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特表2022-540253T型カルシウムチャネル調節因子の製剤およびその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-14
(54)【発明の名称】T型カルシウムチャネル調節因子の製剤およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/445 20060101AFI20220907BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20220907BHJP
   A61K 9/22 20060101ALI20220907BHJP
   A61K 9/36 20060101ALI20220907BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20220907BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20220907BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
A61K31/445
A61K47/38
A61K9/22
A61K9/36
A61K9/48
A61P25/08
A61P25/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502103
(86)(22)【出願日】2020-07-10
(85)【翻訳文提出日】2022-02-17
(86)【国際出願番号】 US2020041530
(87)【国際公開番号】W WO2021007487
(87)【国際公開日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】62/934,820
(32)【優先日】2019-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/958,923
(32)【優先日】2020-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/873,022
(32)【優先日】2019-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522014219
【氏名又は名称】プラクシス プレシジョン メディシンズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】レディ, キラン
(72)【発明者】
【氏名】リー, マーガレット エス.
(72)【発明者】
【氏名】ベルフォート, ガブリエル モーリス
(72)【発明者】
【氏名】ガラド, サプナ マヒヤ
(72)【発明者】
【氏名】フアン, リサ
(72)【発明者】
【氏名】パドバル, マヘシュ
(72)【発明者】
【氏名】ワグナー, ランドール
(72)【発明者】
【氏名】ウィットマン, マリオン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA22
4C076AA36
4C076AA38
4C076AA44
4C076AA54
4C076BB01
4C076CC01
4C076CC44
4C076DD29
4C076DD29H
4C076DD38
4C076DD41C
4C076EE23H
4C076EE31
4C076EE32
4C076EE32H
4C076EE32M
4C076EE42H
4C076FF04
4C076FF07
4C076FF09
4C076FF22
4C076FF31
4C076FF67
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA10
4C086BC21
4C086GA13
4C086GA15
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA23
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA52
4C086NA06
4C086NA12
4C086ZA02
4C086ZA06
4C086ZA12
4C086ZC41
(57)【要約】
一部、てんかんおよびてんかん症候群(例えば、欠神発作、若年性ミオクローヌスてんかん、または遺伝性てんかん)、振戦(例えば、本態性振戦)、ならびに精神障害(例えば、気分障害(例えば、大うつ病性障害))などの、T型カルシウムチャネルの異常機能と関連する疾患または状態を予防および/または治療するのに有用な剤形および組成物が、本明細書において記載される。本発明は、T型カルシウムチャネルの機能を調節する方法をさらに含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経口剤形であって、
式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩;および
放出改変ポリマー(例えば、徐放性ポリマー、親水性マトリックスポリマー、例えば、HPMCポリマー、疎水性マトリックスポリマー(例えば、エチルセルロース、エトセル)、またはポリアクリレートポリマー(例えば、Eudragit RL100、Eudragit RS100))を含む、経口剤形。
【請求項2】
前記剤形が、約0.9重量%~約40重量%の式(I)の前記化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む、請求項1に記載の剤形。
【請求項3】
前記剤形が、約14重量%~約25重量%の式(I)の前記化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む、請求項1または2に記載の剤形。
【請求項4】
前記剤形が、約19重量%~約20重量%の式(I)の前記化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項5】
前記剤形が、約21重量%~約22重量%の式(I)の前記化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項6】
前記剤形が、約4重量%~約15重量%の式(I)の前記化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む、請求項1または2に記載の剤形。
【請求項7】
前記剤形が、約4重量%~約10重量%の式(I)の前記化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む、請求項1、2、または6のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項8】
前記剤形が、約4重量%~約5重量%の式(I)の前記化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む、請求項1、2、6、または7のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項9】
前記剤形が、約5重量%~約6重量%の式(I)の前記化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む、請求項1、2、6、または7のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項10】
前記剤形が、約9重量%~約10重量%の式(I)の前記化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む、請求項1、2、6、または7のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項11】
前記剤形が、式(I)の前記化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)約1mg~約40mg(例えば、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg)を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項12】
前記剤形が、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)約4mg~約6mg(例えば、約5mg)を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項13】
前記剤形が、式(I)の前記化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)約15mg~約25mg(例えば、約20mg)を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項14】
式(I)の前記化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)が、結晶である、請求項1~13のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項15】
前記結晶形態が、次の回折角(2θ):16.2±0.2、17.4±0.2、および26.6±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンを呈する、請求項14に記載の剤形。
【請求項16】
前記結晶形態が、次の回折角(2θ):11.5±0.2、16.2±0.2、17.4±0.2、22.6±0.2、および26.6±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンを呈する、請求項14または15に記載の剤形。
【請求項17】
前記結晶形態が、次の回折角(2θ):11.5±0.2、16.2±0.2、17.4±0.2、18.3±0.2、18.5±0.2、19.2±0.2、20.0±0.2、22.6±0.2、23.9±0.2、および26.6±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンを呈する、請求項14~16のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項18】
前記結晶形態が、図1に示されるのと実質的に同じX線粉末回折パターンを有する、請求項14~17のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項19】
前記X線粉末回折パターンが、CuKα線を使用して得られた、請求項14~18のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項20】
前記結晶形態が、約226.6℃で示差走査熱量測定によって決定される融解開始点を有する、請求項14~19のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項21】
前記剤形が、前記放出改変ポリマー約55mg~65mgを含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項22】
前記剤形が、約10重量%~約70重量%の前記放出改変ポリマーを含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項23】
前記剤形が、約50重量%~約60重量%の前記放出改変ポリマーを含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項24】
前記剤形が、希釈剤をさらに含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項25】
前記希釈剤が、微結晶セルロースを含む、請求項24に記載の剤形。
【請求項26】
前記剤形が、微結晶セルロース約15mg~40mg(例えば、約15mg~約25mg、約20mg~約25mg、約25mg~約30mg、約30mg~約40mg)を含む、請求項25に記載の剤形。
【請求項27】
前記剤形が、約15重量%~約35重量%(例えば、約15重量%~約20重量%、約20重量%~約25重量%、25重量%~約30重量%、30重量%~約35重量%)の微結晶セルロースを含む、請求項25に記載の剤形。
【請求項28】
前記剤形が、滑剤をさらに含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項29】
前記滑剤が、コロイド状二酸化ケイ素を含む、請求項28に記載の剤形。
【請求項30】
前記剤形が、滑沢剤をさらに含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項31】
前記滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウムを含む、請求項30に記載の剤形。
【請求項32】
前記剤形が、コーティング剤をさらに含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項33】
式(I)の前記化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)の約80%が、対象への投与の際、7時間以内に放出される、請求項1~32のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項34】
式(I)の前記化合物の約80%が、USP装置I型、0.1M HCl 900mLを含有する媒体、およびパドルスピード100rpmを使用して、7時間で放出される、請求項33に記載の剤形。
【請求項35】
前記剤形が、対象への投与の際、参照経口剤形(例えば、任意の意図される放出速度プロファイル、例えば、調節放出速度プロファイルを有する剤形、調節放出速度プロファイルを有しない剤形、放出改変ポリマー、例えば、HPMCポリマーを有しない剤形)より低減したCmax値を有する、請求項1~34のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項36】
前記剤形が、対象への投与の際、参照経口剤形(例えば、任意の意図される放出速度プロファイル、例えば、調節放出速度プロファイルを有する剤形、調節放出速度プロファイルを有しない剤形、放出改変ポリマー、例えば、HPMCポリマーを有しない剤形)より大きいtmax値を有する、請求項1~35のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項37】
前記剤形が、患者に、1日1回投与される、請求項1~36のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項38】
前記剤形が、患者に、1日2回投与される、請求項1~36のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項39】
経口剤形であって、
式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)約15mg~25mg;および
HPMCポリマー約55mg~65mgを含む、経口剤形。
【請求項40】
経口剤形であって、
約14重量%~約25重量%の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物);および
約53重量%~約64重量%のHPMCポリマーを含む、経口剤形。
【請求項41】
経口剤形であって、
式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)約3mg~8mg;および
HPMCポリマー約55mg~65mgを含む、経口剤形。
【請求項42】
経口剤形であって、
約3重量%~約8重量%の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物);および
約53重量%~約64重量%のHPMCポリマーを含む、経口剤形。
【請求項43】
前記剤形が、錠剤である、請求項1~42のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項44】
前記剤形が、カプセル剤である、請求項1~42のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項45】
前記剤形が、懸濁剤である、請求項1~42のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項46】
経口(例えば、微粒子)組成物であって、
式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物);および
放出改変ポリマー(例えば、徐放性ポリマー、親水性マトリックスポリマー、例えば、HPMCポリマー、疎水性マトリックスポリマー(例えば、エチルセルロース、エトセル)、またはポリアクリレートポリマー(例えば、Eudragit RL100、Eudragit RS100))を含む、組成物。
【請求項47】
前記組成物が、約0.9重量%~約40重量%の式(I)の前記化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む、請求項46に記載の組成物。
【請求項48】
前記組成物が、約14重量%~約25重量%の式(I)の前記化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む、請求項46または47に記載の組成物。
【請求項49】
前記組成物が、約19重量%~約20重量%の式(I)の前記化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む、請求項46~48のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項50】
前記組成物が、約21重量%~約22重量%の式(I)の前記化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む、請求項46~48のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項51】
前記組成物が、約4重量%~約15重量%の式(I)の前記化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む、請求項46または47に記載の組成物。
【請求項52】
前記組成物が、約4重量%~約10重量%の式(I)の前記化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む、請求項46、47、または51のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項53】
前記組成物が、約4重量%~約5重量%の式(I)の前記化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む、請求項46、47、51、または52のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項54】
前記組成物が、約5重量%~約6重量%の式(I)の前記化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む、請求項46、47、51、または52のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項55】
前記組成物が、約9重量%~約10重量%の式(I)の前記化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む、請求項46、47、51、または52のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項56】
前記組成物が、式(I)の前記化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)約1mg~約40mg(例えば、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg)を含む、請求項46~55のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項57】
前記組成物が、式(I)の前記化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)約4mg~約6mg(例えば、約5mg)を含む、請求項46~55のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項58】
前記組成物が、式(I)の前記化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)約15mg~約25mg(例えば、約20mg)を含む、請求項46~55のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項59】
式(I)の前記化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)が、結晶形態である、請求項46~55のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項60】
前記結晶形態が、次の回折角(2θ):16.2±0.2、17.4±0.2、および26.6±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンを呈する、請求項59に記載の組成物。
【請求項61】
前記結晶形態が、次の回折角(2θ):11.5±0.2、16.2±0.2、17.4±0.2、22.6±0.2、および26.6±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンを呈する、請求項59または60に記載の組成物。
【請求項62】
前記結晶形態が、次の回折角(2θ):11.5±0.2、16.2±0.2、17.4±0.2、18.3±0.2、18.5±0.2、19.2±0.2、20.0±0.2、22.6±0.2、23.9±0.2、および26.6±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンを呈する、請求項59~61のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項63】
前記結晶形態が、図1に示されるのと実質的に同じX線粉末回折パターンを有する、請求項59~62のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項64】
前記X線粉末回折パターンが、CuKα線を使用して得られた、請求項59~63のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項65】
前記結晶形態が、約226.6℃で示差走査熱量測定により決定される融解開始点を有する、請求項59~64のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項66】
前記結晶形態が、図2に示されるのと実質的に同じ示差走査熱量測定曲線を有する、請求項59~65のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項67】
前記組成物が、前記放出改変ポリマー約55mg~65mgを含む、請求項46~66のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項68】
前記組成物が、約10重量%~約70重量%の前記放出改変ポリマーを含む、請求項42~62のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項69】
