(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-14
(54)【発明の名称】アイソレータ用流体移送システム
(51)【国際特許分類】
B25J 21/00 20060101AFI20220907BHJP
A61J 1/20 20060101ALI20220907BHJP
B01L 1/00 20060101ALI20220907BHJP
B25J 21/02 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
B25J21/00
A61J1/20 314B
B01L1/00 C
B25J21/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022500563
(86)(22)【出願日】2020-08-06
(85)【翻訳文提出日】2022-02-01
(86)【国際出願番号】 US2020045085
(87)【国際公開番号】W WO2021040983
(87)【国際公開日】2021-03-04
(32)【優先日】2019-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504115013
【氏名又は名称】イー・エム・デイー・ミリポア・コーポレイシヨン
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モリッシー,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】キング,コナー
(72)【発明者】
【氏名】ボロゼネッツ,フィリップ
【テーマコード(参考)】
3C707
4C047
4G057
【Fターム(参考)】
3C707XJ01
4C047AA05
4C047AA11
4C047BB11
4C047BB13
4C047BB17
4C047BB20
4C047CC03
4C047DD22
4C047DD32
4C047GG15
4G057AA05
(57)【要約】
アイソレータと共に使用するための装置であって、アイソレータのベータポートと解放可能に接合するためのクラウンを含み、クラウンは、少なくとも1つの係止支持部を含む、クラウンと、少なくとも1つの係止支持部の少なくとも一端上のばねフックと、針がその中に配置されるための少なくとも1つの貫通孔を含む針ブロックと、を含み、少なくとも1つの針が管類と接合される、針ブロックと、ヨークと、ヨークおよび少なくとも1つの係止支持部と解放可能に接合された付勢要素と接合され、針ブロックはクラウンに解放可能に接合される、装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイソレータと共に使用するための装置であって、
アイソレータのベータポートと解放可能に接合するためのクラウンであって、少なくとも1つの係止支持部を含む、クラウンと、
少なくとも1つの係止支持部上のばねフックと、
針がその中に配置されるための少なくとも1つの貫通孔を含む針ブロックであって、少なくとも1つの針が管類と接合される、針ブロックと、
ヨークと、
ヨークおよび少なくとも1つの係止支持部と解放可能に接合された付勢要素と、
を備え、
針ブロックがクラウンに解放可能に接合される、装置。
【請求項2】
クラウンが3つの係止支持部を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
ヨークが、管類がその中に配置されるためのスロットを備える、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
付勢要素がばねを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
流路をアイソレータへおよび/またはアイソレータから移送するための無菌方法であって、
アイソレータのベータポート上にバッグを配置するステップと、
少なくとも1つの貫通孔を備える針ブロック内に、管類に接続された針を配置するステップと、
針ブロックをクラウンに解放可能に取り付けるステップと、
クラウンをベータポートで取り付けるステップと、
付勢要素を介してヨークをクラウンに取り付けるステップであって、管類がヨークと解放可能に接合される、ステップと、
針ブロックをロボットで把持するステップであって、ロボットがバッグから針ブロックを引き出して、ばねを引張力下に置く、ステップと、
バイオプロセシング作業を実行するステップと、
針ブロックおよび管類をバッグに戻すステップであって、ロボットが押圧力を使用して針ブロックおよび管類をバッグに送達する、ステップと、
を備える、無菌方法。
【請求項6】
ヨークがスロットを備える、請求項5に記載の無菌方法。
