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特表2022-540308コンクリート混和剤として使用するための水性酸化グラフェンの製造
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  • 特表-コンクリート混和剤として使用するための水性酸化グラフェンの製造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-15
(54)【発明の名称】コンクリート混和剤として使用するための水性酸化グラフェンの製造
(51)【国際特許分類】
   C04B 14/30 20060101AFI20220908BHJP
   C04B 28/02 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
C04B14/30
C04B28/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571557
(86)(22)【出願日】2020-07-06
(85)【翻訳文提出日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 CA2020050939
(87)【国際公開番号】W WO2021003565
(87)【国際公開日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】62/871,355
(32)【優先日】2019-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521524461
【氏名又は名称】アルター ビオタ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100130580
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 靖
(72)【発明者】
【氏名】マーク マソッティ
【テーマコード(参考)】
4G112
【Fターム(参考)】
4G112PA11
(57)【要約】
酸化グラフェンの水性分散体は、酸化グラフェンを剥離するために、水又は水溶液中のバイオチャーの様な黒鉛状炭素を、分散剤の存在下、高剪断環境に供することにより、付加的なプロセスで製造される。挿入剤は、剥離を容易にするために添加されてもよく、任意に中和されてもよい。黒鉛状炭素は、剥離前に湿式粉砕によって前処理することができる。酸化グラフェンの水性分散体は、コンクリート組成物中のコンクリート混和剤として使用することができる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化グラフェンの水性分散体を製造する方法であって、
前記方法は、水又は水溶液中の黒鉛状炭素を、分散剤の存在下、高剪断環境に供して酸化グラフェンを剥離することを含む。
【請求項2】
前記水又は水溶液中の前記黒鉛状炭素を高剪断環境に供する前に、前記水又は水溶液中の前記黒鉛状炭素に前記分散剤を添加する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記分散剤を添加する工程の前に、前記水又は水溶液中の前記黒鉛状炭素を湿式粉砕する工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記水又は水溶液中の前記黒鉛状炭素を高剪断環境に供する前に、又はそれと同時に、前記水又は水溶液中の黒鉛状炭素に挿入剤を添加する工程をさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記挿入剤が苛性挿入剤を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記挿入剤が、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化リチウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記挿入剤が水酸化カリウムを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記分散剤を添加する前に、前記水又は水溶液中の剥離された酸化グラフェンを中和する工程をさらに含む、請求項5~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記中和する工程が酸を添加することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記中和する工程が、前記水又は水溶液中の剥離された酸化グラフェンを、二酸化炭素でスパージングすることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記水又は水溶液中の前記黒鉛状炭素を高剪断環境に供する工程が、高剪断湿式粉砕に於いて、前記水又は水溶液中の前記黒鉛状炭素を循環させることを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記黒鉛状炭素が水に供給される、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記分散剤がリグノスルホン酸塩を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記分散剤がポリカルボン酸エーテルを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記分散剤が、少なくともポリカルボン酸エーテル及びリグノスルホン酸塩の組成物を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記黒鉛状炭素及び前記分散剤を、所定の割合で前記水溶液中に受け取り、
