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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-15
(54)【発明の名称】開口部の拡張のためのバルーン
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/37 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
A61F5/37 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021573334
(86)(22)【出願日】2020-06-12
(85)【翻訳文提出日】2022-02-02
(86)【国際出願番号】 AU2020050597
(87)【国際公開番号】W WO2020248021
(87)【国際公開日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】2019902063
(32)【優先日】2019-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521539454
【氏名又は名称】アイピーエイチ001 ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ アンドリュー イー.
【テーマコード(参考)】
4C098
【Fターム(参考)】
4C098AA02
4C098BB20
4C098BC50
(57)【要約】
【課題】 開口部の拡張のためのバルーンが開示される。
【解決手段】 バルーンは、頭部を有する中空の本体を備える。本体は、遠位端において閉じ、近位端において開口している。頭部は、遠位端から延びている。さらに、バルーンは、本体の開口した近位端と遠位端との間に位置する中空の首部を備える。バルーンにおいて、首部の肉厚は頭部の肉厚よりも大きい。一変種においては、バルーンを、バルーンの膨張時に頭部が前記長手方向よりも半径方向により大きく拡張し、膨張時に本体の直径がほぼ一定のままであるように構成することができる。開口部の拡張のためのシステムも開示される。システムは、そのようなバルーンと、バルーンを膨張させるための膨張装置とを含む。このシステムと容器とを備えるキットも開示される。さらに、バルーンを形成するための金型および方法が開示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部の拡張のためのバルーンであって、
頭部を有しており、遠位端において閉じられ、近位端において開口しており、前記頭部は前記遠位端から延びている中空の本体と、
前記本体の前記開口した近位端と前記遠位端との間に位置する中空の首部と
を備えており、
前記首部の肉厚は、前記頭部の肉厚よりも大きい、バルーン。
【請求項2】
前記遠位端における前記頭部の肉厚は、前記頭部の残りの部分の肉厚よりも大きい、請求項1に記載のバルーン。
【請求項3】
前記首部の第1の端部が、前記本体の前記近位端から前記首部の第2の遠方の端部まで延びている、請求項1または2に記載のバルーン。
【請求項4】
前記首部の前記第1の端部は、前記第1の端部から外へと突出する周状リップを備える、請求項3に記載のバルーン。
【請求項5】
前記首部は、前記第1および第2の端部の中間の腰部を備える、請求項3または4に記載のバルーン。
【請求項6】
前記腰部の肉厚は、前記首部の残りの部分の肉厚よりも小さい、請求項5に記載のバルーン。
【請求項7】
前記腰部は、前記首部の一部分の肉厚が次第に小さくなるように形成される、請求項5または6に記載のバルーン。
【請求項8】
前記首部の外径が、前記首部の長さにわたって実質的に一定である、請求項1~7のいずれか一項に記載のバルーン。
【請求項9】
前記首部の外径は、約5mm~約15mmの範囲である、請求項8に記載のバルーン。
【請求項10】
前記頭部は、収縮状態において約6mm~約18mmの範囲の直径を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のバルーン。
【請求項11】
前記近位端の前記開口は、8mmなど、約5mm~約10mmの範囲の直径を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のバルーン。
【請求項12】
開口部の拡張のためのバルーンであって、
頭部を有しており、遠位端において閉じられ、近位端において開口しており、長手軸が前記遠位端と前記近位端との間を延びており、前記前記頭部は前記遠位端から延びている中空の本体
を備えており、
当該バルーンは、当該バルーンの膨張時に前記頭部が前記長手方向よりも半径方向により大きく拡張し、膨張時に前記本体の直径はほぼ一定のままであるように構成されている、バルーン。
【請求項13】
前記長手方向に沿って延びる当該バルーンの長さが、膨張時にほぼ一定のままである、請求項12に記載のバルーン。
【請求項14】
前記本体は、前記頭部と前記近位端との間に位置する首部を定め、前記首部の直径は、膨張時に実質的に変わらないままである、請求項12または13に記載のバルーン。
【請求項15】
他の点については請求項1~11のいずれか一項に定められる請求項12~14のいずれか一項に記載のバルーン。
【請求項16】
シリコーンから形成された、請求項1~15のいずれか一項に記載のバルーン。
【請求項17】
前記本体および頭部は、互いに一体である、請求項1~16のいずれか一項に記載のバルーン。
【請求項18】
収縮状態において当該バルーンがそれ自体でつぶれないように自立する、請求項1~17のいずれか一項に記載のバルーン。
【請求項19】
開口部の拡張のためのシステムであって、
