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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-14
(54)【発明の名称】低貫流型バイアル
(51)【国際特許分類】
   G01N 31/00 20060101AFI20220907BHJP
【FI】
G01N31/00 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577000
(86)(22)【出願日】2019-06-26
(85)【翻訳文提出日】2022-02-04
(86)【国際出願番号】 US2019039172
(87)【国際公開番号】W WO2020263238
(87)【国際公開日】2020-12-30
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517430716
【氏名又は名称】ビーエル テクノロジーズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100225543
【弁理士】
【氏名又は名称】上原 真
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス スワンソンン
【テーマコード(参考)】
2G042
【Fターム(参考)】
2G042AA01
2G042BA03
2G042CB03
(57)【要約】
各種の実施形態は、流体内の全有機炭素(TOC)を分析するための装置に関する。この装置は、一次容器、入口導管および出口導管を含んでいる。一次容器は中空であり、一次側壁および一次端壁を有する。一次側壁は、一次キャビティを規定する内面と、内面に対向して離間させた外面とを有する。一次端壁は、TOCアナライザにおけるグラブ分析ポートの分析ニードルを弾性的に貫通可能とした隔壁を含んでいる。入口導管は、入口ルーメンを有する。入口導管は、入口ルーメンが一次キャビティと流体連絡するように、一次容器を通って延在する。出口導管は、出口ルーメンを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体内における全有機炭素(TOC)を分析するための装置であって、該装置が、
中空の一次容器を備え、該一次容器が、一次側壁および一次端壁を有し、該一次側壁が、一次キャビティを少なくとも部分的に規定する内面と、該内面に対向して離間させた外面とを有し、前記一次端壁は、TOCアナライザのグラブ分析ポートにおける分析ニードルを弾性的に貫通させ得る隔壁を含み、
入口ルーメンを有する入口導管を備え、前記入口ルーメンが前記一次キャビティと流体連絡するように前記一次容器を通って延在し、
出口ルーメンを有する出口導管を備える、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、二次側壁および二次端壁を有する中空二次容器を更に備え、前記二次側壁が、内面と、該内面に対向して離間させた外面とを有し、前記一次側壁の内面の一部および前記二次壁の内面の一部が、二次キャビティを少なくとも部分的に規定し、前記二次端壁が、前記二次側壁から前記一次側壁まで延在する、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、前記出口導管は、前記出口ルーメンが、前記二次キャビティと流体連絡するように前記二次容器を通って延在する、装置。
【請求項4】
請求項2に記載の装置であって、前記入口導管が、前記一次容器および前記第2の容器を通って延在する、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、前記第1の導管が、第1の導管部分および第2の導管部分を備え、該第2の導管部分が、第1端部と、該第1の部分に対向して離間させた第2端部とを有し、前記第1端部が前記第1の部分に結合され、前記第2端部が前記第1端部よりも前記隔壁に近接している、装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、前記隔壁がシリコーンで構成される、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置であって、前記一次容器の一部が、SieversM9型TOCアナライザにおけるグラブ分析ポート内に受け入れ可能なサイズを有する、装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置であって、前記一次側壁の一部が、前記一次端壁から延在するネジ山を規定する、装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置であって、前記入口導管および出口導管が、前記装置を通しての0.5mL/min~50mL/minの範囲の流量を許容するサイズを有する、装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置であって、該装置がポリエチレンで構成されている、装置。