剥離後の水性分散体中の酸化グラフェンの濃度又は粒径分布を測定し、並びに、
測定された濃度又は粒径分布に応じて水性分散体中の前記酸化グラフェンを高剪断環境下に再循環させることにより、
コンクリート組成物に必要な黒鉛状炭素の量及び前記分散剤の量を決定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記黒鉛状炭素がバイオチャーであり、剥離された酸化グラフェンが剥離された酸化バイオグラフェンである、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
酸化グラフェンの水性分散体を含むコンクリート混和剤。
【請求項19】
前記酸化グラフェンがバイオチャー由来の酸化グラフェンである、請求項18に記載のコンクリート混和剤。
【請求項20】
前記水性分散体が分散剤を含む、請求項18又は19に記載のコンクリート混和剤。
【請求項21】
前記分散剤がリグノスルホン酸塩を含む、請求項20に記載のコンクリート混和剤。
【請求項22】
前記分散剤がポリカルボン酸エーテルを含む、請求項20に記載のコンクリート混和剤。
【請求項23】
前記分散剤が、少なくともポリカルボン酸エーテル及びリグノスルホン酸塩の組成物を含む、請求項20に記載のコンクリート混和剤。
【請求項24】
炭酸カリウムをさらに含む、請求項18~23のいずれか1項に記載のコンクリート混和剤。
【請求項25】
炭酸ナトリウムをさらに含む、請求項18~23のいずれか1項に記載のコンクリート混和剤。
【請求項26】
水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化リチウムのうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項18~23のいずれか1項に記載のコンクリート混和剤。
【請求項27】
水酸化カリウムをさらに含む、請求項18~23のいずれか1項に記載のコンクリート混和剤。
【請求項28】
減水剤又は可塑剤をさらに含む、請求項18~27のいずれか1項に記載のコンクリート混和剤。
【請求項29】
請求項18~28のいずれか1項に記載のコンクリート混和剤を含むコンクリート組成物。
【請求項30】
水性酸化グラフェンの水性分散液のコンクリート添加剤としての使用。
【請求項31】
前記酸化グラフェンが酸化バイオグラフェンである、請求項30に記載の使用。
【請求項32】
黒鉛状炭素源;
分散剤源;
前記黒鉛状炭素源及び前記分散剤源と流体連通する入口を含む高剪断装置であって、水性酸化グラフェンを製造する高剪断装置;
前記高剪断装置の出口と流体連通し、前記水性酸化グラフェンを収容する容器;並びに、
収容された水性酸化グラフェン中の酸化グラフェンの少なくとも1つの特性を決定するための少なくとも1つの計測手段、を含む装置。
【請求項33】
前記容器と流体連通する出口を有する挿入剤源をさらに含む、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記容器と流体連通する出口を有する中和剤源をさらに含む、請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記特性が、収容された水性酸化グラフェンのpHを含む、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記少なくとも1つの計測手段が、pH計を含む、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記特性が、収容された水性酸化グラフェン中の酸化グラフェンの濃度を含む、請求項32~36のいずれか1項に記載の装置。
【請求項38】
前記少なくとも1つの計測手段が、分光光度計を含む、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記特性が、収容された水性酸化グラフェン中の酸化グラフェンの粒径分布を含む、請求項32~38のいずれか1項に記載の装置。
【請求項40】
前記少なくとも1つの計測手段が、レーザー回析センサを含む、請求項39に記載の装置。
【請求項41】
前記高剪断装置が湿式粉砕ユニットを含む、請求項32~40のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はコンクリートを強化するための補助材料に関し、特に、酸化グラフェン系混和コンクリート混合物の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の高強度コンクリートは、製造費用がかかり、主にその多孔性のために亀裂や剥落に悩まされることが多い。フライアッシュ、スラグ又はシリカヒュームのような補助セメント材(SCMs)は、ポリカルボン酸エーテル(PCE)などの高度な減水剤と同様、ある程度これを軽減するのに役立ってきたが、これらの材料は高価であり、供給の不確実性(例えば、石炭火力発電所が衰退しているようなフライアッシュ)に直面する可能性がある。