請求項1~18のいずれか一項に記載のバルーンと、
前記バルーンを膨張させるための膨張装置と
を備える、システム。
【請求項20】
前記バルーンに出入りする流体の流れを調節するための流量調節器をさらに備え、
前記流量調節器は、前記バルーンを膨張状態に保つために使用される、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記バルーンを前記膨張装置に接続するために使用されるコネクタをさらに備える、請求項19または20に記載のシステム。
【請求項22】
開口部の拡張のためのキットであって、
請求項19~21のいずれか一項に記載のシステムと、
前記システムを収容する容器と
を備える、キット。
【請求項23】
開口部の拡張に使用されるバルーンを形成するための金型であって、
前記バルーンは、
頭部を有しており、遠位端において閉じられ、近位端において開口しており、前記頭部は前記遠位端から延びている中空の本体と、
前記本体の前記開口した近位端から延びる中空の首部と
を備え、
当該金型は、
前記本体を形成するための第1の領域と、前記頭部を形成するための第2の領域とを有するスピゴット
を備え、
前記第1の領域は、第1の直径を有し、前記第2の領域は、第2の直径を有し、前記第1の直径は前記第2の直径よりも小さい、金型。
【請求項24】
前記スピゴットは、前記首部に腰部を形成するための第3の領域をさらに備え、前記第3の領域は、前記第1の直径よりも小さい第3の直径を有する、請求項23に記載の金型。
【請求項25】
前記スピゴットを受け入れるための雌部分をさらに備え、
前記雌部分は、ほぼ一定の内径を有する内腔を有している、請求項23または24に記載の金型。
【請求項26】
前記バルーンが他の点については請求項1~18のいずれか一項に定められる請求項23~25のいずれか一項に記載の金型。
【請求項27】
開口部の拡張に使用されるバルーンを形成する方法であって、
請求項23~26のいずれか一項に記載の金型を用意するステップと、
前記金型にバルーン前駆体を適用するステップと、
前記バルーン前駆体を硬化させ、前記バルーンを形成するステップと
を含む方法。
【請求項28】
前記バルーン前駆体は、硬化してシリコーン系バルーンを形成するシリコーン前駆体材料である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記バルーンをさらに硬化させるための事後硬化ステップをさらに含む、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
前記バルーンが他の点については請求項1~18のいずれか一項に定められる請求項27~29のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広くには、男性の包皮などの開口部を拡張するために使用されるバルーンに関する。
【背景技術】
【0002】
包茎は、男性の包皮が異常にきついがゆえに、包皮を陰茎の頭部(または、亀頭)から適切に後退させることができない状態である。この状態を抱える多くの男性にとって、この状態は生まれつきである。さらに、包茎は、外傷、感染、または自己免疫疾患によって引き起こされる可能性もある。ファスナ外傷が、包茎の充分に実証された原因であり、硬化性苔癬および閉塞性乾燥性亀頭炎(BXO)が、包茎を引き起こすことが知られている自己免疫疾患である。
【0003】
時間が経つにつれて、包茎は、包皮の開口部が裂けることによって悪化して、瘢痕を生じる可能性もある。包茎は、感染症の可能性を高め、恥垢(包皮下の白色物質)の蓄積、排尿時の包皮の膨張、性交時の痛み、および性交時の感覚の喪失につながる可能性がある。より深刻な状態である嵌頓包茎は、きつい包皮が陰茎の頭部を越えて引き戻されてそこに留まり、血流を妨げる場合に生じる。これは、すぐに陰茎の永久的な損傷および/または喪失につながる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
包茎の治療に使用される装置は、包皮の下方にバルーンを挿入し、その場でバルーンを穏やかに膨張させて、包皮を伸張させる。この手順が、包茎を治療するために、数日から数ヵ月にわたって繰り返される。現在のバルーンにおける問題は、それらが必ずしも包皮の下方の正しい位置に留まらず、それらの膨張特性に必ずしも再現性がなく、したがって患者に一貫した治療を提供することが困難になりかねないことである。
【0005】
本明細書における先行技術への言及が、その刊行物がオーストラリアまたは他の国における当該技術分野の共通の一般的知識の一部を形成するとの承認を構成するものではないことを、理解すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、第1の態様において、開口部の拡張のためのバルーンを提供する。バルーンは、頭部を有する中空の本体を備え、本体は、遠位端において閉じられ、近位端において開口し、頭部は遠位端から延びている。さらに、バルーンは、本体の開口した近位端と遠位端との間に位置する中空の首部を備える。首部の肉厚は、頭部の肉厚よりも大きい。
【0007】
首部の肉厚を頭部の肉厚よりも大きくする利点は、バルーンを膨張させるときに、首部が拡張しなくてよく、あるいは首部の拡張が実質的に最小限で済むことである。これは、膨張時の頭部の拡張がほぼ一様であることを確実にする役に立つことができ、これは、バルーンによって拡張される開口部に均一な圧力が加えられることを確実にする役に立つことができる。例えば、包茎の治療時に、バルーンのほぼ一様な拡張が、包皮に均一な圧力を加えることができる。さらに、バルーンの頭部のほぼ一様な拡張は、使用時にバルーンが開口部から滑り出ないことを確実にする役に立つことができる。
【0008】
