(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-14
(54)【発明の名称】変形可能な表面を有する電子ディスプレイ
(51)【国際特許分類】
H04N 13/388 20180101AFI20220907BHJP
G02B 30/00 20200101ALI20220907BHJP
【FI】
H04N13/388
G02B30/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022500729
(86)(22)【出願日】2020-07-07
(85)【翻訳文提出日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 US2020041014
(87)【国際公開番号】W WO2021011232
(87)【国際公開日】2021-01-21
(32)【優先日】2019-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511077292
【氏名又は名称】ユニバーサル シティ スタジオズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】シモンズ カイル
【テーマコード(参考)】
2H199
5C061
【Fターム(参考)】
2H199BA22
2H199BB29
5C061AA06
5C061AB11
5C061AB12
(57)【要約】
3次元(3D)ディスプレイシステムが、複数のペグから成るペグアレイを含むことができる。各ペグは、個別にアドレス指定可能であるとともに、1又は2以上の軸に沿って動くように設計することができる。3Dディスプレイシステムは、電磁場を生成する複数の電磁コイルを有する誘起アレイを含むこともできる。電磁場は、少なくとも1つのペグに対して磁力を誘起してペグを軸に沿って作動位置に動かすことができる。3Dディスプレイは、作動位置における少なくとも1つのペグとの接触を介して3Dトポグラフィに拡張するディスプレイ画面を含むことができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元(3D)ディスプレイシステムであって、
各ペグが個別にアドレス指定可能であるとともに少なくとも1つの軸に沿って移動するように構成された複数のペグを含むペグアレイと、
前記複数のペグのうちの少なくとも1つのペグに対して磁力を誘起し、前記複数のペグのうちの前記少なくとも1つのペグを前記少なくとも1つの軸に沿って作動位置に動かすように構成された電磁場を発生させるように構成された複数の電磁コイルを含む誘起アレイと、
前記作動位置における前記複数のペグのうちの少なくとも前記1つのペグとの接触を介して3Dトポグラフィに拡張するように構成されたディスプレイ画面と、
を備えることを特徴とする3Dディスプレイシステム。
【請求項2】
前記誘起アレイは、前記複数の電磁コイルのうちの第1の電磁コイルと、前記複数の電磁コイルのうちの第2の電磁コイルとを含み、前記複数の電磁コイルのうちの前記第1の電磁コイルは第1の電磁場を生成するように構成され、前記複数の電磁コイルのうちの前記第2の電磁コイルは、前記第1の電磁場とは逆の第2の電磁場を生成するように構成される、
請求項1に記載の3Dディスプレイシステム。
【請求項3】
前記第1の電磁場は、前記複数のペグのうちの前記少なくとも1つのペグを前記少なくとも1つの軸に沿って第1の方向に動かすために、前記複数のペグのうちの前記少なくとも1つのペグに対して第1の磁力を誘起するように構成され、前記第2の電磁場は、前記複数のペグのうちの前記少なくとも1つのペグを前記少なくとも1つの軸に沿って前記第1の方向とは逆の第2の方向に動かすために、前記複数のペグのうちの前記少なくとも1つのペグに対して第2の磁力を誘起するように構成され、前記第1の磁力及び前記第2の磁力は、前記複数のペグのうちの前記少なくとも1つのペグを前記作動位置において平衡状態に保持するように構成される、
請求項2に記載の3Dディスプレイシステム。
【請求項4】
前記複数のペグのうちの前記少なくとも1つのペグに対応する前記複数の電磁コイルのうちの少なくとも1つの電磁コイルに電流を流して前記電磁場を発生させるように構成されたコントローラを備え、該コントローラは、前記電流を変化させて前記複数のペグのうちの前記少なくとも1つのペグの位置を変化させるように構成される、
請求項1に記載の3Dディスプレイシステム。
【請求項5】
前記複数のペグのうちの前記少なくとも1つのペグは、前記電磁場と相互作用して前記複数のペグのうちの前記少なくとも1つのペグに対して磁力を誘起するように構成された1又は2以上のペグコイルを含む、
請求項1に記載の3Dディスプレイシステム。
【請求項6】
前記ディスプレイ画面上の画像の表示を容易にするように構成された光学生成器を備える、
請求項1に記載の3Dディスプレイシステム。
【請求項7】
前記光学生成器はプロジェクタを含む、
請求項6に記載の3Dディスプレイシステム。
【請求項8】
前記光学生成器は、前記複数のペグのうちの前記少なくとも1つのペグの端面内の又は該端面に取り付けられた光源を含み、前記複数のペグのうちの前記少なくとも1つのペグの前記端面は、前記ディスプレイ画面に接触するように構成される、
請求項6に記載の3Dディスプレイシステム。
【請求項9】
前記複数のペグが内部を貫通して作動するように構成された複数のアパーチャを含む整列支持体を備え、前記複数のペグのうちの前記少なくとも1つのペグは、前記少なくとも1つの軸に沿って前記複数のアパーチャの対応する少なくとも1つのアパーチャを通じて作動するように構成される、
請求項1に記載の3Dディスプレイシステム。
【請求項10】