【0003】
ナノカーボン及び微粉化したバイオチャー添加剤は、高強度コンクリート混合物の設計での使用のために提案されている;しかし、ナノカーボンコンクリート添加剤の商業化に直面する課題がある;コストは、混合比の小さい使用の場合でも潜在的に高くなる可能性がある;ナノカーボン粒子間の強いファンデルワールス力は、ナノカーボン添加剤が凝集する傾向を生み出し、コンクリートマトリックス中での効果的な分散を阻害する;バイオチャー粒子サイズがより小さい程、良好な結果をもたらすことが示されているが、典型的な粉砕装置(例えば、ボールミル、アトライター、ソニケーター)を用いた粒径の低減には限界があり、その上、法外なコストもかかる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1図1は、水性酸化バイオグラフェンの高レベル製造プロセスを示すフローチャートである。
図2図2は、水性酸化バイオグラフェンの製造のための第1の例示的なシステムの概略図である。
図3図3は、水性酸化バイオグラフェンの製造のための第2の例示的なシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下に示す実施形態及び実施例は、分散剤を用いた、低コストで、高度に拡張性を有する高剪断液相剥離技術を用いて、酸化グラフェン系添加剤を製造する方法を提供する。この添加剤である水性酸化バイオグラフェン(hydrous bio-graphene oxide:hBGO)は、コンクリートに添加されると、高強度コンクリートの製造で一般に使用されるSCMs及び高性能減水剤の性能を満たし、又は超えることを可能にする、増強された水和及びミクロ補強を、より低コストで、再生可能なバイオマス供給原料から提供する。
【0006】
簡単に述べると、図1に示すように、黒鉛状炭素源を溶媒中に供給し、分散剤、好ましくは水性界面活性剤又は水混和性溶媒を用いて、高剪断環境下で液相剥離に供し、コンクリートマトリックス中に一層容易に分散させることが可能な安定した水性グラフェン分散液(酸化グラフェン、又はGO)を生成する。好ましくは、バイオチャーが、持続可能な(二次元)グラフェン炭素(酸化バイオグラフェン、又はBGO)を製造するために(三次元)黒鉛状炭素を提供する。バイオチャーは、再生可能な炭素質バイオマス供給原料の熱化学的変換によって(例えば、熱分解、炭化、及び/又は活性化によって)製造される発熱性炭素質材料である。対照的に、活性炭は、化石源、廃棄物、又は再生可能資源を含む任意の炭素源から製造される。供給原料の炭化方法は、当業者に知られているであろう。
【0007】
本方法は、湿式粉砕、及び挿入剤(intercalating agent)(後に完全に又は部分的に中和され得る)の使用、及び少なくとも部分的な剥離等の1つ以上の準備又は中間工程を含むことができる。これらの付加工程は、高剪断液相混合に供される場合に、酸化バイオグラフェンの剥離及び分散を促進することができる。
【0008】
酸化グラフェンは一般に、極性溶媒及び非極性溶媒の両方に対して親和性を有するので、いずれのタイプの溶媒も使用することができるが、コンクリート混和剤の場合、コンクリート混合物と適合させるために、分散体に水又は別の極性の水溶性溶媒を使用することが望ましい場合がある。
【0009】
分散体中の界面活性剤は、水の表面張力を低下させ、二次元グラフェンに吸着する。これは、強いファンデルワールス引力を有する、剥離したBGO結晶及び数層酸化バイオグラフェン(FLBGO)粒子の分散を誘導し、凝集を低減させるのに役立つ。これは、レディミックスプラント又はジョブサイトでの利用の前に再分散される必要がない(又は容易に再分散され得る)BGOのより安定なコロイド分散を提供する。さらに、BGOのコロイド安定性が良好であればあるほど、BGO及び/又はFLBGOによる最適な性能をもたらすアルカリ性モルタル又はコンクリートマトリックス中に均一に分散される確率が高くなる。
【0010】
本方法で使用するための界面活性剤及び溶媒としては、リグノスルホン酸塩、ポリカルボン酸エーテル(PCE)、ジヒドロレボグルコセノン(DLGO、例えば、Cyrene(登録商標))、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、コール酸ナトリウム、超臨界二酸化炭素(scCO)、ポロキサマー(Pluronics(登録商標))、サポニン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。界面活性剤及び/又は溶媒の適切な選択は、コンクリートに対する所望の効果に基づいて、当業者によってなされ得る。例えば、リグノスルホン酸塩は可塑剤及び硬化遅延剤としてコンクリートのための重要な混和剤として認識されており、グラフェンのための分散剤として有効であることが示されている。PCEは同様に、超可塑剤としてコンクリートに重要な混和剤であり、かつセメントペースト中のグラフェンに有効な分散剤として認識されている。DLGOは、グラフェンと同様の溶解特性を有し、迅速な剥離及び安定した分散のために良好な溶媒である。低濃度の水相アニオン性及び非イオン性界面活性剤は、液相剥離を介する酸化グラフェンの分散のために良好な結果を提供することが知られているが、リグノスルホン酸塩及びPCE等のアニオン性ポリマー界面活性剤は、多分散体、即ち減水ポリマーが複合マトリックスの製造に於いて望ましい場合に選択され得る。分散剤中にリグノスルホン酸塩又はPCEを含有させることは、実際、それらがコンクリートのために有用な減水剤及び可塑剤の両方であるので、コンクリートミックスに二重の利点を提供することができる。