【請求項7】
クラウンがベータポートの内面に接合される、請求項5に記載の無菌方法。
【請求項8】
付勢要素がばねである、請求項5に記載の無菌方法。
【請求項9】
付勢要素がコイル状管類である、請求項5に記載の無菌方法。
【請求項10】
針ブロックが複数の貫通孔を備える、請求項5に記載の無菌方法。
【請求項11】
針ブロックが、クラウン上の孔と解放可能に接続するための柱を備える、請求項5に記載の無菌方法。
【請求項12】
バイオプロセシング作業がフィルアンドフィニッシュ作業である、請求項5に記載の無菌方法。
【請求項13】
ロボットを使用して流路をアイソレータへおよび/またはアイソレータから移送するための無菌方法であって、
バイアルおよび/またはコンテナをアイソレータへ移送するステップと、
アイソレータにベータバッグを取り付けるステップと、
ロボットを使用してアイソレータのアルファ/ベータドアを開けるステップと、
ロボットで針ブロックを把持し、針ブロックが、針ブロック内に配置された針および管類を有し、付勢要素に接続されて、流路を形成するステップと、
針がバイアルおよび/またはコンテナを充填することができるように針ブロックを配置するステップと、
流体を流路からバイアルおよび/またはコンテナ内に供給するステップと、
針ブロックをロボットで把持し、針ブロックをベータバッグに戻すステップであって、付勢要素が、針および管類がベータバッグ内に戻るのを確実にする、ステップと、
ドアをロボットで閉めるステップと、
を備える、無菌方法。
【請求項14】
ベータバッグが使い捨て型液体移送ベータバッグである、請求項13に記載の無菌方法。
【請求項15】
流体が生物学的流体である、請求項13に記載の無菌方法。
【請求項16】
針ブロックがクラウン上に再配置される、請求項13に記載の無菌方法。
【請求項17】
付勢要素が、ロボットが針を配置するステップ中に緊張力を生成する、請求項13に記載の無菌方法。
【請求項18】
ドアを閉めるステップの後で、ベータポートドアにアイソレータの外部からアクセスされる、請求項13に記載の無菌方法。
【請求項19】
請求項1に記載の装置が使用される、請求項13に記載の無菌方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、参照によりその全体が組み込まれる、2019年8月26日付けの米国仮特許出願第62/891,493号明細書の優先権の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
本開示は、アイソレータに関する。より詳細には、本開示の実施形態は、アイソレータ内でのロボティックスの使用を容易にする装置に関する。
【0003】
グローブボックスは、物体の取扱いを可能にする密閉コンテナである。多くの場合、グローブボックスは、内部の物体の汚染を防止するために、または試薬、すなわち有害物質が取扱者と接触するのを防止するために使用される。典型的には、手袋は、グローブボックス内に組み込まれ、ユーザの手が封じ込めを破壊することなくボックス内部での任務を実行するために手袋に挿入され得るように配置される。ほとんどのグローブボックスは、何が取り扱われているかをユーザが見ることを可能にする透明シールドを有する。これらの構造は、物体の手動取扱いを可能にする。
【0004】
同様に、アイソレータは、グローブボックスのサブセットであり、密閉環境内での容易な操作および進行中の作業の観察を可能にする。アイソレータは、バイオプロセス製造作業において、非常に清浄なまたは無菌の環境を提供して細菌、ウイルス、微生物、病原体、および/または同類のものによる汚染を防ぐために使用される。しばしば、アイソレータは最終充填作業で使用され、この作業では、細胞などの製品、製品としてのウイルス、不活性化ウイルス、およびその他の生物学的製品が溶液中にあり、保管または輸送のために、例えばバイアル内に移送される。多くの場合、移送ポートが、材料をアイソレータ内へ移動させるために使用される。材料(ストッパ、バイアル、液体など)がアイソレータの内部に配置された時点で、材料は取り扱われて操作される必要がある。アイソレータはまた、人々が、アイソレータまたはアイソレータに入れられた製品もしくは材料に入り、これを汚染することなくアイソレータ内に到達することを可能にするグローブポートを有する。しかしながら、アイソレータ内での材料および製品の手動操作は時間がかかる。
【0005】
