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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-14
(54)【発明の名称】組合せ
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/64 20060101AFI20220907BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220907BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20220907BHJP
   A61K 38/22 20060101ALI20220907BHJP
   A61K 31/585 20060101ALI20220907BHJP
   A61K 31/4375 20060101ALI20220907BHJP
   A61K 31/575 20060101ALI20220907BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220907BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20220907BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220907BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20220907BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20220907BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20220907BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220907BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20220907BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
A61K31/64
A61K45/00
A61K45/06
A61K38/22
A61K31/585
A61K31/4375
A61K31/575
A61P43/00 121
A61P9/10
A61P25/00
A61P25/28
A61P9/00
A61P13/12
A61P11/00
A61P25/16
A61P25/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022501148
(86)(22)【出願日】2020-07-09
(85)【翻訳文提出日】2022-02-28
(86)【国際出願番号】 EP2020069343
(87)【国際公開番号】W WO2021005147
(87)【国際公開日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】20190100288
(32)【優先日】2019-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518152969
【氏名又は名称】ジェネシス ファーマ エスエー
【氏名又は名称原語表記】GENESIS PHARMA SA
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】ヴォギアツィス ジョージ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA19
4C084AA23
4C084BA44
4C084DB37
4C084MA02
4C084MA55
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA011
4C084ZA021
4C084ZA151
4C084ZA161
4C084ZA361
4C084ZA532
4C084ZA542
4C084ZA591
4C084ZA811
4C084ZB112
4C084ZC082
4C084ZC202
4C084ZC412
4C084ZC432
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB09
4C086DA11
4C086DA13
4C086DA21
4C086DA22
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA55
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA02
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZA36
4C086ZA59
4C086ZA81
4C086ZC08
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、(a)スルホニル尿素と;(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つとを含む組合せ、例えば、(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;及び(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つとを含む組合せを提供する。前記組合せは、脳卒中及び他の神経変性障害の治療、並びに脳及び心臓を含む種々の重要な器官における虚血及び/又は再灌流傷害を治療及び/又は予防するのに適切である。本発明のさらなる態様は、本発明による前記組合せを含む医薬製品及び医薬組成物、並びにそれらを使用する治療方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
を含む組合せ。
【請求項2】
スルホニル尿素とアルドステロンアンタゴニストとを含む、請求項1に記載の組合せ。
【請求項3】
スルホニル尿素とインスリンモジュレーターとを含む、請求項1に記載の組合せ。
【請求項4】
スルホニル尿素と、インスリンモジュレーターと、アルドステロンアンタゴニストとを含む、請求項1に記載の組合せ。
【請求項5】
インスリンモジュレーターが、エキセナチド並びにその構造的及び機能的アナログ、並びにそれらの薬学的に許容される塩から選択される、請求項1~4のいずれかに記載の組合せ。
【請求項6】
スルホニル尿素が、グリベンクラミド、並びにその構造的及び機能的アナログから選択される、請求項1~5のいずれかに記載の組合せ。
【請求項7】
エキセナチドの構造的又は機能的アナログがGLP-1受容体アゴニストである、請求項5に記載の組合せ。
【請求項8】
エキセナチドの構造的又は機能的アナログが、リキシセナチド、アルビグルチド、リラグルチド、タスポグルチド及びデュラグルチド(LY2189265)から選択される、請求項5に記載の組合せ。
【請求項9】
グリベンクラミドの構造的又は機能的アナログが、グリベンクラミド、グリメピリド、グリピジド及びグリクラジド、好ましくはグリクラジドの、アシルヒドラゾン、スルホンアミド並びにスルホニルチオ尿素誘導体から選択される、請求項6に記載の組合せ。
【請求項10】
アルドステロンアンタゴニストが、スピロノラクトン、エプレレノン、カンレノン、カンレノ酸カリウム、フィネレノン及びプロレノン、並びに適用可能な場合はそれらの薬学的に許容される塩から選択される、請求項1~9のいずれかに記載の組合せ。
【請求項11】
アルドステロンアンタゴニストが、カンレノ酸カリウム又はその構造的若しくは機能的アナログである、請求項10に記載の組合せ。
【請求項12】
ベータブロッカー、レニン-アンギオテンシン阻害剤、スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害剤)、血小板活性化又は凝集の阻害剤、ホスホジエステラーゼ-3阻害剤、カルシウム増感剤、抗酸化剤及び抗炎症剤から選択される少なくとも1つのさらなる活性医薬成分(API)を含む、請求項1~11のいずれかに記載の組合せ。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載の組合せと、薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項14】
非経口投与、好ましくは静脈内投与に適切な形態の、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
を含む医薬製品。
【請求項16】
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;及び(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと
を含む、請求項15に記載の医薬製品。
【請求項17】
グリベンクラミドとエキセナチド、又はその薬学的に許容される塩を含む、請求項16に記載の医薬製品。
【請求項18】
グリベンクラミドとカンレノ酸カリウムとを含む、請求項16に記載の医薬製品。
【請求項19】
グリベンクラミド、カンレノ酸カリウム、及びエキセナチド、又はその薬学的に許容される塩を含む、請求項16に記載の医薬製品。
【請求項20】
虚血及び/若しくは再灌流傷害、脳卒中、神経変性疾患、新生児仮死、心停止、心原性ショック、及び急性心筋梗塞のうちの1若しくは2以上の治療及び/若しくは予防に使用するための、又は心毒性薬物に対する心臓保護の提供に使用するための、又は神経保護の提供に使用するための、請求項1~12のいずれかに記載の組合せ、又は請求項13若しくは14に記載の医薬組成物。
【請求項21】
虚血及び/又は再灌流傷害が、脳、心臓、肺、腎臓の虚血及び/又は再灌流傷害、好ましくは脳虚血、脳再灌流傷害又は脳卒中である、請求項20に記載の使用のための組合せ又は医薬組成物。
【請求項22】
成分が静脈内投与用である、請求項20又は21に記載の使用のための組合せ又は医薬組成物。
【請求項23】
成分が再灌流中の投与用である、請求項20~22のいずれかに記載の使用のための組合せ又は医薬組成物。
【請求項24】
成分が再灌流前の投与用である、請求項20~22のいずれかに記載の使用のための組合せ又は医薬組成物。
【請求項25】
成分が再灌流後の投与用である、請求項20~22のいずれかに記載の使用のための組合せ又は医薬組成物。
【請求項26】
成分が、同時の、連続の、又は別々の投与用である、以下の:虚血及び/若しくは再灌流傷害、脳卒中、神経変性疾患、新生児仮死、心停止、心原性ショック、及び急性心筋梗塞のうちの1若しくは2以上の治療及び/若しくは予防に使用するための、又は心毒性薬物に対する心臓保護の提供に使用するための、又は神経保護の提供に使用するための、請求項15~19のいずれかに記載の医薬製品。
【請求項27】
虚血及び/又は再灌流傷害が、脳、心臓、肺、腎臓の虚血及び/又は再灌流傷害、好ましくは脳虚血、脳再灌流傷害又は脳卒中である、請求項26に記載の使用のための医薬製品。
【請求項28】
成分が非経口投与、好ましくは静脈内投与用である、請求項26又は27に記載の使用のための医薬製品。
【請求項29】
成分が再灌流中の投与用である、請求項26~28のいずれかに記載の使用のための医薬製品。
【請求項30】
成分が再灌流前の投与用である、請求項26~28のいずれかに記載の使用のための医薬製品。
【請求項31】
成分が再灌流後の投与用である、請求項26~28のいずれかに記載の使用のための医薬製品。
【請求項32】
成分が同時投与用である、請求項26~31のいずれかに記載の使用のための医薬製品。
【請求項33】
虚血及び/若しくは再灌流傷害、脳卒中、神経変性疾患、新生児仮死、心停止、心原性ショック、及び急性心筋梗塞のうちの1若しくは2以上を治療及び/若しくは予防する、又は心毒性薬物に対する心臓保護を提供する、又は神経保護を提供するための方法であって、それを必要とする対象に、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
を同時に、連続的に又は別々に投与することを含む、前記方法。
【請求項34】
それを必要とする対象に、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;及び(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと
を同時に、連続的に又は別々に投与することを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
エキセナチドの構造的又は機能的アナログがGLP-1受容体アゴニストである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
エキセナチドの構造的又は機能的アナログが、リキシセナチド、アルビグルチド、リラグルチド、タスポグルチド及びデュラグルチド(LY2189265)から選択される、請求項34又は35に記載の方法。
【請求項37】
グリベンクラミドの構造的又は機能的アナログが、グリベンクラミド、グリメピリド、グリピジド及びグリクラジド、好ましくはグリクラジドの、アシルヒドラゾン、スルホンアミド並びにスルホニルチオ尿素誘導体から選択される、請求項34~36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
虚血及び/又は再灌流傷害が、脳、心臓、肺、腎臓の虚血及び/又は再灌流傷害、好ましくは脳虚血、脳再灌流傷害又は脳卒中である、請求項33~37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
成分が、非経口的に、好ましくは静脈内投与される、請求項33~38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
グリベンクラミドが、対象の体重1kgあたり約0.001~約30μgの投与量で投与される、請求項34~39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
エキセナチド又はその薬学的に許容される塩が、対象の体重1kgあたり約0.001~約1.5μgの投与量で投与される、請求項34~39のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
カンレノ酸カリウムが、対象の体重1kgあたり約0.03~約10mgの投与量で投与される、請求項34~39のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
成分を対象に同時に投与することを含む、請求項33~42のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
虚血及び/若しくは再灌流傷害、脳卒中、神経変性疾患、新生児仮死、心停止、心原性ショック、及び急性心筋梗塞のうちの1若しくは2以上を治療及び/若しくは予防するための、又は心毒性薬物に対する心臓保護を提供するための、又は神経保護を提供するための医薬の製造における、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
の使用。
【請求項45】
虚血及び/若しくは再灌流傷害、脳卒中、神経変性疾患、新生児仮死、心停止、心原性ショック、及び急性心筋梗塞のうちの1若しくは2以上を治療及び/若しくは予防するための、又は心毒性薬物に対する心臓保護を提供するための、又は神経保護を提供するための医薬の製造における、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又は薬学的に許容される塩;及び(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも2つと
の使用。
【請求項46】
エキセナチドの構造的又は機能的アナログがGLP-1受容体アゴニストである、請求項45に記載の使用。
【請求項47】
エキセナチドの構造的又は機能的アナログが、リキシセナチド、アルビグルチド、リラグルチド、タスポグルチド及びデュラグルチド(LY2189265)から選択される、請求項45又は46に記載の使用。
【請求項48】
グリベンクラミドの構造的又は機能的アナログが、グリベンクラミド、グリメピリド、グリピジド及びグリクラジド、好ましくはグリクラジドの、アシルヒドラゾン、スルホンアミド並びにスルホニルチオ尿素誘導体から選択される、請求項45~47のいずれかに記載の使用。
【請求項49】
虚血及び/又は再灌流傷害が、脳、心臓、肺、腎臓の虚血及び/又は再灌流傷害、好ましくは脳虚血、脳再灌流傷害又は脳卒中である、請求項44~48のいずれかに記載の使用。
【請求項50】
成分が、非経口的に、好ましくは静脈内投与される、請求項44~49のいずれかに記載の使用。
【請求項51】
成分が、再灌流中に投与される、請求項44~50のいずれかに記載の使用。
【請求項52】
成分が、再灌流前に投与される、請求項44~50のいずれかに記載の使用。
【請求項53】
成分が、再灌流後に投与される、請求項44~50のいずれかに記載の使用。
【請求項54】
成分を対象に同時に投与することを含む、請求項44~53のいずれかに記載の使用。
【請求項55】
移植前又は移植中のエクスビボ器官における虚血及び/又は再灌流傷害を治療及び/又は予防するための、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
を含む組合せの使用。
【請求項56】
移植前又は移植中のエクスビボ器官における虚血及び/又は再灌流傷害を治療及び/又は予防するための、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;及び(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも2つと
を含む組合せの使用。
【請求項57】
エキセナチドの構造的又は機能的アナログがGLP-1受容体アゴニストである、請求項56記載の使用。
【請求項58】
エキセナチドの構造的又は機能的アナログが、リキシセナチド、アルビグルチド、リラグルチド、タスポグルチド及びデュラグルチド(LY2189265)から選択される、請求項56又は57に記載の使用。
【請求項59】
グリベンクラミドの構造的又は機能的アナログが、グリベンクラミド、グリメピリド及びグリクラジド、好ましくはグリクラジドの、アシルヒドラゾン、スルホンアミド並びにスルホニルチオ尿素誘導体から選択される、請求項56~58のいずれかに記載の使用。
【請求項60】
虚血及び/又は再灌流傷害が、脳虚血、脳再灌流傷害又は脳卒中である、請求項55~59のいずれかに記載の使用。
【請求項61】
成分を、移植前に投与する、請求項55~60のいずれかに記載の使用。
【請求項62】
脳卒中の治療及び/若しくは予防に使用するための、請求項1~12のいずれかに記載の組合せ、又は請求項13若しくは14に記載の医薬組成物。
【請求項63】
好ましくはパーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症及び血管性認知症から選択される、神経変性疾患の治療及び/又は予防に使用するための、請求項1~12のいずれかに記載の組合せ、又は請求項13若しくは14に記載の医薬組成物。
【請求項64】
神経保護を提供する際に使用するための、請求項1~12のいずれかに記載の組合せ、又は請求項13若しくは14に記載の医薬組成物。
【請求項65】
神経変性疾患が、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症及び血管性認知症から選択される、請求項33~43のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脳卒中及び神経変性障害の治療、並びに脳及び心臓を含む種々の重要な器官における虚血及び/又は再灌流傷害を治療及び/又は予防するのに適切な組合せを提供する。
【0002】
本発明のさらなる態様は、前記組合せを含む医薬製品及び医薬組成物、並びにそれらを使用する治療方法に関する。
【背景技術】
【0003】
脳卒中は、脳内の血流の欠如(虚血性脳卒中)又は脳内の出血(出血性脳卒中)によって引き起こされ、両方の状態によって脳細胞死がもたらされる。世界保健機関によると、脳卒中は世界で2番目に重要な死因であり、2016年には約600万人が死亡している。Global Burden of Diseaseの研究(Johnson CO et al. Lancet Neurol. 2019; 18 : 439-58)によると、2016年には世界で1,370万人の新しい脳卒中症例及び8,010万人の脳卒中の有病症例があった。世界中で脳卒中の負担が大きいことは、一次予防戦略が広く実施されていないか、十分に効果的でないことを示唆している。急性虚血性脳卒中の管理に関するガイドライン(Powers WJ, et al. Stroke. 2018; 49: e46- e99)が利用可能である。興味深いことに、ガイドラインは、現在、推定神経保護作用を伴う薬理学的又は非薬理学的治療は、虚血性脳卒中後のアウトカムを改善する有効性を示しておらず、したがって、他の神経保護剤は推奨されないと結論付けている。出血性脳卒中の管理に関するガイドラインも存在するが、これらのガイドラインでは、リハビリテーション以外の出血性脳卒中の神経変性の結果を管理するための療法は推奨されていない(Hemphill JC 3rd, et al. Stroke. 2015; 46: 2032-2060)。
【0004】
上記のデータは、虚血性又は出血性脳卒中の現在有効な薬理学的治療が不足しており、脳卒中を有する患者の神経保護治療が必要であることを明確に示している。脳卒中に関連する再灌流傷害の有効な治療は、神経保護を提供する可能性がある。しかし、これまでのところ、再灌流傷害を減少させることに基づく、脳卒中患者のための有効な神経保護治療を開発する試みは成功していない(Savitz SI, et al. Stroke. 2017; 48: 3413-3419、Patel RAG, et al. Prog Cardiovasc Dis. 2017; 59: 542-548)。心臓保護及び再灌流傷害の分野での以前の研究は、心血管障害の治療に適応されない組合せ療法が、これらの他の状態に適応されるよりも低い用量レベルで使用される場合、心筋再灌流傷害から保護する有意な相乗効果をもたらす可能性があるという驚くべき発見を明らかにした(国際公開第2017/077378号パンフレット;米国特許第10,172,914号明細書;Genesis Pharma SA社)。
【0005】