前記組成物が、約50重量%~約60重量%の前記放出改変ポリマーを含む、請求項42~63のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項70】
前記剤形が、希釈剤を含む、請求項42~64のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項71】
前記希釈剤が、微結晶セルロースを含む、請求項65に記載の組成物。
【請求項72】
前記組成物が、微結晶セルロース約15mg~40mg(例えば、約15mg~約25mg、約20mg~約25mg、約25mg~約30mg、約30mg~約40mg)を含む、請求項66に記載の組成物。
【請求項73】
前記組成物が、約15重量%~約35重量%(例えば、約15重量%~約20重量%、約20重量%~約25重量%、25重量%~約30重量%、30重量%~約35重量%)の微結晶セルロースを含む、請求項66に記載の組成物。
【請求項74】
前記組成物が、滑剤をさらに含む、請求項42~68のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項75】
前記滑剤が、コロイド状二酸化ケイ素を含む、請求項69に記載の組成物。
【請求項76】
前記組成物が、滑沢剤をさらに含む、請求項42~70のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項77】
前記滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウムを含む、請求項71に記載の組成物。
【請求項78】
前記組成物が、コーティング剤をさらに含む、請求項42~72のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項79】
前記化合物が、約25℃、60%相対湿度で、少なくとも24ヶ月間安定である、請求項42~73のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項80】
前記化合物が、約25℃、60%相対湿度で、少なくとも36ヶ月間安定である、請求項42~74のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項81】
前記化合物が、約25℃、60%相対湿度で、少なくとも48ヶ月間安定である、請求項42~75のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項82】
前記化合物が、約25℃、60%相対湿度で、少なくとも60ヶ月間安定である、請求項42~76のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項83】
前記化合物が、約40℃、75%相対湿度で、少なくとも6ヶ月間安定である、請求項42~77のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項84】
経口(例えば、微粒子)組成物であって、
式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)約15mg~25mg;および
HPMC約55mg~65mgを含む、組成物。
【請求項85】
経口(例えば、微粒子)組成物であって、
約14重量%~約25重量%の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物);および
約53重量%~約64重量%のHPMCポリマーを含む、組成物。
【請求項86】
経口(例えば、微粒子)組成物であって、
式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)約3mg~8mg;および
HPMC約55mg~65mgを含む、組成物。
【請求項87】
経口(例えば、微粒子、膨潤性コア)組成物であって、
約3重量%~約8重量%の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物);および
約53重量%~約64重量%のHPMCポリマーを含む、組成物。
【請求項88】
前記結晶形態が、次の回折角(2θ):16.2±0.2、17.4±0.2、および26.6±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンを呈する、式(II)の化合物の結晶形態。
【請求項89】
前記結晶形態が、次の回折角(2θ):11.5±0.2、16.2±0.2、17.4±0.2、22.6±0.2、および26.6±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンを呈する、請求項88に記載の結晶形態。
【請求項90】
前記結晶形態が、次の回折角(2θ):11.5±0.2、16.2±0.2、17.4±0.2、18.3±0.2、18.5±0.2、19.2±0.2、20.0±0.2、22.6±0.2、23.9±0.2、および26.6±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンを呈する、請求項88または89に記載の結晶形態。
【請求項91】
前記結晶形態が、図1に示されるのと実質的に同じX線粉末回折パターンを有する、請求項88~90のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項92】
前記X線粉末回折パターンが、CuKα線を使用して得られた、請求項88~91のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項93】
前記結晶形態が、約226.6℃で示差走査熱量測定により決定される融解開始点を有する、請求項88~92のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項94】
前記結晶形態が、次の回折角(2θ):21.9±0.2、18.5±0.2、および17.8±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンを呈する、式(II)の化合物の結晶形態。
【請求項95】
前記結晶形態が、次の回折角(2θ):21.9±0.2、18.5±0.2、17.8±0.2、10.2±0.2、および20.5±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンを呈する、請求項94に記載の結晶形態。
【請求項96】
前記結晶形態が、次の回折角(2θ):21.9±0.2、18.5±0.2、17.8±0.2、10.2±0.2、20.5±0.2、25.2±0.2、16.9±0.2、24.2±0.2、28.6±0.2、および21.2±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンを呈する、請求項94または95に記載の結晶形態。
【請求項97】
前記結晶形態が、図7に示されるのと実質的に同じX線粉末回折パターンを有する、請求項94~96のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項98】
前記X線粉末回折パターンが、CuKα線を使用して得られた、請求項94~97のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項99】
前記結晶形態が、約97.9、131.6、223.7、83.8、128.9、168.9、または224.4℃で示差走査熱量測定により決定される融解開始点を有する、請求項94~98のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項100】
それを必要とする対象における神経障害を治療する方法であって、前記対象に、請求項1~45のいずれか一項に記載の経口剤形、請求項46~87のいずれか一項に記載の組成物、または請求項88~99のいずれか一項に記載の結晶形態を投与することを含む、方法。
【請求項101】
前記神経障害が、てんかんである、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記てんかんが、若年性てんかんである、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記てんかんが、遺伝性てんかん(例えば、CACNA1G関連遺伝性全般てんかん)である、請求項101に記載の方法。
【請求項104】
前記神経障害が、欠神発作である、請求項100に記載の方法。
【請求項105】
前記神経障害が、欠神てんかん(例えば、CACNA1H関連欠神てんかん)である、請求項100に記載の方法。
【請求項106】
前記神経障害が、CACNA1G、HまたはIに関連するてんかんである、請求項100に記載の方法。
【請求項107】
前記てんかんが、小児欠神てんかん(CAE)である、請求項101に記載の方法。
【請求項108】
前記てんかんが、若年性欠神てんかん(JAE)である、請求項101に記載の方法。
【請求項109】
前記てんかんが、レノックス・ガストー症候群である、請求項101に記載の方法。
【請求項110】
前記神経障害が、疼痛(例えば、急性疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、侵害受容性疼痛、中枢性疼痛;例えば、視床痛;または片頭痛)である、請求項100に記載の方法。
【請求項111】
前記神経障害が、振戦(例えば、本態性振戦、パーキンソン病性振戦、または小脳性振戦、CACNA1G関連振戦)である、請求項100に記載の方法。
【請求項112】
前記神経障害が、運動失調(例えば、脊髄小脳失調症、またはCACNA1G変異を有する脊髄小脳失調症)である、請求項100に記載の方法。
【請求項113】
前記神経障害が、耳鳴である、請求項100に記載の方法。
【請求項114】
前記神経障害が、覚醒の障害である、請求項100に記載の方法。
【請求項115】
それを必要とする対象における精神障害を治療する方法であって、前記対象に、請求項1~45のいずれか一項に記載の経口剤形、請求項46~87のいずれか一項に記載の組成物、または請求項88~99のいずれか一項に記載の結晶形態を投与することを含む、方法。
【請求項116】
前記精神障害が、気分障害である、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記気分障害が、大うつ病性障害である、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
前記剤形が、前記対象に1日1回投与される、請求項115~117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
前記剤形が、前記対象に1日2回投与される、請求項115~118のいずれか一項に記載の方法。
【請求項120】
前記剤形が、前記対象に1日おきに投与される、請求項115~119のいずれか一項に記載の方法。
【請求項121】
式(I)の前記化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)約15mg~25mg(例えば、約20mg)が、前記対象に毎日投与される、請求項100~120のいずれか一項に記載の方法。
【請求項122】
式(I)の前記化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)約30mg~50mg(例えば、約40mg)が、前記対象に毎日投与される、請求項100~120のいずれか一項に記載の方法。
【請求項123】
前記剤形が、前記対象への投与の際、参照経口剤形(例えば、任意の意図される放出速度プロファイル、例えば、調節放出速度プロファイルを有する剤形、調節放出速度プロファイルを有しない剤形、放出改変ポリマー、例えば、HPMCポリマーを有しない剤形)より低減したCmax値を有する、請求項100~122のいずれか一項に記載の方法。
【請求項124】
前記剤形が、前記対象への投与の際、参照経口剤形(例えば、任意の意図される放出速度プロファイル、例えば、調節放出速度プロファイルを有する剤形、調節放出速度プロファイルを有しない剤形、放出改変ポリマー、例えば、HPMCポリマーを有しない剤形)より大きいtmax値を有する、請求項100~123のいずれか一項に記載の方法。
【請求項125】
それを必要とする患者における欠神発作を伴う全般てんかん症候群を治療する方法であって、前記患者に、てんかん発作の数の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)(例えば、請求項1~45のいずれか一項に記載の経口剤形、請求項46~87のいずれか一項に記載の組成物、または請求項88~99のいずれか一項に記載の結晶形態)を投与することを含む、方法。
【請求項126】
それを必要とする患者における欠神発作を伴う全般てんかん症候群を治療する方法であって、前記患者に、脳波(EEG)により測定されるてんかん発作密度の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)(例えば、請求項1~45のいずれか一項に記載の経口剤形、請求項46~87のいずれか一項に記載の組成物、または請求項88~99のいずれか一項に記載の結晶形態)を投与することを含む、方法。
【請求項127】
それを必要とする患者における欠神発作を伴う全般てんかん症候群を治療する方法であって、前記患者に、EEGにより測定される平均てんかん発作期間の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)(例えば、請求項1~45のいずれか一項に記載の経口剤形、請求項46~87のいずれか一項に記載の組成物、または請求項88~99のいずれか一項に記載の結晶形態)を投与することを含む、方法。
【請求項128】
それを必要とする患者における欠神発作を伴う全般てんかん症候群を治療する方法であって、前記患者に、EEGにより測定される累積てんかん発作期間の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物(例えば、請求項1~45のいずれか一項に記載の経口剤形、請求項46~87のいずれか一項に記載の組成物、または請求項88~99のいずれか一項に記載の結晶形態)を投与することを含む、方法。
【請求項129】
それを必要とする患者における欠神発作を伴う全般てんかん症候群を治療する方法であって、前記患者に、EEGにより測定される過換気および光刺激誘発後の2.5~4Hzの棘波発射を伴う総時間の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)(例えば、請求項1~45のいずれか一項に記載の経口剤形、請求項46~87のいずれか一項に記載の組成物、または請求項88~99のいずれか一項に記載の結晶形態)を投与することを含む、方法。
【請求項130】
それを必要とする患者における欠神発作を伴う全般てんかん症候群を治療する方法であって、前記患者に、臨床全般印象-重症度(CGI-S)または臨床全般印象-改善(CGI-I)スコアにより測定される、全般重症度の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)(例えば、請求項1~45のいずれか一項に記載の経口剤形、請求項46~87のいずれか一項に記載の組成物、または請求項88~99のいずれか一項に記載の結晶形態)を投与することを含む、方法。
【請求項131】
それを必要とする患者における本態性振戦を治療する方法であって、前記患者に、本態性振戦評価アセスメント尺度(TETRAS)スコアにより評価される、前記本態性振戦の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)(例えば、請求項1~45のいずれか一項に記載の経口剤形、請求項46~87のいずれか一項に記載の組成物、または請求項88~99のいずれか一項に記載の結晶形態)を投与することを含む、方法。
【請求項132】
前記本態性振戦の前記低減が、本態性振戦評価アセスメント尺度(TETRAS)上肢スコアにより評価される、請求項131に記載の方法。
【請求項133】
前記本態性振戦の前記低減が、TETRAS-ADL(日常生活動作)により評価される、請求項131に記載の方法。
【請求項134】
前記本態性振戦の前記低減が、TETRAS活動サブ尺度スコアまたはTETRAS活動の個々の項目により評価される、請求項131または132に記載の方法。
【請求項135】
それを必要とする患者における本態性振戦を治療する方法であって、前記患者に、加速度計に基づく上肢スコアにより評価される、前記本態性振戦の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)(例えば、請求項1~45のいずれか一項に記載の経口剤形、請求項46~87のいずれか一項に記載の組成物、または請求項88~99のいずれか一項に記載の結晶形態)を投与することを含む、方法。
【請求項136】
それを必要とする患者における本態性振戦を治療する方法であって、前記患者に、シグマ周波数帯域の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)(例えば、請求項1~45のいずれか一項に記載の経口剤形、請求項46~87のいずれか一項に記載の組成物、または請求項88~99のいずれか一項に記載の結晶形態)を投与することを含む、方法。
【請求項137】
前記本態性振戦が、上肢振戦である、請求項131~136のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年7月11日に出願された米国仮特許出願番号第62/873,022号、2019年11月13日に出願された第62/934,820号、および2020年1月9日に出願された第62/958,923号の優先権および利益を主張するものであり、その各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
T型カルシウムチャネルは、カルシウムの細胞内への流入を仲介する低電圧により活性化されるイオンチャネルである。これらのイオンチャネルの異常機能は、精神障害(例えば、気分障害(例えば、大うつ病性障害))、疼痛、振戦(例えば、本態性振戦)、てんかん、またはてんかん症候群(例えば、欠神発作および若年性ミオクローヌスてんかん)を含む、いくつかの疾患または状態と関連している。したがって、哺乳類においてT型カルシウムチャネルを選択的に調節する化合物は、このような疾患の治療において有用であり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
てんかんおよびてんかん症候群(例えば、欠神発作、若年性ミオクローヌスてんかん、または遺伝性てんかん)ならびに気分障害(例えば、大うつ病性障害)などの、T型カルシウムチャネルの異常機能に関連する疾患または状態を予防および/または治療するのに有用な組成物および剤形が、本明細書において記載される。本発明は、T型カルシウムチャネルの機能を調節する方法をさらに含む。
【0004】
一態様では、本発明は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、および式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩の放出速度を改変するよう機能する賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0005】
一態様では、本発明は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩;および放出改変ポリマー(例えば、徐放性ポリマー、親水性マトリックスポリマー、例えば、親水性マトリックスポリマーとしてのHPMCポリマー、疎水性マトリックスポリマー(例えば、エチルセルロース、エトセル)、またはポリアクリレートポリマー(例えば、Eudragit RL100、Eudragit RS100))を含む、経口剤形を提供する。一部の実施形態では、剤形は、約0.9重量%~約40重量%の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む。他の実施形態では、剤形は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)約1mg~約40mg(例えば、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg)を含む。
【0006】
本明細書において開示される剤形は、約10重量%~約70重量%の放出改変ポリマーを含んでもよい。本明細書において開示される剤形は、希釈剤(例えば、微結晶セルロース)を含んでもよい。
【0007】
別の態様では、本発明は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)約15mg~25mg;およびHPMCポリマー約55mg~65mgを含む経口剤形を開示する。
【0008】
別の態様では、本発明は、約14重量%~約25重量%の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物);および約53重量%~約64重量%のHPMCポリマーを含む経口剤形を提供する。
【0009】
式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)約3mg~8mg;およびHPMCポリマー約55mg~65mgを含む経口剤形がまた、本明細書において提供される。
【0010】
一態様では、約3重量%~約8重量%の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物);および約53重量%~約64重量%のHPMCポリマーを含む経口剤形が、本明細書において提供される。
【0011】
本発明は、一部、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物);および放出改変ポリマー(例えば、徐放性ポリマー、親水性マトリックスポリマー、例えば、HPMCポリマー、疎水性マトリックスポリマー(例えば、エチルセルロース、エトセル)、またはポリアクリレートポリマー(例えば、Eudragit RL100、Eudragit RS100))を含む経口(例えば、微粒子)組成物を提供する。
【0012】
一部の実施形態では、組成物は、約0.9重量%~約40重量%の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む。ある特定の実施形態では、組成物は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)約1mg~約40mg(例えば、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg)を含む。
【0013】
式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)約15mg~25mg;およびHPMC約55mg~65mgを含む経口(例えば、微粒子)組成物がまた、本明細書において提供される。
【0014】
別の態様では、本発明は、約14重量%~約25重量%の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物);および約53重量%~約64重量%のHPMCポリマーを含む経口(例えば、微粒子)組成物を提供する。
【0015】
一部、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)約3mg~8mg;およびHPMC約55mg~65mgを含む経口(例えば、微粒子)組成物が、本明細書において提供される。
【0016】
本発明は、一部、約3重量%~約8重量%の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物);および約53重量%~約64重量%のHPMCポリマーを含む経口(例えば、微粒子、膨潤性コア)組成物を開示する。
