(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-15
(54)【発明の名称】省エネルギー環境保護型フィルタ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B01D 46/52 20060101AFI20220908BHJP
F02M 35/024 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
B01D46/52 C
F02M35/024 501F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571528
(86)(22)【出願日】2020-05-30
(85)【翻訳文提出日】2022-01-31
(86)【国際出願番号】 CN2020093558
(87)【国際公開番号】W WO2021212613
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】202010314766.2
(32)【優先日】2020-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521523213
【氏名又は名称】浙江省竜遊濾清器制造有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】楊国華
【テーマコード(参考)】
4D058
【Fターム(参考)】
4D058JA10
4D058JB22
4D058JB29
4D058KA12
4D058SA07
(57)【要約】
本発明は、複数の折り畳み部(10)からなるフィルタエレメント本体(1)を備え、該折り畳み部(10)に設けられ且つ該折り畳み部(10)を閉塞するためのシール部(11)をさらに備える、省エネルギー環境保護型フィルタ及びその製造方法を提供する。このフィルタの使用により、内燃機関のエアフィルタの単位時間あたりの吸気量が大きくなり、燃料の燃焼効率が向上する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の折り畳み部からなるフィルタエレメント本体を備える、省エネルギー環境保護型フィルタであって、前記折り畳み部に設けられ且つ前記折り畳み部を閉塞するためのシール部を備えることを特徴とする、省エネルギー環境保護型フィルタ。
【請求項2】
前記シール部が前記折り畳み部の折り目に位置することを特徴とする、請求項1に記載の省エネルギー環境保護型フィルタ。
【請求項3】
前記シール部が接着剤であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の省エネルギー環境保護型フィルタ。
【請求項4】
前記シール部が金属材質であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の省エネルギー環境保護型フィルタ。
【請求項5】
請求項1に記載の省エネルギー環境保護型エアフィルタエレメントの製造に適した、省エネルギー環境保護型フィルタの製造方法であって、
濾材を準備するステップS1と、
プリーツ加工機で濾材を折り畳んで、折り畳み部を形成するステップS2と、
前記折り畳み部の折り目に接着剤を塗布するステップS3と、
クランプ機で前記濾材の両端を固定し、閉ループ状に形成するステップS4と、
前記ステップS4の前記濾材を外筒と内筒との間に入れ、接着剤でエンドプレートと前記濾材の両端とを固定して、制作を完了するステップS5と、
を含むことを特徴とする、省エネルギー環境保護型フィルタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタエレメントの技術分野に関し、特に、省エネルギー環境保護型フィルタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日では、自動車であれ、建設機械であれ、その種類が「内燃機関」に属すれば、いずれもフィルタ(例えば、エアフィルタエレメント)が必要である。
【0003】
エアフィルタエレメントは一種のフィルタであり、従来の「円筒状」エアフィルタエレメントを例にすると、現在、その使用寿命を確保するために、製造時、所望の高さ及びピッチにより、プリーツ加工装置(例えば、プリーツ機)で連続的に複数回折り畳んだ後、クランプ装置(例えば、クランプ機)によりその両端を金属クリップで挟持して閉ループ状に形成し、最後に、成形された外筒と内筒との間に入れ、接着剤でエンドプレートと両端を密封接着する。
【0004】
