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特表2022-540291線維化を予防、緩和及び/又は治療するための薬物、組成製品及びその応用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-15
(54)【発明の名称】線維化を予防、緩和及び/又は治療するための薬物、組成製品及びその応用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7048 20060101AFI20220908BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220908BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220908BHJP
   A61K 31/56 20060101ALI20220908BHJP
   A61K 31/165 20060101ALI20220908BHJP
   A61K 31/357 20060101ALI20220908BHJP
   A61K 38/21 20060101ALI20220908BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220908BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20220908BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20220908BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20220908BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20220908BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220908BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20220908BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220908BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20220908BHJP
   A61P 17/18 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
A61K31/7048
A61P43/00 105
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K31/56
A61K31/165
A61K31/357
A61K38/21
A61P11/00
A61P9/00
A61P1/16
A61P1/18
A61P13/12
A61P17/00
A61P7/00
A61P29/00
A61P39/06
A61P17/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568677
(86)(22)【出願日】2020-04-16
(85)【翻訳文提出日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 CN2020085111
(87)【国際公開番号】W WO2020228477
(87)【国際公開日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】201910409332.8
(32)【優先日】2019-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518232320
【氏名又は名称】沈陽福洋医薬科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENYANG FUYANG PHARMACEUTICAL TECHNOLOGY CO., LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】何紅偉
(72)【発明者】
【氏名】姜恩鴻
(72)【発明者】
【氏名】赫衛清
(72)【発明者】
【氏名】姜勲東
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA01
4C084AA02
4C084AA19
4C084BA44
4C084DA21
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB21
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA15
4C086EA14
4C086GA13
4C086GA15
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA36
4C086ZA51
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZB11
4C086ZB21
4C086ZC37
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206GA02
4C206GA30
4C206MA02
4C206MA03
4C206MA04
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZB21
4C206ZC75
(57)【要約】
線維化を予防、緩和及び/又は治療するための薬物において、前記薬物の有効成分は、カリマイシン、イソバレリルスピラマイシンI、イソバレリルスピラマイシンII、イソバレリルスピラマイシンIIIのうちの1種類か、イソバレリルスピラマイシンI、イソバレリルスピラマイシンII、イソバレリルスピラマイシンIIIのうちの2種類又は3種類の組み合わせを含む。更に、線維化を予防、緩和及び/又は治療するための組成物製品に関する。前記組成製品は第1薬剤を含む。前記第1薬剤の活性成分は、カリマイシン、イソバレリルスピラマイシンI、イソバレリルスピラマイシンII、イソバレリルスピラマイシンIIIのうちの1種類か、イソバレリルスピラマイシンI、イソバレリルスピラマイシンII、イソバレリルスピラマイシンIIIのうちの2種類又は3種類の組み合わせを含む。更に、線維化の予防、緩和及び/又は治療における上記の薬物及び組成物の応用に関する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
線維化を予防、緩和及び/又は治療するための薬物であって、
前記薬物の有効成分は、カリマイシン、イソバレリルスピラマイシンI、イソバレリルスピラマイシンII、イソバレリルスピラマイシンIIIのうちの1種類か、イソバレリルスピラマイシンI、イソバレリルスピラマイシンII、イソバレリルスピラマイシンIIIのうちの2種類又は3種類の組み合わせを含むことを特徴とする薬物。
【請求項2】
前記薬物は医学的に許容可能な担体を含むことを特徴とする請求項1に記載の線維化を予防、緩和及び/又は治療するための薬物。
【請求項3】