【0017】
一態様では、本発明は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)の結晶形態を提供し、結晶形態は、次の回折角(2θ):16.2±0.2、17.4±0.2、および26.6±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンを呈する。
【0018】
別の態様では、本発明は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)の結晶形態を提供し、結晶形態は、次の回折角(2θ):21.9±0.2、18.5±0.2、および17.8±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンを呈する。
【0019】
本発明は、一部、それを必要とする対象における神経障害を治療する方法を提供し、方法は、対象に、本明細書において開示される経口投薬量、組成物、または結晶形態を投与する工程を含む。一部の実施形態では、神経障害は、てんかんである。他の実施形態では、てんかんは、若年性てんかんである。ある特定の実施形態では、てんかんは、遺伝性てんかん(例えば、CACNA1G関連遺伝性全般てんかん)である。一部の実施形態では、神経障害は、欠神発作である。他の実施形態では、神経障害は、欠神てんかん(例えば、CACNA1H関連欠神てんかん)である。ある特定の実施形態では、神経障害は、CACNA1G、HまたはI関連てんかんである。一部の実施形態では、てんかんは、小児欠神てんかん(CAE)である。他の実施形態では、てんかんは、若年性欠神てんかん(JAE)である。ある特定の実施形態では、てんかんは、レノックス・ガストー症候群である。一部の実施形態では、神経障害は、疼痛(例えば、急性疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、侵害受容性疼痛、中枢性疼痛;例えば、視床痛;または片頭痛)である。他の実施形態では、神経障害は、振戦(例えば、本態性振戦、パーキンソン病性振戦、または小脳性振戦、CACNA1G関連振戦)である。ある特定の実施形態では、神経障害は、運動失調(例えば、脊髄小脳失調症、またはCACNA1G変異を有する脊髄小脳失調症)である。他の実施形態では、神経障害は、耳鳴である。一部の実施形態では、神経障害は、覚醒の障害である。
【0020】
別の態様では、それを必要とする対象における精神障害を治療する方法が、本明細書において提供され、方法は、対象に、本明細書において開示される経口投薬量、組成物、または結晶形態を投与する工程を含む。一部の実施形態では、精神障害は、気分障害である。他の実施形態では、気分障害は、大うつ病性障害である。
【0021】
本明細書に記載される方法のある特定の実施形態では、剤形は、対象に1日1回投与される。剤形は、対象に1日2回投与されてもよい。剤形は、対象に1日おきに投与されてもよい。
【0022】
本明細書に記載される方法の一部の実施形態では、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)約15mg~25mg(例えば、約20mg)は、対象に毎日投与されてもよいか、または式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)約30mg~50mg(例えば、約40mg)は、対象に毎日投与される。
【0023】
本明細書に記載される方法のある特定の実施形態では、剤形は、対象への投与の際、参照経口剤形(例えば、任意の意図される放出速度プロファイル、例えば、調節放出速度プロファイルを有する剤形、調節放出速度プロファイルを有しない剤形、放出改変ポリマー、例えば、HPMCポリマーを有しない剤形)より低減したCmaxを有してもよい。本明細書において開示される方法の他の実施形態では、剤形は、対象への投与の際、参照経口剤形(例えば、任意の意図される放出速度プロファイル、例えば、調節放出速度プロファイルを有する剤形、調節放出速度プロファイルを有しない剤形、a放出改変ポリマー、例えば、HPMCポリマーを有しない剤形)より大きいtmaxを有してもよい。
【0024】
患者に、てんかん発作の数の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)(例えば、本明細書において開示される経口剤形、組成物、または結晶形態)を投与する工程を含む、それを必要とする患者における欠神発作を伴う全般てんかん症候群を治療する方法がまた、本明細書において提供される。
【0025】
一態様では、患者に、脳波(EEG)により測定されるてんかん発作密度の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)(例えば、本明細書において開示される経口剤形、組成物、または結晶形態)を投与する工程を含む、それを必要とする患者における欠神発作を伴う全般てんかん症候群を治療する方法がまた、本明細書において提供される。
【0026】
一部、患者に、EEGにより測定される平均てんかん発作期間の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)(例えば、本明細書において開示される経口剤形、組成物、または結晶形態)を投与する工程を含む、それを必要とする患者における欠神発作を伴う全般てんかん症候群を治療する方法がまた、本明細書において提供される。
【0027】
一部、患者に、EEGにより測定される累積てんかん発作期間の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)(例えば、本明細書において開示される経口剤形、組成物、または結晶形態)を投与する工程を含む、それを必要とする患者における欠神発作を伴う全般てんかん症候群を治療する方法がまた、本明細書において提供される。
【0028】
一部、患者に、EEGにより測定される、過換気および光刺激誘発後の2.5~4Hzの棘波発射を伴う総時間の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)(例えば、本明細書に記載される経口投薬量、組成物、または結晶)を投与する工程を含む、それを必要とする患者における欠神発作を伴う全般てんかん症候群を治療する方法が、本明細書において提供される。
【0029】
別の態様では、患者に、臨床全般印象-重症度(CGI-S)または臨床全般印象-改善(CGI-I)スコアにより測定される、全般重症度の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)(例えば、経口剤形、組成物、または結晶形態)を投与する工程を含む、それを必要とする患者における欠神発作を伴う全般てんかん症候群を治療する方法が、本明細書において提供される。
【0030】
患者に、本態性振戦評価アセスメント尺度(TETRAS)スコアにより評価される本態性振戦の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)(例えば、本明細書において開示される経口剤形、組成物、または結晶形態)を投与する工程を含む、それを必要とする患者における本態性振戦を治療する方法がまた、本明細書において提供される。一部の実施形態では、本態性振戦の低減は、本態性振戦評価アセスメント尺度(TETRAS)上肢スコアにより評価される。他の実施形態では、本態性振戦の低減は、TETRAS-ADL(日常生活動作)により評価される。本態性振戦の低減は、TETRAS活動サブ尺度スコアまたはTETRAS活動の個々の項目により評価される。
【0031】
患者に、加速度計に基づく上肢スコアにより評価される本態性振戦の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)(例えば、本明細書において開示される経口投薬量、組成物、または結晶形態)を投与する工程を含む、それを必要とする患者における本態性振戦を治療する方法がまた、本明細書において提供される。
【0032】
別の態様では、患者に、シグマ周波数帯域の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)(例えば、本明細書において開示される経口剤形、組成物、または結晶形態)を投与する工程を含む、それを必要とする患者における本態性振戦を治療する方法が、本明細書において提供される。一部の実施形態では、本態性振戦は、上肢振戦である。
【0033】
他の目的および利点は、続く図面の簡単な説明、発明を実施するための形態、実施例、および特許請求の範囲を考慮することにより、当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、式(II)の化合物の形態Cの粉末X線ディフラクトグラムである。
図2図2は、式(II)の化合物の形態Cの示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムである。
図3図3は、式(II)の化合物の形態Cの熱重量分析(TGA)サーモグラムである。
図4図4は、式(II)の化合物の形態Cのホットステージ顕微鏡(HSM)顕微鏡写真である。
図5図5は、式(II)の化合物の放出改変錠剤および即時放出カプセルの単回20mg経口投与後の式(I)の化合物の平均濃度-時間プロファイルを示すグラフである。
図6図6は、式(II)の化合物の投与によるアルキメデス・スパイラルタスクにおける振戦における低減を示す。
図7図7は、式(II)の化合物のパターンBの粉末X線ディフラクトグラムである。
図8図8は、式(II)の化合物のパターンBの示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムである。
図9図9は、式(II)の化合物のパターンBの熱重量分析(TGA)サーモグラムである。
図10図10は、式(II)の化合物のパターンBのホットステージ顕微鏡(HSM)顕微鏡写真である。
図11図11は、5mgの錠剤製剤4の単回経口投与後の平均(±SD)濃度を示す。
図12図12は、健康なボランティアにおける第I相睡眠EEGを示す(NREMシグマ)。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本明細書に一般的に記載される通り、本発明は、T型カルシウムチャネルの機能に関連する疾患または状態、例えば、てんかんまたはてんかん症候群(例えば、欠神発作、若年性ミオクローヌスてんかん、もしくは遺伝性てんかん)を予防および/または治療するのに有用な組成物または剤形(例えば、式(I)の化合物もしくはその医薬的に許容される塩を含む)を提供する。気分障害(例えば、うつ病、大うつ病性障害、気分変調性障害(例えば、軽度のうつ病)、双極性障害(例えば、Iおよび/またはII)、不安障害(例えば、全般不安障害(GAD)、社会不安障害)、ストレス、外傷後ストレス障害(PTSD)、強迫性障害(例えば、強迫神経症(OCD))を治療する方法がまた、提示されるT型カルシウムチャネルの機能を調節するのに有用である方法がまた、提示される。疼痛(例えば、急性疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、侵害受容性疼痛、中枢性疼痛;例えば、視床痛;または片頭痛)を治療する方法がまた、提示される。振戦(例えば、本態性振戦、パーキンソン病性振戦、または小脳性振戦)を治療する方法がまた、提示される。運動失調(例えば、脊髄小脳失調症、小脳性運動失調、またはCACNA1G変異を有する脊髄小脳失調症)を治療する方法がまた、提示される。耳鳴を治療する方法がまた、提示される。不眠を治療する方法がまた、提示される。
【0036】
定義
一般に、化合物の「有効量」は、所望の生物学的応答を誘発するのに十分な量を指す。当業者には理解されるであろうように、発明の化合物の有効量は、所望の生物学的エンドポイント、化合物の薬物動態、治療される疾患、投与モード、ならびに対象の年齢、健康、および状態などの因子に応じて変動し得る。有効量は、治療的および予防的治療を包含する。
【0037】
本明細書で使用される場合、かつ別段指定されない限り、化合物の「治療有効量」は、疾患、障害、もしくは状態の治療における療法的利点を提供するか、または疾患、障害、もしくは状態に関連する一つ以上の症状を遅延もしくは最小限に抑えるのに十分な量である。化合物の治療有効量は、単独での、または他の療法と組み合わせた治療剤の量を意味し、疾患、障害、または状態の治療に療法的な利点を提供する。用語「治療有効量」は、全体的な療法を改善するか、疾患もしくは状態の症状もしくは原因を低減もしくは回避するか、または別の治療剤の療法的効力を増強する量を包含し得る。
【0038】
本明細書で使用される場合、用語「難治性」は、療法もしくは治療に容易に屈しないか、または応答しない、あるいは療法または治療によって制御されない、疾患、障害、または状態を指す。一部の実施形態では、本明細書に記載される疾患、障害、または状態は、難治性(例えば、難治性てんかんまたは難治性欠神発作)であり、標準療法または治療に応答しない。
【0039】
本明細書で使用される場合、投与が企図される「対象」としては、限定されないが、ヒト(すなわち、任意の年齢群、例えば、小児対象(例えば、乳児、小児、青年)、または成人対象(例えば、若年成人、中年成人、または高齢成人)の男性または女性)、ならびに/または非ヒト動物、例えば、霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル)、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、げっ歯類、ネコ、および/もしくはイヌなどの哺乳類が挙げられる。ある特定の実施形態では、対象は、ヒトである。ある特定の実施形態では、対象は、非ヒト動物である。用語「ヒト」、「患者」、および「対象」は、本明細書で互換的に使用される。
【0040】
用語「疾患」、「障害」、および「状態」は、本明細書で互換的に使用される。
【0041】
本明細書で使用される場合、別段指定されない限り、用語「治療する」、「治療すること」、および「治療」は、対象が指定された疾患、障害、または状態に罹患している間に生じ、疾患、障害、もしくは状態の重症度を低減するか、または疾患、障害、もしくは状態の進行を遅延させるかもしくは遅らせる作用(「療法的治療」)を企図し、対象が、指定される疾患、障害または状態に罹患し始める前に生じる作用も企図する。
【0042】
本明細書で使用される場合、用語「医薬的に許容される塩」は、妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激性、アレルギー応答などを伴わずにヒトおよび下等動物の組織と接触させて使用するのに好適であり、合理的な利益/リスク比と釣り合う、塩を指す。医薬的に許容される塩は、当該技術分野において周知である。例えば、Berge et al.は、J.Pharmaceutical Sciences(1977)66:1-19で医薬的に許容される塩について詳細に記載している。本発明の化合物の医薬的に許容される塩としては、好適な無機および有機の酸および塩基に由来するものが挙げられる。医薬的に許容される非毒性酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、および過塩素酸などの無機酸と、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、もしくはマロン酸などの有機酸と、またはイオン交換などの当該技術分野において使用される他の方法を使用することによって、形成されるアミノ基の塩である。他の医薬的に許容される塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩、その立体異性体(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマー)などが挙げられる。さらなる医薬的に許容される塩としては、適切な場合、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩、およびアリールスルホン酸塩などの対イオンを使用して形成される非毒性アンモニウム、四級アンモニウム、およびアミンカチオンが挙げられる。
【0043】
用語「放出改変ポリマー」は、対象への投与の際に、薬物の放出速度を改変するために、製剤(例えば、錠剤およびカプセル剤)において使用されるポリマーを指す。例えば、放出改変ポリマーは、血流中によりゆっくりと安定して放出されるように、経時的に薬物を溶解するために使用される。例えば、放出改変ポリマーは、徐放性ポリマーである。例えば、放出改変ポリマーまたは徐放性ポリマーは、HPMCポリマーである。一部の実施形態では、放出改変ポリマーは、親水性マトリックスポリマー(例えば、ヒプロメロース、HPMC(ヒドロキシル-プロピルメチルセルロース))、疎水性マトリックスポリマー(例えば、エチルセルロース、エトセル)、またはポリアクリレートポリマー(例えば、Eudragit RL100、Eudragit RS100)を含み得る。
【0044】
本明細書で使用される場合、用語「希釈剤」は、重量を増大させ、含有物の均一性を改善するために使用される賦形剤を指す。例えば、希釈剤は、セルロース誘導体(例えば、微結晶セルロース)、でんぷん(例えば、加水分解でんぷん、および部分的に前ゲル化されたでんぷん)、無水ラクトース、ラクトース一水和物、二リン酸カルシウム(DCP)、糖アルコール(例えば、ソルビトール、キシリトールおよびマンニトール))を含む。
【0045】
本明細書で使用される場合、用語「滑剤」は、粒子間摩擦および凝集を低減することによって粉末流を促進するために使用される賦形剤を指す。例えば、滑剤は、ヒュームドシリカ(例えば、コロイド状二酸化ケイ素)、タルク、および炭酸マグネシウムを含む。
【0046】
本明細書で使用される場合、用語「滑沢剤」は、成分が一緒に凝集し、錠剤パンチまたはカプセル充填機に固着するのを防ぐために使用される賦形剤を指す。滑沢剤はまた、錠剤形成および排出が、固形物とダイ壁の間で低摩擦で生じ得ることを確実にするために使用される。例えば、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、タルク、シリカ、および脂肪(例えば、植物性ステアリン)を含む。
【0047】
本明細書で使用される場合、用語「コーティング剤」は、空気中の水分による劣化から錠剤成分を保護し、大型または不快な味の錠剤を飲み込みやすくするための賦形剤を指す。これらおよび他の例示的な置換基は、発明を実施するための形態、実施例、および特許請求の範囲においてより詳細に記載される。発明は、置換基の上の例示的な列挙によっていかなる様式でも限定されることを意図しない。
【0048】
剤形および組成物
一態様では、本発明は、T型カルシウムチャネル調節、ならびにその機能と関連する疾患、障害、あるいは状態(例えば、気分障害(例えば、大うつ病性障害)、てんかんもしくはてんかん症候群、例えば、欠神発作、若年性ミオクローヌスてんかん、てんかん重積、または遺伝性てんかん)のための剤形または組成物を特性とする。
【0049】
別の態様では、本発明は、式(I):
【化1】
の化合物、またはその医薬的に許容される塩(例えば、共結晶)もしくは溶媒和物を含む剤形を提供する。
【0050】
別の態様では、本発明は、式(II):の化合物を含む剤形を提供する。
【化2】
【0051】
放出改変剤形および組成物
一態様では、本発明は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、および式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩の放出速度を改変するよう機能する賦形剤を含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、医薬組成物は、膨潤性コアテクノロジー製剤であってもよい。
【0052】
一態様では、本開示は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物);および放出改変ポリマー(例えば、徐放性ポリマー、親水性マトリックスポリマー、例えば、HPMCポリマー、疎水性マトリックスポリマー(例えば、エチルセルロース、エトセル)、またはポリアクリレートポリマー(例えば、Eudragit RL100、Eudragit RS100))を含む経口剤形を提供する。
【0053】
一態様では、本発明は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)および放出改変ポリマー(例えば、徐放性ポリマー、親水性マトリックスポリマー、例えば、HPMCポリマー、疎水性マトリックスポリマー(例えば、エチルセルロース、エトセル)、またはポリアクリレートポリマー(例えば、Eudragit RL100、Eudragit RS100))を、例えば、対象への投与の際の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)の放出速度を改変するのに十分な量で含む、剤形または組成物を提供する。
【0054】
一部の実施形態では、剤形は、約0.9重量%~約40重量%(例えば、約0.9重量%~約30重量%、約1重量%~約25重量%、約2重量%~約25重量%、約3重量%~約20重量%、約4重量%~約20重量%、約5重量%~約20重量%、約5重量%~約15重量%、約5重量%~約10重量%、または約0.9%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約40重量%)の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む。一部の実施形態では、剤形は、約30重量%~約40重量%の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む。
【0055】
一部の実施形態では、剤形は、約14重量%~約25重量%の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む。一部の実施形態では、剤形は、約19重量%~約20重量%の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む。一部の実施形態では、剤形は、約21重量%~約22重量%の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む。一部の実施形態では、剤形は、約4重量%~約15重量%の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む。一部の実施形態では、剤形は、約4重量%~約10重量%の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む。一部の実施形態では、剤形は、約4重量%~約5重量%の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む。一部の実施形態では、剤形は、約5重量%~約6重量%の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む。一部の実施形態では、剤形は、約9重量%~約10重量%の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む。
【0056】
別の態様では、本発明は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)約1mg~約40mg(例えば、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg)および放出改変ポリマー(例えば、徐放性ポリマー、親水性マトリックスポリマー、例えば、HPMCポリマー、疎水性マトリックスポリマー(例えば、エチルセルロース、エトセル)、またはポリアクリレートポリマー(例えば、Eudragit RL100、Eudragit RS100))を、例えば、対象への投与の際の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)の放出速度を改変するのに十分な量で含む、剤形または組成物を提供する。
