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特表2022-540224発光ダイオードアレイを含むカテーテル追跡及び留置システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-14
(54)【発明の名称】発光ダイオードアレイを含むカテーテル追跡及び留置システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/045 20060101AFI20220907BHJP
   A61M 25/095 20060101ALI20220907BHJP
   A61B 34/20 20160101ALI20220907BHJP
【FI】
A61B1/045 623
A61M25/095
A61B34/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022501295
(86)(22)【出願日】2020-07-10
(85)【翻訳文提出日】2022-02-25
(86)【国際出願番号】 US2020041700
(87)【国際公開番号】W WO2021011411
(87)【国際公開日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】62/873,778
(32)【優先日】2019-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511300891
【氏名又は名称】バード・アクセス・システムズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【弁理士】
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン、チェイス
(72)【発明者】
【氏名】チャオ、ジェリー
(72)【発明者】
【氏名】ヌードセン、クラーク
【テーマコード(参考)】
4C161
4C267
【Fターム(参考)】
4C161HH52
4C161HH55
4C161JJ09
4C161JJ10
4C161VV01
4C161WW11
4C267AA01
4C267AA31
4C267BB26
4C267BB44
4C267BB45
4C267BB48
4C267BB62
4C267CC08
4C267EE01
(57)【要約】
医療機器の動きを追跡するように構成された追跡システム。医療機器は、磁気要素が取り付けられている基端部分を含み得る。システムは、ディスプレイを備えるコンソールと、TLSセンサーとを含み得る。TLSセンサーは、患者の表面に配置され得、且つLEDアレイを含み得る。LEDアレイは、TLSセンサーに対する医療機器の近接の程度を示し得る。LEDアレイは、医療機器のロケーション、向き、距離、又は深さに関する情報を表示するために、異なる色を提供し得る及び/又は画像を映し出し得る。ディスプレイは、TLSセンサーの上方の面に配置され得、且つその下に配置された医療機器の画像を、追加的な情報及び集合的な画像と共に表示するように構成され得るため、スタンドアロンユニットを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内での医療機器の動きを追跡するように設計された追跡回路であって、
前記医療機器に関連する磁場を検出し且つ磁場強度データを生成するように設計された受信用構成要素と、
前記磁場強度データに従って前記医療機器の位置データを繰り返し計算するように設計されたプロセッサーと、を含む、追跡回路と、
患者の皮膚表面に配置されたセンサーであって、
前記センサーは発光ダイオード(LED)アレイを含み、
前記LEDアレイは1つ以上のLED灯を含み、
前記LEDアレイは、前記センサーに対する前記医療機器の近接の程度を示す、センサーと、
を備える、医療機器追跡システム。
【請求項2】
前記LEDアレイは、前記センサーの第1の側のすぐ近くに配置された第1のLED灯と、前記センサーの第2の側のすぐ近くに配置された第2のLED灯と、前記センサーの中心部分のすぐ近くに配置された第3のLED灯と、を含み、
前記第1、第2、及び第3のLED灯のうちの1つのLED灯は、前記医療機器がそのすぐ近くにあるときに、点灯する、請求項1に記載の追跡システム。
【請求項3】
前記LEDアレイのうちの前記1つ以上のLED灯が、2色以上の色を表示する、請求項1または2に記載の追跡システム。
【請求項4】
前記2色以上の色は、前記センサーに対する前記医療機器の距離又は深さのうちの一方を示す、請求項3に記載の追跡システム。
【請求項5】
前記LEDアレイは、前記センサーの上方の面に配置されたLED灯の行列配列を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の追跡システム。
