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▶ ユリウス ブルム ゲー エム ベー ハーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-14
(54)【発明の名称】家具用金具
(51)【国際特許分類】
   E05F 1/10 20060101AFI20220907BHJP
   E05D 3/06 20060101ALI20220907BHJP
   A47B 55/00 20060101ALI20220907BHJP
   E05D 15/40 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
E05F1/10
E05D3/06
A47B55/00
E05D15/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022501037
(86)(22)【出願日】2020-06-15
(85)【翻訳文提出日】2022-03-04
(86)【国際出願番号】 AT2020060242
(87)【国際公開番号】W WO2021003505
(87)【国際公開日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】A50628/2019
(32)【優先日】2019-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.トルクス
(71)【出願人】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルーム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Julius Blum GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1, 6973 Hoechst, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マルテ シュミート
【テーマコード(参考)】
2E030
2E050
3B067
【Fターム(参考)】
2E030AB02
2E030BB03
2E030DA03
2E030DB05
2E050AA03
2E050BA04
2E050CA04
2E050DA01
2E050DB06
3B067AA00
3B067AA05
3B067AA11
3B067DA00
(57)【要約】
家具用金具(4)であって、家具部分(2a)に取り付けるための実質的に平坦な少なくとも1つの取付け面(5a,5b)を有した支持体(5)と、支持体(5)に対して相対的に可動の少なくとも1つの作動部分(12)と、支持体(5)に対して相対的に作動部分(12)の位置を調節するための調節装置(9)であって、この調節装置(9)は、回転軸線(18)を中心として回転可能な少なくとも1つの操作エレメント(16)を有しており、この少なくとも1つの操作エレメント(16)にトルクを加えることにより、作動部分(12)を支持体(5)に対して相対的に調節可能であって、操作エレメント(16)の回転軸線(18)は、支持体(5)の少なくとも1つの取付け面(5a,5b)に対して0°よりも大きく90°未満の角度(α)をなしている、調節装置(9)と、を有しており、操作エレメント(16)は、好適にはボールジョイントを含む、自在継手装置(20)を介して作動部分(12)に連結されている、家具用金具(4)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具用金具(4)であって、
-家具部分(2a)に取り付けるための実質的に平坦な少なくとも1つの取付け面(5a,5b)を有した支持体(5)と、
-前記支持体(5)に対して相対的に可動の少なくとも1つの作動部分(12)と、
-前記支持体(5)に対して相対的に前記作動部分(12)の位置を調節するための調節装置(9)であって、前記調節装置(9)は、回転軸線(18)を中心として回転可能な少なくとも1つの操作エレメント(16)を有しており、前記少なくとも1つの操作エレメント(16)にトルクを加えることにより、前記作動部分(12)を前記支持体(5)に対して相対的に調節可能であって、前記操作エレメント(16)の前記回転軸線(18)は、前記支持体(5)の前記少なくとも1つの取付け面(5a,5b)に対して0°よりも大きく90°未満の角度(α)をなしている、調節装置(9)と、
を有している家具用金具(4)において、