線維化を予防、緩和及び/又は治療するための薬物であって、
前記薬物の有効成分は、
カリマイシンの誘導体、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、代謝産物、立体異性体、互変異性体、結晶多形、薬物前駆体、
イソバレリルスピラマイシンIIIの誘導体、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、代謝産物、立体異性体、互変異性体、結晶多形、薬物前駆体、
イソバレリルスピラマイシンIIの誘導体、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、代謝産物、立体異性体、互変異性体、結晶多形、薬物前駆体、
及び、イソバレリルスピラマイシンIの誘導体、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、代謝産物、立体異性体、互変異性体、結晶多形、薬物前駆体、のうちの1種類又は複数種類から選択されることを特徴とする薬物。
【請求項4】
線維化を治療するための組成製品であって、
前記組成製品は第1薬剤を含み、前記第1薬剤の有効成分は、カリマイシン、イソバレリルスピラマイシンI、イソバレリルスピラマイシンII、イソバレリルスピラマイシンIIIのうちの1種類か、イソバレリルスピラマイシンI、イソバレリルスピラマイシンII、イソバレリルスピラマイシンIIIのうちの2種類又は3種類の組み合わせを含むことを特徴とする組成製品。
【請求項5】
前記組成製品は更に第2薬剤を含み、前記第2薬剤は、線維化を予防、緩和及び/又は治療するための関連薬物のうちの少なくとも1種類を含むことを特徴とする請求項4に記載の線維化を治療するための組成製品。
【請求項6】
前記線維化を予防、緩和及び/又は治療するための関連薬物は、コルチコステロイドホルモン、コルヒチン、シリマリン、インターフェロンを含むことを特徴とする請求項5に記載の線維化を治療するための組成製品。
【請求項7】
線維化を治療するための組成製品であって、
前記組成製品は第1薬剤を含み、前記第1薬剤の有効成分は、
カリマイシンの誘導体、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、代謝産物、立体異性体、互変異性体、結晶多形、薬物前駆体、
イソバレリルスピラマイシンIIIの誘導体、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、代謝産物、立体異性体、互変異性体、結晶多形、薬物前駆体、
イソバレリルスピラマイシンIIの誘導体、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、代謝産物、立体異性体、互変異性体、結晶多形、薬物前駆体、
及び、イソバレリルスピラマイシンIの誘導体、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、代謝産物、立体異性体、互変異性体、結晶多形、薬物前駆体、のうちの1種類又は複数種類から選択されることを特徴とする組成製品。
【請求項8】
前記線維化には、肺線維化、心臓線維化、肝線維化、膵臓線維化、腎臓線維化、骨髄線維化及び皮膚線維化が含まれ、
好ましくは、前記肺線維化には、新型コロナウイルス感染によりもたらされる肺線維化が含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載の薬物、或いは請求項3に記載の薬物、或いは請求項4~6のいずれか1項に記載の組成製品、或いは請求項7に記載の組成製品。
【請求項9】
線維化の予防、緩和及び/又は治療における請求項1又は2に記載の薬物、或いは請求項3に記載の薬物、或いは請求項4~6のいずれか1項に記載の組成製品、或いは請求項7に記載の組成製品の応用。
【請求項10】
炎症又は脂質過酸化の抑制、線維芽細胞の増殖及び活性化の抑制、コラーゲン分解の促進における請求項1又は2に記載の薬物、或いは請求項3に記載の薬物、或いは請求項4~6のいずれか1項に記載の組成製品、或いは請求項7に記載の組成製品の応用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬化学の分野に属し、具体的には、線維化を予防、緩和及び/又は治療するための薬物、組成製品及びその応用に関する。
【背景技術】
【0002】
線維化とは病理学的変化の一種であり、線維芽細胞の活性化や増殖、組織・器官内における線維性結合組織の増加、実質細胞の減少として現れ、進行が続くと、組織・器官の構造破壊及び機能喪失が招来され得る。重要な臓器の線維化は患者のQOL(Quality of Life)に深刻な影響を及ぼし、ひいては生命を脅かすことになる。全世界的に、組織の線維化は、多くの疾病における後遺症及び死亡の主な原因となっている。米国の関連統計データによれば、同国において各種疾病のために死亡した患者のうち、約45%は組織線維増殖性疾患に分類可能なことが証明されている。現在のところ、この疾病を対象とした治療手段や薬物は非常に欠如しており、予後の状況が大変悪い。よって、線維化を効果的に治療可能な新たな薬物を開発することが非常に重要且つ切実な仕事となっている。
【0003】
カリマイシン(Carrimycin)(ビテスピラマイシン(Bitespiramycin)、シェンジマイシン(Shengjimycin)とも称される)は、中国医学科学院生物技術研究所と本願の出願人とが協力し、遺伝子組み換え技術によりカルボマイシン産生菌の4’’イソバレリルトランスフェラーゼ遺伝子(4’’-O-isovaleryltransferase gene)をスピラマイシン産生菌(Streptomyces spiramyceticus)にクローニングしたあと、スピラマイシンの4’’-OHを指向的にアシル化し、4’’位にイソバレリル基の側鎖を導入することで形成した4’’位のイソバレリルスピラマイシンを主成分とする新型の抗生物質である。
【0004】
カリマイシンの主成分の構造式は式(1)に示す通りである。ただし、立体配座は示していない。
【0005】
【化1】
【0006】
R=H、R’=COCHCH(CHの場合にはイソバレリルスピラマイシンIとなり、R=COCH、R’=COCHCH(CHの場合にはイソバレリルスピラマイシンIIとなり、R=COCHCH、R’=COCHCH(CHの場合にはイソバレリルスピラマイシンIIIとなる。
【0007】
カリマイシンは、主な活性成分であるイソバレリルスピラマイシン(I+II+III)の総含有量が60%以上、アシル化スピラマイシンの総含有量が80%以上であり、薬学的に許容可能な薬物組成物である。中心構造は、16員環のラクトンが、ホロサミン分子、ミカミノース分子及びミカローゼ分子と接続してなる。また、主成分であるイソバレリルスピラマイシンI、II、IIIは、ミカローゼの4’’位に接続される基がヒドロキシ基ではなくイソバレリル基である点でスピラマイシン構造と異なっている。式(1)に示すように、化学構造は全部で十数種類の成分を含んでいる。現在、カリマイシン製品の成分基準は、薬物中のイソバレリルスピラマイシンIII≧30%、イソバレリルスピラマイシンI、II、IIIの合計比率≧60%、アシル化スピラマイシンの合計比率≧80%、その他の未知の成分の合計≦5%となっている。
【0008】