【請求項6】
医療機器を追跡するための追跡システムであって、
前記医療機器は、その先端部分に取り付けられた磁気要素を含み、
前記システムは、前記医療機器の動きを追跡するように構成されたセンサーを備え、
前記センサーは、
前記磁気要素に関連付けられた磁場を検出し且つ磁場強度データを生成するように構成された受信用構成要素と、
前記磁場強度データに従って前記医療機器の前記先端部分の位置データを繰り返し計算し且つ患者の体内での前記医療機器の前記先端部分の挿入をシミュレーションするように設計されたプロセッサーと、
前記センサーの上方の面に配置されたディスプレイであって、前記医療機器の前記先端部分の計算された位置データからの画像を表示するように構成されているディスプレイと、を備える、追跡システム。
【請求項7】
前記ディスプレイは、前記医療機器が前記センサーのすぐ近くにあるときに、前記医療機器のロケーション、向き、距離、又は深さのうちの1つを示すシンボルを表示する、請求項6に記載の追跡システム。
【請求項8】
前記シンボルは、英数字シンボル、画像、又はアイコンのうちの1つを含む、請求項7に記載の追跡システム。
【請求項9】
前記ディスプレイは、前記医療機器が前記センサーの下に配置されているときに、前記医療機器の画像を表示する、請求項6から8のいずれか一項に記載の追跡システム。
【請求項10】
前記ディスプレイは、さらに、前記患者の体内にあり且つ前記センサーの下に配置された前記医療機器の拡張ビューを提供するために、前記患者の追加的な情報又は撮像画像のうちの一方を表示する、請求項6から9のいずれか一項に記載の追跡システム。
【請求項11】
前記患者の前記撮像画像は、前記患者のX線、超音波、PET、CT、又はMRI画像のうちの1つを含む、請求項10に記載の追跡システム。
【請求項12】
前記患者の前記撮像画像は、前記センサーの下に配置された前記患者の部分の前記撮像画像に対応するように、前記患者に付けてある前記センサーの位置に従って修正される、請求項10に記載の追跡システム。
【請求項13】
患者の標的部位に、1つ以上のLED灯のLEDアレイを含む、センサーを位置決めすることと、
前記患者の脈管構造に医療機器を挿入することと、
前記LEDアレイの前記1つ以上のLED灯を点灯することによって、前記センサーに対する前記医療機器の近接の程度を示すことと、を備える、医療機器を追跡するための方法。
【請求項14】
前記センサーに対する前記医療機器の前記近接の程度は、3次元空間における前記医療機器の距離又は深さのうちの一方を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記LEDアレイのうちの前記1つ以上のLED灯は、2色以上の色を表示し、
前記2色以上の色は、前記センサーに対する前記医療機器の前記近接の程度を示す、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記LEDアレイのうちの前記1つ以上のLED灯は、前記医療機器がすぐ下側に配置されているときに、点灯する、請求項13から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記LEDアレイのうちの前記1つ以上のLED灯は、前記患者の表面にシンボルを映し出し、前記センサーに対する前記医療機器のロケーション、方向、距離、又は深さのうちの1つを示す、請求項13から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記シンボルは、英数字シンボル、画像、又はアイコンのうちの1つを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記LEDアレイは、前記医療機器が前記センサーの下に配置されているときに、前記医療機器の画像を提供するように構成されたディスプレイである、請求項13から18のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードアレイを含むカテーテル追跡及び留置システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ほとんどのカテーテル留置装置は、医療機器ロケーションの情報又は重ね合わせ撮像画像を表示する別個のスタンドアロン表示装置と結合された様々な医療機器を必要とする。必然的に、表示装置は、医療機器ロケーション及び患者から離れた所に置かれているため、ユーザは、医療機器挿入ロケーションと表示装置との間で時間を振り分ける必要がある。これは、特に、ユーザに、患者の挿入部位において1つ以上の医療機器を操作すること、並びに他の場所に位置決めされた表示装置に一貫して注意を払うことの双方を求める医療機器追跡システムに関連する。それゆえ、患者に又はその近くに配置され且つ患者の体内での医療機器のロケーションをユーザに示す、チップ位置突き止め装置のシステム及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