【請求項11】
流体内の全有機炭素(TOC)を分析するためのシステムであって、該システムが、
IOSおよびグラブ分析ポートを有するTOCアナライザを備え、前記グラブ分析ポートは、少なくとも1つの分析ニードルを含み、
流体内におけるTOCを分析するための装置を備え、該装置は、
中空の一次容器を備え、該一次容器が、一次側壁および一次端壁を有し、該一次側壁が、一次キャビティを少なくとも部分的に規定する内面と、該内面に対向して離間させた外面とを有し、前記一次端壁は、TOCアナライザのグラブ分析ポートにおける分析ニードルを弾性的に貫通させ得る隔壁を含み、
入口ルーメンを有する入口導管を備え、該入口導管は、前記入口ルーメンが前記一次キャビティと流体連絡するように前記一次容器を通って延在し、
出口ルーメンを有する出口導管を備え、
流体内のTOCを分析するための前記装置における一次容器の一部は、前記TOCアナライザにおけるグラブ分析ポート内に配置されている、
システム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムであって、
二次側壁および二次端壁を有する中空二次容器を更に備え、前記二次側壁が、内面と、該内面に対向して離間させた外面とを有し、前記一次側壁の内面の一部および前記二次壁の内面の一部が、二次キャビティを少なくとも部分的に規定し、前記二次端壁が、前記二次側壁から前記一次側壁まで延在する、システム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムであって、前記出口導管は、前記出口ルーメンが前記二次キャビティと流体連絡するように前記二次容器を通って延在する、システム。
【請求項14】
請求項12に記載のシステムであって、前記入口導管が、前記一次容器および前記第2の容器を通って延在する、システム。
【請求項15】
請求項11に記載のシステムであって、前記第1の導管が、第1の導管部分および第2の導管部分を備え、該第2の導管部分が、第1端部と、前記第1の部分に対向して離間させた第2端部とを有し、
前記第1端部が前記第1の部分に結合され、前記第2端部が前記第1端部よりも前記隔壁に近接している、システム。
【請求項16】
請求項11に記載のシステムであって、隔壁がシリコーンで構成されている、システム。
【請求項17】
請求項11に記載のシステムであって、一次容器の一部が、SieversM9型TOCアナライザにおけるグラブ分析ポート内に受け入れ可能なサイズを有する、システム。
【請求項18】
請求項11に記載のシステムであって、前記一次側壁の一部が、前記一次端壁から延在するネジ山を規定する、システム。
【請求項19】
請求項11に記載のシステムであって、前記入口導管および出口導管が、前記装置を通しての0.5mL/min~50mL/minの範囲の流量を許容するサイズを有する、システム。
【請求項20】
請求項11に記載のシステムであって、前記装置がポリエチレンで構成されている、システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
全有機炭素(TOC)アナライザは、特に、有機炭素を含有するシステムの洗浄検証に使用される。TOCアナライザに関しては、米国特許第5,132,094号および同第5,902,751号各明細書に記載されており、これらの特許文献は、いずれも参照により全面的に本明細書に組み込まれる。特定のTOCアナライザ、例えばSieversM9型のオンラインTOCアナライザ等によれば、インターネットワークオペレーティングシステム(iOS)分析とグラブ分析の両者を実行することができる。iOSシステムでは、TOCアナライザをシステムに接続することにより、システム内におけるTOCレベルを連続測定することができる。TOCアナライザにおけるグラブ分析ポートを使用すると、バイアルにTOCサンプルを充填し、そのバイアルをTOCアナライザにおけるグラブ分析ポートに挿入することにより、バイアル内におけるサンプルのスナップショット分析を実行することができる。ただし、バイアルはシステムに配管されておらず、TOCサンプルの連続測定は行うことができない。