前記操作エレメント(16)は、好適にはボールジョイントを含む、自在継手装置(20)を介して前記作動部分(12)に連結されていることを特徴とする、家具用金具(4)。
【請求項2】
前記操作エレメント(16)の前記回転軸線(18)は、前記支持体(5)の前記少なくとも1つの取付け面(5a,5b)に対して、5°よりも大きく80°未満の角度(α)を、好適には10°よりも大きく50°未満の角度(α)をなしている、請求項1記載の家具用金具。
【請求項3】
前記操作エレメント(16)の前記回転軸線(18)と、前記支持体(5)の前記取付け面(5a,5b)とが互いになす前記角度(α)が、好適には無段階式に、調節可能であるように、前記操作エレメント(16)を前記自在継手装置(20)によって動かすことができる、請求項1または2記載の家具用金具。
【請求項4】
前記操作エレメント(16)は、工具(17)によって前記操作エレメント(16)を操作するための工具受容部(22)を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載の家具用金具。
【請求項5】
前記操作エレメント(16)には軸部(24)が結合されていて、前記軸部は、半径方向の遊びをもって凹部(25)内に形状接続的に支持されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の家具用金具。
【請求項6】
前記操作エレメント(16)は少なくとも1つの摩擦面(23a)を有していて、前記摩擦面を介して、前記操作エレメント(16)は少なくとも1つの相対位置でセルフロック式に保持されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の家具用金具。
【請求項7】
前記操作エレメント(16)の角度制限のために少なくとも1つのストッパ(26a,26b)が設けられている、請求項1から6までのいずれか1項記載の家具用金具。
【請求項8】
前記操作エレメント(16)を所定の領域で収容するためのケーシング(21)が設けられている、請求項1から7までのいずれか1項記載の家具用金具。
【請求項9】
前記操作エレメント(16)を当接面(23b)に対して押し付けることができる少なくとも1つのばねエレメント(27)が設けられている、請求項1から8までのいずれか1項記載の家具用金具。
【請求項10】
前記家具用金具(4)は、家具本体(2)に対して相対的に可動に支持された家具部分(3)を動かすための家具駆動装置(4a)として形成されており、前記家具用金具(4)は、
-前記支持体(5)に配置された、前記可動の家具部分(3)を動かすための、少なくとも1つの可動に支持された作動アーム(6a,6b,6c)を備えた作動アーム装置(6)と、
-前記作動アーム装置(6)に力を加えるためのばね装置(8)であって、前記作動部分(12)と協働するばね装置(8)と、
-前記作動アーム装置(6)に対するばね装置(8)の力を調節するための調節装置(9)であって、前記調節装置(9)は、前記操作エレメント(16)と、前記作動部分(12)を調節可能に支持するための少なくとも1つのねじ山付き区分(19)とを有しており、前記作動部分(12)は、前記作動アーム装置(6)に対する前記ばね装置(8)の力を調節するために、前記回転軸線(18)を中心とした前記操作エレメント(16)の回転により、前記ねじ山付き区分(19)に沿って移動可能となっている、調節装置(9)と、
を有している、請求項1から9までのいずれか1項記載の家具用金具。
【請求項11】
前記ねじ山付き区分(19)は長手方向軸線(L)を有しており、前記長手方向軸線は、前記支持体(5)の前記少なくとも1つの取付け面(5a,5b)に対して実質的に平行に向けられている、請求項10記載の家具用金具。
【請求項12】
前記操作エレメント(16)の前記回転軸線(18)と前記ねじ山付き区分(19)の長手方向軸線(L)とは互いに非平行に延在しており、好適には、前記操作エレメント(16)の前記回転軸線(18)と前記ねじ山付き区分(19)の前記長手方向軸線(L)とが互いに、10°~60°の角度をなしている、請求項10または11記載の家具用金具。
【請求項13】
前記家具用金具(4)は、前記ばね装置(8)から前記作動アーム装置(6)へと力を伝達するための伝達機構を有しており、前記伝達機構は、制御カム(10)と、前記ばね装置(8)によって付勢される押圧ローラ(11)とを有しており、前記押圧ローラ(11)は、前記作動アーム装置(6)が移動する際に、前記制御カム(10)に沿って転動可能である、請求項10から12までのいずれか1項記載の家具用金具。
【請求項14】
前記ばね装置(8)は、前記作動アーム装置(6)に力を加えるための少なくとも1つのコイルばね、好適には少なくとも1つの圧縮ばねを有している、請求項10から13までのいずれか1項記載の家具用金具。
