプラントを含む骨軟骨構造の好ましい応力(再)分布によるものと考えられている。
【0039】
本発明の別の実施形態は、ベースセクションが上面と底面との間に延在し、多孔質ベースセクション材料の層を含み、その層が上面に隣接し、ベースセクションの最大高さの10%である厚さを有するインプラントを提供し、層内のベースセクション材料の細孔は、生体適合性エラストマー材料、好ましくはすべての細孔を含む。他の実施形態では、上面に隣接する層は、ベースセクションの最大高さの10%未満、8%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3未満、2%未満、または1%未満の厚さを有する。上記のすべての実施形態は、中間セクション(および上部セクション)のベースセクションへの接着を様々な程度に改善することができる。同時に、ベースセクションの機械的特性、およびベースセクションによってインプラントに提供されるサポートは、適切なレベルに留まる。
【0040】
本発明の別の実施形態は、ポリアリールエーテルケトンポリマーの総体積に対して20%未満の多孔度を有する実質的に非多孔質のポリアリールエーテルケトンポリマーを含むインプラントに関する。
【0041】
さらに別の実施形態は、ベースセクションが非多孔質ポリアリールエーテルケトンポリマーを含むインプラントを提供する。
【0042】
本発明の別の実施形態では、インプラントのベースセクションの上面は、不規則性または起伏を含む。不規則性は、例えば、鋸歯状の形状を有する隆起を含み得る。起伏は、正弦波形状のものなど、不規則または規則的であり得る。
【0043】
別の有用な実施形態は、ベースセクションが、生体適合性エラストマー材料を含む中央に配置された空洞を含むインプラントに関する。そのような空洞は、ベースセクションへの中間セクション(および上部セクション)の接着をさらに改善し得る。空洞は円筒形であってもよく、その断面は正方形または多角形であってもよい。空洞の壁はまた、不規則性または起伏を提供されてもよく、またはその平均断面積よりも大きな断面積のセクションを含み得る。そのような空洞セクションのいくつかは、機械的ロック構造を形成するために、ベースセクションの異なる高さに提供され得る。
【0044】
さらに別の実施形態は、ベースセクションが不規則性または起伏を有する外面を含むインプラントを提供する。そのような外面の不規則性は、例えば、ベースセクションの外面(の一部)上に円周方向に延びる、例えば、鋸歯状の形状を有する隆起を含み得る。起伏は、正弦波形状のものなど、不規則または規則的であってもよい。起伏は、同様に、ベースセクションの外面(の一部)上に円周方向に延びることができる。不規則性および起伏は、好適にプロファイルされた型に材料を鋳造することによって提供され得るか、あるいは、機械加工によって、例えば、成形されたインプラントの回転フライス盤によって提供され得る。
【0045】
本発明の有用な実施形態は、中間セクションが非多孔質エラストマー材料のコアと多孔質エラストマー材料の円周シェルとを含み、このシェルは中間セクションの最大直径の10%未満の厚さを有するインプラントを提供する。他の有用な実施形態は、円周シェルが、中間セクションの最大直径の9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満の厚さを有するインプラントを提供する。最大直径は、例えば、プラグ形状のインプラントがテーパー状であり、円形の断面を有する実施形態において適切である。あるいは、円周シェルの断面積は、中間セクションの最大断面積の最大35%をカバーする。他の有用な実施形態は、円周シェルの断面積が、中間セクションの最大断面積の30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、3%未満、または1%未満であるインプラントを提供する。最大断面積は、例えば、プラグ形状のインプラントがテーパー状になっている実施形態において適切である。
【0046】
プラグ型インプラントの高さは、体内での特定の用途に応じて選択され得る。高さは、例えば、3~18mmで変化し得る。本発明の有用な実施形態によれば、ベースセクションの高さ、非多孔質中間セクションの高さ、および多孔質上部セクションの高さは、移植されたときに、インプラントの上面が、骨軟骨構造上に存在する軟骨の上面の下に、好ましくは0.1~1mmの距離にわたって位置するように、選択されるインプラントが提供される。この実施形態は、軟骨組織を上部セクション内だけでなく上部セクション上にも成長させることを促進し、それにより、上部セクションと新しく形成された軟骨との間に強力な固定が構築される。宿主軟骨からの軟骨細胞は、上部セクションのセグメント化されたエラストマーに対して強い親和性を有し、したがって、その表面にコロニーを形成して、インプラントの上部に新しい硝子軟骨組織を生成する傾向があることが判明した。
【0047】
別の実施形態は、ベースセクションの高さ、非多孔質中間セクションの高さ、および多孔質上部セクションの高さは、中間セクションの底面が、移植時に骨軟骨構造上に存在する軟骨の底面とほぼ同じ高さになるように選択されるインプラントを提供する。
【0048】
本発明のさらに別の実施形態は、上面がわずかに湾曲している上面セクションを提供する。矢状面における上部セクションの上面の好ましい曲率半径は、15~150mm、より好ましくは17~125mm、さらにより好ましくは19~100mm、さらにより好ましくは21~75mm、さらにより好ましくは23~50mm、そして最も好ましくは25~30mmの範囲に選択される。この実施形態は、上面全体でほぼ等しい厚さのインプラントの上部セクションの上面に、新しい軟骨層を再生することができる。結果は、再生された軟骨の上面の半径であり得、これは、インプラントの隣の周囲の天然の軟骨層の半径とほぼ同じであり、それにより、半径の連続性を示す。インプラントの上部セクションの上面はまた、内側-外側平面において、好ましくは矢状面について上に開示された範囲を有する曲率半径で湾曲され得る。実際の実施形態では、インプラントの上部セクションの上面は、矢状面および内側-外側面で等しい曲率半径を有する。したがって、この実施形態は、球形の上面を含む。