【0057】
他の実施形態では、剤形は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)約4mg~約6mg(例えば、約5mg)を含む。ある特定の実施形態では、剤形は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)約15mg~約25mg(例えば、約20mg)を含む。一部の実施形態では、剤形は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)約5mg~約15mg(例えば、約10mg)を含む。他の実施形態では、剤形は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)約25mg~約35mg(例えば、約30mg)を含む。ある特定の実施形態では、剤形は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)約35mg~約45mg(例えば、約40mg)を含む。
【0058】
一部の実施形態では、剤形は、放出改変ポリマー(例えば、HPMCポリマー)約55mg~65mgを含む。一部の実施形態では、剤形は、約10重量%~約70重量%の放出改変ポリマー(例えば、HPMCポリマー)を含む。一部の実施形態では、剤形は、約50重量%~約60重量%の放出改変ポリマー(例えば、HPMCポリマー)を含む。
【0059】
一部の実施形態では、剤形は、希釈剤をさらに含む。一部の実施形態では、希釈剤は、微結晶セルロースを含む。一部の実施形態では、剤形は、微結晶セルロース約15mg~40mg(例えば、約15mg~約25mg、約20mg~約25mg、約25mg~約30mg、約30mg~約40mg)を含む。一部の実施形態では、剤形は、微結晶セルロース約15mg~約25mgを含む。一部の実施形態では、剤形は、微結晶セルロース約30mg~約40mgを含む。一部の実施形態では、剤形は、約15重量%~約35重量%(例えば、約15重量%~約20重量%、約20重量%~約25重量%、25重量%~約30重量%、30重量%~約35重量%)の微結晶セルロースを含む。
【0060】
一部の実施形態では、剤形は、滑剤をさらに含む。一部の実施形態では、滑剤は、コロイド状二酸化ケイ素を含む。一部の実施形態では、剤形は、滑沢剤をさらに含む。一部の実施形態では、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムを含む。一部の実施形態では、剤形は、コーティング剤をさらに含む。
【0061】
一部の実施形態では、式(I)の化合物の約80%は、対象への投与の際、7時間以内に放出される。ある特定の実施形態では、式(I)の化合物の約80%は、USP装置I型、0.1M HCl 900mLを含有する媒体、およびパドルスピード100rpmを使用して、7時間で放出される。
【0062】
一部の実施形態では、剤形は、対象への投与の際、参照経口剤形(例えば、任意の意図される放出速度プロファイル、例えば、調節放出速度プロファイルを有する剤形、調節放出速度プロファイルを有しない剤形、放出改変ポリマー、例えば、HPMCポリマーを有しない剤形)より低減したCmaxを有する。一部の実施形態では、剤形は、対象への投与の際、参照経口剤形(例えば、任意の意図される放出速度プロファイル、例えば、調節放出速度プロファイルを有する剤形、調節放出速度プロファイルを有しない剤形、放出改変ポリマー、例えば、HPMCポリマーを有しない剤形)より大きいtmaxを有する。
【0063】
他の実施形態では、剤形は、患者に1日1回投与される。ある特定の実施形態では、剤形は、患者に1日2回投与される。一部の実施形態では、剤形は、錠剤である。他の実施形態では、剤形は、カプセル剤である。ある特定の実施形態では、剤形は、懸濁剤である。
【0064】
別の態様では、本発明は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)約15mg~25mg;およびHPMCポリマー約55mg~65mgを含む経口剤形を提供する。
【0065】
別の態様では、本発明は、約14重量%~約25重量%の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物);および約53重量%~約64重量%のHPMCポリマーを含む経口剤形を提供する。
【0066】
別の態様では、本発明は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)約3mg~8mg;およびHPMCポリマー約55mg~65mgを含む経口剤形を提供する。
【0067】
別の態様では、本発明は、約3重量%~約8重量%の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物);および約53重量%~約64重量%のHPMCポリマーを含む経口剤形を提供する。
【0068】
別の態様では、本発明は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物);および放出改変ポリマー(例えば、徐放性ポリマー、例えば、親水性マトリックスポリマーとしてのHPMCポリマー)を含む経口(例えば、微粒子)組成物を提供する。
【0069】
一部の実施形態では、組成物は、約0.9重量%~約40重量%の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む。一部の実施形態では、組成物は、約14重量%~約25重量%の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む。一部の実施形態では、組成物は、約19重量%~約20重量%の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む。一部の実施形態では、組成物は、約21重量%~約22重量%の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む。一部の実施形態では、組成物は、約4重量%~約15重量%の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む。一部の実施形態では、組成物は、約4重量%~約10重量%の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む。一部の実施形態では、組成物は、約4重量%~約5重量%の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む。一部の実施形態では、組成物は、約5重量%~約6重量%の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む。一部の実施形態では、組成物は、約9重量%~約10重量%の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む。
【0070】
一部の実施形態では、組成物は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)約1mg~約40mg(例えば、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg)を含む。ある特定の実施形態では、組成物は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)約4mg~約6mg(例えば、約5mg)を含む。ある特定の実施形態では、組成物は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)約15mg~約25mg(例えば、約20mg)を含む。
【0071】
一部の実施形態では、組成物は、放出改変ポリマー約55mg~65mgを含む。一部の実施形態では、組成物は、約10重量%~約70重量%の放出改変ポリマーを含む。一部の実施形態では、組成物は、約50重量%~約60重量%の放出改変ポリマーを含む。
【0072】
一部の実施形態では、組成物は、希釈剤を含む。一部の実施形態では、希釈剤は、微結晶セルロースを含む。他の実施形態では、組成物は、微結晶セルロース約15mg~40mg(例えば、約15mg~約25mg、約20mg~約25mg、約25mg~約30mg、約30mg~約40mg)を含む。一部の実施形態では、組成物は、約15重量%~約35重量%(例えば、約15重量%~約20重量%、約20重量%~約25重量%、25重量%~約30重量%、30重量%~約35重量%)の微結晶セルロースを含む。
【0073】
一部の実施形態では、組成物は、微結晶セルロース約15mg~約25mgを含む。一部の実施形態では、組成物は、微結晶セルロース約30mg~約40mgを含む。一部の実施形態では、組成物は、滑剤をさらに含む。一部の実施形態では、滑剤は、コロイド状二酸化ケイ素を含む。一部の実施形態では、組成物は、滑沢剤をさらに含む。一部の実施形態では、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムを含む。一部の実施形態では、組成物は、コーティング剤をさらに含む。一部の実施形態では、式(I)または(II)の化合物は、約25℃、60%相対湿度で、少なくとも24ヶ月間製剤内で安定である。一部の実施形態では、化合物は、約25℃、60%相対湿度で、少なくとも36ヶ月間安定である。一部の実施形態では、化合物は、約25℃、60%相対湿度で、少なくとも48ヶ月間安定である。他の実施形態では、化合物は、約25℃、60%相対湿度で、少なくとも60ヶ月間安定である。一部の実施形態では、化合物は、約40℃、75%相対湿度で、少なくとも6ヶ月間安定である。
【0074】
別の態様では、本発明は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)約15mg~25mg;およびHPMC約55mg~65mgを含む経口(例えば、微粒子)組成物を提供する。
【0075】
別の態様では、本発明は、約14重量%~約25重量%の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物);および約53重量%~約64重量%のHPMCポリマーを含む経口(例えば、微粒子)組成物を提供する。
【0076】
別の態様では、本発明は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)約3mg~8mg;およびHPMC約55mg~65mgを含む経口(例えば、微粒子)組成物を提供する。
【0077】
別の態様では、本発明は、約3重量%~約8重量%の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物);および約53重量%~約64重量%のHPMCポリマーを含む経口(例えば、微粒子)組成物を提供する。
【0078】
本明細書に記載される経口剤形または組成物の一部の実施形態では、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)は、結晶形態である。ある特定の実施形態では、結晶形態は、本明細書に記載される結晶形態である。
【0079】
式(II)の化合物の結晶形態
式(II)の化合物の結晶形態がまた、本明細書において提供され、結晶形態は、次の回折角(2θ):16.2±0.2、17.4±0.2、および26.6±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンを呈する。
【0080】
一部の実施形態では、結晶形態は、次の回折角(2θ):11.5±0.2、16.2±0.2、17.4±0.2、22.6±0.2、および26.6±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンを呈する。他の実施形態では、結晶形態は、次の回折角(2θ):11.5±0.2、16.2±0.2、17.4±0.2、18.3±0.2、18.5±0.2、19.2±0.2、20.0±0.2、22.6±0.2、23.9±0.2、および26.6±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンを呈する。ある特定の実施形態では、結晶形態は、図1に示されるのと実質的に同じX線粉末回折パターンを有する。一部の実施形態では、X線粉末回折パターンは、CuKα線を使用して得られた。ある特定の実施形態では、結晶形態は、約226.6℃で示差走査熱量測定によって決定される融解開始点を有する。一部の実施形態では、結晶形態は、図2に示されるのと実質的に同じ示差走査熱量測定曲線を有する。
【0081】
別の態様では、式(II)の化合物の結晶形態が、本明細書において提供され、結晶形態は、次の回折角(2θ):21.9±0.2、18.5±0.2、および17.8±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンを呈する。
【0082】
一部の実施形態では、結晶形態は、次の回折角(2θ):21.9±0.2、18.5±0.2、17.8±0.2、10.2±0.2、および20.5±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンを呈する。他の実施形態では、結晶形態は、次の回折角(2θ):21.9±0.2、18.5±0.2、17.8±0.2、10.2±0.2、20.5±0.2、25.2±0.2、16.9±0.2、24.2±0.2、28.6±0.2、および21.2±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンを呈する。ある特定の実施形態では、結晶形態は、図7に示されるのと実質的に同じX線粉末回折パターンを有する。一部の実施形態では、X線粉末回折パターンは、CuKα線を使用して得られた。ある特定の実施形態では、結晶形態は、約97.9、131.6、223.7、83.8、128.9、168.9、または224.4℃で示差走査熱量測定によって決定される融解開始点を有する。一部の実施形態では、結晶形態は、図8に示されるのと実質的に同じ示差走査熱量測定曲線を有する。
【0083】
即時放出製剤
別の態様では、本発明は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む剤形または組成物を提供し、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)は、対象への投与の際に即時に放出される。
【0084】
式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)約15mg~約20mg;および希釈剤約75mg~85mg;結合剤約2mg~10mg;約1%~約5%崩壊剤;および滑沢剤約0.1mg~5mgを含む、即時放出のための経口カプセルがまた、本明細書において提供される。
【0085】
投与
一部の実施形態では、剤形は、対象に、1日1回より多く(例えば、1日2回、1日3回、または1日4回)投与される。
【0086】
一部の実施形態では、剤形は、対象に、1日1回(例えば、1日当たり1個の20mgの錠剤、1日当たり2個の20mgの錠剤、1日当たり3個の20mgの錠剤)投与される。一部の実施形態では、剤形は、対象に1日2回投与される。一部の実施形態では、剤形は、対象に1日おきに投与される。ある特定の実施形態では、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)約1mg~40mgは、対象に毎日投与される。他の実施形態では、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)約15mg~25mgは、対象に毎日投与される。ある特定の実施形態では、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)約30mg~40mgは、対象に毎日投与される。
【0087】
一部の実施形態では、剤形は、対象への投与の際、参照経口剤形(例えば、任意の意図される放出速度プロファイル、例えば、調節放出速度プロファイルを有する剤形、調節放出速度プロファイルを有しない剤形、放出改変ポリマー、例えば、HPMCポリマーを有しない剤形)より低減したCmaxを有する。一部の実施形態では、剤形は、対象への投与の際、参照経口剤形(例えば、任意の意図される放出速度プロファイル、例えば、調節放出速度プロファイルを有する剤形、調節放出速度プロファイルを有しない剤形、放出改変ポリマー、例えば、HPMCポリマーを有しない剤形)より大きいtmaxを有する。
【0088】
治療方法
式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む組成物、T型カルシウムチャネルの機能に関連する疾患、障害、または状態を治療するためのその使用が、本明細書において記載される。
【0089】
一態様では、それを必要とする対象における神経障害を治療する方法が本明細書において提供され、方法は、対象に、本明細書において開示される経口剤形または経口組成物を投与する工程を含む。一部の実施形態では、対象は、T型カルシウムチャネル遺伝子CACNA1HとCACNA1Gの一方または両方における変異を有する。一部の実施形態では、神経障害は、てんかんである。一部の実施形態では、てんかんは、若年性てんかんである。一部の実施形態では、てんかんは、遺伝性てんかんである。一部の実施形態では、神経障害は、欠神発作である。一部の実施形態では、神経障害は、疼痛(例えば、急性疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、侵害受容性疼痛、中枢性疼痛;例えば、視床痛;または片頭痛)である。一部の実施形態では、神経障害は、振戦(例えば、本態性振戦、パーキンソン病性振戦、または小脳性振戦)である。他の実施形態では、神経障害は、振戦により特徴付けられるが、パーキンソン病は、振戦自体ではない。一部の実施形態では、神経障害は、運動失調(例えば、脊髄小脳失調症、またはCACNA1G変異を有する脊髄小脳失調症)である。一部の実施形態では、神経障害は、耳鳴である。ある特定の実施形態では、神経障害は、覚醒の障害である。
【0090】
一部の実施形態では、本発明により提供される組成物は、振戦(例えば、本態性振戦)の治療において有効である。一部の実施形態では、本発明により提供される組成物は、てんかんもしくはてんかん症候群、例えば、欠神発作、若年性ミオクローヌスてんかん、てんかん重積、または遺伝性てんかんの治療において有用である。本発明の組成物はまた、全てのT型カルシウムチャネル、例えば、Cav3.1、Cav3.2、および/またはCav3.3を調節し得る。一部の実施形態では、本発明により提供される組成物は、精神障害、例えば、気分障害、例えば、大うつ病性障害の治療において有効である。
【0091】
別の態様では、それを必要とする対象における精神障害を治療する方法が、本明細書において提供され、方法は、対象に、本明細書において開示される経口剤形を投与する工程を含む。一部の実施形態では、精神障害は、気分障害である。一部の実施形態では、気分障害は、大うつ病性障害である。
【0092】
てんかんおよびてんかん症候群
本明細書に記載される組成物は、てんかんおよびてんかん症候群の治療において有用である。てんかんは、脳内の神経細胞活性が破壊され、これにより、異常な動き、普通でない行動、感覚および時に意識喪失の期間として現れ得るてんかん発作を引き起こす、CNS障害である。てんかん発作症状は、数秒間の単純な虚空凝視から、てんかん発作中の腕または脚の反復性痙攣まで、非常に大きく異なる。
【0093】
てんかんは、全般てんかん発作または部分的もしくは局所的なてんかん発作を伴い得る。脳の全ての領域が、全般てんかん発作に関与する。全般てんかん発作を経験している人は、叫ぶか、または幾らかの音を立て、数秒間~数分間硬直し、次いで腕および脚の律動的な動きを有する場合がある。目は一般的に開いており、人は、呼吸していないように見え、実際に青くなる場合がある。意識は、徐々に戻り、人は、数分間~数時間混乱する場合もある。以下が、主要なタイプの全般てんかん発作である:強直間代性てんかん発作、強直間代性てんかん発作、ミオクローヌス性てんかん発作、ミオクローヌス強直間代性てんかん発作、ミオクローヌス弛緩性てんかん発作、弛緩性てんかん発作、および欠神(定型、非定型、ミオクローヌス性、眼瞼ミオクローヌス)てんかん発作、ならびにてんかん性攣縮。部分または局所てんかん発作では、脳の一部のみが関与するため、身体の一部のみが影響を受ける。異常な電気的活動を有する脳の部分に応じて、症状は変動し得る。
【0094】
本明細書に記載されるてんかんは、全般、部分、複雑部分(例えば、脳の一部のみが関与するが、意識が損なわれている、てんかん発作)、強直間代性、間代性、強直性、難治性てんかん発作、てんかん重積、欠神発作、熱性てんかん発作、または側頭葉てんかんを含む。
【0095】
本明細書に記載される組成物はまた、てんかん症候群の治療において有用であり得る。てんかんの一部の態様によって少なくとも部分的に引き起こされたびまん性脳機能障害を伴う重篤な症候群はまた、てんかん性脳症とも呼ばれる。これらは、治療に抵抗性である頻繁なてんかん発作、および重篤な認知障害、例えば、ウエスト症候群と関連する。
【0096】
一部の実施形態では、てんかん症候群は、てんかん性脳症、ドラベ症候群、アンジェルマン症候群、CDKL5障害、前頭葉てんかん、点頭てんかん、ウエスト症候群、若年性ミオクローヌスてんかん、ランドウ・クレフナー症候群、レノックス・ガストー症候群、大田原症候群、PCDH19てんかん、またはGlut1欠損症を含む。一部の実施形態では、てんかん症候群は、小児欠神てんかん(CAE)である。一部の実施形態では、てんかん症候群は、若年性欠神てんかん(JAE)である。一部の実施形態では、てんかん症候群は、レノックス・ガストー症候群である。一部の実施形態では、てんかん症候群は、SLC6A1てんかん性脳症である。一部の実施形態では、てんかん症候群は、T型カルシウムチャネルをコードする遺伝子の変異(例えば、遺伝性全般てんかん(GGE)についてCACNA1G、EEF1A2、およびGABRG2、ならびに非後天的焦点性てんかん(NAFE)についてLGI1、TRIM3、およびGABRG2)と関連する。Am J Hum Genet.2019 Aug 1;105(2):267-28。一部の実施形態では、てんかん症候群は、ドーゼ症候群またはミオクローヌス失立てんかんである。一部の実施形態では、てんかん症候群は、睡眠期持続性棘徐波(CSWS)を有するてんかん性脳症である。一部の実施形態では、てんかん症候群は、ランドウ・クレフナー症候群(LKS)である。一部の実施形態では、てんかん症候群は、ジーボンス症候群である。
【0097】
欠神てんかん発作
欠神てんかん発作は、特発性全般てんかん(IGE)を有する患者における最も一般的なてんかん発作タイプの一つである(Berg et al.,Epilepsia 2000)。欠神てんかん発作は、通常10~30秒間持続し、てんかん発作後の混乱なしに正常な意識に迅速に戻る、意識消失および応答性消失の突然発症を特徴とする、比較的短い非痙攣性発作である。てんかん発作は、付随するEEG記録における、一般的な1~6Hz(例えば、3Hz)棘波放電の突然発生および消失により特徴付けられる。欠神てんかん発作は、しばしば、1日に複数回生じ、学習および心理社会的機能を妨げ、意識喪失の頻繁な発症のため、傷害のリスクを呈する。典型的には、欠神発作は、幼児期に始まり、10代後半までに寛解する。しかしながら、少数の患者において、それらは、しばしば、薬物抵抗性である成人期まで持続し、全般強直間代性てんかん発作などの他のてんかん発作タイプを伴う場合がある。これらの成人患者では、欠神発作は、通常、高度に身体障害性であり、特に、罹患者が自動車の免許を得るか、または意識喪失であるてんかん発作に付随する期間が、安全性リスクを引き起こし、有意な心理社会的能力障害を伴う仕事および趣味を探す資格を奪うことにより、高度に身体障害性である(Wirrell et al.,1997)。
