(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-14
(54)【発明の名称】2-(フェニルイミノ)-1,3-チアゾリジン-4-オン類の調製方法
(51)【国際特許分類】
C07D 277/54 20060101AFI20220907BHJP
【FI】
C07D277/54
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022500694
(86)(22)【出願日】2020-07-08
(85)【翻訳文提出日】2022-03-04
(86)【国際出願番号】 EP2020069171
(87)【国際公開番号】W WO2021005081
(87)【国際公開日】2021-01-14
(32)【優先日】2019-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】313006625
【氏名又は名称】バイエル・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ヒムラー,トマス
(72)【発明者】
【氏名】ハーン,ユリア・ヨハンナ
(57)【要約】
本発明は、一般式(I)の2-(フェニルイミノ)-1,3-チアゾリジン-4-オンを調製する方法であって、Y
1、Y
2、R
1、R
2およびR
3が本明細書に示される意味を有する方法に関する。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】
〔式中、
Y
1およびY
2は、独立して、フッ素、塩素または水素であり、
R
1およびR
2は、独立して、水素、C
1-C
12アルキル、C
1-C
12ハロアルキル、シアノ、ハロゲンまたはニトロであり、および
R
3は、置換されていてもよいC
6-C
10アリール、C
1-C
12アルキルまたはC
1-C
12ハロアルキルであり、ここで、置換基は、ハロゲン、C
1-C
6アルキル、C
3-C
10シクロアルキル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6ハロアルキルおよびC
1-C
6ハロアルコキシから選択される〕
の2-(フェニルイミノ)-1,3-チアゾリジン-4-オンの調製方法あって、
式(IV)
【化2】
〔式中、Y
1、Y
2、R
1およびR
2は、上記で定義されているとおりである〕
のアニリンが、式(III)
【化3】
〔式中、
Xは、臭素、塩素、OSO
2Me、OSO
2Ph、OSO
2(4-Me-Ph)またはOSO
2CF
3であり、および
Wは、OHまたはO(C
1-C
6)アルキル基である〕
の酢酸誘導体の存在下で、
および、塩基の存在下で、式(V)
【化4】
〔式中、
R
3は、上記で定義されているとおりである〕
のイソチオシアネートと反応して、最初に式(II)
【化5】
〔式中、式中、Y
1、Y
2、R
1、R
2およびR
3は、上記で定義されているとおりである〕
のチオ尿素を形成し、これは、次いで式(I)の化合物に変換され、式(III)の酢酸誘導体は、式(IV)および(V)の化合物の少なくとも1つの反応混合物への添加前に、反応混合物中に最初に存在する
ことを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
式(I)の化合物が、Z-異性体の形態であるか、または混合物中のE-およびZ-異性体の総量に基づいて、Z-異性体の割合が50%を超えるE-およびZ-異性体の混合物の形態であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Xが、臭素または塩素であり、
Y
1およびY
2が、独立して、フッ素、塩素または水素であり、
Wが、O(C
1-C
6アルキル)基であり、
R
1およびR
2が、独立して、フッ素、塩素、C
1-C
3アルキルまたは水素であり、および
R
3が、置換されていてもよいフェニル、C
1-C
6アルキルまたはC
1-C
6ハロアルキルであり、ここで、置換基が、ハロゲン、C
1-C
6アルキル、C
3-C
10シクロアルキル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6ハロアルキルおよびC
1-C
6ハロアルコキシから選択される
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
Xが、臭素または塩素であり、
Y
1およびY
2が、独立して、フッ素または水素であり、
Wが、O(C
1-C
6アルキル)基であり、
R
1およびR
2が、独立して、フッ素、塩素、水素またはメチルであり、および
R
3が、C
1-C
6アルキルまたはC
1-C
6ハロアルキルである
ことを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
Xが、臭素または塩素であり、
Y
1およびY
2が、フッ素であり、
Wが、OCH
3またはOC
2H
5基であり、
R
1およびR
2が、独立して、フッ素、水素またはメチルであり、および
R
3が、C
1-C
6ハロアルキルである
ことを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
Xが、臭素または塩素であり、
Y
1およびY
2が、フッ素であり、
Wが、OCH
3基であり、
R
1が、メチルであり、
R
2が、フッ素であり、および
R
3が、CH
2CF
3である