【0011】
インターカレーション化学物質は、高剪断液相剥離のプロセスを促進させるために使用され得る。インターカレーションは、グラファイト炭素の様な層状構造を有する材料に分子又はイオンを可逆的に挿入して、インタープレーナ間隔を増加させ、続いて、層間ファンデルワールス力を減少させて、グラファイト炭素の機械的剥離を補助する。グラファイト炭素中の面間隔に入るのに十分に小さいイオンの供給源を提供するために、適切な挿入剤が当業者によって選択され得る。コンクリート混和剤に使用するのに適した薬剤の例としては、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、及び水酸化リチウム(LiOH)が挙げられる。強苛性挿入剤は官能化及びエッチング(炭素シートの平坦な表面及び縁部上の酸素官能基及び欠陥の形成)を誘発することができ、これらは共に、hBGOがコンクリート添加剤として使用される場合、セメント粒子の水和を促進する核形成部位を提供することができるので潜在的に有益である。
【0012】
強い苛性インターカラントはhBGOのpHを有意に上昇させることができ(14まで)、これは混和剤としての取り扱い及び使用に課題を引き起こし得るものであり、また、水性BGO粒子の集合又は凝集をもたらし得るものである(小さい粒子は高いpHの条件下で凝集する傾向がある)。高pH混合、及び集合又は凝集の課題を軽減するために、hBGOのpHをより中性の範囲(例えば、7又は8)に低下させてもよい。適切な中和剤の選択は、当業者に於いて公知である。例えば、酢酸のような酸を、直接又は溶液中で分散体に添加することができる。別の実施例として、hBGO分散体は、オプションで廃棄COとして収集される二酸化炭素(CO)でスパージング(sparging)されてもよい。水と組み合わせる場合、COは反応に利用可能な炭酸を生成する。挿入として使用されるKOH、NaOH又はLiOHのケースでは、それらは炭酸と反応し、炭酸カリウム(KCO)、炭酸ナトリウム(NaCO)又は炭酸リチウム(LiCO)を形成し、これらは水溶性塩であり、有利ではないにしても、混和剤として含まれる場合にはコンクリートに適合する。さらに、COによるこの様な中和は、機械的性能に悪影響を及ぼすことなく、コンクリート中へのカーボンの隔離法として作用するであろう。
【0013】
セメントの重量に対して約0.1%のコンクリート中のhBGOを含むことは、早期の強度発現を達成し、作業性に悪影響を及ぼすことなく、圧縮強度、曲げ強度/延性の増加及び透水性の低下をもたらす可能性がある。理論に束縛されることを望まないが、これらの性能改善は、増強された水和、即ちケイ酸カルシウム水和物(C-S-H)結晶の形成の増加に起因し得ると考えられている。これは、強力な水和結晶核形成部位を提供するBGOの多様な酸素官能基によるものである。この水和の増加はC-S-H結晶の形成に於ける混合水の消費の増加をもたらし得るものであり、このことは、コンクリートに対してより高い水の割合にすることができ、強度を損なうことなく、又は空隙率の増加を招来することなく、コンクリートの加工性を改善できることを意味する。さらに、BGO粒子は吸湿性であるため、コンクリートマトリックス内に水分を保持するのを助け、毛細管及びゲル細孔レベル(<10nm)での水和を増強するためのナノ硬化を提供することができる。さらに、酸化グラフェンはコンクリートマトリックス中でナノ補強に供し、破断により屈曲したフラクタル面に寄与することが知られている。最後に、酸化グラフェン粒子は一種の不凍液として機能し氷結晶成長を制限することが示されており、これは、コンクリートに対する凍結融解の有害な効果に対する追加の耐性を付与することができる。
【0014】
有益な効果を生み出すためにコンクリートミックス中に必要とされるhBGOの量は、SCMs等の様な一般に使用される他の成分の量と比較して比較的少ないことに留意されたい。このことは、hBGOの含有が混合物の他の成分(水、セメント、混和剤)の割合に影響を及ぼす可能性が低く、以前に開発されたコンクリート配合物の継続的な使用を可能にすることを意味する。さらに、既に一般的に使用されている混和剤であるリグノスルホン酸塩又はPCEを用いてhBGOを製造する場合、hBGOはコンクリートミックス中に混和剤の供給源を提供して、添加される必要がある追加のリグノスルホン酸塩又はPCEの量を低減させることができる。
【0015】
