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特表2022-540073ジヒドロピロロピリミジン系選択性JAK2阻害剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-14
(54)【発明の名称】ジヒドロピロロピリミジン系選択性JAK2阻害剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20220907BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220907BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20220907BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20220907BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220907BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20220907BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220907BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20220907BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20220907BHJP
   A61P 5/14 20060101ALI20220907BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20220907BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220907BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20220907BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20220907BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20220907BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20220907BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20220907BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20220907BHJP
   A61P 31/22 20060101ALI20220907BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20220907BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20220907BHJP
   A61P 27/04 20060101ALI20220907BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20220907BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220907BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220907BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20220907BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20220907BHJP
   A61K 31/541 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
C07D487/04 140
C07D487/04 CSP
A61P43/00 111
A61P37/06
A61P37/02
A61P25/00
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P17/06
A61P1/04
A61P5/14
A61P17/04
A61P17/00
A61P37/08
A61P11/06
A61P11/02
A61P1/16
A61P31/20
A61P31/14
A61P31/22
A61P3/10
A61P25/28
A61P27/04
A61P7/00
A61P35/02
A61P35/00
A61K31/519
A61K31/5377
A61K31/541
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021578190
(86)(22)【出願日】2019-12-23
(85)【翻訳文提出日】2021-12-29
(86)【国際出願番号】 CN2019127676
(87)【国際公開番号】W WO2021017384
(87)【国際公開日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】201910698079.2
(32)【優先日】2019-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521510051
【氏名又は名称】シャンハイ シュンフェァ ファーマシューティカル テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI XUNHE PHARMACEUTICAL TECHNOLOGY CO. LTD.
【住所又は居所原語表記】Zheng, Yongyong Room 216, Building 2,No. 1366 Qixin Road, Minhang District Shanghai 200000 CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ ノンノン
(72)【発明者】
【氏名】ジン ファ
(72)【発明者】
【氏名】ヂォン ヨンヨン
(72)【発明者】
【氏名】ヂョウ フォン
(72)【発明者】
【氏名】ファン メイファー
【テーマコード(参考)】
4C050
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB04
4C050CC08
4C050EE03
4C050FF01
4C050GG04
4C050HH02
4C050HH04
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA16
4C086ZA33
4C086ZA34
4C086ZA51
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA75
4C086ZA89
4C086ZA96
4C086ZB05
4C086ZB08
4C086ZB13
4C086ZB15
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZB33
4C086ZC06
4C086ZC20
4C086ZC35
(57)【要約】
