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特表2022-540212ポリアクリル酸エステル類重合体複合材料及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-14
(54)【発明の名称】ポリアクリル酸エステル類重合体複合材料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 33/08 20060101AFI20220907BHJP
   C08L 51/06 20060101ALI20220907BHJP
   C08K 5/3477 20060101ALI20220907BHJP
   C08K 5/3417 20060101ALI20220907BHJP
   C08J 3/20 20060101ALI20220907BHJP
   B29B 9/12 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
C08L33/08
C08L51/06
C08K5/3477
C08K5/3417
C08J3/20 B CEY
B29B9/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022501215
(86)(22)【出願日】2020-06-24
(85)【翻訳文提出日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 CN2020098134
(87)【国際公開番号】W WO2021008321
(87)【国際公開日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】201910629840.7
(32)【優先日】2019-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520070792
【氏名又は名称】金発科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】KINGFA SCI. & TECH. CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.33 Kefeng Road, Science City, Hi-Tech Industrial Development Zone, Guangzhou, Guangdong 510663, China
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】戴 建建
(72)【発明者】
【氏名】葉 南▲ビャオ▼
(72)【発明者】
【氏名】黄 険波
(72)【発明者】
【氏名】唐 磊
(72)【発明者】
【氏名】黄 宝奎
(72)【発明者】
【氏名】何 超雄
(72)【発明者】
【氏名】付 錦鋒
(72)【発明者】
【氏名】楊 霄雲
【テーマコード(参考)】
4F070
4F201
4J002
【Fターム(参考)】
4F070AA30
4F070AB08
4F070AB11
4F070AE01
4F070FA03
4F070FA17
4F070FB06
4F070FC05
4F201AA20
4F201AB06
4F201AB11
4F201AR06
4F201BA02
4F201BC01
4F201BD05
4F201BK02
4F201BK13
4F201BL08
4F201BL29
4F201BL43
4J002BG06W
4J002BN12X
4J002BN14X
4J002EU036
4J002EU146
4J002EU176
4J002FD056
4J002FD086
4J002FD20X
4J002GF00
(57)【要約】
本発明は、重量部で、ポリアクリル酸エステル類重合体100部、強化剤15-100部の成分を含み、前記強化剤は、二層コア-シェル構造強化剤と三層コア-シェル構造強化剤との配合から選択され、二層コア-シェル構造強化剤は、強化剤の総重量部の10-45%を占める、ことを特徴とするポリアクリル酸エステル類重合体複合材料を開示する。上記ポリアクリル酸エステル類重合体複合材料は、透明度が高く、強化効率が高く、且つ製造されたフィルムを繰り返して二つ折りにしても破断したり、白化したりすることがないという特徴を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量部で、以下の成分を含み、
ポリアクリル酸エステル類重合体 100部、
強化剤 15-100部、
前記強化剤は、二層コア-シェル構造強化剤と三層コア-シェル構造強化剤との配合から選択され、二層コア-シェル構造強化剤は、強化剤の総重量部の10-45%を占める、ことを特徴とするポリアクリル酸エステル類重合体複合材料。
