IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハヘペ・インターナショナル・ベー.フェー.の特許一覧 ▶ セナジスト・リミテッドの特許一覧

特表2022-540254液体の流量を制限又は一定に保つための装置
<>
  • 特表-液体の流量を制限又は一定に保つための装置 図1
  • 特表-液体の流量を制限又は一定に保つための装置 図2
  • 特表-液体の流量を制限又は一定に保つための装置 図3
  • 特表-液体の流量を制限又は一定に保つための装置 図4
  • 特表-液体の流量を制限又は一定に保つための装置 図5
  • 特表-液体の流量を制限又は一定に保つための装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-14
(54)【発明の名称】液体の流量を制限又は一定に保つための装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 17/196 20060101AFI20220907BHJP
【FI】
F16K17/196 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502105
(86)(22)【出願日】2020-07-10
(85)【翻訳文提出日】2022-02-25
(86)【国際出願番号】 NL2020050460
(87)【国際公開番号】W WO2021010830
(87)【国際公開日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】2023494
(32)【優先日】2019-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522014035
【氏名又は名称】ハヘペ・インターナショナル・ベー.フェー.
【氏名又は名称原語表記】HAGEPE INTERNATIONAL B.V.
【住所又は居所原語表記】Huizermaatweg 27-2,1273 NA HUIZEN,The Netherlands
(71)【出願人】
【識別番号】522014046
【氏名又は名称】セナジスト・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CENERGIST LIMITED
【住所又は居所原語表記】7 Bede House,Glover Industrial Estate,WASHINGTON Tyne and Wear NE37 2SH,UNITED KINGDOM
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ステイン・ファン・デル・ウピヴィヒ
【テーマコード(参考)】
3H060
【Fターム(参考)】
3H060AA13
3H060BB05
3H060CC03
3H060DC02
3H060HH03
3H060HH12
(57)【要約】
そこを通る流体の流れを制限するための流れ制限要素(100)であって、入口(2)及び出口(3)が設けられたハウジング(1)と、ハウジング(1)内に配置される弾性板状弁要素(4)であって、弁座(9)へと及び弁座から移動可能であり、そこを通って流れる流体の圧力の影響下で弁座との間に貫流開口(11)を規定し、前記貫流開口(11)の寸法を調整するように構成される弾性板状弁要素とを備え、前記弁座(9)には、前記弁座(9)に向かう弾性板状弁要素(4)の動きを制限するための、フットプリント及び高さを有する突出部材(113)が配置され、前記突出部材(113)は、前記弾性板状要素(4)と係合するための係合面を備え、前記係合面は、少なくとも部分的に湾曲状であり、前記少なくとも部分的に湾曲状の係合面の曲率半径は、前記突出部材(113)のフットプリントの最小寸法に等しいか又はそれよりも大きい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
そこを通る流体の流れを制限するための流れ制限要素であって、
入口及び出口が設けられたハウジングと、
ハウジング内に配置される弾性板状弁要素であって、弁座へと及び弁座から移動可能であり、そこを通って流れる流体の圧力の影響下で弁座との間に貫流開口を規定し、前記貫流開口の寸法を調整するように構成される弾性板状弁要素とを備え、