前記複数のペグのうちの前記少なくとも1つのペグに対する前記誘起された磁力は、前記ディスプレイ画面によって前記複数のペグのうちの前記少なくとも1つのペグに作用する張力によって相殺される、
請求項1に記載の3Dディスプレイシステム。
【請求項11】
前記ディスプレイ画面は、50パーセントを上回る透過率を有する弾性材料を含む、
請求項1に記載の3Dディスプレイシステム。
【請求項12】
3次元(3D)ディスプレイであって、
複数のペグを含むペグアレイと、
前記ペグアレイが特定のトポグラフィを形成するように前記複数のペグのうちの少なくとも1つのペグを第1の位置から第2の位置に作動させるように構成されたペグ駆動システムと、
前記複数のペグのうちの1又は2以上のペグの表面から光を放出するように構成された光学生成器と、
を備え、前記複数のペグのうちの前記1又は2以上のペグから放出される前記光は、前記特定のトポグラフィに対応する画像を形成する、
ことを特徴とする3Dディスプレイ。
【請求項13】
前記ペグ駆動システムは、前記複数のペグのうちの前記少なくとも1つのペグに対して磁力を誘起するように構成された複数の電磁コイルを含む誘起アレイを含み、前記複数のペグのうちの前記少なくとも1つのペグは、前記第1の位置から前記第2の位置に作動する際に前記複数の電磁コイルに対して動くように構成される、
請求項12に記載の3Dディスプレイ。
【請求項14】
前記複数のペグのうちの前記少なくとも1つのペグは、前記複数のペグのうちの前記少なくとも1つのペグ上又はペグ内に配置されて前記複数のペグのうちの前記少なくとも1つのペグと共に作動する複数のペグコイルを含み、前記複数のペグのうちの前記少なくとも1つのペグの長さに沿って、前記ペグコイルの密度、前記ペグコイルの厚み、又はこれらの両方が変化する、
請求項12に記載の3Dディスプレイ。
【請求項15】
前記ペグ駆動システムは、強化プリント基板(rPCB)を含む、
請求項12に記載の3Dディスプレイ。
【請求項16】
観察エリアと前記ペグアレイとの間に配置されて前記ペグアレイと接触するディスプレイ画面を備え、前記特定のトポグラフィは、前記ディスプレイ画面からの1又は2以上の突出部を介して知覚され、前記画像は前記ディスプレイ画面を通じて伝達される、
請求項12に記載の3Dディスプレイ。
【請求項17】
前記光学生成器は、前記複数のペグのうちの前記1又は2以上のペグの前記表面に配置されて前記画像の一部に対応する光を放出するように構成された1又は2以上の発光ダイオード(LED)を含む、
請求項12に記載の3Dディスプレイ。
【請求項18】
前記光学生成器は、前記画像の一部に対応する光を放出するように構成された複数の光ファイバケーブルを含み、該複数の光ファイバケーブルの各光ファイバケーブルは、前記複数のペグのうちの前記1又は2以上のペグの対応する表面で終端する、
請求項12に記載の3Dディスプレイ。
【請求項19】
前記複数のペグのうちの前記1又は2以上のペグの前記表面は、前記複数のペグのうちの前記1又は2以上の各ペグの端面、側面、又はこれらの両方を含む、
請求項12に記載の3Dディスプレイ。
【請求項20】
3次元(3D)表示を提供する方法であって、
ペグアレイの1又は2以上のペグをトポグラフィに関連する位置に動かす磁力を前記ペグアレイの前記1又は2以上のペグ内に誘起するように構成された1又は2以上の電磁コイルに電流を供給するステップと、
前記ペグアレイの前記1又は2以上のペグの各々の先端、側面、又はこれらの両方に配置されて画像の少なくとも一部を表示するように構成された1又は2以上の光源を点灯させるステップと、
前記ペグアレイの前記1又は2以上のペグが前記トポグラフィに関連する前記位置に存在している間に前記トポグラフィに対応する前記画像が表示されるように、前記ペグアレイの前記1又は2以上のペグの動きと前記1又は2以上の光源の点灯とを協調させるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
3Dコンテンツを受け取るステップと、該3Dコンテンツを動きデータ及び画像データに処理するステップを含み、前記ペグアレイの前記1又は2以上のペグの前記動きは前記動きデータに基づき、前記1又は2以上の光源の前記点灯は前記画像データに基づく、
請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2019年7月12日に出願された「変形可能な表面を有する電子ディスプレイ(ELECTRONIC DISPLAY WITH DEFORMABLE SURFACE)」という名称の米国仮特許出願第62/873,464号の利益を主張するものであり、この文献の開示は全ての目的で引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本開示は、一般に変形可能な表面を有する電子ディスプレイに関し、具体的には、電子的に制御可能な3次元(3D)表面上に画像を提供するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本節は、以下で説明する本開示の様々な態様に関連し得る技術の様々な態様を読者に紹介するためのものである。本考察は、読者に背景事情を示して本開示の様々な態様のより良い理解を促す上で役立つと考えられる。従って、これらの記載は、先行技術を認めるものとしてではなく、上記の観点から読むべきものであると理解されたい。
【0004】