【0098】
欠神発作は、比較的治療「しやすい」という一般的な認識があるが、小児欠神てんかんを有する患者における無作為化対照試験は、最も有効な抗てんかん薬であるエトスクシミドおよびバルプロ酸でさえ、ビデオEEG記録により評価し、16週目でそれぞれ53%および58%の患者におけるてんかん発作のみを完全に制御し(Glauser et al.,2010)、12ヶ月で、それぞれ45%および44%の患者におけるてんかん発作のみを完全に制御した(Glauser et al.,2013)ことを示した。欠神発作を治療するために一般的に使用される他のAEDであるラモトリギンは、16週で患者の29%、12か月で患者の21%におけるてんかん発作を制御したのみであった。さらに、エトスクシミドとバルプロ酸の両方に、耐えられない副作用(これらの薬剤のいずれかで治療した患者の24%において生じる)が一般的に伴い(Glauser et al.,2010)、後者は、現在では、妊娠可能である少女および女性において禁忌であると一般的にみなされる。欠神発作の他の治療選択肢は限られており、ベンゾジアゼピンのみが、有効性を確立しており、これらは、鎮静薬および認知の副作用のため一般的に忍容性が乏しい。成人期まで持続する欠神てんかん発作は、特に治療が難しく、患者は、しばしば、複数の薬剤で治療され、てんかん発作制御を達成することなく、重大な副作用を生じる。
【0099】
低閾値(T型)のカルシウムチャネルが、欠神発作の発生および維持において重要な役割を果たし、欠神発作中に視床皮質ニューロンで生じる振動性バースト発火の鍵となる構成要素であるという、膨大な証拠が存在する(Pinault and O’Brien,1997)。一部の実施形態では、本発明は、本明細書に記載される組成物を用いて欠神発作を治療する方法を特徴とする。一部の実施形態では、欠神発作は、難治性欠神発作である。一部の実施形態では、欠神発作は、抗てんかん薬(例えば、エトスクシミド、バルプロ酸、またはラモトリギン)に対して難治性である。
【0100】
一部の実施形態では、対象は、てんかんを有する。一部の実施形態では、欠神発作は、非定型欠神発作である。一部の実施形態では、欠神発作は、成人欠神発作、若年性欠神発作、または小児欠神発作を含む。
【0101】
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法は、欠神発作を有する対象を同定する工程をさらに含む。
【0102】
別の態様では、本開示は、患者に、てんかん発作の数の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を投与する工程を含む、それを必要とする患者における欠神発作を伴う全般てんかん症候群を治療する方法を提供する。
【0103】
患者に、平均またはトータルのてんかん発作期間の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を投与する工程を含む、それを必要とする患者における欠神発作を伴う全般てんかん症候群を治療する方法もまた、本明細書において提供される。
【0104】
患者に、脳波(EEG)により測定される、てんかん発作頻度、持続期間または両方の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を投与する工程を含む、それを必要とする患者における欠神発作を伴う全般てんかん症候群を治療する方法もまた、本明細書において提供される。
【0105】
企図される方法は、患者に、EEGにより測定される、平均てんかん発作期間の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を投与する工程を含む、それを必要とする患者における欠神発作を伴う全般てんかん症候群を治療する方法を含む。
【0106】
一部、患者に、EEGにより測定される、累積てんかん発作期間の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を投与する工程を含む、それを必要とする患者における欠神発作を伴う全般てんかん症候群を治療する方法が、本明細書において提供される。
【0107】
一態様では、本開示は、患者に、EEGにより測定される、過換気および光刺激誘発後の2.5~4Hzの棘波発射を伴う総時間の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を投与する工程を含む、それを必要とする患者における欠神発作を伴う全般てんかん症候群を治療する方法を提供する。
【0108】
患者に、臨床全般印象-重症度(CGI-S)または臨床全般印象-改善(CGI-I)スコアにより測定される、全般重症度の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物を投与する工程を含む、それを必要とする患者における欠神発作を伴う全般てんかん症候群を治療する方法がまた、本明細書において提供される。CGI-Sは、評価時の患者の病気の重症度を、同じ診断を有する患者での臨床医の過去の経験と比較して評価するための7点スケール試験である。CGI-Iは、ベースラインと比較して患者の病気の改善を評価する7点スケール試験である。
【0109】
別の態様では、本開示は、患者に、てんかん発作の数の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を投与する工程を含む、それを必要とする患者における欠神発作を伴う全般てんかん症候群を治療する方法を提供する。
【0110】
患者に、脳波(EEG)により測定される、てんかん発作密度の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を投与する工程を含む、それを必要とする患者における欠神発作を伴う全般てんかん症候群を治療する方法もまた、本明細書において提供される。
【0111】
企図される方法は、患者に、EEGにより測定される、平均てんかん発作期間の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を投与する工程を含む、それを必要とする患者における欠神発作を伴う全般てんかん症候群を治療する方法を含む。
【0112】
一部、患者に、EEGにより測定される、累積てんかん発作期間の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を投与する工程を含む、それを必要とする患者における欠神発作を伴う全般てんかん症候群を治療する方法が、本明細書において提供される。
【0113】
一態様では、本開示は、患者に、EEGにより測定される、過換気および光刺激誘発後の2.5~4Hzの棘波発射を伴う総時間の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を投与する工程を含む、それを必要とする患者における欠神発作を伴う全般てんかん症候群を治療する方法を提供する。
【0114】
患者に、臨床全般印象-重症度(CGI-S)または臨床全般印象-改善(CGI-I)スコアにより測定される、全般重症度の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物を投与する工程を含む、それを必要とする患者における欠神発作を伴う全般てんかん症候群を治療する方法がまた、本明細書において提供される。CGI-Sは、評価時の患者の病気の重症度を、同じ診断を有する患者での臨床医の過去の経験と比較して評価するための7点スケール試験である。CGI-Iは、ベースラインと比較して患者の病気の改善を評価する7点スケール試験である。
【0115】
別の態様では、本開示は、患者に、てんかん発作の数の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を投与する工程を含む、それを必要とする患者における欠神発作を伴う全般てんかん症候群を治療する方法を提供する。
【0116】
患者に、脳波(EEG)により測定される、てんかん発作密度の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物を投与する工程を含む、それを必要とする患者における欠神発作を伴う全般てんかん症候群を治療する方法もまた、本明細書において提供される。
【0117】
企図される方法は、患者に、EEGにより測定される、平均てんかん発作期間の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を投与する工程を含む、それを必要とする患者における欠神発作を伴う全般てんかん症候群を治療する方法を含む。
【0118】
一部、患者に、EEGにより測定される、累積てんかん発作期間の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を投与する工程を含む、それを必要とする患者における欠神発作を伴う全般てんかん症候群を治療する方法が、本明細書において提供される。
【0119】
一態様では、本開示は、患者に、EEGにより測定される、過換気および光刺激誘発後の2.5~4Hzの棘波発射を伴う総時間の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を投与する工程を含む、それを必要とする患者における欠神発作を伴う全般てんかん症候群を治療する方法を提供する。
【0120】
患者に、臨床全般印象-重症度(CGI-S)または臨床全般印象-改善(CGI-I)スコアにより測定される、全般重症度の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を投与する工程を含む、それを必要とする患者における欠神発作を伴う全般てんかん症候群を治療する方法がまた、本明細書において提供される。CGI-Sは、評価時の患者の病気の重症度を、同じ診断を有する患者での臨床医の過去の経験と比較して評価するための7点スケール試験である。CGI-Iは、ベースラインと比較して患者の病気の改善を評価する7点スケール試験である。
【0121】
遺伝性てんかん
一部の実施形態では、てんかんまたはてんかん症候群は、遺伝性てんかんまたは遺伝性てんかん症候群である。一部の実施形態では、てんかんまたはてんかん症候群は、遺伝性全般てんかんである。一部の実施形態では、てんかんまたはてんかん症候群は、てんかん性脳症、SCN1A、SCN2A、SCN8A変異を有するてんかん性脳症、乳児早期発症性てんかん性脳症、ドラベ症候群、SCN1A変異を有するドラベ症候群、熱性てんかん発作を伴う全般てんかん、全般強直間代性てんかん発作を伴う難治性小児てんかん、点頭てんかん、良性家族性新生児-乳児てんかん発作、SCN2Aてんかん性脳症、SCN3A変異を有する焦点てんかん、SCN3A変異を有する潜因性小児部分てんかん、SCN8Aてんかん性脳症、てんかんにおける予期せぬ突然死、ラスムッセン脳炎、乳児の悪性遊走性部分てんかん発作、常染色体優勢夜間前頭葉てんかん、てんかんにおける予期せぬ突然死(SUDEP)、KCNQ2てんかん性脳症、およびKCNT1てんかん性脳症を含む。
【0122】
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法は、本明細書に記載される組成物の投与前に、てんかんまたはてんかん症候群(例えば、てんかん性脳症、SCN1A、SCN2A、SCN8A変異を有するてんかん性脳症、乳児早期発症性てんかん性脳症、ドラベ症候群、SCN1A変異を有するドラベ症候群、熱性てんかん発作を伴う全般てんかん、全般強直間代性てんかん発作を伴う難治性小児てんかん、点頭てんかん、良性家族性新生児-乳児てんかん発作、SCN2Aてんかん性脳症、SCN3A変異を有する焦点てんかん、SCN3A変異を有する潜因性小児部分てんかん、SCN8Aてんかん性脳症、てんかんにおける予期せぬ突然死、ラスムッセン脳炎、乳児の悪性遊走性部分てんかん発作、常染色体優勢夜間前頭葉てんかん、てんかんにおける予期せぬ突然死(SUDEP)、KCNQ2てんかん性脳症、およびKCNT1てんかん性脳症)を有する対象を同定する工程をさらに含む。
【0123】
一態様では、本発明は、それを必要とする対象に、本明細書に記載される組成物を投与する工程を含む、てんかんまたはてんかん症候群(例えば、てんかん性脳症、SCN1A、SCN2A、SCN8A変異を有するてんかん性脳症、乳児早期発症性てんかん性脳症、ドラベ症候群、SCN1A変異を有するドラベ症候群、熱性てんかん発作を伴う全般てんかん、全般強直間代性てんかん発作を伴う難治性小児てんかん、点頭てんかん、良性家族性新生児-乳児てんかん発作、SCN2Aてんかん性脳症、SCN3A変異を有する焦点てんかん、SCN3A変異を有する潜因性小児部分てんかん、SCN8Aてんかん性脳症、てんかんにおける予期せぬ突然死、ラスムッセン脳炎、乳児の悪性遊走性部分てんかん発作、常染色体優勢夜間前頭葉てんかん、てんかんにおける予期せぬ突然死(SUDEP)、KCNQ2てんかん性脳症、およびKCNT1てんかん性脳症)を治療する方法を特徴とする。
【0124】
本発明の組成物をまた使用して、てんかん性脳症を治療してもよく、対象は、ALDH7A1、ALG13、ARHGEF9、ARX、ASAH1、CDKL5、CHD2、CHRNA2、CHRNA4、CHRNB2、CLN8、CNTNAP2、CPA6、CSTB、DEPDC5、DNM1、EEF1A2、EPM2A、EPM2B、GABRA1、GABRB3、GABRG2、GNAO1、GOSR2、GRIN1、GRIN2A、GRIN2B、HCN1、IER3IP1、KCNA2、KCNB1、KCNC1、KCNMA1、KCNQ2、KCNQ3、KCNT1、KCTD7、LGI1、MEF2C、NHLRC1、PCDH19、PLCB1、PNKP、PNPO、PRICKLE1、PRICKLE2、PRRT2、RELN、SCARB2、SCN1A、SCN1B、SCN2A、SCN8A、SCN9A、SIAT9、SIK1、SLC13A5、SLC25A22、SLC2A1、SLC35A2、SLC6A1、SNIP1、SPTAN1、SRPX2、ST3GAL3、STRADA、STX1B、STXBP1、SYN1、SYNGAP1、SZT2、TBC1D24、およびWWOXの一つまたは複数の変異を有する。
【0125】
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法は、本明細書に記載される組成物の投与前に、ALDH7A1、ALG13、ARHGEF9、ARX、ASAH1、CDKL5、CHD2、CHRNA2、CHRNA4、CHRNB2、CLN8、CNTNAP2、CPA6、CSTB、DEPDC5、DNM1、EEF1A2、EPM2A、EPM2B、GABRA1、GABRB3、GABRG2、GNAO1、GOSR2、GRIN1、GRIN2A、GRIN2B、HCN1、IER3IP1、KCNA2、KCNB1、KCNC1、KCNMA1、KCNQ2、KCNQ3、KCNT1、KCTD7、LGI1、MEF2C、NHLRC1、PCDH19、PLCB1、PNKP、PNPO、PRICKLE1、PRICKLE2、PRRT2、RELN、SCARB2、SCN1A、SCN1B、SCN2A、SCN8A、SCN9A、SIAT9、SIK1、SLC13A5、SLC25A22、SLC2A1、SLC35A2、SLC6A1、SNIP1、SPTAN1、SRPX2、ST3GAL3、STRADA、STX1B、STXBP1、SYN1、SYNGAP1、SZT2、TBC1D24、WWOX、CACNA1G、CACNA1H、およびCACNA1Iの一つまたは複数の変異を有する対象を同定する工程をさらに含む。
【0126】
本発明の組成物をまた使用して、てんかん性脳症を治療してもよく、対象は、ADSL、ALDH5A1、ALDH7A1、ALG13、ARG1、ARHGEF9、ARX、ATP1A2、ATP1A3、ATRX、BRAT1、C12orf57、CACNA1A、CACNA2D2、CARS2、CASK、CDKL5、CHD2、CHRNA2、CHRNA4、CHRNB2、CLCN4、CLN2(TPP1)、CLN3、CLN5、CLN6、CLN8、CNTNAP2、CSTB、CTSD、DDC、DEPDC5、DNAJC5、DNM1、DOCK7、DYRK1A、EEF1A2、EFHC1、EHMT1、EPM2A、FARS2、FOLR1、FOXG1、FRRS1L、GABBR2、GABRA1、GABRB2、GABRB3、GABRG2、GAMT、GATM、GLRA1、GNAO1、GOSR2、GRIN1、GRIN2A、GRIN2B、HCN1、HNRNPU、IER3IP1、IQSEC2、ITPA、JMJD1C、KANSL1、KCNA2、KCNB1、KCNC1、KCNH2、KCNJ10、KCNMA1、KCNQ2、KCNQ3、KCNT1、KCTD7、LGI1、LIAS、MBD5、MECP2、MEF2C、MFSD8、MOCS1、MOCS2、MTOR、NEDD4L、NEXMIF、NGLY1、NHLRC1、NPRL3、NRXN1、PACS1、PCDH19、PIGA、PIGN、PIGO、PLCB1、PNKD、PNKP、PNPO、POLG、PPT1、PRICKLE1、PRIMA1、PRRT2、PURA、QARS、RELN、ROGDI、SATB2、SCARB2、SCN1A、SCN1B、SCN2A、SCN3A、SCN8A、SCN9A、SERPINI1、SGCE、SIK1、SLC12A5、SLC13A5、SLC19A3、SLC25A12、SLC25A22、SLC2A1、SLC35A2、SLC6A1、SLC6A8、SLC9A6、SMC1A、SNX27、SPATA5、SPTAN1、ST3GAL5、STRADA、STX1B、STXBP1、SUOX、SYN1、SYNGAP1、SYNJ1、SZT2、TBC1D24、TCF4、TPK1、TSC1、TSC2、UBE3A、WDR45、WWOX、ZDHHC9、ZEB2、ABAT、ARHGEF15、ATP6AP2、CACNA1H、CACNB4、CASR、CERS1、CNTN2、CPA6、DIAPH1、FASN、GABRD、GAL、GPHN、KCNA1、KCND2、KCNH5、KPNA7、LMNB2、NECAP1、PIGG、PIGQ、PIK3AP1、PRDM8、PRICKLE2、RBFOX1、RBFOX3、RYR3、SCN5A、SETD2、SLC35A3、SNAP25、SRPX2、ST3GAL3、TBL1XR1、AMT、GCSH、GLDC、FLNA、PTEN、およびRANBP2の一つまたは複数の変異を有する。
【0127】
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法は、ADSL、ALDH5A1、ALDH7A1、ALG13、ARG1、ARHGEF9、ARX、ATP1A2、ATP1A3、ATRX、BRAT1、C12orf57、CACNA1A、CACNA2D2、CARS2、CASK、CDKL5、CHD2、CHRNA2、CHRNA4、CHRNB2、CLCN4、CLN2(TPP1)、CLN3、CLN5、CLN6、CLN8、CNTNAP2、CSTB、CTSD、DDC、DEPDC5、DNAJC5、DNM1、DOCK7、DYRK1A、EEF1A2、EFHC1、EHMT1、EPM2A、FARS2、FOLR1、FOXG1、FRRS1L、GABBR2、GABRA1、GABRB2、GABRB3、GABRG2、GAMT、GATM、GLRA1、GNAO1、GOSR2、GRIN1、GRIN2A、GRIN2B、HCN1、HNRNPU、IER3IP1、IQSEC2、ITPA、JMJD1C、KANSL1、KCNA2、KCNB1、KCNC1、KCNH2、KCNJ10、KCNMA1、KCNQ2、KCNQ3、KCNT1、KCTD7、LGI1、LIAS、MBD5、MECP2、MEF2C、MFSD8、MOCS1、MOCS2、MTOR、NEDD4L、NEXMIF、NGLY1、NHLRC1、NPRL3、NRXN1、PACS1、PCDH19、PIGA、PIGN、PIGO、PLCB1、PNKD、PNKP、PNPO、POLG、PPT1、PRICKLE1、PRIMA1、PRRT2、PURA、QARS、RELN、ROGDI、SATB2、SCARB2、SCN1A、SCN1B、SCN2A、SCN3A、SCN8A、SCN9A、SERPINI1、SGCE、SIK1、SLC12A5、SLC13A5、SLC19A3、SLC25A12、SLC25A22、SLC2A1、SLC35A2、SLC6A1、SLC6A8、SLC9A6、SMC1A、SNX27、SPATA5、SPTAN1、ST3GAL5、STRADA、STX1B、STXBP1、SUOX、SYN1、SYNGAP1、SYNJ1、SZT2、TBC1D24、TCF4、TPK1、TSC1、TSC2、UBE3A、WDR45、WWOX、ZDHHC9、ZEB2、ABAT、ARHGEF15、ATP6AP2、CACNA1H、CACNB4、CASR、CERS1、CNTN2、CPA6、DIAPH1、FASN、GABRD、GAL、GPHN、KCNA1、KCND2、KCNH5、KPNA7、LMNB2、NECAP1、PIGG、PIGQ、PIK3AP1、PRDM8、PRICKLE2、RBFOX1、RBFOX3、RYR3、SCN5A、SETD2、SLC35A3、SNAP25、SRPX2、ST3GAL3、TBL1XR1、AMT、GCSH、GLDC、FLNA、PTEN、およびRANBP2の一つまたは複数の変異を有する対象を同定する工程をさらに含む。
【0128】
本発明の組成物をまた使用して、てんかん性脳症を治療してもよく、対象は、ADSL、ALDH5A1、ALDH7A1、ALG13、ARHGEF9、ARX、ASNS、ATP1A2、ATP1A3、ATP6AP2、ATRX、BRAT1、CACNA1A、CASK、CDKL5、CHD2、CHRNA2、CHRNA4、CHRNA7、CHRNB2、CLCN4、CLN3、CLN5、CLN6、CLN8、CNTNAP2、CSTB、CTNNB1、CTSD(CLN10)、CTSF、DDX3X、DEPDC5、DNAJC5(CLN4B)、DNM1、DYRK1A、EEF1A2、EHMT1、EPM2A、FLNA、FOLR1、FOXG1、FRRS1L、GABBR2、GABRA1、GABRB2、GABRB3、GABRG2、GAMT、GATM、GLDC、GNAO1、GOSR2、GRIN1、GRIN2A、GRIN2B、HNRNPU、IQSEC2、KANSL1、KCNA2、KCNB1、KCNC1、KCNH1、KCNJ10、KCNMA1、KCNQ2、KCNQ3、KCNT1、KCTD7(CLN14)、KDM6A、KIAA2022、LGI1、MAGI2、MBD5、MECP2、MEF2C、MFSD8 (CLN7)、NALCN、NGLY1、NHLRC1(EPM2B)、NPRL3、NR2F1、NRXN1、PACS1、PCDH19、PIGA、PIGO、PIGV、PLCB1、PNKP、PNPO、POLG、PPP2R5D、PPT1(CLN1)、PRRT2、PURA、QARS、SATB2、SCARB2、SCN1A、SCN1B、SCN2A、SCN8A、SLC13A5、SLC19A3、SLC25A22、SLC2A1、SLC6A1、SLC6A8、SLC9A6、SMC1A、SPATA5、SPTAN1、STX1B、STXBP1、SYNGAP1、SZT2、TBC1D24、TBL1XR1、TCF4、TPP1(CLN2)、TSC1、TSC2、UBE3A、WDR45、WWOX、およびZEB2の一つまたは複数の変異を有する。
【0129】