神経保護効果を示す治療は、神経変性障害の治療において有用であると期待されている。神経変性障害は、ニューロンの構造又は機能の進行性の喪失によるものであり、最終的にはニューロンの死につながる。神経変性障害には、現在不治であるパーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、及び血管性認知症などの疾患が含まれる。アルツハイマー病は、2007~2017年の期間にわたって世界における神経障害の中で最も高い増加(46.2%)を示し、2017年には251万人が死亡した(Roth GA, et al. Lancet. 2018; 392:1736-88)。同じ研究で、パーキンソン病も38.3%の増加を示し、2017年には世界で340,600人が死亡した。筋萎縮性側索硬化症の有病率は、人口100,000人あたりヨーロッパで5.40人、米国で3.40人、アジアで2.34人である(Marin B, et al. Int J Epidemiol 2017; 46: 57-74)。ハンチントン病は遺伝性の神経障害であり、有病率はアジアでの人口100,000人あたり0.4人から北米での人口100,000人あたり7.3人までの範囲である希少な疾患と考えられている(Rawlins MD. Neuroepidemiology. 2016; 46: 144-53)。血管性認知症は、脳への血液供給の問題、典型的には一連の軽度の脳卒中によって引き起こされる認知症であり、段階的に発生する認知機能低下の悪化につながる。この用語は、脳血管疾患とリスク因子の複雑な相互作用からなる症候群を指し、脳卒中及び病変による脳構造の変化、及びその結果としての認知の変化につながる。血管性認知症は、高齢者においてアルツハイマー病(AD)に次いで2番目に一般的な認知症である(Battistin L, (December 2010). Neurochemical Research. 35 (12): 1933-8.;“Vascular Dementia: A Resource List”)。病気の有病率は西欧諸国で1.5%、日本で約2.2%である。これは、日本において認知症全体の50%、ヨーロッパにおいて20%~40%、ラテンアメリカにおいて15%を占めている。脳卒中患者の25%に、脳卒中から1年以内に新たな認知症の発症が起こる。ある研究によると、米国では、71歳超のすべての人において血管性認知症の有病率は2.43%であり、別の研究では、認知症の有病率は5.1歳ごとに2倍になることがわかった(Plassman BL, (2007). Neuroepidemiology. 29 (1-2); Jorm AF (November 1987), Acta Psychiatrica Scandinavica. 76 (5): 465-79.)。現在、血管性認知症の予防又は治療のために特別に承認された医薬は存在しない。現在承認されているアルツハイマー病の療法は、わずかな効果しか提供しない(Atri A. Med Clin North Am. 2019; 103: 263-293)。パーキンソン病の運動症状と非運動症状を管理するために複数の薬理学的治療が利用可能であるが、それらは本質的に対症的治療であり、最終的にはジスキネジアを誘発し、一方でそれらの治療の中に、神経保護を提供するものは存在しない(Chaudhuri KR, et al. Parkinsonism Relat Disord. 2016; 33 (Suppl 1): S2-S8)。現在、適度ではあるが筋萎縮性側索硬化症の進行を遅らせる2種の承認薬(リルゾール及びエダラボン)しかなく、ハンチントン病の承認された療法は存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2017/077378号パンフレット
【特許文献2】米国特許第10,172,914号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Johnson CO et al. Global, regional, and national burden of stroke, 1990-2016: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2016. Lancet Neurol. 2019; 18 : 439-458
【非特許文献2】Powers WJ, et al. 2018 Guidelines for the early management of patients with acute ischemic stroke: a guideline for healthcare professionals from the American Heart Association/American Stroke Association. Stroke. 2018; 49: e46- e99
【非特許文献3】Hemphill JC 3rd, et al. Guidelines for the management of spontaneous intracerebral hemorrhage: a guideline for healthcare professionals from the American Heart Association/American Stroke Association. Stroke. 2015; 46: 2032-2060
【非特許文献4】Savitz SI, et al. Reconsidering Neuroprotection in the Reperfusion Era. Stroke. 2017; 48: 3413-3419
【非特許文献5】Patel RAG, et al. Neuroprotection in the Treatment of Acute Ischemic Stroke. Prog Cardiovasc Dis. 2017; 59: 542-548
【非特許文献6】Roth GA, et al. Global, regional, and national age-sex-specific mortality for 282 causes of death in 195 countries and territories, 1980-2017: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2017. Lancet. 2018; 392:1736-1788
【非特許文献7】Marin B, et al. Variation in worldwide incidence of amyotrophic lateral sclerosis: a meta-analysis. Int J Epidemiol 2017; 46: 57-74
【非特許文献8】Rawlins MD. The Prevalence of Huntington's Disease. Neuroepidemiology. 2016; 46: 144-53
【非特許文献9】Battistin L, Cagnin A (December 2010). "Vascular cognitive disorder. A biological and clinical overview". Neurochemical Research. 35 (12): 1933-8. doi:10.1007/s11064-010-0346-5. PMID 21127967
【非特許文献10】Plassman BL, Langa KM, Fisher GG, Heeringa SG, Weir DR, Ofstedal MB, Burke JR, Hurd MD, Potter GG, Rodgers WL, Steffens DC, Willis RJ, Wallace RB (2007). "Prevalence of dementia in the United States: the aging, demographics, and memory study". Neuroepidemiology. 29 (1-2): 125-32. doi:10.1159/000109998. PMC 2705925. PMID 17975326
【非特許文献11】Jorm AF, Korten AE, Henderson AS (November 1987). "The prevalence of dementia: a quantitative integration of the literature". Acta Psychiatrica Scandinavica. 76 (5): 465-79. doi:10.1111/j.1600-0447.1987.tb02906.x. PMID 3324647
【非特許文献12】Atri A. The Alzheimer's Disease Clinical Spectrum: Diagnosis and Management. Med Clin North Am. 2019; 103: 263-293
【非特許文献13】Chaudhuri KR, et al. Unmet needs in Parkinson's disease: New horizons in a changing landscape. Parkinsonism Relat Disord. 2016; 33 (Suppl 1): S2-S8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、特に脳卒中、脳再灌流傷害、及びある特定の神経変性疾患の治療の文脈において、神経保護を提供するさらなるより優れた治療が明らかに必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、神経保護作用を有し、かつ、脳再灌流傷害、脳卒中、及び神経保護が望ましい他の障害/疾患の予防又は治療に対し適切な組合せを提供する。有利には、本願において特許請求されている本発明の組合せ及び他の態様は、単一の活性医薬剤を使用する療法と比較して、より効果的であり、優れた臨床アウトカムを提供する治療を提供する。
【0010】
第1の態様は、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
を含む組合せに関する。
【0011】
第2の態様は、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;及び(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと
を含む組合せに関する。
【0012】
第3の態様は、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと;
薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤と
を含む医薬組成物に関する。
【0013】
第4の態様は、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;及び(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと;
薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤と
を含む医薬組成物に関する。
【0014】
第5の態様は、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
を含む医薬製品に関する。
【0015】
第6の態様は、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;及び(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと
を含む医薬製品に関する。
【0016】
第7の態様は、虚血及び/若しくは再灌流傷害、脳卒中、神経変性疾患、新生児仮死、心停止、心原性ショック、及び急性心筋梗塞のうちの1若しくは2以上の治療及び/若しくは予防に使用するための、又は心毒性薬物に対する心臓保護の提供に使用するための、又は例えば神経毒性薬物に対する神経保護の提供に使用するための、上記で定義された組合せ又は医薬組成物又は医薬製品に関する。
【0017】
第8の態様は、成分は、同時の、連続の、又は別々の投与用である、虚血及び/若しくは再灌流傷害、脳卒中、神経変性疾患、新生児仮死、心停止、心原性ショック、及び急性心筋梗塞のうちの1若しくは2以上の治療及び/若しくは予防に使用するための、又は心毒性薬物に対する心臓保護の提供に使用するための、又は例えば神経毒性薬物に対する神経保護の提供に使用するための、上記で定義された医薬製品に関する。
【0018】
第9の態様は、虚血及び/若しくは再灌流傷害、脳卒中、神経変性疾患、新生児仮死、心停止、心原性ショック、及び急性心筋梗塞のうちの1若しくは2以上を治療及び/若しくは予防する方法、又は心毒性薬物に対する心臓保護を提供するための方法、又は例えば神経毒性薬物に対する神経保護を提供するための方法であって、それを必要とする対象に、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
を同時に、連続的に又は別々に投与することを含む方法に関する。
【0019】
第10の態様は、虚血及び/若しくは再灌流傷害、脳卒中、神経変性疾患、新生児仮死、心停止、心原性ショック、及び急性心筋梗塞のうちの1若しくは2以上を治療及び/若しくは予防する方法、又は心毒性薬物に対する心臓保護を提供するための方法、又は例えば神経毒性薬物に対する神経保護を提供するための方法であって、それを必要とする対象に、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;及び(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと
を同時に、連続的に又は別々に投与することを含む方法に関する。
【0020】
第11の態様は、虚血及び/若しくは再灌流傷害、脳卒中、神経変性疾患、新生児仮死、心停止、心原性ショック、及び急性心筋梗塞のうちの1若しくは2以上を治療及び/若しくは予防するための、又は心毒性薬物に対する心臓保護を提供するための、又は例えば神経毒性薬物に対する神経保護を提供するための医薬の製造における、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
の使用に関する。
【0021】
第12の態様は、虚血及び/若しくは再灌流傷害、脳卒中、神経変性疾患、新生児仮死、心停止、心原性ショック、及び急性心筋梗塞のうちの1若しくは2以上を治療及び/若しくは予防するための、又は心毒性薬物に対する心臓保護を提供するための、又は例えば神経毒性薬物に対する神経保護を提供するための医薬の製造における、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;及び(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと
の使用に関する。
【0022】
第13の態様は、移植前又は移植中のエクスビボ器官における虚血及び/又は再灌流傷害を治療及び/又は予防するための、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
を含む組合せの使用に関する。
【0023】
第14の態様は、移植前又は移植中のエクスビボ器官における虚血及び/又は再灌流傷害を治療及び/又は予防するための、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;及び(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと
を含む組合せの使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に記載する好ましい実施形態は、必要に応じて、本発明の上記の態様のいずれにも適用可能である。
【0025】
本明細書で使用される場合、化学的アナログとしても知られる構造的アナログは、ある別の化合物の構造と類似しているが、ある特定の成分に関してそれとは異なる構造を有する化合物である。構造的アナログは、1又は2以上の原子、官能基、又は下部構造が異なる場合があり、これらは他の原子、群、又は下部構造に置き換えられている。構造的アナログは、少なくとも理論的には、他の化合物から形成されると想像することができる。構造的アナログは、多くの場合等電子的である。
【0026】
本明細書で使用される場合、機能的アナログは、別の化合物と同様の物理的、化学的、生化学的、又は薬理学的特性を有する化学化合物である。機能的アナログは、必ずしも同様の化学構造を有する構造的アナログである必要はない。
【0027】
スルホニル尿素
本発明の組合せは、必須成分としてスルホニル尿素を含む。
【0028】
スルホニル尿素は、主に2型糖尿病及びある特定の形態の単一遺伝子型糖尿病の管理に使用される経口血糖降下薬の1クラスである。スルホニル尿素は、膵臓のβ細胞からのインスリン分泌を刺激することによって血糖値を低下させる。それらの主な標的は、β細胞原形質膜におけるATP感受性カリウム(KATP)チャネルのスルホニル尿素受容体(SUR1,sulfonylurea receptor)サブユニットである(Proks P, et al. Diabetes. 2002; 51 (Suppl 3): S368-76、Gribble FM, Reimann F. Diabetologia. 2003; 46: 875-891)。
【0029】
診療所に導入された時期に一致してスルホニル尿素は伝統的に2世代に分類されるが、主にその性質が異なり、第2世代に属する薬物では低い投与頻度が可能である(Sola D, et al. Arch Med Sci. 2015; 11: 840-8):
・第1世代としては、クロルプロパミド、トルブタミド、アセトヘキサミド、カルブタミド、グリシクラミド、トルヘキサミド、メタヘキサミド、及びトラザミドが挙げられる;ただし、これらは臨床診療では使用されなくなっている。
・第2世代としては、グリベンクラミド(グリブリド)、グリボルヌリド、グリクラジド、グリピジド、グリメピリド、グリキドン、グリソキセピド、及びグリクロピラミドが挙げられる。一部の第2世代スルホニル尿素(グリクラジド、グリピジド)には、放出調節製剤/徐放性製剤が存在する。
【0030】
現在のガイドラインでは、メトホルミン単独では管理が不適切に行われた場合に、メトホルミンと組み合わせた二次療法として第2世代のスルホニル尿素を使用することが推奨されており、2剤組合せで適切な血糖制御が行われていない場合は、第2世代のスルホニル尿素をまた、3剤組合せ治療で使用してもよい(Garber AJ, et al. Endocr Pract. 2019; 25: 69-100、Inzucchi SE, et al. Diabetes Care. 2015; 38: 140-9)。スルホニル尿素を使用するという決定には、スルホニル尿素に関連する患者の特徴及び潜在的な有害事象を考慮に入れる必要がある(Cordiner RLM, Pearson ER. Diabetes Obes Metab. 2019; 21: 761-771)。
【0031】
1つの特に好ましい実施形態では、スルホニル尿素は、Sur-1受容体アンタゴニストである。適切なSur-1受容体アンタゴニストは、既知のアッセイを使用して同定することができる。
【0032】
1つの特に好ましい実施形態では、スルホニル尿素は、SUR1-TRPM4チャネルアンタゴニストである。適切なSUR1-TRPM4チャネルアンタゴニストは、既知のアッセイを使用して同定することができる。
【0033】
本発明はまた、スルホニル尿素の構造的又は機能的アナログ、特に、薬剤の半減期を延長するように改変されたもの、例えば、スルホニル尿素のコンジュゲートを包含する。
【0034】
1つの好ましい実施形態では、スルホニル尿素は、グリベンクラミド(グリブリド)、グリボルヌリド、グリクラジド、グリピジド、グリメピリド、グリキドン、グリソキセピド、及びグリクロピラミド、から選択される
【0035】
1つの非常に好ましい実施形態では、スルホニル尿素は、グリベンクラミド、並びにその構造的及び機能的アナログから選択される。
【0036】
好ましくは、スルホニル尿素は、グリベンクラミド、グリメピリド、グリピジド及びグリクラジドの、アシルヒドラゾン、スルホンアミド並びにスルホニルチオ尿素誘導体から選択される。
【0037】
1つの好ましい実施形態では、スルホニル尿素は、以下に示される構造:
【0038】
【化1】
【0039】
を有するグリメピリドである。
【0040】
1つの好ましい実施形態では、スルホニル尿素は、以下に示される構造:
【0041】
【化2】
【0042】
を有するグリクラジドである。
【0043】
1つの好ましい実施形態では、スルホニル尿素は、以下に示される構造:
【0044】
【化3】
【0045】
を有するグリピジドである。
【0046】
1つの特に好ましい実施形態では、スルホニル尿素は、グリベンクラミドである。
【0047】
グリベンクラミドの系統的(IUPAC)名称は、5-クロロ-N-[2-[4-(シクロヘキシルカルバモイル-スルファモイル)フェニル]エチル]-2-メトキシベンズアミド(化学式C2328ClNS)であり、分子量は494であり;これは以下の化学構造:
【0048】
【化4】
【0049】
を有する。
【0050】
本発明はまた、グリベンクラミドの構造的及び機能的アナログ、特に、薬剤の半減期を延長するように改変されたもの、例えば、グリベンクラミドのコンジュゲートを包含する。
【0051】
グリベンクラミド(グリブリドとしても知られている)は、糖尿病を治療するための血糖降下剤として使用されるスルホニル尿素受容体-1(Sur-1,sulfonylurea receptor-1)アンタゴニストである。グリベンクラミドは、虚血性脳卒中、外傷性脳損傷、及びくも膜下出血などの脳損傷後の浮腫を軽減する治療として検討されているが、これまでの結果には一貫性がない(Wilkinson CM, et al. PLoS One. 2019; 14: e0215952、Xu F, et al. Brain Behav. 2019; 9(4): e01254、King ZA, et al. Drug Des Devel Ther. 2018; 12: 2539-2552)。本発明者らは、再灌流傷害を低減し、潜在的に神経保護効果をもたらすことを目的とした組合せ療法の一部としてのグリベンクラミドの役割を調査した。
【0052】
グリベンクラミドはジェネリックとして入手可能であり、Gliben-J、Daonil、Diabeta、Euglucon、Gilemal、Glidanil、Glybovin、Glynase、Maninil、Micronase、及びSemi-Daonilなどの多くの商標名で1.25、2.5、及び5mgの用量で販売されている。グリベンクラミドは、錠剤製剤(成人用)又は経口懸濁液(小児用)として、2型糖尿病の治療に経口で使用される。2型糖尿病の治療のためのグリベンクラミドの規定された1日用量(DDD,defined daily dose)は、微粉化製剤では7mgであり、生物学的利用能が高く、従来の製剤では10mgである。規定された1日用量(DDD)は、WHO Collaborating Centre for Drug Statistics Methodologyに従って規定された、成人の主な適応症に使用される薬物の1日あたりの想定平均維持用量である。DDDは測定単位であり、必ずしも推奨又は処方された1日用量を反映しているわけではない。個々の患者及び患者群の治療用量は、個々の特性(年齢、体重、民族の違い、疾患のタイプ及び重症度など)及び薬物動態の考察に基づいているため、多くの場合、DDDとは異なっている。グリベンクラミドのDDD値は、WHO Collaborating Centre for Drug Statistics Methodologyから取得される(https://www.whocc.no/atc_ddd_index/?code=A10BB01&showdescription=yesを参照のこと)。初期療法としてのグリベンクラミド(微粉化製剤)の通常の開始用量は、1日2.5~5mgであり、通常の維持用量は、1日1.25~20mgの範囲であり、これを、朝食又は最初の主食とともに、単回投与又は分割投与として与えてもよい(Micronase(登録商標)グリブリド錠のFDAラベルに従う)。これは、70kgの成人における約18μg/kg~約285μg/kgの維持量に相当する。
