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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-15
(54)【発明の名称】電池搭載構造と車両
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20220908BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20220908BHJP
   H01M 50/236 20210101ALI20220908BHJP
   H01M 50/202 20210101ALI20220908BHJP
   H01M 50/213 20210101ALI20220908BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20220908BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20220908BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20220908BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20220908BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20220908BHJP
   H01M 10/6567 20140101ALI20220908BHJP
   H01M 10/643 20140101ALI20220908BHJP
   H01M 50/233 20210101ALI20220908BHJP
   H01M 50/242 20210101ALI20220908BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20220908BHJP
   H01M 50/289 20210101ALI20220908BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
H01M50/249
H01M50/236
H01M50/202 501C
H01M50/213
H01M50/202 501S
H01M50/202 501P
H01M50/209
H01M50/211
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6556
H01M10/6567
H01M10/643
H01M50/233
H01M50/242
H01M10/647
H01M50/289
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576904
(86)(22)【出願日】2020-07-13
(85)【翻訳文提出日】2022-01-25
(86)【国際出願番号】 EP2020069740
(87)【国際公開番号】W WO2021009112
(87)【国際公開日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】1910001.5
(32)【優先日】2019-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512308720
【氏名又は名称】ジャガー ランド ローバー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Jaguar Land Rover Limited
【住所又は居所原語表記】Abbey Road Whitley Coventry CV3 4LF UNITED KINGDOM
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】ニコルズ,スティーブン
【テーマコード(参考)】
3D235
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
3D235AA02
3D235BB03
3D235CC14
3D235DD35
3D235FF09
5H031AA09
5H031KK08
5H040AA01
5H040AA28
5H040AA37
5H040AS04
5H040AT01
5H040AT02
5H040AT04
5H040AT06
5H040AY03
5H040AY10
5H040CC20
5H040CC34
(57)【要約】
本発明の形態は、車両(100)用の電池搭載構造(101)と車両(100)に関する。電池搭載構造(101)は、第1の支持構造(102)、第2の支持構造(103)及び少なくとも1つの電池セル容器(104)を有する。少なくとも1つの電池セル容器(104)は、第1の支持構造(102)と第2の支持構造(1039によって支持されている。また、少なくとも1つの電池セル容器(1049は、第1の支持構造(102)に面する第1の端面(107)と、第2の支持構造(103)に面する第2の端面(108)を有する。少なくとも1つの電池セル容器(104)の剛性は、第2の支持構造(103)の剛性に比べて、十分に大きい。これにより、少なくとも電池セル容器(104)の第1の端面(107)に加えられる力によって、少なくとも1つの電池セル容器(104)によって提供される力のもとで、第2の支持構造(103)が変形できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(100)用の電池搭載構造(101)であって、
第1の支持構造(102)と、
第2の支持構造(103)と、
前記第1の支持構造(102)および前記第2の支持構造(103)の両方によって支持された少なくとも1つの電池セル容器(104)とを備え、
前記少なくとも1つの電池セル容器(104)は、第1の支持構造(102)に面する第1の端面(107)と、第2の支持構造(103)に面する第2の端面(108)とを有し、
前記少なくとも1つの電池セル容器(104)の剛性は、前記第2の支持構造(103)の剛性に比べて十分に大きく、