ディスプレイ技術は、観察者に知覚深度の画像を提供して、平面又は2次元(2D)表面(例えば、投影画面)上に投影された画像を使用して錯覚を生み出すように実装することができる。3Dシステムの中には、このような効果を生み出すのに役立つように、メガネ又はゴーグルなどの装着型装置を使用して観察者の目の視界を互いに分離するものもある。一般に、3Dディスプレイは、観察者にリアルな、刺激的な、及び/又はより没入的な体験を提供することができる。しかしながら、3D錯覚の基になる投影画像は、深度を有するオブジェクトの特徴である視差及び動的な影付けを含まない平面的なものであるため、リアルな深度の錯覚が弱まってしまう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、当初の特許請求の範囲の主題と同一範囲のいくつかの実施形態を要約する。これらの実施形態は、特許請求する主題の範囲を限定するものではなく、むしろ本主題の可能な形態の概要を示すものにすぎない。実際には、本主題は、以下に示す実施形態と類似し得る又は異なり得る様々な形態を含むことができる。
【0006】
ある実施形態では、3次元(3D)ディスプレイシステムが、複数のペグから成るペグアレイを含むことができる。各ペグは、個別にアドレス指定可能であるとともに、1又は2以上の軸に沿って動くように設計することができる。3Dディスプレイシステムは、電磁場を生成する複数の電磁コイルを有する誘起アレイを含むこともできる。電磁場は、少なくとも1つのペグに対して磁力を誘起してペグを軸に沿って作動位置に動かすことができる。3Dディスプレイは、作動位置における少なくとも1つのペグとの接触を介して3Dトポグラフィに拡張するディスプレイ画面を含むことができる。
【0007】
別の実施形態では、3Dディスプレイが、複数のペグを含むペグアレイと、ペグアレイが特定のトポグラフィを形成するようにペグのうちの少なくとも1つを第1の位置から第2の位置に作動させるペグ駆動システムとを含むことができる。3Dディスプレイは、ペグの表面から光を放出する光学生成器を含むこともできる。さらに、各ペグから放出された光は、全体として特定のトポグラフィに対応する画像を形成することができる。
【0008】
さらに別の実施形態では、3D表示を提供する方法が、1又は2以上の電磁コイルに電流を供給して、ペグアレイの1又は2以上のペグ内に磁力を誘起するステップを含むことができる。すると、誘起された磁力が、トポグラフィに関連する位置にペグを動かすことができる。方法は、ペグの先端、側面、又はこれらの両方に配置された1又は2以上の光源を点灯させて画像の少なくとも一部を表示するステップを含むこともできる。方法は、ペグがトポグラフィに関連する位置に存在している間にトポグラフィに対応する画像が表示されるように、ペグの動きと光源の点灯とを協調させるステップを含むこともできる。
【0009】
全体を通じて同じ部分を同じ符号によって示す添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を読めば、本発明のこれらの及びその他の特徴、態様及び利点がより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の態様による3Dディスプレイシステム例のブロック図である。
【
図2】本開示の態様による、
図1の3Dディスプレイシステムのディスプレイ画面を成形するペグアレイ例の概略的分解図である。
【
図3】本開示の態様による、ペグアレイ例及びペグ駆動システム例の概略的分解図である。
【
図4】本開示の態様による、ディスプレイ画面上の突出部の生成中の作用力の概略図である。
【
図5】本開示の態様による、電磁コイルによって誘起される磁力の作用を受けるペグ例の切断図である。
【
図6】本開示の態様による、ペグ例36及び様々な画像表示技術の概略図である。
【
図7】本開示の態様による、
図1の3Dディスプレイシステム例の概略図である。
【
図8】本開示の態様による、
図1の3Dディスプレイシステムを実装するプロセス例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の1又は2以上の具体的な実施形態について説明する。これらの実施形態を簡潔に説明するために、本明細書では実施の特徴を全て説明しているわけではない。いずれかの工学又は設計プロジェクトに見られるいずれかのこのような実施の開発では、実装によって異なり得るシステム関連及びビジネス関連の制約の順守などの開発者の特定の目的を達成するために数多くの実装固有の決定を行わなければならないと理解されたい。さらに、このような開発努力は複雑で時間が掛かる場合もあるが、本開示の恩恵を受ける当業者にとっては設計、製作及び製造という日常的な取り組みであると理解されたい。
【0012】
投影媒体又は表示媒体を使用してリアルな没入的環境を形成することは複雑である。これらの媒体は3次元(3D)錯覚としてレンダリングされ、3Dメガネ又は同様のものを通して見ることができる。しかしながら、この錯覚は、静止位置の観察者には有効であることができるが、縁部及びより極端な角度では崩れる傾向にある。3D投影は、錯覚を保つのに望ましい視野角を有する予測可能な位置に座席が存在する劇場などの状況で使用されることが多いが、多くの場合、没入的環境はさらに相互作用的である。観察者は、環境内をより比較的自由に移動して、より極端な角度を含む様々な角度から表示画像を見る。没入的環境内で3D錯覚を生成するためのさらなる課題は、観察者が見たいと思う動的影付けが平面投影では行われない点である。さらに、平面投影は視差効果を欠いており、すなわち異なる角度から見た時に見た目が変化しない。従って、このような環境においてより強固な3D錯覚を生み出すことが望ましい。
【0013】
不規則な又は成形された表面上へのプロジェクションマッピングは、さらなる深度を生み出すことができる。しかしながら、プロジェクションマッピング技術は、静的な又は静止した投影面を必要とする。さらに、プロジェクションマッピングは、錯覚をレンダリングできる前に複雑な走査及び位置合わせプロセスを含み、表面特徴と投影画像とが位置ずれすると錯覚が崩れてしまう。いくつかの事例では、生身の俳優が柔軟な画面を押して等身大の圧痕(impressions)を形成することができる。しかしながら、このような実装は労働集約的であることが分かっており、及び/又はトポグラフィの変化と同時に画面上に動的ビデオ又は画像を表示させる可能性が制限されてしまう。