カリマイシンは16員環マクロライド系抗生物質に属し、活性基であるカルボキシル基、アルコキシ基、エポキシ基、ケトン基及びアルデヒド基と、一対の共役のC=Cを有しており、分子量は約884~982である。カリマイシンとマクロライド系抗生物質は類似の化学構造を有することから、エステル類、アセトン、クロロホルム、アルコール類等の大多数の有機溶媒に対しては易溶、石油エーテルに対しては微溶、水に対しては難溶であったり、分子構造に2つのジメチルアミノ基を含んで弱アルカリ性を示し、酸性水溶液に対し易溶であったり、温度の上昇に伴って溶解度が低下する「負の溶解度」性質を有したり、といった多くの共通点を持つ。カリマイシンの主成分であるイソバレリルスピラマイシンの4’’位の炭素鎖は比較的長く、親水性に劣るため、水への溶解度はスピラマイシンや4’’-アセチルスピラマイシンよりも小さい。
【0009】
当該薬は親油性に優れ、組織への浸透能力が強く、経口吸収が速い。また、体内維持時間が長く、持続的な抗生物質後効果(PAE)を有する。薬効及び化学的立体配座の関係から、マクロライド系抗生物質は、4’’位をアシル化すると親油性及びin vivo活性が向上するとともに、in vivo抗菌活性及び臨床治療効果の双方が顕著に向上する。また、抗生物質のin vivo安定性は4’’ヒドロキシエステルの炭素鎖の伸長に伴って強化される。即ち、イソバレリルスピラマイシン>ブチリルスピラマイシン>プロピオニルスピラマイシン>アセチルスピラマイシンとなる。
【0010】
初歩的なin vivo/in vitroの薬効試験より、当該薬は、複数のG菌に対し比較的良好な抗菌活性を有するだけでなく、一部のG菌に対しても一定の作用を奏することが明らかとなっている。また、アジスロマイシン、エリスロマイシン、アセチルスピラマイシン、ミデカマイシンよりも各技術指標が明らかに優れており、特に、肺炎マイコプラズマに対する抗菌活性に最も優れている。また、エリスロマイシン耐性菌、淋菌、肺炎球菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、インフルエンザ菌、ヘモフィルスインフルエンザ菌、バクテロイデスフラジリス、レジオネラ、多列桿菌及びウェルシュ菌に対しても一定の抗菌活性を有するほか、臨床においては、エリスロマイシン耐性の黄色ブドウ球菌に対し極めて僅かな交差耐性のみを有する。カリマイシンは、主にグラム陽性菌感染症、特に上部呼吸器の感染治療への適用が見込まれているほか、泌尿器系の感染等に適用される可能性もある。
【0011】
薬物動態学の研究結果より、カリマイシン中の活性を有する有効成分は、主としてイソバレリルスピラマイシンI、II、IIIであることが分かっている。カリマイシンは体内に入ると代謝される。元のイソバレリルスピラマイシンI、II、IIIと代謝物であるスピラマイシンI、II、IIIのAUC0-tの合計から計算すると、経口投与時の絶対的バイオアベイラビリティは平均91.6%となる。また、1回服用時のカリマイシンの減衰は比較的緩やかであり、T1/2βは23~27時間の間である。
【0012】
2019年末から2020年1月にかけて、一部の地域で原因不明の肺炎が発生した。そこで、患者の気管支肺胞洗浄標本を次世代シーケンスで検査したところ、新型コロナウイルスが発見された。2020年2月12日、WHOは、当該新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)によりもたらされる疾病をCorona Virus Disease 2019(COVID-19)と命名した。新型コロナウイルス感染に伴う肺部の損傷には肺の線維化が含まれることから、有効な治療薬や肺部症状改善薬の探索が一刻を争う事態となっている。
【0013】
これまでのところ、カリマイシンで線維化を治療したとの記載及び報告は見られない。
【0014】
上記に鑑みて、本発明を提案する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来技術の瑕疵を解消するために、線維化を予防、緩和及び/又は治療するための薬物を提供することである。当該薬物は、線維化を効果的に予防、緩和及び治療可能なため、重要な社会的利益と経済効果を有する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の技術的課題を解決するために、本発明は以下の技術方案を用いる。
【0017】
線維化を予防、緩和及び/又は治療するための薬物において、前記薬物の有効成分は、カリマイシン、イソバレリルスピラマイシンI、イソバレリルスピラマイシンII、イソバレリルスピラマイシンIIIのうちの1種類か、イソバレリルスピラマイシンI、イソバレリルスピラマイシンII、イソバレリルスピラマイシンIIIのうちの2種類又は3種類の組み合わせを含む。
【0018】
更に、前記薬物は医学的に許容可能な担体を含む。
【0019】
更に、前記薬物は、医学的に許容可能なタブレット、カプセル、丸剤、注射剤、徐放剤及び各種微粒子投与システムとして製造される。
【0020】
線維化を予防、緩和及び/又は治療するための薬物において、前記薬物の有効成分は、カリマイシンの誘導体、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、代謝産物、立体異性体、互変異性体、結晶多形、薬物前駆体、イソバレリルスピラマイシンIIIの誘導体、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、代謝産物、立体異性体、互変異性体、結晶多形、薬物前駆体、イソバレリルスピラマイシンIIの誘導体、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、代謝産物、立体異性体、互変異性体、結晶多形、薬物前駆体、及び、イソバレリルスピラマイシンIの誘導体、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、代謝産物、立体異性体、互変異性体、結晶多形、薬物前駆体、のうちの1種類又は複数種類から選択される。
【0021】
線維化を治療するための組成製品において、前記組成製品は第1薬剤を含む。前記第1薬剤の有効成分は、カリマイシン、イソバレリルスピラマイシンI、イソバレリルスピラマイシンII、イソバレリルスピラマイシンIIIのうちの1種類か、イソバレリルスピラマイシンI、イソバレリルスピラマイシンII、イソバレリルスピラマイシンIIIのうちの2種類又は3種類の組み合わせを含む。
【0022】
更に、前記組成製品は第2薬剤を含む。前記第2薬剤は、線維化を予防、緩和及び/又は治療するための関連薬物のうちの少なくとも1種類を含む。
【0023】
更に、上記の線維化を予防、緩和及び/又は治療するための関連薬物は、コルチコステロイドホルモン、コルヒチン、シリマリン、インターフェロンを含む。
【0024】