【0002】
一実施形態に係るTOCアナライザにおけるiOSシステムでは、分析を実行するために、iOSシステムを通過するTOCサンプルの最小流量が必要とされる。更に、一実施形態に係るTOCアナライザでは、サンプルの最小流量を、iOSシステムを通じて最小限の期間に亘って維持する必要がある。
【0003】
ただし、一実施形態に係るサンプルシステムでは、TOCサンプルの十分に高い流量を生成すること、あるいはiOSシステムを介してのTOCサンプルの流れを必要最小限の期間に亘って維持することができない。したがって、比較的低流量および比較的短期間でTOCアナライザを使用することにより、連続的に流れるTOCサンプルを分析するための装置が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,132,094号明細書
【特許文献2】米国特許第5,902,751号明細書
【発明の概要】
【0005】
各種の実施形態は、流体内の全有機炭素(TOC)を分析するための装置に関する。この装置は、一次容器、入口導管および出口導管を含んでいる。一次容器は中空であり、一次側壁および一次端壁を有する。一次側壁は、一次キャビティを規定する内面と、内面に対向して離間させた外面とを有する。一次端壁は、TOCアナライザにおけるグラブ分析ポートの分析ニードルを弾性的に貫通可能とした隔壁を含んでいる。入口導管は、入口ルーメンを有する。入口導管は、入口ルーメンが一次キャビティと流体連絡するように、一次容器を通って延在する。出口導管は、出口ルーメンを有する。
【0006】
一実施形態において、装置は、二次側壁および二次端壁を有する中空二次容器を更に備える。二次側壁は、内面と、該内面に対向して離間させた外面とを有する。一次側壁の内面の一部および二次壁の内面の一部は、二次キャビティを少なくとも部分的に規定する。二次端壁は、二次側壁から一次側壁まで延在する、一実施形態において、出口導管は、出口ルーメンが二次キャビティと流体連通するように、二次容器を通って延在する。一実施形態において、入口導管は、一次容器および第2の容器を通って延在する。
【0007】
一実施形態において、第1の導管は、第1の導管部分および第2の導管部分を備える。第2の導管部分は、第1端部と、第1の部分に対向して離間させた第2端部とを有する。第1端部は第1の部分に結合され、第2端部は第1端部よりも隔壁に近接している。
【0008】
一実施形態において、隔壁は、シリコーンで構成される。
【0009】
一実施形態において、一次容器の一部は、Sievers M9型TOCアナライザにおけるグラブ分析ポート内に受け入れ可能なサイズを有する。
【0010】
一実施形態において、一次側壁の一部は、一次端壁から延在するネジ山を規定する。
【0011】
一実施形態において、入口導管および出口導管は、前記装置を通しての0.5mL/min~50mL/minの範囲の流量を許容するサイズを有する。
【0012】
一実施形態において、装置は、ポリエチレンで構成されている。
【0013】
各種の他の実施形態は、流体内の全有機炭素(TOC)を分析するためのシステムに関する。TOCアナライザと、流体内におけるTOCを分析するための装置を備える。TOCアナライザは、IOSおよびグラブ分析ポートを有する。グラブ分析ポートは、少なくとも1つの分析ニードルを含む。装置は、一次容器と、入口導管と、出口導管と、を含んでいる。一次容器は、一次側壁および一次端壁を有する。一次側壁は、一次キャビティを少なくとも部分的に規定する内面と、該内面に対向して離間させた外面とを有する。一次端壁は、TOCアナライザのグラブ分析ポートにおける分析ニードルを弾性的に貫通させ得る隔壁を含む。入口導管は、入口ルーメンを有する。入口導管は、入口ルーメンが一次キャビティと流体連絡するように一次容器を通って延在する。出口導管は、出口ルーメンを有する。上記装置における一次容器の一部は、TOCアナライザにおけるグラブ分析ポート内に配置されている。
【0014】
一実施形態において、装置は、二次側壁および二次端壁を有する中空二次容器を更に備える。二次側壁は、内面と、該内面に対向して離間させた外面とを有する。一次側壁の内面の一部および二次壁の内面の一部は、二次キャビティを少なくとも部分的に規定する。二次端壁は、二次側壁から一次側壁まで延在する。一実施形態において、出口導管は、前記出口ルーメンが前記二次キャビティと流体連絡するように前記二次容器を通って延在する。一実施形態において、入口導管は、一次容器および第2の容器を通って延在する。