本発明は、生物医学技術分野に属し、具体的には、ジヒドロピロロピリミジン系選択性JAK2阻害剤またはその薬理学的に許容される塩に関する。先行技術と比べて、本発明で提供するピロロピリミジン系化合物、その立体異性体およびその薬理学的に許容される塩は、よりよいヤヌスキナーゼ阻害活性を有し、JAK2に対する標的抑制の選択性は、既存の化合物よりも著しく優れている。本発明の好ましい化合物は、良好な薬物動態の性質を示し、選択性JAK2阻害剤として開発する潜在性を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式Iによって示されるジヒドロピロロピリミジン系選択性JAK2阻害剤またはその薬理学的に許容される塩。
【化1】
式中、
XはOであるか、または存在しない
YはO、S、SO2またはNRである
WはNまたはCHである
Rは水素、C1~6アルキル基、C2~6アルケニル基、C2~6アルキニル基、C1~6アルコキシ基、またはC1~6カルボニル基である
mは0、1、2、3、4、5または6である
nは0、1または2である
【請求項2】
化学式I中、
XはOであるか、または存在しない、
YはO、S、SO2またはNRである、
WはNまたはCHである、
Rは水素またはC1~4アルキル基である、
mは0、1、2または3である、
nは0または1である、
ことを特徴とする請求項1に記載のジヒドロピロロピリミジン系選択性JAK2阻害剤またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項3】
化学式I中、
XはOであるか、または存在しない、
YはO、S、SO2またはNRである、
WはNまたはCHである、
Rは水素またはメチル基である、
mは0、1または2である、
nは0または1である、
ことを特徴とする請求項1に記載のジヒドロピロロピリミジン系選択性JAK2阻害剤またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項4】
下記表1の化合物から選ばれることを特徴とする請求項1に記載のジヒドロピロロピリミジン系選択性JAK2阻害剤またはその薬理学的に許容される塩。
【表1】
【請求項5】
次のステップを含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のジヒドロピロロピリミジン系選択性JAK2阻害剤またはその薬理学的に許容される塩の製造方法。
(1)化合物1と化合物2を縮合反応させ化合物3を得る
(2)化合物3をさらに過硫酸水素カリウムで酸化させ化合物4を得る
(3)化合物4を水素化ホウ素ナトリウムで還元し化合物5を得る
(4)化合物5のヒドロキシル基をメタンスルホニルクロリドで活性化させた後に閉環反応を発生させ共通中間体7を得る
(5)化合物7と一般式IAの化合物を縮合反応させ最終生成物Iを得る
【請求項6】
JAKに関連する疾患を予防または治療する医薬品の製造における、請求項1~4のいずれかに記載のジヒドロピロロピリミジン系選択性JAK2阻害剤またはその薬理学的に許容される塩の用途。
【請求項7】
前記JAKに関連する疾患が、臓器移植拒絶、エリテマトーデス、多発性硬化症、関節リウマチ、若年性関節炎、乾癬、潰瘍性大腸炎、クローン病、自己免疫性甲状腺疾患、乾癬、痒み、アトピー性皮膚炎、喘息、鼻炎、B型肝炎、C型肝炎、水痘・帯状疱疹ウイルス、I型糖尿病および糖尿病合併症、アルツハイマー病、ドライアイ、骨髄線維症、血小板血症、多血症、白血病、多発性骨髄腫、前立腺がん、腎臓がん、肝がん、膵臓がん、胃がん、乳がん、肺がん、頭頸部がん、甲状腺がん、膠芽腫、メラノーマ、リンパ腫、白血病、並びに、皮膚T-細胞リンパ腫または皮膚T細胞リンパ腫を含むことを特徴とする請求項6に記載の用途。
【請求項8】
治療有効量の請求項1~4のいずれかに記載のジヒドロピロロピリミジン系選択性JAK2阻害剤またはその薬理学的に許容される塩、および薬理学的に許容される担体を含む、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物医学の技術分野に属し、具体的には、ジヒドロピロロピリミジン系選択性JAK2阻害剤およびその薬理学的に許容される塩に関する。
【背景技術】
【0002】
JAK(Janus Kinase(ヤヌスキナーゼ))は、非受容体型チロシンキナーゼ(PTK)である。JAK-STAT経路は、主として、(1)サイトカイン、(2)受容体、(3)JAKキナーゼ、(4)シグナル伝達兼転写活性化因子(STAT)の4つの部分からなる。JAK-STATは、セカンドメッセンジャー以外で最も重要なシグナル伝達経路である。JAKキナーゼは、受容体に結合することによりインターフェロン、インターロイキン、成長因子などの細胞外からのシグナルを受け、情報をSTATに伝達する。リン酸化したSTATは、細胞内から細胞核へと移行することができる。様々な異なるSTATがそれぞれ異なるプロモーターDNA配列に結合する。プロモーターは、そのDNA配列の発現を制御し、DNAの転写と活性レベルに変化を引き起こすことができ、これにより細胞の増殖、分化および死等の基本的な細胞の機能に影響を及ぼす。
【0003】
JAKキナーゼファミリーのタンパク質は、全部でJAK1、JAK2、JAK3、TYK2の4つがある。機能獲得型発現または変異の分析から見て、JAK1、JAK3は、免疫調節とより多く関係しており、JAK2は、赤血球および血小板の生成に直接関係している。機能欠損の分析から見て、JAK1、JAK2機能欠損は、マウスの胚を死亡させる。ヒトにおいてはJAK1、JAK2機能欠損に関連する疾患はまだ見つかっていないが、JAK1/2の生理機能における重要性が間接的に示されている。JAK3機能欠損は、重症複合免疫不全症をもたらし、これも、後述する、JAK3を標的とすることにより自己免疫に関連する疾患を調節する根拠である。TYK2の機能の研究は比較的少ないが、内因性免疫に関する不全を引き起こすことが報告されている。
【0004】
JAK2 V617Fの変異が骨髄増殖性腫瘍(MPN)において見つかったことにより、JAK2阻害剤の開発が大きく促進された。MPNは、骨髄における造血前駆細胞の異常な増殖を特徴とする慢性疾患である。MPNは、骨髄線維症(myelofibrosis,MF)、真性多血症(polycythemia vera,PV)、本態性血小板血症(essential thrombocythemia,ET)および慢性骨髄性白血病(chronic myelogenous leukemia,CML)を含む。PV患者の約95%ならびにMFおよびET患者の50~60%で、JAK2 V617Fという単一のアミノ酸変異が認められており、JAK2の立体配座で変化が引き起こされ、細胞外のサイトカインのシグナルに依存しないキナーゼドメインの持続的な活性がもたらされることにより、細胞の増殖および血液がんが引き起こされる。
【0005】
WO2007070514Aで報告されているRuxolitinibは、当初Incyteによって開発された、JAK1/JAK2小分子キナーゼ阻害剤である。2011年11月にFDAによって承認され、中、高リスクの骨髄線維症MFの治療に用いられている。2014年には、さらに真性多血症に用いることが承認された。Ruxolitinibは、JAK2 V617Fの変異により引き起こされる脾臓の腫大を緩和し、患者の倦怠感の症状を軽減することができる。
【0006】
Ruxolitinibは、変異した血液がん細胞のJAK2 V617F遺伝子変異量を減少させることができないので、Ruxolitinibでは治癒効果をほとんどもたらすことができない。また、RuxolitinibのJAK2標的選択性は高くなく、副作用は著しく、Ruxolitinibの毒性・副作用としては、主として、貧血、血小板減少症、好中球減少症および下痢等が挙げられる。