簡潔に要約すると、本明細書に開示する実施形態は、医療機器の動きを追跡するように構成された追跡システムに関する。システムは、LEDアレイを含むチップ位置突き止めシステム(「TLS:tip location system」)センサーを含む。LEDアレイは、TLSセンサーに対する医療機器の近接の程度を示し得る。LEDアレイは、医療機器のロケーション、向き、距離、又は深さに関する情報を表示するために、異なる色を提供し得るか、又は画像を映し出し得る。実施形態では、ディスプレイは、TLSセンサーの上方の面に配置され、且つその下に配置された医療機器の画像を、追加的な情報及び集合的な画像(imagery)と共に、表示するように構成されている。
【0004】
本発明の態様では、体内での医療機器の動きを追跡するように設計された追跡回路であって、医療機器に関連する磁場を検出し且つ磁場強度データを生成するように設計された受信用構成要素と、磁場強度データに従って医療機器の位置データを繰り返し計算するように設計されたプロセッサーとを含む、追跡回路;及び患者の皮膚表面に配置されたセンサーであって、センサーは発光ダイオード(LED)アレイを含み、LEDアレイは1つ以上のLED灯を含み、LEDアレイは、センサーに対する医療機器の近接の程度を示す、センサーを含む、医療機器追跡システムが開示されている。
【0005】
いくつかの実施形態では、LEDアレイは、センサーの第1の側のすぐ近くに配置された第1のLED灯、センサーの第2の側のすぐ近くに配置された第2のLED灯、及びセンサーの中心部分のすぐ近くに配置された第3のLED灯を含み、且つ第1、第2、及び第3のLED灯のうちの1つのLED灯は、医療機器がそのすぐ近くにあるときに、点灯する。LEDアレイのうちの1つ以上のLED灯が、2色以上の色を表示する。2色以上の色は、センサーに対する医療機器の距離又は深さのうちの一方を示す。LEDアレイは、センサーの上方の面に配置されたLED灯の行列配列を含む。
【0006】
医療機器を追跡するための追跡システムも開示されており、医療機器は、その先端部分に取り付けられた磁気要素を含み、システムは、医療機器の動きを追跡するように構成されたセンサーを含む。センサーは、磁気要素に関連付けられた磁場を検出し且つ磁場強度データを生成するように構成された受信用構成要素と、磁場強度データに従って医療機器の先端部分の位置データを繰り返し計算し且つ患者の体内での医療機器の先端部分の挿入をシミュレーションするように設計されたプロセッサーとを含む。システムは、センサーの上方の面に配置されたディスプレイを含む。ディスプレイは、医療機器の先端部分の計算された位置データからの画像を表示するように構成されている。
【0007】
いくつかの実施形態では、ディスプレイは、医療機器がセンサーのすぐ近くにあるときに、医療機器のロケーション、向き、距離、又は深さのうちの1つを示すシンボルを表示する。ディスプレイは、医療機器がセンサーの下に配置されているときに、医療機器の画像を表示する。シンボルは、英数字シンボル、画像、又はアイコンのうちの1つを含む。ディスプレイは、さらに、患者の体内にあり且つセンサーの下に配置された医療機器の拡張ビューを提供するために、患者の追加的な情報又は撮像画像のうちの一方を表示する。患者の撮像画像は、患者のX線、超音波、PET、CT、又はMRI画像のうちの1つを含む。患者の撮像画像は、センサーの下に配置された患者の部分の撮像画像に対応するように、患者に付けてあるセンサーの位置に従って修正される。
【0008】
患者の標的部位にセンサーを位置決めすることであって、センサーは、1つ以上のLED灯のLEDアレイを含むこと、患者の脈管構造に医療機器を挿入すること、及びLEDアレイの1つ以上のLED灯を点灯することによって、センサーに対する医療機器の近接の程度を示すことを含む、医療機器を追跡するための方法も開示されている。
【0009】
いくつかの実施形態では、センサーに対する医療機器の近接の程度は、3次元空間における医療機器の距離又は深さのうちの一方を含む。LEDアレイのうちの1つ以上のLED灯は、2色以上の色を表示し、2色以上の色は、センサーに対する医療機器の近接の程度を示す。LEDアレイのうちの1つ以上のLED灯は、医療機器がすぐ下側に配置されているときに、点灯する。LEDアレイのうちの1つ以上のLED灯は、患者の表面にシンボルを映し出し、センサーに対する医療機器のロケーション、方向、距離、又は深さのうちの1つを示す。シンボルは、英数字シンボル、画像、又はアイコンのうちの1つを含む。LEDアレイは、医療機器がセンサーの下に配置されているときに、医療機器の画像を提供するように構成されたディスプレイである。