【0015】
一実施形態において、第1の導管は、第1の導管部分および第2の導管部分を備える。第2の導管部分は、第1端部と、第1の部分に対向して離間させた第2端部とを有する。第1端部は第1の部分に結合され、第2端部は第1端部よりも隔壁に近接している。
【0016】
一実施形態において、隔壁は、シリコーンで構成されている。
【0017】
一実施形態において、一次容器は、一部がSievers M9型TOCアナライザにおけるグラブ分析ポート内に受け入れ可能なサイズを有する。
【0018】
一実施形態において、一次側壁は、一部が一次端壁から延在するネジ山を規定する。
【0019】
一実施形態において、入口導管および出口導管は、装置を通して0.5mL/min~50mL/minの範囲の流量を許容するサイズを有する。
【0020】
一実施形態において、装置は、ポリエチレンで構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
添付図面は、本発明の例示的な特徴および実施形態を開示するものである。しかしながら、本発明は、開示す配置および手段に厳密に限定されるものではない。
図1】流体内におけるTOCを分析するための一実施形態に係る装置の斜視図である。
図2図1の装置のA-A線断面図であり、装置はTOCアナライザにおけるグラブ分析ポートへの挿入状態で示されている。
図3】流体内のTOCを分析するための他の実施形態に係る装置の斜視図である。
図4図3の装置のB-B線断面図であり、装置はTOCアナライザにおけるグラブ分析ポートへの挿入状態で示されている。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書に開示する装置および方法は、TOCアナライザのグラブ分析ポートに挿入するための使い捨て式装置を提供し、この装置はTOCサンプルラインからの連続測定を可能にするものである。装置は、一端が開放した一次容器を含み、この一次容器は、同じく一端が開放した二次容器内に部分的に配置されている。装置における一次容器は、TOCアナライザのグラブ分析ポートに挿入可能なサイズとされており、グラブ分析ポートにおける分析ニードルが貫通可能な隔壁を含んでいる。入口導管は、一次容器により規定されるキャビティと流体連絡しており、出口導管は、二次導管と一次導管との間に規定されるキャビティと流体連絡している。
【0023】
装置がTOCアナライザのグラブ分析ポートに挿入され、サンプルラインが入口導管に流体接続されると、サンプルは一次容器に流入し、隔壁から突出する分析ニードルによって分析される。一次コンテナがサンプルで満たされると、サンプルは一次容器の開放端から二次容器に溢流し、出口導管を通過する。一次容器が比較的小容量であり、サンプルがグラブ分析ポートにおける分析ニードル上に直接堆積されるため、TOCサンプルは、iOSシステムを使用してサンプルを分析する場合と対比して、より低流量、かつ、より短時間で分析することができる。
【0024】
各種の実施形態は、流体内における全有機炭素(TOC)を分析するための装置に関するものである。装置は、一次容器、入口導管および出口導管を含む。一次容器は中空であり、一次側壁および一次端壁を有する。一次側壁は、一次キャビティを規定する内面と、内面に対向して離間させた外面とを有する。一次端壁は、TOCアナライザのグラブ分析ポートにおける分析ニードルが弾性的に貫通できる隔壁を含む。入口導管は、入口ルーメンを有する。入口導管は、入口ルーメンが一次キャビティと流体連絡するように一次容器を通って延在する。出口導管は、出口ルーメンを有する。
【0025】
他の各種実施形態は、流体内における全有機炭素(TOC)を分析するためのシステムに関するものである。システムは、TOCアナライザと、流体内におけるTOCを分析するための装置を含む。TOCアナライザは、iOSと、グラブ分析ポートを有する。グラブ分析ポートは、少なくとも1本の分析ニードルを含む。装置は、一次容器、入口導管および出口導管を含む。一次容器は中空であり、一次側壁および一次端壁を有する。一次側壁は、一次キャビティを規定する内面と、内面に対向して離間させた外面とを有する。一次端壁は、TOCアナライザのグラブ分析ポートにおける分析ニードルが弾性的に貫通できる隔壁を含む。入口導管は、入口ルーメンを有する。入口導管は、入口ルーメンが一次キャビティと流体連絡するように一次容器を通って延在する。出口導管は、出口ルーメンを有する。流体内のTOCを分析するための装置における一次容器の一部は、TOCアナライザにおけるグラブ分析ポート内に配置される。