【請求項2】
前記二層コア-シェル構造強化剤のシェル層は、ポリメタクリル酸メチルであり、コア層は、架橋アクリル酸ブチルとスチレンとの共重合体であり、前記三層コア-シェル構造強化剤の外層は、ポリメタクリル酸メチルであり、中間ゴム層は、架橋アクリル酸ブチルとスチレンとの共重合体であり、内層は、ポリメタクリル酸メチルである、ことを特徴とする請求項1に記載のポリアクリル酸エステル類重合体複合材料。
【請求項3】
前記二層コア-シェル構造強化剤におけるシェル層は、二層コア-シェル構造強化剤の総重量の45-70%を占める、ことを特徴とする請求項2に記載のポリアクリル酸エステル類重合体複合材料。
【請求項4】
前記三層コア-シェル構造強化剤の中間ゴム層は、三層コア-シェル構造強化剤の総重量の25-45%を占める、ことを特徴とする請求項2に記載のポリアクリル酸エステル類重合体複合材料。
【請求項5】
二層コア-シェル構造強化剤は、強化剤の総重量部の20-35%を占める、ことを特徴とする請求項1-4のいずれか1項に記載のポリアクリル酸エステル類重合体複合材料。
【請求項6】
前記ポリアクリル酸エステル類重合体は、ポリアクリル酸メチル類重合体、ポリアクリル酸エチル類重合体、ポリアクリル酸プロピル類重合体、ポリアクリル酸ブチル類重合体、ポリアクリル酸アミル類重合体のうちの少なくとも一つから選択される、ことを特徴とする請求項1に記載のポリアクリル酸エステル類重合体複合材料。
【請求項7】
前記強化剤とポリアクリル酸エステル類重合体との屈折率の差は、0.010よりも小さい、ことを特徴とする請求項1又は3又は4に記載のポリアクリル酸エステル類重合体複合材料。
【請求項8】
重量部で、耐候剤0.3-10部をさらに含み、前記耐候剤は、ベンゾトリアゾール類紫外線吸収剤、ジ安息香酸類紫外線吸収剤、及びHALS類化合物のうちの少なくとも一つから選択され、助剤0.2-5部をさらに含んでもよく、前記助剤は、熱安定剤、抗酸化剤、滴下防止剤、潤滑剤、可塑剤のうちの少なくとも一つから選択される、ことを特徴とする請求項1に記載のポリアクリル酸エステル類重合体複合材料。
【請求項9】
配分比率に従って各成分を秤量し、ポリアクリル酸エステル類重合体、強化剤、耐候剤を高速混合機に投入して均一に混合し、さらに押出機を経て押出造粒し(スクリューの回転数は、300-500rpmであり、押出機の各段のスクリュー温度は、供給口からヘッドまで順次、一ゾーン温度80-100℃、二ゾーン温度160-180℃、三ゾーン温度190-210℃、四ゾーン温度190-210℃、五ゾーン温度190-210℃、六ゾーン温度180-200℃、七ゾーン温度180-200℃、八ゾーン温度190-210℃、九ゾーン温度190-210℃、ヘッド温度200-220℃に設定される)、ポリアクリル酸エステル類重合体複合材料を得るというステップを含む、ことを特徴とする請求項8に記載のポリアクリル酸エステル類重合体複合材料の製造方法。
【請求項10】
前記強化剤の粒径は、50-250nmであり、好ましくは、前記強化剤の粒径は、130-170nmである、ことを特徴とする請求項9に記載のポリアクリル酸エステル類重合体複合材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子材料の技術分野に関し、特に、ポリアクリル酸エステル類重合体複合材料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、PVC装飾材料は、大量に屋内建築装飾に応用されており、従来のセラミック、ペンキ、木質装飾に代わっている。PVC装飾材料は、主にさまざまな模様のフィルムに作製され、壁面、家具などの表面に貼り付けられ、装飾で美観の効果を発揮する。しかし、室内で長期間使用すると、窓、ベランダ、玄関などに近い、日光が当たる場所で変色し、また表面に傷が付きやすいため、美観に影響を与える。屋外の壁面、園林景観などにおいても、PVC装飾フィルムは、非常に大きな応用ニーズがある。しかしPVC自体は、耐候性が非常に低く、屋外で使用されると非常に変色しやすいため、その応用が制限されている。紫外線遮断性PMMA材料を選択してフィルムを作製し、PVC装飾フィルムに接着して複合フィルムを作製する。PMMAフィルムにより太陽光における紫外線部分が遮断されるので、PVC装飾フィルムは、紫外線の照射を受けて変色せず、その屋外での使用寿命を大幅に向上させることができる。
【0003】
ポリアクリル酸エステル類重合体は、透明性が高く、硬度が高い等という利点を有する。特にポリメタクリル酸メチル(PMMA)は、高透明性、高光沢、高表面硬度、優れた耐候性を有し、導光板、ランプハウス筐体、建築用有機ガラス、浴室、自動車などに広く用いられている。大量の文献により、PMMAは、優れた光安定性を有する重合体であり、屋外での耐候要求が極めて高い場合に非常に適していることが報告されている。しかしPMMAは、脆性材料であり、その剛性が大きく、フィルムに加工される際、破断現象が現れやすく、加工と使用の要求をまったく満たすことができない。そのため、PMMAを強化しなければならない。