一実施形態において、遠位端における頭部の肉厚は、頭部の残りの部分の肉厚よりも大きくてよい。遠位端(例えば、頭部の先端領域/端部)における頭部の肉厚を頭部の残りの部分の肉厚よりも大きくすることで、バルーンを、膨張時に、本体の近位端から遠位端へと延びる長手方向よりも、半径方向により大きく拡張させることを可能にできる。いくつかの実施形態において、頭部は、膨張時に半径方向にのみ拡張でき、すなわちバルーンの頭部が、長手方向には拡張しない。頭部の拡張を半径方向に限定することは、バルーンが長手方向の力よりもむしろ半径方向の力だけを開口部へと作用させることを確実にするのに役に立つことができる。包皮などの組織に関して、長手方向の拡張を最小限に抑えることは、膨張中にバルーンが包皮の下方から出てしまうことを防止する役に立つことができる。
【0009】
一実施形態においては、首部の第1の端部が、本体の近位端から首部の第2の遠方の端部まで延びる。首部の第1の端部は、第1の端部から外へと突出する周状リップを備えることができる。首部は、首部の第1および第2の端部の中間の腰部を備えることができる。腰部の肉厚は、首部の残りの部分の肉厚よりも小さくてよい。腰部を、首部の一部分の肉厚が次第に小さくなるように形成することができる。腰部を有することで、製造時に本体を金型から取り外すことを可能にするための或る程度の柔軟性を本体に与えることを助けることができる。さらに、腰部は、バルーンの形成に必要な材料の量を減らす役に立つことができる。
【0010】
首部の外径は、首部の長さにわたって実質的に一定であってよい。首部の外径は、約10mmなど、約5mm~約15mmの範囲であってよい。首部の一部分が、実質的に一定の外径を有することができ、首部の別の部分が、一定でない外径を有してもよい。頭部は、収縮状態において約6mm~約18mmの範囲の直径を有することができる。近位端の開口は、約5mm~約10mmの範囲の直径を有することができる。一実施形態において、開口の直径は、約8mmである。近位端を、膨張装置に取り付けられるように構成することができる。
【0011】
本開示は、第2の態様において、開口部の拡張のためのバルーンを提供する。バルーンは、頭部を有する中空の本体を備え、本体は、遠位端において閉じられ、近位端において開口し、長手軸が遠位端と近位端との間を延びている。頭部は、遠位端から延びている。バルーンは、バルーンの膨張時に頭部が長手方向よりも半径方向により大きく拡張し、膨張時に本体の直径がほぼ一定のままであるように構成される。
【0012】
長手方向に沿って延びるバルーンの長さは、膨張時にほぼ一定のままであってよい。本体は、頭部と近位端との間に位置する首部を定めることができる。首部の直径は、膨張時に実質的に変わらないままであってよい。第2の態様のバルーンは、他の点については第1の態様について定められたとおりであってよい。
【0013】
本開示の一実施形態においては、バルーンをシリコーンから形成することができる。本体および頭部は、互いに一体であってよい。収縮状態においてバルーンがそれ自体でつぶれないように、バルーンは自立であってよい。自立するバルーンは、ユーザによるバルーンの開口部への挿入を助けることができる。例えば、開口部が耳である場合、自立するバルーンは、患者の向きに関係なく、ユーザが耳へとバルーンを挿入することを可能にすることができ、開口部が包皮と陰茎の頭部との間の空間である場合、自立するバルーンは、包皮の下方へのバルーンの配置を助けることができる。
【0014】
さらに、本開示は、別の態様において、開口部の拡張のためのシステムであって、上述のとおりのバルーンと、バルーンを膨張させるための膨張装置とを備えるシステムを提供する。
【0015】
システムは、バルーンに出入りする流体の流れを調節するための流量調節器をさらに備えることができる。流量調節器を、バルーンを膨張状態に保つために使用することができる。システムは、バルーンを膨張装置に接続するために使用されるコネクタをさらに備えることができる。コネクタは、バルーンの近位端を流量調節器にクランプするように機能することができる。
【0016】
さらに、本開示は、別の態様において、上述のようなシステムと、システムを収容するための容器とを備えるキットを提供する。容器は箱であってよい。箱は、ボール紙および/またはプラスチックであってよい。キットは、システムを操作するための指示を含むことができる。
【0017】
さらに、本開示は、別の態様において、開口部の拡張に使用されるバルーンを形成するための金型を提供する。バルーンは、頭部を有し、遠位端において閉じられ、近位端において開口した中空の本体と、本体の開口した近位端から延びる中空の首部とを備える。金型は、本体を形成するための第1の領域と、頭部を形成するための第2の領域とを有するスピゴットを備える。第1の領域は、第1の直径を有し、第2の領域は、第2の直径を有し、第1の直径は、第2の直径よりも小さい。
【0018】
スピゴットは、首部に腰部を形成するための第3の領域をさらに備えることができる。第3の領域は、第1の直径よりも小さい第3の直径を有することができる。第2の領域は、本体の近位端の一部を形成する凹部を備えることができる。金型は、スピゴットを受け入れるための雌部分をさらに備えることができる。雌部分は、ほぼ一定の内径を有する内腔を有することができる。バルーンは、上述のとおりのバルーンであってよい。スピゴットを、スピゴットを形成するために互いに接続することができる2つ以上の構成要素から形成することができる。
【0019】
開口部の拡張に使用されるバルーンを形成する方法も開示される。この方法は、上述のとおりの金型を用意するステップと、金型にバルーン前駆体を適用するステップと、バルーン前駆体を硬化させてバルーンを形成するステップとを含む。
【0020】
