(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-14
(54)【発明の名称】創傷監視および治療のためのデジタル分散データ取得を伴うセンサシート
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20220907BHJP
A61F 13/02 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
A61B5/00 102A
A61B5/00 M
A61F13/02 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022500611
(86)(22)【出願日】2020-07-07
(85)【翻訳文提出日】2022-01-05
(86)【国際出願番号】 EP2020069080
(87)【国際公開番号】W WO2021005036
(87)【国際公開日】2021-01-14
(32)【優先日】2019-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391018787
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー ピーエルシー
【氏名又は名称原語表記】SMITH & NEPHEW PUBLIC LIMITED COMPANY
【住所又は居所原語表記】Building 5,Croxley Park,Hatters Lane,Watford,Hertfordshire WD18 8YE,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ブレイ、デイヴィッド、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】クインタナー、フェリックス、クラレンス
【テーマコード(参考)】
4C117
【Fターム(参考)】
4C117XA04
4C117XB01
4C117XB04
4C117XC30
4C117XE03
4C117XE13
4C117XE16
4C117XE17
4C117XE20
4C117XE23
4C117XE27
4C117XE30
4C117XE33
4C117XH15
4C117XJ03
4C117XL01
(57)【要約】
創傷監視および/または治療装置は、複数のセンサ回路と、各センサ回路に結合された選択回路と、選択回路と通信するように構成されたプロセッサと、を含み得る。各センサ回路は、複数のセンサ信号を処理して、複数のセンサ信号から単一の出力信号を生成し得る。センサ信号の各々は、少なくとも部分的に創傷内に位置付けられるように構成されている基板上に位置付けられたセンサの測定値に対応し得る。選択回路は、センサ回路の単一の出力信号を受信し得、選択された単一の出力信号を出力する。プロセッサは、選択された単一の出力信号を受信し得、選択された信号出力信号を、選択された単一の出力信号を生成するために使用される複数のセンサ信号に分解し得る。プロセッサは、センサをアクティブ化し、センサからセンサデータを受信し得る。プロセッサは、センサデータをデジタル化し、デジタル化されたセンサデータをリモートコントローラに送信し得る。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷監視および/または治療装置であって、
創傷に少なくとも部分的に位置付けられるように構成された基板であって、前記基板が、複数のセンサを支持する、基板と、
前記基板上に位置付けられた複数のセンサ回路であって、各センサ回路が、複数の入力信号を処理して、前記複数の入力信号から単一の出力信号を生成するように構成されており、前記複数の入力信号の各々が、前記基板上に位置付けられた前記複数のセンサの異なるセンサの測定に対応する、複数のセンサ回路と、
前記基板上に位置付けられ、かつ各センサ回路に結合された選択回路であって、前記選択回路が、前記複数のセンサ回路から前記複数の単一の出力信号を受信し、かつ前記複数のセンサ回路の選択されたセンサ回路の前記単一の出力信号を出力するように構成されている、選択回路と、
前記選択回路と電気通信するように構成されたプロセッサであって、前記プロセッサが、
前記選択回路に、前記複数のセンサ回路のうちのどれを選択するかを通信することと、
前記選択回路から、前記選択されたセンサ回路の前記単一の出力信号を受信することと、
前記選択されたセンサ回路の前記単一の出力信号から、前記複数の入力信号の各々を別々に抽出することと、を行うように構成されている、プロセッサと、を備える、装置。
【請求項2】
前記複数の入力信号が、第1の入力信号および第2の入力信号を含み、前記第1の入力信号が、前記単一の出力信号のゼロ周波数成分に対応し、前記第2の入力信号が、前記単一の出力信号の非ゼロ周波数成分に対応する、請求項1に記載の治療装置。
【請求項3】
前記単一の出力信号の前記非ゼロ周波数成分が、前記単一の出力信号の第1の非ゼロ周波数成分であり、前記複数の入力信号が、第3の入力信号をさらに含み、前記第3の入力信号が、前記単一の出力信号の前記第1の非ゼロ周波数成分とは異なる前記単一の出力信号の第2の非ゼロ周波数成分に対応する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記単一の出力信号の前記第1の非ゼロ周波数成分が、およそ50kHzの周波数に対応する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記単一の出力信号の前記第2の非ゼロ周波数成分が、およそ1kHz~およそ10kHzの周波数に対応する、請求項3または4に記載の装置。
【請求項6】
前記複数の入力信号が、第1の入力信号および第2の入力信号を含み、前記第1の入力信号が、前記単一の出力信号のDC成分に対応する、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の入力信号が、前記複数のセンサのうちの第1のセンサからの測定値に対応し、前記第2の入力信号が、前記複数のセンサのうちの第2のセンサからの測定値に対応する、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記第1および第2のセンサの各々が、温度センサ、光学センサ、加速度計、動きセンサ、ジャイロスコープ、インピーダンスセンサ、導電率センサ、pHセンサ、圧力センサ、または灌流センサのうちの1つを備え、前記第1および第2のセンサが、異なる、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第1のセンサが、温度センサであり、前記第2のセンサが、インピーダンスセンサである、請求項7または8に記載の装置。
【請求項10】
前記プロセッサが、前記選択されたセンサ回路の前記単一の出力信号から、前記複数の入力信号の各々を別々に抽出するように構成されており、前記抽出することが、
前記選択されたセンサ回路の前記単一の出力信号のゼロ周波数成分に少なくとも部分的に基づいて、前記複数の入力信号のうちの第1の入力信号を決定することと、
前記選択されたセンサ回路の前記単一の出力信号の非ゼロ周波数成分に少なくとも部分的に基づいて、前記複数の入力信号のうちの第2の入力信号を決定することと、を行うようにさらに構成されていることによる、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
先行請求項のいずれか一項に記載の装置を動作させる方法。
【請求項12】
創傷監視および/または治療システムであって、
創傷に少なくとも部分的に位置付けられるように構成された基板と、
前記基板上に位置付けられた第1のセンサタイプの少なくとも1つの第1のセンサと、
前記基板上に位置付けられた第2のセンサタイプの少なくとも1つの第2のセンサであって、前記第2のセンサタイプが、前記第1のセンサタイプとは異なる、少なくとも1つの第2のセンサと、
前記少なくとも1つの第1のセンサおよび前記少なくとも1つの第2のセンサと電気通信するプロセッサであって、前記プロセッサが、前記基板上に位置付けられており、かつ
前記基板の外部にあるコントローラから、有線インターフェースを介して制御コマンドを受信することと、
前記制御コマンドに少なくとも部分的に基づいて、前記少なくとも1つの第1のセンサまたは少なくとも1つの第2のセンサのうちの少なくとも1つをアクティブ化することと、
前記少なくとも1つの第1のセンサまたは少なくとも1つの第2のセンサのうちの少なくとも1つから受信されたセンサデータをデジタル化することと、
前記コントローラに、前記有線インターフェースを介して、前記第1または第2のセンサデータのうちの少なくとも1つの前記デジタル化されたセンサデータを送信することと、を行うように構成されている、プロセッサと、を備える、システム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの第1のセンサまたは少なくとも1つの第2のセンサのうちの前記少なくとも1つの各々が、温度センサ、光学センサ、加速度計、動きセンサ、ジャイロスコープ、インピーダンスセンサ、導電率センサ、pHセンサ、圧力センサ、または灌流センサを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの第1のセンサが、複数の温度センサを含み、前記少なくとも1つの第2のセンサが、複数の光学センサを含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記複数の温度センサの各温度センサが、アナログセンサデータを生成し、各温度センサが、前記プロセッサのそれぞれのアナログセンサ入力に接続されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記複数の光学センサの各光学センサが、デジタルセンサデータを生成し、各光学センサが、前記プロセッサのそれぞれのデジタル信号入力に接続されている、請求項14または15に記載のシステム。
【請求項17】
前記複数の光学センサの各光学センサが、デジタルセンサデータを生成し、各光学センサが、前記プロセッサのそれぞれのデジタル信号入力に接続されている、請求項14または15に記載のシステム。
【請求項18】
前記プロセッサが、シリアルプロトコルを使用して前記コントローラと通信するように構成されている、請求項12~17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記シリアルプロトコルが、集積回路間(I2C)プロトコルを含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
請求項12~19のいずれか一項に記載のシステムを動作させる方法。
【請求項21】
創傷監視および/または治療システムであって、
創傷に少なくとも部分的に位置付けられるように構成された基板と、
前記基板上に位置付けられた複数のセンサであって、前記創傷と関連付けられた生理学的データを検出するように構成されている、複数のセンサと、
前記基板上に位置付けられた複数の光源と、
前記基板上に位置付けられた制御回路であって、前記制御回路が、
前記複数のセンサの少なくともいくつかのセンサからデータを受信することと、
前記光源を制御して、光通信プロトコルを介してリモートコンピューティングデバイスに前記受信されたデータを通信することと、を行うように構成されている、制御回路と、を備える、システム。
【請求項22】
前記光源が、前記基板の縁または角のうちの少なくとも一方に位置付けられている、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記基板が、複数の穿孔を含み、前記光源が、穿孔を含まないか、または閾値を下回る密度を有する穿孔を含む、前記基板のエリア内に位置付けられている、請求項21または22に記載のシステム。
【請求項24】
前記基板が、実質的に光学的に透明なコーティングでコーティングされている、請求項21~23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項25】
請求項21~24のいずれか一項に記載のシステムを動作させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年7月11日出願の「SENSOR SHEET WITH DIGITAL DISTRIBUTED DATA ACQUISITION FOR WOUND MONITORING AND TREATMENT」と題された英国特許出願第1909947.2号の優先権を主張するものであり、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の実施形態は、創傷被覆材およびシステムに組み込まれ得るセンサ統合基板に関し、具体的には、そのような基板に対する設計ルールに関する。
【背景技術】
【0003】
医学のほぼすべての分野は、治療される組織、器官、または系の状態に関する改善された情報から、特に、そのような情報が治療中にリアルタイムで集められる場合に、利益を得ることができる。センサデータ収集を使用することなく、多くのタイプの治療が依然として日常的に行われており、その代わりに、このような治療は、定量的センサデータではなく、介護者または他の限定された手段による目視検査に依存する。例えば、被覆材を介した創傷治療および/または陰圧創傷治療の場合、データ収集は、概して、介護者による目視検査に限定され、多くの場合、下にある創傷組織は、包帯または他の視覚的障害によって不明瞭であり得る。無傷で、傷のない皮膚であっても、潰瘍につながり得る、易感染性の血管またはより深い組織の損傷などの、肉眼では不可視である、下にある損傷を有する場合がある。創傷治療と同様に、ギプスまたは他の包囲体による体肢の固定を必要とする整形外科的治療中、下にある組織に関する限定された情報のみが集められる。骨プレートなどの内部組織修復の事例では、連続した直接センサ駆動データ収集は、実施されない。さらに、筋骨格機能を支持するために使用されるブレースおよび/またはスリーブは、下にある筋肉の機能または体肢の動きを監視しない。直接治療以外には、患者パラメータを監視する能力を追加することによって、ベッドおよび毛布などの一般的な病室用品が改善され得る。