アイソレータは、アルファポートおよびベータポートを備えることができる。アルファポートは、アイソレータの穴と見なされることができる。ベータポートは、アルファポートと連通するかまたはアルファポートで解放可能にロックするドアと見なされることができる。ベータポートは、アルファポートに取り付けられ、ヒンジで連結されてもよい。いくつかの実施形態では、ベータポートは、アルファポートとヒンジで連結されなくてもよい。ベータポートは、洗浄し再使用するためにまたは単回使用品目としてプラスチック材料または金属材料を備えてもよい。ベータポートは、材料がアルファポート内に入れられたり、アルファポートから除去されたりされることができるように、グローブポートに隣接していることが多く、アルファポートは、フィルアンドフィニッシュ作業(fill-and-finish operations)などのバイオプロセシングが行われるアイソレータの内部容積へのアクセスである。
【0006】
アイソレータ内での取扱いは、ますますロボットによって行われるようになっている。アイソレータ製造業者は、現在、人間の操作を不要にして汚染の可能性をさらに低減するために、グローブポートのないアイソレータを設計している。しかしながら、取り扱われる材料は、ロボットによる取扱いを困難にする管類(tubing)などの可撓性のものであり得る。さらに、針、プローブ、カニューレなどのいくつかの材料は、生物学的製品が処理されるバイオリアクタバッグなどの他の材料(一般に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(ナイロン)などの1つまたは複数のプラスチックフィルムから形成される)を容易に損傷させる可能性があり、やはりロボットによる取扱いを困難にする。バイオリアクタバッグの破損は、漏れならびにバッグまたはバイオリアクタの内部容積内の無菌状態の喪失を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、アイソレータ内で材料を操作するのが困難な可撓性のものをロボットが安全かつ効果的に取り扱うことを可能にする装置は、当技術分野における進歩を示す。
【課題を解決するための手段】
【0008】
アイソレータと共に使用するための装置であって、アイソレータのベータポートと解放可能に接合するためのクラウンを含み、クラウンは、少なくとも1つの係止支持部と、少なくとも1つの係止支持部の少なくとも一端上のばねフックと、針がその中に配置されるための少なくとも1つの貫通孔を含む針ブロックと、を含み、少なくとも1つの針は、管類と、ヨークと、ヨークおよび少なくとも1つの係止支持部と解放可能に接合された付勢要素と接合され、針ブロックはクラウンに解放可能に接合される、装置である。
【0009】
本開示の実施形態は、液体移送針セットをバッグからアイソレータ内へ移動させるロボットアームの使用を容易にする装置および方法を含む。装置および方法は、ロボットアームが針および管類を、作業(例えば、バイアル充填作業)の完了時に取り除くためのバッグ内に戻すことを可能にすることも容易にする。
【0010】
これらおよびその他の規定は、以下の記述、特許請求の範囲、および図面から明らかになるであろう。本開示の様々な利点、態様、新規な発明的特徴、ならびに本開示の例示的な実施形態の詳細は、下記の説明および図面からより完全に理解されるであろう。したがって、本明細書で開示される特徴が詳細に理解されることができる態様、上で簡潔に要約された本開示のより詳細な説明は、添付の図面を参照することによって得られることができる。しかしながら、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示しており、したがって、本開示の範囲を限定するものと見なされるべきではなく、記載された実施形態では、バッグ、バイオリアクタ、および/またはアイソレータで使用するための他の同等に効果的な流体移送システムを認めることができることに留意されたい。また、一実施形態の要素および特徴は、さらなる列挙なしに他の実施形態に見出されることができ、可能であれば、図に共通している同等の要素を示すために同一の参照番号が使用されていることも理解されたい。本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈上、そうでないとする明確な指示がない限り、複数形の指示対象も含む。他に規定されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、これらの実施形態が関係する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。また、本明細書で使用される下記の用語は、文脈が特に指示しない限り、下記の定義に従う。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示によるクラウンおよび針ブロックの正面図である。
【
図2】本開示の実施形態によるベータポートの側面斜視図である。
【