【0053】
動物モデルでの複数の研究によって、中枢神経系損傷(Zhang G, et al. Mediators Inflamm. 2017; 2017: 3578702)又は虚血性及び出血性脳卒中(Caffes N, et al. Int J Mol Sci. 2015; 16: 4973-84)後の有害な神経炎症の低減及び行動アウトカムの改善を含む炎症関連損傷におけるグリベンクラミドの保護的役割が実証された。ラットの外傷性脳損傷モデルでは、グリベンクラミドを10μg/kgの負荷用量として腹腔内投与した後、200ng/時間の注入を7日間行い(Patel AD, et al. J Neuropathol Exp Neurol. 2010; 69: 1177-90);一方、外傷性脳損傷のマウスモデルでは、グリベンクラミドの用量は、制御された皮質衝撃損傷後の3日間で10μgであった(Xu ZM, et al. J Neurotrauma. 2017; 34: 925-933)。脳虚血及び再灌流傷害のげっ歯類モデルでは、グリベンクラミドは再灌流の10分前に投与された1mg/kgの用量で有効であることが示された(Abdallah DM, et al. Brain Res. 2011; 1385: 257-62)。くも膜下出血のげっ歯類モデルでは、グリベンクラミドを10μg/kgの負荷用量で腹腔内投与した後、200ng/時間の注入を24時間(Simard, J. M, et al. Journal of Cerebral Blood Flow and Metabolism. 2009 ; 29; 317-330)又は1週間(Tosun C, et al. Stroke. 2013; 44: 3522-8)行った場合、グリベンクラミドが有効であることが示された。持続注入(75ng/時間)として投与されたグリベンクラミドは、脳浮腫、梗塞体積、及び死亡率を50%減少させ、梗塞体積の減少は、ラットにおける脳卒中の血栓塞栓性モデルの中大脳動脈閉塞後7日で、皮質温存に関連していた(Simard JM, et al. Nat Med. 2006; 12: 433-40)。マウスの実験的脳内出血の前又は2時間後のいずれかに10μgの用量で投与されたグリベンクラミドは、脳浮腫、BBBの破壊、及び神経学的欠損を軽減することが示され(Xu F, et al. Brain Behav. 2019; 9: e01254)、同様の知見が別の研究で得られた(Jiang B, et al. Transl Stroke Res. 2017; 8: 183-193)、しかし他の研究で有効であることが示されている広範に使用されているグリベンクラミドの用量(10μg/kgの負荷用量に続いて200ng/時間で最大7日間)は、コラゲナーゼの線条体内注射によって脳内出血が生じた場合には有効ではないことが示された(Wilkinson CM, et al. PLoS One. 2019; 14(5): e0215952)。
【0054】
グリベンクラミドは、いくつかの臨床試験でも脳卒中患者に有益な効果を発揮することが示された。大きな半球梗塞を有する患者における悪性浮腫及び脳卒中におけるグリブリド優位性(GAMES,Glyburide Advantage in Malignant Edema and Stroke)臨床試験では、グリブリドを最初の2分間に0.13mgのボーラス静脈内注射として静脈内投与し(RP-1127)、その後、最初の6時間は0.16mg/時間を注入し、次に残りの66時間は0.11mg/時間を注入して、脳腫脹(正中線シフト)、MMP-9、機能的アウトカム及び死亡率に関して有望な知見を明らかにした(King ZA, et al. Drug Des Devel Ther. 2018; 12: 2539-2552)。急性半球梗塞を有する患者にグリベンクラミドを経口投与した探索的研究では、治療は安全であることが示されたが、治療に伴い脳浮腫が軽くなり、より重症度が低い障害及び死亡をもたらす傾向がわずかに観察されたものの、6か月の機能的アウトカムは実質的に改善されなかった(Huang K, et al. Acta Neurol Scand. 2019 May 29)。急性虚血性脳卒中後の数日間の糖尿病患者に対する、スルホニル尿素を服用していない糖尿病患者に関するデータの遡及的分析により、スルホニル尿素治療と生存率の改善、機能的独立性の向上、NIH脳卒中スケールスコアの低下、及び出血性変化の減少との間に強い関連性が見出された(Kunte H, et al. Ann Neurol. 2012; 72: 799-806)。
【0055】
上記の前臨床及び臨床知見は、虚血などの脳損傷後のSUR1-TRPM4チャネルのアップレギュレーションに関連している可能性がある(Woo SK, et al. J Biol Chem. 2013; 288: 3655-67、Mehta RI et al. J Neuropathol Exp Neurol. 2015; 74: 835-49)。
【0056】
虚血及び再灌流傷害の動物モデルにおける神経保護効果は、他のスルホニル尿素、例えばグリクラジドについて(Tan F, et al. Brain Res. 2014;1560: 83-90)、並びに、心筋などの他の組織における虚血及び再灌流傷害の動物モデルにおける保護効果が、グリメピリドについて(Nishida H et al. J Pharmacol Sci. 2009; 109: 251-6)も報告されている。
【0057】
他の一部の薬物は、スルホニル尿素のようなインスリン分泌促進作用を有し;例としては、グリニド(レパグリニド、ナテグリニド、及びミチグリニドなど)が挙げられる。さらに、レスベラトロールなどの他の化合物は、スルホニル尿素受容体に結合し(Hambrock A, et al. J Biol Chem. 2007; 282: 3347-56)、脳卒中及び外傷性CNS損傷において神経保護効果を有することが示されている(Lopez MS, et al. Neurochem Int. 2015; 89: 75-82)。
【0058】
出願人による研究、及び添付の実施例でより詳細に記載されている研究により、スルホニル尿素(例えば、グリベンクラミド)を、アルドステロンアンタゴニスト(例えば、カンレノ酸カリウム)又はインスリンモジュレーター(例えば、エキセナチド)のいずれかである第2の活性物質と組み合わせて投与すると、スルホニル尿素が非常に低用量でのみ投与された場合でも、神経保護効果をもたらすことが示された。
【0059】
インスリンモジュレーター
一実施形態では、本発明の組合せは、上記のスルホニル尿素成分に加えて、インスリンモジュレーターを含む。
【0060】
本明細書で使用される場合、「インスリンモジュレーター」という用語は、インスリンの活性を直接的又は間接的に増加又は低下させることができ、次にインスリン媒介生理学的応答を増加又は低下させ得る薬剤を指す。
【0061】
一実施形態では、インスリンモジュレーターは、GLP-1アゴニスト、DPP-4阻害剤、PPARアゴニスト、インスリン及びそれらのアナログから選択される。
【0062】
GLP-1アゴニストの例には、エキセナチド、リキシセナチド、アルビグルチド、リラグルチド、タスポグルチド及びデュラグルチド(LY2189265)並びにそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。
【0063】
DPP-4阻害剤の例としては、シタグリプチン、ビルダグリプチン、サキサグリプチン、リナグリプチン、アナグリプチン、テネリグリプチン、アログリプチン、トレラグリプチン、ゲミグリプチン、デュトグリプチン及びオマリグリプチン(MK-3102)並びにそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0064】
PPARアゴニストの例としては、クロフィブラート、ゲムフィブロジル、シプロフィブラート、ベザフィブラート、フェノフィブラート、サログリタザール、アレグリタザール、ムラグリタザール及びテサグリタザール、並びにそれらの薬学的に許容される塩、が挙げられる。
【0065】
インスリンアナログの例としては、インスリンリスプロ、インスリンアスパルト、インスリングルリシン、インスリンデテミル、インスリンデグルデク、インスリングラルギン、及びそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0066】
したがって、一実施形態では、インスリンモジュレーターは、エキセナチド、リキシセナチド、アルビグルチド、リラグルチド、タスポグルチド、デュラグルチド(LY2189265)、シタグリプチン、ビルダグリプチン、サキサグリプチン、リナグリプチンアナグリプチン、テネリグリプチン、アログリプチン、トレラグリプチン、ゲミグリプチン、デュトグリプチン、オマリグリプチン(MK-3102)、クロフィブラート、ゲムフィブロジル、シプロフィブラート、ベザフィブラート、フェノフィブラート、サログリタザール、アレグリタザール、ムラグリタザール、テサグリタザール、インスリンリスプロ、インスリンアスパルト、インスリングルリシン、インスリンデテミル、インスリンデグルデク、インスリングラルギン、及びそれらの薬学的に許容される塩、から選択される。
【0067】
一実施形態では、インスリンモジュレーターは、エキセナチド、リキシセナチド、アルビグルチド、リラグルチド、タスポグルチド、デュラグルチド(LY2189265)及びそれらの薬学的に許容される塩から選択されるGLP-1アゴニストである。好ましくは、GLP-1アゴニストはエキセナチドである。
【0068】
エキセナチド
1つの好ましい実施形態では、インスリンモジュレーターは、エキセナチド並びにその構造的及び機能的アナログ、並びにそれらの薬学的に許容される塩から選択される。
【0069】
1つの好ましい実施形態では、エキセナチドは、薬学的に許容される塩、より好ましくは酢酸エキセナチドの形態である。別の好ましい実施形態では、エキセナチドは、遊離塩基形態である。
【0070】
本明細書で使用される場合、「エキセナチド」という用語は、以下の配列の39量体ペプチドを指す。
H-His-Gly-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Leu-Ser-Lys-Gln-Met-Glu-Glu-Glu-Ala-Val-Arg-Leu-Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser-NH
【0071】
エキセナチド(同義語はエキセンディン4である)は、初めは、1992年にアメリカドクトカゲ ヘロデルマ・ススペクツム(Heloderma suspectum)の唾液から単離された。これは、ヒトペプチドグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1,peptide glucagon-like peptide-1)と同様の糖調節効果を有するインスリン分泌促進物質である。
【0072】
エキセナチドは、栄養素の摂取に応答して放出される腸のインクレチンホルモンであるヒトグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)を模倣している(Goke R, et al., J. Biol. Chem.,1993,268:19650-19655)。それは、GLP-1受容体を介してインスリン分泌性及びインスリン模倣性を発揮する。GLP-1受容体は、心臓及び血管内皮を含む多くの器官で広く発現している(Bullock et al., Endocrinology, 1996, 137: 2968-2978、Nystrom et al., Am J Physiol Endocrinol Metab, 2004, 287: E1209-E1215)。現在、エキセナチドは2型糖尿病を有する患者の治療用の抗糖尿病薬として承認されている。この適応症の推奨用量は、最初は1日2回5μg(μg)であり、臨床反応に基づいてこれを1か月後に1日2回10μgに増加させる。
【0073】
GLP-1は、ジペプチジルペプチダーゼ-4による急速な分解のため、循環半減期が非常に短い(2分未満)ため、治療剤としては効果がない。エキセナチドはGLP-1と50%相同であるが、ジペプチジルペプルチダーゼ-4切断部位がないため、ヒトでの半減期は2.4時間である。
【0074】
エキセナチドは、膵臓ベータ細胞によるグルコース依存性インスリン分泌を増強し、不適切に上昇したグルカゴン分泌を抑制し、胃内容排出を遅らせる。エキセナチドは非常に強力であり、ヒトでの最小有効濃度は50pg/mL(12pM)である。エキセナチドによる現在の治療法は、1日2回の注射(Byetta(登録商標))を伴う。また、徐放性製剤(Bydureon(登録商標))は、週1回の注射が承認されている。
【0075】
本明細書で使用されるエキセナチドの機能的アナログは、類似の構造を有するが、ある特定の態様に関してそれとは異なる化合物を指す(例えば、1又は2以上の原子、官能基、アミノ酸残基、又は部分構造が異なる場合があり、それらは他のものに置き換えられている)。機能的アナログは、同様の薬理学的特性を示し、構造的に関連している場合がある。
【0076】
一実施形態では、エキセナチドの構造的又は機能的アナログは、半減期を延長するように改変されたエキセナチドの形態、例えば、エキセナチドのコンジュゲートである。
【0077】
1つの好ましい実施形態では、エキセナチドの構造的又は機能的アナログは、PEG化エキセナチドである。例えば、1つの好ましい実施形態では、構造的又は機能的アナログは、40kDa PEGでモノPEG化されたエキセナチドである。PEG化エキセナチドは、当技術分野で公知の方法によって調製することができる。例として、PEG化形態のエキセナチドは、国際公開第2013/059323号パンフレット(Prolynx LLC社)に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。エキセナチドは、他の分子、例えばタンパク質にコンジュゲートさせることもできる。
【0078】
1つの特に好ましい実施形態では、エキセナチドの構造的又は機能的アナログは、例えば、Bydureon(登録商標)の商標名で販売されている徐放性形態である。別の好ましい実施形態では、エキセナチドの構造的又は機能的アナログは、持続送達のための多層ナノ粒子の形態であり、例えば(Kim JY, et al, Biomaterials, 2013; 34: 8444-9)に記載のようなもので、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0079】
別の特に好ましい実施形態では、エキセナチドは、Byetta(登録商標)の商標名にて販売されているような注射用形態である。
【0080】
エキセナチドの機能的アナログには、GLP受容体アゴニストが含まれる。エキセナチドの適切な機能的アナログとしては、リキシセナチド、アルビグルチド、リラグルチド、タスポグルチド及びデュラグルチド(LY2189265)が挙げられる。
【0081】
一実施形態では、エキセナチドの機能的アナログには、改変されたエキセナチドが含まれ、ここで、1又は2以上のアミノ酸残基が別のアミノ酸残基と置換されている、及び/又は1又は2以上のアミノ酸残基が欠失している、及び/又は1又は2以上のアミノ酸残基が付加及び/又は挿入されている。
【0082】
一実施形態では、機能的エキセナチドアナログは、エキセナチドと比較して10未満のアミノ酸改変(置換、欠失、付加(挿入を含む)及びそれらの任意の組合せ)、あるいはエキセナチドと比較して9、8、7、6、5、4、3、若しくは2未満の改変を含む。
【0083】
一実施形態では、機能的エキセナチドアナログは、エキセナチドと比較して10のアミノ酸改変(置換、欠失、付加(挿入を含む)及びそれらの任意の組合せ)、あるいはエキセナチドと比較して9、8、7、6、5、4、3、2若しくは1の改変を含む。
【0084】
エキセナチドの構造的及び機能的アナログには、塩、異性体、エナンチオマー、溶媒和物、多形体、プロドラッグ、及びそれらの代謝物も含まれる。
【0085】
アルドステロンアンタゴニスト
一実施形態では、本発明の組合せは、上記のスルホニル尿素成分に加えて、アルドステロンアンタゴニストを含む。
【0086】
急性心筋梗塞及びそれに続く血行力学的変化は、複雑な神経ホルモン活性化につながる。レニン-アンギオテンシン-アルドステロン経路は、そのような神経ホルモン活性化の1つの基礎である。急性心筋梗塞後の症状で最高レベルにあるアルドステロンは、急性内皮機能障害、NO活性の阻害、内皮酸化ストレスの増加、血管緊張の増加、カテコールアミンの組織再捕捉の阻害、血管平滑筋細胞及び心筋細胞壊死の急速な発生、血管内のコラーゲン沈着、心筋肥大、及び線維症を含む広範囲の有害な心血管作用を促進すると報告されている(Struthers, Am Heart J, 2002, 144: S2-S7、Zannad and Radauceanu,Heart Fail Rev, 2005, 10: 71-78)。さらに、アウトカム不良が予測されることがわかっている(Beygui et al, Circulation, 2006, 114: 2604-2610)。
【0087】
アルドステロンアンタゴニスト又は抗鉱質コルチコイドは、鉱質コルチコイド受容体でのアルドステロンの作用に拮抗する利尿薬である。このグループの薬は、慢性心不全の管理に多くの場合使用される。このクラスのメンバーは、高アルドステロン症(コーン症候群を含む)及び女性の男性型多毛症(付加的抗アンドロゲン作用による)の管理にも使用される。ほとんどの抗鉱質コルチコイドはステロイド性スピロラクトンである。
【0088】
鉱質コルチコイド受容体の拮抗作用は、腎臓のネフロンの集合管でのナトリウム吸収を阻害する。これはナトリウム/カリウム交換を妨害し、尿中カリウム排泄を減少させ、水分排泄(利尿)を弱く増加させる。うっ血性心不全では、アルドステロンアンタゴニストが、付加的利尿作用のために他の薬物に加えて使用され、これにより浮腫及び心臓のワークロードが低減される。
【0089】
現在のガイドラインでは、EPHESUS試験の結果に基づいて、心筋梗塞後に心不全を呈している患者に鉱質コルチコイド受容体アンタゴニストを使用することが推奨されている。
【0090】
急性心筋梗塞の動物モデル及び診療所での複数の研究は、STEMI患者の再灌流傷害の予防及び心機能の改善におけるアルドステロン遮断の利益を示している。文献には、鉱質コルチコイド受容体アンタゴニストが脳血管系及び脳卒中の間に有益な効果をもたらす場合があることが示されている(Dinh QN, et al. Neural Regen Res. 2016; 11:1230-1)。
【0091】
アルドステロンアンタゴニストの例としては、スピロノラクトン(このクラスの最初のもので最も広く使用されているメンバー)、エプレレノン(標的に対してスピロノラクトンよりもはるかに選択的であるが、効力及び効果がやや低い)、カンレノン及びカンレノ酸カリウム、フィネレノン(非ステロイド性で、エプレレノン又はスピロノラクトンよりも強力で選択的)及びプロレノンが挙げられる。一部の薬物はまた、それらの主な作用機序に続発する抗鉱質コルチコイド効果を有する。例としては、プロゲステロン、ドロスピレノン、ゲストデン、及びベニジピンが挙げられる。
【0092】
1つの特に好ましい実施形態では、アルドステロンアンタゴニストはカンレノ酸カリウムである。
【0093】
本発明はまた、アルドステロンアンタゴニストの構造的及び機能的アナログ、特に、薬剤の半減期を延長するように改変されたもの、例えば、アルドステロンアンタゴニストのコンジュゲートを包含する。
【0094】
カンレノ酸カリウム
カンレノ酸のカリウム塩としても知られているカンレノ酸カリウム又はカリウムカンレノエート(canrenoate potassium)は、スピロラクトングループのアルドステロンアンタゴニストである。カンレノ酸カリウムは、スピロノラクトンのように体内でカンレノンに代謝されるプロドラッグである。カンレノ酸カリウムは、通常、高アルドステロン症又は低カリウム血症の治療のために、200mg/日~600mg/日の範囲の用量で静脈内投与される。
【0095】
カンレノ酸カリウムは、系統的(IUPAC)名称が、はカリウム3-[(8R,9S,10R,13S,14S,17R)-17-ヒドロキシ-10,13-ジメチル-3-オキソ-2,8,9,11,12,14,15,16オクタヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル]プロパノエート、式C2229KOであり、以下の化学構造:
【0096】
【化5】
【0097】
を有する。
【0098】
組合せ
一態様では、本発明は、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
を含む組合せに関する。
【0099】
以下に記載される好ましい実施形態を、方法、使用、製品及び組成物を含む、本発明の他の態様に準用する。
【0100】
1つの好ましい実施形態では、組合せは、スルホニル尿素とインスリンモジュレーターとを含む。
【0101】
1つの好ましい実施形態では、組合せは、スルホニル尿素とインスリンモジュレーターとからなる。
【0102】
別の好ましい実施形態では、組合せは、スルホニル尿素とアルドステロンアンタゴニストとを含む。
【0103】
別の好ましい実施形態では、組合せは、スルホニル尿素とアルドステロンアンタゴニストとからなる。
【0104】
別の好ましい実施形態では、組合せは、スルホニル尿素と、インスリンモジュレーターと、アルドステロンアンタゴニストとを含む。
【0105】
別の好ましい実施形態では、組合せは、スルホニル尿素と、インスリンモジュレーターと、アルドステロンアンタゴニストとからなる。
【0106】
一実施形態では、インスリンモジュレーターは、インスリンモジュレーターの上記の実施形態のいずれかに従って定義される。
【0107】
一実施形態では、アルドステロンアンタゴニストは、アルドステロンアンタゴニストの上記の実施形態のいずれかに従って定義される。
【0108】
一実施形態では、スルホニル尿素は、スルホニル尿素の上記の実施形態のいずれかに従って定義される。
【0109】
1つの好ましい実施形態では、本発明は、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又は薬学的に許容される塩;及び(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つ;と
を含む組合せに関する。好ましくは、組合せは、(b)(i)及び(b)(ii)を含む。