【0007】
初期の報告では、Ruxolitinibの投与停止後に著しい予後があまりよくない炎症症候群が現れたが、その後3年間の追跡調査では、持続的な類似の不良反応が観察されていないことが示されており、こうした反応は、Ruxolitinibの投与停止による重篤な離脱性の炎症症候群である可能性がある。脾臓の大きさを密接にモニタリングすべきであり、Ruxolitinibの治療期間にも脾臓が大きくなっている場合は、投与停止後のMFの関連症状が、ベースラインレベルに戻り、進行を続ける可能性もある。そのため、Ruxolitinibによる治療の中断を考慮する際には、用量を徐々に少なくするか、または皮質ホルモンを併用して治療すべきである。
【0008】
新世代のMPN治療薬の開発は、JAK2選択性の阻害剤に重点が置かれており、標的JAK1により引き起こされる過多な副作用を低減するとともに、治療効果を増加させることが望まれている。
【0009】
現在、CN101370792A、WO2010017122、CN101421250A、WO2010074947A1など、一連のJAK阻害剤の特許出願がすでに開示されている。一連のJAK阻害剤がすでに開示されているにもかかわらず、よりよい効果を有し、副作用がより低い新しいJAK阻害剤系化合物、特にJAK2選択性阻害剤を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0010】
先行技術において存在する課題を克服するため、本発明の目的は、ジヒドロピロロピリミジン系JAK2選択性阻害剤を提供することにある。
【0011】
上記目的およびその他の関連する目的を実現するため、本発明は、次の技術手法を採用する。化学式Iによって示されるジヒドロピロロピリミジン系化合物、その薬理学的に許容される塩:
【化1】
式中、
XはOであるか、または存在しない。
YはO、S、SO2またはNRである。
WはNまたはCHである。
Rは水素、C1~6アルキル基、C2~6アルケニル基、C2~6アルキニル基、C1~6アルコキシ基、またはC1~6カルボニル基である。
mは0、1、2、3、4、5または6である。
nは0、1または2である。
好ましくは、式中、
XはOであるか、または存在しない。
YはO、S、SO2またはNRである。
WはNまたはCHである。
Rは水素またはC1~4アルキル基である。
mは0、1、2または3である。
nは0または1である。
より好ましくは、式中、
XはOであるか、または存在しない。
YはO、S、SO2またはNRである。
WはNまたはCHである。
Rは水素またはC1~3アルキル基である。
mは0、1または2である。
nは0または1である。
さらに、式中、
XはOであるか、または存在しない。
YはO、S、SO2またはNRである。
WはNまたはCHである。
Rは水素またはメチル基である。
mは0、1または2である。
nは0または1である。
【0012】
本発明の典型的な化合物は、次の表1の化合物を含むが、これらに限定されない。
【表1】
【0013】
本発明の第2の目的は、上記化合物の合成方法を提供することである。
(1)化合物1と化合物2を縮合反応させ化合物3を得る。
(2)化合物3を過硫酸水素カリウムで酸化させ化合物4を得る。
(3)化合物4を水素化ホウ素ナトリウムで還元し化合物5を得る。
(4)化合物5のヒドロキシル基をメタンスルホニルクロリドで活性化させた後に閉環反応を発生させ共通中間体7を得る。
(5)化合物7と一般式IAの化合物を縮合反応させ最終生成物Iを得る。
ステップ(5)における各基の定義は上述したとおりである。
【0014】
本発明の第3の目的は、上記化合物を新型JAK阻害剤としてJAKに関連する疾患を予防または治療する医薬品における用途を提供することにあり、具体的には、主として、臓器移植拒絶(異物の排除および移植片対宿主病など)を含む免疫系の疾患、例えばエリテマトーデス、多発性硬化症、関節リウマチ、若年性関節炎、乾癬、潰瘍性大腸炎、クローン病、自己免疫性甲状腺疾患等を含む自己免疫疾患、例えば乾癬、痒み、アトピー性皮膚炎等を含む皮膚病、例えば喘息、鼻炎等を含むアレルギー性疾患、例えばB型肝炎、C型肝炎、水痘・帯状疱疹ウイルス等を含むウイルス性疾患、1型糖尿病および糖尿病合併症、アルツハイマー病、ドライアイ、骨髄線維症、血小板血症、多血症または白血病、多発性骨髄腫、例えば固形腫瘍(前立腺がん、腎臓がん、肝がん、膵臓がん、胃がん、乳がん、肺がん、頭頸部がん、甲状腺がん、膠芽腫、メラノーマ等)、皮膚がん(例えば、皮膚T細胞リンパ腫、皮膚細胞リンパ腫)等のがんなどの疾患を予防または治療することをいう。
【0015】
本発明の誘導体は、疾患治療の実施中に、組成物を、経口投与、注射等の方式で、関連するがんおよびその他の疾患の治療に用いることができる。経口投与に用いるとき、錠剤、散剤またはカプセル等の通常の固形製剤に製造することができ、注射に用いるとき、注射液に製造することができる。
【0016】
本発明の第4の目的は、治療有効量の上記ピロロピリミジン系化合物、その立体異性体またはその薬理学的に許容される塩、および薬理学的に許容される担体を含む組成物を提供することにある。
【0017】
薬理学的に許容される塩として、例えば、金属塩、有機塩基と形成される塩、無機酸と形成される塩、有機酸と形成される塩、塩基性または酸性アミノ酸と形成される塩等が挙げられる。金属塩の非制限的実施例は、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属の塩、例えばカルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、アルミニウム塩等のアルカリ土類金属の塩を含むが、これらに限定されない。無機酸と形成される塩の非制限的実施例は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等と形成される塩を含むが、これらに限定されない。有機酸と形成される塩の非制限的実施例は、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、リンゴ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等と形成される塩を含むが、これらに限定されない。
【0018】
前記担体とは、水等の希釈剤、賦形剤、セルロース誘導体、ゼラチン、ポリビニルピロリドン等の結合剤、デンプン等の充填剤、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム等の崩壊剤などの薬学分野の常套の担体をいい、また、香料および甘味料などのその他の助剤を組成物の中に加えてもよい。
【0019】
本発明の組成物の各種剤形は、医学分野の常套の方法を用いて製造することができ、有効成分の含有量は0.1%~99.5%(重量比)である。
【0020】
本発明の用量は、投与経路、患者の年齢、体重、治療する疾患のタイプおよび重篤度等によって変化し、1日あたりの用量は0.001~30mg/kg体重(経口投与)または0.005~30mg/kg体重(注射)である。
【0021】
先行技術と比べて、本発明で提供するピロロピリミジン系化合物、その立体異性体およびその薬理学的に許容される塩は、よりよいヤヌスキナーゼ阻害活性を有し、JAK2に対する標的抑制の選択性は、既存の化合物よりも著しく優れている。本発明の好ましい化合物は、良好な薬物動態の性質を示し、選択性JAK2阻害剤として開発する潜在性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例における技術手法について、明晰かつ完全に記述するが、記述する実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではないことは明らかである。本発明における実施例に基づき、当業者が創造的労働を行わない前提の下で得たその他すべての実施例は、いずれも本発明の保護する範囲に属す。
