(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-15
(54)【発明の名称】マルチギアポジション支持調節機構及びアジャスタブルシート
(51)【国際特許分類】
A47C 7/46 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
A47C7/46
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568722
(86)(22)【出願日】2020-05-11
(85)【翻訳文提出日】2021-11-16
(86)【国際出願番号】 CN2020089596
(87)【国際公開番号】W WO2020233434
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】201910435788.1
(32)【優先日】2019-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521502230
【氏名又は名称】頤維医療器械(上海)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100102923
【氏名又は名称】加藤 雄二
(72)【発明者】
【氏名】羅 雲
(72)【発明者】
【氏名】甘 雲
【テーマコード(参考)】
3B084
【Fターム(参考)】
3B084HA04
3B084HA07
(57)【要約】
【課題】構造が簡単で使いやすいマルチギアポジション支持調節機構を提供する。
【解決手段】本発明の実施形態に係るマルチギアポジション支持調節機構は、ベースプレートと、支持プレートと、支持プレートをベースプレートに対して異なる角度で支持するための支持ロッドを有する支持部材と、ギアポジション形成部材と、ギアポジションコントロール部材と、を備え、ギアポジション形成部材は、支持ロッドの移動を承る移動面を有し、当該移動面には、複数のギアスロットと、1つのリミット部とが形成され、ギアポジションコントロール部材は、第1当接部と、プラットフォーム部とを有し、プラットフォーム部が、少なくともリミット部に最も近いギアスロットの移動面と面一になるようにすることで、リミット部から戻る際にギアスロットを乗り越えるように支持ロッドをプラットフォーム部の表面で移動させることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースプレートと、
前記ベースプレートに回動可能に取り付ける支持プレートと、
前記ベースプレートに回動可能に取り付け、前記支持プレートを前記ベースプレートに対して異なる角度で支持するための支持ロッドを有する支持部材と、
前記支持プレートに固定され、所定方向に配列され、前記ベースプレートと前記支持プレート間の異なる角度に対応する複数のギアポジションが形成されたギアポジション形成部材と、
前記支持部材によって前記支持プレートが異なる前記ギアポジションに支持されるように、前記支持ロッドの前記ギアポジション形成部材での移動をコントロールするギアポジションコントロール部材と、
を備え、
前記ギアポジション形成部材は、前記支持ロッドの移動を承る移動面を有し、当該移動面には、前記複数のギアポジションにそれぞれ対応して前記支持ロッドを収容可能な複数のギアスロットと、アンロックのためのアンロック用ギアポジションに対応する1つのリミット部とが形成され、
前記ギアポジションコントロール部材は、前記ギアポジション形成部材に前記所定方向に移動可能に設けられ、前記支持ロッドに当接可能であって前記ギアポジションコントロール部材の前記リミット部に近い端部に位置する第1当接部と、前記リミット部から離れ、前記ギアスロットに対応するプラットフォーム部とを有し、
前記支持ロッドを前記所定方向に沿って前記リミット部に向かって移動させる際に前記第1当接部に当接することと連動して前記ギアポジションコントロール部材を移動させて、前記支持ロッドを前記リミット部に到達させた際に、前記プラットフォーム部が、少なくとも前記リミット部に最も近い前記ギアスロットの前記移動面と面一になるようにすることで、前記リミット部から戻る際に前記ギアスロットを乗り越えるように前記支持ロッドを前記プラットフォーム部の表面で移動させることを特徴とするマルチギアポジション支持調節機構。
【請求項2】
前記ギアポジションコントロール部材の前記リミット部から離れる一端には、前記支持ロッドと当接可能な第2当接部をさらに有し、前記支持ロッドが前記リミット部から離れる方向に移動する際に当該第2当接部に当接して前記ギアポジションコントロール部材を移動させることで、前記プラットフォーム部を各前記ギアスロットの前記移動面に順次面一になって、前記プラットフォーム部に介して前記支持ロッドが各前記ギアスロットを順次乗り越えることを特徴とする請求項1に記載のマルチギアポジション支持調節機構。
【請求項3】
前記ギアポジションコントロール部材は、前記第1当接部と前記プラットフォーム部との間に位置する凹部をさらに有し、
当該凹部の形状は前記ギアスロットの形状に合致し、前記支持ロッドが前記所定方向に移動して前記第1当接部に当接することにより前記ギアポジションコントロール部材が移動されると、前記凹部が前記ギアポジションコントロール部材の移動に伴って順次各前記ギアスロットと合わせて、前記支持ロッドの移動が停止すると、前記支持ロッドが前記第1当接部及び前記凹部の表面に沿って前記ギアスロットに進入して対応するギアポジションに進入できるようになることを特徴とする請求項2に記載のマルチギアポジション支持調節機構。
【請求項4】
前記凹部は、前記ギアスロットの数以下の複数個を有し、
隣接する前記凹部間のピッチは、隣接する前記ギアスロット間のピッチと同じであることを特徴とする請求項3に記載のマルチギアポジション支持調節機構。
【請求項5】
前記凹部と前記ギアスロットとが合わせ、且つ前記支持ロッドが前記ギアスロットに移動した際に、前記支持ロッドが自動的に当該ギアスロットに進入するように、前記支持ロッドに、当該支持ロッドを前記ギアスロット内に移動させる付勢力を与える支持ロッドガイドと、
をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載のマルチギアポジション支持調節機構。
【請求項6】
前記支持ロッドガイドは、前記支持ロッドに固定するフック状部材であり、
前記ギアポジション形成部材には、前記所定方向に延びる、少なくとも前記各ギアポジションに分布する第1磁性部材が設けられ、前記フック状部材には第2磁性部材が固定され、
前記第1磁性部材と前記第2磁性部材とが、磁力によって互いに引き合うことにより前記付勢力が発生されることを特徴とする請求項5に記載のマルチギアポジション支持調節機構。
【請求項7】
前記ギアポジションコントロール部材が、前記ギアポジション形成部材に吸着され、前記ギアポジション形成部材に対して移動できるように、前記ギアポジションコントロール部材には、磁力によって前記第1磁性部材と引き合う第2磁性部材がさらに固定されることを特徴とする請求項6に記載のマルチギアポジション支持調節機構。
【請求項8】
前記第1磁性部材は磁性金属片であり、
前記第2磁性部材は永久磁石であることを特徴とする請求項7に記載のマルチギアポジション支持調節機構。
【請求項9】
前記ギアポジション形成部材を覆い被る蓋部材と、をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載のマルチギアポジション支持調節機構。
【請求項10】
前記支持ロッドガイドは、複数本のバネによって前記蓋部材に固定され、前記支持ロッドに接触するシート部材であり、
前記バネは、いずれも圧縮バネであり、前記支持ロッドガイドに前記支持プレートに向かう方向の力を加えることにより前記付勢力を発生することを特徴とする請求項9に記載のマルチギアポジション支持調節機構。
【請求項11】
前記ギアポジション形成部材には、前記所定方向に延びる溝部が形成されており、当該溝部には、前記所定方向に延びるガイドスロットが設けられ、
前記ギアポジションコントロール部材は、前記ガイドスロットを介して前記ギアポジション形成部材に移動可能に設けていることを特徴とする請求項1に記載のマルチギアポジション支持調節機構。
【請求項12】
前記ギアポジションコントロール部材には、前記ギアポジションコントロール部材が前記ギアポジション形成部材に上下方向に移動可能に設けられるように、前記ガイドスロットに嵌め込むためのブロックが設けられていることを特徴とする請求項11に記載のマルチギアポジション支持調節機構。
【請求項13】
前記ガイドスロットの内側には、前記ギアスロットに対応する内スロット部がさらに設けられ、当該内スロット部の前記ギアスロットに対応する部分の深さは、前記ギアスロットの深さよりも低く、