【0004】
こうした創傷監視および/または治療システムは、組織と接触することによる固有の問題を示している。加えて、創傷は、障害なく治癒されるべきである。同時に、そのようなシステムがヒトまたは動物の組織上での使用に対して信頼性および安全性を確保するよう注意しなければならない。
【0005】
したがって、改善された創傷監視および/または治療システムに対する必要性がある。
【発明の概要】
【0006】
創傷監視および/または治療装置は、複数のセンサ回路を含み得る。各センサ回路は、複数の入力信号を処理して、複数の入力信号から単一の出力信号を生成するように構成され得る。複数の入力信号の各々は、基板上に位置付けられた複数のセンサの異なるセンサの測定値に対応し得る。創傷監視および/または治療装置は、各センサ回路に結合された選択回路を含み得る。選択回路は、複数のセンサ回路から複数の単一の出力信号を受信し、かつ複数のセンサ回路の選択されたセンサ回路の単一の出力信号を出力するように構成され得る。創傷監視および/または治療装置は、選択回路と電気通信するように構成されたプロセッサを含み得る。プロセッサは、選択回路に、複数のセンサ回路のうちのどれを選択するかを通信することと、選択回路から、選択されたセンサ回路の単一の出力信号を受信することと、選択されたセンサ回路の単一の出力信号から、複数の入力信号の各々を別々に抽出することと、を行うように構成され得る。基板は、創傷に少なくとも部分的に位置付けられるように構成され得る。基板は、複数のセンサまたは選択回路のうちの少なくとも1つを支持し得る。
【0007】
前述の段落のいずれかの創傷監視および/もしくは治療装置、ならびに/または本明細書に開示された装置および/もしくはシステムは、本明細書に説明される他の特徴の中でも、本段落に説明される以下の特徴の任意の組み合わせを含み得る。複数の入力信号は、第1の入力信号および第2の入力信号を含み得る。第1の入力信号は、単一の出力信号のゼロ周波数成分に対応し得る。第2の入力信号は、単一の出力信号の非ゼロ周波数成分に対応し得る。単一の出力信号の非ゼロ周波数成分は、単一の出力信号の第1の非ゼロ周波数成分であり得、複数の入力信号は、第3の入力信号を含み得る。第3の入力信号は、単一の出力信号の第1の非ゼロ周波数成分とは異なる、単一の出力信号の第2の非ゼロ周波数成分に対応し得る。単一の出力信号の第1の非ゼロ周波数成分が、およそ50kHzの周波数に対応し得る。単一の出力信号の第2の非ゼロ周波数成分は、およそ1kHz~およそ10kHzの周波数に対応し得る。
【0008】
前述の段落のいずれかの創傷監視および/もしくは治療装置、ならびに/または本明細書に開示された装置および/もしくはシステムは、本明細書に説明される他の特徴の中でも、本段落に説明される以下の特徴の任意の組み合わせを含み得る。複数の入力信号は、第1の入力信号および第2の入力信号を含み得る。第1の入力信号は、単一の出力信号のDC成分に対応し得る。第1の入力信号は、複数のセンサのうちの第1のセンサからの測定値に対応し得る。第2の入力信号は、複数のセンサのうちの第2のセンサからの測定値に対応し得る。第1および第2のセンサの各々が、温度センサ、光学センサ、加速度計、動きセンサ、ジャイロスコープ、インピーダンスセンサ、導電率センサ、pHセンサ、圧力センサ、または灌流センサのうちの1つを含み得る。第1および第2のセンサは、同一であってもよく、または異なってもよい。第1のセンサは、温度センサであり得、第2のセンサは、インピーダンスセンサであり得る。
【0009】
前述の段落のいずれかの創傷監視および/もしくは治療装置、ならびに/または本明細書に開示された装置および/もしくはシステムは、本明細書に説明される他の特徴の中でも、本段落に説明される以下の特徴の任意の組み合わせを含み得る。プロセッサは、選択されたセンサ回路の単一の出力信号から、複数の入力信号の各々を別々に抽出するように構成されており、抽出することが、選択されたセンサ回路の単一の出力信号のゼロ周波数成分に少なくとも部分的に基づいて、複数の入力信号のうちの第1の入力信号を決定することと、選択されたセンサ回路の単一の出力信号の非ゼロ周波数成分に少なくとも部分的に基づいて、複数の入力信号のうちの第2の入力信号を決定することと、を行うように構成されていることによる。創傷監視および/または治療装置は、基板または基板上に位置付けられた複数のセンサのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0010】
創傷監視および/または治療システムは、創傷に少なくとも部分的に位置付けられるように構成された基板と、基板上に位置付けられた第1のセンサタイプの少なくとも1つの第1のセンサと、基板上に位置付けられた第2のセンサタイプの少なくとも1つの第2のセンサと、を含み得る。第2のセンサタイプは、第1のセンサタイプとは異なり得る。創傷監視および/または治療システムは、第1および第2のセンサと電気通信するプロセッサを含み得る。プロセッサは、基板上に位置付けられ得る。プロセッサは、基板の外部にあり得るコントローラから、有線インターフェースを介して、制御コマンドを受信するように構成され得る。プロセッサは、制御コマンドに少なくとも部分的に基づいて、少なくとも1つの第1のセンサまたは少なくとも1つの第2のセンサのうちの少なくとも1つをアクティブ化するように構成され得る。プロセッサは、少なくとも1つの第1のセンサまたは少なくとも1つの第2のセンサのうちの少なくとも1つから受信されたセンサデータをデジタル化するように構成され得る。プロセッサは、コントローラに、有線インターフェースを介して、第1または第2のセンサデータのうちの少なくとも1つのデジタル化されたセンサデータを送信するように構成され得る。
【0011】
前述の段落のいずれかのシステム、ならびに/または本明細書に開示された装置および/もしくはシステムもまた、本明細書に説明される他の特徴の中でも、本段落に説明される以下の特徴の任意の組み合わせを含み得る。少なくとも最後の1つの第1のセンサまたは少なくとも1つの第2のセンサの各々は、温度センサ、光学センサ、加速度計、動きセンサ、ジャイロスコープ、インピーダンスセンサ、導電率センサ、pHセンサ、圧力センサ、または灌流センサを含み得る。第1および第2のセンサは、同一であってもよく、または異なってもよい。少なくとも1つの第1のセンサは、複数の温度センサを含み得る。少なくとも1つの第2のセンサは、複数の光学センサを含み得る。
【0012】
前述の段落のいずれかのシステム、ならびに/または本明細書に開示された装置および/もしくはシステムは、本明細書に説明される他の特徴の中でも、本段落に説明される以下の特徴の任意の組み合わせを含み得る。複数の温度センサの各温度センサは、アナログセンサデータを生成し得る。各温度センサは、プロセッサのそれぞれのアナログセンサ入力に接続され得る。複数の光学センサの各光学センサは、デジタルセンサデータを生成し得る。各光学センサは、プロセッサのそれぞれのデジタル信号入力に接続され得る。複数の光学センサの各光学センサは、デジタルセンサデータを生成し得る。各光学センサは、プロセッサのそれぞれのデジタル信号入力に接続され得る。プロセッサは、シリアルプロトコルを使用してコントローラと通信するように構成され得る。シリアルプロトコルは、集積回路間(I2C)プロトコルとすることができる。
【0013】
監視および/または治療システムは、少なくとも部分的に創傷内に位置付けられるように構成された基板、および基板上に位置付けられた複数のセンサを含み得る。センサは、創傷と関連付けられた生理学的データを検出するように構成され得る。システムは、基板上に位置付けられた複数の光源、および基板上に位置付けられた制御回路を含み得る。制御回路は、複数のセンサの少なくともいくつかのセンサからデータを受信することと、光源を制御して、光通信プロトコルを介してリモートコンピューティングデバイスに受信されたデータを通信することと、を行うように構成され得る。
【0014】
前述の段落のいずれかのシステム、ならびに/または本明細書に開示されたシステムおよび/もしくは装置は、本明細書に説明される他の特徴の中でも、本段落に説明される以下の特徴の任意の組み合わせを含み得る。光源が、基板の縁または角のうちの少なくとも一方に位置付けられている。基板は、複数の穿孔を含み得る。光源は、穿孔を含まない基板のエリア内に位置付けられ得る。光源は、閾値を下回る密度を有する穿孔を含む、基板のエリア内に位置付けられ得る。基板は、実質的に光学的に透明なコーティングでコーティングされ得る。
【0015】
前述の段落のいずれかのシステム、ならびに/または本明細書に開示されたシステムおよび/もしくは装置は、本明細書に説明される他の特徴の中でも、本段落に説明される以下の特徴の任意の組み合わせを含み得る。システムは、外部コントローラを含み得るリモートコンピューティングデバイスを含み得る。システムは、基板上に位置付けられた複数の光検出器を含み得る。制御回路は、光検出器から、光通信プロトコルを介してリモートコンピューティングデバイスによって送信されたデータを受信するように構成され得る。
【0016】
一部の場合に、前述の段落のうちのいずれか1つ以上の方法および/または本明細書に説明される方法のうちのいずれかを使用して製造された創傷監視および/または治療装置(創傷被覆材など)が開示される。一部の場合に、前述の段落のうちのいずれか1つ以上の方法および/または本明細書に説明される方法のうちのいずれかを使用して製造された1つ以上の電子部品および/または接続を支持する基板が開示される。本明細書に開示される創傷監視および/もしくは治療装置ならびに/またはシステムのいずれかを動作させる方法が開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本開示の実施形態について、添付の図面を参照して、例としてのみ以下に説明する。
【0018】
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書に開示される実施形態は、センサ対応基板を用いて生物学的組織を監視または治療することのうちの少なくとも1つを行う装置および方法に関する。本明細書に開示されるシステムおよび方法は、特定のタイプの組織または損傷の治療または監視に限定されないが、代わりに、本明細書に開示されるセンサ対応技術は、センサ対応基板から利益を得ることができる任意のタイプの治療に広く適用可能である。いくつかの実施態様では、診断および患者管理決定の両方を行うために、医療従事者によって信頼されるセンサおよびデータ収集を利用する。
【0020】
本明細書に開示されるいくつかのシステムおよび方法は、無傷のおよび損傷したヒトまたは動物の組織の両方の治療に使用されるように構成された基板上に装着されているか、または基板内に埋め込まれている、センサの使用に関する。そのようなセンサは、取り囲んでいる組織についての情報を収集し、そのような情報を、さらなる治療に利用されるように、コンピューティングデバイスまたは介護者に送信し得る。特定の場合、そのようなセンサは、関節炎、温度、または問題を起こす傾向があり、監視を必要とする他のエリアを監視するためのエリアを含む、身体上の任意の場所の皮膚に取り付けられ得る。本明細書に開示されるセンサはまた、例えば、MRIまたは他の技術を実施する前に、デバイスの存在を示すために、放射線不透過性マーカなどのマーカを組み込み得る。
【0021】
本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法は、衣服と組み合わせて使用され得る。本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法とともに使用するための衣服の非限定的な例としては、シャツ、パンツ、ズボン、ドレス、下着、外着、手袋、靴、帽子、および他の好適な衣類が挙げられる。特定の場合では、本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法は、特定の衣類に溶接または積層され得る。センサシステムおよび方法は、衣類上に直接印刷されてもよく、かつ/または布に埋め込まれてもよい。微多孔膜などの通気性および印刷可能な材料も好適であり得る。
【0022】
本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法は、病院用ベッド内などのクッション材またはベッドパッドに組み込まれて、本明細書に開示される任意の特性などの患者特性を監視し得る。特定の場合、そのようなセンサを含有する使い捨てフィルムは、病院用ベッドの上に配置され、必要に応じて除去/交換され得る。
【0023】
いくつかの実施態様では、本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法は、センサシステムおよび方法が自立運転するように、エネルギーハーベスティングを組み込み得る。例えば、エネルギーは、熱エネルギー源、運動エネルギー源、化学勾配、または任意の好適なエネルギー源から回収され得る。
【0024】
本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法は、スポーツ医学を含むリハビリテーションデバイスおよび治療に利用され得る。例えば、本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法は、ブレース、スリーブ、ラップ、支持体、および他の好適なアイテムに使用され得る。同様に、本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法は、ヘルメット、スリーブ、および/またはパッドなどの、スポーツ用品に組み込まれ得る。例えば、そのようなセンサシステムおよび方法は、脳振盪診断に有用であり得る、加速度などの特性を監視するために、保護ヘルメットに組み込まれ得る。