【0026】
図1および図2は、流体サンプル内におけるTOCを分析するための装置100を示している。装置100は、一次コンテナ110、二次コンテナ140、入口導管160および出口導管180を含む。一次容器110は中空であり、環状の一次側壁112と、一次端壁124を有する。一次側壁112は、第1端部114と、第1端部114に対向して離間させた第2端部116と、内面118と、内面118に対向して離間させた外面120とを有する。図1および図2に示す一次側壁112は、一次側壁112の第1端部114に対して平行な平面内で円形断面を有するが、他の実施形態において、一次側壁の断面形状は、卵形、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、またはその他の閉鎖形状である。
【0027】
一次容器110の一次端壁124は、内面126と、内面126に対向して離間させた外面128を有する。一次端壁124は、後述するように、TOCアナライザ190のグラブ分析ポート192における分析ニードル194が弾性的に貫通可能である隔壁130を含む。一次端壁124は、一次側壁112の第2端部116に結合され、一次側壁112の内面118と一次端壁124の内面126は、一次キャビティ132を規定する。一次容器110の第1端部114は開放しており、これにより一次キャビティ132は一次容器110の外部と流体連絡する。図1および図2に示す隔壁130はシリコーンで構成されているが、他の実施形態において、隔壁は、分析ニードルの貫通や、その後の取り外しによって形成される隔壁の開口部を弾性的に密封可能とする任意の柔軟なポリマーまたは他の適宜材料で構成される。
【0028】
図1および図2に示す一次容器110の第2端部116は、SieversM9型TOCアナライザのグラブ分析ポート192内に受け入れ可能なサイズを有する。第2端部116に隣接する一次側壁112の部分は、一次端壁124から延在するネジ山122を規定して、グラブ分析ポート192のネジ山196と係合する。ただし、他の実施形態において、一次容器の第2端部は、他の仕様および/または形式のTOCアナライザにおけるグラブ分析ポート内に受け入れ可能なサイズを有する。他の実施形態において、一次側壁は、ネジ山を含んでおらず、異なる仕様および/または形式のTOCアナライザにおけるグラブ分析ポートに係合するように構成される他の締結装置を含んでいる。
【0029】
図1および図2に示す装置100における一次側壁112および一次端壁124は高密度ポリエチレン(HDPE)で構成されているが、他の実施形態において、一次側壁および一次端壁はポリエチレン、その他のプラスチック、金属またはガラスで構成され、あるいはTOCサンプル流体を一次キャビティ内に収容し得るその他の適宜材料で構成される。
【0030】
二次容器140は中空であり、環状の二次側壁142と、二次端壁152を有する。第2の側壁142は、第1端部144と、第1端部144に対向して離間させた第2端部146と、内面148と、内面148に対向して離間させた外面150とを有する。図1および図2に示す二次側壁142は、二次側壁142の第1端部144に対して平行な平面内で円形断面を有するが、他の実施形態において、二次側壁の断面形状は、卵形、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形または他の閉鎖形状である。
【0031】
二次容器140も二次端壁152を有する。二次端壁152は、内面154と、内面154に対向して離間させた外面156を有する。二次端壁152は、二次側壁142の第2の端146と一次側壁112の外面120との間に延在する。二次側壁142の内面148、二次端壁152の内面154および一次側壁112の外面120は、二次キャビティ158を規定する。
【0032】
図1および図2に示す装置100の二次側壁142および二次端壁152は、高密度ポリエチレン(HDPE)で構成されているが、他の実施形態において、二次側壁および二次端壁は、ポリエチレン、その他のプラスチック、金属またはガラスで構成され、あるいは二次キャビティ内にTOCサンプル流体を収容し得るその他の材料で構成される。
【0033】