線維化を治療するための組成製品において、前記組成製品は第1薬剤を含む。前記第1薬剤の有効成分は、カリマイシンの誘導体、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、代謝産物、立体異性体、互変異性体、結晶多形、薬物前駆体、イソバレリルスピラマイシンIIIの誘導体、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、代謝産物、立体異性体、互変異性体、結晶多形、薬物前駆体、イソバレリルスピラマイシンIIの誘導体、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、代謝産物、立体異性体、互変異性体、結晶多形、薬物前駆体、及び、イソバレリルスピラマイシンIの誘導体、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、代謝産物、立体異性体、互変異性体、結晶多形、薬物前駆体、のうちの1種類又は複数種類から選択される。
【0025】
本発明における前記線維化には、肺線維化、心筋線維化、肝線維化、膵臓線維化、腎臓線維化、骨髄線維化及び皮膚線維化が含まれる。
【0026】
好ましくは、前記肺線維化には、新型コロナウイルス感染によりもたらされる肺線維化が含まれる。本願における薬物及び組成製品は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染によりもたらされる肺部の線維化に対し改善作用を有する。
【0027】
肺線維化は、複数の原因により肺の損傷が引き起こされると、間質がコラーゲンを分泌して修復を行うが、修復が過剰であった場合に、線維芽細胞が過度に増殖し、細胞外基質が大量に凝集することで形成される。
【0028】
心筋線維化では、心臓の間質線維芽細胞が過度に増殖し、コラーゲンが過度に蓄積及び異常分布する。
【0029】
肝線維化とは、各種の病原性因子によって肝内結合組織が異常に増殖し、肝内びまん性細胞外基質が過剰に蓄積される病理過程である。例えば、ウイルス感染、炎症反応、酸化ストレス及びアルコール依存症等の複数の要因が肝線維化を引き起し得る。
【0030】
膵臓線維化では、膵腺房細胞がタンパク質を大量に分泌するが、膵管細胞から分泌される液体及び炭酸水素塩は増加しない。膵臓線維化は、膵腺房細胞から分泌されるリトスタチン(Lithostathine)及びGP2(円柱(cast)を形成し得るタンパク質)の濃度が低下するとともに、膵管内に沈殿することで形成される。
【0031】
腎臓線維化とは、細胞外基質及び不適切な結合組織が腎臓に凝集する結果、腎臓構造の変化と機能損傷がもたらされる病理過程である。
【0032】
骨髄線維化とは、骨髄の造血組織内でコラーゲンが増殖し、その繊維組織が造血機能に深刻な影響を及ぼすことで引き起こされる骨髄増殖性疾患である。
【0033】
皮膚線維化とは、外傷等を受けた場合に、線維芽細胞が分裂・増殖して損傷部位に遊走し、細胞外基質を産生して瘢痕組織を形成することによる外傷の修復である。瘢痕の形成とは、肉芽組織が次第に線維化する過程のことである。
【0034】
本発明は、更に、線維化の予防、緩和及び/又は治療における上記いずれかで記載した薬物及び組成製品の応用を提供する。
【0035】
本発明は、更に、炎症又は脂質過酸化の抑制、線維芽細胞の増殖及び活性化の抑制、コラーゲン分解の促進における上記いずれかで記載した薬物又は組成製品の応用を提供する。
【発明の効果】
【0036】
上記の技術方案を用いることで、本発明は、従来技術と比較して以下の利点を有する。
【0037】
本発明で提供する薬物及び組成製品は、線維化の治療において良好な治療効果を奏するため、重要な社会的利益と経済効果を有する。
【0038】
以下に、図面を組み合わせて、本発明の具体的実施形態につき更に詳細に述べる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1図1は、I型コラーゲンα1のプロモーター活性に対するHB(カリマイシン)及びHY(イソバレリルスピラマイシンI)の阻害作用を示す。
図2図2は、HepG2及びLX2細胞におけるHB(カリマイシン)及びHY(イソバレリルスピラマイシンI)のIC50値を示す。
図3図3は、TGFβ1で誘導したLX-2細胞内の線維化主要マーカーであるmRNAレベルに対するHB(カリマイシン)及びHY(イソバレリルスピラマイシンI)の影響をリアルタイムPCRで測定したものである。
図4図4は、TGFβ1で誘導したLX-2細胞内の線維化主要マーカーであるタンパク質レベルに対するHB(カリマイシン)及びHY(イソバレリルスピラマイシンI)の影響をウエスタンブロットで測定したものである。
図5図5は、ラットの肝組織の病理構造に対するHB(カリマイシン)の影響を示しており、図中のshamは、偽手術群のラットの肝組織のH&E染色切片の結果であり、BDLは、BDLモデル群のラットの肝組織のH&E染色切片の結果であり、HBは、カリマイシン投与群のラットの肝組織のH&E染色切片の結果である。
図6図6は、ラットの線維化度合に対するHB(カリマイシン)の影響を示しており、図中のshamは、偽手術群のラットの肝組織のマッソン染色切片の結果であり、BDLは、BDLモデル群のラットの肝組織のマッソン染色切片の結果であり、HBは、カリマイシン投与群のラットの肝組織のマッソン染色切片の結果である。
図7図7は、TGFβ1で誘導した肺線維芽細胞MRC-5内の線維化主要マーカーであるmRNAレベルに対するカリマイシン及びイソバレリルスピラマイシンIの影響をリアルタイムPCRで測定したものであり、図中のHBはカリマイシン、イソバレIはイソバレリルスピラマイシンIである。
図8図8は、症例1のカリマイシン治療前後における肺部の改善状況を示す。
図9図9は、症例2のカリマイシン治療前後における肺部の改善状況を示す。
図10図10は、症例3のカリマイシン治療前後における肺部の改善状況を示す。
図11図11は、TGFβ1で誘導した皮膚線維芽細胞CCC-ESF-1内の線維化主要マーカーであるmRNAレベルに対するカリマイシン(HB)及びイソバレリルスピラマイシンI(YI)の影響をリアルタイムPCRで測定したものである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
説明すべき点として、これらの図面及び文字記載は何らかの方式で本発明の構想の範囲を制限するとの意図ではなく、特定の実施例を参照して当業者に本発明の概念を説明するためのものである。
【0041】
本発明における実施例の目的、技術方案及び利点をより明確とすべく、以下では、本発明の実施例にかかる図面を組み合わせて、実施例の技術方案につき明瞭簡潔に述べる。なお、以下の実施例は本発明を説明するためのものであって、本発明の範囲を制限するものではない。
【0042】
実施例1:薬物C錠
規格:200mg/350mg
素錠の処方:
薬物C 200g
マイクロクリスタリンセルロース 110g
カルボキシメチルスターチナトリウム 22g
ポビドンK30(5%) 15g
ステアリン酸マグネシウム 3g
_________________________
1000錠製造

コーティング液の処方:
オパドライII 21g
蒸留水 適量
_________________
105mL製造
【0043】
薬物Cは、カリマイシン、又はイソバレリルスピラマイシンIII、又はイソバレリルスピラマイシンII、又はイソバレリルスピラマイシンIのうちの1種類又は複数種類か、それに対応する誘導体、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、代謝産物、立体異性体、互変異性体、結晶多形、薬物前駆体のうちの1種類又は複数種類とした。