【0004】
特許200680048017.8は、特に高い耐候性と比較的に高い紫外線防護作用を有するPMMAフィルムを開示する。それは、二層又は三層のコア-シェル構造を有する衝撃強度改質剤を採用し、好ましくは、二層コアシェル構造の衝撃強度改質剤を使用する。しかし二層コアシェル構造の衝撃強度改質剤は、良好な靱性と透明度を有するが、それを二つ折りにするときに白化(folding-induced whitening、折り曲げ誘導ないし屈曲誘導による白化)を引き起こしやすい。白化を解決するために強化剤の粒径を減少しなければならないが、強化効率を低減させ、加工されるフィルムの性能要求を満たすことを確保しにくい。
【0005】
中国特許201310155826.0は、PMMA強化剤を開示し、強化剤は、主にMAASゴムとコアシェル構造重合体(シードエマルションアクリル酸ブチルとエチレングリコールジメタクリレート、メタクリル酸アリルアルコールエステルとの混合物を架橋剤として製造されたラテックス粒子)で構成される。しかし、この強化剤の耐折り曲げ誘導白化効果(anti-folding-induced whitening effect、耐屈曲誘導白化効果)は、満足できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、透明度が高く、強化効率が高く、且つ製造されたフィルムは、二つ折りを繰り返しても破断したり、折り曲げ誘導白化したりすることがないという特徴を有するポリアクリル酸エステル類重合体複合材料を提供することにある。
【0007】
本発明の別の目的は、上記ポリアクリル酸エステル類重合体複合材料の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の技術案によって実現される。
ポリアクリル酸エステル類重合体複合材料であって、重量部で、以下の成分を含み、
ポリアクリル酸エステル類重合体 100部、
強化剤 15-100部、
前記強化剤は、二層コア-シェル構造強化剤と三層コア-シェル構造強化剤との配合(compounding、コンパウンディング)から選択され、二層コア-シェル構造強化剤は、強化剤の総重量部の10-45%を占める。
【0009】
本発明は、実験によって、強化性能と耐折り曲げ誘導白化性能が互いに矛盾していることを発見した。ある強化剤は、粒径が大きく強化効率が高い場合、二つ折りにする時にひび割れ又は空孔が多くなり、折り曲げ誘導白化が明らかになる。折り曲げ誘導白化を減少するために、粒径を減少する必要があるが、強化効率が低下する。そのため、強化効果が高く、透明度が高く、耐折り曲げ誘導白化効果が高い強化剤を得るために、本発明は、探索を行った。二層コア-シェル構造の強化剤は、優れた強化効果を提供し、透明性も比較的に高いが、折り曲げ誘導白化を引き起こしやすい。折り曲げ誘導白化欠陥を改善するために、粒径を減少しなければならないが、このようにすれば強化効率の低下を招く。本発明は、二層コア-シェル構造の強化剤と比べて、三層コア-シェル構造強化剤の中間ゴム層がゴムに空洞化を発生させるためにより高いエネルギを必要とするため、折り曲げ誘導白化がより発生しにくいことを発見した。三層コア-シェル構造強化剤を配合すれば強化効率を向上させることができるが、三層コア-シェル構造強化剤の透明性がやや低く、添加し過ぎると材料全体の透明性に大きな影響を与え、二つの強化剤の使用量比を調節することによって、透明度に優れ、また製造されたフィルムを繰り返して二つ折りにしても破断したり、折り曲げ誘導白化したりすることがないという利点を得る。
【0010】
前記二層コア-シェル構造強化剤のシェル層は、ポリメタクリル酸メチルであり、コア層は、架橋アクリル酸ブチルとスチレンとの共重合体であり、前記三層コア-シェル構造強化剤の外層は、ポリメタクリル酸メチルであり、中間ゴム層は、架橋アクリル酸ブチルとスチレンとの共重合体であり、内層は、ポリメタクリル酸メチルである。
【0011】
一般的には、二層コア-シェル構造強化剤のシェル層は、ポリアクリル酸エステル類、スチレン-アクリロニトリル-メタクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体等である。コア層は、ポリアクリル酸ブチル、スチレン-ブタジエン共重合体、シリコンゴム等である。
【0012】