バルーン前駆体は、硬化してシリコーン系バルーンを形成するシリコーン前駆体材料であってよい。この方法は、バルーンをさらに硬化させる事後硬化ステップをさらに含むことができる。バルーンは、上述のとおりのバルーンであってよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】スピゴットに取り付けられたときの収縮状態にある本開示のバルーンの一実施形態の側面図である。
図2】膨張状態にある図1のバルーンの側面図である。
図3】バルーンの一実施形態の一部分の断面図を示している。
図4】バルーンの別の実施形態の一部分の断面図を示している。
図5】バルーンの別の実施形態の断面図を示している。
図6】スピゴットに取り付けられたときの収縮状態にある本開示のバルーンの一実施形態の側面図を示している。
図7】バルーンの一実施形態を形成するために用いられる金型の断面図を示している。
図8】バルーンの一実施形態を形成するために用いられる雄型構成要素を示している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、いくつかの実施形態を、添付の非限定的な図面を参照して、あくまでも例として説明する。
【0023】
開口部の拡張のためのバルーンが開示される。図1および図2を参照すると、バルーン10は、中空円筒部16の形態の中空の本体を有する。円筒部16は、基部12の形態の近位端(第1の端部)を有する。首部22が基部12から延びている。首部22は、円筒部16と一体に形成されている。図3に最もよく示されているように、円筒部16は、内面34および外面32を有する。外面32の直径は、基部12から首部22までほぼ一定のままである。頭部18が首部22から延びている。バルーン10の遠位端(例えば、先端)において、端部20の形態の先端領域が末端となる。首部22は、基部12に近い(近位側の)第1の端部と、基部12から遠い(遠位側の)第2の端部とを有する。簡単に言えば、首部22の各々の端部は、互いに軸方向に離間している。
【0024】
抵抗バンド26の形態のリップが、基部12において外面32上に位置する。抵抗バンド26は、基部12が膨張装置に関連付けられたフィッティングに被せられたときに圧縮力を加え、バルーン10を流体で膨張させるときの流体の漏れを防止するように作用する。図1および図2において、フィッティングはスピゴット14の形態である。基部12がスピゴット14に被せられるとき、スピゴット14の外面が内面34と接触し、抵抗バンド26が、内面34をスピゴット14の外面に押し付けるように作用する。さらに、補助リング28の形態のコネクタが、円筒部16をスピゴット14へと押し付けるために、基部12の近くで円筒部16上に取り付けられる。スピゴット14は、流量調節器の一部を形成することができる。補助リング28は、セーブルクランプ(sable clamp)などのクランプとして作用して、円筒部16に半径方向の圧縮力を加える。補助リング28は、バルーン10の基部12をスピゴット14に取り付けられた状態に確実に保つ役に立つ。しかしながら、補助リング28は、すべての実施形態において必要とされるわけではなく、例えばバルーン10が補助リングを伴わずにスピゴットに取り付けられる図6を参照されたい。さらに、抵抗バンド26も、すべての実施形態において必要とされるわけではない。
【0025】
円筒部16は、基部12と首部22との間に位置する腰部を有する。図1図3に示される実施形態において、腰部は、内面34を巡って周状に延びるチャネルまたは溝24の形態である。溝24は、内面34から外面32に向かって延びる深さを有する。溝24は、円筒部16の肉厚が次第に薄くなるように形成されている。
【0026】
図1図3に示される実施形態において、基部12の近くの円筒部16の肉厚は、首部22の肉厚とほぼ同様である。いくつかの実施形態において、首部22は、基部12の近くの円筒部の肉厚よりも小さい肉厚または大きい肉厚を有する。首部22および円筒部16の肉厚にかかわらず、位置34aにおける内面と位置32aにおける外面との間の最も小さい厚さによって定められる溝24の肉厚は、基部12の肉厚よりも小さい。さらに、溝24の肉厚は、首部22の肉厚よりも小さい。溝24の内面34aと外面32aとの間の最も小さい厚さは、一般に、例えば位置34aなど、最大溝深さに位置する。溝24の存在は、首部22が、半径方向内側へと延びる不完全な半球または湾曲した断面を有する周状突起によって定められることを意味する。しかしながら、溝24が首部22よりもむしろ基部12に近い場所で円筒部16に沿って位置する実施形態において、首部22は、単に円筒部16の端部領域によって定められてもよい。首部22の肉厚は、内面34と外面32との間の最大距離によって定められる。バルーン10の長手軸が、破線36によって表されている。
【0027】
溝24は、すべての実施形態において必要とされるわけではなく、図4に示されるように、円筒部16の肉厚は、基部12から首部22まで一定である。
【0028】
図1図4に示される実施形態において、頭部18は、球(マッシュルーム)の形状を有する。しかしながら、図5に示されるように、一実施形態において、頭部18は円筒形であり、首部22から軸方向に延びる。
【0029】
頭部18の側壁部分19の厚さは、首部22における肉厚よりも小さい。頭部18の端部20は、側壁部分19よりも大きい肉厚を有する。端部20は、一般に首部22の肉厚よりも小さい肉厚を有するが、いくつかの実施形態において、端部20は、首部22と同じ肉厚を有してもよい。首部22から頭部18への移行部は、円筒部16の肉厚が首部22から側壁部分19へと次第に小さくなるように設けられる。
【0030】
次に、収縮状態(あるいは、非膨張状態または非拡張状態)のバルーン10の一実施形態の具体的な寸法を、図5を参照して説明する。図5の実施形態に関して説明される寸法が、あくまでも例示にすぎず、本開示において述べられるバルーンの寸法を限定するものではないことを、理解すべきである。