【0044】
製造工程:
素錠の製造:主薬と補助剤をそれぞれ100メッシュのふるいにかけ、処方量の薬物C、マイクロクリスタリンセルロース及び処方量の1/2のカルボキシメチルスターチナトリウムを均一に混合した。次に、5%ポビドンK30水溶液を添加して軟質材料とし、18メッシュのふるいにかけて造粒してから、湿潤粒子を60℃の通風条件で2h乾燥させた。そして、乾燥後に18メッシュのふるいにかけて整粒し、再び処方量の1/2のカルボキシメチルスターチナトリウムとステアリン酸マグネシウムを添加して均一に混合したあと、直径11mmの窪みの浅いパンチ・ダイを用いて打錠することで、重量350mg、硬度6.5kgの薬含有素錠を製造した。
【0045】
コーティング液の調合:必要量のオパドライII(白色)を調合容器内に量り、必要量の水を添加した。水は何回かに分けて添加し、全量を添加し終わったあと、撹拌速度を低下させることで渦を消失させてから、引き続き30min攪拌することでコーティング液を取得した。
【0046】
フィルムコーティング錠の製造:素錠をコーティングパン内に配置し、主機の速度を20r/min、給気温度を40℃、排気温度を30℃、スプレー圧力を0.02MpC、スプレー流量を1ml/minとしてコーティングを行うようコーティング条件を決定した。そして、安定化後に、錠剤の表面が滑らか且つ色合いが均一となり、フィルムコーティングの検査基準を満たすまで、1.5hのスプレーコーティングを継続した。コーティングによる重量増加は5%程度であった。
【0047】
実施例2:薬物Cの素錠(10000錠あたりで計算)
処方:
薬物C原粉末 1000g
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(5%) 92.5g
デンプングリコール酸ナトリウム(3%) 55.5g
ステアリン酸マグネシウム(1%) 18.5g
デンプン 総重量-その他の原料・補助剤の重量 850g
________________________________
10000錠製造
【0048】
薬物Cは、カリマイシン、又はイソバレリルスピラマイシンIII、又はイソバレリルスピラマイシンII、又はイソバレリルスピラマイシンIのうちの1種類又は複数種類か、それに対応する誘導体、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、代謝産物、立体異性体、互変異性体、結晶多形、薬物前駆体のうちの1種類又は複数種類とした。
【0049】
製造工程:適量のデンプンを量り、濃度15%に希釈してから、ペースト状となるまで加熱して結合剤を製造した。次に、主薬である薬物C、補助剤であるデンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウムをそれぞれ100メッシュのふるいにかけ、処方量に基づき必要量の主薬及び補助剤を計量した。そして、薬物C、デンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを十分均一に混合したあと、デンプン濃度15%のデンプン糊を用いて軟質材料を作製した。これを14メッシュのふるいにかけて造粒し、50~60℃で乾燥させ、水分を3~5%に制御した。また、これを14メッシュのふるいにかけて整粒し、デンプングリコール酸ナトリウムとステアリン酸マグネシウムを添加して混合したあと、粒子の含有量を測定した。そして、粒子の含有量から錠剤の重量を求め、打錠(Φ9mmの窪みの浅いパンチ・ダイ)したあと、錠剤重量の差異を検出し、検査に合格したあと包装した。
【0050】
実施例3:薬物Cのカプセル剤(10000錠あたりで計算)
処方:
薬物C 1000g
デンプン 1080-薬物Cの重量
薬用3号カプセル 1000粒
流動パラフィン 50 ml
__________________________
10000錠製造
【0051】
薬物Cは、カリマイシン、又はイソバレリルスピラマイシンIII、又はイソバレリルスピラマイシンII、又はイソバレリルスピラマイシンIのうちの1種類又は複数種類か、それに対応する誘導体、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、代謝産物、立体異性体、互変異性体、結晶多形、薬物前駆体のうちの1種類又は複数種類とした。
【0052】
製造工程:主薬である薬物Cと補助剤であるデンプンを工程配合量に基づきそれぞれ計量したあと、混合器に投入して1.5~2時間かけて十分に混合した。このとき、サンプリングによる含有量測定で取得したデータは理論上のデータとほぼ一致している必要があった(カプセルあたりの充填重量が約0.105g)。次に、検査に合格した薬用3号カプセルと混合済みの充填対象原料を全自動カプセル充填機の操作要求に基づいてそれぞれ充填機に投入し、充填を行った。充填済みのカプセルの差異を検査した結果(±10%以内,<0.3g)、溶出度は要求を満たしていた。そして、検査後に要求を満たしていたカプセルを艶出機に投入して流動パラフィンを添加し、15~20分間の艶出しを行った。その後、これを取り出して完成品パッケージの検査を行った。
【0053】
実施例4:薬物Cのドライシロップ(10000包あたりで計算)
処方:
薬物C原粉末 1250g
クエン酸(0.5%) 15g
ショ糖 総重量-その他の原料・補助剤
総重量 約500g
色素(クルクミン) 約1g
______________________________
10000包製造
【0054】
薬物Cは、カリマイシン、又はイソバレリルスピラマイシンIII、又はイソバレリルスピラマイシンII、又はイソバレリルスピラマイシンIのうちの1種類又は複数種類か、それに対応する誘導体、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、代謝産物、立体異性体、互変異性体、結晶多形、薬物前駆体のうちの1種類又は複数種類とした。
【0055】
製造工程:高速気流粉砕機を用い、薬物Cの原粉末、クエン酸、ショ糖をそれぞれ粒子の85%が300メッシュを通過し、15%が180メッシュを通過するまで粉砕した。次に、粉砕した細い粉末を処方量に従って計量し、1~1.5時間かけて十分に混合してから、含有量を計測して充填量を求めた(理論上の充填量は1包あたり500mg)。そして、混合物を分包機に投入し、アルミ箔を設置したあと、分包機の操作要求に基づいて分包した。充填量の差は±5%以内とし、充填後に検査に合格したものを包装した。
【0056】
実施例5:薬物Cの顆粒剤(10000包あたりで計算)
処方:
薬物C原粉末 1250g
粉糖 20000g
デキストリン 9000g
5%PVP-K30 適量
_____________________
10000包製造
【0057】
薬物Cは、カリマイシン、又はイソバレリルスピラマイシンIII、又はイソバレリルスピラマイシンII、又はイソバレリルスピラマイシンIのうちの1種類又は複数種類か、それに対応する誘導体、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、代謝産物、立体異性体、互変異性体、結晶多形、薬物前駆体のうちの1種類又は複数種類とした。
【0058】