前記少なくとも1つの電池セル容器(104)の前記第1の端面(107)に加えられる力によって、前記少なくとも1つの電池セル容器(104)によって提供される力の下で前記第2の支持構造(103)が変形できる、電池搭載構造(101)。
【請求項2】
前記第1の支持構造(102)が第1の方向に延在し、
前記第2の支持構造(103)が前記第1の支持構造(102)に実質的に平行に延在し、
前記少なくとも1つ電池セル容器(104)は、前記第1の端面(107)から前記第2の端面(108)まで、第1の方向に実質的に垂直な第2の方向に延びる、請求項1に記載の電池搭載構造(101)。
【請求項3】
前記第1の方向が前記車両(100)の長さに沿っているか、または
前記第1の方向が前記車両(100)の幅を横方向に横切っている、請求項1または請求項2に記載の電池搭載構成(101)。
【請求項4】
前記第1の支持構造(102)の剛性に比べて、前記少なくとも1つの電池セル容器(104)の前記剛性は十分に大きく、
加えられた力と前記少なくとも1つの電池セル容器(104)によって提供される反力との間で圧縮されることによって前記第1の支持構造(102)が変形し得る、請求項1から3のいずれかに記載の電池搭載構造(101)。
【請求項5】
前記第1の支持構造(102)の剛性に比べて、前記少なくとも1つの電池セル容器(104)の前記剛性は十分に大きく、
加えられた力と前記少なくとも1つの電池セル容器(1049によって提供される反力との間で圧縮されることによって前記第1の支持構造(102)が変形し得る、請求項1または2のいずれかに記載の電池搭載構造(101)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの電池セル容器(104)の剛性は、前記第2の支持構造(103)の剛性に比べて十分に大きく、
前記第2の支持構造(103)は、加えられる力と前記少なくとも1つの電池セル容器(104)によって提供される力との間で圧縮されて変形される、請求項1から5のいずれかに記載の電池搭載構造(101)。
【請求項7】
前記第1の支持構造(102)は、前記車両(100)の第1のビーム(105)を含み、
前記電池搭載構造(101)は、前記第1のビーム(105)によって支持された支持板(113)を有し、
前記少なくとも1つの電池セル容器(104)は、前記支持板(113)に取り付けられ、
前記支持板(113)の第1の部分が前記第1の支持構造(102)の一部を形成する、請求項1から6のいずれかに記載の電池搭載構造(101)。
【請求項8】
前記第2の支持構造(1039は、前記車両(100)の第2のビーム(106)を有する、請求項7に記載の電池搭載構造(101)。
【請求項9】
前記支持板(113)は前記第2のビーム(106)によって支持され、
前記支持板(113)の第2の部分が前記第2の支持構造(103)の一部を形成する、請求項8に記載の電池搭載構造(101)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの電池セル容器(104)は、長さ、高さ及び幅を有し、
前記長さは前記高さと前記幅よりも大きく、
前記長さは、前記車両(100)を横断する横方向に整列している、請求項1から9のいずれかに記載の電池搭載構造(101)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの電池セル容器(104)はチューブ(104)を有し、
前記チューブ(104)は選択的に矩形断面を有する、請求項1から10のいずれかに記載の電池搭載構造(101)。
【請求項12】
前記チューブ(104)は、前記チューブ(104)の前記第1の端面(107)及び/又は前記第2の端面(108)から延在する電池冷却パイプ及び/又は導電体を有する、請求項11に記載の電池搭載構造(101)。
【請求項13】
前記電池搭載構造(101)は接続部材(603)を有し、
前記電池セル容器(104)の下面は前記支持板(113)に取り付けられ、
前記電池セル容器(104)の上面は前記接続部材(603)に固定され、前記電池セル容器(104)を隣接する電池セル容器(104)からの分離に抵抗するように構成されている、請求項1から12のいずれかに記載の電池搭載構造(101)。
【請求項14】
前記車両(100)は、前記少なくとも1つの電池セル容器(104)内に配置された電池セル(112)によって電力が供給される電気モータ(401)を有し、
前記車両(100)は、選択的に、前記車両(100)のユーザを収容するキャビン(404)を有し、
前記キャビン(404)は床(405)を有し、
前記床(405)は、前記車両(100)の前から後の方向に、前記床(405)の中央に沿って延在するトンネル(801)を形成する、請求項1から13のいずれかに記載の電池搭載構造(101)。
【請求項15】
車両(100)用の電池搭載構造(101)であって、
前記車両(100)に沿って延在する第1の支持構造(102)と、
前記車両(100)に沿って延在する第2の支持構造(103)と、
前記車両(100)を横断する横方向に整列された複数のチューブ(104)であって、前記チューブ(104)は、前記第1の支持構造(102)に隣接し且つ前記第1の支持構造(102)によって支持された第1の端面(107)と、前記第2の支持構造(103)に隣接し且つ前記第2の支持構造(102)によって支持された第2の端面(108)とを有する、複数のチューブ(104)と、
前記複数のチューブ(104)のそれぞれの中に配置された複数の電池セル(112)とを有する、電池搭載構造(101)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池搭載構造および車両に関する。特に、排他的にではなく、本開示は、自動車などの道路車両の電池搭載構造、およびそのような車両に関係する。
【0002】