ことを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
式(IV)のアニリンの式(I)の化合物への変換が、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、tert-アミルメチルエーテル(TAME)、2-メチル-THF、アセトニトリル(ACN)、アセトン、ブチロニトリル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、メチルイソブチルケトン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン、テトラクロロエチレン、テトラクロロエタン、ジクロロプロパン、塩化メチレン(ジクロロメタン、DCM)、ジクロロブタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、ペンタクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、トルエン、オルト-キシレン、メタ-キシレン、パラ-キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、クロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼン、アニソール、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、1,2,4-トリメチルペンタン(イソオクタン)、石油エーテル40/55、特殊沸点スピリット80/110、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンおよびこれらの混合物から選択される希釈剤の存在下で行われることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
式(V)のイソチオシアネートが、式(IV)のアニリンに基づいて、0.95:1~2:1のモル比で存在することを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
塩基が、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミンおよびエチルジイソプロピルアミンから選択される有機塩基であること、または塩基が酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸カルシウムおよび炭酸マグネシウムから選択される無機塩基であることを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
塩基が、式(IV)のアニリンに基づいて、0.8:1~3:1のモル比で使用されることを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
式(III)の酢酸誘導体が、式(IV)のアニリンに基づいて、0.9:1~2:1のモル比で存在することを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
希釈剤が、トルエン、オルト-キシレン、メタ-キシレン、パラ-キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼンおよび前記希釈剤の混合物から選択されることおよび/または塩基炭酸カリウムを特徴とする請求項7~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
-20~150℃の温度で実施されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式(I)の2-(フェニルイミノ)-1,3-チアゾリジン-4-オン類の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2-(フェニルイミノ)-1,3-チアゾリジン-4-オン類および対応する誘導体は、例えば、キラルスルホキシドの調製における中間体として医薬および農薬産業において非常に重要である。この種のスルホキシドは、例えば、作物保護において殺ダニ剤として使用される(例えば、WO2013/092350またはWO2015/150348を参照のこと)。
【0003】
2-(フェニルイミノ)-1,3-チアゾリジン-4-オンの化学合成は知られている。これは、例えば、一般式(II)の適切に置換されたチオ尿素を一般式(III)の酢酸誘導体と反応させることによって達成することができる(例えば、WO2013/092350;EP985670;Advances in Heterocycl.Chem.25、(1979)85を参照のこと)。一般式(II)のチオ尿素を調製するための多くの方法が原則として存在する。簡単で効果的な方法は、一般式(IV)の適切に置換されたアニリンと一般式(V)のイソチオシアネートとの反応からなる(WO2014/202510)。逆に、一般式(VI)のアリールイソチオシアネートを一般式(VII)のアミンと反応させることによって、一般式(II)のチオ尿素を得ることもできる(JP2011/042611)。
【0004】