前記プラットフォーム部の両側には、前記ガイドスロットに乗っかる第3延伸部が設けられており、当該第3延伸部の端部間の距離は、前記ギアポジションコントロール部材が前記第3延伸部によって前記ガイドスロット上をスライドできるように、前記溝部の幅よりも大きいことを特徴とする請求項11に記載のマルチギアポジション支持調節機構。
【請求項14】
前記支持ロッドが前記第1当接部とともに前記ギアスロットに到達した後、前記ギアポジションコントロール部材が2つの前記延伸部によって形成された軸を介して回動して、前記プラットフォーム部及び前記第1当接部をギアスロットに進入させて、前記支持ロッドを前記ギアスロットに進入させるようにガイドするように、前記プラットフォーム部及び前記第1当接部の幅を、前記ガイドスロット間の距離よりも小さく、且つ前記内スロット部間の距離よりも大きいことを特徴とする請求項13に記載のマルチギアポジション支持調節機構。
【請求項15】
前記支持ロッドが前記リミット部に到達したときに、前記プラットフォーム部が全ての前記ギアスロットにおける前記移動面と面一になって、前記支持ロッドが前記ギアスロットの全てを前記プラットフォーム部を介して乗り越えるように、前記プラットフォーム部の長さを前記所定方向の両側に位置する前記ギアスロッドの端部間の距離よりも長いことを特徴とする請求項13に記載のマルチギアポジション支持調節機構。
【請求項16】
記ギアポジション形成部材を覆い被る蓋部材と、をさらに備え、
前記第1当接部には、前記蓋部材に向かって延びる第2延伸部が設けられており、
前記蓋部材には、前記ギアポジションコントロール部材に向かって延びる圧着ピースが設けられ、当該圧着ピースが前記第2延伸部に圧着されることにより、前記ギアポジションコントロール部材の少なくとも前記第1当接部を含む部分を前記ギアポジション形成部材に押し付ける方向の付勢力が発生され、この付勢力は、前記ギアポジションコントロール部材が前記支持ロッドに連れられて前記ギアスロットに達する際に、前記第1当接部を前記内スロット部に押し付けて、前記プラットフォーム部を傾斜させて前記支持ロッドを前記ギアスロットに進入させることを特徴とする請求項13に記載のマルチギアポジション支持調節機構。
【請求項17】
前記支持部材は、支持ロッドの両側からそれぞれ延びる2つの連結ロッド部をさらに有し、当該2つの連結ロッド部の前記支持ロッドから離れた端部は、前記ベースプレートにヒンジ付けされていることを特徴とする請求項1に記載のマルチギアポジション支持調節機構。
【請求項18】
利用者の臀部に対応するシート板と、
利用者の腰に対応する腰板と、
請求項1~17のいずれかに記載のマルチギアポジション支持調節機構と、
を備え、
前記ベースプレートと前記支持プレートの一方は、前記シート板に取り付けられているか、前記シート板と一体に形成されており、
前記ベースプレートと前記支持プレートの他方は、前記腰板に取り付けられているか、前記腰板と一体に形成されていることを特徴とするアジャスタブルシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日常用品の分野に属し、マルチギアポジション支持調節機構及びこのマルチギアポジション支持調節機構を含むアジャスタブルシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、日常用具には支持部材がついているものもあります。例えば、座席などの座部材には背もたれがついており、座位状態の利用者の腰背部を支持することができ、利用者に快適感を与えることができます。これらの日常用具を利用する際には、通常、自分が快適だと思う姿勢が採用されており、その分、利用者が必要とする支持角度はそれぞれ異なっている。
【0003】
異なる角度に合わせて十分な支持力を形成するために、従来はこれらの日常用具に適した角度調節可能な支持機構を有していた。例えば、チャイルドシートのクッションと背もたれの間には角度調節機構が設けられており、利用者は手動または電動で背もたれの角度を調節することができる。このような支持調節機構は角度調節が自由であるが、一般的に構造が複雑で、体積が大きく、高価であるため、自動車や電車の座席などの乗り物に利用され、日常生活には利用しにくい。これに対して、従来技術では、座部材のシート板と背板とを回転軸で連結し、ストラットとストラットに係合するマルチギアポジション階部材(例えば、異なる角度のギアポジションに対応する複数のスロットを有するギアポジション部材など)を用いて角度調節を実現する比較的簡単な角度調節可能な支持機構も存在していた。このような支持機構及びそれを含む座部材は、構造が簡単で安価であるという利点があるが、使い勝手が悪く、利用者は座部材から離れて両手で操作しなければ角度を調節できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の問題を解決するために、構造が簡単で使いやすいマルチギアポジション支持調節機構及びアジャスタブルシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[1]本発明のマルチギアポジション支持調節機構は、ベースプレートと、前記ベースプレートに回動可能に取り付ける支持プレートと、前記ベースプレートに回動可能に取り付け、前記支持プレートを支持して前記ベースプレートに対して異なる角度で支持するための支持ロッドを有する支持部材と、前記支持プレートに固定され、所定方向に配列され、前記ベースプレートと前記支持プレート間の異なる角度に対応する複数のギアポジションが形成されたギアポジション形成部材と、前記支持部材によって前記支持プレートが異なる前記ギアポジションに支持されるように、前記支持ロッドの前記ギアポジション形成部材での移動をコントロールするギアポジションコントロール部材と、を備え、前記ギアポジション形成部材は、前記支持ロッドの移動を承る移動面を有し、当該移動面には、前記複数のギアポジションにそれぞれ対応して前記支持ロッドを収容可能な複数のギアスロットと、アンロックのためのアンロック用ギアポジションに対応する1つのリミット部とが形成され、前記ギアポジションコントロール部材は、前記ギアポジション形成部材に前記所定方向に移動可能に設けられ、前記支持ロッドに当接可能であって前記ギアポジションコントロール部材の前記リミット部に近い端部に位置する第1当接部と、前記リミット部から離れ、前記ギアスロットに対応するプラットフォーム部とを有し、前記支持ロッドを前記所定方向に沿って前記リミット部に向かって移動させる際に前記第1当接部に当接することと連動して前記ギアポジションコントロール部材を移動させて、前記支持ロッドを前記リミット部に到達させた際に、前記プラットフォーム部が、少なくとも前記リミット部に最も近い前記ギアスロットの前記移動面と面一になるようにすることで、前記リミット部から戻る際に前記ギアスロットを乗り越えるように前記支持ロッドを前記プラットフォーム部の表面で移動させることを特徴とする。
【0006】
[2]本発明のマルチギアポジション支持調節機構において、前記ギアポジションコントロール部材の前記リミット部から離れる一端には、前記支持ロッドと当接可能な第2当接部をさらに有し、前記支持ロッドが前記リミット部から離れる方向に移動する際に当該第2当接部に当接して前記ギアポジションコントロール部材を移動させることで、前記プラットフォーム部を各前記ギアスロットの前記移動面に順次面一になって、前記プラットフォーム部に介して前記支持ロッドが各前記ギアスロットを順次乗り越えてもよい。
【0007】
[3]本発明のマルチギアポジション支持調節機構において、前記ギアポジションコントロール部材は、前記第1当接部と前記プラットフォーム部との間に位置する凹部をさらに有し、当該凹部の形状は前記ギアスロットの形状に合致し、前記支持ロッドが前記所定方向に移動して前記第1当接部に当接することにより前記ギアポジションコントロール部材が移動されると、前記凹部が前記ギアポジションコントロール部材の移動に伴って順次各前記ギアスロットと合わせて、前記支持ロッドの移動が停止すると、前記支持ロッドが前記第1当接部及び前記凹部の表面に沿って前記ギアスロットに進入して対応するギアポジションに進入できるようになってもよい。
【0008】
[4]本発明のマルチギアポジション支持調節機構において、前記凹部は、前記ギアスロットの数以下の複数個を有し、隣接する前記凹部間のピッチは、隣接する前記ギアスロット間のピッチと同じであってもよい。
【0009】
[5]本発明のマルチギアポジション支持調節機構において、前記凹部と前記ギアスロットとが合わせ、且つ前記支持ロッドが前記ギアスロットに移動した際に、前記支持ロッドが自動的に当該ギアスロットに進入するように、前記支持ロッドに、当該支持ロッドを前記ギアスロット内に移動させる付勢力を与える支持ロッドガイドと、をさらに備えてもよい。
