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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-15
(54)【発明の名称】開閉装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 3/46 20060101AFI20220908BHJP
   H01H 33/666 20060101ALI20220908BHJP
   H01H 33/42 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
H01H3/46
H01H33/666
H01H33/42 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577650
(86)(22)【出願日】2020-06-10
(85)【翻訳文提出日】2022-02-25
(86)【国際出願番号】 EP2020066034
(87)【国際公開番号】W WO2021001125
(87)【国際公開日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】102019209871.1
(32)【優先日】2019-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521001582
【氏名又は名称】シーメンス エナジー グローバル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS ENERGY GLOBAL GMBH & CO. KG
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】特許業務法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】エールリヒ,フランク
(72)【発明者】
【氏名】ラーデマッハー,リコ
(72)【発明者】
【氏名】ライヘル,インゴルフ
(57)【要約】
開閉装置は、第1の開閉接触子(12)および第2の開閉接触子(13)を有する。両開閉接触子(12、13)は、連動機構を介して互いに相対的に移動可能である。連動機構は、ガイド要素(22)内で案内されている軸方向に変位可能な駆動要素(20)を有する。第1の突出部(25)は、第1のゲート(23)内で案内されており、前記ガイド要素(22)における前記駆動要素(20)の移動経路を規定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連動機構を介して第2の開閉接触子(13)に対して相対的に移動可能な第1の開閉接触子(12)を有する開閉装置であって、前記連動機構が、ガイド要素(22)にて案内されており軸方向に変位可能な駆動要素(20)、を有する、開閉装置において、
前記ガイド要素(22)の第1のゲート(23)内の第1の突出部(25)が、前記駆動要素(20)の移動経路を規定することを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
第2の突出部(26)および第2のゲート(24)が、前記駆動要素(20)に関して、直径上で、前記第1の突出部(25)および前記第1のゲート(23)と反対側に、配置されていることを特徴とする請求項1に記載の開閉装置。
【請求項3】
1つの突出部(25、26)が、第1の接触点および第2の接触点を有し、両接触点は、1つのゲート(23、24)と相互に作用し、当該突出部(25、26)上に、当該ゲート(23、24)の接触方向で互いに相前後して配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の開閉装置。
【請求項4】
1つのゲート(23、24)が、案内方向に前記ガイド要素(22)の本体縁を突き抜けていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の開閉装置。
【請求項5】
1つのゲート(23、24)が、当該ゲートを区切るガイド要素(22)として機能するシリンダの1つの端部側を突き抜けていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の開閉装置。
【請求項6】
1つの突出部(25、26)が、前記ゲート(23、24)から少なくとも部分的に外へと移動可能であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の開閉装置。
【請求項7】