【0031】
図5に示されるバルーンにおいて、基部12は、一実施形態において、例えば約1.20mmなど、約1.0mm~2.0mmの範囲の肉厚A’を有する。特定の実施形態において、A’は1.22mmである。円筒部16は、例えば約0.50mmなど、約0.3mm~0.7mmの範囲の内面34aおよび外面32aから延びる肉厚を有する。特定の実施形態において、内面34aから外面32aまで延びる肉厚は、0.52mmである。首部22は、例えば約1.20mmなど、約1.0mm~2.0mmの範囲の肉厚B’を有する。特定の実施形態において、B’は1.21mmである。頭部18の側壁部分19は、例えば約0.3mm~0.4mmなど、約0.2mm~0.6mmの範囲の肉厚C’を有する。特定の実施形態において、C’は0.35mmである。端部20は、例えば約0.90mmなど、約0.7mm~1.1mmの範囲の肉厚D’を有する。特定の実施形態において、D’は0.89mmである。
【0032】
さらに図5を参照すると、バルーン10の軸方向36に沿って延びる基部12から円筒部16の中間点16’までの長さI’は、約10mm~15mmの範囲である。特定の実施形態において、長さI’は約13.5mmである。バルーン10の軸方向36に沿って延びる円筒部16の中間点16’から遠位端16’’までの長さH’は、約10mm~15mmの範囲である。特定の実施形態において、長さH’は約12mmである。首部22は、バルーン10の軸方向36に沿って延びる約1.0mm~3.0mmの範囲の長さG’を有する。特定の実施形態において、長さG’は約2.0mmである。首部22から端部20まで軸方向36に沿って延びる頭部18の長さE’は、約10mm~15mmの範囲である。特定の実施形態において、長さE’は、例えば12.48mmなど、約12.50mmである。
【0033】
さらに図5を参照すると、一実施形態において、軸36から基部12の内壁34までの半径J’は、約3.0mm~4.5mmの範囲である。特定の実施形態において、J’は3.80mmである。特定の実施形態において、長手軸36から基部12の外壁32までの半径K’は、約5mmである。種々の特徴について、軸36からそれぞれの特徴の内壁および外壁までの半径が、それぞれの特徴の肉厚およびバルーン10の全体の直径に依存することを、理解すべきである。図5を参照して説明したバルーン10の寸法は、図1図4に示されるバルーン10の実施形態に適用可能である。
【0034】
図に示されている実施形態において、円筒部16、基部12、抵抗バンド26、溝24、首部22、頭部18、および端部20は、互いに一体である。しかしながら、いくつかの実施形態において、円筒部16、基部12、抵抗バンド26、溝24、首部22、頭部18、および端部20は、互いに一体ではない。
【0035】
バルーン10が患者の包皮を伸ばすために使用される場合など、バルーン10を膨張させるとき、流体がスピゴット14を通過し、基部12を通過して、バルーン10の内部空間へと通される。流体は、一般に空気であるが、随意により液体であってもよい。頭部18は、円筒部16、基部12、および首部22の中で最も小さい肉厚を有するため、頭部が最大の伸び能力(例えば、弾性)を有し、すなわち、頭部18がバルーン10のうちの最初に拡張する領域である。さらに、首部22の肉厚は、バルーン10の膨張時に首部22が拡張せず、あるいは最小限にしか拡張しないように選択される。円筒部16(例えば、溝24および基部12)の肉厚も、バルーン10の膨張時に円筒部16が拡張せず、すなわち円筒部16の直径が実質的に変化しないままであるように選択される。例えば、図1および図2を参照すると、膨張状態(図2)において、首部22を含む円筒部16の外面32の直径は、収縮状態(図1)の首部22と比較して実質的に変化しないままである。バルーン10の利点は、頭部領域18が円筒部16(すなわち、本体)と比較して優先的に拡張することであり、これは、小さく繊細な開口部に関して、頭部18が開口部から滑り出る可能性が低いことを意味する。換言すると、頭部18の肉厚に対する首部22および円筒部16の肉厚は、膨張状態のバルーン10の頭部(すなわち、遠位端)に流体を保つ役に立つ。
【0036】
例えば、包皮の拡張および伸張に使用される現在のバルーンにおいて、バルーンに優先的な拡張は取り入れられておらず、シャフトおよび頭部は互いに比例して拡張する。この結果、充分にきつい包皮の場合、バルーンの頭部が拡張することができず、代わりにシャフトが頭部よりも優先して拡張する。これにより、シャフトが包皮の外側に圧力を加え、頭部が包皮の下方から引き出される。これは、再現性のある患者の治療を困難にする。首部22を含む円筒部16が膨張時に拡張しないため、円筒部16(すなわち、本体)が包皮に引き出しの圧力を加える可能性が低く、これは、バルーン10の頭部18を包皮の下方に維持する役に立つ。したがって、バルーン10の一実施形態は、使用中の開口部からの頭部の引き出しの発生を低減する役に立つ。
【0037】
首部22および円筒部16が、膨張時にわずかに拡張することによって、それぞれの直径を増加させてもよいが、そのような拡張は最小限であり、すなわち首部22および円筒部16の直径の拡張が10%未満であってよいことを、理解すべきである。一実施形態において、頭部18は、収縮状態の最大100%だけ膨張する。例えば、収縮状態の頭部18が約12mmの直径を有し、首部22が約10mmの直径を有する実施形態において、膨張状態の頭部18は、例えば18mmなど、最大24mmの直径を有するように拡張でき、首部22の直径は、例えば10.5mmなど、比較的変化しないままであってよい。一実施形態において、頭部18は、約6mm~約18mmの範囲の収縮状態の外径を有する。一実施形態において、円筒部16は、約8mm~約12mmの範囲の収縮状態の外径を有する。いくつかの実施形態において、収縮状態の円筒部16の外径は、収縮状態の頭部18の直径にかかわらず変化しないままである。いくつかの実施形態において、首部22は基部12と比べて拡張し、頭部18は首部22と比べて拡張する。