【0010】
[6]本発明のマルチギアポジション支持調節機構において、前記支持ロッドガイドは、前記支持ロッドに固定するフック状部材であり、前記ギアポジション形成部材には、前記所定方向に延びる、少なくとも前記各ギアポジションに分布する第1磁性部材が設けられ、前記フック状部材には第2磁性部材が固定され、前記第1磁性部材と前記第2磁性部材とが磁力によって互いに引き合うことにより前記付勢力が発生されてもよい。
【0011】
[7]本発明のマルチギアポジション支持調節機構において、前記ギアポジションコントロール部材が、前記ギアポジション形成部材に吸着され、前記ギアポジション形成部材に対して移動できるように、前記ギアポジションコントロール部材には、磁力によって前記第1磁性部材と引き合う第2磁性部材がさらに固定されてもよい。
【0012】
[8]本発明のマルチギアポジション支持調節機構において、前記第1磁性部材は磁性金属片であり、前記第2磁性部材は永久磁石であってもよい。
【0013】
[9]本発明のマルチギアポジション支持調節機構において、前記ギアポジション形成部材を覆い被る蓋部材をさらに備えてもよい。
【0014】
[10]本発明のマルチギアポジション支持調節機構において、前記支持ロッドガイドは、複数本のバネによって前記蓋部材に固定され、前記支持ロッドに接触するシート部材であり、前記バネは、いずれも圧縮バネであり、前記支持ロッドガイドに前記支持プレートに向かう方向の力を加えることにより前記付勢力を発生してもよい。
【0015】
[11]本発明のマルチギアポジション支持調節機構において、前記ギアポジション形成部材には、前記所定方向に延びる溝部が形成されており、当該溝部には、前記所定方向に延びるガイドスロットが設けられ、前記ギアポジションコントロール部材は、前記ガイドスロットを介して前記ギアポジション形成部材に移動可能に設けていてもよい。
【0016】
[12]本発明のマルチギアポジション支持調節機構において、前記ギアポジションコントロール部材には、前記ギアポジションコントロール部材が前記ギアポジション形成部材に上下方向に移動可能に設けられるように、前記ガイドスロットに嵌め込むためのブロックが設けられてもよい。
【0017】
[13]本発明のマルチギアポジション支持調節機構において、前記ガイドスロットの内側には、前記ギアスロットに対応する内スロット部がさらに設けられ、当該内スロット部の前記ギアスロットに対応する部分の深さは、前記ギアスロットの深さよりも低く、前記プラットフォーム部の両側には、前記ガイドスロットに乗っかる第3延伸部が設けられており、当該第3延伸部の端部間の距離は、前記ギアポジションコントロール部材が前記第3延伸部によって前記ガイドスロット上をスライドできるように、前記溝部の幅よりも大きくなってもよい。
【0018】
[14]本発明のマルチギアポジション支持調節機構において、前記支持ロッドが前記第1当接部とともに前記ギアスロットに到達した後、前記ギアポジションコントロール部材が2つの前記延伸部によって形成された軸を介して回動して、前記プラットフォーム部及び前記第1当接部をギアスロットに進入させて、前記支持ロッドを前記ギアスロットに進入させるようにガイドするように、前記プラットフォーム部及び前記第1当接部の幅を、前記ガイドスロット間の距離よりも小さく、且つ前記内スロット部間の距離よりも大きくしてもよい。
【0019】
[15]発明のマルチギアポジション支持調節機構において、前記支持ロッドが前記リミット部に到達したときに、前記プラットフォーム部が全ての前記ギアスロットにおける前記移動面と面一になって、前記支持ロッドが前記ギアスロットの全てを前記プラットフォーム部を介して乗り越えるように、前記プラットフォーム部の長さを前記所定方向の両側に位置する前記ギアスロッドの端部間の距離よりも長くしてもよい。
【0020】
[16]本発明のマルチギアポジション支持調節機構において、記ギアポジション形成部材を覆い被る蓋部材と、をさらに備え、前記第1当接部には、前記蓋部材に向かって延びる第2延伸部が設けられており、前記蓋部材には、前記ギアポジションコントロール部材に向かって延びる圧着ピースが設けられ、当該圧着ピースが前記第2延伸部に圧着されることにより、前記ギアポジションコントロール部材の少なくとも前記第1当接部を含む部分を前記ギアポジション形成部材に押し付ける方向の付勢力が発生され、この付勢力は、前記ギアポジションコントロール部材が前記支持ロッドに連れられて前記ギアスロットに達する際に、前記第1当接部を前記内スロット部に押し付けて、前記プラットフォーム部を傾斜させて前記支持ロッドを前記ギアスロットに進入させてもよい。
【0021】
[17]本発明のマルチギアポジション支持調節機構において、前記支持部材は、支持ロッドの両側からそれぞれ延びる2つの連結ロッド部をさらに有し、当該2つの連結ロッド部の前記支持ロッドから離れた端部は、前記ベースプレートにヒンジ付けされてもよい。
【0022】
[18]本発明のアジャスタブルシートは、利用者の臀部に対応するシート板と、利用者の腰に対応する腰板と、請求項1~17のいずれかに記載のマルチギアポジション支持調節機構と、を備え、前記ベースプレートと前記支持プレートの一方は、前記シート板に取り付けられているか、前記シート板と一体に形成されており、前記ベースプレートと前記支持プレートの他方は、前記腰板に取り付けられているか、前記腰板と一体に形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るマルチギアポジション支持調節機構によれば、各ギアポジションに対応するギアスロットとアンロック用ギアポジションに対応するリミット部とが、ギアポジション形成部材に形成され、ギアポジションコントロール部材は、当該ギアポジション形成部材の移動面と面一のプラットフォーム部と、支持ロッドに当接可能で、リミット部の一端に近い位置にある第1当接部とを備えたギアポジション形成部材に移動可能に設けられているため、支持ロッドが上から下にリミット部まで移動する際に、支持ロッドは第1当接部に当接することでギアポジションコントロール部材をリミット部まで連動し、プラットフォーム部をリミット部に最も近いギアスロットに合わせることができる。これにより、支持ロッドがリミット部から戻るとき(すなわち、下から上に移動したとき)、この支持ロッドはプラットフォーム部に阻まれてそのギアスロットに進入することができない。すなわち、支持ロッドは、全てのギアポジションを通過した後、アンロック用ギアポジションから戻る際に、対応するギアポジションに入らなくなる。また、本発明のアジャスタブルシートによれば、前述したマルチギアポジション式支持調節機構を備え、ベースプレートにシート板が一体に形成され、支持プレートと腰板が一体に形成されているので、利用者はこのアジャスタブルシートを利用する際に、手動で支持部材をギアスロットから引き出す必要がなく、腰板を動かすだけで腰板のロックを解除してギアポジションを再調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施例1に係るアジャスタブルシートの構成図である。
【
図2】本発明の実施例1に係るアジャスタブルシートの側面構造を示す図である。
【
図3】本発明の実施例1に係るアジャスタブルシートの内部構造を示す分解図である。
【
図4】本発明の実施例1に係るマルチギアポジション支持調節機構の断面構造を示す図である。
【
図5】本発明の実施例1に係るギアポジション形成部材の構成図である。
【
図6】本発明の実施例1に係るギアポジションコントロール部材の構成図である。
【
図7】本発明の実施例1に係る支持ロッドガイドの構成図である。
【
図8】本発明の実施例1に係るアジャスタブルシートの異なる状態を示す図である。
【
図9】
図8の異なる状態でのアジャスタブルシートのマルチギアポジション支持調節機構の局部構造図である。
【
図10】本発明の実施例2に係るマルチギアポジション支持調節機構の断面構造を示す図である。
【
図11】本発明の実施例3に係るマルチギアポジション支持調節機構の断面構造を示す図である。
【
図12】本発明の実施例3に係るギアポジションコントロール部材の構成図である。
【
図13】本発明の実施例3に係るギアポジション形成部材の構成図である。
【
図14】本発明の実施例3に係る異なる状態でのアジャスタブルシートのマルチギアポジション支持調節機構の一部構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明について、図に示す実施形態に基づいて説明する。
【0026】