軸方向に変位可能な複数の駆動要素(20)が、それぞれ、1つのガイド要素(22)の第1のゲート(23)内で、第1の突出部(25)を介して、1つの移動経路内に拘束されており、前記駆動要素(20)が、前記連動機構の共通なクロスアーム(4)に取り付けられていること、特に固定角度で固定されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の開閉装置。
【請求項8】
前記駆動要素(20)に、前記ガイド要素(22)dを支持するスライドガイドが配置されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の開閉装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の開閉接触子を有し、該第1の開閉接触子が連動機構を介して第2の開閉接触子に対して相対的に移動可能である、開閉装置であって、前記連動機構が軸方向に変位可能な駆動要素を有し、該駆動要素がガイド要素にて案内されている、開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
開閉装置は、例えば特許文献1から公知である。この文献では、開閉装置の第1の開閉接触子が、開閉装置の第2の開閉接触子に対して相対的に移動可能である。そのような相対移動を生じさせるために、連動機構が使用されており、その連動機構は、軸方向に変位可能な駆動要素を有し、その駆動要素は、ガイド要素にて案内されている。そこでは、スリーブ内で案内されている円板状の駆動要素が設けられている。このような開閉装置の構成は、駆動要素が、該駆動要素を案内するスリーブの内部に、機械的に保護されて配置されているという利点を有する。しかしながら、繰り返される相対運動に起因して非対称の摩耗が生じ、それによって、駆動要素とスリーブとの間で、遮断に至るほどの摩擦力の増大が生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際特許出願公開第2015/062786号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の課題は、両開閉接触子の多くの相対移動の後でも、ガイド要素にて駆動要素を確実に案内することを可能にする開閉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、本発明によれば、冒頭に述べた如き開閉装置において、第1の突出部が、ガイド要素の第1のゲート内で、駆動要素の移動経路を規定することによって、解決される。
【0006】
開閉装置は、相導体の開閉に用いられる。そのために、相導体のインピーダンスを変化させることができる。好ましくは、これは、第1の開閉接触子と第2の開閉接触子との間の相対運動によって行われるとよい。開閉装置のスイッチオンのために、即ち、相導体の通電のために、両開閉接触子は、互いに近づけられ、電気的に接触させられる。開閉装置のスイッチオフのために、即ち、相導体の遮断のために、その時まで電気的に接触していた両開閉接触子が互いに開離され、開閉路が両開閉接触子間に形成される。
【0007】
両開閉接触子は、密封された空間内に存在してもよく、それにより、両開閉接触子の周りは、隔離された雰囲気によって取り囲まれている。その雰囲気は、例えば、開閉装置の周囲と比べて過圧又は低圧のもとに置かれた流体である。好ましくは、その流体は、ガス状態であってもよい。そのために、例えば、六フッ化硫黄、フッ化ニトリル、フッ化オレフィン、フッ化ケトン等の、フッ素含有物質が使用可能である。しかし、窒素ならびに窒素系混合物も、電気絶縁性の流体として使用するのに適している。必要に応じて、両開閉接触子は真空にさらされているとよく、それにより、該開閉接触子の領域内の自由電荷キャリア数が低減されている。例えば、相応の真空遮断バルブを使用することが可能であり、該真空遮断バルブは、軸方向に向かい合い突き合って互いに当たる両開閉接触子を有し得て、該両開閉接触子真空内に延在している。真空を画定するために、いわゆるバルブ本体を使用することができ、そのバルブ本体の壁を通して、両開閉接触子を接触させるための接触要素(接触子ロッド)が案内されている。
【0008】
両開閉接触子の相対運動は、駆動装置を使用下で引き起こすことができる。駆動装置の運動を相対的に互いに移動可能な両開閉接触子へ伝達するために、連動機構を使用することができる。この連動機構は、異なる伝動要素を有していてもよい。従って、両開閉接触子間で相対運動を生じさせるために、連動機構において、例えば、開閉ロッド、揺動レバー、クロスアーム、ギヤ等を使用することができる。必要に応じて、一方の開閉接触子のみが駆動可能であり、他方の開閉接触子が位置固定して位置決めされていることが、企図され得る。しかし、両開閉接触子の相対移動を互いに作動させるために、両開閉接触子が移動可能であってもよい。
【0009】