【0038】
バルーン10の長手方向長さは、破線36として示されるように、基部12から端部20へと延びる方向に延在する。一実施形態において、頭部18は、バルーン10の長さの約20%~30%を占める。一実施形態において、首部22は、基部12から端部20までの距離の約60%~75%に配置される。一実施形態において、バルーン10の長さは、約30mm~約50mmの範囲である。一実施形態において、頭部は、端部20から基部12に向かって約10mm~約25mm延在する。一実施形態において、基部12から首部22までの距離は、約20mm~約30mmの範囲である。
【0039】
図に示されている実施形態において、頭部18の端部20は、側壁部分19よりも大きい肉厚を有する。首部22と同様に、端部20は、端部20の近くの領域のバルーン10の拡張を制限するように機能する。端部20の拡張の制限は、頭部18がバルーン10の長手方向(例えば、基部12から遠ざかるように延びる線36に沿った方向)よりもむしろ半径方向に拡張することを確実にする役に立つ。いくつかの実施形態において、バルーン10の全長は、収縮状態と膨張状態との間で実質的に変化しないまま(すなわち、15%未満の変化)である。
【0040】
バルーン10は、弾性的に変形可能な材料から作られる。一実施形態において、バルーン10は、図1に示されるように、収縮状態においてバルーン10がそれ自体でつぶれないように、バルーン10の自立を可能にする材料から形成される。一実施形態において、バルーンはシリコーン系材料から形成される。例えば、バルーンを、SILPURAN(登録商標)6000/40という液体シリコーンゴム前駆体から作られるシリコーンゴムから形成することができる。一実施形態において、バルーンは、ゴムなどのポリマー材料から形成される。
【0041】
バルーン10は、例えば包皮によって形成された開口部などの開口部の拡張および伸張に使用される。包皮を伸張させるために、まずバルーン18の頭部18が包皮の下方に挿入される。一般に、端部20が、陰茎の頭部または頭部付近に配置される。一実施形態においては、頭部18を包皮の下方に押し込むために、ロッドなどの挿入器具が使用される。挿入器具は、包皮の下方への頭部18の押し込みを助けるために、バルーン10の内部に挿入することができる。バルーン10は自立可能であるため、これは、バルーン10の挿入および包皮の下方へのバルーン10の維持を助けることができる。
【0042】
バルーン10が包皮の下方に配置されると、バルーン10が膨張させられる。バルーン10を膨張させるために、膨張装置が基部12に接続され、流体がバルーン10へと通される。スピゴット14が、膨張装置の一部を形成する。膨張装置の例として、シリンジまたは圧迫バルブ(squeeze bulb)が挙げられる。いくつかの形態において、膨張装置、バルーン10に出入りする流体の流れを調節するために使用することができるタップまたは弁などの流量調節器を有する。弁は、一方向弁であってもよい。流量調節器は、バルーン10を膨張(拡張)状態に維持するように動作可能である。図1および図2の実施形態においては、バルーン10をスピゴット14に固定するために、補助リング28がバルーン10上に配置される。しかしながら、補助リング28は、図6に示されるように、すべての実施形態において必要とされるわけではない。
【0043】
いくつかの実施形態においては、バルーン10と、バルーン10を収容する容器とを含むキットが提供される。いくつかの実施形態においては、バルーン10を含むシステムと、システムを収容する容器とを含むキットが提供される。容器はボール紙および/またはプラスチックから製作されてよい。容器は、バルーン10および/またはシステムを収容するための凹部を含むことができる。例えば、容器は、複数のバルーン10を保持するための第1の凹部と、システムを保持するための第2の凹部とを含むことができる。
【0044】
ここで図7を参照すると、バルーン10を形成するために使用される金型100が示されている。金型100は、雌型構成要素110の形態の第1の構成要素を有する。雌型構成要素110は、キャビティ120を有する。一実施形態において、キャビティ120は、ほぼ一定の直径および丸みを帯びた底部を有する細長い止まり穴によって定められる。キャビティ120の上部領域は、キャビティ側壁112によって定められる。湾曲壁124が、キャビティ側壁112から延びている。キャビティ120の端部は、底部壁126によって定められる。底部壁126は、湾曲壁124から延びている。キャビティ側壁112、湾曲壁124、および底部壁126を、まとめてキャビティ壁と呼ぶ。キャビティ壁は、バルーン10の外面を定める。一実施形態において、雌型構成要素110は、Calmax工具鋼から形成される。
【0045】
金型100は、図7においてスピゴット114として示されている雄型構成要素の形態の第2の構成要素を有する。スピゴット114は、基部ブロック131から延びる基部125を有する。基部ブロック131が雌型110と係合して、キャビティ120内へのスピゴット114の移動を制限する。バルーン10の基部12および円筒部16を形成するための基部領域127の形態の第1のスピゴット領域が、基部125から延びている。頭部領域118の形態の第2のスピゴット領域が、基部領域127から延びている。頭部領域118は、バルーン10の頭部18を定めるために使用される。基部領域127の直径は、頭部領域118の直径よりも小さい。バルーン10の溝24を定めるために使用される中間領域116が、基部領域127と頭部領域118との間に位置する。中間領域116の直径は、頭部領域118の直径と同じ、または頭部領域118の直径よりも小さくてよいが、中間領域116の直径は、基部領域127の直径よりも大きい。