以下の各実施例では、方向に関するする記述は、利用者がアジャスタブルシートに座る方向を基準としており、すなわち、前方とは利用者の顔を向けた方向を指し、後方とは利用者の背を向けた方向を指し、上下方向とはそれぞれ利用者の上下方向を指し、左右方向とはそれぞれ利用者の左右方向を指す。
<実施例1>
【0027】
図1は、本発明の実施例1に係るアジャスタブルシートの構成図である。
図2は、本発明の実施例1に係るアジャスタブルシートの側面構造を示す図である。
図3は、本発明の実施例1に係るアジャスタブルシートの内部構造を示す分解図である。
【0028】
図1~
図3に示すように、本実施例のアジャスタブルシート100は、シート板10と、腰板20と、マルチギアポジション支持調節機構30と、を備える。
【0029】
シート板10は、利用者の臀部に対応しており、利用時には利用者の臀部を承る。本実施例では、シート板10の下面が平面であるため、本実施例のアジャスタブルシート100は、シート板10を介して支持脚付きの他のアジャスタブルシートに寝かせ、これらのアジャスタブルシートと組み合わせて利用することができる。
【0030】
腰板20は、利用者の腰部に対応し、利用時に利用者の腰部を支持するためのものである。
【0031】
本実施例では、腰板20は人体の腰部に適した弧面形状に形成されている。
【0032】
図4は本発明の実施例1に係るマルチギアポジション支持調節機構の断面構造を示す図である。
【0033】
図1~
図4に示すように、マルチギアポジション支持調節機構30は、ベースプレート31、支持プレート32、支持部材33、ギアポジション形成部材34、ギアポジションコントロール部材35、支持ロッドガイド36、蓋部材37、第1磁性部材38及び第2磁性部材39を備えている。
【0034】
ベースプレート31はシート板と一体に形成する。支持プレート32の上部は腰板と一体に形成され、下部は下方に延びる2つの連結部321となっており、この2つの連結部321は回転軸311を介してベースプレート31に取り付けられて、支持プレート32がベースプレート31に対して回転可能にしており、それに応じて腰板20もベースプレート10に対して回転可能である。
【0035】
支持部材33は、支持プレート32がベースプレート31に対して回転した後、一定の角度で安定するように支持プレート32を支持するためのものである。このとき、腰板20もシート板10に対して一定の角度で安定しており、この角度で利用者の腰部を支持することができる。
【0036】
支持部材33は、支持プレート32を支持するための支持ロッド331を有し、この支持ロッド331の両端には連結ロッド部332が一つずつ設けられている。連結ロッド部332の支持ロッド331から離れた端部は、それぞれベースプレート31に設けられた取付孔部312内に取り付けられており、支持部材33がベースプレート31に対して回動できるようになっており、支持ロッド331によって支持プレート32が異なる位置で支持されている。
【0037】
具体的には、2つの取付孔部312は対向して設けられており、2つの連結ロッド部332の下端はそれぞれ外向きに水平に延びる延伸部分を有しており、この延伸部分はそれぞれ取付孔部312に嵌め込まれており、この2つの取付孔部312を結ぶ線を回転軸として支持部材33が回動できるようになっている。
【0038】
また、支持プレート32を取り付けるための取付孔部312は、支持プレート32の連結部321を取り付けるための回転軸311よりもベースプレート31上で後方に位置しているため、利用者がアジャスタブルシート100に座って腰を腰板20に当てたときに、支持部材33が支持プレート32の後方から支持プレート32及び腰板20を支えて腰板20を支持することができる。
【0039】
本実施例では、支持ロッド331が支持プレート32を支持した後に形成できる異なるギアポジションが複数あり、その分、腰板20が支持ロッド331によって支持された後に安定できる角度が複数ある。つまり、支持ロッド331は、腰板20を支持する位置を複数有する。
【0040】
図5は本発明の実施例1に係るギアポジション形成部材の構成図である。
【0041】
図3~
図5に示すように、ギアポジション形成部材34は、支持プレート32の後側の面にボルトで固定されており、その支持プレート32から離れた面、すなわち移動面には、上から下に向かって配置された複数のギアスロット341が形成されている。支持ロッド331は移動面と接触し、その移動面に沿って上下に移動し、異なるギアスロット341に進入することができる。
【0042】
本実施例では、ギアスロット341の数は4つである。各ギアスロット341は、側面視で半円形となっており、その直径は支持ロッド331の直径と一致しており、支持ロッド331が各ギアスロット341に入ったときに収容できるようになっている。
【0043】
図2及び
図5に示すように、支持部材33は支持プレート32を後方から支持しているため、支持ロッド331がギアスロット341内に収容されたとき、連結ロッド部332と支持プレート32とのなす角は鋭角であり、利用者の腰が腰板20に寄りかかることにより発生する付勢力は、支持プレート32及びギアポジション形成部材34を介して支持ロッド331に加わって、支持ロッド331とギアスロット341の内面とが密着するようにしている。また、支持プレート32と支持部材33とベースプレート31との間には三角形の力受け構造が形成されており、利用者が腰を強く後ろに寄せても支持プレート32と支持部材33との間に相対的な移動は生じない(その分、腰板20の角度も変わらない)。この状態では、支持ロッド331の位置はギアスロット341によって制限され、ギアスロット341から上方に移動することができない。つまり、支持ロッド331の移動はこのギアスロット341によって制限されている。
【0044】
これにより、各ギアスロット341は、支持ロッド331が制限されることの可能な複数の位置にそれぞれ対応しており、支持ロッド331が異なるギアスロット341に位置制限されると、それに応じて支持プレート32及び腰板20が異なる角度位置で支持されるため、各ギアスロット341は事実上異なるギアポジションに対応することになる。
【0045】
上述したように、ギアスロット341の制限と同時に、利用したときに支持プレート32、支持部材33及びベースプレート31の間に三角構造が形成されているため、腰板20を後方へと力を加えても支持ロッド331を対応するギアスロット341から上方に移動させることができない。一方、利用者が上半身をやや前傾させて腰を腰板に寄りかからないようにしながら、手を伸ばして腰板20を前方に動かすと、支持ロッド331を支持プレート32及び腰板20に対して下方に移動させて、ギアスロット341から離れることができる。
【0046】
本実施例では、ギアポジション形成部材34の下端には、ギアポジション形成部材34の支持プレート32から離れた面から外方に延びる突起であるリミット部342が設けられ、支持ロッド331がギアポジション形成部材34の面に沿って下端のリミット部342まで下方に移動すると、リミット部342に制限されてそれ以上下方に移動できなくなる。この状態で、利用者が腰板20を前方に動かす動作を止め、腰板20を後方に動かすと、このリミット部342にはギアスロット341のような凹みがないので、支持ロッド331は利用者の動作に応じて腰板20及び支持プレート32に対して上方に移動し、リミット部342から離れることができる。これにより、このリミット部342も1つのギアポジション、すなわちアンロック用ギアポジションとして機能する。
【0047】
また、ギアポジション形成部材34の上端には、支持ロッド331を制限し、最上端位置に達した後はそれ以上上方に移動できないようにするためのリミット突起343が設けられている。
【0048】
図6は本発明の実施例1に係るギアポジションコントロール部材の構成図である。
【0049】
図3、
図5及び
図6に示すように、ギアポジション形成部材34の中間部分には、上下方向に延び、上端はリミット突起343まで延び、下端はリミット部342まで延びる溝部344が設けられている。ギアポジションコントロール部材35の幅は、溝部344の幅に合わせて溝部344内に収容されているため、上下方向に溝部344内を移動することができる。また、溝部344は、ギアポジション形成部材34を2つの部分に分割しているため、各ギアスロット341は、実際には、溝部344によってギアポジション形成部材34が分割されて形成された一部にそれぞれ位置する2つの溝部によって構成されている。
【0050】
