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特表2022-540065アルカリエッチング又はメッキ用途のための放射線硬化性インキジェットインキ
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  • 特表-アルカリエッチング又はメッキ用途のための放射線硬化性インキジェットインキ 図1
  • 特表-アルカリエッチング又はメッキ用途のための放射線硬化性インキジェットインキ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-14
(54)【発明の名称】アルカリエッチング又はメッキ用途のための放射線硬化性インキジェットインキ
(51)【国際特許分類】
   C23F 1/32 20060101AFI20220907BHJP
   H05K 3/06 20060101ALI20220907BHJP
   C25D 7/00 20060101ALI20220907BHJP
   C23C 18/31 20060101ALI20220907BHJP
   C23F 1/00 20060101ALI20220907BHJP
   B29C 64/112 20170101ALI20220907BHJP
   B29C 64/188 20170101ALI20220907BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20220907BHJP
   C09D 11/30 20140101ALN20220907BHJP
【FI】
C23F1/32
H05K3/06 H
C25D7/00 J
C25D7/00 T
C25D7/00 P
C23C18/31 A
C23F1/00 D
C23F1/00 102
B29C64/112
B29C64/188
B33Y10/00
C09D11/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577973
(86)(22)【出願日】2020-06-09
(85)【翻訳文提出日】2021-12-28
(86)【国際出願番号】 EP2020065897
(87)【国際公開番号】W WO2020260004
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】19183167.6
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593194476
【氏名又は名称】アグフア-ゲヴエルト,ナームローゼ・フエンノートシヤツプ
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロキュフィエ,ヨハン
【テーマコード(参考)】
4F213
4J039
4K022
4K024
4K057
5E339
【Fターム(参考)】
4F213AA44
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL03
4F213WL12
4F213WL23
4F213WL62
4J039AD21
4J039CA07
4J039EA06
4K022AA02
4K022BA03
4K022BA08
4K022BA14
4K022BA17
4K022BA18
4K022BA21
4K022CA08
4K022DA01
4K024AA02
4K024AA03
4K024AA05
4K024AA07
4K024AA08
4K024AA09
4K024AA10
4K024AA11
4K024BA01
4K024BA02
4K024BA06
4K024BA08
4K024BA09
4K024BB11
4K024BB20
4K024DA10
4K057WB01
4K057WB02
4K057WB03
4K057WB04
4K057WB05
4K057WC08
4K057WE21
4K057WE22
4K057WG06
4K057WN01
4K057WN09
5E339BE11
5E339CC01
5E339CD01
5E339GG10
(57)【要約】
-少なくとも2個の重合可能な基を含むモノマーを含む放射線硬化性組成物を支持体の表面上に適用し、それにより画像(2)を形成し;-画像を硬化させ;-硬化した画像により覆われていない支持体の表面をアルカリ性溶液を用いてメッキ(4)又はエッチング(3)し;-酸性溶液を用いて硬化した画像を除去する(5)段階を含み、重合可能な基の間の連結基がアセタール、ケタール、オルトエステル、オルトカーボネート、第3級エステル、第3級カーボネート及び第3級ウレタンからなる群より選ばれる少なくとも1個の酸分解性又は加水分解性基を含むことを特徴とし、且つここで組成物はさらに重合可能組成物の合計重量に対して10重量%未満の少なくとも2個の重合可能な基を含む他のモノマーを含む金属製品(6)の製造方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-少なくとも2個の重合可能な基を含むモノマーを含む放射線硬化性組成物を支持体の表面上に適用し、それにより画像(2)を形成し;
-画像を硬化させ;
-硬化した画像により覆われていない支持体の表面をアルカリ性溶液を用いてメッキ(4)又はエッチング(3)し;
-酸性溶液を用いて硬化した画像を除去する(5)
段階を含む金属製品(6)の製造方法であって、
重合可能な基の間の連結基がアセタール、ケタール、オルトエステル、オルトカーボネート、第3級エステル、第3級カーボネート及び第3級ウレタンからなる群より選ばれる少なくとも1個の酸分解性又は加水分解性基を含むことを特徴とし、且つここで組成物はさらに重合可能組成物の合計重量に対して10重量%未満の少なくとも2個の重合可能な基を含む他のモノマーを含む、
金属製品(6)の製造方法。
【請求項2】
酸分解性又は加水分解性基がアセタール又はケタールである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
重合可能な基がアクリレート、メタクリレート、アクリルアミド及びメタクリルアミドからなる群より選ばれる請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも3.5の共役酸のpKaを有する窒素含有一官能基性モノマーをさらに含む先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
窒素含有モノマーが第3級アミン、ピリジン及びイミダゾール基からなる群より選ばれる少なくとも1個の官能基を用いて官能基化されている請求項4に記載の方法。
【請求項6】
共役酸のpKaが少なくとも9である請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも2個の重合可能な基を含み且つここで重合可能な基の間の連結基が少なくとも1個の酸分解性又は加水分解性基を含むモノマーが、式I
【化1】
[式中、
1及びR4は独立して水素及びC1ないしC4アルキル基からなる群より選ばれ;
2及びR3は独立して水素、置換若しくは非置換アルキル基、置換若しくは非置換アルケニル基、置換若しくは非置換アルキニル基及び置換若しくは非置換(ヘテロ)アリール基からなる群より選ばれ;
2及びR3は5ないし8員環の形成に必要な原子を示すことができ;
1及びL2は独立して10個以下の炭素原子を含む二価の連結基を示し;
1及びX2は独立して酸素及びR5Nからなる群より選ばれ;
5は水素及び置換若しくは非置換アルキル基からなる群より選ばれる]
に従う化学構造を有する、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
少なくとも2個の重合可能な基を含み且つここで重合可能な基の間の連結基が少なくとも1個の酸分解性又は加水分解性基を含むモノマーが、式II
【化2】
[式中、
6及びR9は独立して水素及びC1ないしC4アルキル基からなる群より選ばれ;
7及びR8は独立して置換若しくは非置換アルキル基、置換若しくは非置換アルケニル基、置換若しくは非置換アルキニル基及び置換若しくは非置換(ヘテロ)アリール基からなる群より選ばれ;
7及びR8は5ないし8員環の形成に必要な原子を示すことができ;
3は20個以下の炭素原子を含む二価の連結基を示す]
に従う化学構造を有する、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
UV線を用いて硬化が行われる請求項1ないし8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
アルカリ性溶液が9と14の間のpHを有する請求項1ないし9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
酸性溶液のpHが2と5の間である請求項1ないし10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
電子装置の製造のための請求項1ないし11のいずれかに記載の製造方法の使用。
【請求項13】
電子装置がプリント基板(PCB)である請求項12に記載の使用。
【請求項14】
装飾目的のための請求項1ないし11のいずれかに記載の製造方法の使用。
【請求項15】
-少なくとも2個の重合可能な基を含む
放射線硬化性組成物を用いて3D物体の少なくとも一部と関連する支持体(15)を印刷し;そして
-酸性溶液を用いて支持体の少なくとも一部を除去する
段階を含む、三次元(3D)物体(10)の製造のための印刷方法であって、
重合可能な基の間の連結基がアセタール、ケタール、オルトエステル、オルトカーボネート、第3級エステル、第3級カーボネート及び第3級ウレタンからなる群より選ばれる少なくとも1個の酸分解性又は加水分解性基を含むことを特徴とするモノマーを含み、且つここで組成物はさらに重合可能組成物の合計重量に対して10重量%未満の少なくとも2個の重合可能な基を含む他のモノマーを含む、
印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術的分野
本発明はアルカリエッチング又はメッキ用途における使用のための酸分解性放射線硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
発明に関する背景技術