道路車両は、衝突時に乗員を保護するように設計される。乗員を保護するために、車両は車両に衝突する物体による侵入に対するバリアを提供する。また、衝突時に発生する可能性のある車両の最も大きな加速から乗員を保護するために、車両は、衝突時にクシャクシャになってエネルギーを放散するように設計されたクラッシャブルゾーンと呼ばれる外側部品を有する。例えば、自動車のサイドシルは、自動車が横方向から支柱に滑り込むことによって引き起こされる側面衝突中に変形するように設計される。同様に、車の前端または後端のビームは、例えば、車が別の車両などの物体にぶつかった場合、または車が後ろから別の車両に衝突した場合、クシャクシャになるように設計される。
【0003】
電池式電気自動車の電池は、可能な限り多くの電気を貯蔵するために、車両内で比較的大きな体積を占めるように設計されている。しかし、安全上の理由から、電池は、通常、クラッシャブルゾーンとして指定された車両の部品内に配置されないことによって保護される。その結果、電池を配置するために利用できるスペースが制限され、そのため、貯蔵容量も制限される。
【0004】
さらに、床に搭載された電池のための必要な支持と保護を提供するために、非常に強度の大きい床を備えた電池式電気自動車を設計することが知られている。これにまつわる問題は、そのような電気自動車の本体は、内燃機関によって駆動される燃料効率の良い自動車を製造するために使用するには適さない、ということである。その理由は、内燃機関によって駆動される自動車は、非常に軽量の床パネルで製造されるからである。したがって、製造業者が電池式電気自動車と内燃機関を動力源とする自動車の両方を製造することを望む場合、製造業者は一般に、それらの車両タイプのそれぞれに固有の車体を作る必要がある。
【0005】
本発明の目的は、先行技術に関連する1つまたは複数の不利な点に対処することである。
【発明の概要】
【0006】
本発明の複数の態様および実施形態は、添付の特許請求の範囲で請求される、車両および車両のための電池搭載成を提供する。
【0007】
本発明の一態様によれば、車両用電池搭載構造であって、
第1の支持構造と、
第2の支持構造と、
第1の支持構造および第2の支持構造の両方によって支持された少なくとも1つの電池セル容器とを備え、
少なくとも1つの電池セル容器は、第1の支持構造に面する第1の端部と、第2の支持構造に面する第2の端部とを有し、
前記少なくとも1つの電池セル容器の剛性は、前記第2の支持構造の剛性に比べて十分に大きく、
前記少なくとも1つの電池セル容器の前記第1の端部に加えられる力によって、前記少なくとも1つの電池セル容器によって提供される力の下で前記第2の支持構造が変形できる、電池搭載構造が提供される。
【0008】
この形態は、電池搭載構造が車両に使用されると、力が第1の端面に加えられる衝突の場合、電池セル容器がその中に配置された電池セルを保護する、という利点を提供する。これにより、第1の端面を車両のクラッシャブルゾーン内に配置できるため、電池の空間容積とその蓄電容量が、それ以外の場合よりも大きくなる。また、電池搭載構造は、電池セルに必要な保護を提供するため、内燃機関を動力源とする車両で使用するように設計された車体を電池式電気自動車の製造に使用できる。
【0009】
随意に、第1の支持構造は第1の方向に延在し、第2の支持構造は第1の支持構造に実質的に平行に延在し、少なくとも1つの電池セル容器は第1の方向に実質的に垂直な第2の方向に向けて第1の端部から第2の端部の方向に延在する。これにより、電池セル容器を、車両本体の中に存在する複数のビーム等の構造に搭載できる、という利点がもたらされる。
【0010】
随意に、第1の方向は車両の長手方向に沿った方向である。これにより、電池セル容器の第1の端面が、車両の前端に向けてクラッシャブルゾーン内(例えば、車両の電気モータによって占有される部屋の中)に配置できる、または、車両の後端に向けてクランプルゾーン(例えば、ブーツ(すなわち、トランク)中又はその下)に配置できる、という利点がもたらされる。
【0011】
随意に、第1の方向は、車両の幅を横切る横方向である。これにより、電池セル容器の第1の端面が、車両の左側または右側のクラッシャブルゾーン内に配置され得るという利点がもたらされる。
【0012】
随意に、第1の支持構造の剛性に比べて、少なくとも1つの電池セル容器の剛性は、加えられる力と少なくとも1つの電池セルによって提供される反力との間の圧縮によって、第1の支持構造が変形することを可能にするのに十分である。これにより、電池セル容器がそれ自体を変形させて収容した電池セルを損傷することなく、衝突中クシャクシャになる間、第1の支持構造の一般的な位置を維持するために必要な反力を提供するのを助けることができるという利点がもたらされる。
【0013】
随意に、第1の支持構造の剛性と比較した少なくとも1つの電池セル容器の剛性は、第1の支持構造が、少なくとも1つの電池セルコンテナの2番目の端に加えられた力によって、少なくとも1つの電池セル容器によって提供される力の下で変形することを可能にするのに十分に大きい。これは、電池搭載構造が車両で使用される場合、力が第2の端面に加えられる衝突の場合に、電池セル容器がその中にある電池セルを保護するという利点を提供する。これにより、第2端面を車両のクラッシャブルゾーン内に配置できるため、電池の空間ボリュームとその蓄電容量が、そうでない場合よりも大きくなる可能性がある。例えば、電池セル容器が車両の敷居を含む支持構造の間に延びる実施形態では、電池は、そうでない場合よりも広い車両を横切る幅を有することができる。
【0014】
随意に、第2の支持構造の剛性と比較して、少なくとも1つの電池セル容器の剛性は、加えられた力と少なくとも1つの電池セル容器によって提供される反力との間の圧縮によって第2の支持構造を変形させるのに十分である。これは、電池セル容器が、それ自体を変形させてそこに収容された電池セルを損傷することなく、衝突中にクシャクシャになったときに第2の支持構造の一般的な位置を維持するために必要な反力を提供するのを助けることができるという利点を提供する。
【0015】
随意に、第1の支持構造は、車両の第1のビームを含む。
【0016】
随意に、電池取り付け構成は、第1のビームによって支持される支持板を含む。少なくとも1つの電池セル容器が支持板に取り付けられている。そして、支持板の第1の部分は、第1の支持構造の一部を形成する。
【0017】
随意に、第2の支持構造は、車両の第2のビームを含む。