ギアポジションコントロール部材35の支持ロッド331に近い面には、下から順に配置された第1当接部351、凹部352、プラットフォーム部353及び第2当接部354が設けられている。リミット部342はギアポジションコントロール部材35の下端に位置し、ギアポジションコントロール部材35はギアポジション形成部材34の中間部分の溝部344内に位置しているため、第1当接部351はリミット部342に近い端、すなわち下端に位置し、第2当接部354はリミット部342から遠い端、すなわち上端に位置している。
【0051】
ギアポジションコントロール部材35は厚みを有するため、溝部344内に配置されたとき、第1当接部351及び第2当接部354はギアポジション形成部材34の移動面に対して外側に突出するとともに、プラットフォーム部353の表面は移動面と面一となり、スロット352は移動面に対して内側に凹んでいる。スロット352の形状と大きさはギアスロット341と合致しているので、ギアポジションコントロール具35がスロット352とギアスロット341とがあわせるまで移動すると、支持ロッド331はギアスロット341に進入することができ、ギアポジションコントロール具35がギアスロット341と合わせるまで移動すると、プラットフォーム部353の表面はギアスロット341における移動面(すなわちギアスロット341の上下両側の移動面)と面一となり、支持ロッド331がプラットフォーム部353に阻まれ、プラットフォーム部353の表面にしか移動できず、ギアスロット341に進入することができないようになっている。また、凹部352の第1当接部351に隣接する部分の表面は滑らかであるため、スムーズに第1当接部351に移行できる。
【0052】
本実施形態では、凹部352の数は1つであり、プラットフォーム部353の長さ、すなわち上下方向の寸法はギアスロット341の直径よりも大きい。
【0053】
図7は、本発明の実施例1に係る支持ロッドガイドの構成図である。
【0054】
図7に示すように、本実施例では、支持ロッドガイド36はフック状部材であり、支持ロッド331に固定されている。
【0055】
図1~
図4に示すように、蓋部材37はギアポジション形成部材34に覆いかぶさる、その両端はボルトなどの固定具によって支持プレート32に固定され、ギアポジションコントロール部材35、支持ロッドガイド36などの脱落を防止するために用いている。
【0056】
第1磁性部材38は、溝部344内に設けられ、溝部344の底部に位置するシート状の部材である。第1磁性部材38は、溝部344に合わせた長さと幅を有しているため、上下方向にも延びており、上下端はそれぞれ最も上側のギアスロット341とリミット部342まで延びている。
【0057】
第2磁性部材39は円柱状で、本実施例の第2磁性部材39は全部で2つあり、それぞれ支持ロッドガイド36及びギアポジションコントロール部材35に固定されている。
【0058】
本実施形態では、第1磁性部材38は、永久磁石と吸着可能であるが、それ自体は磁性を有しない磁性金属片である。第2磁性部材39は、磁性を有する、磁性金属片と吸着可能な永久磁石である。これにより、ギアポジションコントロール部材35は、第1磁性部材38と第2磁性部材39との間の磁力によって互いに引き合い、溝部344内に移動可能に固定される。
【0059】
同様に、支持ロッドガイド36上の第2磁性部材39と第1磁性部材38との間も磁力によって引き合い、支持ロッドガイド36は支持ロッド331にギアポジション形成部材34方向への付勢力を加える。支持ロッド331がギアスロット341の位置まで移動し、プラットフォーム部353に阻まれない場合、この付勢力によって支持ロッド331がギアスロット341内に移動する傾向が生じ、利用者が支持部材33を動かすことなく支持ロッド331が自動的にギアスロット341に進入することになる。
【0060】
本実施形態では、ロッドガイド36上の第2磁性部材39が支持ロッドガイド36の第1磁性部材38に近い面から露出しており、支持ロッド331がギアスロット341に進入する際に、第2磁性部材39の表面が第1磁性部材38に接触することで、支持ロッド331がギアスロット341に進入すると、第2磁性部材39が第1磁性部材38の表面に軽く衝突して音が発生し、利用者にそれを知らせられる。
【0061】
また、支持ロッド331が移動面上を移動したり、プラットフォーム部353の表面上を移動したりしたとき、支持ロッド331がギアスロット341に入らないため、支持ロッドガイド36上の第2磁性部材39と第1磁性部材38との間には一定の間隔がある。このとき、支持ロッドガイド36上の第2磁性部材39と第1磁性部材38との間には、支持ロッド331が常に第1磁性部材38の方向に移動する傾向があり、支持ロッド331が常に移動面またはプラットフォーム部353の表面に張り付いている。
【0062】
以下、図面を参照して、本実施例のアジャスタブルシート100の作動原理について説明する。
【0063】
図8は、本発明の実施例1に係るアジャスタブルシートの異なる状態の構成図である。
図9は、
図8の異なる状態のアジャスタブルシートのマルチギアポジション支持調節機構の一部の構成図である。
図8及び
図9において、矢印D1、D2はそれぞれ利用者が腰板20を動かして回転させる方向を示し、S1、S2、S3、S4はそれぞれアジャスタブルシート100の異なる状態を示している。
【0064】
図8及び
図9に示すように、S1の状態は、アジャスタブルシート100が1つのギアポジションにあるときの状態である。この状態で、支持ロッド331は1つのギアスロット341内に位置し、支持プレート32及び腰板20を一定の角度で支持する。ギアスロット341及びそれに対応するギアポジションは複数あるため、このS1状態も実際には4つあり、図にはそのうちの1つしか示されていない。
【0065】
利用者が腰板20を前方に動かすと、腰板20が前方に回動して、支持ロッド331が支持プレート32に対して下方に移動する。支持ロッド331が第1当接部351まで下降すると、この第1当接部351と互いに当接してギアポジションコントロール部材35も下降し、凹部352が次のギアスロット341に合わせると、支持ロッドガイド36上の第2磁性部材39と第1磁性部材38との間の吸引力によって支持ロッド331がギアスロット341に進入する傾向があるため、支持ロッド411がこのギアスロット341に進入し、即ち、支持ロッド411が次のギアポジションに入るになる。また、凹部352の第1当接部351に隣接する部分の表面は滑らかで移行しやすいため、支持ロッド331の第1当接部351に当接する部分も、この隣接部分の表面に沿って凹部352にスムーズに滑り込むことができ、この凹部352に合わせたギアスロット341に入ることになる。
【0066】
上記のように、次のギアポジションに入った後、利用者が腰板20を前方に動かし続けると、上記の手順に従って支持ロッド331をさらに次のギアポジションに入れ続けることができ、支持ロッド331がリミット部342まで下方に移動してリミット部342に制限され、アジャスタブルシート100は、S2の状態になる。
【0067】
リミット部342にはギアスロット341がないため、支持ロッド331はギアポジションに入ったり、下方に移動したりすることもできない。利用者が手を離すと、腰板20及び支持プレート32が重力によって僅かに後方に回動し、支持ロッド331が支持プレート32に対して上方に移動する。
【0068】
支持ロッド331が第2当接部354まで上昇すると、第2当接部354に当接してギアポジションコントロール部材35を上昇させる。この移動過程の状態をS3に示す。この状態では、支持ロッド331がプラットフォーム部422に接触しているため、各ギアスロット341に移動したとき、支持ロッド331はプラットフォーム部422に阻まれてギアスロット341に入ることができず、各ギアスロット341を乗り越えて最上端のリミット突起(最初のギアポジションに相当)まで上昇し、アジャスタブルシート100をS4状態、すなわち復帰状態にする。
【0069】
この場合、利用者は、再び腰板20を前方に動かせて支持ロッド331を各ギアスロット341に順次進入させ、適切な角度に合ったと感じた時点で操作を停止させ、支持ロッド331を対応するギアスロット341に進入させた後、そのギアスロット341内に位置させることができる。すなわち、アジャスタブルシート100は異なるS1の状態に戻った。
【0070】