図3】本開示の実施形態による、少なくとも1つの係止支持部およびばねフックを有するクラウンの少なくとも2つの実施形態を示す図である。
【
図4】本開示の実施形態による、ヨークおよび針ブロックと針および管類とを示す図である。
【
図5】本開示の実施形態による、管類に取り付けられた針を有する、クラウンに接合された針ブロックを示す図である。
【
図6】本開示の実施形態による、流路をアイソレータへおよび/またはアイソレータから移送するための無菌方法を示す図である。
【
図7】本開示の実施形態による、流路をアイソレータへおよび/またはアイソレータから移送するための第2の無菌方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、可撓性で取扱いが困難な装置、例えば液体移送針セットを、バッグからアイソレータ内へ移動させるロボットアームの使用を容易にする製品および方法を記述する。製品および方法は、ロボットアームが針および管類を、作業(例えば、バイアル充填作業)の完了時に取り除くためのベータバッグ内に戻すことを可能にすることも容易にする。
【0013】
最新のロボットは比較的器用であり、製造可能性の問題を引き起こすことなくバッグから装置、例えば充填針を取り外すことができる。装置は、ロボットが装置を把持することができるように、実質的に方向付けられ、バッグ内に一貫して配置される必要がある。しかしながら、針をバッグ内に戻すと、しばしば問題が生じる。生物学的作業では、針がシリコン管の端部に取り付けられ、液体がシリコン管を通って圧送される。管は剛性を有していない、すなわち管は非常に柔軟である。管は粘着性でもあり得る。管が針と共にアイソレータ内に引き込まれると、管をアイソレータに対して押す、戻す、または別の方法で送達することは非常に困難である。この動作は、粘着性の糸を押すようなものと言われることができる。これは、アイソレータがグローブポートを有し、人が手袋を使用して管を把持し管をバッグ内に戻す場合、問題ではない。しかしながら、ロボットが管類をバッグ内に押し込むことは、はるかに困難である。また、管類がバッグに適切に戻されない場合、管類は、ポートドアの閉鎖を妨げる。
【0014】
本明細書に記載の少なくとも1つの方法は、設定距離離れた剛性ブロック内に針を置くことを備える。剛性ブロックはまた、ロボットが把持し安全に操作するための容易な機能を提供する。クラウンが、ベータポートとしても知られるポートの内径の内側に配置されることができる。クラウンは、付勢要素用の係止点を備える。いくつかの実施形態では、付勢要素は引張ばねである。いくつかの実施形態では、付勢要素はコイル状管類である。ばねまたは管類の一端が、ヨークに解放可能に取り付けられる。ヨークは、管または管類をしっかりと保持する。しかしながら、ヨークは、ロボットが針をアイソレータ内に引き込むときに、管類が針と共に移動するのを妨げない。針、管、およびヨークがロボットによって前方に引っ張られるにつれて、引張ばね(またはコイル状管類)は伸びる。管類は可撓性であるので、ロボットは、針を上下に(充填作業で行われるように)または並んで動かすことができる。
【0015】
アイソレータ内で行われるバイオプロセシング作業、例えばバイアルへの生物学的製品の充填に続いて、ロボットは、針ブロックをバッグ内に押し戻して取り除くことができる。ヨークに取り付けられた引張ばねまたはコイル状管類は張力を受けているので、管は、管がポートドアの閉鎖を妨げることはできないようにバッグ内に引き込まれる。
【0016】
図1は、本開示によるクラウン100および針ブロック150の正面図を示す。クラウン100は前面102を備える。前面102は、ベータポートのドアがベータポート内に過度に押し込まれることができないように、装置をベータポート内に軸線方向に位置付け、随意にベータポート上のストッパと結合する(以下でさらに論じられる)。随意の封止領域104は、随意のガスケット104aと共に示されているように、前面102に対して窪んでいる。中間面106は、封止領域104に対して窪んでいる。後面106は、中間面104と同一平面上にあるか、または中間面に対して窪んでいる。後面106は、2つ以上の締結具孔112を有する中間支持部110をさらに備える。クラウン100は、クラウン100の後面116から延びる1つまたは複数の係止支持部114を随意に備える。いくつかの実施形態では、クラウン100は、中間支持部110に隣接する2つの半月形チャネル120(または半月形状に近似する)を形成する。実際には、中間支持部110は、サイズまたは形状が同等であるチャネル120を形成する必要はない。
【0017】