【0049】
本発明の別の態様は、インプラントの調製のための方法を提供する。インプラントの調製のための方法が提供され、この方法は、
a)室温で型内に、生体適合性金属、セラミック、リン酸鉱物などの鉱物、およびポリマー、任意選択でヒドロゲルポリマー、およびそれらの組み合わせのうちの1つを含むベースセクション材料、およびベースセクションの上部にある熱可塑性エラストマー材料の顆粒を含むベースセクションを提供する工程であって、熱可塑性材料は、ウレタン基および尿素基を含む線状ブロックコポリマーを含み、軟骨再生特性を有する追加のペプチド化合物が実質的に添加されていない、提供する工程と、
b)熱可塑性エラストマー材料が溶融してベースセクションと融合するように、型を閉じ、1~2GPaの圧力下で100℃~250℃の温度まで上記のアセンブリを加熱する工程と、
c)アセンブリを室温まで冷却して、熱可塑性エラストマー材料を固め、型を開く工程と、
d)型を開く前または開いた後のいずれかに、熱可塑性エラストマー材料の上部セクションに細孔を設ける工程と、を含む。
【0050】
この方法の好ましい実施形態は、工程a)を含み、ポリアリールエーテルケトンポリマーの総体積に対して20%未満の多孔度を有する実質的に非多孔質のポリアリールエーテルケトンポリマーを含むベースセクション、およびベースセクションの上部にある熱可塑性エラストマー材料の顆粒が、室温で型に提供される。
【0051】
本発明の別の実施形態は、工程b)の後に型が開かれ、熱可塑性エラストマー材料の追加の顆粒が型に加えられ、工程b)が繰り返される方法を提供する。この方法の2段階の実施形態で添加される材料の量は、広い範囲内で選択することができる。熱可塑性エラストマー材料の顆粒の第1の添加と第2の添加との間の比率が01:99~99:01、より好ましくは30:70~97:03、そして最も好ましくは70:30~95:05から選択される場合、ますます良好な結果が得られる。
【0052】
本発明の別の実施形態は、工程b)の加熱温度が110℃~225℃、より好ましくは120℃~200℃、最も好ましくは130℃~175℃である方法を提供する。引用されたすべての温度範囲での好ましい圧力は、1.1~1.8GPaであり、より好ましくは、1.2~1.6Gpaである。
【0053】
本発明のさらに別の態様は、ウレタンおよび尿素基を含む線状ブロックコポリマーを含み、軟骨再生特性を有する追加のペプチド化合物を実質的に含まない熱可塑性エラストマー材料の調製のための方法に関する。本発明によれば、この方法は、
-ジオールをジイソシアネートと反応させることによって、イソシアネート末端プレポリマーを調製することと、
-ジアミンを用いる鎖延長によるイソシアネート末端プレポリマーを重合することと、を含み、
上記の工程は、軟骨再生特性を有するペプチド化合物を除外して、より好ましくは、軟骨再生特性を有するいかなる化合物も除外して実施される。
【0054】
一実施形態による好ましい方法では、ジオールは、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、好ましくはカーボネートジオール、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0055】
別の好ましい実施形態は、ジイソシアネートがn-アルキレン-ジイソシアネートを含む方法を提供する。
【0056】
本発明のさらに別の好ましい実施形態は、ジアミンが一級ジアミン、好ましくはn-アルキレン-ジアミンを含む方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
ここで、本発明は、以下の図面および実施例によってさらに解明されるが、これらに限定されるものではない。図面においては以下の通りである。
【0058】
【
図1A-1D】本発明による例示的なインプラントの4つの実施形態の概略側面図を示す。
【
図2A】本発明の一実施形態によるベースセクションの概略斜視図を示す。
【
図2C-2D】
図2Bの実施形態の部品BおよびCの概略詳細図を示す。
【
図3】本発明の一実施形態による、熱可塑性ポリカーボネート材料への可能な合成経路の概略図を示す。
【
図4】本発明の実施形態による、熱可塑性ポリカーボネート材料の
1H-NMRスペクトルを示す。
【
図5A-5C】異なる加熱速度での本発明の実施形態による熱可塑性ポリカーボネート材料のDSCサーモグラムを示す。
【
図6A-6C】は、骨軟骨構造(6A)、本発明の実施形態によるインプラント(6B)を含む骨軟骨構造、および軟骨の上部/内部成長後の同じ骨軟骨構造(6C)の欠陥の概略図を示す。
【
図7A-7D】本発明のさらに別の実施形態によるインプラントの4つの実施形態の概略側面図を示す。
【
図8A-8C】骨軟骨構造(8A)、本発明の別の実施形態によるインプラント(8B)を含む骨軟骨構造、および軟骨の上部/内部成長後の同じ骨軟骨構造(8C)の欠陥の概略図を示す。
【0059】