上記過程で、支持ロッド331がリミット部342に達し、それ以上下方に移動できなくなった後、利用者は腰板20を後方に動かして支持ロッド331を最上端のリミット突起に移動させ、アジャスタブルシート100をS4の状態にして、最上側のギアポジションから調節することができる。一方、アジャスタブルシート100がS3の状態にあるとき、利用者は腰板20を後方に動かせている間、いつでも後方に動かす動作を止めて腰板20を再び前方に動かすことができ、この場合、支持ロッド331は現在位置から下方に移動し、第2当接部354及びプラットフォーム部353から離脱する。このとき凹部352があるギアスロット341に合わせると、支持ロッド331はこのギアスロット341に進入し、対応するギアポジションで停止する。一方、凹部352がいずれのギアスロット341にもあわせていなければ、支持ロッド331は移動面に沿って第1当接部351まで移動し、この第1当接部351に当接することで、凹部352がいずれかのギアスロット341に合わせててからギアスロット341に入るまでギアポジションコントロール部材35を下方に移動させる。したがって、本実施例のアジャスタブルシート100は、腰板20を後方に動かせて調整動作を行う途中で、いつでも後方に動かす動作を止めて、再び腰板20を前方に動かせて支持ロッド331を最も近いギアポジションに入れることができる途中調整が可能である。
【0071】
[実施例の作用と効果]
本実施例に係るマルチギアポジション支持調節機構によれば、ギアポジション形成部材に各ギアポジション対応するギアスロットとアンロック用ギアポジションに対応するリミット部とが形成され、ギアポジションコントロール部材が、ギアポジション形成部材の移動面と面一のプラットフォーム部と、支持ロッドに当接可能で、リミット部の一端寄りに位置する第1当接部とを備えたギアポジション形成部材に移動可能に設けられている。このため、支持ロッドが上から下にリミット部に移動する際に、支持ロッドが第1当接部に当接することでギアポジションコントロール部材をリミット部に連動させ、プラットフォーム部をリミット部に最も近いギアスロットに合わせてプラットフォーム部の表面をギアスロットの移動面に合わせることができる。これにより、支持ロッドがリミット部から戻ったとき、すなわち下から上に移動したとき、支持ロッドはプラットフォーム部に阻まれてギアスロットに入ることができない。すなわち、支持ロッドは、全てのギアポジションを通過した後、アンロック用ギアポジションから戻る際に、対応するギアポジションに入らなくなる。また、本実施例に係るアジャスタブルシートは、本実施例に係るマルチギアポジション式支持調節機構を備え、シート板がベースプレートと一体に形成され、腰板が支持プレートと一体に形成されているので、利用者がこのアジャスタブルシートを利用する際に、手動で支持部材をギアスロットから引き出すことなく、腰板を動かすだけで腰板をロック解除してギアポジションを再調節することができる。
【0072】
さらに、実施例に係るギアポジションコントロール部材は、リミット部から離れた一端に、支持ロッドに当接可能な第2当接部を備えており、支持ロッドがリミット部から戻る(下から上に移動する)際に、ギアポジションコントロール部材が連動されて支持ロッドとともに常に移動するころで、プラットフォーム部が支持ロッドのギアスロットへの進入を常に阻み続け、支持ロッドがいずれのギアスロットにも入らずに最上端に戻ることができるようになっている。また、プラットフォーム部と第1当接部との間にギアスロットに合わせた形状の凹部があり、この凹部は、第1当接部との連結部分が滑らかで移行しやすいため、支持ロッドが第1当接部に当接してギアポジションコントロール部材を下方に移動させる際に、この凹部が各ギアスロットに順次合わせて、支持ロッドが各ギアスロットに順次進入し、アジャスタブルシートを各ギアポジションに調整させることができる。
【0073】
また、実施例のマルチギアポジション支持調節機構は、支持ロッドにギアポジション形成部材と腰板方向への力を加え、支持ロッドがギアスロットに移動し、凹部がギアスロットに合わせたときに自動的にギアスロットに入ることができる支持ロッドガイドをさらに備えている。
【0074】
本実施例のマルチギアポジション支持調節機構では、ギアポジション形成部材と、ギアポジションコントロール部材と、支持ロッドガイドとが互いに連携しているため、利用者がギアポジションを調節する際に腰板を前後に動かすだけでよく、また、ギアポジション間の調節方向を復帰方向と逆にすることで(復帰の方向は支持ロッドが下から上に移動するようになっており、利用者が腰板を後方に動かせたり、腰を腰板にもたれかかったりして腰板を後方に回動させるのに対応している)、利用者は複雑な操作をすることなくギアポジションの調節や復帰を行うことができ、操作が簡単である。
【0075】
また、ロッドガイドが支持ロッドに加える力は、磁性部材間の吸引力によって実現され、また、ギアポジションコントロール部材とギアポジション形成部材との結合も磁性部材間の吸引力によって実現されるため、部材間に余分な機械的接続のための部材や構造を設ける必要がなく、構造が比較的簡単で、製造が容易である。
<実施例2>
【0076】
本実施例2において、実施例1と同じ構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0077】
図10は、本発明の実施例2に係るマルチギアポジション支持調節機構の断面構造を示す図である。
【0078】
図10に示すように、実施例2では、マルチギアポジション支持調節機構30は、不図示のベースプレート31と、支持プレート32と、支持部材33と、ギアポジション形成部材34と、ギアポジションコントロール部材35と、支持ロッドガイド36と、蓋部材37と、バネ41と、を備えている。
【0079】
本実施例と実施例1との主な違いは、支持ロッド331のギアポジション形成部材34と支持プレート32に向かう付勢力が、磁性部材同士の相互吸引力によるものではなく、バネの弾性変形力によるものである。
【0080】
具体的には、本実施例の支持ロッドガイド36は、支持ロッド331に接触し、上端がリミット突起343に近づき、下端がリミット部342に近づく、複数本のバネ41によって蓋部材37に固定されたシート部材である。バネ41はいずれも圧縮バネであり、支持ロッドガイド36に支持プレート32方向への力を加え、この力によって支持ロッドガイド36を支持ロッド331の表面に押し付け、支持ロッド331を移動面に押し付ける。これにより、支持ロッド331は移動面に沿ってしか移動できず、ギアスロット341に到達したときにバネ及び支持ロッドガイド36の付勢力の影響を受けて自動的にギアスロット341に進入する。
【0081】
また、本実施形態では、ギアポジションコントロール部材35は、第1磁性部材38と第2磁性部材39との吸引力によって溝部344内に設けるのではなく、スロット345によって溝部344内に移動可能に設ける。具体的には、溝部344の内側の面には、溝部344の表面が凹むことによって形成する「凹」状の断面がスロット345が上下方向に延びるように設けられている。ギアポジションコントロール部材35には、このガイドスロット345にはめ込まれたブロックが設けられており、ギアポジションコントロール部材35は溝部344内に上下方向に移動可能に設けられている。
【0082】
実施例1と比較して、本実施例では、支持ロッド331を移動面に沿って移動させ、ギアスロットに進入させる付勢力は、圧縮バネ及び支持ロッド331に接触するシート部材によって付与され、長期間の利用でバネが弾性的に弱くなる可能性があるため、寿命が比較的短いが、バネは永久磁石、特に強磁性の永久磁石よりも安価であるため、製造コストは相対的に低い。
【0083】
同様に、ギアポジションコントロール部材35は、磁性部材の吸引力を介さず、ブロックによって溝部344内に固定されているため、このような機械的構造では寿命も比較的短いが、磁性金属片や永久磁石が不要であるため、製造コストを低減する効果がある。
<実施例3>
【0084】
本実施例3において、実施例1と同じ構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0085】
実施例1及び実施例2と比較して、本実施例の違いは主にギアポジションコントロール部材35の構造、及びそれに対応する支持ロッド331をギアスロット341にガイドする方式である。本実施例では、ギアポジションコントロール部材35には、スロット352などは形成されていなく、ギアスロット341に合わせるように支持ロッド331をギアスロット341までにガイドするのではなく、方向転換の方式によって案内する。具体的な構成及び動作原理については、以下に図面を参照して説明。
【0086】
図11は、本発明の実施例3に係るマルチギアポジション支持調節機構の断面構造を示す図である。
【0087】
図11に示すように、実施例3のマルチギアポジション支持調節機構30は、図示しないベースプレート31と、支持プレート32と、支持部材33と、ギアポジション形成部材34と、ギアポジションコントロール部材35と、蓋部材37と、を備えている。
【0088】
図12は、本発明の実施例3に係るギアポジションコントロール部材の構成図である。
【0089】
図11及び