【0018】
随意に、支持板は第2のビームによって支持され、支持板の第2の部分は第2の支持構造の一部を形成する
【0019】
随意に、少なくとも1つの電池セル容器は、長さ、高さ、および幅を有する。長さは高さと幅よりも大きく、長さは車両を横方向に横断して整列される。
【0020】
随意に、少なくとも1つの電池セル容器は、電池の少なくとも一部を形成する複数の電池を含む。
【0021】
随意に、少なくとも1つの電池セル容器は管を含む。これは、電池セルコンテナがその長さに沿って圧縮に強いという利点を提供する。
【0022】
随意に、チューブは長方形の断面を有する。これは、複数の電池セル容器を互いに並べて配置してコンパクトなユニットを形成できるという利点を提供する。
【0023】
随意に、管は、電池冷却パイプおよび/または管の第1の端部および/または第2の端部から延びる導電体を含む。これは、管の側壁が連続的であり得、したがって、その長さに沿って圧縮されている管の強度が損なわれないという利点を提供する。
【0024】
随意に、電池取り付け構成は接続部材を含む。各電池セル容器の下面は、支持板に取り付けられている。各前記電池セル容器の上面は、隣接する電池セル容器からの各前記電池セル容器の分離に抵抗するように構成された接続部材に固定されている。これは、電池セル容器によって形成されるユニットがより高い剛性を備えているという利点を提供する。
【0025】
本発明の別の態様によれば、前の段落のいずれか1つの電池取り付け構成を備える車両が提供され、車両は、少なくとも1つの電池セル容器内に配置された電池セルによって動力を供給される電気モータを含む。
【0026】
随意に、車両は、車両の使用者を受け入れるためのキャビンを含み、キャビンは、床の中央に沿って車両の前部から後部への方向に延びるトンネルを規定する床を有する。これは、車両のボディが、電気モータではなく内燃機関を動力源とする車両を製造するためにすでに使用されているものであり得、したがって、電池式電気自動車を製造するためのコストを大幅に削減できるという利点を提供する。
【0027】
本発明のさらなる態様によれば、車両に沿って延びる第1の支持構造と、車両に沿って延びる第2の支持構造、及び電池セルを収容するための少なくとも1つの管とを含み、各前記管は、第1の支持構造に隣接し第2の支持構造によって支持される第1の端部と、第2の支持構造に隣接しそれによって支持される第2の端部を有し、前記少なくとも1つの管は、第1の支持構造および第2の支持構造のそれぞれの横方向の剛性よりも大きい軸方向の剛性を有する、車両用の電池取り付け構成が提供される。これは、電池搭載構造が車両で使用される場合、力が第1の端部に加えられる衝突の場合に、チューブがその中にある電池セルを保護するという利点を提供する。これにより、第1の端を車両のクラッシャブルゾーン内に配置できるため、電池の空間ボリュームとその蓄電容量が、そうでない場合よりも大きくなる可能性がある。さらに、電池搭載構造は、電池セルに必要な保護を提供するため、内燃機関を動力源とする車両で使用するように設計された車体から電池電気自動車を製造するために使用することができる。
【0028】
本発明の別の態様によれば、車両に沿って延びる第1の支持構造と、車両に沿って延びる第2の支持構造と、車両を横切って横方向に整列された複数のチューブとを含み、各前記チューブは、第1の支持構造に隣接し第2の支持構造によって支持される第1の端部と、第2の支持構造に隣接し第2の支持構造によって支持される第2の端部と、管のそれぞれに配置された複数の電池セルとを有する、車両用の電池取り付け構成が提供される。
【0029】
これは、電池搭載構造が車両で使用される場合、力が第1の端部に加えられる衝突の場合に、チューブがその中にある電池セルを保護するという利点を提供する。これにより、第1の端を車両のクラッシャブルゾーン内に配置できるため、電池の空間ボリュームとその蓄電容量が、そうでない場合よりも大きくなる可能性がある。さらに、電池搭載構造は、電池セルに必要な保護を提供するため、内燃機関を動力源とする車両で使用するように設計された車体から電池電気自動車を製造するために使用することができる。
【0030】
本出願の範囲内で、前の段落、特許請求の範囲、および/または以下の説明および図面、特にその個々の特徴に記載されている様々な態様、実施形態、実施例および代替案は、独立して採用してもよいし、または任意の組み合わせで採用してもよい。すなわち、任意の実施形態のすべての実施形態および/または特徴は、そのような特徴は互換性がない場合を除いて、任意の方法および/または組み合わせで組み合わせることができる。出願人は、最初に提出された請求の範囲を変更する権利、またはそれに応じて新しい請求の範囲を提出する権利を留保する。これには、元々その方法で請求されていないものの、他の請求項に従属する、および/または他の請求項の特徴を組み込むように、最初に提出された請求項を補正する権利が含まれる。
【0031】
本発明の実施例である1つまたは複数の実施形態を添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、本発明を具体化する電池取り付け構成を含む電池式電気自動車の概略図を示す。
図2図2は、支柱201との衝突時の図1の電池取り付け配置を示す。
図3図3は、支柱201との衝突後の図1の電池搭載構造を示す。
図4図4は、本発明を具体化した車両の側面図を示す。
図5図5図4の車両の平面図を示す。
図6図6は、支持板上の電池の位置の斜視図を示す。
図7図7図4の車両の断面図を示す。
図8図8は支柱との側面衝突後の車両の断面図を示す。
図9図9は支柱との側面衝突後の図4の車両の平面図を示す。
図10図10は、本発明を具体化する別の電池式電気自動車の平面図を示し、後部ラゲッジコンパートメントの床の下に示されている。
図11図11図10の車両の側面図を示す。
図12図12は本発明を具体化した別の車両の平面図を示す。
【発明を実施する好ましい形態】
【0033】
添付の図1から図3を参照して、本発明の実施形態による、車両用の電池搭載構造101、および電池搭載構造101を備える車両100を説明する。
【0034】