【0010】
添付の図面に示されている特定の実施形態を参照して、本開示のより詳細な説明が記載される。これらの図面は本発明の典型的な実施形態のみを表しており、したがって、その範囲を制限するものであるとみなされないことが理解される。本発明の例示的な実施形態は、以下の添付の図面を用いて、追加の特徴および詳細が記載され説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】1つの例示的な実施形態による、カテーテルの血管内留置のための統合システムの様々な要素を示すブロック図である。
図2】患者、及び図1の統合システムの支援を得て患者の体内に挿入されているカテーテルの略図である。
図3図1の統合システムの例示的なコンソール及びディスプレイである。
図4】ある実施形態によるセンサーの斜視図である。
図5】ある実施形態によるセンサーの第1の平面図である。
図6図5の実施形態によるセンサーの第2の平面図である。
図7図5の実施形態によるセンサーの第3の平面図である。
図8図5の実施形態によるセンサーの第4の平面図である。
図9】ある実施形態によるセンサーの第1の側面図である。
図10図9の実施形態によるセンサーの第2の側面図である。
図11】ある実施形態によるセンサーの平面図である。
図12】ある実施形態によるセンサーの平面図である。
図13】ある実施形態によるセンサーの第1の平面図である。
図14図13の実施形態によるセンサーの第2の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、同様の構造に同様の符号が付される図を参照する。図面は本明細書で開示される概念の例示的な実施形態の図示的および模式的な表現であり、限定的なものではなく、必ずしも寸法通りに描かれたものでもないことが理解される。
【0013】
明確にするために、「近位」という語句は本明細書で説明される機器を用いる臨床家に比較的近い方向を指し、「遠位」という語句は臨床家から比較的遠い方向を指す。例えば、患者の体内に位置するカテーテルの端部は、カテーテルの遠位端であるとみなされ、体の外に残るカテーテルの端部はカテーテルの近位端である。また、「含む」、「有する」、および「有している」という語句は、特許請求の範囲を含めた本明細書で使用される場合、「備える」という語句と同様の意味を有する。
【0014】
同様に本システムを説明するために使用される用語「上方」、「下方」、「頂部」、「底部」、「下側」、「上側」などは、実施形態で説明する向きを参照して使用される。用語「左」及び「右」は、本開示全体を通して一貫して使用され、及び機器を使用するユーザや臨床家の視点から構造を説明するために使用される。
【0015】
支援式カテーテル留置
実施形態は、概して、患者の脈管構造内にカテーテルを正確に留置するように構成されたカテーテル留置システムに関する。一実施形態では、カテーテル留置システムは、カテーテル留置の精度を改善するために少なくとも2つのモダリティを用いる:1)患者の脈管構造内へカテーテルを導入するための超音波支援ガイド;及び2)曲がりくねった脈管構造経路を通って進む間に、そのように進む最中のどんなチップの位置異常も検出し且つ修正を容易にするための、チップ位置突き止め/ナビゲーションシステム(「TLS」)、又はカテーテルチップの磁気ベースの追跡。一実施形態による本システムの超音波ガイド及びチップ位置突き止めの特徴は、カテーテルの留置を行う臨床家によって使用されるための単一の装置に統合されている。これら2つのモダリティを単一の装置に組み込むことによって、カテーテル留置プロセスが単純になり、且つカテーテル留置が比較的迅速になる。例えば、統合カテーテル留置システムは、超音波及びTLSの活動を統合システムの単一のディスプレイで見ることができるようにする。また、カテーテル留置中に患者の滅菌野内に維持される、統合装置の超音波プローブ又はTLSセンサーにある制御部は、システムの機能を制御するために使用され得るため、臨床家が、システムを制御するために滅菌野に手を伸ばす必要性がなくなる。
【0016】
別の実施形態では、第3のモダリティ、すなわちECG信号ベースのカテーテルチップガイドがこの統合システムに含まれて、ECG信号が由来する患者の心臓の結節に対して望ましい位置へ、カテーテルチップをガイドできるようにする。そのようなECGベースの位置決め支援は、本明細書では、「チップ確認」とも呼ばれる。
【0017】