【請求項15】
家具本体(2)と、前記家具本体(2)に対して相対的に可動の少なくとも1つの家具部分(3)と、請求項1から14までのいずれか1項記載の少なくとも1つの家具用金具(4)と、を備えた家具(1)であって、前記家具用金具(4)の支持体(5)は、実質的に平坦な取付け面(5a,5b)を介して前記家具本体(2)に取り付けられている、家具(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具用金具であって、
-家具部分に取り付けるための実質的に平坦な少なくとも1つの取付け面を有した支持体と、
-支持体に対して相対的に可動の少なくとも1つの作動部分と、
-支持体に対して相対的に作動部分の位置を調節するための調節装置であって、この調節装置は、回転軸線を中心として回転可能な少なくとも1つの操作エレメントを有しており、この少なくとも1つの操作エレメントにトルクを加えることにより、作動部分を支持体に対して相対的に調節可能であって、操作エレメントの回転軸線は、支持体の少なくとも1つの取付け面に対して0°よりも大きく90°未満の角度をなしている、調節装置と、
を有している、家具用金具に関する。
【0002】
さらに本発明は、家具本体と、家具本体に対して相対的に可動の少なくとも1つの家具部分と、記載する形式の少なくとも1つの家具用金具とを備えた家具に関する。
【0003】
家具用金具(例えば家具駆動装置、家具用ヒンジ、または家具用ダンパ)の調節装置により、家具用金具の複数のパラメータに目的に合わせて影響を与えることができる。すなわち例えば、調節装置によって、家具用金具の、または家具用金具の構成部分の位置を、家具部分に対して相対的に調節することができる。さらに、家具用金具が家具用ダンパとして形成されている場合には、家具部分に対して相対的な家具用ダンパの位置および/または家具用ダンパの減衰行程および/または家具用ダンパの減衰出力が調節可能である。さらに、家具用金具が家具駆動装置として形成されている場合には、動かすべき家具部分の自重力を相殺するための、家具駆動装置の作動アーム装置に対するばね装置の力を調整可能にすることができる。
【0004】
欧州特許出願公開第0952290号明細書には家具駆動装置が示されており、この場合、ケーシングの前方の端面に、回転可能な操作エレメントが配置されており、この操作エレメントによって、作動アーム装置に作用するばね力を調節することができる。例えば国際公開第2006/005086号の図19aに示されているように、同様に公知の家具駆動装置では、操作エレメントを工具によって、工具の側から操作することができる。
【0005】
所定の組付け状態では、操作エレメントの調節は困難な場合がある。それは例えば、家具用金具の支持体が、家具本体の端面に対して後退して、家具本体の側壁に組み付けられている場合である。このような場合、ドライバまたは充電式ドライバによって操作エレメントを調節する際に、人の手または充電式ドライバのドリルチャックが家具本体の側壁に衝突するおそれがある。近年ますます細くなっている、ひいてはコンパクトになっている家具用金具ではまさに、このような組付け状態における調節は著しく困難となっている。
【0006】
家具用金具の取付け面に対して斜めに延在する回転軸線を有した、回転可能に支持された操作エレメントを備える家具用金具は、例えば、国際公開第2018/060032号、国際公開第2014/134642号、欧州特許出願公開第2762666号明細書、および欧州特許出願公開第1707723号明細書に示されている。
【0007】
本発明の課題は、上述した欠点を回避する冒頭で述べた形式の家具用金具を提供することである。
【0008】
この課題は、本発明によれば、特許請求項1の特徴により解決される。本発明の好適な構成は、従属請求項に規定されている。
【0009】
本発明によれば、操作エレメントは、好適にはボールジョイントを含む、自在継手装置を介して、作動部分に連結されていることが想定されている。
【0010】
これにより、操作エレメントを、3つの運動方向で旋回可能に支承することができ、操作エレメントの複数の相対位置が可能となって、快適かつ容易にアクセス可能な操作が可能となる。
【0011】
操作エレメントの回転軸線は、支持体の取付け面に対して斜めに配置可能であり、この場合、操作エレメントは、家具駆動装置の組付け状態で、操作エレメントにおいて工具を斜めに配置することにより、快適にアクセス可能であり、簡単に操作することができる。
【0012】