図1は、コンクリートミックスに使用するためのhBGO分散体を製造するプロセスを示すフローチャートである。第1の実施例では、バイオチャーのような黒鉛状炭素源がS1で供給され、S2で溶媒(例えば、水)中に分散(添加)される。S7で分散剤が添加され、S8で高剪断環境下で混合物が剥離される。さらなる例示的な実施形態では、分散剤の添加前に、1つ以上の付加工程が任意で実施される。S2の溶媒中の初期分散は、黒鉛状炭素粒子サイズの初期減少(例えば、<300ミクロン)をもたらし得る。次に炭素は、任意で、粒径をさらに小さくするためにS3の湿式粉砕がされる。さらなる任意の工程として、剥離工程S5を促進するために、挿入剤が工程S4で添加されてもよい。この剥離工程の後、中和剤がS6に於いて任意で導入され、分散剤(リグノスルホン酸塩、PCE、又は他の適切な薬剤等)がS7に於いて、hBGO分散体での安定性を改善しかつ凝集を減少させるために添加される。次に、混合物は、S8の剥離工程に於いて高剪断混合環境に供される。この剥離工程は、分散体中のBGOの濃度及び粒径分布が所望の目標範囲に達するまで続けてもよい。
【0016】
当業者であれば、これらの工程の変更、並べ替え、又は組み合わせが可能であることを理解するであろう。例えば、第1の実装形態に於いて、溶媒中での分散S2の初期工程と分散剤の添加S7とは、分散剤の水溶液を提供し、続いて工程S8で、剥離のために分散剤の水溶液と黒鉛状炭素とを組み合わせることによって、効果的に組み合わせることができる。湿式粉砕工程は、仮に行うのであれば、挿入剤の導入と組み合わせてもよく(湿式粉砕の間に使用される溶媒に添加されてもよい)、又はその代わりに、挿入剤の添加を剥離工程S5で行ってもよい。分散剤及び中和剤の添加の順序は逆であってもよく、又は2つの成分をhBGOに一緒に添加してもよい;又は分散剤を剥離の前又は剥離中に添加してもよい。水性分散体中のBGOの最終濃度及び粒度分布は、S8の最終剥離の間に1つ以上の成分を添加することによって調節され得るが、この様な調節はまた、所望される場合、本プロセスに於いてより早期に実施され得る。
【0017】
図2は、hBGOの製造のための例示的なシステム100の概略図である。簡単に述べると、バイオチャー及び水性分散剤(この例では、水性リグノスルホン酸塩)が、オペレーターの制御下での投与システムによって高剪断ミキサーに供給され、所望の用途に従って特定の濃度で分散したhBGOを生成する。得られたhBGOをコンクリートバッチミキサーに供給することができる。
【0018】
例示的なシステム100では、バイオチャー源15、即ちこの例では一次ホッパーが、回転フィーダー20を介して二次ホッパー25にバイオチャーを供給する。ロードセル30は、二次ホッパー内に所定量が収容されるまで二次ホッパー内に供給されるバイオチャーの重量を測定する。ロードセル30の出力はデジタルコントローラ10(例えば、プログラマブルロジックコントローラ、デスクトップコンピュータ、又はその他の適切なマイクロプロセッサベースのコンピューティングシステム)に向けられ、このデジタルコントローラ10はセンサ出力を監視し、オペレータ入力5に基づいて、バルブ及び高剪断ポンプ等のシステムの様々な構成要素の動作を制御する。デジタルコントローラ10が一次ホッパー15から目標量のバイオチャーが得られると判断すると、第2ホッパー25内のバイオチャーは、スライドゲート弁35を介して高剪断ポンプ40に放出される。
【0019】
水性分散剤はタンク45に貯留され、流量制御弁50を通して高剪断ポンプ40に供給される。デジタルコントローラ10と通信する流量計60は、タンク45からの流れを監視して、ポンプ40に入る分散剤の(おおよその)量を決定する。ポンプ40内への分散剤の流れは、バイオチャーを注入口流内及び高剪断ポンプ40の渦巻き内に引き込む。ポンプ40に流入する特定量の分散剤が検出されると、デジタルコントローラ10はバルブ50を閉じる。
【0020】
高剪断ポンプ40の可変周波数駆動部42(例えば、高剪断混合を提供するためにロータ又はインペラを回転させることが可能なSilversonTM High Shear Inline Mixer,Silverson Machines, Inc.、米国マサチューセッツ州)は、デジタルコントローラによって制御される。ポンプ40が作動すると、そのロータは機械的及び水力学的力を生成して、浮遊バイオチャー粒子(典型的には50ミクロンを超える)をステータに向かわせ、hBGOを生成するためにBGOを粉砕し、剥離し、水性分散剤中に分散させる。得られたhBGOは、出口及び開放バルブ55(バルブ75はこの段階で閉じられてもよい)を通ってhBGO保持容器又はタンク60に導かれ、ここで、分散剤中のBGOの濃度はインライン紫外-可視(UV-vis)分光光度計65を用いて測定され、これはUV-vis光吸光度測定から濃度を推定するために使用され得る。hBGOの分散が特定のUV-vis吸光度範囲内である場合、バルブ75を開き、hBGOをコンクリートドラムミキサーに分配することができる。さもなければ、hBGOはバルブ70を通って高剪断ポンプ40に繰り返し再循環させることができ、ここで、BGOの濃度が特定の範囲を満たすまで、さらなる剪断のために、追加の分散剤、バイオチャー、又はその両方をポンプに添加することができる。
【0021】
hBGOの濃度と任意で品質とは、他の手段によって決定することができる。別の例として、分散剤中のBGOの粒度分布は、hBGOによるレーザー放射光子の回折から導かれる粒度の推定値に基づいて、インラインレーザー回折センサー(図1には示されていない)を用いて測定されてもよい。決定された粒度分布が目標範囲内にある場合(例えば、品質目標がポルトランドセメントの典型的な粒度と一致し、50ミクロン未満で90%に設定されてもよい)、バルブ75を開き、hBGOをコンクリート製ドラムミキサーに分配することができる。さもなければ、上述のように、hBGOはバルブ70を通って高剪断ポンプ40に繰り返し再循環させることができ、ここで、BGOの粒径が特定の範囲を満たすまで、さらなる剪断のために、任意で追加の分散剤及び/又はバイオチャーをポンプに添加することができる。当業者はBGOの濃度又はhBGOの品質を決定するために、他の公知のセンサ及び技術が用いられてもよいことを理解するだろう。