【0046】
図7の実施形態において、首部22は、中間領域116と頭部領域118との間に位置する首部領域128の周りに形成される。中間領域116を有さない金型100の実施形態においては、首部22は、基部領域127から頭部領域118への移行部によって定められる。一実施形態において、スピゴット114は、7000系のアルミニウムから形成される。
【0047】
肉厚、長さ、および直径など、図5を参照して説明したバルーン10の特徴の寸法は、キャビティ120、基部領域127、頭部領域118、中間領域116、および首部領域128の寸法によって少なくとも部分的に定められる。スピゴットのキャビティ120、基部領域127、頭部領域118、中間領域116、および/または首部領域128の寸法を調整することにより、バルーン10のそれぞれの特徴の寸法が調整される。例えば、キャビティ120の直径を維持しながら基部領域127の直径を減少させると、円筒部16の肉厚が増加する。
【0048】
一実施形態において、スピゴット114は、互いに接続可能な2つ以上の構成要素から形成される。2つ以上の構成要素からスピゴットを形成することは、金型からのバルーンの取り外しに役立つことができる。一実施形態においては、基部領域127、中間領域116、および随意により首部領域128が、第1のスピゴット構成要素によって定められ、頭部領域118および随意により首部領域128が、第1のスピゴット構成要素と接続可能な第2のスピゴット構成要素によって定められる。一実施形態において、首部領域は、第1のスピゴット構成要素、第2のスピゴット構成要素に配置される。首部領域128を、第1のスピゴット構成要素と第2のスピゴット構成要素品とが互いに接続されるときに定めることができる。
【0049】
使用時に、スピゴット114は、キャビティ120に挿入される。キャビティの壁とスピゴットの外面との間に形成される環状部122が、硬化してバルーンを形成するバルーン前駆体材料で満たされる容積を定める。一実施形態において、バルーン前駆体材料は、SILPURAN(登録商標)6000/40という液体シリコーンゴム前駆体である。バルーン10が形成されると、スピゴット114はキャビティ120から取り出され、次いでバルーン10がスピゴット114から取り外される。一実施形態においては、バルーン10の形成に続いて、バルーンの事後硬化が行われる。事後硬化は、約200℃などの高い温度であってよい。しかしながら、事後硬化は、必ずしもすべての実施形態において必要ではない。適切な剥離剤を使用して、バルーン10の金型100からの剥離を可能にすることができる。
【0050】
スピゴットの一実施形態が、図8に示されている(複数のスピゴットが図8に示されている)。スピゴット150は、基部領域127および中間領域116を有する。スピゴット150は、基部ブロック131から延びている。図8において、基部ブロック131は、基部ブロック131に配置された複数のスピゴット150を有する。金型100を形成するために使用される雌型構成要素に、複数のスピゴット150の各々のスピゴットを収容するための対応する数のキャビティが設けられる。
【0051】
バルーン10の特定の実施形態を包皮の伸張に関して説明してきたが、本開示のバルーンは、包皮の伸張および拡張のための使用に限定されず、外耳道、鼻腔、副鼻腔洞、肛門、および膣などの他の開口部の拡張および伸張に使用することができる。
【0052】
さらに、上述のバルーンの実施形態は、包皮の伸張という特定の使用のために設計されている。しかしながら、他の開口部において使用するために、円筒部16の一部分などのバルーン10の他の特徴が、使用時に頭部18と同様に、あるいは頭部18よりも大きく拡張してもよい。例えば、いくつかの実施形態においては、バルーンが、拡張後の形状において、2つの拡張部分が互いに軸方向に離れている「犬用の骨」の形状をとることができる。
【0053】
本開示の主題を詳細に、その特定の実施形態を参照することによって説明してきたが、本明細書に開示されたさまざまな詳細を、たとえ特定の要素が本明細書に添付されたすべての図面に示されていたとしても、これらの詳細が本明細書に記載された種々の実施形態の不可欠な構成要素である要素に関連することを意味すると解釈してはならないことに、注意すべきである。さらに、これらに限られるわけではないが添付の特許請求の範囲に定義される実施形態を含む本開示の範囲から逸脱することなく、修正および変形が可能であることは、明らかであろう。より具体的には、本開示のいくつかの態様が、本明細書において好ましい、またはとくに有利であるとして特定されるかもしれないが、本開示は必ずしもこれらの態様に限定されないと考えられる。
【0054】
以下の特許請求の範囲およびこれまでの説明において、文脈が明示的な文言または必須の含意ゆえにそうでないことを必要とする場合を除いて、「・・・を含む(comprise)」という単語、あるいは「・・・を含む(comprises)」または「・・・を含んでいる(comprising)」などの変形は、包括的な意味で使用され、すなわち記載された特徴の存在を指定するが、種々の実施形態におけるさらなる特徴の存在または追加を排除するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2021-08-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包皮を拡張するために構成されたバルーンであって、
頭部および首部を有する中空の本体を備え、