ガイド要素は、駆動要素の案内および誘導を生じさせるために、使用することができる。この場合、駆動要素は、1つの移動されるべき開閉接触子と、好ましくは固定角度で、結合されているとよく、それにより、ガイド要素を介して、駆動要素と開閉接触子との両方を、安定化することができる。好ましくは、駆動要素は、ピストンの様態で、ガイド要素にて案内されているとよい。ガイド要素は、シリンダの様態で構成されていてもよく、その際、駆動要素およびガイド要素が互いに相対的に変位可能に配置されている。1つの突出部が、ピストンの周側面に、特には固定角度で、配置されているとよい。1つのゲート内でスライドする1つの突出部を用いて、駆動要素の1つの移動経路を規定することができる。例えば、駆動要素の移動経路は、軸方向の様式で規定されているとよいが、しかし、必要に応じて、この軸方向移動に回転運動を重ね合わせることもできる。これは、例えば、当該ゲートの延び具合によって定義することができる。しかし、ゲートは、好ましくは、第1の突出部がそのゲートに沿って直線的にスライドするように、形成されているとよい。その場合、突出部は、ゲート内に複数の接触点を有するべきであり、それにより、ゲート内での突出部の傾斜が防止されている。好ましくは、ゲートが溝又はスロットの様態で形成されていてもよく、その際、溝の側面もしくはスロットの側面が突出部(スライディングブロック)によって接触され、突出部、並びに、案内される変位可能な駆動要素の、確動案内が実施される。ガイド要素としては、例えば、シリンダ軸を有するシリンダであって、該シリンダ軸に対して駆動要素の軸方向移動が平行に経過するようなシリンダ、が適している。シリンダとしては、例えば、様々な横断面構造を有する中空シリンダが適しており、例えば、ガイド要素は、円環形状の横断面を有する中空シリンダであるとよい。しかし、中空シリンダは、例えば、U字形プロファイル又はL字形プロファイルを有していてもよい。ガイド要素の形状に関係なく、ゲートは、好ましくは、ガイド要素の壁の開口部の様態で形成されているとよい。それによって、突出部と当接するためのゲートの区切られた側面を設けることができる。
【0010】
駆動要素は、例えば弾性変形可能な壁部分に接続されているとよい。ゲートおよび突出部を介して、特定の運動プロファイルをもたらすことができ、その結果として、弾性変形可能な壁の特定の弾性変形が生じさせられる。それにより、流体密の壁の耐用年数を向上させることができる。
【0011】
他の有利な実施形態では、第2の突出部および第2のゲートが、駆動要素に関して、直径上で第1の突出部および第1のゲートと向かい合って配置されている。
【0012】
第1の突出部および第1のゲートならびに第2の突出部および第2のゲートの使用は、力を駆動要素の変位軸に対してできるだけ平行に分配することを可能にする。従って、傾斜を抑制し、それによりゲートと突出部の摩耗を抑制することができる。特に、駆動要素の軸方向の運動に、例えば回転成分を重ねる場合には、駆動要素と、該駆動要素に固定的に結結された開閉接触子とを、均等に対称的に案内することができる。複数の突出部を使用する場合には、これらの突出部は、同じ構造に設計されるべきであり、その結果、これらはそれぞれのゲート内で同じように案内される。
【0013】
有利には、1つの突出部が第1および第2の接触点を有し、それらの接触点は、1つのゲートと相互に作用し、ゲートの接触方向に相前後して続いて突出部に配置されているとよい。
【0014】
好ましくは、1つの突出部が第1および第2の接触点を有し、それらの接触点は、1つの開閉接触子の移動過程で、1つのゲートの同じ面(例えば、同じ溝側面又はスロット側面)に相次いで接触するとよい。さらに、それらの接触点は、好ましくは、突出部の1つの共通な接触面内に存在するとよく、その結果、共通な接触面内には、ゲートを通る突出部の移動経路の方向に相前後して配置されている複数の接触点が配置されている。従って、例えば、曲げられたゲートが設けられている場合に、突出部をその曲がりに続いて整列させ、その際、望まれない摩擦損失の発生を抑制することができる。好ましくは、突出部は、その場合に、ほぼ直方体形状に形成されているとよく、その直方体の対向する側面にある平面は、接触面として、1つのゲートの互いに反対に向けられた側面に接触するために、用いられる。好ましくは、接触点の間隔は、接触されるべきゲートの幅よりも大きくてもよい。ゲートの幅は、例えば、1つの溝又は1つのスロットの両側面の間隔によって規定することができる。突出部は、好ましくは固定角度で、軸方向に変位可能な駆動要素と接続されているとよい。それにより、簡単なやり方で、ゲートの経路を駆動要素へ伝達することができる。接触面は、複数の部分に分割されていてもよい。従って、例えば、突出部を複数の部分で設計することができ、その結果、第1の接触点が第1の部分の第1の区間に存在し、第2の接触点が第2の部分の第2の区間に存在する。複数の部分からなる突出部は、複数の部分の間隔あけを可変に定めることができる、という利点を有する。