一実施形態による上述の3つのモダリティの組み合わせによって、カテーテル留置システムは、患者の脈管構造内での比較的高精度でのカテーテル留置、すなわち、予め決められた望ましい位置へのカテーテルの先端チップの留置を容易にできる。さらに、カテーテルチップのECGベースのガイドゆえに、チップの正しい留置は、確認のX線写真を必要とせずに、確認され得る。これは、次に、害を及ぼす可能性のあるX線への患者の曝露、患者をレントゲン室へ移動させるのに伴うコスト及び時間、コストがかかり且つ不便なカテーテルの再位置決め処置などを減らし得る。
【0018】
始めに、1つの例示的な実施形態に従って構成された、全体的に10で示すカテーテル留置システム(「システム」)の様々な構成要素を示す図1及び図2を参照する。図示の通り、システム10は、一般的に、コンソール20、ディスプレイ30、プローブ40、及びセンサー50を含み、それらそれぞれを下記でさらに詳細に説明する。
【0019】
図2は、皮膚の挿入部位73を通って患者の脈管構造内へカテーテル72を留置する処置の最中の、患者70に対するこれらの構成要素の全体的な関係を示す。図2は、カテーテル72が、一般的に、患者の外部に留まる基端部分74と、留置完了後に患者の脈管構造内に存在する先端部分76とを含むことを示す。システム10は、最終的に、カテーテル72の先端チップ76Aを、患者の脈管構造内の望ましい位置に位置決めするために用いられる。一実施形態では、カテーテル先端チップ76Aの望ましい位置は、患者の心臓にごく近い、例えば上大静脈(「SVC:Superior Vena Cava」)の下方の3分の1の部分にある。当然ながら、システム10は、カテーテル先端チップを他のロケーションに留置するために用いられ得る。カテーテル基端部分74は、さらに、カテーテル72の1つ以上のルーメン間に流体連通をもたらすハブ74Aと、ハブから基端側に延在する1つ以上の延長脚部74Bとを含む。
【0020】
図3にはコンソール20の例示的な実装例が示されているが、コンソールは、様々な形態を取り得ることが認識される。不揮発性メモリ、例えばEEPROMなどを含むプロセッサー22が、システム10の動作中にシステム機能を制御するためにコンソール20に含まれるため、制御プロセッサーとして機能する。デジタルコントローラ/アナログインターフェース24も、コンソール20と一緒に含まれ、且つプロセッサー22及び他のシステムコンポーネントと通信して、プローブ40と、センサー50と、他のシステムコンポーネントとの間のインターフェースを管理(govern)する。
【0021】
システム10は、さらに、センサー50、及びプリンター、記憶媒体、キーボードなどを含む任意選択的な構成要素54と接続するためのポート52を含む。一実施形態では、ポートはUSBポートであるが、他のポートタイプ又はポートタイプの組み合わせが、本明細書で説明するこの及び他のインターフェース接続に使用され得る。電力接続部56がコンソール20と一緒に含まれ、外部電力源58との動作可能な接続を可能にする。外部電力源と一緒に又はそれを抜きにして、内部バッテリー60も用いられることができる。電力管理回路59が、コンソールのデジタルコントローラ/アナログインターフェース24と一緒に含まれて、電力利用及び配電を調整する。
【0022】
本実施形態のディスプレイ30は、コンソール20に組み込まれ、且つカテーテル留置処置中に臨床家に情報を表示するために使用される。別の実施形態では、ディスプレイは、コンソールから分離され得る。ディスプレイ30によって表示される内容は、カテーテル留置システムがどのモードにあるかに従って変化することが分かる:US、TLS、又は他の実施形態では、ECGのチップ確認。一実施形態では、コンソールボタンインターフェース32(図1図3参照)、及びプローブ40、TLSセンサー50、又はこれらの組み合わせに含まれるボタンは、臨床家が、留置処置を支援するためにディスプレイ30に望ましいモードをすぐに呼び出すために、使用され得る。そのさらなる詳細が本明細書に開示される。一実施形態では、TLS及びECGなどの複数のモードからの情報は、同時に表示されてもよい。それゆえ、システムコンソール20の単一のディスプレイ30は、患者の脈管構造へのアクセスにおける超音波ガイド、脈管構造を通してカテーテルを進める間のTLSガイド、及び(後述の実施形態におけるような)患者の心臓の結節に対するカテーテル先端チップ留置のECGベースの確認のために用いられ得る。一実施形態では、ディスプレイ30はLCD装置である。一実施形態では、ディスプレイ30はタッチスクリーン装置である。
【0023】
図1は、プローブ40が、ボタン及びプローブの動作を管理するためのボタン及びメモリコントローラ42を含むことを示す。ボタン及びメモリコントローラ42は、一実施形態では、EEPROMなどの不揮発性メモリを含み得る。ボタン及びメモリコントローラ42は、コンソール20のプローブインターフェース44と動作可能に通信し、プローブインターフェースは、プローブ圧電アレイとのインターフェースを取るためのピエゾ入力/出力構成要素44A、並びにボタン及びメモリコントローラ42とのインターフェースを取るためのボタン及びメモリ入力/出力構成要素44Bを含む。