製造工程:薬物C、粉糖、デキストリンを120メッシュのふるいにかけたあと、処方量に基づいて、薬物C、粉糖、デキストリンを計量し、均一に混合した。次に、均一に混合した上記の材料を5%PVP-K30糊を用いて軟質材料とし、揺動により顆粒剤を造粒したあと、70℃で乾燥させて整粒した。そして、検査に合格後に分包した。
【0059】
実施例6:薬物Cの凍結乾燥粉末注射剤
製造工程:薬物Cを500mgと、等モルのアジピン酸を計量し、均一に混合したあと5mlの水中に溶解することで淡黄色の透明溶液を取得した。pHは4.6~5.6の間であった。次に、マンニトール40mgを凍結乾燥サポート剤として添加し、低温で9h急速冷凍することで凍結乾燥させ、淡黄色の膨軟状物を取得した。そして、使用前にこれを10mlの滅菌水で溶解した。
【0060】
薬物Cは、カリマイシン、又はイソバレリルスピラマイシンIII、又はイソバレリルスピラマイシンII、又はイソバレリルスピラマイシンIのうちの1種類又は複数種類か、それに対応する誘導体、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、代謝産物、立体異性体、互変異性体、結晶多形、薬物前駆体のうちの1種類又は複数種類とした。
【0061】
実験例1:抗肝線維化における薬物Cの作用
本発明では、ヒト肝星細胞系LX-2を生体外研究の対象とし、リアルタイムPCR、ウエスタンブロットを研究方法として、TGFβ1で誘導したLX-2細胞内の線維化主要マーカーであるmRNA及びタンパク質レベルに対する薬物Cの阻害作用を実証した。また、薬物Cの抗線維化作用を更に特定するために、本発明では、総胆管結紮ラット線維化モデルを利用して、薬物Cの経口投与後におけるラットの肝組織の病理学的変化を測定した。その結果、薬物Cは、胆管結紮によりもたらされたラットの肝臓の病理学的変化及び線維化度合を効果的に緩和可能なことが示された。
【0062】
1.薬物C(カリマイシン及びイソバレリルスピラマイシンIを採用)によるCOL1A1プロモーター-ルシフェラーゼレポーター遺伝子の活性抑制
作製したI型コラーゲンα1のプロモーターCOL1A1Pを安定的に発現するモノクローナル細胞LX2-COLを、1ウェルあたり2×10細胞で96ウェルホワイトプレートにプレーティングした。そして、細胞のコンフルエンシーが約90%になったあと、異なる濃度の薬物C(カリマイシン及びイソバレリルスピラマイシンIを採用)を添加した。なお、実験群ごとに4つの複数ウェルを設けた。Bright-Glo(登録商標)ルシフェラーゼアッセイシステム(Luciferase Assay System)の説明書の操作手順に従って、24h後に培地を除去し、任意の培地を50μl/ウェル添加した。次に、ルシフェラーゼ基質を50μl/ウェル添加し、2min後に測定を行った。その結果、薬物Cの濃度が上昇するほど蛍光強度が低下することが示された。また、双方ともに、濃度が40μMの場合に蛍光強度の低下が最も明らかとなった(図1)。図1は、I型コラーゲンα1のプロモーター活性に対するカリマイシン(HB)及びイソバレリルスピラマイシンI(HY)の阻害作用を示す。この結果から明らかなように、カリマイシン及びその単一成分であるイソバレリルスピラマイシンIは、COL1A1のプロモーター活性に対し明らかな阻害作用を有していた。
【0063】
2.薬物C(カリマイシン及びイソバレリルスピラマイシンIを採用)によるヒト肝細胞HepG2及びヒト肝星細胞LX-2の増殖抑制
ヒト肝臓癌HepG2細胞及びヒト肝星細胞LX-2を1ウェルあたり4×10細胞で96ウェルホワイトプレートにプレーティングし、24時間後に異なる濃度の薬物C(カリマイシン(HB)及びイソバレリルスピラマイシンI(HY)を採用)を添加した。なお、実験群ごとに3つの複数ウェルを設けた。薬物処理から24時間後又は48時間後にスルホローダミン(SRB)法で染色し、酵素結合免疫測定装置(enzyme-labeled instrument)で515nmの吸光値を測定して、半数阻害濃度(IC50)を計算した。その結果、カリマイシン及びその単一成分であるイソバレリルスピラマイシンIが、HepG2及びLX-2細胞に対して一定の増殖抑制作用を有することが示された。これらのIC50は、いずれも10~100μMの間であった(図2)。
【0064】
3.薬物C(カリマイシン及びイソバレリルスピラマイシンIを採用)によるmRNA及びタンパク質レベルにおけるTGFβ1誘導LX-2細胞内の線維化主要マーカーの発現抑制
TGFβ1によるLX-2細胞の誘導と、薬物C(カリマイシン(HB)及びイソバレリルスピラマイシンI(HY))の投与処理:10%ウシ胎児血清と1%ペニシリン-ストレプトマイシン混合溶液を含むDMEM,High Glucose,GlutaMAX(登録商標)(Gibco10566016)培地において、37℃、5% CO条件でLX-2を培養した。次に、1ウェルあたり1×10細胞で6ウェルマイクロプレートにプレーティングし、24h培養したあと、真空ポンプで6ウェルマイクロプレート内の元の培地を除去した。そして、10%ウシ胎児血清を含まないDMEM培地を添加して、24h飢餓培養したあと、TGF-β1(2ng/ml)を添加して誘導するとともに、異なる濃度勾配のカリマイシン及びイソバレリルスピラマイシンIを添加した。濃度はそれぞれ10μmol/L、20μmol/Lとした。また、対照群(TGF-β1を添加せずに誘導)、TGF-β1誘導群(TGF-β1のみを添加して誘導)及びTGF-β1誘導投与群(TGF-β1を添加して誘導、且つ薬物Cを投与して処理)を設けた。
【0065】
24h培養を継続したあと、培地を除去し、TRIzolの説明書の操作手順に従ってLX-2細胞の総RNAを抽出した。そして、トランスクリプターファーストストランドcDNA合成キット(Transcriptor First Strand cDNA Synthesis Kit)(Roche)の説明書の操作手順に従って、LX-2の総RNAをcDNAに逆転写した。続いて、取得したcDNA、滅菌水、ファストスタートユニバーサルプローブマスター(FastStart Universal Probe Master)(Rox)(Roche)及びTaqManプローブ(ABI)(GAPDH、COL1A1、TGFB1、ACTA2)を配合して20μlの反応系とし、7500 FastリアルタイムPCRシステム(7500 Fast Real-Time PCR System)(ABI)を使用して測定した。GAPDHを内部参照として結果を分析したところ、データより、カリマイシン及びイソバレリルスピラマイシンIの投与量が増加するほど、COL1A1、TGFB1、ACTA2の発現量は低下することが示された。且つ、20μmol/Lの場合に、mRNAレベルにおいて、COL1A1、TGFB1、ACTA2の発現抑制効果が最良となった(図3)。
【0066】
TGFβ1による誘導後、24h培養を継続してから、6ウェルマイクロプレートの各ウェルに1mlのRipa溶解液(1% PMSFを含む)を添加してタンパク質を抽出し、BCA法でタンパク質濃度を測定した。1ウェルあたり25μg/20μlでサンプル投入し、電気泳動、転写、5%スキムミルクによるブロッキング、抗体インキュベーションを行ったあと、5200イメージングシステム(天能(Tanon))を使用して所望のタンパク質バンドを取得した。その結果、カリマイシン濃度が上昇するほど、COL1A1、TGFβ1、α-smooth muscle actinの発現量は低下し、20μmol/Lの場合に上記マーカータンパク質の発現を顕著に抑制可能なことが示された(図4)。