従って、一般式(I)の2-(フェニルイミノ)-1,3-チアゾリジン-4-オンを調製するよく知られた方法は、第1の工程において、一般式(IV)のアニリンを一般式(V)のイソチオシアネートと反応させるか、または一般式(VI)のアリールイソチオシアネートを一般式(VII)のアミンと反応させ、それによって形成される一般式(II)のチオ尿素を、例えば濾過によって単離することを特徴とする。公知の方法の第2の工程において、一般式(II)のチオ尿素を、塩基の存在下で一般式(III)の酢酸誘導体と反応させて、一般式(I)の2-(フェニルイミノ)-1,3-チアゾリジン-4-オンを形成する。
【0005】
この方法の欠点は、チオ尿素中間体の単離を伴う2つの別々の工程を含む面倒な手順である。これは時間がかかり、コストが高くなる。また、使用する希釈剤の性質によっては、一般式(II)のチオ尿素の析出物が生じる可能性があリ、量感が増し、反応混合物が撹拌不能となり、反応容器から排出できなくなる。これが起こると、チオ尿素中間体の単離は実際上不可能になる。さらに、例えば、濾過後に固体を乾燥させる場合にも起こり得るように、熱ストレスにさらされる場合、チオ尿素は、部分的に開裂して、出発化合物に戻る(熱不安定性)ことが知られている(Synthesis 1984、825-7;WO2014/189753;J.Labelled Comp.and Radiopharmaceuticals 22(1985)313-27)。
【0006】
従来技術から公知の方法(A)はスキーム(1)に示されており、ここで、X、Y1、Y2、W、R1、R2およびR3は、以下に定義されるとおりである。
【0007】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO2013/092350
【特許文献2】WO2015/150348
【特許文献3】EP985670
【特許文献4】WO2014/202510
【特許文献5】JP2011/042611
【特許文献6】WO2014/189753
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Advances in Heterocycl.Chem.25、(1979)85
【非特許文献2】Synthesis 1984、825-7
【非特許文献3】J.Labelled Comp.and Radiopharmaceuticals 22(1985)313-27
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記に概説した欠点に鑑みて、一般式(I)の2-(フェニルイミノ)-1,3-チアゾリジン-4-オンを調製するための、単純化された、工業的および経済的に実用的な方法が緊急に必要とされている。このような方法で得られる2-(フェニルイミノ)-1,3-チアゾリジン-4-オンは、好ましくは高収率および高純度で得られるべきである。特に、求められる方法は複雑な単離方法を必要とせずに、所望の標的化合物を得ることを可能にすべきである。さらに、求められる方法は反応時間をかなり短縮し、好ましくは、工業規模での使用に適した希釈剤の使用を可能にするべきである。
【0011】
驚くべきことに、一般式(I)の2-(フェニルイミノ)-1,3-チアゾリジン-4-オンは、一般式(III)の酢酸誘導体および塩基の存在下で、一般式(IV)のアニリンを一般式(V)のイソチオシアネートと反応させ、中間体として形成される一般式(II)のチオ尿素と直接および好ましくはその場で(in situ)反応させて2-(フェニルイミノ)-1,3-チアゾリジン-4-オンを形成することによって調製できることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0012】
【0013】
〔式中、
Y
1およびY
2は、独立して、フッ素、塩素または水素であり、
R
1およびR
2は、独立して、水素、C
1-C
12アルキル、C
1-C
12ハロアルキル、シアノ、ハロゲンまたはニトロであり、および
R
3は、置換されていてもよいC
6-C
10アリール、C
1-C
12アルキルまたはC
1-C
12ハロアルキルであり、ここで、置換基は、ハロゲン、C
1-C
6アルキル、C
3-C
10シクロアルキル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6ハロアルキルおよびC
1-C
6ハロアルコキシから選択され、特に、フッ素、塩素、C
1-C
3アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、シクロプロピル、シアノ、C
1-C
3アルコキシ、C
1-C
3ハロアルキルおよびC
1-C
3ハロアルコキシから選択される〕
の2-(フェニルイミノ)-1,3-チアゾリジン-4-オンの調製方法あって、
式(IV)
【化3】
【0014】
〔式中、Y
1、Y
2、R
1およびR
2は、上記で定義されているとおりである〕
のアニリンが、式(III)
【化4】
【0015】
〔式中、
Xは、臭素、塩素、OSO
2Me、OSO
2Ph、OSO
2(4-Me-Ph)またはOSO
2CF
3であり、および
Wは、OHまたはO(C
1-C
6)アルキル基である〕
の酢酸誘導体の存在下で、
および、塩基の存在下で、式(V)
【化5】
【0016】
〔式中、
R
3は、上記で定義されているとおりである〕
のイソチオシアネートと反応して、最初に式(II)
【化6】
【0017】
〔式中、式中、Y1、Y2、R1、R2およびR3は、上記で定義されているとおりである〕
のチオ尿素を形成し、これは、次いで式(I)の化合物に変換され、式(III)の酢酸誘導体は、式(IV)および(V)の化合物の少なくとも1つの反応混合物への添加前に、反応混合物中に最初に存在する