クラウン100は、金属、セラミックス、もしくはポリマー、または他の任意適当な材料で製作されることができる。いくつかのポリマーには、以下に限定されるものではないが、ポリエチレン、例えば低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高密度ポリエチレンなどの様々なポリオレフィンが含まれる。クラウン100はまた、ポリアセタール、ナイロン6、ナイロン66、ポリプロピレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、または他のポリマーおよび/またはそれらの混合物で製作されてもよい。前述のポリマー材料はいずれも、ガラス繊維、炭素繊維、ナイロン繊維、木部繊維、アラミド繊維などの充填材および/または補強材を具備することができる。いくつかの実施形態では、クラウン100は、クラウン100がガンマ線で滅菌されることができるようにガンマ安定性であるポリマーまたはコポリマーを具備する。クラウン100は、他の方法、例えば、化学物質、例えばエチレンオキシド、アルコール、オゾンによる処理など、蒸気処理、および当業者に知られる他の滅菌処理で滅菌されてもよい。
【0018】
図1は針ブロック150も示し、針ブロック150は前側152および外側154を備える。針ブロック150は、上面156上に1つまたは複数の貫通孔158を備える。針ブロック150は後側160も備え、後側は2つ以上の締結具(図示せず)を備える。締結具は、針ブロック150をクラウン100に解放可能に係止するために、クラウン100の締結具孔112に対応する。針ブロック150は、針ブロック150を方向D1に押しやることにより締結具を締結具孔112と結合させることにより、クラウン100に解放可能に付着されることができる。針ブロック150は、上述したように、クラウン100用の材料のいずれかを含むことができる。
【0019】
図2は、本開示の実施形態によるベータポート130の側面斜視図を示す。ベータポート130は、略円筒形であり、随意で前側132上にフランジ140を備える。ベータポート130は、当業者に知られるように、アイソレータ(図示せず)のアルファポート(図示せず)内に配置されることができる。フランジ140はまた、アルファポートのドア(図示せず)と組み合わせて使用されてもよい。ベータポート130は、ベータポート130の外面142上にバッグ取付領域128をさらに備える。ベータポート130は、クラウン100を解放可能に取り付けるための内面134上に取付領域126をさらに備える。取付領域126は、当業者に知られる任意の取付機構(複数可)を備えることができる。例えば、取付領域126は、スナップフィット(下記)またははめ合い梁用の穴であり、クラウン100a、100bとベータポート130の両方に引っ掛かることができる。いくつかの実施形態は、ボス、タブ、ばね荷重アタッチメント、VLIER(R)プランジャ(複数可)などのボールプランジャ、バヨネットマウントなどを備える。
【0020】
図3は、本開示の実施形態による、少なくとも1つの係止支持部114およびばねフック122を有するクラウン100a、100bの少なくとも2つの実施形態を示す。
図3は、クラウン100a、係止支持部114、およびばねフック122を示す。図示のように、係止支持部114は、表面125の両側を横切る。また、図示のように、ばねフック122は、係止支持部114の中心付近に配置されるが、実際には、ばねフック122が係止支持部114の中心にまたは中心付近にある必要はない。また、3つの締結具孔112を有する中間支持部110が隠線で示されている。
【0021】
図3は、3つの係止支持部114を有するクラウン100bをさらに示す。係止支持部114のうちの少なくとも1つは、ばねフック122をさらに備える。1つのばねフック122を有する1つの係止支持部114は操作のために十分であることを理解されたい。それにもかかわらず、それぞればねフック122を有している複数の係止支持部114が本明細書で企図される。また、図示のように、クラウン100bは、マウント機能124を備える。例えば、マウント機能は、はめ合い部品、ここではベータポート130上の対応する穴とスナップフィットを形成するための梁およびキャッチを備えることができる。クラウン100bが、クラウン100bおよびベータポート130を共に方向D2に押しやることによりベータポート130と結合されるときに、クラウン100bはベータポート130内へ移動し、そこでバヨネットマウント機能124は取付領域126と結合する。クラウン100a、100bがクラウン130と結合されると、クラウン100a、100bは、軸線方向運動および回転運動が制限されるように配置される。
【0022】