【0024】
カテーテル留置システム10のさらなる詳細は、米国特許第8,388,541号明細書;米国特許第8,781,555号明細書;米国特許第8,849,382号明細書;米国特許第9,521,961号明細書;米国特許第9,526,440号明細書;米国特許第9,549,685号明細書;米国特許第9,636,031号明細書;米国特許第9,649,048号明細書;米国特許第9,681,823号明細書;米国特許第9,999,371号明細書;米国特許第10,105,121号明細書;米国特許第10,165,962号明細書;米国特許第10,238,418号明細書;及び米国特許第10,602,958号明細書に見出され得、それらそれぞれの全体を参照することにより本出願に援用する。
【0025】
TLSセンサーLEDアレイ
図4~13、特に図4を参照して説明すると、ある実施形態において、TLSセンサー(「センサー」)50は、1つ以上の個々のLED灯、例えばLED灯201、202、203を含むLEDアレイ200を含み得る。LEDアレイ200は、センサー50の表面、例えばその上方の面に配置され得る。しかしながら、アレイ200の1つ以上のLED灯は、センサー50の1つ以上の表面、例えばその側面に配置され得ることが認識される。ある実施形態では、アレイ200の1つ以上のLED灯は、センサー50の表面から突出し得る。ある実施形態では、アレイ200の1つ以上のLED灯はセンサー50と一体化されて、センサー50と実質的に連続的な表面を規定する。LEDアレイ200の代わりに、又はそれと併用して、他の可視的なインジケータ、例えばタングステン電球、蛍光灯、異なる色のタブなども使用され得ることも認識される。
【0026】
ある実施形態では、LEDアレイ200は、センサー50に対する医療機器、例えばカテーテル72のロケーションを示し得る。図5~8には、LEDアレイ200を含むセンサー50を示す。図5に示す通り、カテーテル72がセンサー50のすぐ近くにはないとき、LEDアレイ200のどのLED灯も点灯されていない。図6に示す通り、カテーテル72がセンサー50の第1の側51のすぐ近くにあるとき、カテーテル72の最も近くにある第1のLED灯201が点灯され、かつLEDアレイ200の残りのLED灯202、203は点灯されない。同様に、カテーテル72がセンサー50の第2の側53のすぐ近くにあるとき、カテーテル72の最も近くにある第2のLED灯203が点灯され、かつLEDアレイ200の残りのLED灯201、202は点灯されない。図7に示す通り、カテーテル72が、センサー50、及び実質的にLED灯202にある標的部位の方へ向かってさらに動かされると、アレイ200の追加的なLED灯201、202も点灯され得る。
【0027】
ある実施形態では、アレイ200の1つ以上のLED灯201、202、203は、1次元と比べて2次元の表示、又は2進法(オン/オフ)表示をもたらすために、2色以上の色を表示し得る。例えば、アレイ200のLED灯201、202、203のそれぞれは、緑色、黄色、及び赤色を表示し得る。色の変化は、アレイ200のLED灯201、202、203のそれぞれに対するカテーテル72の近接の程度を示し得る。アレイ200の個々のLED灯201、202、203における異なる色の変化を解釈することによって、ユーザは、センサー50に対するカテーテル72の位置を判断できる。
【0028】
図8に示す通り、ある実施形態では、色の変化は、センサー50が配置されている患者70の皮膚表面に対して実質的に平行な水平面に沿った、センサー50に対するカテーテル72の近接の程度を示し得る。例えば、カテーテル72が、ゾーンAによって実質的に規定されるセンサー50に近接しているとき、LED灯201は、緑色を表示し得る。カテーテル72がゾーンB内にあるとき、LED灯201は黄色、及びゾーンC内にあるときは赤色を表示し得る。ある実施形態では、図9に示す通り、色の変化は、センサー50が配置されている患者70の皮膚表面に対して実質的に垂直な垂直平面に沿った、センサー50に対するカテーテル72の深さを示し得る。ある実施形態では、図10に示す通り、色の変化は、アレイ200の各LED灯の3次元の球面空間内で、センサー50に対するカテーテル72の近接の程度を示し得る。
【0029】
任意の数及び順序のゾーン、ゾーンの絶対的な間隔、表示される色のタイプ、並びに各色によって表される具体的情報は、本発明の趣旨から逸脱せずに、変わり得ることが認識される。ある実施形態では、各ゾーンは、5cm間隔、例えば、ゾーンAは、カテーテル72がセンサー50から<5cmであるとき、ゾーンBは、カテーテル72がセンサー50から5cm~10cmであるとき、及びゾーンCは、カテーテル72がセンサー50から10cm~15cmであるときを意味し得る。とはいうものの、各ゾーンは、異なる絶対的な距離範囲を意味し得ることが認識される。ある実施形態では、一連の色の変化は、距離、深さ、又はこれらの組み合わせの一連の変化を示し得る。