しかし、上述したエアフィルタエレメントには、エアフィルタエレメントの濾過面積全体を構成する濾材が通気性であり、この種類のエアフィルタエレメントが内燃機関に使用される場合、以下の欠陥が存在するという共通の特徴がある。
一、長期間の低速(アイドリング)運転により、エンジンにカーボンが溜まりやすい;
二、一部のエンジンには、不完全燃焼によりエンジンオイルの増加や乳化現象が生じる;
三、一部のターボエンジンはエンジンオイルの消費が深刻である。
【0005】
以上の3つの欠陥は、直接内燃機関のパワー不足を引き起こすとともに、「排出基準を満たさない」ことになるので、上記問題を解決することができる、省エネルギー環境保護型フィルタの提供が急務となる。
【発明の内容】
【0006】
従来技術に存在する欠陥に鑑みて、上記背景技術における問題を解決するために、本発明は、省エネルギー環境保護型フィルタ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
本発明の技術的手段は次のように実現される。複数の折り畳み部からなるフィルタエレメント本体を備える、省エネルギー環境保護型フィルタであって、折り畳み部に設けられ且つ折り畳み部を閉塞するためのシール部を備えることを特徴とする。
【0008】
シール部が折り畳み部の折り目に位置することが好ましい。
【0009】
シール部が接着剤であることが好ましい。
【0010】
シール部が金属材質であることが好ましい。
【0011】
また、本発明は、上述した省エネルギー環境保護型エアフィルタエレメントの製造に適した、省エネルギー環境保護型フィルタの製造方法を提供し、
濾材を準備するステップS1と、
プリーツ加工機で濾材を折り畳んで、折り畳み部を形成するステップS2と、
折り畳み部の折り目に接着剤を塗布するステップS3と、
クランプ機で濾材の両端を固定し、閉ループ状に形成するステップS4と、
ステップS4の濾材を外筒と内筒との間に入れ、接着剤でエンドプレートと濾材の両端とを固定して、制作を完了するステップS5と、を含むことを特徴とする。
【0012】
本発明の有益な効果:
シール部(例えば、接着剤)で折り畳み部を部分的に閉塞し、例えば、接着剤を折り畳み部の折り目に折り目の内壁及び高さ方向に沿って均一に塗布し、折り畳み部が部分的に閉塞されると、エアフィルタエレメントの作動時における圧力損失が減少し、閉塞されていない大部分が受ける空気圧が増加し、空気の流速もともに増加するので、空気の流量を向上させることができ、エンジン燃料の燃焼がより完全になり、エンジンのパワーが向上し、省エネ及び排出削減の効果を達成する(つまり、エンジンのカーボン堆積及びエンジンオイルの「異常」などを低減する)。
【図面の簡単な説明】
【0013】
以下、本発明の実施例又は従来技術の技術的手段をより明確に説明するために、実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明するが、以下の説明における図面は本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労働を行うことなく、これらの図面からその他の図面を得られることは明らかである。
【
図3】本発明の実施例1の一部の折り畳み部の構造原理図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施例における添付図面を参照して、本発明の実施例における技術的手段を明確且つ完全に説明するが、説明される実施例は、全ての実施例ではなく、本発明の一部の実施例に過ぎないことは明らかである。本発明の実施例に基づき、当業者が創造的な労働を行うことなく得られるすべてのその他実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0015】
実施例1
図1~
図4に示されるように、本発明は、複数の折り畳み部10からなるフィルタエレメント本体1を備える省エネルギー環境保護型フィルタを開示し、本発明の具体的な実施例において、折り畳み部10に設けられ且つ折り畳み部10を閉塞するためのシール部11を備える。
【0016】
本発明の具体的な実施例において、シール部11は折り畳み部10の折り目に位置する。
【0017】
本発明の具体的な実施例において、シール部11は接着剤である。
【0018】
本実施例は、省エネルギー環境保護型エアフィルタエレメントの製造に適した、省エネルギー環境保護型フィルタの製造方法をさらに提供し、
濾材を準備するステップS1と、
プリーツ加工機で濾材を折り畳んで、折り畳み部を形成するステップS2と、
接着剤塗布機で折り畳み部の折り目に接着剤を塗布するステップS3と、
クランプ機で濾材の両端を固定し、閉ループ状に形成するステップS4と、