【0110】
1つの好ましい実施形態では、本発明は、
(a)グリベンクラミド、グリボルヌリド、グリクラジド、グリピジド、グリメピリド、グリキドン、グリソキセピド、グリクロピラミド、クロルプロパミド、トルブタミド、アセトヘキサミド、カルブタミド、グリシクラミド、トルヘキサミド、メタヘキサミド、及びトラザミドのうちの少なくとも1つと;
(b)以下の成分:
(i)エキセナチド、リキシセナチド、アルビグルチド、リラグルチド、タスポグルチド及びデュラグルチド(LY2189265)又はそれらの薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つ;及び
(ii)カンレノ酸カリウム、カンレノン、スピロノラクトン、エプレレノン、フィネレノン及びプロレノン、又は適用可能な場合はそれらの薬学的に許容される塩(例えば、カンレノン、スピロノラクトン、エプレレノン、フィネレノン及びプロレノンの薬学的に許容される塩)、うちの少なくとも1つと
を含む組合せに関する。
【0111】
一実施形態では、本発明は、
グリベンクラミド、グリボルヌリド、グリクラジド、グリピジド、グリメピリド、グリキドン、グリソキセピド、グリクロピラミド、クロルプロパミド、トルブタミド、アセトヘキサミド、カルブタミド、グリシクラミド、トルヘキサミド、メタヘキサミド、及びトラザミドのうちの少なくとも1つと;
エキセナチド、リキシセナチド、アルビグルチド、リラグルチド、タスポグルチド及びデュラグルチド(LY2189265)又はそれらの薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つと;
カンレノ酸カリウム、カンレノン、スピロノラクトン、エプレレノン、フィネレノン及びプロレノン、又は適用可能な場合はそれらの薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つと
を含む組合せに関する。
【0112】
一実施形態では、本発明は、
グリベンクラミド、グリボルヌリド、グリクラジド、グリピジド、グリメピリド、グリキドン、グリソキセピド、グリクロピラミド、クロルプロパミド、トルブタミド、アセトヘキサミド、カルブタミド、グリシクラミド、トルヘキサミド、メタヘキサミド、及びトラザミドのうちの少なくとも1つと;
エキセナチド、リキシセナチド、アルビグルチド、リラグルチド、タスポグルチド及びデュラグルチド(LY2189265)又はそれらの薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つと
を含む組合せに関する。
【0113】
別の実施形態では、本発明は、
グリベンクラミド、グリボルヌリド、グリクラジド、グリピジド、グリメピリド、グリキドン、グリソキセピド、グリクロピラミド、クロルプロパミド、トルブタミド、アセトヘキサミド、カルブタミド、グリシクラミド、トルヘキサミド、メタヘキサミド、及びトラザミドのうちの少なくとも1つと;
カンレノ酸カリウム、カンレノン、スピロノラクトン、エプレレノン、フィネレノン及びプロレノン、又は適用可能な場合はそれらの薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つと
を含む組合せに関する。
【0114】
一実施形態では、本発明は、
エキセナチド又はその薬学的に許容される塩と、
グリベンクラミド、グリボルヌリド、グリクラジド、グリピジド、グリメピリド、グリキドン、グリソキセピド、グリクロピラミド、クロルプロパミド、トルブタミド、アセトヘキサミド、カルブタミド、グリシクラミド、トルヘキサミド、メタヘキサミド、及びトラザミドのうちの少なくとも1つと
の組合せ又はこれらを含む組合せに関する。
【0115】
一実施形態では、本発明は、
エキセナチド又はその薬学的に許容される塩と、
グリベンクラミド、グリボルヌリド、グリクラジド、グリピジド、グリメピリド、グリキドン、グリソキセピド、及びグリクロピラミドのうちの少なくとも1つと
の組合せ又はこれらを含む組合せに関する。
【0116】
一実施形態では、本発明は、
エキセナチド又はその薬学的に許容される塩と、
グリベンクラミドと
の組合せ又はこれらを含む組合せに関する。
【0117】
一実施形態では、本発明は、
エキセナチド、リキシセナチド、アルビグルチド、リラグルチド、タスポグルチド及びデュラグルチド(LY2189265)又はそれらの薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つと、
グリベンクラミドと
の組合せ又はこれらを含む組合せに関する。
【0118】
一実施形態では、本発明は、
カンレノ酸カリウムと、
グリベンクラミド、グリボルヌリド、グリクラジド、グリピジド、グリメピリド、グリキドン、グリソキセピド、グリクロピラミド、クロルプロパミド、トルブタミド、アセトヘキサミド、カルブタミド、グリシクラミド、トルヘキサミド、メタヘキサミド、及びトラザミドのうちの少なくとも1つと
の組合せ又はこれらを含む組合せに関する。
【0119】
一実施形態では、本発明は、
カンレノ酸カリウムと、
グリベンクラミド、グリボルヌリド、グリクラジド、グリピジド、グリメピリド、グリキドン、グリソキセピド、及びグリクロピラミドのうちの少なくとも1つと
の組合せ又はこれらを含む組合せに関する。
【0120】
一実施形態では、本発明は、
カンレノ酸カリウム、カンレノン、スピロノラクトン、エプレレノン、フィネレノン及びプロレノン、又は適用可能な場合はそれらの薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つと、
グリベンクラミドと
の組合せ又はこれらを含む組合せに関する。
【0121】
一実施形態では、本発明は、
カンレノ酸カリウムと;
グリベンクラミドと
の組合せ又はこれらを含む組合せに関する。
【0122】
一実施形態では、本発明は、
グリベンクラミドと;
エキセナチド、リキシセナチド、アルビグルチド、リラグルチド、タスポグルチド及びデュラグルチド(LY2189265)又はそれらの薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つと;
カンレノ酸カリウム、カンレノン、スピロノラクトン、エプレレノン、フィネレノン及びプロレノン、又は適用可能な場合はそれらの薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つと
を含む組合せに関する。
【0123】
一実施形態では、本発明は、
グリベンクラミド、グリボルヌリド、グリクラジド、グリピジド、グリメピリド、グリキドン、グリソキセピド、グリクロピラミド、クロルプロパミド、トルブタミド、アセトヘキサミド、カルブタミド、グリシクラミド、トルヘキサミド、メタヘキサミド、及びトラザミドのうちの少なくとも1つと;
エキセナチド又はその薬学的に許容される塩と、
カンレノ酸カリウム、カンレノン、スピロノラクトン、エプレレノン、フィネレノン及びプロレノン、又は適用可能な場合はそれらの薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つと
を含む組合せに関する。
【0124】
一実施形態では、本発明は、
グリベンクラミド、グリボルヌリド、グリクラジド、グリピジド、グリメピリド、グリキドン、グリソキセピド、グリクロピラミド、クロルプロパミド、トルブタミド、アセトヘキサミド、カルブタミド、グリシクラミド、トルヘキサミド、メタヘキサミド、及びトラザミドのうちの少なくとも1つと;
エキセナチド、リキシセナチド、アルビグルチド、リラグルチド、タスポグルチド及びデュラグルチド(LY2189265)又はそれらの薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つと;
カンレノ酸カリウム又はカンレノンと
を含む組合せに関する。
【0125】
一実施形態では、本発明は、
エキセナチド又はその薬学的に許容される塩と、
カンレノ酸カリウムと;
グリベンクラミドと
の組合せ又はこれらを含む組合せに関する。
【0126】
本発明の一態様では、上記の実施形態のそれぞれについて、組合せは、スルホニル尿素とアルドステロンアンタゴニスト及び/又はインスリンモジュレーターからなり、すなわち、これらは、存在する唯一の活性薬剤である。別の(代替の)態様では、組合せは、以下に記載されるように、1又は2以上の追加の活性薬剤をさらに含む。
【0127】
薬物の組合せの効果は本質的に予測不可能であり、多くの場合、一方の薬物が他方の効果を部分的又は完全に阻害する傾向がある。本発明は、スルホニル尿素、例としてグリベンクラミド又はその構造的若しくは機能的アナログと、(i)インスリンモジュレーター、例としてエキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ又は薬学的に許容される塩、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト、例としてカンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログのうちの少なくとも1つとを含む組合せが、同時に、別々に、又は連続して投与された場合、2つの薬剤間に重大又は劇的な有害な相互作用を引き起こすことがないことを実証する。そのような拮抗的な相互作用の予想外の欠如は、組合せの臨床用途にとって重要である。
【0128】
さらに、本発明による好ましい組合せは、驚くべきことに、薬剤の最適用量がこれらの薬剤の承認された適応症で推奨される用量よりも低く、及び/又は再灌流傷害について文献で報告されている用量よりもまた低くなるような、個々の成分の効果の増強を示す。
【0129】
一実施形態では、本発明の活性薬剤の組合せにより、単独で投与される各薬物と比較して効果が増強される。
【0130】
実例として、出願人による研究は、本願において特許請求されている組合せの文脈において相乗効果を生み出すグリベンクラミドの好ましい用量が、血糖低下(例えば、真性糖尿病)について文献で以前に報告された用量よりも有意に低いことを示した。実際、本願において特許請求されている組合せで使用されるグリベンクラミドの好ましい用量は、真正糖尿病の治療用のグリベンクラミド(微粉化製剤)の推奨維持用量よりもおよそ20~285倍少ない(グリベンクラミドの微粉化製剤の場合、推奨維持1日用量は1.25~20mgであり、これは、70kgの成人で18μg/kg~285μg/kgに相当し、これは、本願において特許請求されている組合せ治療で必要とされる、体重1kgあたり1μg程度の低いグリベンクラミドの好ましい用量とは対照的である)。有利には、これらの好ましい低用量でグリベンクラミドを使用すると、別様には有害な副作用につながる可能性がある血糖値への影響が回避される。出願人による研究によってまた、低用量のエキセナチド及び/又は炭酸カリウムとの本発明による二重又は三重の組合せとしてのグリベンクラミドの臨床有効用量もまた、文献に発表された臨床研究において神経保護的であることが示されたグリベンクラミドの用量(0.16又は0.11mg/時間の連続注入、つまり1日あたり3.84mg又は2.64mg)(King ZA, et alを参照)よりも有意に低いことが示された。
【0131】
さらに、別の実施形態では、本発明の活性薬剤の組合せによって、例えば、再灌流傷害、特に脳又は心筋の再灌流傷害の治療及び/又は予防において、予想外の相乗効果が生じる。
【0132】
2つ又は3つ以上の薬物の組合せは、異なるタイプの薬物相互作用をもたらすことがある。薬物相互作用は、2つの薬物の複合効果が、単独で与えられた各薬剤の効果の合計に等しい場合、相加的であると言われる。薬物相互作用は、2つの薬物の複合効果が、単独で与えられた各薬物の効果を超える場合、相乗的であると言われる(Goodman and Gilmans "The Pharmacological Basis of Therapeutics", 12th Edition)。
【0133】
組合せ療法は、心血管疾患、がん及び感染性疾患を含む多くの疾患環境において、重要な治療様式である。最近の科学的進歩により、これら及び他の複雑な疾患の根底にある病態生理学的プロセスの理解が増大した。この理解の増大により、治療応答を改善するか、抵抗性の発達を最小限にするか、又は有害事象を最小限にするための、複数の療法標的を対象とする薬物の組合せを使用する新しい療法アプローチの開発にさらに拍車がかかった。組合せ療法が顕著な療法的利点を提供する環境では、2つ又は3つ以上の薬物の新しい組合せの開発への関心が高まっている。
【0134】
有利には、相乗的組合せは、より低い用量の各成分が存在することを可能にし、これにより療法の毒性を減少させ、一方で同じ療法効果又は向上した療法効果を生成及び/又は維持することができる。したがって、特に好ましい実施形態では、組合せの各成分は、治療的量以下で存在する。「治療有効量以下」という用語は、各薬剤単独での治療について療法効果が生じるのに典型的に必要とされる量より低い量を意味する。
【0135】
一実施形態では、本発明は、スルホニル尿素及びインスリンモジュレーターを含む相乗的組合せに関する。
【0136】
別の実施形態では、本発明は、スルホニル尿素及びアルドステロンアンタゴニストを含む相乗的組合せに関する。
【0137】
別の実施形態では、本発明は、スルホニル尿素、インスリンモジュレーター及びアルドステロンアンタゴニストを含む相乗的組合せに関する。
【0138】
一実施形態では、インスリンモジュレーターは、インスリンモジュレーターの上記の実施形態のいずれかに従って定義される。
【0139】
一実施形態では、アルドステロンアンタゴニストは、アルドステロンアンタゴニストの上記の実施形態のいずれかに従って定義される。
【0140】
一実施形態では、スルホニル尿素は、スルホニル尿素の上記の実施形態のいずれかに従って定義される。
【0141】
一実施形態では、本発明は、スルホニル尿素と、エキセナチド、リキシセナチド、アルビグルチド、リラグルチド、タスポグルチド及びデュラグルチド(LY2189265)又はそれらの薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む相乗的組合せに関する。
【0142】
一実施形態では、本発明は、スルホニル尿素と、カンレノ酸カリウム、カンレノン、スピロノラクトン、エプレレノン、フィネレノン及びプロレノン、又は適用可能な場合はそれらの薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む相乗的組合せに関する。
【0143】
一実施形態では、本発明は、
グリベンクラミド、グリボルヌリド、グリクラジド、グリピジド、グリメピリド、グリキドン、グリソキセピド、及びグリクロピラミドのうちの少なくとも1つと;
エキセナチド又はその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つと
カンレノ酸カリウムと
を含む相乗的組合せに関する。
【0144】
一実施形態では、本発明は、
グリベンクラミド、グリボルヌリド、グリクラジド、グリピジド、グリメピリド、グリキドン、グリソキセピド、及びグリクロピラミドのうちの少なくとも1つと;
エキセナチド、リキシセナチド、アルビグルチド、リラグルチド、タスポグルチド及びデュラグルチド(LY2189265)又はそれらの薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つと;
カンレノ酸カリウムと
を含む相乗的組合せに関する。
【0145】
一実施形態では、本発明は、
エキセナチド、リキシセナチド、アルビグルチド、リラグルチド、タスポグルチド及びデュラグルチド(LY2189265)又はそれらの薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つと;
グリベンクラミドと
を含む相乗的組合せに関する。
【0146】
一実施形態では、本発明は、
エキセナチド又はその薬学的に許容される塩、と
グリベンクラミドと
を含む相乗的組合せに関する。
【0147】
一実施形態では、本発明は、
エキセナチド又はその薬学的に許容される塩と;
グリベンクラミド、グリボルヌリド、グリクラジド、グリピジド、グリメピリド、グリキドン、グリソキセピド、及びグリクロピラミドのうちの少なくとも1つと
を含む相乗的組合せに関する。
【0148】
一実施形態では、本発明は、
カンレノ酸カリウム、カンレノン、スピロノラクトン、エプレレノン、フィネレノン及びプロレノン、又はそれらの薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つと;
グリベンクラミドと
を含む相乗的組合せに関する。
【0149】
一実施形態では、本発明は、
カンレノ酸カリウム;と
グリベンクラミド、グリボルヌリド、グリクラジド、グリピジド、グリメピリド、グリキドン、グリソキセピド、及びグリクロピラミドのうちの少なくとも1つと、含む相乗的組合せに関する。
【0150】
一実施形態では、本発明は、カンレノ酸カリウムとグリベンクラミドとを含む相乗的組合せに関する。
【0151】
一実施形態では、本発明は、エキセナチド又はその薬学的に許容される塩と、カンレノ酸カリウムと、グリベンクラミドとを含む相乗的組合せに関する。
【0152】
追加の活性医薬成分
一実施形態では、上記に説明する組合せは、少なくとも1つのさらなる活性医薬成分(API,active pharmaceutical ingredient)を含む。
【0153】
一実施形態では、上記に説明する組合せは、ベータブロッカー、レニン-アンギオテンシン阻害剤、スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害剤)、血小板活性化又は凝集の阻害剤、ホスホジエステラーゼ-3阻害剤、カルシウム増感剤、抗酸化剤及び抗炎症剤から選択される少なくとも1つのさらなるAPIをさらに含み得る。
【0154】
ベータブロッカーの例としては、プロプラノロール、メトプロロール、ブシンドロール、カルテオロール、カルベジロール、ラベタロール、ナドロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、ソタロール及びチモロールが挙げられる。
【0155】
レニン-アンギオテンシン阻害剤としては、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、アンギオテンシンAT受容体阻害剤及びレニン阻害剤が挙げられる。
【0156】
アンギオテンシン変換酵素阻害剤の例としては、カプトプリル、ゾフェノプリル、エナラプリル、ラミプリル、キナプリル、ペリンドプリル、リシノプリル、ベナゼプリル、イミダプリル、トランドラプリル、シラザプリル、及びホシノプリルが挙げられる。
【0157】
アンギオテンシンAT受容体アンタゴニストの例としては、ロサルタン、イルベサルタン、オルメサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、フィマサルタン及びテルミサルタンが挙げられる。
【0158】
レニン阻害剤の例としては、レミキレン及びアリスキレンが挙げられる。
【0159】
カルシウム増感剤の例としては、レボシメンダン及びそのアナログが挙げられる。
【0160】
スタチンの例としては、アトルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン及びシンバスタチンが挙げられる。
【0161】
血小板活性化又は凝集阻害剤の例としては、プロスタサイクリン(エポプロステノール)及びその構造的及び機能的アナログ(例えばトレプロスチニル、イロプロスト)、不可逆的シクロオキシゲナーゼ阻害剤(例えばアスピリン、トリフルサル)、アデノシン二リン酸(ADP,adenosine diphosphate)受容体阻害剤(例えばクロピドグレル、プラスグレル、チカグレロル、チクロピジン)、ホスホジエステラーゼ阻害剤(例えばシロスタゾール)、プロテアーゼ活性化受容体-1(PAR-1,protease-activated receptor-1)アンタゴニスト(例えばボラパクサール)、糖タンパク質IIB/IIIA阻害剤(例えばアブシキシマブ、エプチフィバチド、チロフィバン)、アデノシン再取り込み阻害剤(例えばジピリダモール)並びにトロンボキサン合成酵素阻害剤及びトロンボキサン受容体アンタゴニスト(例えばテルトロバン)を含むトロンボキサン阻害剤が挙げられる。
【0162】
ホスホジエステラーゼ-3(PDE-3,phosphodiesterase-3)阻害剤の例としては、アムリノン、ミルリノン及びこれらのアナログが挙げられる。
【0163】
抗酸化剤の例としては、アスコルビン酸、リポ酸、グルタチオン、メラトニン及びレスベラトロールが挙げられる。
【0164】
抗炎症剤の例としては、COX-2阻害剤(例えばセレコキシブ)、グルココルチコイド(例えばヒドロコルチゾン)及び非ステロイド性抗炎症薬(例えばイブプロフェン)が挙げられる。
【0165】
一実施形態では、上記の組合せは、プロプラノロール、メトプロロール、ブシンドロール、カルテオロール、カルベジロール、ラベタロール、ナドロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、ソタロール、チモロール、カプトプリル、ゾフェノプリル、エナラプリル、ラミプリル、キナプリル、ペリンドプリル、リシノプリル、ベナゼプリル、イミダプリル、トランドラプリル、シラザプリル、ホシノプリル、ロサルタン、イルベサルタン、オルメサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、フィマサルタン、テルミサルタン、レミキレン、アリスキレン、メラトニン及びレスベラトロールから選択される少なくとも1つのさらなるAPIを含む。
【0166】
別の実施形態では、上記の組合せは、カルベジロール、メトプロロール、ロサルタン、イルベサルタン、オルメサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、フィマサルタン、テルミサルタン、カプトプリル、ゾフェノプリル、エナラプリル、ラミプリル、キナプリル、ペリンドプリル、リシノプリル、ベナゼプリル、イミダプリル、トランドラプリル、シラザプリル、ホシノプリル、レミキレン、アリスキレン、メラトニン及びレスベラトロールから選択される少なくとも1つのさらなるAPIを含む。
【0167】
別の実施形態では、上記の組合せは、カルベジロール、メトプロロール、メラトニン及びレスベラトロールから選択される少なくとも1つのさらなるAPIを含む。
【0168】
薬学的に許容される塩
本発明の活性医薬剤は、薬学的に許容される塩として存在し得る。
【0169】