図1Aを参照すると、本発明による例示的なインプラントの実施形態の側面図が示されている。プラグの形状のインプラント1は、骨組織に固定するように構成されたベースセクション2、軟骨組織を置き換えるように構成された中間セクション3、および軟骨組織をその上および中に成長させるように構成された上部セクション4を含む。中間セクション3および上部のセクション4は、同じ熱可塑性エラストマー材料を含む。この実施形態における熱可塑性エラストマー材料は、ポリウレタン-ビス尿素-ヘキシレンカーボネートを含み、その調製および特性は、以下でさらに解明される。しかし、上部セクション4は、多孔質のポリウレタン-ビス尿素-ヘキシルカーボネートを含み、一方、中間セクション3は、細孔のない同じポリウレタン-ビス尿素-ヘキシルカーボネートを含む。ベースセクション2は、非多孔質ポリアリールエーテルケトンポリマーを含み、これは、示される実施形態では、非多孔質PEKKポリマーである。インプラント1は円筒形であり、直径10は6mmである。ベースセクション2の高さ20、中間セクション3の高さ30、および上部セクション4の高さ40は、合計して最大6mmの高さになる。
【0060】
図1Bは、本発明によるインプラントの別の実施形態の側面図を概略的に表す。プラグの形状である具体化されたインプラント1は、骨組織に固定するように構成されたベースセクション2と、軟骨組織を置き換えるように構成された中間セクション3と、軟骨組織をその上および中に成長させるように構成された上部セクション4とを再び含む。中間セクション3および上部セクション4は、同じポリウレタン-ビス尿素-ヘキシレンカーボネート材料を含み、これは、上部セクション4では多孔質であり、中間セクション3では非多孔質である。ベースセクション2は、PEKKポリマーの総体積に対して20%未満の多孔度を有する実質的に非多孔質のPEKKポリマーを含む。この実施形態のベースセクション2は、特に、非多孔質PEKKポリマーのコア21および多孔質PEKKポリマーの円周シェル22を含む。シェル22は、ベースセクション2(およびインプラント1)の直径10の約8%の厚さ23を有する。ベースセクション2は、上面24と底面25との間にさらに延在し、多孔質PEKKポリマーの層26を含み、この層26は、上面24に隣接し、ベースセクション2の高さ20の約8%の厚さ27を有する。層26のPEKKポリマーの細孔は、中間セクション3に由来し、製造中に層26のPEKKポリマーの細孔に浸透した生体適合性ポリウレタン-ビス尿素-ヘキシレンカーボネートを含む。インプラントの製造のための方法については、以下でさらに説明する。
図1Aの実施形態と同様に、インプラント1は円筒形であり、直径10が6mmである。ベースセクション2の高さ20、中間セクション3の高さ30、および上部セクション4の高さ40は、合計して最大6mmの高さになる。
【0061】
図1Cは、本発明によるインプラントのさらに別の実施形態の側面図を概略的に表す。プラグの形状である具体化されたインプラント1は、骨組織に固定するように構成されたベースセクション2、軟骨組織を置き換えるように構成された中間セクション3、および軟骨組織をその上および中に成長させるように構成された上部セクション4を再び含む。中間セクション3および上部セクション4は、同じポリウレタン-ビス尿素-ヘキシレンカーボネート材料を含み、これは、上部セクション4では多孔質であり、中間セクション3では実質的に非多孔質である。ベースセクション2は、PEKKポリマーの総体積に対して20%未満の多孔度を有する実質的に非多孔質のPEKKポリマーを含む。この実施形態のベースセクション2は、特に、上面24と底面25との間に延在し、多孔質PEKKポリマーの層26を含み、この層26は、上面24に隣接し、ベースセクション2の高さ20の約8%の厚さ27を有する。層26のPEKKポリマーの細孔は、中間セクション3に由来し、製造中に層26のPEKKポリマーの細孔に浸透した生体適合性ポリウレタン-ビス尿素-ヘキシレンカーボネートを含む。この実施形態の中間セクション3は、特に、非多孔質ポリウレタン-ビス尿素-ヘキシレンカーボネートポリマーのコア31と、多孔質ポリ-ウレタン-ビス尿素-ヘキシレンカーボネートポリマーの円周シェル32とを含む。シェル32は、中間セクション3(およびインプラント1)の直径10の約8%の厚さ33を有する。ベースセクション2は、上面24と底面25との間にさらに延在し、多孔質PEKKポリマーの層26を含み、この層26は、上面24に隣接し、ベースセクション2の高さ20の約8%の厚さ27を有する。寸法および形状は、
図1Aおよび1Bの実施形態と同じである。
【0062】
図1Dは、本発明によるインプラントのさらに別の実施形態の側面図を概略的に表す。プラグの形状である具体化されたインプラント1は、
図1Cに示されているものに対応する。さらに、この実施形態の中間セクション3は、中間セクション3(およびインプラント1)の直径10の約10%の厚さ33を有する多孔質ポリ-ウレタン-ビス尿素-ヘキシレンカーボネートポリマーの円周シェル32を有する。さらに、ベースセクション2は、多孔質PEKKポリマーの層26を含み、この層26は、上面24に隣接し、ベースセクション2の高さ20の約5%の厚さ27を有する。層26のPEKKポリマーの細孔は、中間セクション3に由来し、製造中に層26のPEKKポリマーの細孔に浸透した生体適合性ポリ-ウレタン-ビス尿素-ヘキシレンカーボネートを含む。ベースセクション2は、非多孔質PEKKポリマーのコア21および多孔質PEKKポリマーの円周シェル22をさらに含む。シェル22は、ベースセクション2(およびインプラント1)の直径10の約5%の厚さ23を有する。最後に、ベースセクション2はまた、多孔質PEKKポリマーの層28を含み、この層28は、底面25に隣接し、ベースセクション2の高さ20の約5%の厚さ29を有する。寸法および形状は、
図1A~1Cの実施形態と同じである。
【0063】
図1B、1C、および1Dでは、円周方向のシェル(22、32)が、それぞれの厚さ(23、33)を示すために断面で示されていることに留意されたい。側面図では、それらはインプラント1の直径10全体にわたって延びる。
【0064】
図7Aを参照して、本発明によるインプラントの別の実施形態の側面図が示されている。プラグの形状であるインプラント1は、
図1Aに示されているのと同じ材料およびセクションを含む。