図1を参照すると、電池搭載構造101は、第1の支持構造102、第2の支持構造103、および第1の支持構造102および第2の支持構造103の両方によって支持される電池セル容器104を備える。 第1の支持構造102は、車両100の本体116の一部を形成する第1のビーム105(図1のページに延びる)を含み、同様に、第2の支持構造103は、車両100の本体116の一部を形成する第2のビーム106(これも図1のページに延びる)を含む。
【0035】
電池セル容器104は、第1のビーム105に面する第1の端面107と、第2のビーム106に面する第2の端面108とを有する。電池セル容器104は、電池セル112を収容するためのボリューム111を定義する外壁109,110などの外壁を有する管の形態である。
【0036】
本実施形態では、電池セル容器104は、支持板113の第1の縁部114で、またはそれに隣接して、第1のビーム105に取り付けられた支持板113に取り付けられる。支持板113は、支持板113の第2の端部115で、またはそれに隣接して、第2のビーム106に取り付けられる。電池セル容器104は、その端面107および108のそれぞれで、または隣接して、支持板113に取り付けられる。電池セル容器104は、第1のビーム105から第2のビーム106までの方向に延びる。本実施形態では、電池セル容器104は、2つのビーム105と106との間の距離よりも短く、その結果、ビーム105,106とビームに対向するタンメン107,108との間に隙間が存在する。したがって、第1のビーム105と電池セル容器104を接続する支持板113の一部は、第1の支持構造102の一部を提供し、同様に、第2のビーム106と電池セル容器104を接続する支持板113の一部は、第2の支持構造の一部103を提供する。
【0037】
本実施形態では、支持板113は、電池セル容器104の全長にわたって延びるが、別の実施形態では、第1の支持板113は、電池セル容器104の一端を支持し、第2の支持板113はその反対側の端部を支持する。
【0038】
本明細書に示される実施形態では、電池セル容器104は、床パネル(図1には示されていない)の下など、車両100内の比較的低い位置に取り付けられ、電池セル容器104は、支持体の上に取り付けられる。しかしながら、代替の実施形態では、電池セル容器104は、車両100内の比較的高い位置および/または支持板113の下に取り付けられる。
【0039】
車両100の本体116は、車両100による輸送を可能にするために1人または複数の人および/または貨物を受け入れるように構成された空間117を規定する。支持構造102および103は、車両100の本体116の他の部分を支持する剛性フレーム118の一部を形成する。車両100の本体116はまた、車両100によって運ばれる人および/または貨物に保護を提供する。支持構造102および103は、車両100および/またはその貨物の使用者を保護するために、車両100が別の物体と衝突するときに空間117への侵入に抵抗するように構成される。しかしながら、そのような衝突中に使用者および/または貨物が受ける加速度の突然の増加の大きさを低減するために、支持構造102および103は、クシャクシャになるように構成される。したがって、車両100および/またはそれが衝突する物体のエネルギーの多くは、支持構造102および103の一方または両方を変形させるために使用される。
【0040】
例えば、図2に示されるように、第1の支持構造102は、ポスト201に対する車両100の衝突中に変形した状態で示される。第1のビーム105と電池セル容器104との間の支持板113の一部は、ビーム105が電池セル容器104の第1の端面107に押し付けられるように、クシャクシャになっている。その長さに沿って加えられた力の下で、電池セル容器104は、第1の梁105の横方向剛性と比較した場合、比較的剛である。その結果、ビーム105はまた、ポスト201と電池セル容器104の第1の端面107との間で押しつぶされ始める。すなわち、第1の支持構造102は、ポスト201によって加えられる力と電池セル容器104によって提供される反力との間の圧縮によって変形される。
【0041】
衝突が進行するにつれて、電池セル容器104は、第1の支持構造102のさらなる変形によって支柱201に近づく。次に、支柱201は、第1の支持構造102を介して電池セル容器104の第1の端面107により大きな力を加える。次に、電池セル容器104は、その長さに沿って第2のビーム106に向かって押され、その間に、電池セル容器104の第2の端面108と第2のビーム106との間の支持板113の一部がクシャクシャにつぶれる。電池セル容器104は、第2のビーム106の横方向の剛性と比較すると比較的剛性が高く、その結果、第2のビーム106は、図3に示すように、電池セル容器104自体が変形するのではなく、電池セル容器104によって加えられる力のもとで変形されるようになる。したがって、電気セル容器104内の電池セル112は、衝突の間、無傷に保たれる。
【0042】
少なくともいくつかの実施形態において、例えば、図4から図9を参照して以下に記載されるような実施形態において。電池搭載構造は実質的に対称であり、複数の電池セル容器104を含み得る。したがって、そのような実施形態では、第1の支持構造102の剛性に比べて、電池セル容器104の剛性は、電池セル容器104の第2の端面108に加えられる力により、電池セル容器104によって提供される力の下で第1の支持構造102が変形することを可能にするほどに十分大きい、と理解すべきである。また、第2の支持構造103は、第2の支持構造103に加えられる力(例えば、ポスト201によって)と、電池セル容器104の第2の端面108によって提供される反力との間の圧縮によって変形するように構成される。
【0043】
本発明を具現化した車両100は、図4の側面図、図5の平面図、図7の断面図に示されている。車両100は、図8の断面背面図および図9の平面図に、支柱201と衝突した後の状態が示されている。 図4、5、7、8および9の車両の多くの特徴は、図1の車両100のものと共通であり、それらは同じ参照符号が付されている。
【0044】