【0023】
参考例1:共通中間体7の合成経路
操作ステップ:
ステップ1、中間体3の合成
化合物1(246 mg,1.0 mmol)、化合物2(228 mg,1.0 mmol)をDMSO(8 mL)に加え、150℃の条件で2時間マイクロ波反応させた。反応混合物を乾燥するまで減圧濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(移動相はジクロロメタン)、黄色固体中間体3(186mg,収率42%)を得た。1HNMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.97 (s, 1H), 8.17 (s, 1H), 8.08 (s, 1H), 7.87-7.81 (m, 1H), 7.54-7.46 (m, 3H), 4.10 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 3.79 (s, 2H), 2.44 (s, 3H), 1.21 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 1.12 (s, 9H). LCMS: MS Calcd.: 438.6, MS Found: 439.3。
ステップ2、中間体4の合成
化合物3(480 mg,1.1 mmol)のDMF(20 mL)溶液に過硫酸水素カリウム(1.35 g,2.2 mmol)を加えた。反応液を室温で一晩撹拌し、LC-MSでモニタリングし完全に反応させた。反応混合物を乾燥するまで減圧濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(移動相はジクロロメタン/メタノール:30/1)、黄色固体中間体4(220mg,収率43%)を得た。LCMS: MS Calcd.: 470.6, MS Found: 471.2。
ステップ3、中間体5の合成
化合物4(1.06 g,2.42mmol)のTHF(60 mL)溶液に水素化ホウ素ナトリウム(184 mg,4.84 mmol)を加え、反応液を室温で一晩撹拌し、TLCでモニタリングし完全に反応させた。反応混合物を乾燥するまで減圧濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(移動相はジクロロメタン/メタノール:100/1から30/1)、白色固体中間体5(622mg,収率65%)を得た。LCMS: MS Calcd.: 428.5, MS Found: 429.2。
ステップ4、中間体6の合成
化合物4(142 mg,0.33 mmol)のジクロロメタン(20 mL)溶液にメタンスルホニルクロリド(76 mg,0.66 mmol)およびトリエチルアミン(100 mg,0.99 mmol)を加え、反応液を室温で1時間撹拌し、TLCでモニタリングして完全に反応させた。反応混合物を乾燥するまで減圧濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(移動相はジクロロメタン/メタノール:100/1から30/1)、黄色固体中間体6(122mg,収率72%)を得た。LCMS: MS Calcd.: 506.6, MS Found: 507.3。
ステップ5、中間体7の合成
化合物5(122 mg,0.24 mmol)のDMF(10 mL)溶液にDBU(36 mg,0.24 mmol)を加え、反応液を80℃で撹拌し1時間反応させ、LC-MSでモニタリングして完全に反応させた。反応混合物を乾燥するまで減圧濃縮し、残留物をprep-HPLC(NH4Ac as additive)で製造分離し、黄色固体中間体7(36.4 mg,収率39%)を得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3): δ = 8.50 (s, 1H), 8.24 (s, 1H), 7.92 (dd, J = 1.6 Hz, 1H), 7.66 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.55 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 4.65 (m, 1H), 4.29 (s, 1H), 4.29 (t, J = 8.8 Hz, 2H), 3.40-3.26 (m, 5H), 1.26 (s, 9H)。
【0024】
実施例1: I-1の合成
合成経路:
操作ステップ:
化合物7(20 mg,0.05 mmol)、IA-1(30 mg,0.15 mmol)をトリフルオロ酢酸(5 mL)に加え、系を内温100℃まで加熱し12時間反応させ、LC-MSでモニタリングして完全に反応させた。反応混合物を乾燥するまで減圧濃縮し、残留物をprep-HPLC(NH4Ac as additive)で製造分離し、灰色固体I-1(20.2 mg,収率77%)を得た。1HNMR (400 MHz, CD3OD): δ = 8.34 (s, 1H), 7.97 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.70 (s, 1H), 7.47-7.33 (m, 4H), 6.84 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 4.08-3.97 (m, 4H), 2.99 (t, J = 8.4 Hz, 2H), 2.85 (t, J = 5.2 Hz, 2H), 2.67-2.56 (m, 4H), 1.80-1.68 (m, 4H), 1.08 (s, 9H). LCMS: MS Calcd.: 536.7, MS Found: 537.0。
【0025】
実施例2: I-2の合成
合成経路:
操作ステップ:
操作ステップおよび精製方法は、実施例1を参照する。収率は70%であった。1HNMR (400 MHz, CD3OD): δ = 8.35 (s, 1H), 7.96 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.45-7.35 (m, 4H), 6.83 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 4.05-3.97 (m, 4H), 2.97 (t, J = 8.4 Hz, 2H), 2.87 (t, J = 5.6 Hz, 2H), 2.65-2.56 (m, 4H), 2.47-2.25 (m, 4H), 1.07 (s, 9H). LCMS: MS Calcd.: 551.7, MS Found: 552.3。
【0026】
実施例3: I-3の合成
合成経路:
操作ステップ:
操作ステップおよび精製方法は、実施例1を参照する。収率は75%であった。1HNMR (400 MHz, CD3OD): δ = 8.33 (s, 1H), 7.95 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.73 (s, 1H), 7.44-7.35 (m, 4H), 6.82 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 4.06-3.97 (m, 4H), 3.87-3.59 (m, 4H), 2.98 (t, J = 8.4 Hz, 2H), 2.87 (t, J = 5.6 Hz, 2H), 2.45-2.28 (m, 4H), 1.09 (s, 9H). LCMS: MS Calcd.: 552.7, MS Found: 553.2。