【0015】
他の有利な実施形態では、ゲートは、案内方向でガイド要素の本体端を突き抜けている。
【0016】
ゲートは、これを区切る本体(ガイド要素)の案内方向においてアクセス部を有することができ、従って、軸方向においてゲートに開口部が形成されている。これによって、突出部をゲート内へ潜らせ、変位可能な駆動要素の直線的な案内を強制することができる。従って、ゲート内への突出部の案内を簡単に行うことができる。突出部がゲート内に潜り込む前に既に、直線移動を進めることができ、その過程で突出部はゲート内へ入る。
【0017】
好ましくは、ゲートがそのゲートを区切るガイド要素として機能するシリンダの一端面を突き抜けていることが、企図され得る。
【0018】
シリンダの端面は、ゲートの開口部を有することができ、その開口部は、駆動要素の軸方向の案内部に対してほぼ垂直に延びている。従って、変位可能な駆動要素の軸方向の変位によって、突出部がゲート内へ入り込むことが可能となることで、開閉装置の組み立て時に組み立てやすい構造がもたらされる。それにより、予め組み立てられた構造体を使用して、ゲートと突出部とを正確に整列させることができる。
【0019】
他の有利な実施形態では、突出部をゲートから少なくとも部分的に外へ移動可能とさせることができる。
【0020】
突出部は、少なくとも部分的に、ゲートから外へ移動され得て、その外への移動は、好ましくは、ゲートの軸方向の案内部の方向において行われる。特に、通電状態又は遮断状態において、しかしながら好ましくは遮断状態において、突出部は少なくとも部分的にゲートから出て、その結果、突出部はゲートの外側にアクセス可能となること、が企図され得る。突出部の一部は、好ましくはゲート内にとどまることができ、その結果、ゲートの中への突出部の簡単な移動又は導入が保証されている。従って、一方では、突出部およびゲートのクリーニングおよびメンテナンスを簡単な方法で行うことができる。他方では、突出部がゲートから外に出ることによって、互いに相対的に移動可能な開閉接触子の特定の開閉位置を示すことができる。突出部がゲートから外に出ていることを用いて、例えば、互いに相対的に移動可能な開閉接触子の遮断位置が、表され得る。
【0021】
さらに、有利には、軸方向に変位可能な複数の駆動要素が、それぞれ、1つのガイド要素の第1のゲート内の第1の突出部を介して、1つの移動経路内に拘束されており、その際、それらの駆動要素は連動機構の1つの共通なクロスアームに取り付けられており、特に固定角度で固定されている。
【0022】
軸方向に移動可能な複数の駆動要素を連結することによって、例えば、多極開閉を可能にする開閉装置を形成することができる。そうして、例えば交流電圧系統に必要な複数の開閉極が、同期操作され得る。例えば、複数の駆動要素の軸方向の変位軸に対してほぼ横方向に延びるクロスアームは、それらの駆動要素の互いの連結および離間を生じさせる。好ましくは、複数の駆動要素は、互いに平行に並べられており、平行に変位可能であるとよい。各駆動要素は、その場合、別個の第1の突出部と、別個の第1のゲートとによって案内される。互いに連結された複数の駆動要素の複合体においては、個々の駆動要素の追加的な安定化が、それらの駆動要素の突出部とそれぞれのゲートとにより行われる。複数の駆動要素の連結のためには、例えば、駆動要素およびクロスアームの揺動可能な又は回動可能なストッパが設けられているとよい。しかし、好ましくは、複数の駆動要素は、互いに固定角度でクロスアームを介して接続されているべきであり、その結果、個々の駆動要素の並行案内が可能になる。これは、変位可能な駆動要素が流体密なバリアの一部である場合に、特に有利である。そして、駆動要素は、例えば弾性変形可能な壁部分と、接続されているとよい。ゲートおよび突出部を介して、定められた移動プロファイルに影響を及ぼすことができ、その結果、弾性変形可能な壁の特定の弾性変形が生じさせられる。それによって、流体密の壁の耐用年数を向上させることができる。
【0023】
有利には更に、駆動要素にスライドガイドが配置されており、そのスライドガイドが、ゲートを有する本体部に支持されること、が企図され得る。
【0024】
突出部による駆動要素の案内部に加えて、駆動要素を例えば直線的に案内するためにスライドガイドが設けられているとよい。例えば、駆動要素は、シリンダに接して又はシリンダ内に案内されているピストンの様態で造形されているとよい。突出部は、その際に例えば、ピストンのストロークに対して半径方向に向けられていてもよく、それによりピストンの回転防止或いはピストンの確動案内がもたらされ得る。
【0025】
次に、本発明の実施例を図面に概略的に示し、以下において詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、開閉装置の断面図を示す。