図7Aのインプラントの寸法は、1つの例外を除いて、
図1Aのインプラントの寸法と同じである。
図1Aのように、上部セクション4(およびインプラント1)の平坦な上面41を有する代わりに、上部セクション4の上面41aは、曲率半径Rが約28mmの球形である(スケール通りに描かれてはいない)。
【0065】
図7Bを参照して、本発明によるインプラントの別の実施形態の側面図が示されている。プラグの形状であるインプラント1は、
図1Bに示されているのと同じ材料およびセクションを含む。
図7Bのインプラントの寸法は、1つの例外を除いて、
図1Bのインプラントの寸法と同じである。
図1Bのように、上部セクション4の平坦な上面41を有する代わりに、上部セクション4の上面41aは、曲率半径Rが約28mmの球形である(スケール通りに描かれてはいない)。
【0066】
図7Cを参照すると、本発明によるインプラントの別の実施形態の側面図が示されている。プラグの形状であるインプラント1は、
図1Cに示されているのと同じ材料およびセクションを含む。
図7Cのインプラントの寸法は、1つの例外を除いて、
図1Cのインプラントの寸法と同じである。
図1Cのように、上部セクション4の平坦な上面41を有する代わりに、上部セクション4の上面41aは、曲率半径Rが約28mmの球形である(スケール通りに描かれてはいない)。
【0067】
図7Dを参照して、本発明によるインプラントの別の実施形態の側面図が示されている。プラグの形状であるインプラント1は、
図1Dに示されているのと同じ材料およびセクションを含む。
図7Dのインプラントの寸法は、1つの例外を除いて、
図1Dのインプラントの寸法と同じである。
図1Dのように、上部セクション4の平坦な上面41を有する代わりに、上部セクション4の上面41aは、曲率半径Rが約28mmの球形である(スケール通りに描かれてはいない)。
【0068】
再び、
図7B、7C、および7Dでは、円周方向のシェル(22、32)が、それぞれの厚さ(23、33)を示すために断面で示されていることに留意されたい。側面図では、それらはインプラント1の完全な直径10全体に広がっている(スケール通りに描かれてはいない)。
【0069】
図2A~2Dを参照して、本発明のインプラント1のベースセクション2の実施形態が概略的に示されている。示されているベースセクション2は、本質的に、直径10、高さ20の円筒形である。ベースセクションの上面24は、中央に配置された空洞241内に徐々に延びる円周方向に平坦なリム部分240を有する。空洞241は、空洞241の直径よりも大きな直径を有するロック部分242を備えている。
図2Cに詳細に示されるように、空洞241のロッキング部分242はディスク形状であり、それにより、ディスクの外縁は、ベースセクション2の長手方向247に対して1°~20°、より好ましくは、5°~15°の角度246をなす。インプラントの製造中の空洞241(および部分242)は、生体適合性エラストマー材料の一部で満たされ、中間セクション3のベースセクション2への適切な固定を提供する。上で考察されたように、ベースセクション2は、非多孔質または実質的に非多孔質であり得るPEKKポリマーを含み、後者の実施形態は、上で開示された実施例を含む。ベースセクション2はさらに、不規則性または起伏を有する外面を含むことが見られる。本実施形態では、これらは、
図2Dに詳細に示されるように、断面が鋸歯状である円周方向の隆起243を含む。鋸歯状側面がベースセクション2の横方向245に対して延びる角度244は、好ましくは70°~85°、より好ましくは75°~80°である。
【0070】
上部および中間セクションのエラストマー材料の調製
実施例1:ポリカーボネート-脂肪族:ポリ(ヘキシレンカーボネートウレタン)-ビス尿素生体材料MVH313、以下の表1を参照されたい。
このワンポット2段階で製造された生体材料MVH313は、1.0モル当量のポリ(ヘキシレンカーボネート)ジオール(MW=2000)を2.0モル当量の1,6-ジイソシアネートヘキサンの官能化(工程1)し、続いて1.0モル当量の1,6-ジアミノヘキサン(工程2)を使用する鎖伸長によって調製した。
【0071】
特に、中間セクション3および上部セクション4の脂肪族ポリ-ウレタン-尿素-ヘキシレンカーボネート生体材料は、以下のように製造した(
図3を参照)。ポリ(ヘキシレンカーボネート)ジオール(MW=2000、23.9g、11.9mmol)を500mLの3つ口フラスコに量り取り、真空下、75℃で一晩加熱して乾燥させた後、室温まで冷却させた。アルゴン雰囲気下で、1,6-ジイソシアナトヘキサン(4.1g、23.9mmol)、DMAc(20mL)およびSn(II)ビス(2-エチルヘキサノエート)1滴を加えた後、混合物を加熱し、3時間撹拌して、粘度を上昇させた。混合物を室温まで冷却し、DMAc(100mL)で希釈し、DMAc(50mL)中の1,6-ジアミノヘキサン(1.4g、11.9mmol)の溶液を完全に混合しながら一度に加えた。添加および混合するとすぐにゲルが形成された。混合物をさらにDMAc(150mL)で希釈し、130℃の油浴で加熱して均一な粘稠スラリーを得た。室温まで冷却した後、混合物を水/ブライン混合物(2.75Lの水+0.25Lの飽和ブライン)中で沈殿させて、柔らかい白色の物質を得た。この材料をより小さな断片に切断し、メタノールと水(3L)の1:5混合物中で64時間撹拌した。上澄みをデカントした後、得られた固形物をメタノールと水(0.75L)の2:1混合物中で6時間撹拌した。上澄みをデカンテーションし、メタノールと水の2:1混合物(0.75L)中で16時間撹拌し、上澄みをデカンテーションし、真空中、70℃にて固形物を乾燥させると、柔軟で丈夫なエラストマーポリマーが得られた。
【0072】