図12に示すように、ギアポジションコントロール部材35の支持ロッド331に近い面には、下から順に配置された第1当接部351、プラットフォーム部353及び第2当接部354が設けられている。
【0090】
本実施例では、第1当接部351には、プラットフォーム部353から離れる方向、すなわち下方に延びる第1延伸部355と、蓋部材37に延びる第2延伸部356とが設けられ、プラットフォーム部353の両側には側面に延びる第3延伸部357がそれぞれ設けられ、第2当接部354の端部には、第1当接部351の方向に延びる第4延伸部358が設けられている。これにより、ギアポジションコントロール部材35は、全体として環状開口の構造を呈する。
【0091】
また、第3延伸部357は、いずれもステージ部353の第2当接部354に近い位置にあり、第2延伸部356の端部には断面形状が三角形の第1突起359が設けられている。
【0092】
つまり、本実施例のギアポジションコントロール部材35は、実施例1のギアポジションコントロール部材35と比較して、凹部352を有していないが、第1延伸部355、第2延伸部356、第3延伸部357及び突起359を有するため、凹部352を有しない分、第1当接部351とプラットフォーム部353とが直接接続され、両者の接続部分は滑らかな表面を呈する。
【0093】
また、本実施例のギアポジション付部353は長さは長く、その長さは最も上側のギアポジション付スロット341上端部と最も下側のギアポジション付スロット341下端部との間の距離よりも大きい。
【0094】
図13は、本発明の実施例3に係るギアポジション形成部材の構成図である。
【0095】
図11及び
図13に示すように、実施例3のギアポジション形成部材34には、2つのギアスロット341が形成されているとともに、その中間部分に長手方向(すなわち上下方向)に延びる溝部344が設けられている。溝部344は、ギアポジション形成部材34を内側の縁、すなわち溝部344に隣接する縁の部分にガイドスロット345が形成されておる2つの部分に分けている。ガイドスロット345は、ギアポジション形成部材34の2つの部内側縁がそれぞれ陥没して形成されているため、断面形状が「L」字であり、実施例2とは異なっている。
【0096】
2つのガイドスロット345の内側には、ギアスロット341に対応する内スロット部346が1つずつ設けられており、この内スロット部346は、ギアポジション形成部材34の2つの部分の内側縁がさらに落ち込んで形成されており、その断面も同様に「L」字を呈している。また、内スロット部346のギアスロット341に対応する部分の深さ、すなわち、ギアスロット341に対応する部分の陥没最深部とギアポジション形成部材34の表面との距離は、2つのギアスロット341の深さよりも低く、内スロット部346の下端部(リミット部342に近い端部)の深さは浅い。
【0097】
本実施形態では、第3延伸部357の端部間の距離は溝部344の幅よりも大きく、この第3延伸部357がガイドスロット345に乗っかることで、ギアポジションコントロール部材35は第3延伸部357によってガイドスロット345上をスライド可能となり、溝部344内に移動可能に設けられている。本実施例のギアポジション付スロット341の形状も、前記の2つの実施例とは異なり、具体的には、ギアポジション付スロット341の上側の面が円弧状をなし、下側の面が斜め下方に延びており、この形状により、支持ロッド331が下方に移動したときにギアポジション付スロット341の下側の面から抜け出しやすくなり、ギアポジション付スロット341から離れることができる。
【0098】
さらに、ギアポジションコントロール部材35の幅(プラットフォーム部353及び第1当接部351の幅を含む)は、ガイドスロット345間の距離よりも小さいとともに、内スロット部346間の距離よりも大きいので、内スロット部346とガイドスロット345との境界(すなわち図の「X」の箇所)に移動したとき、プラットフォーム部353及び第1当接部351は内スロット部346に沿って移動し、ギアスロット341内に進入することができる。これに対して、第三延伸部357は、内スロット部346に沿って移動することはできず、ガイドスロット345に沿ってのみ移動することができるため、ギアスロット341内に進入することはできない。
【0099】
第三延伸部357のガイドスロット345に近い面は円弧状であるため、ギアポジションコントロール部材34は2つの第三延伸部357が形成する軸を回転軸として回転することもできる。すなわち、上記「X」の箇所に移動すると、ギアポジションコントロール部材34は、2つの第3延伸部357によって形成される軸が回転し、プラットフォーム部353及び第1当接部351がギアスロット341に入り、それと同時に、第3延伸部357がガイドスロット345に乗っかったままとなる。
【0100】
図11に示すように、本実施例の蓋部材37には、第2延伸部356の方向に延びる圧着ピース371が設けられており、この圧着ピース371の端部には断面多角形の第2突起372が設けられている。圧着ピース371と第2延伸部356とは互いに圧着しており、両者とも一定の弾性を有しているため、圧着ピース371が第2延伸部356に押し付ける力は、ギアポジションコントロール部材35の下側部分、すなわち、第2延伸部356、第1当接部351などの部分をギアポジション形成部材34に押し付ける方向の付勢力となる。
【0101】
図14は、本発明の実施例3に係る異なる状態でのアジャスタブルシートのマルチギアポジション支持調節機構の一部構成を示す図である。
図14では支持プレート32を省略するとともに、S5、S6、S7、S8はそれぞれアジャスタブルシート100の異なる状態に対応している。
【0102】
図14に示すように、S5は支持ロッド331が上のギアスロット341に位置する状態を示し、S6は支持ロッド331が下のギアスロット341に位置する状態を示す。各ギアスロット341は1つのギアポジションに対応するため、S5、S6はいずれもアジャスタブルシート100がギアポジションに位置する状態であり、実施例1のS1状態に相当する。
【0103】
S5の状態では、支持ロッド31及び第1当接部351は、いずれも上寄りのギアスロット341内に位置している。利用者が腰板20を前方に動かせて腰板20を
図8に示すD1方向に前方に回動させると、支持ロッド31がガイドスロット345に沿って下方に移動し、同時に支持ロッド31が第1当接部351に当接してギアポジションコントロール部材35も一緒に下方に移動する。ギアスロット341の下側面は傾斜しているため、ギアスロット341から容易に移動し、ギアポジションコントロール部材35も一緒に移動することができる。
【0104】
下のギアスロット341に到達すると、圧着ピース371と第2延伸部356との圧着作用により、ギアポジションコントロール部材35の下側部分をギアポジション形成部材34に押し付ける方向の付勢力が形成されるため、ギアポジションコントロール部材35の下側部分(第1当接部351を含む)は内スロット部346に近づくか、内スロット部346の表面に沿ってしか移動できない。これにより、ギアポジションコントロール部材35の下側部分は内スロット部346の底部に向かい、上側部分は第三延伸部357を介してガイドスロット345に常時乗っかられる。このとき、プラットフォーム部353はガイドスロット345から内スロット部346の底部に向かって傾斜した状態となる。
【0105】
支持ロッド331は、プラットフォーム部353と第二延伸部356との間に挟まれているため、プラットフォーム部353が上記傾斜状態を呈すると、支持ロッド331はプラットフォーム部353に沿って移動し、プラットフォーム部353に案内されて下方のギアスロット341内に入り、S6に示す状態に至る。
【0106】
利用者が腰板20をさらに動かして、支持ロッド331をギアポジションコントロール部材35に対してさらに下方に移動させると、支持ロッド331が第1当接部351に当接し、ギアポジションコントロール部材35をさらに下方に移動させて下方のギアスロット341から移動させる。そして、支持ロッド331がリミット部342に到達し、第1当接部351もリミット部342に到達する。ここでの内スロット部346の深さは浅いため、第1当接部351は内スロット部346に沿って移動し、最終的にリミット部342にも到達する。このとき、第1突起359と第2突起372の表面は互いに当接する。この状態では圧着ピース371と第2延伸部356も互いに圧着し、圧着ピース371と第2延伸部356の弾性変形力によって第1突起359と第2突起372の表面が互いに密着し変位しにくくなるため、ギアポジションコントロール部材35の下端部分はリミット部342に安定するようになり、S7に示す状態となる。また、この状態では、第1延伸部355が蓋部材37の表面に当接することにより、S7に示す状態はギアポジションコントロール部材具35がより安定し、変位しにくい状態となっている。