【0027】
実施例4: I-4の合成
合成経路:
操作ステップ:
操作ステップおよび精製方法は、実施例1を参照する。収率は73%であった。1HNMR (400 MHz, CD3OD): δ = 8.37 (s, 1H), 7.97 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.72 (s, 1H), 7.46-7.37 (m, 4H), 6.82 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 4.06-3.97 (m, 4H), 2.96 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 2.88 (t, J = 5.6 Hz, 2H), 2.67-2.56 (m, 4H), 2.48-2.27 (m, 4H), 2.25 (s, 3H), 1.05 (s, 9H). LCMS: MS Calcd.: 565.7, MS Found: 566.2。
【0028】
実施例5: I-5の合成
合成経路:
操作ステップ:
操作ステップおよび精製方法は、実施例1を参照する。収率は79%であった。1HNMR (400 MHz, CD3OD): δ = 8.33 (s, 1H), 7.93 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.70 (s, 1H), 7.43-7.31 (m, 4H), 6.80 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 4.07-3.98 (m, 4H), 2.97 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 2.88 (t, J = 5.2 Hz, 2H), 2.49-2.31 (m, 4H), 1.67-1.52 (m, 6H), 1.07 (s, 9H). LCMS: MS Calcd.: 550.7, MS Found: 551.2。
【0029】
実施例6: I-6の合成
合成経路:
操作ステップ:
操作ステップおよび精製方法は、実施例1を参照する。収率は67%であった。1HNMR (400 MHz, CD3OD): δ = 8.34 (s, 1H), 7.95 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.72 (s, 1H), 7.43-7.32 (m, 4H), 6.83 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 4.09-3.98 (m, 4H), 3.69-3.57 (m, 4H), 2.98 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 2.93-2.89 (m, 4H), 2.85 (t, J = 5.2 Hz, 2H), 1.07 (s, 9H). LCMS: MS Calcd.: 600.7, MS Found: 601.2。
【0030】
実施例7: I-7の合成
合成経路:
操作ステップ:
操作ステップおよび精製方法は、実施例1を参照する。収率は75%であった。1HNMR (400 MHz, CD3OD): δ = 8.33 (s, 1H), 7.93 (m, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.43-7.31 (m, 4H), 6.82 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 4.10 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 2.97 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 2.57-2.43 (m, 6H), 2.29 (s, 3H), 1.81-1.63 (m, 5H), 1.08 (s, 9H). LCMS: MS Calcd.: 534.7, MS Found: 535.3。
【0031】
実施例8: I-8の合成
合成経路:
操作ステップ:
操作ステップおよび精製方法は、実施例1を参照する。収率は78%であった。1HNMR (400 MHz, CD3OD): δ = 8.35 (s, 1H), 7.94 (d, J = 8.0 Hz, 1H),, 7.72 (s, 1H), 7.45-7.31 (m, 4H), 6.86 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 4.13 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 3.69 (s, 2H), 2.99 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 2.56-2.38 (m, 10H), 1.09 (s, 9H), 1.03 (m, 3H). LCMS: MS Calcd.: 549.7, MS Found: 550.3。
【0032】
実施例9: I-9の合成
合成経路:
操作ステップ:
操作ステップおよび精製方法は、実施例1を参照する。収率は71%であった。1HNMR (400 MHz, CD3OD): δ = 8.31 (s, 1H), 7.92 (d, J = 8.0 Hz, 1H),, 7.70 (s, 1H), 7.44-7.29 (m, 4H), 6.85 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 4.12 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 3.69 (s, 2H), 3.51-3.37 (m, 4H), 2.97 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 2.87-2.78 (m, 4H), 1.09 (s, 9H). LCMS: MS Calcd.: 570.7, MS Found: 571.3。
【0033】
実施例10: I-10の合成
合成経路:
操作ステップ:
操作ステップおよび精製方法は、実施例1を参照する。収率は75%であった。1HNMR (400 MHz, CD3OD): δ = 8.34 (s, 1H), 7.91 (m, 1H), 7.70 (s, 1H), 7.42-7.31 (m, 4H), 6.84 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 4.12 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 3.72-3.55 (m, 4H), 2.97 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 2.45 (s, 2H), 1.81-1.62 (m, 5H), 1.06 (s, 9H). LCMS: MS Calcd.: 521.7, MS Found: 522.3。