1H NMR分光法は、298KでVarian 200、Varian 400MHz、または400MHzBruker分光計を使用して得られたポリマーに対して実行された。DSCは、Q2000マシン(TA Instruments)を使用して実行された。融解温度(Tm)とガラス転移温度(Tg)の評価のために、それぞれ10℃/分と40℃/分の加熱スキャン速度を使用した。Tmはピーク融解温度によって決定され、Tgは変曲点から決定された。
【0073】
すべての試薬、化学薬品、材料、および溶媒は、商業的供給源から入手し、さらに精製することなく使用した。使用したポリ(ヘキシレンカーボネート)ジオールの平均分子量は約2kg/molであった。
図4と
図5は、それぞれ、得られたポリマーの
1H NMRスペクトルとDSCサーモグラムを示している。次のように
1H NMRスペクトルの結果を要約することができる。
1H NMR(400MHz、HFIP-D2):δ=4.23(M,N
*4H、N~14.3)、4.10(M,4H)、3.17(M、12H)、1.87-1.32(脂肪族CH2メチレンの複数のシグナル)ppm。繰り返しのハード/ソフトブロックセクションの平均分子量は約2.5kDaである。DSCの結果は次のように要約され得る。DSC(10℃/分、
図5A):Tm(上)=20.9℃(ソフトブロック溶融)、DSC(40℃/分、
図5B):Tg=-38.0℃。ハードブロックの2番目の融点は200℃まで観察されなかった。しかし、10℃/分で250℃までの最終加熱実行(
図5C)では、約227℃で小さくかつ広い融解転移が観察された。DSCダイアグラムでは、吸熱融解ピークが下向きにプロットされ、発熱結晶化が上向きにプロットされている。
【0074】
非多孔質脂肪族ポリ-ウレタン-尿素-ヘキシレンカーボネート生体材料は、ASTM D638に準拠した弾性率が3.6±0.03MPaであった。
【0075】
実施例2:ポリエーテル-芳香族:ポリ(テトラヒドロフランウレタン)-ビス尿素生体材料MVH309B、以下の表1を参照されたい。
生体材料MVH313について詳細に説明したのと同様のワンポット2段階実験手順で、生体材料MVH309Bもまた製造した。特に、生体材料MVH309Bは、1.0モル当量のポリテトラヒドロフランジオール(MW=2000)を1.33モル当量のビス(4-イソシアナトフェニル)メタン(MDI)で官能化し(工程1)、続いて0.33モル当量の1,6-ジアミノヘキサンを使用する鎖延長(工程2)によって調製した。生体材料MVH309Bは、白色で、柔軟性があり、丈夫なエラストマーポリマーとして分離した。
【0076】
実施例3:ポリエーテル-脂肪族:ポリ(テトラヒドロフランウレタン)-ビス尿素生体材料MVH312、以下の表1を参照されたい。
生体材料MVH313について詳細に説明したのと同様のワンポット2段階実験手順で、生体材料MVH312もまた製造した。特に、生体材料MVH312は、1.0モル当量のポリテトラヒドロフランジオール(MW=2000)を2.0モル当量の1,6-ジイソシアナトヘキサンで官能化すること(工程1)、続いて1.0モル当量の1,6-ジアミノヘキサンを使用する鎖延長(工程2)によって調製した。生体材料MVH312は、柔軟で丈夫なエラストマーポリマーとして分離した。
【0077】
実施例4:ポリカーボネート-芳香族:ポリ(ヘキシレンカーボネートウレタン)-ビス尿素生体材料MVH311、以下の表1を参照されたい。
生体材料MVH313について詳細に説明したのと同様のワンポット2段階実験手順で、生体材料MVH311もまた製造した。特に、生体材料MVH311は、1.0モル当量のポリ(ヘキシレンカーボネート)ジオール(MW=2000)を1.33モル当量のビス(4-イソシアナトフェニル)メタン(MDI)で官能化すること(工程1)、続いて0.33モル当量の1,6-ジアミノヘキサンを使用する鎖延長によって調製した。(工程2)。生体材料MVH311は、柔軟で丈夫なエラストマーポリマーとして分離された。
【0078】
中間セクションのエラストマー材料の機械的特性
応力緩和試験は、実施例1~4の2つの芳香族ポリマーと2つの脂肪族ポリマー、およびユトレヒト医療センターから入手した3つのウマの軟骨標本で実施された。試験片(例えば、ポリマークラス)とその寸法の説明を表1に示す。Instron Electropulse E10000を使用して、各試験片を0.005s-1のひずみ速度で0.05mm/mmのひずみまで圧縮し、1800秒間一定に保った。すべてのテストは3回行った。試験中、荷重、変位、および時間を記録し、その後、データから応力緩和曲線を取得した。応力緩和は、次の式を使用して、応力緩和の開始時(G(0))および応力緩和の開始1800秒後(G(1800))の応力緩和係数G(t)を決定することによって示される。G(t)=σ(t)/ε
0、式中、σ(t)は圧縮応力であり、ε
0は設定(定数)ひずみである。
【表1】
【0079】
【0080】
生体材料で覆われたPEKK骨アンカーの調製
インプラント1は、骨アンカーとして機能するPEKKベースセクション2に上部および中間セクション(4、3)を取り付けることによって製造した。本発明の実施形態による方法において、PEKK骨アンカーは、脂肪族ポリカーボネートポリマーの小さな顆粒をPEKKアンカーの上および中に押し込むことによって、ポリ-ウレタン-尿素-ヘキシレンカーボネート生体材料でキャップした。この目的のために、カスタムプレスセット設定を使用した。様々な温度(100℃~約150℃)、圧縮力(2kN~約4kN)、および方法をテストしている。最良の結果は、150℃の温度と40kN(4トンまたは4000kg、1.4GPaの圧力に相当)の圧縮力を使用する2段階の手順を使用して得られた。150℃より低い温度では、均一にプレスされていないポリ-ウレタン-尿素-ヘキシレンカーボネート生体材料層が得られるようであったが(セクション3および4)、ポリ-ウレタン-尿素-ヘキシレンカーボネート生体材料中の尿素基がその後ある程度分解する可能性があるため、高温はあまり望ましくない。最初の工程では、約50mgのポリマー12をPEKK骨アンカー上またはその中に15分間押し込んだのに対して、2番目の工程では、約2mgのポリマー12をセットアップに追加し、サンプルを、同じ条件(150℃、40kN)でさらに15分間押し込んだ。続いて、サンプルを圧縮設定から取り出し、次に冷却させた。2回目のプレス工程の後、ベースセクション2の上部にあるポリ-ウレタン-尿素-ヘキシレンカーボネート生体材料層(セクション3および4)の表面は実質的に平坦であるように見えた。生体材料はほぼ透明で無色であった。生体材料の端にいくつかのフリンジまたはほつれを示し、これらはメスを使用して除去した。