本発明の薬剤の薬学的に許容される塩は、その適切な酸添加塩又は塩基塩を含む。適切な薬学的塩の概略は、(Berge et al., J Pharm Sci, 66, 1-19 (1977))に見出すことができる。塩は、例えば強無機酸、例として鉱酸、例えば硫酸、リン酸若しくはハロゲン化水素酸(例えば、HCl、HBr)で;強有機カルボン酸、例として(例えばハロゲンにより)置換されていないか、若しくは置換されている1~4個の炭素原子のアルカンカルボン酸、例として酢酸で;飽和若しくは不飽和ジカルボン酸、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸若しくはテトラフタル酸で;ヒドロキシカルボン酸、例えばアスコルビン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸若しくはクエン酸で;アミノ酸、例えばアスパラギン酸若しくはグルタミン酸で;安息香酸で;又は有機スルホン酸、例として(例えばハロゲンにより)置換されていないか、若しくは置換されている(C1-C4)-アルキルスルホン酸若しくはアリールスルホン酸、例としてメタンスルホン酸若しくはp-トルエンスルホン酸で形成される。
【0170】
エナンチオマー/互変異性体
また、本発明は、適切な場合、活性医薬剤のすべてのエナンチオマー及び互変異性体を含む。当業者は、光学特性(1つ又は2つ以上のキラル炭素原子)又は互変異性特徴を有する化合物を認識する。対応するエナンチオマー及び/又は互変異性体は、当技術分野において既知の方法により単離/調製することができる。
【0171】
立体異性体及び幾何異性体
本発明の活性医薬剤の一部は、立体異性体及び/又は幾何異性体として存在してもよく、例えばそれらは1つ又は2つ以上の不斉中心及び/又は幾何中心を有してもよく、そのため2つ又は3つ以上の立体異性形態及び/又は幾何形態で存在し得る。本発明は、それらの阻害剤のすべての個々の立体異性体及び幾何異性体並びにこれらの混合物の使用を企図する。特許請求の範囲で使用される用語は、これらの形態が適切な機能的活性を(必ずしも同じ程度までではないが)保持する限り、前記形態を包含する。
【0172】
また、本発明は、活性医薬剤又はその薬学的に許容される塩のすべての適切な同位体変形を含む。本発明の薬剤又はその薬学的に許容される塩の同位体変形は、少なくとも1つの原子が、同じ原子番号を有するが、通常天然で見られる原子量とは異なる原子量を有する原子により置換されているものとして定義される。本薬剤及びその薬学的に許容される塩に組み込むことができる同位体の例には、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素及び塩素の同位体、例としてそれぞれ、2H、3H、13C、14C、15N、17O、18O、31P、32P、35S、18F、及び36Cl、が含まれる。本薬剤及びその薬学的に許容される塩のある特定の同位体変形、例えば3H又は14Cなどの放射性同位体が組み込まれているものは、薬物及び/又は基質組織分布研究において有用である。トリチウム標識した、すなわち、3H及び炭素-14、すなわち、14C同位体は、それらの調製及び検出性の容易さのために特に好ましい。さらに、重水素、すなわち、2Hなどの同位体での置換は、より大きな代謝安定性から生じるある特定の療法的利点、例えば増大したインビボ半減期又は減少した投与量必要条件を与えることができ、したがって、一部の状況で好ましい場合がある。本発明の薬剤及び本発明のその薬学的に許容される塩の同位体変形は、適切な試薬の適切な同位体変形を使用して、従来手順により一般的に調製することができる。
【0173】
溶媒和物
また、本発明は、本発明の活性医薬剤の溶媒和形態を含む。特許請求の範囲で使用される用語は、これらの形態を包含する。
【0174】
多形体
本発明はさらに、種々の結晶形態、多型形態及び(無)水和形態の本発明の活性医薬剤に関する。化学化合物が、このような化合物の合成的調製において使用される溶媒からの精製及び又は単離方法をわずかに変化させることにより、このような形態のいずれかで単離することができることは医薬産業内において十分に確立されている。
【0175】
医薬組成物
別の態様では、本発明は、上記のような本発明による組合せ、及び薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0176】
一態様では、本発明は、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと;
薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤と
を含む医薬組成物に関する。
【0177】
1つの好ましい実施形態では、本発明は、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤と;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;及び(ii)カンレノ酸カリウム、又は構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと;
薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤と
を含む医薬組成物に関する。
【0178】
一態様では、本発明は、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと;
薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤と、からなる医薬組成物に関する。
【0179】
1つの好ましい実施形態では、本発明は、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログ;及び薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤と;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;及び(ii)カンレノ酸カリウム、又は構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと;
薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤と
からなる医薬組成物に関する。
【0180】
本発明の化合物(それらの薬学的に許容される塩を含む)は単独で投与することができるが、それらは一般的に、特にヒトの療法のためには、医薬担体、賦形剤又は希釈剤との混合物で投与される。医薬組成物は、ヒト医薬及び獣医学的医薬において、それぞれ、ヒト又は非ヒト動物使用のためのものであり得る。
【0181】
本明細書に記載される医薬組成物の種々の異なる形態について適切なこのような賦形剤の例は、A Wade及びPJ Wellerにより編集された“Handbook of Pharmaceutical Excipients”, 2nd Edition, (1994)に見出すことができる。
【0182】
療法的使用に許容される担体又は希釈剤は、医薬分野で周知であり、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co. (A. R. Gennaro edit. 1985)に記載されている。
【0183】
医薬担体、賦形剤又は希釈剤の選択は、意図される投与経路及び標準の医薬の実施について選択することができる。投与経路の例としては、非経口(例えば静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内又は皮下)、経口、吸入、経皮(局所)、眼内、イオン導入及び経粘膜投与が挙げられる。
【0184】
一実施形態では、医薬組成物は、非経口投与(例えば静脈内、動脈内、髄腔内、筋肉内、皮内、腹腔内又は皮下)用である。好ましくは、本組成物は、滅菌又は滅菌可能溶液から調製される。
【0185】
別の実施形態では、医薬組成物は、静脈内、筋肉内又は皮下投与用である。
【0186】
別の実施形態では、医薬組成物は、静脈内投与用である。
【0187】
非経口、皮内又は皮下適用に使用される溶液又は懸濁液としては、以下の成分を挙げることができる:滅菌希釈剤、例として注射用水、生理食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、又は他の合成溶媒;抗菌剤、例としてベンジルアルコール又はメチルパラベン;抗酸化剤、例としてアスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウム;エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤;緩衝液、例として酢酸塩、クエン酸塩、又はリン酸塩、並びに等張性調節のための薬剤、例として塩化ナトリウム又はデキストロース。pHは、塩酸又は水酸化ナトリウムなどの酸又は塩基により調整することができる。
【0188】
注射用途に適切な医薬組成物としては、注射用滅菌溶液又は滅菌分散液を即時調製するための滅菌水溶液(水溶性の場合)又は滅菌分散液及び滅菌粉末を挙げることができる。静脈内投与の場合、適切な担体としては、生理食塩水、静菌水、Cremophor(商標)又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS,phosphate buffered saline)が挙げられる。すべての場合で、非経口投与のための組成物は、減菌でなければならず、注射器での注射が容易である程度まで流体であるべきである。それは、製造及び保存条件下で安定であるべきであり、微生物、例として細菌及び真菌の汚染作用に対して保存されなければならない。
【0189】
滅菌注射用溶液は、必要とされる量の活性化合物を、必要に応じて上記に列挙される成分のうちの1つ又は組合せを伴って適切な溶媒中に組み込み、続いて濾過滅菌することにより調製することができる。一般に、分散液は、活性化合物を、基礎的な分散媒体及び上記に列挙されるものからの必要な他の成分を含有する滅菌ビヒクルに組み込むことにより調製される。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合、典型的な調製方法では、真空乾燥及び凍結乾燥を含み、これにより事前に滅菌濾過したその溶液から、活性成分及び任意の追加の所望の成分の粉末を生み出すことができる。また、本発明は、活性薬剤を含むリポソーム製剤及びナノ粒子製剤を包含する。このような製剤は、それらの調製のための方法と共に、当業者によく知られている。
【0190】
医薬製品
別の態様では、本発明は、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
を含む医薬製品に関する。
【0191】
1つの好ましい実施形態では、本発明は、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;及び(ii)カンレノ酸カリウム、又は構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと
を含む医薬製品に関する。
【0192】
別の態様では、本発明は、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと、からなる医薬製品に関する。
【0193】
1つの好ましい実施形態では、本発明は、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;及び(ii)カンレノ酸カリウム、又は構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと、からなる医薬製品に関する。
【0194】
1つの好ましい実施形態では、医薬製品の各成分は、別々の投与用である。
【0195】
一実施形態では、本医薬製品は、治療過程に必要なすべての備品(例えば薬物のバイアル、希釈剤のバイアル、シリンジ及び針)を含有する部品のキットである。
【0196】
キット及び医薬製品の成分は、上記の通りである。好ましい実施形態では、キット又は医薬製品の各成分を、1つ又は2つ以上の薬学的に許容される希釈剤、賦形剤、及び/又は担体と混合する。
【0197】
一実施形態では、キットは、各活性薬剤用のための別々の容器を含む。前記容器は、アンプル、使い捨て注射器、又は複数回投与バイアルであり得る。
【0198】
別の実施形態では、キットは、各活性薬剤の組み合わせた調製物を含む容器を含む。
【0199】
キットは、再灌流傷害の治療及び/又は予防のための使用説明書をさらに含んでもよい。
【0200】
医学的使用
本発明はさらに、以下に詳述するような種々の治療上の障害を治療する際の上記の組合せ、医薬製品又は医薬組成物の使用、及びそれらに関連する治療方法に関する。
【0201】
1つの好ましい実施形態では、組合せ、医薬製品又は医薬組成物の医薬活性成分のそれぞれは、別々に投与される。
【0202】
一態様では、本発明は、虚血及び/若しくは再灌流傷害、脳卒中、神経変性疾患、新生児仮死、心停止、心原性ショック、及び急性心筋梗塞のうちの1若しくは2以上の治療及び/若しくは予防に使用するための、又は心毒性薬物に対する心臓保護の提供に使用するための、又は例えば神経毒性薬物に対する神経保護の提供に使用するための、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
を含む組合せに関する。
【0203】
1つの好ましい実施形態では、組合せは、神経保護を提供する際に使用するためのものである。好ましくは、組合せは、神経毒性薬物に対する神経保護を提供する際に使用するためのものである。
【0204】
1つの好ましい実施形態では、本発明は、
虚血及び/若しくは再灌流傷害、脳卒中、神経変性疾患、新生児仮死、心停止、心原性ショック、及び急性心筋梗塞のうちの1若しくは2以上の治療及び/若しくは予防に使用するための、又は心毒性薬物に対する心臓保護の提供に使用するための、又は神経毒性薬物に対する神経保護の提供に使用するための、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;及び(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと
を含む組合せに関する。
【0205】
別の態様では、本発明は、虚血及び/若しくは再灌流傷害、脳卒中、神経変性疾患、新生児仮死、心停止、心原性ショック、及び急性心筋梗塞のうちの1若しくは2以上の治療及び/若しくは予防に使用するための、又は心毒性薬物に対する心臓保護の提供に使用するための、又は神経毒性薬物に対する神経保護の提供に使用するための、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
を含む組合せを含む医薬組成物に関する。
【0206】
1つの好ましい実施形態では、本発明は、虚血及び/若しくは再灌流傷害、脳卒中、神経変性疾患、新生児仮死、心停止、心原性ショック、及び急性心筋梗塞のうちの1若しくは2以上の治療及び/若しくは予防に使用するための、又は心毒性薬物に対する心臓保護の提供に使用するための、又は神経毒性薬物に対する神経保護の提供に使用するための、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと
を含む組合せを含む医薬組成物に関する。
【0207】
別の態様では、本発明は、虚血及び/若しくは再灌流傷害、脳卒中、神経変性疾患、新生児仮死、心停止、心原性ショック、及び急性心筋梗塞のうちの1若しくは2以上の治療及び/若しくは予防に使用するための、又は心毒性薬物に対する心臓保護の提供に使用するための、又は神経毒性薬物に対する神経保護の提供に使用するための、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
を含む医薬製品であって、
成分は、同時の、連続の、又は別々の投与用である、医薬製品に関する。
【0208】
1つの好ましい実施形態では、本発明は、虚血及び/若しくは再灌流傷害、脳卒中、神経変性疾患、新生児仮死、心停止、心原性ショック、及び急性心筋梗塞のうちの1若しくは2以上の治療及び/若しくは予防に使用するための、又は心毒性薬物に対する心臓保護の提供に使用するための、又は神経毒性薬物に対する神経保護の提供に使用するための、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;及び(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと
を含む医薬製品であって、
成分は、同時の、連続の、又は別々の投与用である、医薬製品に関する。
【0209】
別の態様では、本発明は、虚血及び/若しくは再灌流傷害、脳卒中、神経変性疾患、新生児仮死、心停止、心原性ショック、及び急性心筋梗塞のうちの1若しくは2以上を治療及び/若しくは予防するための、又は心毒性薬物に対する心臓保護を提供するための、又は神経毒性薬物に対する神経保護を提供するための医薬の製造における、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
の使用に関する。
【0210】
別の好ましい実施形態では、本発明は、虚血及び/若しくは再灌流傷害、脳卒中、神経変性疾患、新生児仮死、心停止、心原性ショック、及び急性心筋梗塞のうちの1若しくは2以上を治療及び/若しくは予防するための、又は心毒性薬物に対する心臓保護を提供するための、又は神経毒性薬物に対する神経保護を提供するための医薬の製造における、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;及び(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと
の使用に関する。
【0211】
一実施形態では、本発明は、再灌流傷害の治療及び/又は予防における使用のための、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
を含む組合せに関する。
【0212】
1つの好ましい実施形態では、本発明は、再灌流傷害の治療及び/又は予防における使用のための、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも2つと
を含む組合せに関する。
【0213】
別の実施形態では、本発明は、再灌流傷害の治療及び/又は予防における使用のための、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
を含む医薬組成物に関する。
【0214】
別の好ましい実施形態では、本発明は、再灌流傷害の治療及び/又は予防における使用のための、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと
を含む組合せを含む医薬組成物に関する。
【0215】
別の実施形態では、本発明は、再灌流傷害の治療及び/又は予防における使用のための、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
を含む医薬製品であって、
成分は、同時の、連続の、又は別々の投与用である、医薬製品に関する。
【0216】
別の好ましい実施形態では、本発明は、再灌流傷害の治療及び/又は予防における使用のための、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと
を含む医薬製品であって、
成分は、同時の、連続の、又は別々の投与用である、医薬製品に関する。
【0217】
別の実施形態では、本発明は、再灌流傷害の治療及び/又は予防用の医薬の製造における、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
の使用に関する。
【0218】
別の好ましい実施形態では、本発明は、再灌流傷害の治療及び/又は予防用の医薬の製造における、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;及び(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと
の使用に関する。
【0219】
1つの好ましい実施形態では、本発明は、虚血の治療及び/又は予防における使用のための、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
を含む組合せに関する。
【0220】
1つの好ましい実施形態では、本発明は、虚血の治療及び/又は予防における使用のための、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと
を含む組合せに関する。
【0221】
別の実施形態では、本発明は、虚血の治療及び/又は予防における使用のための、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
を含む組合せを含む医薬組成物に関する。
【0222】
別の好ましい実施形態では、本発明は、虚血の治療及び/又は予防における使用のための、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;及び(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと
を含む組合せを含む医薬組成物に関する。
【0223】
別の実施形態では、本発明は、虚血の治療及び/又は予防における使用のための、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
を含む医薬製品であって、
成分は、同時の、連続の、又は別々の投与用である、医薬製品に関する。
【0224】
別の好ましい実施形態では、本発明は、虚血の治療及び/又は予防における使用のための、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;及び(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと
を含む医薬製品であって、
成分は、同時の、連続の、又は別々の投与用である、医薬製品に関する。
【0225】
別の実施形態では、本発明は、虚血の治療及び/又は予防用の医薬の製造における、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
の使用に関する。
【0226】
別の好ましい実施形態では、本発明は、虚血の治療及び/又は予防用の医薬の製造における、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと
の使用に関する。
【0227】
1つの好ましい実施形態では、本発明は、脳卒中の治療及び/又は予防における使用のための、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
を含む組合せに関する。
【0228】
1つの好ましい実施形態では、本発明は、脳卒中の治療及び/又は予防における使用のための、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと
を含む組合せに関する。
【0229】
別の実施形態では、本発明は、脳卒中の治療及び/又は予防における使用のための、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
を含む組合せを含む医薬組成物に関する。
【0230】
別の好ましい実施形態では、本発明は、脳卒中の治療及び/又は予防における使用のための、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;及び(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと
を含む組合せを含む医薬組成物に関する。