【0025】
本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法は、外科用デバイス、例えば、Smith&Nephew IncによるNAVIO外科システムと協働して使用され得る。いくつかの実施態様では、本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法は、外科用デバイスの設置をガイドするために、そのような外科用デバイスと通信し得る。いくつかの実施態様では、本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法は、潜在的な手術部位への、もしくはそこから離れる血流を監視するか、または手術部位への血流がないことを確認し得る。さらなる外科用データが、瘢痕化の防止を支援し、罹患エリアから離れたエリアを監視するために収集され得る。
【0026】
外科技術をさらに支援するために、本明細書に開示されるセンサは、外科用ドレープに組み込まれて、肉眼では即座に可視ではない場合があるドレープ下の組織に関する情報を提供し得る。例えば、センサ埋め込み可撓性ドレープは、改善されたエリアフォーカスデータ収集を提供するために有利に位置付けられたセンサを有し得る。特定の実施態様では、本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法は、ドレープの境界または内部に組み込まれて、手術シアタを制限/制御するフェンシングを作成し得る。
【0027】
本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法はまた、術前評価のために利用され得る。例えば、そのようなセンサシステムおよび方法は、可能性のある切開部位について皮膚および下にある組織を監視することによるなどの、潜在的な手術部位についての情報を収集するために使用され得る。例えば、灌流レベルまたは他の好適な特性は、個々の患者が外科的合併症のリスクにあり得るかどうかを評価するために、皮膚の表面および組織のより深部で監視され得る。本明細書に開示されるものなどのセンサシステムおよび方法は、微生物感染の存在を評価し、抗菌剤の使用の指示を提供するために使用され得る。さらに、本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法は、圧迫潰瘍損傷および/または脂肪組織レベルを識別するなどの、より深部の組織でさらなる情報を収集し得る。
【0028】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、心血管監視に利用され得る。例えば、そのようなセンサシステムおよび方法は、皮膚に対して配置され得る可撓性の心血管モニタに組み込まれて、心血管系の特徴を監視し、そのような情報を別のデバイスおよび/または介護者に伝達し得る。例えば、そのようなデバイスは、脈拍数、血液の酸素化、および/または心臓の電気的活動を監視し得る。同様に、本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法は、ニューロンの電気的活動を監視するなどの、神経生理学的用途に利用され得る。
【0029】
本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法は、可撓性インプラントを含む、移植可能な整形外科用インプラントなどの移植可能なデバイスに組み込まれ得る。そのようなセンサシステムおよび方法は、インプラント部位に関する情報を収集し、この情報を外部ソースに送信するように構成され得る。一部の場合に、内部ソースはまた、そのようなインプラントに電力を提供し得る。
【0030】
本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法はまた、筋肉中のラクトースの蓄積または皮膚の表面上の発汗量などの、皮膚の表面または皮膚の表面下の生化学的活動を監視するために利用され得る。一部の場合に、グルコース濃度、尿濃度、組織圧力、皮膚温度、皮膚表面導電率、皮膚表面抵抗率、皮膚水和、皮膚浸軟、および/または皮膚の裂けなどの、他の特性が監視され得る。
【0031】
本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法は、耳、鼻、および喉(ENT)用途に組み込まれ得る。例えば、そのようなセンサシステムおよび方法は、洞通路内の創傷監視などの、ENT関連手術からの回復を監視するために利用され得る。
【0032】
本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法は、ポリマーフィルムを用いた被包などの、被包を伴うセンサ印刷技術を包含し得る。そのようなフィルムは、ポリウレタンなどの、本明細書に説明される任意のポリマーを使用して構築され得る。被包は、電子機器の防水、ならびに局所組織、局所流体、および潜在的な損傷の他のソースからの保護を提供し得る。
【0033】
特定の場合、本明細書に開示されるセンサは、器官保護層に組み込まれ得る。そのようなセンサ埋め込み器官保護層は、関心対象の器官を保護し、器官保護層が定位置にあり、保護を提供することを確認することの両方を行い得る。さらに、センサ組み込み器官保護層は、血流、酸素化、および器官の健康の他の好適なマーカを監視することによるなどの、下にある器官を監視するために利用され得る。一部の場合に、センサ対応器官保護層は、器官の脂肪および筋肉の含量を監視することによるなどの、移植された器官を監視するために使用され得る。さらに、センサ対応器官保護層は、移植中、および器官のリハビリテーション中などの移植後に、器官を監視するために使用され得る。
【0034】
本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法は、創傷(以下により詳細に開示される)の治療、または様々な他の用途に組み込まれ得る。本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法に対する追加の用途の非限定的な例としては、無傷の皮膚の監視および治療、血流の監視などの心血管用途、体肢運動および骨修復の監視などの整形外科用途、電気インパルスの監視などの神経生理学的用途、ならびに改善されたセンサ対応監視から利益を得ることができる任意の他の組織、器官、系、または条件が挙げられる。
【0035】
創傷治療
本明細書に開示されるいくつかのシステムおよび方法は、ヒトまたは動物の身体に対する創傷治療に関する。そのため、本明細書における創傷へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の身体上の創傷を指すことができ、本明細書における身体へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の身体を指し得る。開示されたシステムおよび方法は、例えば、陰圧源ならびに創傷被覆材構成要素および装置を含む、減圧を伴うか、または減圧を伴わない、生理学的組織もしくは生体組織への損傷を防止もしくは最小化すること、または損傷した組織(例えば、本明細書に説明される創傷)の治療に関し得る。創傷オーバーレイおよびパッキング材料、または、存在する場合には内層を備える、装置および構成要素は、時に総称して被覆材と呼ばれる。一部の場合に、創傷被覆材は、減圧を伴わずに利用されるように提供され得る。
【0036】
本明細書で使用される場合、「創傷」という表現は、切断、強打、または他の衝撃、典型的には皮膚が切断または破損される衝撃によって引き起こされ得る、生体組織への傷害を含み得る。創傷は、慢性または急性の傷害であり得る。急性創傷は、手術または外傷の結果として生じる。それらは、予測される時間フレーム内で治癒の段階を進行する。慢性創傷は、典型的には、急性創傷として始まる。急性創傷は、治癒段階に従わないときに慢性創傷となり得、長期化した回復を結果的にもたらす。急性創傷から慢性創傷への遷移は、患者が免疫不全状態であることに起因し得ると考えられる。
【0037】
慢性創傷は、例えば、慢性創傷の大部分を占め、主に高齢者に影響を及ぼす静脈性潰瘍(脚で発生するものなど)、糖尿病性潰瘍(例えば、足または足首潰瘍)、末梢動脈疾患、圧迫潰瘍、圧迫傷、または表皮水疱症(EB)を含み得る。
【0038】
他の創傷の例としては、腹部創傷、あるいは手術、外傷、胸骨切開、筋膜切開、または他の条件のいずれかの結果としての他の大きなもしくは切開性の創傷、裂開創傷、急性創傷、慢性創傷、亜急性創傷および裂開創傷、外傷性創傷、フラップおよび皮膚移植片、裂傷、擦傷、挫傷、火傷、糖尿病性潰瘍、圧迫潰瘍、圧迫傷、ストーマ、術創、外傷性潰瘍および静脈性潰瘍などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
創傷はまた、深部組織傷害を含み得る。深部組織傷害は、固有の形態の圧迫潰瘍を説明するために、米国褥瘡諮問委員会(National Pressure Ulcer Advisory Panel(NPUAP))によって提案された用語である。これらの潰瘍は、紫色の圧迫潰瘍、悪化する可能性のある潰瘍、および骨隆起のあざなどの用語で、長年にわたって臨床医によって説明されてきた。
【0040】
創傷はまた、圧迫傷を含み得る。圧迫傷は、皮膚および/または下の軟部組織への局所的な損傷であり、通常、骨隆起上にあるか、または医療もしくは他のデバイスに関連する。傷は、無傷の皮膚または開放性潰瘍として現れ得、痛みを伴い得る。傷は、強いおよび/もしくは長期にわたる圧力、またはせん断と組み合わせた圧力の結果として生じる。圧力およびせん断に対する軟部組織の許容度は、軟部組織の微気候、栄養、灌流、併存症および条件によっても影響を受け得る。
【0041】
創傷はまた、本明細書で考察されるように、創傷になるリスクがある組織を含み得る。例えば、リスクがある組織は、切断される潜在性を有し得る(例えば、関節置換/外科的変更/再建)骨隆起の上の組織(深部組織傷害/損傷のリスクがある)または外科手術前の組織(例えば、膝組織)を含み得る。
【0042】
いくつかの開示は、高度な履物、患者の寝返り、オフロード(例えば、糖尿病性足部潰瘍のオフロード)、感染症の治療、システミックス、抗菌剤、抗生物質、手術、組織の除去、血流への影響、理学治療、運動、入浴、栄養、水分補給、神経刺激、超音波、電気刺激、酸素治療、マイクロ波治療、活性剤オゾン、抗生物質、抗菌剤などのうちの1つ以上と組み合わせて、本明細書に開示された技術を用いて創傷を治療する方法に関する。
【0043】
代替的にまたは追加的に、創傷は、局所陰圧(TNP)および/または適用された陰圧の使用によって支援されない従来の高度な創傷ケア(非陰圧治療とも称され得る)を使用して治療され得る。
【0044】
高度な創傷ケアは、吸収被覆材、閉塞被覆材、創傷被覆材または補助材における抗微生物剤および/または創傷清拭剤の使用、パッド(例えば、ストッキングまたは包帯などの緩衝または圧迫治療)の使用などの使用を含み得る。
【0045】
一部の場合に、創傷被覆材は、1つ以上の吸収層を含む。吸収層は、発泡体または超吸収体であり得る。
【0046】
一部の場合に、開示された技術は、非陰圧被覆材とともに使用され得る。創傷部位における保護を提供するのに好適な非陰圧創傷被覆材は、創傷滲出液を吸収するための吸収層と、使用時に吸収層によって吸収される創傷滲出液の視界を少なくとも部分的に遮蔽するための遮蔽要素と、を備え得る。遮蔽要素は、部分的に半透明であってもよい。遮蔽要素は、マスキング層であってもよい。
【0047】
一部の場合に、本明細書に開示される非陰圧創傷被覆材は、創傷接触層を含み、吸収層は、創傷接触層に重なる。創傷接触層は、創傷上に実質的に流体密封シールを形成するための接着剤部分を担持し得る。
【0048】
一部の場合に、本明細書に開示される創傷被覆材は、超吸収繊維、またはビスコース繊維もしくはポリエステル繊維の層をさらに含む。
【0049】
一部の場合に、本明細書に開示される創傷被覆材は、裏当て層をさらに含む。裏当て層は、透明または不透明のフィルムであってもよい。典型的には、裏当て層は、ポリウレタンフィルム(典型的には、透明ポリウレタンフィルム)を含む。
【0050】
一部の場合に、発泡体は、開放セル発泡体、または閉鎖セル発泡体であってもよく、典型的には、開放セル発泡体であり得る。発泡体は、親水性であってもよい。
【0051】
創傷被覆材は、透過層を備えることができ、層は、発泡体であってもよい。透過層は、ポリウレタンフィルムに積層されたポリウレタン発泡体であり得る。
【0052】
非陰圧創傷被覆材は、圧迫包帯であってもよい。圧迫包帯は、浮腫、ならびに、例えば、下肢などの他の静脈およびリンパ系疾患の治療における使用で知られている。圧迫包帯は、内皮に面する層および弾性外層を含む包帯システムを備え得、内層は、発泡体の第1のプライ、および吸収性不織布ウェブの第2のプライを備え、内層および外層は、患者の体肢の周囲に巻き付けられることができるように十分に細長い。
【0053】
陰圧創傷治療
一部の場合に、創傷の治療は、陰圧創傷治療を使用して実施され得る。本開示のシステムおよび方法は、概して、TNPシステムで使用するように適用可能であり得ることが理解されよう。手短に言えば、陰圧創傷治療は、組織の浮腫を減少させ、血流および顆粒組織形成を促し、過度の滲出液を除去することによって、「治癒が困難な」創傷の多くの形態を閉鎖および治癒するのを支援し、細菌負荷(および、それゆえ感染リスク)を減少させ得る。加えて、治療によって、創傷の不安を減らすことが可能になり、より早期の治癒に導く。TNP治療システムはまた、流体を除去し、閉鎖の並列された位置で組織を安定化するのに役立つことで、外科的に閉じられた創傷の治癒を支援してもよい。TNP治療のさらなる有益な使用は、過剰な流体を除去することが重要であり、組織の生存度を確保するために移植片が組織に近接していることが求められる、移植片およびフラップにおいて見出すことができる。
【0054】