【0081】
ベースセクション2の中央の穴(241、242)は、深さ約4.5mm、直径約2mmであった。穴はポリ-ウレタン-尿素-ヘキシレンカーボネート生体材料で実質的に埋められており、PEKKベースセクション2への生体材料の付着は非常に強力で頑丈であるように見えた。力によりPEKKベースセクションから生体材料を取り除くこと、またはPEKK-生体材料界面での接続を緩めることは、事実上不可能であることが証明された。PEKKベースセクション2および/またはエラストマー生体材料と接触させることを意図したすべての使用済み機器および付属品をエタノールまたはイソプロパノールですすぎ、その後乾燥させた。プレスしてほつれをカットした後、PEKK-生体材料プラグインプラントをイソプロパノールですすぎ、乾燥させた。プラグは、必要に応じて、滅菌環境で製造することもできる。
【0082】
測定により評価したところ、PEKKベースセクションは直径6mm、高さ6mm(6mmの高さ)であった。ベースセクションの中央の空洞は、直径が約2mm、深さが約4.5mmであった。PEKKベースセクションに配置されたエラストマー生体材料(脂肪族ポリカーボネート)は、直径約6mm、高さ約1mmであった。したがって、PEKK-生体材料プラグインプラントの合計の高さは約7mmであった。
【0083】
上部セクション4は、その中に平均直径300ミクロンの穴をあけることによって細孔を設けられ、最終的な多孔度は50体積%であった。上部セクション4の多孔質脂肪族ポリウレタン-尿素-ヘキシレンカーボネート生体材料は、ASTM D638に準拠した弾性率が0.9±0.2MPaであった。
【0084】
インプラント1は、
図6A~6Cに示されるように、骨軟骨欠損8に移植され得る。典型的な方法では、軟骨下骨に伸びる軟骨欠損(
図6A)がドリルアウトされ、
図6Bに示すように、プラグ形状のインプラント1がドリル穴に一定の圧力下で埋め込まれる(「圧入される」)。次に、骨は、PEKKベースセクション2上に成長し、いくつかの実施形態では、インプラント1を固定する。
図6Cに示すように、周囲の天然軟骨5が上部セクション4の上面41に成長し、新しい軟骨5aがインプラント1の上部に生成される。
図6Cにも示されているように、ベースセクション2の高さ20、非多孔質中間セクション3の高さ30、および多孔質上部セクション4の高さ40は、インプラント1の上面41が、移植されたときに、好ましくは0.1~1mmの距離51にわたって、骨軟骨構造(5、6)上に存在する軟骨5の上面50の下に位置するように選択される。この場合、この距離は約0.5mmであった。骨軟骨構造(5、6)は、軟骨下骨6およびその上の軟骨層5を含む。滑膜腔7もまた一般的には存在する。
【0085】
図6Bおよび6Cにも示されるように、ベースセクション2の高さ20、非多孔質中間セクション3の高さ30、および多孔質上部セクション4の高さ40は、中間セクション3(またはベースセクション2の上面24)の底面24が、移植されたときに、骨軟骨構造(5、6)の軟骨層5の底面51とほぼ同じ高さになる。
【0086】
生体材料でキャップされた金属製の骨アンカーの調製
インプラント1の別の実施形態は、骨アンカーとして機能するチタンベースセクション2に上部および中間セクション(4、3)を取り付けることによって製造した。使用されたチタンは、容易に市販されている合金Ti6A14Vであった。チタンベースセクションは、約300ミクロンの平均細孔サイズを有する細孔を備えていた。本発明の実施形態による方法において、チタン骨アンカーは、脂肪族ポリカーボネートポリマーの小さな顆粒をチタンアンカーの細孔の上および中に押し込むことによって、ポリ-ウレタン-尿素-ヘキシレンカーボネート生体材料でキャップされた。この目的のために、前の実施例で使用されたものと同じカスタムプレス設定が使用された。最適な結果は、150℃の温度と40kN(4トンまたは4000kg、1.4GPaの圧力に対応)の圧縮力を使用する2段階の手順を使用して再び得られた。最初の工程では、約50mgのエラストマーポリマーをチタン製骨アンカーの上および中に15分間押し込み、2番目の工程では、約2mgのエラストマーポリマーをセットアップに追加し、同じ条件(150℃、40kN)でさらに15分間、サンプルをプレスした。続いて、サンプルを圧縮設定から取り出し、次に冷却させた。2回目のプレス工程の後、ベースセクション2の上部にあるポリ-ウレタン-尿素-ヘキシレンカーボネート生体材料層(セクション3および4)の表面は実質的に平坦であるように見えた。生体材料はほぼ透明で無色であった。生体材料のいくつかのエッジはフリンジまたはほつれを示し、これらはメスを使用して除去した。
【0087】
PEKKベースアンカーと同様に、チタンベースアンカーにも同じ寸法の中央の穴(241、242)が設けられていた。穴はポリ-ウレタン-尿素-ヘキシレンカーボネート生体材料で実質的に満たされ、チタンベースセクション2への生体材料の付着は満足のいくものであった。
【0088】