一般的には、三層コア-シェル構造強化剤の外層は、ポリアクリル酸エステル類、スチレン-アクリロニトリル-メタクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体等であり、中間ゴム層は、ポリアクリル酸ブチル、スチレン-ブタジエン共重合体、シリコンゴム等であり、内層は、ポリアクリル酸エステル類、スチレン-アクリロニトリル-メタクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体等である。
【0013】
好ましくは、前記二層コア-シェル構造強化剤におけるシェル層は、二層コア-シェル構造強化剤の総重量の45-70%を占める。
【0014】
好ましくは、前記三層コア-シェル構造強化剤の中間ゴム層は、三層コア-シェル構造強化剤の総重量の25-45%を占める。
【0015】
上記好ましい層占有率(層比率)は、コア-シェル強化剤がポリアクリル酸エステル類重合体マトリックスにおける適合性を向上させ、強化剤と樹脂マトリックスとが屈折後変位による微小隙間空洞化による折り曲げ誘導白化を減少するためである。
【0016】
強化効率と透明度、耐折り曲げ誘導白化性能との間のバランスを得るために、好ましくは、二層コア-シェル構造強化剤は、強化剤の総重量部の20-35%を占める。
【0017】
三層コア-シェル構造強化剤と二層コア-シェル構造強化剤のミクロ組成を設計する場合、好ましくは、前記強化剤とポリアクリル酸エステル類重合体との屈折率の差は、0.010よりも小さい。ポリアクリル酸エステル類重合体複合材料において、強化剤は、樹脂マトリックス中で島様に分布し、強化剤とマトリックスとは、接続される遷移面が直接存在し、二つの物質の屈折率の差が大きい場合、光透過率が低く、そのため、強化剤と樹脂マトリックスとの屈折率の差が小さいほど、透明度が高い。ポリアクリル酸エステル類重合体がPMMAである場合、屈折率は、一般的には約1.49であり、このとき使用される強化剤の屈折率は、この数値に近接する。二層コアシェル強化剤は、主にポリアクリル酸ブチルゴムコア層が屈折率をポリメタクリル酸メチルシェル層と一致するように調整する必要があり、すなわち1.49である。
【0018】
前記ポリアクリル酸エステル類重合体は、ポリアクリル酸メチル類重合体、ポリアクリル酸エチル類重合体、ポリアクリル酸プロピル類重合体、ポリアクリル酸ブチル類重合体、ポリアクリル酸アミル類重合体のうちの少なくとも一つから選択される。
【0019】
ポリアクリル酸エステル類重合体は、主にアクリル酸エステル類化合物モノマーによってフリーラジカル重合を行って得られる。そのうち、複数のアクリル酸エステル類化合物モノマー共重合であってもよい。例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)は、メタクリル酸メチル純物質のフリーラジカルホモ重合であってもよく、メタクリル酸メチルと他のアクリル酸エステル類化合物との混合物フリーラジカル共重合であってもよい。他のアクリル酸エステル類化合物は、アクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ノルマルブチル、メタクリル酸t‐ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸2-エチルヘキシル等であってもよい。
【0020】
本発明は、紫外線防止剤等の耐候剤を添加し、高透明度、高柔靱性の抗紫外線フィルムを製造することができ、重量部で、耐候剤0.3-10部をさらに含み、前記耐候剤は、ベンゾトリアゾール類紫外線吸収剤、ジ安息香酸類紫外線吸収剤、HALS類化合物のうちの少なくとも一つから選択される。使用される紫外線吸収剤は、優れた熱安定性を有する。
【0021】
前記ベンゾトリアゾール類紫外線吸収剤は、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチル)-ベンゾトリアゾール、2-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-2’-ヒドロキシ)-ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-イソブチル-5’-tert-ブチル)-ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ビス(1,1-ジメチルフェニル)-ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-オクチル)-ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-(1,1-ジメチルフェニル)-5’-[1,1,3,3-テトラメチルブチル]-ベンゾトリアゾール、2,2’メチレン-(6-(2H-ベンゾトリアゾール)-4-tert-オクチル)フェノールのうちの少なくとも一つから選択されてもよい。
【0022】