入口導管160は、入口ルーメン162を規定し、第1の導管部分164および第2の導管部分170を有する。第1の導管部分164は、第1端部166と、第1端部166に対向して離間させた第2端部168を有する。第2の導管部分170は、第1端部172と、第1端部172に対向して離間させた第2端部174を有する。第1の導管部分164の第2端部168は、第2の導管部分170の第1端部172に結合されている。入口導管160は、第1の導管部分164の第1端部166が一次キャビティ132および二次キャビティ158の外側に配置され、第2の導管部分170の第2端部174は一次キャビティ132の内側に配置されるように、二次側壁142および一次側壁112を通って延在する。入口ルーメン162は、一次キャビティ132と流体連絡している。第2の導管部分170は、第2の導管部分170の第2端部174が第2の導管部分170の第1端部172および第1の導管部分164の第2端部168の両者よりも隔壁130に近接するように、第1の導管部分164に対して垂直に配置される。しかしながら、他の実施形態において、第2の導管部分は、第2の導管部分の第2端部が第2の導管部分の第1端部および第1の導管部分第2端部の両者よりも隔壁に近接するように、第1の導管部分に対して任意の角度で配置される。図1および図2に示す入口導管160は、一次側壁112および二次側壁142の両者を通って延在しているが、一実施形態において、入口導管は、第1の導管部分の第1端部が一次キャビティおよび二次キャビティの外側に配置され、かつ、第2の導管部分の第2端部が一次キャビティの内側に配置されるように、一次側壁、二次側壁、一次端壁および二次端壁の何れかまたは任意の組み合わせを通って延在し、あるいはこれらの何れも通らないように延在する。
【0034】
出口導管180は、出口ルーメン182を規定し、第1端部184と、第1端部184に対向して離間させたおよび第2端部186を有する。出口導管180は、出口導管180の第1端部184が二次キャビティ158内に配置され、出口導管180の第2端部186が一次キャビティ132および二次キャビティ132の外側に配置されるように、二次側壁142を通って延在する。出口ルーメン182は、二次キャビティ158と流体連絡している。図1および図2に示す出口導管180は、二次側壁142を通って延在しているが、一実施形態において、出口導管は、出口導管の第1端部が二次キャビティの内側に配置され、かつ、出口導管の第2端部が一次キャビティおよび二次キャビティの外側に配置されるように、二次端壁を通って、または二次側壁および二次端壁の両者を通って延在し、あるいはこれら何れの壁を通らずに延在する。
【0035】
使用中、装置100は、TOCアナライザ190のグラブ分析ポート192に挿入され、グラブ分析ポート192の分析ニードル194は、一次容器110の隔壁130を貫通し、一次キャビティ132内に突出する。サンプリングされる流体系からのTOCサンプルラインは入口導管160の第1の導管部分164の第1端部166に結合され、出口ラインは出口導管180の第2端部186に結合される。TOCサンプルは、入口導管160の入口ルーメン162を通って流れた後、入口導管160の第2の導管部分170の第2端部174を通って入口導管160から流出する。入口導管160の第2の導管部分170の角度のため、TOCサンプルは、入口導管160から流出し、隔壁130を通って突出する分析ニードル194上に直接流入する。
【0036】
一次キャビティ132がTOCサンプルで満たされると、TOCサンプルは、一次容器110における開放した第1端部114を越えて二次キャビティ158に流れ込む。一次容器110の第1端部114が開放しているので、TOCサンプル中の任意のガスは、開口部を通って逃げ出すことができる。次に、TOCサンプルは、出口導管180の第1端部184に流入し、出口ルーメン182を経由して出口ラインに流入する。
【0037】
一次キャビティ132の容積が比較的小さく、TOCサンプルが入口導管160から分析ニードル194上に直接流入するので、TOCサンプルは、TOCアナライザ190のiOSシステムを使用する分析のために必要とされる最小流量よりも低い流量で分析することができる。例えば、SieversM9型のオンラインTOCアナライザにおいて、iOSシステムの最小流量は50mL/minである。図1および図2に示す装置100は、0.5mL/minという低流量でTOCサンプルを分析可能とするサイズとされている。一実施形態において、装置は、0.5mL/min~50mL/minまでの任意の流量でTOCサンプルを分析可能とするサイズとされている。一実施形態において、装置は、0.5mL/min~500mL/minまでの任意の流量でTOCサンプルを分析可能とするサイズとされている。更に、グラブ分析ポート192は、サンプルを分析するための最小期間を必要としないので、装置100を使用して、より短時間でのTOC分析を実行することができる。