【0034】
実施例11: I-11の合成
合成経路:
操作ステップ:
操作ステップおよび精製方法は、実施例1を参照する。収率は71%であった。1HNMR (400 MHz, CD3OD): δ = 8.33 (s, 1H), 7.92 (d, J = 8.0 Hz, 1H),, 7.73 (s, 1H), 7.41-7.29 (m, 4H), 6.84 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 4.13 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 3.69-3.65 (m, 6H), 2.97 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 2.55-2.48 (m, 4H), 1.05 (s, 9H). LCMS: MS Calcd.: 522.7, MS Found: 523.1。
【0035】
実施例12: I-12の合成
合成経路:
操作ステップ:
操作ステップおよび精製方法は、実施例1を参照する。収率は68%であった。1HNMR (400 MHz, CD3OD): δ = 8.31 (s, 1H), 7.92 (d, J = 8.0 Hz, 1H),, 7.69 (s, 1H), 7.42-7.31 (m, 4H), 6.83 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 4.14 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 3.67 (s, 2H), 3.03 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 2.49-2.38 (m, 8H), 2.30 (s, 3H), 1.06 (s, 9H). LCMS: MS Calcd.: 535.7, MS Found: 536.3。
【0036】
実施例13: I-13の合成
合成経路:
操作ステップ:
操作ステップおよび精製方法は、実施例1を参照する。収率は65%であった。1HNMR (400 MHz, CD3OD): δ = 8.32 (s, 1H), 7.92 (d, J = 8.0 Hz, 1H),, 7.70 (s, 1H), 7.40-7.29 (m, 4H), 6.83 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 4.12 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 3.67 (s, 2H), 2.95 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 2.53-2.43 (m, 8H), 1.07 (s, 9H). LCMS: MS Calcd.: 538.7, MS Found: 539.1。
【0037】
実施例14: I-14の合成
合成経路:
操作ステップ:
操作ステップおよび精製方法は、実施例1を参照する。収率は75%であった。1HNMR (400 MHz, CD3OD): δ = 8.32 (s, 1H), 7.90 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.75 (s, 1H), 7.42-7.35 (m, 4H), 6.83 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 4.07-3.97 (m, 4H), 3.89-3.67 (m, 4H), 2.97 (t, J = 8.4 Hz, 2H), 2.82 (t, J = 5.6 Hz, 2H), 2.46-2.28 (m, 4H), 1.08 (s, 9H). LCMS: MS Calcd.: 568.7, MS Found: 569.2。
【0038】
実施例15: I-15の合成
合成経路:
操作ステップ:
操作ステップおよび精製方法は、実施例1を参照する。収率は73%であった。1HNMR (400 MHz, CD3OD): δ = 8.38 (s, 1H), 7.96 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.48-7.33 (m, 4H), 6.91 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 4.05 (t, J = 8.4 Hz, 2H), 3.12-3.15 (m, 4H), 3.01 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 2.58-2.48 (m, 4H), 2.26 (s, 3H), 1.07 (s, 9H). LCMS: MS Calcd.: 521.7, MS Found: 522.0。
【0039】
実施例16: I-16の合成
合成経路:
操作ステップ:
操作ステップおよび精製方法は、実施例1を参照する。収率は70%であった。1HNMR (400 MHz, CD3OD): δ = 8.35 (s, 1H), 7.95 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.70 (s, 1H), 7.49-7.33 (m, 4H), 6.90 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 4.09 (t, J = 8.4 Hz, 2H), 3.52-3.45 (m, 4H), 2.98 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 2.68-2.57 (m, 4H), 1.07 (s, 9H). LCMS: MS Calcd.: 507.7, MS Found: 508.2。
【0040】
実施例17: I-17の合成
合成経路:
操作ステップ:
操作ステップおよび精製方法は、実施例1を参照する。収率は63%であった。1HNMR (400 MHz, CD3OD): δ = 8.34 (s, 1H), 7.93 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.48-7.33 (m, 4H), 6.90 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 4.13 (t, J = 8.4 Hz, 2H), 3.79-3.60 (m, 4H), 3.25-3.12 (m, 4H), 2.99 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 1.09 (s, 9H). LCMS: MS Calcd.: 508.6, MS Found: 509.2。
【0041】
実施例18: I-18の合成
合成経路:
操作ステップ:
操作ステップおよび精製方法は、実施例1を参照する。収率は73%であった。1HNMR (400 MHz, CD3OD): δ = 8.35 (s, 1H), 7.92 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.70 (s, 1H), 7.47-7.31 (m, 4H), 6.93 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 4.12 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 3.59-3.40 (m, 4H), 2.97 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 1.59-1.43 (m, 5H), 1.07 (s, 9H). LCMS: MS Calcd.: 506.7, MS Found: 507.2。