【0014】
本技術は、深度の知覚に寄与する改善された特性を有するとともに、複雑な画像位置合わせに依拠することなく観察者にリアルな、刺激的な、及び/又はより没入的な体験を提供する3D表示技術を容易にする。従って、いくつかの実施形態では、視聴体験を改善するために、3D表面と、構成可能な又は可変のトポグラフィとを有するディスプレイを実装することができる。さらに、この3Dディスプレイは、可変トポグラフィに対応する画像を描写することができる。例えば、3Dディスプレイの画面上に人物の顔が光学的に表示されると、同時に画面が人間の顔の一般的トポグラフィで観察者に向かって伸びることができる。画像(例えば、ビデオ)のストリームと同時に画面トポグラフィが変化することで、リアル性及び/又は3D精細度が向上した改善されたユーザ体験をもたらすことができる。すなわち、投影画像が変形表面に埋め込まれる。
【0015】
このような3Dディスプレイの動きを引き起こすために、柔軟なディスプレイ画面の背後に可動ペグ(moveable pegs)などの作動可能素子のアレイを配置することができる。個々の作動可能素子は、個別に又はグループで動いてディスプレイ画面の様々な地点を圧迫し、位置付けて、柔軟なディスプレイ画面全体に可変トポグラフィを形成するように個別にアドレス指定可能とすることができる。各要素は、ディスプレイ画面を2D(例えば、平面)静止位置(例えば、中立位置)から押して及び/又は引いて3Dトポグラフィを生成するように、駆動装置によって個別に又はグループで操作することができる。
【0016】
また、3Dディスプレイは、柔軟なディスプレイ画面上に表示すべき画像を提供する光学生成器を含むことができる。いくつかの実施形態では、1又は2以上のプロジェクタを利用して、柔軟なディスプレイ画面の観察側に画像を投影することができる。いくつかのシナリオでは、複数のプロジェクタを使用して、画面のトポグラフィによって投じられる影を軽減することができる。これに加えて又はこれに代えて、3Dディスプレイはバックライト付きとすることもでき、及び/又は柔軟なディスプレイ画面の素子側から柔軟なディスプレイ画面を通じて画像を投影することもできる。例えば、これらの素子は、素子先端又はその周囲に発光ダイオードを含むことができ、及び/又は素子先端で終端する光ファイバケーブルを含むことができる。理解できるように、3Dディスプレイは、実装に応じていずれかの好適なサイズのものとすることができる。例えば、3Dディスプレイは、部屋又は建物の壁などに配置される「等身大」とすることも、或いは個人用ハンドヘルド装置などに内蔵される「旅行サイズ」とすることもできる。
【0017】
これらを踏まえて、
図1は、コントローラ12及び3Dディスプレイ14を含む3Dディスプレイシステム例10のブロック図である。コントローラ12は、3Dディスプレイ14の動作制御、及び/又は動的トポグラフィと表示すべき画像とを協調させるための画像及び/又は深度データの処理を支援することができる。従って、コントローラ12は、プロセッサ16、メモリ18、動きコントローラ20、及び/又は光学コントローラ22を含むことができる。プロセッサ16は、1又は2以上の汎用マイクロプロセッサ、1又は2以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)及びプログラマブルゲートアレイ(PAL)デバイスなどの1又は2以上のプログラマブルロジックデバイス、又はこれらのいずれかの組み合わせを含むことができる。メモリ18は、プロセッサ16によって処理すべきデータを記憶するいずれかの好適なメモリとすることができ、1又は2以上の有形の非一時的コンピュータ可読媒体を含むことができる。例えば、メモリ18は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、フラッシュメモリなどの書き換え可能な不揮発性メモリ、ハードドライブ、及び/又は光ディスクなどを含むことができる。コントローラ12の機能は、単一の装置を介して達成することも、又は複数の装置間で分散することもできると理解されたい。例えば、動きコントローラ20は、光学コントローラ22から分離することができる。
【0018】
3Dディスプレイ14は、ディスプレイ画面24と、ここではペグアレイ26として示す作動可能素子のアレイと、ペグ駆動システム28と、光学生成器30とを含むことができる。本明細書で説明するように、ディスプレイ画面は、ディスプレイ画面24のトポグラフィを変化させるようにペグアレイ26のペグによって平衡位置から押すこと及び/又は引くことができる。さらに、ペグアレイ26は、ペグ駆動システム28を介して動作的に移動する複数のペグを含むことができる。ペグ駆動システム28は、単独で又は互いに連動してペグを所望の位置に動かす複数のペグドライバを含むことができる。ペグ駆動システム28及びペグアレイ26は、ペグアレイ26の各個々のペグが個別にアドレス指定可能であるように構成することができる。光学生成器30は、ディスプレイ画面24に隣接する(例えば、ペグの先端及び/又は側面に取り付けられた)LED及び/又は光ファイバなどの1又は2以上の視覚出力部を含むことができる。
【0019】
説明に役立つように、