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法は、ADSL、ALDH5A1、ALDH7A1、ALG13、ARHGEF9、ARX、ASNS、ATP1A2、ATP1A3、ATP6AP2、ATRX、BRAT1、CACNA1A、CASK、CDKL5、CHD2、CHRNA2、CHRNA4、CHRNA7、CHRNB2、CLCN4、CLN3、CLN5、CLN6、CLN8、CNTNAP2、CSTB、CTNNB1、CTSD(CLN10)、CTSF、DDX3X、DEPDC5、DNAJC5(CLN4B)、DNM1、DYRK1A、EEF1A2、EHMT1、EPM2A、FLNA、FOLR1、FOXG1、FRRS1L、GABBR2、GABRA1、GABRB2、GABRB3、GABRG2、GAMT、GATM、GLDC、GNAO1、GOSR2、GRIN1、GRIN2A、GRIN2B、HNRNPU、IQSEC2、KANSL1、KCNA2、KCNB1、KCNC1、KCNH1、KCNJ10、KCNMA1、KCNQ2、KCNQ3、KCNT1、KCTD7(CLN14)、KDM6A、KIAA2022、LGI1、MAGI2、MBD5、MECP2、MEF2C、MFSD8(CLN7)、NALCN、NGLY1、NHLRC1(EPM2B)、NPRL3、NR2F1、NRXN1、PACS1、PCDH19、PIGA、PIGO、PIGV、PLCB1、PNKP、PNPO、POLG、PPP2R5D、PPT1(CLN1)、PRRT2、PURA、QARS、SATB2、SCARB2、SCN1A、SCN1B、SCN2A、SCN8A、SLC13A5、SLC19A3、SLC25A22、SLC2A1、SLC6A1、SLC6A8、SLC9A6、SMC1A、SPATA5、SPTAN1、STX1B、STXBP1、SYNGAP1、SZT2、TBC1D24、TBL1XR1、TCF4、TPP1(CLN2)、TSC1、TSC2、UBE3A、WDR45、WWOX、およびZEB2の一つまたは複数の変異を有する対象を同定する工程をさらに含む。
【0130】
本発明の組成物をまた使用して、てんかん性脳症を治療してもよく、対象は、ALDH7A1、ARHGEF9、ARX、ATP13A2、ATP1A2、CACNA1A、CASK、CDKL5、CHD2、CHRNA2、CHRNA4、CHRNB2、CLN3、CLN5、CLN6、CLN8、CNTNAP2、CRH、CSTB、CTSD、CTSF、DCX、DEPDC5、DNAJC5、DNM1、DYNC1H1、DYRK1A、EEF1A2、EPM2A、FLNA、FOLR1、FOXG1、GABRA1、GABRB3、GABRG2、GAMT、GATM、GNAO1、GOSR2、GRIN1、GRIN2A、GRIN2B、GRN、HCN1、HNRNPU、IQSEC2、KCNA2、KCNC1、KCNJ10、KCNQ2、KCNQ3、KCNT1、KCTD7、KIAA2022、LGI1、MECP2、MEF2C、MFSD8、NHLRC1、NRXN1、PCDH19、PIGA、PLCB1、PNKP、PNPO、POLG、PPT1、PRICKLE1、PRRT2、PURA、SCARB2、SCN1A、SCN1B、SCN2A、SCN8A、SIK1、SLC13A5、SLC25A22、SLC2A1、SLC35A2、SLC6A1、SLC9A6、SMC1A、SNAP25、SPTAN1、ST3GAL3、STX1B、STXBP1、SYN1、SYNGAP1、SZT2、TBC1D24、TBL1XR1、TCF4、TPP1、TSC1、TSC2、UBE3A、WDR45、およびZEB2の一つまたは複数の変異を有する。
【0131】
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法は、ALDH7A1、ARHGEF9、ARX、ATP13A2、ATP1A2、CACNA1A、CASK、CDKL5、CHD2、CHRNA2、CHRNA4、CHRNB2、CLN3、CLN5、CLN6、CLN8、CNTNAP2、CRH、CSTB、CTSD、CTSF、DCX、DEPDC5、DNAJC5、DNM1、DYNC1H1、DYRK1A、EEF1A2、EPM2A、FLNA、FOLR1、FOXG1、GABRA1、GABRB3、GABRG2、GAMT、GATM、GNAO1、GOSR2、GRIN1、GRIN2A、GRIN2B、GRN、HCN1、HNRNPU、IQSEC2、KCNA2、KCNC1、KCNJ10、KCNQ2、KCNQ3、KCNT1、KCTD7、KIAA2022、LGI1、MECP2、MEF2C、MFSD8、NHLRC1、NRXN1、PCDH19、PIGA、PLCB1、PNKP、PNPO、POLG、PPT1、PRICKLE1、PRRT2、PURA、SCARB2、SCN1A、SCN1B、SCN2A、SCN8A、SIK1、SLC13A5、SLC25A22、SLC2A1、SLC35A2、SLC6A1、SLC9A6、SMC1A、SNAP25、SPTAN1、ST3GAL3、STX1B、STXBP1、SYN1、SYNGAP1、SZT2、TBC1D24、TBL1XR1、TCF4、TPP1、TSC1、TSC2、UBE3A、WDR45、およびZEB2の一つまたは複数の変異を有する対象を同定する工程をさらに含む。
【0132】
気分障害
気分障害などの精神障害、例えば、臨床的うつ病、産後うつ病もしくは産後抑うつ、周産期うつ病、非定型うつ病、メランコリー型うつ病、精神病性大うつ病、緊張病性うつ、季節性情動障害、気分変調症、二重うつ病、抑うつ性パーソナリティ障害、反復性短期うつ病、小うつ病性障害、双極性障害もしくは躁うつ障害、慢性的な医学状態により引き起こされるうつ病、治療抵抗性うつ病、難治性うつ病、自殺傾向、自殺念慮、または自殺行動を治療する方法もまた、本明細書において提供される。一部の実施形態では、本明細書に記載される方法は、うつ病(例えば、中程度または重篤なうつ病)に罹患している対象に治療効果をもたらす。一部の実施形態では、気分障害は、本明細書に記載される疾患または障害(例えば、神経内分泌疾患および障害、神経変性疾患および障害(例えば、てんかん)、運動障害、振戦(例えば、パーキンソン病)、女性の健康障害もしくは状態)と関連する。
【0133】
臨床的うつ病はまた、大うつ病、大うつ病性障害(MDD)、重篤なうつ病、単極性うつ病、単極性障害、および反復性うつ病としても知られ、低い自尊心および通常は楽しい活動での興味または喜びの喪失を伴う、広範かつ持続的な低気分を特徴とする精神障害を指す。臨床的うつ病を有する人の中には、睡眠困難、体重減少、および一般的な動揺し、怒りっぽい感情を有する人もいる。臨床的うつ病は、個体がどのように感じ、考え、行動するかに影響し、様々な感情的および肉体的な問題につながる可能性がある。臨床的うつ病を有する個人は、日常の活動を行うのに苦労し、人生を生きる価値がないと感じることがある。
【0134】
周産期うつ病は、妊娠中のうつ病を指す。症状は、易刺激性、泣き叫ぶこと、落ち着かない感情、睡眠困難、極度の疲労(感情的および/もしくは身体的)、食欲の変化、集中が困難であること、不安ならびに/または心配の増大、乳児および/または胎児からの感情が切れること、ならびに以前は楽しい活動での興味の喪失を含む。
【0135】
産後うつ病(PND)はまた、産後抑うつ(PPD)とも呼ばれ、出生後に女性に影響を及ぼす臨床的うつ病のタイプを指す。症状は、悲哀、疲労、睡眠および摂食習慣の変化、性的欲求の減少、泣き叫ぶこと、不安、および易刺激性を含み得る。一部の実施形態では、PNDは、治療抵抗性うつ病(例えば、本明細書に記載される治療抵抗性うつ病)である。一部の実施形態では、PNDは、難治性うつ病(例えば、本明細書に記載される難治性うつ病)である。
【0136】
一部の実施形態では、PNDを有する対象はまた、妊娠中に、うつ病、またはうつ病の症状を経験していた。このうつ病は、本明細書において周産期うつ病と呼ばれる。実施形態では、周産期うつ病を経験している対象は、PNDを経験する増大したリスクにある。
【0137】
非定型うつ病(AD)は、気分反応性(例えば、逆説的快感消失)および陽性、有意な体重増加または食欲亢進により特徴付けられる。ADに罹患している患者はまた、過度の睡眠または傾眠(過眠症)、脚の重苦しい感覚、および知覚した個人間拒絶に対する過敏の結果としての重大な社会的な害を有してもよい。
【0138】
メランコリー型うつ病は、大部分または全ての活動における喜びの喪失(快感消失)、楽しい刺激への反応の失敗、悲しみまたは喪失よりも顕著な抑うつ気分、過度の体重減少、または過度の罪悪感により特徴付けられる。
【0139】
精神病性大うつ病(PMD)または精神病性うつ病は、特に、メランコリー性質の主要なうつ病エピソードを指し、個体は、妄想および幻覚などの精神病症状を経験する。
【0140】
緊張病性うつは、運動行動の妨害および他の症状を伴う大うつ病を指す。。個体は、無音かつ昏迷状態になり、動けないか、または目的がないか、もしくは奇妙な動きを呈し得る。
【0141】
季節性情動障害(SAD)は、個人が、秋または冬になるうつ病エピソードの季節パターンを有する、季節性うつ病のタイプを指す。
【0142】
気分変調症は、同じ身体的および認知的問題が明らかである、単極性うつ病に関連する状態を指す。これらは、それほど重篤ではないが、より長く例えば、少なくとも2年間)持続する傾向がある。
【0143】
二重うつ病は、少なくとも2年間持続し、大うつ病の期間によって中断される、かなりの抑うつ気分(気分変調症)を指す。
【0144】
抑うつ性パーソナリティ障害(DPD)は、抑うつ特性を有するパーソナリティ障害を指す。
【0145】
反復性短期うつ病(RBD)は、個体が、月に約1回、うつ病エピソードを有し、それぞれのエピソードが、2週間以下、典型的には2~3日未満持続する、状態を指す。
【0146】
小うつ病性障害または軽度のうつ病は、少なくとも2つの症状が、2週間存在する、うつ病を指す。
【0147】
双極性障害または躁うつ障害は、感情的高揚感(躁病または軽躁病)および低揚感(うつ病)を含む、極度の気分の揺れを引き起こす。躁病の期間に応じて、個体は、幸せ、エネルギッシュ、もしくは過敏さを異常に感じるか、または働き得る。彼らは、しばしば、結果に関してほとんど考慮しないで決断を下す。睡眠の欲求は、通常、低減する。うつ病の期間中、泣き叫び、他人とのアイコンタクトが乏しく、人生に対する否定的な見方があるかもしれない。障害を有する者での自殺リスクは、20年間で6%超と高いが、自傷は、30~40%で生じる。不安障害および物質使用障害などの他のメンタルヘルス問題は、双極性障害と一般的に関連する。
【0148】
慢性的な医学状態により引き起こされるうつ病は、癌または慢性疼痛、化学療法、慢性ストレスなどの慢性的な医学状態により引き起こされるうつ病を指す。
【0149】
治療抵抗性うつ病は、個人が、うつ病について治療されているが、症状が改善しない状態を指す。例えば、抗うつ剤または心理カウンセリング(精神療法)は、治療抵抗性うつ病を有する個人についてのうつ病症状をやわらげない。ある場合では、治療抵抗性うつ病を有する個人は、症状を改善するが、戻る。難治性うつ病は、三環系抗うつ薬、MAOI、SSRI、ならびに二重および三重取り込み阻害剤および/または抗不安薬、ならびに非薬理学的治療(例えば、精神療法、電気痙攣療法、迷走神経刺激および/または経頭蓋磁気刺激)を含む、標準的な薬理学的治療に抵抗性であるうつ病に罹患している患者において生じる。
【0150】
術後うつ病は、外科手術の手技(例えば、死に直面する必要があった結果として)後のうつ病の感覚を指す。例えば、個体は、悲哀または空虚な気分を持続的に感じ、通常楽しい趣味および活動における喜びまたは興味の喪失、または無価値もしくは絶望の持続的な感覚を感じ得る。
【0151】
女性の健康の状態または障害に関連する気分障害は、(例えば、本明細書に記載される)女性の健康の状態または障害に関連する(例えば、結果として生じる)気分障害(例えば、うつ病)を指す。
【0152】
自殺傾向、自殺念慮、自殺行動は、個体が、自殺する傾向を指す。自殺念慮は、自殺についての考えまたは異常な自殺への執着に関する。自殺念慮の範囲は、例えば、つかの間の思考から広範な思考、詳細な計画、ロールプレイング、不完全な試みまで、大きく異なる。症状は、自殺について話すこと、自殺する手段を得ること、社会的な接触から脱落すること、死に気を取られること、状況に囚われるか、または絶望的になる感覚、アルコールまたは薬剤の使用の増大、危険なことまたは自己破壊的なことをすること、再び会えないかのように、人々に別れを告げることを含む。
【0153】
うつ病の症状は、持続的な不安または哀感、無力感、絶望、悲観主義、無価値、低エネルギー、不穏状態、睡眠困難、不眠、易刺激性、疲労、運動への挑戦、楽しい活動または趣味における興味の喪失、集中力の喪失、エネルギーの喪失、自尊心の低さ、前向きな思考または計画の欠如、過度な睡眠、過食、食欲喪失、不眠、自傷、自殺の考え、および自殺の試みを含む。症状の存在、重症度、頻度、および持続時間は、場合により変動し得る。うつ病の症状、およびその緩和は、医師または心理学者によって(例えば、精神状態の検査により)確認されてもよい。
【0154】
一部の実施形態では、気分障害は、うつ病、大うつ病性障害、双極性障害、気分変調性障害、不安障害、ストレス、外傷後ストレス障害、双極性障害、および強迫性障害から選択される。一部の実施形態では、気分障害は、大うつ病性障害である。
【0155】
一部の実施形態では、方法は、既知のうつ病尺度、例えば、ハミルトンうつ病(HAM-D)尺度、臨床全般印象-改善尺度(CGI)、およびモンゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)を用いて対象をモニタリングする工程を含む。一部の実施形態では、治療効果は、対象により示されるハミルトンうつ病(HAM-D)総尺度の低減により決定することができる。治療効果は、特定の治療期間に渡り評価することができる。例えば、治療効果は、本明細書に記載される組成物の投与後(例えば、投与の12、24、もしくは48時間後;または24、48、72、もしくは96時間以上後;または1日、2日、14日、21日、もしくは28日後;または1週間、2週間、3週間、もしくは4週間後;または1ヶ月、2ヶ月、6ヶ月、もしくは10ヶ月後;または1年、2年後、もしくは一生)のHAM-D総尺度におけるベースラインからの減少により決定することができる。
【0156】
一部の実施形態では、対象は、軽度の抑うつ障害、例えば、軽度の大うつ病性障害を有する。一部の実施形態では、対象は、中程度の抑うつ障害、例えば、中程度の大うつ病性障害を有する。一部の実施形態では、対象は、重篤な抑うつ障害、例えば、重篤な大うつ病性障害を有する。一部の実施形態では、対象は、非常に重篤な抑うつ障害、例えば、非常に重篤な大うつ病性障害を有する。一部の実施形態では、対象のベースラインのHAM-D総尺度(すなわち、本明細書に記載される組成物を用いた治療前)は、少なくとも24である。一部の実施形態では、対象のベースラインHAM-D総尺度は、少なくとも18である。一部の実施形態では、対象のベースラインHAM-D総尺度は、14以上、18以下である。一部の実施形態では、対象のベースラインHAM-D総尺度は、19以上、22以下である。一部の実施形態では、本明細書に記載される組成物を用いた治療前の対象のHAM-D総尺度は、23以上である。一部の実施形態では、ベースライン尺度は、少なくとも10、15、または20である。一部の実施形態では、本明細書に記載される組成物を用いた治療後の対象のHAM-D総尺度は、約0~10(例えば、10未満;0~10、0~6、0~4、0~3、0~2、または1.8)である。一部の実施形態では、本明細書に記載される組成物を用いた治療後のHAM-D総尺度は、10、7、5、または3未満である。一部の実施形態では、HAM-D総尺度の減少は、約20~30(例えば、22~28、23~27、24~27、25~27、26~27)であるベースライン尺度から、本明細書に記載される組成物を用いた治療後の約0~10(例えば、10未満;0~10、0~6、0~4、0~3、0~2、または1.8)のHAM-D総尺度である。一部の実施形態では、ベースラインHAM-D総尺度から本明細書に記載される組成物を用いた治療後のHAM-D総尺度における減少は、少なくとも1、2、3、4、5、7、10、25、40、または50である。一部の実施形態では、ベースラインHAM-D総尺度から本明細書に記載される組成物を用いた治療後のHAM-D総尺度におけるパーセンテージ減少は、少なくとも50%(例えば、60%、70%、80%、または90%)である。一部の実施形態では、治療効果は、ベースラインHAM-D総尺度と比較した本明細書に記載される組成物を用いた治療後のHAM-D総尺度の減少として測定される。
【0157】
一部の実施形態では、抑うつ障害、例えば、大うつ病性障害を治療する方法は、14、10、4、3、2、もしくは1日、または24、20、16、12、10、もしくは8時間以下以内に、治療効果(例えば、ハミルトンうつ病尺度(HAM-D)の低減により測定される)をもたらす。一部の実施形態では、抑うつ障害、例えば、大うつ病性障害を治療する方法は、本明細書に記載される組成物を用いた治療の初日または2日目以内に、治療効果(例えば、HAM-D総尺度の統計上有意な低減により決定される)をもたらす。一部の実施形態では、抑うつ障害、例えば、大うつ病性障害を治療する方法は、本明細書に記載される組成物を用いた治療の開始以来14日以内に、治療効果(例えば、HAM-D総尺度の統計上有意な低減により決定される)をもたらす。一部の実施形態では、抑うつ障害、例えば、大うつ病性障害を治療する方法は、本明細書に記載される組成物を用いた治療の開始以来21日以内に、治療効果(例えば、HAM-D総尺度の統計上有意な低減により決定される)をもたらす。一部の実施形態では、抑うつ障害、例えば、大うつ病性障害を治療する方法は、本明細書に記載される組成物を用いた治療の開始以来28日以内に、治療効果(例えば、HAM-D総尺度の統計上有意な低減により決定される)をもたらす。一部の実施形態では、治療効果は、本明細書に記載される組成物を用いた治療後のHAM-D総尺度のベースラインからの減少である。一部の実施形態では、本明細書に記載される組成物を用いた治療前の対象のHAM-D総尺度は、少なくとも24である。一部の実施形態では、本明細書に記載される組成物を用いた治療前の対象のHAM-D総尺度は、少なくとも18である。一部の実施形態では、本明細書に記載される組成物を用いた治療前の対象のHAM-D総尺度は、14以上、18以下である。一部の実施形態では、ベースラインHAM-D総尺度と比較した、本明細書に記載される組成物を用いて対象を治療した後のHAM-D総尺度の減少は、少なくとも10である。一部の実施形態では、ベースラインHAM-D総尺度と比較した、本明細書に記載される組成物を用いて対象を治療した後のHAM-D総尺度の減少は、少なくとも15である。一部の実施形態では、本明細書に記載される組成物を用いた対象の治療と関連するHAM-D総尺度は、6~8の範囲にある数以下である。一部の実施形態では、本明細書に記載される組成物を用いた対象の治療と関連するHAM-D総尺度は、7以下である。
【0158】
一部の実施形態では、方法は、14、10、4、3、2、もしくは1日、または24、20、16、12、10、もしくは8時間以下以内に、治療効果(例えば、臨床全般印象-改善尺度(CGI)の低減により測定される)をもたらす。一部の実施形態では、CNS障害は、抑うつ障害、例えば、大うつ病性障害である。一部の実施形態では、抑うつ障害、例えば、大うつ病性障害を治療する方法は、治療期間の2日目以内に、治療効果をもたらす。一部の実施形態では、治療効果は、治療期間の終わり(例えば、投与の14日後)のCGI尺度のベースラインからの減少である。
【0159】
一部の実施形態では、CNS障害は、抑うつ障害、例えば、大うつ病性障害である。一部の実施形態では、抑うつ障害、例えば、大うつ病性障害を治療する方法は、治療期間の2日目以内に、治療効果をもたらす。一部の実施形態では、治療効果は、治療期間の終わり(例えば、投与の14日後)のMADRS尺度のベースラインからの減少である。
【0160】
大うつ病性障害についての治療効果は、対象により示される、モンゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)の低減により決定することができる。例えば、MADRS尺度は、4、3、2、もしくは1日;または96、84、72、60、48、24、20、16、12、10、8時間以内に低減され得る。モンゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)は、精神科医が、気分障害を有する患者におけるうつ病エピソードの重症度を測定するために使用する、10項目の診断質問票(明白な悲哀、報告された悲哀、内面の緊張、睡眠の減少、食欲減退、集中が困難、倦怠感、感じることができない、悲観的な考え、および自殺念慮に関する)である。
【0161】
疼痛
本明細書に記載される剤形および組成物は、疼痛の治療において有用であり得る。一部の実施形態では、疼痛は、急性疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、侵害受容性疼痛、中枢性疼痛(例えば、視床痛)、または片頭痛を含む。一部の実施形態では、疼痛は、急性疼痛または慢性疼痛を含む。一部の実施形態では、疼痛は、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、または侵害受容性疼痛を含む。一部の実施形態では、疼痛は、中枢性疼痛(例えば、視床痛)を含む。一部の実施形態では、疼痛は、片頭痛を含む。
【0162】
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法は、本明細書に記載される剤形あるいは組成物(例えば、式(I)の化合物もしくはその医薬的に許容される塩(例えば、式(II)の化合物)を含む剤形または組成物)の投与前に、疼痛(例えば、急性疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、侵害受容性疼痛、中枢性疼痛(例えば、視床痛)、または片頭痛)を有する対象を同定する工程をさらに含む。
【0163】
振戦
本明細書に記載される方法を使用して、振戦を治療することができ、例えば、本明細書において開示される投薬または組成物を使用して、小脳性振戦もしくは企図振戦、筋緊張異常振戦、本態性振戦、起立性振戦、パーキンソニズム振戦、生理学的振戦、またはルブラル振戦を治療することができる。振戦は、それぞれ、ウィルソン病、パーキンソン病、および本態性振戦などの遺伝性、変性、および特発性障害;代謝性疾患;末梢神経障害(シャルコー・マリー・トゥース病、ルシー・レヴィ病、糖尿病、複合性局所疼痛症候群と関連する);毒素(ニコチン、水銀、鉛、CO、マンガン、ヒ素、トルエン);薬剤誘導性(神経遮断薬三環系、リチウム、コカイン、アルコール、アドレナリン、気管支拡張剤、テオフィリン、カフェイン、ステロイド、バルプロ酸、アミオダロン、甲状腺ホルモン、ビンクリスチン);ならびに心因性障害を含む。臨床振戦は、生理的振戦、増強生理的振戦、本態性振戦症候群(古典的本態性振戦、初期の起立性振戦、ならびに仕事および位置特異的振戦を含む)、筋緊張異常振戦、パーキンソニズム振戦、小脳性振戦、ホームズ振戦(すなわち、ルブラル振戦)、軟口蓋振戦、神経障害性振戦、毒素または薬剤誘導性振戦、ならびに心因性振戦に分類することができる。振戦は、家族性振戦であってもよい。
【0164】
振戦は、一つまたは複数の身体部分(例えば、手、腕、目、顔、頭、声帯、体幹、脚)の振動または痙攣を含み得る、不随意性の律動的筋収縮および弛緩である。
【0165】
小脳振戦または企図振戦は、目的のある動きの後に生じる四肢のゆっくりとした広範囲の振戦である。小脳振戦は、例えば、腫瘍、脳卒中もしくは他の限局性病変疾患(例えば、多発性硬化症))または神経変性疾患から生じる小脳における病変または小脳に対する損傷によって引き起こされる。
【0166】
筋緊張異常振戦は、持続的な不随意性筋収縮が、ねじれならびに反復運動および/または痛く、異常な姿勢もしくは位置を引き起こす動き障害であるジストニアに罹患した個体において生じる。筋緊張異常振戦は、身体における任意の筋肉に影響し得る。筋緊張異常振戦は、不規則に生じ、しばしば、完全な休息または特定の感覚手技により軽減することができる。
【0167】