【0042】
実施例19: I-19の合成
合成経路:
操作ステップ:
操作ステップおよび精製方法は、実施例1を参照する。収率は76%であった。1HNMR (400 MHz, CD3OD): δ = 8.34 (s, 1H), 7.91 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.75 (s, 1H), 7.45-7.31 (m, 4H), 6.91 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 4.13 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 3.75 (m, 1H), 2.98 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 2.68-2.50 (m, 4H), 2.20-2.13 (m, 4H), 1.08 (s, 9H). LCMS: MS Calcd.: 522.7, MS Found: 523.2。
【0043】
実施例20: I-20の合成
合成経路:
操作ステップ:
操作ステップおよび精製方法は、実施例1を参照する。収率は79%であった。1HNMR (400 MHz, CD3OD): δ = 8.33 (s, 1H), 7.91 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.70 (s, 1H), 7.49-7.33 (m, 4H), 6.93 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 4.10 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 2.97 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 2.79-2.60 (m, 5H), 2.10-1.98 (m, 4H), 1.07 (s, 9H). LCMS: MS Calcd.: 506.7, MS Found: 507.2。
【0044】
実施例21: I-21の合成
合成経路:
操作ステップ:
操作ステップおよび精製方法は、実施例1を参照する。収率は77%であった。1HNMR (400 MHz, CD3OD): δ = 8.32 (s, 1H), 7.93 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.47-7.32 (m, 4H), 6.91 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 4.13 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 3.03 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 2.79 (m, 1H), 2.49-2.35 (m, 4H), 2.27 (s, 3H), 1.89-1.75 (m, 4H), 1.05 (s, 9H). LCMS: MS Calcd.: 520.7, MS Found: 521.2。
【0045】
実施例22: I-22の合成
合成経路:
操作ステップ:
操作ステップおよび精製方法は、実施例1を参照する。収率は76%であった。1HNMR (400 MHz, CD3OD): δ = 8.33 (s, 1H), 7.91 (d, J = 8.0 Hz, 1H),, 7.72 (s, 1H), 7.43-7.29 (m, 4H), 6.85 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 4.14 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 3.69 (s, 2H), 2.97 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 2.51-2.43 (m, 4H), 1.67-1.52 (m, 4H), 1.08 (s, 9H). LCMS: MS Calcd.: 506.7, MS Found: 507.2。
【0046】
生物学的試験
試験例1、JAK1、JAK2、JAK3活性試験
【0047】
化合物の調製:
化合物を100% DMSOの中に溶解し、10mM貯蔵液を調製し、-20℃で凍結保存した。
【0048】
キナーゼ反応プロセス:
(1) 1×Kinase bufferを調製した。
(2) 化合物濃度勾配の調製:被験化合物の初期濃度を500 nMとし、384 ウェルソースプレートの中で最終濃度100倍の100% DMSO溶液で希釈し、化合物を3倍等に正確に希釈し、12個の濃度にした。分注器Echo 550を用いて目標プレートOptiPlate-384Fに100倍最終濃度の化合物250 nLを移した。
(3) 1×Kinase bufferで最終濃度2.5倍のキナーゼ溶液を調製した。
(4) 化合物ウェルおよび陽性対照ウェルにそれぞれ最終濃度2.5倍のキナーゼ溶液10 μLを加え、陰性対照ウェルに1×Kinase buffer 10 μLを加えた。
(5) 1000rpmで30秒間遠心し、反応プレートを振盪して均等に混ぜた後、室温で10分間インキュベートした。
(6) 1×Kinase bufferで最終濃度5/3倍のATPおよびKinase substrateの混合溶液を調製した。
(7) 最終濃度5/3倍のATPおよび基質の混合溶液15 μLを加え、反応を開始した。
(8) 384ウェルプレートを1000rpmで30秒間遠心し、振盪して均等に混ぜた後、室温で相応の時間インキュベートした。
(9) 反応停止液30 μLを加えてキナーゼ反応を停止し、1000rpmで30秒間遠心し、振盪して均等に混ぜた。
(10) Caliper EZ Readerで変換率を読み取った。
【0049】
データ解析:
計算式:
【数1】
数式1中、
Conversion%_sampleは、試料の変換率数値である。
Conversion%_minは、陰性対照ウェルの平均値であり、酵素活性ウェルがないことを表す変換率数値である。
Conversion%_max:陽性対照ウェル比較値の平均値であり、化合物阻害ウェルがないことを表す変換率数値である。
【0050】
用量反応曲線のあてはめ:
濃度のlog値をX軸とし、パーセント阻害率をY軸とし、解析ソフトGraphPad Prism 5のlog(inhibitor) vs. response -Variable slopeを採用して用量反応曲線をあてはめることにより、酵素活性に対する各化合物のIC50値を得た。
計算式:
Y=Bottom +(Top-Bottom)/(1+10^((LogIC50-X)*HillSlope))
【0051】
上記実験の結果は、表2に示すとおりであった。
【表2】
注:以上の対照品、本発明の化合物は、いずれも同じ実験条件の実測値である。
【0052】