図2は、ディスプレイ画面24を成形するペグアレイ例26の概略的分解図である。一般に、ディスプレイ画面24は、スパンデックス又はその他の伸縮性材料などの弾性材料を含むことができる。さらに、ディスプレイ画面24は、背面側の(例えば、ディスプレイ画面24の背面側32から発する)光学生成器30と共に利用した場合に、ディスプレイ画面24の観察側34に(例えば、観察エリアからのように)画像がクリアに表示されることを可能にするほどの十分な透過率を有することができる。例えば、1つの実施形態では、ディスプレイ画面24が、ディスプレイ画面24の背面側32から観察側34に50%を上回る、70%を上回る、又は90%を上回る入射光を透過させることができる。また、ディスプレイ画面24は、弾性と、いくつかの実施形態では低拡散性とを維持しながら、変形中のペグ36の圧力に耐える好適な厚みのものとすることができる。例えば、ディスプレイ画面24は、使用される材料に応じて、観察者が見る表示画像の所望のレベルの明瞭性を維持できるほど十分に低い拡散率を有することができる。
【0020】
ペグアレイ26のペグ36は、中立位置40のペグ36に対して矢印38で示すようにディスプレイ画面24内に押し込まれて、ディスプレイ画面24の観察側34から飛び出る突出部42を形成することができる。なお、ディスプレイ画面24は、ディスプレイ画面24をピンと張った状態に保つようにディスプレイ画面24の縁部44を固定することができると理解されたい。いくつかの実施形態では、特定のペグ36(例えば、ペグ46)を、中立位置40から大きく変位した他の近隣のペグ36(例えば、ペグ48)よりも中立位置40からそれほど変位しない状態に維持することによって、ディスプレイ画面24が、突出部42の精細度を向上させる凹面50を示すことができる。例えば、いくつかの実施形態では、ペグ36の変位によって引き起こされる真空が、より変位の大きなペグ36の周囲でディスプレイ画面24がテント状になるのを防ぐことができる。これに加えて又はこれに代えて、この真空をポンプ(例えば、機械的真空ポンプ)によって維持することもできる。さらに、これに加えて又はこれに代えて、ペグ36をディスプレイ画面24に接着することによってディスプレイ画面24内の凹面50を改善することもできる。このような1つの実施形態では、接着ボンドが過剰な応力を伴わずに維持されるようにペグ36の動きを調整することができる。
【0021】
図示の実施形態では、ペグアレイ26のペグ36が概ね同じ形状及びサイズを有し(同じ直径及び同じ長さ寸法を有して同じ断面形状及び/又は端部形状を有し)、同じ材料で形成される。しかしながら、ペグアレイ26は、所望の末端効果に応じて異なるサイズ、材料及び/又は形状のペグ36を含むこともできると理解されたい。
【0022】
ペグ36により形成されディスプレイ画面24上に刻み込まれて表示側34で見えるようになる突出部42は、追加ハードウェア(例えば、3Dゴーグル、視差画面など)を伴うことなく観察者にリアルな3D体験を提供するのに役立つことができる。これに加えて又はこれに代えて、突出部42は、観察者が動的に変化できる3Dモデルを感じ及び/又は同時に画像を見ることができるような触覚フィードバックとして利用することもできる。例えば、突出部42は、同じ表面上に画像を表示する能力を維持しながら相互作用的3Dマップをシミュレートし、又は点字出力を提供することができる。ディスプレイ画面24及びペグアレイ26は、所望の3D実演を達成するために、垂直方向、水平方向、又はいずれかの好適な角度に向けることができると理解されたい。さらに、本明細書ではディスプレイ画面24を背面側32から照明すると説明しているが、いくつかの実施形態ではディスプレイ画面24を省略し、ペグ36を介して直接3D画像及びトポグラフィを見ることもできる。さらに、いくつかの実施形態では、ディスプレイ画面24を、それぞれがペグ36の異なるグループをカバーする複数のサブ画面に分割することもできる。複数のサブ画面を維持することによって、より誇張された角度及び/又は凹面を示すことができる。
【0023】
図3は、複数のペグ36を含むペグアレイ例26及びペグ駆動システム例28の概略的分解図である。いくつかの実施形態では、ペグ駆動システム28が、整列支持体(alignment support)52及び/又は誘起アレイ54を含むことができる。整列支持体52は、動作中にペグ36を一直線に保つのに役立つ1又は2以上の穴56を含むことができる。例えば、整列支持体52は、ペグ36が異なる位置に配置され又は移動する際に均一方向に移動できて互いに交差又は妨害しないように、整列支持体52を貫いて形成されるそれぞれの穴56の中に各ペグ36又は一群のペグを整列させて維持することができる。各穴56は、各ペグ36の(例えば、他の軸に沿った)望ましくない方向への移動を防ぎながら、各ペグ36が所望の移動方向(例えば、単一の軸に沿って)に移動することを可能にするようなサイズ及び形状を有することができる。さらに、いくつかの実施形態では、整列支持体52がペグ36の中立位置40と同一平面上に存在することができ、及び/又はペグの中立位置40に対応する平面と共平面上に存在することができる。さらに、整列支持体52は、(例えば、ディスプレイ画面24の縁部44の固定を介して)例えばディスプレイ画面24の支持を行うこともできる。図示のように、整列支持体52は、整列支持体52に対して移動するように構成されたペグ36が内部を貫いて作動するフレームを提供する。ペグ36は整列支持体52の平面に概ね直交して移動するように示しているが、他の構成も考えられる。例えば、穴56及び誘起アレイは、作動時に1又は2以上のペグ36の動きを整列支持体52の平面との間に鋭角を形成するように導くよう成形又は配向することができる。
【0024】
中立位置40は単一平面内に存在するように示しているが、いくつかの実施形態では、ペグ36の中立位置40が、予め設定されたトポグラフィを形成することもできる。例えば、中立位置40は、一般的な顔、身体部分、地形又はその他の所望のトポロジーを形成することができ、ペグ36は、予め設定されたトポロジーの中立位置40からトポロジーの動的変化を促すように作動することができる。さらに、いくつかの実施形態では、整列支持体52及び/又は誘起アレイ54が中立位置40のペグ36を予め設定されたトポロジーに保持するように、整列支持体52及び/又は誘起アレイ54を非平面的に成形することもできる。