図2図2は、図1から分かる開閉装置のガイド要素の外観図を示す。
図3図3は、図1から分かる開閉装置の別の視軸からの外観図を示す。
図4図4は、図1から分かる開閉装置の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に示されている開閉装置は、第1の開閉極1と、第2の開閉極2と、第3の開閉極3とを有する。従って、これは多極構成の開閉装置である。3つの開閉極1、2、3は、その場合、基本的に同様に構成されており、図1の図面の面内に延びるそれらの長手軸に関して、互いに平行に並べられている。第2の開閉極2は、第1の開閉極1および第3の開閉極3の長手軸が配置されている面に対して、ずらされている。平面図(図4参照)では、開閉極1、2、3の長手軸は、1つの三角形の頂点に配置されている。
【0028】
複数の開閉極1、2、3を有する開閉装置を用いて、多相の電気エネルギー伝送システム、ここでは3相の電気エネルギー伝送システム、を開閉することができる。この場合、開閉装置の個々の開閉極1、2、3の開閉路は互いに同期化されて操作される。そのために、1つの連動機構の一部として構成された所謂クロスアーム4が設けられている。クロスアーム4を介して、運動が、開閉極1、2、3の互いに相対的に移動可能な開閉接触子へ連結及び分配され得る。
【0029】
この場合、開閉装置は、流体絶縁開閉装置として構成されている、即ち、開閉極は、少なくとも部分的に、1つの密封されたカプセルハウジング5内へ延在している。カプセルハウジング5は、ここでは、アース電位を導く導電性のハウジングとして構成されている。カプセルハウジング5の内部には、電気絶縁性の流体、例えばフッ素含有流体又は窒素含有流体、が配置されており、電気絶縁性の雰囲気をカプセルハウジング5の内部に形成している。電気絶縁性の流体は、過圧下にある。
【0030】
以下において、例として、第1の開閉極1の構成を詳細に説明する。第2および第3の開閉極2、3は、第1の開閉極1と同様に構成されている。第1の開閉極1は真空遮断バルブ6を有する。真空遮断バルブ6は、カプセルハウジング5によって完全に囲まれている。真空遮断バルブ6は、電気絶縁性のバルブ本体7を有する。電気絶縁性のバルブ本体7は、基本的に第1の開閉極1の長手軸と同軸に配向されている。バルブ本体7は、その両端部において、第1の閉鎖板8および第2の閉鎖板9により流体密に閉鎖されている。第1の閉鎖板8には、ベローズの形態の弾性変形可能な壁部分10が挿入されている。そのベローズ10は、一方で、第1の閉鎖板8に流体密に接続されており、そこにおいて第1の閉鎖板8内の空所を密閉している。第1の閉鎖板8内の空所には接触子ロッド11が貫通している。さらに、接触子ロッド11はベローズ10を貫通しており、ベローズ10の第1の閉鎖板8とは離背する側に、ベローズ10に対する流体密の接合部が設けられている。そのようにして、接触子ロッド11は、流体密に第1の閉鎖板8内へ挿入されており、そして第1の開閉極1の長手軸の方向において軸方向に移動可能である。第2の閉鎖板9には、同様に接触子ロッド11が貫通している。この接触子ロッド11は、固定角度で流体密に第2の閉鎖板9内へ挿入されている。互いに同軸に配向された両接触子ロッド11の互いに向かい合わされた両端部には、第1の開閉接触子12と第2の開閉接触子13が配置されている。第2の開閉接触子13と割り当てられた接触子ロッド11との角度固定された結合に基づいて、位置固定された第2の開閉接触子13が形成されている。第1の開閉接触子12と移動可能な接触子ロッド11との角度固定された結合に基づいて、移動可能な第1の開閉接触子12が真空遮断バルブ6内に形成されている。両接触子ロッド11を介して、真空遮断バルブ6を端部側で流体密に封止する第1および第2の閉鎖板8、9を通した、真空遮断バルブ6内に配置された両開閉接触子12、13からの、電流回路の引き出しが、もたらされる。真空遮断バルブ6の外側には、両接触子ロッド11とそれぞれ1つの接続片14との電気接触部が、設けられており、その結果、両開閉接触子12、13の間に形成される開閉区間を1つの電流回路へ組み込むことができる。接続片と両接触子ロッド11との電気接触の形態は、図1では明示的には示されていない。そのために、必要に応じて、例えばフレキシブルケーブル、スライド接触装置、又は、角度固定された接続をも、特に第2の開閉接触子13の接触子ロッド11との角度固定された結合をも、設けられるとよい。
【0031】
真空遮断バルブ6の外側では、この真空遮断バルブ6が電気絶縁性の流体によって、取り囲まれている。それにより、外周面、特に閉鎖板8、9の間の外周面が、電気的に絶縁されている。真空遮断バルブ6の内部は真空状態であるので、その結果、両開閉接触子12、13の間にある開閉区間は、真空により絶縁されている。
【0032】