前記HALS化合物は、セバシン酸ビス2,2,6,6-テトラメチルピペリドールエステル、N,N’-(2,2,6,6-テトラメチル,4-アミンピペリジン)-イソフタルアミド、セバシン酸ビス1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリドールエステル、メタクリル酸(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリドール)エステルのうちの少なくとも一つから選択される。
【0023】
加工性能、難燃特性、美観等に基づき、助剤0.2-5部をさらに含んでもよく、前記助剤は、熱安定剤、抗酸化剤、滴下防止剤、潤滑剤、可塑剤のうちの少なくとも一つから選択される。
【0024】
前記潤滑剤は、ステアリン酸金属塩類潤滑剤、ステアリン酸アルキルエステル類潤滑剤、ステアリン酸ペンタエリスリトールエステル類潤滑剤、パラフィン又はモンタンワックスである。
【0025】
滴下防止剤は、ポリテトラフルオロエチレン、シリコンケトンで被覆されるポリテトラフルオロエチレン、メチルアクリル酸エステル重合体で被覆されるポリテトラフルオロエチレンのうちの少なくとも一つから選択される。
【0026】
前記熱安定剤は、有機亜リン酸エステルであり、好ましくは、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリス-(2,6-ジメチルフェニル)エステル、亜リン酸トリス-ノニルフェニルエステル、ジメチルフェノールホスホネート又はリン酸トリメチルである。
【0027】
前記抗酸化剤は、有機亜リン酸エステル、アルキル化の一価フェノール又は多価フェノール、多価フェノールとジエンのアルキル化反応生成物、p-クレゾール又はジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物、アルキル化のヒドロキノン類、ヒドロキシ化のチオジフェニルエーテル類、アルキレン-ビスフェノール、ベンジル化合物又は多価アルコールエステル類抗酸化剤である。
【0028】
前記可塑剤は、フタル酸エステルである。
【0029】
ポリアクリル酸エステル類重合体複合材料の製造方法は、配分比率に従って各成分を秤量し、ポリアクリル酸エステル類重合体、強化剤、耐候剤を高速混合機に投入して均一に混合し、さらに押出機を経て押出造粒し(スクリューの回転数は、300-500rpmであり、押出機の各段のスクリュー温度は、供給口からヘッドまで順次、一ゾーン温度80-100℃、二ゾーン温度160-180℃、三ゾーン温度190-210℃、四ゾーン温度190-210℃、五ゾーン温度190-210℃、六ゾーン温度180-200℃、七ゾーン温度180-200℃、八ゾーン温度190-210℃、九ゾーン温度190-210℃、ヘッド温度200-220℃に設定される)、ポリアクリル酸エステル類重合体複合材料を得るというステップを含む。
【0030】
前記強化剤の粒径は、50-250nmである。
【0031】
好ましくは、前記強化剤の粒径は、130-170nmである。走査型電子顕微鏡で観察すると、強化剤は、樹脂マトリックス中で島様に分布し、強化剤の粒径分布は、正規分布を呈し、強化剤粒径分布のピークは、上記粒径範囲内にあり、複合材料の透明度と耐折り曲げ誘導白化性能は、満足でき、強化効率も比較的に高いレベルを維持することができる。
【0032】
上記ポリアクリル酸エステル類重合体複合材料の応用は、紫外線フィルム又はコーティング層を遮断するために用いられる。
【発明の効果】
【0033】
本発明は、以下のような有益な効果を有する。
本発明は、主に特定の二層コアシェル構造強化剤と特定の三層コアシェル構造強化剤との配合を選択し、さらに、強化剤と樹脂マトリックスとの間の屈折率の差を縮小し、且つ二つの強化剤の使用量比を調節することによって、透明度に優れ、また製造されたフィルムを繰り返して二つ折りにしても破断したり、折り曲げ誘導白化したりすることがないという利点を得て、ポリアクリル酸エステル類重合体複合材料に良好な透明度、耐折り曲げ誘導白化効果、及び良好な強化効果を備えさせる。光透過率が高く、靱性が高く、繰り返して二つ折りにしても折り曲げ誘導白化することがないフィルムとして製造することができ、応用範囲が広い。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、以下の実施例によってさらに本発明を説明するが、本発明は、以下の実施例に制限されない。
【0035】
本発明に使用される原料は、いずれも市販製品に由来する。
PMMA:重量平均分子量は、130000g/molであり、屈折率は、1.49である。
二層コア-シェル構造強化剤A:シェル層は、ポリメタクリル酸メチルであり、コア層は、架橋アクリル酸ブチルとスチレンとの共重合体であり、シェル層は、二層コア-シェル構造強化剤の総重量の61%を占め、屈折率は、1.495であり、粒径分布は、50-200nmの間にある。