【0038】
図3および図4は、流体サンプル内のTOCを分析するための装置200の別の実施形態を示している。装置200は、一次容器210、入口導管260および出口導管280を含む。一次容器210は中空であり、環状の一次側壁212と、一次端壁224を有する。一次側壁212は、第1端部214と、第1端部214に対向して離間させた第2端部216と、内面218と、内面218に対向して離間させた外面220とを有する。図3および図4に示す一次側壁212は、一次側壁212の第1端部214に対して平行な平面内で円形断面を有するが、他の実施形態において、一次側壁の断面形状は、卵形、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、またはその他の閉鎖形状である。
【0039】
一次容器210の一次端壁224は、内面226と、内面226に対向して離間させた外面228を有する。一次端壁224は、後述するように、TOCアナライザ290のグラブ分析ポート292における分析ニードル294が弾性的に貫通可能である隔壁230を含む。一次端壁224は、一次側壁212の第2端部216に結合され、一次側壁212の内面218と一次端壁224の内面226は、一次キャビティ232を規定する。一次容器210の第1端部214は開放しており、これによりキャビティは一次容器210の外部と流体連絡する。図3および図4に示す隔壁230はシリコーンで構成されているが、他の実施形態において、隔壁は、分析ニードルの貫通や、その後の取り外しによって形成される隔壁の開口部を弾性的に密封可能とする他の適宜材料で構成される。
【0040】
図3および図4に示す一次容器210の第2端部216は、SieversM9型TOCアナライザのグラブ分析ポート292内で受け入れ可能なサイズを有する。第2端部216に隣接する一次側壁212の一部は、一次端壁224から延在するネジ山222を規定して、グラブ分析ポート292のねじ山296と係合する。ただし、他の実施形態において、一次容器の第2端部は、他の仕様および/または形式のTOCアナライザにおけるグラブ分析ポート内に受け入れ可能なサイズを有する。他の実施形態において、一次側壁は、ネジ山を含んでおらず、異なる仕様および/または形式のTOCアナライザにおけるグラブ分析ポートに係合するように構成される他の締結装置を含んでいる。
【0041】
図3および図4に示す装置200における一次側壁212および一次端壁224は高密度ポリエチレン(HDPE)で構成されているが、他の実施形態において、一次側壁および一次端壁はポリエチレン、その他のプラスチック、金属またはガラスで構成され、あるいはTOCサンプル流体を一次キャビティ内に収容し得るその他の適宜材料で構成される。
【0042】
入口導管260は、入口ルーメン262を規定し、第1の導管部分264および第2の導管部分270を有する。第1の導管部分264は、第1端部と、第1端部266に対向して離間させた第2端部268を有する。第2の導管部分270は、第1端部272と、第2の導管部分270の第1端部272に対向して離間させた第2端部274を有する。第1の導管部分264の第2端部268は、第2の導管部分270の第1端部272に結合されている。入口導管260は、第1の導管部分264の第1端部266が一次キャビティ232の外側に配置され、第2の導管部分270の第2端部274が一次キャビティ232の内側に配置されるように、一次側壁212を通って延在する。入口ルーメン262は、一次キャビティ232と流体連絡している。第2の導管部分270は、第2の導管部分270の第1端部272および第1の導管部分264の第2端部268の両者よりも隔壁230に近接するように、第1の導管部分264に対して垂直に配置される。しかしながら、他の実施形態において、第2の導管部分は、第2の導管部分の第2端部が第2の導管部分の第1端部および第1の導管部分第2端部の両者よりも隔壁に近接するように、第1の導管部分に対して任意の角度で配置される。図3および図4に示す入口導管260は、一次側壁212を通って延在しているが、一実施形態において、入口導管は、第1の導管部分の第1端部が一次キャビティの外側に配置され、かつ、第2の導管部分の第2端部が一次キャビティの内側に配置されるように、一次側壁および一次端壁の何れかまたは任意の組み合わせを通って延在し、あるいはこれらの何れも通らないように延在する。