【0231】
別の実施形態では、本発明は、脳卒中の治療及び/又は予防における使用のための、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
を含む医薬製品であって、
成分は、同時の、連続の、又は別々の投与用である、医薬製品に関する。
【0232】
別の好ましい実施形態では、本発明は、脳卒中の治療及び/又は予防における使用のための、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;及び(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと
を含む医薬製品であって、
成分は、同時の、連続の、又は別々の投与用である、医薬製品に関する。
【0233】
別の実施形態では、本発明は、脳卒中の治療及び/又は予防用の医薬の製造における、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
の使用に関する。
【0234】
別の好ましい実施形態では、本発明は、脳卒中の治療及び/又は予防用の医薬の製造における、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと
の使用に関する。
【0235】
1つの好ましい実施形態では、脳卒中は出血性脳卒中である。
【0236】
別の好ましい実施形態では、脳卒中は虚血性脳卒中である。
【0237】
本明細書で使用される場合、「再灌流傷害」という用語は、虚血期間後に組織に血液供給が戻るときに引き起こされる組織への損傷を指す。血液からの酸素及び栄養素がないことにより、循環の回復が、正常な機能の回復よりもむしろ、酸化的ストレスの誘発を介して炎症、ミトコンドリア機能不全及び酸化的損傷をもたらす状態が創出される。再灌流傷害は、自然に発生する事象、例えば動脈閉塞又は計画された事象、例えばいくつかの外科的介入のいずれかの後に発生し得る。心筋再灌流傷害は、例えば心筋梗塞後、又は心臓移植の結果として発生し得る。脳再灌流傷害は、例えば、虚血性脳卒中後に又は新生児仮死の結果として発生し得る。
【0238】
一実施形態では、虚血及び/又は再灌流傷害は、脳、心臓、肺、腎臓又は虚血及び/若しくは再灌流傷害になりやすい他の器官/組織の虚血及び/又は再灌流傷害である。
【0239】
一実施形態では、虚血及び/又は再灌流傷害は、脳の虚血及び/又は再灌流傷害、好ましくは脳虚血及び/又は脳再灌流傷害である。
【0240】
一実施形態では、虚血及び/又は再灌流傷害は、心臓の虚血及び/又は再灌流傷害、好ましくは心筋虚血及び/又は心筋再灌流傷害である。
【0241】
一実施形態では、本発明は、神経変性障害の治療及び/又は予防における使用のための、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
を含む組合せに関する。
【0242】
1つの好ましい実施形態では、本発明は、神経変性障害の治療及び/又は予防における使用のための、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも2つと
を含む組合せに関する。
【0243】
別の実施形態では、本発明は、神経変性障害の治療及び/又は予防における使用のための、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
を含む医薬組成物に関する。
【0244】
別の好ましい実施形態では、本発明は、神経変性障害の治療及び/又は予防における使用のための、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと
を含む組合せを含む医薬組成物に関する。
【0245】
別の実施形態では、本発明は、神経変性障害の治療及び/又は予防における使用のための、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
を含む医薬製品であって、
成分は、同時の、連続の、又は別々の投与用である、医薬製品に関する。
【0246】
別の好ましい実施形態では、本発明は、神経変性障害の治療及び/又は予防における使用のための、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと
を含む医薬製品であって、
成分は、同時の、連続の、又は別々の投与用である、医薬製品に関する。
【0247】
別の実施形態では、本発明は、神経変性障害の治療及び/又は予防用の医薬の製造における、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
の使用に関する。
【0248】
別の好ましい実施形態では、本発明は、神経変性障害の治療及び/又は予防用の医薬の製造における、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと
の使用に関する。
【0249】
1つの好ましい実施形態では、神経変性障害は、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS,amyotrophic lateral sclerosis)、ハンチントン病、及びアルツハイマー病から選択される。
【0250】
1つの好ましい実施形態では、神経変性障害は、パーキンソン病である。
【0251】
1つの好ましい実施形態では、神経変性障害は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)である。
【0252】
1つの好ましい実施形態では、神経変性障害は、血管性認知症である。
【0253】
1つの好ましい実施形態では、神経変性障害は、アルツハイマー病である。
【0254】
インスリンモジュレーター、アルドステロンアンタゴニスト、及びスルホニル尿素は、(投薬レジメンの部分としての)同時の、連続の、又は別々の投与用であってもよい。
【0255】
エキセナチド又はその構造的若しくは機能的アナログ又はその薬学的に許容される塩、カンレノ酸カリウム又はその構造的若しくは機能的アナログ、並びにグリベンクラミド又はその構造的若しくは機能的アナログ又は薬学的に許容される塩は、(投薬レジメンの部分としての)同時の、連続の、又は別々の投与用であってもよい。
【0256】
本明細書で使用される場合、「同時に」は、2つの薬剤が同時進行で投与されることを意味するために使用される。
【0257】
本明細書で使用される場合、「連続して」は、活性薬剤が同時進行で投与されないが、一方が他方の後に投与されることを意味するために使用される。したがって、「連続の」投与では、最初に投与される薬剤の循環半減期が、一方の薬剤及び他方が治療有効量で両方とも同時進行で存在するようなものである限り、一方の薬剤が他方の後5分、10分又はおよそ数時間以内に投与されることが可能になり得る。これらの成分の投与間の時間遅延は、これらの成分の正確な性質、それらの間の相互作用及びそれらの各々の半減期によって変化する。
「連続して」とは対照的に、「別々に」は、一方の薬剤及び他方の投与間の間隙が顕著であること、すなわち、最初に投与される薬剤は、第2の薬剤が投与されたときもはや、治療有効量で血流中に存在しない場合があることを意味するために本明細書で使用される。
【0258】
一実施形態では、組合せの成分は、同時投与用である。
【0259】
治療方法
別の態様では、本発明は、虚血及び/又は再灌流傷害を治療及び/又は予防する方法であって、対象に、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
を同時に、連続的に又は別々に投与することを含む方法に関する。
【0260】
別の好ましい実施形態では、本発明は、虚血及び/又は再灌流傷害を治療及び/又は予防する方法であって、虚血及び/又は再灌流傷害のそれを必要とする対象に、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;及び(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと
を同時に、連続的に又は別々に投与することを含む方法に関する。
【0261】
一実施形態では、本発明は、再灌流傷害を治療及び/又は予防する方法であって、それを必要とする対象に、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
を同時に、連続的に又は別々に投与することを含む方法に関する。
【0262】
1つの好ましい実施形態では、本発明は、再灌流傷害を治療及び/又は予防する方法であって、それを必要とする対象に、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;及び(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと
を同時に、連続的に又は別々に投与することを含む方法に関する。
【0263】
別の実施形態では、本発明は、虚血を治療及び/又は予防する方法であって、虚血の治療及び/又は予防を必要とする対象に、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
を同時に、連続的に又は別々に投与することを含む方法に関する。
【0264】
別の実施形態では、本発明は、虚血を治療及び/又は予防する方法であって、それを必要とする対象に、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;及び(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと
を同時に、連続的に又は別々に投与することを含む方法に関する。
【0265】
一実施形態では、本方法は、脳、心臓、肺、腎臓又は虚血及び/若しくは再灌流傷害になりやすい他の器官/組織の虚血及び/又は再灌流傷害を治療及び/又は予防することに関する。
【0266】
一実施形態では、本方法は、脳、心臓、肺、腎臓又は再灌流傷害になりやすい他の器官/組織の再灌流傷害を治療及び/又は予防することに関する。
【0267】
一実施形態では、本方法は、脳、心臓、肺、腎臓又は虚血になりやすい他の器官/組織の虚血を治療及び/又は予防することに関する。
【0268】
別の実施形態では、本方法は、脳の虚血及び/又は再灌流傷害、好ましくは脳虚血及び/又は脳再灌流傷害を治療及び/又は予防することに関する。
【0269】
別の実施形態では、本方法は、脳の再灌流傷害、好ましくは脳再灌流傷害を治療及び/又は予防することに関する。
【0270】
別の実施形態では、本方法は、心臓の虚血及び/又は再灌流傷害、好ましくは心筋虚血及び/又は心筋再灌流傷害を治療及び/又は予防することに関する。
【0271】
別の実施形態では、本方法は、心臓の再灌流傷害、好ましくは心筋再灌流傷害を治療及び/又は予防することに関する。
【0272】
1つの特に好ましい実施形態では、本方法は、急性心筋梗塞を治療及び/又は予防することに関する。急性心筋梗塞は、再灌流傷害の最も一般的な臨床的適応症の1つである。
【0273】
1つの特に好ましい実施形態では、本方法は、脳卒中を治療及び/又は予防することに関する。
【0274】
1つの好ましい実施形態では、脳卒中は出血性脳卒中である。
【0275】
1つの特に好ましい実施形態では、本方法は、虚血性脳卒中を治療及び/又は予防することに関する。虚血性脳卒中は、再灌流傷害の最も一般的な臨床的適応症の1つである。
【0276】
別の実施形態では、本方法は、新生児仮死を治療及び/又は予防することに関する。
【0277】
新生児仮死(又は周産期仮死)は、出生過程中に、身体的損害を引き起こすほど長く続く、新生児への、通常脳への酸素の欠乏から生じる医学的状態である。新生児仮死の最も一般的な原因は、例えば不十分な循環若しくは灌流、呼吸努力の減損又は不十分な換気のための、分娩中の母体の血圧降下又は乳児の脳への血流に対する他の妨害である。
【0278】
新生児仮死は、乳児の器官(心臓、肺、肝臓、消化管、腎臓)のほとんどに低酸素損傷を引き起こし得るが、脳損傷は最も重大であり、おそらく即座に、又は完全に治癒する可能性が最も低い。より深刻な症例では、乳児は生存するが、脳への損傷は、発育遅延若しくは知的障害などの精神的障害又は痙縮などの身体的障害のいずれかとして現れる。重度の周産期仮死に罹患している乳児は通常、色が悪く(チアノーゼ)、灌流が不十分であり、応答性が不十分であり、筋緊張が不十分であり、呼吸努力が不十分である。過度の仮死は、心停止及び死亡を引き起こす可能性がある。新生児仮死は、満期で出生した新生児1000人当たり2~10人で、早産で出生した新生児についてはより多い例で発生している。WHOは、出生時仮死が原因で毎年400万人の新生児死亡が発生しており、これは5歳未満の子供の死亡の38%に相当すると推定している。
【0279】
別の実施形態では、本方法は、心臓の虚血、好ましくは心筋虚血を治療及び/又は予防することに関する。
【0280】
別の実施形態では、本発明は、脳卒中を治療及び/又は予防する方法であって、それを必要とする対象に、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
を同時に、連続的に又は別々に投与することを含む方法に関する。
【0281】
別の実施形態では、本発明は、脳卒中を治療及び/又は予防する方法であって、それを必要とする対象に、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;及び(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと
を同時に、連続的に又は別々に投与することを含む方法に関する。
【0282】
別の実施形態では、本発明は、神経変性疾患を治療及び/又は予防する方法であって、それを必要とする対象に、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
を同時に、連続的に又は別々に投与することを含む方法に関する。
【0283】
別の実施形態では、本発明は、神経変性疾患を治療及び/又は予防する方法であって、それを必要とする対象に、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;及び(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと
を同時に、連続的に又は別々に投与することを含む方法に関する。
【0284】
別の実施形態では、本発明は、神経保護を提供する方法であって、それを必要とする対象に、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
を同時に、連続的に又は別々に投与することを含む方法に関する。
【0285】
別の実施形態では、本発明は、神経保護を提供する方法であって、それを必要とする対象に、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;及び(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと
を同時に、連続的に又は別々に投与することを含む方法に関する。
【0286】
一実施形態では、対象は哺乳動物、より好ましくはヒトである。
【0287】
一実施形態では、本方法は、成分を対象に非経口的に(例えば、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内又は皮下に)投与することを含む。組合せの医薬活性成分は、別々に又は組み合わせた製剤として投与することができる。好ましくは、医薬活性成分は別々に投与される。
【0288】
別の実施形態では、本方法は、成分を対象に静脈内、筋肉内、又は皮下投与することを含む。
【0289】
別の実施形態では、本方法は、成分を対象に静脈内投与することを含む。
【0290】
各成分は、他の成分と同じか又は異なる経路により投与することができる。好ましくは、成分は、同じ経路により投与される。
【0291】
一実施形態では、組合せは、心臓移植前に、及び/又は心臓移植中に、及び/又は心臓移植後にドナー対象及び/又はレシピエント対象に投与される。例えば、いくつかの実施形態では、本組合せは、心臓器官が第2の対象への移植のために除去される第1の対象に投与され得る。追加的又は代替的に、いくつかの実施形態では、本組合せは、第2の対象への導入前に、抽出された心臓器官に投与される。追加的又は代替的に、いくつかの実施形態では、本組合せ療法は、心臓移植前に、心臓移植中に、及び/又は心臓移植後に第2の対象に投与される。
【0292】
一実施形態では、組合せは、脳卒中を有する対象への投与用である。脳卒中は、脳への血流が不十分で、細胞死を引き起こすことである。脳卒中には主に2つのタイプがある:血流不足による虚血性及び出血による出血性である。その結果、脳の一部が適切に機能しなくなる。脳卒中の兆候及び症状としては、とりわけ、体の片側を動かしたり感じたりすることができないこと、理解や話し方の問題、世界が回転しているように感じること、片側の視力が失われることが挙げられる。虚血性脳卒中は通常、血管の閉塞によって引き起こされる。虚血性脳卒中治療には、狭窄が問題である患者の脳への動脈を開く(再灌流)ための手術が含まれる。虚血性脳卒中は、3~4時間半以内に検出された場合、血栓を破壊する可能性のある医薬で治療できる場合がある。2013年、脳卒中は冠状動脈疾患に次いで2番目に多い死因であり、640万人(全体の12%)を占めた。
【0293】
虚血性脳卒中及び急性心筋梗塞は、機能についてのアウトカムを改善するために緊急再灌流を必要とする(Patel and Saver, 2013, Stroke,44: 94-98)。静脈内組織型プラスミノーゲン活性化因子は、長きにわたり、急性虚血性脳卒中を有する患者に臨床的利益が証明されている唯一の再灌流療法であった。急性心筋梗塞でそうなるように、急性虚血性脳卒中における再灌流を回復する血管内方法は、患者を虚血/再灌流傷害の増大にさらし、それによって、両方とも再灌流傷害のマーカーと考えられる出血性形質転換と重度の血管原性浮腫が促進されることにより、再開通の利益が妨げられる場合がある(Bai and Lyden. 2015; Int J Stroke,10: 143-152)。実験的証拠は、脳虚血性再灌流傷害が(心筋再灌流傷害でそうなるように)、虚血性のプレコンディショニング及びポストコンディショニングによって弱められる場合があることを示している。グリベンクラミドは、ラットにおける重度の脳卒中後の早期低体温の療法的利益を高めることが示された(Zhu S, et al. Aging Dis. 2018; 9: 685-695)。加えて、脳卒中(中大脳動脈閉塞)の臨床的に関連するラットモデルでは、再灌流が4.5時間後に開始され、同時に組換え組織プラスミノーゲン活性化因子が投与され、これに、虚血の発症後4.5時間又は10時間から開始されるグリベンクラミド(10μg/kgのIP負荷用量プラス200ng/時間での一定の皮下注入)投与が続き;グリベンクラミドは、24時間及び48時間時点の死亡で半球の腫脹を有意に減少させ、48時間時点でガルシアスコアを改善させ、このことは、グリベンクラミドの治療期間が虚血発症後10時間に及ぶことを示唆している。この知見は、スルホニル尿素の使用が急性虚血性脳卒中後のrt-PA支援再開通/再灌流の文脈において有益であることを示唆する遡及的臨床研究の観察と一致している(Simard, JM, et al. Ann. N. Y. Acad. Sci. 2012; 1268: 95-107)。
【0294】
一実施形態では、組合せは、心原性ショックを有する対象への投与用である。心原性ショックは、心臓の心室の有効な機能の一次不全により血液循環が不十分なことから生じる生命を脅かす医学的状態である。この状態は、心筋梗塞のために入院した患者の2~10%で発生し、これらの患者の中で主要な死亡原因である(Holmes et al, 1995, J Am Coll Cardiol, 26: 668-674)。より具体的には、心原性ショックは、心臓ポンプ不全により開始される、酸素送達の不全、全身性ATP欠乏及び多器官機能障害を伴う複雑なプロセスの結果である(Okuda, 2006, Shock, 25: 557-570)。これは循環性ショックの一種であるため、組織の灌流は、酸素及び栄養素についての要求を満たすには不十分である。この状態は、酸素欠乏(低酸素症)及び栄養素欠乏(例えば低血糖)からますますより広汎性の細胞死を伴う。このため、この状態は、心臓ポンプ機能の急な停止である心停止(又は循環停止)(並びに呼吸停止及び意識喪失)を引き起こすことがある。心原性ショックは、適切な左心室充満圧にもかかわらず、組織の低灌流を伴う低血圧の維持により定義される。組織の低灌流の徴候としては、低尿産生(30mL/時間 未満)、四肢の冷え及び意識レベルの変化が挙げられる。いくつかの大規模な試験は、冠血行再建が、患者の生存を改善するための最も重要な戦略であることを示した(Hochman et al, 1999, N Engl J Med,341: 625-634)。しかし、急激な血行再建にもかかわらず心原性ショックを発症した患者は、おそらく再灌流傷害による可能性が高く、結果として生じる梗塞サイズに関連すると考えられる予後不良を有する。実際に、低体温法は、心筋虚血で組織保護を提供することが示されており、前臨床研究は、実験的に誘発した心筋梗塞における梗塞サイズを縮小する上で有益な結果を示している(Dae et al, 2002, Am J Physiol Heart Circ Physiol, 282: H1584-H1591)。したがって、ブタモデルでは、軽度の療法的低体温法は、心原性ショックにおける急性死亡を低減し、血流力学パラメータを改善した(Gotberg et al, 2010,Resuscitation, 81: 1190-96)。
【0295】
一実施形態では、組合せは、心停止を有する対象への投与用である。心停止は、心臓の有効な収縮の不全による有効な血流の突然の停止である。心停止の最も一般的な原因は、冠動脈疾患である。心停止の治療は、即時の心肺蘇生法(CPR,cardiopulmonary resuscitation)であり、衝撃を与えられる律動が存在する場合は、除細動法である。米国では、病院外での心停止は、1年に10,000人当たり約13人に発生する(326,000症例)。院内心停止は、さらに209,000人に発生する(Kronick et al, Circulation, 2015, 132: S397-S413)。質の高い心肺蘇生法を提供することに加えて、蘇生後症候群の管理を最適化することは心停止患者の長期アウトカムを改善するために決定的に重要である。この症候群(「蘇生後症候群」)では、3つの主要な重点領域:(1)心停止後脳傷害;(2)心停止後心筋機能不全及び再灌流傷害;並びに(3)全身虚血再灌流応答がある。蘇生後ケアは生存者の長期生存並びに心筋及び神経回復及び機能に影響し得ることが現在明らかである(Kem, 2015, Circ J, 79: 1156-1163)。
【0296】
一実施形態では、対象は、血管閉塞損傷又は心臓虚血再灌流損傷のリスクがある(又はこれらになりやすい)。
【0297】
一実施形態では、組合せは、対象における神経保護を提供する際に使用するためのもの、又は神経保護を提供する方法のためのものである。
【0298】