好適には、操作エレメントの回転軸線は、支持体の少なくとも1つの取付け面に対して、5°よりも大きく80°未満の角度を、好適には10°よりも大きく50°未満の角度をなしていることが想定されている。
【0013】
好適な実施例によれば、操作エレメントの回転軸線と、支持体の取付け面とが互いになす角度が、好適には無段階式に、調節可能であるように、操作エレメントを自在継手装置によって動かすことが想定されてよい。換言すると、操作エレメントは、回転軸線を中心とした回転運動に加えて付加的に、支持体に対して相対的に、所定の範囲内で可動に支持されており、これにより操作エレメントの操作のためには、操作エレメントの少なくとも1つの相対位置が、または複数の相対位置も提供される。
【0014】
操作エレメントは、支持体に対して相対的に、所定の範囲内で無段階式に可動に支持されていてよい。代替的に、操作エレメントは、少なくとも1つのまたは複数の予め規定されたまたは予め規定可能な位置に位置決め可能である。
【0015】
操作エレメントは、工具によって操作エレメントを操作するための工具受容部を有していてよい。操作エレメントは、工具によって、例えばドライバまたは充電式ドライバによって、工具受容部にトルクを加えることにより、駆動可能である。工具受容部は、例えば、十字スリット形状(例えば、ポジドライヴプロフィール)、四角形プロフィール、六角形プロフィール、または六角星形(例えば、トルクスプロフィール)を有していてよい。
【0016】
操作エレメントは軸部と結合されていてよく、この軸部は、半径方向の遊びをもって凹部内に形状接続的に支持されている。
【0017】
操作エレメントは少なくとも1つの摩擦面を有していてよく、この摩擦面を介して、操作エレメントは少なくとも1つの相対位置でセルフロック式に保持されている。セルフロックを改善するために、操作エレメントの摩擦面を対応する当接面に押し付けるばねエレメントが設けられていてよい。
【0018】
本発明のその他の詳細および利点は、以下の図面の説明により明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1a】可動の家具部分を有した家具を示す斜視図である。
図1b】可動の家具部分を有した家具を示す側面図である。
図2a】家具本体に組み付けられた家具用金具を示す側面図である。
図2b図2aの拡大された詳細図である。
図3a】家具用金具を示す斜視図である。
図3b】家具部分に組み付けられた家具用金具を正面から見た図である。
図4】家具駆動装置として形成された家具用金具を示す分解図である。
図5a】自在継手装置を介してねじ山付き区分に連結された操作エレメントを示す図である。
図5b】自在継手装置を介してねじ山付き区分に連結された操作エレメントを示す図である。
図5c】自在継手装置を介してねじ山付き区分に連結された操作エレメントを示す図である。
図6図5a~図5cの実施形態を示す分解図である。
【0020】
図1aは家具1の斜視図を示しており、この家具は、家具本体2と、家具本体2に対して相対的に可動の家具部分3とを備える。図示した実施例には、可動の家具部分3を動かすための家具駆動装置4aとして形成されている家具用金具4が示されている。代替的に、家具用金具4は、家具用ヒンジとして、引出し用引出しガイドとして、(例えば、ピストン・シリンダユニットを備えた)家具用ダンパとして、または組付けプレートとして構成されていてよい。
【0021】
図1bは、家具1を側面図で示しており、家具用金具4の支持体5は、家具本体2の側壁の形態の、鉛直に延在する家具部分2aに取り付けられている。家具用金具4は、回転軸7を中心として支持体5に旋回可能に支持されている少なくとも1つの作動アーム6aを備えた作動アーム装置6を有することができる。図示した実施例では、作動アーム装置6は、可動の家具部分3を動かすための複数の旋回可能な作動アーム6a,6b,6cを有している。
【0022】
図2aは、家具駆動装置4aとしての、鉛直に延在する家具部分2aに取り付けられた家具用金具4を側面図で示している。作動アーム装置6に駆動力を加えるために、好適にはコイルばねとして形成された少なくとも1つの圧縮ばねを備えたばね装置8が設けられている。家具用金具4の調節装置9によって、作動アーム装置6に作用する、ばね装置8による駆動トルクを調節することができる。ばね装置8は、作動部分12に作用しており、中間レバー14の回転軸15に対する作動部分12の位置を、調節装置9の操作により調節することができる。中間レバー14は、作動部分12を調節可能に収容するために、例えば長孔の形状のガイド13を有していてよい。
【0023】