本態性振戦または良性本態性振戦は、最も一般的なタイプの振戦である。本態性振戦は、一部で、軽度かつ非進行性であり得、身体の片側から始まり、典型的には両側に影響を及ぼしながら、ゆっくりと進行し得る。手が、最も頻繁に影響を受けるが、頭、声、舌、脚、および体幹も関与し得る。振戦の頻度は、年齢とともに減少し得るが、重症度は、増大する場合がある。増強した情動、ストレス、発熱、身体的消耗、または低血糖は、振戦を誘発し、および/またはそれらの重症度を増大させ得る。症状は、一般的に経時的に進行し、発症後に目に見え、かつ持続し得る。
【0168】
起立性振戦は、起立直後に脚および体幹において生じる、速い(12Hzより速い)律動的な筋収縮により特徴付けられる。痙攣は、大腿と脚で感じられ、患者は、1点で立つように言われたとき、制御不能に震え得る。起立性振戦は、本態性振戦を有する患者において生じ得る。
【0169】
パーキンソニズム振戦は、動きを制御する脳内の構造への損傷によって引き起こされる。パーキンソニズム振戦は、典型的には、顎、唇、脚、および体幹にも影響し得る手の「丸剤作成様」運動として見られる。パーキンソニズム振戦の発症は、典型的には、60歳以降に始まる。動きは、一方の脚または身体の片側で始まり、進行して他の側を含み得る。
【0170】
ルブラル振戦は、休息時、姿勢時、および意思を持って存在し得る、粗野でゆっくりな振戦により特徴付けられる。振戦は、脳卒中などの、中脳における赤核に影響を及ぼす状態と関連する。
【0171】
一部の実施形態では、振戦は、本態性振戦、パーキンソン病性振戦、または小脳振戦から選択される。
【0172】
別の態様では、患者に、本態性振戦評価アセスメント尺度(TETRAS)スコアにより評価される、本態性振戦の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物を投与する工程を含む、それを必要とする患者における本態性振戦を治療する方法が、本明細書において提供される。本明細書で使用される場合、「本態性振戦評価評価尺度(TETRAS)」という用語は、本態性振戦の重症度および日常的な活動に対するその影響を定量するために開発された尺度を指す。これには、日常生活動作(ADL)部門および活動部門がある。ADL部門は、0~4に評価される12項目を有し、活動部門は、0~4に評価される9項目を有する。
【0173】
一部の実施形態では、本態性振戦の低減は、本態性振戦評価アセスメント尺度(TETRAS)上肢スコアにより評価される。
【0174】
一部の実施形態では、本態性振戦の低減は、TETRAS活動サブ尺度スコアまたはTETRAS活動の個々の項目により評価される。
【0175】
別の態様では、患者に、加速度計に基づくスコア、例えば、加速度計に基づく上肢スコアにより評価される、本態性振戦の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物を投与する工程を含む、それを必要とする患者における本態性振戦を治療する方法が、本明細書において提供される。
【0176】
一部の実施形態では、本態性振戦は、上肢振戦である。
【0177】
別の態様では、患者に、CGIスコアにより評価される、本態性振戦の低減をもたらす、十分量の式(I)の化合物を投与する工程を含む、それを必要とする患者における本態性振戦を治療する方法が、本明細書において提供される。
【0178】
本態性振戦を治療するための、本明細書に記載される化合物または組成物の有効性は、以下の参考文献:Ferreira,J.J.et al.,“MDS Evidence-Based Review of Treatments for Essential Tremor.”Mov.Disord.2019 Jul;34(7):950-958;Elble,R.et al.,“Task Force Report:Scales for Screening and Evaluating Tremor.” Mov.Disord.2013 Nov;28(13):1793-800.Deuschl G.et al.“Treatment of patients with essential tremor.”Lancet Neurol.2011;10:148-61.Reich S.G.et al.“Essential Tremor.”Med.Clin.N.Am.103(2019)351-356において記載される方法により測定することができる。参考文献の開示は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0179】
運動失調
小脳性運動失調と脊髄運動失調(例えば、後脊髄運動失調)の両方を含む、運動失調は、一般に、協調の喪失または失敗を伴う。運動失調を呈する患者は、姿勢、平衡、および脚の動きに関与する力、範囲、方向、速度、および律動を調節することが困難であり得る。体幹の運動失調は、例えば、増大した姿勢動揺、および支持基盤を超えて重心を維持することができなくし得る。運動失調ならびに失調性歩行の一次的または二次的症状および脚の振戦は、言語障害、嚥下障害、異常な換気およびスピーチ、ならびに不随意な眼の動き、ジストニア、錐体または錐体外路症状を伴い、これにより、日常生活の活動を実質的に妨げ得る。
【0180】
上述の通り、運動失調は、小脳および神経変性障害ならびに毒素への慢性的または長期的な曝露から生じる疾患を含む、患者における広範な基礎疾患および状態から生じ得る。運動失調の症状は、様々な他のもの中でも、感染性疾患、代謝性疾患、神経変性疾患、遺伝性疾患、血管疾患、新生物疾患、脱髄性疾患、神経筋疾患、および毒素(薬剤およびアルコールを含む)への長期または慢性的な曝露から生じる疾患を含む、広範な疾患、障害、および環境因子から生じ得、一実施形態では、例えば、運動失調は、代謝性疾患、神経変性疾患、血管疾患、神経筋疾患、または毒素への長期的もしくは慢性的な曝露から生じる疾患の結果である。本明細書に記載される方法に従い治療され得る失調性症状をもたらし得る疾患、障害、症候群、および状態は、様々な他のもの中でも、筋萎縮性側索硬化症、良性発作性頭位めまい症、小脳性運動失調1型(常染色体劣性遺伝)、小脳性運動失調(常染色体劣性遺伝)、小脳性運動失調(優性で純粋な)、小脳皮質委縮症、小脳変性(亜急性)、小脳機能障害、小脳低形成、小脳低形成(骨内膜性硬化症)、小脳低形成(色素上皮網膜変性)、小脳実質性常染色体劣性遺伝障害3、小脳実質性障害V、小脳非形成(水頭症)、脳アミロイド血管症(家族性)、脳性麻痺、脱髄性障害、脊髄後柱状態、自立神経失調症、平衡障害症候群、感覚異常、内分泌疾患、毒素(例えば、アルコール、薬剤、抗てんかん薬、神経遮断薬)への慢性的な曝露により引き起こされる疾患、フラジャイルX/振戦運動失調症候群、フリートライヒ運動失調、前頭葉機能障害、遺伝性疾患、中枢神経系の肉芽腫性血管炎、ハラーホルデン・スパッツ疾患、遺伝性運動および感覚神経障害、水頭症(例えば、低い圧力または正常な圧力)、筋緊張低下、先天性眼振、運動失調および異常な聴性脳幹反応、乳児発症型脊髄小脳失調症、マシャド・ジョセフ病、メニエール病、代謝障害、ミラー・フィッシャー症候群、水俣病、多発性硬化症、筋ジストロフィー、ミオクローヌス運動失調、神経変性疾患、オリーブ橋小脳萎縮症、傍腫瘍性障害、パーキンソニズム(非定型)、腓骨筋萎縮症、フェニロイン毒性、網膜色素変性症を伴う脊髄後索性運動失調、ポリオ後症候群、脳への重篤な損傷(例えば、頭部損傷、脳の手術、多発性硬化症もしくは脳性麻痺、慢性アルコール/薬剤乱用、毒素への慢性的曝露、ウイルス感染、または脳腫瘍により引き起こされる)、痙性不完全片麻痺、痙性対麻痺23、痙性対麻痺緑内障思春期早発症、SPG、脊髄小脳失調症、脊髄小脳失調症(筋萎縮症-聴覚消失)、脊髄小脳失調症(異形症)、脊髄小脳失調症11、脊髄小脳失調症17、脊髄小脳失調症20、脊髄小脳失調症25、脊髄小脳失調症29、脊髄小脳失調症42、脊髄小脳失調症3、脊髄小脳失調症(常染色体劣性遺伝1)、脊髄小脳失調症(常染色体劣性遺伝3)、脊髄小脳失調症(常染色体劣性遺伝4)、脊髄小脳失調症(常染色体劣性遺伝5)、脊髄小脳失調症(常染色体劣性遺伝、軸索神経障害を伴う)、脊髄小脳失調症(マシャド・ジョセフ病II型)、脊髄小脳失調症(X連鎖、2)、脊髄小脳失調症(X連鎖、3)、脊髄小脳失調症(X連鎖、4)、脊髄小脳変性(ブック型)、脳卒中(例えば、急性または出血性)、椎骨動脈解離、椎骨‐脳底動脈不全、ならびにビタミン欠乏症により引き起こされる疾患を含むが、これらに限定されない。一実施形態では、運動失調は、脊髄小脳失調症、フリードライヒ運動失調、およびフラジャイルX/振戦運動失調症候群から選択される疾患の結果である。別の特定の実施形態では、運動失調は、脊髄小脳失調症またはフラジャイルX/振戦運動失調の結果である。
【0181】
耳鳴
開示される剤形または組成物を使用した、それを必要とする対象における耳鳴を治療する方法が、提供される。耳鳴は、罹患したものが、外的な音がないとき、一方または両方の耳または頭部の音を認識する状態である。耳の中で「鳴ること」としばしば呼ばれる耳鳴は、断続的またはわずかから高度に痛い範囲にある知覚したボリュームと一貫して生じ得る。しかしながら、ある患者における耳鳴りのボリュームの客観的測定値が、痛みとして知覚され得るが、別の患者では、同じボリュームが、わずかであると知覚され得る、知覚したボリュームの耳鳴は、患者から患者で変動し得る。
【0182】
睡眠障害
本明細書において開示される投薬または組成物を使用した、睡眠障害(例えば、ナルコレプシー)を治療または予防する方法が、本明細書において提供される。例えば、睡眠障害は、過眠の中枢神経障害、ナルコレプシーI型、ナルコレプシーII型、特発性過眠症、クライネ・レヴィン症候群、医学的障害に起因する過眠症、薬剤治療または物質に起因した過眠症、精神障害と関連する過眠症、睡眠不足症候群、概日リズム睡眠起床障害、遅延睡眠起床期障害、進行した睡眠起床期障害、不規則な睡眠起床律動、非24時間睡眠起床律動障害、シフトワーク障害、時差ぼけ障害、別段特定されない(NOS)概日リズム睡眠起床障害であってもよい。
【0183】
併用療法
本明細書に記載される剤形または組成物(例えば、T型カルシウムイオンチャネルの調整における使用のため)は、別の剤または療法と組み合わせて投与されてもよい。本明細書において開示される化合物を投与されるべき対象は、別の剤または療法を用いた治療からの恩恵を受ける、疾患、障害、または状態、またはその症状を有し得る。これらの疾患または状態は、てんかんまたはてんかん症候群(例えば、欠神発作、若年性ミオクローヌスてんかん、もしくは遺伝性てんかん)あるいは振戦(例えば、本態性振戦)に関し得る。
【0184】
抗てんかん薬
抗てんかん薬は、ブリバラセタム、カルバマゼピン、クロバザム、クロナゼパム、ジアゼパム、ジバルプロエクス、エスリカルバゼピン、エトスクシミド、エゾガビン、フェルバメート、ガバペンチン、ラコサミド、ラモトリギン、レベチラセタム、ロラゼパム、オクスカルバゼピン、ペランパネル、フェノバルビタール、フェニトイン、プレガバリン、プリミドン、ルフィナミド、チアガビン、トピラマート、バルプロ酸、ビガバトリン、ゾニサミドを含む。
【0185】
鎮痛剤
鎮痛剤は、疼痛を和らげるために使用される治療剤である。鎮痛剤の例としては、フェンタニールおよびモルヒネなどの鎮静剤およびモルヒネ様作用薬;パラセタモル;NSAID、およびCOX-2阻害剤が挙げられる。本発明の化合物が、T型カルシウムチャネル(例えば、Cav3.1、Cav3.2、およびCav3.3)の阻害を介して疼痛を治療する能力を考慮すると、鎮痛剤との組み合わせは、特に想定される。
【0186】
振戦薬物治療
振戦薬物治療としては、プロプラノロール、プリミドン、クロナゼパム、ジアゼパム、ロラゼパム、アルプラゾラム、ガバペンチン、トピラマート、トパマックス、ニューロンチン、アテノロール、クロノピン、アルプラゾラム、ネビボロール、カルビドパ/レボドパ、クロナゼパム、ヒドロクロロチアジド/メトプロロール、ガバペンチンエナカルビル、ラベタロール、ラクツロース、ラモトリギン、メトプロロール、ナドロール、ヒドロクロロチアジド、およびゾニサミドが挙げられる。
【実施例
【0187】
本明細書に記載の発明をより完全に理解することができるように、以下の実施例を記載する。本出願に記載の合成および生物学的実施例は、本明細書に提供される化合物、医薬組成物、および方法を例示するために提供され、いかなる方式でもそれらの範囲を制限するものとして解釈されるものではない。
【0188】
実施例1:X線パワー回折による式(II)の化合物の結晶化度の解析
式(II)の化合物の多型スクリーニングを行い、安定な固形状態形態(形態Cと呼ぶ)を同定した。形態Cの結晶化度を、X線粉末回折(XRPD)により解析した。
【0189】
XRPD解析を、Bruker D8 ADVANCEおよび以下の状態を使用して、行った。
Bragg Brentano幾何学。
2θ範囲:3°~40°。
工程サイズ:0.02°。
工程時間:0.25秒。
スリット:0.3。
試料の回転オン:15rpm。
銅Kα照射。
ゼロバックグラウンドのケイ素充填試料フォルダーを使用した。
【0190】
式(II)の化合物の形態Cの粉末X線ディフラクトグラムを、図1に示す。形態CのXRPDパターンの最大の10のピークの位置および相対強度を、表1に示す。試料は、高度に結晶であり、有意な無形質の任意のベースライン消失を示す証拠を示さない。
【表1】
【0191】
形態Cの調製
式(I)の化合物の遊離塩基溶液を、1時間かけて0℃~10℃に冷却した。酢酸エチル/HCl(10~12%、53.5L、酢酸エチルおよび無水HClガスから院内で調製した)を、温度を0℃~10℃で維持しながら、30分かけてバッチにゆっくり加えた。バッチを、1.25時間かけて25℃~30℃に温め、この温度で4時間維持した。真空(600~700mmHg)を適用し、バッチを、33℃未満で6.25時間蒸留し、この時点で、蒸留物の体積は、115Lであった。バッチを、25℃~30℃に冷却し、ジイソプロピル エーテル(53.5L、5体積)を加えた。バッチを、2時間撹拌しながら、25℃~30℃で維持し、次いで、窒素雰囲気下で、NutscheフィルターNF202に通し、30分間、吸引乾燥させた。ケーキを、ジイソプロピルエーテル(10.7L、1体積)で2回スラリー/洗浄し、30分~1時間吸引乾燥させた。この物質を、真空乾燥機VD201において、65℃~70℃、真空(600~650mmHg)下で12時間、ケーキの水分含有量が、2.0wt%以下になるまで乾燥させて、式(II)の化合物の形態C(10.01kg、収率90%、KFにより0.45%水)を得た。
【0192】
多型スクリーニングにより、別の安定な固形状態形態(パターンBと呼ぶ)を同定した。形態Bの結晶化度を、X線粉末回折(XRPD)により解析した。
【0193】
XRPD解析を、Bruker D8 ADVANCEおよび上記と同じ条件を使用して、行った。
【0194】
式(II)の化合物の形態Bの粉末X線ディフラクトグラムを、図7に示す。形態CのXRPDパターンの最大の10のピークの位置および相対強度を、表2に示す。試料は、高度に結晶であり、有意な無形質の任意のベースライン消失を示す証拠を示さない。
【表2】
【0195】
形態Bの調製
制御した溶媒蒸発による、酢酸エチルから回析パターンBを示す物質の調製
式(II)の化合物およそ200mgを、30~50mLのガラスバイアル/ビーカーに入れた。酢酸エチル20mLを加え、試料を、およそ1分間、透明な溶液を得るまで、ボルテックス混合/超音波処理した。溶液を、シリンジフィルター(MilliporeのDurapore PVDF 0.22μmの遠心分離フィルター)を通して濾過して、インプット固形状態形態の可能性のあるシードを取り除いた。次いで、溶液を、周囲条件で環境に開放して、48時間撹拌した。
【0196】
実施例2:式(II)の化合物の形態CおよびパターンBの熱特性
式(II)の化合物の形態Cを、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、およびホットステージ顕微鏡(HSM)によりさらに解析した。化合物は、高い融点を有し、180℃未満で物理的変化も化学的変化も受けない。
【0197】
DSC
式(II)の化合物の形態CのDSCを、Perkin Elmer Diamond DSCおよび以下の条件を使用して解析した。
窒素パージガス下のアルミニウムパン。
試料サイズ:1~5mg。
温度範囲:25℃~250℃。
加熱速度:2℃/分、5℃/分、10℃/分。
【0198】
式(II)の化合物の形態CのDSCサーモグラムを、図2に示す。得られたデータの概要を、表3に示す。得られたサーモグラムは、形態Cの融解に起因して、開始温度226.6℃を伴う単一の急激な吸熱を示す。
【表3】
【0199】
TGA
TGA解析を、perkin elmer Pyris 1および以下の条件を使用して行った。
窒素パージガス下の白金パン。
試料サイズ:2~4mg。
温度範囲:周囲~300℃。
加熱速度:10℃/分
【0200】
TGAサーモグラム(図3)は、周囲温度から150℃に加熱するとき、およそ0.8%w/wの重量減少を示し、これは、式(II)の化合物の形態Cが、水和物でも、溶媒和物でもないことを示している(一水和物についての理論的重量減少は、4.1%w/wである)。
【表4-1】
【0201】
HSM
式(II)の化合物の形態CについてのHSMを、加熱速度10℃/分または20℃/分で、周囲温度~300℃(試料平衡なし)で行った。図4は、式(II)の化合物の形態CのHSM顕微鏡写真を示す。実験により、物質が、およそ180℃まで変化しないままであることを確認した。物質は、およそ201℃で融解し始め、最終粒子の融解は、およそ215℃で完了した。開始温度227℃を伴いDSCサーモグラムにおいて見られる吸熱現象は、融解に対応していた。式(II)の化合物のパターンBを、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、およびホットステージ顕微鏡(HSM)によりさらに解析した。
【0202】
加熱速度10℃/分および2℃/分でのパターンB物質についてのDSCサーモグラムを、図8に示す。得られたデータの概要を、表4に示す。加熱速度10℃/分を伴うDSCサーモグラムは、三つの吸熱現象を示した。開始温度およそ98℃を伴う第一の吸熱を、水または溶媒喪失に起因すると思われる、TGA実験(75℃~125℃)において見られる重量喪失現象に割り当てることができる。より遅い加熱速度2℃/分を使用して、より高い温度で見られる熱現象を調べた。得られた加熱速度2℃/分を用いて記録したDSCサーモグラムは、四つの主要な現象を示し、三つの吸熱現象および一つの発熱現象を示す。第一の吸熱現象(開始温度84℃)は、おそらく水または溶媒喪失に起因する。第二の現象(開始温度129℃)は、化合物の脱水または溶媒和物形態の融解に起因する。発熱現象(開始温度169℃)を、HSM(おそらくパターンC物質を得る)において見られる結晶化に対応するこの融解後に観察した。最終の吸熱現象(開始温度224.℃)は、HSMにより融解物であることを示し、パターンC物質の融解物に対応する。
【表4-2】
【表4-3】
【0203】
パターンB物質についてのTGAサーモグラムを、図9に示す。得られたデータの概要を、表5に示す。TGAサーモグラムは、温度範囲75℃~125℃に渡りおよそ4.0%w/wの水和物の段階的な重量喪失を示す。一水和物の理論重量は、4.1%であり、これは、パターンBが、可能性のある水和物であることを示している。これは、異なる溶媒から生じるので、おそらく溶媒話物ではなく、異なる溶媒和物が、おそらく同じ回析パターンを得る。この重量喪失現象は、DSCサーモグラムにおいて観察される第一の吸熱に対応する。およそ17%w/wの有意な重量喪失を、温度範囲195℃~300℃に渡り観察した。実験由来の残渣の調査により、茶色の塊であることを示し、これは、分解が生じたことを示している。ホットステージ顕微鏡により、およそ200℃での融解、続いて分解を確認した。
【表5】
【0204】
パターンB物質でのHSMは、最大温度128℃まで変化しない物質の出現を示した。物質は、128℃で融解し始め、最終粒子の融解は、
温度およそ135℃で完了した(図10を参照)。これにより、
DSCにおいて観察した開始温度227℃を伴う現象が、融解物に起因することを確認した。
【0205】
融解物からの再結晶を、161℃~175℃で観察し、一方、
融解物の色の変化を、再結晶した固体の融解
189℃~195℃と同時に観察した。
化合物の分解は、DSCと比較したとき、HSM中に異なって生じ得る。
HSMを、空気雰囲気下で行い、DSCを、不活性な窒素雰囲気下で行う。
それ故、酸化プロセスは、HSM中に生じ得るが、DSC中に生じない。
【0206】
実施例3:式(II)の化合物の放出調節錠剤製剤
製剤
第1相において、即時放出(「IR」)カプセル剤中枢神経系(CNS)関連現象および精神医学関連の有害な現象の単一上昇用量研究は、最も一般的に報告した有害な現象であり、典型的には、最高血漿濃度時(Tmax)あたりで生じた。同じ研究における続くコホートにおいて、2時間の間隔での四つの10mgの用量としてのIRカプセル剤40mgの投与は、式(II)の化合物の1回の経口40mg用量の投与後に観察した値の約50%まで平均Cmaxを低減し、軽度の頭痛および軽度の傾眠は、分割投薬後に報告された唯一の有害な現象であった。これらの知見を考慮すると、式(II)の化合物の放出改変(「MR」)錠剤製剤を、全体的なAUCを維持しながら、所定用量のCmaxを低減する試みにおいて開発した。
【0207】
式(II)の化合物の即時放出カプセルの組成物を、以下の表6において提供する。
【表6】
【0208】
異なる放出速度プロファイルを有する式(II)の化合物(形態C)の開始錠剤製剤を調製した:製剤1(式(I)の化合物の約80%を、対象への投与の2時間後に放出する)、製剤2(80%の放出速度が5時間である)、および製剤3(80%の放出速度が7時間である)。製剤の組成を、表7に示す。各錠剤は、式(II)の化合物20mgを含有する。
【表7】
【0209】
製造プロセス
調節放出錠剤を調製するプロセスは、6つの連続する工程:1)全ての成分(式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、例えば、式(II)、および賦形剤)を選別する工程、2)式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、例えば、式(II)の化合物を賦形剤(内部に顆粒潤滑を含む)と混合する工程、3)ローラー圧縮(粉砕工程を含む)、4)さらなる顆粒潤滑、5)錠剤圧縮、および6)錠剤コーティングからなる。
【0210】
実施例4:調節放出錠剤の薬物動態研究
式(II)の化合物の調節放出錠剤を、式(II)の化合物の即時放出カプセル剤を用いて観察した副作用の一部を和らげる試みにおいて開発した。式(II)の化合物の即時放出カプセル製剤と比較した、式(II)の化合物の三つの調節放出錠剤製剤のCmaxの低減およびtmaxの遅延を、第1相研究における健康なボランティアにおいて空腹条件下で評価した。
【0211】
第1相研究は、無作為化、非盲検、4方向クロスオーバー研究であった。適格な対象を、4つのうち1つの治療順序に無作為化し、式(II)の化合物の即時放出カプセル製剤の単回20mg用量(式(II)の化合物)および絶食状態で式(II)の化合物の以下の3つの調節放出錠剤製剤20mg用量:製剤1(80%の放出速度が2時間位なである)、製剤2(80%の放出速度が5時間以内である)、および製剤3(80%の放出速度が7時間以内である)を受け取った。研究治療を、4回の別個の研究訪問時に投与し、訪問のそれぞれは、最短1週間の洗い流し期間により前回と離れている。
【0212】
図5は、式(II)の化合物の放出改変錠剤および即時放出カプセルの単回20mg経口投薬後の、式(I)の化合物の平均濃度-時間プロファイルを示す。
【0213】