大きすぎて自然には閉じられない、もしくはそうでなければ、創傷の部位への陰圧の適用では治癒しない、開放創または慢性創傷の治療のために、陰圧治療を使用することができる。典型的な陰圧(TNP)治療または陰圧創傷治療(NPWT)システムは、創傷の上に流体に対して不透過性または半透過性の被覆を配置することと、創傷を囲む患者の組織に対して被覆を封止する、様々な手段を使用することと、陰圧を被覆の真下に作り出し維持するような手法で、陰圧源(真空ポンプなど)を被覆に接続することと、を伴う。一部の場合に、陰圧源は、創傷内および/または創傷上に位置付けられた創傷被覆材によって支持され得る。このような陰圧は、創傷部位における肉芽組織の形成を促進し、かつ人体の通常の炎症プロセスを補助しながら、同時に有害なサイトカインまたはバクテリアを含む可能性がある過剰な流体を除去することにより、創傷の治癒を促進すると考えられている。
【0055】
NPWTに使用される被覆材のいくつかは、多くの異なるタイプの材料および層、例えば、ガーゼ、パッド、発泡体パッド、または多層創傷被覆材を含み得る。多層創傷被覆材の一例は、NPWTで創傷を治療する、キャニスタなしのシステムを提供するように、裏当て層の下方に創傷接触層および超吸収層を含む、Smith&Nephewから市販されているPICO被覆材である。創傷被覆材は、被覆材から流体を汲み上げるか、またはポンプから創傷被覆材へ陰圧を伝達するように使用されてもよい、長いチューブへの接続を提供する、吸引ポートにシールされてもよい。加えて、Smith&Nephewから市販されているRENASYS-F、RENASYS-G、RENASYS-ABおよびRENASYS-F/ABも、NPWT創傷被覆材およびシステムのさらなる例である。多層創傷被覆材の別の例は、陰圧を使用せずに創傷を治療するために使用される、湿潤創傷環境被覆材を含む、Smith&Nephewから市販されているALLEVYN Life被覆材である。
【0056】
本明細書で使用される場合、-XmmHgなどの減圧または陰圧レベルは、760mmHg(または1atm、29.93inHg、101.325kPa、14.696psiなど)に相当し得る、平常の周囲気圧に対する圧力レベルを表す。したがって、-XmmHgの陰圧値は、760mmHgよりもXmmHg低い絶対圧力、または、言い換えれば、(760-X)mmHgの絶対圧力を反映する。加えて、XmmHgよりも「低い」または「小さい」陰圧は、気圧により近い圧力に相当する(例えば、-40mmHgは-60mmHgよりも低い)。-XmmHgよりも「高い」または「大きい」陰圧は、気圧からより離れた圧力に相当する(例えば、-80mmHgは-60mmHgよりも高い)。一部の場合に、局所的な周囲気圧は、基準点として使用され、そのような局所的な気圧は、必ずしも、例えば、760mmHgでなくてもよい。
【0057】
本明細書に説明されるいくつかの創傷閉鎖デバイスでは、創傷の縮小の増加が、囲んでいる創傷組織における組織拡張の増加につながり得る。この影響は、場合により、創傷閉鎖デバイスのいくつかによって創傷に適用される引張力の増加と連動して、組織に適用される力を変化させること、例えば、時間とともに創傷に適用される陰圧を変化させることによって増大する場合がある。一部の場合に、例えば、正弦波、方形波を使用して、または1つ以上の生理学的指標(心拍など)と同期して、時間とともに陰圧を変化させてもよい。
【0058】
本明細書に開示されるシステムおよび方法のいずれかは、吸収材を説明するWO2010/061225、US2016/114074、US2006/0142560、およびUS5,703,225、非陰圧創傷被覆材を説明するWO2013/007973、多層創傷被覆材を説明するGB1618298.2(2016年10月28日出願)、GB1621057.7(2016年12月12日出願)、およびGB1709987.0(2017年6月22日出願)、創傷被覆材を説明するEP2498829およびEP1718257、圧迫包帯を説明するWO2006/110527、US6,759,566、およびUS2002/0099318、創傷閉鎖デバイスを説明するUS8,235,955およびUS7,753,894、陰圧創傷治療被覆材、創傷被覆材構成要素、創傷治療装置、および方法を説明するWO2013/175306、WO2016/174048、US2015/0190286、US2011/0282309、およびUS2016/0339158のうちの1つ以上に開示されている特徴のいずれかとの組み合わせで使用され得る。これらの出願の各々の開示は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0059】
センサ対応創傷監視および治療システム
図1Aは、創傷監視および治療システム10を例示する。システムは、制御モジュール24に接続されたセンサ対応創傷被覆材22を含む。本明細書に説明されるように、被覆材22は、患者の創傷の上またはその中に置かれてもよく、様々なセンサを埋め込むか、またはそうでなければ被覆材22内に配置して利用し、それにより、創傷または創傷周囲(傷のない皮膚を含み得る)などの創傷の周囲のエリアのうちの1つ以上から測定データを収集することができる。制御モジュール24は、被覆材22によって収集されたデータを受信、記憶、および処理することができる。通信を容易にするために、被覆材22は、本明細書に記載されるような1つ以上のアンテナなどの1つ以上の通信モジュールを含み得る。一部の場合に、制御モジュール24は、1つ以上のコマンドおよびデータを被覆材22に送信することができる。
【0060】
創傷被覆材22は、使い捨てであってもよく、制御モジュール24は再使用可能であってもよい。一部の場合に、創傷被覆材22は、再使用可能であってもよい。一部の場合に、制御モジュール24は、コントローラとすることができる。一部の場合に、創傷被覆材22は、再滅菌されるか、またはそうでなければ消毒もしくは殺菌され得る。一部の場合に、制御モジュール24は、使い捨てであってもよい。一部の場合に、創傷被覆材22および制御モジュール24は、永久的に接続されてもよく、組み合わされた創傷被覆材および制御モジュールは、使い捨てであるか、または再利用可能であるか、もしくは再滅菌されるか、またはそうでなければ消毒もしくは殺菌され得る。制御モジュール24は、創傷被覆材22上に位置付けられ得る。制御モジュール24は、ケーブルまたは別の有線もしくは無線の電気的接続によってなど、創傷被覆材22から空間的に分離され得る。制御モジュール24は、電源(バッテリなど)、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のデータ記憶素子、および通信デバイスを含み得る。一部の場合に、制御モジュール24は、温度センサまたは光(または光学)センサなどの1つ以上のセンサを含んで、創傷被覆材22から離れて位置する患者または環境状態に関する情報を集めることができる。一部の場合に、制御モジュール24の1つ以上のセンサは、加速度計、動きセンサ、またはジャイロスコープを含み得る。
【0061】
創傷被覆材22は、情報をユーザに通信するための1つ以上のインジケータを含み得る。インジケータは、視覚、可聴、触覚、または触知であってもよい。通信された情報は、測定データ、創傷状態等を含み得る。
【0062】
制御モジュール24は、要求されたときに、定期的に、またはそれに類似のときのように、通信デバイス30にデータを通信することができる。通信デバイスが通信範囲に配置されるときに、近距離無線通信(NFC)、RFID、またはそれに類似のものを介してなど、有線または無線インターフェースを介して通信を行うことができる。例えば、通信範囲は、制御モジュール24に対しておよそ3cm以下または以上の範囲以内などで、近接していてもよい。通信デバイス30は、初期化中および治療終了時になど、臨床医によって通信範囲に配置され得る。制御モジュール24は、データを要求する通信デバイス30からのコマンドにデータで応答することができる。通信は、1つ以上のメモリ記憶デバイス(例えば、SDカード)などのハードウェアまたはデータ記憶装置の転送を介して実施され得る。一部の場合に、通信は、視覚的、聴覚的、または触覚的になど、非電子的に実施され得、制御モジュール24または通信デバイス30のうちの1つ以上は、データのこうした非電子通信のためのインターフェースを提供することができる。
【0063】
通信デバイス30は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォンなどのコンピューティングデバイス40に有線または無線インターフェースを介して接続され得る。例えば、有線USBプロトコルは、デバイス30とデバイス40との間のデータの通信に使用され得る。別の例として、データの通信は、1つ以上のメモリ記憶デバイス(例えば、SDカード)などのハードウェアまたはデータ記憶装置の転送を介して実施され得る。一部の場合に、データの通信は、視覚的、聴覚的、または触覚的になど、非電子的に実施され得、通信デバイス30またはコンピューティングデバイス40のうちの1つ以上は、データのこうした非電子通信のためのインターフェースを提供することができる。
【0064】
コンピューティングデバイス40は、被覆材22によって収集されたデータをさらに処理することができる。例えば、コンピューティングデバイス40は、皮膚灌流圧を決定し、有線または無線インターフェースを介してコンピューティングデバイス40にデータを通信するように構成されている、被覆材22および灌流決定デバイス70から収集されたデータを集約することができる。例えば、有線USBプロトコルは、デバイス70とデバイス40との間の通信に使用され得る。
【0065】
コンピューティングデバイス40は、医療データを記憶および処理するリモートコンピューティングデバイス50と有線または無線インターフェースを介して通信するように構成され得る。一部の場合に、リモートコンピューティングデバイス50は、リモートストレージ、サーバー、処理デバイス、または情報ストレージの任意の手段のうちの1つ以上を含む、クラウドコンピューティングデバイスであってもよい。例えば、リモートコンピューティングデバイス50は、Health Insurance Portability & Accountability Act(HIPAA)、データ保護に関する欧州連合の指令など、1つ以上の適用されるセキュリティおよびプライバシー基準に従って、医療データを処理および記憶することができる。リモートコンピューティングデバイス50は、例えば、モバイルデバイス60上など、リモートアクセスおよび表示のために、コンピューティングデバイス40またはモバイルデバイス60のうちの1つ以上によって提供されるデータを利用可能にすることができる。特定の実装形態では、リモートコンピューティングデバイス50上の記憶装置のために、追加のデータを加えることができる。例えば、専用アプリ、ウェブブラウザインターフェース、またはそれに類似のものを介して、モバイルデバイス60によって追加のデータを加えることができる。リモートコンピューティングデバイス50は、創傷被覆材22、灌流決定デバイス70、またはモバイルデバイスのうちの1つ以上からのデータを処理して、1つ以上の治療的療法を提案または調整するなど、治療計画を評価または決定することができる。
【0066】
本明細書に説明されるように、モバイルデバイス60は、患者の創傷の1つ以上の画像を撮影することができる。こうしたデータは、有線または無線インターフェースを介してリモートコンピューティングデバイス50に送信され得る。スマートフォンが図示されているが、モバイルデバイス60は、カメラなどの撮像機能を含む任意の好適なコンピューティングデバイスであってもよい。モバイルデバイス60はまた、質問票への応答において医療従事者によって入力されるデータなどの追加のデータを収集することができる。
【0067】
センサ対応基板および創傷被覆材
1つ以上のセンサを含む、いくつかの電子部品を組み込む創傷被覆材は、創傷の特徴を監視するために利用され得る。創傷からデータを収集および分析することは、創傷が治癒曲線上にあるか否かを決定すること、適切な治療を選択すること、創傷が治癒したか否かを決定することなどに対する有用な洞察を提供し得る。
【0068】
いくつかの実施態様では、いくつかのセンサ技術が、創傷被覆材、または創傷被覆材装置全体の一部を形成する1つ以上の構成要素で使用され得る。例えば、
図1B、
図1Cに例示されるように、1つ以上のセンサは、基板上または基板内(そのような基板は、「センサ統合基板」または「センサ対応基板」と称され得る)に組み込まれ得る。基板は、四角形を有するように例示されるが、基板が、長方形、円形、楕円形などの他の形状を有してもよいことが理解されるであろう。一部の場合に、1つ以上のセンサを支持する基板は、創傷の上または中に直接的または間接的に配置される個々の材料層として提供され得る。センサ統合基板は、より大きい創傷被覆材装置の一部であり得る。一部の場合に、センサ統合基板は、単一のユニット被覆材の一部である。追加的または代替的に、センサ統合基板は、創傷の上または中に直接的または間接的に配置され、次いで、ガーゼ、発泡体、または他の創傷包装材料、超吸収層、ドレープ、Smith&Nephewによって製造されたPicoまたはAllevyn Life被覆材などの完全一体型被覆材などのうちの1つ以上を含み得る、二次創傷被覆材によって被覆され得る。
【0069】
センサ統合基板は、創傷と接触して配置され得、流体が、創傷の中の組織への損傷を全くまたはほとんど引き起こさずに、基板を通過することを可能にし得る。基板は、創傷に適合または創傷を被覆するために、可撓性、弾性、伸張性、または伸縮性、または実質的に可撓性、弾性、伸張性、または伸縮性であり得る。例えば、基板は、ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、シリコーン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレンテトラフタレート(PET)、ポリブタレンテトレアフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルイミド(PEI)、ならびに様々なフッ素ポリマー(FEP)およびコポリマー材料のうち1つ以上などの伸縮性または実質的に伸縮性の材料、または別の好適な材料から作製され得る。