本実施形態では、車両100は自動車100であるが、代替の実施形態では、車両100は、バンまたはバスなどの別のタイプの道路車両100であり得る。車100は、車の前端に向かって配置された電気モータ402(図4および5に示されている)を有する。モータ401は、ロードホイール402にトルクを提供する。本実施形態では、自動車100は前輪駆動車両であるが、代替の実施形態では、車両は後輪駆動車両である。他の代替の実施形態では、車両100は四輪駆動車両であり、第2の電気モータを車両の後車軸と統合して、後輪402にトルクを提供することができる。
【0045】
車100の本体116は、車両100の運転手および/または乗客を受け入れるためのキャビン404を含み、キャビン404は、フロアパネル405を有する。モータ401に必要な電力を提供するために、車100は、床パネル405の下に配置された電池403を含む。電池403は、モータ411に電力を供給するために電気的に接続された多くの電池セル(図6および7に示される112)を含む。電池セルは複数の異なる組に分割されており、それぞれの組は複数の電池セル容器104のそれぞれの1つに配置されている。図4および5に示されるように、車両100は、それぞれが電池403を形成する一組の電池セルを含む13個の電池セル容器104を有する。電池セル容器104のそれぞれは、図4に示されるような長方形の断面を有する管の形態であり、車両100の本体116の底部を横切って延びる支持板113に取り付けられる。各電池セル容器104は、第1のビーム105を含む第1の支持構造102から第2のビーム106を含む第2の支持構造103の方向に、自動車100の幅を横切って横方向に延びる。本実施形態では、第1のビーム105は、車両100の右側に沿って延びる第1の敷居105の形態であり、第2のビーム106は、車両100の左側に沿って延びる第2の敷居106の形態である。
【0046】
支持板113は、複数のボルト(図示せず)によって2つの敷居105および106のそれぞれに固定されている。本実施形態では、支持板113は、その対向する縁部114および115のそれぞれに沿った箱型部分701を備えており、箱型部分701は、敷居105および106にボルトで固定されている。
【0047】
図7の車両100の敷居105および106は、車両100に側面衝突が生じた場合に崩れるように設計されているが、キャビン404の乗員に安全を提供するためにキャビン404への侵入に抵抗するようにも設計されていることに留意されたい。具体的には、敷居105および106は、車両の側面が所定の速度で支柱201に衝突したとき、標準サイズの支柱(図8および9の201)が、車両100の外面703から所定の第1の距離702(図7に示される)を超えて貫通するのを防ぐように設計されている。電池403は、第1の距離702よりも小さい外面703から第2の距離704まで車両100を横切って横方向に延びる。しかし、電池搭載構造101の性質により、支柱が第1の距離702だけキャビン404に貫通する側面衝突の間、電池セル112は損傷から保護される。電池403を車両100の外面703に近づけることを可能にすることによって、電池搭載構造101は、電池403がそれ以外の場合よりも大きなストレージ容量を持つことができる。
【0048】
その支持板113上の電池403の一部の斜視図が図6に示されている。この図には、それらの第1の端面107を含むいくつかの電池セル容器104の部分が示されている。本実施形態では、電池セル容器104は実質的に対称であり、その結果、電池セル容器104の第2の端面108を含む部分は、図6に示される部分と実質的に同じであることに留意されたい。
【0049】
電池セル容器104はそれぞれ、電池セル容器104を支持板113に取り付けることができるように構成された取り付け部品601を含む。本実施形態では、取り付け部品601は、管104の下壁110の延長部で、電池セル容器104をボルト602によって支持板113に固定することを可能にするための穴(図示せず)が設けられている。各電池セル容器104は、その高さおよび幅よりも大きい長さを有し、その長さは車両100を横切って横方向に位置合わせされる。
【0050】
電池セル112に電気的に接続された導体608は、管104の端部から延在して、モータ101への接続を可能にする。管104はまた、管104の端部から延在して冷却液回路への接続を可能にする冷却パイプ609を備えてもよい。
【0051】
接続部材603は、電池セル容器104の長さに垂直に延在し、ボルト604によって電池セル容器104の各上壁109に固定されている。図6に示される接続部材603は、電池セル容器104の第1の端面107の近くに配置され、第2の接続部材(図示せず)は、接続部材603と同様に第2の端面108の近くに配置される。
【0052】
接続部材603は、車両100が支持板113を変形させる衝突を起こした場合に、各電池セル容器104の上壁109が隣接する電池セル容器104の上壁109から分離するのを防ぐ。すなわち、側壁605および606などの電池セル容器104の側壁は、互いに平行に延在し、接続部材603は、側壁間にゼロ度以外の角度が開くのを防ぐ。これは、衝突中に電池セル容器104の1つの端面107または108に加えられる力を隣接する電池セル容器104に分配を支援するという利点を提供する。
【0053】
電池セル112の位置は、図6において電池セル容器104の1つの中に示されており、電池セル容器104のそれぞれは、同様の方法で電池セル112を含むことを理解されたい。本実施形態では、電池セル112は、電池セル容器104の側壁に平行な平面内にある円形の端面607を有する円筒形を有するが、他の実施形態では、電池112の向きは、これと違ってもよい。さらなる実施形態では、セルは、様々な方向の角柱状または袋セルである。上記のように、電池セル容器104は、長方形の断面を有する管の形態であり、一実施形態では、管は、それらの長さに沿って一緒に溶接された2つのU字形チャネルを含む。
【0054】