【0022】
投入バイオチャー及び分散剤はコンピューターの制御下にあるので、得られるhBGOの特定の組成は、特定の用途に適合するように操作者によって特定され得る。例えば、コンクリート混合物中に、特定の目標濃度のリグノスルホン酸塩又はPCE(これらが分散剤として使用される場合)を有することが望ましい場合がある。バイオチャーの目標組成(例えば、重量による)及び最終コンクリート混合物中の分散剤に対するバイオチャーの目標比率に基づいて、異なる組成を提供することができる。これらの投入は任意の制約(例えば、コンクリート中の分散剤の最大用量)と共に、高剪断ポンプ40のための分散剤及びバイオチャーの投入割合又は量を決定するために、及び高剪断ポンプ40によって生成されるhBGO中のBGOの目標濃度又は濃度範囲を決定するために使用され得る。さらに、前記システムは、所望のコンクリートミックスのためのhBGO中のBGO濃度のカスタマイズを許容するので、システムは作業現場に運搬可能なスキッド上に提供され得、その結果、hBGO分散体はコンクリートと混合される準備ができたオンサイトで要求に応じて生成され得る。あるいは、hBGOがオフサイトで製造され、貯蔵のためにプラスチック又は金属容器に分配され、コロイド又は乾燥形態のいずれかでコンクリート製造又は混合施設に輸送され得る。
【0023】
前述の例示的なプロセスは、コンクリート混和剤として使用するための所定濃度のhBGOを生成するために、予め計算された量の黒鉛状炭素源及び水性分散剤に対して実施することができる。別の例示的なプロセスでは、最終混和剤の成分が分散又は剥離の間に計算され、投与されてもよい。図3は、hBGOの製造のためのさらなる例示的なシステム200の概略図である。前述のように、デジタルコントローラ110へのオペレータ入力5によって制御される同様の投与システムを使用して、当業者によって理解されるように、システム200内の様々なポイントからセンサ入力を受け取り、バルブ、ポンプ、及びミキサーを適切なサイクルを通して構成要素の流れに制御することができる。従って、この例示的なシステムでは、デジタルコントローラ110が、二次ホッパー内で目標量が受け取られたことをロードセル122フィードバックから決定するまで、一次ホッパー115内の黒鉛状炭素源(例えばバイオチャー)は回転式フィーダー118を介して二次ホッパー120内に供給される。次いで、このバイオチャーは(例えば、スライドバルブを開くことによって)高剪断分散ユニット130に分配され、そこで、最初に水中に分散される。また、水量は、流量計132からの出力を監視するデジタルコントローラ110によって制御されてもよい。水及び黒鉛状炭素は、前述の高剪断ポンプのような高剪断分散ユニット130等の高剪断環境に供される。適切なユニットの別の例は、カナダ、オンタリオ州ウォータールーのQuadro Engineering Corp.製Quadro(登録商標)Ytron ZCTM Disperserである。追加の湿式粉砕及び/又は挿入の工程を行う場合、最初の分散体は、ポンプ140を用いて高剪断湿式粉砕ユニット150等の別の高剪断環境にポンプ輸送され、そこでバイオチャーの粒径をさらに減少させることができ、かつ剥離を生じさせることができる。適切なユニット150は、Quadro Engineering Corp.から入手可能なQuadro(登録商標)HVTM Emulsifier & Wet Millを含む。
【0024】
分散は、ポンプ140を使用してユニット150及びタンク反応器160を通って循環される。分散体はタンク反応器160内にある間、実質的に均一な分散体を生成するために、ミキサー170によって連続的に混合されてもよい。1つ以上のセンサ(例えば、pH計162、温度センサ164、分光光度計166及び/又はレーザー回折センサ168)もまた、hBGOの濃度及び/又は粒径分布及び/又は品質を検出するために、並びに、場合によっては、挿入剤、中和剤及び分散剤の投与を実施するために提供される。挿入剤は、例えば投入ポンプを用いてタンク反応器160に分配され、そこで混合器170によって混合される。分散体は、ポンプ140によって、BGOが剥離される(又はさらに剥離される)高剪断湿式粉砕ユニット150を通って循環され、次いで、タンク反応器160に戻って循環され、タンク反応器160では、1つ又は複数のセンサが、目標値又は範囲(例えば、BGOの濃度、及び/又は粒径分布)が達成されるまで分散体の特性を測定する。目標が達成されると、場合により、挿入剤は、中和剤の添加により中和される。例えば、pHセンサ162が目標pHレンジに到達したことを示すまで、あるいはインターカラントの量に基づく中和剤の適当な投与量が計算され、タンク反応器160に導入されるまで、分散体に局所煙道ガス源(local flue gas source)からCOをスパージすることができる。次いで、水性界面活性剤のような分散剤を添加し、タンク反応器160中のhBGO分散体中に混合することができる。続いて、最終BGO濃度及び目標粒径分布が達成されるまで、剥離のためにユニット150を通して分散体を循環させることができる。次いで、最終分散体を分配することができる。