ことを特徴とする、前記方法を提供する。
【0018】
従って、式(III)の酢酸誘導体は、式(IV)のアニリンが式(V)のイソチオシアネートと反応して式(II)のチオ尿素を形成する場合に既に存在する。これは、この反応に悪影響を及ぼさず、反対に、反応混合物中に蓄積するのではなく、式(II)のチオ尿素が直ちにさらに式(I)の化合物に変換されることを確実にする。換言すれば、式(II)のチオ尿素は即座にその場で式(I)の化合物に変換され、すなわち、中間体として形成された式(II)のチオ尿素は、その場で即座にさらなる反応を受けて、式(I)の2-(フェニルイミノ)-1,3-チアゾリジン-4-オンを形成する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
式(I)の化合物は、E-またはZ-異性体として、またはこれらの異性体の混合物として存在してもよい。これは、式(I)中の交差二重結合によって示されている。本発明の個々の実施形態において、化合物は、それぞれの場合において、E-異性体の形態である。本発明の別の個々の実施形態において、化合物は、それぞれの場合において、Z-異性体の形態である。本発明の別の個々の実施形態において、化合物は、E-異性体およびZ-異性体の混合物の形態である。本発明の好ましい個々の実施形態において、化合物はZ-異性体またはE-異性体およびZ-異性体の混合物の形態であり、ここで、Z-異性体の割合は、混合物中のE-異性体およびZ-異性体の総量に基づいて、50%を超え、そしてますます好ましくは60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%を超える。
【0020】
上記の式(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)に列挙された基X、Y1、Y2、W、R1、R2およびR3の好ましい、特に好ましい、および非常に好ましい定義は、以下に説明される。
【0021】
Xが、臭素または塩素であり、
Y1およびY2が、独立して、フッ素、塩素または水素であり、
Wが、O(C1-C6アルキル)基であり、
R1およびR2が、独立して、フッ素、塩素、C1-C3アルキルまたは水素であり、および
R3が、置換されていてもよいフェニル、C1-C6アルキルまたはC1-C6ハロアルキルであり、ここで、置換基は、ハロゲン、C1-C6アルキル、C3-C10シクロアルキル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルキルおよびC1-C6ハロアルコキシから選択され、特に、フッ素、塩素、C1-C3アルキル、C3-C6シクロアルキル、シクロプロピル、シアノ、C1-C3アルコキシ、C1-C3ハロアルキルおよびC1-C3ハロアルコキシから選択される
場合が、好ましい。
【0022】
Xが、臭素または塩素であり、
Y1およびY2が、独立して、フッ素または水素であり、
Wが、O(C1-C6アルキル)基であり、
R1およびR2が、独立して、フッ素、塩素、水素またはメチルであり、および
R3が、C1-C6アルキルまたはC1-C6ハロアルキルである
場合が、特に好ましい。
【0023】
Xが、臭素または塩素であり、
Y1およびY2が、フッ素であり、
Wが、OCH3またはOC2H5基であり、
R1およびR2が、独立して、フッ素、水素またはメチルであり、および
R3が、C1-C6ハロアルキルである
場合が、非常に好ましい。
【0024】
Xが、臭素または塩素であり、
Y1およびY2が、フッ素であり、
Wが、OCH3であり、
R1が、メチルであり、
R2が、フッ素であり、および
R3が、CH2CF3である
場合が、最も好ましい。
【0025】
驚くべきことに、式(I)の2-(フェニルイミノ)-1,3-チアゾリジン-4-オンは、本発明の方法によって良好な収率および高純度で調製することができる。本発明の方法が、塩基および式(III)の酢酸誘導体の存在下での式(IV)のアニリンと式(V)のイソシアネートとの反応を、高い選択性および収率で実施することを可能にするという事実は、アニリンが式(III)の酢酸誘導体と窒素でアルキル化を受けることが知られているので、驚くべきことである(例えば、US20050020645;WO2004/039764を参照)。本発明の方法では、これは予想外にも感知できる程度には起こらず、その代わりに、式(III)の酢酸誘導体は、式(II)のチオ尿素が形成されるときに既に存在しており、後者の式(I)の化合物への即座のさらなる変換をもたらす。これにより、粘着性の、取り扱いが困難なペースト状反応混合物の形成が回避される。式(III)の酢酸誘導体は式(II)の化合物を形成するための化合物(IV)および(V)の反応にほとんどまたは全く影響を及ぼさず、従って、早い段階で反応混合物に添加することができ、従って、式(II)のチオ尿素の反応に直ちに利用可能であることは、決して予測できなかった。従って、これは、式(I)の標的化合物の純度および収率の両方の改善をもたらし、重要なことに、特に工業規模でのプロセス経済性の改善をもたらす。さらに、本発明の方法は、工業規模の調製に適した希釈剤、特に式(II)のチオ尿素の多量の沈殿物が他の方法で生じ得る希釈剤の使用を可能にする。本発明の方法によってもたらされるプロセス経済性のさらなる利点は、中間体のための複雑な単離手順を必要とせずに所望の標的化合物を得ることを可能にすることである。
【0026】