前記弁座には、前記弁座に向かう弾性板状弁要素の動きを制限するための、フットプリント及び高さを有する突出部材が配置され、
前記突出部材は、前記弾性板状要素と係合するための係合面を備え、前記係合面は、少なくとも部分的に湾曲状であり、前記少なくとも部分的に湾曲状の係合面の曲率半径は、前記突出部材のフットプリントの最小寸法に等しいか又はそれよりも大きい流れ制限要素。
【請求項2】
前記突出部材は、それぞれの幅及び長さを有する実質的に矩形のフットプリントを有し、前記少なくとも部分的に湾曲状の係合面の曲率半径は、前記それぞれの幅及び長さの少なくとも一方に等しいか又はそれよりも大きい請求項1に記載の流れ制限要素。
【請求項3】
前記突出部材のフットプリントは、前記フットプリントの直径に等しい特定の幅を有する円によって定義され、前記少なくとも部分的に湾曲状の係合面の曲率半径は、前記特定の幅に等しいか又はそれよりも大きい請求項1に記載の流れ制限要素。
【請求項4】
前記少なくとも部分的に湾曲状の係合面は、加えられた圧力の影響下で弾性的に平坦になるように構成される請求項1~3のいずれか1項に記載の流れ制限要素。
【請求項5】
前記係合面は面取りされた縁及び/又は丸みを帯びた縁を含むか、及び/又は係合面全体が湾曲状面である請求項1~4のいずれか1項に記載の流れ制限要素。
【請求項6】
前記突出部材の係合面は、二重湾曲状及び/又は球形状の係合面である請求項1~5のいずれか1項に記載の流れ制限要素。
【請求項7】
前記少なくとも部分的に湾曲状の係合面の曲率半径は、前記突出部材のフットプリントの最小寸法、例えば長さ、幅及び/又は直径等の少なくとも1.2倍、好ましくは少なくとも1.5倍、より好ましくは少なくとも2倍である請求項1~6のいずれか1項に記載の流れ制限要素。
【請求項8】
前記少なくとも部分的に湾曲状の係合面の曲率半径は、前記突出部の高さの少なくとも5倍、好ましくは少なくとも10倍、より好ましくは少なくとも15倍である請求項1~7のいずれか1項に記載の流れ制限要素。
【請求項9】
前記弁要素は一方側で保持され、前記弁要素は反対側で弁座の方向に弾性的に移動可能であり、前記流れ制限要素は複数の突出部材を備え、前記複数の突出部材は弁座に対して異なる高さに構成される請求項1~8のいずれか1項に記載の流れ制限要素。
【請求項10】
前記複数の突出部材は、2つの突出部材の第1対を含み、前記第1対の2つの突出部材は、前記ハウジングの貫流開口に対して両側に配置される請求項9に記載の流れ制限要素。
【請求項11】
突出部材の第2対を含み、前記第2対の2つの突出部材は、前記第1対の突出部材と比較した場合に前記弁要素の保持側から更に離れた間隔で、前記弾性板状弁要素及び前記ハウジングの一方に配置される請求項10に記載の流れ制限要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、そこを流れる液体の量を制限するか及び/又は一定に保つための装置に関する。
【0002】
水は世界の多くの地域で希少な資源であり、そのため効率的に使用し、その供給を注意深く調整し制御する必要がある。例えば、西欧諸国では、大量のきれいな飲料水が個人により入浴やシャワーを浴びるのに浪費される。西欧諸国では多くの対策が講じられているという事実にもかかわらず、シャワーや入浴に伴うエネルギー量は相対的に増え続けている。
【0003】
圧力に依存しない流れリミッターは、特に英国及び他の国で、出願人により非常に首尾よく販売されている。このような流れリミッターは、例えば、欧州特許出願公開第1.131.687号明細書及びオランダ国特許出願公開第1010592号明細書に記載される。
【0004】
これらの既知の流れリミッターでは、通常ゴムリング等を使用する他のメーカーの流れリミッターと比較してかなりの改善が得られる。これは、出願人のこれらの既知の流れリミッターが、2.5~10バールの(動的)圧力期間内で例えば7.8(+/-0.1)リットル/分の正確な流量を何年間にもわたって提供できる能力による。他のメーカーの既存の流れリミッターは、実際には、特に圧力損失(圧力降下)の場合に、各段に一定ではなく正確ではない流量をもたらすように思われる。これはシャワー等や水の快適な使用を目的とする場合に特に望ましくない。
【0005】