絶食状態での式(II)の化合物20mgの投与後、絶食状態での式(I)の化合物の血漿濃度は、式(II)の化合物の調節放出錠剤製剤それぞれの投与、および即時放出カプセル製剤の投与の0.75時間後まで定量可能であった(図5)。Cmaxに達した後、式(I)の化合物の血漿濃度は、絶食状態での即時放出カプセルと製剤1錠剤の両方の投与後に、二相性様式で下降した。血漿濃度は、Cmaxに達した後、プラトーになり、次いで、絶食状態での製剤2および製剤3錠剤の投与後に単相様式で下降した。式(I)の化合物は、最短で即時放出カプセルおよび製剤1錠剤の投与後36時間、製剤2および製剤3錠剤の投与後48時間の試料採取期間である持続期間、定量可能なままであった。
【0214】
絶食状態での製剤3錠剤は、Cmaxに達した後に二相性様式で下降する結晶濃度を有していた。式(I)の化合物は、絶食状態での製剤3錠剤の投与後48時間の試料採取期間の持続期間定量可能なままであった。(図5)。
【0215】
表8は、即時放出カプセル、製剤1錠剤(放出速度2時間)、製剤2錠剤(放出速度5時間)、および製剤3錠剤(放出速度7時間)についての、中央tmax、観察した幾何学平均Cmax、観察した幾何学平均AUClast、およびAUCinfを要約する。長い放出速度を有する調節放出製剤ほど、AUClastにより評価する、全体的曝露を維持しながら、即時放出カプセルと比較して、遅延したtmaxおよび低減したCmax濃度をもたらす。観察したt1/2は、およそ8~10時間での全ての製剤について類似した。吸収速度がt1/2に影響することを示唆する証拠は存在しなかった。AUClastと関連する対象間変動は、三つの調節放出錠剤製剤の間で類似した。
【表8】
【0216】
絶食状態で3つの調節放出錠剤製剤(製剤1~3)またはIRカプセル(実施例4を参照)の単回経口20mg用量を受けた18人の対象のうち、17人の対象(94.4%)が、製剤のいずれかの投与後に少なくとも一つの有害な現象を経験した(表9)。少なくとも一つの薬剤に付随する有害な現象を、18人のうち15人の対象(83.3%)において報告した。重篤な有害な現象も重大な有害な現象も報告されず、有害な現象のため、研究薬剤を用いた治療を中止した対象はいなかった。
【0217】
IRカプセルと比較して、MR錠剤についての式(I)の化合物の経験したより低いCmax曝露と一致し、少なくとも一つの有害な現象を経験した対象のパーセンテージおよび少なくとも一つの薬剤に付随する有害な事象を経験した対象のパーセンテージは、IRカプセルの投与後より、MR錠剤のそれぞれの投与後に小さかった(表9)。MR錠剤のうち、いずれかの有害な現象を経験した対象のパーセンテージおよびいずれかの薬剤に付随する有害な現象を経験した対象のパーセンテージは、製剤3について最小であった:
・ 少なくとも一つの有害な現象を、製剤3錠剤の投与後の対象の33.3%において、製剤2の投与後の対象の44.4%において、製剤1錠剤の投与後の61.1%において、およびIRカプセルの投与後の対象の72.2%において報告した。
・ 少なくとも一つの薬剤に付随する有害な現象を、製剤3の投与後の対象の16.7%において、製剤2の投与後の対象の44.4%において、製剤1の投与後の44.4%において、およびIRカプセルの投与後の対象の72.2%において報告した。
いずれかの有害な現象およびいずれかの薬剤に付随する有害な現象を経験した対象のパーセンテージの増大は、濃度依存性であり、一般に、Cmaxの順(製剤3<製剤2<製剤1<IRカプセル)と相関した。
【表9】
【0218】
実施例5:調節放出錠剤についての薬物動態研究
これは、健康な参加者における単回の上昇(部分A:20、40、および60mg))および複数回の上昇(部分B:20および40mg、8日間)用量の20mg錠剤(製剤3)の安全性、忍容性、PK、ならびにPD(KSS、KDT、SQSQおよび24時間EEG記録を含む)を評価するための、2パートの、第1相二重盲検、プラセボ制御試験であった。この試験の結果に基づき、20mgの錠剤製剤(製剤3)の単回の経口投薬後、式(I)の化合物への曝露は、20mg~60mgの用量範囲に渡る用量に伴い増大した。CmaxおよびAUCの変動性は、20mgの錠剤製剤(製剤3)の単回経口投薬後の増大する用量に伴い、増大する。
【0219】
この研究では、20および40mgの単回および複数回(8日間毎日)投薬は、十分に忍容された。6人の健康なボランティアに投与した単回の60mgは、忍容されなかった。6人のうち5人の参加者は、吐き気があり、6人のうち3人の参加者は、吐いた。
【表10】
【0220】
20mg錠剤(製剤3)の複数回20および40mg投薬の薬物動態特性を、投薬の1日目および8日目に決定した(表11)。この試験の結果に基づき、20mgの錠剤製剤の1日1回、8日間の投薬後、式(II)の化合物への曝露は、20mg~40mgの用量範囲に渡る用量に伴い増大した。CmaxおよびAUCの変動性は、研究した用量範囲内でやや増大した。定常状態を、用量範囲20~40mgに渡る繰り返し毎日の投薬の5日目までに達成した。Cmaxのおよそ2倍の増大を、投薬の8日間に渡り観察した。
【表11】
【0221】
視床において発現するT型カルシウムチャネルは、NREM睡眠中の顕著な視床皮質周期的変動である、睡眠紡錘波の生成および調節に重大に関与する。睡眠紡錘波を、シグマ周波数帯域(11~15Hz)としてEEGにおいて検出する(図12)。故に、この試験におけるシグマ周波数帯域における出力の減少は、視床皮質回路におけるT型カルシウムチャネルの式(I)の化合物が仲介する遮断を示す。
【0222】
実施例6:式(I)の化合物4および5の放出調節錠剤製剤
コーティング基質調節放出(MR)錠剤として提供した製剤4および5は、7時間以内に薬剤物質のおよそ80%を放出するよう設計されている。製品(製剤4および5)の臨床バッチのための組成物を、表12に示す。それぞれの活性な錠剤は、それぞれ、式(II)の化合物約5.475mgまたは21.90mgに対応する、式(I)の化合物5または20mgに等しい薬剤物質を含有する。
【表12】
【0223】
放出を評価するために使用する溶解方法は、USP装置I型を使用したクロマトグラフィー検出方法である。放出を評価するための溶解パラメーターおよび高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)条件を、以下に示す。
【表13】
【表14】
【表15】
【0224】
製造プロセス
MR錠剤を、滑沢剤を含む賦形剤の選別および混合により製造する。混合物を、ローラー圧縮およびリボン密集の粉砕により粒状にする。顆粒を潤滑にし、次いで、錠剤に圧縮する。次いで、錠剤を、フィルムコーティングする。
【0225】
多数の品質特性を、工程内、放出試験中、安定性についてモニターする。これらは、硬度、摩損性、外観、アッセイ、関連物質、含量均一性、水含有量および溶解を含む。
さらなる製剤(製剤6~9)を、表16において提供する。
【表16】
【0226】
健康なボランティアへの式(II)の化合物(製剤4)の単回5mg用量の投与後、式(I)の化合物の遊離塩基(すなわち、式(II)の化合物)の血漿濃度は、式(II)の化合物の調節放出錠剤製剤の投与の0.50時間後まで定量可能であった。血漿濃度は、Cmaxに達した後、プラトーに達し、次いで、製剤4の投与の24時間後に下降した。遊離塩基としての式(I)の化合物(すなわち、式(II)の化合物)は、製剤4の5mg用量の投与後24時間の試料採取期間の持続期間、定量可能なままであった。図11は、5mgの錠剤製剤4の単回経口投与後の平均(±SD)濃度を示す。
【表17】
【0227】
実施例7:製剤における式(II)の化合物の長期安定性
薬剤製品は、25℃/60%RHにおいて最大48ヶ月間化学的および物理的に安定である(表11)か、加速条件下(40℃/75% RH)で最大6ヶ月間安定であった(表19)。現在入手可能な安定性データに基づき、制御した室温のアメリカ薬局方(USP)定義により20℃~25℃で保存したとき、60ヶ月の貯蔵寿命を、40ccの高密度ポリエチレン(HDPE)ボトルにパッケージングした薬剤製品(製剤3)20mgについて割り当てた。少なくとも48ヶ月間の薬剤製品20mgおよび薬剤製品5mgの本質的に同一の組成物の優れた安定性に基づき、20℃~25℃で保存したとき、24ヶ月の貯蔵寿命を、40ccの高密度ポリエチレン(HDPE)ボトルにパッケージングした薬剤製品(製剤4)5mgについて割り当てた。
【0228】
式IIの化合物を含むMR錠剤の安定性研究を、25℃/60%RHで行った。バッチサイズは、10,000錠であった。各フィルムコーティングした錠剤は、式IIの化合物20mgを含有していた。錠剤を、CRCキャップを備えた錠剤30錠を含有する40ccのHDPEボトルにパッケージングした(表19)。
【表19】
【0229】
式IIの化合物を含むMR錠剤の安定性試験を、40℃/75%RHで行った。バッチサイズは、10,000錠であった。各フィルムコーティングした錠剤は、式IIの化合物20mgを含有していた。錠剤を、CRCキャップを備えた30錠含有する40ccのHDPEボトルにポッケージングした(表20)。
【表20】
【0230】
式(II)の化合物を含む製剤4の錠剤の安定性研究を、25℃/60%RHで行った。バッチサイズは、30,000錠であった。錠剤を、CRCキャップを備えた30錠含有する40ccのHDPEボトルにポッケージングした(表21)。
【表21】
【0231】
実施例8:欠神てんかん発作を有する全般てんかん症候群を有する成人における漸増複数回経口投薬の安全性、忍容性、薬物動態、および有効性の評価
この非盲検MAD試験は、標準ケアの補助である、20mg錠剤(製剤3)の20mg毎日および20mg1日2回の投薬の安全性および忍容性を主に評価する。副次的目的は、錠剤(製剤3)のPK、PD(NREM睡眠中のシグマ頻度出力)およびてんかん発作頻度に対する効果を特徴付けることを含む。
【0232】
対象
この研究の対象は、年齢18~60歳の、男性または女性である。対象は、てんかん発作のてんかん改訂分類に対するインターナショナルリーグ(2017)と一貫する欠神発作を伴うてんかん症候群(小児欠神発作、若年性欠神発作、若年性ミオクローヌスてんかん、またはジーボンス症候群を含むが、これらに限定されない)の臨床診断を有し、少なくとも一つの標準的抗てんかん治療を用いた文書化試験にかかわらず、欠神発作が持続し、欠神てんかんの既往歴および電気写真証拠を有する。
【0233】
方法論:
各参加者は、3つの研究期間:スクリーニング、治療期間(最大2用量レベル、続いて、漸減)、および安全性追跡を完了する。
【0234】
全ての参加者は、式(II)の化合物の2週間の投薬、続いて、漸減を経験する:
・ 用量レベル1:20mgを1日2回が許容されないなら、7日間、最大14日間、毎日20mg(製剤3)。
・ 用量レベル2:20mg(製剤3)、1日2回、7日間。
・ 漸減:参加者が,1日2回20mgの全7日間を許容するなら、漸減は、2日間毎日20mg(15日目および16日目)であり、続いて、20mgを1日おきに5日間(17日目、19日目、および
21)である。参加者が、1日20mgのみを許容するなら、漸減は、7日間、1日おきに20mgである(15日目~21日目)。
【0235】
安全性および許容性
安全性変数は、臨床検査評価、身体検査、バイタルサイン、12誘導ECG、C-SSRS、ならびに現象タイプ、頻度、重篤性、重症度、タイミング、およびIPとの関係を含むAE評価を含む。
【0236】
薬物動態学
薬物動態パラメーターは、最大の観察した濃度(Cmax)、ならびに定常状態(Cmax,SS)、Cmaxの時間(Tmax)およびCmax、SS(Tmax,SS)、投薬間隔を通じた濃度-時間曲線下面積(AUCtauまたはAUCSS)、定常状態での総クリアランス(CLSS)を含む。実行可能なら、半減期、蓄積および定常状態での分布体積(VSS)などのさらなるパラメーターを計算する。
【0237】
有効性
a)欠神発作、全般強直間代性てんかん発作、およびミオクローヌス性てんかん発作を含む、参加者が報告したてんかん発作日記によるてんかん発作の数、b)てんかん発作密度(閃光刺激および過換気で誘導したてんかん発作の包括的なおよそ24時間の期間におけるおよそ2.5~5Hz>3秒の両側性同調対称棘波放電数)、平均てんかん発作期間(24時間の期間における持続期間の3秒より長い2.5~5Hz放電の平均持続期間)、累積てんかん発作持続期間(てんかん発作密度および中央てんかん発作持続期間の製品)、過換気および光刺激誘発後の2.5~4Hzの棘波発射を伴う総時間を含む、式(I)の化合物のてんかん発作活動および薬力学的効果のEEG測定値、ならびにc)CGI-SおよびCGI-Iスコアにより測定する、全般重症度により、有効性を評価する。
【0238】
実施例9:本態性振戦における式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効性、安全性、忍容性および薬物動態の評価
無作為化制御試験を行い、本態性振戦における式(I)の化合物の有効性、安全性、および忍容性を研究する。各患者は、3つの研究期間:スクリーニング、治療期間(21日または28日)、および安全性追跡を完了する。
【0239】
患者は18歳~75歳の男性および女性であり、少なくとも3年間本態性振戦と診断されている。患者は、臨床試験全体を通して、安定用量の1回の振戦薬物治療を受ける。心因性振戦の臨床的証拠、本質的な振戦に対する磁気共鳴誘導性集束超音波または外科的介入前の、振戦を説明するか、または振戦を引き起こし得る他の医学的、神経学的または精神医学的状態の既往歴、スクリーニング前の6ヶ月間に本態性振戦のためのボツリヌス毒素注射を有していた患者は、研究から除外される。
【0240】
患者は、14日間1日1回および7日間1日2回、式(I)の化合物(製剤3)20mgを経口で(部分A)、または14日間1日1回および14日間1日2回式(I)の化合物(製剤3)20mgもしくはプラセボを経口で(部分B)受ける。
【0241】
上肢振戦に対する式(I)の化合物の有効性を、ベースライン、21日目(部分A)および28日目(部分B)での本態性振戦評価アセスメント尺度(TETRAS)上肢スコアにより評価する。
【0242】
振戦重症度の他の測定値に対する式(I)の化合物の有効性を、ベースライン、21日目(部分A)、および28日目(部分B)でのTETRAS活動サブ尺度スコアおよびTETRAS活動の個々の項目により評価する。
【0243】
式(I)の化合物の安全性および忍容性を、ベースライン、1日目、7日目、14日目、21日目、および28日目(部分Bのみ)での次のエンドポイント:患者および臨床医が報告した有害な現象、バイタルサイン、臨床検査結果、心電図(ECG)、およびコロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS)の統合解析を通じて評価する。
【0244】
実施例10:本態性振戦における式(I)の化合物の有効性、安全性、忍容性および薬物動態の評価
臨床研究を行い、本態性振戦における式(I)の化合物の有効性、安全性、および忍容性を調べる。本態性振戦と診断されている患者は、3つの研究期間:スクリーニング、治療期間(14日間)、および安全性追跡調査を完了した。患者は、臨床試験全体を通して、安定用量の1回の振戦薬物治療を受けた。患者は、7日間1日1回経口で式(I)の化合物(製剤5の1錠剤)20mgおよび7日間1日1回経口で式(I)の化合物(20mgの製剤5の2錠剤)40mgを受けていた(継続的に計14日間)。
【0245】
上肢振戦に対する式(I)の化合物の有効性を、ベースライン、7日目および14日目での本態性振戦評価アセスメント尺度(TETRAS)上肢スコアにより評価した。
【0246】
振戦重症度の他の測定値に対する式(I)の化合物の有効性を、ベースライン、7日目、および14日目でのTETRAS活動サブ尺度スコアおよびTETRAS活動の個々の項目により評価する。
【0247】
式(I)の化合物の安全性および忍容性を、ベースライン、1日目、7日目、14日目、および21日目での次のエンドポイント:患者および臨床医が報告した有害な現象(例えば、目眩または頭痛)、バイタルサイン、臨床検査結果、心電図(ECG)、およびコロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS)の統合解析を通じて評価した。
【0248】
TETRASでの上肢振戦スコアは、7日間(7日目)の20mg(製剤5)の投与後のベースラインと比較して低減し、さらなる低減を、さらに7日間(14日目)の40mg(20mgの製剤5の二つの錠剤)の投与後に観察した。14日目に、上肢振戦スコアは、ベースラインと比較して少なくとも25%低減した。特に、7日間の洗い流し後、上肢スコアは、上の14日目のものと比較して増大し、これは、ベースライン機能障害に徐々に戻ることを示唆している。
【0249】
TETRAS活動スコアは、7日間(7日目)の20mg(製剤5)の投与後のベースラインと比較して低減し、さらなる低減を、さらに7日間(14日目)の40mg(20mgの製剤5の二つの錠剤)の投与後に観察した。14日目に、TETRAS活動スコアは、ベースラインと比較して少なくとも25%低減した。特に、7日間の洗い流し後、活動スコアは、上の14日目のものと比較して増大し、これは、ベースライン機能障害に徐々に戻ることを示唆している。
【0250】
図6は、式(I)(製剤5)の化合物の投与によるアルキメデス・スパイラルタスクにおける振戦における低減を示す。
【0251】
上肢振戦のKinesia ONE、加速度計およびジャイロスコープ評価は、7日間(7日目)の20mgの投与後のベースラインと比較して低減し、さらなる低減を、さらに7日間(14日目)の40mgの投与後に観察した。14日目に、加速度計により測定する振戦振幅は、ベースラインと比較して少なくとも25%低減した。特に、7日間の洗い流し後、加速度計により測定する、振戦振幅は、上の14日目のものと比較して増大し、これは、ベースライン機能障害に徐々に戻ることを示唆している。
【0252】
出現データは、式(I)の化合物が、十分に許容され、上肢振戦振幅を低減し、執筆スキルなどのADLを改善し得ることを示唆する。医師による評価尺度、加速度計ベースの振戦評価ツール、および患者の症状評価尺度は、すべて、式(I)の化合物(製剤5)投与を用いた症状の一貫して示した低減を有していた。加えて、参加者の話は、食品または飲料とともにトレーを運ぶなど、一度失われた能力は、式(I)の化合物(製剤5)を摂取した後に回復し得ることを示唆している。
【0253】
非無作為化非制御試験を行い、本態性振戦における式(I)の化合物の有効性、安全性、および忍容性を研究する。各患者は、スクリーニング、治療期間(14日)、および安全性追跡の3つの試験期間を完了する。TETRASパフォーマンスサブスケールのビデオは、スクリーニング中に完成します。
【0254】
患者は18歳から75歳の男性と女性で、本態性振戦と診断されている。患者は、臨床試験全体を通して、安定用量の1回の振戦薬物治療を受ける。心因性振戦の臨床的証拠、本質的な振戦に対する磁気共鳴誘導性集束超音波または外科的介入前の、振戦を説明するか、または振戦を引き起こし得る他の医学的、神経学的または精神医学的状態の既往歴、スクリーニング前の6ヶ月間に本態性振戦のためのボツリヌス毒素注射を有していた患者は、研究から除外される。
【0255】
患者は、7日間1日1回経口で式(I)の化合物(製剤5)20mgおよび7日間1日1回経口で式(I)の化合物(20mgの製剤5の2錠剤)40mgを受けていた(継続的に計14日間)。
【0256】
上肢振戦に対する式(I)の化合物の有効性を、ベースライン、7日目および14日目での本態性振戦評価アセスメント尺度(TETRAS)上肢スコアにより評価する。
振戦重症度の他の測定値に対する式(I)の化合物の有効性を、ベースライン、7日目、および14日目でのTETRAS活動サブ尺度スコア、TETRAS活動の個々の項目、および加速度計により評価する。
【0257】
式(I)の化合物の有効性をまた、臨床全般印象(CGI)、臨床全般印象-重症度(CGI-S)、臨床全般印象-改善(CGI-I)、および患者全般印象の変化(PGI-C)により評価してもよい。
【0258】
式(I)の化合物の有効性をまた、本明細書に記載される方法のいずれかにより評価してもよい。
【0259】
式(I)の化合物の安全性および忍容性を、ベースライン、1日目、7日目、14日目、および21日目での次のエンドポイント:患者および臨床医が報告した有害な現象(例えば、目眩または頭痛)、バイタルサイン、臨床検査結果、心電図(ECG)、およびコロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS)の統合解析を通じて評価する。
【0260】
均等および範囲
特許請求の範囲において、「a」、「an」、および「the」などの冠詞は、別段その反対が示されるか、または文脈から明白でない限り、一つまたは二つ以上を意味し得る。群の一つ以上の要素間に「または」を含む請求項または記載は、別段その逆が示されない限り、または文脈から明らかでない限り、群の要素のうちの一つ、二つ以上、またはすべてが所与の生成物またはプロセスに存在するか、それに用いられるか、または関連する場合、満たされると見なされる。発明は、群の正確な一つの要素が、所与の生成物またはプロセスに存在するか、用いられるか、または関連する実施形態を含む。発明は、二つ以上、またはすべての群の要素が所与の生成物またはプロセスに存在するか、用いられるか、または関連する実施形態を含む。
【0261】
さらに、発明は、すべての変形、組み合わせ、および順列を包含し、列挙されている請求項のうちの一つ以上からの一つ以上の制限、要素、節、および記載される用語が別の請求項に導入される。例えば、別の請求項に従属する任意の請求項は、同じ基本請求項に従属する任意の他の請求項に見出される一つ以上の制限を含むように修正され得る。要素が、一覧として、例えば、Markush群形式で提示される場合、要素の各サブグループも開示され、いずれの要素もこの群から除去され得る。一般に、発明、または発明の態様が特定の要素および/または特色を含むと見なされる場合、発明のある特定の実施形態または発明の態様が、かかる要素および/または特色からなるか、または本質的にそれらからなることが理解されるべきである。簡潔さを目的として、それらの実施形態は、本明細書で具体的に逐語的には記載されていない。用語「含むこと」および「含有すること」は、開放的であるように意図され、追加の要素またはステップの包含を許容することも、また留意されたい。範囲が与えられている場合、端点が含まれる。さらに、別段示されない限り、または文脈および当業者の理解から明らかでない限り、範囲として表される値は、別段文脈が明確に示さない限り、範囲の下限の単位の10分の1まで、発明の異なる実施形態の記載された範囲内の任意の特定の値または部分範囲であると見なされ得る。
【0262】
本出願は、様々な発行された特許、公開された特許出願、学術記事、および他の刊行物を参照し、これらのすべては、参照により本明細書に組み込まれる。組み込まれている参考文献のうちのいずれかと本明細書との間に矛盾がある場合は、本明細書を優先するものとする。加えて、先行技術範囲内の本発明の任意の特定の実施形態は、請求項のうちのいずれか一つ以上から明らかに除外され得る。かかる実施形態は、当業者に既知であると見なされるので、除外が明らかに本明細書に記載されていない場合でさえも除外され得る。発明の任意の特定の実施形態は、先行技術の存在に関連するかどうかに関わらず、あらゆる理由により、任意の請求項から除外され得る。
【0263】
当業者は、ただの通常の実験を使用して、本明細書に記載の特定の実施形態に対する多くの等価物を認識するか、または確認することが可能であろう。本明細書に記載の本実施形態の範囲は、上の発明を実施するための形態に限定されることを意図せず、むしろ添付の特許請求の範囲に記載されるとおりである。以下の特許請求の範囲に定義されるように、本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく、この記載への様々な変更および修正を行うことができることを、当業者は理解するであろう。
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【国際調査報告】