本発明の方法は、以下のスキーム(2)に基づいて説明することができ、ここで、X、Y1、Y2、W、R1、R2およびR3は、上記で定義されたとおりである。スキーム(2)は、クリーンな変換を示す。記載されているように、式(III)の化合物は、式(IV)および(V)の化合物の少なくとも1つの反応混合物への添加前に反応混合物中に存在する。
【0027】
【0028】
一般的な定義
本発明の文脈において、「ハロゲン」(ハロ(Hal))という用語は、特に定義しない限り、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択される元素を包含し、フッ素、塩素および臭素を使用することが好ましく、フッ素および塩素を使用することが特に好ましい。
【0029】
置換されていてもよい基は、一置換または多置換されていてもよく;多置換されている時、置換基は同一であっても異なっていてもよい。関連する位置に特に明記されていない限り、置換基は、ハロゲン、C1-C6アルキル、C3-C10シクロアルキル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルキルおよびC1-C6ハロアルコキシから選択され、特にフッ素、塩素、C1-C3アルキル、C3-C6シクロアルキル、シクロプロピル、シアノ、C1-C3アルコキシ、C1-C3ハロアルキルおよびC1-C3ハロアルコキシから選択される。
【0030】
1つ以上のハロゲン原子(Hal)によって置換されているアルキル基は、例えばトリフルオロメチル(CF3)、ジフルオロメチル(CHF2)、CF3CH2、ClCH2またはCF3CCl2から選択される。
【0031】
本発明の文脈におけるアルキル基は、他に定義されない限り、直鎖、分枝鎖または環状飽和炭化水素基である。
【0032】
C1-C12アルキルの定義は、アルキル基の本明細書で定義される最も広い範囲を包含する。具体的には、この定義は、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチルおよびt-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、1,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、n-ヘプチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシルを包含する。
【0033】
本発明の文脈におけるアリール基は、他に定義されない限り、芳香族炭化水素基であり、これは、0、1、2またはそれ以上のヘテロ原子(O、N、PおよびSから選択される)を含むことができる。
【0034】
具体的には、この定義は、例えば、シクロペンタジエニル、フェニル、シクロヘプタトリエニル、シクロオクタテトラエニル、ナフチルおよびアントラセニル;2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピロリル、3-ピロリル、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル、3-イソチアゾリル、4-イソチアゾリル、5-イソチアゾリル、3-ピラゾリル、4-ピラゾリル、5-ピラゾリル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、1,2,4-オキサジアゾール-3-イル、1,2,4-オキサジアゾール-5-イル、1,2,4-チアジアゾール-3-イル、1,2,4-チアジアゾール-5-イル、1,2,4-トリアゾール-3-イル、1,3,4-オキサジアゾール-2-イル、1,3,4-チアジアゾール-2-イルおよび1,3,4-トリアゾール-2-イル;1-ピロリル、1-ピラゾリル、1,2,4-トリアゾール-1-イル、1-イミダゾリル、1,2,3-トリアゾール-1-イル、1,3,4-トリアゾール-1-イル;3-ピリダジニル、4-ピリダジニル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル、2-ピラジニル、1,3,5-トリアジン-2-イルおよび1,2,4-トリアジン-3-イルを包含する。
【0035】
式(IV)のアニリンの式(I)の化合物への変換は、好ましくは希釈剤の存在下で行われる。本発明の方法における適切な希釈剤は、特に以下のものである:テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、tert-アミルメチルエーテル(TAME)、2-メチル-THF、アセトニトリル(ACN)、アセトン、ブチロニトリル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、メチルイソブチルケトン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン、テトラクロロエチレン、テトラクロロエタン、ジクロロプロパン、塩化メチレン(ジクロロメタン、DCM)、ジクロロブタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、ペンタクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、トルエン、オルト-キシレン、メタ-キシレン、パラ-キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、クロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼン、アニソール、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、1,2,4-トリメチルペンタン(イソオクタン)、石油エーテル40/55、特殊沸点スピリット(special boiling point spirit)80/110、シクロヘキサンまたはメチルシクロヘキサン。前記希釈剤の混合物も使用することができる。