【0025】
誘起アレイ54は、ディスプレイ画面24を圧迫する(例えば、電磁的、機械的などの)力をペグ36に与え、及び/又はこのような力をペグ36内で引き起こすことができる。いくつかの実施形態では、誘起アレイ54及び整列支持体52を単一部品に組み込むことができる。
【0026】
誘起アレイ54は、電磁場の形成を支援するようにベース60に取り付けられた複数の電磁コイル58を含むことができる。さらに、いくつかの実施形態では、誘起アレイ54のベースがプリント基板(PCB)を含むことができる。従って、電磁コイル58は、支持のためにベース60内に配置及び/又は統合し、及び/又はベース60に取り付けることができる。さらに、実装によっては、ベース60をさらなる支持のために補強することができる(例えば、rPCB)。また、誘起アレイ54は、単一平面内で均一に分布することも、又は互い違いに配置することもできる。例えば、いくつかの実施形態では、特定のペグ36に関連する電磁コイル58が整列支持体52及び/又は中立位置40から異なる距離に存在することができる。誘起アレイ54を互い違いに配置すると、PCB上に追加スペースを提供することができ、これによってより緊密なペグアレイ26、及び/又は隣接する電磁コイル58間の干渉の低減を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、ペグ36の移動を容易にするために、電磁コイル58をステッパモータ(例えば、ハイブリッドリニアステッパモータ、可変リラクタンスリニアステッパモータなど)などのリニアモータの一部とすることができる。さらに、いくつかの実施形態では、個々のドライバモータを利用することなくペグ36の直接的な誘導移動(induction movement)を容易にするために、ペグ36が磁気コアを有することができ、及び/又はペグ36上に配置された1又は2以上のコイルを含むことができる。
【0027】
説明に役立つように、
図4は、突出部42の生成中に1又は2以上の個々のペグ36に作用する作用力の概略図である。一例として単一のペグ36のみを示しているが、開示する実施形態はペグアレイ26のさらなるペグ36にも当てはまることができる。電磁力は、各ペグ36を整列支持体52(
図3)に対して所望の位置に作動させるように調整される。例えば、1つの実施形態では、各ペグ36が、静止位置又は中立位置40と、ペグ36の総可動域を表す少なくとも1つの作動位置又は突出部位置とに関連することができる。さらに、ある実施形態では、各ペグ36が、静止位置と最大作動位置との間の1又は2以上の中間位置を取ることができる。ペグアレイ26(
図2)の文脈内では、ペグが、突出部42に対応する異なるパターン又は形状を集合的に形成することができる。さらに、突出部42は動的なものであり、個々のペグ36が作動位置と静止位置との間で互いに独立して動いて動的に新たなパターンを取るような異なる制御命令に応答することができる。本明細書に開示するように、突出部42は、ユーザ入力に応答して、例えばユーザタッチに基づいて触覚フィードバックを提供することもできる。
【0028】
動作中には、誘起アレイ54の電磁コイル58に電流62を通して電磁場64を誘起することができる。いくつかの実施形態では、ペグ36が、磁場64が軸67に沿った順方向磁力(forward magnetic force)66を促してペグ36を中立位置からディスプレイ画面24に向かって作動位置に動かして突出部42の少なくとも一部を形成するような磁気特性(例えば、磁気コア、磁気リング、磁気コイルなど)を有することができる。ある実施形態では、ペグ36が、ペグ36の最長寸法と概ね一致する軸67に沿って順方向又は逆方向に作動するように構成される。ペグ36は、その移動中に概ね静止したままの電磁コイル58に対して作動することができる。また、ディスプレイ画面24は、伸長してペグ36を押し戻す逆向きの張力68を生じることができる。張力68と順方向磁力66とが釣り合うと、ペグ36及びディスプレイ画面24からの突出部42の静止位置をもたらすことができる。ディスプレイ画面24がさらに伸長すれば、ペグ36に発揮される張力68も大きくなる。従って、より大きな突出部42(例えば、中立位置40からのより大きな変位)を達成するには、張力68に対抗するためにより大きな順方向磁力66を発生させればよい。より大きな順方向磁力66を発生させるには、プロセッサ制御下で電流62を増加させればよい。さらに、誘起アレイ54は、様々な変位の突出部42を形成する(例えば、異なるペグ36を中立位置40から異なる距離だけ移動させる)ために、異なる電磁コイル58に異なる電流62を供給することができる。いくつかの実施形態では、ペグ36が閾値を超えて変位するのを阻止するために、ペグ36がフランジ70を含むことができる。例えば、フランジ70は、ペグ36が最大変位にある時に誘起アレイ54のベース60及び/又は整列支持体52に当接して、ペグ36がそれ以上移動するのを防ぐことができる。いくつかの実施形態では、移動を抑制することが、張力68を引裂閾値未満に維持してディスプレイ画面24の摩耗を抑えるのに役立つことができる。
【0029】
ペグ36を中立位置40又は中立位置40からそれほど変位していない位置に戻すには、関連する電磁コイル58に供給される電流62を低減又は除去すればよい。例えば、ペグ36を駆動する電磁コイル58から電流62を除去すると、ディスプレイ画面24の張力68がペグ36を動かして中立位置に戻すことができる。これに加えて又はこれに代えて、電磁コイル58を通る電流62の流れを逆にして反対の磁力72を生じさせることもできる。反対の磁力72は、ペグ36をそれほど変位していない位置又は中立位置40に素早く戻すのに役立つことができる。さらに、ペグ36をディスプレイ画面24の内外に素早く動かす能力は、突出部42の、従ってディスプレイ画面24の動的トポグラフィの高速変化を可能にすることもできる。