【0025】
当業者に理解されるように、前記の例示的なプロセス及び変形例は、中間化学物質又は副生成物を除去するためのさらなる分離又は精製の工程の必要がないので、プロセスが実質的に無駄を生じないという点で、コンクリート混和剤として使用する準備ができた安定なhBGO分散体の「ワンポット」合成を提供する。実施例の方法で使用するために選択された化学物質は、黒鉛状炭素からの酸化グラフェンの製造を容易にすること、及びコンクリート添加剤としての酸化グラフェンの効果を高めることの両方によって、二重の目的を果たす。プロセスの高い原子経済性のために、コスト及び生産性は低く保たれ、廃棄物を最小限に抑えることができる。
【0026】
従って、水性酸化グラフェンの水性分散体を含むコンクリート添加剤であって、前記酸化グラフェンが酸化バイオグラフェンであってもよい、コンクリート添加剤が提供される。
【0027】
さらに、酸化グラフェンの水性分散体を製造する方法が提供され、本方法は酸化グラフェンを剥離するために、分散剤の存在下、水又は水溶液中のグラファイト炭素を高剪断環境に供することを含む。
【0028】
一態様では、本方法が前記水又は水溶液中の前記黒鉛状炭素を高剪断環境に供する前に、前記水又は水溶液中の前記黒鉛状炭素に分散剤を添加する工程をさらに含む。
【0029】
別の態様では、本方法が前記分散剤を添加する工程の前に、前記水又は水溶液中の前記黒鉛状炭素を湿式粉砕する工程をさらに含む。
【0030】
さらなる態様では、本方法が前記水又は水溶液中の前記黒鉛状炭素を高剪断環境に供する前に、又はそれと同時に、前記水又は水溶液中の前記黒鉛状炭素に挿入剤を添加することをさらに含む。
【0031】
別の態様では、前記挿入剤は、苛性挿入剤を含む。前記挿入剤は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化リチウムのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、前記挿入剤は水酸化カリウムを含む。
【0032】
さらに別の態様では、本方法が前記分散剤を添加する前に、前記水又は水溶液中の剥離した酸化グラフェンを中和することをさらに含む。中和は、酸を添加すること、又は前記水又は水溶液中の剥離した酸化グラフェンを二酸化炭素でスパージングすることを含むことができる。
【0033】
さらなる態様では、前記水又は水溶液中の前記黒鉛状炭素を高剪断環境に供する工程が、高剪断湿式粉砕に於いて、前記水又は水溶液中の前記黒鉛状炭素を循環させることを含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、前記黒鉛状炭素は、水である水性溶媒溶液に提供される。
【0035】
一態様では、前記分散剤は、少なくともリグノスルホン酸塩及び/又はポリカルボン酸エーテルを含む。
【0036】
さらに別の態様では、本方法が、前記黒鉛状炭素及び前記分散剤を、所定の割合で前記水溶液中に受け取り、剥離後の水性分散体中の酸化グラフェンの濃度又は粒径分布を測定し、並びに、測定された濃度又は粒径分布に応じて水性分散体中の前記酸化グラフェンを高剪断環境下に再循環させることにより、コンクリート組成物に必要な黒鉛状炭素の量及び前記分散剤の量を決定することをさらに含む。
【0037】
さらなる態様では、前記黒鉛状炭素がバイオチャーであり、剥離された酸化グラフェンが剥離された酸化バイオグラフェンである。
【0038】
酸化グラフェンの水性分散体を含むコンクリート混和剤も提供される。
【0039】
一態様では、前記酸化グラフェンはバイオチャー由来の酸化グラフェンである。
【0040】
別の態様では、前記水性分散体は分散剤を含む。前記分散剤は、少なくともリグノスルホン酸塩及び/又はポリカルボン酸エーテルを含む。
【0041】
さらなる態様では、前記コンクリート混和剤は、炭酸カリウム及び/又は炭酸ナトリウムを含む。
【0042】
別の態様では、前記コンクリート混和剤は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化リチウムのうちの少なくとも1つを含む。一実施形態では、前記混和剤は水酸化カリウムを含む。
【0043】
さらに別の態様では、前記コンクリート混和剤は、減水剤又は可塑剤をさらに含む。
【0044】
前記コンクリート混和剤は、コンクリート組成物に含めることができる。
【0045】
また、黒鉛状炭素源;分散剤源;前記黒鉛状炭素源及び前記分散剤源と流体連通する入口を含む高剪断装置であって、水性酸化グラフェンを製造する高剪断装置;前記高剪断装置の出口と流体連通し、前記水性酸化グラフェンを収容する容器;収容された前記水性酸化グラフェン中の酸化グラフェンの少なくとも1つの特性を決定するための少なくとも1つの測定手段、を含む装置も提供される。一態様では、前記高剪断装置が湿式粉砕ユニットを含む。
【0046】
一態様では、前記装置が、前記容器と流体連通する出口を有する挿入剤源をさらに含む。
【0047】
別の態様では、前記装置が、前記容器と流体連通する出口を有する中和剤源をさらに含む。
【0048】
さらなる態様では、少なくとも1つの特性がpH、酸化グラフェンの濃度、及び/又は粒径分布を含む。