真空遮断バルブ6を機械的に保持するために、支持碍子15を介して、カプセルハウジング5の内壁と向かい合った第2の閉鎖板9の側で、真空遮断バルブ6の機械的な支持が行われる。真空遮断バルブ6は、第1の開閉極1の長手軸の方向において、支持碍子15に対して固定されている。第1の閉鎖板8を有する方の真空遮断バルブ6の端部は、導電性の接片体16によって覆われている。接片体16は、第1の閉鎖板8が配置されている方の真空遮断バルブ6の端部の誘電遮蔽に役立つ。カプセルハウジング5の内壁と導電性の接片体16の間には、円錐台状の絶縁体17が配置されている。端部側では、円錐台状の絶縁体17の中にフィールド制御電極が挿入可能であり、これらの電極を介して、円錐台状の絶縁体17の、導電性の接片体16とのもしくはカプセルハウジング5の内壁との機械的な支持も行うことができる。円錐台状の絶縁体17は通路18を有する。
【0033】
通路18は、電気絶縁性の開閉ロッド19によって貫通されている。開閉ロッド19は第1の開閉接触子12の接触子ロッド11に接続されており、それにより、開閉ロッド1を介して、軸方向の運動を第1の開閉接触子12の接触子ロッド11へ伝達することができる。この場合、開閉ロッド19は、基本的に中空円筒状の開閉ロッド19として形成されている。開閉ロッド19は、第1の開閉接触子12の接触子ロッド11の方を向いているその端部を用いて、端部側で、接触子ロッド11と接続されている。開閉ロッド11は、接触子ロッド11と反対の方を向いているその端部を用いて、駆動要素20と接続されている。駆動要素20は、開閉ロッド19の運動軸に対して基本的に垂直に延びている流体密の壁を、提供する。開閉ロッド19は、別のベローズ21によって取り囲まれており、このベローズ21は、第1の端部で駆動要素20と流体密に接続されており、第2の要素でカプセルハウジング5の壁に流体密に接続されている。そのようにして、この別のベローズ21を介して、カプセルハウジング5に、軸方向に変形可能であるポケット状の突出部が提供される。従って、開閉ロッド19は、完全に、カプセルハウジング5の内部に閉じ込められた電気絶縁性の流体によって、取り囲まれ、すすがれている。別のベローズ21および駆動要素20は、カプセルハウジング5の流体密のバリアの一部である。
【0034】
駆動要素20は、固定角度でクロスアーム4に連結されており、それにより、駆動要素20は、連動機構の一部として、クロスアーム4によって伝達される運動を受け入れて、開閉ロッド19へ伝達する。従って、開閉接触子12、13の相対的な軸方向移動が互いに可能にされており、開閉ロッド19の電気絶縁作用に基づいて、カプセルハウジング5に対する電気絶縁がもたらされる。
【0035】
駆動要素20およびクロスアーム4の動きを支援するために、ガイド要素22が設けられている。ガイド要素22は、この場合、固定角度でカプセルハウジング5に接続されており、ここでは、ガイド要素22は、カプセルハウジング1によって閉じ込められた電気絶縁性の流体の外側に、配置されている。この場合、ガイド要素22は、基本的に中空円筒状の構造を有し、駆動要素20は、中空円筒状のガイド要素22の空所に対して相補的に形成されている。これに対応して、第1の開閉極1の長手軸の方向における駆動要素20の軸方向移動可能性が、ガイド要素22によって支援される。装置の傾斜を回避し、もって装置の早期の経年変化を回避するために、ガイド要素22は、第1のゲート23と第2のゲート24とを備えている。第1のゲート内では、第1の突出部25が案内されており、第2のゲート内では、第2の突出部26が案内されている。第1および第2の突出部25、26は、固定角度で駆動要素20に接続されており、そのうちでも特に両突出部が駆動要素20の円周面にて直径上で向かい合って配置されているように接続されている。電気開閉装置の遮断状態では(図1図2および図3参照)、突出部25、26は、それぞれ、割り当てられたゲート23、24に部分的に入り込んでいる。従って、第1の突出部25および第2の突出部26は、例えば検査のためにアクセス可能である。さらに、電気開閉装置の内部における開閉接触子12、13の開閉位置は、突出部25、26の位置によって、表され得る。
【0036】
両ゲート23、24は、それぞれ同様の構造を有する。両ゲート23、24は、直径上で向かい合わせに配置されており、長手軸の方向に平行に整列させられている。この場合に、両ゲート23、24は、ガイド要素22の壁に貫通空所(スロット)として配置されている。その際、位置は、両ゲート23、24が直径上で向かい合わせに整列するように選ばれいる。第1もしくは第2のゲート23、24のスロットは、ガイド要素22の一端側を突き抜けており(図2図3を参照)、それによって第1もしくは第2の突出部25、26は、第1もしくは第2のゲート23、24から、少なくとも部分的に現れ出ることができる。さらに、両突出部25、26は、基本的に直方体の形状を有しており、接触面は、向かい合って並んだ第1もしくは第2のゲート23、24の面と接触する。それによって、第1もしくは第2の突出部25、26の接触面のそれぞれにおいて、ゲートの延びの方向に間隔をあけて配置された複数の接触点がもたらされる。好ましくは、これらの接触点は、それぞれの突出部25、26の接触面において、ゲート23、24の幅よりも、大きい間隔を有する。突出部25、26は、複数の部材から設計されていてもよい。従って、両ゲート23、24のコース内において、突出部25、26を介して、駆動装置20の安定化された直線案内がもたらされ、それとともに第1の開閉接触子12の安定化された直線案内がもたらされる。