エッチレジスト法はアナログワークフローからデジタルワークフローに向かって進化しており、それは後者がPCB製造ならびに精密部品及び装飾部分の製造のような種々のエッチング用途における製造段階の数を減少させることを可能にするからである。デジタルワークフローはさらに、有意にコストを増加させずに短期間製造の実現性(possibility)又は個別の部分の製造さえ可能にする。アナログワークフローからデジタルワークフローに進むことは、明白な経済的及び生態学的利益を有する。
【0003】
インキジェットはデジタルエッチレジストの設計のための好ましい方法の一つであり、多数の試みが主にUV硬化性技術に基づくインキジェットエッチレジストインキの設計に向けられてきた。
【0004】
ほとんどのUV硬化性エッチレジストインキジェットインキは、酸エッチング及びアルカリストリッピングのために設計されてきた。
【0005】
特許文献1(Avecia)は1個以上の酸性基を含む1ないし30重量%のアクリレート官能基性モノマーをストリッピングの間の接着促進剤及び溶解促進剤として含む非水性エッチング抵抗性インキジェットインキを開示している。
【0006】
特許文献2(Avecia)は、好ましくは(メタ)アクリレート化カルボン酸、(メタ)アクリレート化リン酸エステル及び(メタ)アクリレート化スルホン酸のような(メタ)アクリレート酸接着促進剤を含むエッチング抵抗性インキジェットインキを開示している。
【0007】
特許文献3(Agfa Gevaert NV)は、電気メッキ又は酸エッチング段階を含む金属製品の製造方法を開示している。
【0008】
特許文献4(Agfa Gevaert NV及びAGFA NV)は、酸エッチング段階を含むエンボス加工部分(embossing elements)の製造方法を開示している。
【0009】
特許文献5(Agfa Gevaert NV)は、特殊な酸性接着促進剤を含むエッチング抵抗性を有するUV硬化性インキジェットインキを開示している。
【0010】
特許文献6(Agfa Gevaert NV)は、酸エッチング段階を用いるエッチングされたガラス製品の製造方法を開示している。
【0011】
開示されたすべてのエッチング抵抗性インキジェットインキは、中から強アルカリストリッピングが続く酸エッチング段階と適合性である。
【0012】
しかしながら種々の金属は、好ましくは中から強アルカリ条件下でエッチングされ得る。
【0013】
特許文献7及び8(Carbon Inc.)は、フリーラジカル光開始剤、モノマー及び/又はプレポリマー、連鎖延長剤又は架橋剤及び光酸発生剤を含む添加剤製造のために有用な重合可能液体組成物を開示しており、ここで任意的にモノマー及び/又はプレポリマー、連鎖延長剤又は架橋剤のいくつか又はすべては1個以上の酸に不安定な基を含み、且つここで一方の酸に不安定な基を含むモノマー及び/又はプレポリマー、連鎖延長剤又は架橋剤ならびに他方の光開始剤及び光酸発生剤は異なる波長又は強度における光により活性化される。
【0014】
デジタルエッチレジスト法の用途の範囲を広げるために、酸性条件下でストリッピングされ得るアルカリ抵抗性エッチレジストを与えるインキジェットインキが必要である。
【0015】
今回、本発明に従う放射線硬化性組成物が本発明の目的を実現できることが見いだされた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】国際公開第2004/026977号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2004/106437号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2016/050371号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2016/050372号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2016/050504号パンフレット
【特許文献6】国際公開第2017/148810号パンフレット
【特許文献7】米国特許第2017/0120515号明細書
【特許文献8】国際公開第2017/048710号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
発明の概略
本発明の目的は、酸性条件下で除去され得るアルカリ抵抗性エッチレジストを形成することができる放射線硬化性組成物が用いられる金属製品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明のその目的は請求項1に従う金属製品の製造方法により実現される。
【0019】
本発明のさらなる目的は下記の記述から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明の詳細な記述
定義
例えば一官能基性重合可能化合物中の「一官能基性」という用語は、重合可能な化合物が1個の重合可能な基を含むことを意味する。
【0021】
例えば二官能基性重合可能化合物中の「二官能基性」という用語は、重合可能な化合物が2個の重合可能な基を含むことを意味する。
【0022】
例えば多官能基性重合可能化合物中の「多官能基性」という用語は、重合可能な化合物が2個より多い重合可能な基を含むことを意味する。
【0023】
「アルキル」という用語は、アルキル基中の炭素原子の各数に関して可能なすべての変形、すなわちメチル、エチル、3個の炭素原子の場合:n-プロピル及びイソプロピル;4個の炭素原子の場合:n-ブチル、イソブチル及び第3級ブチル;5個の炭素原子の場合:n-ペンチル、1,1-ジメチル-プロピル、2,2-ジメチルプロピル及び2-メチルブチルなどを意味する。
【0024】
他に特定しなければ、置換又は非置換アルキル基は好ましくはC1ないしC6-アルキル基である。
【0025】
他に特定しなければ、置換又は非置換アルケニル基は好ましくはC2ないしC6-アルケニル基である。
【0026】
他に特定しなければ、置換又は非置換アルキニル基は好ましくはC2ないしC6-アルキニル基である。
【0027】
他に特定しなければ、置換又は非置換アルカリール基は好ましくは1、2、3又はそれより多いC1ないしC6-アルキル基を含むフェニル又はナフチル基である。
【0028】
他に特定しなければ、置換又は非置換アラルキル基は好ましくはフェニル基又はナフチル基を含むC7ないしC20-アルキル基である。
【0029】
他に特定しなければ、置換又は非置換アリール基は好ましくはフェニル基又はナフチル基である。
【0030】
他に特定しなければ、置換又は非置換ヘテロアリール基は好ましくは1、2又は3個の酸素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子又はそれらの組み合わせにより置換された5又は6-員環である。
【0031】
例えば置換アルキル基中の「置換」という用語は、アルキル基がそのような基中に通常存在する原子、すなわち炭素及び水素以外の原子により置換され得ることを意味する。例えば置換アルキル基はハロゲン原子又はチオール基を含み得る。非置換アルキル基は炭素原子及び水素原子のみを含む。
【0032】
他に特定しなければ、置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基、置換アラルキル基、置換アルカリール基、置換アリール及び置換ヘテロアリール基は好ましくはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル及び第3級ブチル、エステル、アミド、エーテル、チオエーテル、ケトン、アルデヒド、スルホキシド、スルホン、スルホネートエステル、スルホンアミド、-Cl、-Br、-I、-OH、-SH、-CN及び-NO2からなる群より選ばれる1個以上の置換基により置換されている。
【0033】
金属製品の製造方法
金属製品(6)の製造方法は:
-支持体の表面上に下記の放射線硬化性組成物を適用し、それにより画像(2)を形成し;
-画像を硬化させ;
-硬化した画像により覆われていない支持体の表面をアルカリ性溶液を用いてメッキ(4)又はエッチング(3)し;
-酸性溶液を用いて硬化した画像の少なくとも一部を除去する(5)
段階を含む。
【0034】
放射線硬化性組成物は、前記方法がメッキ段階(4)又はエッチング段階(3)を含む場合、それぞれメッキレジスト又はエッチレジストと呼ばれ得る。
【0035】
言及される金属製品は金属からなり得るか或いは非金属を含み、その表面が金属層又はコーティングで覆われているか、又はその表面がメッキのための触媒核(catalytic nuclei)を含み得る。
【0036】
放射線硬化性組成物
放射線硬化性組成物は、少なくとも2個の重合可能な基を含み、重合可能な基の間の連結基がアセタール、ケタール、オルトエステル、オルトカーボネート、第3級エステル、第3級カーボネート及び第3級ウレタンからなる群より選ばれる少なくとも1個の酸分解性又は加水分解性基を含むことを特徴とするモノマーを含み、且つここで組成物はさらに重合可能組成物の合計重量に対して10重量%未満の少なくとも2個の重合可能な基を含む他のモノマーを含む。
【0037】
好ましくは、放射線硬化性組成物はさらに3.5以上の共役酸のpKaを有する窒素含有一官能基性モノマーを含む。
【0038】
放射線硬化性組成物はさらに光開始系、着色剤、高分子分散剤、重合抑制剤、難燃剤又は界面活性剤のような他の成分を含み得る。
【0039】
放射線硬化性組成物をいずれの型の放射線によっても、例えば電子線によって硬化させ得るが、好ましくはUV線により、より好ましくはUV LEDsからのUV線によって硬化させる。かくして放射線硬化性組成物は好ましくはUV硬化性組成物である。
【0040】
放射線硬化性組成物は好ましくは放射線硬化性インキジェットインキである。
【0041】
信頼できる工業的なインキジェット印刷のために、放射線硬化性インキジェットインキの粘度は好ましくはすべて1000s-1のせん断速度において45℃で20mPa.s以下、より好ましくは45℃で1mPa.sと18mPa.sの間、そして最も好ましくは45℃で4mPa.sと14mPa.sの間である。
【0042】
好ましい噴射温度は10℃と70℃の間、より好ましくは20℃と55℃の間そして最も好ましくは25℃と50℃の間である。
【0043】