図2bは、図2aで取り囲まれた領域を拡大図で示している。調節装置9は、回転可能に支持された少なくとも1つの操作エレメント16を有しており、この場合、工具17(図3a,図3b)によって操作エレメント16を回転させることにより、中間レバー14のガイド13内でまたはガイド13に沿って作動部分12の位置を調節することができ、ひいては、作動アーム装置6に対するばね装置8による有効トルクを調節することができる。家具用金具4は、ばね装置8から作動アーム装置6へと力を伝達するための伝達機構を有しており、この伝達機構は、制御カム10と、ばね装置8によって負荷される押圧ローラ11とを有している。押圧ローラ11は、作動アーム装置6が移動する際に制御カム10に沿って移動可能である。図示した実施例では、押圧ローラ11は、中間レバー14に回転可能に支承されており、制御カム10は、回転軸7を中心として旋回可能な作動アーム6aに配置されているまたは形成されている。機構的に逆に、押圧ローラ11が作動アーム6aに、制御カム10が中間レバー14に配置されていてもよい。
【0024】
図3aは、家具駆動装置4aの形態の家具用金具4を斜視図で示している。家具用金具4の支持体5は、好適には実質的に方形に形成されていて、家具部分2aに取り付けるために少なくとも1つの取付け面5a,5bを有している。取付け面5a,5bは、それぞれ実質的に平坦に形成されていて、実質的に平行に互いに間隔を置いて位置しており、家具用金具4は、第1の取付け面5aを介して第1の(右側の)家具部分2aに、第2の取付け面5bを介して、第1の家具部分2aに向かい合って位置する第2の(左側の)家具部分2aに取り付けることができる。図示した実施例では、回転軸7を中心として旋回可能な作動アーム6aは、作動アーム装置6の別の作動アーム6b,6cに取外し可能にロック可能であり、別の作動アーム6b,6cは、可動の家具部分3に接続することができる。工具17、例えば、ドライバによって、調節装置9の操作エレメント16を回転させることができ、これにより、作動アーム装置6に作用する、ばね装置8による駆動トルクを調節することができる。
【0025】
支持体5は、前方の端面と、下方の長手方向面とを有することができ、操作エレメント16は、好適には、下方の長手方向面側の、前方の端面の付近に、または取付け面5a,5bの付近に配置されていてよい。
【0026】
図3bは、支持体5の第1の取付け面5aを介して家具部分2aに組み付けられている家具用金具4を示している。操作エレメント16は、回転軸線18を中心として回転可能に支承されており、操作エレメント16の回転軸線18は、支持体5の少なくとも1つの取付け面5aに対して、0°よりも大きく90°未満の、好適には5°よりも大きく80°未満の、好適には10°よりも大きく50°未満の角度(α)をなしている。このようにして、工具17の柄、または操作エレメント16の操作の際に工具17の柄を把持する使用者の手が家具部分2aに衝突することを回避することができる。このようにして、操作エレメント16の操作快適性は改善される。このことは特に、取付け面5a,5bの相互間隔が、家具用金具4のコンパクトな構成形式により、比較的わずかである場合にも好適である。
【0027】
操作エレメント16は、角度(α)の範囲内で、予め規定されたまたは予め規定可能な少なくとも1つのまたは複数の位置に配置されている、または配置可能である。1つの実施例によると、操作エレメント16は、特定の角度(α)の範囲内で無段階に移動可能であることが想定されてよく、この場合、使用者は、回転軸線18を中心とした操作エレメント16の回転のために、複数の位置を利用することができる。操作エレメント16は、好適にはボールジョイントを含む、自在継手装置20(図5a)に支持されていてよい。操作エレメント16が1つの相対位置でセルフロック式に保持されるように、少なくとも1つの摩擦面23a(図5a)が設けられていてよい。
【0028】
操作エレメント16は、家具用金具4の規定通りの組付け状態で、可動の家具部分3に面していて、支持体5の前方領域に配置されていてよい。このようにして、操作エレメント16は、家具用金具4の組付け状態で、工具17によって容易に、前方から操作することができる。
【0029】
図4には、家具駆動装置4aとして形成された家具用金具4が分解図で示されている。支持体5は、家具部分2aに取り付けるための、互いに間隔を置いて位置する2つの取付け面5a,5bを有しており、これらの取付け面5a,5bの間には、作動アーム6aに力を加えるためのばね装置8と、作動アーム6aに対するばね装置8の力を調節するための調節装置9とが配置されている。ばね装置8は、少なくとも1つのまたは複数の圧縮ばねを有していてよく、これらの圧縮ばねは、調節装置9によって調節可能な作動部分12に支持されている。回転軸線18(図3b)を中心とした操作エレメント16の回転により、作動部分12は、第1の方向では、中間レバー14の回転軸15に近付くように移動可能であって、第2の方向では、中間レバー14の回転軸15から離れる方向で移動可能である。このようにして、ばね装置8によって作動アーム6aに加えられる駆動トルクを調節することができる。