【0107】
S7に示す状態で、利用者が腰板20を後方に動かした場合、ギアポジションコントロール部材35が、この状態では容易に変位しないため、支持ロッド331はギアポジション形成部材34に対して上方に移動する際に第1当接部351から離れ、プラットフォーム部353に沿って上方に移動する。プラットフォーム部353の長さは、最も上側のギアスロット341の上端部と最も下側のギアスロット341の下端部との間の距離よりも長いため、プラットフォーム部353はすべてのギアスロット341に合わせており、プラットフォーム部353の表面と各ギアスロット341との間及びその他の部分の移動面が合わせることに相当し、支持ロッド331がプラットフォーム部353の表面上を移動することにより、全てのプラットフォーム部341を一度に乗り越えて上方に移動する。
【0108】
第2当接部354に到達と、支持ロッド331が第2当接部354に当接し、ギアポジションコントロール部材35が上方に移動する。このとき、支持ロッド331とギアポジションコントロール部材35の上動の動力は、利用者が腰板20を動かすことによって与えるため、この移動の駆動力は圧着ピース371と第2延伸部356の弾性変形力に抗して、第1突起359と第2突起372とを離脱させ、ギアポジションコントロール部材35をさらに上動させてリミット突起343に到達させ、S8に示す状態とすることができる。
【0109】
S8に示す状態で、利用者が腰板20を動かして支持ロッド331をギアポジション形成部材34に対して下方に移動させると、支持ロッド331が第1当接部351に当接してギアポジションコントロール部材35を一緒に下方に移動させる; ギアポジションコントロール部材35が「X」箇所を越えると、その下側部分が圧着ピース371と第2延伸部356との圧着作用によって内スロット部346の表面に沿って移動し、支持ロッド331を上方のギアスロット341に案内することで、再びS5に示す状態に戻る。
【0110】
したがって、利用者は、本実施例のアジャスタブルシート100を利用する際に、シート板10と腰板20との間の角度(支持プレート32とベースプレート31との間の角度)を調整する必要がある場合、上体を前傾させて一旦腰板から離れ、その後、腰板20を逆手に回して支持ロッド331を対応するギアスロット341に入れるだけでよく、その過程でアジャスタブルシート100から離れる必要も腰を曲げたり捻ったりする必要もない。
【0111】
実施例1または2と比較すると、本実施例は、支持ロッド331をガイドするためにギアポジションコントロール部材35にスロットを形成する形態を採用せず、ギアポジションコントロール部材35が受けるギアポジション形成部材34方向への付勢力も、磁力やバネではなく、圧着ピース371と第2延伸部356の弾性変形力によって生成される。
【0112】
本実施例のような構造は実施例2よりも簡単であるとともに、実施例1のように磁性部材も必要としないため、コストも実施例1より低い。しかし、ギアポジションコントロール部材35のプラットフォーム部353は、ギアスロット341全体を覆うするために一定の長さを必要とするため、ギアスロット341の数が多いとプラットフォーム部353の長さが長くなりすぎ、プラットフォーム部353の傾斜角度をギアスロット341への支持ロッド331の進入をガイドするためには、内スロット部346をより深くする必要がある。この場合、ステップ部353が長すぎたり、内スロット部346が深すぎたりすると、ギアポジションコントロール部材35の移動や回転動作がスムーズでなくなり、ひいては支持ロッド331のギアスロット341への進入や退避をスムーズに案内することが困難になる。したがって、スムーズな利用を確保する上で、本実施例のマルチギアポジション支持調節機構30は変速ギアポジション数が多い形にするのではなく、通常2~4ギアポジションのほうが望ましい。
【0113】
また、本実施例のギアポジション付部353は、支持ロッド331を一度に全てのギアポジション付スロット341を乗り越えるため、支持ロッド331はアンロック用ギアポジションに到達した後、最上側のギアポジション付スロット341以上の位置まで上昇を続けなければ、ギアポジションコントロール部材を引き上げて第1突起と第2突起を離脱させることができない。第1突起と第2突起が離脱した後、支持ロッド331は再び各ギアスロットに順次入ることができる。そのため、本実施例のマルチギアポジション支持調節機構は途中調節ができず、利用の柔軟性として実施例1と実施例2に及ばない。
【0114】
上記の実施例は本発明の具体的な実施形態を例示するためのものであり、本発明のマルチギアポジション支持調節機構及びアジャスタブルシートは上記の実施例で説明する範囲に限定されるものではない。
【0115】
実施例1及び実施例2では、ギアポジションコントロール部材に1つのスロットが設けられている。しかし、本発明では、このギアポジションコントロール部材の凹部の数は複数であってもよく、ギアスロットの数以下であれば、同様のギアポジションコントロール部材の効果を達成することができる。ギアポジションコントロール部材に複数の凹部がある場合、その全長は実施例よりも長くなるが、その長さが最も上側のギアポジションとリミット部との間の距離よりも小さければ、支持ロッドを上または下に移動させたときにそれぞれ第2当接部または第1当接部に当接させることでギアポジションコントロール部材を移動させ、ギアポジション調節または復帰させることができる。
【0116】
各実施例では、ギアポジション形成部材は支持プレートに固定的に取り付けられているが、本発明では、このギアポジション形成部材は支持プレートと一体的に形成されていてもよい。
【0117】
また、実施例1と実施例2のギアスロットの数は4つである、実施例3のギアスロットの数は2つであるが、本発明では、このギアスロットは3つ、5つ以上など、他の数であってもよく、より多くのギアポジションをユーザーが選択できるようにする。特に、実施例1のような形態は、ギアポジションコントロール部材が磁力によってギアポジション形成部材に取り付けられ、支持ロッド及び支持ロッドガイドとギアポジション形成部材との間の付勢力も磁力によって与えられるため、実施例3のようにギアスロットの数が制限されないため、ギアポジション数が多い場合に非常に適している。
【0118】
また、実施例では、支持プレートと腰板が一体に形成されており、ベースプレートとシート板が一体に形成されているが、本発明では、その対応関係を逆にしてもよい。すなわち、支持プレートはシート板と一体に形成され、ベースプレートは腰板と一体に形成されてもよい。このような形態では、ギアポジション形成部材における各ギアスロット及びリミット部は、上下方向に分布するのではない、前後方向に分布している。したがって、利用者が腰板を動かすと、支持ロッドがギアポジション形成部材の移動面上を(実施例の上下方向ではなく)前後方向に移動して各ギアポジションに入る。このようなアジャスタブルシートも実施例と同様にギアポジションの調節と復帰を支持する作用があり、ほぼ同様の効果があるが、シート板には支持プレートのための十分なスペースが必要であるため(特にギアポジション形成部材は複数のギアスロットの分布を確保するためにある程度の長さが必要である)、前後方向の長さが大きく、その分フットプリントが大きくなり、携帯性の面で上記各実施例のアジャスタブルシートに劣る。
【0119】
また、実施例では、アジャスタブルシートは腰板とシート板を有し、利用者はシート板に直接座って利用し、腰は腰板に寄りかかっているが、本発明では、アジャスタブルシートの快適性を向上させるために、座面を柔軟な素材で形成し、この座面をシート板と腰板に連続的に覆うことができ、腰板の回転に影響を与えることなく、利用者の体を柔軟な素材に接触させて快適に感じるようにしてもよい。
【0120】
また、実施例ではシート板の下面が平面であるため、上記実施例のアジャスタブルシートはいずれも他のアジャスタブルシートに載せて利用することができる。しかし、本発明では、シート板の下面に支持脚を取り付ける、本発明のアジャスタブルシートを地面に直接置いて利用できるようにしてもよい。これだけでなく、実施例の腰板は利用者の腰部に対応して腰部を支持するだけであったが、本発明は腰板を延長してその上にネックピローなどの付属部品を設置することもでき、アジャスタブルシートが頸部などの他の人体部位を支持することもでき、利用感をさらに向上させることができる。このような構造では、腰板のサイズが大きくなり、重量も増加するため、ギアポジションコントロール部材ユニットの各部材はより強度の高い材料で製造することが望ましい。
【国際調査報告】