優れた画質及び接着のために、放射線硬化性インキジェットインキの表面張力は好ましくは25℃において18ないし70mN/mの範囲内、より好ましくは25℃において20ないし40mN/mの範囲内である。
【0044】
二-又は多官能基性モノマー
放射線硬化性組成物は、少なくとも2個の重合可能な基を含み、重合可能な基の間の連結基がアセタール、ケタール、オルトエステル、オルトカーボネート、第3級エステル、第3級カーボネート及び第3級ウレタンからなる群より選ばれる少なくとも1個の酸分解性又は加水分解性基を含むことを特徴とするモノマーを含み、且つここで組成物はさらに重合可能組成物の合計重量に対して10重量%未満の少なくとも2個の重合可能な基を含む他のモノマーを含む。
【0045】
重合可能な基は、好ましくはエチレン性不飽和基である。
【0046】
エチレン性不飽和基は、好ましくはアクリレート、メタクリレート、アクリルアミド及びメタクリルアミドからなる群より選ばれる。エチレン性不飽和基はより好ましくはアクリレート又はメタクリレート基、最も好ましくはアクリレート基である。
【0047】
連結基は、好ましくはアセタール、ケタール、オルトエステル及び第3級エステルからなる群より選ばれる酸分解性又は加水分解性基を含み、アセタール及びケタールがより好ましくアセタールが最も好ましい。
【0048】
少なくとも2個の重合可能な基を含み、ここで重合可能な基の間の連結基が少なくとも1個の酸分解性又は加水分解性基を含むモノマーは、好ましくは式Iに従う化学構造を有し:
【化1】
式中、
1及びR4は独立して水素及びC1ないしC4アルキル基からなる群より選ばれ;
2及びR3は独立して水素、置換若しくは非置換アルキル基、置換若しくは非置換アルケニル基、置換若しくは非置換アルキニル基及び置換若しくは非置換(ヘテロ)アリール基からなる群より選ばれ;
2及びR3は5ないし8員環の形成に必要な原子を示すことができ;
1及びL2は独立して10個以下の炭素原子を含む二価の連結基を示し;
1及びX2は独立して酸素及びR5Nからなる群より選ばれ;
5は水素及び置換若しくは非置換アルキル基からなる群より選ばれる。
【0049】
1及びR4は好ましくは独立して水素又はメチル基、より好ましくは水素を示す。
【0050】
2及びR3は好ましくは独立して水素又はアルキル基、より好ましくは水素及びC1ないしC4アルキル基を示す。
【0051】
1及びX2は好ましくは酸素を示す。
【0052】
別の好ましい態様に従うと、少なくとも2個の重合可能な基を含み、ここで重合可能な基の間の連結基が少なくとも1個の酸分解性又は加水分解性基を含むモノマーは、式IIに従う化学構造を有し:
【化2】
式中、
6及びR9は独立して水素及びC1ないしC4アルキル基からなる群より選ばれ;
7及びR8は独立して置換若しくは非置換アルキル基、置換若しくは非置換アルケニル基、置換若しくは非置換アルキニル基及び置換若しくは非置換(ヘテロ)アリール基からなる群より選ばれる。R7及びR8は5ないし8員環の形成に必要な原子を示すことができる。
3は20個以下の炭素原子を含む二価の連結基を示す。
【0053】
6及びR9は好ましくは独立して水素又はメチル基、より好ましくは水素を示す。
【0054】
7及びR8は好ましくは独立してアルキル基、より好ましくはC1ないしC4アルキル基を示す。
【0055】
少なくとも2個の重合可能な基を含み、ここで重合可能な基の間の連結基が少なくとも1個の酸分解性又は加水分解性基を含む本発明に従う典型的なモノマーを下記に示すがそれらに制限するわけではない。
【表1-1】
【表1-2】
【0056】
少なくとも2個の重合可能な基を含み、ここで重合可能な基の間の連結基が少なくとも1個の酸分解性又は加水分解性基を含むモノマーの量は、好ましくは放射線硬化性組成物の合計重量に対して25重量%以上、より好ましくは35重量%と60重量%の間である。
【0057】
特に好ましい態様において、本発明に従う放射線硬化性組成物は放射線硬化性組成物の合計重量に対して10重量%未満の少なくとも2個の重合可能な基を含む他のモノマーを含む。
【0058】
最も好ましくは、放射線硬化性組成物は少なくとも2個の重合可能な基を含む他のモノマーを実質的に含まない。
【0059】
窒素含有モノマー
放射線硬化性組成物は好ましくは3.5以上の共役酸のpKaを有する窒素含有一官能基性モノマーを含む。
【0060】
より好ましくは、窒素含有モノマーは少なくとも7、最も好ましくは少なくとも9の共役酸のpKaを有する。
【0061】
好ましい窒素含有モノマーは第3級アミン、ピリジン及びイミダゾール基からなる群より選ばれる官能基を有する。
【0062】
本発明に従う典型的な窒素含有モノマーを下記に示すがそれらに限られるわけではない。
【表2-1】
【表2-2】
【0063】
窒素含有モノマーの量は、好ましくは放射線硬化性組成物の合計重量に対して1重量%と25重量%の間、より好ましくは2重量%と15重量%の間そして最も好ましくは3重量%と10重量%の間である。
【0064】
他のモノマー
放射線硬化性組成物は、少なくとも2個の重合可能な基を含み、ここで重合可能な基の間の連結基が少なくとも1個の酸分解性又は加水分解性基を含むモノマー及び上記の窒素含有モノマーに加えて他のモノマー、オリゴマー及び/又はプレポリマーを含む。
【0065】
好ましい態様において、そのようなモノマー、オリゴマー又はプレポリマーは重合可能な基としてアクリレート基を含む。
【0066】
好ましいモノマー及びオリゴマーは欧州特許第A 1911814号明細書中の[0106]ないし[0115]節中に挙げられているものである。
【0067】
他のモノマーは好ましくは一官能基性モノマー、より好ましくは一官能基性アクリレート又はメタクリレートである。
【0068】
光開始剤
放射線硬化性組成物は好ましくは光開始剤を含む。
【0069】
フリーラジカル光開始剤は化学線に暴露されるとフリーラジカルの形成によりモノマー及びオリゴマーの重合を開始させる化学化合物である。ノリッシュI型開始剤は励起後に開裂し、すぐに開始ラジカルを与える開始剤である。ノリッシュII型開始剤は化学線により活性化され、実際の開始フリーラジカルになる第2の化合物からの水素引き抜きによりフリーラジカルを形成する光開始剤である。この第2の化合物は重合相乗剤又は共開始剤と呼ばれる。I型及びII型光開始剤の両方を単独で又は組み合わせて本発明において用いることができる。
【0070】
適した光開始剤は、CRIVELLO,J.V.,et al.Photoinitiators for Free Radical,Cationic and Anionic Photopolymerization.2nd edition,BRADLEY,G.編集,London,UK:John Wiley and Sons Ltd,1998.p.276-293に開示されている。
【0071】
フリーラジカル光開始剤の特定の例には以下の化合物又はそれらの組み合わせが含まれ得るが、それらに限られない:ベンゾフェノン及び置換ベンゾフェノン;1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン;イソプロピルチオキサントンのようなチオキサントン;2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン;2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン;ベンジルジメチルケタール;ビス(2,6-ジメチルベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィン
オキシド;2,4,6トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシド;2,4,6-トリメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド;
【0072】
2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン;2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン又は5,7-ジヨード-3-ブトキシ-6-フルオレン。
【0073】
適した市販のフリーラジカル光開始剤には、例えばIGMからのOmniradTM、OminpolTM及びEsacureTM型光開始剤が含まれる。そのような光開始剤の例はOmnirad 379、Omnirad 369、Omnirad 819、Omnirad 184、Omnirad 2959及びEsacure KIP 150である。
【0074】
光開始剤の好ましい量は放射線硬化性インキジェットインキの合計重量の0.1-20重量%、より好ましくは2-15重量%そして最も好ましくは3-10重量%である。
【0075】
感光度をさらに向上させるために、放射線硬化性インキジェットはさらに共開始剤を含み得る。共開始剤の適した例を3つの群に分類することができる:1)メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン及びN-メチルモルホリンのような第3級脂肪族アミン;(2)アミルパラジメチル-アミノベンゾエート、2-n-ブトキシエチル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2-(ジメチルアミノ)-エチルベンゾエート、エチル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート及び2-エチルヘキシル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエートのような芳香族アミン;ならびに(3)ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート(例えばジエチルアミノエチルアクリレート)又はN-モルホリノアルキル-(メタ)アクリレート(例えばN-モルホリノエチル-アクリレート)のような(メタ)アクリレート化アミン。好ましい共開始剤はアミノベンゾエートである。
【0076】
着色剤
放射線硬化性インキジェットは実質的に無色のインキジェットインキであり得るか又は少なくとも1種の着色剤を含み得る。例えばインキジェットインキをエッチレジストとして用いる場合、着色剤は一時的なマスクを導電パターンの作製者に明確に見えるようにし、質の視覚検査を可能にする。インキジェットインキがはんだマスクの適用のために用いられる場合、それは典型的に着色剤を含む。はんだマスクのために好ましい色は緑であるが、黒又は赤のような他の色も用いられ得る。