【0070】
伸縮性または実質的に伸縮性の材料は、長さまたは幅など、その開始寸法の5%以下もしくは以上、10%以下もしくは以上、20%以下もしくは以上、または20%超に延伸され得る。一部の場合に、伸縮性または実質的に伸縮性の材料は、延伸された後、開始寸法(長さまたは幅など)の5%以下または以上の範囲以内に戻ることができる。
【0071】
一部の場合に、基板は、ポリアミド、ポリイミド(PI)、ポリエステル、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルイミド(PEI)を含む可撓性ポリマー、ならびに様々なフッ素ポリマー(FEP)およびコポリマーなどで形成され得る、1つ以上の可撓性回路基板を含み得る。1つ以上のセンサは、2層可撓性回路基板に組み込まれ得る。いくつかのシナリオでは、1つ以上の回路基板は、多層可撓性回路基板とすることができる。
【0072】
一部の場合に、センサ統合基板は、湿潤または乾燥組織に接着する接着剤を組み込み得る。一部の場合に、1つ以上の可撓性回路基板を位置付けられ得る1つ以上のセンサが、創傷被覆材の任意の層に組み込まれ得る。例えば、創傷接触層は、創傷接触層の下表面から突出し、創傷に直接接触する、1つ以上のセンサを可能にする、切り欠き部またはスリットを有し得る。いくつかの状況では、1つ以上のセンサは、例えば、吸収層などの創傷被覆材の他の構成要素に組み込まれるか、またはその中に封入され得る。
【0073】
図1Bに示されるように、センサ統合基板100Bは、複数の電子部品と、部品のうちの少なくともいくつかを相互接続する複数の電子接続と、を支持し得る。電子部品は、センサ、アンプ、コンデンサ、抵抗器、インダクタ、コントローラ、プロセッサ、ダイオードなどの本明細書に説明される任意の電子部品のうちの1つ以上とすることができる。電子接続は、電子部品のうちの1つ以上を電気的に接続し得る。電子接続は、銅、導電性インク(銀インク、グラファイトインク、カーボンインクなど)の使用などの、基板上に印刷されたトレースまたはトラックとすることができる。電子接続のうちの少なくともいくつかは、可撓性もしくは伸縮性、または実質的に可撓性もしくは伸縮性とすることができる。
【0074】
複数の電子部品は、
図1B、
図1Cに例示されるように、外側4×4グリッドおよび内側4×4グリッドで配置され得る、1つ以上のインピーダンスまたは導電率センサ110を含み得る。センサ110は、パッドの任意のペアにわたる組織のインピーダンスまたは導電率を測定するように構成されたパッドとして例示される。2つ(またはそれ以上)の励起パッド115が、例示されるように配置されて、パッドにわたって励起信号を提供し、この励起信号は、組織によって伝導され、これに応答して、組織のインピーダンスまたはコンダクタンスが、パッド110にわたって測定され得る。1つ以上のアンプ120などの電子部品が、組織のインピーダンスまたはコンダクタンスを測定するために使用され得る。インピーダンスまたはコンダクタンスの測定値は、生きている組織および死んだ組織を識別し、治癒の進捗を監視するためなどに使用され得る。内側および外側グリッド内のパッド110の配置は、創傷のインピーダンスまたはコンダクタンス、創傷の外周、または創傷を囲む組織もしくはエリアを測定するために使用され得る。
【0075】
複数の電子部品は、創傷または周囲の組織の温度を測定するように構成された1つ以上の温度センサ130を含み得る。例えば、9つの温度センサが、基板100Bの外周の周囲に配置された。1つ以上の温度センサは、1つ以上の熱電対またはサーモスタットを含み得る。1つ以上の温度センサは、較正され得、1つ以上のセンサから得られるデータは、創傷環境についての情報を提供するように処理され得る。一部の場合に、周囲空気温度を測定する周囲センサが、環境温度シフトと関連付けられた問題を排除することを支援するために使用され得る。
【0076】
複数の電子部品は、1つ以上の光学センサ150を含み得る。1つ以上の光学センサ150は、創傷の外観を測定するか、または創傷を撮像するように構成され得る。一部の場合に、光を放射する光源または照明源、および創傷によって反射された光を検出する光センサまたは検出器が、1つ以上の光学センサとして使用される。光源は、発光ダイオード(LED)とすることができ、例えば、1つ以上の白色LED、赤色、緑色、青色(RGB)LED、紫外線(UV)LEDなどである。光センサは、色を検出するように構成されたRGBセンサ、赤外線(IR)色センサ、UVセンサなどのうちの1つ以上とすることができる。一部の場合に、光源および検出器の両方は、皮膚に押し付けられることになり、それにより、光が組織中に透過し、組織自体のスペクトル特性を呈することになる。いくつかのシナリオでは、1つ以上の光学センサは、電荷結合素子(CCD)、CMOS画像センサなどの、撮像デバイスを含み得る。
【0077】
一部の場合に、超高輝度LED、RGBセンサ、およびポリエステル光学フィルタが、組織色分化を通して測定するために、1つ以上の光学センサの部品として使用され得る。例えば、表面の色が反射光から測定され得るため、色は、所与の幾何学的形状に対して最初に組織を通過した光から測定され得る。これは、皮膚と接触しているLEDから拡散した散光などからの色感知を含み得る。一部の場合に、LEDは、組織を通して拡散した光を検出するために、近位のRGBセンサと使用され得る。光学センサは、拡散した内部光または表面反射光を用いて撮像し得る。
【0078】
複数の電子部品のうちの1つ以上は、制御モジュールによって制御され得る。制御モジュールは、1つ以上のセンサによって取得された1つ以上の測定値を受信および処理し得る。
図1Aに例示される24などの外部制御モジュールは、コネクタ(例えば、
図1B、
図1Cのコネクタ140)を介して複数の電子部品のうちの少なくともいくつかに接続され得る。一部の場合に、コネクタ140は、
図1Cに例示されるように導電性トラック部分の端に位置付けられるか、または
図1Bに例示されるように端から離れた位置で導電性トラック部分に取り付けられ得る(例えば、接着剤でトラック部分の上部に取り付けられる)。制御モジュールは、1つ以上のコントローラもしくはマイクロプロセッサ、メモリなどを含み得る。一部の場合に、1つ以上のコントローラは、基板上に位置付けられ得、コネクタ140は、使用されない。一部の場合に、データおよびコマンドは、基板上に位置付けられたトランシーバによるなどの、無線で通信され得、コネクタ140は、使用されない。
【0079】
一部の場合に、1つ以上のpHセンサ、圧力センサ、灌流センサなどの、追加的または代替的なセンサが、基板上に位置付けられてもよい。
【0080】
一部の場合に、基板は、
図1Cに例示されるように穿孔され得る。複数の穿孔160が、基板100C内に形成され得、流体が基板を通過することを可能にする。陰圧創傷治療の適用と併せて穿孔された基板を使用することが有利であり得るが、その間、減圧が、被覆材によって被覆された創傷に適用され、創傷から流体(創傷滲出液など)の除去を引き起こす。穿孔160は、
図1B、1Cに例示されるように、複数の電子構成要素および接続の周囲に形成され得る。穿孔160は、スリットまたは孔として形成され得る。一部の場合に、穿孔160は、流体が基板を通過することを可能にしつつ、組織の内成長を防止することを助けるために十分に小さくてもよい。
【0081】
一部の場合に、基板は、基板または基板によって支持される部品のうちの1つ以上を封入または被覆するように被覆され得る。コーティングは、生体適合性を提供すること、電子回路が液体と接触することから遮蔽または保護すること、患者の快適さを増大させるために電子部品用のパッドを提供することなどを行い得る。そのようなコーティングは、「コンフォーマルコート」または「ソフトコート」とも称され得る。ソフトコートは、伸縮性または実質的に伸縮性であり得る。ソフトコートは、疎水性または実質的に疎水性であり得る。
【0082】
ソフトコートは、1つ以上の好適なポリマー、1072-M接着剤(例えば、Dymax 1072-M)、1165-M接着剤(Dymax 1165-Mなど)などの接着剤、パリレン(例Parylene Cなど)、シリコーン、エポキシ、ウレタン、アクリル化ウレタン、アクリル化ウレタン代替物(Henkel Loctite 3381など)、または他の好適な生体適合性、かつ実質的に伸縮性の材料から形成され得る。ソフトコートは、例えば、約80ミクロン以下~数ミリメートル以上までの薄いコーティングとすることができる。ソフトコートは、約A100、A80、A50以下よりも低い硬度を有し得る。ソフトコートは、約100%、200%、300%以上を超える破壊時伸びを有し得る。ソフトコートは、約8,000~14,500センチポアズ(cP)の粘度を有し得る。一部の場合に、コーティングは、約3,000cP以上の粘度を有し得る。一部の場合に、コーティングは、約3,000cP未満の粘度を有し得る。
【0083】
一部の場合に、基板が、より良好に創傷に適合するか、または創傷を被覆するために、伸縮性または実質的に伸縮性であることが望ましい場合があるが、電子部品または接続のうちの少なくともいくつかは、伸縮性または可撓性ではなくてもよい。そのような事例では、基板が創傷内または創傷上に位置付けられるときに、望ましくないまたは過剰な局所的な歪みまたは応力が、電子部品の支持エリアまたは装着部などの、1つ以上の電子部品上に及ぼされ得る。例えば、そのような応力は、患者の動き、創傷の形状またはサイズの変化(例えば、その治癒に起因する)などに起因し得る。そのような応力は、1つ以上の電子部品または接続の移動、脱落、または誤作動(例えば、接続解除されているピンまたは別のコネクタからの開回路の生成)を引き起こし得る。代替的または追加的に、1つ以上の電子部品によって収集された測定値が、創傷の同じまたは実質的に同じ場所または領域における経時的な変化を正確に取り込むように、1つ以上のセンサなどの1つ以上の電子部品の位置を、創傷に対して同じまたは実質的に同じ場所または領域(創傷と接触するなど)に維持することが望ましい場合がある。伸縮性の基板の表面は、例えば、患者が動くときに移動し得るが、創傷に対して1つ以上の電子部品の同じまたは実質的に同じ位置を維持することが望ましい場合がある。
【0084】
これらの問題に対処するために、一部の場合に、非伸縮性または実質的に非伸縮性のコーティング(そのようなコーティングは、「ハードコート」とも称され得る)が、1つ以上の電子部品、1つ以上の電子接続などに適用され得る。ハードコートは、1つ以上の電子部品、1つ以上の電子接続などのための補強または応力緩和のうちの1つ以上を提供し得る。ハードコーティングは、アクリル化または修飾ウレタン材料から形成され得る。例えば、ハードコートは、Dymax 1901-M、Dymax 9001-E、Dymax 20351、Dymax 20558、Henkel Loctite 3211、または別の好適な材料のうちの1つ以上とすることができる。ハードコートは、硬化前に約13,500cP~50,000cPの粘度を有するか、または硬化前に約3,600cP~約6,600cPの粘度を有し得る。一部の場合に、ハードコートは、約50,000cP以下の粘度を有し得る。ハードコートは、約D40~約D65の硬度および/または約1.5~2.5%の線形収縮を有し得る。
【0085】
本明細書に説明されるハードコートまたはソフトコートのいずれも、積層、接着、溶接(例えば、超音波溶接)、光、UV、熱(例えば、加熱)などのうちの1つ以上による硬化のうちの1つ以上によって適用され得る。本明細書に説明されるハードまたはソフトコートのいずれも、光感知などの、コーティングを通る光の透過を容易にするために透明または実質的に透明であり得る。本明細書に説明されるコーティングのいずれも、EtO滅菌などの滅菌に供されるときに、接着強度を保持し得る。本明細書に説明されるコーティングのいずれも、UV光下などの、蛍光を発光するように改変され得る。
【0086】
いくつかの実装形態では、基板の境界または縁は、切断によって平滑化されてもよく、滑らかな輪郭を有してもよく、繊維を含むなどして、患者の快適さを改善することができる。
【0087】
一部の場合に、基板は、無線通信のための1つ以上のアンテナを含み得る。例えば、1つ以上のアンテナを、基板上の1つ以上の接続またはトレースとして印刷することができる。1つ以上のアンテナは、制御モジュール24などのコントローラを使用することなく、1つ以上のセンサによって収集された測定データを通信するために使用され得る。1つ以上のアンテナを追加的に使用して、電源から無線で電力を受信することができる。特定の事例では、1つ以上のアンテナトレースは、1つ以上のアンテナの共鳴周波数が、患者に対して使用時に基板が応力下にあるときに固定されたままになるように、実質的に非伸縮性の材料(本明細書に記述される)上に位置付けられ得る。1つ以上の共鳴周波数を固定することは、RFIDなどの特定の通信プロトコルに有利であり得る。
【0088】
センサ基板コネクタ
一部の場合に、
図1A~
図1Cのいずれかに例示される制御モジュール24などの、統合または外部制御モジュールは、コネクタ140を介して複数の電子部品のうちの少なくともいくつかに接続され得る。電子部品とコネクタ140との間、またはコネクタ140と制御モジュールとの間の電子接続は、銅、導電性インク(銀インク、グラファイトインク、カーボンインクなど)、ケーブル、ワイヤなどの使用などの、基板上に印刷されたトレースまたはトラックとすることができる。電子接続のうちの少なくともいくつかは、可撓性もしくは伸縮性、または実質的に可撓性もしくは伸縮性とすることができる。例えば、一部の場合に、電子接続は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)(例えば、40umの厚さ)から形成され得る基板上に印刷された銀インクを含み得る。