結論:本発明の化合物のJAK2標的選択性は、陽性対照Baricitinib、Ruxolitinib、 Fedratinibよりも優れていた。
【0053】
試験例2、細胞増殖実験
HEL92.1.7細胞増殖実験
実験ステップ:
(1)播種
a.細胞を消化して再懸濁し、自動セルカウンターを用いてカウントした。
b.細胞懸濁液を必要な密度まで希釈した。
c.各ウェルに細胞100ulを加え、37℃で一晩培養した。
(2)化合物の調製
a.化合物を最終濃度200倍の希釈溶液に調製した。
b.培地で化合物を希釈し、最終濃度3倍の化合物を調製した。各ウェルに化合物50ulを加え、同様の体積のDMSOを加えたウェルを対照とし、37℃、5% CO2で72時間培養した。
(3)測定
a.セルプレートを室温まで平衡化した。
b.各ウェルにCell Titer-Glo(登録商標)試薬40 μLを加え、2分間振り、10分間静置した。
c.EnVisionで測定した。
【0054】
データ解析:
(1)GraphPad Prism 5を用いてIC50を計算した。
(2)%Inh = (Max signal - Compound signal) / (Max signal - Min signal) x 100
(3)Max signalは陽性対照ウェルであり、化合物と同等の体積のDMSOしかなかった。
(4)Min signalは陰性対照ウェルであり、培地しかなかった。
【0055】
TF-1細胞増殖実験
(1)細胞播種
a.完全培地を調製した。
b.細胞を起こし、細胞を培養した。
c.細胞を遠心、再懸濁、カウント、播種し、培養プレートをCO 2インキュベータの中に入れて一晩置いた。
(2)化合物の準備および添加
a.DMSOで化合物を10mMのstock貯蔵液に調製し、10mMを作業濃度に希釈し、段階的な倍数で希釈し、複数の濃度勾配の化合物を得た。
b.対応する化合物プレートから0.5ul取り、一晩培養した細胞培養プレートの中に加えた。
c.37℃インキュベータにおいて72時間インキュベートした。
(3)測定および解析
a.CellTiter Glo assay検査試薬を調製した。
b.検査試薬を培養プレートの中に加え、均等に混ぜ、静置し、プレートを読んだ。
阻害率の式は、(1-(対応プレートの数値-BLANKの平均値)/(DMSO対照の平均値-BLANKの平均値))*100%)である。
曲線あてはめツール(XL fit)の式は、数式2によって表される。
【数2】
【0056】
上記実験の結果、表3に示すとおりであった。
【表3】
注:以上の対照品、本発明の化合物は、いずれも同じ実験条件の実測値である。
【0057】
結論:本発明の化合物は、HEL92.1.7、TF-1に対して著しい増殖阻害活性を有し、活性の阻害は、Fedratinib、Ruxolitinibよりも優れていた。
【0058】
試験例3、本発明の化合物の薬物動態試験
SDラットを被験動物とし、LC/MS/MS法を採用して測定し、ラットにFedratinibおよび本発明の好ましい実施例の化合物を胃内投与した後、異なる時刻の血漿中の薬物濃度を測定し、本発明化合物のラット体内における薬物動態的特徴を研究した。
【0059】
SDラットの入手先:上海斯莱克実験動物有限公司
投与方法:単回胃内投与
投与用量および濃度:25 mg/kg; 2 mg/mL
製剤の処方:0.5% methylcellulose
サンプリング点:5分、15分、30分、1時間、2時間、4時間、8時間、24時間
【0060】
検量線および品質管理サンプルの調製処理:適量の貯蔵液を取り、50%アセトニトリル水で0.04μg/mL、0.10μg/mL、0.20μg/mL、0.40μg/mL、1.00μg/mL、2.00μg/mL、4.00μg/mLの標準作業液、0.10μg/mL、1.00μg/mL、3.00μg/mLの品質管理作業液に希釈した。それぞれブランクラット血漿47.5μLを取り、標準作業液および品質管理作業液2.50μLを加え、測定物濃度が2.00ng/mL、5.00ng/mL、10.00ng/mL、20.00ng/mL、50.00ng/mL、100.00ng/mL、200.00ng/mLである標準物質と、濃度が5.00 ng/mL、50.00ng/mLおよび150.00ng/mLである品質管理サンプルを配置し、それぞれアセトニトリル(内標準ロラタジン5ng/mLを含む)200μLを加え、ボルテックスミキサーで3min振動させた後、15000rpm、4℃で15min遠心し、上清液100μLを取り、LC-MS/MS解析を行った。WinNonlin(登録商標)8.0を採用して実験結果を計算した。
【0061】
本発明の好ましい化合物の薬物動態パラメータは、表4に示すとおりであった。
【表4】
【0062】
結論:本発明の実施例の化合物は、良好な薬物動態的性質を示し、Fedratinibに比べて、著しい薬物動態的な長所を有する。
【0063】
試験例4、本発明の化合物の急性毒性試験
本発明にかかる化合物7種(I-1、I-2、I-4、I-13、I-15、I-19およびI-20)、および Fedratinib(陽性対照薬)を取り、急性毒性実験を行った。
【0064】
(1)実験方法
i)ICRマウスにFedratinib、本発明にかかるI-1等の化合物を経口投与した後に動物に現れる毒性症状および死亡の状況を観察し、その急性毒性を比較した。
ii)溶媒の調製:適量のツイーン-80を秤取し、脱イオン水でツイーン-80濃度5%(g/v)まで希釈した。
iii)投与製剤:それぞれ必要な試料を秤取し、5%ツイーン80溶液を用いて濃度6.25、
12.50、25.00、50.00、75.00および100.00mg/mL(それぞれ125、250、500、1000、1500、2000mg/kgに相当)の懸濁液を調製した。
iv)投与経路:試料および溶媒対照群(0.5%ツイーン-80)の投与経路は、いずれも経口投与とした。
v)投与頻度:単回投与とし、投与前にいずれも一晩絶食させた。
vi)投与用量:20mL/kg
【0065】
一般的な症状の観察:投与当日は、1回目の投与の約0.5時間後、1時間後、2時間後、4時間後、6時間後にそれぞれ1回観察し、観察期の2~6日目は、午前、午後各1回、1日2回観察した。
【0066】
観察内容は、一般状况、挙動活動、歩行姿勢、目、口、鼻、消化管、皮膚被毛、泌尿生殖器を含むが、これらに限定されない。
【0067】
(2)統計解析
体重データは、平均数±標準偏差で表し、群間比較を採用し、ルビーン検定および一元配置分散分析を採用し、差が認められた場合、さらにダネットの検定を採用した。
【0068】
(3)実験結果
本発明にかかる化合物7種、およびFedratinib(陽性対照薬)を選定し、上述したように急性毒性実験を行った。実験結果は、表5を参照されたい。
【0069】
MTD試験において、薬物に対する動物の忍容状況を考察し、動物が瀕死になった投与用量を最大耐用量とした。
【表5】
注:MTD:最大耐用量
【0070】
結果:上記被験体における本発明の化合物I-1、I-15、I-20のMTD(最大耐用量)は、いずれも2000mg/kgより大きく、急性毒性はFedratinibよりもはるかに低かった。化合物I-2、I-4、I-13、I-19のMTD値は、いずれも1000mg/kg以上であり、安全性はFedratinibよりも良好であった。
【0071】
上述したものは、本発明の好ましい実施例でしかなく、本発明を制限するためのものではない。本発明の主旨および原則内で行われたいかなる修正、同等の変更、改善などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【国際調査報告】