【0077】
着色剤は顔料又は染料であり得るが、好ましくは顔料である。
【0078】
着色顔料はHERBST,Willy,et al.Industrial Organic Pigments,Production,Properties,Applications,3rd edition.Wiley-VCH,2004,ISBN 3527305769により開示されているものから選ばれ得る。
【0079】
適した顔料は国際公開第2008/074548号パンフレットの[0128]ないし[0138]節に開示されている。
【0080】
インキジェットインキ中の顔料粒子は、インキジェット印刷装置を介する、特に吐出ノズルにおけるインキの自由な流れを許すのに十分に小さくなければならない。最大色濃度のため、及び沈降を遅らせるためにも小さい粒子を用いるのが望ましい。最も好ましくは、平均顔料粒度は150nm以下である。顔料粒子の平均粒度は、好ましくは動的光散乱
の原理に基づくBrookhaven Instruments Particle Sizer BI90plusを用いて決定される。
【0081】
PCBsにおいて、はんだマスクは典型的に青又は緑色を有する。青顔料は好ましくはフタロシアニンシリーズの1つである。青顔料の例はC.I.Pigment Blue
1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、24及び60である。
【0082】
緑顔料は一般に青及び黄又はオレンジ顔料の混合物であるか、或いはハロゲン化フタロシアニン、例えば銅又はニッケル臭素化フタロシアニンのような緑顔料又は染料自体であり得る。
【0083】
好ましい態様において、着色剤は放射線硬化性インキジェットインキの合計重量に基づいて0.2ないし6.0重量%、より好ましくは0.5ないし2.5重量%の量で存在する。
【0084】
高分子分散剤
放射線硬化性インキジェット中の着色剤が顔料である場合、放射線硬化性インキジェットインキは、顔料の分散のために好ましくは分散剤、より好ましくは高分子分散剤を含む。
【0085】
適した高分子分散剤は2種のモノマーのコポリマーであるが、それらは3、4、5種又はそれより多種のモノマーさえ含み得る。高分子分散剤の性質は、モノマーの性質及びポリマー中におけるそれらの分布の両方に依存する。コポリマー分散剤は、好ましくは以下のポリマー組成を有する:
ランダム重合したモノマー(例えばモノマーA及びBがABBAABABに重合した);交互重合したモノマー(例えばモノマーA及びBがABABABABに重合した);
グラジエント(gradient)(テーパード(tapered))重合したモノマー(例えばモノマーA及びBがAAABAABBABBBに重合した);
それぞれのブロックのブロック長(2、3、4、5個又はそれより多くさえ)が高分子分散剤の分散能力に重要であるブロックコポリマー(例えばモノマーA及びBがAAAAABBBBBBに重合した);
グラフトコポリマー(グラフトコポリマーは、主鎖に結合した高分子側鎖を有する高分子主鎖から成る);ならびに
これらのポリマーの混合形態、例えばブロック様グラジエントコポリマー。
【0086】
適した高分子分散剤は、欧州特許第A 1911814号明細書中の「分散剤」についての節、より特定的に[0064]ないし[0070]及び[0074]ないし[0077]に挙げられている。
【0087】
高分子分散剤の市販の例は以下である:
BYK CHEMIE GMBHから入手可能なDISPERBYKTM分散剤;
NOVEONから入手可能なSOLSPERSETM分散剤;
EVONIKからのTEGOTM DISPERSTM分散剤;
MUENZING CHEMIEからのEDAPLANTM分散剤;
LYONDELLからのETHACRYLTM分散剤;
ISPからのGANEXTM分散剤;
CIBA SPECIALTY CHEMICALS INCからのDISPEXTM及びEFKATM分散剤;
DEUCHEMからのDISPONERTM分散剤;ならびに
JOHNSON POLYMERからのJONCRYLTM分散剤。
【0088】
重合抑制剤
放射線硬化性インキジェットインキはインキの熱安定性を向上させるために少なくとも1種の抑制剤を含み得る。
【0089】
適した重合抑制剤にはフェノール型酸化防止剤、ヒンダードアミン光安定剤、燐光体型酸化防止剤、通常(メタ)アクリレートモノマー中で用いられるヒドロキノンモノメチルエーテル及びヒドロキノンが含まれる。t-ブチルカテコール、ピロガロール、2,6-ジ-tert.ブチル-4-メチルフェノール(=BHT)及びフェノチアジンも用いられ得る。
【0090】
適した市販の抑制剤は、例えばSumitomo Chemical Co.Ltdにより製造されるSumilizerTM GA-80、SumilizerTM GM及びSumilizerTM GS;Rahn AGからのGenoradTM 16、GenoradTM 18及びGenoradTM 22;Ciba Specialty ChemicalsからのIrgastabTMUV10及びIrgastabTMUV22、TinuvinTM 460及びCGS20;Kromachem LtdからのFlorstabTM UV領域(UV-1、UV-2、UV-5及びUV-8)、Cytec Solvay GroupからのAdditolTM S領域(S100、S110、S120及びS130)ならびにPTZである。
【0091】
抑制剤は好ましくは重合可能な抑制剤である。
【0092】
これらの重合抑制剤の過剰の添加は硬化速度を下げ得るので、ブレンドする前に重合を妨げることができる量を決定するのが好ましい。重合抑制剤の量は好ましくは放射線硬化性インキジェットインキ全体の5重量%未満、より好ましくは3重量%未満である。
【0093】
界面活性剤
放射線硬化性インキジェットは少なくとも1種の界面活性剤を含み得るが、好ましくは界面活性剤は存在しない。
【0094】
界面活性剤はアニオン性、カチオン性、非イオン性又は両性イオン性であることができ、通常放射線硬化性インキジェットインキの合計重量に基づいて1重量%未満の合計量で加えられる。
【0095】
適した界面活性剤にはフッ素化界面活性剤、高級アルコールの脂肪酸塩、エステル塩、高級アルコールのアルキルベンゼンスルホネート塩、スルホスクシネートエステル塩及びホスフェートエステル塩(例えばナトリウムドデシルベンゼンスルホネート及びナトリウムジオクチルスルホスクシネート)、高級アルコールのエチレンオキシド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキシド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルのエチレンオキシド付加物ならびにアセチレングリコール及びそのエチレンオキシド付加物(例えばポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルならびにAIR PRODUCTS & CHEMICALS INCから入手可能なSURFYNOLTM 104、104H、440、465及びTG)が含まれる。
【0096】
好ましい界面活性剤はフッ素系界面活性剤(フッ素化炭化水素のような)及びシリコーン界面活性剤から選ばれる。シリコーン界面活性剤は好ましくはシロキサンであり、アルコキシル化されていることができ、ポリエーテル修飾されていることができ、ポリエーテル修飾ヒドロキシ官能基性であることができ、アミン修飾されていることができ、エポキ
シ修飾されていることができ、及び他の修飾がされているか又はそれらの組み合わせであることができる。好ましいシロキサンは高分子性、例えばポリジメチルシロキサンである。
【0097】
好ましい市販のシリコーン界面活性剤にはBYK ChemieからのBYKTM 333及びBYKTM UV3510ならびにEvonik IndustriesからのTego Rad 2100が含まれる。
【0098】
好ましい態様において、界面活性剤は重合可能な化合物である。
【0099】
好ましい重合可能なシリコーン界面活性剤には(メタ)アクリレート化シリコーン界面活性剤が含まれる。最も好ましくは、(メタ)アクリレート化シリコーン界面活性剤はアクリレート化シリコーン界面活性剤であり、それはアクリレートがメタクリレートより反応性だからである。
【0100】
好ましい態様において、(メタ)アクリレート化シリコーン界面活性剤はポリエーテル修飾(メタ)アクリレート化ポリジメチルシロキサン又はポリエステル修飾(メタ)アクリレート化ポリジメチルシロキサンである。
【0101】
好ましくは、界面活性剤は放射線硬化性インキジェットインキの合計重量に基づいて0ないし3重量%の量で放射線硬化性インキジェットインキ中に存在する。
【0102】
難燃剤
好ましい難燃剤は、アルミナ三水和物(Alumina Trihydrate)及びベーマイト(Boehmite)のような無機難燃剤ならびに有機ホスフェート(例えばトリフェニルホスフェート(TPP)、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)(RDP)、ビスフェノールAジフェニルホスフェート(BADP)及びトリクレシルホスフェート(TCP));有機ホスホネート(例えばジメチルメチルホスホネート(DMMP));ならびに有機ホスフィネート(例えばアルミニウムジメチルホスフィネート)のような有機燐光体化合物(organo-phosphor compounds)である。
【0103】
他の好ましい有機燐光体化合物は米国特許第8273805号明細書に開示されている。
【0104】
インキジェットインキの調製
顔料添加放射線硬化性インキジェットインキの調製は当業者に周知である。調製の好ましい方法は国際公開第2011/069943号パンフレットの[0076]ないし[0085]節に開示されている。
【0105】
エッチング
金属表面上に上記の放射線硬化性組成物を適用し、硬化させ、それにより金属表面上に硬化画像を形成することにより、金属表面上にエッチレジストが与えられる。次いで硬化画像により覆われていない金属表面から金属をエッチングにより除去する。
【0106】
エッチングの後、硬化画像の少なくとも一部は金属表面から除去される。
【0107】
金属表面は、好ましくは支持体に取り付けられた金属箔又は金属シートである。