ホテル、クルーズ船、及び(例えば石油化学及び/又は農業)産業では、液体の流れの力を制限し及び/又は一定に保つために、流れリミッターのニーズもある。出願人の流れリミッターにより、水道事業者は、彼らが供給する地域の多くの場所におけるホテル、オフィスビル、個人住宅等に流れリミッターが配置される際、必要な導入の容量をより正確に判断することができる。これによる導入コストの節約はかなりのものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1.131.687号明細書
【特許文献2】オランダ国特許出願公開第1010592号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、流れリミッターを更に改良すること、特に、信頼できる一定の流量を得ることができる(動的)圧力期間を増長すること、及び/又は、流れリミッターの信頼性及び/又は耐久性を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
目標は、とりわけ、そこを通る流体の流れを制限するための次の流れ制限要素により成就される。流れ制限要素は、
入口及び出口が設けられたハウジングと、
ハウジング内に配置される弾性板状弁要素であって、弁座へと及び弁座から移動可能であり、そこを通って流れる流体の圧力の影響下で弁座との間に貫流開口を規定し、貫流開口の寸法を調整するように構成される弾性板状弁要素とを備え、
弁座には、弁座に向かう弾性板状弁要素の動きを制限するための、フットプリント及び高さを有する突出部材が配置され、突出部材は、弾性板状要素と係合するための係合面を備え、係合面は、少なくとも部分的に湾曲状であり、少なくとも部分的に湾曲状の係合面の曲率半径は、突出部材のフットプリントの最小寸法に等しいか又はそれよりも大きい。
【0009】
フットプリントは、一般的に、何かにより覆われたある面上の面積として定義される。従って、突出部材のフットプリントは、突出部材により覆われた弁座上の面積として定義され、すなわち弁座と突出部材との間の交差区域の面積として定義される。
【0010】
好ましい実施形態では、突出部材は、それぞれの幅及び長さを有する実質的に矩形のフットプリントを有し、少なくとも部分的に湾曲状の係合面の曲率半径は、それぞれの幅及び長さ少なくとも一方、特に幅及び長さの最小のものに等しいか又はそれよりも大きい。
【0011】
好ましい実施形態では、突出部材のフットプリントは、フットプリントの直径に等しい特定の幅を有する円によって定義され、少なくとも部分的に湾曲状の係合面の曲率半径は、特定の幅に等しいか又はそれよりも大きい。
【0012】
流れ制限要素又は単に流れリミッターは、圧力が上昇した時に、弾性板状弁要素と弁座との間の貫流開口を制限することによって機能する。そのような上昇した圧力は弾性板状弁要素の上流側に作用し、これにより弾性板状弁要素が弁座に向かって移動するように曲がり、これにより貫流開口が縮小し、流れが制限されるか、又は圧力の上昇に伴って流れが実質的に一定に少なくとも保たれる。
【0013】
しばしばカムとも呼ばれる突出部材は、弾性板状弁要素の上流側にかかる圧力がある一定の事前に定義された閾値よりも高い場合に、弾性板状弁要素と係合するように構成される。その時点以降、圧力は、その係合面、少なくとも部分的に湾曲状の係合面を介して突出部材に直接かかり始める。少なくとも部分的に湾曲状の係合面の曲率半径は、突出部材の幅、長さ又は直径等のフットプリントの最小寸法に等しいか又はそれよりも大きく、突出部材に誘発される応力のより円滑な分散を可能にし、これにより局所的(永続的)な塑性変形、に至るか又は他の方法で流れリミッターの寿命に悪影響を及ぼす可能性のある潜在的な応力ピークを回避する。例えば、流れリミッターがプラスチック及び/又は同様の合成材料から製造される場合、材料における長期間の増長応力からクリープが発生する可能性があり、これにより流れリミッターの寿命及び/又は流れリミッターの貫流特性に悪影響を及ぼす。
【0014】
好ましくは、流れ制限要素は複数の突出部材を備える。この場合、各係合面が上述したように湾曲状であることが好ましい。
【0015】
弁座は、それぞれのフットプリントを有する複数の異なる形状の突出部材を持って構成することができることに留意されたい。更に、突出部材のフットプリントは、表面積を定義する任意の形状、例えば任意の数の辺を有する多角形、例えば、三角形、四辺形、五角形、六角形等;円弧により(少なくとも部分的に)構成される任意の形状、例えば、円、半円、扇形、楕円等;又はこれらの形状の任意の組み合わせを特徴とし得ることに留意されたい。