【0037】
図2から分かるガイド要素22の側面図を第1の開閉極1の長手軸の周りで90°だけ回転して示している図3の図において、破断部分から認識できるように、駆動要素20における摩擦を低減するために、ガイドリング27(ピストンリング)が配置されている。ガイドリング27を介して、駆動要素20とガイド要素22との間の摩擦を低減することができる。さらに、図3では、遮断状態において、突出部25、26(ここでは、第2の突出部26)が、部分的に、ゲート23、24(ここでは、ゲート24)から現れ出ていることが分かる。そのために、ゲート(ここでは、第2のゲート24)は、スロット状に、第1の開閉極1の長手軸の方向にもしくは中空円筒状のガイド要素22の中空円筒軸の方向に、外側面を突き抜けて、この外側面に形成されている。端部側では、それぞれのゲート23、24へのアクセスが可能である。通電移動時には、駆動要素20がガイド要素22内に潜り込み、突出部25、26は、完全にそれぞれのゲート23、24内へ導入される。ガイド要素22内への駆動要素20の潜り込み深さが増すにつれて、突出部25、26の安定化効果が増大する、その理由は、今やそれぞれの突出部25、26の接触点の間隔が増して、それによって突出部25、26が第1もしくは第2のゲート23、24内で傾くことが困難になるからである。
【0038】
ガイド要素22の案内を改善するために、ゲート23、24の開口領域に、断面拡張部が設けられている。このようにして、第1または第2のゲート23、24へのファネル形状の入口が可能にされている。それによって、例えば、駆動要素20の、もしくは、固定角度で結合された突出部25、26の、現在の傾斜が克服され得て、ゲート23、24内での突出部25、26の平行案内を行うことができる。ここでは、そのために、ゲート23、24の開口領域に、それぞれに伴って、カラー部がガイド要素22の端面側に配置されている。
【0039】
図4には、開閉装置の開閉極1、2、3の平面図が示されている。クロスアーム4の台形構造を認識することができ、このクロスアーム4は、各頂点に、3つの開閉極1、2、3のそれぞれの駆動要素20の連結部を有している。クロスアーム4の中央にリンク部28が配置されており、例えば連接棒を用いて直線移動をクロスアーム4にもしくは開閉装置の連動機構に作用させるために、そのリンク部28を介して、揺動的に、例えば連接棒が連結可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 開閉極
2 開閉極
3 開閉極
4 クロスアーム
5 カプセルハウジング
6 真空遮断バルブ
7 バルブ本体
8 第1の閉鎖板
9 第2の閉鎖板
10 ベローズ
11 接触子ロッド
12 第1の開閉接触子
13 第2の開閉接触子
14 接続片
15 支持碍子
16 接片体
17 絶縁体
18 通路
19 開閉ロッド
20 駆動要素
21 別のベローズ
22 ガイド要素
23 第1のゲート
24 第2のゲート
25 第1の突出部
26 第2の突出部
27 ガイドリング
28 リンク部

図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2022-05-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連動機構を介して第2の開閉接触子(13)に対して相対的に移動可能な第1の開閉接触子(12)を有する開閉装置であって、前記連動機構が、ガイド要素(22)にて案内されており軸方向に変位可能な駆動要素(20)、を有する、開閉装置において、
前記ガイド要素(22)の第1のゲート(23)内の第1の突出部(25)が、前記駆動要素(20)の移動経路を規定することを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
第2の突出部(26)および第2のゲート(24)が、前記駆動要素(20)に関して、直径上で、前記第1の突出部(25)および前記第1のゲート(23)と反対側に、配置されていることを特徴とする請求項1に記載の開閉装置。
【請求項3】