【0108】
金属シートに接着される支持体の型に現実的な制限はない。支持体はセラミック、ガラ
ス又はポリイミドのようなプラスチックから作られ得る。
【0109】
金属シートは通常9μmと105μmの間の厚さを有する。
【0110】
金属表面の性質に制限はない。金属表面は好ましくは銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、錫、チタン又は亜鉛からなるが、これらの金属を含む合金であり得る。
【0111】
銅は高い導電率を有し、比較的安価な金属であり、それをプリント基板の製造に非常に適したものとしている。
【0112】
前記方法をエッチングされた装飾用金属パネルの製造に用いられ得る。
【0113】
この場合、好ましくは固体金属パネルが用いられる。しかしながら支持体に取り付けられた金属箔が用いられ得る。金属箔に接着される支持体の型に現実的な制限はない。支持体はセラミック、ガラス又はプラスチックあるいは第二の(比較的安価な)金属板からさえ作られ得る。金属は合金でもあり得る。
【0114】
そのような装飾用金属パネルは、情報を与える目的のような純粋に装飾用である以外の目的のために役立ち得る。例えばエッチング抵抗性放射線硬化性インキジェットインキが人又は会社の名前のような情報として印刷され、次いで除去されて艶消しのエッチングされた背景上に光沢のある輝く名前を生じたアルミニウムネームプレートも装飾部分を含む装飾用金属パネルと考えられる。エッチングは光沢の変化のような金属表面の光学的性質における変化を引き起こす。硬化した放射線硬化性インキジェットインキの金属表面からの除去の後、エッチングされた金属表面とエッチングされない金属表面の間に美的効果が生まれる。
【0115】
金属表面は好ましくは放射線硬化性組成物の適用の前に清浄化される。これは、金属表面を手で扱い、グローブを着用しない場合に特に望ましい。清浄化は金属表面への放射線硬化性組成物の接着を妨げ得るほこり粒子及び油を除去する。PCBにおいて、銅は多くの場合にマイクロエッチングにより清浄化される。銅の酸化物層は除去され、接着を向上させるために粗さが導入される。
【0116】
エッチングされた装飾用ガラスパネルの製造のために前記方法を用い得る。そのような方法は例えば国際公開第2013/189762号パンフレット(AGC)に開示されている。
【0117】
放射線硬化性組成物は両方の態様において、組成物が電子線又は紫外(UV)線のような化学線に暴露されることにより硬化し得る。好ましくは放射線硬化性組成物はUV線により、より好ましくはUV LED硬化を用いて硬化する。
【0118】
特に好ましい態様において、放射線硬化性組成物はインキジェット印刷により支持体上に適用される。
【0119】
アルカリエッチングは8と14の間のpHを有する、好ましくは少なくとも9、より好ましくは少なくとも10、最も好ましくは少なくとも11のpHを有するアルカリ性水溶液中で行われる。
【0120】
アルカリ性エッチング液は好ましくはアンモニア又は水酸化アンモニウム、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の塩基を含む。
【0121】
金属表面のエッチングは好ましくは数秒ないし数分、より好ましくは5ないし200秒の時間枠内に行われる。エッチングは好ましくは35℃と60℃の間の温度で行われる。
【0122】
装飾用金属パネルの製造におけるような他の用途における金属表面のエッチング時間は、エッチング段階の間に除去されるべき金属の型及び量に依存して実質的に比較的長いことができる。エッチング時間は15、30分より長いか又は60分より長いことさえあるかもしれない。
【0123】
エッチングに好ましくは残留エッチング液を除去するための水を用いる濯ぎが続く。
【0124】
メッキ
金属メッキ法において、支持体の表面上に金属の薄層を堆積させる。
【0125】
表面上に上記の放射線硬化性組成物を適用し、硬化させ、それにより表面上に硬化画像を形成することにより、支持体の表面上にメッキレジストが与えられる。次いで硬化画像により覆われていない支持体の表面上に金属をメッキする。メッキの後、次いで酸性溶液を用いて硬化画像を少なくとも部分的に除去する。
【0126】
金属メッキは実際にエッチングの逆である。エッチングが金属表面から金属を除去する状況で(where)、金属メッキは支持体の表面上に金属を堆積させる。
【0127】
支持体は金属又は他の材料の場合であり得る。金属メッキは物体を装飾するため、腐食の抑制のため、はんだ付け性を向上させるため、硬質化(harden)のため、耐久性を向上させるため、摩擦を低下させるため、塗料の接着を向上させるため、導電率を変えるため、IR反射率を向上させるため、放射線遮蔽のため及び他の目的のために用いられる。
【0128】
金属メッキは電気メッキによるか又は無電解メッキにより行われ得る。
【0129】
電気メッキは、溶解金属カチオンを還元し、それらが支持体上に薄い金属コーティングを形成するようにするために電流を用いる方法である。支持体は方法において陰極として働く。
【0130】
電気メッキ法において用いられ得る金属の例には銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、錫及び亜鉛が含まれる。
【0131】
電気メッキにより得られる堆積した金属層の厚さは意図される用途に従って変わることができ、メッキ浴中に含まれる金属の濃度、電流密度などを調整することにより制御され得る。
【0132】
化学メッキ又は自己触媒メッキとしても既知の無電解メッキは、外部電力を使用せずに水溶液中の化学反応を含むメッキ法である。無電解法のための水溶液は、堆積させることが意図されている金属のイオン及び還元剤を含み、式
【化3】
を有する化学反応が起こり得ることが必要である。本発明において触媒表面は両方ともUV硬化画像により保護されていない金属表面又は触媒核を含むポリマー表面であり、M固体は表面上に堆積した金属である。
【0133】
原則的にいずれの水素に基づく還元剤を用いることもできるが、還元剤半電池の酸化還元電位は液体化学において固有のエネルギー障壁を克服するのに十分に高くなければならない。例えば無電解ニッケルメッキは一般に還元剤として次亜リン酸塩を用いるが、銀、金及び銅のような他の金属のメッキは典型的に低分子量アルデヒドを用いる。
【0134】
電気メッキを超えるこの方法の主な利益は電力源が必要でなく、それにより製造コストが減少することである。前記方法は多様な形及び表面の型をメッキすることもできる。欠点は、メッキプロセスが通常比較的遅く、金属の厚い堆積物を生じ得ないことである。
【0135】
一般に無電解メッキ浴は溶媒の他に主成分として
1.メッキのための金属イオン、
2.還元剤及び
3.金属イオンの安定性を強化する添加剤(安定剤)
を含む。
【0136】
メッキ浴は上記の成分の他に既知の添加剤をさらに含み得る。
【0137】
メッキのために用いられる金属イオンに制限はない。多くの場合に用いられる金属イオンには銅、錫、鉛、ニッケル、金、パラジウム及びロジウムが含まれる。
【0138】
メッキ浴中で用いられる有機溶媒は、好ましくは水中で可溶性の溶媒であり、この観点からアセトンのようなケトン、メタノール、エタノール又はイソプロパノールのようなアルコールが好適に用いられる。
【0139】
メッキバッチ(batch)は還元剤及びメッキされるべき金属の型に従う添加剤を含む。還元剤は通常の無電解メッキの技術分野において周知であり、例えば水素化ホウ素ナトリウム又はジメチルアミンボランのようなホウ素に基づく還元剤及びホルムアルデヒド又は次亜リン酸のような還元剤が含まれる。
【0140】
例えば銅の無電解メッキのために用いられる無電解メッキ浴は、好ましくは銅の塩としてCuSO4、還元剤としてHCOH及び添加剤としてエチレンジアミン四酢酸(EDTA)又はロッシェル塩(Rochelle salt)、トリアルカノールアミンなどのような銅イオンの安定剤として働くキレート剤を含む。
【0141】
CoNiPの無電解メッキのために用いられる無電解メッキ浴は、好ましくは硫酸コバルト及び硫酸ニッケルをそれらの塩として、還元剤として次亜リン酸ナトリウム及び錯体化剤としてマロン酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム又はコハク酸ナトリウムを含む。
【0142】
パラジウムの無電解メッキのために用いられる無電解メッキ浴は、好ましくは金属イオンとして(Pd(NH34)Cl2、還元剤としてNH3又はH2NNH2及び安定剤としてEDTAを含む。
【0143】
これらのメッキ浴はさらに上記の成分以外の成分を含み得る。
【0144】
メッキ浴は好ましくは8と14の間のpH、好ましくは少なくとも9、より好ましくは少なくとも10、最も好ましくは少なくとも11のpHを有する。
【0145】
金属メッキはプリント基板(PCB)の製造において広く用いられる。例えば
PCBsにおけるスルーホール(Thru-holes)及び/又はビアは銅メッキによ
って導電性にされる。
【0146】
エッチレジスト又はメッキレジストの除去
エッチング又はメッキ後、硬化した放射線組成物を少なくとも部分的に表面から除去しなければならない。好ましい態様において、硬化した放射線硬化性組成物は表面から完全に除去される。
【0147】
除去は硬化した放射線組成物のストリッピング又は可溶化により行われ得る。
【0148】
本発明に従う硬化した放射線硬化性組成物は酸性浴により除去される。そのような酸性ストリッピング浴は通常2と5の間のpHを有する、好ましくは4未満、より好ましくは2.5未満、最も好ましくは1.5未満のpHを有する水溶液である。
【0149】
3D印刷
上記の放射線硬化性組成物は3D製造印刷法、例えば3Dインキジェット印刷における支持体として用いられ得る。
【0150】
支持体は、3D印刷された物体が完全に硬化する前にその一部を一時的に支持するために用いられる。物体が完全に硬化したら、支持体は除去されねばならない。
【0151】
三次元(3D)物体(10)の製造のための印刷法は:
-上記の放射線硬化性組成物を用いて3D物体の少なくとも一部と関連する支持体(15)を印刷し;そして
-酸性溶液を用いて支持体の少なくとも一部を除去する(20)
段階を含む。
【0152】
3D物体の印刷に用いられるインキジェットインキは、支持体の除去に用いられる酸性溶液が3D物体を実質的に可溶化しないことを保証しなければならない。