二層コア-シェル構造強化剤B:シェル層は、ポリメタクリル酸メチルであり、コア層は、架橋アクリル酸ブチルとスチレンとの共重合体であり、シェル層は、二層コア-シェル構造強化剤の総重量の75%を占め、屈折率は、1.480であり、粒径分布は、50-200nmの間にある。
二層コア-シェル構造強化剤C:シェル層は、ポリメタクリル酸メチルであり、コア層は、スチレン-ブタジエン共重合体、シェル層は、二層コア-シェル構造強化剤の総重量の61%を占め、屈折率は、1.931であり、粒径分布は、50-200nmの間にある。
三層コア-シェル構造強化剤A:外層は、ポリメタクリル酸メチルであり、中間ゴム層は、架橋アクリル酸ブチルとスチレンとの共重合体であり、内層は、ポリメタクリル酸メチルであり、中間ゴム層は、三層コア-シェル構造強化剤の総重量の41%を占め、屈折率は、1.488であり、粒径分布は、50-200nmの間にある。
三層コア-シェル構造強化剤B:外層は、ポリメタクリル酸メチルであり、中間ゴム層は、架橋アクリル酸ブチルとスチレンとの共重合体であり、内層は、ポリメタクリル酸メチルであり、中間ゴム層は、三層コア-シェル構造強化剤の総重量の20%を占め、屈折率は、1.479であり、粒径分布は、50-200nmの間にある。
三層コア-シェル構造強化剤C:外層は、ポリメタクリル酸メチルであり、中間ゴム層は、シリコンゴムであり、内層は、ポリメタクリル酸メチルであり、中間ゴム層は、三層コア-シェル構造強化剤の総重量の41%を占め、屈折率は、1.508であり、粒径分布は、50-200nmの間にある。
抗酸化剤:テトラ[β-(3、5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]ペンタエリスリトールエステルとトリス[2.4-ジ-tert-ブチルフェニル]亜リン酸エステル配合物。
潤滑剤:エチレンビスステアラミド。
耐候剤:TINUVIN 770DF、HALS化合物、セバシン酸ビス2,2,6,6-テトラメチルピペリドールエステル。
【0036】
実施例と比較例のポリアクリル酸エステル類重合体複合材料の製造方法は、配分比率に従って各成分を秤量し、ポリアクリル酸エステル類重合体、強化剤、耐候剤、抗酸化剤、潤滑剤を高速混合機に投入して均一に混合し、さらに押出機を経て押出造粒し(スクリューの回転数は、300-500rpmであり、押出機の各段のスクリュー温度は、供給口からヘッドまで順次、一ゾーン温度80-100℃、二ゾーン温度160-180℃、三ゾーン温度190-210℃、四ゾーン温度190-210℃、五ゾーン温度190-210℃、六ゾーン温度180-200℃、七ゾーン温度180-200℃、八ゾーン温度190-210℃、九ゾーン温度190-210℃、ヘッド温度200-220℃に設定される)、ポリアクリル酸エステル類重合体複合材料を得ることである。
【0037】
各性能のテスト方法は、以下の通りである。
(1)透明度:厚さが60umのフィルムを作製し、透過率テスタでテストする。
(2)ノッチ付きアイゾッド強度:GB1843-1996『プラスチックアイゾット衝撃試験方法』標準に従ってテストし、シャルピーエネルギが2.75Jであり、常温でテストする。
(3)耐折り曲げ誘導白化:厚さが60umのフィルムを作製し、フィルムを二つ折りにして光に向かって白化状況を観察する。深刻度の区分等級は、なし、軽微、明らか、深刻である。

【0038】
実施例1-4から分かるように、本発明の強化剤配合条件で、強化剤の使用量の上昇に伴って、力学的特性が上昇し、且つ透明性、耐折り曲げ誘導白化性能の低下を緩和することができる。
【0039】
実施例2/5/6/7から分かるように、同じ強化剤の使用量の場合、二層、三層コア-シェル構造強化剤の配合比率が肝心であり、好ましい配合比率で、力学的特性、透明度、耐折り曲げ誘導白化の統合性能が比較的に高く、更に普及と応用に有利である。
【0040】
実施例2/8から分かるように、二次的に選択された二層、三層コア-シェル構造強化剤における構造配合比率は、透明度に深刻な影響を与える。
【0041】
比較例1から分かるように、全ての二層、三層コア-シェル構造強化剤の配合は、いずれも優れた透明度、力学的特性、耐折り曲げ誘導白化性能を得ることができるわけではない。
【0042】
比較例2-4から分かるように、二層コア-シェル構造強化剤のみを添加するか、又は二層コア-シェル構造強化剤の添加比率が大きすぎると、透明度の低下、及び耐折り曲げ誘導白化性能の低下を招く。特に、比較例4から分かるように、二層コア-シェル構造強化剤の添加比率が小さすぎると、透明度(実際には実施例において強化剤の使用量が30部の例よりも低い)と耐折り曲げ誘導白化性能は、ニーズを満たすことができるが、力学的特性が非常に低い。
【国際調査報告】