【0016】
好ましくは、少なくとも部分的に湾曲状の係合面は、加えられた圧力の影響下で少なくともわずかに平坦になるように構成される。弾性板状弁要素の上流側の圧力が上昇するにつれ、突出部材の係合面に対する圧力も増長する。少なくとも部分的に湾曲状の係合面を少なくともわずかに平担になるように構成することにより、板状弁要素と係合する係合面の面積が増加し、従って材料の応力を低下させる。これにより、潜在的な応力のピーク及び/又は長期間の過度な応力を更に低減することができ、これにより流れリミッターの寿命及び信頼性を更に改善することができる。
【0017】
好ましい実施形態では、係合面は、面取りされた縁及び/又は丸みを帯びた縁を備える。これは、突出部材における円滑な応力分散につながり、例えば90℃及び10バールの圧力の高圧及び/又は高温の流体の流れで動作している場合でさえ、突起部材の完全性を維持することができる。好ましくは、突出部材の全面又は表面全体は湾曲面である。
【0018】
流れ制限要素の好ましい実施形態では、突出部材の係合面は、二重湾曲状係合面である。より好ましくは、係合面は球形状又は少なくとも部分的に球形状である。二重に湾曲した又は好ましくは球形の係合面は、増長した圧力下及び/又はより高い温度で、材料応力の更に良好な再分散をもたらし、及び/又は突出部材と弁要素との間のより良好な整合接触面を保証する。これにより、接触面の急激な変化及び/又は急激な応力の増長が防止され、突出部材の材料におけるクリープが顕著に低減され及び/又は防止さえされる。
【0019】
少なくとも部分的に湾曲状の係合面の曲率半径が、突出部材のフットプリントの最小寸法の少なくとも1.2倍、好ましくは少なくとも1.5倍、より好ましくは少なくとも2倍であることが好ましい。突出部材と弁要素との係合時の接触の円滑さが増長することにより、更に改善された応力低減特性が得られる。
【0020】
好ましい実施形態では、少なくとも部分的に湾曲状の係合面の曲率半径は、突出部材の高さの少なくとも5倍、好ましくは少なくとも10倍、より好ましくは少なくとも15倍である。また、この構成において、突出部材と弁要素との係合時の接触の円滑さが増し、応力低減特性が更に向上する。
【0021】
流れ制限要素の好ましい実施形態では、弁要素は一方側に保持され、弁要素は反対側で弁座の方向に弾性的に移動可能である。第1端はハウジングに保持又は結合され、すなわちハウジングと接触した状態に維持され、その一方、弁要素の平面から見て保持側とは反対側の自由端は、ハウジング内で移動可能である。好ましくは、流れ制限要素は、複数の突出部材を備える。突出部材のうちの少なくとも2つは、好ましくは、弁要素の保持側に対して弁要素の平面に平行な平面から見て、異なる高さに構成される。弾性板状弁要素の上流側にかかる流体圧力が更に上昇すると、弾性板状弁要素は、弁座に向かって更に曲がり、次の突出部材に接触する。そのため、少なくとも2つの突出部材は、好ましくは、圧力が増長すると、次いで弁部材に接触するように構成される。これにより圧力は少なくとも第2突出部材に再分散され、そのため突出部材における過度な材料応力を防止するか又は少なくとも低減することができる。
【0022】
更に、複数の突出部材は、2つの突出部材の第1対を含み、第1対の2つの突出部材は、ハウジングの貫流開口に対して両側に配置されることが好ましい。この場合、2つの突出部材は、好ましくは弁要素の2つの対向する縁で又はその近くで弁要素と係合するように配置される。そのような形態において、突出部材は、好ましくは弁座の両側に配置される。一対の突出部材は、好ましくは実質的に非対称に構成され、すなわち弁座から延びる突出部材の高さはある程度異なる。換言すれば、ある対内の突出部材の係合面は、好ましくは、弁要素の平面に垂直な平面に見られるように、弁座に対して異なる間隔に構成される。これは、弁要素が突出部材と接触する際、弾性板状弁要素にバイアスを作り出し、これにより板状弁要素の振動が低減される。
【0023】
好ましくは、流れ制限要素はまた、突出部材の第2対を備える。第2対の2つの突出部材は、第1対の突出部材と比較した場合に、弁要素の保持側から更に離れた間隔で配置される。それ故、効果的な応力低減と振動の防止をもたらす流れリミッターが得られ、流れリミッターの寿命と信頼性を更に向上させる。突出部材の第2対は、第1対に対して形状が同じであるか又は実質的に等しいものであり得ることに更に留意されたい。突出部材の第2対はまた、突出部材の第1対とは異なる形状とされ得る。