本明細書で使用される場合、「神経保護」という用語は、例えば、ニューロンの死及びアルツハイマー病、パーキンソン病又は血管性認知症などの神経変性障害につながる場合のある脳損傷を予防、低減又は遅延させることによって、脳を含む神経実体を保護することを指す。
【0299】
一実施形態では、組合せは、薬物の神経毒性効果に対して対象における神経保護を提供する際に使用するためのもの、又は神経保護を提供する方法のためのものである。神経毒性薬物の例は、Gouzoulis-Mayfrank and Daumann (Dialogues Clin Neurosci. 2009; 11(3): 305-17)によって説明されている。神経毒性薬物には、乱用薬物(例えば、3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン、メタンフェタミン、及びアンフェタミン)、殺虫剤(例えば、有機リン系殺虫剤)、ある特定の化学療法(例えば、白金)、及びドーパミンが含まれる。
【0300】
一実施形態では、特許請求されている組合せは、薬物(例えば、アントラサイクリン)の心毒性効果に対して対象に心臓保護を提供する際に使用するためのもの、又は心臓保護を提供する方法のためのものである。心毒性薬物の例は、Bovelli et al (Annals of Oncology 21 (Supplement5): v277-v282, 2010)に記載されている。
【0301】
本明細書で使用される場合、「心臓保護」という用語は、例えば、心筋傷害を予防、低減、又は遅延させることによって心臓を保護することを指す。心毒性薬物には、心臓心不全と関連付けられる薬物、虚血又は血栓塞栓症と関連付けられる薬物、高血圧と関連付けられる薬物、他の毒性効果、例としてタンポナーデ及び心内膜心筋線維症、出血性心筋炎、徐脈性不整脈、レイノー現象、自律神経障害、QT延長若しくは多形性心室頻拍又は肺線維症と関連付けられる薬物が含まれる。心毒性薬物の例としては、アントラサイクリン/アントラキノロン、シクロホスファミド、トラスツズマブ及び他のモノクローナル抗体系チロシンキナーゼ阻害剤、代謝拮抗薬(フルオロウラシル、カペシタビン)、微小管阻害剤(パクリタキセル、ドセタキセル)、シスプラチン、サリドマイド、ベバシズマブ、スニチニブ、ソラフェニブ、ブスルファン、パクリタキセル、ビンブラスチン、ブレオマイシン、ビンクリスチン、三酸化ヒ素、ブレオマイシン、及びメトトレキセートが挙げられる。
【0302】
一実施形態では、本成分は、同時に投与される。
【0303】
一実施形態では、本成分は、連続して、又は別々に投与される。
【0304】
3つの成分の組合せについて、すべての3つの成分を同時投与することができ、又は任意の2つの成分を同時投与し、第3の成分を別々に、若しくは連続して投与することができる。あるいは、すべての3つの成分を任意の順序で別々に、又は連続して投与することができる。
【0305】
一実施形態では、スルホニル尿素は、インスリンモジュレーターを連続して、又は別々に投与する前に投与される。
【0306】
別の実施形態では、インスリンモジュレーターは、スルホニル尿素を連続して、又は別々に投与する前に投与される。
【0307】
一実施形態では、スルホニル尿素は、アルドステロンアンタゴニストを連続して、又は別々に投与する前に投与される。
【0308】
一実施形態では、アルドステロンアンタゴニストは、スルホニル尿素を連続して、又は別々に投与する前に投与される。
【0309】
一実施形態では、エキセナチド又はその構造的若しくは機能的アナログ又は薬学的に許容される塩、カンレノ酸カリウム又はその構造的若しくは機能的アナログ、並びにグリベンクラミド又はその構造的若しくは機能的アナログは、連続して、又は別々に投与される。
【0310】
一実施形態では、成分はそれぞれ、個々の成分に関して治療有効量で投与される。
【0311】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、所望の療法的及び/又は予防的効果を達成するのに十分な量、例えば虚血及び/若しくは再灌流傷害又は虚血及び/若しくは再灌流傷害と関連する1つ若しくは2つ以上の症状の予防又はこれらの低減をもたらす量を指す。
【0312】
療法用途又は予防用途の文脈において、対象に投与される組成物の量は、疾患のタイプ及び重症度に、並びに個体の特徴、例えば健康全般、年齢、性別、体重及び薬物への耐性に依存する。また、それは疾患の重症度及びタイプに依存する。当業者は、これら及び他の要因によって適切な投与量を決定することができる。また、本組成物は、1つ又は2つ以上の追加の療法剤との組合せで投与することができる。
【0313】
一実施形態では、成分はそれぞれ、個々の成分に関して治療有効量以下で投与される。
【0314】
一実施形態では、本成分は、対象を再灌流する前に投与される。
【0315】
一実施形態では、本成分は、対象の再灌流中に投与される。
【0316】
一実施形態では、本成分は、対象の再灌流後に投与される。
【0317】
一実施形態では、本成分は、対象の再灌流前及び/又は再灌流中及び/又は再灌流後に投与される。
【0318】
本方法のいくつかの実施形態では、対象に、対象の再灌流前、再灌流中、及び再灌流後にスルホニル尿素を連続的に投与して、再灌流前にボーラス用量としてインスリンモジュレーターを投与する。
【0319】
本方法のいくつかの実施形態では、対象に、対象の再灌流前、再灌流中、及び再灌流後にインスリンモジュレーターを連続的に投与して、再灌流前にボーラス用量としてスルホニル尿素を投与する。
【0320】
本方法のいくつかの実施形態では、対象に、対象の再灌流前、再灌流中、及び再灌流後にスルホニル尿素を連続的に投与して、再灌流前にボーラス用量としてアルドステロンアンタゴニストを投与する。
【0321】
本方法のいくつかの実施形態では、対象に、対象の再灌流前、再灌流中、及び再灌流後にアルドステロンアンタゴニストを連続的に投与して、再灌流前にボーラス用量としてスルホニル尿素を投与する。
【0322】
本方法のいくつかの実施形態では、対象に、対象の再灌流前、再灌流中、及び再灌流後に成分を連続的に投与する。
【0323】
本方法のいくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の成分の追加の投与が、再灌流後に発生し得る。好ましくは、この反復投与は、少なくとも2回、より好ましくは2~100回実施されるか、又は連続注入の形態であり得る。
【0324】
本方法のいくつかの実施形態では、対象は、再灌流前にボーラス用量として成分を投与される。
【0325】
本方法のいくつかの実施形態では、対象は、再灌流中にボーラス用量として成分を投与される。
【0326】
本方法のいくつかの実施形態では、対象は、再灌流後にボーラス用量として成分を投与される。
【0327】
本明細書で使用される場合、「再灌流」は、血流が減少又は遮断された任意の器官又は組織への血流の回復である。例えば、血流は、虚血又は低酸素により影響を受けた任意の器官又は組織へ回復することができる。血流の回復(再灌流)は、当業者に既知の任意の方法により発生する可能性がある。例えば、虚血心組織の再灌流は、血行再建から生じ得る。
【0328】
一実施形態では、再灌流は、血行再建術により達成される。一実施形態では、血行再建術は、経皮的冠動脈形成術;バルーン血管形成術;バイパス移植片の挿入;ステントの挿入;方向性冠動脈粥腫切除術;1つ又は2つ以上の血栓溶解剤での治療;及び閉塞の除去からなる群から選択される。
【0329】
一実施形態では、1つ又は2つ以上の血栓溶解剤は、組織プラスミノーゲン活性化因子;ウロキナーゼ;プロウロキナーゼ;ストレプトキナーゼ;プラスミノーゲンのアシル化形態;プラスミンのアシル化形態;及びアシル化ストレプトキナーゼ-プラスミノーゲン複合体からなる群から選択される。
【0330】
投与量
当業者は、過度の実験を行うことなく、対象に投与する本組成物のうちの1つの適切な用量を容易に決定することができる。典型的に、医師は、個々の患者に最も適切であろう実際の投与量を決定し、それは、使用される特定の化合物の活性、その化合物の作用の代謝安定性及び長さ、年齢、体重、健康全般、性別、食事、投与の様式及び時間、排出速度、薬物の組合せ、特定の状態の重症度並びに個々の継続中の療法を含む様々な要因に依存する。本明細書で開示される投与量は、平均的な症例の例である。もちろん、より高い、又はより低い投与量範囲が利点を有する個々の場合があってもよく、このような場合は本発明の範囲内である。
【0331】
本発明の1つの非常に好ましい実施形態では、本組合せ中のインスリンモジュレーター(例えばエキセナチド)の用量は、一般に、その現在承認されている療法の文脈における単剤療法で典型的に使用される用量より低く、及び/又は再灌流傷害の文献で報告されている一般的な用量より低い。
【0332】
本発明の1つの非常に好ましい実施形態では、本組合せ中のアルドステロンアンタゴニスト(例えばカンレノ酸カリウム)の用量は、一般に、その現在承認されている療法の文脈における単剤療法で典型的に使用される用量より低く、及び/又は再灌流傷害の文献で報告されている一般的な用量より低い。
【0333】
本発明の1つの非常に好ましい実施形態では、本組合せ中のスルホニル尿素(例えばグリベンクラミド)の用量は、一般に、その現在承認されている療法の文脈における単剤療法で典型的に使用される用量より低く、及び/又は再灌流傷害の文献で報告されている一般的な用量より低い。
【0334】
特許請求されている組合せの各成分は、単位剤形、すなわち、単位用量を含有する別個の部分の形態、又は単位用量の複数又はサブユニットの形態で製剤化してもよい。本明細書に記載の投与量は、上記の医学的使用のそれぞれに適用可能である。
【0335】
本願において特許請求されている組合せで使用される場合、インスリンモジュレーター(例えば、エキセナチド)は、好ましくは、約0.001~約1.5μg/kg、より好ましくは約0.005~約0.15μg/kgの用量で投与される。1つの好ましい実施形態では、インスリンモジュレーター(例えば、エキセナチド)は、好ましくは、約0.01~約1.5μg/kg、より好ましくは約0.05~約1.5μg/kgの用量で投与される。本明細書で使用される場合、インスリンモジュレーターの投与量は、μg/kg体重(μg=マイクログラム)である。
【0336】
1つの好ましい実施形態では、インスリンモジュレーター(例えば、エキセナチド)は、好ましくは約0.01~約0.5μg/kg、より好ましくは約0.02~約0.5μg/kg、又は約0.03~約0.5μg/kg、又は約0.04~約0.5μg/kg、又は約0.05~約0.5μg/kg、又は約0.05~約0.2μg/kg、又は約0.05~約0.15μg/kgの用量で投与される。
【0337】
1つの好ましい実施形態では、インスリンモジュレーター(例えば、エキセナチド)は、好ましくは約0.01~約0.1μg/kg、より好ましくは約0.02~約0.08μg/kg、又は約0.03~約0.07μg/kg、又は約0.04~約0.06μg/kgの用量で、又は約0.05μg/kgの用量で投与される。
【0338】
本願において特許請求されている組合せで使用される場合、アルドステロンアンタゴニスト(例えば、カンレノ酸カリウム)は、好ましくは、約0.03~約10mg/kg、又は約0.1~約10mg/kg、又は約0.3~約5mg/kg、又は約1~約10mg/kg、又は約1~約5mg/kg、又は約1~約3mg/kgの用量で投与される。本明細書で使用される場合、アルドステロンアンタゴニストの投与量は、mg/kg体重単位である。
【0339】
1つの好ましい実施形態では、アルドステロンアンタゴニスト(例えば、カンレノ酸カリウム)は、好ましくは、約0.1~約3mg/kg、又は約0.2~約2mg/kg、又は約0.3~約1.5mg/kg、又は約0.3~約1mg/kgの用量で投与される。
【0340】
1つの好ましい実施形態では、アルドステロンアンタゴニスト(例えば、カンレノ酸カリウム)は、好ましくは、約0.1~約0.5mg/kg、又は約0.2~約0.5mg/kg、より好ましくは約0.2~約0.4mg/kg、さらにより好ましくは約0.3~約0.4mg/kgの用量で投与される。
【0341】
本願において特許請求されている組合せで使用される場合、スルホニル尿素(例えば、グリベンクラミド)は、好ましくは、約0.001~約30μg/kg、より好ましくは約0.01~約5μg/kg、さらにより好ましくは約0.01~約2μg/kgの用量で投与される。本明細書で使用される場合、スルホニル尿素の投与量は、μg/kg体重単位である。
【0342】
1つの好ましい実施形態では、スルホニル尿素(例えば、グリベンクラミド)は、好ましくは、約0.5~約20μg/kg、又は約0.5~約15μg/kg、又は約0.5~約10μg/kg、又は約1~約10μg/kgの用量で投与される。
【0343】
1つの好ましい実施形態では、スルホニル尿素(例えば、グリベンクラミド)は、好ましくは、約0.5~約8μg/kg、又は約0.5~約7μg/kg、又は約0.5~約6μg/kg、又は約0.5~約5μg/kgの用量で投与される。1つの好ましい実施形態では、スルホニル尿素(例えば、グリベンクラミド)は、好ましくは、約0.5~約3μg/kg、又は約0.5~約2μg/kg、又は約0.5~約1.5μg/kg、又は約0.8~約1.2μg/kgの用量で、又は約1μg/kgで投与される。
【0344】
1つの非常に好ましい実施形態では、組合せは、それぞれの医薬活性成分の所定の投与量を含む固定用量の組合せであり、これにより、例えば、上記の投与量、例えば、約0.005~約0.15μg/kgのエキセナチドと、約0.001~約30μg/kgのグリベンクラミドとを対象に投与することが可能になる。
【0345】
好ましくは、固定用量の組合せは、以下の用量を対象に投与することが可能になるための、それぞれの医薬活性成分の所定の用量を含む。
【0346】
1つの非常に好ましい実施形態では、組合せは、約0.01~約0.5μg/kgのエキセナチドと、約0.5~約20μg/kgのグリベンクラミドとを含む固定用量の組合せである。
【0347】
1つの非常に好ましい実施形態では、組合せは、約0.01~約0.1μg/kgのエキセナチドと、約0.5~約8μg/kgのグリベンクラミドとを含む固定用量の組合せである。
【0348】
1つの非常に好ましい実施形態では、組合せは、約0.01~約0.1μg/kgのエキセナチドと、約0.5~約1.5μg/kgのグリベンクラミドとを含む固定用量の組合せである。
【0349】
1つの非常に好ましい実施形態では、組合せは、例えば、約0.03~約10mg/kgのカンレノ酸カリウムと約0.001~約30μg/kgのグリベンクラミドそれぞれの成分の所定の投与量を含む固定用量の組合せである。
【0350】
1つの非常に好ましい実施形態では、組合せは、約0.1~約3mg/kgのカンレノ酸カリウムと約0.5~約20μg/kgのグリベンクラミドとを含む固定用量の組合せである。
【0351】
1つの非常に好ましい実施形態では、組合せは、約0.1~約0.5mg/kgのカンレノ酸カリウムと約0.5~約8μg/kgのグリベンクラミドとを含む固定用量の組合せである。
【0352】
1つの非常に好ましい実施形態では、組合せは、約0.1~約0.5mg/kgのカンレノ酸カリウムと約0.5~約1.5μg/kgのグリベンクラミドとを含む固定用量の組合せである。
【0353】
1つの非常に好ましい実施形態では、組合せは、例えば、約0.03~約10mg/kgのカンレノ酸カリウムと、約0.001~約30μg/kgのグリベンクラミドと、約0.005~約0.15μg/kgのエキセナチドそれぞれの成分の所定の投与量を含む固定用量の組合せである。
【0354】
1つの非常に好ましい実施形態では、組合せは、約0.1~約3mg/kgのカンレノ酸カリウムと、約0.5~約20μg/kgのグリベンクラミドと、約0.01~約0.5μg/kgのエキセナチドとを含む固定用量の組合せである。
【0355】
1つの非常に好ましい実施形態では、組合せは、約0.1~約0.5mg/kgのカンレノ酸カリウムと、約0.5~約8μg/kgのグリベンクラミドと、約0.01~約0.1μg/kgのエキセナチドとを含む固定用量の組合せである。
【0356】
1つの非常に好ましい実施形態では、組合せは、約0.1~約0.5mg/kgのカンレノ酸カリウムと、約0.5~約1.5μg/kgのグリベンクラミドと、約0.01~約0.1μg/kgのエキセナチドとを含む固定用量の組合せである。
【0357】
1つの非常に好ましい実施形態では、組合せは、約0.05μg/kgのエキセナチドと、1μg/kgのグリベンクラミドとを含む固定用量の組合せである。
【0358】
1つの非常に好ましい実施形態では、組合せは、約0.33mg/kgのカンレノ酸カリウムと、約1μg/kgのグリベンクラミドとを含む固定用量の組合せである。
【0359】
1つの非常に好ましい実施形態では、組合せは、約0.05μg/kgのエキセナチドと、約0.33mg/kgのカンレノ酸カリウムと、約1μg/kgのグリベンクラミドとを含む固定用量の組合せである。
【0360】
非療法的使用
別の態様では、本発明は、移植前又は移植中のエクスビボ器官における虚血及び/又は再灌流傷害を治療及び/又は予防するための、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
を含む組合せの使用に関する。
【0361】
別の好ましい実施形態では、本発明は、移植前又は移植中のエクスビボ器官における虚血及び/又は再灌流傷害を治療及び/又は予防するための、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;及び(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと
を含む組合せの使用に関する。
【0362】
一実施形態では、本発明は、移植前又は移植中のエクスビボ器官における再灌流傷害を治療及び/又は予防するための、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
を含む組合せの使用に関する。
【0363】
1つの好ましい実施形態では、本発明は、移植前又は移植中のエクスビボ器官における再灌流傷害を治療及び/又は予防するための、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと
を含む組合せの使用に関する。
【0364】
一実施形態では、本発明は、移植前又は移植中のエクスビボ器官における虚血を治療及び/又は予防するための、
(a)スルホニル尿素と;
(b)以下の成分:(i)インスリンモジュレーター、及び(ii)アルドステロンアンタゴニスト;のうちの少なくとも1つと
を含む組合せの使用に関する。
【0365】
1つの好ましい実施形態では、本発明は、移植前又は移植中のエクスビボ器官における虚血を治療及び/又は予防するための、
(a)グリベンクラミド、又はその構造的若しくは機能的アナログと;
(b)以下の成分:(i)エキセナチド、又はその構造的若しくは機能的アナログ、又はその薬学的に許容される塩;及び(ii)カンレノ酸カリウム、又はその構造的若しくは機能的アナログ;のうちの少なくとも1つと
を含む組合せの使用に関する。
【0366】
エクスビボ(体から除去された)器官は血流の欠乏のために再灌流傷害を受けやすい場合がある。したがって、本発明の組合せは、除去された器官において再灌流傷害を予防するために使用することができる。好ましくは、この器官は、心臓、肝臓又は腎臓、より好ましくは心臓である。
【0367】
いくつかの実施形態では、除去された器官は、本発明の組合せを含有する、本分野で一般的に使用される溶液などの標準の緩衝液中に入れられる。例えば、除去された心臓は、エキセナチド、カンレノ酸カリウム、及びグリベンクラミドを含有する心臓麻痺性溶液中に入れることができる。標準の緩衝液中で有用なエキセナチド、カンレノ酸カリウム、及びグリベンクラミドの濃度は、当業者が容易に決定することができる。そのような濃度は、例えば約0.1nM~約10μM、好ましくは約1nM~約10μMであってもよい。
【0368】
本発明は、添付の非限定的実施例、及び以下の図を参照してさらに説明される:
【図面の簡単な説明】
【0369】
図1】一過性中大脳動脈閉塞のラットモデルにおける、低用量の三重の組合せ(治療S)の反復投与(7日間)後の7日目の相対脳梗塞体積(%)対パートI及びパートIIの対照動物、並びに対応する単剤療法(治療A、E、及びI)及び対応する二重の組合せ(治療M、N、及びO)を受けた動物における7日目の相対脳梗塞体積(%)を示す。治療A:エキセナチド0.05μg/Kg(n=4);治療E:カンレノ酸カリウム0.33mg/Kg(n=3);治療I:グリベンクラミド1μg/Kg(n=4);治療M:エキセナチド0.05μg/Kg及びカンレノ酸カリウム0.33mg/Kg(n=13);治療N:エキセナチド0.05μg/Kg及びグリベンクラミド1μg/Kg(n=12);治療O:カンレノ酸カリウム0.33mg/Kg及びグリベンクラミド1μg/Kg(n=11);治療S:エキセナチド0.05μg/Kg及びカンレノ酸カリウム0.33mg/Kg及びグリベンクラミド1μg/Kg(n=7)。対照パートI(n=6);対照動物パートII(n=5)。
図2】一過性中大脳動脈閉塞のラットモデルにおける、低用量の三重の組合せ(治療S)の反復投与(7日間)後の2日目の修正神経学的重症度スコア対パートI及びパートIIの対照動物、並びに対応する単剤療法(治療A、E、及びI)及び対応する二重の組合せ(治療M、N、及びO)を受けた動物における2日目の修正神経学的重症度スコアを示す。治療A:エキセナチド0.05μg/Kg(n=4);治療E:カンレノ酸カリウム0.33mg/Kg(n=3);治療I:グリベンクラミド1μg/Kg(n=4);治療M:エキセナチド0.05μg/Kg及びカンレノ酸カリウム0.33mg/Kg(n=13);治療N:エキセナチド0.05μg/Kg及びグリベンクラミド1μg/Kg(n=12);治療O:カンレノ酸カリウム0.33mg/Kg及びグリベンクラミド1μg/Kg(n=11);治療S:エキセナチド0.05μg/Kg及びカンレノ酸カリウム0.33mg/Kg及びグリベンクラミド1μg/Kg(n=7)。対照パートI(n=6);対照動物パートII(n=5)。
図3】一過性中大脳動脈閉塞のラットモデルにおける、低用量の三重の組合せ(治療S)の反復投与(7日間)後の7日目の修正神経学的重症度スコア対パートI及びパートIIの対照動物、並びに対応する単剤療法(治療A、E、及びI)及び対応する二重の組合せ(治療M、N、及びO)を受けた動物における7日目の修正神経学的重症度スコアを示す。治療A:エキセナチド0.05μg/Kg(n=4);治療E:カンレノ酸カリウム0.33mg/Kg(n=3);治療I:グリベンクラミド1μg/Kg(n=4);治療M:エキセナチド0.05μg/Kg及びカンレノ酸カリウム0.33mg/Kg(n=13);治療N:エキセナチド0.05μg/Kg及びグリベンクラミド1μg/Kg(n=12);治療O:カンレノ酸カリウム0.33mg/Kg及びグリベンクラミド1μg/Kg(n=11);治療S:エキセナチド0.05μg/Kg及びカンレノ酸カリウム0.33mg/Kg及びグリベンクラミド1μg/Kg(n=7)。対照パートI(n=6);対照動物パートII(n=5)。