【0043】
出口導管280は、出口ルーメン282を規定し、第1端部284に対向して離間させた第2端部286を有する。出口導管280は、出口導管280の第1端部284が一次キャビティ232内に配置され、出口導管280の第2端部286が一次キャビティ232の外側に配置されるように、一次側壁212を通って延在する。出口ルーメン282は、一次キャビティ232と流体連絡しており、入口導管260の第2の導管部分270の第2端部274よりも一次容器210の第1端部214に近接している。図3および図4に示す出口導管280は、一次側壁212を通って延在しているが、一実施形態において、出口導管は、出口導管の第1端部が一次キャビティの内部に配置され、かつ、出口導管の第2端部が一次キャビティの外側に配置されるように、一次側壁および一次端壁の一方または双方を通って延在し、あるいはこれら何れの壁を通らずに延在する。
【0044】
使用中、装置200は、TOCアナライザ290のグラブ分析ポート292に挿入され、グラブ分析ポート292の分析ニードル294は、一次容器210の隔壁230を貫通し、一次キャビティ232内に突出する。サンプリングされる流体システムからのTOCサンプルラインは入口導管260の第1の導管部分264の第1端部266に結合され、出口ラインは出口導管280の第2端部286に結合される。TOCサンプルは、入口導管260の入口ルーメン262を通って流れた後、入口導管260の第2の導管部分270の第2端部274を通って入口導管260から流出する。入口導管260の第2の部分の角度のために、TOCサンプルは、入口導管260から流出し、隔壁230を通って突出する分析ニードル294上に直接流入する。
【0045】
一次キャビティ232がTOCサンプルで満たされると、TOCサンプルは、出口導管280の第1端部284に到達し、出口導管280の第1端部284に流入し、出口ルーメン282を通って出口ラインに流入する。一次容器210の第1端部214が開放しているので、TOCサンプル中の任意のガスは、開口部を通って逃げ出すことができる。
【0046】
本明細書では、多くの実施形態が開示されている。しかしながら、本明細書の開示の精神および範囲から逸脱することなく、各種の修正が可能であることは、言うまでもない。本明細書および特許請求の範囲において、単数形での冠詞「a」、「an」および「the」は、特段の言及のない限り、複数の指示対象を含んでいる。本明細書で使用される「備える」との用語およびその活用形は、「含む」との用語およびその活用形と同義的に使用されるものであり、開放的であって非限定的な用語である。本明細書では、「備える」および「含む」との用語を使用して種々の実施形態を説明しているが、「備える」および「含む」の代わりに「本質的に~よりなる」および「~よりなる」との用語を使用して、より具体的な実施形態を提供することができ、さらに、そのような趣旨で開示されている。
【0047】
本明細書は、システム、装置、方法、組成物および構成要素を記載しており、これらは、開示されている方法、システムおよび装置に関連して使用することができ、これらを調製するために使用することができ、あるいはこれらの産物である。これらの構成要素およびその他の構成要素は、本明細書に開示されている。これら構成要素の組み合わせ、サブセット、相互作用、グループ等が開示される場合、これらの構成要素のそれぞれの様々な個別的および集合的な組み合わせや、順列の特定の参照が明示的に開示されていない場合があることは、言うまでもない。そのいずれも具体的に企図され、かつ、本明細書に記載されている。例えば、装置が開示され、該装置の全ての組み合わせおよび順列が開示および議論されている場合、特段の言及のない限り、可能な修正が具体的に企図されている。同様に、これらのサブセットまたは組み合わせも特定的に企図され、かつ、開示されている。この概念は、開示されたシステムまたは装置を使用する方法のステップを含むが、これらに限定されるものではなく、本開示の全ての態様に適用される。したがって、実行可能な各種の追加的ステップが存在する場合、これらの追加的ステップのそれぞれは、開示された方法の任意の特定方法ステップまたは方法ステップの組み合わせで実行することができ、そのような各種の組み合わせ、または組み合わせのサブセットは、具体的に意図されており、かつ、開示されているものと考えるべきである。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】