ステップS4の濾材を外筒と内筒との間に入れ、接着剤でエンドプレートと前記濾材の両端とを固定して、制作を完了するステップS5と、を含む。
【0019】
本実施例の原理:
気体流量の計算式Q=V・S(Vは流速であり、Sは気流が通過する断面積)に基づき、流速Vがエアフィルタエレメントを通過する気体の前後圧力差P(圧力差Pは実際には濾材の抵抗Pに等しい)に比例し、また、断面積Sが折り畳み部の長さLに比例するため、流量の計算式はQ=P抵抗・Lに簡略化することができる。
【0020】
<例>
図3に示されるように、bc(de)を40mm、折り目ab(cd)を1mmとし、折り畳み部におけるobco’半折りの濾材全体の抵抗をP抵抗とし、obco’半折りを例に、折り目が閉塞された後、損失流量Q損失=(ob+co’)P抵抗=(0.5+0.5)P抵抗=P抵抗であり、そして、折り目が閉塞されるので、折り目を通過する空気の圧力損失が抑制され、また、所定の割合で折り畳まれた後ob、bc及びco’が同じ作動面ではないため、濾材のbc面にかかる力が2P抵抗増加し(同じabのP抵抗がそれぞれbc及びdeのP抵抗増加するからである)、すなわち、流量は、Q=80*P抵抗増加し、少なくとも損失流量の80倍となる。従って、折り畳み部の折り目が閉塞されると、残りの折り畳み部(すなわち、bc)にかかる吸気圧力が増加して、気流速度もともに増加し、閉塞される折り目がわずかな部分であるため、単位時間当たりのエンジンに入る空気量が増加し、燃料の燃焼効率が向上され、省エネ及び排出削減の効果が得られる。
【0021】
本実施例の実施結果:
測定車種は4種類(自然吸気ディーゼル車、ターボディーゼル車、自然吸気ガソリン車、ターボガソリン車)であり、結論は次の通りである。
(1)省エネ率(平均)>15%であり、フィルタエレメントが新品である時期が決して省エネの最適な時期ではなく、具体的な省エネの変化は
図4を参照する;
(2)省エネの有効期限(舗装路面)は、円筒状エアフィルタの場合4万キロ以上であり、濾材の有効使用率が大幅に向上した;
(3)エンジンオイルの消費が多いエンジンは、使用後、ターボチャージャの負担が軽減し、エンジンオイルの消費が大幅に改善された;
(4)不完全燃焼によるエンジンオイルの増加及び乳化現象については、使用後、燃焼がより完全になるので、上記のような現象が徹底的に解消された;
(5)吸気量が大きく、燃焼が完全であるので、同じ回転数での燃料消費が少なく、排出量を最適化することができる;
(6)吸気量が大きく、燃焼が完全であるので、低速(アイドリング)運転によるカーボン堆積現象を徹底的に解消することができる;
(7)吸気量が大きく、燃焼が完全であるので、パワーが大幅に向上し、アクセル反応が敏感になり、車両の操作性が向上した。
【0022】
省エネ率が15%を超えるという省エネ効果を得るのは、主に、
(1)吸気量が大きく、燃焼が完全であるため、パワーが向上する;
(2)燃焼が完全であるため、エンジンのスロットルにカーボンが溜まり難く、シリンダの気密性が良いという2つの理由がある。
【0023】
新規な方法で製造されるエアフィルタエレメントの
図4に示されるような省エネグラフ(使用すればするほど良くなる傾向)については、エアフィルタエレメントは負圧で吸気することで作動し、且つ最大負圧が1気圧であり、エアフィルタエレメントが所定量の濾材で作製された後、その基本流量が決定され、エアフィルタエレメントとエンジンのシリンダとの間に所定の距離を有し、また、エンジンのスロットルのある速度で開閉する時間が一定であるので、ある段階でフィルタエレメントの基本流量がエンジンの排出量を超えるとき、エアフィルタへのほこりの堆積に伴って、エアフィルタの抵抗が上昇し、流速もともに増加する。そうすると、この段階でエンジンのシリンダに入る空気量はエアフィルタの抵抗の増加に伴って増加する(使用すればするほど良くなる)。時間の経過とともにエアフィルタの有効孔径が減少し、基本流量がエンジンの排出量以下に低下すると、
図4に示される「変曲点」が現れる。
【0024】
従来のエアフィルタエレメントは、濾過面積全体が通気性であるため、圧力損失が大きく、使用すればするほど悪くなる。
【0025】
なお、本実施例は、気体の濾過だけでなく、液体の濾過、気液分離及び液液分離などにも適用可能である。
【0026】
実施例2は、シール部11は金属材質であること以外は実施例1と同様である。
【0027】
上述した技術的手段を使用することにより、接着剤よりも金属材質(例えば、鉄板)のほうが優れたシール効果を奏する。
【0028】
以上は本発明の好ましい実施例のみであり、本発明を限定するためのものではなく、本発明の思想及び原則内で行われたいかなる修正、同等な置き換え及び改良などは、いずれも本発明の保護範囲に含まれるべきである。
【国際調査報告】