【0024】
これまでに記述したすべての実施形態において、突出部材は弁座上に配置される。それにもかかわらず、突出部材が弾性板状弁要素上、特に弁座と係合するように配置された位置の下流側又は下面上に構成された場合にも上記と同じことが当てはまり得る。従って、突出部材は、弾性板状弁要素及び弁座の一方に配置することができる。この実施形態では、湾曲状の係合面は、好ましくは、弁座と接触するように構成される。
【0025】
本発明は、流れ制限要素の好ましい実施形態を示す以下の図面により更に説明され、図面はいかなる方法でも本発明の範囲を制限することを企図しない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、第1実施形態に従う流れ制限要素の断面図を示す。
図2図2は、第1実施形態に従う流れ制限要素の上面図を示す。
図3図3は、第1実施形態に従う流れ制限要素の突出部材の詳細を断面図で示す。
図4図4は、第2実施形態に従う流れ制限要素の断面図を示す。
図5図5は、第2実施形態に従う流れ制限要素の上面図を示す。
図6図6は、第2実施形態に従う流れ限定要素の突出部材の詳細を断面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、第1実施形態に従う流れ制限要素100の断面図を示す。流れリミッター100はハウジング1を備える。ハウジング1は入口2として上流側に流体開口を有し、出口3として下流側に流体開口を有する。流れの方向は別々の矢印Aにより示され、入口2から出口3への方向にある。ハウジング1内には弾性板状弁要素4が配置され、弾性板状弁要素4は保持区域7及び弾性可動区域8を備える。板状弾性弁要素4は、ハウジング1の中央下流部における支持部5に支持される。支持部5とハウジング1の周辺上流部におけるクッション部6とは、弾性板状弁要素4の保持区域7を所定位置に保持する。この固定は次のようにしてもたらされる。弾性弁要素4は、原則として、ハウジング1内において結合していない状態にあり、支持部5により全幅にわたって一方側で支持され、支持部5上にピン16により所定位置に保持される。ピン16は弾性要素4に配置された穴に緩く嵌る。両側すなわち弾性要素の小さい方の保持区域7及び大きい方の弾性区域8は水圧に曝され、それ故、力が両側に作用する。弾性弁要素4の反対側における保持区域7の外側端は、クッション6にもたせかけられる。これにより弾性弁要素4は液体の流れによりその位置に固定される。貫流開口11の寸法は、クッション6の厚さを調整することにより、弁要素4の静止状態において調整可能である。板状弁要素4の弾性区域8は、弾性区域8の外側端へと下方に傾斜する厚さ10を有する弁座9と共に、貫流開口11の幅及び長さを決定する。前記開口11は、弾性要素4の液体出口側にある空間12と共に、出口3での液体流量が一定であるように圧力降下を実現する。ハウジング1内において突出部材113も弁座9上に配置され、入口圧力の影響下でそれらが弾性要素4のストロークを制限する。
【0028】
図2は、第1実施形態に従う流れ制限要素100の上面図を示す。第1組を形成する一対の突出部材113、114は、弁要素の保持区域から見てそれぞれの間隔d113、d114にて弁座9上に配置され、入口圧力の影響下においてそれらが共同で弾性要素4の下方向B(図1を再度参照)へのストロークを制限する。間隔d113、d114は実質的に等しくすることができるが、互いにわずかに異なることも許容される。突出部材113、114の各対は非対称に、すなわち2つの部材113、114の弁座9からの高さH113、H114はある程度異なるように配置することができる。これは弾性弁要素4にバイアスを作り出し、これにより弁要素4の振動が低減され又は防止さえされる。また、弁座9には窪み15が配置され、窪み15は、流出する液体の流れの方向が流入する液体の流れの方向と実質的に同じになるように、流れ制限要素100内の液体の流れに影響を与える。
【0029】