【0067】
4.SDラットの総胆管結紮線維化誘導モデルの作製
体重180~220gのSD雄ラットを12匹選別し、偽手術群、モデル群、薬物C投与群にランダムに分けた。各群は4匹ずつとした。動物実験に先立ち、12hの絶食・非絶水を実施してから、イソフルランで動物を麻酔して手術を行った。モデル群と投与群については総胆管結紮(BDL)術を実施した。当該手術では、無菌操作台で上腹部の中央を切開し、肝臓の縁を持ち上げて十二指腸を押し退け、総胆管を2~3cm分離した。そして、十二指腸付近と肝門付近において、000番の手術用縫合糸をそれぞれ用いて2箇所を結紮し、中央から総胆管を切断した。偽手術群については、上腹部中央の切開と縫合のみを行い、総胆管結紮は実施しなかった。麻酔覚醒後、動物は正常に摂食・摂水した。また、自由に摂水させた。術後2日目から、胃内投与を開始した。1日1回、14日間連続で、生理食塩水(偽手術群、BDLモデル群)と、カリマイシン及びイソバレリルスピラマイシンIを200mg/kg(薬物C投与群)それぞれ投与した。
【0068】
5.BDL誘導ラットにおける肝臓の病理学的構造変化に対する薬物C(カリマイシンを採用)の改善作用
サンプリング前に12hの絶食・非絶水を実施してからラットを殺処理し、肝組織を採取した。そして、肝臓の大葉組織片を切り取り、10%ホルマリン内で固定した。続いて、脱水、パラフィン包埋、切断、切片の乾燥等を経てパラフィン切片を作製した。これをヘマトキシリン-エオジン(H&E)染色液で染色し、顕微鏡でラットの肝組織における病理学的構造変化の状況を観察した。その結果、偽手術群のラットの肝組織は肝細胞が整然と並んでおり、肝小葉構造が完全であって、胆管の増殖は見られなかった。これに対し、BDL術後のラットの肝組織は、病理学的構造に明らかな変化が生じており、胆管の増殖が非常に明らかであった。且つ、組織の壊死が明らかに増加していた。一方、カリマイシン投与群のラットの肝組織は、構造の病理学的変化が緩和されており、胆管の増殖状況が抑制されていた。また、組織の壊死の度合が著しく低下していた(図5)。上記より、カリマイシンがBDLラットの肝組織の病理学的変化を明らかに改善可能なことが示された。
【0069】
6.BDL誘導ラットの線維化に対する薬物C(カリマイシンを採用)の阻害作用
パラフィン切片をマッソン染色液で染色し、ラットの肝臓の線維化について変化の状況を観察した。その結果、BDL術後のラットは肝臓の線維化度合が明らかに増加しており、コラーゲン蓄積が深刻であった。これに対し、カリマイシン投与後は、線維化及びコラーゲン蓄積状況が明らかに抑制されていた(図6)。上記より、カリマイシンがBDL誘導ラットの線維化を明らかに抑制可能なことが示された。
【0070】
実験例2:肺線維化抑制における薬物Cの作用
一、薬物C(カリマイシン及びイソバレリルスピラマイシンIを採用)によるmRNA及びタンパク質レベルにおけるTGFβ1誘導肺線維芽細胞MRC-5内の線維化主要マーカーの発現抑制
TGFβ1による肺線維芽細胞MRC-5の誘導と、カリマイシン及びイソバレリルスピラマイシンIの投与処理:10%ウシ胎児血清、1%ペニシリン-ストレプトマイシン混合溶液、1%非必須アミノ酸を含むMEM(Gibco 11095-080)培地において、37℃、5% CO条件でMRC-5を培養した。次に、1ウェルあたり3×10細胞で6ウェルマイクロプレートにプレーティングし、24h培養したあと、真空ポンプで6ウェルマイクロプレート内の元の培地を除去した。そして、10%ウシ胎児血清を含まないMEM培地を添加して、24h飢餓培養したあと、TGF-β1(3ng/ml)を添加して誘導するとともに、異なる濃度勾配のカリマイシン及びイソバレリルスピラマイシンIを添加した。濃度はそれぞれ10μmol/L、20μmol/L、40μmol/Lとした。また、対照群(TGF-β1を添加せずに誘導)、TGF-β1誘導群(TGF-β1のみを添加して誘導)及びTGF-β1誘導投与群(TGF-β1を添加して誘導、且つカリマイシン又はイソバレリルスピラマイシンIを投与して処理)を設けた。
【0071】
24時間培養を継続したあと、培地を除去し、TRIzolの説明書の操作手順に従ってMRC-5細胞の総RNAを抽出した。そして、トランスクリプターファーストストランドcDNA合成キット(Roche)の説明書の操作手順に従って、LX-2の総RNAをcDNAに逆転写した。続いて、取得したcDNA、滅菌水、ファストスタートユニバーサルプローブマスター(Rox)(Roche)及びTaqManプローブ(ABI)(GAPDH、COL1A1、TGFB1、ACTA2、MMP2)を配合して20μlの反応系とし、7500 FastリアルタイムPCRシステム(ABI)を使用して測定した。GAPDHを内部参照として結果を分析したところ、データより、カリマイシンの投与量が増加するほど、COL1A1、TGFB1、ACTA2、MMP2の発現量は低下することが示された。且つ、40μmol/Lの場合に、mRNAレベルにおいて、COL1A1、TGFB1、ACTA2の発現抑制効果が最良となった。また、イソバレリルスピラマイシンIの投与量が増加するほどCOL1A1の発現量は低下し、40μmol/Lの場合に、mRNAレベルにおいてCOL1A1の発現抑制効果が最良となった(図7)。
【0072】
二、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染によりもたらされる肺炎(Corona Virus Disease 2019,COVID-19)に伴う肺部線維化に対するカリマイシンの改善作用
被験者の年齢は18~75歳であり、新型コロナウイルス感染による肺炎診断基準(第5版)を満たしていた。患者は、(1)再発熱又は臨床症状の重症化、(2)咽頭ぬぐい核酸検出で陰性から陽性に変化、(3)臨床症状に改善が見られない、又は核酸検出陽性の持続、(5)胸部CTにより肺炎症状又は線維化の進行が認められる、のいずれかを満たしていた。また、SOFAスコアは1点~13点であった。
【0073】
1.治療方法
軽症:カリマイシン錠を毎回0.4g、1日1回、食後に服用させた。連続7日間投与を行い、治療終了後に30日間の経過観察期間に入った。
【0074】
中等症:カリマイシン錠を毎回0.4g、1日1回、食後に服用させた。10日間投与を行い、治療終了後に30日間の経過観察期間に入った。
【0075】
重症、重篤:カリマイシン錠を毎回0.4g、1日1回、食後に服用させた。連続14日間投与を行った。なお、服用が不可能な者については経鼻チューブから投与を行った。治療終了後は、30日間の経過観察期に入った。
【0076】
2.主な治療効果の指標
(1)解熱期間(日)。
(2)肺部症状消失期間(HRCT)(日)。
(3)治療終了から3日後、7日後の咽頭ぬぐいによる新型コロナウイルス陰性化率(%)。
【0077】
3.症例の全体状況
ウイルスの「再陽性化」又は治療経験患者47例のうち、軽症は11例、中等症は27例、重症は3例、重篤は6例であった。また、前期治療後に、ウイルス核酸が依然として陽性だった患者は40例、核酸陰性となった患者は7例であった。
【0078】
4.主な治療効果の評価