【0030】
ある実施形態では、図11に示す通り、アレイ200の1つ以上のLED灯、例えばLED灯201、203、204は、シンボル、例えば画像、英数字シンボルなどを映し出し得る。シンボルは、センサー50のすぐ近くの患者70の表面上に映し出され得る。シンボルは、ロケーション、距離、深さ、これらの組み合わせ、又はセンサー50に対するカテーテル72に関する同様の情報を示し得る。例えば、カテーテルの位置72Aがセンサー50の第1の側のすぐ近くであるとき、アレイの第1のLED灯201は、患者70の表面上に矢印のシンボル221を映し出し得、矢印の角度は、センサー50に対するカテーテル72の方向を示し得、矢印の数は、センサー50に対するカテーテル72の距離を示し得、及び色は、センサー50に対するカテーテル72の深さを示し得る。同様に図11に示すさらなる例として、第2のカテーテルの位置72Bは第2の側のすぐ近くに示されており、シンボル223が患者70の表面に映し出されて、ロケーション及び距離を示しており、さらに、色は深さを示し得る。医療機器がすぐ近くにないLEDアレイ200の残りのLED灯、例えばLED灯204は、シンボルを映し出さないことが認識される。
【0031】
それゆえ、アレイ200のLED灯のそれぞれは、センサー50に対するカテーテル72のロケーション、方向、距離、深さを示し得る。本発明の趣旨から逸脱せずに、形状、シンボル、英数字シンボル、色などの任意の組み合わせが、センサー50に対するカテーテル72のロケーション、方向、向き、距離、又は深さの任意の組み合わせを示すために使用され得ることが認識される。さらに、2つ以上の医療機器の位置がLEDアレイ200によって表示され得ることが認識される。
【0032】
好都合なことに、センサー50と一緒に含まれるアレイ200のLED灯201、202、203は、挿入された医療機器、カテーテル72のロケーションの可視的表示を提供する。それゆえ、別個のコンソール20及びディスプレイ30を必要とせずに、可視的表示がユーザにもたらされ、それにより、より低コストのシステムを提供する。或いは、センサー50によってもたらされた可視的表示によって、そのような情報はもはやディスプレイ30に表示される必要がなく、それにより、現状の位置(real estate)の表示の手間を省く。これにより、ディスプレイ30に、より明瞭で、あまり混乱を引き起こさないインターフェースを提供するか、又は異なる情報を提供できるようにするか、又はより小型でよりコンパクトなディスプレイを可能にするか、又はこれらの組み合わせを提供する。さらに、ユーザは、カテーテル72の先端チップ76Aが標的ロケーションに近づいているかどうかを判断するために、患者70及び挿入部位から注意をそらす必要がない。ユーザは、遠くに位置するディスプレイ30に注意をそらす必要なく、基端部分74を操作しながら、カテーテル72の先端チップ76aのロケーションを判断し得る。
【0033】
ある実施形態では、センサー50は、カテーテルが進められるときに、カテーテルの先端チップのロケーションを追跡するために使用され得る。センサーをチップと一緒に動かし得るため、ユーザは、体内でのチップのロケーションを追跡できる。医療機器のロケーションは、医療機器とセンサー50との間の相対距離として測定されるため、センサー50はまた、患者70の脈管構造内を進められるときに、医療機器と一緒に、又はそれに先立って、動かされ得る。LEDアレイ200は、患者70の体内に配置された先端チップ76Aとの近さを維持するために、ユーザに、センサー50を患者70の表面にわたってどこへ動かすかを示し得る。それゆえ、ユーザは、医療機器が進められるときに医療機器のロケーションを可視的に判断できる。
【0034】
ある実施形態では、アレイ200内のLED灯の密度は、図5~11に示すものとは異なり得る。図12に示す通り、ある実施形態では、アレイ200は、センサー50の1つ以上の表面にわたって行列配列に配置された複数のLED灯を含み得る。ある実施形態では、LEDアレイ200は、センサー50の実質的に表面全体を覆い得る。アレイ200内のLED灯の密度が高くなるにつれて、アレイ200の各LED灯に関連付けられる検出ゾーン領域は減少される。そのようなものとして、カテーテルのロケーション、向きなどの分解能は増加され得る。例えば、図12に示す通り、アレイ200における灯の密度は、カテーテル72のすぐ上にあるLED灯のみを点灯できるようにする。これは、センサー50に対するカテーテル72のロケーション及び向きに関するより詳細を提供する。