【0030】
操作エレメント16は、自在継手装置20を介してねじ山付き区分19に連結されており、ねじ山付き区分19は、操作エレメント16の回転により回転可能である。作動部分12は、ねじ山付き区分19に螺合しており、作動部分12は、操作エレメント16の回転により、ねじ山付き区分19に沿って移動可能である。ねじ山付き区分19は長手方向軸線を有しており、この長手方向軸線は、支持体5の少なくとも1つの取付け面5a,5bに対して実質的に平行に向けられていてよい。中間レバー14には、押圧ローラ11が回転可能に支承されており、この押圧ローラ11は、回転軸7を中心として作動アーム6aが運動する際に、作動アーム6aの制御カム10に沿って移動可能である。
【0031】
図5aは、作動部分12を調節可能に支持のためのねじ山付き区分19に、自在継手装置20を介して連結されている操作エレメント16を示している。操作エレメント16は、工具17によって操作エレメント16を操作するための工具受容部22を有していてよい。操作エレメント16を所定の領域で支持するために、自在継手装置20が収容されているケーシング21が設けられている。
【0032】
図5bは、操作エレメント16の第1の位置における図5aの横断面図を示している。操作エレメント16は軸部24に接続されていて、この軸部24は、半径方向の遊びをもって凹部25内に形状接続的に支承されている。操作エレメント16は、少なくとも1つの、好適には球冠状の摩擦面23aを有していてよく、この摩擦面を介して、操作エレメント16は、少なくとも1つの相対位置でセルフロック式に保持されている。示した図では、操作エレメント16に結合された摩擦面23aは、ケーシング21の対応する当接面23bと協働する、即ち摺接する。操作エレメント16の角度を制限するために、図示した実施例ではそれぞれケーシング21に配置されている少なくとも1つのストッパ26a,26bが設けられている。
【0033】
ねじ山付き区分19は、長手方向軸線(L)を有しており、操作エレメント16の回転軸線18と、ねじ山付き区分19の長手方向軸線(L)とは互いに非平行に延在している。例えば、操作エレメント16の回転軸線18と、ねじ山付き区分19の長手方向軸線(L)とは、10°~60°の角度を互いになしていることが想定されてよい。
【0034】
図5cは、操作エレメント16の第2の位置における図5aの横断面図を示している。示した図では、操作エレメント16はストッパ26aに当接しており、これにより、操作エレメント16のさらなる旋回運動(すなわち、操作エレメント16の最大許容角度(α)の超過)は阻止されている。図5bにおける回転軸線18の位置と、図5cにおける回転軸線18の位置とは互いに異なっていることがわかる。
【0035】
図6は、図5a~図5cの実施形態を分解図で示している。ねじ山付き区分19は、凹部25を備えた端部領域を有しており、この凹部内には、操作エレメント16の軸部24を、半径方向の遊びをもって形状接続的に収容することができる。ケーシング21は、互いに接続可能な2つの半割シェル21a,21bを有しており、これらの半割シェルの間には、操作エレメント16の摩擦面23aが収容されている。例えば、圧縮ばねの形態のばねエレメント27によって、操作エレメント16の摩擦面23aを、ケーシング21の、好適には半割シェル21a,21bの当接面23bに押し付けることができ、これにより、操作エレメント16のセルフロックが改善されている。
【0036】
本発明を、作動アーム装置6に対するばね装置8による駆動力を調節するための家具駆動装置4aの形態の家具用金具4につき説明した。しかしながら勿論、操作エレメント16の説明した支持を、別の形式の家具用金具4(例えば、引出し用引出しガイド、家具用ヒンジ、家具用ダンパ等)で使用することもできる。この場合、例えば、操作エレメント16の回転により、家具用ヒンジの位置、または家具用ヒンジの可動に支持された構成部分の位置が調節可能であることが想定されてよい。代替的に、操作エレメント16の回転により、家具用ダンパの位置および/または家具用ダンパの減衰行程および/または家具用ダンパの減衰出力が調節可能である。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4
図5a
図5b
図5c
図6
【国際調査報告】