【0153】
インキジェット印刷装置
プリントヘッドに対して相対的に動いている支持体上にノズルを介して制御されたやり方で小さい液滴を吐出する1個以上のプリントヘッドにより、放射線硬化性インキジェットインキを噴射し得る。
【0154】
インキジェット印刷系のために好ましいプリントヘッドは圧電ヘッドである。圧電インキジェット印刷は圧電セラミック変換器に電圧が適用される場合のその動きに基づく。電圧の適用はプリントヘッド中の圧電セラミック変換器の形を変え、空隙を形成し、それが次いでインキで満たされる。電圧が再び取り除かれると、セラミックはその最初の形に膨張し、プリントヘッドからインキ滴を吐出する。しかしながら本発明に従うインキジェット印刷法は圧電インキジェット印刷に縛られない。他のインキジェットプリントヘッドを用いることができ、それには連続型のような種々の型が含まれる。
【0155】
インキジェットプリントヘッドは通常動いているインキ受容体表面を横切って横方向で前後に走査する。多くの場合、インキジェットプリントヘッドは戻り道に印刷しない。高い面積処理量を得るために二方向印刷が好ましい。別の好ましい印刷法は「シングルパス印刷法(single pass printing process)」による方法であり、それはページ幅のインキジェットプリントヘッド又はインキ受容体表面の幅全体を覆う複数の千鳥状の(staggered)インキジェットプリントヘッドの使用により行われ得る。シングルパス印刷法において、インキジェットプリントヘッドは通常静止したままであり、インキ受容体表面がインキジェットプリントヘッドの下を輸送される。
【0156】
硬化装置
放射線硬化性インキジェットインキを電子線又は紫外線のような化学線に暴露することにより、それを硬化させることができる。好ましくは、放射線硬化性インキジェットインキは紫外線により、より好ましくはUV LED硬化の使用により硬化する。
【0157】
インキジェット印刷において、硬化手段をインキジェットプリンターのプリントヘッドと組み合わせて配置し、それと一緒に移動させ、硬化性の液体が噴射された直後に硬化放射線に暴露されるようにし得る。
【0158】
そのような配置において、プリントヘッドに連結され且つそれと一緒に移動するのに十分に小さい放射線源を与えることは、UV LEDsを除いて困難であり得る。従って光ファイバー束(fibre optic bundle)又は内面反射性フレキシブルチューブ(internally reflective flexible tube)のような柔軟性放射線伝導性手段により放射線源に連結された静止固定放射線源、例えば硬化UV光源を用いられ得る。
【0159】
あるいはまた、放射線ヘッド上の鏡を含む鏡の配置により固定源から放射線ヘッドに化学線を供給し得る。
【0160】
放射線源は硬化するべき支持体を横切って横に延びる長い放射線源であり得る。それは、プリントヘッドにより形成される画像の連続的な列が放射線源の下を段階的に又は連続的に通過するように、プリントヘッドの横通過路(transverse path)に隣接し得る。
【0161】
発せられる光の一部が光開始剤又は光開始剤系により吸収され得る限り、高又は低圧水銀ランプ、冷陰極管、ブラックライト、紫外LED、紫外レーザー及びフラッシュライトのようないずれの紫外光源も放射線源として用いられ得る。もちろん好ましい源は300-400nmの主波長を有する比較的長波長のUV-寄与(relatively long wavelength UV-contribution)を示すものである。特定的にUV-A光源は、それを用いて光散乱が減少し、より有効な内部硬化を生ずるので好ましい。
【0162】
UV線は一般にUV-A、UV-B及びUV-Cとして以下の通りに分類される:
●UV-A:400nmないし320nm
●UV-B:320nmないし290nm
●UV-C:290nmないし100nm
【0163】
好ましい態様において、放射線硬化性インキジェットインキはUV LEDsにより硬化する。好ましくはインキジェット印刷装置は、好ましくは360nmより長い波長を有する1個以上のUV LEDs、好ましくは380nmより長い波長を有する1個以上のUV LEDsそして最も好ましくは約395nmの波長を有するUV LEDsを含む。
【0164】
さらに、異なる波長又は照度の2つの光源を連続的に又は同時に用いてインキ画像を硬化させることが可能である。例えば第一のUV源をUV-C、特に260nm-200nmの領域において豊富であるように選択することができる。次いで第二のUV源はUV-Aにおいて豊富であることができ、例えばガリウムがドーピングされたランプであることができるか、又はUV-A及びUV-Bの両方において高い異なるランプであることができる。2つのUV源の使用は利点、例えば速い硬化速度及び高い硬化度を有することが見
いだされた。
【0165】
硬化を助長するために、インキジェット印刷装置は多くの場合に1個以上の酸素欠損装置(oxygen depletion units)を含む。酸素欠損装置は、硬化環境中の酸素濃度を低下させるために、窒素又は他の比較的不活性な気体(例えばCO2)のブランケットを調整可能な位置及び調整可能な不活性気体濃度で配置する。残留酸素レベルは通常200ppmのように低く保たれるが、一般に200ppmないし1200ppmの範囲内である。
【実施例
【0166】
材料
以下の実施例において用いられるすべての材料は、他にことわらなければALDRICH CHEMICAL Co.(ベルギー)及びACROS(ベルギー)のような標準的な供給源から容易に入手可能であった。用いられた水は脱イオン水であった。
【0167】
ACMOはRahnから入手可能なアクリロイルモルホリンである。
【0168】
ITXはLAMBSON SPECIALTY CHEMICALSからのSpeedcureTM ITX、イソプロピルチオキサントン異性体の混合物である。
【0169】
EHAはRahnからGenocureTM EHAとして入手可能な4-ジメチルアミン-安息香酸2-エチル-ヘキシルエステルである。
【0170】
BAPOはBASFからIrgacureTM 819として入手可能なビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド光開始剤である。
【0171】
ContrastはBayer A.G.により供給されるMacrolex blue 3Rである。
【0172】
Amine-7はTCI Europeにより供給された。
【0173】
方法
薄層クロマトグラフィー-質量分析(TLC-MS)
以下の方法に従ってTLC-MSを用い、分子質量を決定した。
【0174】
合成実施例において示す状況下でTLCを行った。
【0175】
Agilent 1100 HPLCポンプを介してAmaZon SL質量分析計(Brueker Daltonicsにより供給された)に連結されたCAMAG TLC-MSインターフェースを用いてTLCを分析した。
【0176】
最初にメタノール中の酢酸アンモニウムの0.01モル溶液を用いてTLCプレート上の化合物が存在しないスポット(spot)を溶離することにより、ブランクスペクトルを得た。
【0177】
メタノール中の酢酸アンモニウムの0.01モル溶液を用い、問題の化合物のスポットを溶離することにより、分析されるべき化合物の第2のスペクトルを得た。
【0178】
第2のスペクトルから第1のスペクトルを引き去って分析されるべき化合物のスペクトルを与えた。
【0179】
酸分解性基を含む二官能基性モノマーの製造
プロペ-2-エン酸2-[2-[1-(2-プロペ-2-エノイルオキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エチル(架橋剤-1)
反応スキーム:
【化4】
【0180】
25g(0.134モル)のアクリル酸2-(2-ビニルオキシエトキシ)エチルを60mlの酢酸イソプロピル中に溶解した。15.6g(0.134モル)のアクリル酸2-ヒドロキシエチル、2.136g(13.4ミリモル)の3-ピリジンスルホン酸及び0.59gのBHTを加え、次いで混合物を85℃に加熱した。
【0181】
反応を85℃で7時間続けさせた。
【0182】
追加の1.56g(13.4ミリモル)のアクリル酸2-ヒドロキシエチルを加え、反応を85℃でさらに1時間続けた。
【0183】
反応混合物を室温に冷ました後、室温で16時間反応を続けさせた。
【0184】
ろ過により触媒を除去し、減圧下で溶媒を蒸発させた。
【0185】
Buechiにより供給されるGraceresolveカラム上の調製的カラムクロマトグラフィーにより、塩化メチレンから塩化メチレン/酢酸エチル 50/50の勾配溶離を用いてプロペ-2-エン酸2-[2-[1-(2-プロペ-2-エノイルオキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エチルを精製した。
【0186】
12.7gのプロペ-2-エン酸2-[2-[1-(2-プロペ-2-エノイルオキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エチルが単離された(収率=31%)。
【0187】
Merckにより供給されるTLC Silica gel 60F254プレート上のTLC(溶離剤 塩化メチレン/酢酸エチル 80/20,Rf:0.5)を用い、プロペ-2-エン酸2-[2-[1-(2-プロペ-2-エノイルオキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エチルを分析した。上記の方法に従い質量分析に連結されたTLCを用いて分子量を確かめた。
【0188】
プロペ-2-エン酸2-[1-メチル-1-[2-(1-メチレンアリルオキシ)エトキシ]エトキシ]エチル(架橋剤-3)
反応スキーム:
【化5】
【0189】
48.3g(0.416モル)のアクリル酸2-ヒドロキシエチルを60mlの酢酸イソプロピル中に溶解した。15g(0.208モル)の2-メトキシ-1-プロペン、3.3g(0.0208モル)の3-ピリジンスルホン酸及び0.92gのBHTを加え、室温で24時間反応を続けさせた。
【0190】
ろ過により触媒を除去し、減圧下で溶媒を蒸発させた。
【0191】
Buechiにより供給されるGraceresolveカラム上の調製的カラムクロマトグラフィーにより、塩化メチレン/ヘキサン 60/40から塩化メチレンへの勾配溶離を用いてプロペ-2-エン酸2-[1-メチル-1-[2-(1-メチレンアリルオキシ)エトキシ]エトキシ]エチルを精製した。