図4は、本開示の実施形態による、ヨーク160および針ブロック150と、針164および管類168とを示す。ヨーク160はスロット152を備える。3つのスロット152が示されているが、1つから任意の特定の作業に商業的に必要とされ得るだけの数まで、任意の数のスロットがヨーク160内に組み込まれることができる。スロット152は、締まり嵌めを提供するために、または様々な厚さの管類168を収容するために、抜き勾配を随意に含むことができる。
【0023】
図示のように、管類168はスロット152内に挿入される。管類168は、非コイル状であってもよく、または管類168aのようにコイル状であってもよい。コイル状管類168aは、当業者に知られているように、ヨーク160が充填およびフィルアンドフィニッシュ作業で動作しているときに張力または付勢を与えることができる。管類168は、シリコン管類、ビニル管類、フルオロポリマー、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、など、バイオ処理するための任意適当な管類でよい。コイル状管類は、それ自体のばねとして作用することができ、ばねと共に、またはばねの代わりに使用されてもよいことを理解されたい。さらに、管類がコイル状である場合、ヨーク160は装置から除外されてもよい。
【0024】
管類168の遠位端172には針164がある。針(複数可)164は、上面156の貫通孔158で針ブロック150内に配置されてもよい。以下でより完全に記述されるように、針ブロック150は、アイソレータ内でのフィルアンドフィニッシュ作業、例えば、取扱いおよび保管のためにバイアルまたは他のコンテナに生物学的流体を充填するのを実施するために、ロボットによって操作されることができる。ヨーク160は、ヨークに関連する付勢要素を有する。付勢要素はテンショナである。言い換えると、テンショナは、ヨークが緊張状態にないときに異なる位置まで後退するように、引張力下に置かれることができる。例えば、少なくとも1つの付勢要素は、上述のばねフック要素122と接続するためのフック170を一端に有するばね166であり、ばね166の第2の端部はヨーク160に接続される。第2の付勢要素が管類168aであり、管類は、それ自体がコイル巻きされた付勢要素である。他の付勢要素が使用されてもよい。例えば、引張力が除去されると引っ込む弾性バンド、ハウジング内の格納式ストリング、または他の弾性部材。任意の1つまたは複数の付勢要素がヨーク160と共に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、コイル状管類168aおよびばね166が同時に使用される。
【0025】
図5は、管類168に取り付けられた針164を有する、クラウン100に接合された針ブロック150を示す。図示のように、ヨーク160は、管類168がスロット152内に配置されて、後退位置にある、すなわち、ばね166は、少し引張力のない状態でばねフック要素122に取り付けられる。図示されていないが、ロボットは、針ブロック150を把持し、針ブロック150および針164をフィルアンドフィニッシュステーションに送達し、針ブロック150を+z方向に引っ張ることができる。この状態では、ヨーク160もまた、ヨーク160がクラウン100の前面102の前方にあるように、チャネル120のいずれかを通って引っ張られる。針ブロック150を+z方向に引っ張って、付勢要素を、ばね166が
図5に示されるように引張力下に置く。フィルアンドフィニッシュ作業が完了すると、ロボットは、針ブロック150を戻してクラウン100と再接合することができる。ヨーク160が管類168を収容するので、管類168は、クラウン100の背後の位置まで自動的に引っ込められる。延長管(図示せず)がベータポート130とクラウン100との間に解放可能に接合されてもよいことを理解されたい。
【0026】
図6は、本開示の実施形態による、流路をアイソレータへおよび/またはアイソレータから移送するための無菌方法600を示す。いくつかの実施形態では、流路は使い捨て型流路でよい。いくつかの実施形態では、アイソレータはグローブポートを備えていない。いくつかの実施形態では、アイソレータは、作業を実行するためのロボットを備える。無菌方法600は、ステップ601で開始する。ステップ603で、随意に、バイアルおよび/またはコンテナおよび/または液体がアイソレータ内に配置される。例えば、アイソレータは、上述のグローブポートレスアイソレータなどである。また、随意に、ステップ603でバイオプロセシング作業が実行される。例えば、培養工程、精製工程、細胞採取工程、研磨工程、限外濾過工程、および当業者に知られる他のバイオプロセシング作業である。
【0027】