【0035】
図13~14に示す通り、ある実施形態では、単一ユニットのシステム50Aとして実質的に含まれるシステム10を提供するために、コンソール20及びディスプレイ30の機能がセンサー50内に含まれ得る。システム50Aの表面は、ディスプレイ30と同様のディスプレイ30Aを含み得る。さらに、医療機器、カテーテル72などは、有線又は無線のいずれかの通信モードによってシステム50Aと通信結合され得ることが認識される。ある実施形態では、システム50Aは、さらに、追加的な装置、例えば仮想現実ヘッドセット、拡張現実メガネなどと結合されて、ユーザに撮像画像及び情報をさらに表示し得る。
【0036】
ディスプレイ30Aは、患者70の体内にある、下に配置されたカテーテル72の画像を表示し得る。さらに、患者70の追加的な撮像画像及び情報もディスプレイ30Aに表示されて、システム50A及びそのセンサーの下に配置された、患者70の体内での医療機器の拡張ビューを提供し得る。患者70の撮像画像及び情報は、X線、超音波、PET、CT、MRI画像、これらの組み合わせなどを含み得ることが認識される。
【0037】
ある実施形態では、システム50Aは、撮像画像及び情報を、仮想化アルゴリズムによって3次元レンダリングされた仮想解剖学的構造の対象物へ変えるように構成されている。画像の3次元レンダリングのさらなる詳細は、米国特許出願公開第2019/0167148号明細書;米国特許出願公開第2019/0223757号明細書;及び米国特許出願公開第2019/0307419号明細書に見出され得、それらそれぞれの全体を参照することにより本出願に援用する。ディスプレイ30Aは、システム50Aの下に配置された、医療機器の画像、及び患者の複数の部分に対応する仮想解剖学的構造の対象物の双方を表示するように構成されている。この撮像画像は、患者70に対するシステム50Aのセンサーの位置とリンクされ得る。それゆえ、システム50Aが患者70に対して動かされるとき、表示される仮想解剖学的構造の対象物も、システム50Aの位置と対応するように修正され得る。
【0038】
それゆえ、ディスプレイ30Aは、システム50A及びそのセンサーの下に配置された患者70の複数の内部部分に対応する仮想解剖学的構造の対象物を表示する。ある実施形態では、撮像は、センサーが実装される前に実施されて、システム50Aに保存され得る。ある実施形態では、画像は、ディスプレイ30Aに対して絶えず更新されて、カテーテル72が進められているときの患者70の複数の内部部分の動的な画像を反映し得る。ある実施形態では、システム50Aは、さらに、患者70に配置された1つ以上の基準点(fiduciary point)230を含み得る。それゆえ、システム50Aは、基準点230を使用して、患者70に対するシステム50Aのセンサーのロケーションを決定し得る。その後、システム50Aは、仮想解剖学的構造などの画像、情報、3次元レンダリングを、患者70に対応付け得る。
【0039】
ある実施形態では、ディスプレイ30Aは、タッチスクリーンディスプレイとし得、且つシステム10の機能を制御するために、そこに表示される様々なボタン226を含み得る。例えば、プローブ40に含まれるボタンは、システム50Aにも含まれ得、且つ留置処置を支援するために、臨床家によって、ディスプレイ30Aに望ましいモードをすぐに呼び出すために使用され得る。ある実施形態では、図14に示す通り、ディスプレイは、さらに、グラフィック要素224、例えばシンボル、画像、アイコンなどを含み、医療機器がセンサー50のすぐ下にないときに、ロケーション、向き、距離、深さ、これらの組み合わせなどを表示し得る。本発明の趣旨から逸脱せずに、ディスプレイ30Aは、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、エレクトロルミネセンス(ELD)ディスプレイ、電子インクディスプレイ、電子ペーパーディスプレイ、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)、デジタル光処理(DLP:Digital Light Processing)ディスプレイなどを含み得ることが認識される。
【0040】
本発明の実施形態は、本開示の精神から逸脱することなく、他の特定の形態で具体化され得る。説明された実施形態は、すべての点において、単に例示的なものであり、限定的なものではないとみなされるべきである。実施形態の範囲は、したがって、上記の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の意味および同等性の範囲内のすべての変更は、その範囲内に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】