【0089】
図2は、コネクタ140を例示する。一部の場合に、コネクタ140は、電気接続が屈曲中の誤動作または損傷に対してより脆弱であるように、より凹凸に作製され得る。例えば、一部の場合に、コネクタ140は、電気接続の屈曲を低減するために設計される。コネクタ140は、電気接続の移動または屈曲を制限する構造または支持を提供し得る。
【0090】
コネクタ140は、制御モジュールコネクタにより強い接触を提供するように、基板の端に位置付けられ得る。一部の場合に、コネクタ140の少なくとも一部分は、基板の少なくとも一部分、または
図1Aの創傷被覆材22などの創傷被覆材の少なくとも一部分に接合または別様に取り付けられ得る。例えば、コネクタ140は、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、または透明導電性ポリエステルフィルムなどの可撓性基板を含み得る。一部の場合に、コネクタ140は、複数の電子部品のうちの少なくともいくつかを基板に接合するために使用される同じ方法を使用して、基板に少なくとも部分的に接合され得る。例示されたように、一部の場合に、コネクタ140は、電子部品または制御モジュールの電気接続に接続するための複数の露出したリード202を含み得る。
【0091】
被覆材対コントローラ接続
図3は、創傷監視または治療システム300を例示する。創傷監視または治療システム300は、制御モジュール24と、センサ統合基板302を含み得るセンサ対応型創傷被覆材22と、を含み得る。センサ統合基板302は、センサ統合基板100Bまたは100C、
図1Bまたは
図1Cのうちの一方または両方と同様であり得る。センサ統合基板302または制御モジュール24は、複数の電子部品および電子部品のうちの少なくともいくつかを相互接続する複数の電子接続を含み得る。
【0092】
電子部品は、センサ、アンプ、コンデンサ、抵抗器、インダクタ、コントローラ、プロセッサ、ダイオード、デジタルアナログコンバータ(DAC)、アナログデジタルコンバータ(ADC)などの本明細書に説明される任意の電子部品のうちの1つ以上とすることができる。センサ対応被覆材22は、患者の創傷の上またはその中に置かれてもよく、様々な電子部品を利用して、創傷または創傷周囲(傷のない皮膚を含み得る)などの創傷の周囲のエリアのうちの1つ以上から測定データを収集することができる。
【0093】
複数の電子接続は、センサ対応創傷被覆材22または制御モジュール24の電子部品のうちの少なくともいくつかを相互接続し得る。これらの電子接続のうちの少なくともいくつかは、銅、導電性インク(銀インク、グラファイトインク、カーボンインクなど)、ワイヤ、ケーブル、または他の物理的電気接続を使用するなどの、センサ統合基板302上に印刷されたトレースまたはトラックであり得る。これらの電子接続のうちの少なくともいくつかは、センサ対応創傷被覆材22と制御モジュール304との間に延在し得る。センサ対応創傷被覆材22と制御モジュール304との間に延在する電子接続は、個別にまたはまとめて、被覆材対コントローラ接続304と称され得る。
【0094】
4つの被覆材対コントローラ接続304のみが
図3に例示されているが、本開示は、創傷監視または治療システム300が、より少ないか、またはより多くの数の被覆材対コントローラ接続304を含み得るように、そのように限定されていると解釈されない。例えば、創傷監視または治療システム300は、単一もしくは少数の被覆材対コントローラ接続304を含んでもよく、または約5、10、20、25、40、もしくはそれ以上の被覆材対コントローラ接続304を含んでもよい。
【0095】
一部の場合に、被覆材対コントローラ接続304は、システム300の構成要素に加えられた屈曲または他の力の結果として損傷され得る。そのような力は、被覆材22または制御モジュール24を着用しているユーザの動きから結果的に生じ得る。多数の被覆材対コントローラ接続304は、
図1Bおよび
図1Cに示されるように制御モジュール24に被覆材22を接続する基板上の高密度の接続を結果的にもたらし得る。これは、クロストーク、寄生容量などに起因する信号の劣化につながり得る。したがって、被覆材対コントローラ接続304の数を低減するか、またはそれらを完全に排除することが望ましい場合がある。
【0096】
被覆材対コントローラ接続304の数は、例えば、電子部品の数、および創傷監視または治療システム300内の電子部品の位置または場所に依存し得る。例えば、本明細書に説明されるように、センサ対応創傷被覆材22は、センサ統合基板302上に装着されたか、またはその中に埋め込まれた、いくつかのセンサを含み得る。一部の場合に、各個々のセンサは、異なる物理的接続304を介して制御モジュール24と電気通信し得る。一部の場合に、センサの一部または全部は、1つ以上の被覆材対コントローラ接続304を介して制御モジュール24と電気通信し得る。
【0097】
一部の場合に、被覆材対コントローラ接続304の数は、電子部品の創傷監視または治療システム300内の場所に少なくとも部分的に基づき得る。例えば、一部の実施態様では、創傷監視または治療システム300は、制御モジュール24とは対照的に、センサ対応創傷被覆材22が特定の電子部品を含むとき、より少ない被覆材対コントローラ接続304を含む。追加的な電子部品をセンサ対応創傷被覆材22に組み込むことによって、かつ、したがって、これらの電子部品を制御モジュール24から除去することによって、被覆材対コントローラ接続304の数が低減され得る。例えば、電子部品が、センサ対応創傷被覆材22に(例えば、センサ統合基板302上に)移動されるとき、それらの電子部品間の電気接続のうちの少なくともいくつかは、被覆材対コントローラ接続304ではなく、センサ統合基板302上にトレース、トラック、または他の接続として実装され得る。
【0098】
一部の場合に、センサ対応創傷被覆材22によって収集されたデータの受信、記憶、および処理の一部または全部は、センサ対応創傷被覆材22またはセンサ統合基板302に取り付けられたか、またはそれと統合された制御モジュール(例えば、
図4Aの制御モジュール24)によるなど、センサ対応創傷被覆材22上で実施される。例えば、一部の場合に、制御モジュール24は、センサ対応創傷被覆材22への電力および接地接続のみを提供し得る。このようにして、制御モジュール24は、単純化され得るが、依然としてセンサ統合基板302の電源を保持し得、これは、電源をセンサ統合基板302に組み込むことの任意の健康リスクを軽減し得る。創傷被覆材22の1つ以上のセンサによって収集されたデータは、創傷被覆材22の1つ以上のアンテナによって光学的に送信された電磁波を介してなど、無線で送信され得る。このような場合、被覆材対コントローラ接続304の数は、2つまで低減され得る。一部の場合に、電力または接地接続は、バッテリまたは別の電力源をセンサ対応創傷被覆材22またはセンサ統合基板302に追加することによって排除され得る。そのような場合、すべての被覆材対コントローラ接続304が排除され得る。
【0099】
一部の場合に、複数の穿孔が、
図1Cに図示されるように、センサ統合基板302内に形成され得る。隣接穿孔間のサイズ、数、密度、または距離のうちの1つ以上などの穿孔の位置付けは、陰圧創傷治療などの、センサ統合基板302が使用されることになる特定の監視または治療用途によって決定され得る。例えば、流体がセンサ統合基板302の下の創傷の領域に望ましくないプール(これは皮膚の浸軟、感染症などを引き起こす可能性がある)がない状態でセンサ統合基板302を通って移動することを確実にするために、特定の最小サイズおよび隣接する1つ以上の穿孔から特定の最大距離の穿孔を形成することが望ましい場合がある。一方で、電子部品および接続を通して穿孔を形成することは望ましくない場合があるため、穿孔の位置付けは、電子部品および接続の基板上の寸法および位置付けに対する制限または制約のセットを提供し、基板上に位置付けられた電子機器が適切かつ効率的に機能することを確実にすることができる。
【0100】
穿孔は、スリットまたは孔として形成され得る。一部の場合に、穿孔は、流体が基板を通過することを可能にしつつ、組織の内成長を防止することを助けるために十分に小さくてもよい。滲出液は、滲出液の貯留を制限または防止し得る穿孔を介して除去され得る。一部の場合に、被覆材22の形状は、創傷滲出液の効率的な除去および貯留の低減または防止を可能にする。一部の場合に、滲出液管理をさらに改善するために、1つ以上の穿孔が滲出液の流れを可能にするように作製され得る。
【0101】
一部の場合に、電子部品または接続を流体から隔離して保つことが望ましい場合がある。創傷滲出液が除去されることを可能にするように、本明細書に開示される創傷被覆材またはセンサアレイのいずれかの基板に1つ以上の開口部または穿孔を含むことが有利であり得る。創傷滲出液を管理して、創傷における滲出液の貯留を制限または防止することは、創傷のより効果的な治癒を促進し得る。例えば、穿孔は、基板の外周の周囲に作製され得る。1つ以上の穿孔は、センサを接続するトレースの周囲に作製され得る。1つ以上の穿孔は、任意の好適な形状またはパターンとして形成され得る。例えば、1つ以上の穿孔は、三角形、長方形、正方形、円、楕円などとして形状決めされ得る。
【0102】
ローカルコントローラ
図4Aは、創傷監視または治療システム400を例示する。創傷監視または治療システム400は、
図3の創傷監視または治療システム300と同様であり得る。例えば、創傷監視または治療システム300と同様に、創傷監視または治療システム400は、センサ対応創傷被覆材22および制御モジュール24を含み得、センサ対応創傷被覆材22は、センサ統合基板302を含み得る。加えて、この例では、センサ対応創傷被覆材22は、コントローラ、プロセッサなどの制御モジュール402を含み得る。
【0103】
本明細書に説明されるように、創傷監視または治療システム400は、センサ対応創傷被覆材22、センサ統合基板302、または制御モジュール24内に複数の電子部品を含み得る。例えば、例示される例では、センサ統合基板302は、1つ以上のインピーダンスもしくは導電率センサ110、1つ以上の温度センサ130、1つ以上の光学センサ150、または1つ以上の他のセンサ404のうちの1つ以上を含み得る。一部の場合に、1つ以上のpHセンサ、圧力センサ、灌流センサなどの、追加的または代替的なセンサが、センサ統合基板302上に位置付けられ得る。
【0104】
制御モジュール24は、創傷被覆材22の外部にあり得る。例示されたように、制御モジュール24は、コネクタ140の一部であり得る、1つ以上の被覆材対コントローラ接続304を介して、センサ対応創傷被覆材22またはその上の構成要素に接続され得る。
【0105】
一部の実施態様では、制御モジュール24は、創傷被覆材22の内部にある。例えば、制御モジュール24は、基板302によって支持されるなど、創傷被覆材22に取り付けられ得、またはそれと統合され得る。一部の場合に、外部制御モジュール24は、複数の電子接続を介して、複数の電子部品のうちの少なくともいくつかに接続され得る。例えば、制御モジュール24を接続する電子接続は、本明細書に説明されるように、電子部品のうちの少なくともいくつかを相互接続する電子接続と同様であり得る。
【0106】
制御モジュール24または402のうちの一方または両方は、1つ以上のコントローラまたはマイクロプロセッサ、メモリなどを含み得る。複数の電子部品の一部または全部は、制御モジュール24または制御モジュール24のいずれかまたは両方によって制御または動作され得る。さらに、制御モジュール24または制御モジュール24のいずれかまたは両方は、1つ以上のセンサ110、130、150、または404によって取得された1つ以上の測定値を受信または処理し得る。
【0107】
一部の場合に、制御モジュール24および402は、一緒に動作して、センサ対応創傷被覆材22の1つ以上のセンサによって収集されたデータを受信、記憶、および処理し得る。例えば、制御モジュール24および402は、コプロセッサとして動作し得る。別の例として、制御モジュール24または402のうちの1つが、プライマリプロセッサとして作用し得、他方が、セカンダリプロセッサとして作用し得る。例えば、一部の場合に、制御モジュール24は、温度、光学(または光)、インピーダンス、または静電容量感知のうちの1つ以上を処理するためなどの、専用のタスクのために構成され得る。一部の場合に、制御モジュール24は、データの収集および処理のうちの少なくともいくつかを実施し得、収集または処理されたデータのうちの少なくともいくつかを制御モジュール24に提供して、例えば、記憶するか、外部コンピューティングデバイスに通信するか、またはさらに処理し得る。別の例として、一部の場合に、制御モジュール24は、データの収集および処理の少なくともいくつかを実施し得、制御モジュール24は、収集または処理されたデータのうちの少なくともいくつかを制御モジュール24に提供して、例えば、記憶するか、外部コンピューティングデバイスに通信するか、またはさらに処理し得る。
【0108】
制御モジュール24および制御モジュール24は、一方向または双方向に(例えば、ローカル相互接続ネットワーク(LIN)などのシリアル双方向通信プロトコルを介して)通信するように構成され得る。例えば、一方向または双方向の通信が光学的に確立され得る。一部の場合に、本明細書に説明される1つ以上のコーティングは、光の透過を容易にする光ガイドとして作用し得る。本明細書に説明されるように、コーティングは、光学的に透明であってもよく、または実質的に光学的に透明であってもよい。光通信は、基板302の縁または角で実施され得、これは、1つ以上の発光素子または光源(LEDなど)または1つ以上の光検出器を、基板302上に位置付けられた他の構成要素から離れて、あるいは穿孔を有する1つ以上のエリアから離れて、または穿孔の密度もしくは数が閾値未満である、基板のエリア内に配置するために有利であり得る。一部の場合に、穿孔の密度または数は、光通信に実質的に影響を与えない。一部の場合に、光通信は、赤外線通信(IrDA)プロトコル、コンシューマIR(CIR)プロトコルなどのうちの1つ以上を使用するなどの、赤外線(IR)通信を使用して実施され得る。一部の場合に、制御モジュールおよび基板の各々は、光通信用の発光体および検出器を含み得る。一部の場合に、通信は、集積回路間(I2C)プロトコルを介してなど、シリアルプロトコルを介し得る。一部の場合に、光学通信は、リバースマウントされた構成要素(例えば、基板302の孔を通して挿入され、コーティングされている)を使用することによって改善され得る。例えば、光通信は、1つ以上のリバースマウントLEDまたはIR構成要素によって実施され得る。このように、基板上のコーティングは、制御モジュール24への可撓性光通信経路を作り出すことができる。