前記本体は、遠位端において閉じられ、近位端において開口しており、長手軸が前記遠位端と前記近位端との間を延びており、前記頭部は前記本体の前記遠位端から延びており、
前記本体は、前記頭部と前記近位端との間に位置する前記首部を定め、
前記本体は、前記本体の肉厚を定める内面および外面を有し、
前記首部の肉厚は、前記頭部の肉厚よりも大きく、前記バルーンの膨張時に前記頭部が前記長手方向よりも半径方向により大きく拡張し、膨張時に前記首部の外面の直径は、前記長手軸上でほぼ一定のままであるように構成されている、バルーン。
【請求項2】
前記長手方向に沿って延びる前記バルーンの長さは、膨張時にほぼ一定のままである、請求項1に記載のバルーン。
【請求項3】
前記遠位端における前記頭部の肉厚は、前記頭部の残りの部分の肉厚よりも大きい、請求項1または請求項2に記載のバルーン。
【請求項4】
前記首部の第1の端部が、前記本体の前記近位端から前記首部の第2の遠方の端部まで延びている、請求項2または3に記載のバルーン。
【請求項5】
前記首部の前記第1の端部は、前記第1の端部から外へと突出する周状リップを備える、請求項4に記載のバルーン。
【請求項6】
前記首部は、前記第1および第2の端部の中間の腰部を備える、請求項4または5に記載のバルーン。
【請求項7】
前記腰部の肉厚は、前記首部の残りの部分の肉厚よりも小さい、請求項6に記載のバルーン。
【請求項8】
前記腰部は、前記首部の一部分の肉厚が次第に小さくなるように形成される、請求項6または7に記載のバルーン。
【請求項9】
前記首部の外径が、前記首部の長さにわたって実質的に一定である、請求項3~8のいずれか一項に記載のバルーン。
【請求項10】
前記首部の外径は、約5mm~約15mmの範囲である、請求項9に記載のバルーン。
【請求項11】
前記頭部は、収縮状態において約6mm~約18mmの範囲の直径を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のバルーン。
【請求項12】
前記近位端の前記開口は、8mmなど、約5mm~約10mmの範囲の直径を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のバルーン。
【請求項13】
シリコーンから形成された、請求項1~12のいずれか一項に記載のバルーン。
【請求項14】
液体シリコーンゴム前駆体から形成された、請求項13に記載のバルーン。
【請求項15】
前記本体および頭部は、互いに一体である、請求項1~14のいずれか一項に記載のバルーン。
【請求項16】
収縮状態において当該バルーンがそれ自体でつぶれないように自立する、請求項1~15のいずれか一項に記載のバルーン。
【請求項17】
包皮の拡張のためのシステムであって、
請求項1~16のいずれか一項に記載のバルーンと、
前記バルーンを膨張させるための膨張装置と
を備える、システム。
【請求項18】
前記バルーンに出入りする流体の流れを調節するための流量調節器をさらに備え、
前記流量調節器は、前記バルーンを膨張状態に保つために使用される、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記バルーンを前記膨張装置に接続するために使用されるコネクタをさらに備える、請求項17または18に記載のシステム。
【請求項20】
包皮の拡張のためのキットであって、
請求項17~19のいずれか一項に記載のシステムと、
前記システムを収容する容器と
を備える、キット。
【請求項21】
包皮の拡張に使用されるバルーンを形成するための金型であって、
前記バルーンは、頭部を有する中空の本体を備え、
前記本体は、遠位端において閉じられ、近位端において開口しており、長手軸が前記遠位端と前記近位端との間を延びており、前記頭部は前記本体の前記遠位端から延びており、
前記本体は、前記頭部と前記近位端との間に位置する首部を定め、
前記本体は、前記本体の肉厚を定める内面および外面を有し、
前記首部の肉厚は、前記頭部の肉厚よりも大きく、前記バルーンの膨張時に前記頭部が前記長手方向よりも半径方向により大きく拡張し、膨張時に前記首部の外面の直径は、前記長手軸上でほぼ一定のままであるように構成されており、
当該金型は、
前記本体を形成するための第1の領域と、前記頭部を形成するための第2の領域とを有するスピゴット
を備え、
前記第1の領域は、第1の直径を有し、前記第2の領域は、第2の直径を有し、前記第1の直径は前記第2の直径よりも小さい、金型。
【請求項22】
前記スピゴットは、前記首部に腰部を形成するための第3の領域をさらに備え、前記第3の領域は、前記第1の直径よりも小さい第3の直径を有する、請求項21に記載の金型。
【請求項23】
前記スピゴットを受け入れるための雌部分をさらに備え、
前記雌部分は、ほぼ一定の内径を有する内腔を有している、請求項21または22に記載の金型。
【請求項24】
前記バルーンが他の点については請求項1~16のいずれか一項に定められる請求項21~23のいずれか一項に記載の金型。
【請求項25】
包皮の拡張に使用されるバルーンを形成する方法であって、
請求項21~24のいずれか一項に記載の金型を用意するステップと、
前記金型にバルーン前駆体を適用するステップと、
前記バルーン前駆体を硬化させ、前記バルーンを形成するステップと
を含む方法。
【請求項26】
前記バルーン前駆体は、硬化してシリコーン系バルーンを形成するシリコーン前駆体材料である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記バルーンをさらに硬化させるための事後硬化ステップをさらに含む、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
前記バルーンが他の点については請求項1~16のいずれか一項に定められる請求項25~27のいずれか一項に記載の方法
【国際調査報告】