突出部材113、114は、それぞれの幅W113、W114、長さL113、L114、及び高さH113、H114を有する。これにより突出部材113は実質的に矩形のフットプリントを有する。加えて、図3に明確に見られるように、突出部材113の係合面1131は、事前に定義された曲率半径R113により少なくとも部分的に湾曲状である。これにより突出部材113は、湾曲状の係合面1131の両端部に配置された実質的に矩形の側面1132を有する一種のスピードバンプの形態をとる。係合面1131は単一の曲率を有し、これにより曲率の中心軸(図示せず)は、板状弾性弁要素4の保持区域7と弾性可動区域8を分離する仮想線17に実質的に平行である。突出部材113の係合面1131は、弾性板状弁要素4の上流側にかかる圧力が、ある事前に定義された閾値よりも高い場合、弾性板状弁要素4と係合するように構成される。その時点以降、圧力は、その係合面1131を介して突出部材113に直接かかり始め、少なくとも部分的に湾曲状の係合面1131の曲率半径R113は、幅W113及び長さL113等、それぞれの寸法の少なくとも1つと等しいか又はそれよりも大きい。あるいは、曲率半径R113は、突出部材の高さH113に基づき、少なくとも部分的に湾曲状の係合面の曲率半径R113は、突出部材の高さの少なくとも5倍、好ましくは少なくとも10倍、より好ましくは少なくとも15倍である。
【0030】
図4は、第2実施形態に従う流れ制限要素200の断面図を示す。第2実施形態に従う流れ制限要素200は第1実施形態に従う流れ制限要素100とほぼ同一であり得る。違いは、突出部材113と比較した場合の突出部材213の形状にある。ここでもまた係合面2131は湾曲状面であるが、曲率は突出部材213の全幅W213にわたって広がり、弁座9と突出部材213との間のより円滑な移行が得られる。湾曲状係合面2131は更に、二重湾曲状の、この例では球形状の係合面2131として形成される。また、突出部材213のフットプリントは、突出部材213のフットプリントの直径に等しいある一定の幅W213を有する円によって定義される。突出部材213、214は、弁要素の保持区域から見てそれぞれの間隔d213、d214に配置可能である。これらの間隔d213、d214は実質的に等しくすることができるが、互いにわずかに異なることも許容される。また、この実施形態では、突出部材213、214の各対は非対称に配置可能であり、すなわち、弁座9の上端からの2つの部材213、214の高さH213、H214はある程度異なる。
【0031】
突出部材213の係合面2131はまた、弾性板状弁要素4の上流側にかかる圧力がある事前に定義された閾値よりも高い場合、弾性板状弁要素4と係合するように構成される。その時点以降、圧力は、その係合面2131、少なくとも部分的に湾曲状の係合面2131を介して突出部材213に直接かかり始め、少なくとも部分的に湾曲状の係合面2131の曲率半径R213は、幅W214と等しいか又はそれよりも大きい。あるいは、曲率半径R213は、第1実施形態の突出部材113の場合のように突出部材の高さH213に基づく。
【0032】
弁座9には、全実施形態において、二次突出部材223又は一対の二次突出部材223、224を更に設けることができる。二次突出部材は、突出部材213、214及び二次突出部材223、224が弁座9上の窪み15の両側に配置されるように構成される。そのため二次突出部材223、224は、弾性板状部材4の保持区域6から更に離れた間隔にて配置され、弾性可動区域8が既に突出部材213、214に接触している時点で、より高い圧力で弾性可動区域8と係合する傾向にある。これにより、弾性板状弁4の上流側に流れによりかかる圧力から生じる力及び/又は応力を、二次突出部材223、224に対して再分散させることができ、これにより突出部材213、214を部分的に緩和する。これにより、より長い動作寿命が実現する。二次突出部材223、224の対は、振動を更に回避するために非対称に構成可能であることにも留意されたい。
【0033】
図面に記載された実施形態は、それぞれの矩形及び円形のフットプリントを有する突出部材113、114、213、214を特徴とするが、突出部材のフットプリントは、表面積を定義する任意の形状、例えば任意の数の辺を有する多角形、例えば、三角形、四辺形、五角形、六角形等;円弧により(少なくとも部分的に)構成される任意の形状、例えば、円、半円、扇形、楕円等;又はこれらの形状の任意の組み合わせを特徴とし得ることに留意されたい。
【0034】
本発明は、図示した実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲に含まれる他の実施形態にも及ぶ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】