【0109】
制御モジュール24は、センサ対応創傷被覆材22またはセンサ統合基板302の複数のセンサと電気通信し得る。センサは、限定されるものではないが、1つ以上の温度センサ、光学センサ、インピーダンスセンサ、導電率センサ、加速度計、動きセンサ、ジャイロスコープ、pHセンサ、圧力センサ、または灌流センサを含み得る。一部の場合に、複数のセンサは、複数の温度センサ、複数のインピーダンスセンサ、または複数の光学センサなどの、同じタイプの複数のセンサを含む。一部の場合に、複数のセンサは、本明細書に説明されるように、少なくとも1つの温度センサ、少なくとも1つの光学センサ、および少なくとも1つのインピーダンスセンサなどの、異なるタイプの複数のセンサを含む。
【0110】
制御モジュール24は、例えば、1つ以上の信号の形態のセンサデータを、複数のセンサのうちの1つ以上から受信し得る。信号は、センサによって取得された測定値に対応し得る。例えば、制御モジュール24は、複数のセンサのうちの少なくともいくつかと通信して、少なくとも1つの第1のセンサおよび少なくとも1つの第2のセンサをアクティブ化し得る。一部の場合に、少なくとも1つの第1および第2のセンサのアクティブ化の前に、制御モジュール24は、制御モジュール24から1つ以上の制御コマンドを受信し得る。一部の場合に、制御モジュール24は、制御コマンドに少なくとも部分的に基づいて、少なくとも1つの第1および第2のセンサをアクティブ化し得る。
【0111】
制御モジュール24は、複数のセンサからセンサデータを受信し得る。一部の場合に、センサデータのうちの少なくともいくつかは、デジタルデータである。例えば、複数のセンサ(例えば、1つ以上の光学センサ)のうちの1つ以上は、デジタルセンサデータを生成し、それを制御モジュール24に提供し得る。一部の場合に、センサデータのうちの少なくともいくつかは、アナログセンサデータである。例えば、複数のセンサ(例えば、1つ以上の温度センサ)のうちの1つ以上は、アナログセンサデータを生成し得、これは、制御モジュール24によって受信される一部となる前にアナログデジタルコンバータ(ADC)を通過し得る。別の例として、複数のセンサ(例えば、光学センサ)のうちの1つ以上が、制御モジュール24によって受信される前またはその一部として、デジタルアナログコンバータ(DAC)を通過し得る、デジタルセンサデータを生成し得る。
【0112】
一部の場合に、制御モジュール24は、センサデータをメモリに記憶するか、またはセンサデータを処理し得る。追加的にまたは代替的に、制御モジュール24は、受信されたセンサデータのうちの少なくともいくつかを制御モジュール24に通信し得る。一部の場合に、制御モジュール24は、制御モジュール24にデジタルセンサデータを提供し得る。例えば、制御モジュール24は、制御モジュール24にアナログセンサデータを通信する前に、すべてのアナログセンサデータのうちのいくつかをデジタル化し得る(例えば、ADCを使用して)。一部の場合に、制御モジュール24は、制御モジュール24にアナログセンサデータを提供し得る。例えば、制御モジュール24は、制御モジュール24にアナログセンサデータを通信する前に、センサデータの一部または全部をアナログセンサデータに変換し得る(例えば、DACを使用して)。
【0113】
図4Bは、例示的なセンサ統合基板302を例示する。例示されたように、センサ統合基板302は、制御モジュール24、複数の温度センサ412、および複数の光学センサ414を含む。単純化のために、温度センサ412は、概して、温度センサ412として説明され得る。しかしながら、温度センサ412のうちの1つ以上は、異なって構成されてもよく、温度センサ412の任意の説明が、温度センサ412のうちの1つ以上に適用されてもよく、温度センサ412の各々に適用されてもよく、または適用されなくてもよいことが理解されるべきである。さらに、単純化のために、光学センサ414は、概して、光学センサ414として説明され得る。しかしながら、光学センサ414のうちの1つ以上は、異なって構成されてもよく、光学センサ414の任意の説明が、光学センサ414のうちの1つ以上に適用されてもよく、光学センサ414の各々に適用されてもよく、または適用されなくてもよいことが理解されるべきである。
【0114】
例示されるように、複数の温度センサ412は、9つの温度センサを含む。しかしながら、より少ないかまたは追加の温度センサ412が使用され得る。各温度センサ412は、抵抗器と直列にサーミスタを含み得る。
【0115】
9つの温度センサ412の各々は、分圧器の形態の直列のサーミスタ抵抗器結合を含み得る。例えば、第1の温度センサは、基準電圧(符号D3V)に接続され、かつ接地(符号DGND)に接続されたサーミスタRT1と直列の抵抗器R1を含み得、第2の温度センサは、基準電圧に接続され、かつ接地に接続されたサーミスタRT2と直列の抵抗器R2を含み得、第3の温度センサは、基準電圧に接続され、かつ接地に接続されたサーミスタRT3と直列の抵抗器R3を含み得、第4の温度センサは、基準電圧に接続され、かつ接地に接続されたサーミスタRT4と直列の抵抗器R4を含み得、第5の温度センサは、基準電圧に接続され、かつ接地に接続されたサーミスタRT5と直列の抵抗器R5を含み得、第6の温度センサは、基準電圧に接続され、かつ接地に接続されたサーミスタRT6と直列の抵抗器R10を含み得、第7の温度センサは、基準電圧に接続され、かつ接地に接続されたサーミスタRT7と直列の抵抗器R11を含み得、第8の温度センサは、基準電圧に接続され、接地に接続されたサーミスタRT8と直列の抵抗器R12を含み得、第9の温度センサは、基準電圧に接続され、かつ接地に接続されたサーミスタRT9と直列の抵抗器R13を含み得る。
【0116】
例示された例では、各温度センサ412の分圧器の出力電圧は、制御モジュール24のそれぞれのアナログ信号入力(符号T1~T9)に接続される。加えて、センサ統合基板302は、基準温度(符号Tref)を生成するための回路(回路構成とも称される)を含み得、基準電圧に接続され、かつ接地に接続された抵抗器R7と直列の抵抗器R6を含み得る。基準温度回路は、37℃または別の好適な温度などの、既知の温度値に対応する基準電圧(または電流)を提供し得る。そのような基準電圧(または電流)は、温度センサ412の温度値を決定するために使用され得る。センサ統合基板302は、より少ないか、または追加の温度センサ412を含み得ることが理解されよう。さらに、温度センサ412のいずれも、抵抗器およびサーミスタの場所を切り替えることによるなど、異なって配置されてもよい。
【0117】
光学センサ414は、1つ以上の発光ダイオード(LED)、抵抗器、色センサなどを含み得る。例えば、例示されるように、第1の光学センサは、電圧源VLED、光源LED1およびLED2、抵抗器R8およびR9、ならびに色センサ416を含み得る。別の例として、第2の光学センサは、電圧源VLED、光源LED3およびLED4、抵抗器R18およびR17、ならびに色センサ416を含み得る。例示される例では、各光学センサ414の出力は、汎用入力/出力(GPIO)入力などの、制御モジュール24のそれぞれのデジタル信号入力に接続されている。
【0118】
一部の場合に、制御モジュール24は、温度センサ412のうちの1つ以上と通信して、1つ以上の温度センサ412をアクティブ化し得る。一部の場合に、1つ以上の温度センサ412は、アクティブ化されずに温度測定値を提供し得る。1つ以上の温度センサ412は、創傷または創傷周囲の1つ以上の温度測定値に対応するセンサデータを取得し得、センサデータは、制御モジュール24に提供され得る。例示されるように、温度センサ412は、温度に対応するアナログセンサデータを制御モジュール24に提供する。しかしながら、一部の場合に、温度センサ412は、制御モジュール24にデジタルセンサデータを提供するか、またはADCが、温度センサ412と制御モジュール412との間に位置し得る。
【0119】
一部の場合に、制御モジュール24は、光学センサ414のうちの1つ以上と通信して、1つ以上の光学センサ414をアクティブ化し得る。一部の場合に、1つ以上の光学センサ414は、アクティブ化されずに光学測定値を提供し得る。1つ以上の光学センサ414は、創傷または創傷周囲の1つ以上の光学測定値に対応するセンサデータを取得し得、センサデータは、制御モジュール24に提供され得る。例示されるように、光学センサ414は、制御モジュール24にデジタルセンサデータを提供する。例えば、センサ416の各々は、デジタル色センサ集積回路(IC)であってもよく、色センサ416の各々は、赤色、緑色、または青色(RGB)光などの、組織によって反射される光を感知し、光をデジタル値に変換し得る。しかしながら、一部の場合に、光学センサ414は、制御モジュール24にアナログセンサデータを提供する。例えば、光学センサ414は、アナログセンサであってもよく、またはDACが、光学センサ414と制御モジュール412との間に位置してもよい。
【0120】
一部の場合に、複数のセンサのうちの1つ以上は、I2Cプロトコルなどのシリアルプロトコルを使用して制御モジュール24と通信し得る。例えば、色センサ416は、データが制御モジュール24に通信され得るI2Cバスインターフェースを含み得る。一部の場合に、複数の制御モジュール402が使用され得る。
【0121】
制御モジュール24は、デジタル通信プロトコルを使用して、制御モジュール24などの外部コンピューティングデバイスと通信し得る。例えば、I2Cプロトコル(クロックおよびデータラインのみを必要とする)が通信に使用され得る。
図4Bに例示されるアプローチによると、被覆材対コントローラ接続304の数は、15(温度センサの各々に対する9ライン、および光学センサの各々に対する6ライン)、17(温度センサの各々に対する9ライン、光学センサの各々に対する6ライン、およびアナログ電力および温度センサの接地に対する2ライン)などだけ低減され得る。
【0122】
図4Bのセンサ統合基板302は、2つのタイプのセンサ(温度および光学)のみを例示するが、センサ統合基板302は、所望に応じて、追加のまたは異なるタイプのセンサを含み得る。例えば、センサ統合基板302は、1つ以上のインピーダンスセンサ、導電率センサ、加速度計、動きセンサ、ジャイロスコープ、pHセンサ、圧力センサ、または灌流センサを含み得る。
【0123】
信号の併合
一部の場合に、1つ以上の信号を合成して、制御モジュール24に送信される信号の全体的な数を低減することによって、被覆材対コントローラ接続304の数が追加的にまたは代替的に低減され得る。例えば、一部の場合に、異なる周波数の信号が合成されて、単一の信号において制御モジュール24に送信され得る。制御モジュール24は、合成された信号を受信し得、受信された合成された信号を元のセンサ信号に分解し得る。一部の場合に、この技術は、元のセンサ信号のいずれかに歪みを生じさせずに適用され得る。一部の場合に、この技術は、元のセンサ信号にほとんどまたは全く歪みを生じさせずに適用され得る。
【0124】
図5Aは、創傷監視または治療装置500を例示する。創傷監視または治療装置500は、制御モジュール24、選択回路504、および複数のセンサ回路502A、502B、・・・、502N(以下、個別にまたは総称してセンサ回路502と称される)を含み得る。さらに、センサ回路502の各々が同一に図示されているが、センサ回路502のうちの1つ以上が、異なるように構成され得ることを理解されたい。単純化のために、センサ回路502が概して説明されることになる。しかしながら、選択回路504の任意の説明は、センサ回路502のうちの1つ以上に適用され得、センサ回路502の各々に適用されてもよく、または適用されなくてもよいことを理解されたい。
【0125】
創傷監視または治療装置500は、創傷監視または治療システム300または400などの、本明細書に説明されるシステムのいずれかとともに使用され得る。例えば、一部の場合に、創傷監視または治療装置500は、センサ対応創傷被覆材22またはセンサ統合基板302のうちの1つ以上をさらに含み得、それらのいずれかが、選択回路504、センサ回路502などのうちの1つ以上を含むことをサポートし得る。
【0126】
センサ回路502は、温度センサ130、光学センサ150、インピーダンス/導電率センサ110などの1つ以上のセンサ、または加速度計、動きセンサ、ジャイロスコープ、pHセンサ、圧力センサ、または灌流センサなどの1つ以上の他のセンサ404を含み得る。追加的にまたは代替的に、センサ回路502は、1つ以上のセンサからのセンサ信号を受信または処理するための1つ以上の構成要素を含み得る。例えば、センサ回路502は、1つ以上のセンサからのセンサ信号をフィルタ処理、増幅、または別様に処理し得る、アンプ、コンデンサ、抵抗器、インダクタ、ダイオードなどのうちの1つ以上を含み得る。
【0127】
一部の場合に、センサ回路502は、複数のセンサ信号を受信または処理し得、各センサ信号は、センサのうちの1つ以上の異なる測定値に対応する。例えば、第1のセンサは、温度センサであり得、第1の信号を提供し得る。さらに、第2のセンサは、導電率センサであり得、第2の信号を提供し得る。センサ回路502は、第1および第2の信号を受信または処理して、第1および第2の信号を単一の信号に合成し、単一の出力信号と称される場合があり得る。本明細書に説明されるように、センサは、様々なセンサのいずれかを含み得、センサのうちの1つ以上は、創傷と接触するように構成されている基板上に位置付けられ得る。さらに、一部の場合に、センサ回路502は、3つ、4つ、またはそれ以上のセンサ信号などの、3つ以上のセンサ信号を合成または併合し得る。