チタンベースセクション2はPEKKベースセクションと同じ寸法であった。同じ型を使用したため、チタンベースセクションに配置されたエラストマー生体材料(脂肪族ポリカーボネート)は、直径約6mm、高さ約1mmであった。したがって、チタン生体材料プラグインプラント全体の高さは約7mmであった。
【0089】
上部セクション4は、その中に平均直径300ミクロンの穴をあけることによって細孔を設けられ、最終的な多孔度は50体積%であった。上部セクション4の多孔質脂肪族ポリ-ウレタン-尿素-ヘキシレンカーボネート生体材料は、ASTM D638に準拠した弾性率が0.9±0.2MPaであった。
【0090】
インプラント1は、すでに上で説明したように、
図6A~6Cに示されるように、骨軟骨欠損8に移植され得る。典型的な方法では、軟骨下骨(
図6A)に伸びる軟骨欠損がドリルアウトされ、
図6Bに示すように、プラグ形状のインプラント1がドリル穴に埋め込まれる。チタンベースセクション2の剛性が比較的高いため、圧入は適切ではなかった。代わりに、ドリルアウトされた軟骨下骨の寸法は、チタンベースセクション2の寸法よりもわずかに大きかった。骨がチタンベースセクション2に成長し、インプラント1を固定しているのが見られる。
図6Cに示すように、周囲の天然軟骨5が上部セクション4の上面側41に成長し、新しい軟骨5aがインプラント1の上部に生成される。
図6Cにも示されているように、ベースセクション2の高さ20、非多孔質中間セクション3の高さ30、および多孔質上部セクション4の高さ40は、インプラント1の上面41が、移植されたときに、好ましくは0.1~1mmの距離51にわたって、骨軟骨構造(5、6)上に存在する軟骨5の上面50の下に位置するように選択される。この場合、この距離は約0.5mmであった。骨軟骨構造(5、6)は、軟骨下骨6およびその上の軟骨層5を含む。滑膜腔7も一般的に存在する。
【0091】
図6Bおよび6Cにも示されるように、ベースセクション2の高さ20、非多孔質中間セクション3の高さ30、および多孔質上部セクション4の高さ40は、中間セクション3の底面24(またはベースセクション2の上面24)が、移植されたときに、骨軟骨構造(5、6)の軟骨層5の底面51とほぼ同じ高さになるように選択される。
【0092】
最後に、
図7A~7Dに示される実施形態によるインプラントもまた、
図8A~8Cに示されるように、骨軟骨欠損8に移植され得る。上層4の球形の上面41aにより、この実施形態は、上面41aを横切ってほぼ等しい厚さの、インプラント1の上面セクション4の上面41a上に新しい軟骨層5aを再生することができる。結果は、再生された軟骨5aの上面50の半径であり得、これは、インプラントに隣接する周囲の天然軟骨層5の半径とほぼ同じであり、それにより、半径の連続性を示す。
【0093】
当業者には、本発明の添付の特許請求の範囲の範囲内で多くの変形例および用途が可能であることは明らかである。
【手続補正書】
【提出日】2021-04-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグの形状の生体組織の置換および再生のための非生分解性インプラントであって、骨組織に固定するように構成されたベースセクションと、軟骨層の中間および深部ゾーンの軟骨組織を置換するように構成され、かつ少なくとも0.2mmの厚さを有する中間セクションと、軟骨組織をその上および中に成長させるように構成され、ひいては前記軟骨層の表面ゾーンを再生する上部セクションと、を備え、前記中間および上部セクションが、同じ非生分解性熱可塑性エラストマー材料を含み、前記非生分解性熱可塑性エラストマー材料が、前記上部セクションにおいて多孔質であり、かつ前記中間セクションにおいて非多孔質であり、前記熱可塑性エラストマー材料が、ウレタン基および尿素基を含む線状ブロックコポリマーを含み、かつ軟骨再生特性を有する追加のペプチド化合物を実質的に含まず、前記ベースセクション材料が、チタンまたはチタン合金などの生体適合性金属、焼結結晶性ヒドロキシアパタイトなどのセラミック、リン酸鉱物などの鉱物、および非生分解性ポリマー、ならびにそれらの組み合わせのうちの1つを含み、前記ベースセクションが、非多孔質ベースセクション材料のコアと、多孔質ベースセクション材料の円周シェルと、を備え、前記円周シェルの断面積が、前記ベースセクションの最大断面積の最大35%をカバーする、非生分解性インプラント。
【請求項2】
前記熱可塑性エラストマー材料が、カーボネート基をさらに含む、請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記熱可塑性エラストマー材料が、ポリ-ウレタン-ビス尿素-アルキレンカーボネートを含む、請求項1または2に記載のインプラント。
【請求項4】
前記熱可塑性エラストマー材料が、脂肪族である、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項5】
前記中間セクションのエラストマー材料が、室温で10MPa未満、より好ましくは5MPa未満の弾性率を有する、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項6】
前記上部セクションの多孔質エラストマー材料が、室温で、前記中間セクションの前記エラストマー材料の前記弾性率の80%未満の弾性率を有する、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項7】
前記非多孔質ベースセクション材料のコアと、前記多孔質ベースセクション材料の円周シェルと、を備える、前記ベースセクションが、前記シェルが前記ベースセクションの最大直径の10%未満である厚さを有することを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項8】