【0192】
17gのプロペ-2-エン酸2-[1-メチル-1-[2-(1-メチレンアリルオキシ)エトキシ]エトキシ]エチルが単離された(収率=30%)。
【0193】
Merckにより供給されるTLC Silica gel 60F254プレート上のTLC(溶離剤 塩化メチレン/酢酸エチル 90/10,Rf:0.5)を用い、プロペ-2-エン酸2-[1-メチル-1-[2-(1-メチレンアリルオキシ)エトキシ]エトキシ]エチルを分析した。上記の方法に従い質量分析に連結されたTLCを用いて分子量を確かめた。
【0194】
プロペ-2-エン酸(1,1,4-トリメチル-4-プロペ-2-エノイルオキシ-ペンチル)(架橋剤-6)
反応スキーム:
【化6】
【0195】
18g(0.123モル)の2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオールを100mlの塩化メチレン中に溶解した。53.5ml(0.307モル)のジ-イソプロピルエチルアミンを加えた。50mlのジクロロメタン中の25.6g(0.283モル)のアクリロイルクロリドの溶液を30分かけて加えた。542mgのBHTを加え、室温で24時間反応を続けさせた。
【0196】
混合物を500mlのメチルt.ブチルエーテルで希釈した。沈殿する塩をろ過により回収し、溶媒を減圧下で蒸発させた。
【0197】
Buechiにより供給されるGraceresolveカラム上の調製的カラムクロマトグラフィーにより、塩化メチレン/ヘキサン 60/40から塩化メチレンへの勾配溶離を用いてプロペ-2-エン酸(1,1,4-トリメチル-4-プロペ-2-エノイル
オキシ-ペンチル)を精製した。
【0198】
18.3g(収率=58%)のプロペ-2-エン酸(1,1,4-トリメチル-4-プロペ-2-エノイルオキシ-ペンチル)が単離された。
【0199】
Merckにより供給されるTLC Silica gel 60F254プレート上のTLC(溶離剤 塩化メチレン/酢酸エチル 95/5,Rf:0.55)を用い、プロペ-2-エン酸(1,1,4-トリメチル-4-プロペ-2-エノイルオキシ-ペンチル)を分析した。上記の方法に従い質量分析に連結されたTLCを用いて分子量を確かめた。
【0200】
プロペ-2-エン酸[1-メチル-1-[3-(1-メチル-1-プロペ-2-エノイルオキシ-エチル)フェニル]エチル](架橋剤-7)
反応スキーム:
【化7】
【0201】
18g(0.0926モル)の1,3-ジ(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ベンゼンを100mlの塩化メチレン中に溶解した。43.5ml(0.25モル)のジ-イソプロピル-エチル-アミンを加えた。40mlの塩化メチレン中の20.96g(0.232モル)のアクリロイルクロリドの溶液を30分かけて加えた。室温で24時間反応を続けさせた。
【0202】
減圧下で溶媒を除去し、Buechiにより供給されるGraceresolveカラム上の調製的カラムクロマトグラフィーにより、溶離剤として塩化メチレンを用いてプロペ-2-エン酸[1-メチル-1-[3-(1-メチル-1-プロペ-2-エノイルオキシ-エチル)フェニル]エチル]を精製した。
【0203】
15g(収率=53%)のプロペ-2-エン酸[1-メチル-1-[3-(1-メチル-1-プロペ-2-エノイルオキシ-エチル)フェニル]エチル]が単離された。
【0204】
Merckにより供給されるTLC Silica gel 60F254プレート上のTLC(溶離剤 塩化メチレン,Rf:0.3)を用い、プロペ-2-エン酸[1-メチル-1-[3-(1-メチル-1-プロペ-2-エノイルオキシ-エチル)フェニル]エチル]を分析した。上記の方法に従い質量分析に連結されたTLCを用いて分子量を確かめた。
【0205】
窒素含有一官能基性モノマーの製造
プロペ-2-エン酸3-ピリジルメチル(アミン-11)の合成
反応スキーム:
【化8】
【0206】
40g(0.36モル)の3-(ヒドロキシメチル)ピリジンを600mlのメチルt.ブチルエーテル中に溶解した。101ml(0.72モル)のトリエチルアミンを加え、混合物を-4℃に冷却した。温度を0と5℃の間に保ちながら、46g(0.36モル)の3-クロロプロピオニルクロドを45分間かけて加えた。室温で48時間反応を続けさせた。
【0207】
500mlの水を加え、メチルt.ブチルエーテル画分を単離した。メチルt.ブチルエーテル画分を300mlの水で抽出した。貯えられた水画分を300mlのメチルt.ブチルエーテルで抽出した。貯えられたメチルt.ブチルエーテル画分をMgSO4上で乾燥し、減圧下で溶媒を蒸発させた。Buechiにより供給されるGraceresolveカラム上の調製的カラムクロマトグラフィーにより、ヘキサン/塩化メチレン 50/50からヘキサン/酢酸エチル 50/50への勾配溶離を用いて粗プロペ-2-エン酸3-ピリジルメチルを精製した。11.2g(y:19%)のプロペ-2-エン酸3-ピリジルメチルが単離された。Merckにより供給されるTLC Silica gel 60F254プレート上のTLC(溶離剤 ヘキサン/酢酸エチル 50/50,Rf:0.8)を用い、プロペ-2-エン酸3-ピリジルメチルを分析した。
【0208】
実施例1
この実施例は、優れたアルカリ抵抗性を酸ストリッピング性と併せ持つ本発明に従うエッチレジストインキジェットインキ及びメッキレジストとしてのその適切性を示す。
【0209】
本発明の放射線硬化性組成物INV-1を表3に従って調製した。重量パーセンテージ(重量%)はすべて放射線硬化性組成物の合計重量に基づく。
【表3】
【0210】
エッチレジストとしての性能
10μmのワイアバーを用い、陽極酸化されたアルミニウム上に本発明の組成物INV-1をコーティングし、アルミニウムの一部を覆った。
【0211】
Technigrafにより供給されるAktiprint Mini上で、20m/分のベルト速度において2番目に低い位置でランプを用いてコーティングを硬化させた。コーティングは、Q-チップによりそれ以上それが損傷を受けない時に完全に硬化したと考えられた。本発明の組成物INV-1は1回の通過で完全に硬化すると証明された。
【0212】
部分的にコーティングされたアルミニウムストリップを、最初に12.55のpHを有する0.25M NaOH溶液中で室温において10分間エッチングした。ストリップを脱塩水で濯ぎ、続いて0.07M NaHSO4/0.09M H2SO4-溶液中に室温で10分間ストリップを浸漬した。試料を脱塩水で濯いだ。
【0213】
アルカリ抵抗性及び酸ストリップ性を視覚により判定した。
【0214】
完全なアルカリ抵抗性を0と採点し、完全な除去及びアルミニウムのエッチングを5と採点した。
【0215】
酸ストリッピングにおける完全な除去を0と判定し、完全な酸抵抗性を5と採点した。
【0216】
エッチング抵抗性に関する2以下の得点及びストリッピング性に関する2以下の得点は用途において有用であると考えられる。
【0217】
本発明の組成物INV-1の結果を表4にまとめる。
【表4】
【0218】
表4から、本発明に従う調製物がエッチレジストとして十分に機能を果たす(performing)ことが明らかになる。
【0219】
噴射性
標準的なDimatixTM 10plプリントヘッドが供えられたDimatixTM DMP2831系を用いて本発明の組成物INV-1の噴射性を評価した。5kHzの噴射周波数(firing frequency)、25Vの噴射電圧及び標準的な波形を用い、22℃においてインキを噴射した。すべてのノズルが特別な予備措置なしでよどみなく印刷していることが証明され、本発明の組成物INV-1の噴射性を証明した。
【0220】
メッキレジストとしての性能
以下のメッキ浴を調製し、メッキレジストとしての本発明の放射線硬化性組成物のアルミニウム上におけるアルカリ無電解メッキに関する評価において用いた。
【表5】
【0221】
NaOHを用いて組成物のpHを12.5に調整した。
【0222】
1-メトキシ-2-プロパノール中のポリ(エチレングリコール)メタクリレートモノホスフェートエステル(JPA-528,Johoku Chemical Company LTDにより供給される)の12重量%溶液の30ミクロンをアルミニウムプレート上にコーティングし、続いて乾燥することにより、アルミニウム支持体を調製した。
【0223】
10ミクロンの本発明の放射線硬化性組成物INV-1を処理されたアルミニウムの一部の上にコーティングし、Technigrafにより供給されるAktiprint Mini上で、20m/分のベルト速度において2番目に低い位置でランプを用いて硬化させた。
【0224】
コーティングされて硬化したアルミニウム試料を0.25Mの水酸化ナトリウム溶液中に室温で10分間浸漬した。
【0225】
第二段階に、清浄化されたアルミニウム支持体を上記の無電解メッキ浴中に60℃で10分間浸漬した。
【0226】
試料を濯ぎ、上記の酸ストリッピング浴中に浸漬し、濯ぎ、乾燥した。
【0227】
アルミニウムの保護されていない部分は銅層に転換された。硬化したレジスト下で銅の堆積は見いだされず、硬化したレジストは上記のストリッピングの後に完全に除去され、アルカリメッキ用途のためのメッキレジストとしての本発明の放射線硬化性組成物INV-1の適切性を証明した。
【0228】
実施例2
この実施例は、エッチレジスト用途におけるケタール含有架橋剤の性能を示す。
【0229】
表5に従って本発明の放射線硬化性組成物INV-2及びINV-3を調製した。重量パーセンテージ(重量%)はすべて放射線硬化性組成物の合計重量に基づく。
【表6】
【0230】
10μmのワイアバーを用い、陽極酸化されたアルミニウム上に本発明の組成物INV-2及びINV-3をコーティングし、アルミニウムの一部を覆った。Technigrafにより供給されるAktiprint Mini上で、20m/分のベルト速度において2番目に低い位置でランプを用いてコーティングを硬化させた。コーティングは、Q-チップによりそれ以上それが損傷を受けない時に完全に硬化したと考えられた。本発明の組成物INV-2及びINV-3は1回の通過で完全に硬化すると証明された。
【0231】