車両100は、図8の背面断面図および図9の平面図において、剛性支柱201に対する側面衝突後の状態が示されている。これらの図において、フロアパネル405(図8に示される)、サポートプレート113および第1の敷居105はクシャクシャになっている。ポスト201は、電池セルコンテナ104のほんの数個の幅に対応する車100の長さのごく一部にわたって第1の敷居105に衝突することに留意されたい。しかし、電池セルコンテナ104は支持板113および接続部材603を介して接続されているため、電池セル容器104は、反力をより容易に提供して、第1の敷居105が支柱201と電池セルの第1の端面107との間でクシャクシャになる。第1の敷居105の崩壊後、支柱201によって第1の敷居105を介して電池セル容器104に加えられる力により、電池セル容器104は、自動車100の本体116に対してそれらの長さに沿って押される。電池セル容器104のこの動きは、第2の支持構造103の変形を引き起こす。具体的には、それは、電池セル容器104の第2の端面108と第2の敷居106の間の支持板113の部分の変形を引き起こし、第2の敷居106の変形を引き起こす。しかしながら、電池セル容器104はすべて支持板113に取り付けられているので、電池セル容器104への力は、ポスト201によって直接衝撃を受ける僅かな数の電池セル容器だけでなく、多くの電池セル容器104に分配される。
【0055】
第2の敷居106の横方向の剛性は、電池セル容器104の縦方向の剛性に比べて比較的小さいので、電池セル容器104は、自動車101を横切って横方向に押すことができ、第2の敷居106が変形しても無傷のままである。その結果、電池セル112は衝突によって損傷を受けない。
【0056】
この例では、自動車100は電池式電気自動車であるが、その本体116は、内燃機関を備える車両を製造するために使用されるのと同じタイプである。結果として、フロアパネル405は、トンネル801(図7および8に示される)を含む形態を有し、後輪駆動を提供するためのトランスミッションシステムおよび/または内燃機関に関連する排気システムを収容することを可能にする。図8に示す衝突中に、トンネル801が変形する可能性がある。しかしながら、電池403は、衝突中にそれを保護するために床パネル405の構造的完全性に依存しない。代わりに、電池セル112が敷居105と106との間に延びるチューブ104内に配置されている電池搭載構造101は、電池403のセル112に必要な保護を提供する。すなわち、電池搭載構造101により、車体116を、電池式電気自動車用に特別に設計されていない電池式電気自動車の製造に使用することができる。
【0057】
さらに、床パネル405は、電池403を支持および保護する必要がないので、床パネル405は、比較的軽い質量で作製され得、これはまた、本体116が内燃機関を備えたエネルギー効率の良い自動車100の製造に使用可能であり続けることを可能にする。
【0058】
本発明を具現化する別の電池式電気自動車100が、図10の平面図および図11の側面図に示されている。図10および11の車両100の多くの特徴は、図4の車両100のものと共通であり、それらは同様の参照を示されている。したがって、例えば、図10および図11の車両100は、前輪と後輪402との間の車両100の本体116内に取り付けられた電気モータ401を備える。しかしながら、車両100にさらなる貯蔵容量を提供するために、それはまた、車両100のブーツ1101の床1102(図11に示される)の下、その後方の路面用車輪402の間に配置された第2の電池403Aを備える。電池403Aは、電池403と同様の構成を有する。そこでは、電池は、複数組の電池セル(図示せず)を含み、各組は複数の電池セル容器104のうちの1つに配置される。本実施形態において、電池403Aは、5つの電池セル容器104を含む。
【0059】
電池403の電池セル容器104は、第1のビーム105Aを含む第1の支持構造102Aおよび第2のビーム106Aを含む第2の支持構造103Aに取り付けられた支持板113A上に支持される。第1のビーム105Aおよび第2のビーム106Aは、車両100のフレーム118の一部を形成することができる。
【0060】
電池403Aの搭載構成101Aは、ビーム105Aおよび106Aが車両100を横切って横方向に延在し、電池セル容器104が車両の長さに沿った方向に延びる管の形態であるという点で、電池403の搭載構造とは異なる。
【0061】
第1のビーム105Aは、車両100の後端を横切って延びる。例えば、別の車両が図10の車両100の後端に衝突したときの衝撃の場合、第1のビーム105Aと、第1のビーム105Aと電池セル容器104との間の支持板の一部は、電池403Aの電池セル容器104の第1の端部107に変形されて押し付けられる。その結果、電池セル容器104は前方に押され、それらの第2の端面108は、第2のビーム106Aに押し付けられる。第2のビーム106Aは、電池セル容器104の縦方向の剛性と比べて小さい横方向の剛性を有し、したがって、電池セル容器104が変形する代わりに、それが変形する。その結果、電池セル容器104に含まれる電池セルは無傷のままである。
【0062】
このようにして、電池403Aの電池セルは、車両100の後端への衝突中にブーツ1101が第1のビーム105Aによって貫通されると予想される位置で、車両100のブーツ1101の下に配置され得る。しかしながら、電池搭載構造は、第1の支持構造102Aに面する第1の端面107と、第2の支持構造103Aに面する第2の端面108とを有する電池セル容器104内にそれらを配置することによって、電池403Aのセルを保護する。第2の支持構造103Aの剛性に比べて、電池セル容器104の剛性は、電池セル容器104の第1の端面107に加えられる力により、電池セル容器104によって提供される力の下で第2の支持構造103Aが変形することを可能にするのに十分に大きい。
【0063】
本発明を具体化するさらなる代替車両100は、図12の平面図に示されている。図12の車両100の特徴の多くは、図4,5及び7の車両100の特徴と共通しており、それらは同じ参照符号が付されている。したがって、例えば、図12の車両100は、前輪402の間の車両100の本体116内およびコンパートメント1201内に取り付けられた電気モータ401を備える。それはまた、図4から9を参照して説明した形態を有する電池403を含む。しかしながら、車両100にさらなる蓄電池容量を提供するために、それはまた、電気モータ101を含む区画1201に配置された第2の電池403Bを含む。本実施形態では、第2の電池403Bは、モータ401の真上に配置されている。