【0036】
本発明の方法における好ましい希釈剤は、塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、アセトニトリル、アセトン、酢酸エチル、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチル-THF、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、トルエン、オルト-キシレン、メタ-キシレン、パラ-キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、クロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼン、アニソール、n-ヘプタン、n-オクタン、1,2,4-トリメチルペンタン(イソオクタン)、石油エーテル40/55、特殊沸点スピリット80/110、メチルシクロヘキサンまたは前記希釈剤の混合物である。
【0037】
特に好ましい希釈剤は、アセトニトリル、酢酸エチル、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、オルト-キシレン、メタ-キシレン、パラ-キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、クロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼン、アニソール、n-ヘプタン、1,2,4-トリメチルペンタン(イソオクタン)、石油エーテル40/55、特別沸点スピリット80/110、メチルシクロヘキサンまたは前記希釈剤の混合物である。トルエン、オルト-キシレン、メタ-キシレン、パラ-キシレン、エチルベンゼン若しくはクロロベンゼンまたはこれらの希釈剤の混合物が非常に特に好適である。
【0038】
式(V)のイソチオシアネートは、好ましくは式(IV)のアニリンに基づいて0.95:1~2:1のモル比で使用される。式(IV)のアニリンに基づいて、それぞれの場合において、1.01:1~1.5:1のモル比がさらに好ましい。
【0039】
本発明の方法において使用される塩基は、有機塩基または無機塩基であり得る。有機塩基の例は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミンおよびエチルジイソプロピルアミンである。無機塩基の例は、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸カルシウムおよび炭酸マグネシウムである。好ましいのは、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸ナトリウムである。特に好ましいのは、炭酸カリウムである。
【0040】
本発明の方法において、塩基は、好ましくは式(IV)のアニリンに基づいて0.8:1~3:1のモル比で使用される。式(IV)のアニリンに基づいて、いずれの場合も、1:1~2:1のモル比がさらに好ましい。
【0041】
本発明の方法において、式(III)の酢酸誘導体は、好ましくは式(IV)のアニリンに基づいて0.9:1~2:1のモル比で使用される。式(IV)のアニリンに基づいて、それぞれの場合において、1.0:1~1.5:1のモル比がさらに好ましい。
【0042】
本発明の方法は一般に、-20℃~150℃、好ましくは0℃~120℃、最も好ましくは5℃~80℃の温度で実施される。
【0043】
反応は典型的には標準圧力で実施されるが、高圧または減圧で実施することもできる。
【0044】
式(I)の所望の化合物は例えば、その後の濾過または抽出によって単離することができる。このようなプロセスは、当業者に知られている。
【0045】
本発明は以下の実施例によって詳細に説明されるが、実施例は本発明を限定するように解釈されるべきではない。
【実施例】
【0046】
実施例:
実施例1:トルエン中での(2Z)-2-({2-フルオロ-4-メチル-5-[(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニル]フェニル}イミノ)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,3-チアゾリジン-4-オンの合成
反応容器に、648.8gのトルエン、153.9g[1.09mol]の1,1,1-トリフルオロ-2-イソチオシアナトエタン、170.3g[1.23mol]の炭酸カリウムおよび165.9g[1.09mol]のブロモ酢酸メチルを充填した。反応混合物を撹拌しながら50℃に加熱した。この温度で、235.8gのトルエン中の235.8g[0.986mol]の2-フルオロ-4-メチル-5-[(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニル]アニリンの溶液を、撹拌を続けながら、30分間かけて滴下した。次いで、反応混合物を50℃で7時間撹拌し、2時間にわたって20℃に冷却し、20℃でさらに12時間撹拌した。反応混合物は、この時間を通して容易に撹拌可能な懸濁液であった。後処理のために、反応混合物を撹拌しながら672.8gの水に計量供給した。その後、反応容器を259.5gのトルエンですすぎ、すすぎ液を同様に水中に計量供給した。上部の有機相を分離し、270gの塩酸(16%)と共に撹拌した。新たな相分離により、1523.3gの有機相を得、これは、参照標準に対する定量的HPLC分析により、26.0%(w/w)の標的化合物(396.1g、理論値の95.6%の収率に相当する)を含有することが示された。