前記ベースセクションが、上面と底面との間に延在し、多孔質ベースセクション材料の層を備え、前記層が、前記上面に隣接し、前記ベースセクションの最大高さの10%未満である厚さを有し、前記層内の前記ベースセクション材料の細孔が、生体適合性エラストマー材料を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項9】
前記ベースセクション材料が、チタン、ジルコニウム、クロム、アルミニウム、ステンレス鋼、ハフニウム、タンタルもしくはモリブデン、およびそれらの合金、またはそれらの任意の組み合わせから選択される金属を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項10】
前記ベースセクション材料が、酸化物、窒化物、炭化物およびホウ化物、もしくはそれらの任意の組み合わせから選択されるセラミックまたは鉱物を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項11】
前記ベースセクション材料が、コラーゲン、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、ポリエチレングリコール(PEG)、キチン、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、水膨潤性N-ビニルラクタム、デンプングラフトコポリマー、およびこれらの誘導体、ならびにこれらの組み合わせを含む、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項12】
前記ベースセクション材料が、非ヒドロゲルポリマー、好ましくはポリエーテル-ケトン-ケトン(PEKK)、ポリエーテル-エーテル-ケトン(PEEK)、およびポリエーテル-ケトン-エーテル-ケトン-ケトン(PEKEKK)などのポリアリールエーテルケトンポリマーを含む、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項13】
前記ポリアリールエーテルケトンポリマーの総体積に対して20%未満の多孔度を有する、実質的に非多孔質のポリアリールエーテルケトンポリマーを含む、請求項12に記載のインプラント。
【請求項14】
前記ベースセクションが、非多孔質ポリアリールエーテルケトンポリマーを含む、請求項12または13に記載のインプラント。
【請求項15】
好ましくは前記ベースセクションに提供される、医療用画像化のための造影剤もしくは放射性医薬品または本体をさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項16】
前記ベースセクションの前記上面が、不規則性または起伏を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項17】
前記ベースセクションが、前記エラストマー材料を含む中央に配置された空洞を備える、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項18】
前記ベースセクションが、不規則性または起伏を有する外面を備える、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項19】
前記インプラントの上面が、移植されたときに、好ましくは0.1~1mmの距離にわたって、骨軟骨構造上に存在する軟骨の上面の下になるように、前記ベースセクションの高さ、非多孔質中間セクションの高さ、および多孔質上部セクションの高さが選択される、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項20】
前記中間セクションの底面が、移植されたときに、骨軟骨構造上に存在する軟骨の底面とほぼ同じレベルとなるように、前記ベースセクションの高さ、前記非多孔質中間セクションの高さ、および前記多孔質上部セクションの高さが選択される、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項21】
わずかに湾曲した上面を有する上部セクションを備え、矢状面および/または内側-外側面において15mm~150mmの範囲の曲率半径を有する、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項22】
前記ベースセクション材料が、繊維状もしくは粒子状のポリマーおよび/または金属からなる群から選択される強化材料を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項23】
先行請求項のいずれか一項に記載のインプラントの調製のための方法であって、
a)室温で型内にベースセクションを提供することであって、前記ベースセクションが、生体適合性金属、セラミック、リン酸鉱物などの鉱物、およびポリマー、任意選択でヒドロゲルポリマー、ならびにそれらの組み合わせのうちの1つを含むベースセクション材料と、前記ベースセクションの上部に熱可塑性エラストマー材料の顆粒と、を含み、前記熱可塑性材料が、ウレタン基および尿素基を含む線状ブロックコポリマーを含み、軟骨再生特性を有する追加のペプチド化合物を実質的に含まない、提供することと、
b)前記熱可塑性エラストマー材料が溶融して前記ベースセクションと融合するように、前記型を閉じ、1~2GPaの圧力下で100℃~250℃の温度まで上記のアセンブリを加熱することと、
c)前記アセンブリを室温まで冷却して、前記熱可塑性エラストマー材料を固め、前記型を開くことと、
d)前記型を開く前または開いた後のいずれかに、前記熱可塑性エラストマー材料の上部セクションに細孔を設けることと、を含む、方法。
【請求項24】
工程b)の後に、前記型が開かれ、前記熱可塑性エラストマー材料の追加の顆粒が前記型に加えられ、工程b)が繰り返される、請求項23に記載の方法。
【国際調査報告】