【0049】
さらに別の態様では、少なくとも1つの計測手段がpH計、分光光度計、及び/又はレーザー回析センサを含む。
【0050】
当業者は、hBGO分散体の製造が達成される限りに於いて、図2及び図3に示すシステムの変更が可能であることを理解するであろう。様々な要素は、省略又は組み合わせることが可能である。例えば、水性分散体中で剥離する前に、図3のシステム200のユニット150に於ける湿式粉砕する準備段階は省略することでき、あるいは挿入剤の添加と組み合わせることができる。いくつかの実施態様では、湿式粉砕が挿入剤及び/又は中和剤を添加せずに実施することができる。分散剤は、高剪断湿式粉砕ユニットを通る循環の前に、分散体に添加されてもよい。生成されたhBGOの特性又は品質を測定するために、異なるタイプのセンサを採用してもよい。この様な変更は、十分に当業者の能力の範囲内である。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2022-02-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化グラフェンの水性分散体を製造する方法であって、
前記方法は、水又は水溶液中の黒鉛状炭素を、分散剤の存在下、高剪断環境に供して酸化グラフェンを剥離することを含む。
【請求項2】
前記水又は水溶液中の前記黒鉛状炭素を高剪断環境に供する前に、前記水又は水溶液中の前記黒鉛状炭素に前記分散剤を添加する工程を含み、
さらに任意で、前記分散剤を添加する工程の前に、前記水又は水溶液中の前記黒鉛状炭素を湿式粉砕する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水又は水溶液中の前記黒鉛状炭素を高剪断環境に供する前に、又はそれと同時に、前記水又は水溶液中の黒鉛状炭素に挿入剤を添加する工程をさらに含み、
前記挿入剤は、好ましくは苛性挿入剤を含み、より好ましくは水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化リチウムのうちの少なくとも1つを含み、さらに好ましくは水酸化カリウムを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記分散剤を添加する前に、前記水又は水溶液中の剥離された酸化グラフェンを中和する工程をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記中和する工程が、前記水又は水溶液中の剥離された酸化グラフェンを、二酸化炭素でスパージングすることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記水又は水溶液中の前記黒鉛状炭素を高剪断環境に供する工程が、高剪断湿式粉砕に於いて、前記水又は水溶液中の前記黒鉛状炭素を循環させることを含む、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記黒鉛状炭素が水に供給される、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記分散剤がリグノスルホン酸塩、ポリカルボン酸エーテル又は少なくともポリカルボン酸エーテル及びリグノスルホン酸塩の組成物を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記黒鉛状炭素及び前記分散剤を、所定の割合で前記水溶液中に受け取り、
剥離後の水性分散体中の酸化グラフェンの濃度又は粒径分布を測定し、並びに、
測定された濃度又は粒径分布に応じて水性分散体中の前記酸化グラフェンを高剪断環境下に再循環させることにより、
コンクリート組成物に必要な黒鉛状炭素の量及び前記分散剤の量を決定することをさらに含む、請求項1~8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記黒鉛状炭素がバイオチャーであり、剥離された酸化グラフェンが剥離された酸化バイオグラフェンである、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
酸化グラフェンの水性分散体を含むコンクリート混和剤。
【請求項12】
前記酸化グラフェンがバイオチャー由来の酸化グラフェンである、請求項11に記載のコンクリート混和剤。
【請求項13】
前記水性分散体が分散剤を含む、請求項11又は12に記載のコンクリート混和剤。
【請求項14】
前記分散剤がリグノスルホン酸塩、ポリカルボン酸エーテル、又は少なくともポリカルボン酸エーテル及びリグノスルホン酸塩の組成物を含む、請求項13に記載のコンクリート混和剤。
【請求項15】
炭酸カリウム及び/又は炭酸ナトリウムをさらに含む、請求項1114のいずれか1項に記載のコンクリート混和剤。
【請求項16】
水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化リチウムのうちの少なくとも1つ、好ましくは水酸化カリウムをさらに含む、請求項1115のいずれか1項に記載のコンクリート混和剤。
【請求項17】
減水剤又は可塑剤をさらに含む、請求項1116のいずれか1項に記載のコンクリート混和剤。
【請求項18】
請求項1117のいずれか1項に記載のコンクリート混和剤を含むコンクリート組成物。
【国際調査報告】