図4】一過性中大脳動脈閉塞のラットモデルにおける、高用量の三重の組合せ(治療T)の反復投与(7日間)後の7日目の相対脳梗塞体積(%)対パートI及びパートIIの対照動物、並びに対応する単剤療法(治療B、F、及びK)及び対応する二重の組合せ(治療Q、及びR)を受けた動物における7日目の相対脳梗塞体積(%)を示す。治療B:エキセナチド0.15μg/Kg(n=8);治療F:カンレノ酸カリウム1mg/Kg(n=8);治療K:グリベンクラミド10μg/Kg(n=8);治療Q:エキセナチド0.15μg/Kg及びグリベンクラミド10μg/Kg(n=4);治療R:カンレノ酸カリウム1mg/Kg及びグリベンクラミド10μg/Kg(n=5);治療T:エキセナチド0.15μg/Kg及びカンレノ酸カリウム1mg/Kg及びグリベンクラミド10μg/Kg(n=7)。対照パートI(n=6);対照動物パートII(n=5)。
図5】一過性中大脳動脈閉塞のラットモデルにおける、高用量の三重の組合せ(治療T)の反復投与(7日間)後の2日目の修正神経学的重症度スコア対パートI及びパートIIの対照動物、並びに対応する単剤療法(治療B、F、及びK)及び対応する二重の組合せ(治療Q、及びR)を受けた動物における2日目の修正神経学的重症度スコアを示す。治療B:エキセナチド0.15μg/Kg(n=8);治療F:カンレノ酸カリウム1mg/Kg(n=8);治療K:グリベンクラミド10μg/Kg(n=8);治療Q:エキセナチド0.15μg/Kg及びグリベンクラミド10μg/Kg(n=4);治療R:カンレノ酸カリウム1mg/Kg及びグリベンクラミド10μg/Kg(n=5);治療T:エキセナチド0.15μg/Kg及びカンレノ酸カリウム1mg/Kg及びグリベンクラミド10μg/Kg(n=7)。対照パートI(n=6);対照動物パートII(n=5)。
図6】一過性中大脳動脈閉塞のラットモデルにおける、高用量の三重の組合せ(治療T)の反復投与(7日間)後の7日目の修正神経学的重症度スコア対パートI及びパートIIの対照動物、並びに対応する単剤療法(治療B、F、及びK)及び対応する二重の組合せ(治療Q、及びR)を受けた動物における7日目の修正神経学的重症度スコアを示す。治療B:エキセナチド0.15μg/Kg(n=8);治療F:カンレノ酸カリウム1mg/Kg(n=8);治療K:グリベンクラミド10μg/Kg(n=8);治療Q:エキセナチド0.15μg/Kg及びグリベンクラミド10μg/Kg(n=4);治療R:カンレノ酸カリウム1mg/Kg及びグリベンクラミド10μg/Kg(n=5);治療T:エキセナチド0.15μg/Kg及びカンレノ酸カリウム1mg/Kg及びグリベンクラミド10μg/Kg(n=7)。対照パートI(n=6);対照動物パートII(n=5)。
図7】血管性認知症のラットモデルにおけるエキセナチド/カンレノ酸カリウム/グリベンクラミドの三重の組合せで治療されたラットの海馬領域におけるアポトーシスの組織学TUNEL染色の結果を示す。より具体的には、図7は、ビヒクル治療対照(群1M;9動物)に対する、エキセナチド0.05μg/kg+カンレノ酸カリウム0.33mg/kg+グリベンクラミド1μg/kg(群2M;13動物;静脈内投与)で治療されたラットのアポトーシス細胞のパーセンテージ(平均±SEM)を示す。
【実施例
【0370】
本発明は、以下の実施例によってさらに説明されるが、これは、決して限定的であると解釈されるべきではない。
【実施例
【0371】
脳虚血及び再灌流傷害のラットモデルにおけるエキセナチド、カンレノ酸カリウム及びグリベンクラミド並びにそれらの組合せの有効性の用量応答研究
この研究の目的は、(a)単剤療法としての反復静脈内投与後の脳虚血及び再灌流傷害のラットモデルにおけるグリベンクラミド、エキセナチド、及びカンレノ酸カリウムの神経保護効果の用量応答(研究パートI)及び(b)化合物の組合せ対対応する単剤療法の効果(研究パートII)を評価することであった。
【0372】
一過性中大脳動脈閉塞(t-MCAO,transient middle artery occlusion)は、R. Schmid-Elsaesser et al. (Stroke. 1998; 29(10): 2162-70)に記載されている方法に従って実施した。試験化合物を、再灌流の20分前に静脈内投与し、その後、6日間連続して1日2回投与した。修正神経学的重症度スコア(NSS,neurological severity score)は、研究2日目(手術の翌日)及び研究7日目(手術後7日及び研究終了前)に、0~18のスケール(正常スコアは0、最大欠損スコアは18で表される)で等級付けされ;これには、一連の臨床神経学的試験(運動、感覚、反射、及びバランス試験の複合)が含まれていた。研究終了時に、脳を採取し、5つの厚さ2mmの冠状切片にスライスし、トリフェニルテトラゾリウムクロライド(TTC,triphenyl tetrazolium chloride)で染色して、ImageJプログラムを使用して梗塞サイズを測定した。罹患率、死亡率、体重及び臨床観察もまた記録した。数値結果は、平均値±平均値の標準偏差として示されている。治療群対未治療対照群の統計的有意性(P)を、GraphPad Prism5プログラムを使用した二元配置ANOVA及びそれに続くボンフェローニ事後検定を使用して決定した。
【0373】
研究パートIでは、合計112匹のSD雄型ラット(到着時に270~320gr)を13群に分けた(治療群あたり5又は10匹のラット、及び対照群では8匹のラット)。一部の群の死亡率のため、群内の数を、すべての群に十分な動物がいるように調整した。群は、以下の通りであった:
対照(生理食塩水)
0.05μg/kg、0.15μg/kg、0.5μg/kg及び1.5μg/kgで投与されたエキセナチド;
0.33mg/kg、1mg/kg、3mg/kg、及び10mg/kgで投与されたカンレノ酸カリウム;
1μg/kg、3μg/kg、10μg/kg及び30μg/kgで投与されたグリベンクラミド。
【0374】
パートIで得られた有効性エンドポイントの結果が表1にまとめてられており、この結果は、各治療群対対応する対照群の統計的比較の結果を含む、対応する対照に対する変化パーセンテージとしても表される。27動物が、すべての群にわたり研究中に死亡した(1匹は手術中、5匹は閉塞後、1匹は2日目に安楽死させ、7匹は再灌流直後、及び13匹は手術後1~5日以内にケージ内で死亡しているとわかった)。すべての動物の群間で体重に統計的に有意な差はなかった。
【0375】
エキセナチド、カンレノ酸カリウム、及びグリベンクラミド(治療A、E、及びI)の最低用量を除いて、すべての単剤療法は、対照群と比較した場合、脳梗塞サイズの統計的に有意な縮小を示した。用量応答の明確な兆候はなかった。
【0376】
修正神経学的重症度スコア(NSS)に関しては、2日目に対照群と比較して、最低用量のエキセナチド、カンレノ酸カリウム、並びにグリベンクラミド(治療A、E、及びI)及び3μg/kg用量のグリベンクラミド(治療J)のみが、統計的に有意な低下を示さず、一方、7日目には、対照群と比較して、最低用量のエキセナチド、カンレノ酸カリウム、及びグリベンクラミド(治療A、E、I)並びに0.5μg/kg用量のエキセナチド(治療C)のみが、統計的に有意な低下を示さなかった。脳梗塞サイズの場合と同様に、修正NSSに関し、いずれの日にも用量応答の明確な兆候はなかった。
【0377】
研究パートIIでは、合計86匹のSD雄型ラット(到着時に270~320gr)を9群に分けた(治療群あたり7又は15匹のラット、対照群では6匹のラット)。一部の群の死亡率のため、群内の数を、すべての群に十分な動物がいるように調整した。群は、以下の通りであった:
対照(生理食塩水)
0.05μg/kgで投与されたエキセナチド及び0.33mg/kgで投与されたカンレノ酸カリウム;
0.05μg/kgで投与されたエキセナチド及び1μg/kgで投与されたグリベンクラミド;
0.33mg/kgで投与されたカンレノ酸カリウム及び1μg/kgで投与されたグリベンクラミド;
0.15μg/kgで投与されたエキセナチド及び0.33mg/kgで投与されたカンレノ酸カリウム;
0.15μg/kgで投与されたエキセナチド及び10μg/kgで投与されたグリベンクラミド;
1mg/kgで投与されたカンレノ酸カリウム及び10μg/kgで投与されたグリベンクラミド;
0.05μg/kgで投与されたエキセナチド、及び0.33mg/kgで投与されたカンレノ酸カリウム及び1μg/kgで投与されたグリベンクラミド;
0.15μg/kgで投与されたエキセナチド、及び1mg/kgで投与されたカンレノ酸カリウム及び10μg/kgで投与されたグリベンクラミド。
【0378】
パートIIで得られた有効性エンドポイントの結果が表2にまとめてられており、この結果は、各治療群対対応する対照群の統計的比較の結果を含む、対応する対照に対する変化パーセンテージとしても表される。19動物が、すべての群にわたり研究中に死亡した(2匹は6日目に安楽死させ、4匹は再灌流直後に死亡し、及び13匹は手術後1~5日以内にケージ内で死亡しているとわかった)。すべての動物の群間で体重に統計的に有意な差はなかった。
【0379】
すべての二重の組合せ(群M、N、O、P、Q、及びR)並びに両方の三重の組合せ(群S及びT)は、対照群と比較した場合、脳梗塞サイズの統計的に有意な変化を示した。二重投与(群M、N、O、P、Q、及びR)又は三重投与の組合せ(群S及びT)との間に差はなかった。最低用量のエキセナチドとカンレノ酸カリウムの二重の組合せ投与(群M)後の脳梗塞サイズの縮小は、対応する単剤療法(群A及びE)の脳梗塞サイズの縮小と統計的に異なっていた。最低用量のエキセナチドとグリベンクラミドの二重の組合せ投与(群N)後の脳梗塞サイズの縮小は、対応するグリベンクラミド単剤療法(群I)の脳梗塞サイズの縮小とのみ統計的に異なっていた。さらに、高用量の三重の組合せ(群T)ではなく、低用量の三重の組合せ(群S)が、対応する単剤療法と比較して脳梗塞サイズの縮小に関して統計的に有意であることが示された。
【0380】
すべての二重の組合せ(群M、N、O、P、Q、及びR)並びに両方の三重の組合せ(群S及びT)は、2日目及び7日目において対照群と比較した場合、修正神経学的重症度スコア(NSS)の統計的に有意な低下を示した。さらに、最低用量のエキセナチド、カンレノ酸カリウム及びグリベンクラミド(群S)の三重の組合せによる修正NSSの低下は、2日目の対応するカンレノ酸カリウム及びグリベンクラミド単剤療法(群E及びI)及び7日目の対応する3つの単剤療法(群A、E、及びI)すべてに対し、統計的に有意な差があったが、対応する二重の組合せ(群M、N、及びO)のいずれに対しても、統計的に有意な差はなかった。高用量のエキセナチド、カンレノ酸カリウム、及びグリベンクラミドの三重の組合せ(群T)は、対応する二重の組合せ(群Q及びR)のいずれに対しても統計的に有意な差はなかった。
【0381】
組合せ療法の効果を評価するために、相対脳梗塞体積及びそれぞれ2日目と7日目における修正神経学的重症度スコアについて、最低用量の三重の組合せ(治療「S」)を、対応する単剤療法及び二重の組合せと比較して図1~3に示す。同様に、高用量の三重の組合せ(治療「T」)対対応する単剤療法及び二重の組合せとの比較の結果を図4~6に示す。
【0382】
得られた結果から、単剤療法として投与した場合には効果がない低用量のエキセナチド、カンレノ酸カリウム、及びグリベンクラミドが、それらを組み合わせた場合(二重又は三重の組合せとしての両方)、統計的に有意な有効性を示し、相乗効果を示していることが明らかである。本結果は、グリベンクラミドとエキセナチド及び/又はカンレノ酸カリウムの組合せ療法が、得られた組合せ効果がそれぞれの単剤療法の効果の合計を超えたため、
・脳梗塞の程度を縮小し、及び/又は
・神経学的重症度スコアを改善し、及び/又は
・相乗的に運動能力スコアを改善する、強力な証拠を提供する。さらに、驚くべき知見は、本研究においてこの相乗効果をもたらしたグリベンクラミドの用量(すなわち、1日2回1μg/kg、研究で使用された体重330gのラットでは0.66μg)が、脳卒中に関する文献で以前に報告された用量、すなわち200ng/時間の毎日の注入、つまり4.8μgより有意に低かった(Simard et al, Transl Stroke Res. 2012)。重要なことに、本発明の文脈において使用される場合のそのような非常に低用量のグリベンクラミドは、規定された1日用量(微粉化製剤を経口で7mg)の100分の1未満の用量(すなわち、70μg/日)、又はグリベンクラミド(微粉化製剤)の推奨維持用量の約20~285分の1未満に対応し、したがって、血糖値への影響やいかなる悪影響もないと予想される。低用量のエキセナチド及び/又は炭酸カリウムとの二重又は三重の組合せとしてのグリベンクラミドの上記の臨床有効用量もまた、文献に発表された臨床研究において神経保護的であることが示されたグリベンクラミドの用量(0.16又は0.11mg/時間の連続注入、つまり1日あたり3.84mg又は2.64mg)(King ZA, et alを参照)よりも有意に低いことが示された。
【実施例
【0383】
血管性認知症のラットモデルにおけるエキセナチド、カンレノ酸カリウム及びグリベンクラミド組合せの有効性の研究
ウィスターラットの慢性脳低灌流モデルは、両方の総頸動脈の永久的閉塞によってラットの脳に脳病変を引き起こし、これも認知機能障害に影響を与える可能性がある。このモデルは血管性認知症のモデルに類似しており、この技術は大脳皮質と海馬の血流を数か月間最大40~80%低下させる可能性があり、これによりある特定の学習障害が引き起こされる。
【0384】
研究目的
この研究の目的は、ウィスターラット血管性認知症モデルを使用して、両方の総頸動脈の永久結紮の24時間後に、静脈内に与え、1日2回3週間投与したエキセナチド、カンレノ酸カリウム、及びグリベンクラミドの組合せの神経保護効果を評価することであった。
【0385】
治療群
治療群は、以下の通りであった:
群1M:ビヒクル治療対照(9動物、静脈内投与);
群2M:エキセナチド0.05μg/kg+カンレノ酸カリウム0.33mg/kg+グリベンクラミド1μg/kg(13動物;静脈内投与)。
【0386】
酢酸エキセナチド塩は、Bachem AG社、Switzerlandから入手した。カンレノ酸カリウムはPfizer社、Switzerlandから入手した。グリベンクラミドはTocris Bioscience社から入手した。
【0387】
研究設計及びタイムライン
この研究では、ウィスターラットの血管性認知症モデルにおいて、3週間にわたって低用量で1日2回静脈内投与した組合せの神経保護効果を評価した。総頸動脈結紮の24時間後に、試験化合物を1日2回3週間投与した。1日目に、両方の総頸動脈を永久結紮させた。モリス水迷路試験を、ベースラインのトレーニングとして総頸動脈結紮の前、及びその後の第4週と第8週に実施した。研究終了時に脳を採取した。組織について組織学的分析を実施した。
【0388】
研究のタイムラインは以下の通りである:
【0389】
【表1】
【0390】
最初の投与日は「1日目」に割り当てられ、終了は、総頸動脈結紮から8週間後、「56日目」であった。
【0391】
組織学分析
組織の調製及びトリミング(影響を受けた半球)、線条体(脳梁)背側海馬の正確な断面X3、及び脳ごとの光学トラック(trac)。パラフィンブロック調製H&E及びTUNEL染色、IHC:脳の脳室下帯における神経再生のためのダブルコルチン。MBP、白質中のミエリン、ミクログリアのためのIba-1、アストロサイトのためのGFAP。すべてのオリゴデンドロサイトのためのOlig-2、若いオリゴデンドロサイトのためのNG2。スライド評価分析;海馬のCA1及びCA3領域で計数する細胞体-脳ごとに3つのセクション、セクションごとに3つのフィールドの神経細胞死数及びMBPの形態計測分析。
【0392】
動物
雄型ウィスターラットを研究に使用し、研究開始時の体重は290~390gであった。
【0393】
動物管理
飼育
動物の取り扱いを、国立衛生研究所(NIH,the National Institute of Health)及び実験動物管理公認協会(AAALAC,the Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care)のガイドラインに従って実施した。動物は42.5×26.5×18.5cmのポリエチレンケージ(最大3匹のラット/ケージ)内で飼育され、ケージはペレット状の餌及びペットボトル内の飲料水を捕食しやすいステンレス鋼のトップグリル;床敷:蒸気滅菌したきれいな籾殻(Envigo社、Sani-chipsカタログ番号7090C)を備えていた。床敷材料を、少なくとも週に2回、ケージと一緒に交換した。
【0394】
飼料
動物には、市販のげっ歯動物用飼料(Teklad Certified Global 18%Protein Diet、Envigo社、カタログ番号2018SC)を自由に与えた。動物には、自治体の供給源から入手し、Pharmaseed社のSOP No. 214:「Water system」に従って処理された標準的な水道飲料水を自由摂取させた。動物飼料は分析証明書とともに到着し、水は、使用前にオートクレーブ処理した。
【0395】
環境条件
動物は、温度調節された環境で手術後の期間、単独で飼育された。適切で新鮮な供給により(最低15回の空気交換/時間)、空気を濾過した(HEPA F6/6)。温度を18~24℃、相対湿度を30~70%に維持した。動物を12時間の明期と12時間の暗期のサイクル(午前6時/午後6時)にさらした。
【0396】
無作為化
Pharmaseed社のSOP#027「Random allocation of animals」に従って、動物をケージに無作為に割り当てた。
【0397】
処置及び評価
外科的処置:2つの総頸動脈結紮
手術当日、70%NOと30%Oとの混合物中の4%イソフルランにより、加熱パッド上で麻酔を導入し、1.5~2%イソフルランで維持した。0.1mg/kgのブプレノルフィンを皮下注射した。2つの総頸動脈閉塞を、(Hyun Joon Lee et al (Citicoline Protects Against Cognitive Impairment in a Rat Model of Chronic Cerebral Hypoperfusion, J Clin Neurol. 2009; 5(1):33-38)によって記述された方法に従って実施した。両方の総頸動脈(CCA,Common Carotid Arteries)を、頸部正中切開によって露出させ、周辺神経及び筋膜を含まないように注意深く切断した。両方の動脈を、外頸動脈の可視領域の下8~10mmで4-0絹縫合糸により二重結紮した。外科的創傷を閉じ、動物をケージに戻し、麻酔から回復させた。ブプレノルフィンによる鎮痛治療を、その日の終わりまでに再び行い、次の4日間に1日2回行った。
【0398】
組合せの投与
動脈結紮の24時間後に静脈内(IV)注射により治療を開始した。治療は3週間連続して1日2回実施した。
【0399】
体重
動物の体重を、順化中、総頸動脈結紮前、及びその後は週に2回監視した。Pharmaseed社のSOP No.010:「Weighing laboratory animals」に従って、動物の体重を測定した。個々の体重変化を計算した。
【0400】
臨床観察
臨床徴候を、順化中に1回、術後最初の4時間に、手術後の最初の2日間に1日2回、その後週に2回監視した。
【0401】
モリス水迷路試験
モリス水迷路(MWM,Morris water maze)試験は、総頸動脈結紮後の認知障害を評価するように設計されている。試験を、Pharmaseed社のSOP 100(Morris Water Maze Testing V6)及び関連する刊行物(例えば、Brandeis R, Brandys Y and Yehuda S, "The use of the Morris Water Maze in the study of memory and learning", Int J Neurosci. 1989; 48(1-2):29-69)に従って実施した。
【0402】
手術前トレーニング
Pharmaseed社のSOP100及び科学刊行物(例えば、Brandeis R et alを参照)に従って、動物をモリス水迷路で1週間トレーニングして、調整した。MWMの前に、ラットのケージを動物飼育場から行動試験室に移動させて、約1時間順化させた。
【0403】
最終日のトレーニング結果を、比較のためのベースラインデータと考えた。MWM試験には、以下のような除外基準があった:90秒でプラットフォームに逃げることができなかった(トレーニングの3日目)。
【0404】
総頸動脈結紮試験後
MWMの前に、ラットのケージを動物飼育場から行動試験室に移動させて、約1時間順化させた。
【0405】
MWM試験を、総頸動脈結紮後の4週目及び8週目に実施した。
【0406】
統計分析
数値結果は、平均及び標準偏差又は標準誤差として示されている。データの記述統計及び群比較を、可能な場合はいつでも、統計分析プログラム(GraphPad Prismバージョン5.02 for Windows、GraphPad Software社、San Diego California USA)を使用して実施した。適切なパラメトリック又はノンパラメトリック検定を実施した後、適切な事後分析を実施した。5%(p≦0.05)の確率を、統計的に有意であると見なす。
【0407】
結果
MWM試験の予備調査結果は、エキセナチド/カリウム/グリベンクラミドの三重の組合せで治療された動物(治療群2M;13動物)は、ビヒクルで治療された動物(群1M;9動物)よりも、プラットフォームに到達するのにかかる平均時間(秒)、及びプラットフォームまで泳ぐ平均距離(cm)の両観点から、優れた成績であったことを示している。さらに、海馬領域におけるアポトーシスに関する組織学的TUNEL染色の定量的評価では、群1M(ビヒクル)に対して、群2Mの治療に関し統計的に有意な神経保護(マンホイットニー検定によるとp=0.03)が示された。図7は、各群のアポトーシス細胞のパーセンテージ(平均±SEM)を示す。
【0408】
したがって、エキセナチド/カリウム/グリベンクラミドの三重の組合せは、低用量で1日2回、3週間静脈内投与された場合、ウィスターラット血管性認知症モデルで神経保護効果を示し、海馬の脳領域において認知行動の改善とアポトーシスの減少の両方を示したと結論付けることができる。
【0409】
本発明の記載された態様の種々の修正及び変形は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。本発明は、特定の好ましい実施形態に関連して説明されてきたが、特許請求される本発明は、そのような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことを理解されたい。実際、関連分野の当業者に明らかである、本発明を実施するための記載された様式の種々の修正は、以下の特許請求の範囲内にあることが意図されている。
【0410】
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【0411】
【表2】

【0412】
【表3】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】