部分的にコーティングされたアルミニウムストリップを、最初に0.25M NaOH溶液中で室温において10分間エッチングした。次いでストリップを脱塩水で濯ぎ、続いて0.07M NaHSO4/0.09M H2SO4-溶液中に室温で10分間ストリップを浸漬した。試料を脱塩水で濯いだ。
【0232】
アルカリ抵抗性及び酸ストリップ性を判定し、実施例1に記載した通りに採点した。本発明の組成物INV-2及びINV-3の結果を表6にまとめる。
【表7】
【0233】
表6から、本発明に従うケタール含有架橋剤がエッチレジスト用途において十分に機能を果たすことが明らかになる。
【0234】
実施例3
この実施例は、エッチレジスト用途における第3級アルキルエステル含有架橋剤の性能を示す。
【0235】
表7に従って本発明の放射線硬化性組成物INV-4及びINV-5を調製した。重量パーセンテージ(重量%)はすべて放射線硬化性組成物の合計重量に基づく。
【表8】
【0236】
10μmのワイアバーを用い、陽極酸化されたアルミニウム上に本発明の組成物INV-4及びINV-5をコーティングし、アルミニウムの一部を覆った。Technigrafにより供給されるAktiprint Mini上で、20m/分のベルト速度において2番目に低い位置でランプを用いてコーティングを硬化させた。コーティングは、Q-チップによりそれ以上それが損傷を受けない時に完全に硬化したと考えられた。本発明の組成物INV-4及びINV-5は1回の通過で完全に硬化すると証明された。
【0237】
部分的にコーティングされたアルミニウムストリップを、最初に0.25M NaOH溶液中で室温において10分間エッチングした。次いでストリップを脱塩水で濯ぎ、続いて0.49Mのメタンスルホン酸溶液中に室温で10分間ストリップを浸漬した。試料を脱塩水で濯いだ。
【0238】
アルカリ抵抗性及び酸ストリップ性を視覚により判定し、実施例1に記載した通りに採点した。本発明の組成物INV-4及びINV-5の結果を表8にまとめる。
【表9】
【0239】
表8から、本発明に従う第3級アルキルエステル含有架橋剤がエッチレジスト用途において十分に機能を果たすことが明らかになる。
【0240】
実施例4
この実施例は、エッチレジスト調製物中の酸に不安定でない架橋剤の含有量における限界を示す。
【0241】
表9に従って本発明の放射線硬化性組成物INV-6及びINV-7ならびに比較用の放射線硬化性組成物COMP-1及びCOMP-2を調製した。重量パーセンテージ(重量%)はすべて放射線硬化性組成物の合計重量に基づく。
【表10】
【0242】
10μmのワイアバーを用い、陽極酸化されたアルミニウム上に本発明の組成物INV-6及びINV-7ならびに比較用の放射線硬化性組成物COMP-1及びCOMP-2をコーティングし、アルミニウムの一部を覆った。Technigrafにより供給されるAktiprint Mini上で、20m/分のベルト速度において2番目に低い位置でランプを用いてコーティングを硬化させた。コーティングは、Q-チップによりそれ以上それが損傷を受けない時に完全に硬化したと考えられた。本発明の組成物INV-6及びINV-7ならびに比較用の放射線硬化性組成物COMP-1及びCOMP-2は1回の通過で完全に硬化すると証明された。
【0243】
部分的にコーティングされたアルミニウムストリップを、最初に0.25M NaOH溶液中で室温において10分間エッチングした。ストリップを脱塩水で濯ぎ、続いて0.07M NaHSO4/0.09M H2SO4-溶液中に室温で10分間ストリップを浸漬した。試料を脱塩水で濯いだ。
【0244】
アルカリ抵抗性及び酸ストリップ性を視覚により判定し、実施例1に記載した通りに採点した。本発明の組成物INV-6及びINV-7ならびに比較用の実施例COMP-1及びCOMP-2の結果を表10にまとめる。
【表11】
【0245】
表10から、本発明に従う放射線硬化性組成物中に10重量%より多い非酸架橋剤(non acid crosslinker)を含むことは、レジストのストリッピング性に重大に影響することが明らかになる。
【0246】
実施例5
この実施例はエッチレジストの性能についての少なくとも3.5の共役酸のpKaを有する窒素含有モノマーにおける変動を示す。
【0247】
表11に従って本発明の放射線硬化性組成物INV-8及びINV-9を調製した。重量パーセンテージ(重量%)はすべて放射線硬化性組成物の合計重量に基づく。
【表12】
【0248】
10μmのワイアバーを用い、陽極酸化されたアルミニウム上に本発明の組成物INV-8及びINV-9をコーティングし、アルミニウムの一部を覆った。
【0249】
Technigrafにより供給されるAktiprint Mini上で、20m/分のベルト速度において2番目に低い位置でランプを用いてコーティングを硬化させた。コーティングは、Q-チップによりそれ以上それが損傷を受けない時に完全に硬化したと考えられた。
【0250】
本発明の組成物INV-8及びINV-9は1回の通過で完全に硬化すると証明された。
【0251】
部分的にコーティングされたアルミニウムストリップを、最初に0.25M NaOH溶液中で室温において10分間エッチングした。
【0252】
ストリップを脱塩水で濯ぎ、続いて0.07M NaHSO4/0.09M H2SO4-溶液中に室温で10分間ストリップを浸漬した。
【0253】
試料を脱塩水で濯いだ。
【0254】
アルカリ抵抗性及び酸ストリップ性を視覚により判定し、実施例1に記載した通りに採点した。本発明の組成物INV-8及びINV-9の結果を表12にまとめる。
【表13】
【0255】
表12から、本発明に従う窒素含有モノマーにおける多種多様性を用いてエッチレジストにおけるストリッピング許容性を生じ得ることが明らかになる。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2021-12-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-少なくとも2個の重合可能な基を含むモノマーを含む放射線硬化性組成物を支持体の表面上に適用し、それにより画像(2)を形成し;
-画像を硬化させ;
-硬化した画像により覆われていない支持体の表面をアルカリ性溶液を用いてメッキ(4)又はエッチング(3)し;
-酸性溶液を用いて硬化した画像を除去する(5)
段階を含む金属製品(6)の製造方法であって、
重合可能な基の間の連結基がアセタール、ケタール、オルトエステル、オルトカーボネート、第3級エステル、第3級カーボネート及び第3級ウレタンからなる群より選ばれる少なくとも1個の酸分解性又は加水分解性基を含むことを特徴とし、且つここで組成物はさらに重合可能組成物の合計重量に対して10重量%未満の少なくとも2個の重合可能な基を含む他のモノマーを含む、
金属製品(6)の製造方法。
【請求項2】
酸分解性又は加水分解性基がアセタール又はケタールである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
重合可能な基がアクリレート、メタクリレート、アクリルアミド及びメタクリルアミドからなる群より選ばれる請求項に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも3.5の共役酸のpKaを有する窒素含有一官能基性モノマーをさらに含む請求項に記載の方法。
【請求項5】
窒素含有モノマーが第3級アミン、ピリジン及びイミダゾール基からなる群より選ばれる少なくとも1個の官能基を用いて官能基化されている請求項4に記載の方法。
【請求項6】
共役酸のpKaが少なくとも9である請求項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも2個の重合可能な基を含み且つここで重合可能な基の間の連結基が少なくとも1個の酸分解性又は加水分解性基を含むモノマーが、式I
【化1】
[式中、
1及びR4は独立して水素及びC1ないしC4アルキル基からなる群より選ばれ;
2及びR3は独立して水素、置換若しくは非置換アルキル基、置換若しくは非置換アルケニル基、置換若しくは非置換アルキニル基及び置換若しくは非置換(ヘテロ)アリール基からなる群より選ばれ;
2及びR3は5ないし8員環の形成に必要な原子を示すことができ;
1及びL2は独立して10個以下の炭素原子を含む二価の連結基を示し;
1及びX2は独立して酸素及びR5Nからなる群より選ばれ;
5は水素及び置換若しくは非置換アルキル基からなる群より選ばれる]
に従う化学構造を有する請求項に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも2個の重合可能な基を含み且つここで重合可能な基の間の連結基が少なくとも1個の酸分解性又は加水分解性基を含むモノマーが、式II
【化2】
[式中、
6及びR9は独立して水素及びC1ないしC4アルキル基からなる群より選ばれ;
7及びR8は独立して置換若しくは非置換アルキル基、置換若しくは非置換アルケニル基、置換若しくは非置換アルキニル基及び置換若しくは非置換(ヘテロ)アリール基からなる群より選ばれ;
7及びR8は5ないし8員環の形成に必要な原子を示すことができ;
3は20個以下の炭素原子を含む二価の連結基を示す]
に従う化学構造を有する請求項に記載の方法。
【請求項9】
UV線を用いて硬化が行われる請求項に記載の方法。
【請求項10】
アルカリ性溶液が9と14の間のpHを有する請求項に記載の方法。
【請求項11】
酸性溶液のpHが2と5の間である請求項に記載の方法。
【請求項12】
電子装置の製造のための請求項に記載の製造方法の使用。
【請求項13】
電子装置がプリント基板(PCB)である請求項12に記載の使用。
【請求項14】
装飾目的のための請求項に記載の製造方法の使用。
【請求項15】
-少なくとも2個の重合可能な基を含む、
放射線硬化性組成物を用いて3D物体の少なくとも一部と関連する支持体(15)を印刷し;そして
-酸性溶液を用いて支持体の少なくとも一部を除去する
段階を含む、三次元(3D)物体(10)の製造のための印刷方法であって、
重合可能な基の間の連結基がアセタール、ケタール、オルトエステル、オルトカーボネート、第3級エステル、第3級カーボネート及び第3級ウレタンからなる群より選ばれる少なくとも1個の酸分解性又は加水分解性基を含むことを特徴とするモノマーを含み、且つここで組成物はさらに重合可能組成物の合計重量に対して10重量%未満の少なくとも2個の重合可能な基を含む他のモノマーを含む、
印刷方法。
【国際調査報告】