ステップ607およびステップ609で、随意に、その中に針および管類を有するベータバッグなどのバッグが、アイソレータ内に配置される。いくつかの実施形態では、針は、上述したように針ブロック内に配置される。また、いくつかの実施形態では、管類は、上述したようにヨーク内に配置される。ステップ610で、ロボットが、針がその中に配置されている針ブロックを把持し、針ブロックをバイオプロセシング作業のためにアイソレータ内に送達し、針ブロックは、上述したようにクラウンに接合され、ヨークは、管類がヨークと接合されて、上述したように、付勢要素を介してクラウン上の支持部に接続される。付勢要素は、例えば、ばね、コイル状管類、格納式ストリング機構などでよい。
【0028】
ステップ612で、バイオプロセシング作業が行われる。例えば、バイオプロセシング作業は、流体が管類を流れて針から流出し、コンテナ(複数可)またはバイアル(複数可)に流入するフィルアンドフィニッシュ作業でよい。バイオプロセシング作業が完了されると、針ブロック、針(複数可)、および管類(複数可)はバッグに戻される。ロボットは、針ブロック、針(複数可)、および管類(複数可)をバッグに押し込むことが企図される。ステップ616で、随意に、第2のバイオプロセシング作業を実行するか否かの照会がある。答えが「はい」であれば、方法600はステップ610に戻る。答えが「いいえ」であれば、方法600はステップ617で停止する。
【0029】
図7は、本開示の実施形態による、流路をアイソレータへおよび/またはアイソレータから移送するための第2の無菌方法700を示す。いくつかの実施形態では、流路は使い捨て型流路でよい。いくつかの実施形態では、アイソレータはグローブポートを備えていない。いくつかの実施形態では、アイソレータは、作業を実行するためのロボットを備える。方法700は、ステップ701で開始する。ステップ702で、バイアルおよび/またはコンテナがアイソレータ内に移送される。次いで、方法700はステップ704に進み、そこで、使い捨て型液体移送ベータバッグなどのベータバッグが、アイソレータの、本明細書に記載されているアルファポートに取り付けられる。ステップ706で、ロボットがアイソレータのアルファ/ベータドアを開ける。次いで、ステップ708で、ロボットは、針が中に配置されている針ブロックを把持し回収し、針がバイアル/コンテナを充填することができるように針ブロックを配置する。ステップ710で、生物学的流体などの流体が、流路、例えば使い捨て型流路、例えば針/管類を通って送達されて、流体をバイアル/コンテナ内に供給する。いくつかの実施形態では、流体は流路を通って圧送される。いくつかの実施形態では、ポンプは蠕動ポンプである。
【0030】
任意の所与の作業のために流体送達が完了すると、ステップ712でロボットは針ブロックをバッグに戻す。いくつかの実施形態では、上述したように、針ブロックはクラウン上に再配置される。また、上述したように、針/管類は張力を受けているので、針/管類は自動的に引っ張られるか、そうでなければバッグ内に戻される。ステップ714で、ロボットはドアを閉める。ステップ716で、随意に、ベータプアがアイソレータの外部からアクセスされる。次いで、方法700は停止する。
【0031】
本明細書に列挙されるすべての範囲は、それらの範囲の間の範囲を含み、端点を含むかまたは除外することができる。随意の含まれる範囲は、それら範囲の間の整数値(または1つの元の端点を含む)からのものであり、記載されている桁数または次に小さい桁数である。例えば、下限値が0.2である場合、随意の含まれる端点は、0.3、0.4、・・・1.1、1.2など、ならびに1、2、3などとすることができ、より高い範囲が8である場合、随意の含まれる端点は、7、6など、ならびに7.9、7.8などとすることができる。3以上などの片側境界も同様に、記載されている桁数または1桁低い桁数の整数値から始まる一貫した境界(または範囲)を含む。例えば、3以上は、4または3.1以上を含む。
【0032】
本明細書全体を通して、「特定の実施形態」、「1つまたは複数の実施形態」、「いくつかの実施形態」、または「一実施形態」への言及は、実施形態に関連して記述される特徴、構造、材料、または特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを示す。したがって、「1つまたは複数の実施形態では」、「特定の実施形態では」、「いくつかの実施形態では」、または「一実施形態では」などの言い回しの出現は、本明細書全体を通して必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない。
【0033】
本明細書で引用された特許および出願の刊行物は、あたかも各個々の引用またはその一部が完全に記載されているものとして参照により具体的かつ個別に本明細書に組み込まれるかのように、その全体が参照により組み込まれるものとする。本出願が優先権を主張する特許出願もまた、参照によりその全体が組み込まれるものとする。
【国際調査報告】