【0064】
電池403Bは、電池403と同様の構造を有し、複数組の電池セル(図示せず)を含み、各組は複数の電池セル容器の一つに配置されている。本実施形態では、電池403Bは、4つの電池セル容器104を含む。
【0065】
電池403のものと同様に、電池403Bの電池セル容器104は、一端が第1のビーム105Bを含む第1の支持構造102Bによって支持され、第2の端が第2のビーム106Bを含む第2の支持構造103Bによって支持される。第1の端面107が第1のビーム105Bに面し、第2の端面108が第2のビーム106Bに面する。本実施形態では、第1のビーム105Bは、車両100の前端を横切って横方向に延在し、第2のビーム106Bは、車両100を横切って、電池403Bの後方に横方向に延在し、電池セル容器104は、2つのビーム105Bおよび106Bによって支持される支持板113Bに固定される。
【0066】
電池セル容器104は、第1のビーム105Bから第2のビーム106Bへの方向に、車両100の長さに沿った方向に延びるチューブの形態である。
【0067】
車両100の前部に衝撃が生じた場合、例えば、別の車両が図12の車両100の前部と衝突した場合、または車両100が支柱または壁などの構造物に衝突した場合、第1のビーム105Bと、ビーム105Bと電池セル容器104との間の支持板113Bの一部が変形し、電池403Bの電池セル容器104の第1の端部107に押し付けられる。その結果、電池セル容器104は後方に押され、それらの第2の端面108は、第2のビーム106Bを押す。第2のビーム106Bは、電池セル容器104の縦方向の剛性に比べて小さい横方向の剛性を有し、したがって、電池セル容器104が変形するのではなく、それが変形する。その結果、電池セル容器104内に含まれる電池セルは無傷のままである。
【0068】
このようにして、電池403Bの電池セルは、電池403Bが車両100のフロントエンド衝突中に衝撃を受ける可能性がある位置で、そのモータ401を含む車両100のコンパートメント1201内に配置され得る。そのような衝突の場合、電池搭載構造は、第1の支持構造102Bに面する第1の端面107と第2の支持構造103Bに面する第2の端面108とを有する電池セル容器104内にそれらを配置することによって、電池403Bのセルを保護する。第2の支持構造103Bの剛性に比べて、電池セル容器104の剛性は、電池セル容器104の第1の端部面107に面しているので、電池セル容器104によって加えられた力の下で第2の支持構造103Bが変形することを可能にするのに十分に大きい。
【0069】
さらなる代替の実施形態では、車両100は、図4から図9を参照して説明したように床パネル403の下に配置された電池403、図10図11を参照して説明したようにブートフロアパネル1102の下に配置された電池403A、及び、図12を参照して説明したように車両100の最前部コンパートメント1201に配置された電池403Bを含む。
【0070】
本出願の範囲から逸脱することなく、本発明に対して様々な変更および修正を行うことができることが理解されよう。
【0071】
本発明の実施形態は、様々な実施例を参照して前の段落で説明されてきたが、与えられた実施例への修正は、特許請求される本発明の範囲から逸脱することなく行うことができることを理解されたい。例えば、図示の実施形態では、電池403内の各電池セル容器104は、その電池403内の他の電池セル容器104と同じ長さを有するものとして示されている。しかし、代替実施形態では、電池内の1つまたは複数の電池セル容器104の長は、その電池内の他の電池セル容器104の長さとは異なる場合がある。これにより、電池を収納するために利用できるスペースを最大限に活用できる場合がある。
【0072】
また、上記の例では、電池403は、電池セル容器104の単層を含むが、代替の実施形態では、電池403は、電池セル容器104の2つ以上の層を含み、1つの層は、別の層の上に配置され、各層は一つ又は複数の電池セル容器104を含む。いくつかのそのような実施形態では、各層は、他の1つまたは複数の層と同様に構成され得るが、電池セル容器104の数は、例えば最大化するために、1つの層と次の層では変化し得る。電池403を収容するために利用可能なスペースの使用。例えば、床405の下に配置された電池403は、図5に示されるものと同様に、第1の層と、より多くのスペースが利用可能なシートの下に配置された、第1の層の上の第2の層に、多くの電池セル容器104を含むことができる。車両100が、床405の下の電池403と、ブーツ1101の中またはその下の第2の電池403Aまたは前部区画1201内の第2の電池403Bとを含む実施形態では、床405の下の電池403内の電池セル容器104の層数は、第2の電池403Aまたは403Bを形成する層の数とは異なる場合がある。例えば、電池セル容器104のいくつかの層を含む電池403Bは、モータ401を含む前部区画1201内に都合よく収まり、床405の下の電池403は電池セル容器104の単層のみを含み得る。
【0073】
前述の説明で説明した特徴は、明示的に説明した組み合わせ以外の組み合わせで使用できる。
【0074】
特定の特徴を参照して説明されていますが、それらの機能は、説明されているかどうかに関係なく、他の特徴によって実行できる場合がある。
【0075】
特定の実施形態を参照して特徴を説明してきたが、それらの特徴は、説明されているかどうかにかかわらず、他の実施形態にも存在し得る。
【0076】
特に重要であると考えられる本発明のこれらの特徴に注意を引くために前述の明細書に努める一方で、出願人は、前述の特許性のある特徴または特徴の組み合わせに関して、特に強調されているかどうかに拘わらず、図面で参照および/または示される保護を主張することを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】