【0030】
これに加えて又はこれに代えて、ペグ36と誘起アレイ54との間の電磁相互作用は、中立位置40に対するペグ36の離散的中間位置を容易にすることもできる。例えば、
図5の誘起アレイ54の切断部分76によって示すように、張力68と順方向磁力66との間の力平衡のみに依拠するのではなく、張力68と共に順方向磁力66及び逆方向磁力74の両方を同時に考慮することができる。各ペグ36の独立した制動位置(breaking positions)(例えば、中立位置40からの変位量が異なる予め設定された停止位置)を達成するために、電流62の方向を交互にした複数の電磁コイル58をペグ36毎に直列に設けることができる。例えば、第1の電磁コイル58Aは、第1の方向に電流62を伝えて(
図5の基準系に示すような)反時計回りの電磁場64Aを発生させ、第2の電磁コイル58Bは、第2の方向に電流62を伝えて(
図5の基準系に示すような)時計回りの電磁場64Bを発生させることができる。すると、電磁場64A、64Bがペグ36の1又は2以上の磁気部品(例えば、ペグ36に取り付けられた磁気コア、磁石又は磁気コイルなど)に作用して磁力66、74を与えることができる。各電磁コイル58内の電流62は、電磁コイル58間の間隔によって、(例えば、中立位置40からの変位時に)磁力66、74がペグ36を特定の位置に保持するように調整することができる。例えば、反時計回りの磁場64Aは、1又は2以上のペグコイル80及び/又はペグ36のその他の磁気部品と相互作用して逆方向磁力74を与えることができる。同様に、時計回りの磁場64Bは、ペグコイル80及び/又はペグ36のその他の磁気部品と相互作用して順方向磁力66を与えることができる。個々のペグコイル80及び/又はその他の磁気部品が電磁コイル58に近づくにつれ、それぞれの順方向又は逆方向磁力66、74の大きさも増加する。これとは逆に、個々のペグコイル80及び/又はその他の磁気部品が電磁コイル58から離れて位置するにつれ、それぞれの順方向又は逆方向磁力66、74の大きさも減少する。従って、各電磁コイル58を通る電流62を変化させることによってペグ36を特定の位置に維持することができる。さらに、電磁コイル58の電流62を逆にして反対の磁力72を生じることもできる。なお、
図5には2つの電磁コイル58を示しているが、一連の電磁コイル58は、ペグ36毎にいずれかの好適な数の電磁コイル58を含むことができると理解されたい。さらに、いくつかの実施形態では、1又は2以上の電磁コイル58が一群のペグ36を取り囲んで複数のペグ36に同時に磁力66、74を引き起こすこともできる。
【0031】
さらに、電流62を決定する際には、ディスプレイ画面24の張力68を考慮することもできる。例えば、順方向磁力66の平衡を保つ際に、逆方向磁力74に張力68を加えてペグ36の特定の位置を達成することができる。さらに、周囲のペグ36の位置を使用してより正確に張力68を決定することもできる。さらに、いくつかの実施形態では、電流62の大きさに応じて磁力66、74を張力68よりも大幅に(例えば、1桁、2桁、3桁又は4桁以上)大きくすることもできる。従って、実装によっては張力68を無視することもできる。
【0032】
上述したように、ペグコイル80は、電磁場64A、64Bと相互作用して、ペグ36に対するそれぞれの磁力66、74を促すことができる。ペグコイル80は、ペグ36上に互いに等距離で配置することも、及び/又はペグ36の特定の領域に集中させて互いに対して不均一な間隔で設けることもできる。さらに、ペグコイル80は、ペグ36の長さに沿って様々な厚みを含むことができる。ペグコイル80の厚み及び/又はペグコイル80の密度を増加させると、ペグ36に加わる磁力66、74の大きさを直接高めることができる。従って、ペグ36上のペグコイル80の位置、密度及び/又は厚みを変化させることで、より特異的なペグの動きの制御を可能にすることができる。
【0033】
ペグ36は、光学生成器30の一部としての光源を含むこともできる。
図6は、様々な画像表示技術を有するペグ例36の概略図である。ペグ36は、円筒形プロファイル及び円形端面82を有するように示しているが、円筒形、長方形、円錐形などのいずれかの好適な形状であることができると理解されたい。いくつかの実施形態では、各ペグ36が、ディスプレイの画素と同等の光を生成することができる。例えば、各ペグ36の端面82は、ディスプレイ画面24に当接して、ペグアレイ26のペグ36が全体として所望の画像を形成するような発光を生じることができる。この発光は、1又は2以上のLED84から及び/又は光ファイバの使用を通じて生じることができる。例えば、光ファイバケーブル86は、ペグ36の端面82に終端部88を有することができる。従って、光ファイバケーブル86内を伝わる光をペグ36の端面82からディスプレイ画面24上に照射することができる。LED84及び/又は光ファイバケーブル86の配線は、光学ドライバ及び/又は光学コントローラ22に接続できるようにペグ36内に及び/又はペグ36の外面に沿って配置することができる。これに加えて又はこれに代えて、LED84及び/又は光ファイバケーブル86の終端部88は、ペグ36の端面82に対して横方向に光を放出するようにペグ36の側面90に沿って配置することもできる。ペグ36の側面90からの発光は、例えばいくつかのペグ36が隣接するペグ36を越えて大幅に延びている場合に、ディスプレイ画面24の改善された照明を可能にすることができる。従って、画像の影及び/又は照明部分をより正確に表示することができる。これに加えて又はこれに代えて、ディスプレイ画面24は、実装に応じてペイント、テクスチャリング、又はその他の好適な美観などの永久的又は半永久的画像特徴を観察側34に含むこともできる。さらに、本明細書では、ペグアレイ26及びペグ駆動システム28を照明効果及び/又は光学生成器30と共に使用されるように説明しているが、これらは照明効果を伴わずに実装し、代わりに表示画像とは別の動的3Dトポグラフィを提供することもできると理解されたい。