(1)40例のウイルス核酸陽性患者のうち、16例の患者については3日間で核酸陰性に転じた。また、13例の患者については7日間で陰性化し、1例の患者については15日間で陰性化した。残り10例の患者は群分け直後であり、核酸再検査は行われなかった。
【0079】
(2)群分け時に肺部に炎症のあった患者19例(核酸陰性7例、核酸陽性12例)について、7日間における肺部炎症の顕著な改善率は73.7%であった(14/19)。
【0080】
(3)群分け時に発熱のあった患者5例(核酸陰性3例、核酸陽性2例)について、3日間での体温回復率は60%(3/5)、7日間での体温回復率は100%(5/5)であった。
【0081】
5.主な症例における肺部症状の改善状況
肺線維化のCT所見には、以下が存在した。
【0082】
1.病変の分布が周縁的であり、胸膜下に見られた。
【0083】
2.肺線維化のCT所見は時期によって明らかに異なっていた。初期のHRCT所見では、下肺におけるまだらな磨りガラス状の陰影が可逆性病変である活動性病変を示していた。また、この時期の間質性病変の変化は不明瞭であった。
【0084】
3.肺線維化に至るまで進行した場合、CTではグリッド状の陰影として現れた。また、HRCTでは、小葉の間隔が不規則且つ分厚く示され、壁が分厚くなったことで、小葉内の細小血管が目立つようになった。末期になると、CTでは広範な蜂の巣状の陰影が示され、小葉構造が変形した。また、肺線維化によって気管支が拡張し得ることから、広範な蜂の巣状の陰影は中下肺の胸膜下において最も鮮明となった。
【0085】
4.磨りガラス状の陰影:肺線維化の重要な徴候の1つとして、このような陰影が存在する場合には、病変が活動期にあって、積極的な治療が必要なことを意味していた。病変は、間質性又は実質性病変であり得た。
【0086】
5.蜂の巣状の陰影:比較的小さな袋状の陰影であり、大多数が数mmから10mm、わずかに数cmに達するものがあった。分厚い辺縁と鮮明な繊維壁を有しており、多くが肺の周縁及び胸膜下に見られた。蜂の巣状の陰影が鮮明な部位では正常な構造がねじれており、小葉構造を判別不可能であった。通常は、蜂の巣状の陰影とつながる胸膜がわずかに分厚くなっており、末期の間質線維化を示していた。
【0087】
新型コロナウイルス感染による肺炎患者にカリマイシン治療を施したところ、肺部の症状及び線維化の状況が改善された。具体的には、以下の通りとなった。
【0088】
図8は、症例1のカリマイシン治療前後における肺部のCT画像である。図から明らかなように、カリマイシン治療から5日後、10日後に肺部の症状は明らかに改善された。
【0089】
図9は、症例2の肺部CT画像の変化状況を示している。図中の(A)は罹患1日目のCTスキャン画像、(B)は罹患5日目のCTスキャン画像、(C)は罹患6日目のCTスキャン画像(カリマイシン治療開始日)、(D)は罹患8日目のCTスキャン画像、(E)は罹患11日目のCTスキャン画像である。カリマイシン服用治療を継続した結果、肺部の状況は改善された。
【0090】
図10は、症例3のCT画像の変化状況を示している。具体的に、患者は72歳の女性であった。入院後は鼻腔カニューレから酸素吸入を行いながら、カリマイシンを0.4g、1日1回服用させた。入院後から2日目に患者の一般状態は好転し、咳及び呼吸困難が明らかに好転した。また、酸素飽和度は98%まで上昇した。血液ガス分析による酸素分圧は130mmHgまで上昇し、カリマイシン治療から3日目、6日目における2回の咽頭ぬぐい核酸検出ではいずれも陰性となった。CT画像(図10)は、経過6日目(カリマイシン服用の1日前)を示している。このときには、両側の肺紋理が増強しており、右肺下野に不規則な磨りガラス様の病巣が認められた。また、左側にまだら状の陰影が散在していた(矢印Aで示す)。経過9日目(カリマイシン服用から3日後)には、両側の肺紋理が鮮明となり、右肺下野の不規則な磨りガラス様病巣が明らかに吸収された(矢印Bで示す)。経過12日目(カリマイシン服用から5日後)には、右肺の病巣が明らかに吸収され(矢印Cで示す)、少量の線維化が形成されていた。カリマイシン服用治療を継続した結果、線維化状況は改善された。
【0091】
実験例3:皮膚線維化抑制における薬物Cの作用
1.薬物C(カリマイシン及びイソバレリルスピラマイシンIを採用)によるmRNAレベルにおけるTGFβ1誘導皮膚線維芽細胞CCC-ESF-1内の線維化主要マーカーの発現抑制
TGFβ1による皮膚線維芽細胞CCC-ESF-1の誘導と、カリマイシン及びイソバレリルスピラマイシンIの投与処理:10%ウシ胎児血清と1%ペニシリン-ストレプトマイシン混合溶液を含むDMEM,High Glucose,GlutaMAX(登録商標)(Gibco10566016)培地において、37℃、5% CO条件でCCC-ESF-1細胞を培養した。次に、1ウェルあたり5×10細胞で6ウェルマイクロプレートにプレーティングし、24時間培養したあと、真空ポンプで6ウェルマイクロプレート内の元の培地を除去した。そして、10%ウシ胎児血清を含まないDMEM培地を添加して、24h飢餓培養したあと、TGF-β1(5ng/ml)を添加して誘導するとともに、異なる濃度勾配のカリマイシン及びイソバレリルスピラマイシンIを添加した。濃度はそれぞれ20μmol/L、40μmol/Lとした。また、対照群(TGF-β1を添加せずに誘導)、TGF-β1誘導群(TGF-β1のみを添加して誘導)及びTGF-β1誘導投与群(TGF-β1を添加して誘導、且つカリマイシン又はイソバレリルスピラマイシンIを投与して処理)を設けた。
【0092】
24時間培養を継続したあと、培地を除去し、TRIzolの説明書の操作手順に従ってLX-2細胞の総RNAを抽出した。そして、トランスクリプターファーストストランドcDNA合成キット(Roche)の説明書の操作手順に従って、LX-2の総RNAをcDNAに逆転写した。続いて、取得したcDNA、滅菌水、ファストスタートユニバーサルプローブマスター(Rox)(Roche)及びTaqManプローブ(ABI)(GAPDH、COL1A1、TGFB1、ACTA2、MMP2)を配合して20μlの反応系とし、7500 FastリアルタイムPCRシステム(ABI)を使用して測定した。GAPDHを内部参照として結果を分析したところ、データより、カリマイシン及びイソバレリルスピラマイシンIのいずれであっても、COL1A1、TGFB1、ACTA2及びMMP2の発現量を顕著に抑制可能なことが示された(図11)。なお、イソバレリルスピラマイシンIは、40μmol/Lの濃度下で、CCC-ESF-1細胞に対する毒性が明らかであった。
【0093】
以上の記載は本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を何らかの形式に制限するものではない。本発明については好ましい実施例によって上記のように開示したが、本発明を限定するとの主旨ではない。本発明の技術方案を逸脱しない範囲において、当業者が上記で提示した技術内容を用いて実施可能なわずかな変形或いは補足は、同等に変形された等価の実施例とみなされ、いずれも本発明の技術方案の内容を逸脱するものではない。また、本発明の技術的本質に基づいて上記の実施例に加えられる任意の簡単な修正、同等の変形及び補足は、いずれも本発明の方案の範囲内とされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】