【0047】
実施例2:メチルシクロヘキサン中の(2Z)-2-({2-フルオロ-4-メチル-5-[(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニル]フェニル}イミノ)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,3-チアゾリジン-4-オンの合成
反応容器に、100mlのメチルシクロヘキサン(MCH)、7.76g[55mmol]の1,1,1-トリフルオロ-2-イソチオシアナトエタン、8.41g[55mmol]のブロモ酢酸メチルおよび8.6g[62.5mmol]の炭酸カリウムを充填した。混合物を50℃に加熱し、11.9g[50mmol]の2-フルオロ-4-メチル-5-[(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニル]アニリンをこの温度で撹拌しながら滴下し、50℃での撹拌を24時間続けた。反応中の粘着性固体のわずかな堆積は、反応混合物の撹拌性に悪影響を及ぼさなかった。この時間の終わりに、赤みがかった、容易に撹拌可能な懸濁液が存在した。これを室温に冷却し、次いで100mlの1N塩酸と撹拌し、その後相を分離し、有機相を濃縮した。これにより、HPLCによる純度80.3%を有する10gの生成物が得られ、これは理論値の38.2%の収率に相当する。次に、水相をMCH100mlずつで3回抽出した。合わせた有機相を濃縮した。これにより、HPLCによる純度71.8%を有する9.8gの生成物が得られ、これは理論値の33.5%の収率に相当する。従って、全収率は理論値の71.7%であった。
【0048】
実施例3:キシレン中の(2Z)-2-({2-フルオロ-4-メチル-5-[(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニル]フェニル}イミノ)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,3-チアゾリジン-4-オンの合成
反応容器に、17.2gの工業用キシレン混合物および5.18g[37.5mmol、1.5当量]の炭酸カリウムを入れた。4.21g[27.5mmol、1.1当量]のブロモ酢酸メチルを添加し、その後、2.15gのキシレンですすいだ。3.91g[27.5mmol、1.1当量]の1,1,1-トリフルオロ-2-イソチオシアナトエタンを滴下し、その後2.15gのキシレンですすいだ。反応混合物を撹拌しながら50℃に加熱した。この温度で、6.16g[25.0mmol、1.0当量]の2-フルオロ-4-メチル-5-[(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニル]アニリンを撹拌しながら30分間かけて滴下した。次いで、反応混合物を50℃で6.5時間撹拌し、転化率をHPLCにより規則的な間隔でチェックした。反応混合物は、この時間を通して容易に撹拌可能な懸濁液であった。後処理のために、反応混合物を室温に冷却し、15gの水を添加した。混合物を分離漏斗に移し、その後、3mlのキシレンでリンスした。相分離により、35.1gの暗褐色キシレン溶液を得、これを、参照標準に対する定量的HPLC分析により、29.0%(w/w)の表題化合物(10.18g、理論値の96.9%の収率に相当する)を含有することが示された。
【0049】
実施例4:クロロベンゼン中での(2Z)-2-({2-フルオロ-4-メチル-5-[(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニル]フェニル}イミノ)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,3-チアゾリジン-4-オンの合成
反応容器に、22.1gのクロロベンゼンおよび5.18g[37.5mmol、1.5当量]の炭酸カリウムを充填した。4.21g[27.5mmol、1.1当量]のブロモ酢酸メチルを添加し、その後2.15gのクロロベンゼンですすいだ。3.91g[27.5mmol、1.1当量]の1,1,1-トリフルオロ-2-イソチオシアナトエタンを滴下し、その後2.8gのクロロベンゼンですすいだ。反応混合物を撹拌しながら50℃に加熱した。この温度で、6.16g[25.0mmol、1.0当量]の2-フルオロ-4-メチル-5-[(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニル]アニリンを撹拌しながら30分間かけて滴下した。次いで、反応混合物を50℃で6.5時間撹拌し、転化率をHPLCにより規則的な間隔でチェックした。反応混合物は、この時間を通して容易に撹拌可能な懸濁液であった。後処理のために、反応混合物を室温に冷却し、15gの水を添加した。混合物を分離漏斗に移し、その後、3mlのクロロベンゼンですすいだ。相分離により、42.1gの暗褐色クロロベンゼン溶液を得、これを、参照標準に対する定量的HPLC分析により、23.5%(w/w)の表題化合物を含むことが示された(9.89g、理論値の94.1%の収率に相当する)。