【0034】
図7に示すように、コントローラ12は、3Dコンテンツ92を受け取って、光学生成器30及び誘起アレイ54のための画像データ94及び動きデータ96を生成することができる。例えば、3Dコンテンツ92は、2D画像と、ペグアレイ26の特定のトポグラフィに対応する高さマップとに分解することができる。例えば、1つの実施形態では、3Dコンテンツ92を処理及び/又は実装のために複数の成分に分解することができる。例えば、3Dコンテンツは、画素毎に赤色成分、緑色成分、青色成分及びグレースケール成分などの4つのデータ成分を含むことができる。1つの実施形態では、赤色、緑色及び青色成分が、光学コントローラ22によって利用されるRGB色空間を表すことができ、グレースケール成分が、中立位置40からの変位量を表すことができる。有彩色空間、ガンマ色空間などのいずれかの好適な成分を使用することもできると理解されたい。
【0035】
いくつかの実施形態では、コントローラ12及び/又は光学コントローラ22が、2D画像(例えば、RGB)に対応する画像データ94をペグ36の光源(例えば、LED及び/又は光ファイバ)による投影に適したフォーマットに処理することができる。例えば、光学コントローラ22は、画像データ94をペグアレイ26に適合する解像度に変換することができる。さらに、光学コントローラ22は、光学生成器30を駆動して光源に電力を供給することもできる。同様に、動きコントローラ20は、高さマップを含む動きデータ96をペグアレイ26がシミュレートできるフォーマットに変換することができる。また、動きコントローラ20は、個々のペグ36を配置するために、動きデータ96に基づいて電磁コイル58に電流62を流すこともできる。
【0036】
図8は、3Dディスプレイシステム10を実装するプロセス例98のフローチャートである。3Dディスプレイシステム10は、表示することが望ましい3Dコンテンツを受け取り(プロセスブロック100)、この3Dコンテンツからペグアレイ26に適合する動きデータ96及び画像データ94を生成することができる(プロセスブロック102)。また、動きデータ96を使用して、誘起アレイ54の1又は2以上の電磁コイルに電流62を供給することもできる(プロセスブロック104)。電磁コイル58内の電流62は、ペグ36に作用する磁力66、74を引き起こすことができる電磁場64を誘起することができる。従って、電流62を変化させて、ペグアレイ26の個々のペグ36の動き及び位置決定を制御することができる(プロセスブロック106)。さらに、ペグ36の動き及び位置決定は、よりリアルな3D効果のためにディスプレイ画面24上に突出部42を形成することができる。また、画像データ94に基づいて1又は2以上の光源(例えば、LED、光ファイバなど)を作動させることもできる(処理ブロック108)。ペグ36内の及び/又はペグ36に取り付けられた光源は、例えばディスプレイ画面24上に全体として画像を生成するように制御することができる(プロセスブロック110)。さらに、動きの制御と生成される画像とを、ペグアレイ26又はディスプレイ画面24のトポグラフィが表示画像に対応するように協調させることもできる(プロセスブロック112)。さらに、複数の画像及びトポグラフィを順に生成して動的3D表示を提供することもできる。
【0037】
本明細書では、本発明のいくつかの特徴のみを図示し説明したが、当業者には多くの修正及び変更が思い浮かぶであろう。従って、添付の特許請求の範囲は、本発明の実際の趣旨に含まれる全てのこのような修正及び変更も対象とすることが意図されていると理解されたい。さらに、上記のプロセス98の参照フローチャートは所定の順序で示しているが、いくつかの実施形態では、図示のステップを並び替え、変更し、削除し、及び/又は同時に行うこともできる。また、プロセス98の参照フローチャートは例示的なツールとして示すものであり、実施に応じてさらなる判定及び/又はプロセスブロックを追加することもできる。
【0038】
本開示の様々な実施形態の要素を紹介する場合、「a」、「an」及び「the」といった冠詞は、これらの要素が1つ又は2又は3以上存在することを意味するように意図される。「備える(comprising)」、「含む(including)」及び「有する(having)」という用語は、包括的なものとして意図されており、列記する要素以外のさらなる要素が存在し得ることを意味する。また、本開示の「1つの実施形態」又は「ある実施形態」についての言及は、記載する特徴も含むさらなる実施形態の存在を排除するものとして解釈されるように意図するものではないと理解されたい。
【0039】
本明細書に示して特許請求する技術は、本技術分野を確実に改善する、従って抽象的なもの、無形のもの又は純粋に理論的なものではない実際的性質の有形物及び具体例を参照し、これらに適用される。さらに、本明細書の最後に添付するいずれかの請求項が、「...[機能]を[実行]する手段」又は「...[機能]を[実行]するステップ」として指定されている1又は2以上の要素を含む場合、このような要素は米国特許法112条(f)に従って解釈すべきである。一方で、他のいずれかの形で指定された要素を含むあらゆる請求項については、このような要素を米国特許法112条(f)に従って解釈すべきではない。
【符号の説明】
【0040】
24 ディスプレイ画面
26 ペグアレイ
32 ディスプレイ画面の背面側
34 ディスプレイ画面の観察側
36 ペグ
38 矢印
40 中立位置
42 突出部
44 ディスプレイ画面の縁部
46 ペグ
48 ペグ
50 凹面
【国際調査報告】