1つの突出部(25、26)が、第1の接触点および第2の接触点を有し、両接触点は、1つのゲート(23、24)と相互に作用し、当該突出部(25、26)上に、当該ゲート(23、24)の接触方向で互いに相前後して配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の開閉装置。
【請求項4】
1つのゲート(23、24)が、案内方向に前記ガイド要素(22)の本体縁を突き抜けていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の開閉装置。
【請求項5】
1つのゲート(23、24)が、当該ゲートを区切るガイド要素(22)として機能するシリンダの1つの端部側を突き抜けていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の開閉装置。
【請求項6】
1つの突出部(25、26)が、前記ゲート(23、24)から少なくとも部分的に外へと移動可能であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の開閉装置。
【請求項7】
軸方向に変位可能な複数の駆動要素(20)が、それぞれ、1つのガイド要素(22)の1つの第1のゲート(23)内で、1つの第1の突出部(25)を介して、1つの移動経路内に拘束されており、前記駆動要素(20)が、前記連動機構の共通なクロスアーム(4)に取り付けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の開閉装置。
【請求項8】
前記駆動要素(20)に、前記ガイド要素(22)を支持するスライドガイドが配置されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の開閉装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
通路18は、電気絶縁性の開閉ロッド19によって貫通されている。開閉ロッド19は第1の開閉接触子12の接触子ロッド11に接続されており、それにより、開閉ロッド1を介して、軸方向の運動を第1の開閉接触子12の接触子ロッド11へ伝達することができる。この場合、開閉ロッド19は、基本的に中空円筒状の開閉ロッド19として形成されている。開閉ロッド19は、第1の開閉接触子12の接触子ロッド11の方を向いているその端部を用いて、端部側で、接触子ロッド11と接続されている。開閉ロッド1は、接触子ロッド11と反対の方を向いているその端部を用いて、駆動要素20と接続されている。駆動要素20は、開閉ロッド19の運動軸に対して基本的に垂直に延びている流体密の壁を、提供する。開閉ロッド19は、別のベローズ21によって取り囲まれており、このベローズ21は、第1の端部で駆動要素20と流体密に接続されており、第2の要素でカプセルハウジング5の壁に流体密に接続されている。そのようにして、この別のベローズ21を介して、カプセルハウジング5に、軸方向に変形可能であるポケット状の突出部が提供される。従って、開閉ロッド19は、完全に、カプセルハウジング5の内部に閉じ込められた電気絶縁性の流体によって、取り囲まれ、すすがれている。別のベローズ21および駆動要素20は、カプセルハウジング5の流体密のバリアの一部である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
駆動要素20およびクロスアーム4の動きを支援するために、ガイド要素22が設けられている。ガイド要素22は、この場合、固定角度でカプセルハウジング5に接続されており、ここでは、ガイド要素22は、カプセルハウジングによって閉じ込められた電気絶縁性の流体の外側に、配置されている。この場合、ガイド要素22は、基本的に中空円筒状の構造を有し、駆動要素20は、中空円筒状のガイド要素22の空所に対して相補的に形成されている。これに対応して、第1の開閉極1の長手軸の方向における駆動要素20の軸方向移動可能性が、ガイド要素22によって支援される。装置の傾斜を回避し、もって装置の早期の経年変化を回避するために、ガイド要素22は、第1のゲート23と第2のゲート24とを備えている。第1のゲート内では、第1の突出部25が案内されており、第2のゲート内では、第2の突出部26が案内されている。第1および第2の突出部25、26は、固定角度で駆動要素20に接続されており、そのうちでも特に両突出部が駆動要素20の円周面にて直径上で向かい合って配置されているように接続されている。電気開閉装置の遮断状態では(図1図2および図3参照)、突出部25、26は、それぞれ、割り当てられたゲート23、24に部分的に入り込んでいる。従って、第1の突出部25および第2の突出部26は、例えば検査のためにアクセス可能である。さらに、電気開閉装置の内部における開閉接触子12、13の開閉位置は、突出部25、26の位置によって、表され得る。
【国際調査報告】