【0050】
比較例:
比較例1:トルエン中の1-{2-フルオロ-4-メチル-5-[(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニル]フェニル}-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)チオ尿素の合成
5.0gの2-フルオロ-4-メチル-5-[(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニル]アニリン[20.9mmol,1.0当量]を30mlのトルエンに加え、これに室温で3.2gの1,1,1-トリフルオロ-2-イソチオシアナトエタン[23.0mmol,1.1当量]を滴下した。反応混合物を室温で3時間撹拌すると、元の溶液から非常に濃く、撹拌が不十分な懸濁液が形成された。反応をモニターしたところ、約85%の転化率しか示されなかった。反応混合物を再び部分的に撹拌可能にするために50℃に加熱した。50℃で3時間後、完全な変換は依然として達成されず、その結果、反応混合物を70℃に加熱した。70℃で3時間後でさえ、完全な変換はまだ達成されなかった(反応のHPLCモニタリングは、0.9%のアニリンがまだ存在することを示した)。反応混合物を5℃に冷却し、非常に濃厚なペースト状懸濁液を可能な限り完全に吸引フィルターに移し、固体を単離した。得られた固体を冷MTBEで洗浄し、減圧下で乾燥させた。これにより、5.1gの標的生成物をベージュ色の固体(理論値の61%)として得た。濾液を濃縮すると、さらに2.2gの褐色固体が得られ、これは約60%(理論値の17%)の目標生成物含量を有していた。不十分な単離収率は、部分的には非常に濃厚な懸濁液を吸引フィルターに移す間の比較的大きな損失にも起因する。
【0051】
比較例2:メチルシクロヘキサン中の1-{2-フルオロ-4-メチル-5-[(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニル]フェニル}-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)チオ尿素の合成
反応容器に、77mlのメチルシクロヘキサン(MCH)および11.9g[50mmol]の2-フルオロ-4-メチル-5-[(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニル]アニリンを充填した。これを50℃に加熱し、8.1g[57.5mmol]の1,1,1-トリフルオロ-2-イソチオシアナトエタンをこの温度で撹拌しながら約5分間かけて滴下した。数分後、標的製品が沈殿し始め、反応混合物を濃厚で撹拌できないペーストにした。さらなる80mlのメチルシクロヘキサンの添加も、混合物を再び撹拌可能にしなかった。反応混合物を20℃に冷却し、多量のMCHで反応容器からすすいだ。固体を吸引濾過し、MCHで洗浄し、乾燥した。これにより、HPLC分析による純度98.5%(a/a)を有する18.55gの生成物が得られ、これは理論値の96%の収率に相当する。従って、収率は非常に良好であるが、反応混合物の極めてペースト状の粘稠度はこの方法を工業的規模で実施不可能にする。
【0052】
比較例3:トルエン中での(2Z)-2-({2-フルオロ-4-メチル-5-[(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニル]フェニル}イミノ)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,3-チアゾリジン-4-オンの合成
7.1gの1,1,1-トリフルオロ-2-イソチオシアナトエタン[95%、48.0mmol、1.2当量]を40mlのトルエンに溶解し、9.57gの2-フルオロ-4-メチル-5-[(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニル]アニリン(40.0mmol、1.1当量)と共に20℃で30分間撹拌し(400rpm)、黄色がかった溶液から白色固体を含有する懸濁液を形成した。1時間後、懸濁液はもはや撹拌できなかったが、懸濁液のHPLC分析による反応のモニタリングは約65%の転化率しか示さなかった。さらに10mlのトルエンを加え、撹拌速度を600rpmまで増加させ、反応混合物を40℃まで加熱した結果、混合物は再び適度に撹拌可能になった。40℃で3時間後(反応のHPLCモニタリングは約87%の転化率を示した)、8.3gの固体炭酸カリウム[60.0mmol、1.5当量]を添加した。さらに30分後、8.0gの2-ブロモ酢酸メチル[52.0mmol、1.3当量]を40℃で1時間かけて加え、反応混合物を40℃で20時間撹拌したところ、再び容易に撹拌可能であった標的生成物のトルエン溶液中に臭化カリウムおよび炭酸カリウムの懸濁液が形成された。この時点での反応のHPLCモニタリングは、アニリンの完全な変換および微量の中間体チオ尿素のみを示した。反応混合物を20℃に冷却し、20℃でさらに17時間撹拌し、濾過した。固体を少量のトルエンで洗浄し、合わせた濾液を66.8gの赤褐色トルエン溶液に濃縮し、これは、外部標準に対するHPLCによって、21.1%の標的生成物(理論値の84%)を含有し、アニリンもチオ尿素中間体も含有しないことが示された。
【国際調査報告】