【0128】
選択回路504は、複数のセンサ回路502の各々から単一の出力信号を受信し得るように、制御モジュール24に電気的に結合され得る。選択回路504は、単一の出力信号のうちの1つ以上を選択または出力し得る。例えば、選択回路504は、1つ以上のマルチプレクサを含み得、各マルチプレクサが、複数の入力(例えば、センサ回路502の各々と関連付けられた入力)、単一の出力、およびどの入力を出力に送信するかを選択するために使用され得る1つ以上の選択ラインを含み得る。一部の場合に、制御モジュール24は、どの入力ラインを出力するかを選択するために選択回路504によって使用され得る、選択ラインに対する1つ以上の信号を選択回路504に提供し得る。選択回路504は、1つ以上の出力信号を制御モジュール24に通信し得、そのような1つ以上の信号は、選択回路504の出力に対応し得る。選択回路504は、例えば、制御モジュール24から受信された選択信号に基づいて、複数のセンサ回路502の選択されたセンサ回路の単一の出力信号を出力し得る。選択回路は、1つ以上のアナログマルチプレクサを含み得る。
【0129】
制御モジュール24、例えば、制御モジュール24のプロセッサは、選択回路504と電気通信し得る。さらに、制御モジュール24は、選択回路504に、複数のセンサ回路502のうちのどれを選択するかを通信し得る。一部の場合に、特定のセンサ回路502が特定のセンサと関連付けられているため、制御モジュール24は、選択されたセンサ回路502が関連付けられているセンサ(複数可)に少なくとも部分的に基づいて、どのセンサ回路502を選択するかを選択し得る。
【0130】
制御モジュール24は、選択回路504から、選択されたセンサ回路502の単一の出力信号を受信し得る。さらに、制御モジュール24は、選択されたセンサ回路の単一の出力信号と関連付けられた複数のセンサ信号の各々を抽出、分解、または別様に識別し得る。例えば、センサ入力信号は、単一の出力信号のDC成分またはゼロ周波数成分に対応し得、第2のセンサ信号は、1kHz、5kHz、10kHz、20kHz、50kHz、100kHzなどの単一の出力信号の非ゼロ周波数成分に対応し得る。さらに、一部の例では、追加のセンサ入力信号は、単一の出力信号の他の非ゼロ周波数成分に対応し得る。
【0131】
一部の場合に、単一の出力信号と関連付けられた複数のセンサ信号の各々を抽出、分解、または別様に識別するために、制御モジュール24は、単一の出力信号を復調し得る。追加的にまたは代替的に、単一の出力信号と関連付けられた複数のセンサ信号の各々を抽出、分解、または別様に識別するために、制御モジュール24は、フーリエ変換を実施するか、または単一の出力信号に対して追加的もしくは代替的な信号処理を実施し得る。
【0132】
図5Bは、
図5Aの創傷監視または治療装置500と同様であり得る、創傷監視または治療装置501を例示する。この例では、センサ回路502は、温度センサとペアリングされたインピーダンスセンサを含む。例えば、抵抗器512は、抵抗が温度に依存する、温度センサ(例えば、サーモスタット)に対応し得る。さらに、測定パッド530は、インピーダンスセンサからの測定値に対応し得る。測定パッド530は、本明細書に説明される測定パッド110と同様であり得る。
【0133】
センサ回路502は、複数の抵抗器510、512、514、516、および518、コンデンサ526、アンプ528、測定パッド530、温度センサ接地信号522、温度センサ基準電圧520、ならびに電圧源524を含み得る。この例では、温度測定値は、実質的に、温度センサ(抵抗器512)にわたって発生する電圧のDC測定値(ゼロ周波数成分)であるが、一方、インピーダンス感知は、非ゼロ周波数信号(例えば、50kHz信号)である。この例では、温度読み取り値は、インピーダンス信号によって影響される可能性は低い。
【0134】
センサ回路502は、温度センサおよびインピーダンスセンサからのセンサ信号を処理して、単一の出力信号を生成し得、これが、選択回路504に提供され得る。一部の場合に、温度信号が、インピーダンス信号にDCバイアスを提供するために使用されるなど、インピーダンス信号と合成されるため、被覆材対コントローラ接続304または他の電気接続の数が低減され得る。
【0135】
図5Cは、
図5Aの創傷監視または治療装置500と同様であり得る、創傷監視または治療装置503を例示する。この例では、センサ回路503は、温度センサとペアリングされたインピーダンスセンサを含み得る。例えば、抵抗器542は、抵抗が温度に依存する、温度センサ(例えば、サーモスタット)に対応し得る。さらに、測定パッド530は、インピーダンスセンサからの測定値に対応し得る。
【0136】
センサ回路503は、複数の抵抗器532、534、536、538、540、542、および544、コンデンサ546および550、アンプ548、測定パッド530、温度センサ接地信号556、温度センサ基準電圧554、ならびに電圧源552を含む。この例では、温度測定値は、実質的に、温度センサ(抵抗器542)にわたって発生する電圧のDC測定値(ゼロ周波数成分)であるが、一方、インピーダンス感知は、非ゼロ周波数信号(例えば、50kHz信号)である。
【0137】
センサ回路503は、温度センサおよび導電率センサからのセンサ信号を処理して、単一の出力信号を生成し得、これが、選択回路504に提供され得る。本明細書に説明されるように、被覆材対コントローラ接続304または他の電気接続の数が低減され得る。
【0138】
一部の場合に、選択回路504は、制御モジュール24に接続され得る、制御モジュール24などのコントローラに接続され得る。本明細書に説明されるように、単一の出力信号は、コントローラによってデジタル化され得る。このアプローチによると、被覆材対コントローラ接続304の数は、10などまで低減され得る。
【0139】
一部の場合に、光学測定値は、本明細書に説明される信号出力信号に合成され得る。例えば、光信号は、インピーダンス信号よりも低い周波数スペクトル(例えば、1kHz~10kHz)を占有し得る。
【0140】
他の変形例
一部の場合に、1つ以上の電子部品は、創傷に面する側の反対側の基板の側の上に位置付けられ得る。本明細書に説明されるシステムおよび方法は、そのような基板に等しく適用可能である。本明細書に説明される特定の実施形態は、創傷被覆材に関するが、本明細書に開示されるシステムおよび方法は、創傷被覆材または医療用途に限定されない。本明細書に開示されるシステムおよび方法は、概して、ユーザによって着用されるか、またはユーザに適用され得る、電子デバイスなどの電子デバイス全般に適用可能である。
【0141】
本明細書に提供される閾値、限界値、期間などのいかなる値も、絶対的な値であることを意図するものではなく、したがって、およその値であり得る。加えて、本明細書に提供される任意の閾値、限界値、期間などは、自動的にまたはユーザによってのいずれかで、固定されるかまたは変動し得る。さらに、本明細書で使用される場合、参照値に関連した、上回る、超、未満などの相対的な程度を表す用語は、参照値と等しい場合も包含することが意図される。例えば、正の参照値を超えることは、参照値以上であることを包含することができる。加えて、本明細書で使用される場合、参照値に関連した、上回る、超、未満などの相対的な程度を表す用語は、参照値に関連した、下回る、未満、超などの開示された関係とは逆のものも包含することが意図される。さらに、様々なプロセスのブロックは、ある値が特定の閾値に達するかまたは達しないかを決定することに関して記載され得るが、ブロックは、例えば、ある値が(i)閾値未満であるかもしくは閾値を超えているか、または(ii)閾値を満たすかもしくは満たしていないかに関しても同様に理解され得る。
[0148] 特定の態様、実施形態、または実施例に関連して記載される特徴、材料、特性、もしくは群は、本明細書に記載の他の任意の態様、実施形態、または実施例と矛盾しない限り、それらに適用可能であることを理解されたい。本明細書(あらゆる添付の特許請求の範囲、要約書、および図面を含む)に開示されるすべての特徴、または同様に開示される任意の方法もしくはプロセスのすべてのステップは、そのような特徴またはステップの少なくとも一部が互いに排他的である組み合わせを除いて、あらゆる組み合わせで組み合わせられ得る。保護対象は、前述の任意の実施形態の詳細に限定されない。保護対象は、本明細書(あらゆる添付の特許請求の範囲、要約書、および図面を含む)に開示される特徴のうちの任意の新規のもの、もしくは任意の新規の組み合わせ、または同様に開示される任意の方法もしくはプロセスのステップのうちの任意の新規のもの、もしくは任意の新規の組み合わせに及ぶ。
【0142】
ある特定の実施形態が説明されているが、これらの実施形態は、単に例として提示されており、保護対象の範囲を限定することを意図するものではない。実際、本明細書に説明される新規の方法およびシステムは、様々な他の形態で具現化され得る。さらに、本明細書に記載の方法およびシステムの形態において、様々な省略、置換、および変更がなされ得る。当業者であれば、いくつかの実施形態では、図示または開示されたプロセスにおいて実施される実際のステップが、図面に示されたものとは異なり得ることを理解するであろう。実施形態によっては、上述したステップのうちのある特定のステップが除かれる場合もあれば、他のものが追加される場合もある。例えば、開示されたプロセスにおいて実施される実際のステップまたはステップの順序は、図面に示されたものとは異なり得る。実施形態によっては、上述したステップのうちのある特定のステップが除かれる場合もあれば、他のものが追加される場合もある。例えば、図面に図示した様々なコンポーネントは、プロセッサ、コントローラ、ASIC、FPGA、または専用ハードウェア上のソフトウェアまたはファームウェアとして実装され得る。コントローラ、プロセッサ、ASIC、FPGAおよび類似ものなど、ハードウェアコンポーネントは論理回路を含み得る。さらに、上記に開示された特定の実施形態の特徴および特性は、異なる方式で組み合わされて追加の実施形態を形成し得るが、そのすべては本開示の範囲内に収まる。
【0143】
本開示には、ある特定の実施形態、実施例、および用途が含まれるが、当業者であれば、本開示が、具体的に開示された実施形態の範囲を超えて、他の代替的な実施形態または使用ならびにその明らかな変形および同等物に及び、これには本明細書に記載された特徴および利点のすべてを提供しているとは限らない実施形態が含まれることを理解するであろう。したがって、本開示の範囲は、本明細書における好ましい実施形態の特定の開示によって限定されることを意図するものではなく、本明細書に提示されるまたはこの後に提示される特許請求の範囲によって定義され得る。
【0144】
「し得る(can)」、「できる(could)」、「可能性がある(might)」、または「場合がある(may)」などの条件付き言い回しは、別途具体的に記載されない限り、または使用される文脈の範囲内で別途解釈されない限り、ある特定の実施形態が、ある特定の特徴、要素、またはステップを含む一方で、他の実施形態は含まないということの伝達を意図するのが通例である。したがって、そのような条件付き言い回しは、概して、特徴、要素、もしくはステップが1つ以上の実施形態に多少なりとも必要とされるということ、またはこれらの特徴、要素、もしくはステップが任意の特定の実施形態に含まれているかどうか、もしくは任意の特定の実施形態で実施されるべきかどうかを、ユーザ入力または命令の有無にかかわらず決定するためのロジックが、1つ以上の実施形態に必然的に含まれているということを示唆することを意図するものではない。「備える」、「含む」、および「有する」等の用語は、同義語であり、包含的に、オープンエンドの様式で使用され、追加の要素、特徴、行為、動作などを排除するものではない。また、「または」という用語は、包括的な意味で(排他的な意味ではなく)使用されることにより、例えば、要素の列記をつなぐのに使用される場合、「または」という用語は、列記内の要素のうちの1つ、いくつか、またはすべてを意味する。加えて、「各々」という用語は、本明細書で使用される場合、その通常の意味を有することに加えて、「各々」という用語が適用されている一連の要素の任意のサブセットも意味し得る。
【0145】
「X、Y、およびZのうちの少なくとも1つ」という語句などの連言的言い回しは、別途具体的に記載されない限り、ある項目や用語などが、X、Y、またはZのいずれかであり得ることを示唆するのに一般的に使用される文脈によって、別途解釈されるものである。したがって、そのような連言的言い回しは、概して、ある特定の実施形態が、少なくとも1つのX、少なくとも1つのY、および少なくとも1つのZの存在を必要とするということを示唆することを意図するものではない。
【0146】
本明細書で使用される程度を表す言い回し、例えば、本明細書で使用される「およそ」、「約」、「概して」、および「実質的に」という用語は、依然として所望の機能を果たすかまたは所望の結果をもたらす所定の値、量、または特性に近似した値、量、または特性を表す。例えば、「およそ」、「約」、「概して」、および「実質的に」という用語は、所定の量の10%未満以内、5%未満以内、1%未満以内、0.1%未満以内、および0.01%未満以内である量を指し得る。
【0147】
本開示の範囲は、本節におけるまたは本明細書の他の箇所における好ましい実施形態の特定の開示によって制限されることを意図するものではなく、本節においてもしくは本明細書の他の箇所において提示されるか、またはこの後に提示される特許請求の範囲によって定義され得る。本特許請求の範囲の言い回しは、本特許請求の範囲で用いられている言い回しに基づいて広い意味で解釈されるべきであり、本明細書に記載される例または本出願の手続き中に記載される例に限定されるものではなく、それらの例は非排他的なものとして解釈されるべきである。
【国際調査報告】